JP6399555B2 - 自己ドーピング機能を持つポリアニリンの製造方法およびその方法により製造されたポリアニリンを含む帯電防止剤。 - Google Patents
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Description
下記一般式(4):
R1は、NH2またはNH3Xであり、Xはハロゲン原子であり、
R2は、各々独立して、以下の一般式(5)で表される置換基であり、
R3は、各々独立してハロゲン原子、炭素原子数1〜15のアルキル基、炭素原子数7〜34のアラルキル基、炭素原子数1〜15のアルコキシ基、炭素原子数1〜15のアルキルチオ基、炭素原子数1〜15のアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルキル基の炭素原子数が1〜15であるカルボン酸アルキルエステル基、ニトロ基およびシアノ基からなる群から選択され、
mは1〜4の整数であり、
nは0〜3の整数であり、
mとnの和は1〜4であり、
ただし、R2およびR3のいずれもR1に対するパラ位には存在しない。)
で表されるアニリンモノマー化合物または該アニリンモノマー化合物を含むアニリンモノマー混合物を重合する工程を含むポリアニリンの製造方法。
一般式(7)で表されるジアルキルホスファイト
を結合させることを含む、
上記項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
一般式(10):
[−A1 g−A2 h−A3 j−A4 k−] (10)
で表される構造を有するポリアニリン化合物またはその水和物であって、ここで、
A1が以下の一般式(11)で表され:
hは、0以上の任意の整数であり、
jは、0以上の任意の整数であり、
kは、0以上の任意の整数であり、
gとhの和は、10以上の整数であり、
jとkの和は、g、h、j、kの総和の50%以下であり、
M1〜M12はそれぞれ独立して、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム基、およびピリジニウム基よりなる群から選択され、ただし、M1〜M12のうちの少なくとも1つがアルカリ土類金属である場合には、そのアルカリ土類金属は、それぞれ、M1〜M12のうちの2つが一緒になった構造となっており、
R31〜R38は、各々独立してハロゲン原子、炭素原子数1〜15のアルキル基、炭素原子数7〜34のアラルキル基、炭素原子数1〜15のアルコキシ基、炭素原子数1〜15のアルキルチオ基、炭素原子数1〜15のアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルキル基の炭素原子数が1〜15のカルボン酸アルキルエステル基、ニトロ基およびシアノ基からなる群から選択され、
m1〜m8はそれぞれ独立して1〜4の整数であり、
n1〜n8はそれぞれ独立しては0〜3の整数であり、
m1とn1の和は1〜4であり、
m2とn2の和は1〜4であり、
m3とn3の和は1〜4であり、
m4とn4の和は1〜4であり、
m5とn5の和は1〜4であり、
m6とn6の和は1〜4であり、
m7とn7の和は1〜4であり、そして
m8とn8の和は1〜4である、
ポリアニリン化合物またはその水和物。
上記実施形態1において、
M1〜M4は同一であり、
M5、M7、M9、M11は同一であり、
M6、M8、M10、M12は同一であり、
R21〜R24は同一であり、
R25〜R28は同一であり、
R31〜R34は同一であり、
R35〜R38は同一であり、
m1〜m4は同一であり、
m5〜m8は同一であり、
n1〜n4は同一である、そして
n5〜n8は同一である、
ポリアニリン化合物またはその水和物。
上記実施形態1または2において、
hが10以上であり、
jが0であり、そして
kが0である、
ポリアニリン化合物またはその水和物。
上記実施形態1〜3のいずれかの実施形態において、
M1〜M12がそれぞれ水素原子であり、
m1〜m8がそれぞれ1であり、
n1〜n8がそれぞれ0または1であり、そして
R31〜R38がそれぞれ炭素原子数1〜15のアルキル基または炭素原子数1〜15のアルコキシ基である、
ポリアニリン化合物またはその水和物。
上述したように、本発明によれば自己ドーピング機能を持つ、ホスホン酸基を有する新規のポリアニリンを得ることができる。さらに、本発明によれば、従来の方法よりも簡単に、高収率かつ安価にポリアニリンを製造することができる。本発明の方法により得られたホスホン酸基を有するポリアニリンは高い導電性を示し、帯電防止剤として有用である。
本発明の製造方法において、ポリアニリンは、ホスホン酸を有するアニリンモノマー化合物またはそのモノマーを含むアニリンモノマー混合物を重合することで製造される。
本明細書において、「アニリンモノマー」または「アニリンモノマー化合物」とは、アニリンからポリアニリンを得る重合反応を行うことができるモノマーを意味する。具体的には、無置換のアニリン(C6H5NH2)または置換アニリンあるいはそれらの塩である。置換アニリンは、そのベンゼン環およびアミノ基のうちの少なくとも1に置換基を有するものをいう。ベンゼン環においては、アミノ基を1位として、2位、3位、5位および6位(すなわち、オルト位またはメタ位)のうちの1つ〜4つに置換基が存在することができる。ただし、4位(パラ位)に置換基を有する置換アニリンは重合できないので、4位(パラ位)置換アニリンはアニリンモノマーに含まない。無置換もしくは置換アニリンの塩は、アミノ基の部分が塩になったものであって、その塩の部分が重合反応に支障をもたらさないものをいう。無置換もしくは置換アニリンの塩の例としては、例えば、アンモニウム塩が挙げられる。
本明細書においてポリアニリンは、アニリンモノマー化合物またはアニリンモノマー混合物を重合することによって得られるものをいう。ポリアニリンは、通常、アニリンモノマーのアミノ基が別のアニリンモノマーのパラ位に結合した構造を有する。
本発明のポリアニリンの製造方法において、重合を行う際に原料となるモノマーとしては、下記一般式(4)で表されるアニリンホスホン酸モノマーまたはこのモノマーを含むアニリンモノマー混合物を使用する。
R2は、各々独立して、以下の一般式(5)で表される置換基であり、
R3は、各々独立してハロゲン原子、炭素原子数1〜15のアルキル基、炭素原子数7〜34のアラルキル基、炭素原子数1〜15のアルコキシ基、炭素原子数1〜15のアルキルチオ基、炭素原子数1〜15のアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルキル基の炭素原子数が1〜15であるカルボン酸アルキルエステル基、ニトロ基およびシアノ基からなる群から選択され、
mは1〜4の整数であり、
nは0〜3の整数であり、
mとnの和は1〜4であり、
ただし、R2およびR3のいずれもR1に対するパラ位には存在しない)。
アニリンホスホン酸モノマーは、従来公知の任意の方法で製造することができる。
モノマー製造において、ハロゲン化アニリンを出発原料に用いる場合は、ハロゲン化アニリンにジアルキルホスファイトを結合させた後、アルキル基を加水分解することによりアニリンホスホン酸を得ることができる(スキーム1)。
<スキーム1>
mは1〜4の整数であり、
nは0〜3の整数であり、
mとnの和は1〜4であり、
Xはハロゲンであり、そして
R4およびR5はアルキル基である。R4およびR5の炭素数は、好ましくは1〜15であり、更に好ましくは1〜8であり、特に好ましくは1〜4である。但し、アミノ基に対してパラ位の位置には置換基は存在しない。
(2)「Microwave−Assisted Palladium−Catalyzed Cross−Coupling of Aryl and Vinyl Halides with H−Phosphonate Diesters」,Organic Letters 2008,Vol.10,No.20,4637−4640(上記非特許文献7)
(3)「Development of a room temperature Hirao reaction」,Tetrahedron Letters 50(2009)457−459(上記非特許文献8)
(4)「A Novel Synthesis of Dialkyl Arenephosphonates」, Toshikazu Hirao, Toshio Masunaga, Yoshiki Ohshiro and Toshio Agawa, Synthesis, (1), 56−57 (1981).(上記非特許文献9)
(5)「Revisiting the Hirao Cross−coupling」, Journal of Organometallic Chemistry,693(2008)3171−3178.(上記非特許文献10)
平尾反応の触媒は、上記各文献に記載されているような公知の任意の触媒が使用可能であり、好ましくはパラジウム化合物であり、より好ましくはPd(PPh3)4またはPd(OAc)2である。
モノマー製造において、例えば、置換もしくは非置換のフェニルホスホン酸を原料に用いる場合は、硝酸でニトロ化した後、ニトロ基を水素で還元しアミノ基とすることによりアニリンホスホン酸を得ることができる(スキーム2)。
<スキーム2>
モノマー化合物の製造方法において、例えば、置換もしくは非置換のニトロハロゲンベンゼンを原料に用いる場合は、置換もしくは非置換のニトロハロゲンベンゼンにジアルキルホスファイトを結合させた後、ニトロ基を水素で還元してアミノ基とし、その後、アルキル基を加水分解することにより置換もしくは非置換のアニリンホスホン酸を得ることができる(スキーム3)。ここで、ニトロハロゲンベンゼンにジアルキルホスファイトを結合させる方法としては、平尾反応を利用することができる。
<スキーム3>
アニリンモノマー化合物としてアニリンホスホン酸の塩を用いる場合、アニリンホスホン酸の塩としては、従来公知の任意の方法により得られたものを使用することができる。例えば、置換または非置換のアニリンホスホン酸をハロゲン化水素、金属水酸化物あるいはアンモニア等で処理する方法などにより得られる。
本発明のポリアニリンの製造方法においては、上述した、置換または非置換のホスホン酸もしくはその塩を有するアニリンモノマー化合物または混合物のみを重合反応の際のモノマーとして使用することが好ましい。しかし、必要に応じて、ポリアニリン製造の際の原料となるモノマー混合物には、上記置換または非置換のホスホン酸もしくはその塩を有するアニリンモノマー化合物以外の酸化重合可能なモノマー(以下、「他種モノマー」)を、本発明の効果を妨げない程度の少量含んでいてもよい。すなわち、ホスホン酸を有さない置換もしくは非置換のアニリンモノマー化合物またはその塩を必要に応じて、共重合させても良い。例えば、酸性の置換基を有さない置換もしくは非置換のアニリンモノマー化合物を少量用いても良いし、ホスホン酸以外の酸性の置換基(例えば、スルホン酸)を有する置換もしくは非置換のアニリンモノマー化合物を少量用いても良いし、あるいは、ホスホン酸基が直接ベンゼン環に結合せずに間接的に結合している置換もしくは非置換のアニリンモノマー化合物(例えば、非特許文献1に記載されているアニリンベンジルホスホン酸)を少量用いても良い。
ポリアニリンは、アニリンモノマー化合物またはアニリンモノマー混合物を調製する工程、およびアニリンモノマー化合物またはアニリンモノマー混合物を重合する工程により、製造することができる。必要に応じて、重合により得られたポリアニリンについて、さらに精製工程を行うこともできる。
アニリンモノマー化合物またはアニリンモノマー混合物を重合することにより、ポリアニリンが得られる。重合方法としては、アニリンモノマーからポリアニリンを得る重合方法として従来公知の任意の方法を採用することができる。
本発明における重合反応においては、アニリンモノマー化合物から水素原子が除去される。すなわち、アニリンモノマーが酸化されることになる。反応を伴いながら進行する。そのため、重合反応は、この脱水素を引き起こすための酸化剤の存在下で行われる。酸化剤としては、ポリアニリンの酸化重合において一般的に用いられている酸化剤が使用できる。好ましく使用可能な具体例としては、ペルオキソ二硫酸塩(例えば、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム)、ペルオキソ硫酸塩(例えば、ペルオキソ硫酸ナトリウム)、過酸化水素、第二塩化鉄などが挙げられ、より好ましく用いられるものとしてはペルオキソ二硫酸アンモニウムが挙げられる。
重合反応は、必要に応じて、溶媒を用いて行ってもよい。溶媒としては、アニリンモノマー化合物を溶解または分散し得る任意の液体が使用可能である。アニリンモノマー化合物を溶解し得る液体が好ましい。
本発明における重合の反応温度は、重合反応が進行し得る温度であれば特に限定されない。好ましくは、−20℃以上であり、より好ましくは−15℃以上であり、さらに好ましくは、−10℃以上であり、0℃以上とすることも可能である。また、好ましくは80℃以下であり、より好ましくは70℃以下であり、さらに好ましくは60℃以下であり、いっそう好ましくは50℃以下であり、ひときわ好ましくは40℃以下であり、特に好ましくは30℃以下であり、最も好ましくは20℃以下であり、10℃以下とすることも可能である。
本発明における重合の反応時間は、各々の条件において、反応するのに充分な時間を適宜選択すればよい。反応が充分に進行していれば、反応時間の違いが本発明の効果に大きな影響を及ぼすことはない。
重合反応により得られたポリアニリンには、必要に応じて、精製操作を行うことができる。精製操作としては、ポリアニリンの精製方法として公知の任意の方法を使用することができる。例えば、遠心分離、濾過、脱水、乾燥、蒸留、洗浄、限外濾過、透析などの操作を行うことができる。精製操作の回数および種類は特に限定されない。1種類の精製操作を1回行うことのみによって精製操作を終了しても良いが、必要に応じて、2回以上の精製操作を行ってもよい。例えば、精製操作を3回以上、4回以上または5回以上行ってもよい。ここで、1種類の精製操作を繰り返して2回以上行ってもよく、複数種類の精製操作を組み合わせて合計として2回以上の精製操作を行ってもよい。精製操作の回数に特に上限はないが、好ましくは20回以下であり、より好ましくは15回以下であり、さらに好ましくは10回以下である。回数が多すぎる場合には、製造プロセス全体として長時間を要することになり、製造効率が低下する。
重合反応により得られたポリアニリンには、必要に応じて、イオン交換を行ってドープの量を調節しても良い。イオン交換は酸性水溶液やイオン交換樹脂などにより行うことが出来る。
上記製法により製造されるホスホン酸基を有するポリアニリンは、例えば、一般式(1)で表される:
−(A)q− (1)
ここで、Aはそれぞれ独立してアニリンモノマー残基である。qは重合度であって、任意の正の整数である。具体的には、例えば、4以上、10以上、100以上または200以上とすることが可能であり、また、2,000以下、1,000以下、800以下または600以下とすることが可能である。一般式(1)のポリアニリンの分子量は、重合度に対応する量になる。なお、数平均分子量および重量平均分子量について、本明細書中のポリアニリンに関して上述した説明は一般式(1)のポリアニリンにも当てはまる。
ここで、E1およびE2はそれぞれ末端基である。通常は、一方が重合開始末端であって他方が重合終了末端である。
他方、例えば、J.Stejekalら、Progress in Polymer Science 35(2010)1420〜1481、および向井ら、慶應義塾大学日吉紀要.自然科学(The Hiyoshi review of the natural science).No.50(2011.9),p.61−75には、アニリンの重合の初期段階においてフェナジン環構造を有するアニリンオリゴマーが生成し、そのオリゴマー残基がポリマーの重合開始側末端となって、以下の式で表される構造のポリマーが形成されることが説明されている。
・ポリアニリンが四量体で一つの構造単位として考えられている。
・酸化重合により合成直後のポリアニリンには酸成分がドーパントとして入り込んで静電的に結合し、ハーフ酸化状態の導電体が得られる。この状態のポリアニリンは緑色のエメラルド色をしており、エメラルディン塩と呼ばれて導電性を示す。
・このエメラルディン塩をアルカリ溶液中で処理すると、無機酸の塩から無機酸が外れて脱ドープ状態となり、色も緑色から青色となり、エメラルディン塩基と呼ばれる絶縁性の構造となる。
・エメラルディン塩のハーフ酸化状態から還元すると、ロイコエメラルディンと呼ばれる完全還元状態のポリアニリンとなる。
・ハーフ酸化状態のエメラルディン塩基について、さらに酸化を進めると、完全酸化状態のペルニグラニリンが得られる。
・ポリアニリンにおいては、エメラルディン塩のみが導電性を示し、エメラルディン塩基、ロイコエメラルディン、ペルニグラニリンは導電性を示さない。
[−A1A r−A2A s−] (9A)
ここで、rはフェニレンジアミン型構造(A1A)の数であり、任意の正の整数である。sはキノンジイミン型構造(A2A)の数であり、任意の正の整数である。
ただし、実際には、ポリアニリンが完全にその交互に連結された構造である必要はないので、r=sである必要はなく、rとsが大きく相違しない数であれば、上記フェニレンジアミン型構造単位の[−A1A−]と、キノンジイミン型構造単位[−A2A−]との交互繰り返し連結をポリマー中の主成分とすることが可能になり、ポリマー全体としてその交互繰り返し構造の性質を示すことができると考えられる。勿論、rとsとが大きく相違しないことが好ましい。具体的には、例えば、sがrの0.2倍以上であることが好ましく、0.33倍以上であることがより好ましく、0.5倍以上であることがさらに好ましく、0.8倍以上であることが特に好ましく、0.9倍以上であることが最も好ましい。また、sがrの5倍以下であることが好ましく、3倍以下であることがより好ましく、2倍以下であることがさらに好ましく、1.25倍以下であることが特に好ましく、1.1倍以下であることが最も好ましい。
[−A1 g−A2 h−A3 j−A4 k−] (10)
ここで、gは、1以上の任意の整数であり、gは、好ましくは5以上である。より好ましくは、gは25以上であり、さらに好ましくは、50以上である。さらに、gは、必要に応じて、100以上、200以上、400以上、あるいは500以上であっても良い。また、gは、好ましくは1,000以下である。より好ましくは、gは500以下である。gが小さい場合には、ポリアニリンとして所望の性能を十分に得ることが難しくなる。大きすぎる場合には、ポリアニリンの製造を効率的に行うことが難しくなる。
本発明の製造方法により得られるポリアニリンは、導電性ポリアニリンの用途として従来公知の各種用途に使用することができる。具体的には、例えば、帯電防止剤として使用することができる。
本発明の製造方法により得られるポリアニリンを帯電防止剤に使用する方法としては、従来の導電性ポリアニオンが帯電防止剤に用いられていた各種公知の方法を採用することができる。例えば、水あるいはその他適当な溶剤中に、本発明の製造方法により得られるポリアニリンを溶解または分散させたものを基材にコーティングすれば、その基材の表面に帯電防止作用が付与される。基材としては、帯電防止作用が望まれる任意の固体物質が挙げられる。具体例としては、例えば、高分子フィルム、高分子繊維、高分子樹脂成形品などが挙げられる。
本発明の製造方法により得られるポリアニリンの導電性は、その電気伝導度を下記方法で測定することで確認した。
実施例1A、2、3A:測定するポリアニリンの10mg/mL水溶液をドロップキャスト法で下記基板のスリット上に薄膜を作成し、温風により乾燥させた。
(電気伝導度の測定)
絶縁抵抗計(CUSTOM社製 CX−180N)を用いて、2端子法により測定した。
(合成例1A)
(3−ニトロフェニルホスホン酸の合成)
フラスコにフェニルホスホン酸10.0g(0.064mol)、98%硫酸40.8mLを入れ、完全に溶解させて、5℃まで冷却した後、攪拌しながらそれに98%硫酸4.0mLと60%硝酸5.2mL(0.068mol)の混合液を少量ずつ滴下しながら加えた。滴下中の温度は5〜10℃で行い、滴下時間は40分間で行った。その後3℃でさらに2時間反応させた。その後、水100gをゆっくり加え固体を析出させた。固体を桐山ろうとでろ別し、133Paの減圧下40℃で乾燥させ、白色板状固体の3−ニトロフェニルホスホン酸を11.58g(0.057mol,収率89%)得た。これ以上の精製はせずにそのまま次の反応に用いた。
1H−NMR(D2O,400MHz):δ7.71−7.76(1H,m),8.09−8.15(1H,m),8.37−8.39(1H,m),8.54−8.58(1H,m).
(3−アミノフェニルホスホン酸の合成)
フラスコ内を乾燥後、窒素雰囲気下において3−ニトロホスホン酸1.25g(6.15mmol)を入れた。次に、5%Pd−C160mgを入れ、メタノール5mLを加えた。室温で攪拌し、系内を水素雰囲気下にした。2時間後、さらにメタノール5mLを加えた。さらに5時間反応させ、反応終了後、セライトを用いてろ別し、ろ液を溶媒留去した。133Paの減圧下室温で乾燥し、茶色液体の3−アミノフェニルホスホン酸527mg(3.04mmol,収率49%)を得た。これ以上の精製はせずにそのまま次の反応に用いた。
1H−NMR(D2O,400MHz):δ7.52−7.54(1H,m),7.61−7.66(1H,m),7.69−7.73(1H,m),7.80−7.85(1H,m).
(ポリ(アニリン−2−ホスホン酸)の合成)
フラスコに3−アミノフェニルホスホン酸100mg(0.58mmol)、水1.16mLを入れ、1M−NH3水溶液1.16mL(1.16mmol)を加え、攪拌しながら5℃まで冷却し、1.25M−(NH4)2S2O8水溶液0.58mL(0.73mmol)を30分間で滴下した。得られた混合物をさらに5℃で24時間保持し、反応を終了させた。得られた反応混合物をアセトン50mL中に加え固体を析出させた。室温で30分攪拌した後、桐山ろうとで固体をろ別し、メタノール数mLで洗浄した。得られた固体を133Paの減圧下40℃で乾燥し、緑色固体95mgを得た。
上記粗製品95mgを水1mLに溶解させ、ゲル濾過カラム(GEヘルスケア・ジャパン株式会社製PD−10)に通した。その後、イオン交換樹脂(オルガノ株式会社製、アンバーライト200CT)0.1gを加え、振とう機で1時間振とうした後に、ろ過により固形物を除く操作を3回くり返した。得られた水溶液をロータリーエバポレーターを用い脱水し、固体45mgを得た。得られたポリ(アニリン−2−ホスホン酸)の導電性は上記「導電性の測定方法」に記載した方法により測定した。結果を表1に記す。
(ポリ(アニリン−2−ホスホン酸)の合成)
フラスコに3−アミノフェニルホスホン酸 260mg(1.50mmol)、2.5Mピリジン水2.4mL(6.00mmol)を入れ溶解させた。0℃まで冷却した後、(NH4)2S2O8 428mg(1.89mmol)を水1.67mLに溶解させた水溶液を1時間で滴下した。混合物をさらに0℃で93時間撹拌し、反応を終了させた。
得られた反応生成物に1M塩酸7mLを加えておよそ60秒間軽く攪拌した後、遠心分離器で固体と液体に分離した。上澄みを除去した後、固体に1M塩酸6mLを加えておよそ60秒間軽く攪拌した後、遠心分離器で固体と液体に分離した。同様の上澄み除去、塩酸添加・攪拌および遠心分離の操作をさらに4回行った。その後、得られた固形物を133Paの減圧下、40℃で乾燥し、固体123mgを得た。得られたポリ(アニリン−2−ホスホン酸)の導電性は上記「導電性の測定方法」に記載した方法により測定した。結果を表1に記す。
(合成例2A)
(2−アミノフェニルホスホン酸ジエチルの合成)
フラスコ内を乾燥後、窒素雰囲気下においてNa2CO3 407mg(3.84mmol)、Pd(OAc)2 78mg(0.35mmol)、2−ブロモアニリン0.38mL(3.49mmol)、ジエチルホスファイト 0.9mL(6.99mmol)、キシレン 3mLを入れた。混合物を120℃で17時間撹拌後、室温に冷却してから、固形物をセライトでろ別し、濾滓をCH2Cl2で洗浄した。得られたろ液と濾滓の洗浄液を混合し、溶媒留去した後、カラムクロマトグラフィーで精製し、840mgの黄色液体を得た。その後、残留しているジエチルホスファイトを留去するためクーゲルロール蒸留(100℃/133Pa×20分)を行い、黄色液体の2−アミノフェニルホスホン酸ジエチル653mg(2.85mmol,収率82%)を得た。
1H−NMR(CDCl3,400MHz):δ1.32(6H,t,J=6.9Hz),4.00−4.21(4H,m),5.15(2H,brs),6.63−6.72(2H,m),7.24−7.29(1H,m),7.44(1H,ddd,J=14.5,7.8,1.4Hz).
(2−アミノフェニルホスホン酸塩酸塩の合成)
フラスコに2−アミノフェニルホスホン酸ジエチル 2.29g(10mmol)を入れ、氷浴で冷却後、35%塩酸 6.3mL(75mmol)を加えた。得られた混合溶液を85℃で7時間撹拌した後、100℃に昇温し、1時間保持した。得られた反応溶液を室温に冷却し、トルエンを加え溶媒留去した。得られた固形物を133Paの減圧下、室温で乾燥し、2−アミノフェニルホスホン酸塩酸塩の固体 2.04g(9.74mmol,収率97%)を得た。
(ポリ(アニリン−2−ホスホン酸)の合成)
フラスコに2−アミノフェニルホスホン酸塩酸塩 173mg(0.83mmol)、水 2.00mLを入れ、1M−NH3水溶液 2.00mL(2.00mmol)を加え、攪拌しながら5℃まで冷却後、1.25M−(NH4)2S2O8水溶液1.00mL(1.25mmol)を30分間で滴下した。得られた混合物をさらに5℃で24時間保持し、反応を終了させた。得られた反応混合物をアセトン50mLに加え固体を析出させた。室温で30分攪拌した後、桐山ろうとで固体をろ別し、メタノール数mLで洗浄した。得られた固形物を133Paの減圧下、40℃で乾燥し、緑色固体197mgを得た。
上記粗製品150mgを実施例1Aの精製操作と同様の操作を行い、固体105mgを得た。得られたポリ(アニリン−2−ホスホン酸)の導電性は上記「導電性の測定方法」に記載した方法により測定した。結果を表1に記す。
(合成例3A)
(4−メトキシ−3−ニトロフェニルホスホン酸ジエチルの合成)
フラスコ内を乾燥後、窒素雰囲気下において4−ブロモ−2−ニトロアニソール 804mg(3.47mmol)、Na2CO3 405mg(3.82mmol)、Pd(OAc)2 78mg(0.35mmol)、ジエチルホスファイト 0.9mL(6.99mmol)、キシレン3mLを入れた。混合物を120℃で24時間撹拌し、室温に冷却後、固形物をセライトでろ別し、濾滓をCH2Cl2で洗浄した。得られたろ液と濾滓の洗浄液を混合し、溶媒留去した後、カラムクロマトグラフィーで精製し、807mgの黄色液体を得た。その後、残留しているジエチルホスファイトを留去するためクーゲルロール蒸留(100℃/133Pa×30分)を行い、黄色液体の4−メトキシ−3−ニトロフェニルホスホン酸ジエチル 689mg(2.38mmol,収率69%)を得た。
1H−NMR(CDCl3,400MHz):δ1.30(6H,t,J=6.9Hz),3.98(3H,s),4.01−4.19(4H,m),7.16(1H,dd,J=8.5,3.2Hz),7.92−7.98(1H,m),8.19(1H,brd,J=13.3Hz).
13C−NMR(CDCl3,100MHz):δ16.22(d,J=6.7Hz),56.70,62.46(d,J=4.8Hz),113.49(d,J=15.3Hz),120.73(d,J=198.4Hz),129.13(d,J=12.5Hz),137.50(d,J=10.5Hz),139.45(d,J=18.2Hz),155.53(d,J=2.9Hz).31P−NMR(CDCl3,162MHz):δ16.33.
HRMS(FAB):m/z 290.0789([M+H]+,C11H17NO6P+ calcd.290.0788).
FT−IR(ATR):2984,2907,1610,1531,1247,1012,960cm−1.
(3−アミノ−4−メトキシフェニルホスホン酸ジエチルの合成)
フラスコ内を乾燥後、窒素雰囲気下において4−メトキシ−3−ニトロフェニルホスホン酸ジエチル 1.14g(3.9mmol)、メタノール 5mLを加え、5%Pd−C 88mgを加えた後、室温で攪拌し、系内を水素雰囲気下にした。4.5時間後、さらに5%Pd−Cを加え、2時間室温で撹拌し、反応を終了させた。得られた反応混合物をセライトを用いてろ別し、ろ液を溶媒留去したところ、830mgの茶色液体3−アミノ−4−メトキシフェニルホスホン酸ジエチルを得た。
1H−NMR(CD2Cl2,400MHz):δ1.26(6H,t,J=6.9Hz),3.82(2H,brs),3.86(3H,s),3.94−4.06(4H,m),6.83(1H,dd,J=8.2,4.1Hz),7.05(1H,dd,J=1.8,13.7Hz),7.11(1H,ddd,J=1.8,8.2,13.7Hz).
13C−NMR(CDCl3,100MHz):δ16.20(d,J=6.7Hz),55.41,61.78(d,J=4.8Hz),109.76(d,J=18.2Hz),117.54(d,J=12.5Hz),119.34(d,J=192.7Hz),123.10(d,J=10.5Hz),135.94(d,J=19.2Hz),150.45(d,J=3.8Hz).
31P−NMR(CD2Cl2,162MHz):δ20.47.
HRMS(FAB):m/z260.1045([M+H]+,C11H19NO4P+calcd.260.1046).
FT−IR(ATR):3467,3329,2980,1620,1584,1511,1285,1223,1015,955cm−1.
(3−アミノ−4−メトキシフェニルホスホン酸塩酸塩の合成)
上記合成例3Bで得られた3−アミノ−4−メトキシフェニルホスホン酸ジエチルに、35%塩酸5mL(60mmol)を加え、90℃を15時間保持し、反応を終了させた。得られた反応混合物の溶媒を留去し、固形物を133Paの減圧下、室温で乾燥し、672mg(2.80mmol,2−step収率72%)の3−アミノ−4−メトキシフェニルホスホン酸塩酸塩の固体を得た。これ以上の精製はせずにそのまま次の反応に用いた。
1H−NMR(D2O,400MHz):δ3.98(3H,s),7.27(1H,dd,J=8.5,2.8Hz),7.70(1H,dd,J=12.8,1.8Hz),7.81(1H,ddd,J=12.8,8.7,1.8Hz).
13C−NMR(D2O,100MHz):δ57.06,113.27(d,J=16.3Hz),119.48(d,J=19.2Hz),124.46(d,J=190.3Hz),126.73(d,J=12.5Hz),134.08(d,J=10.5Hz),155.92(d,J=2.9Hz).
31P−NMR(D2O,162MHz):δ13.42.
HRMS(FAB):m/z 204.0422([M+H]+,C7H11NO4P+ calcd.204.0420).
FT−IR(KBr):3359,2847,1622,1502,1114,1004,946cm−1.
mp:180℃(decomposed).
(ポリ(2−メトキシアニリン−5−ホスホン酸)の合成)
フラスコに3−アミノ−4−メトキシフェニルホスホン酸塩酸塩 150mg(0.63mmol)、水1.48mLを入れ、1M−NH3水溶液 2.96mL(2.96mmol)を加え、3℃まで冷却後、1.25M−(NH4)2S2O8水溶液 0.74mL(0.93mmol)を30分間で滴下した。得られた混合物をさらに3℃で24時間撹拌し、反応を終了させた。得られた反応物をアセトン 50mLに加え固体を析出させ、さらに室温で30分攪拌した。桐山ろうとで固体をろ別し、メタノール数mLで洗浄した。得られた固形物を133Paの減圧下、40℃で乾燥し、緑色固体184mgを得た。
上記粗製品85mgを実施例1Aの精製操作と同様の操作を行い、固体45mgを得た。得られたポリ(2−メトキシアニリン−5−ホスホン酸)の導電性は上記「導電性の測定方法」に記載した方法により測定した。結果を表1に記す。
(ポリ(2−メトキシアニリン−5−ホスホン酸)の合成)
フラスコに3−アミノ−4−メトキシフェニルホスホン酸塩酸塩 300mg(1.25mmol)、2.5Mピリジン水1.60mL(4.00mmol)を入れて溶解させた。−5℃まで冷却後、(NH4)2S2O8 360mg(1.58mmol)を水1.42mLに溶解させた水溶液を1時間で滴下した。混合物をさらに−5℃で93時間撹拌し、反応を終了させた。
得られた反応生成物に水8mLを加え、さらに1M塩酸を数滴加えてpH1とした後、10分間攪拌した。それを遠心分離器で固体と液体に分離した。上澄みを除去した後、固体に水4mL、1M塩酸1mLを加えておよそ60秒間軽く攪拌した後、遠心分離器で固体と液体に分離した。同様の上澄み除去、塩酸添加・攪拌および遠心分離の操作をさらに5回行った。その後、得られた固形物を133Paの減圧下、40℃で乾燥し、固体46mgを得た。得られたポリ(2−メトキシアニリン−5−ホスホン酸)の導電性は上記「導電性の測定方法」に記載した方法により測定した。結果を表1に記す。
(ポリ(2−メトキシアニリン−5−ホスホン酸)の合成)
フラスコに3−アミノ−4−メトキシフェニルホスホン酸塩酸塩 100mg(0.42mmol)、2.5Mピリジン水0.53mL(1.33mmol)を入れて懸濁させた。−5℃まで冷却した後、(NH4)2S2O8 120mg(0.53mmol)を水0.47mLに溶解させた水溶液を30分間で滴下した。混合物をさらに−5℃で24時間撹拌し、反応を終了させた。
得られた反応生成物に1M塩酸3mLを加えておよそ60秒間軽く攪拌した後、遠心分離器で固体と液体に分離した。上澄みを除去した後、固体に1M塩酸3mLを加えておよそ60秒間軽く攪拌した後、遠心分離器で固体と液体に分離した。同様の上澄み除去、塩酸添加・攪拌および遠心分離の操作をさらに4回行った。その後、得られた固形物を133Paの減圧下、60℃で乾燥し、固体65mgを得た。得られたポリ(2−メトキシアニリン−5−ホスホン酸)の導電性は上記「導電性の測定方法」に記載した方法により測定した。結果を表1に記す。
また、得られた重合物はFT−IRスペクトル(図17)およびUV−Vis−NIRスペクトル(図18)で確認した。UV−Vis−NIRスペクトルから原料の3−アミノ−4−メトキシフェニルホスホン酸塩酸塩(図6)と比較して、より長波長領域にも吸収が確認され原料が重合しポリマーが得られた事を確認した。さらに、1000nm以上にポーラロンバンドに基づく吸収が高い値で観測され、高導電性のポリアニリンが得られたことが確認された。
実施例3Cで得たポリ(2−メトキシアニリン−5−ホスホン酸)の帯電防止剤としての効果を以下に評価した。
(帯電防止剤溶液Aの調整)
実施例3Cで得たポリ(2−メトキシアニリン−5−ホスホン酸)150mg(0.739mmol)に、超純水13.5mLおよび1M−ピリジン水溶液1477μL(1.5 mmol)を加えて溶解させて、帯電防止剤溶液Aを得た。
(帯電防止剤溶液Bの調整)
実施例3Cで得たポリ(2−メトキシアニリン−5−ホスホン酸)150mg(0.739mmol)に、超純水12.78mL、1M−2,2,2−トリフルオロエチルアミン水溶液1773μL(1.773mmol)および1M−アンモニア水溶液443μL(0.443mmol)を加えて溶解させ、帯電防止剤溶液Bを得た。
(レジストパターンの形成)
電子線ポジ型レジスト材料(ZEP520−A、日本ゼオン株式会社製)を石英基板上に3000rpmで30秒間スピンコートしてレジスト材料の薄膜を形成してサンプルを作製した。得られた基板上のレジスト材料の薄膜中に含まれる溶媒を揮発させて除去するためにサンプルを180℃で3分間加熱してプリベークした。さらにそのサンプルの上に、帯電防止剤溶液Aを回転数2000rpmで60秒間スピンコートして帯電防止膜を形成させた。そのサンプルに窒素ガスを吹きかけて帯電防止膜上の余分な帯電防止剤を吹き飛ばした。その後、電子ビーム描画装置(ELS−7700,加速電圧75kV;株式会社エリオニクス製)で石英基板の中心に電子線露光量300μC/cm2にて100μm×100μmの正方形のパターンを描画した。さらに、その正方形の1辺から1μm離れたところに電子線露光量140μC/cm2にて線幅1μm、長さ100μmの直線を描画し、さらにその直線と平行にピッチ2μmの間隔で9本の同様の直線を描画して、正方形の横に10本の直線が平行に並べられたラインアンドスペースパターンを形成した。電子線照射後に、サンプルを、アルカリ水溶液である2.38%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(NMD−3;東京応化工業株式会社製)に30秒間浸して帯電防止膜を溶かした。その後、サンプルを蒸留水で30秒間リンスした後、窒素ガスを吹きかけて水を飛ばして乾燥させた。現像液(ZMD−N50、日本ゼオン株式会社製)中にサンプルを浸漬して60秒間現像した。その後、サンプルを、洗浄液(ZMD−B、日本ゼオン株式会社製)で60秒間リンスしてレジストパターンを得た。得られたレジストパターンを光学顕微鏡で観察し、写真を撮影した。得られた写真を図19に示す。
(レジストパターンの形成)
帯電防止剤溶液Aを帯電防止剤溶液Bに変更し、帯電防止膜を溶かす液としての2.38%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を蒸留水に代えたことと蒸留水での30秒間のリンスを行わなかったこと以外は実施例4と同様の操作をして、レジストパターンを得た。得られたレジストパターンを光学顕微鏡で観察し、写真を撮影した。得られた写真を図20に示す。
電子線ポジ型レジスト材料(ZEP520−A、日本ゼオン株式会社製)を石英基板上に3000rpmで30秒間スピンコートしてレジスト材料の薄膜を形成してサンプルを作製した。得られた基板上のレジスト材料の薄膜中に含まれる溶媒を揮発させて除去するためにサンプルを180℃で3分間加熱してプリベークした。その後、電子ビーム描画装置(ELS−7700,加速電圧75kV;株式会社エリオニクス製)で石英基板の中心に電子線露光量300μC/cm2にて100μm×100μmの正方形のパターンを描画し、その正方形の1辺から1μm離れたところに電子線露光量140μC/cm2にて線幅1μm、長さ100μmの直線を描画し、さらにその直線と平行にピッチ2μmの間隔で9本の同様の直線を描画して、正方形の横に10本の直線が平行に並べられたラインアンドスペースパターンを形成した。電子線照射後に、現像液(ZMD−N50、日本ゼオン株式会社製)中にサンプルを浸漬して60秒間現像した。その後、サンプルを、洗浄液(ZMD−B、日本ゼオン株式会社製)で60秒間リンスしてレジストパターンを得た。得られたレジストパターンを光学顕微鏡で観察し、写真を撮影した。得られた写真を図21に示す。
Claims (16)
- 下記一般式(4):
R1は、NH2またはNH3Xであり、Xはハロゲン原子であり、
R2は、各々独立して、以下の一般式(5)で表される置換基であり、
R3は、各々独立してハロゲン原子、炭素原子数1〜15のアルキル基、炭素原子数7〜34のアラルキル基、炭素原子数1〜15のアルコキシ基、炭素原子数1〜15のアルキルチオ基、炭素原子数1〜15のアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルキル基の炭素原子数が1〜15であるカルボン酸アルキルエステル基、ニトロ基およびシアノ基からなる群から選択され、
mは1〜4の整数であり、
nは0〜3の整数であり、
mとnの和は1〜4であり、
ただし、R2およびR3のいずれもR1に対するパラ位には存在しない。)
で表されるアニリンモノマー化合物または該アニリンモノマー化合物を含むアニリンモノマー混合物を重合する工程を含むポリアニリンの製造方法。 - M1およびM2のうちの少なくとも1つが水素原子である請求項1に記載の方法。
- 前記アニリンモノマー化合物またはアニリンモノマー混合物に対して0.5〜10当量の酸化剤の存在下で前記重合工程を行う請求項1または2のいずれか1項に記載の方法。
- 溶媒の存在下で前記重合工程を行う請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- 前記溶媒が、アンモニア水、ピリジン水、ピリジン、トリエチルアミン水、トリエチルアミン、水、塩酸、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、アセトン、2−ブタノンおよびジメチルアセトアミドから選択された少なくとも1種である請求項4に記載の方法。
- 一般式(4)で表されるアリニンモノマー化合物を合成する工程をさらに包含し、該合成工程が、下記一般式(6):
一般式(7)で表されるジアルキルホスファイト
請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。 - 一般式(4)で表されるアリニンモノマー化合物を合成する工程をさらに包含し、該合成工程が、下記一般式(8):
- R1Aがアミノ基であり、前記ジアルキルホスファイトを結合させて得られた化合物のM1AおよびM2Aの部分のアルキルエステルを加水分解してアニリンモノマー化合物を得ることを包含する、請求項6に記載の方法。
- R1Aがニトロ基であり、前記ジアルキルホスファイトを結合させて得られた化合物のニトロ基をアミノ基に還元させてアミノ化合物を得ること、および、得られたアミノ化合物のM1AおよびM2Aの部分のアルキルエステルを加水分解してアニリンモノマー化合物を得ることを包含する、請求項6に記載の方法。
- さらに、前記ニトロ化により得られた化合物のニトロ基を還元してアニリンモノマー化合物を得る工程を包含する、請求項7に記載の方法。
- 前記重合工程の反応温度が−15℃〜70℃である請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
- mが1であり、nが0または1である請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
- さらに、前記重合反応生成物に対してイオン交換処理を行って、該重合反応生成物中のホスホン酸金属塩、ホスホン酸アンモニウム塩またはホスホン酸ピリジニウム塩の金属原子、アンモニウム基またはピリジニウム基を水素原子に置換する工程を包含する請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
- 請求項13に記載の方法であって、前記イオン交換処理工程が、前記重合反応生成物に酸性水溶液を添加して前記ホスホン酸塩化合物の塩の部分を水素に置換する工程であり、該イオン交換処理工程の後にポリアニリン化合物を該水溶液から分離する工程を行い、さらに、その後、酸性水溶液を添加して前記ホスホン酸塩化合物の塩の部分を水素に置換する工程およびポリアニリン化合物を該水溶液から分離する工程を繰り返して行う、方法。
- 請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法で製造されたポリアニリン。
- 請求項15に記載のポリアニリンを含有する帯電防止剤。
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