JP3413958B2 - 新規導電性重合体およびその製造法 - Google Patents

新規導電性重合体およびその製造法

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JP3413958B2 JP12273894A JP12273894A JP3413958B2 JP 3413958 B2 JP3413958 B2 JP 3413958B2 JP 12273894 A JP12273894 A JP 12273894A JP 12273894 A JP12273894 A JP 12273894A JP 3413958 B2 JP3413958 B2 JP 3413958B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、極めて安定で、有機溶
媒あるいは水に対して優れた溶解性を有する新規導電性
重合体およびその製造法に関する。更に詳しくは、本発
明は、電気、電子工業の分野において、加工的要求度が
高い電極、センサー、エレクトロニクス表示素子、非線
形光学素子、光電変換素子、帯電防止剤ほか、各種導電
材料あるいは光学材料として用いるのに適した新規可溶
性導電性重合体およびそれらの製造法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】π電子共役系の発達した重合体は、導電
性のみならず金属/半導体転移における状態変化などの
特異な物性のために工業的に注目され、多くの研究がな
されてきた。特にポリアセチレンやポリチオフェン、ポ
リピロ−ル、ポリパラフェニレン等の多くの導電性高分
子は、剛直な主鎖骨格のため不溶不融である(Skotheim
著、“Handbook of Conducting Polymers ”誌、 Marce
l Dekker社発行、1986年)が、その側鎖にアルキル基等
の置換基を導入した重合体は可溶性となり、その易加工
性のため工業的に注目されてきている。具体的な例とし
ては、ポリチオフェンの側鎖に長鎖アルキル基を導入し
て有機溶媒に可溶とした重合体(K.Jen ら、Journal of
Chemical Society, ChemicalCommunication 誌、1346
頁、1986年)や、アルキルスルホン酸基を導入して水溶
性の重合体(A.O.Patil ら、Journal of American Chem
ical Society誌, 109 巻、1858頁、1987年)などが知ら
れている。また、π共役系導電性高分子が不溶不融であ
るものの、その前駆体重合物が可溶性である特徴を活か
して剛直なポリマ−自体の間接的な加工性を工夫した技
術(村瀬ら、Poymer Communucations誌、25巻327 頁、
1984年)などが知られている。
【0003】多くのπ電子共役系重合体の中で、二環式
系導電性重合体、特にイソチアナフテニレン構造を有す
る重合体は半導体としてのバンドギャップが最も小さい
ために高い導電性が期待された高分子であり、このため
電気化学的なド−ピングによりp型導電体となった状態
で、π−π* 吸収帯が可視部からずれて近赤外部に移
り、透明性導電体になることから特に注目されている
(小林ら、Journal of Chemical Physics 誌 82 巻、57
17頁、1985年)。しかしながら、小林らにより初めて電
気化学的に合成されたポリイソチアナフテンは、不溶不
融の重合物であるため加工性に問題があった。
【0004】そのため工業的見地から種々の検討や改良
が図られており、既にいくつかの誘導体に関する報告が
知られている。例えば、イソチアナフテン骨格に電子吸
引性基や電子供与性基を導入すると、半導体としての電
子状態に影響を与えることがBredasらの計算結果から推
定されている(Journal of Chemical Physics 誌、85
巻、4673頁、1986年)。加工性を付与するために、イソ
チアナフテニレン骨格に長鎖アルコキシ基を導入した有
機溶媒可溶性の誘導体も本発明者の一部によって報告さ
れている(特開平2-242816号)。また関連する例として
は、ハロゲンを置換基とする重合体(特開昭63-307604
号)や電子吸引性基を置換基とする重合体が列挙された
公報(特開平2-252727号)もあるが、上述の報告や公報
の何れにおいても本発明に関する重合体についての特性
に関し何等記載されておらず、その製造方法についても
具体的な開示はない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
した従来技術の問題点を解決し、前記の各種用途あるい
は材料として用いるのに適した、極めて安定で、有機溶
媒あるいは水に対して優れた溶解性を有する新規導電性
重合体およびその製造法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】π電子共役系重合体にお
いて、スルホン酸アミド基、スルホン酸エステル基、ス
ルホン酸チオエステル基等の極性置換基を有し、安定性
がよく、高い導電性と溶解性を有するπ共役系重合体、
例えば、前記極性置換基を有するイソチアナフテニレ
ン、イソベンゾフリレン、イソインドリレン、イソベン
ゾセレニレン、イソベンゾテルリレン、フェニレンビニ
レン、1,4−イミノフェニレン構造等を繰り返し単位
とする可溶性導電性重合体及びその製造方法はこれまで
開示されていない。
【0007】本発明者らは、前記の目的のもとに、実用
上有利な可溶性導電性重合体を開発するため鋭意研究を
重ねた結果、製造が容易であるスルホン酸基を有するπ
共役系導電性重合体にアミン類、アルコール類あるいは
チオール類を反応させることにより、簡便に前記スルホ
ン酸アミド基、スルホン酸エステル基、スルホン酸チオ
エステル基等の極性置換基を有する導電性重合体を提供
できることを見い出し、本発明をなすに至った。
【0008】本発明は下記の導電性重合体(P1)乃至
(P11)、即ち、 (P1) 一般式(I)
【化7】 (式中、φは、ヘテロ原子が窒素、硫黄、酸素、セレ
ン、テルルからなる群より選ばれる原子を含む5乃至7
員環を有する単環式複素環もしくは9乃至40員環を有
する縮合複素環の二価基からなる群から選ばれる二価
基、前記二価基にビニレンが連結した二価基、アリーレ
ン、アリーレンビニレン及び1,4−イミノフェニレン
からなる群から選ばれる二価基を表す。A1 は炭素数1
〜10の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和アル
キレン基を表し、その一端はφ中のC−H結合またはN
−H結合の水素の代りに炭素または窒素原子に結合して
いる。但し、式中A1 は必ずしも含まれなくてよくY及
びSO3 -(M)fが直接φ中の炭素または窒素原子に結合
していてもよい。A1 には、カルボニル、エーテル、エ
ステル、チオエーテル、アミド、スルホン結合を任意に
含んでもよい。YはSO2NR12 またはSO33
またはSO2 SR4 であり、R1 、R2 はそれぞれ独立
にHまたは炭素数1〜20、望ましくは炭素数1〜12
の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和アルキル
基または炭素数4〜30、望ましくは炭素数6〜12の
置換もしくは非置換のアリール基を表す。R3 、R4
それぞれ独立に炭素数1〜20、望ましくは炭素数1〜
12の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和アル
キル基または炭素数6〜20、望ましくは炭素数6〜1
2の置換もしくは非置換のアリール基を表す。R1 とR
2 は互いに任意の位置で結合して、窒素原子と共に複素
環構造を形成する二価の飽和または不飽和炭化水素鎖を
形成していてもよく、またR1 、R2 、R3 及び/また
はR4 のアルキル鎖には、カルボニル、エーテル、エス
テル、チオエーテル、アミド、スルホン結合を任意に含
んでもよい。MはH+ またはNa+ 、Li+ 、K+ 等の
アルカリ金属イオンまたは置換もしくは非置換の第4級
アンモニウムイオン等の如きVb族元素の非置換または
アルキル置換型もしくはアリール置換型カチオンを表
す。fは0または1を表す。Zは陰イオンを表し、jは
Zの価数を表し1または2である。δは0〜1の範囲で
ある。)で表される化学構造からなる繰り返し単位を含
む導電性重合体(但し、置換基A1 Y及び/またはA1
SO3 -(M)fを有する1個の繰り返し単位中の該置換基
の総数は1または2であり、kは重合体中のφのA1
3 -(M)fによる平均置換度を表し、mは重合体中のφ
のA1 Yによる平均置換度を表し、kは0〜1.9の範
囲であり、mは0.1〜2の範囲であり、該置換基がφ
中の炭素原子に結合している場合にはk+mの値は2以
下であり、窒素原子に結合している場合にはk+mの値
は1以下である。また、fが0の場合にはkはδと同一
である。)、及び
【0009】(P2) 0<δ≦1かつfが0である一
般式(I)で表される化学構造からなる繰り返し単位を
含む導電性重合体、及び
【0010】(P3) 一般式(II)
【化8】 (式中、A1 は炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状
の飽和または不飽和アルキレン基を表す。但し、式中A
1 は必ずしも含まれなくてよくY及びSO3 -(M)fがフ
ェニレンに結合した酸素原子に直接結合していてもよ
い。A2 及びA3 はそれぞれ独立にH、炭素数1〜10
の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和アルキル
基を表す。A1 、A2 またはA3 には、カルボニル、エ
ーテル、エステル、チオエーテル、アミド、スルホン結
合を任意に含んでもよい。YはSO2NR12 または
SO33 またはSO2 SR4 であり、R1 、R2 はそ
れぞれ独立にHまたは炭素数1〜20、望ましくは1〜
12の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和アル
キル基または炭素数4〜30、望ましくは炭素数6〜1
2の置換もしくは非置換のアリール基を表す。R3 、R
4 はそれぞれ独立に炭素数1〜20、望ましくは炭素数
1〜12の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和
アルキル基または炭素数6〜20、望ましくは炭素数6
〜12の置換もしくは非置換のアリール基を表す。R1
とR2 は互いに任意の位置で結合して、窒素原子と共に
複素環構造を形成する二価の飽和または不飽和炭化水素
鎖を形成していてもよく、またR1 、R2 、R3 及び/
またはR4 のアルキル鎖には、カルボニル、エーテル、
エステル、チオエーテル、アミド、スルホン結合を任意
に含んでもよい。MはH+ またはNa+ 、Li+ 、K+
等のアルカリ金属イオンまたは置換もしくは非置換の第
4級アンモニウムイオン等の如きVb族元素の非置換ま
たはアルキル置換型もしくはアリール置換型カチオンを
表す。fは0または1を表す。Zは陰イオンを表し、j
はZの価数を表し1または2である。δは0〜1の範囲
である。)で表されるフェニレンビニレン骨格を含む化
学構造からなる繰り返し単位を含む導電性重合体(但
し、置換基OA1 Y及び/またはOA1 SO3 -(M)f
び/または(OA2)1-k-m を有する1個の繰り返し単位
中の該置換基の総数は1であり、kは重合体中のフェニ
レンのOA1 SO3 -(M)fによる平均置換度を表し、m
は重合体中のフェニレンのOA1 Yによる平均置換度を
表し、kは0〜0.9の範囲であり、mは0.1〜1の
範囲であり、k+mの値は1以下である。また、fが0
の場合にはkはδと同一である。)、及び
【0011】(P4) 0<δ≦1かつfが0である一
般式(II)で表されるフェニレンビニレン骨格を含む化
学構造からなる繰り返し単位を含む導電性重合体、及び
【0012】(P5) 一般式(I)において、窒素原
子を有するφ中の窒素原子が置換基(A4)1-n (但し、
4 は炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状の飽和も
しくは不飽和アルキル基を表す。A4 には、カルボニ
ル、エーテル、エステル、チオエーテル、アミド、スル
ホン結合を任意に含んでもよい。1−nの値は重合体中
の窒素原子のA4 による平均置換度を表し1以下であ
る。)で置換されている一般式(I)で表される化学構
造からなる繰り返し単位を含む導電性重合体、及び
【0013】(P6) 一般式(I)において、φが、
一般式(III)
【化9】 (式中、R 及びR6 はそれぞれ独立にH、炭素数1
〜20の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和ア
ルキル基もしくはアルコキシ基、ハロゲン、ニトロ基、
アミノ基、トリハロメチル基、置換または非置換のフェ
ニル基を表し、XはS、O、Se、TeまたはNR7
ある。R7 はHまたは炭素数1〜10の直鎖状もしくは
分岐状の飽和もしくは不飽和アルキル基または炭素数6
〜10の置換もしくは非置換のアリール基を表す。)で
表される縮合複素環の二価基である一般式(I)で表さ
れる化学構造からなる繰り返し単位を含む導電性重合
体、及び
【0014】(P7) 一般式(I)において、φが、
一般式(IV)
【化10】 (式中、R5 はH、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分
岐状の飽和もしくは不飽和アルキル基もしくはアルコキ
シ基、ハロゲン、ニトロ基、アミノ基、トリハロメチル
基、置換または非置換のフェニル基を表し、XはS、
O、Se、TeまたはNR7 である。R7 はHまたは炭
素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不
飽和アルキル基または置換もしくは非置換のアリール基
を表す。)で表される単環式複素環の二価基である一般
式(I)で表される化学構造からなる繰り返し単位を含
む導電性重合体、及び
【0015】(P8) 一般式(I)において、φが、
非置換のイミノ基を有する1,4−イミノフェニレンで
ある一般式(I)で表される化学構造からなる繰り返し
単位を含む導電性重合体、及び
【0016】(P9) 一般式(I)において、φが、
窒素原子が置換基(A41-n (但し、A4 は炭素数1
〜10の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和ア
ルキル基を表す。A4 には、カルボニル、エーテル、エ
ステル、チオエーテル、アミド、スルホン結合を任意に
含んでもよい。1−nの値は重合体中の窒素原子のA4
による平均置換度を表し1以下である。)で置換されて
いる1,4−イミノフェニレンである一般式(I)で表
される化学構造からなる繰り返し単位を含む導電性重合
体、及び
【0017】(P10) 一般式(I)において、φ
が、窒素原子が置換基(A41-n (但し、A4 は炭素
数1〜10の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽
和アルキル基を表す。A4 には、カルボニル、エーテ
ル、エステル、チオエーテル、アミド、スルホン結合を
任意に含んでもよい。1−nの値は重合体中の窒素原子
のA4 による平均置換度を表し1以下である。)で置換
されている2,5−ピロリレンである一般式(I)で表
される化学構造からなる繰り返し単位を含む導電性重合
体、及び
【0018】(P11) 一般式(I)において、φ
が、窒素原子が置換基(A41-n (但し、A4 は炭素
数1〜10の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽
和アルキル基を表す。A4 には、カルボニル、エーテ
ル、エステル、チオエーテル、アミド、スルホン結合を
任意に含んでもよい。1−nの値は重合体中の窒素原子
のA4 による平均置換度を表し1以下である。)で置換
されているカルバゾリレンである一般式(I)で表され
る化学構造からなる繰り返し単位を含む導電性重合体を
提供する。
【0019】また、本発明は、前記導電性重合体(P
5)、(P6)、(P7)、(P8)、(P9)、(P
10)および(P11)において、一般式(I)が、0
<δ≦1かつfが0であることを特徴とする導電性重合
体を提供する。
【0020】また、本発明は、一般式(V)
【化11】 (式中、φは、ヘテロ原子が窒素、硫黄、酸素、セレ
ン、テルルからなる群より選ばれる原子を含む5乃至7
員環を有する単環式複素環もしくは9乃至40員環を有
する縮合複素環の二価基からなる群から選ばれる二価
基、前記二価基にビニレンが連結した二価基、アリーレ
ン、アリーレンビニレン及び1,4−イミノフェニレン
からなる群から選ばれる二価基を表す。A1 は炭素数1
〜10の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和アル
キレン基を表し、その一端はφ中のC−H結合またはN
−H結合の水素の代りに炭素または窒素原子に結合して
いる。但し、式中A1 は必ずしも含まれなくてよくSO
3 -Mが直接φ中の炭素または窒素原子に結合していても
よい。A1 には、カルボニル、エーテル、エステル、チ
オエーテル、アミド、スルホン結合を任意に含んでもよ
い。MはH+ またはNa+、Li+ 、K+ 等のアルカリ
金属イオンまたは置換もしくは非置換の第4級アンモニ
ウムイオン等のカチオンを表す。)で表される化学構造
からなる繰り返し単位を含む導電性重合体(但し、nは
重合体中のφのA1 SO3 -Mによる平均置換度を表し
0.1〜2の範囲であり、該置換基がφ中の炭素原子に
結合している場合にはnの値は2以下であり、窒素原子
に結合している場合にはnの値は1以下である。)と、
1級もしくは2級アミンまたはアルコールまたはチオー
ルとを縮合することを特徴とする前記一般式(I)記載
の導電性重合体の製造法、及び
【0021】一般式(VI)
【化12】 (式中、A1 は炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状
の飽和または不飽和アルキレン基を表し、その一端はフ
ェニレンに結合している酸素原子に結合している。但
し、式中A1 は必ずしも含まれなくてよくSO3 -Mが直
接該酸素原子に結合していてもよい。A2 及びA3 はそ
れぞれ独立にH、炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐
状の飽和もしくは不飽和アルキル基を表す。A1 、A2
及びA3 には、カルボニル、エーテル、エステル、チオ
エーテル、アミド、スルホン結合を任意に含んでもよ
い。MはH+ またはNa+ 、Li+ 、K+ 等のアルカリ
金属イオンまたは置換もしくは非置換の第4級アンモニ
ウムイオン等のカチオンを表す。)で表されるフェニレ
ンビニレン骨格を含む化学構造からなる繰り返し単位を
含む導電性重合体(但し、nは重合体中のフェニレンの
OA1 SO3 -Mによる平均置換度を表し0.1〜1の範
囲である。)と、1級もしくは2級アミンまたはアルコ
ールまたはチオールとを縮合することを特徴とする前記
一般式(II)記載の導電性重合体の製造法を提供する。
【0022】また、本発明は前記導電性重合体(P1)
乃至(P11)を用いた導電性成形物を提供する。
【0023】前記一般式(I)及び(II)で表される化
学構造からなる繰り返し単位を含む導電性重合体におい
て、δは重合体主鎖中の全荷電の該繰り返し単位当たり
の平均荷電数を表し、1以下であり、0.7以下の値が
特に好ましい。δが0の場合にはπ共役系主鎖が中性状
態(無電荷状態)の化学構造を示し、従って、その場合
には式(VII)
【化13】 においてδfは0であるので陰イオンZは存在しないこ
とを示す。
【0024】一方、δが0より大きく1以下(0<δ≦
1)の場合には、π共役系主鎖が酸化されたp型のドー
ピング状態(荷電状態)を示し、従って、その場合には
導電性重合体中の前記繰り返し単位当たりδfに相当す
る割合で(Z/j)が対陰イオンとして存在することを
示す。ここで、0<δ≦1でありかつfが0の場合に
は、π共役系主鎖が酸化されたp型の自己ドーピング状
態(荷電状態)を示し、その場合に陰イオンZは存在せ
ず、置換基中のSO3 -が対陰イオンである。
【0025】また、前記一般式(I)において、置換基
1 SO3 -(M)fはfが1の場合にはA1 SO3 -Mを示
し、fが0の場合にはA1 SO3 -を示す。また一般式
(II)において、置換基OA1 SO3 -(M)fはfが1の
場合には置換基OA1 SO3 -Mを示し、fが0の場合に
はOA1 SO3 -を示す。尚、fが0の場合にはkはδと
同一である。
【0026】前記一般式(I)においてφは、ヘテロ原
子が窒素、硫黄、酸素、セレン、テルルからなる群より
選ばれる原子を含む5乃至7員環を有する単環式複素環
もしくは9乃至40員環を有する縮合複素環の二価基か
らなる群から選ばれる二価基、前記二価基にビニレンが
連結した二価基、アリーレン、アリーレンビニレン及び
式(VIII)
【化14】 で表される二価基である1,4−イミノフェニレンから
なる群から選ばれる二価基を表すが、かかる単環式複素
環の二価基としては、例えば、2,5−チエニレン、
2,5−フリレン、2,5−ピロリレン、N−置換−
2,5−ピロリレン、2,5−セレニレン、2,5−テ
ルリレン、ピリジンジイル、ピラジンジイル、ピリミジ
ンジイル等が挙げられる。縮合複素環の二価基として
は、例えば、チエノチエニレン、ピロロピロリレン、ジ
チエノチエニレン、イソチアナフテニレン、イソインド
リレン、イソベンゾフリレン、イソベンゾインドリレ
ン、イソベンゾセレニレン、イソベンゾテルリレン、キ
ノリレン、イソアントラセノチエニレン、イソアントラ
セノフリレン、イソアントラセノピロリレン、イソアン
トラセノセレニレン、イソアントラセノテルリレン、カ
ルバゾリレン、N−置換カルバゾリレン等が挙げられ
る。単環式複素環もしくは縮合複素環の二価基にビニレ
ンが連結した二価基としては、例えば、チエニレンビニ
レン、ピリジンジイルビニレン、ピラジンジイルビニレ
ン、ピリミジンジイルビニレン、イソチアナフテニレン
ビニレン等が挙げられる。アリーレンとしては、例え
ば、フェニレン、ナフチレン、アントラシレン、フェナ
チリレン、アズリレン等が、またアリーレンビニレンと
しては、例えば、フェニレンビニレン、ナフチレンビニ
レン等が挙げられる。更に、1,4−イミノフェニレン
としては、1,4−イミノフェニレン、N−置換−1,
4−イミノフェニレンが挙げられる。しかしφは上記に
例示した二価基に限られることはなく、主鎖がπ共役構
造からなる芳香環または複素環式二価基であればよい。
【0027】前記A は炭素数1〜10の直鎖状もし
くは分岐状の飽和または不飽和アルキレン基を表し、A
1 にはカルボニル、エーテル、エステル、チオエーテ
ル、アミド、スルホン結合を任意に含んでもよい。更に
詳しくA1 を例示すれば、メチレン、エチレン、トリメ
チレン、プロピレン、テトラメチレン、1,1−ジメチ
ルエチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタ
メチレン、オクタメチレン、ノナメチレン、デカメチレ
ン、−O(CH2)2 −、−O(CH2)2 O(CH2)2
−、−O(CH2)2 O(CH2)2 O(CH2)2 −、−S
(CH2)2 −、−S(CH2)2 S(CH2)2 −、−S
(CH2)2 S(CH2)2 S(CH2)2 −、−C(=O)
CH2 −、−C(=O)CH2 CH2 −、−C(=O)
CH2 CH2 CH2 −、−C(=O)(CH2)4 −、−
C(=O)(CH2)5 −、−NHC(=O)CH2 −、
−NHC(=O)(CH2)2 −、−NHC(=O)(C
2)3 −、−NHC(=O)(CH2)4 −、−NHC
(=O)(CH2)5 −、−OC(=O)CH2 −、−O
C(=O)(CH2)2 −、−OC(=O)(CH2)3
−、−OC(=O)(CH2)4 −、−OC(=O)(C
2)5 −、−(CH2)2 −OC(=O)(CH2)2 −等
が挙げられる。
【0028】前記A2 、A3 及びA4 はそれぞれ独立に
H、炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状の飽和もし
くは不飽和アルキル基を表す(但し、A4 にはHは含ま
れない。)。A2 、A3 及びA4 にはカルボニル、エー
テル、エステル、チオエーテル、アミド、スルホン結合
を任意に含んでもよい。更に詳しくA2 、A3 及びA4
を例示すれば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピ
ル、ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプ
チル、オクチル、ノニル、デシル、エトキシエチル、メ
トキシエチル等の基が挙げられる。
【0029】前記一般式(I)及び(II)において、Y
はSO2 NR12 またはSO33 またはSO2 SR
4 であり、R1 、R2 はそれぞれ独立にHまたは炭素数
1〜20、望ましくは炭素数1〜12の直鎖状もしくは
分岐状の飽和もしくは不飽和アルキル基または炭素数4
〜30、望ましくは炭素数6〜12の置換もしくは非置
換のアリール基を表す。R3 、R4 はそれぞれ独立に炭
素数1〜20、望ましくは炭素数1〜12の直鎖状もし
くは分岐状の飽和もしくは不飽和アルキル基または炭素
数6〜20、望ましくは炭素数6〜12の置換もしくは
非置換のアリール基を表す。置換アリールの置換基を例
示すれば、メチル、エチル、塩素、臭素、弗素等のハロ
ゲン、トリフルオロメチル、シアノ、メトキシ及びエト
キシ等の基が挙げられる。更に詳しくR1 及びR2 を例
示すれば、各々独立に水素、メチル、エチル、プロピ
ル、アリル、イソプロピル、ブチル、1−ブテニル、t
ert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オク
チル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、エトキ
シエチル、メトキシエチル、アセトニル、アセチル、フ
ェニル、クロロフェニル、トリル、キシリル、ナフチ
ル、フェノキシ、p−ジフェニレンオキシ、p−アルコ
キシジフェニレンオキシ等の基が挙げられる。またR1
とR2 は互いに任意な位置で結合して、窒素原子と共に
複素環を形成する飽和または不飽和炭化水素鎖を形成し
ていてもよく、例示としてはブチレン、ペンチレン、ヘ
キシレン、ブタジエニレン等が挙げられる。
【0030】R3 及びR4 としては、例えば、メチル、
エチル、プロピル、アリル、イソプロピル、ブチル、1
−ブテニル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、
ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ド
デシル、エトキシエチル、メトキシエチル、アセトニ
ル、アセチル、フェニル、トリル、キシリル、ナフチル
等の基が挙げられる。
【0031】また、前記一般式(I)及び(II)におい
て、MはH+ またはNa+ 、Li+、K+ 等のアルカリ
金属イオンまたはNH4 +、N(CH3)4 +、N(C65)
4 +等の置換もしくは非置換の第4級アンモニウムイオン
の如きVb族元素のアルキル置換型もしくはアリール置
換型カチオンを表す。Zとしては、PF6 -、SbF6 -
AsF6 -のごときVb族元素のハロゲン化物アニオン、
BF4 -のごとき IIIb族元素のハロゲン化物アニオン、
- (I3 -)、Br- 、Cl- のごときハロゲンアニオ
ン、ClO4 -のごとき過ハロゲン酸アニオン、AlCl
4 -、FeCl4 -、SnCl5 -等のごときルイス酸アニオ
ン、あるいはNO3 -、SO4 2- のごとき無機酸アニオ
ン、またはp−トルエンスルホン酸アニオン、CF3
3 -、CH3 SO3 -のごとき有機スルホン酸アニオン、
またはCH3 COO- 、C65 COO- のごときカル
ボン酸アニオン等のプロトン酸アニオン等の電解質アニ
オン等を挙げることができる。また、同じくポリアクリ
ル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニル硫酸、ポリビニル
スルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリ−α−メチ
ルスルホン酸、ポリエチレンスルホン酸、ポリリン酸等
のごとき高分子電解質のアニオン等を挙げることができ
る。さらには弗素系のカルボン酸やスルホン酸、弗素系
の高分子電解質のアニオン等を挙げることができるが、
必ずしもこれに限定されるものではない。また、複数の
アニオンが共存していてもよい。jは前記陰イオンZの
価数に等しい正数である。
【0032】また、前記一般式(I)において、kは重
合体中のφの置換基A1 SO3 -(M)fによる平均置換
度、即ち、重合体中の全φの平均値として1個のφ中の
平均化された該置換基含有率を表し、0〜1.9の範囲
であり、また、mは重合体中のφの置換基A1 Yによる
平均置換度、即ち、重合体中の全φの平均値として1個
のφ中の平均化された該置換基含有率を表し、0.1〜
2の範囲である。mの範囲としては特に0.4〜1.3
の範囲が好ましい。これらの置換基がφ中の炭素原子に
結合している場合にはk+mの値は2以下であり、窒素
原子に結合している場合にはk+mの値は1以下であ
る。
【0033】同様に、前記一般式(II)において、kは
重合体中のフェニレンの置換基OA1 SO3 -(M)fによ
る平均置換度、即ち、重合体中の全フェニレンの平均値
として1個のフェニレン中の平均化された該置換基含有
率を表し、0〜0.9の範囲であり、また、mは重合体
中のフェニレンの置換基OA1 Yによる平均置換度、即
ち、重合体中の全フェニレンの平均値として1個のフェ
ニレン中の平均化された該置換基含有率を表し、0.1
〜1の範囲であり、k+mの値は1以下である。従っ
て、置換基OA1 Y、OA1 SO3 -(M)fまたはOA2
が同時に一つのフェニレンに含まれることはない。
【0034】一般式(III)あるいは一般式(IV)で表さ
れる化学構造を含む導電性重合体の置換基R5 およびR
6 は、前述のスルホン酸アミド化、スルホン酸エステル
化、スルホン酸チオエステル化の反応において阻害する
ものでなければ如何なる基でもよく、例えば、それぞれ
独立にH、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状の飽
和もしくは不飽和アルキル基もしくはアルコキシ基、ハ
ロゲン、ニトロ基、1級、2級もしくは3級アミノ基、
トリハロメチル基、置換または非置換のフェニル基から
選ばれる。かかる炭素数1〜20のアルキル基またはア
ルコキシ基には、カルボニル、エーテル、エステル、チ
オエーテル、アミドまたはスルホン結合を任意に含んで
もよい。置換フェニル基の置換基の例としては、メチ
ル、エチル、塩素、臭素、弗素等のハロゲン原子、トリ
フルオロメチル、シアノ基、メトキシ、エトキシ等が挙
げられる。
【0035】ここでR5 及びR6 として特に有用な例と
しては、水素、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、
フェニルおよび置換フェニル基が挙げられる。これらの
置換基を更に詳しく例示すれば、アルキル基としてはメ
チル、エチル、プロピル、アリル、イソプロピル、ブチ
ル、1−ブテニル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デ
シル、ドデシル、エトキシエチル、メトキシエトキシエ
チル、アセトニル、フェナシル等、アルコキシ基として
はメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、
ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、オクチル
オキシ、ドデシルオキシ、メトキシエトキシ、2−(2
−メトキシエトキシ)エトキシ等、ハロゲン基にはフル
オロ、クロロ、ブロモ等、置換フェニル基にはフルオロ
フェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、メ
チルフェニル基等が挙げられる。
【0036】一般式(III)あるいは一般式(IV)におい
て、XはS、O、Se、TeまたはNR7 の如きヘテロ
原子あるいはR7 基を有する窒素原子である。即ち、一
般式(III)で示される化学構造としては、イソチアナフ
テニレン、イソベンゾフリレン、イソベンゾセレニレ
ン、イソベンゾテルリレンおよびイソインドリレン骨格
を有する二価基が挙げられる。また一般式(IV)で示さ
れる化学構造としては、チエニレン、フリレン、セレニ
レン、テルリレン、ピロリレン骨格を有する二価基が挙
げられる。
【0037】前記R7 は炭素数1〜10の直鎖状もしく
は分岐状アルキル基または炭素数6〜10の置換もしく
は非置換のアリール基を表し、カルボニル、エーテル、
エステル、チオエーテル、アミド、スルホン結合を任意
に含んでもよい。置換アリール基の置換基の例として
は、メチル、エチル、塩素、臭素、弗素等のハロゲン原
子、トリフルオロメチル、シアノ基、メトキシ、エトキ
シ等が挙げられる。更に詳しくR7 を例示すれば、水
素、メチル、エチル、プロピル、アリル、イソプロピ
ル、ブチル、tert- ブチル、ペンチル、ヘキシル、エト
キシエチル、メトキシエチル、アセトニル、アセチル、
フェニル、トリル、キシリル等の基が挙げられる。
【0038】次に本発明の前記導電性重合体(P1)乃
至(P11)の製造法について詳しく説明する。本発明
の製造法は、前記一般式(V)で表される化学構造から
なる繰り返し単位を含む導電性重合体あるいは(VI)で
表されるフェニレンビニレン骨格を含む化学構造からな
る繰り返し単位を含む導電性重合体に、アミン、アルコ
ール、チオールを溶媒存在下あるいは無溶媒下において
縮合反応させることにより、実用的で新規なπ共役系導
電性重合体を製造する方法である。
【0039】本発明による製造方法において用いられる
前記一般式(V)あるいは(VI)で表される化学構造か
らなる繰り返し単位を含む導電性重合体は、公知の方法
により得ることができる。かかる公知の方法としては、
例えばJ.Am.Chem.Soc.,112,280
0(1990)やMacromolecules,
,2119(1990)が挙げられる。
【0040】即ち、本発明による、前記一般式(V)で
表される化学構造からなる繰り返し単位を含む導電性重
合体と、1級もしくは2級アミンまたはアルコールまた
はチオールとを縮合することを特徴とする前記導電性重
合体(P1)または(P2)あるいは前記導電性重合体
(P5)乃至(P11)の製造法において、原料となる
一般式(V)で表される化学構造からなる繰り返し単位
を含む導電性重合体中のA1 SO3 -M基とアミン、アル
コールまたはチオールとの反応によるA1 Y基への変換
率は、反応に用いる原料化合物の仕込みモル比や反応時
間あるいは反応温度などの反応条件を制御することによ
って制御でき、従って原料重合体中のA1 SO3 -M基を
任意の度合いで残存させることができる。即ち、前記導
電性重合体(P1)、(P2)及び(P5)乃至(P1
1)において、重合体のφ中の置換基A1 SO3 -(M)f
の残存度、つまり該置換基によるφの平均置換度kを、
該置換基がφ中の炭素原子に結合している場合には0〜
1.9の範囲に、また該置換基がφ中の窒素原子に結合
している場合には0〜0.9の範囲にすることができ
る。従って、置換基A1 Yへの変換度である、重合体の
φ中のA1 Yによる平均置換度mは、該置換基がφ中の
炭素原子に結合している場合には0.1〜2の範囲に、
また該置換基がφ中の窒素原子に結合している場合には
0.1〜1の範囲にすることができる。但し、これらの
置換基がφ中の炭素原子に結合している場合にはk+m
の値は2以下であり、窒素原子に結合している場合には
k+mの値は1である。
【0041】また、本発明による、前記一般式(VI)で
表されるフェニレンビニレン骨格を含む化学構造からな
る繰り返し単位を含む導電性重合体と、1級もしくは2
級アミンまたはアルコールまたはチオールとを縮合する
ことを特徴とする前記導電性重合体(P3)または(P
4)の製造法において、原料となる一般式(VI)で表さ
れるフェニレンビニレン骨格を含む化学構造からなる繰
り返し単位を含む導電性重合体中のOA1 SO3 -M基と
アミン類、アルコール類またはチオール類との反応によ
るOA1 Y基への変換率は、反応に用いる原料化合物の
仕込みモル比や反応時間あるいは反応温度などの反応条
件を制御することによって制御でき、従って原料重合体
中のOA1 SO3 -M基を任意の度合いで残存させること
ができる。即ち、前記導電性重合体(P3)または(P
4)において、重合体のフェニレンビニレン中の置換基
OA1 SO3 -(M)fの残存度、つまり該置換基によるフ
ェニレンビニレンの平均置換度kを0〜0.9の範囲に
することができる。従って、置換基OA1 Yへの変換度
である、重合体のフェニレンビニレン中のOA1 Yによ
る平均置換度mは0.1〜1の範囲にすることができ
る。但し、k+mの値は1以下である。
【0042】前記の縮合反応による前記導電性重合体
(P1)乃至(P11)の製造において、用いられるア
ミンとしては、(i)炭素数1〜20、望ましくは炭素
数1〜12の範囲の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしく
は不飽和アルキル基、(ii)炭素数4〜30、望ましく
は炭素数6〜12の範囲の置換もしくは非置換のアリー
ル基または (iii)炭素数2〜10、望ましくは炭素数4
〜9の範囲の飽和もしくは不飽和の置換もしくは非置換
の環状構造を有する1級または2級アミンが挙げられ
る。置換アリール基および置換環状アミンの置換基の例
としては、メチル、エチル、塩素、臭素、弗素等のハロ
ゲン原子、トリフルオロメチル、シアノ基、メトキシ、
エトキシ等が挙げられる。更に具体的に例示すれば、メ
チルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、アリルア
ミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、tert−
ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、オク
チルアミン、ドデシルアミン、ジメチルアミン、ジエチ
ルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペン
チルアミン、ジヘキシルアミン、ジオクチルアミン、メ
チルエチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルブチ
ルアミン、アニリン、クロルアニリン、アミノナフタレ
ン、ジフェニルアミン、ピペリジン、ホモピペリジン、
ピロール、トルイジン、キシリジン、アニシジン、2−
フランアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、フ
ェニルプロピルアミン、エチレンイミン、ピペリジン−
アルデヒド、N−メチルピペラジン、ピロリジン、ピロ
リン、モルフォリン、インドール、イソインドール、イ
ンドリン、イソインドリン、インダゾール、プリン、カ
ルバゾール、フェノチアジン、フェノキサジン、シクロ
プロピルアミン、シクロブチルアミン、シクロブテニル
アミン、シクロペンチルアミン、シクロペンテニルアミ
ン、シクロペンタジエニルアミン、シクロヘキシルアミ
ン、シクロヘキセニルアミン、シクロヘプテルアミン、
シクロヘプテニルアミン、シクロヘプタジエニルアミン
等が挙げられる。
【0043】前記の縮合反応による前記導電性重合体
(P1)乃至(P11)の製造において、用いられるア
ルコールとしては、(i)炭素数1〜20、望ましくは
1〜12の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和
アルキル基を有するアルコール、または(ii)フェノー
ル等水酸基を有する炭素数6〜20、望ましくは炭素数
6〜12の芳香族化合物が挙げられる。更に具体的に例
示すれば、メタノール、エタノール、プロパノール、ア
リルアルコール、イソプロパノール、ブタノール、te
rt−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オク
タノール、アリルアルコール、ベンジルアルコール、フ
ェネチルアルコール、フェニルプロピルアルコール、フ
ェノール、クレゾール、キシレノール、ナフトール等が
挙げられる。
【0044】前記の縮合反応による前記導電性重合体
(P1)乃至(P11)の製造において、用いられるチ
オールとしては、(i)炭素数1〜20、望ましくは1
〜12の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和ア
ルキル基を有するメルカプタン化合物、または(ii)チ
オフェノール等チオール基を有する炭素数6〜20、望
ましくは炭素数6〜12の芳香族化合物が挙げられる。
更に具体的に例示すれば、メタンチオール、エタンチオ
ール、プロパンチオール、ブタンチオール、ペンタンチ
オール、ヘキサンチオール、オクタンチオール、チオフ
ェノール、ナフタレンチオール等が挙げられる。
【0045】前記の縮合反応による前記導電性重合体
(P1)乃至(P11)の製造において、用いられる原
料重合体の濃度は、重合体の種類や他の反応条件によっ
て異なるが、一般には原料重合体中の反応基であるA1
SO3 -MまたはOA1 SO3 -Mの濃度として1×10-4
から1×101 モル/リットルの範囲であれば望まし
く、1×10-3から5モル/リットルの範囲が特に望ま
しい。
【0046】また、前記製造において用いられるアミ
ン、アルコール及び/またはチオールの濃度は、製造す
る重合体中へのスルホン酸アミド結合、スルホン酸エス
テル及び/またはチオエステル結合の所望導入量に応じ
て任意に設定できる。用いる濃度はアミン、アルコール
及び/またはチオールの種類、原料重合体の種類、反応
溶媒、あるいは他の反応条件によって異なるが、一般に
は用いられる原料重合体中の前記反応基のモル当り1×
10-2から1×102 のモルに相当する量を用いること
が望ましく、1×10-1から1×101 のモルに相当す
る量を用いることが特に望ましい。
【0047】前記製造において適用される温度は、用い
られるアミン、アルコール及び/またはチオールの種
類、原料重合体の種類、反応溶媒、あるいは他の反応条
件によって定められるもので、特に限定されないが、一
般には−80℃から300℃の温度範囲が望ましく、5
℃から200℃の温度範囲で行われることが特に望まし
い。
【0048】また、前記製造において、反応時間は、用
いられるアミン、アルコール及び/またはチオールの種
類、原料重合体の種類、反応溶媒、あるいは他の反応条
件によって異なるため一概には規定できないが、通常は
0.01時間から200時間の範囲で行うことが望まし
く、0.1時間から40時間の範囲が特に望ましい。
【0049】また、前記製造において、反応圧力は、用
いられるアミン、アルコール及び/またはチオールの種
類、原料重合体の種類、反応溶媒、あるいは他の反応条
件によるので一概には規定できないが、通常は1から数
気圧で行うことが望ましい。特にアミンあるいはチオー
ルを反応に用いる場合には、酸化によるアミン及びチオ
ールの劣化を防ぐため窒素、アルゴン等の不活性気体下
で行うことが望ましい。
【0050】また、前記製造において、反応は無溶媒で
行うこともできるが、溶媒を用いる場合には、原料重合
体、アミン、アルコール及び/またはチオールの種類や
濃度等他の反応条件によって異なるので一概には規定で
きないが、アミン、アルコール及び/またはチオールあ
るいは原料重合体を溶解し、且つ縮合反応を阻害するも
のでなければ如何なる溶媒であってもよい。かかる溶媒
を例示すれば、水、ジメチルホルムアミド(DMF)、
ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン
(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スル
ホラン、プロピレンカーボネート(PC)、アセトニト
リル、ベンゾニトリル、ニトロメタン、酢酸等の溶媒が
用いられる。更にはこれらの混合溶媒を用いることもで
きる。また、用いられるアミン、アルコール及び/また
はチオールを溶媒兼用で用いることもできる。
【0051】前記製造において、使用されるアミン、ア
ルコール及び/またはチオールの種類によっては、これ
らの原料をガス状で反応系に導入して原料重合体と反応
させることができる。例としては、メチルアミン、エチ
ルアミン、ジメチルアミン、メタンチオール等が挙げら
れる。
【0052】前記製造において、反応の進行とともに水
が副生するが、反応を促進するために脱水剤を共存させ
てもよい。脱水剤としては、行おうとするアミド化反応
あるいはエステル化反応あるいはチオエステル化反応を
阻害するものでなければ制限は無く、例えば、無水塩化
カルシウム、無水硫酸ナトリウム、無水硫酸マグネシウ
ム等でもよい。脱水剤の量は、特に制限されないが、一
般には反応させるA1SO3 -M基の量に対して0.01
〜5モル当量、望ましくは0.1〜2モル当量である。
【0053】前記一般式(I)及び(II)で表される化
学構造を含む導電性重合体は、有機溶媒に溶解し且つ水
溶性であるものも含まれるが、このうち水溶性のもの
は、限外濾過、透析及びイオン交換操作によって単離あ
るいは精製することができる。さらには公知の手法によ
り、例えば、エーテル、ジオキサン等からの再沈殿精製
を行うことができる。
【0054】また、前述の通り、前記一般式(I)、
(II)、(V)及び(VI)において、MはH+ またはN
+ 、Li+ 、K+ 等のアルカリ金属イオンまたはNH
4 +、N(CH3)4 +、N(C65)4 +等の第4級アンモニ
ウムイオンの如きVb族元素の非置換またはアルキル置
換型もしくはアリール置換型カチオンを表すが、かかる
カチオンのいずれかから任意の他のカチオンへの変換
は、通常のイオン交換あるいはMがH+ のタイプの重合
体に他のカチオンを生じる塩基等を反応させることによ
り達成される。また、前記一般式(I)、(II)、
(V)及び(VI)において、Mとしては、前記カチオン
のいずれか1つに限定されるものではなく、複数のカチ
オンが共存していてもよい。
【0055】前記導電性重合体(P1)乃至(P11)
において、kが0である重合体は、水溶性ではなく、ス
ルホン酸アミド側鎖やスルホン酸エステル等の側鎖によ
って一般的に有機溶媒に可溶となる。A1 SO3 -(M)f
の残存度kが大きくなると、重合体の水溶性が強く現
れ、場合によっては、水溶性と有機溶媒可溶性の両面を
示す。
【0056】一般式(I)または(II)で表される化学
構造からなる繰り返し単位を含む導電性重合体である前
記導電性重合体(P1)乃至(P11)において、δが
0の場合、即ちπ共役系主鎖が中性状態(無電荷状態)
の重合体は、電気化学的または化学的に酸化する(p型
ドーピング)ことにより、δが0より大きく1以下(0
<δ≦1)、すなわちπ共役系主鎖が酸化されたp型の
ドープ状態(荷電状態)の可溶性導電性重合体に変換す
ることができ、導電性を著しく高めることができる。同
様にして、p型のドーピング状態の導電性重合体は、電
気化学的または化学的に還元することにより、δが0の
中性状態もしくは0より大きく1以下(0<δ≦1)の
任意のドープ状態の導電性重合体に変換することができ
る。このように前記導電性重合体(P1)乃至(P1
1)は酸化還元反応により可逆的にドーピング、あるい
は脱ドーピング処理ができる。
【0057】一般式(I)または(II)で表される化学
構造からなる繰り返し単位を含む導電性重合体である前
記導電性重合体(P1)乃至(P11)において、fが
0であり且つδが0より大きく1以下(0<δ≦1)の
場合は、前記式(VII)においてδfは0であるので陰イ
オンZは存在せず、また置換基(A1 SO3 -(M)f)k
び(OA1 SO3 -(M)f)kはそれぞれ式(IX)
【化15】 及び式(X)
【化16】 を表し、即ち前記導電性重合体(P1)乃至(P11)
は該置換基のもつSO3 -による自己ドーピング状態の重
合物である。ヘテロ5員環式化合物重合体に関する自己
ドープ概念は、本発明者の一部により、Synthetic Meta
ls誌、30巻、305頁、1989年に詳しく述べられている。
本発明の重合物に関する実験から、一般式(I)または
(II)で表される化学構造からなる繰り返し単位を含む
導電性重合体のようなSO3 -M基を有する化学構造を含
む重合物は、自己ドーピング能を有し、また電気化学的
レドックス反応によって自己ドーピング状態を作ること
ができることを実験で確認した。即ち、かかる自己ドー
ピング能を有する前記重合体は、電気化学的または化学
的酸化還元反応により、可逆的にドーピング、あるいは
脱ドーピングできる。
【0058】ドーピングの方法としては、すでに知られ
ている電気化学的または化学的なドーピング方法であれ
ばどのような方法でも良い。例えば、電気化学的なドー
ピング方法は電極間に導電性重合体をはさみドーパント
を含有する溶液中で印加する方法であり、化学的ドーピ
ング方法は導電性重合体フィルムに気相中よう素等のド
ーパントを反応させる気相法などが挙げられる(「導電
性高分子の基礎と応用−合成・物性・評価・応用技術
−」(1988年出版)(株)アイピーシー参照)。そ
の際に用いられるドーパントは、前記Zとして記載した
アニオンが用いられる。
【0059】本発明のスルホン酸アミド基、スルホン酸
エステル基、スルホン酸チオエステル基等の極性置換基
を有する可溶性導電性重合体は新規物質であり、特に前
記導電性重合体(P6)のXがSであるポリイソチアナ
フテン構造の場合、半導体としてのエネルギーギャップ
が約1.1eVと小さく、低いドーピングレベルで高い
導電性を示すことが期待されている。
【0060】本発明の前記導電性重合体(P1)乃至
(P11)の製造法において、得られる重合体は、反応
条件によっては同じ高分子鎖内にδが0の中性状態の化
学構造及びδが0より大きく1以下(0<δ≦1)のド
ープ状態の化学構造を共に含む重合体を形成する場合も
ある。得られた重合体に電気化学的または化学的な酸化
還元反応を施すことによって、同一分子内に中性状態の
化学構造とドープ状態の化学構造が任意の比率で存在す
る重合体を得ることができる。
【0061】本発明の前記導電性重合体(P1)乃至
(P11)には、他のπ電子共役系繰り返し単位を任意
の割合で含有する共重合体も包含され、かかる他のπ電
子共役系繰り返し単位を例示すれば、イソチアナフテニ
レン、イソベンゾフリレン、イソベンゾインドリレン、
イソベンゾセレニレン、イソベンゾテルリレン、2,5
−チエニレン、2,5−ピロリレン、2,5−フリレ
ン、2,5−セレニレン、2,5−テルリレン、イミノ
フェニレン、フェニレン、ナフチレン、アントラシレ
ン、フェナントリレン、アズリレン、ピリジンジイル、
ピラジンジイル、ピリミジンジイル、キノリレン、イソ
ナフトチエニレン、イソナフトフリレン、イソナフトピ
ロリレン、イソナフトセレニレン、イソナフトテルリレ
ン、イソアントラセノチエニレン、イソアントラセノフ
リレン、イソアントラセノピロリレン、イソアントラセ
ノセレニレン、イソアントラセノテルリレン、チエノチ
エニレン、ピロロピロリレン、ジチエノチエニレン、ビ
ニレン、エチニレン(もしくはアセチレン)構造が挙げ
られるが、特にこれに制限されない。これらの共重合体
は、例えば、上記構造を与える単量体を共存させて製造
される上記構造および前記一般式(V)もしくは(VI)
で表される化学構造からなる繰り返し単位を含む共重合
体構造を有する導電性重合体を原料として用い、前記の
本発明による製造法により容易に製造される。
【0062】本発明の前記導電性重合体(P1)乃至
(P11)は、有機溶媒あるいは水に対して優れた溶解
性を示す。また、置換基の種類によってはゲル状態を示
すこともあるなど、置換基を変えることにより種々の溶
媒に対する溶解性や溶媒親和性を変えることができる。
【0063】このように前記導電性重合体(P1)乃至
(P11)は、有機溶媒あるいは水に対して可溶性であ
る利点を生かして、フィルム(例えばスピンキャスト
法)、線状成形物、あるいは棒状、板状、シート状およ
びその他固体の成形体を一般の高分子工業で行われる成
形・製膜方法で容易に製造することができ、また、得ら
れた成形体は極めて安定に導電状態を維持する。
【0064】上記の成形・製膜方法において、用いられ
る前記導電性重合体濃度は、成形状態、重合体の化学構
造や溶媒により異なり一概には規定できないが、一般に
は0.01〜60重量%の濃度であることが好ましい。
成形工程は不活性ガス雰囲気下または真空下で行う場合
が多いが、空気雰囲気下でも好ましく、重合体溶液を適
当な媒体、例えば硝子板または臭化ナトリウムディスク
上においてフィルムに成形するか、あるいは溶液から直
接繊維やその他の固体の成形体に成形することにより所
望の形に成形できる。更には延伸等を行うことも可能で
ある。
【0065】また、溶液状態において他の汎用樹脂、例
えばポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリアクリ
ル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル等と共に溶解
もしくは混合し、その溶液から任意組成比を有する成形
体を形成することもできる。その場合使用する該樹脂の
重量は、前記導電性重合体に対し、通常は10〜500
%の範囲が好ましい。また、この時用いられる溶媒とし
てはジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリド
ン、ジメチルスルホキシド等の極性有機溶媒あるいは水
が好ましいが、該樹脂及び前記導電性重合体を溶解する
溶媒であれば特に限定されるものではなく、また混合溶
媒系でもよい。
【0066】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく
説明する。しかし、本発明の技術的範囲はこれらの実施
例によって限定されるものでない。 (実施例1) 導電性重合体(P1)〔φ=イソチアナフテニレン、A
1 =なし、Y=C817NHSO2 、m=0.7、f=
1、k=0、δ=0〕及び(P6)〔A1 =なし、R5
=R6 =H、Y=C817NHSO2 、m=0.7、f
=1、k=0、X=S、δ=0〕 室温下、発煙硫酸(20% SO3 )2.0mlを入れ
た硫酸4.0ml中に1,3−ジヒドロイソチアナフテ
ン500mgを撹拌しながらゆっくりと加え、1晩撹拌
を続けた。反応液は赤色となった。その後、90℃に加
熱したところ反応液は直ちに濃紺色を呈し3時間後には
濃い紺色の均一溶液となった。更に反応混合物を2時間
同温度で加熱撹拌した後、1000mlの水に加えた。
水溶液のpHをHClで1.9に調整し限外濾過膜によ
って精製した後100mlに濃縮した。そして水を減圧
留去し、真空乾燥して、一般式(V)においてφが一般
式(III)で表される化学構造からなる重合体(A1 =な
し、R5 =R6=H、n=0.7、M=H+)(黒色)3
90mgを得た。N−メチル−2−ピロリドン(NM
P)20ml中に、上記により得た重合体0.25gお
よびn−オクチルアミン0.15g(1.16ミリモ
ル)を添加し、窒素雰囲気下160℃で6時間加熱撹拌
して反応させた。終了後、反応溶液を1,4−ジオキサ
ン200ml中に添加し、析出物を得た。析出物を濾別
後、N,N−ジメチルホルムアミド20ml中に溶解
し、溶液を1,4−ジオキサン200mlに添加して再
沈澱した。この操作を2回繰り返し析出物を濾別後、水
およびアセトン各200mlにて洗浄した後、真空乾燥
して濃紺色重合体0.26gを得た。得られた重合体の
赤外線吸収スペクトル(KBr法、cm-1)を図1に示
す。特性吸収は以下の通り。2924w、2854w、
1586w、1466w、1389m、1217s、1
190s、1139w、1106w、1038s、99
8m、923w、851w、704m、622m、60
3m。
【0067】またジメチルスルホキシド(DMSO−d
6)中での 1H−NMRスペクトルを図2、DMF中の
可視近赤外線吸収スペクトルを図3に示す。得られた重
合体は、NMP、DMSO、ジメチルホルムアミド(D
MF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)等に
易溶であったが、水には不溶であった。 元素分析値〔%〕C:60.82、H:5.85、N:
3.66、S:19.95 元素分析計算値〔(C84 S)0.3(C1621NS2
2)0.7 、%〕C:61.39、H:6.02、N:3.
69、S:20.48 得られた重合体の電導度は、7×10-7S/cmであっ
た。
【0068】(実施例2) 導電性重合体(P1)〔φ=イソインドリレン、A1
なし、Y=C817NHSO2 、m=0.7、f=1、
k=0、X=NR7 、R7 =CH3 、δ=0〕及び(P
6)〔A1 =なし、R5 =R6 =H、X=NR7 、R7
=CH3 、f=1、Y=C817NHSO2 、m=0.
7、k=0、δ=0〕 公知の方法(Advan. Heterocyc. Chem. 10, 113(1969)
)で製造したN−メチルイソインドリン0.50gを
20%発煙硫酸2mlを入れた硫酸4ml中、90℃で
3時間加熱反応し、反応溶液を100mlのメタノール
に添加し、析出物を遠心分離により分離した。分離した
固体を0.5Nの水酸化ナトリウム水溶液100mlに
溶かし、イオン交換水で透析処理をして過剰の水酸化ナ
トリウム等の不要物を除去後、溶媒留去、真空乾燥を経
てNa型の重合体(M=Na+)0.38gを得た。
【0069】重合体を水50mlに溶かし、酸型のイオ
ン交換樹脂(アンバーライトIR−120B)に注意深
く充分通して酸型の重合体(M=H+)に変換した。さら
に、溶媒を減圧留去して黒色重合体固体を得た。中和滴
定法により重合体中のイソインドリレン構造単位のスル
ホン酸による平均置換度nを求めたところ、その値は
0.7であった。次に、このようにして得られた、一般
式(V)におけるφが一般式(III) で表される化学構造
からなる重合体(A1 =なし、R5 =R6 =H、X=N
7 、R7 =CH3 、n=0.7、M=H+)〕0.24
gを溶かしたNMP20mlにn−オクチルアミン0.
15g(1.16ミリモル)を添加し、実施例1記載の
方法に準じて加熱反応した。その後実施例1と同様に処
理して黒色重合体を0.18g得た。得られた重合体
は、NMP、DMSO、DMF、DMA等に可溶だが、
水に溶けなかった。得られた重合体の電導度は、3×1
-10S/cmであった。得られた重合体の赤外線吸収ス
ペクトル(KBr法、cm-1)における特性吸収は以下
の通り。3080、2960、1380、1225、1
180。
【0070】(実施例3) 導電性重合体(P1)〔φ=イソチアナフテニレン、A
1 =なし、Y=C511NHSO2 、m=0.7、f=
1、k=0、δ=0〕及び(P6)〔A1 =なし、R5
=R6 =H、Y=C511NHSO2 、f=1、m=
0.7、k=0、X=S、δ=0〕 n−アミルアミン20ml中に、実施例1と同様にして
製造した、一般式(V)におけるφが一般式(III)で表
される化学構造からなる重合体(A1 =なし、R5 =R
6 =H、n=0.7、M=H+)0.25gを添加し、窒
素雰囲気下100℃で6時間加熱撹拌して反応させた。
反応後、実施例1と同様に処理して濃紺色重合体0.1
9gを得た。重合物のλmax は846nm(NMP中)
であった。得られた重合体の赤外線吸収スペクトル(K
Br法)における特性吸収は以下の通り。 νN-H :3080cm-1 νS=O :1190、1217、1380cm-1 νC=C :1465、1620cm-1 δC-H :850cm-1。 得られた重合体の電導度は、2×10-4S/cmであっ
た。
【0071】(実施例4) 導電性重合体(P1)〔φ=イソチアナフテニレン、A
1 =なし、Y=C6 5 NHSO2 、m=0.7、f=
1、k=0、δ=0〕及び(P6)〔A1 =なし、R5
=R6 =H、Y=C65 NHSO2 、m=0.7、f
=1、k=0、X=S、δ=0〕 NMP20ml中、実施例1と同様にして製造した、一
般式(V)におけるφが一般式(III)で表される化学構
造からなる重合体(A1 =なし、R5 =R6 =H、n=
0.7、M=H+ )0.50gとアニリン0.22gと
を窒素雰囲気下160℃で6時間加熱撹拌して反応させ
た。その後、実施例1と同様に処理して濃紺色の重合体
0.09gを得た。重合体のλmax は842nm(NM
P中)であった。得られた重合体の赤外線吸収スペクト
ル(KBr法)における特性吸収は以下の通り。 νN-H :3080cm-1 νS=O :1170、1216、1378cm-1 νC=C :1650cm-1 δC-H :689cm-1 得られた重合体の電導度は、5×10-5S/cmであっ
た。
【0072】(実施例5) 導電性重合体(P1)〔φ=イソチアナフテニレン、A
1 =なし、Y=C817NHSO2 、m=0.7、f=
1、k=0、j=1、Z=I- 、δ>0〕及び(P6)
〔A1 =なし、R5 =R6 =H、Y=C817NHSO
2 、m=0.7、f=1、k=0、X=S、j=1、Z
=I- 、δ>0〕 実施例1記載の方法で得られた導電性重合体〔φ=イソ
チアナフテニレン、A1 =なし、R5 =R6 =H,Y=
817NHSO2 、m=0.7、k=0、δ=0〕1
mgをDMF100mlに溶解した液に、0.01wt
%のヨウ素のDMF溶液を0.05ml添加して、ヨウ
素によるドーピング反応を行なったところ、図4に示す
ようなドープ状態の導電性重合体のスペクトルを示す溶
液が得られた。
【0073】(実施例6) 導電性重合体(P1)〔φ=イソチアナフテニレン、A
1 =なし、Y=C511OSO2 、m=0.8、f=
1、k=0、δ=0〕及び(P6)〔A1 =なし、R5
=R6 =H,Y=C511OSO2 、m=0.8、f=
1、k=0、X=S、δ=0〕 n−アミルアルコ−ル
10ml中に、実施例1と同様にして製造した、一般式
(V)におけるφが一般式(III)で表される化学構造を
含む重合体〔A1 =なし、R5 =R6 =H、n=0.
8、M=H+ 〕0.25gを添加し、窒素雰囲気下13
0℃で6時間加熱撹拌して反応させた。その後、実施例
1と同様に処理して濃紺色の重合体0.22gを得た。
重合体のλmax は825nm(DMSO中)であった。
得られた重合体の赤外線吸収スペクトル(KBr法)に
おける特性吸収は以下の通り。 νS=O :1162、1347cm-1 νC=C :1645cm-1 δC-H :842cm-1 得られた重合体の電導度は、4×10-5S/cmであっ
た。
【0074】(実施例7) 導電性重合体(P1)〔φ=イソチアナフテニレン、A
1 =なし、Y=C511OSO2 、m=0.8、f=
1、k=0、j=1、Z=I- 、δ>0〕及び(P6)
〔A1 =なし、R5 =R6 =H、Y=C511OSO
2 、X=S、m=0.8、f=1、k=0、j=1、Z
=I- 、δ>0〕 実施例6の方法で得られた導電性重合体(P6)〔A1
=なし、φ=イソチアナフテニレン、R5 =R6 =H、
Y=SO3511、m=0.8、k=0、f=1、δ
=0〕1mgを同様に100mlのDMSOに溶解した
液に、0.01%のヨウ素のDMF溶液を0.05ml
添加したところ、図4と同様なドープ状態の導電性重合
体のスペクトルを示す溶液が得られた。
【0075】(実施例8) 導電性重合体(P1)〔φ=イソチアナフテニレン、A
1 =なし、Y=C817NHSO2 、m=0.6、f=
1、k=0.2、M=Na+ 、δ=0〕及び(P6)
〔A1 =なし、R5 =R6 =H、Y=C817NHSO
2 、X=S、M=Na+ 、m=0.6、k=0.2、δ
=0、f=1〕 NMP20ml中に、実施例1と同様にして製造した、
一般式(V)におけるφが一般式(III)で表される化学
構造からなる重合体〔A1 =なし、R5 =R6=H、M
=H+ 、n=0.8〕0.25gおよびn−オクチルア
ミン0.15g(1.16ミリモル)を添加し、窒素雰
囲気下160℃で30分間加熱撹拌して反応させた。反
応溶液を1,4−ジオキサン200ml中に滴下し、析
出した生成物を濾別した(収量0.12g)。この生成
物は水溶性であった。重合体中のイソチアナフテニレン
構造単位のkをNaOH標準液で滴定して調べたとこ
ろ、該構造単位当り0.2であった。また、この生成重
合体の電導度を四端子法で測定すると、8×10-2S/
cmであった。これを20mlのO.05N−NaOH水
溶液で中和した時のλmax は820nmであった。
【0076】(実施例9) 導電性重合体(P1)〔φ=イソチアナフテニレン、A
1 =なし、Y=C817NHSO2 、m=0.6、f=
1、k=0.2、j=2、Z=硫酸イオン、M=H+
δ>0〕及び(P6)〔A1 =なし、R5 =R6 =H、
Y=C817NHSO2 、m=0.6、k=0.2、X
=S、M=H+ 、Z=硫酸イオン、j=2,δ>0、f
=1〕 実施例8で得られた重合体1mgを20mlの0.5M
の硫酸水溶液に溶かしたところ、図4と同様なドープ状
態の導電性重合体のスペクトルを示す溶液が得られた。
【0077】(実施例10) 導電性重合体(P2)〔φ=イソチアナフテニレン、A
1 =なし、Y=C8 17NHSO2 、m=0.6、f=
0、k=δ=0.2、M=なし〕及び(P6)〔A1
なし、R5 =R6 =H、Y=C817NHSO2 、m=
0.6、k=0.2、X=S、δ=0.2、f=0、M
=なし〕 実施例8と同様の方法で得られた重合体200mgを2
00mlの0.05NのNaOH水溶液に溶かした後、
HClでpH1.9に調整し限外ろ過膜によって脱塩処
理した。濃縮された水溶液のスペクトルは、図4と同様
なドープ状態の導電性重合体のスペクトルを示した。限
外濾過後の重合体濃度は、約2×10-4重量%で、この
水溶液のNa+ 濃度を(株)堀場製作所製のNa+ 選択
性電極1512A−06Tで測定したところ、ネルンス
ト応答できない10ppm以下濃度であった。
【0078】(実施例11) 導電性重合体(P1)〔φ=2,5−チエニレン、A1
=C36 、Y=C817NHSO2 、m=0.7、f
=1、k=0.3、M=H+ 、δ=0〕及び導電性重合
体(P7)〔R5 =H、A1 =C36 、Y=C817
NHSO2 、m=0.7、k=0.3、X=S、M=H
+ 、δ=0,f=1〕 NMP20ml中、公知の方法(例えば、J. Chem. So
c. Chem. Commun.,1694頁、1990年)で製造した、一般
式(V)におけるφが一般式(IV)で表される化学構造
からなる重合体(A1 =C36 、R5 =H、n=1.
0、M=H+)0.50gとn−オクチルアミン0.32
gとを窒素雰囲気下120℃で4時間加熱撹拌して反応
させた。実施例1と同様に処理して濃黒褐色の重合体
0.77gを得た。重合体のλmax は425nm(DM
F中)であった。重合体の赤外線吸収スペクトル(KB
r法、cm-1)における特性吸収は以下の通り。308
0、2960、1610、1380、1220、118
5。
【0079】(実施例12) 導電性重合体(P3)〔A1 =C36 、OA2 =な
し、A3 =CH3 、Y=C37 NHSO2 、m=0.
6、k=0.4、M=H+ 、f=1、δ=0〕 公知の方法(Macromolecules, 23, 2119 (1990) )で製
造した、一般式(VI)で表される化学構造からなる繰り
返し単位〔A1 =C36 、OA2 =なし、A3 =CH
3 、n=1.0、M=H+ 〕を含む重合体であるポリ
[5−メトキシ−2−(3−スルホプロポキシ)−1,
4−フェニレンビニレン]0.25gとn−プロピルア
ミン0.06gとをNMP10ml中、窒素雰囲気下1
20℃で6時間加熱撹拌して反応させた。その後、実施
例1と同様に処理して濃褐色の重合体0.27gを得
た。重合体の赤外線吸収スペクトル(KBr法、c
-1)における特性吸収は以下の通り。 2950、1
610、1410、1350、1210、1040。
【0080】(実施例13) 導電性重合体(P1)〔φ=1,4−イミノフェニレ
ン、A1 =なし、Y=C1021NHSO2 、m=0.
5、f=1、k=0、δ=0〕及び(P8)〔A1=な
し,Y=C1021NHSO2 、m=0.5、f=1、k
=0、δ=0〕 公知の方法(J. Amer. Chem. Soc., 112, 2800 (1990)
)で製造した、一般式(V)におけるφが非置換のイ
ミノ基を有する1,4−イミノフェニレンである構造単
位からなる重合体〔A1 =なし、n=0.5、M=H
+ 〕であるスルホン酸基置換ポリアニリン0.50gと
n−デシルアミン0.30gとをNMP20ml中、窒
素雰囲気下120℃で6時間加熱撹拌して反応させた。
その後、実施例1と同様に処理して黒色の重合体0.7
4gを得た。重合体の赤外線吸収スペクトル(KBr
法、cm-1)における特性吸収は以下の通り。 330
0、2970、1620、1490、1380、122
0、1165、820。
【0081】(実施例14) 導電性重合体(P1)〔φ=N−置換1,4−イミノフ
ェニレン、A1 =C36 、Y=C511NHSO2
m=0.5、f=1、k=0.5、M=H+ 、δ=0〕
及び(P8)〔A1 =C36 、Y=C511NHSO
2 、m=0.5、f=1、k=0.5、M=H+ 、δ=
0〕 公知の方法(J. Chem. Soc. Chem. Commun., 180 (199
0) )で製造した、一般式(V)におけるφがN−置換
型の1,4−イミノフェニレンである構造単位からなる
重合体〔A1 =C36 、n=1.0、M=H+ 〕であ
るポリアニリンプロパンスルホン酸0.50gとn−ア
ミルアミン0.20gとをNMP20ml中、窒素雰囲
気下120℃で3時間加熱撹拌して反応させた。その
後、実施例1と同様に処理して黒色の重合体0.59g
を得た。重合体の赤外線吸収スペクトル(KBr法、c
-1)における特性吸収は以下の通り。 3290、2
980、1620、1480、1380、1220、1
160、820。
【0082】(実施例15) 導電性重合体(P1)〔φ=2,5−ピロリレン、A1
=C36 、Y=C817NHSO2 、m=0.2、f
=1、k=0、δ=0〕及び(P10)〔(A41-n
=なし、A1 =C36 、Y=C817NHSO2 、m
=0.2、f=1、k=0、δ=0〕 公知の方法(J. Chem. Soc. Chem. Commun., 621 (198
7) )で製造した、一般式(I)におけるφが2,5−
ピロリレンである重合体〔A1 =C36 、n=0.
2、M=H+ 〕であるポリ(ピロール−co−3−スル
ホプロピルピロール)共重合体0.50gとn−オクチ
ルアミン0.15gとをNMP50ml中、窒素雰囲気
下160℃で6時間加熱撹拌して反応させた。その後、
実施例1と同様に処理して黒色の重合体0.62gを得
た。重合体の赤外線吸収スペクトル(KBr法、c
-1)における特性吸収は以下の通り。 3100、2
935、1500、1450、1225、1190、8
00。
【0083】(実施例16) 導電性重合体(P1)〔φ=カルバゾリレン、A1 =C
36 、Y=C817NHSO2 、m=1.0、f=
1、k=0、δ=0〕及び(P11)〔(A41-n
なし、A1 =C36 、Y=C817NHSO2 、m=
1.0、f=1、k=0、δ=0〕 公知の方法(J. Electrochem. Soc., 137, 900 (1990)
)で製造した、一般式(I)におけるφがカルバゾリ
レンである重合体〔A1 =C36 、n=1.0、M=
+ 〕であるポリ[N−(3−スルホ)プロピル−3,
6−カルバゾリレン]0.50gとn−オクチルアミン
0.22gとをNMP50ml中、窒素雰囲気下150
℃で8時間加熱撹拌して反応させた。その後、実施例1
と同様に処理して褐色の重合体0.63gを得た。重合
体の赤外線吸収スペクトル(KBr法、cm-1)におけ
る特性吸収は以下の通り。 2940、1660、14
50、1220、1180、750。
【0084】(実施例17)硝子板を支持体に選び、そ
の表面に実施例5に記載の方法で製造したドープ状態の
可溶性導電性重合体とポリアクリロニトリルとを各1重
量%含むDMFをスピンコーター(室温下、回転数10
00rpm)で塗布し、約1μ(触針法で測定)の薄膜
を形成した。約60℃で15時間真空乾燥したところ、
この薄膜と硝子基板との密着性は良好であり表面抵抗は
1×107 Ω/□であった。また500nmの可視光の
透過率は97%であった。
【0085】(実施例18)実施例1の方法で得られた
導電性重合体(P6)〔A1 =なし、R5 =R6 =H、
Y=C817NHSO2 、m=0.7、k=0、X=
S、δ=0〕2重量%とポリビニルアルコール(重合度
2000)20重量%を含むDMFをシャーレ(直径5
cm)に入れ、溶媒を真空乾燥した。シャーレ内に形成
した約1mmの厚さの薄板上形成体を取り出した。この
形成体の表面抵抗は1011Ω/□であったが、ヨウ素の
気相ドーピングで107 Ω/□台に達した。
【0086】
【発明の効果】本発明の導電性重合体(P1)乃至(P
11)は、有機溶媒可溶性及び/または水溶性であり、
加工性に優れた新規材料である。さらには、高い導電性
を示す特徴から、単体あるいは複合材として導電材、電
極、センサー、帯電防止材等の用途に好適に利用でき
る。さらには熱的、機械的にも安定であり、従来にない
電気電子工学分野、半導体電子デバイス等の新しい構造
材料としても利用できる。また、本発明により前記導電
性重合体(P1)乃至(P11)の優れた製造法が提供
される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得た重合体の赤外線吸収スペクトル
である。
【図2】実施例1で得た重合体のDMSO−d6中での
1H−NMRスペクトルである。
【図3】実施例1で得た重合体のDMF中での可視近赤
外線吸収スペクトルである。
【図4】実施例5で得た重合体のDMF中での可視近赤
外線吸収スペクトルである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 市川 玲子 大阪府岸和田市池尻町118番3号 (56)参考文献 特開 平3−137121(JP,A) 特開 平2−252726(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 61/02 C08G 61/12

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(II) 【化1】 (式中、A1 は炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状
    の飽和または不飽和アルキレン基を表す。但し、式中A
    1 は必ずしも含まれなくてよくY及びSO3 -(M)fがフ
    ェニレンに結合した酸素原子に直接結合していてもよ
    い。A2 及びA3 はそれぞれ独立にH、炭素数1〜10
    の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和アルキル
    基を表す。A1 、A2 及びA3 には、カルボニル、エー
    テル、エステル、チオエーテル、アミド、スルホン結合
    を任意に含んでもよい。YはSO2 NR12 またはS
    33 またはSO2 SR4 であり、R1 、R2 はそれ
    ぞれ独立にHまたは炭素数1〜20の直鎖状もしくは分
    岐状の飽和もしくは不飽和アルキル基または炭素数4〜
    30の置換もしくは非置換のアリール基を表す。R3
    4 はそれぞれ独立に炭素数1〜20の直鎖状もしくは
    分岐状の飽和もしくは不飽和アルキル基または炭素数6
    〜20の置換もしくは非置換のアリール基を表す。R1
    とR2 は互いに任意の位置で結合して、窒素原子と共に
    複素環構造を形成する二価の飽和または不飽和炭化水素
    鎖を形成していてもよく、またR1 、R2、R3 及び/
    またはR4 のアルキル基には、カルボニル、エーテル、
    エステル、チオエーテル、アミド、スルホン結合を任意
    に含んでもよい。Mはカチオンを表す。fは0または1
    を表す。Zは陰イオンを表し、jはZの価数を表し1ま
    たは2である。δは0〜1の範囲である。)で表される
    フェニレンビニレン骨格を含む化学構造からなる繰り返
    し単位を含む導電性重合体(但し、置換基OA1 Y及び
    /またはOA1 SO3 -(M)f及び/または(OA2 )
    1-k-mを有する1個の繰り返し単位中の該置換基の総数
    は1であり、kは重合体中のフェニレンのOA1 SO3 -
    (M)fによる平均置換度を表し、mは重合体中のフェニ
    レンのOA1 Yによる平均置換度を表し、kは0〜0.
    9の範囲であり、mは0.1〜1の範囲であり、k+m
    の値は1以下である。また、fが0の場合にはkはδと
    同一である。)。
  2. 【請求項2】 請求項1において、0<δ≦1かつfが
    0である一般式(II)で表されるフェニレンビニレン骨
    格を含む化学構造からなる繰り返し単位を含む請求項1
    記載の導電性重合体。
  3. 【請求項3】 一般式(I) 【化2】 (式中、φは、ヘテロ原子が窒素、硫黄、酸素、セレ
    ン、テルルからなる群より選ばれる原子を含む5乃至7
    員環を有する単環式複素環もしくは9乃至40員環を有
    する縮合複素環の二価基からなる群から選ばれる二価
    基、前記二価基にビニレンが連結した二価基、アリーレ
    ン、アリーレンビニレン及び1,4−イミノフェニレン
    からなる群から選ばれる二価基を表す。A1 は炭素数1
    〜10の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和アル
    キレン基を表し、その一端はφ中のC−H結合またはN
    −H結合の水素の代りに炭素または窒素原子に結合して
    いる。但し、式中A1 は必ずしも含まれなくてよくY及
    びSO3 -(M)fが直接φ中の炭素または窒素原子に結合
    していてもよい。A1 には、カルボニル、エーテル、エ
    ステル、チオエーテル、アミド、スルホン結合を任意に
    含んでもよい。YはSO2NR12 またはSO33
    またはSO2 SR4 であり、R1 、R2 はそれぞれ独立
    にHまたは炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状の飽
    和もしくは不飽和アルキル基または炭素数4〜30の置
    換もしくは非置換のアリール基を表す。R3、R4 はそ
    れぞれ独立に炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状の
    飽和もしくは不飽和アルキル基または炭素数6〜20の
    置換もしくは非置換のアリール基を表す。R1 とR2
    互いに任意の位置で結合して、窒素原子と共に複素環構
    造を形成する二価の飽和または不飽和炭化水素鎖を形成
    していてもよく、またR1 、R2 、R3 及び/またはR
    4 のアルキル鎖には、カルボニル、エーテル、エステ
    ル、チオエーテル、アミド、スルホン結合を任意に含ん
    でもよい。Mはカチオンを表す。fは0または1を表
    す。Zは陰イオンを表し、jはZの価数を表し1または
    2である。δは0〜1の範囲である。)で表される化学
    構造からなる繰り返し単位を含む導電性重合体(但し、
    置換基A1 Y及び/またはA1 SO3 -(M)fを有する1
    個の繰り返し単位中の該置換基の総数は1または2であ
    り、kは重合体中のφのA1 SO3 -(M)fによる平均置
    換度を表し、mは重合体中のφのA1 Yによる平均置換
    度を表し、kは0〜1.9の範囲であり、mは0.1〜
    2の範囲であり、該置換基がφ中の炭素原子に結合して
    いる場合にはk+mの値は2以下であり、窒素原子に結
    合している場合にはk+mの値は1以下である。また、
    fが0の場合にはkはδと同一である。)であって、 窒素原子を有するφ中の窒素原子が置換基(A4)1-n
    (但し、A4 は炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状
    の飽和もしくは不飽和アルキル基を表す。A4 には、カ
    ルボニル、エーテル、エステル、チオエーテル、アミ
    ド、スルホン結合を任意に含んでもよい。1−nの値は
    重合体中の窒素原子のA4 による平均置換度を表し1以
    下である。)で置換されている導電性重合体。
  4. 【請求項4】 一般式(I) 【化3】 (式中、φは、ヘテロ原子が窒素、硫黄、酸素、セレ
    ン、テルルからなる群より選ばれる原子を含む5乃至7
    員環を有する単環式複素環もしくは9乃至40員環を有
    する縮合複素環の二価基からなる群から選ばれる二価
    基、前記二価基にビニレンが連結した二価基、アリーレ
    ン、アリーレンビニレン及び1,4−イミノフェニレン
    からなる群から選ばれる二価基を表す。A1 は炭素数1
    〜10の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和アル
    キレン基を表し、その一端はφ中のC−H結合またはN
    −H結合の水素の代りに炭素または窒素原子に結合して
    いる。但し、式中A1 は必ずしも含まれなくてよくY及
    びSO3 -(M)fが直接φ中の炭素または窒素原子に結合
    していてもよい。A1 には、カルボニル、エーテル、エ
    ステル、チオエーテル、アミド、スルホン結合を任意に
    含んでもよい。YはSO2NR12 またはSO33
    またはSO2 SR4 であり、R1 、R2 はそれぞれ独立
    にHまたは炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状の飽
    和もしくは不飽和アルキル基または炭素数4〜30の置
    換もしくは非置換のアリール基を表す。R3、R4 はそ
    れぞれ独立に炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状の
    飽和もしくは不飽和アルキル基または炭素数6〜20の
    置換もしくは非置換のアリール基を表す。R1 とR2
    互いに任意の位置で結合して、窒素原子と共に複素環構
    造を形成する二価の飽和または不飽和炭化水素鎖を形成
    していてもよく、またR1 、R2 、R3 及び/またはR
    4 のアルキル鎖には、カルボニル、エーテル、エステ
    ル、チオエーテル、アミド、スルホン結合を任意に含ん
    でもよい。Mはカチオンを表す。fは0または1を表
    す。Zは陰イオンを表し、jはZの価数を表し1または
    2である。δは0〜1の範囲である。)で表される化学
    構造からなる繰り返し単位を含む導電性重合体(但し、
    置換基A1 Y及び/またはA1 SO3 -(M)fを有する1
    個の繰り返し単位中の該置換基の総数は1または2であ
    り、kは重合体中のφのA1 SO3 -(M)fによる平均置
    換度を表し、mは重合体中のφのA1 Yによる平均置換
    度を表し、kは0〜1.9の範囲であり、mは0.1〜
    2の範囲であり、該置換基がφ中の炭素原子に結合して
    いる場合にはk+mの値は2以下であり、窒素原子に結
    合している場合にはk+mの値は1以下である。また、
    fが0の場合にはkはδと同一である。)であって、 φが、一般式(III) 【化4】 (式中、R5 及びR6 はそれぞれ独立にH、炭素数1〜
    20の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和アル
    キル基もしくはアルコキシ基、ハロゲン、ニトロ基、ア
    ミノ基、トリハロメチル基、置換または非置換のフェニ
    ル基を表し、XはS、O、Se、TeまたはNR7 であ
    る。R7 はHまたは炭素数1〜10の直鎖状もしくは分
    岐状の飽和もしくは不飽和アルキル基または炭素数6〜
    10の置換もしくは非置換のアリール基を表す。)で表
    される縮合複素環の二価基である導電性重合体。
  5. 【請求項5】 一般式(I) 【化5】 (式中、φは、ヘテロ原子が窒素、硫黄、酸素、セレ
    ン、テルルからなる群より選ばれる原子を含む5乃至7
    員環を有する単環式複素環もしくは9乃至40員環を有
    する縮合複素環の二価基からなる群から選ばれる二価
    基、前記二価基にビニレンが連結した二価基、アリーレ
    ン、アリーレンビニレン及び1,4−イミノフェニレン
    からなる群から選ばれる二価基を表す。A1 は炭素数1
    〜10の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和アル
    キレン基を表し、その一端はφ中のC−H結合またはN
    −H結合の水素の代りに炭素または窒素原子に結合して
    いる。但し、式中A1 は必ずしも含まれなくてよくY及
    びSO3 -(M)fが直接φ中の炭素または窒素原子に結合
    していてもよい。A1 には、カルボニル、エーテル、エ
    ステル、チオエーテル、アミド、スルホン結合を任意に
    含んでもよい。YはSO2NR12 またはSO33
    またはSO2 SR4 であり、R1 、R2 はそれぞれ独立
    にHまたは炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状の飽
    和もしくは不飽和アルキル基または炭素数4〜30の置
    換もしくは非置換のアリール基を表す。R3、R4 はそ
    れぞれ独立に炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状の
    飽和もしくは不飽和アルキル基または炭素数6〜20の
    置換もしくは非置換のアリール基を表す。R1 とR2
    互いに任意の位置で結合して、窒素原子と共に複素環構
    造を形成する二価の飽和または不飽和炭化水素鎖を形成
    していてもよく、またR1 、R2 、R3 及び/またはR
    4 のアルキル鎖には、カルボニル、エーテル、エステ
    ル、チオエーテル、アミド、スルホン結合を任意に含ん
    でもよい。Mはカチオンを表す。fは0または1を表
    す。Zは陰イオンを表し、jはZの価数を表し1または
    2である。δは0〜1の範囲である。)で表される化学
    構造からなる繰り返し単位を含む導電性重合体(但し、
    置換基A1 Y及び/またはA1 SO3 -(M)fを有する1
    個の繰り返し単位中の該置換基の総数は1または2であ
    り、kは重合体中のφのA1 SO3 -(M)fによる平均置
    換度を表し、mは重合体中のφのA1 Yによる平均置換
    度を表し、kは0〜1.9の範囲であり、mは0.1〜
    2の範囲であり、該置換基がφ中の炭素原子に結合して
    いる場合にはk+mの値は2以下であり、窒素原子に結
    合している場合にはk+mの値は1以下である。また、
    fが0の場合にはkはδと同一である。)であって、 φが、窒素原子が置換基(A41-n (但し、A4 は炭
    素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不
    飽和アルキル基を表す。A4 には、カルボニル、エーテ
    ル、エステル、チオエーテル、アミド、スルホン結合を
    任意に含んでもよい。1−nの値は重合体中の窒素原子
    のA4 による平均置換度を表し1以下である。)で置換
    されている1,4−イミノフェニレンである導電性重合
    体。
  6. 【請求項6】 一般式(I) 【化6】 (式中、φは、ヘテロ原子が窒素、硫黄、酸素、セレ
    ン、テルルからなる群より選ばれる原子を含む5乃至7
    員環を有する単環式複素環もしくは9乃至40員環を有
    する縮合複素環の二価基からなる群から選ばれる二価
    基、前記二価基にビニレンが連結した二価基、アリーレ
    ン、アリーレンビニレン及び1,4−イミノフェニレン
    からなる群から選ばれる二価基を表す。A1 は炭素数1
    〜10の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和アル
    キレン基を表し、その一端はφ中のC−H結合またはN
    −H結合の水素の代りに炭素または窒素原子に結合して
    いる。但し、式中A1 は必ずしも含まれなくてよくY及
    びSO3 -(M)fが直接φ中の炭素または窒素原子に結合
    していてもよい。A1 には、カルボニル、エーテル、エ
    ステル、チオエーテル、アミド、スルホン結合を任意に
    含んでもよい。YはSO2NR12 またはSO33
    またはSO2 SR4 であり、R1 、R2 はそれぞれ独立
    にHまたは炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状の飽
    和もしくは不飽和アルキル基または炭素数4〜30の置
    換もしくは非置換のアリール基を表す。R3、R4 はそ
    れぞれ独立に炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状の
    飽和もしくは不飽和アルキル基または炭素数6〜20の
    置換もしくは非置換のアリール基を表す。R1 とR2
    互いに任意の位置で結合して、窒素原子と共に複素環構
    造を形成する二価の飽和または不飽和炭化水素鎖を形成
    していてもよく、またR1 、R2 、R3 及び/またはR
    4 のアルキル鎖には、カルボニル、エーテル、エステ
    ル、チオエーテル、アミド、スルホン結合を任意に含ん
    でもよい。Mはカチオンを表す。fは0または1を表
    す。Zは陰イオンを表し、jはZの価数を表し1または
    2である。δは0〜1の範囲である。)で表される化学
    構造からなる繰り返し単位を含む導電性重合体(但し、
    置換基A1 Y及び/またはA1 SO3 -(M)fを有する1
    個の繰り返し単位中の該置換基の総数は1または2であ
    り、kは重合体中のφのA1 SO3 -(M)fによる平均置
    換度を表し、mは重合体中のφのA1 Yによる平均置換
    度を表し、kは0〜1.9の範囲であり、mは0.1〜
    2の範囲であり、該置換基がφ中の炭素原子に結合して
    いる場合にはk+mの値は2以下であり、窒素原子に結
    合している場合にはk+mの値は1以下である。また、
    fが0の場合にはkはδと同一である。)であって、 φが、窒素原子が置換基(A41-n (但し、A4 は炭
    素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不
    飽和アルキル基を表す。A4 には、カルボニル、エーテ
    ル、エステル、チオエーテル、アミド、スルホン結合を
    任意に含んでもよい。1−nの値は重合体中の窒素原子
    のA4 による平均置換度を表し1以下である。)で置換
    されている2,5−ピロリレンである導電性重合体。
  7. 【請求項7】 一般式(I) 【化7】 (式中、φは、ヘテロ原子が窒素、硫黄、酸素、セレ
    ン、テルルからなる群より選ばれる原子を含む5乃至7
    員環を有する単環式複素環もしくは9乃至40員環を有
    する縮合複素環の二価基からなる群から選ばれる二価
    基、前記二価基にビニレンが連結した二価基、アリーレ
    ン、アリーレンビニレン及び1,4−イミノフェニレン
    からなる群から選ばれる二価基を表す。A1 は炭素数1
    〜10の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和アル
    キレン基を表し、その一端はφ中のC−H結合またはN
    −H結合の水素の代りに炭素または窒素原子に結合して
    いる。但し、式中A1 は必ずしも含まれなくてよくY及
    びSO3 -(M)fが直接φ中の炭素または窒素原子に結合
    していてもよい。A1 には、カルボニル、エーテル、エ
    ステル、チオエーテル、アミド、スルホン結合を任意に
    含んでもよい。YはSO2NR12 またはSO33
    またはSO2 SR4 であり、R1 、R2 はそれぞれ独立
    にHまたは炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状の飽
    和もしくは不飽和アルキル基または炭素数4〜30の置
    換もしくは非置換のアリール基を表す。R3、R4 はそ
    れぞれ独立に炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状の
    飽和もしくは不飽和アルキル基または炭素数6〜20の
    置換もしくは非置換のアリール基を表す。R1 とR2
    互いに任意の位置で結合して、窒素原子と共に複素環構
    造を形成する二価の飽和または不飽和炭化水素鎖を形成
    していてもよく、またR1 、R2 、R3 及び/またはR
    4 のアルキル鎖には、カルボニル、エーテル、エステ
    ル、チオエーテル、アミド、スルホン結合を任意に含ん
    でもよい。Mはカチオンを表す。fは0または1を表
    す。Zは陰イオンを表し、jはZの価数を表し1または
    2である。δは0〜1の範囲である。)で表される化学
    構造からなる繰り返し単位を含む導電性重合体(但し、
    置換基A1 Y及び/またはA1 SO3 -(M)fを有する1
    個の繰り返し単位中の該置換基の総数は1または2であ
    り、kは重合体中のφのA1 SO3 -(M)fによる平均置
    換度を表し、mは重合体中のφのA1 Yによる平均置換
    度を表し、kは0〜1.9の範囲であり、mは0.1〜
    2の範囲であり、該置換基がφ中の炭素原子に結合して
    いる場合にはk+mの値は2以下であり、窒素原子に結
    合している場合にはk+mの値は1以下である。また、
    fが0の場合にはkはδと同一である。)であって、 φが、窒素原子が置換基(A41-n (但し、A4 は炭
    素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不
    飽和アルキル基を表す。A4 には、カルボニル、エーテ
    ル、エステル、チオエーテル、アミド、スルホン結合を
    任意に含んでもよい。1−nの値は重合体中の窒素原子
    のA4 による平均置換度を表し1以下である。)で置換
    されているカルバゾリレンである導電性重合体。
  8. 【請求項8】0<δ≦1かつfが0である一般式(I)
    で表される化学構造からなる繰り返し単位を含む請求項
    4乃至7の何れか1項に記載の導電性重合体。
  9. 【請求項9】 一般式(V) 【化8】 (式中、φは、ヘテロ原子が窒素、硫黄、酸素、セレ
    ン、テルルからなる群より選ばれる原子を含む5乃至7
    員環を有する単環式複素環もしくは9乃至40員環を有
    する縮合複素環の二価基からなる群から選ばれる二価
    基、前記二価基にビニレンが連結した二価基、アリーレ
    ン、アリーレンビニレン及び1,4−イミノフェニレン
    からなる群から選ばれる二価基を表す。A1 は炭素数1
    〜10の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和アル
    キレン基を表し、その一端はφ中のC−H結合またはN
    −H結合の水素の代りに炭素または窒素原子に結合して
    いる。但し、式中A1 は必ずしも含まれなくてよくSO
    3 -Mが直接φ中の炭素または窒素原子に結合していても
    よい。A1 には、カルボニル、エーテル、エステル、チ
    オエーテル、アミド、スルホン結合を任意に含んでもよ
    い。Mはカチオンを表す。)で表される化学構造からな
    る繰り返し単位を含む導電性重合体(但し、nは重合体
    中のφのA1 SO3 -Mによる平均置換度を表し0.1〜
    2の範囲であり、該置換基がφ中の炭素原子に結合して
    いる場合にはnの値は2以下であり、窒素原子に結合し
    ている場合にはnの値は1以下である。)と、1級もし
    くは2級アミンまたはアルコールまたはチオールとを縮
    合して、 一般式(I) 【化9】 (式中、φは、ヘテロ原子が窒素、硫黄、酸素、セレ
    ン、テルルからなる群より選ばれる原子を含む5乃至7
    員環を有する単環式複素環もしくは9乃至40員環を有
    する縮合複素環の二価基からなる群から選ばれる二価
    基、前記二価基にビニレンが連結した二価基、アリーレ
    ン、アリーレンビニレン及び1,4−イミノフェニレン
    からなる群から選ばれる二価基を表す。A1 は炭素数1
    〜10の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和アル
    キレン基を表し、その一端はφ中のC−H結合またはN
    −H結合の水素の代りに炭素または窒素原子に結合して
    いる。但し、式中A1 は必ずしも含まれなくてよくY及
    びSO3 -(M)fが直接φ中の炭素または窒素原子に結合
    していてもよい。A1 には、カルボニル、エーテル、エ
    ステル、チオエーテル、アミド、スルホン結合を任意に
    含んでもよい。YはSO2NR12 またはSO33
    またはSO2 SR4 であり、R1 、R2 はそれぞれ独立
    にHまたは炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状の飽
    和もしくは不飽和アルキル基または炭素数4〜30の置
    換もしくは非置換のアリール基を表す。R3、R4 はそ
    れぞれ独立に炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状の
    飽和もしくは不飽和アルキル基または炭素数6〜20の
    置換もしくは非置換のアリール基を表す。R1 とR2
    互いに任意の位置で結合して、窒素原子と共に複素環構
    造を形成する二価の飽和または不飽和炭化水素鎖を形成
    していてもよく、またR1 、R2 、R3 及び/またはR
    4 のアルキル鎖には、カルボニル、エーテル、エステ
    ル、チオエーテル、アミド、スルホン結合を任意に含ん
    でもよい。Mはカチオンを表す。fは0または1を表
    す。Zは陰イオンを表し、jはZの価数を表し1または
    2である。δは0〜1の範囲である。)で表される化学
    構造からなる繰り返し単位を含む導電性重合体(但し、
    置換基A1 Y及び/またはA1 SO3 -(M)fを有する1
    個の繰り返し単位中の該置換基の総数は1または2であ
    り、kは重合体中のφのA1 SO3 -(M)fによる平均置
    換度を表し、mは重合体中のφのA1 Yによる平均置換
    度を表し、kは0〜1.9の範囲であり、mは0.1〜
    2の範囲であり、該置換基がφ中の炭素原子に結合して
    いる場合にはk+mの値は2以下であり、窒素原子に結
    合している場合にはk+mの値は1以下である。また、
    fが0の場合にはkはδと同一である。)を製造するこ
    とを特徴とする導電性重合体の製造法。
  10. 【請求項10】 一般式(VI) 【化10】 (式中、A1 は炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状
    の飽和または不飽和アルキレン基を表し、その一端はフ
    ェニレンに結合している酸素原子に結合している。但
    し、式中A1 は必ずしも含まれなくてよくSO3 -Mが直
    接該酸素原子に結合していてもよい。A2 及びA3 はそ
    れぞれ独立にH、炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐
    状の飽和もしくは不飽和アルキル基を表す。A1 、A2
    及びA3 には、カルボニル、エーテル、エステル、チオ
    エーテル、アミド、スルホン結合を任意に含んでもよ
    い。Mはカチオンを表す。)で表されるフェニレンビニ
    レン骨格を含む化学構造からなる繰り返し単位を含む導
    電性重合体(但し、nは重合体中のフェニレンのOA1
    SO3 -Mによる平均置換度を表し0.1〜1の範囲であ
    る。)と、1級もしくは2級アミンまたはアルコールま
    たはチオールとを縮合することを特徴とする請求項1ま
    たは請求項2記載の導電性重合体の製造法。
  11. 【請求項11】 請求項1乃至8記載の導電性重合体を
    用いた導電性成形物。
  12. 【請求項12】 一般式(I) 【化11】 (式中、φは、ヘテロ原子が窒素、硫黄、酸素、セレ
    ン、テルルからなる群より選ばれる原子を含む5乃至7
    員環を有する単環式複素環もしくは9乃至40員環を有
    する縮合複素環の二価基からなる群から選ばれる二価
    基、前記二価基にビニレンが連結した二価基、アリーレ
    ン、アリーレンビニレン及び1,4−イミノフェニレン
    からなる群から選ばれる二価基を表す。A1 は炭素数1
    〜10の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和アル
    キレン基を表し、その一端はφ中のC−H結合またはN
    −H結合の水素の代りに炭素または窒素原子に結合して
    いる。但し、式中A1 は必ずしも含まれなくてよくY及
    びSO3 -(M)fが直接φ中の炭素または窒素原子に結合
    していてもよい。A1 には、カルボニル、エーテル、エ
    ステル、チオエーテル、アミド、スルホン結合を任意に
    含んでもよい。YはSO2NR12 またはSO33
    またはSO2 SR4 であり、R1 、R2 はそれぞれ独立
    にHまたは炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状の飽
    和もしくは不飽和アルキル基または炭素数4〜30の置
    換もしくは非置換のアリール基を表す。R3、R4 はそ
    れぞれ独立に炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状の
    飽和もしくは不飽和アルキル基または炭素数6〜20の
    置換もしくは非置換のアリール基を表す。R1 とR2
    互いに任意の位置で結合して、窒素原子と共に複素環構
    造を形成する二価の飽和または不飽和炭化水素鎖を形成
    していてもよく、またR1 、R2 、R3 及び/またはR
    4 のアルキル鎖には、カルボニル、エーテル、エステ
    ル、チオエーテル、アミド、スルホン結合を任意に含ん
    でもよい。Mはカチオンを表す。fは0または1を表
    す。Zは陰イオンを表し、jはZの価数を表し1または
    2である。δは0〜1の範囲である。)で表される化学
    構造からなる繰り返し単位を含む導電性重合体(但し、
    置換基A1 Y及び/またはA1 SO3 -(M)fを有する1
    個の繰り返し単位中の該置換基の総数は1または2であ
    り、kは重合体中のφのA1 SO3 -(M)fによる平均置
    換度を表し、mは重合体中のφのA1 Yによる平均置換
    度を表し、kは0〜1.9の範囲であり、mは0.1〜
    2の範囲であり、該置換基がφ中の炭素原子に結合して
    いる場合にはk+mの値は2以下であり、窒素原子に結
    合している場合にはk+mの値は1以下である。また、
    fが0の場合にはkはδと同一である。)、又は前記φ
    が、一般式(IV) 【化12】 (式中、R5 はH、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分
    岐状の飽和もしくは不飽和アルキル基もしくはアルコキ
    シ基、ハロゲン、ニトロ基、アミノ基、トリハロメチル
    基、置換または非置換のフェニル基を表し、XはS、
    O、Se、TeまたはNR7 である。R7 はHまたは炭
    素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不
    飽和アルキル基または炭素数6〜10の置換もしくは非
    置換のアリール基を表す。)で表される単環式複素環の
    二価基である導電性重合体、又は前記φが、非置換のイ
    ミノ基を有する1,4−イミノフェニレンである導電性
    重合体、又はこれら前記導電性重合体の一般式(I)に
    おいて0<δ≦1かつfが0である一般式(I)で表さ
    れる化学構造からなる繰り返し単位を含む導電性重合体
    の何れかを用いた導電性形成物。
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