JP3953939B2 - 新規導電性重合体 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、極めて安定で、有機溶媒あるいは水に対して優れた溶解性を有する新規導電性重合体に関する。更に詳しくは、本発明は、電気、電子工業の分野において、加工的要求度が高い電極、センサー、エレクトロニクス表示素子、非線形光学素子、光電変換素子、帯電防止剤ほか、各種導電材料あるいは光学材料として用いるのに適した新規可溶性導電性重合体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
π電子共役系の発達した重合体は、導電性のみならず金属/半導体転移における状態変化などの特異な物性のために工業的に注目され、多くの研究がなされてきた。特にポリアセチレンやポリチオフェン、ポリピロ−ル、ポリパラフェニレン等の多くの導電性高分子は、剛直な主鎖骨格のため不溶不融である(Skotheim著、”Handbook of Conducting Polymers ”誌、 Marcel Dekker社発行、1986年)が、その側鎖にアルキル基等の置換基を導入した重合体は可溶性となり、その易加工性のため工業的に注目されてきている。具体的な例としては、ポリチオフェンの側鎖に長鎖アルキル基を導入して有機溶媒に可溶とした重合体(K.Jen ら、Journal of Chemical Society, ChemicalCommunication 誌、1346頁、1986年)や、アルキルスルホン酸基を導入して水溶性の重合体(A.O.Patil ら、Journal of American Chemical Society誌, 109 巻、1858頁、1987年)などが知られている。また、π共役系導電性高分子が不溶不融であるものの、その前駆体重合物が可溶性である特徴を活かして剛直なポリマ−自体の間接的な加工性を工夫した技術(村瀬ら、Poymer Communucations誌、25巻327 頁、1984年)などが知られている。
【0003】
多くのπ電子共役系重合体の中で、二環式系導電性重合体、特にイソチアナフテニレン構造を有する重合体は半導体としてのバンドギャップが最も小さいために高い導電性が期待された高分子であり、このため電気化学的なド−ピングによりp型導電体となった状態で、π−π* 吸収帯が可視部からずれて近赤外部に移り、透明性導電体になることから特に注目されている(小林ら、Journal of Chemical Physics 誌 82 巻、5717頁、1985年)。しかしながら、小林らにより初めて電気化学的に合成されたポリイソチアナフテンは、不溶不融の重合物であるため加工性に問題があった。
【0004】
そのため工業的見地から種々の検討や改良が図られており、既にいくつかの誘導体に関する報告が知られている。例えば、イソチアナフテン骨格に電子吸引性基や電子供与性基を導入すると、半導体としての電子状態に影響を与えることがBredasらの計算結果から推定されている(Journal of Chemical Physics 誌、85巻、4673頁、1986年)。加工性を付与するために、イソチアナフテニレン骨格に長鎖アルコキシ基を導入した有機溶媒可溶性の誘導体も本発明者の一部によって報告されている(特開平2−242816号)。また関連する例としては、ハロゲンを置換基とする重合体(特開昭63−307604 号)や電子吸引性基を置換基とする重合体が列挙された公報(特開平2−252727号)もあるが、上述の報告や公報の何れにおいても本発明に関する重合体についての特性に関し何等記載されておらず、その製造方法についても具体的な開示はない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述した従来技術の問題点を解決し、前記の各種用途あるいは材料として用いるのに適した、極めて安定で、有機溶媒あるいは水に対して優れた溶解性を有する新規導電性重合体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
π電子共役系重合体において、スルホン酸アミド基、スルホン酸エステル基、スルホン酸チオエステル基等の極性置換基を有し、安定性がよく、高い導電性と溶解性を有するπ共役系重合体、例えば、前記極性置換基を有するイソチアナフテニレン、イソベンゾフリレン、イソインドリレン、イソベンゾセレニレン、イソベンゾテルリレン、フェニレンビニレン、1,4−イミノフェニレン構造等を繰り返し単位とする可溶性導電性重合体及びその製造方法はこれまで開示されていない。
【0007】
本発明者らは、前記の目的のもとに、実用上有利な可溶性導電性重合体を開発するため鋭意研究を重ねた結果、製造が容易であるスルホン酸基を有するπ共役系導電性重合体にアミン類、アルコール類あるいはチオール類を反応させることにより、簡便に前記スルホン酸アミド基、スルホン酸エステル基、スルホン酸チオエステル基等の極性置換基を有する導電性重合体を提供できることを見い出し、本発明をなすに至った。
【0008】
本発明の導電性重合体は、下記の導電性重合体(P1)、(P2)、(P7)および(P8)を含む。
(P1)
一般式(I)
(式中、φは、ヘテロ原子が窒素、硫黄、酸素、セレン、テルルからなる群より選ばれる原子を含む5乃至7員環を有する単環式複素環もしくは9乃至40員環を有する縮合複素環の二価基からなる群から選ばれる二価基、前記二価基にビニレンが連結した二価基、アリーレン、アリーレンビニレン及び1,4−イミノフェニレンからなる群から選ばれる二価基を表す。A1 は炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和アルキレン基を表し、その一端はφ中のC−H結合またはN−H結合の水素の代りに炭素または窒素原子に結合している。但し、式中A1 は必ずしも含まれなくてよくY及びSO3 -(M)fが直接φ中の炭素または窒素原子に結合していてもよい。A1 には、カルボニル、エーテル、エステル、チオエーテル、アミド、スルホン結合を任意に含んでもよい。YはSO2NR1 R2 またはSO3 R3 またはSO2 SR4 であり、R1 、R2 はそれぞれ独立にHまたは炭素数1〜20、望ましくは炭素数1〜12の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和アルキル基または炭素数4〜30、望ましくは炭素数6〜12の置換もしくは非置換のアリール基を表す。R3 、R4 はそれぞれ独立に炭素数1〜20、望ましくは炭素数1〜12の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和アルキル基または炭素数6〜20、望ましくは炭素数6〜12の置換もしくは非置換のアリール基を表す。R1 とR2 は互いに任意の位置で結合して、窒素原子と共に複素環構造を形成する二価の飽和または不飽和炭化水素鎖を形成していてもよく、またR1 、R2 、R3 及び/またはR4 のアルキル鎖には、カルボニル、エーテル、エステル、チオエーテル、アミド、スルホン結合を任意に含んでもよい。MはH+ またはNa+ 、Li+ 、K+ 等のアルカリ金属イオンまたは置換もしくは非置換の第4級アンモニウムイオン等の如きVb族元素の非置換またはアルキル置換型もしくはアリール置換型カチオンなどのカチオンを表す。fは0または1を表す。Zは陰イオンを表し、jはZの価数を表し1または2である。δは0〜1の範囲である。)で表される化学構造からなる繰り返し単位を含む導電性重合体。
(但し、置換基A1 Y及び/またはA1 SO3 -(M)fを有する1個の繰り返し単位中の該置換基の総数は1または2であり、kは重合体中のφのA1 SO3 -(M)fによる平均置換度を表し、mは重合体中のφのA1 Yによる平均置換度を表し、kは0〜1.9の範囲であってA 1 SO 3 - M基を残存させる範囲であり、mは0.1〜2の範囲であり、該置換基がφ中の炭素原子に結合している場合にはk+mの値は2以下であり、窒素原子に結合している場合にはk+mの値は1以下である。また、fが0の場合にはkはδと同一である。)
さらに、上記一般式(I)に該当する導電性重合体のうち、下記の(i)〜(vi) に示す導電性重合体は除外される。
(i)φ中の窒素原子が置換基(A 4 ) 1-n (但し、A 4 は炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和アルキル基を表す。A 4 には、カルボニル、エーテル、エステル、チオエーテル、アミド、スルホン結合を任意に含んでもよい。1−nの値は重合体中の窒素原子のA 4 による平均置換度を表し1以下である。)で置換されている導電性重合体、
(ii) φ中の窒素原子が置換基(A 4 ) 1-n (但し、A 4 及び1−nの値は、前記と同じ。)で置換されている2,5−ピロリレンである導電性重合体、
(iii) φ中の窒素原子が置換基(A 4 ) 1-n (但し、A 4 及び1−nの値は前記と同じ。)で置換されている1,4−イミノフェニレンである導電性重合体、
(iv) φが、一般式(III)
【化2】
(式中、R 5 及びR 6 はそれぞれ独立にH、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和アルキル基もしくはアルコキシ基、ハロゲン、ニトロ基、アミノ基、トリハロメチル基、置換または非置換のフェニル基を表し、XはS、O、Se、TeまたはNR 7 である。R 7 はHまたは炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和アルキル基または炭素数6〜10の置換もしくは非置換のアリール基を表す。)で表される縮合複素環の二価基である導電性重合体、
(v) φ中の窒素原子が置換基(A 4 ) 1-n (但し、A 4 及び1−nの値は、前記と同じ。)で置換されているカルバゾリレンである導電性重合体、
(vi) φが、フェニレンビニレン骨格を含む化学構造からなる繰り返し単位を含む導電性重合体。
【0009】
(P2)
0<δ≦1かつfが0である一般式(I)で表される化学構造からなる繰り返し単位を含む導電性重合体、
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
(P7)
一般式(I)において、φが、一般式(IV)
【化8】
(式中、R5 はH、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和アルキル基もしくはアルコキシ基、ハロゲン、ニトロ基、アミノ基、トリハロメチル基、置換または非置換のフェニル基を表し、XはS、O、Se、TeまたはNR7 である。R7 はHまたは炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和アルキル基または置換もしくは非置換のアリール基を表す。)で表される単環式複素環の二価基である一般式(I)で表される化学構造からなる繰り返し単位を含む導電性重合体、
【0015】
(P8)
一般式(I)において、φが、非置換のイミノ基を有する1,4−イミノフェニレンである一般式(I)で表される化学構造からなる繰り返し単位を含む導電性重合体、
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
また、本発明は、前記導電性重合体(P7)および(P8)において、一般式(I)が、0<δ≦1かつfが0であることを特徴とする導電性重合体を提供する。
【0020】
本発明の前記一般式(I)で表される導電性重合体は、下記の方法によって製造することができる。すなわち、一般式(V)
【化9】
(式中、φは、ヘテロ原子が窒素、硫黄、酸素、セレン、テルルからなる群より選ばれる原子を含む5乃至7員環を有する単環式複素環もしくは9乃至40員環を有する縮合複素環の二価基からなる群から選ばれる二価基、前記二価基にビニレンが連結した二価基、アリーレン、アリーレンビニレン及び1,4−イミノフェニレンからなる群から選ばれる二価基を表す。A1 は炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和アルキレン基を表し、その一端はφ中のC−H結合またはN−H結合の水素の代りに炭素または窒素原子に結合している。但し、式中A1 は必ずしも含まれなくてよくSO3 -Mが直接φ中の炭素または窒素原子に結合していてもよい。A1 には、カルボニル、エーテル、エステル、チオエーテル、アミド、スルホン結合を任意に含んでもよい。MはH+ またはNa+、Li+ 、K+ 等のアルカリ金属イオンまたは置換もしくは非置換の第4級アンモニウムイオン等のカチオンを表す。)で表される化学構造からなる繰り返し単位を含む導電性重合体(但し、nは重合体中のφのA1 SO3 -Mによる平均置換度を表し0.1〜2の範囲であり、該置換基がφ中の炭素原子に結合している場合にはnの値は2以下であり、窒素原子に結合している場合にはnの値は1以下である。)と、1級もしくは2級アミンまたはアルコールまたはチオールとを縮合することを特徴とする製造法である。
【0021】
【0022】
また、本発明は前記導電性重合体(P1)、(P2)、(P7)および(P8)を成形してなる導電性成形物を提供する。
【0023】
前記一般式(I)で表される化学構造からなる繰り返し単位を含む導電性重合体において、δは重合体主鎖中の全荷電の該繰り返し単位当たりの平均荷電数を表し、1以下であり、0.7以下の値が特に好ましい。δが0の場合にはπ共役系主鎖が中性状態(無電荷状態)の化学構造を示し、従って、その場合には式(VII)
【化11】
(Z/j)δ f (VII)
においてδfは0であるので陰イオンZは存在しないことを示す。
【0024】
一方、δが0より大きく1以下(0<δ≦1)の場合には、π共役系主鎖が酸化されたp型のドーピング状態(荷電状態)を示し、従って、その場合には導電性重合体中の前記繰り返し単位当たりδfに相当する割合で(Z/j)が対陰イオンとして存在することを示す。ここで、0<δ≦1でありかつfが0の場合には、π共役系主鎖が酸化されたp型の自己ドーピング状態(荷電状態)を示し、その場合に陰イオンZは存在せず、置換基中のSO3 -が対陰イオンである。
【0025】
前記一般式(I)において、置換基A1 SO3 -(M)fはfが1の場合にはA1 SO3 -Mを示し、fが0の場合にはA1 SO3 -を示す。また一般式(II)において、置換基OA1 SO3 -(M)fはfが1の場合には置換基OA1 SO3 -Mを示し、fが0の場合にはOA1 SO3 -を示す。尚、fが0の場合にはkはδと同一である。
【0026】
前記一般式(I)においてφは、ヘテロ原子が窒素、硫黄、酸素、セレン、テルルからなる群より選ばれる原子を含む5乃至7員環を有する単環式複素環もしくは9乃至40員環を有する縮合複素環の二価基からなる群から選ばれる二価基、前記二価基にビニレンが連結した二価基、アリーレン、アリーレンビニレン及び式(VIII)
【化12】
で表される二価基である1,4−イミノフェニレンからなる群から選ばれる二価基を表すが、かかる単環式複素環の二価基としては、例えば、2,5−チエニレン、2,5−フリレン、2,5−ピロリレン、N−置換−2,5−ピロリレン、2,5−セレニレン、2,5−テルリレン、ピリジンジイル、ピラジンジイル、ピリミジンジイル等が挙げられる。縮合複素環の二価基としては、例えば、チエノチエニレン、ピロロピロリレン、ジチエノチエニレン、イソチアナフテニレン、イソインドリレン、イソベンゾフリレン、イソベンゾインドリレン、イソベンゾセレニレン、イソベンゾテルリレン、キノリレン、イソアントラセノチエニレン、イソアントラセノフリレン、イソアントラセノピロリレン、イソアントラセノセレニレン、イソアントラセノテルリレン、カルバゾリレン、N−置換カルバゾリレン等が挙げられる。単環式複素環もしくは縮合複素環の二価基にビニレンが連結した二価基としては、例えば、チエニレンビニレン、ピリジンジイルビニレン、ピラジンジイルビニレン、ピリミジンジイルビニレン、イソチアナフテニレンビニレン等が挙げられる。アリーレンとしては、例えば、フェニレン、ナフチレン、アントラシレン、フェナチリレン、アズリレン等が、またアリーレンビニレンとしては、例えば、フェニレンビニレン、ナフチレンビニレン等が挙げられる。更に、1,4−イミノフェニレンとしては、1,4−イミノフェニレン、N−置換−1,4−イミノフェニレンが挙げられる。しかしφは上記に例示した二価基に限られることはなく、主鎖がπ共役構造からなる芳香環または複素環式二価基であればよい。
【0027】
前記A1 は炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和アルキレン基を表し、A1 にはカルボニル、エーテル、エステル、チオエーテル、アミド、スルホン結合を任意に含んでもよい。更に詳しくA1 を例示すれば、メチレン、エチレン、トリメチレン、プロピレン、テトラメチレン、1,1−ジメチルエチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、ノナメチレン、デカメチレン、−O(CH2)2 −、−O(CH2)2 O(CH2)2 −、−O(CH2)2 O(CH2)2 O(CH2)2 −、−S(CH2)2 −、−S(CH2)2 S(CH2)2 −、−S(CH2)2 S(CH2)2 S(CH2)2 −、−C(=O)CH2 −、−C(=O)CH2 CH2 −、−C(=O)CH2 CH2 CH2 −、−C(=O)(CH2)4 −、−C(=O)(CH2)5 −、−NHC(=O)CH2 −、−NHC(=O)(CH2)2 −、−NHC(=O)(CH2)3 −、−NHC(=O)(CH2)4 −、−NHC(=O)(CH2)5 −、−OC(=O)CH2 −、−OC(=O)(CH2)2 −、−OC(=O)(CH2)3 −、−OC(=O)(CH2)4 −、−OC(=O)(CH2)5 −、−(CH2)2 −OC(=O)(CH2)2 −等が挙げられる。
【0028】
前記A2 、A3 及びA4 はそれぞれ独立にH、炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和アルキル基を表す(但し、A4 にはHは含まれない。)。A2 、A3 及びA4 にはカルボニル、エーテル、エステル、チオエーテル、アミド、スルホン結合を任意に含んでもよい。更に詳しくA2 、A3 及びA4 を例示すれば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、エトキシエチル、メトキシエチル等の基が挙げられる。
【0029】
前記一般式(I)において、YはSO2 NR1 R2 またはSO3 R3 またはSO2 SR4 であり、R1 、R2 はそれぞれ独立にHまたは炭素数1〜20、望ましくは炭素数1〜12の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和アルキル基または炭素数4〜30、望ましくは炭素数6〜12の置換もしくは非置換のアリール基を表す。R3 、R4 はそれぞれ独立に炭素数1〜20、望ましくは炭素数1〜12の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和アルキル基または炭素数6〜20、望ましくは炭素数6〜12の置換もしくは非置換のアリール基を表す。置換アリールの置換基を例示すれば、メチル、エチル、塩素、臭素、弗素等のハロゲン、トリフルオロメチル、シアノ、メトキシ及びエトキシ等の基が挙げられる。更に詳しくR1 及びR2 を例示すれば、各々独立に水素、メチル、エチル、プロピル、アリル、イソプロピル、ブチル、1−ブテニル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、エトキシエチル、メトキシエチル、アセトニル、アセチル、フェニル、クロロフェニル、トリル、キシリル、ナフチル、フェノキシ、p−ジフェニレンオキシ、p−アルコキシジフェニレンオキシ等の基が挙げられる。またR1 とR2 は互いに任意な位置で結合して、窒素原子と共に複素環を形成する飽和または不飽和炭化水素鎖を形成していてもよく、例示としてはブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ブタジエニレン等が挙げられる。
【0030】
R3 及びR4 としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、アリル、イソプロピル、ブチル、1−ブテニル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、エトキシエチル、メトキシエチル、アセトニル、アセチル、フェニル、トリル、キシリル、ナフチル等の基が挙げられる。
【0031】
前記一般式(I)において、Mは、H+ またはNa+ 、Li+、K+ 等のアルカリ金属イオンまたはNH4 +、N(CH3)4 +、N(C6 H5)4 +等の置換もしくは非置換の第4級アンモニウムイオンの如きVb族元素のアルキル置換型もしくはアリール置換型カチオンを表す。Zとしては、PF6 -、SbF6 -、AsF6 -のごときVb族元素のハロゲン化物アニオン、BF4 -のごとき IIIb族元素のハロゲン化物アニオン、I- (I3 -)、Br- 、Cl- のごときハロゲンアニオン、ClO4 -のごとき過ハロゲン酸アニオン、AlCl4 -、FeCl4 -、SnCl5 -等のごときルイス酸アニオン、あるいはNO3 -、SO4 2- のごとき無機酸アニオン、またはp−トルエンスルホン酸アニオン、CF3 SO3 -、CH3 SO3 -のごとき有機スルホン酸アニオン、またはCH3 COO- 、C6 H5 COO- のごときカルボン酸アニオン等のプロトン酸アニオン等の電解質アニオン等を挙げることができる。また、同じくポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニル硫酸、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリ−α−メチルスルホン酸、ポリエチレンスルホン酸、ポリリン酸等のごとき高分子電解質のアニオン等を挙げることができる。さらには弗素系のカルボン酸やスルホン酸、弗素系の高分子電解質のアニオン等を挙げることができるが、必ずしもこれに限定されるものではない。また、複数のアニオンが共存していてもよい。jは前記陰イオンZの価数に等しい正数である。
【0032】
前記一般式(I)において、kは重合体中のφの置換基A1 SO3 -(M)fによる平均置換度、即ち、重合体中の全φの平均値として1個のφ中の平均化された該置換基含有率を表し、0〜1.9の範囲であり、また、mは重合体中のφの置換基A1 Yによる平均置換度、即ち、重合体中の全φの平均値として1個のφ中の平均化された該置換基含有率を表し、0.1〜2の範囲である。mの範囲としては特に0.4〜1.3の範囲が好ましい。これらの置換基がφ中の炭素原子に結合している場合にはk+mの値は2以下であり、窒素原子に結合している場合にはk+mの値は1以下である。
【0033】
【0034】
一般式(III)あるいは一般式(IV)で表される化学構造を含む導電性重合体の置換基R5 およびR6 は、前述のスルホン酸アミド化、スルホン酸エステル化、スルホン酸チオエステル化の反応において阻害するものでなければ如何なる基でもよく、例えば、それぞれ独立にH、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和アルキル基もしくはアルコキシ基、ハロゲン、ニトロ基、1級、2級もしくは3級アミノ基、トリハロメチル基、置換または非置換のフェニル基から選ばれる。かかる炭素数1〜20のアルキル基またはアルコキシ基には、カルボニル、エーテル、エステル、チオエーテル、アミドまたはスルホン結合を任意に含んでもよい。置換フェニル基の置換基の例としては、メチル、エチル、塩素、臭素、弗素等のハロゲン原子、トリフルオロメチル、シアノ基、メトキシ、エトキシ等が挙げられる。
【0035】
ここでR5 及びR6 として特に有用な例としては、水素、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、フェニルおよび置換フェニル基が挙げられる。これらの置換基を更に詳しく例示すれば、アルキル基としてはメチル、エチル、プロピル、アリル、イソプロピル、ブチル、1−ブテニル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、エトキシエチル、メトキシエトキシエチル、アセトニル、フェナシル等、アルコキシ基としてはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、オクチルオキシ、ドデシルオキシ、メトキシエトキシ、2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ等、ハロゲン基にはフルオロ、クロロ、ブロモ等、置換フェニル基にはフルオロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、メチルフェニル基等が挙げられる。
【0036】
一般式(III)あるいは一般式(IV)において、XはS、O、Se、TeまたはNR7 の如きヘテロ原子あるいはR7 基を有する窒素原子である。即ち、一般式(III)で示される化学構造としては、イソチアナフテニレン、イソベンゾフリレン、イソベンゾセレニレン、イソベンゾテルリレンおよびイソインドリレン骨格を有する二価基が挙げられる。また一般式(IV)で示される化学構造としては、チエニレン、フリレン、セレニレン、テルリレン、ピロリレン骨格を有する二価基が挙げられる。
【0037】
前記R7 は炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状アルキル基または炭素数6〜10の置換もしくは非置換のアリール基を表し、カルボニル、エーテル、エステル、チオエーテル、アミド、スルホン結合を任意に含んでもよい。置換アリール基の置換基の例としては、メチル、エチル、塩素、臭素、弗素等のハロゲン原子、トリフルオロメチル、シアノ基、メトキシ、エトキシ等が挙げられる。更に詳しくR7 を例示すれば、水素、メチル、エチル、プロピル、アリル、イソプロピル、ブチル、tert− ブチル、ペンチル、ヘキシル、エトキシエチル、メトキシエチル、アセトニル、アセチル、フェニル、トリル、キシリル等の基が挙げられる。
【0038】
次に、本発明の前記導電性重合体(P1)、(P2)、(P7)および(P8)の製造法について詳しく説明する。
前記一般式(V)で表される化学構造からなる繰り返し単位を含む導電性重合体に、アミン、アルコール、チオールを溶媒存在下あるいは無溶媒下において縮合反応させることにより、実用的で新規なπ共役系導電性重合体を製造することができる。
【0039】
本発明による製造方法において用いられる前記一般式(V)で表される化学構造からなる繰り返し単位を含む導電性重合体は、公知の方法により得ることができる。かかる公知の方法としては、例えばJ.Am.Chem.Soc.,112,2800(1990)やMacromolecules,23,2119(1990)が挙げられる。
【0040】
前記一般式(V)で表される化学構造からなる繰り返し単位を含む導電性重合体と、1級もしくは2級アミンまたはアルコールまたはチオールとを縮合することを特徴とする前記導電性重合体(P1)、(P2)、(P7)または(P8)の製造法において、原料となる一般式(V)で表される化学構造からなる繰り返し単位を含む導電性重合体中のA1 SO3 -M基とアミン、アルコールまたはチオールとの反応によるA1 Y基への変換率は、反応に用いる原料化合物の仕込みモル比や反応時間あるいは反応温度などの反応条件を制御することによって制御でき、従って原料重合体中のA1 SO3 -M基を任意の度合いで残存させることができる。即ち、前記導電性重合体(P1)、(P2)、(P7)または(P8)において、重合体のφ中の置換基A1 SO3 -(M)fの残存度、つまり該置換基によるφの平均置換度kを、該置換基がφ中の炭素原子に結合している場合には0〜1.9の範囲に、また該置換基がφ中の窒素原子に結合している場合には0〜0.9の範囲にすることができる。従って、置換基A1 Yへの変換度である、重合体のφ中のA1 Yによる平均置換度mは、該置換基がφ中の炭素原子に結合している場合には0.1〜2の範囲に、また該置換基がφ中の窒素原子に結合している場合には0.1〜1の範囲にすることができる。但し、これらの置換基がφ中の炭素原子に結合している場合にはk+mの値は2以下であり、窒素原子に結合している場合にはk+mの値は1である。
【0041】
【0042】
前記の縮合反応による前記導電性重合体(P1)、(P2)、(P7)または(P8)の製造において、用いられるアミンとしては、(i)炭素数1〜20、望ましくは炭素数1〜12の範囲の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和アルキル基、(ii)炭素数4〜30、望ましくは炭素数6〜12の範囲の置換もしくは非置換のアリール基または (iii)炭素数2〜10、望ましくは炭素数4〜9の範囲の飽和もしくは不飽和の置換もしくは非置換の環状構造を有する1級または2級アミンが挙げられる。置換アリール基および置換環状アミンの置換基の例としては、メチル、エチル、塩素、臭素、弗素等のハロゲン原子、トリフルオロメチル、シアノ基、メトキシ、エトキシ等が挙げられる。更に具体的に例示すれば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、アリルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジオクチルアミン、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルブチルアミン、アニリン、クロルアニリン、アミノナフタレン、ジフェニルアミン、ピペリジン、ホモピペリジン、ピロール、トルイジン、キシリジン、アニシジン、2−フランアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、フェニルプロピルアミン、エチレンイミン、ピペリジン−アルデヒド、N−メチルピペラジン、ピロリジン、ピロリン、モルフォリン、インドール、イソインドール、インドリン、イソインドリン、インダゾール、プリン、カルバゾール、フェノチアジン、フェノキサジン、シクロプロピルアミン、シクロブチルアミン、シクロブテニルアミン、シクロペンチルアミン、シクロペンテニルアミン、シクロペンタジエニルアミン、シクロヘキシルアミン、シクロヘキセニルアミン、シクロヘプテルアミン、シクロヘプテニルアミン、シクロヘプタジエニルアミン等が挙げられる。
【0043】
前記の縮合反応による前記導電性重合体、(P2)、(P7)または(P8)の製造において、用いられるアルコールとしては、(i)炭素数1〜20、望ましくは1〜12の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和アルキル基を有するアルコール、または(ii)フェノール等水酸基を有する炭素数6〜20、望ましくは炭素数6〜12の芳香族化合物が挙げられる。更に具体的に例示すれば、メタノール、エタノール、プロパノール、アリルアルコール、イソプロパノール、ブタノール、tert−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、アリルアルコール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、フェニルプロピルアルコール、フェノール、クレゾール、キシレノール、ナフトール等が挙げられる。
【0044】
前記の縮合反応による前記導電性重合体(P1)、(P2)、(P7)または(P8)の製造において、用いられるチオールとしては、(i)炭素数1〜20、望ましくは1〜12の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和アルキル基を有するメルカプタン化合物、または(ii)チオフェノール等チオール基を有する炭素数6〜20、望ましくは炭素数6〜12の芳香族化合物が挙げられる。更に具体的に例示すれば、メタンチオール、エタンチオール、プロパンチオール、ブタンチオール、ペンタンチオール、ヘキサンチオール、オクタンチオール、チオフェノール、ナフタレンチオール等が挙げられる。
【0045】
前記の縮合反応による前記導電性重合体(P1)、(P2)、(P7)または(P8)の製造において、用いられる原料重合体の濃度は、重合体の種類や他の反応条件によって異なるが、一般には原料重合体中の反応基であるA1 SO3 -MまたはOA1 SO3 -Mの濃度として1×10-4から1×101 モル/リットルの範囲であれば望ましく、1×10-3から5モル/リットルの範囲が特に望ましい。
【0046】
前記製造において用いられるアミン、アルコール及び/またはチオールの濃度は、製造する重合体中へのスルホン酸アミド結合、スルホン酸エステル及び/またはチオエステル結合の所望導入量に応じて任意に設定できる。用いる濃度はアミン、アルコール及び/またはチオールの種類、原料重合体の種類、反応溶媒、あるいは他の反応条件によって異なるが、一般には用いられる原料重合体中の前記反応基のモル当り1×10-2から1×102 のモルに相当する量を用いることが望ましく、1×10-1から1×101 のモルに相当する量を用いることが特に望ましい。
【0047】
前記製造において適用される温度は、用いられるアミン、アルコール及び/またはチオールの種類、原料重合体の種類、反応溶媒、あるいは他の反応条件によって定められるもので、特に限定されないが、一般には−80℃から300℃の温度範囲が望ましく、5℃から200℃の温度範囲で行われることが特に望ましい。
【0048】
前記製造において、反応時間は、用いられるアミン、アルコール及び/またはチオールの種類、原料重合体の種類、反応溶媒、あるいは他の反応条件によって異なるため一概には規定できないが、通常は0.01時間から200時間の範囲で行うことが望ましく、0.1時間から40時間の範囲が特に望ましい。
【0049】
前記製造において、反応圧力は、用いられるアミン、アルコール及び/またはチオールの種類、原料重合体の種類、反応溶媒、あるいは他の反応条件によるので一概には規定できないが、通常は1から数気圧で行うことが望ましい。特にアミンあるいはチオールを反応に用いる場合には、酸化によるアミン及びチオールの劣化を防ぐため窒素、アルゴン等の不活性気体下で行うことが望ましい。
【0050】
前記製造において、反応は無溶媒で行うこともできるが、溶媒を用いる場合には、原料重合体、アミン、アルコール及び/またはチオールの種類や濃度等他の反応条件によって異なるので一概には規定できないが、アミン、アルコール及び/またはチオールあるいは原料重合体を溶解し、且つ縮合反応を阻害するものでなければ如何なる溶媒であってもよい。かかる溶媒を例示すれば、水、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホラン、プロピレンカーボネート(PC)、アセトニトリル、ベンゾニトリル、ニトロメタン、酢酸等の溶媒が用いられる。更にはこれらの混合溶媒を用いることもできる。また、用いられるアミン、アルコール及び/またはチオールを溶媒兼用で用いることもできる。
【0051】
前記製造において、使用されるアミン、アルコール及び/またはチオールの種類によっては、これらの原料をガス状で反応系に導入して原料重合体と反応させることができる。例としては、メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、メタンチオール等が挙げられる。
【0052】
前記製造において、反応の進行とともに水が副生するが、反応を促進するために脱水剤を共存させてもよい。脱水剤としては、行おうとするアミド化反応あるいはエステル化反応あるいはチオエステル化反応を阻害するものでなければ制限は無く、例えば、無水塩化カルシウム、無水硫酸ナトリウム、無水硫酸マグネシウム等でもよい。脱水剤の量は、特に制限されないが、一般には反応させるA1SO3 -M基の量に対して0.01〜5モル当量、望ましくは0.1〜2モル当量である。
【0053】
前記一般式(I)で表される化学構造を含む導電性重合体は、有機溶媒に溶解し且つ水溶性であるものも含まれるが、このうち水溶性のものは、限外濾過、透析及びイオン交換操作によって単離あるいは精製することができる。さらには公知の手法により、例えば、エーテル、ジオキサン等からの再沈殿精製を行うことができる。
【0054】
前述の通り、前記一般式(I)および(V)において、MはH+ またはNa+ 、Li+ 、K+ 等のアルカリ金属イオンまたはNH4 +、N(CH3)4 +、N(C6 H5)4 +等の第4級アンモニウムイオンの如きVb族元素の非置換またはアルキル置換型もしくはアリール置換型カチオンを表すが、かかるカチオンのいずれかから任意の他のカチオンへの変換は、通常のイオン交換あるいはMがH+ のタイプの重合体に他のカチオンを生じる塩基等を反応させることにより達成される。また、前記一般式(I)、および(V)において、Mとしては、前記カチオンのいずれか1つに限定されるものではなく、複数のカチオンが共存していてもよい。
【0055】
前記導電性重合体(P1)、(P2)、(P7)または(P8)において、kが0である重合体は、水溶性ではなく、スルホン酸アミド側鎖やスルホン酸エステル等の側鎖によって一般的に有機溶媒に可溶となる。A1 SO3 -(M)fの残存度kが大きくなると、重合体の水溶性が強く現れ、場合によっては、水溶性と有機溶媒可溶性の両面を示す。
【0056】
一般式(I)で表される化学構造からなる繰り返し単位を含む導電性重合体である前記導電性重合体(P1)、(P2)、(P7)または(P8)において、δが0の場合、即ちπ共役系主鎖が中性状態(無電荷状態)の重合体は、電気化学的または化学的に酸化する(p型ドーピング)ことにより、δが0より大きく1以下(0<δ≦1)、すなわちπ共役系主鎖が酸化されたp型のドープ状態(荷電状態)の可溶性導電性重合体に変換することができ、導電性を著しく高めることができる。同様にして、p型のドーピング状態の導電性重合体は、電気化学的または化学的に還元することにより、δが0の中性状態もしくは0より大きく1以下(0<δ≦1)の任意のドープ状態の導電性重合体に変換することができる。このように前記導電性重合体(P1)、(P2)、(P7)または(P8)は酸化還元反応により可逆的にドーピング、あるいは脱ドーピング処理ができる。
【0057】
一般式(I)で表される化学構造からなる繰り返し単位を含む導電性重合体である前記導電性重合体(P1)、(P2)、(P7)または(P8)において、fが0であり且つδが0より大きく1以下(0<δ≦1)の場合は、前記式(VII)においてδfは0であるので陰イオンZは存在せず、また置換基(A1 SO3 -(M)f)k及び(OA1 SO3 -(M)f)kはそれぞれ式(IX)
【化13】
及び式(X)
【化14】
を表し、即ち前記導電性重合体(P1)、(P2)、(P7)または(P8)は該置換基のもつSO3 -による自己ドーピング状態の重合物である。ヘテロ5員環式化合物重合体に関する自己ドープ概念は、本発明者の一部により、Synthetic Metals誌、30巻、305頁、1989年に詳しく述べられている。本発明の重合物に関する実験から、一般式(I)で表される化学構造からなる繰り返し単位を含む導電性重合体のようなSO3 -M基を有する化学構造を含む重合物は、自己ドーピング能を有し、また電気化学的レドックス反応によって自己ドーピング状態を作ることができることを実験で確認した。即ち、かかる自己ドーピング能を有する前記重合体は、電気化学的または化学的酸化還元反応により、可逆的にドーピング、あるいは脱ドーピングできる。
【0058】
ドーピングの方法としては、すでに知られている電気化学的または化学的なドーピング方法であればどのような方法でも良い。例えば、電気化学的なドーピング方法は電極間に導電性重合体をはさみドーパントを含有する溶液中で印加する方法であり、化学的ドーピング方法は導電性重合体フィルムに気相中よう素等のドーパントを反応させる気相法などが挙げられる(「導電性高分子の基礎と応用−合成・物性・評価・応用技術−」(1988年出版)(株)アイピーシー参照)。その際に用いられるドーパントは、前記Zとして記載したアニオンが用いられる。
【0059】
前記式(I)で表される導電性重合体において、スルホン酸アミド基、スルホン酸エステル基、スルホン酸チオエステル基等の極性置換基を有する可溶性導電性重合体は新規物質であり、特に前記導電性重合体のXがSであるポリイソチアナフテン構造の場合、半導体としてのエネルギーギャップが約1.1eVと小さく、低いドーピングレベルで高い導電性を示すことが期待されている。
【0060】
本発明の前記導電性重合体(P1)、(P2)、(P7)または(P8)の製造法において、得られる重合体は、反応条件によっては同じ高分子鎖内にδが0の中性状態の化学構造及びδが0より大きく1以下(0<δ≦1)のドープ状態の化学構造を共に含む重合体を形成する場合もある。得られた重合体に電気化学的または化学的な酸化還元反応を施すことによって、同一分子内に中性状態の化学構造とドープ状態の化学構造が任意の比率で存在する重合体を得ることができる。
【0061】
本発明の前記導電性重合体(P1)、(P2)、(P7)または(P8)には、他のπ電子共役系繰り返し単位を任意の割合で含有する共重合体も包含され、かかる他のπ電子共役系繰り返し単位を例示すれば、イソチアナフテニレン、イソベンゾフリレン、イソベンゾインドリレン、イソベンゾセレニレン、イソベンゾテルリレン、2,5−チエニレン、2,5−ピロリレン、2,5−フリレン、2,5−セレニレン、2,5−テルリレン、イミノフェニレン、フェニレン、ナフチレン、アントラシレン、フェナントリレン、アズリレン、ピリジンジイル、ピラジンジイル、ピリミジンジイル、キノリレン、イソナフトチエニレン、イソナフトフリレン、イソナフトピロリレン、イソナフトセレニレン、イソナフトテルリレン、イソアントラセノチエニレン、イソアントラセノフリレン、イソアントラセノピロリレン、イソアントラセノセレニレン、イソアントラセノテルリレン、チエノチエニレン、ピロロピロリレン、ジチエノチエニレン、ビニレン、エチニレン(もしくはアセチレン)構造が挙げられるが、特にこれに制限されない。これらの共重合体は、例えば、上記構造を与える単量体を共存させて製造される上記構造および前記一般式(V)で表される化学構造からなる繰り返し単位を含む共重合体構造を有する導電性重合体を原料として用い、前記の製造法により容易に製造される。
【0062】
本発明の前記導電性重合体(P1)、(P2)、(P7)または(P8)は、有機溶媒あるいは水に対して優れた溶解性を示す。また、置換基の種類によってはゲル状態を示すこともあるなど、置換基を変えることにより種々の溶媒に対する溶解性や溶媒親和性を変えることができる。
【0063】
このように前記導電性重合体(P1)、(P2)、(P7)または(P8)は、有機溶媒あるいは水に対して可溶性である利点を生かして、フィルム(例えばスピンキャスト法)、線状成形物、あるいは棒状、板状、シート状およびその他固体の成形体を一般の高分子工業で行われる成形・製膜方法で容易に製造することができ、また、得られた成形体は極めて安定に導電状態を維持する。
【0064】
上記の成形・製膜方法において、用いられる前記導電性重合体濃度は、成形状態、重合体の化学構造や溶媒により異なり一概には規定できないが、一般には0.01〜60重量%の濃度であることが好ましい。成形工程は不活性ガス雰囲気下または真空下で行う場合が多いが、空気雰囲気下でも好ましく、重合体溶液を適当な媒体、例えば硝子板または臭化ナトリウムディスク上においてフィルムに成形するか、あるいは溶液から直接繊維やその他の固体の成形体に成形することにより所望の形に成形できる。更には延伸等を行うことも可能である。
【0065】
また、溶液状態において他の汎用樹脂、例えばポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル等と共に溶解もしくは混合し、その溶液から任意組成比を有する成形体を形成することもできる。その場合使用する該樹脂の重量は、前記導電性重合体に対し、通常は10〜500%の範囲が好ましい。また、この時用いられる溶媒としてはジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド等の極性有機溶媒あるいは水が好ましいが、該樹脂及び前記導電性重合体を溶解する溶媒であれば特に限定されるものではなく、また混合溶媒系でもよい。
【0066】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。しかし、本発明の技術的範囲はこれらの実施例によって限定されるものでない。
(参考例1)
導電性重合体(P1)〔φ=イソチアナフテニレン、A1 =なし、Y=C8 H17NHSO2 、m=0.7、f=1、k=0、δ=0〕及び導電性重合体(P6)〔A1 =なし、R5 =R6 =H、Y=C8 H17NHSO2 、m=0.7、f=1、k=0、X=S、δ=0〕
室温下、発煙硫酸(20% SO3 )2.0mlを入れた硫酸4.0ml中に1,3−ジヒドロイソチアナフテン500mgを撹拌しながらゆっくりと加え、1晩撹拌を続けた。反応液は赤色となった。その後、90℃に加熱したところ反応液は直ちに濃紺色を呈し3時間後には濃い紺色の均一溶液となった。更に反応混合物を2時間同温度で加熱撹拌した後、1000mlの水に加えた。水溶液のpHをHClで1.9に調整し限外濾過膜によって精製した後100mlに濃縮した。そして水を減圧留去し、真空乾燥して、一般式(V)においてφが一般式(III)で表される化学構造からなる重合体(A1 =なし、R5 =R6=H、n=0.7、M=H+)(黒色)390mgを得た。N−メチル−2−ピロリドン(NMP)20ml中に、上記により得た重合体0.25gおよびn−オクチルアミン0.15g(1.16ミリモル)を添加し、窒素雰囲気下160℃で6時間加熱撹拌して反応させた。終了後、反応溶液を1,4−ジオキサン200ml中に添加し、析出物を得た。析出物を濾別後、N,N−ジメチルホルムアミド20ml中に溶解し、溶液を1,4−ジオキサン200mlに添加して再沈澱した。この操作を2回繰り返し析出物を濾別後、水およびアセトン各200mlにて洗浄した後、真空乾燥して濃紺色重合体0.26gを得た。得られた重合体の赤外線吸収スペクトル(KBr法、cm-1)を図1に示す。特性吸収は以下の通り。
2924w、2854w、1586w、1466w、1389m、1217s、1190s、1139w、1106w、1038s、998m、923w、851w、704m、622m、603m。
【0067】
また、ジメチルスルホキシド(DMSO−d6)中での 1H−NMRスペクトルを図2、DMF中の可視近赤外線吸収スペクトルを図3に示す。得られた重合体は、NMP、DMSO、ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)等に易溶であったが、水には不溶であった。
元素分析値〔%〕C:60.82、H:5.85、N:3.66、S:19.95
元素分析計算値〔(C8 H4 S)0.3(C16H21NS2 02)0.7 、%〕C:61.39、H:6.02、N:3.69、S:20.48
得られた重合体の電導度は、7×10-7S/cmであった。
【0068】
(参考例2)
導電性重合体(P1)〔φ=イソインドリレン、A1 =なし、Y=C8 H17NHSO2 、m=0.7、f=1、k=0、X=NR7 、R7 =CH3 、δ=0〕及び(P6)〔A1 =なし、R5 =R6 =H、X=NR7 、R7 =CH3 、f=1、Y=C8 H17NHSO2 、m=0.7、k=0、δ=0〕
公知の方法(Advan. Heterocyc. Chem. 10, 113(1969) )で製造したN−メチルイソインドリン0.50gを20%発煙硫酸2mlを入れた硫酸4ml中、90℃で3時間加熱反応し、反応溶液を100mlのメタノールに添加し、析出物を遠心分離により分離した。分離した固体を0.5Nの水酸化ナトリウム水溶液100mlに溶かし、イオン交換水で透析処理をして過剰の水酸化ナトリウム等の不要物を除去後、溶媒留去、真空乾燥を経てNa型の重合体(M=Na+)0.38gを得た。
【0069】
重合体を水50mlに溶かし、酸型のイオン交換樹脂(アンバーライトIR−120B)に注意深く充分通して酸型の重合体(M=H+)に変換した。さらに、溶媒を減圧留去して黒色重合体固体を得た。中和滴定法により重合体中のイソインドリレン構造単位のスルホン酸による平均置換度nを求めたところ、その値は0.7であった。次に、このようにして得られた、一般式(V)におけるφが一般式(III) で表される化学構造からなる重合体(A1 =なし、R5 =R6 =H、X=NR7 、R7 =CH3 、n=0.7、M=H+)〕0.24gを溶かしたNMP20mlにn−オクチルアミン0.15g(1.16ミリモル)を添加し、参考例1記載の方法に準じて加熱反応した。その後、参考例1と同様に処理して黒色重合体を0.18g得た。得られた重合体は、NMP、DMSO、DMF、DMA等に可溶だが、水に溶けなかった。得られた重合体の電導度は、3×10-10S/cmであった。得られた重合体の赤外線吸収スペクトル(KBr法、cm-1)における特性吸収は以下の通り。
3080、2960、1380、1225、1180。
【0070】
(参考例3)
導電性重合体(P1)〔φ=イソチアナフテニレン、A1 =なし、Y=C5 H11NHSO2 、m=0.7、f=1、k=0、δ=0〕及び(P6)〔A1 =なし、R5 =R6 =H、Y=C5 H11NHSO2 、f=1、m=0.7、k=0、X=S、δ=0〕
n−アミルアミン20ml中に、参考例1と同様にして製造した、一般式(V)におけるφが一般式(III)で表される化学構造からなる重合体(A1 =なし、R5 =R6 =H、n=0.7、M=H+)0.25gを添加し、窒素雰囲気下100℃で6時間加熱撹拌して反応させた。反応後、参考例1と同様に処理して濃紺色重合体0.19gを得た。重合物のλmax は846nm(NMP中)であった。得られた重合体の赤外線吸収スペクトル(KBr法)における特性吸収は以下の通り。
νN-H :3080cm-1νS=O :1190、1217、1380cm-1νC=C :1465、1620cm-1δC-H :850cm-1。
得られた重合体の電導度は、2×10-4S/cmであった。
【0071】
(参考例4)
導電性重合体(P1)〔φ=イソチアナフテニレン、A1 =なし、Y=C6 H5 NHSO2 、m=0.7、f=1、k=0、δ=0〕及び(P6)〔A1 =なし、R5 =R6 =H、Y=C6 H5 NHSO2 、m=0.7、f=1、k=0、X=S、δ=0〕
NMP20ml中、参考例1と同様にして製造した、一般式(V)におけるφが一般式(III)で表される化学構造からなる重合体(A1 =なし、R5 =R6 =H、n=0.7、M=H+ )0.50gとアニリン0.22gとを窒素雰囲気下160℃で6時間加熱撹拌して反応させた。その後、参考例1と同様に処理して濃紺色の重合体0.09gを得た。重合体のλmax は842nm(NMP中)であった。得られた重合体の赤外線吸収スペクトル(KBr法)における特性吸収は以下の通り。
νN-H :3080cm-1νS=O :1170、1216、1378cm-1νC=C :1650cm-1δC-H :689cm-1
得られた重合体の電導度は、5×10-5S/cmであった。
【0072】
(参考例5)
導電性重合体(P1)〔φ=イソチアナフテニレン、A1 =なし、Y=C8 H17NHSO2 、m=0.7、f=1、k=0、j=1、Z=I- 、δ>0〕及び(P6)〔A1 =なし、R5 =R6 =H、Y=C8 H17NHSO2 、m=0.7、f=1、k=0、X=S、j=1、Z=I- 、δ>0〕
参考例1記載の方法で得られた導電性重合体〔φ=イソチアナフテニレン、A1 =なし、R5 =R6 =H,Y=C8 H17NHSO2 、m=0.7、k=0、δ=0〕1mgをDMF100mlに溶解した液に、0.01wt%のヨウ素のDMF溶液を0.05ml添加して、ヨウ素によるドーピング反応を行なったところ、図4に示すようなドープ状態の導電性重合体のスペクトルを示す溶液が得られた。
【0073】
(参考例6)
導電性重合体(P1)〔φ=イソチアナフテニレン、A1 =なし、Y=C5 H11OSO2 、m=0.8、f=1、k=0、δ=0〕及び(P6)〔A1 =なし、R5 =R6 =H,Y=C5 H11OSO2 、m=0.8、f=1、k=0、X=S、δ=0〕
n−アミルアルコ−ル10ml中に、参考例1と同様にして製造した、一般式(V)におけるφが一般式(III)で表される化学構造を含む重合体〔A1 =なし、R5 =R6 =H、n=0.8、M=H+ 〕0.25gを添加し、窒素雰囲気下130℃で6時間加熱撹拌して反応させた。その後、参考例1と同様に処理して濃紺色の重合体0.22gを得た。重合体のλmax は825nm(DMSO中)であった。得られた重合体の赤外線吸収スペクトル(KBr法)における特性吸収は以下の通り。
νS=O :1162、1347cm-1νC=C :1645cm-1δC-H :842cm-1
得られた重合体の電導度は、4×10-5S/cmであった。
【0074】
(参考例7)
導電性重合体(P1)〔φ=イソチアナフテニレン、A1 =なし、Y=C5 H11OSO2 、m=0.8、f=1、k=0、j=1、Z=I- 、δ>0〕及び(P6)〔A1 =なし、R5 =R6 =H、Y=C5 H11OSO2 、X=S、m=0.8、f=1、k=0、j=1、Z=I- 、δ>0〕
参考例6の方法で得られた導電性重合体(P6)〔A1 =なし、φ=イソチアナフテニレン、R5 =R6 =H、Y=SO3 C5 H11、m=0.8、k=0、f=1、δ=0〕1mgを同様に100mlのDMSOに溶解した液に、0.01%のヨウ素のDMF溶液を0.05ml添加したところ、図4と同様なドープ状態の導電性重合体のスペクトルを示す溶液が得られた。
【0075】
(参考例8)
導電性重合体(P1)〔φ=イソチアナフテニレン、A1 =なし、Y=C8 H17NHSO2 、m=0.6、f=1、k=0.2、M=Na+ 、δ=0〕及び(P6)〔A1 =なし、R5 =R6 =H、Y=C8 H17NHSO2 、X=S、M=Na+ 、m=0.6、k=0.2、δ=0、f=1〕
NMP20ml中に、参考例1と同様にして製造した、一般式(V)におけるφが一般式(III)で表される化学構造からなる重合体〔A1 =なし、R5 =R6=H、M=H+ 、n=0.8〕0.25gおよびn−オクチルアミン0.15g(1.16ミリモル)を添加し、窒素雰囲気下160℃で30分間加熱撹拌して反応させた。反応溶液を1,4−ジオキサン200ml中に滴下し、析出した生成物を濾別した(収量0.12g)。この生成物は水溶性であった。重合体中のイソチアナフテニレン構造単位のkをNaOH標準液で滴定して調べたところ、該構造単位当り0.2であった。また、この生成重合体の電導度を四端子法で測定すると、8×10-2S/cmであった。これを20mlのO.05N−NaOH水溶液で中和した時のλmax は820nmであった。
【0076】
(参考例9)
導電性重合体(P1)〔φ=イソチアナフテニレン、A1 =なし、Y=C8 H17NHSO2 、m=0.6、f=1、k=0.2、j=2、Z=硫酸イオン、M=H+ 、δ>0〕及び(P6)〔A1 =なし、R5 =R6 =H、Y=C8 H17NHSO2 、m=0.6、k=0.2、X=S、M=H+ 、Z=硫酸イオン、j=2,δ>0、f=1〕
参考例8で得られた重合体1mgを20mlの0.5Mの硫酸水溶液に溶かしたところ、図4と同様なドープ状態の導電性重合体のスペクトルを示す溶液が得られた。
【0077】
(参考例10)
導電性重合体(P2)〔φ=イソチアナフテニレン、A1 =なし、Y=C8 H17NHSO2 、m=0.6、f=0、k=δ=0.2、M=なし〕及び(P6)〔A1 =なし、R5 =R6 =H、Y=C8 H17NHSO2 、m=0.6、k=0.2、X=S、δ=0.2、f=0、M=なし〕
参考例8と同様の方法で得られた重合体200mgを200mlの0.05NのNaOH水溶液に溶かした後、HClでpH1.9に調整し限外ろ過膜によって脱塩処理した。濃縮された水溶液のスペクトルは、図4と同様なドープ状態の導電性重合体のスペクトルを示した。限外濾過後の重合体濃度は、約2×10-4重量%で、この水溶液のNa+ 濃度を(株)堀場製作所製のNa+ 選択性電極1512A−06Tで測定したところ、ネルンスト応答できない10ppm以下濃度であった。
【0078】
(実施例1)
導電性重合体(P1)〔φ=2,5−チエニレン、A1 =C3 H6 、Y=C8H17NHSO2 、m=0.7、f=1、k=0.3、M=H+ 、δ=0〕及び導電性重合体(P7)〔R5 =H、A1 =C3 H6 、Y=C8 H17NHSO2 、m=0.7、k=0.3、X=S、M=H+ 、δ=0,f=1〕
NMP20ml中、公知の方法(例えば、J. Chem. Soc. Chem. Commun.,1694頁、1990年)で製造した、一般式(V)におけるφが一般式(IV)で表される化学構造からなる重合体(A1 =C3 H6 、R5 =H、n=1.0、M=H+)0.50gとn−オクチルアミン0.32gとを窒素雰囲気下120℃で4時間加熱撹拌して反応させた。参考例1と同様に処理して濃黒褐色の重合体0.77gを得た。重合体のλmax は425nm(DMF中)であった。重合体の赤外線吸収スペクトル(KBr法、cm-1)における特性吸収は以下の通り。
3080、2960、1610、1380、1220、1185。
【0079】
(参考例11)
導電性重合体(P3)〔A1 =C3 H6 、OA2 =なし、A3 =CH3 、Y=C3 H7 NHSO2 、m=0.6、k=0.4、M=H+ 、f=1、δ=0〕
公知の方法(Macromolecules, 23, 2119 (1990) )で製造した、一般式(VI)で表される化学構造からなる繰り返し単位〔A1 =C3 H6 、OA2 =なし、A3 =CH3 、n=1.0、M=H+ 〕を含む重合体であるポリ[5−メトキシ−2−(3−スルホプロポキシ)−1,4−フェニレンビニレン]0.25gとn−プロピルアミン0.06gとをNMP10ml中、窒素雰囲気下120℃で6時間加熱撹拌して反応させた。その後、参考例1と同様に処理して濃褐色の重合体0.27gを得た。重合体の赤外線吸収スペクトル(KBr法、cm-1)における特性吸収は以下の通り。 2950、1610、1410、1350、1210、1040。
【0080】
(実施例2)
導電性重合体(P1)〔φ=1,4−イミノフェニレン、A1 =なし、Y=C10H21NHSO2 、m=0.5、f=1、k=0、δ=0〕及び(P8)〔A1=なし,Y=C10H21NHSO2 、m=0.5、f=1、k=0、δ=0〕
公知の方法(J. Amer. Chem. Soc., 112, 2800 (1990) )で製造した、一般式(V)におけるφが非置換のイミノ基を有する1,4−イミノフェニレンである構造単位からなる重合体〔A1 =なし、n=0.5、M=H+ 〕であるスルホン酸基置換ポリアニリン0.50gとn−デシルアミン0.30gとをNMP20ml中、窒素雰囲気下120℃で6時間加熱撹拌して反応させた。その後、参考例1と同様に処理して黒色の重合体0.74gを得た。重合体の赤外線吸収スペクトル(KBr法、cm-1)における特性吸収は以下の通り。 3300、2970、1620、1490、1380、1220、1165、820。
【0081】
(参考例12)
導電性重合体(P1)〔φ=N−置換1,4−イミノフェニレン、A1 =C3H6 、Y=C5 H11NHSO2 、m=0.5、f=1、k=0.5、M=H+ 、δ=0〕及び(P8)〔A1 =C3 H6 、Y=C5 H11NHSO2 、m=0.5、f=1、k=0.5、M=H+ 、δ=0〕
公知の方法(J. Chem. Soc. Chem. Commun., 180 (1990) )で製造した、一般式(V)におけるφがN−置換型の1,4−イミノフェニレンである構造単位からなる重合体〔A1 =C3 H6 、n=1.0、M=H+ 〕であるポリアニリンプロパンスルホン酸0.50gとn−アミルアミン0.20gとをNMP20ml中、窒素雰囲気下120℃で3時間加熱撹拌して反応させた。その後、参考例1と同様に処理して黒色の重合体0.59gを得た。重合体の赤外線吸収スペクトル(KBr法、cm-1)における特性吸収は以下の通り。 3290、2980、1620、1480、1380、1220、1160、820。
【0082】
(参考例13)
導電性重合体(P1)〔φ=2,5−ピロリレン、A1 =C3 H6 、Y=C8H17NHSO2 、m=0.2、f=1、k=0、δ=0〕及び(P10)〔(A4 )1-n =なし、A1 =C3 H6 、Y=C8 H17NHSO2 、m=0.2、f=1、k=0、δ=0〕
公知の方法(J. Chem. Soc. Chem. Commun., 621 (1987) )で製造した、一般式(I)におけるφが2,5−ピロリレンである重合体〔A1 =C3 H6 、n=0.2、M=H+ 〕であるポリ(ピロール−co−3−スルホプロピルピロール)共重合体0.50gとn−オクチルアミン0.15gとをNMP50ml中、窒素雰囲気下160℃で6時間加熱撹拌して反応させた。その後、参考例1と同様に処理して黒色の重合体0.62gを得た。重合体の赤外線吸収スペクトル(KBr法、cm-1)における特性吸収は以下の通り。 3100、2935、1500、1450、1225、1190、800。
【0083】
(参考例14)
導電性重合体(P1)〔φ=カルバゾリレン、A1 =C3 H6 、Y=C8 H17NHSO2 、m=1.0、f=1、k=0、δ=0〕及び(P11)〔(A4 )1-n =なし、A1 =C3 H6 、Y=C8 H17NHSO2 、m=1.0、f=1、k=0、δ=0〕
公知の方法(J. Electrochem. Soc., 137, 900 (1990) )で製造した、一般式(I)におけるφがカルバゾリレンである重合体〔A1 =C3 H6 、n=1.0、M=H+ 〕であるポリ[N−(3−スルホ)プロピル−3,6−カルバゾリレン]0.50gとn−オクチルアミン0.22gとをNMP50ml中、窒素雰囲気下150℃で8時間加熱撹拌して反応させた。その後、参考例1と同様に処理して褐色の重合体0.63gを得た。重合体の赤外線吸収スペクトル(KBr法、cm-1)における特性吸収は以下の通り。
2940、1660、1450、1220、1180、750。
【0084】
(参考例15)
硝子板を支持体に選び、その表面に参考例5に記載の方法で製造したドープ状態の可溶性導電性重合体とポリアクリロニトリルとを各1重量%含むDMFをスピンコーター(室温下、回転数1000rpm)で塗布し、約1μ(触針法で測定)の薄膜を形成した。約60℃で15時間真空乾燥したところ、この薄膜と硝子基板との密着性は良好であり表面抵抗は1×107 Ω/□であった。また500nmの可視光の透過率は97%であった。
【0085】
(参考例16)
参考例1の方法で得られた導電性重合体(P6)〔A1 =なし、R5 =R6 =H、Y=C8 H17NHSO2 、m=0.7、k=0、X=S、δ=0〕2重量%とポリビニルアルコール(重合度2000)20重量%を含むDMFをシャーレ(直径5cm)に入れ、溶媒を真空乾燥した。シャーレ内に形成した約1mmの厚さの薄板上形成体を取り出した。この形成体の表面抵抗は1011Ω/□であったが、ヨウ素の気相ドーピングで107 Ω/□台に達した。
【0086】
【発明の効果】
本発明の導電性重合体(P1)、(P2)、(P7)または(P8)は、有機溶媒可溶性及び/または水溶性であり、加工性に優れた新規材料である。さらには、高い導電性を示す特徴から、単体あるいは複合材として導電材、電極、センサー、帯電防止材等の用途に好適に利用できる。さらには熱的、機械的にも安定であり、従来にない電気電子工学分野、半導体電子デバイス等の新しい構造材料としても利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】参考例1で得た重合体の赤外線吸収スペクトルである。
【図2】参考例1で得た重合体のDMSO−d6中での 1H−NMRスペクトルである。
【図3】参考例1で得た重合体のDMF中での可視近赤外線吸収スペクトルである。
【図4】参考例5で得た重合体のDMF中での可視近赤外線吸収スペクトルである。
Claims (5)
- 一般式(I)
(式中、φは、ヘテロ原子が窒素、硫黄、酸素、セレン、テルルからなる群より選ばれる原子を含む5乃至7員環を有する単環式複素環もしくは9乃至40員環を有する縮合複素環の二価基からなる群から選ばれる二価基、前記二価基にビニレンが連結した二価基、アリーレン、アリーレンビニレン及び1,4−イミノフェニレンからなる群から選ばれる二価基を表す。A1 は炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和アルキレン基を表し、その一端はφ中のC−H結合またはN−H結合の水素の代りに炭素または窒素原子に結合している。但し、式中A1 は必ずしも含まれなくてよくY及びSO3 -(M)fが直接φ中の炭素または窒素原子に結合していてもよい。A1 には、カルボニル、エーテル、エステル、チオエーテル、アミド、スルホン結合を任意に含んでもよい。YはSO2 NR1 R2 またはSO3 R3 またはSO2 SR4 であり、R1 、R2 はそれぞれ独立にHまたは炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和アルキル基または炭素数4〜30の置換もしくは非置換のアリール基を表す。R3 、R4 はそれぞれ独立に炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和アルキル基または炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基を表す。R1 とR2 は互いに任意の位置で結合して、窒素原子と共に複素環構造を形成する二価の飽和または不飽和炭化水素鎖を形成していてもよく、またR1 、R2 、R3 及び/またはR4 のアルキル鎖には、カルボニル、エーテル、エステル、チオエーテル、アミド、スルホン結合を任意に含んでもよい。Mはカチオンを表す。fは0または1を表す。Zは陰イオンを表し、jはZの価数を表し1または2である。δは0〜1の範囲である。)で表される化学構造からなる繰り返し単位を含む導電性重合体。
(但し、一般式(I)において、置換基A1 Y及び/またはA1 SO3 -(M)fを有する1個の繰り返し単位中の該置換基の総数は1または2であり、kは重合体中のφのA1 SO3 -(M)fによる平均置換度を表し、mは重合体中のφのA1 Yによる平均置換度を表し、kは0〜1.9の範囲であってA1 SO3 -M基を残存させる範囲であり、mは0.1〜2の範囲であり、該置換基がφ中の炭素原子に結合している場合にはk+mの値は2以下であり、窒素原子に結合している場合にはk+mの値は1以下である。また、fが0の場合にはkはδと同一である。)
さらに、上記一般式(I)に該当する導電性重合体のうち、下記の(i)〜(vi) に示す導電性重合体は除外される。
(i)φ中の窒素原子が置換基(A4)1-n (但し、A4 は炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和アルキル基を表す。A4 には、カルボニル、エーテル、エステル、チオエーテル、アミド、スルホン結合を任意に含んでもよい。1−nの値は重合体中の窒素原子のA4 による平均置換度を表し1以下である。)で置換されている導電性重合体、
(ii) φ中の窒素原子が置換基(A4 )1-n (但し、A4 及び1−nの値は、前記と同じ。)で置換されている2,5−ピロリレンである導電性重合体、
(iii) φ中の窒素原子が置換基(A4 )1-n (但し、A4 及び1−nの値は前記 と同じ。)で置換されている1,4−イミノフェニレンである導電性重合体、
(iv) φが、一般式(III)
(v) φ中の窒素原子が置換基(A 4 ) 1-n (但し、A 4 及び1−nの値は、前記と同じ。)で置換されているカルバゾリレンである導電性重合体、
(vi) φが、フェニレンビニレン骨格を含む化学構造からなる繰り返し単位を含む導電性重合体。 - 請求項1において、0<δ≦1かつfが0である一般式(I)で表される化学構造からなる繰り返し単位を含む請求項1記載の導電性重合体。
- φが、非置換のイミノ基を有する1,4−イミノフェニレンである請求項1または請求項2記載の導電性重合体。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の導電性重合体を成形してなる導電性成形物。
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