JP3697912B2 - 画像形成装置および転写体の製造方法 - Google Patents

画像形成装置および転写体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真複写機、レーザープリンター、ファクシミリ、これらの複合機等の電子写真方式を用いた画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方式を利用した画像形成装置は、無機又は有機の光導電性材料で構成された感光体からなる像担持体上に一様な電荷を付与し、画像信号を変調したレーザー光等で前記像担持体上に静電潜像を形成した後、トナーを用いて静電潜像を現像してトナー像を形成する。そして、像担持体上の前記トナー像を直接あるいは中間転写体を介して、用紙等の記録媒体に転写することにより所要の再生画像を得る。
像担持体上に形成されたトナー像を中間転写体に一旦転写し、さらに中間転写体上のトナー像を記録媒体に二次転写する方式を採用した画像形成装置は、例えば特開昭62−206567号公報に記載されている。
【0003】
中間転写体方式を採用した画像形成装置の転写ベルトの材料としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)(特開平5−200904号公報、特開平6−228335号公報)、ポリカーボネート(PC)(特開平6−95521号公報)ポリアルキレンテレフタレート(PAT)(特開平6−149081号公報)、PCとPATのブレンド材料(特開平6−149083号公報)、エチレンテトラフロロエチレン共重合体(ETFE)とPCとのブレンド材料、ETFEとPATとのブレンド材料、ETFEとPCとPATのブレンド材料(特開平6−149079号公報)などの熱可塑性樹脂に、カーボンブラックなどの導電剤を分散させた導電性無端ベルトが提案されている。
【0004】
しかし、上記の導電剤を分散した熱可塑性樹脂からなる中間転写ベルトは、機械的特性が劣り、駆動時の応力に対するベルトの変形が大きく、高品質の転写画質を安定して得ることができない。また、PVDF,PC,ETFEなどの熱可塑性樹脂にカーボンブラックを分散してなる中間転写体は、転写部で印加される転写電圧によって、中間転写体の表面抵抗率が低下するという問題が発生する。
【0005】
像担持体から中間転写体への一次転写部における表面抵抗率の低下は、多重色のトナーを転写する部位を連続して転写する場合に顕著に発生する。即ち、多重色のトナーにおいては、トナー粒子間にエアーギャップがあるため、このエアーギャップで放電現像(パッシエン放電)が発生するのが原因である。また、中間転写体から記録用紙への二次転写部における表面抵抗率の低下は、用紙を剥離する時に発生する放電現象が原因である。
【0006】
また、機械特性の優れた材料としては、ポリイミド樹脂などを挙げることができる。例えば、特開昭63−11263号公報には、カーボンブラックを分散のポリイミド樹脂からなるシームレスベルトが提案されている。このシームレスベルトは、ポリイミド前駆体であるポリアミック酸の溶液中に導電剤のカーボンブラックを分散させ、分散液を金属ドラムに流延して乾燥して被膜を形成し、この被膜をドラムから剥離した後、高温度下で延伸してポリイミドフィルムを形成し、さらに適当な大きさに切り出してエンドレスベルトにする。
【0007】
前記フィルム形成の一般的な方法は、カーボンブラックを分散したポリマー溶液を円筒金型に注入して、例えば、100〜200℃に加熱しつつ円筒金型を回転させて遠心成形法によりフィルム状に成膜する。得られたフィルムは半硬化した状態で脱型して、鉄芯に被せて300〜450℃でポリイミド化反応を進行させて本硬化させる。
【0008】
しかし、前記遠心成形法等の回転式成形法では、成形及び本硬化の工程において、溶媒の蒸発が不均一になる場合が多く、フィルム表面に微小な凹凸が形成される。このようなフィルムから製造された中間転写ベルトは、記録媒体に転写された画像に、前記の微小な凹凸に起因して微小な転写不良(白抜け、以下、ホロキャラクタという)が発生する。また、平滑なフィルムを得るためには、溶媒の蒸発乾燥及びポリイミド酸の硬化を行う成形・硬化工程に長時間を費やす必要があり、ベルトの製造コストが嵩む。
【0009】
また、導電剤としてカーボンブラックや金属酸化物を分散してなるポリイミド樹脂からなる電子導電性中間転写ベルトは、体積抵抗率の可使用領域が低すぎて画像の周囲にトナーが飛散し(ブラーの発生)、ノイズの大きな画像が形成されるという問題がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、上記の問題点を解消し、転写部で転写体に印加される転写電圧によって、転写体の表面抵抗率の低下を抑制してホロキャラクタの発生を防止し、転写時にトナーの飛散を防止し、即ちブラーの発生を防止し、良質の画質を得ることができ、しかも高品質の転写画像を安定して得られる画像形成装置を提供しようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記の構成を採用することにより、上記の課題の解決に成功した。
(1) 画像情報に対応した静電潜像を形成する像担持体と、前記静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像手段と、前記像担持体上の前記トナー像を記録媒体に転写する転写体を備えた画像形成装置において、前記転写体は、ポリアミック酸と脱ドープ状態のポリアニリンとドーパントから成る成膜溶液を基材上に形成し、加熱してポリアミック酸をイミド化させ、前記基材側の表面を転写面として形成されてなるものであることを特徴とする画像形成装置。
【0012】
(2) 前記ポリマーブレンド樹脂は、前記ポリアニリンを5〜40重量%の範囲、好ましくは10〜25重量%の範囲で含有することを特徴とする前記(1) 記載の画像形成装置。
(3) 前記ポリマーブレンド樹脂は、前記ドーパンドを5〜40重量%の範囲、好ましくは10〜25重量%の範囲で含有することを特徴とする前記(1) 又は (2) 記載の画像形成装置。
(4) 前記ドーパンドが、酸解離定数pKa値が4.8以下であるプロトン酸、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸や、アリルスルホン酸、キシレンスルホン酸、エタンスルホン酸、クロロベンゼンスルホン酸などの有機酸であることを特徴とする前記(1) 〜(3) のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【0013】
(5) 前記転写体は、表面抵抗率が1010.0〜1013.2Ω/□の範囲で、かつ体積抵抗率が109.8 〜1013.5Ωcmの範囲、好ましくは表面抵抗率が1011.0〜1012.5Ω/□の範囲で、かつ体積抵抗率が1012.0〜1013.0Ωcmの範囲にあることを特徴とする前記(1) 〜(4) のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【0014】
(6) 前記転写体は、ポリアミック酸、脱ドープ状態のポリアニリン及びドーパントを含有する成膜溶液を調製する間に、前記ポリアニリンをドーピングして前記ポリマーブレンド樹脂のイオン導電性を調整し、基材表面に前記成膜溶液を塗布して被膜を形成し、250〜450℃の温度で加熱して前記ポリアミック酸をイミド化したポリマーブレンド樹脂シートを形成し、前記基材から剥離して用いたことを特徴とする前記(1) 〜(5) のいずれか1つに記載の画像形成装置。
(7) ポリアミック酸と脱ドープ状態のポリアニリンとドーパントから成る成膜溶液を基材上に形成し、加熱してポリアミック酸をイミド化させ、前記基材側の表面を転写面として形成されてなるものであることを特徴とする転写体の製造方法。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明者等は、上記の問題を解消すべく鋭意研究・検討を重ねてきたところ、画像形成装置の転写体を、ポリイミド樹脂に脱ドープ状態のポリアニリン及び該ポリアニリンをドーピングしてイオン導電性を高めるためのドーパントを分散したポリマーブレンド樹脂で構成し、表面抵抗率を1010.0〜1013.0Ω/□の範囲で、かつ体積抵抗率が1010.5〜1013.5Ωcmの範囲にすることにより、転写電圧によって、転写体の表面抵抗率の低下を抑制してホロキャラクタの発生を防止し、転写時にトナーの飛散を防止し、即ちブラーの発生を防止し、良質の画質が得られることを見いだし、本発明を完成するに至ったものである。
【0016】
即ち、中間転写体の表面抵抗率が1010.0Ω/□を下回ると、プレニップ部における電界強度が強くなり、ギャップ放電が発生しやすくなり、画質の粒状性が悪化する原因となる。また、1013.0Ω/□より高くなると、像担持体と転写ベルトが離間するポストニップ部で剥離放電が発生しやすくなり、放電発生部分が白抜けし、ホロキャラクタが発生する。
【0017】
また、中間転写体の体積抵抗率が1010.5Ωcmより低くなると、像担持体から中間転写ベルトへのトナー像の一次転写時に、一次転写器によって付与された電荷が中間転写ベルト自身の導電性により帯電電荷が除去される。その結果、像担持体から中間転写ベルトに転写された未定着トナー像の電荷を保持する静電的な力が働かなくなるため、トナー同士の静電的な反発力や画像エッジ付近のフリンジ電界の力によって、画像周囲にトナーが飛散してしまい(ブラーの発生)、ノイズの大きい画像が形成されるようになる。また、体積抵抗率が1013.5Ωcmより高いと、一次転写時の転写電界により中間転写ベルト表面が帯電するため、除電機構が必要となる。
【0018】
そこで、前記遠心成形法で形成されたカーボンブラック分散にポリイミド樹脂フィルムの表面抵抗率と体積抵抗率の関係を調べると、図6のようになる。図6から明らかなように、ポリイミド樹脂フィルムの表面抵抗率が1014Ω/□のときの体積抵抗率は1010Ωcmである。
【0019】
即ち、上記の樹脂フィルムからなる中間転写ベルトを用いて、ホロキャラクタ(白抜け)の発生を回避しようとすると、その体積抵抗率の可使用範囲は1010Ωcm未満となる。その場合、中間転写ベルト自身の電子導電性により、像担持体から中間転写体に転写された未定着トナー像の電荷を保持する静電的な力が働かなくなるため、トナー同士の静電的反発力や画像エッジ付近のフリンジ電界の力によって、画像の周囲にトナーが飛散してしまい(ブラーの発生)、ノイズの大きい画像が形成される。
【0020】
また、導電性金属酸化物分散のポリイミド樹脂フィルムの表面抵抗率と体積抵抗率の関係を調べると図7のようになる。図7から明らかなように、樹脂フィルムの表面抵抗率が1013Ω/□のときの体積抵抗率は107.8 Ωcmである。即ち、導電性金属酸化物分散のポリイミド樹脂フィルムからなる中間転写ベルトは、上記のカーボンブラック分散のポリイミド樹脂フィルムからなる中間転写ベルトと同様に、ホロキャラクタとブラーの発生を回避することはできない。
このように、導電剤を分散させて電子導電性を付与したポリイミド樹脂フィルムからなる転写ベルトは、ホロキャラクタとブラーの発生を同時に回避できる表面抵抗率及び体積抵抗率の領域を保有することができない。
【0021】
本発明の画像形成装置の転写体は、中間転写ベルトが特に望ましい。例えば、現像装置内に単色のトナーのみを収容する通常のモノカラー画像形成装置や、感光体ドラム等の像担持体上に担持されたトナー像を中間転写ベルトに順次一次転写を繰り返すカラー画像形成装置、各色毎の現像器を備えた複数の像担持体を中間転写ベルト上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置等に適用することができる。
【0022】
本発明の画像形成装置の1例である、一次転写を繰り返すカラー画像形成装置の概要を図1に示す。図1において、感光体ドラムからなる像担持体1の周囲には、その回転方向に沿って順次、帯電器2、画像書き込み手段3、現像装置4、一次転写器5、クリーニング装置6などが配置されている。
【0023】
現像装置4は、各色の静電潜像に対応するトナーを収容した複数の現像器41 〜44 を有する。即ち、各現像器には、それぞれ黒(B)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色トナーが収容されている。
【0024】
また、像担持体1表面に当接しながら該像担持体1と一次転写器5の間を矢印方向に走行する中間転写ベルト7が、テンションロール8a,8b,8c及びバックアップロール9に張架されている。バックアップロール9及びテンションロール8にそれぞれ対向する位置には、中間転写ベルト7を介して、それぞれバイアスロール10およびベルトクリーナー11が配置されている。
【0025】
一次転写器5が中間転写ベルト7を介して像担持体1に押圧する部位が一次転写部となり、像担持体1と一次転写器5の間には一次転写電圧が印加される。バイアスロール10がバックアップロール9に押圧する二次転写部において、バックアプロール9には、バイアスロール10に二次転写電圧を印加する電極部材12が押接している。
【0026】
図1に示すカラー画像形成装置において、矢印方向に回転する像担持体1表面が、帯電器2で一様に帯電された後、画像処理されたレーザー光等の画像書き込み手段3により、第1色目の静電潜像が形成され、トナー像が形成される。このトナー像は、一次転写部を通過する際に、一次転写器5によって中間転写ベルト7上に静電的に一次転写される。以下同様にして、第1色目のトナー像を担持した中間転写ベルト7上に、第2色目、第3色目及び第4色目のトナー像が順次重ね合わせるように一次転写され、最終的にフルカラー多重トナー像が形成される。
【0027】
上記フルカラー多重トナー像は、二次転写部を通過する際に、給紙トレイ13から所定のタイミングで供給される記録媒体(用紙P)に静電的に一括転写される。トナー像が転写された用紙Pは、定着装置14に搬送され定着処理された後、機外に排出される。
他方、一次転写後の像担持体1はクリーニング装置6等により残留トナーや電荷が除去され、二次転写後の中間転写ベルト7はベルトクリーナ11により残留トナーが除去され、次の画像形成プロセスに備える。
【0028】
フルカラー以外の多色画像を形成する場合は、2個又は3個の現像器に多色画像に対応したトナーを収容することになる。また、単色の静電潜像を形成する場合は、画像処理された画像書き込み手段3により、像担持体1上に静電潜像を形成し、その色に対応するトナーのみを現像装置4に収容して、図1に示す画像形成装置をモノカラー画像形成装置に応用することも可能である。さらに、感光体ドラム1を公知のベルト感光体に置き換えることもできる。
【0029】
前記の一次転写部5としては、コロトロン等のコロナ転写器、転写ロール、転写ブレードなどが用いられる。一次転写部5にはトナーの帯電極性と逆極性の電圧が1〜4KV程度印加され、像担持体1と一次転写部5との間に発生する電界の作用により、像担持体1に担持されたトナー像が中間転写ベルト7に一次転写される。
【0030】
電極部材12としては、電気良導性の部材であれば特に限定されるものではなく、例えばアルミニウム、ステンレス鋼、銅からなる金属ロール、導電性ゴムロール、導電性ブラシ、金属プレート、導電性樹脂プレート等が用いられる。電極部材12からは、バックアップロール9を通じて−1〜−5kVの転写電圧がバイアスロール10に印加される。電極部材2に印加される電圧の極性は、トナーの帯電極性に応じて逆極性(プラス)に帯電してもよい。
上記の二次転写部において、電極部材12は必ずしも必要な部材ではなく、例えばバックアップロール9の導電性シャフト又はバイアスロール10に上記転写電圧を印加してもよい。
【0031】
本発明の画像形成装置は、前記中間転写ベルト7として、ポリイミド樹脂に脱ドープ状態のポリアニリン及びドーパントを分散してイオン導電性を付与したポリマーブレンド樹脂で構成し、表面抵抗率を1010.0〜1013.0Ω/□の範囲で、かつ体積抵抗率が1010.5〜1013.5Ωcmの範囲であるを特徴とする。
【0032】
本発明の転写ベルトは、ポリアミック酸と脱ドープ状態のポリアニリンとドーパント剤から成る成膜溶液をSUSシートなどの基材上にキャスティングし、基材上に上記成膜溶液の層を形成し、60〜200℃の温度に加熱して基材上に樹脂被膜を形成し、必要に応じて該樹脂被膜を基材から剥離し、250〜450℃の温度に加熱してポリアミック酸をイミド化させることによって転写体用の樹脂シートを得る。この樹脂シートは基材に接していた表面の方が平滑であるため、その表面を転写面として使用することが望ましい。なお、上記管状の基材を用いるときは、チューブ状の製品を得ることができる。
【0033】
ポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無水物又はその誘導体と、ジアミンとの、ほぼ等モル混合物を有機極性溶媒に溶解し、溶液状態で反応させることによって溶液として得ることができ、ポリイミドの前駆体として調整される。このようなポリアミック酸は加熱によって不溶不融のポリイミドが得られる。
【0034】
本発明で使用するポリアミック酸は、特に、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとの反応によって得られるポリアミック酸が好ましく用いられる。
上記芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸、ナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸、2,3,5,6−ジフェニルテトラカルボン酸、2,2’,3,3’−ジフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−アゾベンゼンテトラカルボン酸、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン、β,β−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、β,β−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフロロプロパン等が挙げられる。
【0035】
また、上記芳香族ジアミン成分としては、m−フェニルジアミン、p−フェニルジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノクロロベンゼン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、2,4’−ジアミノナフタレビフェニル、ベンジジン、3,3−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(オキシ−p,p’−ジアニリン;ODA)、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノフェニルスルホン、4,4’−ジアミノアゾベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、β,β−ビス(4−アミンフェニル)プロパン等が挙げられる。
【0036】
また、上記有機極性溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミド等を挙げることができる。これらの有機極性溶媒には、必要に応じて、クレゾール、フェノール、キシレノール等のフェノール類、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類を混合することができる、これらの溶剤も、単独で又は2種類以上の混合物として用いることができる。
【0037】
本発明で用いるポリアニリンは、キノンジイミン構造単位及び/又はフェニレンジアミン構造単位を主たる繰り返し単位として有し、脱ドープ状態において溶剤に可溶性を有するポリアニリン(以下、ポリアニリンキノンジイミン・フェニレンジアミン型ポリアニリンという)が望ましい。
【0038】
本発明において、ポリアニリンをイオン導電性にするためのドーパントとしては、プロトン酸を好ましく用いることができる。ドーパントとして好ましいプロトン酸は、酸解離定数pKa値が4.8以下であるプロトン酸である。そのようなプロトン酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸、及びアリルスルホン酸、キシレンスルホン酸、エタンスルホン酸、クロロベンゼンスルホン酸などの有機酸を挙げることができる。
【0039】
本発明の転写体は、表面抵抗率が1010.0〜1013.2Ω/□の範囲で、かつ体積抵抗率が109.8 〜1013.5Ωcmの範囲、好ましくは表面抵抗率が1011.0〜1012.5Ω/□の範囲で、かつ体積抵抗率が1012.0〜1013.0Ωcmの範囲であることが適当である。この表面抵抗率及び体積抵抗率は、脱ドープ状態のポリアニリン量及びドーパント量を調節することによって上記範囲の転写体を容易に得ることができる。
【0040】
図3は、脱ドープ状態のポリアニリンの配合量(同量のドーパントを配合)と表面抵抗率との関係を示したものである。表面抵抗率は、前記ポリアニリンの配合量が増えるとともに低くなり、配合量5重量%で1013.2Ω/□を示し、配合量40重量%で1010.0Ω/□を示した。
【0041】
また、図4は、脱ドープ状態のポリアニリンの配合量(同量のドーパントを配合)と体積抵抗率との関係を示したものである。体積抵抗率は、前記ポリアニリンの配合量が増えるとともに低くなり、配合量5重量%で1013.5Ωcmを示し、配合量40重量%で109.8 Ωcmを示した。
【0042】
図3及び図4から明らかなように、本発明のポリマーブレンドは、脱ドープ状態のポリアニリン及びドーパントを5〜40重量%、好ましくは10〜25重量%の範囲で配合することにより、イオン導電性を付与して上記の表面抵抗率及び体積抵抗率に調整することが可能となった。
なお、図5は、図3及び図4から求めた表面抵抗率と体積抵抗率の関係を示した図である。
【0043】
本発明のポリマーブレンドは、イオン導電性樹脂シートにおいて、脱ドープ状態のポリアニリン100重量部に対してドーパントを50〜150重量部、好ましくは80〜100重量部の範囲で配合するのが適当である。50重量部を下回ると、所望のイオン導電性を発現するためのポリアニリンの量を多く配合する必要があり、必要な機械強度が得られなくなる。また、150重量部を超えると、45℃、85%RHの高温、高湿度の下において、遊離しているドーパントが、ブリードして感光体を汚染するなどの問題が発生する。
【0044】
上記成膜溶液を基材上キャスティングし、基材上に上記成膜溶液の層を形成して上記の樹脂シートは、溶媒を蒸発させて除去する工程において、加熱時のばらつきなどにより溶媒の蒸発が不均一になると、樹脂シートの表面(空気面)に微小な突起が発生して表面の平滑性が悪くなる場合がある。そして、転写体は、トナー像を転写して、かつ像担持体に良好な転写を行うためには、転写体の表面は平滑であることが望まれる。それ故、本発明の転写体では、上記の樹脂シートのSUS基材側表面を転写面として使用することが望ましい。
【0045】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(画像形成装置)
図2は本発明の画像形成装置として中間転写ベルトを備えたデジタルカラー複写機の全体図である。
図2において、プラスチック製の天板21上に載置した原稿(図示せず)の下面に沿って移動する原稿照明用ランプ22から放射し、原稿で反射した光を移動ミラーユニット23、レンズ24、固定ミラー25を介して画像読取部のCCDで受光する。CCDは、多数の光電変換素子により上記原稿画像を各色毎に電気信号に変換する。この電気信号は画像処理回路26に入力され、画像処理回路26で各色毎に処理された原稿画像読取信号をデジタル信号に変換して画像メモリに記録する。
【0046】
光書込制御装置27は、上記画像処理回路26の画像データを所定のタイミングで読み出して、光ビーム書込制御装置28に出力する。光ビーム書込制御装置28は、矢印方向Aに回転する感光体ドラムからなる像担持体1に各色に対応した静電潜像を書き込む。
【0047】
像担持体1の周囲には、その表面を一様に帯電させる帯電器2、像担持体1に書き込まれた静電潜像を各色のトナー像に現像する現像装置4、各色のトナー像を中間転写ベルト7に転写する一次転写ロール5、クリーニングブレード及び除電器を有するクリーニングユニット6が配置されている。上記現像装置4は、B、Y、M、Cの各色トナーを収容した現像器を有し、それぞれ各色のトナーで上記静電潜像を現像して可視化する。
【0048】
上記中間転写ベルト7は、テンションロール8a、8b、8c、及びバックアップロール9に張架され、像担持体1表面に当接しながらその接線方向に走行する。未定着トナー像を担持する中間転写ベルト7の表側には、バックアップロール9及びテンションロール8aに対向して、それぞれバイアスロール10及びベルトクリーナ11が配置されている。バックアップロール9には、トナーと同極性の二次転写電圧を印加する電極ロール12が押接されている。また、バイアスロール10とベルトクリーナ11の間には、二次転写されたトナー像を担持する用紙Pを中間転写ベルト7から剥がす剥離爪29が配置されている。バイアスロール10表面には、ポリウレタンで形成されたクリーニングブレード30が常時当接していて、転写工程で付着したトナー粒子や紙粉等の異物が除去される。
【0049】
画像形成装置U本体の下部には抽出自在の給紙トレイ13が設けられ、その上方にピックアップローラ31が配置されている。このピックアップローラ31の下流側には、用紙Pの重送を防止する一対のフィードロール32、用紙搬送ロール33、用紙Pを案内するガイド部材34及びレジストロール35が順次配置されている。前記二次転写部の下流側には、二次転写されたトナー像を担持した用紙Pを搬送する搬送ベルト36、用紙P上の未定着トナー像を定着処理する定着装置14、定着画像が形成された用紙Pを排出する一対の排出ロール37、及び排出された用紙Pを載置する排紙トレイ38が順次配置されている。
【0050】
(画像形成装置の作用)
矢印方向Aに回転する像担持体1は、帯電器2により表面が所定の電位に帯電され、光ビーム書き込み装置28により静電潜像が書き込まれる。像担持体1上の静電潜像は現像装置4によりトナー像に現像される。このトナー像の形成は、最初に第1色目のトナー像が形成され、その後、像担持体1が1回転する毎に、第2色目から第4色目のトナー像が順次形成される。本実施例では、B、Y、M、C色のトナー像が順次形成されるようになっている。像担持体1表面は、トナー像が中間転写ベルト7に転写された後、クリーニングユニット6により像担持体1表面の残留トナー及び電荷が除去される。
【0051】
ここで、前記光書込制御装置27では、最初に第1色目のB色に画像処理されたデジタル信号を読出して光ビーム書込制御装置28に出力する。この書込装置28は像担持体1表面にB色に対応した静電潜像を書き込む。B色に対応した静電潜像は現像装置4内の現像器BによりB色の可視化されたトナー像に現像され、一次転写部に移動する。一次転写部において、中間転写ベルト7の裏側に配置された一次転写ロール5からトナー像にその帯電極性とは逆極性の電界を作用させることにより、一次転写部に到達したB色のトナー像を静電的に中間転写ベルト7に吸着させつつ、中間転写ベルト7の矢印方向Bに走行させて一次転写させる。
【0052】
中間転写ベルト7は、Bトナー像を吸着担持したまま像担持体1と同一周速で走行する。1色目のBトナー像の転写が終了すると、光書込装置27からの出力により、ブルーのフィルタで色分解された光像に対応する静電潜像の書込みが開始される。そして、Bトナー像を担持した中間転写ベルト7の転写開始位置が一次転写部に到達すると、一次転写ロール5によって2色目のYトナー像の転写が行われる。続いて、グリーン、レッドのフィルタで色分解された光像に対応する静電潜像が現像器M、Cにより可視化され、Mトナー像及びCトナー像の転写が上記トナー像の転写と同様に行われる。
【0053】
このようにして、各色に重ね合わされた多重トナー像が中間転写ベルト7上に形成される。この各色のトナー像が中間転写ベルト7上に一次転写されるまでは、中間転写ベルト7の表側に配置された前記バイアスロール10、剥離爪29、及びベルトクリーナ11は、中間転写ベルト7から離間した退避位置に保持されている。
【0054】
一方、給紙トレイ13に収容された用紙Pは、ピックアップローラ31により所定のタイミングで1枚ずつ取り出されて、一対のフィードロール32、用紙搬送ロール33により給紙され、一対のレジストロール35で一旦停止される。用紙Pは、その後中間転写ベルト7上に転写された各色(B、Y、M、C)の多重トナー像が二次転写部に移動してくるのと同期して、レジストロール35から二次転写部に搬送される。
【0055】
二次転写部において、バイアスロール10は中間転写ベルト7を介してバックアップロール9に圧接した状態にある。そして、搬送されてきた用紙Pは、ロール9、10間の圧接搬送および中間転写ベルト7の走行によって二次転写部を通過する。この際、トナー像の帯電極性と同極性の転写電圧を電極ロール12に印加することにより、中間転写ベルト7に吸着担持されていた多重トナー像が中間転写ベルト7表面から用紙Pに二次転写される。
【0056】
以上、フルカラー画像の転写について述べてきたが、モノカラー画像を形成する場合は、中間転写ベルト7上に一次転写された例えばB色のトナー像が二次転写部に移動してきた時、直ちにトナー像は用紙Pに転写される。2色または3色のカラー画像を形成する場合は、所望の色相を選択して、多重トナー像が転写部に移動してきた時にトナー像を用紙Pに転写すればよい。
【0057】
このようにして、トナー像が所望の色相に転写された用紙Pは、剥離爪29の作動により剥離され、搬送ベルト36に載置されて定着装置14に搬送される。この定着装置14において、未定着トナー像を固定して永久画像に定着処理した後、用紙Pは一対の排出ロール37により排出トレイ38に排出される。二次転写が完了すると、中間転写ベルト7は、二次転写部の下流側に設けられたベルトクリーナ11によりクリーニングされ、次の転写に備える。
【0058】
〔実施例1〕
ポリアニリンキノンジイミン・フェニレンジアミン型ポリアニリンを、酸解離定数pka値4.0以下のプロトン酸である硫酸でドーピングしてアニリンの酸化重合体を生成し、次いで、このドープされたポリアニリンを塩基性物質であるアンモニアによって脱ドープ状態のポリアニリンを得た。この脱ドープ状態のポリアニリンをN−メチル−2ピロリドンに溶解して脱ドープ状態のポリアニリン溶液(濃度15重量%)を得た。
【0059】
次いで、ポリアミック酸溶液(濃度20重量%)425gに、前記の脱ドープ状態のポリアニリン溶液100gの比率で添加し、さらに、脱ドープ状態のポリアニリンと同量ドーパントであるリン酸を加え、脱ドープ状態のポリアニリンと、ドーパント剤のリン酸と、ポリイミド前駆体からなる成膜溶液を得た。
【0060】
前記の成膜溶液をステンレススチール製シート状基材上に厚さ300μmに均一に流延し、120℃で120分乾燥した後、さらに150℃で30分、200℃で30分、250℃で60分、420℃で30分と段階的に昇温してイミド化を終了した後、これを剥離して厚さ80μmの脱ドープ状態のポリアニリン15重量%を含有してなるポリイミドのシートを得た。
【0061】
得られたポリイミドシートを長さ540mm、幅320mmに切削した後、ステンレススチールに接していた面をベルトの表面となるように、シートの一端部10mmを一液性弾性接着剤(スーパーX8008:セメダイン(株)製)を塗布して両端部を接合し、シームレスの中間転写ベルト7を形成した。得られた中間転写ベルトの表面抵抗率は1011.8Ω/□であり、体積抵抗率1012.3Ωcmであった。また、前記ベルトの表面抵抗率の低下は100.05Ω/□であった。
【0062】
なお、体積抵抗率と表面抵抗率の測定は全て、抵抗計(ハイレスターIPのHRプローブ:三菱油化(株)製)を用い、100Vの電圧を印加してから30秒後の電流値を読みとって求めた。
【0063】
〔比較例1〕
前記Nメチル2ピロリドンを溶媒とするポリイミドワニス(ユーピレックスS:宇部興産(株)製)溶液に、その樹脂成分100重量部に対してカーボンブラックを18重量部添加してミキサーで混合し、成膜溶液を得た。得られた成膜溶液を直径168mm、高さ500mmのステンレススチール製円筒状基材に注入し120℃の熱風で120分間乾燥させながら遠心成形した。
【0064】
次いで、半硬化状態で基材から剥離した円筒状フィルムを鉄芯に被せ、30分かけて120℃から350℃に昇温して溶媒を蒸発させた後、さらに450℃で20分間加熱して、ポリアミック酸を脱水縮合させ本硬化させた。得られた80μm厚のカーボンブラック分散ポリイミドフィルムを320mm幅に切断して、シームレスの中間転写ベルト7を完成した。
得られた中間転写ベルトの表面抵抗率は1011.8Ω/□で、体積抵抗率は108.9 Ωcmであった。また、前記ベルトの表面抵抗率の低下は100.3 Ω/□であった。
【0065】
〔比較例2〕
導電性金属酸化物として、酸化錫系導電剤で被覆された平均粒子径0.4μmの硫酸バリウム(パストランType−IV:三井金属(株)製)をγ−アミノプロピルトリエトキシシランで表面処理したものを用いた。この導電性金属酸化物を、実施例1で用いたポリイミドワニスの樹脂成分100重量部に対して37重量部添加して、ミキサーで充分に混合して成膜溶液を得た。得られた成膜溶液をステンレススチール製シート状基材上に厚み300μmに均一に流延し、120℃で120分乾燥した後、さらに150℃で30分、200℃で30分、250℃で60分、420℃で30分と段階的に昇温して、厚さ75μmのポリイミドシートを得た。
【0066】
得られたポリイミドシートを長さ540mm、幅320mmに切削した後、シートの一端部10mmに一液性弾性接着剤(スーパーX8008:セメンダイン(株)製)を塗布し、両端部を接合してシームレスの中間転写ベルト7を得た。得られた中間転写ベルトの表面抵抗率は1011.8Ω/□で、体積抵抗率は107.5 Ωcmであった。また、前記ベルトの表面抵抗率の低下は100.5 Ω/□であった。
【0067】
〔比較例3〕
押出成形法により、厚さ150μmのカーボンブラック分散熱可塑性PC(ポリカーボネイト)樹脂製のシームレス中間転写ベルトを製造した。この中間転写ベルトの表面抵抗率は1011.9Ω/□であり、体積抵抗率は1012.5Ωcmであった。また、前記ベルトの表面抵抗率の低下は101.8 Ω/□であった。
【0068】
〔比較例4〕
押出成形法により、厚さ150μmのカーボンブラック分散熱可塑性ETFE製のシームレス中間転写ベルトを製造した。この中間転写ベルトの表面抵抗率は1011.5Ω/□であり、体積抵抗率が109.0 Ωcmであった。また、前記ベルトの表面抵抗率の低下は102.3 Ω/□であった。
【0069】
(中間転写ベルトの表面抵抗率、体積抵抗率及び表面抵抗率の低下量)
実施例1及び比較例1〜4の中間転写ベルトは、予め表面抵抗率を測定した後、前記中間転写ベルトを図2の画像形成装置に装着し、一次転写電圧を1.2kVに印加し、二次転写電圧を−4.5kVに印加して1000枚の連続プリントした後の表面抵抗率を測定し、その差を表面抵抗率の低下量(logΩ/□)として表1に示した。また、表面抵抗率及び体積抵抗率も表1に示した。
【0070】
(画質評価)
実施例1及び比較例1〜4の中間転写ベルトを図2に示す画像形成装置に装着し、コピーテストを行って得られた画質の状態を下記の基準で目視により判定した。
ホロキャラ評価
○:ホロキャラクタの発生なし
×:ホロキャラクタの発生あり
ブラー評価
○:ブラーの発生なし
×:ブラーの発生あり
【0071】
【表1】
Figure 0003697912
【0072】
(評価結果)
表1から明らかなように、実施例1の中間転写ベルトは、ベルト材料の表面抵抗率及び表面層の体積抵抗率が適性な範囲にあり、表面抵抗率の低下量も僅かであるため、ブラー及びホロキャラクタが発生するようなことはなかった。
【0073】
一方、比較例1のカーボンブラック分散ポリイミド及び比較例2の金属酸化物分散ポリイミドからなる中間転写ベルトは、いずれも体積抵抗率が適性な範囲より低いためブラーが発生した。また、表面抵抗率の低下量も実施例1に比べて1桁大きいため、ホロキャラクタが発生した。
【0074】
また、比較例3のカーボンブラック分散PC樹脂の中間転写ベルトは、転写部でベルトに印加される転写電圧によって、中間転写ベルトの表面抵抗率は1.8桁(11.9→10.1:logΩ/□)も低下した。比較例4のカーボンブラック分散ETFE樹脂の中間転写ベルトは、体積抵抗率が適性な範囲より低いためにブラーが発生し、かつ、転写部でベルトに印加される転写電圧によって、中間転写体材料の抵抗は2.3桁(11.5→9.2:logΩ/□)も低下した。
【0075】
【発明の効果】
本発明は、上記の構成を採用することにより、中間転写ベルトの表面抵抗率及び体積抵抗率を適正な範囲に調整することができ、転写時にブラーの発生を防止することができた。また、除電機構も不用とした。さらに、経時的な中間転写体の表面抵抗率の低下という問題がないので、高品質の転写画質を経時的に安定して得ることが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例である画像形成装置の概略図である。
【図2】本発明の1実施例である画像形成装置の全体図である。
【図3】脱ドープ状態のポリアニリンの配合量(ドーパントを同量配合)と表面抵抗率との関係を示した図である。
【図4】脱ドープ状態のポリアニリンの配合量(ドーパントを同量配合)と体積抵抗率との関係を示した図である。
【図5】図3及び図4より求めた表面抵抗率と体積抵抗率の関係を示した図である。
【図6】カーボンブラック分散ポリイミド樹脂材料の表面抵抗率と体積抵抗率の関係を示した図である。
【図7】導電性金属酸化物分散ポリイミド樹脂材料の表面抵抗率と体積抵抗率の関係を示した図である。
【符号の説明】
1 潜像担持体、 2 帯電器、 3 画像書込装置、 4 現像装置、 5一次転写器、 7 中間転写ベルト、 8a,8b,8c テンションロール、 9 バックアップロール、 10 バイアスロール、 13 給紙トレイ、14 定着装置、 22 原稿証明用ランプ、 28 光ビーム書込制御装置、 30 クリーニングブレード、 34 ガイド部材、 36 搬送ベルト。

Claims (6)

  1. 画像情報に対応した静電潜像を形成する像担持体と、前記静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像手段と、前記像担持体上の前記トナー像を記録媒体に転写する転写体を備えた画像形成装置において、前記転写体は、ポリアミック酸と脱ドープ状態のポリアニリンとドーパントから成る成膜溶液を基材上に形成し、加熱してポリアミック酸をイミド化させ、前記基材側の表面を転写面として形成されてなるものであることを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記ポリマーブレンド樹脂は、前記ポリアニリンを5〜40重量%の範囲で含有することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  3. 前記ポリマーブレンド樹脂は、前記ドーパンを5〜40重量%の範囲で含有することを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
  4. 前記転写体は、表面抵抗率が1010.0〜1013.2Ω/□の範囲にあり、かつ体積抵抗率が109.8 〜1013.5Ωcmの範囲にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  5. 前記転写体は、ポリアミック酸、脱ドープ状態のポリアニリン及びドーパントを含有する成膜溶液を調製する間に、前記ポリアニリンをドーピングして前記ポリマーブレンド樹脂のイオン導電性を調整し、基材表面に前記成膜溶液を塗布して被膜を形成し、250〜450℃の温度で加熱して前記ポリアミック酸をイミド化したポリマーブレンド樹脂シートを形成し、前記基材から剥離して用いたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  6. ポリアミック酸と脱ドープ状態のポリアニリンとドーパントから成る成膜溶液を基材上に形成し、加熱してポリアミック酸をイミド化させ、前記基材側の表面を転写面として形成されてなるものであることを特徴とする転写体の製造方法。
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