JP4416882B2 - 水溶性導電性ポリアニリンの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水溶性導電性ポリアニリンまたはその誘導体の製造方法に関する。該製造方法で得られる水溶性導電性ポリアニリン等の水溶液は、スピンコート、ディップコートおよびバーコート等の簡便な手法により薄膜を形成し、各種帯電防止用途、透明電極、電磁波遮蔽材、光電変換素子、有機エレクトロルミネッセンス素子、有機エレクトロクロミック素子、防錆剤、半導体光触媒、フォトレジスト、非線形光学材料等に利用できる。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
ドープされたポリアニリンまたはその誘導体は、導電性ポリマーとして、安定であり、原料が安価であるため、フィルム電極、二次電池、コンデンサ、帯電防止剤、電磁波遮蔽材等としての応用展開が進められている。しかし、一般にポリアニリンは不溶、不融であり、成形、加工がしにくいという難点があった。従って、ポリアニリンを可溶化することは、工業的に重要であるが、製造設備上は水溶性とするのが、コスト的に最も有利である。
【0003】
そこで、近年水溶性を付加させるために、様々な手法によりスルホン基の導入が提案されている。例えば、アニリンとo−、m−アミノベンゼンスルホン酸を電気化学的に共重合してスルホン化ポリアニリンを合成する方法(特開平2−166165号公報)、アニリンとアミノベンゼンスルホン酸を化学酸化的に共重合する方法(特開平1−301714号公報、特開平6−56987号公報)、アニリンとアミノベンゼンスルホン酸およびその誘導体の共重合物をスルホン化する方法(特開平5−178989号公報)、o−、m−アミノベンゼンスルホン酸を電気化学的に酸化重合する方法、o−、m−アミノベンゼンスルホン酸およびその誘導体を化学的に酸化重合する方法(特開平7−324132号公報、特開平8−41320号公報)などのアミノベンゼンスルホン酸をモノマーとして重合する方法がある。
【0004】
また、エメラルディン塩タイプの重合体を無水硫酸/リン酸トリエチル錯体を用いてスルホン化を行う方法(特開昭61−197633号公報)、脱ドープされたポリアニリン(エメラルディン塩基)を発煙硫酸を用いてスルホン化する方法(WO91−06887、J.Am.Chem.Soc.,1990,vol.112,p2800、J.Am.Chem.Soc.,1991,vol.113,p2665)、脱ドープされたポリアニリン(エメラルディン塩基)をクロロ硫酸中でスルホン化する方法(Polymer,1992,vol.33,p4410)、ロイコエメラルディン塩基のポリアニリンを発煙硫酸でスルホン化する方法(J.Am.Chem.Soc.,1996,vol.118,p2545)などのポリアニリンをスルホン化剤にてスルホン基を導入する方法が提案されている。
【0005】
しかしながら、アミノベンゼンスルホン酸およびその誘導体をアニリンと電気化学的または化学的に酸化共重合する方法では、芳香環5個に1個の割合でしかスルホン基が導入されておらず、アルカリにはわずかに可溶であるが、水そのものには不溶であり溶解性の点で問題がある。また、これら共重合体をさらにスルホン化する方法では、芳香環2個に対し、1個強のスルホン基が導入されているが、アルカリには可溶であるが、水そのものには不溶であり溶解性の点で問題がある。
【0006】
また、o−、m−アミノベンゼンスルホン酸を電気化学的に酸化重合する方法では、水溶性導電性高分子が得られたとの記載があるが、電極反応であるため、生成物の単離が困難、工業的な大量合成には適していないなどの問題がある。また、o−、m−アミノベンゼンスルホン酸およびその誘導体を酸性溶液、塩基性溶液中で化学的に酸化重合する方法を追試したところ、赤褐色のオリゴマー状の生成物しか得られず、エメラルディン塩を繰り返し単位とするスルホン化ポリアニリンを得ることはできなかった。一般に、置換基を有するアニリンモノマーを重合してエメラルディン塩特有の緑色を有する高分子量のポリアニリンを得ることは困難である。
【0007】
また、スルホン化剤を用いてスルホン基を導入する方法において、無水硫酸/リン酸トリエチル錯体を用いてポリアニリンをスルホン化する方法では、芳香環5個に対し1個の割合でしかスルホン基が導入されておらず、導電体(ドープ状態)では、水に対し全く不溶であり、溶解性の点で問題がある。また、発煙硫酸を用いてスルホン化する方法では、芳香環2個に1個の割合でスルホン基が導入された自己ドープ型のポリアニリンが得られるが、スルホン基がアニリンのドープに利用されているため、中性および酸性水溶液には不溶であり、溶解させるためにはアルカリと作用させる必要がある。しかし、一般にポリアニリンはアルカリと作用させると、絶縁体となる。そのため、自己ドープ型のポリアニリンは、導電性を付与するために溶解後の再ドープが必要であり、成形性、加工性の点でも十分な物とはいえない。
【0008】
また、クロロ硫酸中でスルホン化する方法では、芳香環5個に対し4個のスルホン基が導入された自己ドープ型のポリアニリンが得られるが、スルホン基がアニリンのドープに利用されているため、中性および酸性水溶液には不溶であり、溶解させるためにはアルカリと作用させる必要があり、成形性、加工性の点で問題がある。また、ロイコエメラルディン塩基のポリアニリンを発煙硫酸でスルホン化する方法では、芳香環4個に対し3個のスルホン基が導入されているが、自己ドープ型であるため、水に対しわずかに溶けるのみであり、溶解性、成形性の点で問題がある。
【0009】
さらに、上記の発煙硫酸、クロロ硫酸を用いてスルホン化する方法においては、ポリアニリンに対して大過剰のスルホン化剤を用いてスルホン化を行っており、大量の廃酸処理が困難であるという問題がある。
【0010】
高い導電性を有する状態、即ちドープ状態で水溶性であるポリアニリンとしては、ジフェニルアミン−4−スルホン酸を化学的に酸化重合したN−スルホン化ポリアニリン(Polymer,1993,vol.34,p158)、ポリアニリンと1,3−プロパンスルトンを反応させたN−プロパンスルホン酸置換ポリアニリン(J.Am.Chem.Soc.,1994,vol.116,p7939、J.Am.Chem.Soc.,1995,vol.117,p10055)、o−アミノベンジルホスホン酸を酸化重合したホスホン化ポリアニリン(J.Am.Chem.Soc.,1995,vol.117,p8517)が知られている。
【0011】
しかしながら、N−スルホン化ポリアニリンは、高溶解性のため重合後の単離に高速遠心分離を必要とするため、単離が非常に煩雑という問題がある。また、N−プロパンスルホン酸置換ポリアニリンは、自己ドープ型のポリアニリンのため、ドープ状態では水に対して不溶であり、ナトリウム塩水溶液をイオン交換樹脂で処理する方法でしかドープ状態で水に溶解することができず、成形性、加工性の点で非常に煩雑な手法を用いなければならない問題がある。また、ホスホン化ポリアニリンは、重合原料であるo−アミノベンジルホスホン酸を得るために数段階の反応を必要とするため、工業的に非常に煩雑であるという問題があり、高い導電性を有する状態、すなわちドープ状態で水溶性であるポリアニリンを簡便な方法にて製造する方法はいままで知られていなかった。
【0012】
一方、高分子フィルム、高分子繊維、高分子樹脂成形品等は電気絶縁体であるため、静電気を帯びやすく、電子部品を破損したり、ごみを吸着したり、ときには発火源となることさえあり、その対策は不可欠のものとなっている。
【0013】
従来、これらの帯電防止剤としては主に界面活性剤が使われてきた。しかし、界面活性剤は空気中の水分を利用したイオン伝導を示すため、表面抵抗を109Ω/□以下にすることは困難であるうえに、低湿の条件下では帯電防止効果がほとんどなくなってしまうといった問題がある。一方、カーボンブラックやアルミニウム、銅、銀等の金属微粒子および酸化インジウムすず、フッ素ドープされた酸化すず等の半導体微粒子をフィラーとして汎用高分子中に分散した電子伝導タイプの帯電防止剤がある。しかし、これらのフィラーはかなりの量を添加しなければならないこと、添加量を増やすとあるところで急激に電気抵抗が下がるので電気抵抗の調節は困難であること、フィラーが塗膜表面にでてきて平滑な膜にはならないこと、透明性がよくないこと、塗膜の強度が低いこと等が問題点としてあげられる。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上述のごとく、ポリアニリンまたはその誘導体の特性は、その製造方法と密接に関連し、中性の水溶液に対する溶解性に優れるポリアニリンまたはその誘導体の製造は極めて困難である。また、製造過程において、環境保全の観点から廃酸処理の容易な製造方法の開発が望まれるところである。更に、導電性ポリマーとして使用する場合には、優れた導電率を有することが必要である。従って本発明は、係る特性を発揮するため、ドープ状態で水溶性であるポリアニリンまたはその誘導体の新規な製造方法を提供するものである。
【0015】
上記諸目的は、下記の(1)〜(17)により達成される。
【0016】
(1) 含水率0〜8質量%のポリアニリンまたはその誘導体1kgに対し、スルホン化剤を単位時間当たり0.5〜8kg/hrの速度で滴下し、かつ初期撹拌動力0.03〜0.3kW/m3で撹拌してスルホン化し、次いで水と親水性有機溶媒との混合溶液中で該スルホン化物の濃度0.1〜30質量%で、温度40〜120℃で2〜16時間加水分解し、該水と親水性有機溶媒との混合比が、水1質量部に対し5〜18質量部であることを特徴とする水溶性導電性ポリアニリンの製造方法。
【0017】
(2) スルホン化剤が、クロロ硫酸であることを特徴とする上記(1)記載の水溶性導電性ポリアニリンの製造方法。
【0018】
(3) スルホン化剤と反応しない有機溶媒中でスルホン化反応することを特徴とする上記(1)または(2)記載の水溶性導電性ポリアニリンの製造方法。
【0019】
(4) 該ポリアニリンまたはその誘導体が、有機溶媒中に1〜30質量%で反応することを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の水溶性導電性ポリアニリンの製造方法。
【0020】
(5) ポリアニリンがエメラルディン型のポリアニリンであることを特徴とする、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の水溶性導電性ポリアニリンの製造方法。
【0021】
(6) 該ポリアニリンがプロトン酸でドープされたドープ型ポリアニリンであることを特徴とする、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の水溶性導電性ポリアニリンの製造方法。
【0022】
(7) ポリアニリンまたはその誘導体をスルホン化剤を用いてスルホン化反応するに際して、ポリアニリンの実質的な凝集による粒塊の生成を抑制することを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の水溶性導電性ポリアニリンの製造方法。
【0023】
(8) ポリアニリンまたはその誘導体のスルホン化物の凝集塊が、最大10mm以下であることを特徴とする、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の水溶性導電性ポリアニリンの製造方法。
【0026】
(9) 前記親水性有機溶媒が、アルコール類であることを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれかに記載の水溶性導電性ポリアニリンの製造方法。
【0027】
(10) ポリアニリンまたはその誘導体のスルホン化物を、水と親水性有機溶媒との混合溶液中で、該スルホン化物の濃度0.1〜30質量%で、温度40〜120℃で2〜16時間加水分解し、該水と親水性有機溶媒との混合比が、水1質量部に対し5〜18質量部であることを特徴とする、水溶性導電性ポリアニリンの製造方法。
【0028】
(11) 該スルホン化物が、エメラルディン型のポリアニリンであることを特徴とする、上記(10)記載の水溶性導電性ポリアニリンの製造方法。
【0029】
(12) 該ポリアニリンがプロトン酸でドープされたドープ型ポリアニリンであることを特徴とする、上記(10)記載の水溶性導電性ポリアニリンの製造方法。
【0030】
(13) 上記(1)〜(12)のいずれかに記載の方法で製造されたことを特徴とする、溶解度0.1〜10質量%の水溶性導電性ポリアニリン。
【0031】
(14) 上記(1)〜(12)のいずれかに記載の方法で製造されたことを特徴とする、表面抵抗が1×102〜1×1012Ω/□の水溶性導電性ポリアニリン。
【0033】
【発明の実施の形態】
本発明の水溶性導電性ポリアニリンの製造方法は、ポリアニリンまたはその誘導体をスルホン化剤、例えば、クロロ硫酸でスルホン化する際に、前記ポリアニリンまたはその誘導体を有機溶媒中に分散し、凝集することなくスルホン化することを特徴とする。凝集するとスルホン化の程度がひくく、水溶性かつ導電性に優れるポリアニリンを得ることが困難となることを見出したからである。
【0034】
また、本発明は、ポリアニリンまたはその誘導体をスルホン化剤でスルホン化した後、水と親水性有機溶媒との混合溶液中で加水分解反応することによりスルホン酸基を導入し、水溶性かつ導電性のスルホン化ポリアニリンまたはその誘導体を製造する方法である。スルホン化ポリアニリンを加水分解する方法の相違によって、水溶性導電性ポリアニリンの溶解性が異なることが判明したからである。本発明によって得られた水溶性導電性ポリアニリンは水溶液中に存在し、これをスピンコート等の簡便な手法により薄膜を形成させ、各種帯電防止用途に使用することができる。以下、本発明を詳細に説明する。
【0035】
本発明では、水溶性導電性ポリアニリンの原料としてポリアニリンまたはその誘導体を使用するが、原料の導電性が最終生成物である水溶性導電性ポリアニリンの導電率にも影響するので、なるべく導電性に優れたポリアニリンまたはその誘導体を用いることが好ましい。このため、エメラルディンのポリアニリンが最も好ましい。ここに、エメラルディンのポリアニリンは、例えば一般式(1)で示される還元型単位(フェニレンジアミン骨格)と酸化型単位(キノンイミン骨格)が1対1の割合で存在する基本骨格を繰り返し単位として含有するものである。
【0036】
【化1】
【0037】
本発明では、エメラルディンであれば、ドープ状態(エメラルディン塩)、脱ドープ状態(エメラルディン塩基)いずれのものでもよい。しかしながら、好ましくはドープ状態(エメラルディン塩)のものを用いる方がよい。特に本発明では、このエメラルディンのポリアニリンまたはその誘導体をプロトン酸でドープしたものが好ましい。エメラルディン塩基のポリアニリンを使用すると、エメラルディン塩基にするために得られた酸性の重合体をアルカリ中和した後に、脱ドーピングする必要があるが、予めエメラルディン塩を使用すればこの工程が不要となるからである。尚、エメラルディン塩のドーパントは、プロトン酸であればいずれでもよく、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、ホウ弗化水素酸、過塩素酸、アミド硫酸、p−トルエンスルホン酸、酢酸、プロピオン酸等を用いることができる。
【0038】
一般に、エメラルディン塩のポリアニリンの製造方法は、公知のいずれの方法によって得たものであってもよい。例えば、電気化学的酸化重合法と酸化剤を用いた化学的酸化重合法の2種類がありそのいずれでもよい。しかしながら、工業的な製造方法としては、酸化剤を用いた化学的酸化重合の方が好ましく、ポリアニリンの化学的酸化重合方法としては、アニリンおよびその誘導体の酸性あるいは塩基性溶液に酸化剤を加えて撹拌して行うことができる。なお、本発明でスルホン化するための原料たるポリアニリンまたはその誘導体としては、アニリンおよびo−、m−置換アニリンを電気化学的、または化学的に酸化重合して得ることができる。
【0039】
このようなポリアニリンは、アニリンを酸化重合して調製することができる。該重合する際に使用する酸化剤としては、アニリンを酸化できる酸化剤であればいずれでもよいが、過硫酸アンモニウム、過硫酸、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸類、過酸化水素、第二塩化鉄等が挙げられ、特に過硫酸アンモニウムに代表される過硫酸類が好ましく、モノマー1モルに対し0.1〜5モルがよく、特に0.5〜1.5モルが好ましい。
【0040】
また、アニリンの重合溶媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、アセトン、2−ブタノン、ジメチルアセトアミド等が挙げられ、特に水、メタノールが好ましい。
【0041】
重合の反応温度は−15℃〜70℃の間がよく、特に−10℃〜20℃の間が好ましい。上記の温度範囲内で、優れた導電率を有するポリアニリン誘導体が得られるからである。なお、ポリアニリンの誘導体とは、アニリンの芳香環に炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のチオアルキル基、炭素数1〜20のカルボキシエステル基、シアノ基などの置換基や、フッ素原子、塩素原子、フッ素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子を付加させたものをいう。
【0042】
本発明では、上記製造方法によって得られたポリアニリンに制限されるものではないが、例えば、上記によって得られたポリアニリンまたはその誘導体を有機溶媒に分散し、次いでスルホン化する。
【0043】
スルホン化に使用するポリアニリンまたはその誘導体は、含水率が0〜8質量%、好ましくは0〜5質量%である。含水率が8質量%を越えると、含まれる水によりスルホン化剤から硫酸が発生し、これをスルホン化ポリアニリンまたはその誘導体が吸収する結果、ポリアニリンまたはその誘導体の実質的な凝集による粒塊が生成する場合があるからである。ここに「実質的な」とは、ポリアニリンまたはその誘導体が凝集する場合であっても、スルホン化に支障のない程度であれば差し支えないとする趣旨である。従って、ポリアニリン等のスルホン化の進行の観点から判断すればよく、粒塊の大きさに特に制限はない。しかしながら、粒塊の大きさとしては好ましくは粒塊が10mm以下であることが好ましい。例えば、粒塊が10mmを越えると均一にスルホン酸基を導入することができず、溶解性が低下する場合があるからである。なお、実質的な凝集による粒塊の生成状態がひどい場合には、反応器を破壊する恐れもある。
【0044】
スルホン化反応の溶媒としては、ポリアニリンまたはその誘導体が溶解または分散し、かつスルホン化剤と反応しない溶媒であればいずれでもよく、例えば、二硫化炭素、四塩化炭素、1,1,2,2,−テトラクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、ジクロロメタン等が挙げられ、特に1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2,−テトラクロロエタンがクロロ硫酸との相溶性がよく好ましい。
【0045】
該溶媒とポリアニリンまたはその誘導体の仕込み量は、1〜30質量%が好ましい。30質量%を越えると、ポリアニリンまたはその誘導体が溶媒中に均一に分散できず、凝集により粒塊が著しく生じ易いからである。また、1質量%を下回ると生産性の面で不向きである。
【0046】
本発明で使用するスルホン化剤としては、濃硫酸、発煙硫酸、SO3、クロロ硫酸、フルオロ硫酸を使用することができる。しかしながら、これらの中でもクロロ硫酸を使用することが好ましい。スルホン化の過程で大量の硫酸が存在すると、ポリアニリンまたはその誘導体が硫酸を吸収して凝集し、粒塊が生じるが、クロロ硫酸は、反応の過程で大量の硫酸が存在することがないため、凝集を抑制することができるのである。更に、クロロ硫酸は、塩化水素と無水硫酸との反応物であり、反応時に塩酸が生成し、この塩酸がポリアニリンにドーピングされる。このため、付加したスルホン酸基のプロトンがフリーの状態になり、中性の水に対し高い水溶性を有するスルホン化ポリアニリンが得られる。
【0047】
スルホン化の際のクロロ硫酸の仕込量は、ポリアニリンまたはその誘導体の芳香環1対して0.5倍〜10倍がよく、より好ましくは0.5倍〜3倍である。例えば、0.5倍を下回って反応を行うと、芳香環2個に対しスルホン基が1個以下しか導入されず水に対する溶解性が低下するからである。また、10倍を超えて反応を行うと、スルホン基が過剰に導入され、溶解性は向上するが導電率が低下する傾向がある。
【0048】
また、スルホン化反応の初期撹拌動力は、0.03〜0.3kW/m3、より好ましくは0.04〜0.15kW/m3であることが好ましい。0.03kW/m3未満であると、ポリアニリンが凝集により器壁もしくは底に粒塊を生じ、この粒塊が10mm以上になると、均一にスルホン酸基が導入されず、溶解性が低下するから傾向がある。その一方、0.3kW/m3を越えると、ポリアニリンが反応容器の器壁にすり鉢状に付着し、不利である。このような撹拌動力に調整するには、撹拌機の容積と撹拌翼のサイズおよび撹拌速度から算出することができる。具体的には、撹拌速度で調整する。
【0049】
スルホン化剤の添加速度は、何れのスルホン化剤を使用した場合にも、ポリアニリン1kgに対して0.5〜8kg/hrの速度で行うことが好ましく、より好ましくは1〜8kg/hrである。ポリアニリンまたはその誘導体の凝集は、スルホン化剤により直接または間接に生ずる硫酸をポリアニリンまたはその誘導体が吸収するためと考えられるが、滴下速度8kg/hrを越えると硫酸の発生が急激に生じ、有機溶媒に均一に分散されず、凝集により10mm以上の粒塊が生じ易いからである。粒塊の生成により、均一なスルホン化が阻害され、凝集状態がひどい場合には、反応器を破壊する恐れがある。これに対し、0.5kg/hrを下回ると、反応が緩慢で生産効率が低下するため好ましくない。
【0050】
なお、スルホン化の反応温度は、20℃〜200℃がよく、好ましくは40℃〜150℃であり、特に50℃〜100℃が好ましい。上記の範囲内で、優れた溶解性または導電性を有するからである。
【0051】
本発明では、この様にして得られたポリアニリンまたはその誘導体のスルホン化物は、粒塊の最大形が10mm以下であり、より好ましくは5mmである。粒塊が大きい場合にはスルホン化の程度が低く、水溶性に劣る場合があるからである。
【0052】
本発明においては、反応液中のポリアニリンまたはその誘導体のスルホン化物をろ過しまたは遠心分離等により分離し、次いで、水と親水性溶媒との混合溶液中で加水分解する。
【0053】
加水分解反応は、水を含む親水性有機溶媒中で加熱することで達成できる。使用できる親水性有機溶媒としては、水と混合するものであればいずれでもよく、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2-プロパノール等のアルコール類類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、メトキシエタノール、エトキシエタノール等のセロソルブ類、アセトニトリル等が挙げられる。特にメタノール、エタノール、1−プロパノール、2-プロパノール等アルコール類類は、クロロスルホニル化ポリアニリンまたはその誘導体との相溶性がよく好ましい。また、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2-プロパノール等のアルコール類は、得られたスルホン化ポリアニリンまたはその誘導体を含有する反応液中から容易に取り出すことができるため、特に大量生産に適するものである。
【0054】
また、加水分解反応での水と親水性有機溶媒の仕込み比は、水1に対し、親水性有機溶媒が5〜18の範囲が好ましく、さらに好ましくは5〜15である。5を下回ると加水分解反応後に生成物が溶媒に溶解してしまい、簡便に取り出すことが出来なくなる。また、18を越えると、ほとんど溶解しないが、加水分解反応が十分に進行せず、生成物の水に対する溶解度が低下する傾向がある。なお、本発明では水と親水性有機溶媒との混合溶液を用いてスルホン化ポリアニリンまたはその誘導体を加水分解するが、水単独で加水分解する場合に比較して親水性溶媒の除去が極めて容易となるため、大量生産等の工業的生産に優れている。
【0055】
加水分解反応での水と親水性有機溶媒との混合溶液中へのスルホン化ポリアニリンまたはその誘導体の仕込量は、0.1〜30質量%が好ましく、さらに好ましくは1〜20質量%である。30質量%を越えると、加水分解が十分に進行せず、その一方、0.1質量%を下回ると、液量が多すぎて経済的でない。即ち、上記の範囲内で優れた反応効率を有するからである。
【0056】
また、この時の反応温度は、40〜120℃が好ましく、さらに好ましくは40〜80℃である。上記の範囲を外れると、溶解性もしくは導電性が低下する傾向がある。
【0057】
本発明により水溶性導電性ポリアニリン等の重合度は、2〜10,000、好ましくは20〜1,000である。また、電気伝導度が10-6S/cm以上、好ましくは10-4S/cm以上である状態で、水に対する溶解度(25℃)が0.5質量%以上、好ましくは3質量%以上である。各種透明電極、電磁波遮断剤、光電変換素子、有機エレクトロルミネッセンス素子等の各種の利用に最適に使用できるからである。
【0058】
本発明により製造される水溶性導電性ポリアニリンとしては、ポリアニリン骨格の芳香環が芳香環1個当り平均して0.1〜4個のSO3Mおよび平均して0〜3.9個のR(ただし、SO3MとRとの合計は4である。)で置換され、かつ該主骨格中の窒素原子(置換基中の窒素原子を除く)1個当り0.025〜1個が外部ドーパントでドーピングされてなるものである。
【0059】
ここに、SO3M中のMは、水素原子、アルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウム、ルビジウム等)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、マグネシウム等)およびアンモニウム基よりなる群から選ばれたものであり、好ましくは水素原子である。
【0060】
また、Rは、水素原子、ハロゲン原子、好ましくは塩素原子、フッ素原子および臭素原子、炭素原子数1〜20、好ましくは1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜20、好ましくは1〜8のアルコキシ基、炭素原子数1〜20、好ましくは1〜8のアルキルチオ基、炭素原子数1〜20、好ましくは1〜8のアルキルアミノ基、カルボキシル基、エステル残基の炭素原子数が1〜20、好ましくは1〜8のカルボン酸エステル基、ニトロ基およびシアノ基よりなる群から選ばれた少なくとも1種のものである。これらのうち、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基等の電子供与性基であることが好ましい。
【0061】
また、SO3Mは、好ましくは平均して0.5〜1.5個であり、またRは、好ましくは平均して2.5〜3.5個である。ただし、SO3MとRとの合計は4である。さらに、該ポリアニリンの主骨格中の窒素原子1個当り0.025〜1個、好ましくは0.1〜0.5個が外部ドーパントでドーピングされているものである。
【0062】
本発明により製造される水溶性導電性ポリアニリン等を構造式で示すと、一般式(2)[ただし、式中、MおよびRは前記のとおりであり、pは0.1〜4、qは0〜3.9(ただしp+q=4)、Xはドーパントであるプロトン酸の陰イオンであり、また、nは陰イオンの価であり、通常1〜3価、好ましくは1〜2価である。]で表される繰り返し単位を必須の繰り返し単位として有し、さらに必要により式(3)および/または式(4)で表される繰り返し単位あるいはその他の繰り返し単位を有してなるものである。
【0063】
【化2】
【0064】
【化3】
【0065】
【化4】
【0066】
プロトン酸の陰イオンとしては、塩化物イオン(例えば塩素イオン)、臭化物イオン(例えば、臭素イオン)、沃化物イオン(沃素イオン)、硝酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、ホウフッ化イオン、過塩素酸イオン、チオシアン酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、pトルエンスルホン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン等の1〜3価の陰イオンがあり、好ましくは1〜2価の陰イオンである。
【0067】
典型的な例として、スルホン化剤としてクロロ硫酸を用いた場合の本発明により得られた水溶性導電性ポリアニリンは、元素分析の結果により、窒素/硫黄の比が8/8〜8/5であり、スルホン酸基は芳香環8個に対し5〜8個の割合で導入されている。また、50〜100%のドーピング率で塩化物イオンがドーピングされており、自己ドープ型ポリアニリンとは異なった外部ドープ型のスルホン化ポリアニリンである。
【0068】
本発明の製造方法によると、水溶性導電性ポリアニリンは水に対して高い溶解性を示すため、水溶液の状態で得ることができる。従って、この単独の水溶液から基材に直接塗付することができ、容易に薄膜を製造することができる。なお、塗付性、基材との密着性、塗膜の強度、耐水性等を改善するためには、必要に応じて、水溶性の高分子や水系の高分子エマルジョンとブレンドして用いることもできる。なお、薄膜形成には、スピンコート、ディップコートおよびバーコート等の簡便な手法がある。これにより、得られた水溶性導電性ポリアニリンまたはその誘導体を各種帯電防止用途、透明電極、電磁波遮蔽材、光電変換素子、有機エレクトロルミネッセンス素子、有機エレクトロクロミック素子、防錆剤、半導体光触媒、フォトレジスト、非線形光学材料等に利用できる。
【0069】
ポリアニリンおよび本発明の水溶性導電性ポリアニリンとそれを用いた帯電防止剤の電気伝導度の測定は、圧縮ペレット試料または水溶液からコートして得られるフィルム試料に直流4端子法を用いて行うことができる。また、本発明の水溶性導電性ポリアニリンを汎用の水溶性ポリマーとブレンドした樹脂組成物の水溶液からコートして得られる帯電防止フィルムの表面抵抗はフィルムに金電極を蒸着し2端子法により測定することができる。
【0070】
本発明によれば、極めて水溶性に優れるポリアニリンを工業的に容易に製造することができる。ポリアニリンまたはその誘導体の特性は、その製造方法と密接に関連し、スルホン化が均一でなければ、水溶性に優れたポリアニリンまたはその誘導体の製造は極めて困難である。しかし、本発明によれば、有機溶媒中にポリアニリンまたはその誘導体を分散させ、凝集することなくスルホン化を行うことにより、均一なスルホン化が可能となり水溶性に優れると共に導電性に優れるポリアニリンまたはその誘導体を製造することができる。また、クロロ硫酸によるスルホン化と水と親水性溶媒との混合溶液中での加水分解反応により、中性の水溶液においても水溶性に優れ、かつ導電性に優れるポリアニリン誘導体を製造することができる。しかも、クロロ硫酸の使用量を押さえ、環境保全の観点から廃酸処理を容易にすることができるのである。
【0071】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。ポリアニリンと本発明により製造されるスルホン化ポリアニリンの電気伝導度は、それらの粉末を錠剤成形器を用いて圧縮ペレットを作成し、直流4端子法により測定した。このとき、外側の2端子に定電流ソース(ケスレー社製220型)から1μAの定電流を流し、内側2端子の電位差をデジタルマルチメーター(ケスレー社製2001型)により測定した。本発明の帯電防止剤薄膜の表面抵抗は、薄膜上に真空蒸着装置(真空機工株式会社製VPC−410)を用いて櫛型金電極を蒸着し、2端子法で、絶縁抵抗計(ケスレー社製6517型)により測定した。薄膜の膜厚は走査プローブ顕微鏡(ディジタルインスツルメンツ社製ナノスコープIIIa)のタッピングモード原子間力顕微鏡を用いて測定した。ポリアニリンの含水率は、カール・フィッシャー水分計(京都電子工業株式会社製MAK−500)を用いて測定した。
【0072】
(合成例1)
1.2モル/リットルの塩酸水溶液10リットルにアニリン930gを滴下撹拌して加えた。これを10℃に冷却した。2.8kgの過硫酸アンモニウムをイオン交換水5.1kgに溶解し、先の溶液に4時間かけて滴下した。滴下終了後さらに一晩、10℃にて撹拌した。析出した緑色沈殿を濾過し、ろ液の色がなくなるまで、イオン交換水で洗浄した。さらに、メタノールでろ液の色がなくなるまで洗浄した。乾燥質量1.03kgであった。得られたポリアニリンをペレットに成型し、4端子法による電気伝導度を測定した結果、4.4S/cmであった。カール・フィッシャー水分計で含水率を調べたところ、2.3%であった。
【0073】
(実施例1)
合成例1で得られたポリアニリン塩酸塩17.5gを1,2−ジクロロエタン440gに撹拌分散し、80℃に加熱した。この時の初期撹拌動力は0.043kW/m3であった。クロロ硫酸44gを1,2−ジクロロエタン44gに溶解し、60分かけて滴下して加えた。滴下終了後さらに5時間80℃で反応を行った。反応中、凝集による10mm以上の粒塊は観測されなかった。冷却後反応物をろ別し、得られたウエットケーキを水/2−プロパノール=1/9混合溶液300gに撹拌分散し、60℃にて4時間加水分解反応を行った。冷却後、得られた緑色スラリー溶液をろ過し、緑色ケーキを得た。これを2−プロパノールでろ液に色が着かなくなるまで洗浄した。乾燥質量24gであった。また、室温での水に対する溶解度を測定した結果、5.5質量%であった。
【0074】
得られたスルホン化ポリアニリンの5質量%水溶液を調製し、スライドガラス上にスピンコートし、薄膜を作成した。得られた薄膜の膜厚は0.18μmで、表面抵抗は3.0×106Ω/□であった。結果を表1に示す。
【0075】
(実施例2)
合成例1で得られたポリアニリン塩酸塩17.5gを1,2−ジクロロエタン440gに分散し、80℃に加熱した。クロロ硫酸44gを1,2−ジクロロエタン44gに溶解し、60分かけて滴下して加えた。滴下終了後さらに5時間80℃で反応を行った。冷却後反応物をろ別し、得られたウエットケーキを水/2−プロパノール(IPA)=1/9混合溶液300gに分散し、50℃にて4時間加水分解反応を行った。冷却後、得られた緑色スラリー溶液をろ過し、緑色ケーキを得た。これを2−プロパノールでろ液に色がつかなくなるまで洗浄した。乾燥質量 25gであった。室温での水に対する溶解度を測定した結果、5.9質量%であった。
【0076】
得られたスルホン化ポリアニリンの5質量%水溶液を調製し、スライドガラス上にスピンコートし、薄膜を作成した。得られた薄膜の膜厚は0.23μmで、表面抵抗は3.7×106Ω/□であった。結果を表1に示す。
【0077】
(実施例3)
合成例1で得られたポリアニリン塩酸塩35.0gを1,2−ジクロロエタン390gに分散し、80℃に加熱した。この時の初期撹拌動力は0.15kW/m3であった。クロロ硫酸88gを1,2−ジクロロエタン88gに溶解し、120分かけて滴下して加えた。滴下終了後さらに5時間80℃で反応を行った。冷却後反応物をろ別し、得られたウエットケーキを水/2−プロパノール=1/9混合溶液300gに分散し、60℃にて4時間加水分解反応を行った。冷却後、得られた緑色スラリー溶液をろ過し、緑色ケーキを得た。これを2−プロパノールでろ液に色が着かなくなるまで洗浄した。乾燥質量 48gであった。室温での水に対する溶解度を測定した結果、6.0質量%であった。
【0078】
得られたスルホン化ポリアニリンの5質量%水溶液を調製し、スライドガラス上にスピンコートし、薄膜を作成した。得られた薄膜の膜厚は0.18μmで、表面抵抗は3.2×106Ω/□であった。結果を表1に示す。
【0079】
(実施例4)
合成例1で得られたポリアニリン塩酸塩17.5gを1,2−ジクロロエタン440gに分散し、80℃に加熱した。クロロ硫酸44gを1,2−ジクロロエタン44gに溶解し、60分かけて滴下して加えた。滴下終了後さらに5時間80℃で反応を行った。冷却後反応物をろ別し、得られたウエットケーキを水/2−プロパノール=1/9混合溶液300gに分散し、75℃にて4時間加水分解反応を行った。冷却後、得られた緑色スラリー溶液をろ過し、緑色ケーキを得た。これを2−プロパノールでろ液に色が着かなくなるまで洗浄した。乾燥質量 22gであった。室温での水に対する溶解度を測定した結果、5.9質量%であった。
【0080】
得られたスルホン化ポリアニリンの5質量%水溶液を調製し、スライドガラス上にスピンコートし、薄膜を作成した。得られた薄膜の膜厚は0.16μmで、表面抵抗は1.6×107Ω/□であった。結果を表1に示す。
【0081】
(実施例5)
合成例1で得られたポリアニリン塩酸塩17.5gを1,2−ジクロロエタン440gに分散し、80℃に加熱した。クロロ硫酸44gを1,2−ジクロロエタン44gに溶解し、60分かけて滴下して加えた。滴下終了後さらに5時間80℃で反応を行った。冷却後反応物をろ別し、得られたウエットケーキを水/2−プロパノール=1/9混合溶液300gに分散し、75℃にて2時間加水分解反応を行った。冷却後、得られた緑色スラリー溶液をろ過し、緑色ケーキを得た。これを2−プロパノールでろ液に色が着かなくなるまで洗浄した。乾燥質量 21gであった。室温での水に対する溶解度を測定した結果、5.8質量%であった。
【0082】
得られたスルホン化ポリアニリンの5質量%水溶液を調製し、スライドガラス上にスピンコートし、薄膜を作成した。得られた薄膜の膜厚は0.15μmで、表面抵抗は9.0×106Ω/□であった。結果を表1に示す。
【0083】
(実施例6)
合成例1で得られたポリアニリン塩酸塩17.5gを1,2−ジクロロエタン440gに分散し、80℃に加熱した。クロロ硫酸44gを1,2−ジクロロエタン44gに溶解し、60分かけて滴下して加えた。滴下終了後さらに5時間80℃で反応を行った。冷却後反応物をろ別し、得られたウエットケーキを水/2−プロパノール=1/9混合溶液300gに分散し、50℃にて16時間加水分解反応を行った。冷却後、得られた緑色スラリー溶液をろ過し、緑色ケーキを得た。これを2−プロパノールでろ液に色が着かなくなるまで洗浄した。乾燥質量23gであった。室温での水に対する溶解度を測定した結果、7.2質量%であった。
【0084】
得られたスルホン化ポリアニリンの5質量%水溶液を調製し、スライドガラス上にスピンコートし、薄膜を作成した。得られた薄膜の膜厚は0.18μmで、表面抵抗は3.9×106Ω/□であった。結果を表1に示す。
【0085】
(実施例7)
合成例1で得られたポリアニリン塩酸塩17.5gを1,2−ジクロロエタン440gに分散し、80℃に加熱した。クロロ硫酸44gを1,2−ジクロロエタン44gに溶解し、60分かけて滴下して加えた。滴下終了後さらに5時間80℃で反応を行った。冷却後反応物をろ別し、得られたウエットケーキを水/2−プロパノール=1/9混合溶液600gに分散し、75℃にて2時間加水分解反応を行った。冷却後、得られた緑色スラリー溶液をろ過し、緑色ケーキを得た。これを2−プロパノールでろ液に色が着かなくなるまで洗浄した。乾燥質量 21gであった。室温での水に対する溶解度を測定した結果、8.0質量%であった。
【0086】
得られたスルホン化ポリアニリンの5質量%水溶液を調製し、スライドガラス上にスピンコートし、薄膜を作成した。得られた薄膜の膜厚は0.15μmで、表面抵抗は1.8×107Ω/□であった。結果を表1に示す。
【0087】
(比較例1)
初期撹拌動力を0.019kW/m3とした以外実施例1と同様に反応を行った。合成例1で得られたポリアニリン塩酸塩17.5gを1,2−ジクロロエタン440gに撹拌分散し、80℃に加熱した。クロロ硫酸44gを1,2−ジクロロエタン44gに溶解し、60分かけて滴下して加えた。滴下終了後さらに5時間80℃で反応を行った。ポリアニリンのほとんどが凝集して板状の粒塊を形成し反応容器の器壁および底に貼り付いた。冷却後反応物をろ別し、得られたウエットケーキを水/2−プロパノール=1/9混合溶液300gに撹拌分散し、60℃にて4時間加水分解反応を行った。冷却後、得られた緑色スラリー溶液をろ過し、緑色ケーキを得た。これを2−プロパノールでろ液に色が着かなくなるまで洗浄した。
【0088】
乾燥質量は、25gであった。得られたスルホン化ポリアニリンの3質量%水溶液を調製したところ、不溶分が観察された。結果を表1に示す。
【0089】
(比較例2)
ポリアニリンの含水率を10%とした以外実施例1と同様に反応を行った。合成例1で得られたポリアニリン塩酸塩17.5gを放置して、含水率が10%となるまで吸湿させた(約1.3g)。1,2−ジクロロエタン440gを加えて撹拌分散し、80℃に加熱した。クロロ硫酸44gを1,2−ジクロロエタン44gに溶解し、60分かけて滴下して加えた。滴下終了後、10分ほどでポリアニリンのほとんどが凝集して団子状の粒塊を形成し、撹拌が困難となったため反応を中止した。結果を表1に示す。
【0090】
(比較例3)
スルホン化剤の滴下時間を15分とした以外実施例1と同様に反応を行った。合成例1で得られたポリアニリン塩酸塩17.5gを1,2−ジクロロエタン440gに撹拌分散し、80℃に加熱した。クロロ硫酸44gを1,2−ジクロロエタン44gに溶解し、15分かけて滴下して加えた。滴下終了後さらに5時間80℃で反応を行った。ポリアニリンのほとんどが凝集して板状の粒塊を形成し反応容器の器壁および底に貼り付いた。冷却後反応物をろ別し、得られたウエットケーキを水/2−プロパノール=1/9混合溶液300gに撹拌分散し、60℃にて4時間加水分解反応を行った。冷却後、得られた緑色スラリー溶液をろ過し、緑色ケーキを得た。これを2−プロパノールでろ液に色が着かなくなるまで洗浄した。
【0091】
乾燥質量は、24gであった。得られたスルホン化ポリアニリンの3質量%水溶液を調製したところ、不溶分が観察された。結果を表1に示す。
【0092】
(比較例4)
合成例1で得られたポリアニリン塩酸塩17.5gを1,2−ジクロロエタン440gに分散し、80℃に加熱した。クロロ硫酸44gを1,2−ジクロロエタン44gに溶解し、60分かけて滴下して加えた。滴下終了後さらに5時間80℃で反応を行った。冷却後反応物をろ別し、得られたウエットケーキを水/2−プロパノール=1/9混合溶液300gに分散し、30℃にて16時間加水分解反応を行った。冷却後、得られた緑色スラリー溶液をろ過し、緑色ケーキを得た。これを2−プロパノールでろ液に色が着かなくなるまで洗浄した。乾燥質量28gであった。室温での水に対する溶解度を測定した結果、3質量%以下であった。結果を表1に示す。
【0093】
(比較例5)
合成例1で得られたポリアニリン塩酸塩17.5gを1,2−ジクロロエタン440gに分散し、80℃に加熱した。クロロ硫酸44gを1,2−ジクロロエタン44gに溶解し、60分かけて滴下して加えた。滴下終了後さらに5時間80℃で反応を行った。冷却後反応物をろ別し、得られたウエットケーキを水/2−プロパノール=1/9混合溶液300gに分散し、75℃にて1時間加水分解反応を行った。冷却後、得られた緑色スラリー溶液をろ過し、緑色ケーキを得た。これを2−プロパノールでろ液に色が着かなくなるまで洗浄した。乾燥質量23gであった。室温での水に対する溶解度を測定した結果、3質量%以下であった。結果を表1に示す。
【0094】
(比較例6)
合成例1で得られたポリアニリン塩酸塩35.0gを1,2−ジクロロエタン390gに分散し、80℃に加熱した。この時の初期撹拌動力は0.35kW/m3であった。クロロ硫酸88gを1,2−ジクロロエタン44gに溶解し、120分かけて滴下して加えた。滴下終了後さらに5時間80℃で反応を行った。ポリアニリンのほとんどが凝集して板状の粒塊を形成し反応容器の器壁および底に貼り付いた。冷却後反応物をろ別し、得られたウエットケーキを水/2−プロパノール=1/9混合溶液300gに分散し、75℃にて2時間加水分解反応を行った。冷却後、得られた緑色スラリー溶液をろ過し、緑色ケーキを得た。これを2−プロパノールでろ液に色が着かなくなるまで洗浄した。乾燥質量23gであった。室温での水に対する溶解度を測定した結果、3質量%以下であった。結果を表1に示す。
【0095】
(比較例7)
合成例1で得られたポリアニリン塩酸塩17.5gを1,2−ジクロロエタン440gに分散し、80℃に加熱した。クロロ硫酸44gを1,2−ジクロロエタン44gに溶解し、60分かけて滴下して加えた。滴下終了後さらに5時間80℃で反応を行った。冷却後反応物をろ別し、得られたウエットケーキを水/2−プロパノール=1/4混合溶液300gに分散し、75℃にて2時間加水分解反応を行った。冷却後、得られた緑色スラリー溶液をろ過し、緑色ケーキを得た。これを2−プロパノールでろ液に色が着かなくなるまで洗浄した。乾燥質量18gであった。室温での水に対する溶解度を測定した結果、3質量%以下であった。結果を表1に示す。
【0096】
(比較例8)
合成例1で得られたポリアニリン塩酸塩17.5gを1,2−ジクロロエタン440gに分散し、80℃に加熱した。クロロ硫酸44gを1,2−ジクロロエタン44gに溶解し、60分かけて滴下して加えた。滴下終了後さらに5時間80℃で反応を行った。冷却後反応物をろ別し、得られたウエットケーキを水/2−プロパノール=1/19混合溶液300gに分散し、75℃にて2時間加水分解反応を行った。冷却後、得られた緑色スラリー溶液をろ過し、緑色ケーキを得た。これを2−プロパノールでろ液に色が着かなくなるまで洗浄した。乾燥質量26gであった。室温での水に対する溶解度を測定した結果、3質量%以下であった。結果を表1に示す。
【0097】
【表1】
【0098】
【発明の効果】
本発明により得られる水溶性導電性ポリアニリンは、水溶性に優れ、得られる水溶液をスピンコート、ディップコートおよびバーコート等の簡便な手法により薄膜を形成し、各種帯電防止用途、透明電極、電磁波遮蔽材、光電変換素子、有機エレクトロルミネッセンス素子、有機エレクトロクロミック素子、防錆剤、半導体光触媒、フォトレジスト、非線形光学材料等に利用できる。
Claims (14)
- 含水率0〜8質量%のポリアニリンまたはその誘導体1kgに対し、スルホン化剤を単位時間当たり0.5〜8kg/hrの速度で滴下し、かつ初期撹拌動力0.03〜0.3kW/m3で撹拌してスルホン化し、次いで水と親水性有機溶媒との混合溶液中で該スルホン化物の濃度0.1〜30質量%で、温度40〜120℃で2〜16時間加水分解し、該水と親水性有機溶媒との混合比が、水1質量部に対し5〜18質量部であることを特徴とする水溶性導電性ポリアニリンの製造方法。
- スルホン化剤が、クロロ硫酸であることを特徴とする請求項1記載の水溶性導電性ポリアニリンの製造方法。
- スルホン化剤と反応しない有機溶媒中でスルホン化反応することを特徴とする請求項1または2記載の水溶性導電性ポリアニリンの製造方法。
- 該ポリアニリンまたはその誘導体が、有機溶媒中に1〜30質量%で反応することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の水溶性導電性ポリアニリンの製造方法。
- ポリアニリンがエメラルディン型のポリアニリンであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の水溶性導電性ポリアニリンの製造方法。
- 該ポリアニリンがプロトン酸でドープされたドープ型ポリアニリンであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の水溶性導電性ポリアニリンの製造方法。
- ポリアニリンまたはその誘導体をスルホン化剤を用いてスルホン化反応するに際して、ポリアニリンの実質的な凝集による粒塊の生成を抑制することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の水溶性導電性ポリアニリンの製造方法。
- ポリアニリンまたはその誘導体のスルホン化物の凝集塊が、最大10mm以下であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の水溶性導電性ポリアニリンの製造方法。
- 前記親水性有機溶媒が、アルコール類であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の水溶性導電性ポリアニリンの製造方法。
- ポリアニリンまたはその誘導体のスルホン化物を、水と親水性有機溶媒との混合溶液中で、スルホン化ポリアニリンまたはその誘導体の濃度0.1〜30質量%で、温度40〜120℃で2〜16時間加水分解し、該水と親水性有機溶媒との混合比が、水1質量部に対し5〜18質量部であることを特徴とする、水溶性導電性ポリアニリンの製造方法。
- 該スルホン化物が、ドープ型エメラルディンポリアニリンであることを特徴とする、請求項10記載の水溶性導電性ポリアニリンの製造方法。
- 該ポリアニリンがプロトン酸でドープされたドープ型ポリアニリンであることを特徴とする、請求項10記載の水溶性導電性ポリアニリンの製造方法。
- 請求項1〜12のいずれかに記載の方法で製造されたことを特徴とする、溶解度0.1〜10質量%の水溶性導電性ポリアニリン。
- 請求項1〜12のいずれかに記載の方法で製造されたことを特徴とする、表面抵抗が1×102〜1×1012Ω/□の水溶性導電性ポリアニリン。
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