第1の実施の形態.
<現像装置の構成>
まず、本発明の第1の実施の形態における現像装置100の構成について説明する。図1は、現像装置100の構成を示す断面図である。現像装置(プロセスユニットとも称する)100は、筺体としてのケーシング101と、このケーシング101にトナー(現像剤)を供給するための現像剤補給部としてのトナー補給部12とを有している。ケーシング101内には、静電潜像担持体としての感光体ドラム3が設けられている。
この現像装置100は、感光体ドラム3を内蔵する「ドラム一体型構造」を有しているが、このような構造には限定されない。静電潜像担持体(例えば感光体ドラム3)に形成された静電潜像を現像する役割を担う部分を、現像装置と称する。また、現像装置100は、トナー補給部12を有さない形態であってもよい。
感光体ドラム3の表面に対向するように、感光体ドラム3の表面を一様に帯電させる帯電部材としての帯電ローラ4と、感光体ドラム3の表面に形成された静電潜像を現像する現像剤担持体としての現像ローラ1と、感光体ドラム3の表面に残留したトナーを掻き取るクリーニング部材としてのクリーニングブレード9とが配置されている。帯電ローラ4、現像ローラ1およびクリーニングブレード9は、感光体ドラム3の回転方向(図1における反時計回り方向)に沿って、この順で配置されている。
ここでは、帯電ローラ4およびクリーニングブレード9は、感光体ドラム3の表面に上方から当接している。また、現像ローラ1は、感光体ドラム3の表面に側方(図1における左側)の斜め下から当接している。
現像ローラ1は、感光体ドラム3とは反対の方向(ここでは図中時計回り)に回転する。すなわち、現像ローラ1と感光体ドラム3とは、互いの対向部において、表面が同じ方向に移動するようにそれぞれ回転する。帯電ローラ4も、感光体ドラム3とは反対の方向(ここでは図中時計回り)に回転する。
現像ローラ1に対向するように、層規制部材としての現像ブレード6が配置されている。現像ブレード6は、現像ローラ1の表面に形成されるトナーの薄層(後述)の厚さを規制するものである。
また、現像ローラ1に非接触で対向するように、第1の供給部材としてのトナー供給ローラ2が設けられている。トナー供給ローラ2は、現像ローラ1の下方(ここでは斜め下側)に位置している。現像ローラ1の回転方向において、トナー供給ローラ2は、現像ブレード6よりも上流側で、且つ、感光体ドラム3よりも下流側に位置している。
トナー供給ローラ2は、現像ローラ1とは反対の方向(ここでは図中反時計回り)に回転する。すなわち、トナー供給ローラ2および現像ローラ1は、互いの対向部において、表面が同じ方向に移動するようにそれぞれ回転する。
トナー供給ローラ2に接触するように、第2の供給部材としての補助供給ローラ10が設けられている。補助供給ローラ10は、トナー供給ローラ2の下方に位置している。補助供給ローラ10は、トナー供給ローラ2とは反対の方向(ここでは図中時計回り)に回転する。すなわち、補助供給ローラ10およびトナー供給ローラ2は、互いの対向部において、表面が同方向に移動するようにそれぞれ回転する。
この補助供給ローラ10は、ケーシング101の下部に配置されており、このケーシング101の下部には、補助供給ローラ10に供給される現像剤としてのトナーが堆積する。ケーシング101の下部は、トナー(現像剤)11を保持する現像剤保持部102と称する。
上述したトナー補給部12は、ケーシング101内の現像剤保持部102にトナー11を補給するためのものであり、ケーシング101の上部に配置されている。このトナー補給部12は、内部にトナー11を収容する収容器(例えばトナーカートリッジ)である。トナー補給部12の下部には、トナー11をケーシング101内(現像剤保持部102)に供給するための現像剤補給口としてのトナー補給口12bが形成されており、このトナー補給口12bを開閉するためのシャッタ12aが設けられている。
また、現像ローラ1に対向するように、現像ローラ1の表面に残留したトナー(感光体ドラム3上の静電潜像の現像に使用されなかったトナー)を回収する現像剤回収部材としてのトナー回収ローラ5が配置されている。現像ローラ1の回転方向において、トナー回収ローラ5は、トナー供給ローラ2よりも上流側で、且つ、感光体ドラム3よりも下流側に位置している。
このトナー回収ローラ5に対向するように、トナー回収ローラ5の表面からトナーを掻き落とすための現像剤除去部材としてのトナー除去ブレード8が配置されている。このトナー除去ブレード8は、例えばウレタンゴム等の弾性体8aと、弾性体8aを保持する例えば金属製の固定板8bで構成されている。固定板8bは、ケーシング101の内面に固定されている。
また、トナー供給ローラ2に対向するように、トナー供給ローラ2の表面に付着したトナーを薄層化させると共に帯電させる帯電補助部材としての規制フィルム7が設けられている。規制フィルム7は、トナー供給ローラ2の表面に接するように設けられた導電性のフィルム7aと、このフィルム7aを保持する金属製の支持フレーム7bとを有している。フィルム7aは、トナー供給ローラ2の軸方向に長い長尺形状を有し、その幅方向一端(固定端)が支持フレーム7bに固定され、他端(自由端)がトナー供給ローラ2の表面に接している。
規制フィルム7は、トナー供給ローラ2の回転方向において、トナー供給ローラ2と現像ローラ1との対向部の上流側に配置されている。
ケーシング101の下部(すなわち現像剤保持部102)には、トナー11を撹拌し、搬送する撹拌部材13a,13b,13c,13dが設けられている。撹拌部材は、例えばクランク形状を有する金属製のバーであり、複数の(ここでは4つ)の撹拌部材13a,13b,13c,13dが、それぞれの軸方向が現像ローラ1の軸方向と平行になるように配置されている。
さらに、ケーシング101の現像剤保持部102内におけるトナーレベル(トナー11の上面レベル)11aを検知するため、検知部としてのトナー残量検知バー14が設けられている。トナー残量検知バー14は、クランク形状を有する金属製のバーであるが、詳細については後述する。
図2(A)は、現像装置100の各ローラ間のニップ量およびギャップ量を示す模式図である。図2(A)に示すように、現像ローラ1とトナー供給ローラ2とは互いに離間しており、ギャップd1は0.25mmである。トナー供給ローラ2と規制フィルム7とは互いに当接しており、ニップ量d2は1.0mmである。
また、現像ローラ1とトナー回収ローラ5とは互いに当接しており、ニップ量d3は0.5mmである。また、トナー回収ローラ5とトナー除去ブレード8とは互いに当接しており、ニップ量d4は0.5mmである。トナー供給ローラ2と補助供給ローラ10とは互いに当接しており、ニップ量d5は0.5mmである。
なお、ローラ間のニップ量は、2つのローラの半径の合計からローラの中心間距離を引いた値である。また、図2(B)に模式的に示すように、ブレードまたはフィルム(符号Bで示す)とローラ(符号Rで示す)とのニップ量は、ブレード(またはフィルム)BがローラRに当接する前(すなわち弾性変形する前)の位置aとローラの中心cとの距離dを、ローラの半径rから引いた値eである。
図2(A)に示すように、現像ローラ1およびトナー供給ローラ2は、互いの対向部において表面の移動方向が同じ方向(α方向)になるように回転する。また、トナー供給ローラ2および補助供給ローラ10は、ニップ部において表面の移動方向が同じ方向(β方向)になるように回転する。対向部およびニップ部におけるトナー11へのダメージを抑制するためである。
図3は、現像装置100の駆動伝達部38の構成を示す模式図である。上述した感光体ドラム3、現像ローラ1、トナー供給ローラ2、補助供給ローラ10およびトナー回収ローラ5の軸部には、それぞれ、感光体ドラムギア3G、現像ローラギア1G、トナー供給ローラギア2G、補助供給ローラギア10Gおよび回収ローラギア5Gが取り付けられている。
駆動モータ27(図8)に取り付けられたモータギア27Gは、感光体ドラムギア3Gと噛み合っている。感光体ドラムギア3Gは、現像ローラギア1Gと噛み合っている。現像ローラギア1Gは、アイドルギア38a,38cと噛み合っている。アイドルギア38aはアイドルギア38bと噛み合い、このアイドルギア38bはトナー供給ローラギア2Gと噛み合っている。トナー供給ローラギア2Gは、補助供給ローラギア10Gと噛み合っている。また、アイドルギア38cは、アイドルギア38dと噛み合い、アイドルギア38dは回収ローラギア5Gと噛み合っている。
このように構成されているため、駆動モータ27の回転は、感光体ドラム3、現像ローラ1、トナー供給ローラ2、補助供給ローラ10およびトナー回収ローラ5に伝達され、これらがそれぞれ矢印で示した方向に回転する。
また、図1に示した撹拌部材13a,13b,13c,13dは、駆動伝達部38から更にギア列を介して駆動力が伝達され、例えば図1に示す時計回りに回転する。
図4は、図1に示したトナー残量検知バー14の端部の形状を示す斜視図である。図5は、トナー残量検知バー14を含むトナー残量検知機構(検知手段)200の構成を示す図である。トナー残量検知バー14は、その回転軸方向の端部に位置する軸部14aと、軸部14aから屈曲して回転半径方向に延在する半径部14bと、トナー残量検知バー14の回転軸方向の中央に位置して回転軸方向に延在する中央部14cとを有している。
トナー残量検知バー14の軸部14aは、トナー残量検知バー14を回転させるギア28に嵌め込まれている。なお、ギア28の回転に対しては、トナー残量検知バー14は自由である。
ギア28には、トナー残量検知バー14の半径部14bに当接する当接部28aが取り付けられている。当接部28aは、例えばL字状の断面を有し、トナー残量検知バー14の回転軸の方向に所定の長さを有している。
ギア28は、駆動モータ27(図8)の駆動力が、図3に示した駆動伝達部38および図示しないギア列により伝達される。これにより、ギア28は、感光体ドラム3の回転と共に、図4に矢印で示す方向に一定速度で回転する。ギア28が回転すると、当接部28aがトナー残量検知バー14を回転方向に付勢し、トナー残量検知バー14がギア28と同方向に回転する。
ギア28の回転速度は、トナー残量検知バー14がその回転軌跡の頂点から自重で下方に回転する(落下する)速度よりも遅く設定されている。
図5に示すように、トナー残量検知バー14の両端の軸部14aのうち、ギア28が取り付けられた側と反対側の軸部14aは、現像装置100の外部に突出している。現像装置100の外部に突出した軸部14aの先端には、被検知部材としての反射板29が固定されている。反射板29は、トナー残量検知バー14の回転と共に回転する。
この反射板29は、レーザー光を反射できるものが望ましく、本実施の形態では鏡を用いる。また、後述する画像形成装置300の本体には、レーザー光30aを出射する発光素子30と、この発光素子30から出射されて反射板29で反射された反射光31aを受光する受光素子31とが備えられている。
図6は、図5に示したトナー残量検知機構(検知手段)200を、矢印L方向から見た図である。図6に示すように、発光素子30と受光素子31は、反射板29が回転軌跡の頂点29Tから底29Bへ移動する際に、これらの中間点29Mを通過している間のみ、発光素子30から出射された光30aの反射光31aを受光素子31が受光できるように配置されている。
<画像形成装置の構成>
次に、第1の実施の形態における現像装置100を備えた画像形成装置300について説明する。図7は、画像形成装置300の基本構成を示す図である。画像形成装置300は、ここでは、単色(モノクロ)画像を形成する電子写真プリンタとして構成されている。画像形成装置300は、その本体301の下部に、印刷用紙等の媒体18を収容する媒体収容部302(例えばトレイ)を有している。
媒体収容部302に収容された媒体の表面に接するように、給紙手段としての搬送ローラ19aが配置されている。搬送ローラ19aは、後述する搬送モータ26(図8)によって回転駆動され、媒体収容部302に収容された媒体18を一枚ずつ繰り出す。
搬送ローラ19aに隣接して、搬送ローラ19aによって媒体収容部302から繰り出された媒体18をさらに搬送する搬送手段としての搬送ローラ対19bが配置されている。ここでは、搬送ローラ対19bは、媒体収容部302から繰り出された媒体18を、斜め上方(図中右上方向)に搬送する。
媒体18の搬送方向において搬送ローラ対19bの下流側には、上述した現像装置100が配置されている。また、媒体18を挟んで現像装置100の感光体ドラム3と対向するように、転写部材としての転写ローラ16が配置されている。転写ローラ16は、感光体ドラム3の表面に形成されたトナー像(現像剤像)を媒体18に転写するものである。
また、現像装置100の感光体ドラム3に対して、転写ローラ16と反対の側には、露光装置としてのLEDヘッド15が配置されている。LEDヘッド15は、感光体ドラム3の表面の感光層をイメージデータに応じて露光して、静電潜像を形成するものである。
媒体18の搬送方向において現像装置100の下流側には、定着手段としての定着器17が配置されている。定着器17は、トナー像が転写された媒体18を加圧・加熱することにより、トナー像を媒体18に定着させるものであり、トナーを溶融させるため熱源(ヒータ)および温度を検出する温度センサ等を備えている。
媒体18の搬送方向において定着器17の下流側には、トナー像が定着した媒体18を装置外に排出する排出手段としての搬送ローラ対19cが配置されている。また、画像形成装置300の上部には搬送ローラ対19cによって排出された媒体18を載置するスタッカ部19dが設けられている。
<制御系>
図8は、画像形成装置300の制御系を示すブロック図である。画像形成装置300の全体の動作を制御する制御手段としての印刷制御部20は、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、入出力ポート、タイマ等によって構成されている。印刷制御部20は、パーソナルコンピュータ等の上位装置50から送られた印刷データおよび制御コマンドに基づき、画像形成装置300のシーケンスを制御して、画像形成プロセスを実行する。
インターフェイス(I/F)制御部21は、インターフェイスコネクタ、インターフェイス用IC等を有し、上位装置50から送られた印刷データや制御コマンドを受信し、印刷制御部20に転送する。
受信メモリ22は、上位装置50からインターフェイス制御部21を介して入力された印刷データを一時的に記録する。画像データ編集メモリ23は、受信メモリ22に記録された印刷データを受け取ると共に、その印刷データを編集処理して生成された画像データ、すなわちイメージデータを記録する。
操作部24は、画像形成装置300の状態を表示するための表示部(例えばLED)と、画像形成装置300に対する操作者の指示を入力するための入力部(例えばスイッチ、表示部等を含むもの)とを有している。
センサ群25は、画像形成装置300の動作状態を監視するための各種のセンサ、例えば媒体位置検出センサ、温度・湿度センサ、印刷濃度センサ、トナー残量検知センサ等を含む。
タイマ32は、発光素子30から出射されて反射板29で反射された反射光31aを受光素子31が検出する時間を計測するタイマである。
帯電ローラ用電源4aは、印刷制御部20の指示に基づき、感光体ドラム3の表面を一様に帯電させるため、帯電ローラ4に所定の帯電電圧を印加する。現像ローラ用電源1aは、感光体ドラム3上の静電潜像を現像するため、現像ローラ1に所定の現像電圧を印加し、また、現像ブレード6にも所定の電圧を印加する。
トナー供給ローラ用電源2aは、現像ローラ1にトナー11を供給するため、トナー供給ローラ2に所定の電圧を印加する。補助供給ローラ用電源10aは、トナー供給ローラ2にトナーを供給し、且つトナー11を帯電させるため、補助供給ローラ10に所定の電圧を印加する。
トナー回収ローラ用電源5aは、現像ローラ1からトナー11を回収するため、トナー回収ローラ5に所定の電圧を印加する。規制フィルム用電源7cは、トナー11を帯電させるため、規制フィルム7に所定の電圧を印加する。転写ローラ用電源16aは、感光体ドラム3上のトナー像を媒体18に転写するため、転写ローラ16に所定の転写電圧を印加する。
なお、帯電ローラ用電源4a、現像ローラ用電源1a、トナー供給ローラ用電源2a、補助供給ローラ用電源10a、トナー回収ローラ用電源5a、規制フィルム用電源7cおよび転写ローラ用電源16aは、印刷制御部20の指示により、印加する電圧を変更することができる。
シャッタ駆動制御部(補給制御部)12cは、トナー補給部12のシャッタ12aの開閉動作を制御する。シャッタ駆動制御部12cは、ケーシング101内のトナーレベル11a(図1)を、トナー残量検知機構200により検知し、ケーシング101内のトナー残量が少なくなったとき、シャッタ12aを開き、トナー補給部12からケーシング101内にトナーを補給する制御を行う。
ヘッド駆動制御部15aは、画像データ編集メモリ23に記録されたイメージデータをLEDヘッド15に送り、そのLEDヘッド15を駆動する。
定着制御部17aは、媒体18に転写されたトナー像を当該媒体18に定着するために、定着器17のヒータに電圧を印加する。具体的には、定着制御部17aは、定着器17に設けられた温度センサのセンサ出力を読み込み、当該センサ出力に基づいてヒータに通電して、定着器17を一定の温度に保つように制御を行う。
搬送モータ制御部26aは、印刷制御部20の指示に基づき、媒体18を搬送するための搬送モータ26を制御する。これにより、媒体収容部302に収容した媒体18を搬送ローラ19aによって一枚ずつ搬送路に繰出し、搬送ローラ対19bによって現像装置100を通過させ、搬送ローラ対19cによって装置外に排出する。
駆動制御部27aは、感光体ドラム3を回転させるための駆動モータ27を制御する。駆動モータ27が回転すると、上述した駆動伝達部38により、感光体ドラム3、現像ローラ1、トナー供給ローラ2、補助供給ローラ10、トナー回収ローラ5、撹拌部材13a,13b,13c,13dおよびトナー残量検知バー14がそれぞれ回転する。
<現像装置の好ましい構成例>
次に、第1の実施の形態における現像装置100の好ましい構成例について説明する。ここで説明する構成例は、後述する印刷試験(図18、図19)の条件でもある。
まず、トナー11について説明する。ここで使用したトナー11は、粉砕法で製造され、バインダ(結着樹脂)としてポリエステル樹脂を用いた非磁性一成分の負帯電性トナーである。トナー11の体積平均粒径は5.7μm、円形度は0.92、ブローオフ帯電量は−36μC/gである。
体積平均粒径の測定には、ベックマンコールター株式会社製「コールターマルチサイザーII」を使用した。また、円形度の測定は、シスメックス株式会社製「フロー式粒子像分析装置FPIA−3000」を使用した。
ブローオフ帯電量の測定は、京セラ株式会社製「粉体帯電量測定装置TYPE TB−203」を使用した。測定に当たっては、トナー0.5gと、パウダーテック株式会社製フェライトキャリア(F−60)9.5gとを混合し、30分攪拌した後、ブロー圧7.0kPa、吸引圧−4.5kPaの条件で飽和帯電量を測定した。
次に、各ローラおよびブレードについて説明する。図9は、現像ローラ1の断面構造を示す図である。現像ローラ1は、導電性を有するシャフト(芯金)33と、このシャフト33の表面に形成された弾性層34と、弾性層34の表面に被覆された半導電性樹脂膜35とを有している。弾性層34は、例えば、シリコーンゴムやウレタンゴムなどの一般的なゴム材料で形成することができる。ここでは、弾性層34をシリコーンゴムで形成した。半導電性樹脂膜35は、トナー11への電荷付与性を考慮して、アクリル樹脂にカーボンブラック等を分散したものを用いた。
弾性層34のゴム硬度は、アスカーC硬度で50〜80°程度が適当であり、ここでは、アスカーC硬度60°とした。
現像ブレード6は、ステンレス(SUS)製であり、板厚は例えば0.08mmである。また、現像ブレード6の現像ローラ1との当接部には、曲げ加工が施されている。ここでは、曲げ部の曲率半径Rは0.18mmとし、現像ローラ1に対する線圧は35gf/cmとした。
現像ローラ1の表面粗さおよび抵抗値は、現像ブレード6の条件と共に、現像ローラ1上に形成されるトナー層厚、トナー帯電量を決定する要因となる。ここでは、現像ローラ1の表面の十点平均粗さRz(JIS B0601−1994)を2〜8μmとした。なお、表面粗さの測定は、小坂研究所製「サーフコーダSEF3500」で行った。測定器の触針半径は2μm、触針圧は0.7mN、触針の送り速さは0.1mm/secとした。
また、現像ローラ1の抵抗値は、弾性層34と半導電性樹脂膜35を含めた測定で、1×106〜1×109Ωの範囲が好ましい。図10は、現像ローラ1の抵抗値の測定方法を説明するための正面図(A)および側面図(B)である。現像ローラ1の抵抗値の測定装置36には、ヒューレット・パッカード株式会社製「ハイレジスタンスメータ(4339B)」を用いた。
現像ローラ1の表面(外周面)に、幅2.0mm、直径6.0mmのステンレス(SUS)製のボールベアリング37を20gfの力で接触させ、シャフト33とローラ表面(半導電性樹脂膜35)間の抵抗値を、測定装置36により測定した。ベアリング37は、現像ローラ1の軸方向の6箇所(図10(A)に示すP1からP6まで)に設け、現像ローラ1を50rpmの速度で回転させながら測定した。P1からP6まで、それぞれ1周100ポイント、合計600ポイントで測定を行い、その平均値をローラの抵抗値とした。また、このときの現像ローラ1への印加電圧は、100Vとした。
トナー供給ローラ2は、外径12.5mmのアルミニウム製のローラを用いた。トナー供給ローラ2の表面粗さ(十点平均粗さ)Rzが1μm以下となるよう表面加工を行うことにより、トナー供給ローラ2表面からのトナーの離形性(すなわち現像ローラ1へのトナーの移り易さ)を確保した。
補助供給ローラ10は、導電性を有するシャフト(芯金)の表面に、発泡体、具体的にはシリコーンゴムスポンジを設けたものである。シリコーンゴムスポンジは、未加硫のシリコーンゴムコンパウンドを押し出し等の方法で成形し、加熱により加硫発泡して得られる。
シリコーンゴムコンパウンドは、ジメチルシリコーン生ゴム、メチルフェニルシリコーン生ゴム等の各種生ゴムに、補強性シリカ充填剤、加硫硬化に必要な加硫剤および発泡剤を添加して得られる。発泡剤としては、重炭酸ナトリウム等の無機発泡剤、ADCA等の有機発泡剤が用いられる。また、半導電性を付与する場合は、アセチレンブラックやカーボンブラック等を添加する。
ここでは、補助供給ローラ10のセル目(発泡により生じた微細な孔)の直径は、200〜500μmであり、アスカーF硬度は50〜80度の範囲とした。補助供給ローラ10の硬度は、加硫剤の添加量により調整可能である。
補助供給ローラ10の抵抗値は、図10を参照して説明した測定方法で、印加電圧100Vに対して1×107〜1×1010Ωの範囲が望ましい。ここでは、1×109Ωとした。補助供給ローラ10の抵抗値が上記の範囲より低くなると、補助供給ローラ10とトナー供給ローラ2の間の電流値が大きくなり、所望の電圧を印加することが難しくなる。
また、補助供給ローラ10は、図1を参照して説明したように、トナー供給ローラ2と当接し、トナー供給ローラ2とは逆方向に回転するが、当接部での摩擦によりトナーにダメージを与えないよう、補助供給ローラ10およびトナー供給ローラ2は、互いの当接部において表面が略同じ速度で同方向に移動するように回転する。
ここで、「略同じ速度」とは、補助供給ローラ10とトナー供給ローラ2と当接部における、補助供給ローラ10の表面の移動速度V10と、トナー供給ローラ2の表面の移動速度V2との差(V10−V2)の絶対値が、V10の10%以内であることを言う。
また、トナー11のダメージとは、例えば、トナー母粒子からの外添剤の剥離またはトナー母粒子への外添剤の埋没等であり、トナー11の帯電性の低下や、粉体としての流動性の低下を生じる。
規制フィルム7は、図2(A)に示したように、導電性を有するフィルム7aの一端(固定端)を金属製の支持フレーム7bに貼り付け、フィルム7aの他端(自由端)をトナー供給ローラ2の表面に接触させている。
トナー供給ローラ2の回転方向において、トナー供給ローラ2とフィルム7aとの接触位置は、トナー供給ローラ2と補助供給ローラ10との接触部よりも下流側で、なお且つトナー供給ローラ2と現像ローラ1との対向部よりも上流側である。フィルム7aとしては、例えばウレタンフィルム、PETフィルム、PEフィルムなどのフィルム形状の樹脂にカーボンブラックなどの導電材を練り込んだもの、または、導電性を付与したウレタンゴム等を用いることができる。
フィルム7aは、補助供給ローラ10からトナー供給ローラ2上に供給されたトナー11の表面を均し、未帯電のまま現像ローラ1への供給部へ運ばれるのを防止する作用を有している。トナー11への摩擦によるダメージを極力小さくするために、フィルム7aをトナー供給ローラ2の表面に軽接触させて電圧を印加することにより、トナー11の帯電量および層厚さを制御している。
ここで、「軽接触」とは、フィルム7aをトナー供給ローラ2に接触させなかった場合に駆動モータ27にかかる駆動負荷トルクをTa、フィルム7aをトナー供給ローラ2に接触させた場合に駆動モータ27にかかる駆動負荷トルクをTbとしたとき、(Tb−Ta)がTaの5%以下であることを言う。この範囲であれば、摩擦によるトナー11へのダメージを抑制することができる。
ここでは、フィルム7aとして、株式会社栄和製の「ニューライトフィルムSCB」を用い、フィルム7aの厚みは0.39mmとした。また、トナー供給ローラ2とフィルム7aとの当接部での線圧は、約30gf/cmとした。この場合、(Tb−Ta)は、Taの4.8%程度(すなわち軽接触)であった。
図11は、トナー回収ローラ5の断面構造を示す図である。トナー回収ローラ5は、金属製のシャフト(芯金)5aと、このシャフト5aの表面に形成されたウレタンゴム等の発泡体層5bと、この発泡体層5bの表面に被覆されたニトリルゴム等の弾性層5cとを有している。弾性層5cの表面は、所定の表面粗さを有している。
ここでは、シャフト5aの外径を6mmとし、発泡体層5bの厚さを2mmとし、弾性層5cの厚さを1mmとした。シャフト5aと発泡体5bと弾性層5cとを含むトナー回収ローラ5の抵抗値は、上述した図10と同様の測定方法で、印加電圧100Vに対して1×107Ω・cm〜1×108Ω・cmとした。トナー回収ローラ5と現像ローラ1とのニップ量d3(図2(A))は、0.5mmとした。
トナー除去ブレード8は、厚さ2mm、抵抗値が1×106Ω・cm〜1×108Ω・cmのウレタンゴム製の弾性体8aを、金属製の固定板8bに固定して構成した。トナー回収ローラ5とトナー除去ブレード8とのニップ量d4は、0.5mmとした。
<画像形成装置の動作>
次に、図1〜図3および図7,8を参照して、本実施の形態の画像形成装置300の画像形成動作について説明する。
パーソナルコンピュータ等の上位装置50から印刷命令が入力されると、画像形成装置300の印刷制御部20は、駆動制御部27aを制御して駆動モータ27を駆動し、感光体ドラム3を図1に示す矢印方向に一定の周速度で回転させる。駆動モータ27の駆動力は、さらに駆動伝達部38(図3)により伝達され、現像ローラ1、トナー供給ローラ2、トナー回収ローラ5、補助供給ローラ10がそれぞれ矢印方向に回転する。
また、駆動モータ27の回転は駆動伝達部38および図示しないギア列を経て、攪拌部材13a,13b,13c,13dおよびトナー残量検知バー14に伝達される。これにより、攪拌部材13a,13b,13c,13dおよびトナー残量検知バー14は、図1に示す矢印方向に回転する。
帯電ローラ4は、帯電ローラ用電源4aから帯電電圧(直流)が印加され、感光体ドラム3の表面に圧接された状態で従動回転する。これにより、感光体ドラム3の表面が均一に帯電する。
次に、ヘッド駆動制御部15aの制御により、LEDヘッド15がイメージデータに基づいて光を出射し、感光体ドラム3の表面を露光して静電潜像を形成する。
感光体ドラム3の表面に形成された静電潜像は、現像ローラ1によりトナーで現像され、感光体ドラム3の表面にトナー像(現像剤像)が形成される。
一方、画像形成装置300の媒体収容部302から、搬送ローラ19a,19bにより媒体18が一枚ずつ搬送され、現像装置100の感光体ドラム3と転写ローラ16との間の転写部に到達する。
転写ローラ16は、転写ローラ用電源16aにより転写電圧が印加されており、感光体ドラム3の表面に形成されたトナー像が媒体18に転写される。
トナー像が転写された媒体18は、定着器17に搬送される。定着器17では、媒体18に熱および圧力が加えられ、トナー11が溶融して媒体18の繊維間に浸透し、定着される。トナー像が定着した媒体18は、搬送ローラ19cによって画像形成装置300の外部に送出され、スタッカ部19dに積載される。
また、トナー像が転写された後の感光体ドラム3の表面には、若干量のトナー11が残留する場合がある。この残留トナー11は、クリーニングブレード9によって書き取られ、除去される。このようにして感光体ドラム3は繰り返し利用される。
<現像装置の動作>
次に、図1および図2を参照して、現像装置100の動作を詳細に説明する。現像装置100のケーシング101の下部(現像剤保持部102)には、トナー補給部12から補給されたトナー11が堆積している。また、感光体ドラム3が回転すると、上述したように、現像ローラ1、トナー供給ローラ2、トナー回収ローラ5、補助供給ローラ10、攪拌部材13a,13b,13c,13dおよびトナー残量検知バー14が、それぞれ図1に示す矢印方向に回転する。
このとき、補助供給ローラ10は、そのスポンジ表面およびセル目内にトナーを担持して、ケーシング101の下部(現像剤保持部102)のトナーを汲み上げるように回転し、トナー供給ローラ2との当接部に搬送する。
トナー供給ローラ2には、トナー供給ローラ用電源2aにより、−300Vの直流バイアス電圧が印加され、さらに600V(ピークトゥピーク)の交流バイアス電圧が周波数2kHzの矩形波で印加されている。つまり、トナー供給ローラ2には、0Vから−600Vまでのバイアス電圧(交流+直流)が印加されている。
補助供給ローラ10には、トナー供給ローラ2から補助供給ローラ10に10μA程度の定電流が流れるように、補助供給ローラ用電源10aによって、実効値が−1kV〜−4kVとなるようなバイアス電圧が印加されている。
上記のように、トナー供給ローラ2から補助供給ローラ10に電流(定電流)が流れることにより、両ローラの当接部に位置するトナー11を通過するように、補助供給ローラ10からトナー供給ローラ2に向けて負電荷が移動する。
従って、トナー11は、電流が流れることによって帯電すると共に、補助供給ローラ10とトナー供給ローラ2との間の電界の作用および鏡像力によって、トナー供給ローラ2の表面に付着する。このときのトナー11が保持する電荷量(トナー帯電量)は、−4〜−7μC/g程度である。
トナー供給ローラ2の回転に従って、トナー供給ローラ2の表面に付着したトナー11は、規制フィルム(帯電補助部材)7との当接部に到達する。規制フィルム7がトナー供給ローラ2の表面に軽接触しているため、トナー供給ローラ2の表面には均一な厚さのトナー層が形成される。
また、規制フィルム7には、規制フィルム用電源7cより、トナー供給ローラ2との電位差が−300Vとなるように、トナー供給ローラ2の交流電圧に同期したバイアス電圧が印加されている。この電位差により、トナー供給ローラ2と規制フィルム7との間に電流が流れ、トナー11は、摩擦に因らずに電流の効果でさらに帯電される。トナー供給ローラ2と規制フィルム7との当接部を通過した後には、トナー11の帯電量は−7〜−13μC/g程度となる。
さらに、トナー供給ローラ2の回転に伴って、トナー供給ローラ2の表面に付着したトナー11は、現像ローラ1との対向部に到達する。現像ローラ1および現像ブレード6には、現像ローラ用電源1aにより直流バイアス電圧−200Vが印加されている。従って、トナー供給ローラ2と現像ローラ1との間の電界は、+200vから−400Vまでの振動電界となる。この振動電界により、トナー供給ローラ2の表面のトナー11は、現像ローラ1に向けて移動(飛翔)する。
現像ローラ1の表面に付着したトナーは、現像ローラ1の回転に従い、現像ブレード6により薄層化された後、静電潜像が形成された感光体ドラム3の表面に付着して、静電潜像を現像する。
一方、現像ブレード6により現像ローラ1上で薄層化されたトナーのうち、静電潜像の現像に用いられずに現像ローラ1上に残ったトナー11は、現像ローラ1の回転に従って、現像ローラ1とトナー回収ローラ5とのニップ部、すなわちトナー回収領域(現像剤回収領域)に到達する。
トナー回収ローラ5には、トナー回収ローラ用電源5aにより直流バイアス電圧−100Vが印加されている。現像ローラ1上のトナー11は、トナー回収領域を通過する際に、現像ローラ1とトナー回収ローラ5との間に電位差によって生じる電界により、トナー回収ローラ5の表面に移動して回収される。
トナー回収ローラ5と現像ローラ1とは、トナー11にダメージを与えないよう、互いの当接部において表面が略同じ速度で同方向に移動するように回転する。ここで、「略同じ速度」とは、当接部におけるトナー回収ローラ5の表面の移動速度V5と、現像ローラ1の表面の移動速度V1との差(V5−V1)の絶対値が、V5の10%以下であることを言う。
トナー回収ローラ5の表面に保持されたトナー11は、トナー除去ブレード8と接触し、トナー回収ローラ5の表面から掻き落とされる。トナー回収ローラ5の表面から掻き落とされたトナー11は、自重で撹拌部材13aの近傍に落下する。さらに、撹拌部材13a,13bおよび補助供給ローラ10の回転によって攪拌・搬送され、再利用される。
<現像装置の作用>
次に、図12を参照して、トナー供給ローラ2の回転方向について説明する。本実施の形態では、上述したように、現像ローラ1およびトナー供給ローラ2は、互いの対向部において表面の移動方向が同じ方向(α方向)になるように回転する。
現像ブレード6によって現像ローラ1の表面から掻き落されたトナー11が、トナー供給ローラ2と現像ローラ1の対向部(すなわちトナー11が飛翔して現像ローラ1に付着する領域)に侵入することを防止できる。
すなわち、現像ブレード6によって掻き落とされたトナー11がトナー供給ローラ2と現像ローラ1との対向部に侵入すると、電界によるトナー11の飛翔を妨げる可能性があり、現像ローラ1に付着するトナー11の量にムラができ、印刷画像上の濃度ムラやカスレの原因となる。これに対し、本実施の形態では、現像ブレード6により掻き落されたトナー11がトナー供給ローラ2の表面上に落下しても、そのトナー11はトナー供給ローラ2と現像ローラ1との対向部から離れる方向に搬送されるため、トナー11の飛翔を妨げることがない。
また、上述したように、トナー供給ローラ2および補助供給ローラ10は、ニップ部において表面の移動方向が同じ方向(β方向)になるように回転する。そのため、当該ニップ部のβ方向上流側のトナー11を効率よくニップ部に議導して、帯電を付与することができる。また、トナー供給ローラ2および補助供給ローラ10のニップ部において、表面の移動速度が略同じ(速度差が±10%以内)であるため、トナー11に対するダメージを抑制することができる。
上述したトナー補給部12(図1)からのトナー補給位置は、現像ローラ1とトナー供給ローラ2との対向部に対して、α方向の下流側に位置している。また、上述したトナー回収ローラ5およびトナー除去ブレード8は、現像ローラ1とトナー供給ローラ2との対向部に対して、α方向の上流側に位置している。
このような配置により、トナー補給部12から補給されたトナー11がそのままトナー供給ローラ2から現像ローラ1に供給されるのではなく、トナー供給ローラ2と補助供給ローラ10とのニップ部、およびトナー供給ローラ2と規制フィルム7との当接部とを経由して現像ローラ1に供給される。
また、上述したトナー補給部12(図1)からのトナー補給位置は、トナー供給ローラ2および補助供給ローラ10のニップ部に対して、β方向の上流側に位置している。また、上述したトナー回収ローラ5およびトナー除去ブレード8は、トナー供給ローラ2および補助供給ローラ10のニップ部に対して、β方向の下流側に位置している。
このような配置により、トナー補給部12から補給されたトナー11は、トナー供給ローラ2と補助供給ローラ10とのニップ部を通過した後、(現像ローラ1からトナー回収ローラ5で回収された)回収トナーと混合されるため、帯電むらを抑えることができる。
また、トナー補給部12から補給されたトナー11を、補助供給ローラ10の回転(図1における時計回り)により、トナー供給ローラ2と補助供給ローラ10とのニップ部に円滑に誘導することができる。そのため、トナー補給部12から補給されたトナー11がトナー供給ローラ2と補助供給ローラ10とのニップ部を通過せずに回収領域(トナー回収ローラ5が配置された領域)に移動することが少なくなる。
さらに、トナー供給ローラ2の表面と補助供給ローラ10の表面の移動方向(β方向)が同じであるため、トナー供給ローラ2と補助供給ローラ10とのニップ部にトナー11を誘導しやすく、これにより、未帯電あるいは帯電が不十分なトナー11が現像ローラ1に供給されることを防止することができる。
また、トナー回収ローラ5で回収されたトナー11(回収トナー)は、現像剤保持部102(図1)内のトナーと混合されてからトナー供給ローラ2に付着して現像ローラ1に付着する。回収トナーは既に帯電されているため、トナー供給ローラ2と補助供給ローラ10とのニップ部に案内されると過剰帯電される可能性があるが、トナー供給ローラ2と補助供給ローラ10とのニップ部に対してトナー回収ローラ5がβ方向下流側にあるため、回収トナーは当該ニップ部に到達しにくい。これによりトナー11の過剰帯電を防止することができる。
また、図12に示したように、現像ローラ1とトナー供給ローラ2との対向部において、両ローラの表面の移動方向(α方向)が同じであり、当該対向部のα方向下流側に層規制部材として現像ブレード6が配置されている。これにより、以下の作用効果が得られる。
すなわち、現像ブレード6は、現像ローラ1上の帯電量の少ないトナー11を掻き落とすため、現像ローラ1上に残留するトナーと比較して、掻き落とされるトナー11の帯電量は不十分である場合が多い。そこで、掻き落とされたトナー11を、現像ローラ1とトナー供給ローラ2との対向部よりもα方向下流側のトナー供給ローラ2の表面に付着させることで、当該トナー11を、トナー供給ローラ2と補助供給ローラ10との対向部およびトナー供給ローラ2と規制フィルム7との対向部で十分に帯電させてから、現像ローラ1に搬送することができる。これにより、現像ローラ1に供給するトナー11の帯電量を均一化することができる。
なお、この作用効果は、現像ローラ1とトナー供給ローラ2とを離間した配置した場合だけでなく、現像ローラ1とトナー供給ローラ2とを当接させて配置した場合(後述する第2の実施の形態)も同様である。
また、図12に示したように、現像ブレード6と現像ローラ1との接触位置が、トナー供給ローラ2の最も高い位置を通る鉛直線Aよりも、トナー供給ローラ2の回転方向の下流側(矢印Bで示す方向)にあることが望ましい。
<トナーレベル制御>
次に、現像装置100のケーシング101内のトナーレベル(トナー11の上面レベル)の制御について、図13から図16を用いて説明する。
上述したように、本実施の形態における現像装置100では、補助供給ローラ10とトナー供給ローラ2との当接部およびトナー供給ローラ2と規制フィルム7との当接部で(トナー11を流れる電流により)トナー11を効率よく帯電させ、且つ現像ローラ1にスムースに移動させるためには、ケーシング101の下部(現像剤保持部102)に堆積したトナー11が、現像ローラ1とトナー供給ローラ2との対向部、および規制フィルム7とトナー供給ローラ2との当接部に到達せず、且つ、補助供給ローラ10がトナー11に十分に浸かっていることが望ましい。
そこで、本実施の形態では、ケーシング101内のトナーレベル11aを、現像ローラ1とトナー供給ローラ2との対向部、および規制フィルム7とトナー供給ローラ2との当接部よりも下方で、且つ、補助供給ローラ10の回転中心以上となるように制御する。そのため、トナー残量検知バー14の回転中心を、図1に符号Hで示す範囲内に設ける。
なお、トナーレベル11aを、補助供給ローラ10の回転中心以上の高さとなるようにするのは、補助供給ローラ10が、自身の回転によりケーシング101内のトナー11を担持しやすくするためである。
図13は、トナーレベル11aがトナー残量検知バー14の回転軌跡の頂点14Tより高い位置にある状態を示す模式図である。この状態では、トナー残量検知バー14の回転軌跡の全体がトナー11に理まっている。そのため、トナー残量検知バー14は、その半径部14bがギア28の当接部28aに当接付勢されることにより回転する。すなわち、トナー残量検知バー14はギア28と同じ回転速度で回転する。
図14は、トナーレベル11aがトナー残量検知バー14の回転中心より低い位置にある状態を示す模式図である。この状態では、トナー残量検知バー14の回転軌跡の頂点14Tを含む一定の領域にはトナー11が存在しない。そのため、トナー残量検知バー14は、ギア28の回転によって回転軌跡の頂点14Tに達すると、自重で(ギア28の当接部28aから離れて)落下し、トナーレベル11aの高さでトナー11からの抵抗力を受けて回転を停止する。そして、一定速度で回転するギア28の当接部28aがトナー残量検知バー14の半径部14bに追い付き、当接することで、トナー残量検知バー14はギア28と同じ回転速度で回転を再開する。
図15に、トナーレベル11aと、反射板29が回転軌跡の頂点29Tと底29Bとの中間点29M(図6)を通過するときの受光素子31による反射光31aの受光時間Tの関係を示す。なお、反射板29の回転軌跡の頂点29Tと底29Bとの中間点29Mは、トナー残量検知バー14の回転軌跡の頂点14Tと底14Bとの中間点14M(図14)、すなわちトナー残量検知バー14の回転中心に対応している。
トナーレベル11aが、反射板29の回転軌跡における中間点29Mより高い場合には、反射板29が中間点29Mを(底29Bに向けて)通過する速度は、ギア28の回転速度と一致している。このときに、受光素子31が反射光31aを受光する時間(受光時間)をT1とする。
一方、トナーレベル11aが、反射板29の回転軌跡における中間点29Mより低い場合には、中間点29Mを反射板29が通過する速度は、トナー残量検知バー14が自重で落下する速度になるため、ギア28の回転速度より速い。従って、このときの受光素子31による反射光31aの受光時間をT2とすると、T1とT2の関係は、T1>T2となる。
従って、受光素子31による反射光31aの受光時間を計測することにより、トナーレベル11aが、反射板29の回転軌跡における中間点29Mよりも高いか否か(すなわちトナー残量検知バー14の回転中心よりも高いか否か)を判断することができる。
図16は、トナーレベル制御を示すフローチャートである。画像形成装置300の印刷制御部20は、画像形成動作(印刷動作)において現像装置100の駆動を開始すると(ステップS1)、タイマ32による受光素子31の受光時間Tを取得し(ステップS2)、受光時間Tが上記のT2よりも長いか否かを判断する(ステップS3)。
受光時間Tが上記のT2よりも長いと判断した場合には(ステップS3でYES)、トナー補給部12のシャッタ12aを閉じたまま現像装置100の駆動を継続する。この場合には、トナーレベル11aがトナー残量検知バー14の回転中心よりも高い位置にあり、ケーシング101内に十分な量のトナー11が存在するためである。
一方、受光素子31の受光時間TがT2以下である場合(ステップS3でNO)、ケーシング101内のトナー11の残量が少ないと判断し、トナー補給部12のシャッタ12aを開いて、トナー補給部12からケーシング101内にトナー11を補給する(ステップS4)。
さらに、印刷制御部20は、タイマ32により受光素子31の受光時間Tを取得し(ステップS5)、受光時間Tが上記のT2よりも長いか否かを判断する(ステップS6)。受光素子31の受光時間TがT2以下である場合には(ステップS6でNO)、トナー補給部12のシャッタ12aを開いたままとし、トナー補給を続ける。一方、受光素子31の受光時間TがT2より長い場合には(ステップS6でYES)、トナー補給部12のシャッタ12aを閉じる(ステップS7)。
このようなトナー残量検知およびトナー補給により、現像器100内のトナーレベル11aが、現像ローラ1とトナー供給ローラ2との対向部、および規制フィルム7とトナー供給ローラ2との当接部よりも低く、かつ、補助供給ローラ10の回転中心よりも上方にあるように保たれる。
<印刷試験>
次に、以上のように構成された現像装置100を用いた画像形成装置300による印刷試験について説明する。
ここでは、温度23℃、相対湿度50%の環境下において、媒体18に白紙パターンを連続して印刷した。このように白紙パターンの連続印刷試験を行ったのは、感光体ドラム3側にトナー11を移動させずに、現像装置100内の現像ローラ1、トナー供給ローラ2、補助供給ローラ10、規制フィルム7、トナー回収ローラ5等によってトナー11に継続的に摩擦を与えるためである。
そして、連続印刷の結果、トナー11が継続的に摩擦を受けることを原因とする、トナー母粒子からの外添剤の剥離またはトナー母粒子への外添剤が埋没等(トナーダメージ)による帯電性の低下や、紛体としての流動性の低下によるトナー供給性の低下によって生じるカブリおよびカスレの発生状態を評価した。
カブリの評価は、以下のようにして行った。すなわち、白紙パターンの印刷の途中で画像形成装置300の動作を停止し、感光体ドラム3の表面の現像後転写前の位置(すなわち現像ローラ1に対向する位置と、転写ローラ16に対向する位置との間)のトナー11を、粘着テープ(住友スリーエム株式会社製「スコッチメンディングテープ」)に付着させた。この粘着テープを感光体ドラム3から剥がして、印刷用紙に貼り付けた。
そして、これとは別に、感光体ドラム3に貼り付けていない同種の粘着テープを印刷用紙に貼り付け、両粘着テープの色差△Eを、分光測色計(コニカミノルタ製CM2600d)により測定した。色差△Eが小さいほど、カブリが少ないことを示す。
カスレの評価は、上記の白紙パターンの連続印刷試験の後、黒色のベタ画像(100%DUTY)を印刷し、印刷画像を観察することにより行った。
具体的には、ベタ画像にカスレの発生が見られない場合をレベル10とし、ベタ画像においてカスレの占める割合が2%未満の場合をレベル9とし、2%以上4%未満の場合をレベル8とした。同様に、ベタ画像においてカスレの占める割合が4%以上6%未満の場合をレベル7とし、6%以上8%未満の場合をレベル6というように、2%毎にレベルが1段階下がるようにした。
本実施の形態の現像装置100と対比するため、図17に示す比較例の現像装置400を用いた。
図17に示す比較例の現像装置400が、本実施の形態の現像装置100と異なる点は、以下の3点である。(1)現像ローラ401とトナー供給ローラ402とが互いに当接している。(2)トナー供給ローラ402と帯電補助部材としての帯電ブレード407とが、摩擦帯電を目的として互いに当接している。(3)現像ローラ401、トナー供給ローラ402および補助供給ローラ410の回転方向が同方向であり、それぞれの当接部における表面の移動方向が互いに逆方向である。
図18は、本実施の形態における現像装置100および比較例の現像装置400をそれぞれ画像形成装置300に搭載して、22,000枚(一般的な現像装置の寿命)まで、1日に4,400枚ずつ連続印刷を行ったときのカブリの評価結果を示す図である。
ここでは、1日4,400枚ずつの連続印刷において、2,200枚の印刷が完了した時点でカブリを測定し、4,400枚の印刷が完了した時点で再びカブリを測定した。これを5日間繰り返した。
図19は、本実施の形態における現像装置100および比較例の現像装置400をそれぞれ画像形成装置300に搭載して同様に(22,000枚まで、1日に4,400枚ずつ)連続印刷を行ったときのカスレの評価結果を示す図である。
ここでは、1日4,400枚ずつの連続印刷において、2,200枚の印刷が完了した時点でベタパターンを印刷してカスレを測定し、4,400枚の印刷が完了した時点で再びベタパターンを印刷してカスレを測定した。これを5日間繰り返した。
また、1日の印刷枚数(4,400枚)に達した時点で画像形成装置300を停止し、約15時間放置した後に、次の(翌日の)連続印刷を開始することとした。
図18および図19の結果から、本実施の形態における現像装置100を用いた場合、比較例の現像装置400を用いた場合と比較して、カブリおよびカスレが抑制されていることが分かる。すなわち、本実施の形態における現像装置100では、トナーダメージによるトナー11の帯電性の低下や供給性の低下が抑制されていることが分かる。
このような結果が得られた理由は、以下のように考えられる。すなわち、比較例の現像装置400では、現像ローラ401に当接するトナー供給ローラ402を用いて現像ローラ401にトナー11を供給し、また、トナー11に積極的に摩擦を生じさせて帯電させているため、トナーダメージが増加しやすい。
これに対し、本実施の形態の現像装置100では、現像ローラ1に非接触で対向配置されたトナー供給ローラ2を用いて現像ローラ1にトナー11を供給しており、また、現像ローラ1およびトナー供給ローラ2の対向部における表面の移動方向を同じ方向とし、摩擦帯電ではなく、両ローラの対向部でトナー11に電流が流れるようにすることでトナー11を帯電させているため、トナーダメージを抑制できたと考えられる。
以上説明したように、この発明の第1の実施の形態によれば、現像ローラ1と非接触で配置されたトナー供給ローラ2を用いて現像ローラ1にトナー11を供給し、また、現像ローラ1およびトナー供給ローラ2の対向部における表面の移動方向を同じ方向としたため、トナーダメージを抑制し、画像品質の劣化(カブリやカスレ等)を抑制することが可能である。その結果、連続印刷時における画像品質の低下を防止することができる。
第2の実施の形態.
<現像装置の構成>
図20は、第2の実施の形態における現像装置500を示す断面図である。図21は、第2の実施の形態における現像装置500の各ローラ間のニップ量を説明するための模式図である。第2の実施の形態の現像装置500が、第1の実施の形態の現像装置100の構成と相違する点は、トナー供給ローラ502の構成および配置である。
図22は、第2の実施の形態におけるトナー供給ローラ502の断面構成を示す図である。第2の実施の形態におけるトナー供給ローラ502は、例えば金属製のシャフト(芯金)502aの表面に、ウレタンゴム等の発泡体層502bを形成し、さらに発泡体層502bの表面をニトリルゴム等の弾性層502cで被覆したものである。ここでは、シャフト502aの外径を6mmとし、発泡体層502bの厚さを3mmとし、弾性層502cの厚さを1mmとする。
また、図21に示すように、トナー供給ローラ502は、現像ローラ1に対して所定のニップ量d501で当接するように設けられている。ここでは、ニップ量d501を0.5mmとする。
シャフト502aと発泡体502bと弾性層502cとを含むトナー供給ローラ502の抵抗値は、図10を参照して説明した測定方法で、印加電圧100Vに対して1×106〜1×109Ωの範囲が望ましい。
第2の実施の形態における補助供給ローラ510は、第1の実施の形態における補助供給ローラ10よりも小さい抵抗値を有する。これは、第2の実施の形態におけるトナー供給ローラ502が、第1の実施の形態におけるトナー供給ローラ2(例えばアルミニウム製のローラ)よりも大きな抵抗を有することを考慮したものである。
具体的には、補助供給ローラ510の抵抗値は、トナー供給ローラ502の抵抗値と同等の桁数であることが望ましい。より具体的には、図10を参照して説明した測定方法で、印加電圧100Vに対して1×106〜1×109Ωの範囲が望ましく、ここでは1×108Ωとする。
補助供給ローラ510とトナー供給ローラ502とは、所定のニップ量d505で互いに当接している。ここでは、d505=0.5mmとする。
トナー供給ローラ502および現像ローラ1は、互いの当接部において表面が略同じ速度で同方向に移動する。なお、「略同じ速度」とは、当接部におけるトナー供給ローラ502の表面の移動速度V502と、現像ローラ1の表面の移動速度V1との差(V502−V1)の絶対値が、V502の10%以下であることを言う。
また、補助供給ローラ510はトナー供給ローラ502と当接するが、トナーダメージを抑えるため、補助供給ローラ510およびトナー供給ローラ502は、互いの当接部において表面が略同じ速度で同方向に移動する。なお、略同じ速度とは、当接部におけるトナー供給ローラ502の表面の移動速度V502と、補助供給ローラ510の表面の移動速度V510との差(V502−V510)の絶対値が、V502の10%以下であることを言う。
第2の実施の形態における現像装置500および画像形成装置の他の構成は、実施の形態1における現像装置および画像形成装置と同様である。
<現像装置の動作>
次に、現像装置500の動作について説明する。現像装置500のケーシング101の下部(現像剤保持部102)には、トナー補給部12から補給されたトナーが堆積している。また、感光体ドラム3が回転すると、上述した駆動伝達部38により、現像ローラ1、トナー供給ローラ502、トナー回収ローラ5、補助供給ローラ510、攪拌部材13a,13b,13c,13dおよびトナー残量検知バー14が、それぞれ図1に示す矢印方向に回転する。
このとき、補助供給ローラ510は、そのスポンジ表面およびセル目内にトナーを担持して、ケーシング101の下部(現像剤保持部102)のトナーを汲み上げるように回転し、トナー供給ローラ502との当接部に搬送する。
トナー供給ローラ502には、トナー供給ローラ用電源2aにより、−600Vの直流バイアス電圧が印加されている。補助供給ローラ510には、補助供給ローラ用電源10aにより、トナー供給ローラ502から補助供給ローラ510に向かって10μA程度の定電流が流れるように、−1kV〜−4kVのバイアス電圧(直流電圧)が印加されている。
このように、トナー供給ローラ502から補助供給ローラ510に電流(定電流)が流れるため、両ローラの当接部に位置するトナー11を通過するように、補助供給ローラ510からトナー供給ローラ502に向かって負電荷が移動する。トナー11は、電流が流れることによって帯電すると共に、補助供給ローラ510とトナー供給ローラ502との間の電界の作用および鏡像力によって、トナー供給ローラ502の表面に付着する。このときのトナー11が保持する電荷量(トナー帯電量)は、−4〜−7μc/g程度である。
トナー供給ローラ502の回転に従って、トナー供給ローラ502の表面に付着したトナー11は、規制フィルム(帯電補助部材)7との当接部に到達する。規制フィルム7がトナー供給ローラ502の表面に軽接触しているため、トナー供給ローラ502の表面には均一な厚さのトナー層が形成される。
また、規制フィルム7には、規制フィルム用電源7cより、トナー供給ローラ502との電位差が−600Vとなるように、バイアス電圧が印加されている。この電位差により、トナー供給ローラ502と規制フィルム7との間に電流が流れ、トナー11は、摩擦に因らずに電流の効果でさらに帯電される。トナー供給ローラ502と規制フィルム7との当接部を通過した後には、トナー11の帯電量は−7〜−13μC/g程度となる。
さらに、トナー供給ローラ502の回転に伴って、トナー供給ローラ502の表面に付着したトナー11は、現像ローラ1との当接部(ニップ部)に到達する。現像ローラ1および現像ブレード6には、現像ローラ用電源1aにより直流バイアス電圧−200Vが印加されており、トナー供給ローラ2と現像ローラ1との間には−400Vの電界が形成されている。これにより、トナー供給ローラ2の表面のトナー11は、現像ローラ1に付着する。
現像ローラ1の表面に付着したトナー11は、現像ローラ1の回転に従い、現像ブレード6により薄層化された後、静電潜像が形成された感光体ドラム3の表面に付着して、静電潜像を現像する。現像ブレード6によるトナーの薄層化、およびトナー回収ローラ5による現像ローラ1の表面のトナーの回収については、第1の実施の形態で説明したとおりである。
この第2の実施の形態では、トナー供給ローラ502および現像ローラ1が、互いの当接部において、表面が同一方向に略同じ速度(速度差を±10%以下)で移動するように回転する。そのため、現像ローラ1とトナー供給ローラ502の当接部において、トナー11の摩擦によるダメージを抑制することができる。
また、第1の実施の形態でも説明したように、現像ブレード6によって現像ローラ1から掻き落されたトナー11がトナー供給ローラ502の表面に落下したとしても、当該トナー11は、トナー供給ローラ502と現像ローラ1との当接部から離れる方向に移動し、当該当接部に入り込むことがない。
さらに、この第2の実施の形態では、トナー供給ローラ502が現像ローラ1に当接しているため、トナー供給ローラ502と現像ローラ1との間で意図しない放電が起こることがない。
<印刷試験>
次に、以上のように構成された現像装置500を用いた画像形成装置による印刷試験について説明する。印刷試験および画像品質(カブリおよびカスレ)の評価方法は、第1の実施の形態で説明したとおりである。
図23および図24は、この第2の実施の形態における現像装置500と、第1の実施の形態における現像装置100を画像形成装置300に搭載し、22,000枚の連続印刷を行った場合のカブリおよびカスレの評価結果を示した図である。
印刷条件は、第1の実施の形態で説明したとおりである。1日の連続印刷枚数は4,400枚とし、1日の印刷枚数に達した時点で画像形成装置を停止し、約15時間放置した後に、次の(翌日の)連続印刷を開始した。
図23および図24に示した結果から、この第2の実施の形態の現像装置500を用いた場合、カブリの評価結果(図23)は第1の実施の形態に比べて若干劣るものの、カスレの評価結果(図24)は第1の実施の形態とほぼ同等であることが分かる。
また、同様の連続印刷試験を、低温低湿環境(温度10℃、相対湿度20%)で行い、同様にしてカブリとカスレの変化を評価した。具体的には、画像形成装置を低温低湿環境(温度10℃、相対湿度20%)で48時間以上保管した後に、1日に4,400枚の連続印刷を、22,000枚まで行った。
図25および図26は、低温低湿環境での連続印刷試験におけるカブリおよびカスレの評価結果を示した図である。カブリおよびカスレの評価結果は、上述したとおりである。
また、画像品質として、カブリおよびカスレの他に、汚れの評価も行った。具体的には、1日に4,400枚の連続印刷試験を行い、そのうち、0枚、2,200枚、4,400の時点で印刷動作を停止し、白紙画像および2by2と呼ばれる25%DUTYのハーフトーン画像を形成した。そして、白紙画像およびハーフトーン画像を観察し、白地部分(画像を形成する部分以外の部分)にトナーが付着する汚れの発生の有無を確認した。図27に、その結果を示す。
なお、2by2パターンは、図28に示すように、縦方向4ドットおよび横方向4ドットで形成される16マスのうち、縦方向2ドットおよび横方向2ドットで形成される4マスのドットを形成するものである。
「汚れ」とは、カブリ(媒体の表面にトナー11がかすかに一様に付着する現象)ではなく、色差計を用いるまでもなく、トナー11が白地に付着していることが明らかな状態を指す。これは、現像ローラ1上に多量のトナー11が供給された場合など、現像ローラ1上のトナー層電位が高くなった場合に、感光体ドラム3上の現像予定部分でないところにトナーが付着して生じる。
図25から、カブリについては、第1の実施の形態と第2の実施の形態とで、ほぼ同等の結果が得られていることが分かる。一方、図26から、カスレについては、第1の実施の形態と比較して、第2の実施の形態の方が、4,400枚(1日分)を印刷し終わった時点で良い結果が得られていることが分かる。
また、図27から、第1の実施の形態では4,400枚(1日分)を印刷した時点で汚れが発生する場合があるが、第2の実施の形態では、汚れの発生は見られない。つまり、低温低湿環境で連続印刷を行った場合の画像品質の安定性については、第2の実施の形態の方が優れていることが分かる。
ここで、 図23から図27までの評価結果について考察する。まず、図23に示したように、温度23℃、相対湿度50%の環境下でのカブリの評価結果については、第2の実施の形態は第1の実施の形態よりも若干劣っている。これは、以下のように考えられる。
すなわち、第1の実施の形態では、トナー供給ローラ2と現像ローラ1が非接触であるため、現像ローラ1に付着するトナー11は、電界の作用で飛翔して供給されたトナー11のみとなり、従って正規の帯電量を有するもののみとなる。すなわち、カブリの原因となる異常帯電トナー(非正規の帯電量を有するトナー)が現像ローラ1に付着することがない。これに対し、第2の実施の形態では、トナー供給ローラ502が現像ローラ1と接触しているため、現像ローラ1に付着するトナー11には、若干ながら異常帯電のものも含まれ、これがカブリの原因となったと考えられる。但し、比較例の現像装置(図17)のようにトナー11に摩擦によるダメージを与える構成ではないため、カブリの発生が時間と共に増加することはない。
次に、図26および図27の結果について説明する。低温低湿環境下(温度10℃、相対湿度20%)では、一度帯電したトナー11の帯電電荷は自然放電によって抜けにくいため、連続印刷を行うにつれて、帯電したトナー11が現像装置内に徐々に蓄積されていく。このトナー11の影響で、現像装置内でトナー11が静電凝集を起こし、トナー11の流動性が低下する場合がある。
この場合、現像ローラ1に非接触でトナー11を供給する第1の実施形態では、トナー11の流動性の低下に伴って、トナー11を飛翔させて供給する能力が低下するため、カスレが発生しやすくなる。これに対し、第2の実施の形態では、現像ローラ1に対して接触によりトナー11を供給するため、トナー11の流動性が低下した場合であっても、トナー11の供給能力の低下を抑制することができる。そのため、カスレが生じにくくなったと考えられる。
また、静電凝集したトナー11の塊が現像ローラ1に供給されると、局所的にトナー層が厚くなってトナー層電位が高くなるため、媒体の表面に汚れが発生する原因となる。この第2の実施の形態では、現像ローラ1にトナー11が供給される際に、トナー11の塊がトナー供給ローラ502と現像ローラ1とに挟まれて崩されるため、汚れの発生を防止することができる。これらの理由から、特に低温低湿環境での連続印刷において、安定した画像品質を得ることが可能となる。
以上のように、本発明の第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態で説明した効果に加えて、さらに、低温低湿環境下における連続印刷においても、安定した画像品質を得ることができるという効果が得られる。
上記の各実施の形態では、図1および図20に示したように一つの現像装置を備えた画像形成装置について説明したが、複数の現像装置を備えたカラーの画像形成装置に適用することもできる。
また、各実施の形態では、現像ローラ1とトナー供給ローラ2とが、互いの対向部において表面が同じ方向に移動するように回転すると説明したが、現像ローラ1とトナー供給ローラ2との対向部において、現像ローラ1の表面とトナー供給ローラ2の表面とが同じ方向に移動する構成であればよい。
また、本発明は、例えば、プリンタ、MFP(Multi−Function Peripheral)、ファクシミリおよび複写機等の画像形成装置に適用することができる。