JP3409232B2 - 導電性樹脂成形体とその製造方法 - Google Patents

導電性樹脂成形体とその製造方法

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JP3409232B2
JP3409232B2 JP34044195A JP34044195A JP3409232B2 JP 3409232 B2 JP3409232 B2 JP 3409232B2 JP 34044195 A JP34044195 A JP 34044195A JP 34044195 A JP34044195 A JP 34044195A JP 3409232 B2 JP3409232 B2 JP 3409232B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、絶縁性のマトリッ
クス高分子材料と共に、ポリアニリンと導電性充填材と
を含む導電性樹脂成形体に関する。このような導電性樹
脂成形体は、例えば、画像成形装置部品、静電吸着フィ
ルム、帯電防止材、電子デバイス等において、好適に用
いることができる。
【0002】
【従来の技術】電子写真装置部品の感光体や中間転写ベ
ルトでは、導電性として、108 〜1014Ω/□、特
に、1010〜1012Ω/□の範囲の表面抵抗値が要求さ
れる。そこで、従来、絶縁性の高分子材料を上記のよう
に導電性とする方法として、カーボン、カーボン繊維、
グラファイト、金属粒子、金属酸化物粒子等の導電性充
填材を高分子材料中に分散させる方法が知られている。
【0003】しかしながら、このように、導電性充填材
を高分子材料中に分散させ、これを成形して得られる導
電性樹脂成形体は、その体積抵抗率や表面抵抗等の電気
抵抗が成形体における導電性充填材の分散状態に大きく
依存するので、所要の電気特性を精度及び再現性共によ
く、しかも、成形体全体にわたって均一に与えることが
困難である。例えば、導電性充填材の配合量を僅かに変
化させるだけで、得られる成形体における表面抵抗等の
電気抵抗が大幅に変化するので、成形体に目的とする所
要の電気抵抗を精度及び再現性よく制御して付与するこ
とが困難であり、また、成形体の全体にわたって電気抵
抗を均一にすることも困難である。
【0004】他方、導電性ポリアニリンを他の高分子材
料と複合させて、導電性樹脂とする方法も既に知られて
いる(特開平4−63865号公報、特開平5−262
991号公報等) 。この方法によれば、導電性充填材を
高分子材料中に分散させる方法に比べて、所要の体積抵
抗率や表面抵抗等、電気抵抗を精度及び再現性共によく
得ることができ、且つ、成形体全体にわたって均一とす
ることができる。しかし、ポリアニリンは、そのドーピ
ング状態で自身の導電性が大きく変化するので、環境の
湿度(水分)によって、成形体の体積抵抗率や表面抵抗
が大きく変動する問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の導電
性樹脂成形体における上述したような問題を解決するた
めになされたものであって、所要の体積抵抗率や表面抵
抗を精度及び再現性共によく制御しつつ、しかも、成形
体全体にわたって均一に与えることができ、更に、その
ような電気抵抗が周囲の環境の湿度(水分)によって実
質的に変動することがない導電性樹脂成形体を提供する
ことを目的とする。特に、本発明によれば、表面抵抗が
108 〜1014Ω/□の範囲にある上述したような導電
性樹脂成形体を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明による導電性樹脂
成形体は、ポリアニリン及び導電性充填材と共に絶縁性
のマトリックス高分子材料を含むことを特徴とする。一
般に、ポリアニリンは、ドーピングによって高い導電性
を有するが、脱ドープ状態においても、通常の高分子材
料よりも電気抵抗値が低いので、本発明に従って、樹脂
成分が絶縁性のマトリックス高分子材料とポリアニリン
との混合物からなる導電性樹脂成形体においては、樹脂
成分がマトリックス高分子材料単独よりも低い電気抵抗
値を有し、かくして、本発明によれば、絶縁性マトリッ
クス高分子材料単独に導電性充填材を導入する場合に比
べて、体積抵抗率及び表面抵抗を精度及び再現性共によ
く制御して、しかも、成形体の全体にわたって均一に与
えることができる。更に、本発明による樹脂成形体の有
する導電性は、導電性充填材に基づくので、環境の湿度
(水分)による電気抵抗値の変動も殆どない。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明において用いる絶縁性マト
リックス高分子材料は、特に、限定されるものではな
く、熱可塑性樹脂でもよく、熱硬化性樹脂でもよく、ま
た、ポリアニリンも、特に限定されるものではないが、
しかし、成形体の製造の容易性の観点からは、いずれ
も、適宜の有機溶剤に可溶性であることが望ましい。適
宜の有機溶剤にマトリックス高分子材料とポリアニリン
を溶解し、得られた溶液を加熱等し、溶剤を除去するこ
とによって、マトリックス高分子材料とポリアニリンと
の均一な混合物を容易に得ることができるからである。
また、導電性充填材をこのマトリックス高分子材料とポ
リアニリンとを溶解させた溶液中に分散させ、この溶液
から加熱等によって溶剤を除去することで、マトリック
ス高分子材料、ポリアニリン及び導電性充填材とからな
る樹脂成形体を容易に得ることもできる。
【0008】マトリックス高分子材料が不溶不融である
ときは、その前駆体が溶剤に可溶性であることが望まし
い。そのようなマトリックス高分子材料として、本発明
においては、ポリイミドが好ましく用いられる。ポリイ
ミドは、通常、不溶不融であるが、その前駆体である溶
剤可溶性のポリアミド酸を用いることによって、ポリイ
ミドをマトリックス高分子材料とする本発明による樹脂
成形体を得ることができる。このようなポリイミドをマ
トリックス高分子材料とする成形体は、耐薬品性は耐熱
性にすぐれる。
【0009】ポリアミド酸は、既に知られているよう
に、テトラカルボン酸二無水物又はその誘導体とジアミ
ンとのほぼ等モル混合物を有機極性溶媒に溶解させ、溶
液状態で反応させることによって、溶液として得ること
ができる。このようなポリアミド酸の溶液を加熱し、溶
剤を除去することによって、不溶不融のポリイミドを得
ることができる。
【0010】本発明によれば、このようなポリアミド酸
として、特に、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香
族ジアミンとの反応によって得られるポリアミド酸が好
ましく用いられる。
【0011】ポリアミド酸の調製において、上記芳香族
テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリ
ット酸二無水物、3,3',4,4' −ベンゾフェノンテトラカ
ルボン酸二無水物、3,3',4,4' −ビフェニルテトラカル
ボン酸二無水物、2,3,3',4'−ビフェニルテトラカルボ
ン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸
二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無
水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水
物、2,2'−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパ
ン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スル
ホン二無水物等を挙げることができる。これらは単独で
用いられてもよく、また、複数が併用されてもよい。
【0012】上記芳香族ジアミンとしては、例えば、4,
4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフ
ェニルメタン、3,3'−ジアミノジフェニルメタン、p−
フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、ベンチ
ジン、3,3'−ジメトキシベンチジン、4,4'−ジアミノジ
フェニルスルホン、4,4'−ジアミノジフェニルスルフイ
ド、4,4'−ジアミノジフェニルプロパン、2,2−ビス
〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン等
を挙げることができる。これらも、単独で用いられても
よく、また、複数が併用されてもよい。
【0013】また、上記有機極性溶媒としては、例え
ば、N−メチル−2−ピリリドン、N,N'−ジメチルアセ
トアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチレンホス
ホルトリアミド等を挙げることができる。これらの有機
極性溶媒には、必要に応じて、クレゾール、フェノー
ル、キシレノール等のフェノール類、ヘキサン、ベンゼ
ン、トルエン等の炭化水素類等を混合することができ
る。これらの溶剤も、単独で、又は2種以上の混合物と
して用いられる。
【0014】上記芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳
香族ジアミンを上記溶媒中で溶液状態で反応させて、ポ
リアミド酸の溶液を得る際の有機溶媒中での上記無水物
とジアミンとからなる原料量の濃度は、通常、5〜30
重量%、好ましくは10〜25重量%の範囲である。用
いる無水物とジアミンとにもよるが、通常、80℃以
下、好ましくは、5〜50℃の範囲の温度で約2〜10
時間反応させることによって、ポリアミド酸を溶液とし
て得ることができる。
【0015】芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族
ジアミンとを溶液状態で反応させるとき、反応の進行と
共に、溶液の粘度が上昇するが、本発明においては、温
度30℃にてN−メチル−2−ピドリドン溶液として測
定した固有粘度が0.5以上のポリアミド酸溶液を調製
し、これを用いることが好ましい。このように、固有粘
度が0.5以上のポリアミド酸溶液を用いることによっ
て、機械強度の信頼性がすぐれるシートを得ることがで
きる。
【0016】本発明において、ポリアニリンとしては、
好ましくは、一般式(I)
【0017】
【化1】
【0018】(式中、m及びnはそれぞれ繰り返し単位
中のキノンジイミン構造単位及びフエニレンジアミン構
造単位のモル分率を示し、0<m<1、0<n<1、m
+n=1である。)で表されるキノンジイミン構造単位
及びフェニレンジアミン構造単位を主たる繰り返し単位
として有し、脱トープ状態において溶剤に可溶性のポリ
アニリンが用いられる。以下、このようなポリアミドを
キノンジイミン・フェニレンジアミン型ポリアニリンと
いうことがある。このようなポリアニリンの性質と製造
については、特開平3−28229号公報に詳細に記載
されている。
【0019】特に、本発明において用いるポリアニリン
は、特開平3−28229号公報に記載されているよう
に、脱ドープ状態において457.9nmの波長の光で励
起して得られるレーザー・ラマンスペクトルにおけるパ
ラ置換ベンゼンの骨格振動のうち、1600cm-1よりも
高波数にあらわれる骨格延伸振動のラマン線の強度Ia
と1600cm-1よりも低波数にあらわれる骨格延伸振動
のラマン線強度Ibの比Ia/Ibが1.0以上であるこ
とが好ましい。更に、本発明において用いるポリアニリ
ンは、N−メチルピロリドン中、30℃で測定した極限
粘度〔η〕が0.40dl/g以上であることが好ましい。
かかるレーザー・ラマンスペクトル特性を有するポリア
ニリンは、特開平3−28229号公報に詳細に記載さ
れているように、従来より知られているポリアニリンに
比べて、高分子量であり、溶剤可溶性である点で区別さ
れ、更に、構造的にも区別され得る。
【0020】本発明において用いる上記キノンジイミン
・フェニレンジアミン型ポリアニリンであって、脱ドー
プ状態において有機溶剤に可溶性であり、所定の極限粘
度と前述したレーザー・ラマンスペクトル特性を有する
ポリアニリンは、特開平3−28229号公報に詳細に
記載されているように、酸解離定数 pKa値が3.0以下で
あるプロトン酸の存在下に溶剤中にてアニリンに温度を
5℃以下、好ましくは0℃以下の温度を保持しつつ、標
準水素電極を基準とする還元半電池反応における起電力
として定められる標準電極電位が0.6V以上である酸化
剤の水溶液をアニリン1モル当たりに、酸化剤の1モル
を、酸化剤1分子を還元するのに必要な電子数で割った
量として定義される当量で、2当量以上、好ましくは2
〜2.5当量徐々に加えて、上記プロトン酸にてドープさ
れたアニリンの酸化重合体(以下、ドープされたポリア
ニリンという。)を生成させ、次いで、このドープされ
たポリアニリンを塩基性物質によって脱ドープすること
によって得ることができる。
【0021】このように、プロトン酸の存在下にアニリ
ンを酸化重合してポリアニリンを得、次いで、このポリ
アニリンを脱ドープして得られるポリアニリンは、高分
子量を有し、しかも、種々の有機溶剤に溶解する。かか
る有機溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,
N −ジメチルアセトアミド、N,N −ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルスルホキシド、1,3−ジメチル−2−イミ
ダゾリジノン、スルホラン等を挙げることができる。こ
のような脱ドープ状態のポリアニリンの溶解度は、ポリ
アニリンの平均分子量や溶剤にもよるが、重合体の0.5
〜100%が溶解し、1〜30重量%の溶液を得ること
ができる。
【0022】本発明において、導電性充填材としては、
特に、限定されることなく、従来より知られているもの
が適宜に用いられる。具体例として、例えば、カーボ
ン、カーボン繊維、グラファイト、金属粒子、酸化チタ
ン等の金属酸化物粒子等を挙げることができる。
【0023】本発明による導電性樹脂成形体は、通常、
絶縁性マトリックス高分子材料50〜99重量%、好ま
しくは、70〜95重量%、ポリアニリン1〜50重量
%、好ましくは、2.5〜25重量%、導電性充填材1〜
10重量%、好ましくは、2〜7.5重量%からなる。
【0024】本発明によれば、上述したように、脱ドー
プ状態で溶剤に可溶性のポリアニリンと導電性充填材と
ポリアミド酸とを含む成形用溶液を調製し、更に、必要
に応じて、この成形用溶液にポリアニリンをドーピング
して導電性とすることができるドーパントを加え、この
ようにして得られた成形用溶液を適宜の基材、例えば、
ガラス板上にキャステイングし、成形用溶液の層を基材
上に形成し、60〜200℃の温度に加熱して、基材上
に樹脂シートを形成し、次いで、その樹脂シートを基材
から剥離し、その後、この樹脂シートを250〜400
℃の温度に加熱して、ポリアミド酸をイミド化させるこ
とによって、ポリイミドとポリアニリン(成形用溶液に
ドーパントを配合した場合には、ドーピングされた導電
性のポリアニリン)とのポリマーブレンドからなり、導
電性充填材を含む導電性樹脂シートを得ることができ
る。基材として、管状のものを用いるときは、チューブ
状の製品を得ることができる。また、上記成形用溶液を
適宜の型内に注型すれば、所要の形状の成形体を得るこ
とができる。
【0025】本発明において、ポリアニリンをドーピン
グして、導電性とするためのドーパントとしては、通
常、プロトン酸を好ましく用いることができる。ドーパ
ントとして好ましいプロトン酸は、酸溶解定数 pKa値が
4.8以下であるプロトン酸である。そのようなプロトン
酸として、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウフ
ッ化水素酸、リンフッ化水素酸、過塩素酸等の無機酸の
ほか、酸溶解定数 pKa値が4.8以下である有機酸を挙げ
ることができる。
【0026】本発明において用いる有機酸は、例えば、
有機カルボン酸又はフェノール類であって、好ましく
は、酸解離定数 pKa値が4.8以下であるものである。こ
のような有機酸としては、脂肪族、芳香族、芳香脂肪
族、脂環式等の一又は多塩基酸を含む。このような有機
酸は、水酸基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、アミノ
基等を有していてもよい。従って、かかる有機酸の具体
例として、例えば、酢酸、n−酪酸、ペンタデカフルオ
ロオクタン酸、ペンタフルオロ酢酸、トリフルオロ酢
酸、トリクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、モノフルオロ酢
酸、モノブロモ酢酸、モノクロロ酢酸、シアノ酢酸、ア
セチル酢酸、ニトロ酢酸、トリフエニル酢酸、ギ酸、シ
ュウ酸、安息香酸、m−ブロモ安息香酸、p−クロロ安
息香酸、m−クロロ安息香酸、p−クロロ安息香酸、o
−ニトロ安息香酸、2,4−ジニトロ安息香酸、3,5−ジ
ニトロ安息香酸、ピクリン酸、o−クロロ安息香酸、p
−ニトロ安息香酸、m−ニトロ安息香酸、トリメチル安
息香酸、p−シアノ安息香酸、m−シアノ安息香酸、チ
モールブルー、サリチル酸、5−アミノサリチル酸、o
−メトキシ安息香酸、1,6−ジニトロ−4−クロロフェ
ノール、2,6−ジニトロフェノール、2,4−ジニトロフ
ェノール、p−オキシ安息香酸、ブロモフェノールブル
ー、マンデル酸、フタル酸、イソフタル酸、マレイン
酸、フマル酸、マロン酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、コ
ハク酸、α−アラニン、β−アラニン、グリシン、グリ
コール酸、チオグリコール酸、エチレンジアミン−N,N'
−二酢酸、エチレンジアミン−N,N,N',N' −四酢酸等を
挙げることができる。
【0027】また、有機酸は、スルホン酸又は硫酸基を
有するものであつてもよい。このような有機酸として
は、例えば、アミノナフトールスルホン酸、メタニル
酸、スルファニル酸、アリルスルホン酸、ラウリル硫
酸、キシレンスルホン酸、クロロベンゼンスルホン酸、
メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1−プロパンス
ルホン酸、1−ブタンスルホン酸、1−ヘキサンスルホ
ン酸、1−ヘプタンスルホン酸、1−オクタンスルホン
酸、1−ノナンスルホン酸、1−デカンスルホン酸、1
−ドデカンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、スチレン
スルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスル
ホン酸、エチルベンゼンスルホン酸、プロピルベンゼン
スルホン酸、ブチルベンゼンスルホン酸、ペンチルベン
ゼンスルホン酸、ヘキシルベンゼンスルホン酸、ヘプチ
ルベンゼンスルホン酸、オクチルベンゼンスルホン酸、
ノニルベンゼンスルホン酸、デシルベンゼンスルホン
酸、ウンデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼン
スルホン酸、ペンタデシルベンゼンスルホン酸、オクタ
デシルベンゼンスルホン酸、ジエチルベンゼンスルホン
酸、ジプロピルベンゼンスルホン酸、ジブチルベンゼン
スルホン酸、メチルナフタレンスルホン酸、エチルナフ
タレンスルホン酸、プロピルナフタレンスルホン酸、ブ
チルナフタレンスルホン酸、ペンチルナフタレンスルホ
ン酸、ヘキシルナフタレンスルホン酸、ヘプチルナフタ
レンスルホン酸、オクチルナフタレンスルホン酸、ノニ
ルナフタレンスルホン酸、デシルナフタレンスルホン
酸、ウンデシルナフタレンスルホン酸、ドデシルナフタ
レンスルホン酸、ペンタデシルナフタレンスルホン酸、
オクタデシルナフタレンスルホン酸、ジメチルナフタレ
ンスルホン酸、ジエチルナフタレンスルホン酸、ジプロ
ピルナフタレンスルホン酸、ジブチルナフタレンスルホ
ン酸、ジペンチルナフタレンスルホン酸、ジヘキシルナ
フタレンスルホン酸、ジヘプチルナフタレンスルホン
酸、ジオクチルナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタ
レンスルホン酸、トリメチルナフタレンスルホン酸、ト
リエチルナフタレンスルホン酸、トリプロピルナフタレ
ンスルホン酸、トリブチルナフタレンスルホン酸、カン
ファースルホン酸、アクリルアミド−t−ブチルスルホ
ン酸等を挙げることができる。
【0028】また、本発明においては、分子内に2つ以
上のスルホン酸基を有する多官能有機スルホン酸も用い
ることができる。このような多官能有機スルホン酸とし
ては、例えば、エタンジスルホン酸、プロパンジスルホ
ン酸、ブタンジスルホン酸、ペンタンジスルホン酸、ヘ
キサンジスルホン酸、ヘプタンジスルホン酸、オクタン
ジスルホン酸、ノナンジスルホン酸、デカンジスルホン
酸、ベンゼンジスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、
トルエンジスルホン酸、エチルベンゼンジスルホン酸、
プロピルベンゼンジスルホン酸、ブチルベンゼンジスル
ホン酸、ジメチルベンゼンジスルホン酸、ジエチルベン
ゼンジスルホン酸、ジプロピルベンゼンジスルホン酸、
ジブチルベンゼンジスルホン酸、メチルナフタレンジス
ルホン酸、エチルナフタレンジスルホン酸、プロピルナ
フタレンジスルホン酸、ブチルナフタレンジスルホン
酸、ペンチルナフタレンジスルホン酸、ヘキシルナフタ
レンジスルホン酸、ヘプチルナフタレンジスルホン酸、
オクチルナフタレンジスルホン酸、ノニルナフタレンジ
スルホン酸、ジメチルナフタレンジスルホン酸、ジエチ
ルナフタレンジスルホン酸、ジプロピルナフタレンジス
ルホン酸、ジブチルナフタレンジスルホン酸、ナフタレ
ントリスルホン酸、ナフタレンテトラスルホン酸、アン
トラセンジスルホン酸、アントラキノンジスルホン酸、
フェナントレンジスルホン酸、フルオレノンジスルホン
酸、カルバゾールジスルホン酸、ジフエニルメタンジス
ルホン酸、ビフェニルジスルホン酸、ターフェニルジス
ルホン酸、ターフェニルトリスルホン酸、ナフタレンス
ルホン酸−ホルマリン縮合物、フェナントレンスルホン
酸−ホルマリン縮合物、アントラセンスルホン酸−ホル
マリン縮合物、フルオレンスルホン酸−ホルマリン縮合
物、カルバゾールスルホン酸−ホルマリン縮合物等を挙
げることができる。芳香環におけるスルホン酸基の位置
は任意である。
【0029】更に、本発明において、有機酸はポリマー
酸であってもよい。このようなポリマー酸としては、例
えば、ポリビニルスルホン酸、ポリビニル硫酸、ポリス
チレンスルホン酸、スルホン化スチレン−ブタジエン共
重合体、ポリアリルスルホン酸、ポリメタリルスルホン
酸、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンス
ルホン酸、ポリハロゲン化アクリル酸、ポリイソプレン
スルホン酸、N−スルホアルキル化ポリアニリン、核ス
ルホン化ポリアニリン等を挙げることができる。ナフイ
オン(米国デユポン社登録商標)として知られている含
フッ素重合体も、ポリマー酸として好適に用いられる。
【0030】本発明においては、上記のようなプロトン
酸からなるドーパントを製膜溶液に含有させる方法とし
て、特開平3−28229号公報に示されるように、例
えば、トリエチルアミンのような塩基性物質をドーパン
トと共に加える方法も、好適に用いることができる。
【0031】このようなプロトン酸は、前記一般式
(I)で表わされるポリアニリンのキノンジイミン構造
のイミン窒素へのプロトン化によって、ポリアニリンを
導電性とする。通常、前述したように、アニリンを溶液
中で酸化重合して得られる前記一般式(I)で表わされ
るキノンジイミン・フェニレンジアミン型のポリアニリ
ンにおいては、式中、mとnの値はほぼ相等しい。
【0032】このように、キノンジイミン・フェニレン
ジアミン型のポリアニリンは、キノンジイミン構造を多
く有するので、プロトン酸によるドーピングによって、
高導電性を有するポリアニリンを得ることができる。
【0033】本発明においては、ドーパントとして、電
子受容体も用いることができる。ここに、電子受容体
は、有機及び無機電子受容体のいずれでもよいが、好ま
しい電子受容体は、一般式(II) Q−(A)p (II) (式中、Qは、
【0034】
【化2】
【0035】で表わされるキノン骨格、
【0036】
【化3】
【0037】(式中、Rはアルキル基を有し、sは1〜
4の整数である。)で表わされるキノジメタン骨格、
【0038】
【化4】
【0039】で表わされるナフトキノジメタン骨格、又
は >C=C< で表されるエチレン骨格を示し、Aは、相互に異なって
いてもよい一価の電子吸引性基を示し、pは1〜4の整
数である。)で表わされるものである。
【0040】上記において、電子吸引性基は、好ましく
は、フツ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、ニト
ロ基又はトリフルオロメチル基である。従って、かかる
電子受容体の具体例としては、例えば、テトラクロロ−
p−ベンゾキノン(クロラニル)、2,3−ジクロロ−5,
6−ジシアノ−p−ベンゾキノン、テトラブロモ−p−
ベンゾキノン、テトラフルオロ−p−ベンゾキノン、7,
7,8,8−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)、2−
メチル−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン、2,5−
ジメチル−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン、11,
11,12,12−テトラシアノ−2,6−ナフトキノジメタン、
テトラシアノエチレン、2,5−ジニトロベンゾキノン、
2−トリフルオロメチル−7,7,8,8−テトラシアノキノ
ジメタン等を挙げることができる。
【0041】無機電子受容体としては、本発明において
は、標準水素電極を基準とし、還元半電池反応の起電力
として定義される標準電極電位が−0.80V以上である
ものが好ましく用いられる。具体例としては(括弧内に
標準電極電位(E0 )(CRCHandbook of Chemistry and
Physics, 68th ed. (CRC Press), D151-D158によ
る。)を示す。)、例えば、HgCl2 (0.92V)、
FeCl3 (0.77V)、SbCl5 (0.75V)、I
2 (0.5355V)、K3 Fe(CN)6 (0.358
V)、RuCl3 (0.2487V)、CuCl2 (0.1
53V)、SnCl4(0.15V)、PbCl2 (−0.
126V)、VCl3 (−0.255V)、CoCl
2 (−0.28V)、ZnCl2 (−0.7618V)等を
挙げることができる。
【0042】ドーパントとして、このような電子受容体
を用いる場合、ポリアニリンのドーピングは、酸化ドー
ピングによるものである。従って、ドーパントとして、
電子受容体を用いる場合、用いるポリアニリンは、前記
一般式(1)において、mがなるべく小さいことが、高
い導電性を得るために好ましい。式中、キノンジイミン
構造が多いときは、酸化ドーピングが起こり難いからで
ある。
【0043】更に、本発明によれは、特開平5−247
203号公報や特開平5−247204号公報に記載さ
れているように、プロトン酸、特に、有機酸と酸化剤と
によって、酸化ドーピングしてもよい。このドーピング
法によるときも、前記一般式(I)で表されるポリアニ
リンは,、式中、mがなるべく小さいことが、即ち、イ
ミノ−p−フェニレン構造の多いことが高い導電性を得
るために好ましい。
【0044】上述したように、トーパントとして、電子
受容体を用いる場合、ポリアニリンのドーピングは、酸
化ドーピングによるものであるので、本発明によれば、
ドーパントとして、電子受容体を用いるときは、特開平
3−52929号公報に記載されているように、式、
【0045】
【化5】
【0046】で表わされるイミノ−p−フェニレン構造
単位を主たる繰返し単位として有する溶剤可溶性のポリ
アニリン(以下、イミノ−p−フェニレン型のポリアニ
リンということがある。)を好ましく用いることができ
る。即ち、イミノ−p−フェニレン型のポリアニリン
は、本質的に酸化ドーピングに適する構造を有してい
る。従って、イミノ−p−フェニレン型のポリアニリン
は、前記有機酸と酸化剤とによる酸化ドーピングにも適
する構造を有している。
【0047】このようなイミノ−p−フェニレン型のポ
リアニリンは、前記キノンジイミン・フェニレンジアミ
ン型のポリアニリンを還元剤にて還元することによって
得ることができ、このイミノ−p−フェニレン型ポリア
ニリンも、脱ドープ状態において、有機溶剤に可溶性で
ある。本発明においては、このようなイミノ−p−フェ
ニレン型のポニアニリンも、N−メチルピロリドン中、
30℃で測定した極限粘度〔η〕が0.40dl/g以上で
あることが好ましい。
【0048】上記還元剤としては、フェニルヒドラジ
ン、ヒドラジン、ヒドラジン水和物、硫酸ヒドラジン、
塩酸ヒドラジン等のヒドラジン化合物、水素化リチウム
アルミニウム、水素化ホウ素リチウム等の還元性水素化
金属化合物等が好適に用いられる。還元反応後に残渣を
生じないので、ヒドラジン水和物又はフェニルヒドラジ
ンが還元剤として特に好ましく用いられる。
【0049】上記イミノ−p−フェニレン型のポリアニ
リンは、脱ドープ状態において、有機溶剤によく溶解
し、取扱いが容易である。他方、このイミノ−p−フェ
ニレン型のポリアニリンは、空気中で高温に加熱すれ
ば、空気酸化によって、容易に高酸化状態、即ち、前記
一般式(I)で表わされるキノンジイミン・フェニレン
ジアミン型のポリアニリンとすることができる。そこ
で、本発明においては、例えば、イミノ−p−フェニレ
ン型のポリアニリンの溶液とポリアミド酸とを溶解させ
た溶液にカーボンブラック等の導電性充填材を分散させ
て、成形用溶液とし、これを適宜の基材上にキャスティ
ングした後、空気中にて加熱することによって、ポリア
ミド酸をポリイミド化すると共に、イミノ−p−フェニ
レン型のポリアニリンをキノンジイミン・フェニレンジ
アミン型のポリアニリンとすることができ、かくして、
このポリアニリンを、必要に応じて、プロトン酸にて容
易にドーピングすることができる。
【0050】ポリアニリンは、上述したように、ドーピ
ングすることによって高い導電性を発現するが、しか
し、脱ドープ状態でも、一般の高分子材料に比べると、
低い電気抵抗値を有している。本発明においては、用い
るポリアニリンは、ドーピング状態、脱ドーピング状態
のいずれをも用いることができ、導電性樹脂成形体の要
求特性等によって適宜に選択される。
【0051】本発明においては、ポリアニリンをドーピ
ングする場合、前述したように、成形用溶液にドーパン
トを配合して、ポリアニリンを予めドーピングしてもよ
いが、しかし、成形体を得た後、この成形体をドーパン
トに接触させて、ポリアニリンをドーピングしてもよ
い。例えば、成形体がシートの場合、このシートをドー
パントの溶液に浸漬すれば、成形体をドーピングするこ
とができる。
【0052】プロトン酸にてドーピングしたポリアニリ
ンを用いる場合には、用いる導電性充填材が金属や金属
酸化物であるときは、プロトン酸によって腐食されるお
それがある。そこで、特に、プロトン酸でドープされた
ドーピング状態のポリアニリンを用いる場合は、導電性
充填材としては、そのようなプロトン酸に侵されないカ
ーポンブラックが好ましく用いられる。しかし、脱ドー
ピング状態のポリアニリンを用いる際には、プロトン酸
による導電性充填材の腐食を考慮しなくともよいので、
用いる導電性充填材は、特に限定されない。
【0053】本発明による導電性樹脂成形体の形状は、
特に、限定されるものではなく、前述したように、平板
状、シート状、チューブ状等任意であり、注型品でもよ
い。
【0054】
【発明の効果】発明による導電性樹脂成形体は、以上の
ように、絶縁性マトリックス高分子材料と共に、ポリア
ニリンと導電性充填材とを含むので、成形体の全体にわ
たって、体積抵抗率や表面抵抗を均一に且つ精度よく与
えることができ、しかも、環境の水分による電気抵抗の
変動が極めて小さい。従って、本発明による導電性樹脂
成形体は、画像形成装置部品をはじめ、電磁シールド
材、静電吸着フィルム、帯電防止材、電子デバイス等に
おいて、好適に用いることができる。
【0055】
【実施例】以下に参考例と共に、実施例を挙げて本発明
を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定さ
れるものではない。
【0056】参考例1 (アニリンの酸化重合によるドープ状態のポリアニリン
の製造)攪拌装置、温度計及び直管アダプターを備えた
10リットル容量セパラブル・フラスコに蒸留水600
0g、36%塩酸360ml及びアニリン400g(4.2
95モル)をこの順序にて仕込み、アニリンを溶解させ
た。別に、氷水にて冷却しながら、ビーカー中の蒸留水
1493gに97%濃硫酸434g(4.295モル)を
加え、混合して、硫酸水溶液を調製した。この硫酸水溶
液を上記セパラブル・フラスコに加え、フラスコ全体を
低温恒温槽にて−4℃まで冷却した。
【0057】次に、ビーカー中にて蒸留水2293gに
ペルオキソ二硫酸アンモニウム980g(4.295モ
ル)を加え、溶解させて、酸化剤水溶液を調製した。フ
ラスコ全体を低温恒温槽で冷却して、反応混合物の温度
を−3℃以下に保持しつつ、攪拌下にアニリン塩の酸性
水溶液に、チュービングポンプを用いて、直管アダプタ
ーから上記ペルオキソ二硫酸アンモニウム水溶液を1ml
/分以下の割合にて徐々に滴下した。最初、無色透明の
溶液は、重合の進行に伴って緑青色から黒緑色となり、
次いで、黒緑色の粉末が析出した。
【0058】この粉末析出時に反応混合物において温度
の上昇がみられるが、反応系内の温度を−3℃以下に抑
えた。かくして、7時間を要して、ペルオキソ二硫酸ア
ンモニウム水溶液の滴下を終了した後、更に1時間、−
3℃以下の温度にて攪拌を続けた。得られた粉末を濾別
し、水洗、アセトン洗浄し、室温で真空乾燥して、硫酸
にてドープされた導電性ポリアニリン430gを黒緑色
の粉末として得た。 (ドープ状態の導電性ポリアニリンのアンモニアによる
脱ドーピング)上記ドープ状態の導電性ポリアニリン粉
末350gを2Nアンモニア水4リットル中に加え、オ
ートホモミキサーにて回転数5000rpm にて5時間攪
拌した。混合物は、黒緑色から青紫色に変化した。
【0059】ブフナー漏斗にて粉末を濾別し、ビーカー
中に攪拌しながら、蒸留水にて濾液が中性になるまで繰
り返し洗浄し、続いて、濾液が無色になるまでアセトン
にて洗浄した。この後、粉末を室温にて10時間真空乾
燥して、黒褐色の脱ドープされたポリアニリン粉末28
0gを得た。
【0060】参考例2 (ポリイミド前駆体溶液の調製)3,3',4,4' −ビフェニ
ルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミン
のほぼ等モル混合物をN−メチル−2−ピロリドン溶液
(濃度20重量%)中で温度20〜60℃で12時間反
応させて、粘度1000ポイズ(温度25℃、B型粘度
計での測定値)、固有粘度2.1のポリアミド酸溶液Aを
調製した。
【0061】参考例3 N−メチル−2−ピロリドン中にアセチレンブラック
(電気化学工業(株)製デンカブラック)を濃度が20
重量%となるように混合し、ボールミルで12時間攪拌
した。
【0062】このアセチレンブラックを含むN−メチル
−2−ピロリドンを用いて、参考例2と同様にして、ア
セチレンブラックを含むポリアミド酸溶液Bを調製し
た。
【0063】参考例4 参考例3において、アセチレンブラックに代えて、針状
酸化チタン(石原産業(株)製FT−1000)を用い
て、酸化チタンを含むN−メチル−2−ピロリドンを調
製した。この酸化チタンを含むN−メチル−2−ピロリ
ドンを用いて、参考例2と同様にして、酸化チタンを含
むポリアミド酸溶液Cを調製した。
【0064】参考例5 N−メチル−2−ピロリドン180gにフェニルヒドラ
ジン2.98gを溶解させ、次いで、参考例1で得られた
ポリアニリン粉末20gをこれに溶解させて、10重量
%のポリアニリン溶液Dを調整した。
【0065】参考例6 p−トルエンスルホン酸一水和物1.25gをN−メチル
−2−ピロリドン11.25gに溶解させ、濃度10重量
%のp−トルエンスルホン酸一水和物溶液Eを調製し
た。
【0066】実施例1〜7及び比較例1〜5 参考例2〜6で得られた溶液A、B、C、D又はEを表
1に示す配合で混合して、成形用溶液を調製した。これ
らの成形用溶液をガラス板上に約150μmの厚さにキ
ャスティングした後、空気中で150℃で20分、20
0℃で20分、250℃で20分、最後に300℃で2
0分加熱処理して、溶剤を除去すると共に、ポリアミド
酸のイミド化を行なって、シートに成膜した後、ガラス
板から剥離して、厚さ20μmのシート状成形体を得
た。
【0067】メタンスルホン酸50gを蒸留水450g
に溶解し、10重量%メタンスルホン酸水溶液からなる
ドーピング溶液を調製した。このドーピング溶液に実施
例3及び実施例4で得られた成形体シートを60分間浸
漬して、ドーピング処理を行なった。このようにして得
られた成形体シートの表面抵抗を測定した。また、温度
30℃、相対湿度85%の環境下に24時間放置した
後、再度、表面抵抗(耐湿試験後の表面抵抗という。)
を測定して、表1に示す結果を得た。
【0068】
【表1】
【0069】表1に示す結果から明らかなように、本発
明による導電性樹脂成形体は、ポリアニリンと共に導電
性充填材を含むので、高湿度環境下に放置した場合で
も、表面抵抗が殆ど変化しない。また、例えば、実施例
1と2、実施例3と4、実施例5と6とのそれぞれの比
較から明らかなように、導電性充填材の配合量を変化さ
せても、得られる成形体の表面抵抗は、大幅には変動し
ない。更に、実施例3、4及び7にみられるように、ポ
リアニリンをドーピングした場合でも、高湿度環境下に
おいて、表面抵抗の変化は殆どない。
【0070】これに対して、比較例3による導電性樹脂
成形体は、導電性成分としてポリアニリンのみを含むの
で、高湿度環境下に放置した場合、表面抵抗が大幅に変
化する。比較例1、2、4及び5は、ポリアニリンを含
まず、絶縁性のマトリックス高分子材料中に導電性充填
材のみを配合して導電性とした成形体であるので、高湿
度環境下に放置した場合も、表面抵抗は殆ど変化しな
い。しかし、例えば、比較例1と2、比較例4と5との
それぞれの比較から明らかなように、導電性充填材の配
合量を僅かに変化させるだけで、得られる成形体におけ
る表面抵抗が大幅に変動するので、所要の体積抵抗率や
表面抵抗を精度よく且つ再現性よく制御して、成形体に
付与することが困難である。更に、導電性充填材の分散
に僅かな不均一があっても、得られる成形体における表
面抵抗も大幅に変動するので、成形体の全体にわたって
均一な値を電気抵抗を得ることが困難である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−63865(JP,A) 特開 平7−90179(JP,A) 特開 平5−262991(JP,A) 特開 昭62−64828(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 5/00 - 5/24 C08L 1/00 - 101/16

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 【化1】 で表わされるイミノ−p−フェニレン構造の繰返し単位
    からなるポリアニリン及び導電性充填材と共に絶縁性の
    マトリックス高分子材料を含む導電性樹脂成形体。
  2. 【請求項2】絶縁性のマトリックス高分子材料がポリイ
    ミドである請求項1に記載の導電性樹脂成形体。
  3. 【請求項3】導電性充填材がカーボンブラックである請
    求項1に記載の導電性樹脂成形体。
  4. 【請求項4】一般式 【化2】 で表わされるイミノ−p−フェニレン構造の繰返し単位
    からなるポリアニリンと導電性充填材と絶縁性のマトリ
    ックス高分子材料とを含む成形用溶液を調製し、この成
    形用溶液の層を基材上に形成した後、加熱して、溶剤を
    除去することを特徴とする導電性樹脂成形体の製造方
    法。
  5. 【請求項5】一般式 【化3】 で表わされるイミノ−p−フェニレン型構造の繰返し単
    位からなるポリアニリンと導電性充填材とポリアミド酸
    とを含む成形用溶液を調製し、この成形用溶液の層を基
    材上に形成した後、加熱して、溶剤を除去すると共に、
    ポリアミド酸をイミド化することを特徴とする導電性樹
    脂成形体の製造方法。
  6. 【請求項6】成形用溶液がドーパントを含む請求項4又
    は5に記載の導電性樹脂成形体の製造方法。
  7. 【請求項7】請求項5に記載の導電性樹脂成形体の製造
    方法において、ポリアミド酸をイミド化した後、得られ
    た成形体をドーパントを含むドーピング溶液にてドーピ
    ングする方法。
  8. 【請求項8】ドーパントがプロトン酸である請求項6又
    は7に記載の導電性樹脂成形体の製造方法。
  9. 【請求項9】ドーパントが電子受容体である請求項6又
    は7に記載の導電性樹脂成形体の製造方法。
  10. 【請求項10】導電性樹脂成形体がシート又はチューブ
    である請求項4から9のいずれかに記載の方法。
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