JP5098251B2 - 半導電性部材の製造方法。 - Google Patents

半導電性部材の製造方法。 Download PDF

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Description

本発明は、半導電性部材の製造方法に関する。
電子写真方式を利用した画像形成装置は、無機又は有機の光導電性材料で構成された感光体からなる感光体上に一様な電荷を付与し、画像信号を変調したレーザー光等で前記感光体上に静電潜像を形成した後、トナーを用いて静電潜像を現像してトナー像を形成する。そして、感光体上の前記トナー像を直接あるいは中間転写体を介して、用紙等の記録媒体に転写することにより所要の再生画像を得る。感光体上に形成されたトナー像を中間転写体に一旦転写し、さらに中間転写体上のトナー像を記録媒体に二次転写する方式を採用した画像形成装置は、例えば特許文献1に記載されている。
中間転写体方式を採用した画像形成装置の転写ベルトの材料としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)(例えば、特許文献2及び特許文献3)、ポリカーボネート(PC)(例えば、特許文献4)ポリアルキレンテレフタレート(PAT)(例えば、特許文献5)、PCとPATのブレンド材料(例えば、特許文献6)、エチレンテトラフロロエチレン共重合体(ETFE)とPCとのブレンド材料、ETFEとPATとのブレンド材料、ETFEとPCとPATのブレンド材料(例えば特許文献7)などの熱可塑性樹脂に、カーボンブラックなどの導電剤を分散させた導電性無端ベルトが提案されている。
しかし、上記の導電剤を分散した熱可塑性樹脂からなる中間転写ベルトは、機械的特性が劣り、駆動時の応力に対するベルトの変形が大きく、高品質の転写画質を安定して得ることができない。また、PVDF,PC,ETFEなどの熱可塑性樹脂にカーボンブラックを分散してなる中間転写体は、カーボンブラックの分散ばらつきにより、抵抗のばらつきが大きくなり、均一な画質を得る事が出来ない。
また、機械特性の優れた材料としては、ポリイミド樹脂あるいは、ポリアミドイミド樹脂などを挙げることができる。例えば、特許文献8には、カーボンブラックを分散したポリイミド樹脂からなるシームレスベルトが提案されている。また、特許文献9ではカーボンブラックを分散したポリアミドイミド樹脂を用いて、画像形成装置用転写ベルトを形成している。
これらのシームレスベルトは、前記熱可塑樹脂と同様にカーボンブラックを分散してなることから、カーボンブラックの分散ばらつきにより、抵抗のばらつきが大きくなり、高画質電子写真に必要な均一な画質を得る事が出来ない。
同じくポリイミドを用いた事例として、例えば、特許文献10では、ポリイミド樹脂に対してポリアニリンを導電材として用い、電気ストレスに対して長寿命な転写ベルトが提案されている。しかしながら、このベルトはポリイミドが300℃以上でイミド化反応を進行させて硬化させる工程を必要とするため、ポリアニリンが分解劣化し、導電化に有効なポリアニリンの比率を低下させるだけでなく、フィルムの機械特性を著しく低下させてしまうという問題がある。
基材にポリイミドと同様に機械特性に優れたポリアミドイミドを用いた事例として、例えば、特許文献11では、耐熱性、機械的強度及び透明性に優れた電子写真用半導電樹脂ベルトを、半導電性フィルムおよびポリアニリンを用いて解決している。しかしながら、本発明では、フィルムが透過性を有するため、電子写真の転写機構で通常用いられるベルト表面反射を利用した画像制御が不可能である。
特開昭62−206567号公報 特開平5−200904号公報 特開平6−228335号公報 特開平6−95521号公報 特開平6−149081号公報 特開平6−149083号公報 特開平6−149079号公報 特開昭63−11263号公報 特開2003−261768号公報 特開2003−122435号公報 特開2003−261767号公報
上述のように、従来技術では、機械的特性及び電気的特性の双方に優れた半導電性部材を提供することは困難であった。
そこで、本発明は、機械的及び電気的特性に優れた半導電性部材の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明者らは、下記本発明により当該課題を解決できることを見出した。すなわち、本発明は、
> ポリアミドイミド樹脂と、非導電状態のポリアニリンと、該ポリアニリンを導電化させるドーパントと、有機極性溶媒と、を含有してなるポリアミドイミド樹脂組成物を、200℃以上290℃以下の最高温度で加熱する加熱工程を有することを特徴とする半導電性部材の製造方法である。
> 前記加熱工程における、前記ポリアミドイミド樹脂組成物を加熱するときの最高温度X(℃)と、該最高温度の保持時間Y(hr)と、がY・2(X−200)/10≦128の関係を満たすことを特徴とする半導電性部材の製造方法である。
本発明の半導電性部材の製造方法によれば、機械的及び電気的特性に優れた半導電性部材の製造方法を提供することができる。
本発明の半導電性部材は、導電状態にされたポリアニリンと、ポリアミドイミド樹脂と、を含み、波長520nmの光に対する光透過率λgと、波長670nmの光に対する光透過率λrと、の比λg/λrが1以上であることを特徴としている。
なお、「半導電性」とは、部材の体積抵抗率が10Ωcm〜1013Ωcmの範囲内であることを示している。
本発明の半導電性部材は、緑色の光である波長520nmの光に対する光透過率λgと、赤色の光である波長670nmの光に対する光透過率λrと、の比λg/λrが1以上である。
上記光透過率は、厚み20μmの半導電性部材の厚さ方向における光の透過率を示し、日立ハイテクノロジーズ社製の分光光度計(商品名:U−4000)にて測定することができる。半導電性部材から上記光透過率を測定するには、半導電性部材の厚みが20μmを超える場合には厚みが20μmになるよう切り出した試験片にて測定すればよく、半導電性部材の厚みが20μm未満の場合には厚みが20μmになるように積層した試験片にて測定すればよい。但し、積層する試験片の間には空気等が入らないよう密着させることが必要である。
半導電性部材に含まれるポリアニリンは、詳細は後述するが、導電状態及び非導電状態、すなわち、プロトンによるドープ状態、及び脱ドープ状態により著しく電気化学活性が変化することが知られている。具体的には、主鎖骨格はp位で結合した構造が主体であり、主鎖中の構造単位は、酸化還元により、ロイコエメラルジン、エメラルジン、エメラルジン塩、及びペルニグラニリンの4構造を取るとされている。なお、ロイコエメラルジンは黄色を呈し、エメラルジン塩基は、青色を呈し、ペルニグラニリンは、紫色を呈し、エメラルジン塩が、緑色を呈することが知られている。
これらの構造中ではエメラルジン塩のみが導電性であって、プロトンが導電性に大きな役割を果たしている。
なお、本実施の形態では、導電状態にあるポリアニリンを、プロトンによりドープされた状態であることからドープされたポリアニリン、またはドープ状態のポリアニリンと称し、非導電状態にあるポリアニリンを、プロトンによるドープがなされていない状態であることから脱ドープ状態のポリアニリンと称して説明する。
半導電性部材において、ポリアニリンが導電性を有するときの色である緑色に対応する波長520nmの光に対する光透過率λgと、緑色の補色である赤色に対応する波長670nmの光に対する光透過率λrと、の比λg/λrが、1以上であることから、本発明の半導電性部材は、含有するポリアニリンの導電効率の高い状態にあるといえる。
半導電性部材の上記光透過率λgと光透過率λrとの比であるλg/λrは、1以上であることが必須であるが、1.05以上であることが好ましく、1.30以上であることが更に好ましい。なお、光透過率λgが大きければ大きい程半導電性部材の導電性が高くなるため、λg/λrの上限は特に限定されない。
λg/λrが1未満であると、ポリアニリンが熱劣化してしまった等の結果、ポリアニリンの導電効率が悪化するため導電性に劣ると言う問題が生じることがある。
本発明の半導電性部材は、ポリアミドイミド樹脂を含むことで、機械的特性及び耐熱性を確保することができる。この特性に加え、ドープされたポリアニリンを含有し、波長520nmの光に対する光透過率λgと、波長670nmの光に対する光透過率λrとの比λg/λrが1以上であることから、機械的特性に優れ、且つ導電効率の高いポリアニリンを含有するポリアミド部材を提供することができる。
さらに本発明の半導電性部材は、緑色の補色である赤色に対応する波長670nmの光に対する光透過率λrが50%未満である。λrが50%未満であるということは、半導電性部材中に含まれる導電性に関与しないポリアニリンの量が少ないことを意味する。前述のλg/λrが1以上であることも影響し、ポリアニリンの導電効率を高くすることができ、少量の添加で半導電性部材を得ることができる。
なお、上記光透過率λrは、50%未満であることが必須であるが、10%以上40%未満であることが好ましく、10%以上30%未満であることが特に好ましい。
本発明の半導電性部材は、印加電圧100Vにおける表面抵抗率のばらつきが0.3logΩ/□以下であり、0.2logΩ/□以下であることが好ましい。
上記「表面抵抗率のばらつき」とは、半導電性部材表面内を、幅方向及び周方向各々に分割することにより複数領域に分割し、各領域内の表面抵抗率の常用対数値の測定結果の、最大値と最小値との差の絶対値を示している。
上記表面抵抗率のばらつきが0.3logΩ/□以下であると、局所的に導電性の大きな領域が生じることが少ないために、濃淡の均一な画像を得る事が容易となる。
一方、半導電性部材の表面抵抗率のばらつきが0.3logΩ/□より大きい場合には、局所的に導電性の大きな領域が生じることから、後述する電子写真方式の画像形成装置の中間転写ベルトとして用いたときに、電荷の不均一により画像の濃淡が発生し、画質劣化の要因となることがある。
さらに、本発明の半導電性部材は、印加電圧100Vにおける表面抵抗率の常用対数値と、印加電圧1000Vにおける表面抵抗率の常用対数値と、の差の絶対値(表面抵抗率の電圧依存性)が、0.3logΩ/□以下であり、好ましくは、0.2logΩ/以下である。
表面抵抗率の電圧依存性が0.3logΩ/□以下であると、異なる電圧を印加したときの表面抵抗率の常用対数値の差の絶対値が小さいことから、印加電圧変化による電気抵抗の変動の小さい半導電性部材を提供することができる。
また、詳細を後述する電子写真方式の画像形成装置の中間転写ベルトとして使用した場合に、転写電圧による電界集中がより起こりにくくなるので、例えば用紙走行部の表面抵抗率が低下して、ハーフトーンの画像において、用紙走行部に対応する画像が白く抜けるなどの画質欠陥の発生を防止することができる。
一方、表面抵抗率の電圧依存性が、0.3logΩ/□より大きいと、印加電圧変化による電気抵抗の変動により、放電現象が生じ、詳細を後述する電子写真方式の画像形成装置の中間転写ベルトとして使用した場合に、トナーの意図しない移動などによる画像欠陥が生じ、画質劣化を引きおこすという問題がある。
上記表面抵抗率は、円形電極(例えば、油化電子(株)製HRプローブ)を用い、測定することができる。具体的には、図2に示すような円形電極を用いて測定することができる。図2は、表面抵抗を測定する円形電極の一例を示す概略平面図(a)及び概略断面図(b)である。図2に示す円形電極は、第一電圧印加電極Aと板状絶縁体Bとを具える。第一電圧印加電極Aは、円柱状電極部Cと、該円柱状電極部Cの外径より大きい内径を有し、かつ円柱状電極部Cを一定の間隔で囲む円筒上のリング状電極部Dとを備える。第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部C及びリング状電極部Dと板状絶縁体Bとの間に測定対象となる半導電性部材Tを挟持し、第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部Cとリング状電極部Dとの間に電圧100(V)、または電圧1000(V)を印加して、30秒後に流れる電流I(A)を測定し、下記式(1)により、半導電性部材Tの表面抵抗率ρs(Ω/□)を算出することができる。ここで、下記式(1)中、d(mm)は、円柱状電極部Cの外径を示す。また、D(mm)はリング状電極部Dの内径を示す。なお、前記表面抵抗率の測定は22℃、55%RHの環境で行った。
式(1) ρs=π×(D+d)/(D−d)×(100(V)/I)
また、半導電性部材の体積抵抗率は、表面抵抗率と同様、図2に示す測定装置を用いて測定することができる。
図2において、第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部Cおよびリング状電極部Dと、上記表面抵抗率の測定時に用いた板状絶縁体Bを第二電圧印加電極Bとして、この第二電圧印加電極Bと、の間に測定対象となる半導電性部材Tを挟持し、第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部Cと第二電圧印加電極Bとの間に電圧100(V)を印加して、30秒後に流れる電流I(A)を測定し、円柱状電極部Cの外径dが16mmの場合には、下記式(2)により、半導電性部材Tの表面抵抗率ρv(Ωcm)を算出することができる。ここで、下記式(2)中、tは半導電性部材Tの厚さ(cm)を示す。なお、上記体積抵抗率は、22℃、55%RHの環境で測定したものである。
式(2) ρv=19.6×(100(V)/I)×t
本発明の上記半導電性部材は、ポリアミドイミド樹脂と、非導電状態、すなわち、脱ドープ状態のポリアニリンと、該ポリアニリンを導電化させるドーパントと、有機極性溶媒と、を含有してなるポリアミドイミド樹脂組成物を、200℃以上290℃以下の最高温度で加熱する加熱工程を経て製造することができる。
上記ポリアミドイミド樹脂組成物に含まれるポリアミドイミド樹脂は、酸クロリド法またはイソシアネート法など公知の方法で製造することができる。
例えば、ポリアミドイミド樹脂は、酸成分と、ジアミンと、を有機極性溶媒中で、60〜200℃、好ましくは100〜180℃に加熱しながら攪拌することで容易に製造することができる。
上記酸成分としてはトリメリット酸およびその酸無水物または酸塩化物、ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ビフェニルスルホンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸、エチレングリコールビストリメリテート、プロピレングリコールビストリメリテート等のテトラカルボン酸およびこれらの酸無水物、シュウ酸、アジピン酸、マロン酸、セバチン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、ジカルボキシポリブタジエン、ジカルボキシポリ(アクリロニトリル−ブタジエン)、ジカルボキシポリ(スチレン−ブタジエン)等の脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジカルボン酸、ダイマー酸等の脂環族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸等が挙げられ、これらの中では反応性、耐熱性、溶解性などの点からトリメリット酸無水物および1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸等のシクロヘキサンジカルボン酸が好ましい。
上記ジアミン(ジイソシアネート)としてはエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミンおよびこれらのジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン等の脂環族ジアミンおよびこれらのジイソシアネート、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、o−トリジン、2,4−トリレンジアミン、2,6−トリレンジアミン、キシリレンジアミン等の芳香族ジアミンおよびこれらのジイソシアネート等が挙げられ、これらの中では耐熱性、機械的特性、溶解性などから4,4’−ジアミノジフェニルメタン(ジイソシアネート)、イソホロンジアミン(ジイソシアネート)、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン(ジイソシアネート)等が好ましい。
上記ポリアミドイミド樹脂組成物に含まれる有機極性溶媒、及び上記ポリアミドイミド樹脂の製造に用いられる有機極性溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミド等を挙げることができる。これらの有機極性溶媒には、必要に応じて、クレゾール、フェノール、キシレノール等のフェノール類、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類を混合することができる、これらの溶剤も、単独で又は2種類以上の混合物として用いることができる。
本発明で用いられるポリアニリンは、キノンジイミン構造単位及び/又はフェニレンジアミン構造単位を主たる繰り返し単位として有し、脱ドープ状態において溶剤に可溶性を有するポリアニリン(以下、ポリアニリンキノンジイミン・フェニレンジアミン型ポリアニリンという)が望ましい。
ポリアミドイミド樹脂組成物に含まれる上記「非導電状態、すなわち、脱ドープ状態のポリアニリン(Emeraldine Base)」とは、以下に示すポリアニリンの取りうる4つの構造(A:ロイコエメラルジン、B:エメラルジン、C:ペルニグラニリン、D:エメラルジン塩)における「B」の状態に相当する。具体的には、例えば、特開平8−259709号公報の段落番号「0042」〜「0044」に記載の方法で得られたものや、愛知県工業技術センター研究報告 第37号 溶剤分離型ポリアニリンの作製に記載の方法で得られたもの等が挙げられる。
Figure 0005098251

ポリアニリンは、アニリン又はアニリン誘導体から酸化重合法にて容易に製造することができ、上記に示すように、ポリアニリンはその酸化の状態によって、A:ロイコエメラルジン(又はロイコエマラルジン)(leucoemeraldine)、B:エメラルジン(又はエマラルジン)(emeraldine)、C:ペルニグラニリン(pernigraniline)の構造を取ることが知られている。
この中でも、上記Bのエメラルジン構造を持つポリアニリンが、プロトン化、すなわち導電状態とすること(ドーピング)により、一番高い電気伝導度を持つ導電状態の(ドープ状態の)ポリアニリンとなり、空気の中で安定なので一番有用である。
すなわち、上記Bのエメラルジン構造を持つ脱ドープ状態のポリアニリンを、ドープ(導電化)とすることにより得られる、ドープ状態のポリアニリンである上記Dのエメラルジン塩構造を有するポリアニリンが、高い電気伝導度を有する。
ポリアニリンの合成は、特開平3−28229号公報に詳細に記載されているように、プロトン酸の存在下に溶剤中にてアニリンに温度を5℃以下、好ましくは0℃以下の温度を保持しつつ、酸化剤を作用させて酸化重合を行い、後述するドーパントを用いてドープされたアニリンの酸化重合体(以下、ドープされたポリアニリンという。)を生成させる。次いで、このドープされたポリアニリンを塩基性物質によって脱ドープすることによって得ることができる。
また、市販品としては、パニポール社製「Panipol PA」が挙げられる。
なお、ポリアニリンは通常においては酸化されやすいため、導電性向上、安定化のためにはパーニグルアニリン構造がより少ないことが好ましく、より還元状態からドーピング処理することで効率よくドーピングすることができる。本発明では、フェニルヒドラジン、ヒドラジン、ヒドラジン水和物、硫酸ヒドラジン、塩酸ヒドラジン等のヒドラジン化合物や、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素リチウム等の還元性水素化金属化合物等の還元剤を用いて還元処理し、溶媒中に溶解し、ドーピング処理を行なうことで、脱ドープ状態のポリアニリンを得る。
ポリアミドイミド樹脂組成物中の脱ドープ状態のポリアニリンの添加量(使用量)は、発現させる導電度によって適宜調整される。一般的には、ポリアミドイミド樹脂組成物中のポリアミドイミド樹脂100質量部に対して、添加されるポリアニリンは、3〜20質量部が好ましく、より好ましくは5〜15質量部である。ポリアニリンの添加量が3質量部未満であると所定の電気導電性を発現することができず、20質量部を超えると、得られる部材の強度を低下させるという問題がある。
また、脱ドープ状態のポリアニリンの数平均分子量は、機械的強度の確保と、導電性の付与の観点から、4000〜400000であることが好ましい。
本発明において、ポリアニリンをイオン導電性にするためのドーパントとしては、プロトン酸を好ましく用いることができる。ドーパントとして好ましいプロトン酸は、酸解離定数pKa値が4.8以下のプロトン酸である。
このようなプロトン酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸、及びアリルスルホン酸、キシレンスルホン酸、エタンスルホン酸、クロロベンゼンスルホン酸などスルホン酸化合物、有機カルボン酸化合物、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、フェノールホスホン酸等のリン酸化合物を挙げることができる。
このようなドーパントは、前記ポリアニリンの取りうる4つの構造における「B」の構造を有する脱ドープ状態のポリアニリンをプロトン化することで、導電性を付与することができる。具体的には、「B」の構造におけるキノンジイミン構造をイミン窒素へのプロトン化することにより、「D」の構造に変化させることで、脱ドープ状態のポリアニリンを導電性とすることができるものである。
このため、上記のようなドーパントの使用量(添加量)は、脱ドープ状態のポリアニリンの構造中のキノンジイミン構造単位の量により適宜決定される。
また、ドーパントは、所定の濃度の溶液として添加されることが好ましい
具体的には、ポリアミドイミド樹脂組成物中には、脱ドープ状態のポリアニリン1モル(上記「化1」のB構造)に対してドーパントを0.6〜3モル、好ましくは1〜2モルの範囲で配合するのが適当である。0.6モルを下回ると、所望の導電性を発現するためのポリアニリンの量を多く配合する必要があり、必要な機械強度が得られなくなる。また、3モルを超えると、28℃、85%RHの高温、高湿度の下において、遊離しているドーパントの影響で、各種環境下での電気特性の変化が大きく、実用に供し得ない。
また、半導電性部材の弾性率を高めるため、また、半導電性部材の湿度や温度による膨張を抑制するために、ポリアミドイミド樹脂組成物には、充填材(フィラー)を加えることもできる。
この充填材には、シリカ、アルミナ、マイカ、タルク、ウィスカー、硫酸バリウム等の絶縁性フィラー;酸化スズ、アンチモンドープ酸化スズ、インジウムドープ酸化スズ、アンチモンドープの酸化チタン、カーボンブラックなどの導電/半導電フィラー;などを使用することができる。導電/半導電フィラーを用いた場合は、添加量をパーコレーション閾値以下とすることで絶縁性フィラーと同等に使用することができる。
この場合、フィラーの50%粒子径(体積基準)は、0.1μm以上であることが好ましい。粒径が0.1μm以上である場合に、良好な補強効果、良好な膨張抑制効果を発揮することができる。
更に、その充填量は体積分率にて0.1〜10%であることが好ましい。体積分率が0.1%未満である場合には、補強効果が十分発揮されないことがあり、10%を超える場合には成形品の強度が低下することがあって靭性が劣るので好ましくない。
充填材を分散させ、その凝集体を壊砕する方法としては、ミキサーや攪拌子による攪拌、メディアを用いた分散、超音波分散などの物理的手法、更には分散剤の導入などの化学的手法が例示されるが、これらに限定されるものではない。
上記ポリアミドイミド樹脂組成物は、上記ポリアミドイミド樹脂と、上記脱ドープ状態のポリアニリンと、上記ドーパントと、上記有機極性溶媒と、を混合することにより、調整することができる。
このポリアミドイミド樹脂組成物を調製する際の混合手段としては、攪拌機、サンド・グラインド・ミル、アトライターなどが適当であるが、これらに限るものではなく、均一に混合できるものであればよい。
次に、本発明の半導電性部材の製造方法の一例を具体的に説明する。
本発明の半導電性部材は、上記ポリアミドイミド樹脂組成物を、200℃以上290℃以下の最高温度で加熱する加熱工程を有している。
詳細には、まず、上記ポリアミドイミド樹脂組成物を、円筒形基材である円筒状金型の内面若しくは外面に塗布する(塗布工程)。
なお、金型の代わりに、樹脂製、ガラス製、セラミック製など、従来既知の様々な素材の円筒形の成形型を用いることもできる。また、金型や成形型の表面にガラスコートやセラミックコートなどを設けること、また、シリコーン系やフッ素系の剥離剤を使用することも適宜選択されうる。
なお、円筒状金型に対するクリアランス調整がなされた膜厚制御用金型を、円筒形金型に通し平行移動させることで、余分な溶液を排除し、円筒状金型上の溶液の厚みを均一にする方法を適用してもよい。ここで、円筒状金型上へ塗布液を塗布する段階で、塗布液の均一な厚み制御がなされていれば、特に、膜厚制御用金型を用いなくてもよい。
次に、ポリアミドイミド樹脂組成物が塗布された円筒状金型を、回転しながら加熱する環境に置き、ポリアミドイミド樹脂組成物中の溶媒の30質量%以上好ましくは50質量%以上を揮発させるための乾燥を行う(1次乾燥処理)。
この際、乾燥温度は50〜150℃の範囲であることが好ましい。
更に、この円筒状金型を、少なくとも200℃以上290℃以下の最高温度で10〜60分間加熱して、溶剤を揮発させる(2次乾燥処理)。
なお、この2次乾燥処理が、本発明の半導電性部材の製造方法の加熱工程に相当する。なお、以下では、この二次乾燥処理を適宜、加熱工程と称する。
加熱工程において、最高温度が200℃を下回ると、得られる半導電性部材の1次乾燥処理及び2次乾燥処理が不十分となり、機械的特性が低下する。加熱工程において、最高温度が290℃を上回る場合には、ポリアニリンの分解劣化を生じることにより、得られる半導電性部材の機械的特性が低下すると共に、導電効率が低下する。
この加熱工程における最高温度を、200℃以上290℃以下内の何れの温度に設定するかは、得られる部材の膜厚や金型の伝熱状況に応じて適宜設定することが好ましい。
なお、円筒形金型上に塗布したポリアミドイミド組成物による塗膜中に、溶剤が残留していると、塗膜に膨れを生じることがあるため、上記最高温度に達するまでに、完全に残留溶剤を除去することが好ましい。このため、この加熱工程では、温度を最高温度まで段階的に上昇させたり、ゆっくりと上昇させたりすることが好ましい。
また、この加熱工程における最高温度の保持時間は、得られる部材の膜厚や金型の伝熱状況や、最高温度により異なるが、10分以上であればよく、具体的には下記関係を満たせばよい。
すなわち、上記加熱工程における、ポリアミドイミド樹脂組成物を加熱するときの最高温度X(℃)と、この最高温度の保持時間Y(hr)と、は、アレニウス則の反応速度と温度との関係に基づき、
(式) Y・2(X−200)/10≦128の関係を満たしていればよい。
上記「Y・2(X−200)/10」によって示される値が128より大きいと、
ポリアニリンの導電効率が悪く、ポリアニリンが熱劣化すると言う問題が生じることがある。
上記加熱工程の後に、円筒状金型からポリアミドイミド樹脂を取り外し、半導電性部材を得ることができる。
得られた半導電性部材の表面抵抗率は、1010〜1013Ω/□の範囲であり、体積抵抗率は、109〜1013Ωcmの範囲であることが好ましく、表面抵抗率1010.5〜1012Ω/□の範囲で且つ体積抵抗率1010〜1012Ωcmの範囲であることがさらに好ましい。半導電性部材の表面抵抗率及び体積抵抗率は、脱ドープ状態のポリアニリンの添加量及びドーパントの添加量を調節することによって調整することができる。
このようにして得られた半導電性部材は、上述のように、緑色の光である波長520nmの光に対する光透過率λgと、赤色の光である波長670nmの光に対する光透過率λrと、の比λg/λrが1以上である。
半導電性部材に含まれるポリアニリンが導電性を示すエメラルジン塩の形態であれば、波長520nmを含む緑色の光を、緑の補色である赤色の光(波長670nm)の光に比べて良く透過する。このため、λg/λrが1以上である本発明の半導電性部材は、ポリアニリンによる導電性を有するといえる。
しかし、上記加熱工程において、最高温度290℃以上の加熱が行われると、ポリアニリンの脱ドープ反応及び酸化反応が進行して導電性を失う。ポリアニリンが導電性を失うと、導電性を有するときに呈する緑色の発色は減り、ペルニグラニリン(紫色)の形態に移行し、波長670nmを含む赤色系を良く透過し、λg/λrは、1未満の値となる。このλg/λrが1未満の状態の半導電性部材は、添加したポリアニリン量に対して得られる抵抗値が高く、本発明の半導電性部材のような適量のポリアニリン量で目標とする半導電性を有さない。
上記製造方法により製造した本発明の半導電性部材は、波長520nmの光に対する光透過率λgと、緑色の補色である赤色に対応する波長670nmの光に対する光透過率λrと、の比λg/λrが、1以上であることから、導電効率が高く、また劣化が少ないために適量のポリアニリンで抵抗率を容易に制御することができるといえる。
また、表面抵抗率のばらつきが0.3logΩ/□以下で、且つ表面抵抗率の電圧依存性が低いことから、機械的及び電気的特性に優れた半導電性部材、及び半導電性部材の製造方法を提供することができるといえる。
以上、本発明における半導電性部材及び半導電性部材の製造方法について説明したが、本発明はこれらの実施の態様のみに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で、当業者の知識に基づき、種々なる改良、変更、修正を加えた態様で実施しうるものである。
<画像形成装置>
本発明の画像形成装置は、上述した半導電性部材を具備するものであれば如何なる構成であってもよい。具体的には、例えば、装置内に単色(通常は黒色)画像を形成するモノカラー電子写真装置や、感光体上に担持されたトナー像を中間転写ベルトに順次一次転写を繰り返すカラー電子写真装置や、色毎の現像器を備えた複数の感光体を中間転写ベルト上に直列に配列した、タンデム型カラー電子写真装置のいずれであってもよい。また、中間転写ベルトを用いた中間転写方式であり、ベルトを直接または間接的に加熱する機構の画像形成装置であってもよい。
これらの画像形成装置において、上記半導電性部材は、中間転写ベルト、搬送ベルト、及び定着用ベルトとして用いることができる。なお、中間転写ベルト及び定着用ベルトとは、同一ベルト上において中間転写課程と定着課程とを行う領域である。
上述のように、本発明の半導電性部材は、機械的及び電気的特性に優れた半導電性部材であることから、これを画像形成装置に適用することで、長寿命で且つ画質劣化を抑制可能な画像形成装置を提供することができる。
図1に示すように、本実施の形態の画像形成装置20は、所定方向(図1中、矢印A方向)に回転するドラム状の感光体1を備えている。感光体1の近傍には、感光体1の回転方向に沿って、順に帯電装置2、潜像形成装置3、現像装置4、一次転写装置5、クリーニング装置6が配置されている。
帯電装置2は、感光体1表面を所定の帯電電位となるように一様に帯電する。潜像形成装置3は、帯電された感光体1表面を、画像データに応じて変調した光で走査露光することにより、感光体1上に画像データの画像に応じた静電潜像を色画像毎に形成する。
現像装置4は、各色の静電潜像に対応するトナーを収容した複数の現像器41〜現像器44 を含んで構成されている。たとえば、各現像器41〜現像器44 には、それぞれ黒(B)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、及びシアン(C)の各色トナーが収容されている。
例えば、感光体1上に黒色画像に応じた静電潜像が形成されると、該静電潜像は、黒色トナーが収容されている現像器(例えば現像器41)によって現像されて黒色トナー像が感光体1上に形成される。
また、画像形成装置20には、中間転写ベルト7が備えられている。中間転写ベルト7は、感光体1表面に当接され、且つ一次転写装置5と感光体1との間で挟持搬送されると共に、複数のテンションロール8a、テンションロール8b、テンションロール8c、及びバックアップロール9によって張架搬送される。バックアップロール9及びテンションロール8a、テンションロール8b、テンションロール8cにそれぞれ対向する位置には、中間転写ベルト7を介して、それぞれバイアスロール10およびベルトクリーナー11が配置されている。バックアップロール9には、バイアスロール10との対向領域(二次転写領域)に二次転写電圧を印加するための電極部材12が設けられている。
電極部材12としては、電気良導性の部材であれば特に限定されるものではなく、例えばアルミニウム、ステンレス鋼、銅からなる金属ロール、導電性ゴムロール、導電性ブラシ、金属プレート、導電性樹脂プレート等が用いられる。電極部材12は、バックアップロール9を通じて、−1〜−5kVの二次転写電圧をバイアスロール10に印加する。電極部材12が印加する二次転写電圧の極性は、トナーの帯電極性に応じて逆極性(プラス)であってもよい。なお、上記の二次転写領域において、電極部材12は必ずしも必要な部材ではなく、例えばバックアップロール9に設けられた導電性シャフト(図示省略)、またはバイアスロール10に上記二次転写電圧を印加してもよい。
一次転写装置5は、図示を省略する電圧印加機構によって感光体1との間に一次転写電圧を印加可能に構成されている。
一次転写装置5としては、コロトロン等のコロナ転写器、転写ロール、転写ブレードなどが用いられる。一次転写装置5には、電圧印加機構(図示省略)によってトナーの帯電極性と逆極性の電圧が1〜4KV程度印加され、感光体1と一次転写装置5との間に発生する電界の作用により、感光体1に担持されたトナー像が中間転写ベルト7に一次転写される。
すなわち、感光体1上のトナー像(例えば黒色トナー像)の形成領域が、感光体1と一次転写装置5との対向領域、すなわち感光体1と中間転写ベルト7との対向領域に達すると、感光体1上のトナー像は、一次転写装置5によって中間転写ベルト7上に静電的に一次転写される。トナー像を一次転写した後の感光体1上の残留トナー等の付着物は、クリーニング装置6によって除去される。
同様にして、第1色目(例えば黒色)のトナー像を担持した中間転写ベルト7上に、その他の色として、第2色目(例えば、Y色)、第3色目(例えば、M色)、及び第4色目(例えば、C色)のトナー像が順次重ね合わせるように一次転写されて、最終的に中間転写ベルト7上にフルカラー多重トナー像が形成される。
中間転写ベルト7上に形成された上記フルカラー多重トナー像は、中間転写ベルト7の回転(図1中、矢印B方向)に伴って移動し、バックアップロール9と、バイアスロール10との対向領域(二次転写領域)に達すると、給紙トレイ13から所定のタイミングで該二次転写領域に供給された記録媒体Pに静電的に一括転写される。
トナー像を転写された記録媒体Pは、定着装置14に搬送される。定着装置14は、記録媒体P上に転写されたトナー像に熱及び圧力の何れか一方または双方を加えることにより、トナー像を記録媒体P上に定着する。トナー像を定着された記録媒体Pは、図示を省略する排出ローラによって、画像形成装置20の外部へと排出される。
トナー像を記録媒体P上に二次転写した後の中間転写ベルト7上に付着している残留トナー等の付着物は、ベルトクリーナー11により除去されて、次の画像形成プロセスに備える。
なお、上述のようなY、M、C、Kのフルカラー以外の多色画像を形成する場合には、2個又は3個の現像器に多色画像に対応した色のトナー各々を収容すればよい。また、単色の画像を形成する場合は、潜像形成装置3により、目的とする色の画像に応じた静電潜像を感光体1上に形成し、該目的とする色に応じたトナーのみを現像装置4に収容するようにすればよい。このようにすれば、図1に示す画像形成装置20を単色の画像を形成するモノカラー画像形成装置として用いることもできる。さらに、図1では、感光体1はドラム状であるものとして説明したが、公知のベルト状であってもよい。
以下、本発明に対応する複数の実施例およびこれらの実施例に対する比較例について述べる。なお、これらの実施例は全て例示であり、この記述によって本発明の適用範囲が限定されるものではない。
(実施例1)
<ポリアニリン溶液の調整>
10L−セパラブル・フラスコに、イオン交換水6000g、35%塩酸400ml、及びアニリン400g(4.295モル)を仕込み、攪拌を行ってアニリンを溶解させた。
ビーカー容器に、氷水にて冷却しながら、イオン交換水1493gに、酸解離定数pka値4.0以下のプロトン酸である濃硫酸434g(4.295モル、97%濃硫酸)を添加・混合して、硫酸水溶液を調製した。この硫酸水溶液をアニリン溶液に氷冷しながら徐々に加えた。
次に、ペルオキソ二硫酸アンモニウム980g(4.295モル)をイオン交換水2300gに溶解させた酸化剤水溶液を、アニリン溶液に−4℃以下に氷冷しながら徐々に滴下した。滴下後、無色透明の溶液は、酸化重合の進行に伴って緑青色から黒緑色となり、次いで、黒緑色の粉末が析出した。そして、ペルオキソ二硫酸アンモニウム水溶液の滴下後、更に1時間、攪拌を続けた。
得られた粉末を濾別し、水洗、アセトン洗浄し、室温で真空乾燥して、硫酸にてドープされた導電性ポリアニリン430gを黒緑色の粉末として得た。
続いて、ドープ状態の導電性ポリアニリン粉末350gを、
2Nアンモニア水4L中に加え、オートホモミキサーにて回転数5000rpmにて5時間攪拌することにより、脱ドープ状態のポリアニリン分散液(濃度7質量%)を得た。この分散液を、ブフナー漏斗にて濾別し、蒸留水にて洗浄し、更に中性になるまでアセトンにて洗浄した。その後粉末を10時間乾燥し、黒褐色の脱ドープ粉体280gを得た。この粉末50gをN−メチル−2ピロリドン950gに溶解して5質量%の脱ドープ状態のポリアニリン溶液を得た。
<塗液(ポリアミドイミド樹脂組成物)の調整>
上記の方法で調整した脱ドープ状態のポリアニリン溶液300gに、脱ドープ状態のポリアニリンに対して1.5モルのドデシルベンゼンスルフォン酸を加えたものを、ポリアミドイミド樹脂のN−メチル−2ピロリドン溶液(東洋紡績(株)バイロマックス HR16NN 濃度15質量%)900gに加えて 攪拌羽根付き容器を用いて30分間攪拌した。これにより、脱ドープ状態のポリアニリンと、ドーパントのドデシルベンゼンスルフォン酸と、ポリアミドイミドからなる塗液(ポリアミドイミド樹脂組成物)を得た。
上記調整した塗液を、Φ170mm、長さ500mmのアルミ製円筒状金型表面に厚さ640μmに均一に塗布した。なお、この円筒状金型には、表面にシリコーン系の離型剤を予め塗布することで、成形後の半導電性部材の剥離性を向上させている。
その後、円筒状金型を回転させながら、温度120℃の条件で30分間乾燥処理(一次乾燥処理)を行った。一次乾燥処理後、円筒状金型をオーブンに入れ、200℃で30分、260℃で30分、と段階的に昇温して二次乾燥処理(加熱工程)を行った。
続いて、円筒状金型を室温で放冷し、金型から半導電性部材を取り外し、ドープ状態のポリアニリン10質量%を含有してなる無端ベルト状の厚さ80μmの半導電性部材を得た。
また、上記調整した塗液を、ガラス板に160μmに均一に塗布した。その後、上述と同一の乾燥条件で、上記と同様(温度120℃の条件で30分間乾燥処理(一次乾燥処理)を行った。一次乾燥処理後、円筒状金型をオーブンに入れ、200℃で30分、260℃で30分、と段階的に昇温して)に二次乾燥処理(加熱工程)を行った。続いて、このガラス板を室温で放冷し、半導電性部材を取り外し、ドープ状態のポリアニリン10質量%を含有してなる、厚さ20μmの半導電性フィルムを得た。
なお、厚さは、ミツトヨ社製マイクロメータ(商品名デジマチックMDC−MJ)を用いて求めた。
(実施例2)
実施例1で作製した脱ドープ状態のポリアニリン溶液360gに、脱ドープ状態のポリアニリンに対して1.5モルのドデシルベンゼンスルフォン酸を加えたものを、ポリアミドイミド樹脂のN−メチル−2ピロリドン溶液(東洋紡績(株)バイロマックス HR16NN 濃度15質量%)880gに加えて攪拌羽根付き容器を用いて30分間攪拌した。これにより、脱ドープ状態のポリアニリンと、ドーパントのドデシルベンゼンスルフォン酸と、ポリアミドイミドからなる塗液(ポリアミドイミド樹脂組成物)を得た。
実施例2で調整した上記塗液を、実施例1と同様に金型表面に660μmに均一に塗布して、実施例1と同一の条件で一次乾燥処理及び二次乾燥処理を行い、ドープ状態のポリアニリン12質量%を含有してなる無端ベルト状の厚さ80μmの半導電性部材を得た。
また、実施例2で調整した上記塗液を、実施例1と同様にして、ガラス板に165μmに均一に塗布した。その後、実施例2の半導電性部材作製時と同一の条件で一次乾燥処理及び二次乾燥処理を行い、ドープ状態のポリアニリン12質量%を含有してなる、厚さ20μmの半導電性フィルムを得た。
(実施例3)
実施例1で作製したポリアミドイミドからなる塗液(ポリアミドイミド樹脂組成物)を用い、実施例1で用いたアルミ製円筒状金型表面に厚さ640μmに均一に塗布した。
その後、円筒状金型を回転させながら、温度120℃の条件で30分間乾燥処理(一次乾燥処理)を行った。一次乾燥処理後、円筒状金型をオーブンに入れ、200℃で30分間二次乾燥処理(加熱工程)を行った。
続いて、円筒状金型を室温で放冷し、金型から半導電性部材を取り外し、ドープ状態のポリアニリン10質量%を含有してなる無端ベルト状の厚さ80μmの半導電性部材を得た。
また、実施例1で作製したポリアミドイミドからなる塗液を、ガラス板に160μmに均一に塗布した。その後、実施例3における半導電性部材の作製時と同一の一次乾燥条件及び二次乾燥条件で、乾燥処理を行った。続いて、このガラス板を室温で放冷し、半導電性部材を取り外し、ドープ状態のポリアニリン10質量%を含有してなる、厚さ20μmの半導電性フィルムを得た。
(実施例4)
実施例1で作製したポリアミドイミドからなる塗液(ポリアミドイミド樹脂組成物)を用い、実施例1で用いたアルミ製円筒状金型表面に厚さ640μmに均一に塗布した。
その後、円筒状金型を回転させながら、温度120℃の条件で30分間乾燥処理(一次乾燥処理)を行った。一次乾燥処理後、円筒状金型をオーブンに入れ、200℃で60分間乾燥する二次乾燥処理(加熱工程)を行った。
続いて、円筒状金型を室温で放冷し、金型から半導電性部材を取り外し、ドープ状態のポリアニリン10質量%を含有してなる無端ベルト状の厚さ80μmの半導電性部材を得た。
また、実施例1で作製したポリアミドイミドからなる塗液を、ガラス板に160μmに均一に塗布した。その後、実施例4における半導電性部材の作製時と同一の一次乾燥条件及び二次乾燥条件で、乾燥処理を行った。続いて、このガラス板を室温で放冷し、半導電性部材を取り外し、ドープ状態のポリアニリン10質量%を含有してなる、厚さ20μmの半導電性フィルムを得た。
(実施例5)
実施例1で作製したポリアミドイミドからなる塗液(ポリアミドイミド樹脂組成物)を用い、実施例1で用いたアルミ製円筒状金型表面に厚さ640μmに均一に塗布した。
その後、円筒状金型を回転させながら、温度120℃の条件で30分間乾燥処理(一次乾燥処理)を行った。一次乾燥処理後、円筒状金型をオーブンに入れ、250℃で30分間乾燥する二次乾燥処理(加熱工程)を行った。
続いて、円筒状金型を室温で放冷し、金型から半導電性部材を取り外し、ドープ状態のポリアニリン10質量%を含有してなる無端ベルト状の厚さ80μmの半導電性部材を得た。
また、実施例1で作製したポリアミドイミドからなる塗液を、ガラス板に160μmに均一に塗布した。その後、実施例5における半導電性部材の作製時と同一の一次乾燥条件及び二次乾燥条件で、乾燥処理を行った。続いて、このガラス板を室温で放冷し、半導電性部材を取り外し、ドープ状態のポリアニリン10質量%を含有してなる、厚さ20μmの半導電性フィルムを得た。
(実施例6)
実施例1で作製したポリアミドイミドからなる塗液(ポリアミドイミド樹脂組成物)を用い、実施例1で用いたアルミ製円筒状金型表面に厚さ640μmに均一に塗布した。
その後、円筒状金型を回転させながら、温度120℃の条件で30分間一次乾燥処理を行った。一次乾燥処理後、円筒状金型をオーブンに入れ、250℃で60分間二次乾燥処理(加熱工程)を行った。
続いて、円筒状金型を室温で放冷し、金型から半導電性部材を取り外し、ドープ状態のポリアニリン10質量%を含有してなる無端ベルト状の厚さ80μmの半導電性部材を得た。
また、実施例1で作製したポリアミドイミドからなる塗液を、ガラス板に160μmに均一に塗布した。その後、実施例6における半導電性部材の作製時と同一の一次乾燥条件及び二次乾燥条件で、乾燥処理を行った。続いて、このガラス板を室温で放冷し、半導電性部材を取り外し、ドープ状態のポリアニリン10質量%を含有してなる、厚さ20μmの半導電性フィルムを得た。
(実施例7)
実施例1で作製したポリアミドイミドからなる塗液(ポリアミドイミド樹脂組成物)を用い、実施例1で用いたアルミ製円筒状金型表面に厚さ640μmに均一に塗布した。
その後、円筒状金型を回転させながら、温度120℃の条件で30分間乾燥処理(一次乾燥処理)を行った。一次乾燥処理後、円筒状金型をオーブンに入れ、250℃で120分間乾燥する二次乾燥処理(加熱工程)を行った。
続いて、円筒状金型を室温で放冷し、金型から半導電性部材を取り外し、ドープ状態のポリアニリン10質量%を含有してなる無端ベルト状の厚さ80μmの半導電性部材を得た。
また、実施例1で作製したポリアミドイミドからなる塗液を、ガラス板に160μmに均一に塗布した。その後、実施例7における半導電性部材の作製時と同一の一次乾燥条件及び二次乾燥条件で、乾燥処理を行った。続いて、このガラス板を室温で放冷し、半導電性部材を取り外し、ドープ状態のポリアニリン10質量%を含有してなる、厚さ20μmの半導電性フィルムを得た。
(実施例8)
実施例1で作製した脱ドープ状態のポリアニリン溶液240gに、脱ドープ状態のポリアニリンに対して1.5モルのドデシルベンゼンスルフォン酸を加えたものを、ポリアミドイミド樹脂のN−メチル−2ピロリドン溶液(東洋紡績(株)バイロマックス HR16NN 濃度15質量%)940gに加えて攪拌羽根付き容器を用いて30分間攪拌した。これにより、脱ドープ状態のポリアニリンと、ドーパントのドデシルベンゼンスルフォン酸と、ポリアミドイミドからなる塗液(ポリアミドイミド樹脂組成物)を得た。
実施例8で調整した上記塗液を用い、実施例1で用いたアルミ製円筒状金型表面に厚さ640μmに均一に塗布した。
その後、円筒状金型を回転させながら、温度120℃の条件で30分間乾燥処理(一次乾燥処理)を行った。一次乾燥処理後、円筒状金型をオーブンに入れ、260℃で30分間乾燥する二次乾燥処理(加熱工程)を行った。
続いて、円筒状金型を室温で放冷し、金型から半導電性部材を取り外し、ドープ状態のポリアニリン6質量%を含有してなる無端ベルト状の厚さ80μmの半導電性部材を得た。
また、実施例8で作製したポリアミドイミドからなる塗液を、ガラス板に160μmに均一に塗布した。その後、実施例8における半導電性部材の作製時と同一の一次乾燥条件及び二次乾燥条件で、乾燥処理を行った。続いて、このガラス板を室温で放冷し、半導電性部材を取り外し、ドープ状態のポリアニリン6質量%を含有してなる、厚さ20μmの半導電性フィルムを得た。
(実施例9)
実施例1で作製した脱ドープ状態のポリアニリン溶液270gに、脱ドープ状態のポリアニリンに対して1.5モルのドデシルベンゼンスルフォン酸を加えたものを、ポリアミドイミド樹脂のN−メチル−2ピロリドン溶液(東洋紡績(株)バイロマックス HR16NN 濃度15質量%)920gに加えて攪拌羽根付き容器を用いて30分間攪拌した。これにより、脱ドープ状態のポリアニリンと、ドーパントのドデシルベンゼンスルフォン酸と、ポリアミドイミドからなる塗液(ポリアミドイミド樹脂組成物)を得た。
実施例9で調整した上記塗液を用い、実施例1で用いたアルミ製円筒状金型表面に厚さ640μmに均一に塗布した。
その後、円筒状金型を回転させながら、温度120℃の条件で30分間乾燥処理(一次乾燥処理)を行った。一次乾燥処理後、円筒状金型をオーブンに入れ、260℃で30分間乾燥する二次乾燥処理(加熱工程)を行った。
続いて、円筒状金型を室温で放冷し、金型から半導電性部材を取り外し、ドープ状態のポリアニリン8質量%を含有してなる無端ベルト状の厚さ80μmの半導電性部材を得た。
また、実施例9で作製したポリアミドイミドからなる塗液を、ガラス板に160μmに均一に塗布した。その後、実施例9における半導電性部材の作製時と同一の一次乾燥条件及び二次乾燥条件で、乾燥処理を行った。続いて、このガラス板を室温で放冷し、半導電性部材を取り外し、ドープ状態のポリアニリン8質量%を含有してなる、厚さ20μmの半導電性フィルムを得た。
(実施例10)
実施例1で作製したポリアミドイミドからなる塗液(ポリアミドイミド樹脂組成物)を用い、実施例1で用いたアルミ製円筒状金型表面に厚さ640μmに均一に塗布した。
その後、円筒状金型を回転させながら、温度120℃の条件で30分間乾燥処理(一次乾燥処理)を行った。一次乾燥処理後、円筒状金型をオーブンに入れ、275℃で30分間乾燥する二次乾燥処理(加熱工程)を行った。
続いて、円筒状金型を室温で放冷し、金型から半導電性部材を取り外し、ドープ状態のポリアニリン10質量%を含有してなる無端ベルト状の厚さ80μmの半導電性部材を得た。
また、実施例1で作製したポリアミドイミドからなる塗液を、ガラス板に160μmに均一に塗布した。その後、実施例10における半導電性部材の作製時と同一の一次乾燥条件及び二次乾燥条件で、乾燥処理を行った。続いて、このガラス板を室温で放冷し、半導電性部材を取り外し、ドープ状態のポリアニリン10質量%を含有してなる、厚さ20μmの半導電性フィルムを得た。
(比較例1)
N−メチル−2ピロリドンに、カーボンブラック(デグサ(株)スペシャルブラック4)を29.6wt%になるように添加して、ミキサーで混合して得たカーボンブラック溶液100gを、実施例1で用いたポリアミドイミド樹脂のN−メチル−2ピロリドン溶液東洋紡績(株)バイロマックス HR16NN 濃度15質量%)900gに加えて攪拌羽根付き容器を用いて30分間十分に攪拌した。これにより、カーボンブラックとポリアミドイミドと、からなる塗液を得た。
得られた塗液を、実施例1と同様にして、アルミ製円筒状金型表面に厚さ485μmに均一に塗布した。その後、実施例1と同様にして乾燥処理(一次乾燥処理及び二次乾燥処理)を行い、無端ベルト状の厚さ80μmのベルト部材を作製した。
さらに、比較例1で調整した上記塗液を、実施例1と同様にして、ガラス基板上に塗布し、実施例1と同様にして乾燥処理を行い、フィルム状の厚さ20μmのフィルムを作製した。
(比較例2)
実施例1で作製した脱ドープ状態のポリアニリン溶液360gに、脱ドープ状態のポリアニリンに対して1.5モル当量のドデシルベンゼンスルフォン酸を加えたものを、ポリアミック酸樹脂のN−メチル−2ピロリドン溶液(宇部興産(株) ユーワニスA 18質量%)900gに加えて攪拌羽根付き容器を用いて30分間攪拌した。これにより、脱ドープ状態のポリアニリンと、ドーパントのドデシルベンゼンスルフォン酸と、ポリアミック酸樹脂からなる塗液を得た。
得られた塗液を、実施例1と同様にして、アルミ製円筒状金型表面に厚さ560μmに均一に塗布した。
その後、円筒状金型を回転させながら、温度120℃の条件で30分間乾燥処理(一次乾燥処理)を行った。乾燥処理後、円筒状金型をオーブンに入れ、さらに200℃で30分間、250℃で30分間、320℃で60分間と段階的に昇温して乾燥・イミド化を終了した。
続いて、円筒状金型を室温で放冷し、金型からこのベルト部材を取り外し、ドープ状態のポリアニリン10質量%を含有してなる無端ベルト状の厚さ80μmのベルト部材を得た。
さらに、比較例2で調整した上記塗液を、実施例1と同様にして、ガラス基板上に140μmに均一に塗布し、比較例2における上記ポリイミド部材の作製時と同様にして乾燥処理を行い、フィルム状の厚さ20μmのドープ状態のポリアニリン10質量%を含有してなるフィルムを作製した。
(比較例3)
実施例1で作製した脱ドープ状態のポリアニリン溶液810gを、ポリアミック酸樹脂のN−メチル−2ピロリドン溶液(宇部興産(株) ユーワニスA 18質量%)900gに加えて攪拌羽根付き容器を用いて30分間攪拌した。これにより、脱ドープ状態のポリアニリンと、ポリアミック酸樹脂からなる塗液を得た。
得られた塗液を、実施例1と同様にして、アルミ製円筒状金型表面に厚さ675μmに均一に塗布した。
その後、円筒状金型を回転させながら、温度120℃の条件で30分間乾燥処理を行った。乾燥処理後、円筒状金型をオーブンに入れ、さらに200℃で30分間、250℃で30分間、300℃で30分間と段階的に昇温して乾燥・イミド化を終了した。
続いて、円筒状金型を室温で放冷し、金型からこのベルト部材を取り外し、ドープ状態のポリアニリン20質量%を含有してなる無端ベルト状の厚さ80μmのベルト部材を得た。
さらに、比較例3で調整した上記塗液を、実施例1と同様にして、ガラス基板上に170μmに均一に塗布し、比較例3における上記ポリイミド部材の作製時と同様にして乾燥処理を行い、フィルム状の厚さ20μmのドープ状態のポリアニリン20質量%を含有してなるフィルムを作製した。
(比較例4)
実施例1で作製した脱ドープ状態のポリアニリン溶液810gに、ポリアミック酸樹脂のN−メチル−2ピロリドン溶液(宇部興産(株) ユーワニスA 18質量%)900gに加えて攪拌羽根付き容器を用いて30分間攪拌した。これにより、脱ドープ状態のポリアニリンと、ポリアミック酸樹脂からなる塗液を得た。
得られた塗液を、実施例1と同様にして、アルミ製円筒状金型表面に厚さ675μmに均一に塗布した。
その後、円筒状金型を回転させながら、温度120℃の条件で30分間乾燥処理を行った。乾燥処理後、円筒状金型をオーブンに入れ、さらに200℃で30分間、250℃で30分間、300℃で60分間と段階的に昇温して乾燥・イミド化を終了した。
続いて、円筒状金型を室温で放冷し、金型からこのベルト部材を取り外し、ドープ状態のポリアニリン20質量%を含有してなる無端ベルト状の厚さ80μmのベルト部材を得た。
さらに、比較例4で調整した上記塗液を、実施例1と同様にして、ガラス基板上に170μmに均一に塗布し、比較例4における上記ポリイミド部材の作製時と同様にして乾燥処理を行い、フィルム状の厚さ20μmのドープ状態のポリアニリン20質量%を含有してなるフィルムを作製した。
上記実施例1〜実施例10、及び比較例1〜比較例4で作製した半導電性フィルム、及びフィルム各々について、波長520nmの光に対する光透過率λgと、波長670nmの光に対する光透過率λrと、を測定すると共に、λg/λrを求めた。
また、上記実施例1〜実施例10、及び比較例1〜比較例4で作製した半導電性部材、及びベルト部材各々について、引張り弾性率、屈曲破断回数、表面抵抗率、表面抵抗率ばらつき、表面抵抗率電圧依存、画質評価、及び寿命評価について、以下のように測定した。
測定結果は、下記表1に示した。
(光透過率の測定)
実施例1〜実施例10で作製したで半導電性フィルム、及び比較例1〜比較例4で作製したフィルム各々を、分光光度計((株)日立ハイテクノロジーズ社 U-4000)を用い、波長520nm、波長670nm各々における光透過率(λg、λr)を求めた。得られた光透過率λg及びλrから、λg/λrを算出した。
実施例1〜実施例10で作製したで半導電性部材、及び比較例1〜比較例4で作製したベルト部材各々の、引張り弾性率、屈曲破断回数、表面抵抗率、表面抵抗率ばらつき、表面抵抗率電圧依存、画質評価、及び寿命評価は、以下のようにして行った。
(引張弾性率の測定)
引張弾性率の測定は、JIS K7127(1999)に準じておこない、温度22℃、湿度55%の環境下で、周方向のみ5回測定した平均値を測定値とした。より詳しくは、ダンベル3号の打ち抜き試験片(幅5mm)を作製し、アイコーエンジニアリング社製MODEL−1605Nを用いて、引張速度20mm/minで測定した。
(屈曲破断回数の測定)
―屈曲破断回数の測定方法―
屈曲破断回数の測定は、MIT試験機((株)東洋精機製作所社 No.530)を用い、JIS P8115(2001年)に準拠して実施した。
なお、通常、MIT試験による耐屈曲回数の測定には誤差が大きいので、本発明においては、作製した半導電性部材から10点以上の試験片を取り、耐屈曲回数を測定し、その平均値が1000回以上であることを要件とし、さらに、各測定値全てが1000回以上であることを要件とした。
(表面抵抗率、及び表面抵抗率ばらつきの測定)
表面抵抗率の測定は、抵抗計(ハイレスターIPのHRプローブ:油化電子(株)製)を用い、JIS K6911(1995)に準拠し、22℃55%RHの環境下にて100Vの電圧印可から30秒後の電流値から表面抵抗率の常用対数値を求めた。
なお、半導電性部材を周方向に8分割、幅方向に5分割して、半導電性部材面内の40点を計測し、その平均値を半導電性部材の表面抵抗率とした。
また、それらの最大値と最小値の常用対数値の差を、表面抵抗率ばらつきとした。
さらに、上述のように、半導電性部材の上記40点各々について、100Vの電圧印可から30秒後の電流値から求めた表面抵抗率の常用対数値の平均値と、1000Vの電圧印加から30秒後の電流値から求めた表面抵抗率の常用対数値の平均値と、の差の絶対値を、表面抵抗率の電圧依存性として求めた。
(画質評価)
得られた半導電性部材を、図1の構造を持つ、富士ゼロックス(株)DocuColor 1256 GAに、中間転写ベルトとして組み込み、濃度均一性及び環境ラチチュードを評価した。
−濃度均一性の評価−
マゼンタ30%濃度ハーフトーンの画像を記録媒体(富士ゼロックス社製、商品名 J紙)に2枚形成し、2枚目の画像の濃淡を目視で判定した。
濃部と淡部の色差△Eが1未満である場合を、濃度均一性「正常」と評価し、1以上である場合を、「濃淡顕著」として評価した。
―環境ラチチュードの測定―
温度10℃、湿度15%及び温度28℃、湿度85%の環境にそれぞれ24時間放置した後に、該温度及び湿度の環境下において標準チャートとしての画像を上記記録媒体に2枚形成し、2枚目の画像の画質欠陥及び濃度を評価した。
−環境ラチチュードの評価−
上記環境ラチチュードの、各温度湿度条件下における測定結果に基づいて、画質欠陥が無く、濃度が均一である場合を環境ラチチュード「正常」と評価し、画質欠陥を生じるか、濃度が不均一である場合を、環境ラチチュード「狭い」と評価した。
(寿命評価)
該画像形成装置(富士ゼロックス(株)DocuColor 1256 GA)の中間転写ベルトを張架する部品に、機械公差の上限の変位を予め設定した状態で、中間転写ベルトとして、上記作製した半導電性部材を装着し、標準条件で500,000枚の出力に相当する寿命テストを実施し、半導電性部材の亀裂や破断の状況を確認した。
部材に亀裂や破断が認められない場合を寿命評価「正常」と評価し、部材に亀裂や破断が認められる場合を「破断」と評価した。なお、この「破断」の評価については、破断発生時の相当出力枚数を表1に併せて記載した。
Figure 0005098251

上記表1から明らかなように、波長520nmの光に対する光透過率λgと、波長670nmの光に対する光透過率λrと、の比λg/λrが1以上である本発明の半導電性部材(実施例1〜実施例10)は、λg/λrが1未満の比較例1〜比較例4に比べて、耐屈曲性に優れることから、機械的特性に優れているといえる。
また、本発明の半導電性部材(実施例1〜実施例10)は、表面抵抗率のばらつきが比較例1〜比較例4に比べて小さく、また、表面抵抗率の電圧依存性も低いといえる。このため、比較例1〜比較例4に比べて電気的特性にも優れているといえる。
さらに、画質評価において、実施例1〜実施例10で作製した半導電性部材は、何れも、比較例1〜比較例4に比べて濃度均一性が高く、且つ環境ラチチュードにも優れているといえる。また、寿命評価においても、実施例1〜実施例10)で作製した半導電性部材は、比較例1から比較例4に比べて長寿命であるといえる。
従って、実施例1〜実施例10)で作製した半導電性部材は、比較例1〜比較例4に比べて、機械的強度に優れ、表面抵抗率のばらつきが小さく、且つ長寿命であり、しかも高品質の画像を安定して得ることができるといえる。
本発明の実施の形態における画像形成装置の概略図である。 表面抵抗率及び体積抵抗率の測定装置を示す概略構成図であり、(a)は上面図であり、(b)は、断面図である。
符号の説明
1 感光体
3 露光装置
4 現像装置
5 一次転写装置
7 中間転写ベルト
9 バックアップロール
10 バイアスロール
14 定着装置
20 画像形成装置

Claims (2)

  1. ポリアミドイミド樹脂と、非導電状態のポリアニリンと、該ポリアニリンを導電化させるドーパントと、有機極性溶媒と、を含有してなるポリアミドイミド樹脂組成物を、200℃以上290℃以下の最高温度で加熱する加熱工程を有する半導電性部材の製造方法。
  2. 前記加熱工程における、前記ポリアミドイミド樹脂組成物を加熱するときの最高温度X(℃)と、該最高温度の保持時間Y(hr)と、がY・2(X−200)/10≦128の関係を満たす請求項に記載の半導電性部材の製造方法。
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