JP4854011B2 - 半導電性ベルト及び画像形成装置 - Google Patents

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この発明は半導電性ベルト、及び画像形成装置に関し、さらに詳しくは、例えば電子写真方式の画像形成装置等に使用することができて高品質の画像を形成することに寄与する半導電性ベルト、及び高品質の画像を形成することのできる画像形成装置に関する。
レーザプリンタ、複写機、ビデオプリンタ、ファクシミリ、これらの複合機などには、電子写真方式を利用した各種の画像形成装置が採用されている。電子写真方式を利用した画像形成装置は、感光ドラムに形成された潜像を現像ローラから供給されるトナーで現像し、形成されたトナー現像を感光ドラムに接する半導電性ベルト(転写ベルトともいう。)に転写(一次転写)し、それを印刷シート及び印刷用紙等の記録体に転写(二次転写)し、転写されたトナー現像を有する記録体は加圧ローラ及び定着ローラによって圧着又は加熱圧着され、転写されたトナー現像が記録体上に画像や文字として完全に定着する中間転写方式を採用する。また、画像形成装置の中には、転写ベルトに記録体の搬送を兼ねさせた転写搬送ベルトを使用する方式を採用するものもある。
このような半導電性ベルトは駆動ローラ等により高速で無限軌道上を走行する構造になっている。そして、通常のプリンタ等では、10万枚近い印刷用紙等の記録体に印刷する期間中、半導電性ベルトは、弛みやずれがないように応力が加わった状態になっている。そのため、半導電性ベルトは引張り強度、ヤング率、可撓性、耐折強さ、導電特性などをバランスよく備えている必要性があり、特に、トナー転写時に転写ローラからの印加電圧を受けて常に所定の電位を保つことが重要である。そこで、半導電性ベルトは、その材料や製造工程などにつき各種の検討がなされている。特許文献1〜4には、表面抵抗率、体積抵抗率のばらつきや経時変化を抑えるための工夫として、添加するカーボンブラックの性状を特定した半導電性ベルトが報告されている。
特開2000−313071号公報 特開2000−338789号公報 特開2002−132061号公報 特開2004−91184号公報 特開2004−198723号公報
特に特許文献3には、「表面抵抗率の低下により転写画像に白抜けが発生することなく高品質の画像を安定して得ることができる半導電性ベルトを提供すること」を課題とし(特許文献3の段落番号0006参照)、この課題を解決するために、ポリイミド樹脂に含有されるカーボンブラックについて、「BET比表面積100m/gあたりの揮発分が4wt%/(100m/g)以上で、かつASTM D1512に準拠したpH値が3.5以上であることを特徴とする半導電性ベルト」と言う手段を採用する技術的思想が開示されている。そして、技術的思想を支持する実施例が、この特許文献3ではわずかに2例しか示されているに過ぎず、実施例1ではカーボンブラックの揮発分が5wt%/(100m/g)であり、そのpH値が4.5であり、実施例2ではカーボンブラックの揮発分が5wt%/(90m/g)であり、そのpH値が4.5であった。この特許文献3に開示された技術的思想では、揮発分が4wt%/(100m/g)以上100wt%/(100m/g)以下であれば如何なる揮発分量であっても、かつpH値が3.5以上14以下であればどのようであっても「転写画像に白抜けが発生することなく高品質の画像を安定して得ることができる半導電性ベルトを提供することができる。」(特許文献3の段落番号0006参照)ことになるのであるが、実験事実としての2例の実施例以外の条件、つまりカーボンブラックのpH値が、例えば7以上、8以上、9以上であるときにはどのようになるのか、はたまた揮発分が、例えば50wt%以上、70wt%以上であるときにはどのようになるのかについて実験科学的には全く不明確である。また、興味深いことに、この特許文献3によると、カーボンブラックの「pH値が3.5未満であると、樹脂への分散性が劣化して凝集塊ができ易くなり、その部分での抵抗値の低下が起こり易くなる」(特許文献3の段落番号0018参照)と記載されている。
特許文献5には、「pH5以下の酸化処理カーボンブラックを含有する樹脂被膜を有することを特徴とする転写材搬送ベルト」が提案されている(特許文献5の請求項1)。この特許文献5を仔細に検討すると、樹脂被膜を形成する材料として「ポリイミド樹脂等の熱硬化樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂等の熱可塑性樹脂等」が例示され、ポリイミド樹脂が好適であるとされている(特許文献5の段落番号0036参照)。もっとも、樹脂被膜を形成する材料として挙げられた熱硬化性樹脂の具体例としてはポリイミド樹脂以外の熱硬化性樹脂は例示されていない。
ところで、ポリイミド樹脂は、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを略等モルで反応させることにより得られる(特許文献5の段落番号0036参照)。一方、カーボンブラックの表面には酸素含有官能基例えばカルボン酸、水酸基、ラクトン、キノイド等の各官能基が存在する(特許文献5の段落番号0030参照)。
この特許文献5によると、転写材搬送ベルトが次のようにして製造される。すなわち、「まず、有機極性溶媒中に・・酸化処理カーボンブラックを分散させ、カーボンブラック分散液を調製」し(特許文献5の段落番号0046参照)、このカーボンブラック分散液に「・・ジアミン成分及び上記酸無水物成分を溶解・重合させてカーボンブラック分散したポリアミド酸溶液を調製」し(特許文献5の段落番号0047参照)、このポリアミド酸溶液を・・・筒状に展開して・・・乾燥製膜する」ことにより、転写材搬送ベルトが形成されている。この記載からすると、前記ポリイミドは、カーボンブラックの存在下にジアミン成分と酸無水物成分とが重縮合されて形成されている。そうすると、前記したように、カーボンブラックの表面にはカルボキシル基、カルボニル基、水酸基等の酸素含有官能基が存在するので、カーボンブラックの存在下にジアミン成分と酸無水物成分とを重縮合させようとすると、ジアミン成分中のジアミンとカーボンブラック粒子表面に存在する酸素含有官能基が反応してしまうことは有機化学の常識から容易に考えられる。そうすると、カーボンブラックの存在下でジアミン成分と酸無水物成分とを重縮合させてポリイミド樹脂を形成すると、得られるポリイミド樹脂はその分子量分布がブロードになり、また、所期の平均分子量を達成しない可能性がある。また、カーボンブラック表面の酸素含有官能基とジアミン成分のアミノ基とが反応すると、カーボンブラックの表面活性が変化してしまうことになり、その結果としてカーボンブラック粒子の凝集が起こり、またポリイミド樹脂中にカーボンブラック粒子が均一に分布しなくなると予測される。このようなカーボンブラック粒子を含有し、また分子量分布の広いポリイミド樹脂で製膜された転写材ベルトはその強度が低下し、耐久性に劣ると予測される。
ところで、既述したように、画像形成装置内に組み込まれている半導電性ベルトには「搬送ずれ」を生じることなく記録体を搬送する特性が厳しく要求され、しかもそのような特性が長期間にわたって持続することが強く要求されている現今下にあっては、記録体の「搬送ずれ」が生じない記録体を搬送する半導電性ベルトにはどのような特性を特定すればよいのかが必ずしも明確ではなかった。
この発明では、搬送中に記録体の「搬送ずれ」を生じることがなく、モノクロ画像にあっては「かすれ」、「字ずれ」、「白抜け」等を生じることなく、またカラー画像にあっては「色ずれ」、「かすれ」、「白抜け」等を生じることなく、長期間にわたって高品質で画像を形成することに貢献する半導電性ベルトを提供すること、及びこの半導電性ベルトを備えることにより高品質の画像を形成することのできる画像形成装置を提供することを課題としている。
上述の課題を解決するための手段として、
請求項1は、pH値が3.5未満BET比表面積100m/gあたりの揮発分が7.05〜8質量%であり、BET比表面積1m /gあたりの硫酸基含有量が6〜16ppm及び/又はBET比表面積1m /gあたりの硝酸基含有量が0.25〜3ppmであるカーボンブラックと、トリメリット酸無水物及び4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを反応して得られる芳香族ポリアミドイミド樹脂とを含有し、体積抵抗値(ρv)が1×10 〜1×10 13 Ω・cmであることを特徴とする半導電性ベルトであり、
請求項2は、前記半導電性ベルトは、その表面抵抗値(ρs)が1×1010〜1×1014Ω/□である請求項1に記載の半導電性ベルトであり、
請求項3は、前記体積抵抗値(ρv)に対する前記表面抵抗値(ρs)の比である抵抗値階差(ρs/ρv)が11〜300である請求項2に記載の半導電性ベルトであり、
請求項4は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導電性ベルトを備えて成ることを特徴とする電子写真方式の画像形成装置である。

この発明によると、搬送中に記録体の「搬送ずれ」を生じることがなく、モノクロ画像にあっては「かすれ」、「字ずれ」、「白抜け」等を生じることなく、またカラー画像にあっては「色ずれ」、「かすれ」、「白抜け」等を生じることなく、高品質で画像を形成すること、そのような特性を長期間にわたって持続することに貢献する半導電性ベルトを提供すること、及びそのような半導電性ベルトを備えることにより高品質の画像を形成することのできる画像形成装置を提供することができる。
この発明の半導電性ベルトは、カーボンブラック含有樹脂組成物で形成されてなり、しかも含有されるカーボンブラックが特定のカーボンブラックである。
すなわち、この発明の半導電性ベルト中のカーボンブラックは、そのpH値が3.5未満であり、好ましくは3以下である。カーボンブラックのpH値が上記範囲を超えると、カーボンブラック含有樹脂組成物中でのカーボンブラックの分散性が悪くなってしまってカーボンブラックの凝集塊ができ、結果として半導電性ベルトにカーボンブラックの凝集部分が形成され、凝集部分で電気抵抗値が低下してしまう。つまり、pH値が3.5以上であるカーボンブラックを含有する半導電性ベルトでは、記録体の搬送途中で「搬送ずれ」を起こしてしまう等して、高品質の画像を記録体に形成することができなくなる。なお、カーボンブラックのpH値は、ASTM D1512に準拠して、測定することができる。
また、この発明におけるカーボンブラックは、BET比表面積100m/gあたりの揮発分が5.6〜8質量%、好ましくは6〜7.9質量%である。なお、カーボンブラックの揮発分は、カーボンブラックを950℃で7分間加熱した後のカーボンブラックの重量減少量として評価することができる。BET比表面積100m/gあたりの揮発分(単位面積揮発分と略称することがある。)が上記下限値より小さいと、カーボンブラック含有樹脂組成物中でカーボンブラックの連続構造が発達しすぎて、半導電性ベルトの電気抵抗値が低下しすぎる部分が発生する。また、単位面積揮発分が上記上限値を超えると所望の導電性が半導電性ベルトに発現し難くなる。
ここで、BET比表面積は、窒素吸着を利用したBET法にて測定することができる。確定的ではないが、カーボンブラックの揮発分はBET比表面積と相関がある。この発明においては、使用されるカーボンブラックは、通常の場合、そのBET比表面積が50〜300m/gであることが好ましく、100〜200m/gがより好ましい。また、半導電性ベルト中に分散するカーボンブラックは凝集塊でない一次粒子であるのが、好ましい。一次粒子が凝集して形成される凝集塊が半導電性ベルト中に含まれていると好ましくないことは既述したとおりである。半導電性ベルト中に含まれる一次粒子としてのカーボンブラックは、通常の場合、その平均粒径が10〜10000nmであるのが好ましく、特に15〜30nmであるのが好ましい。また、カーボンブラックの形状は、通常、球状あるいは不定形である。
この発明に係る半導電性ベルトに含まれるカーボンブラックのBET比表面積100m/gあたりの揮発分は、5.6〜8質量%、好ましくは6〜7.9質量%であることが重要である。特許文献3の記載によると、「揮発成分としては表面に存在するカルボキシル基、キノン基、ラクトン基などが含まれる。一般的にいうと、揮発分の多いカーボンブラックは樹脂等との親和力が増し、そのために分散性が優れ、カーボンブラックの凝集も発生しにくいという特徴」(特許文献3の段落番号0016参照)があり、しかも「揮発分が増加すると酸性官能基によりpH値が低下し、樹脂等への分散性が悪化して凝集塊が生じ易くなる」(特許文献3の段落番号0011参照)にも拘わらず、この発明においては、カーボンブラックのpH値が3.5未満の酸性領域にありながら揮発分が前記範囲内にあるとカーボンブラックの凝集塊が生じることなく半導電性ベルト中に分散することは、全くの予想外である。
この発明におけるカーボンブラックは、硫酸基及び/又は硝酸基を含んでいることが好ましい。カーボンブラック中の硫酸基は、一般に原料となる炭化水素中に不純物として含まれる硫黄化合物がカーボンブラック製造工程中に酸化されることにより生成する、と考えられる。この発明においてカーボンブラック含有樹脂組成物に含まれるカーボンブラック中の硫酸基の含有量はBET比表面積1m/gあたり6〜16ppm、好ましくは10〜14ppmであるのが望ましい。なお、前記ppmは質量基準である。硫酸基の含有量が上記上限値を超えると表面抵抗値と体積抵抗値の階差が大きくなりすぎ、ベルト厚み方向の耐電圧が低下しリークするといった問題を生じることがあり、硫酸基の含有量が上記下限値を下回るとカーボンブラックのpH値を3.5未満に維持することができなくなる場合を生じることがある。カーボンブラックに結合する硫酸基含有量は、0.5gのカーボン試料を超純水50mlに混合し95℃16時間かけて抽出し、その抽出液のSO 2−をイオンクロマトグラフで定量することにより測定することができる。
また、カーボンブラック中の硝酸基は、一般に原料となる炭化水素中の不純物に由来し、又は炭化水素等の原料からカーボンブラックを製造する工程における硝酸処理又は加熱処理中に生成するとも考えられている。この発明においてはカーボンブラック含有樹脂組成物に含まれるカーボンブラックに存在する硝酸基含有量はBET比表面積1m/gあたり0.2〜3ppm、好ましくは1〜1.4ppmが望ましい。硝酸基含有量が上記範囲を超えると、表面抵抗値と体積抵抗値の階差が大きくなりすぎ、ベルト厚み方向の耐電圧が低下しリークするといった問題を生じることがあり、上記範囲より少ないとカーボンブラックのpH値を3.5未満に維持することができなくなる場合を生じることがある。カーボンブラックに結合する硝酸基の含有量は、0.5gのカーボン試料を超純水50mlに混合し95℃16時間かけて抽出し、その抽出液のNO をイオンクロマトグラフで定量することにより測定することができる。
なお、前記pH値、前記揮発分量、前記範囲の含有量の硫酸基及び/又は硝酸基を有するカーボンブラックは、市販品から適宜に選択され、入手することができる。市販のカーボンブラックにおける硫酸基及び/又は硝酸基の含有量が前記範囲を越えるときには、その市販のカーボンブラックを加熱処理するのがよい。加熱処理における加熱温度としては100〜200℃を挙げることができ、加熱時間としては5〜10時間を挙げることができる。
また、カーボンブラックとしては、例えばファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等の市販の各種カーボンブラックを挙げることができる。
半導電性ベルトに含有されるカーボンブラックの含有量は、カーボンブラックの導電性や粒径、及び半導電性ベルトに要求される導電性の程度により適宜に調整されればよいが、一般的にいうと、1〜30質量%、特には5〜25質量%、更には10〜20質量%の範囲から好適に選択される。カーボンブラックの含有量が、上記下限値未満の場合には、カーボンブラック同士の距離が離れすぎ導電性が悪くなり、逆に、上記上限値を超える場合、成形された半導電性ベルトの機械的強度が低下する恐れがある。
この発明の半導電性ベルトは、その体積抵抗値(ρv)が1×10〜1×1013Ω・cmであり、特に1×1010〜1×1012Ω・cmであるのが好ましい。体積抵抗値(ρv)が上記上限値より高いと、この半導電性ベルトを転写ベルトとして画像形成装置に使用した場合、トナー像の転写時に転写ベルトが過剰に帯電しやすく、転写ベルトと記録体とが分離するときに剥離放電が発生し、放電エネルギーにより転写ベルトのトナー像が飛散してしまう恐れがある。逆に、体積抵抗値(ρv)が上記下限値より低いと、転写ベルトと記録体との間に電流が流れやすくなり、転写ベルトと記録体との間の電位差がなくなり転写ベルトに転写したトナーの一部が記録体に戻ってしまって印字不良となり易い。この体積抵抗値(ρv)は、体積抵抗測定装置(三菱化学株式会社製、商品名:Hiresta−UP、使用プローブ:URS)により測定することができる。
この発明の半導電性ベルトの体積抵抗値(ρv)を前記範囲内にする一つの方法は、半導電性ベルトに含まれるカーボンブラックの含有量を調整することである。
この発明の半導電性ベルトは、その表面抵抗値(ρs)として、1×1010〜1×1014Ω/□が好ましく、1×1011〜1×1013Ω/□がより好ましい。表面抵抗値(ρs)が高すぎると、この半導電性ベルトを転写ベルトとして使用した際、トナー像の転写時に転写ベルトが過剰に帯電しやすく、転写ベルトと記録体とが分離するときに剥離放電が発生し、放電エネルギーにより転写ベルトのトナー像が飛散してしまう恐れがある。逆に、表面抵抗値(ρs)が低すぎると、転写ベルトと記録体との間に電流が流れやすくなり、転写ベルトと記録体との間の電位差がなくなり転写ベルトに転写したトナーの一部が記録体に戻ってしまい印字不良となり易い。
上記の表面抵抗値(ρs)は、半導電性ベルトに含まれるカーボンブラックの含有量を調整することにより、実現することができる。表面抵抗値(ρs)は、円形電極(例えば三菱油化株式会社製、商品名:ハイレスターIP、使用プローブ:HRプローブ)を使用し、JIS K6911にしたがって測定することができる。この発明の半導電性ベルトの表面抵抗値(ρs)を前記範囲内にする一つの方法は、半導電性ベルトに含まれるカーボンブラックの含有量を調整することである。
この発明の半導電性ベルトの中でも好ましい半導電性ベルトは、前記体積抵抗値(ρv)に対する前記表面抵抗値(ρs)の比である抵抗値階差(ρs/ρv)が11〜300、好ましくは101〜200である。この抵抗値階差(ρs/ρv)が前記下限値を下回ると用紙保持時の帯電力が不足し用紙の搬送ずれが生じるとともに、用紙剥離時の除電性が低下し用紙詰まりとなる可能性が高くなるという不都合を生じ、抵抗値階差(ρs/ρv)が前記上限値を上回るとベルト厚み方向の耐電圧性が低下しリークするという不都合を生じることがある。
この発明に係る半導電性ベルトは、カーボンブラック含有樹脂組成物を成形することにより製造することができる。
前記カーボンブラック含有樹脂組成物は、カーボンブラックとポリアミドイミド樹脂とを含有する。
好適なポリアミドイミド樹脂としては、通常、その対数粘度が0.3〜1.4dl/gであり、好適な対数粘度は0.4〜1.2dl/gである。粘度が前記下限値よりも小さいと半導電性ベルトに必要な機械的強度を発現することができないことがあり、前記粘度が前記上限値よりも大きいと半導電性ベルトの製造が困難になることがある。好適なポリアミドイミド樹脂は、脂肪族ポリアミドイミド樹脂及び芳香族ポリアミドイミド樹脂であり、特に好適なポリアミドイミド樹脂は芳香族ポリアミドイミド樹脂である。また、好適なポリアミドイミド樹脂の分子量分散(重量平均分子量/数平均分子量)は1〜5である。好適な分子量分散は2〜4である。ポリアミドイミド樹脂の分子量分散が前記上限値と超えると多分散となり物性の低下を引き起こす。ポリアミドイミド樹脂の分子量分散が、下限値を下回ると加工性が低下することがある。
なお、ポリアミドイミド樹脂の対数粘度については、後述する合成法にて得られたポリアミドイミド樹脂溶液を充分に洗浄、乾燥し、ポリアミドイミド樹脂の固形樹脂を得て、以下の方法により対数粘度を算出した。まず、最初にポリアミドイミド樹脂固形樹脂0.5gを100ccのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解し、この溶液をウベローデ毛細管粘度計に入れ、25℃の恒温槽で調温した。次に、ウベローデ粘度管の毛細管部分の標線間を通過する時間を測定した(t)。同様にして、NMP単独溶液の時間を測定した(t)。なお、測定誤差は0.1秒以内になるまで測定し、良好なデータの平均秒数を求め、下式より対数粘度(ηinh)を算出した。ここで、Cは溶液濃度(g/dL)である。
Figure 0004854011
前記芳香族ポリアミドイミド樹脂の合成方法としては、トリカルボン酸無水物とジイソシアネート化合物とを反応させるジイソシアネート法が、原料の入手、反応性、副生成物の少なさ等の面から優れている。このジイソシアネート法で合成される芳香族ポリアミドイミド樹脂の外にも、重縮合反応を好適に進めることができるのであれば、ジイソシアネート化合物に替えてジアミン化合物を用いて合成される芳香族ポリアミドイミド樹脂も、好ましい。ジアミン化合物を用いて得られる芳香族ポリアミドイミド樹脂は、ヤング率が高いので好適な無端ベルト材料となる。また、トリカルボン酸無水物の一部をテトラカルボン酸二無水物に替えてイミド結合を増加させた芳香族ポリアミドイミド樹脂は、耐湿性に優れている。これらの芳香族ポリアミドイミド系樹脂を合成する反応は、適宜の溶媒中で、常圧下、及び常温下又は加熱下で、容易に進行する。
前記トリカルボン酸無水物としては、芳香族トリカルボン酸無水物が好ましく、トリメリット酸無水物及びその誘導体、3,4,4’−ジフェニルエーテルトリカルボン酸無水物、3,4,4’−ベンゾフェノントリカルボン酸無水物、2,3,5−ピリジントリカルボン酸無水物、ナフタレントリカルボン酸無水物類などが挙げられる。これらの酸無水物は単独でも混合してでも用いることができる。
テトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン酸二無水物、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、エチレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
ジイソシアネート化合物としては、芳香族ジイソシアネート化合物を好適例として挙げることができる。また、ジイソシアネート化合物として、前記芳香族ジイソシアネート化合物とともに、又は前記芳香族ジイソシアネートに替えて、脂肪族ジイソシアネート化合物及び/又は脂環式ジイソシアネート化合物を、又はこれらの誘導体であるアミン類を使用することもできる。
芳香族ジイソシアネート化合物として、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジイソシアネートジフェニルエーテル、4,4’−ジイソシアネートジフェニルスルホン、4,4’−ジイソシアネートビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアネートビフェニル、2,4−トルエンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。また、これら芳香族ジイソシアネート化合物の誘導体であるジアミン類も原料として利用できる。脂肪族ジイソシアネート化合物としては、例えば、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどが挙げられる。脂環式ジイソシアネート化合物としては、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。これらのジイソシアネート化合物の中でも、半導電性ベルトの耐熱性、機械的特性、溶解性などを考慮すると、全ジイソシアネート成分中の60質量%以上、好ましくは70質量%以上を、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアネートビフェニル、イソホロンジイソシアネート、又はこれらの誘導体であるジアミン類とすることが好ましい。さらに、半導電性ベルトの寸法安定性を考慮すると、使用する全ジイソシアネート化合物の70質量%以上をジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート又はこの誘導体である4,4’−ジアミノジフェニルメタンとすることが好ましい。
芳香族ポリアミドイミド樹脂を合成する重縮合反応に際して使用される溶媒としては、溶解性の点で極性溶媒が好ましく、反応性を考慮すると非プロトン性極性溶媒が好ましい。溶媒として、例えばN,N−ジアルキルアミド類、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミドなどが挙げられる。また、極性溶媒として、N−メチル−2−ピロリドン、ピリジン、ジメチルスルホキシド、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホン等も好ましい。これらの溶媒は1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。重縮合反応の条件は、公知である。なお、前記重縮合反応はカーボンブラックの不存在下に行うことが望ましい。
前記カーボンブラック含有樹脂組成物は、この発明の目的を阻害しない限り、他の成分を含有していてもよい。他の成分としては、シリコーン系化合物、フッ素系有機化合物、カップリング剤、滑剤、酸化防止剤、可塑剤、着色剤、帯電防止剤、老化防止剤、補強性フィラー、反応助剤、反応抑制剤等の各種添加剤、分散剤が挙げられる。また、このカーボンブラック含有樹脂組成物は、この発明の目的を阻害しない限り、他のポリマーが含有されていてもよい。
カーボンブラックが均一に分散してなるカーボンブラック含有樹脂組成物を調製する装置としては、特に制限がなく、カーボンブラックを粉状物、液状物又はペースト状物に分散させる公知の分散装置を採用することができ、例えば、ミキシングロール、加圧式ニーダ、押出機、三本ロール、ホモジナイザー、ボールミル、ビーズミル等を一例として挙げることができる。
前記カーボンブラック含有樹脂組成物を調製する方法として、例えば、溶媒中で前記ポリアミドイミド樹脂とカーボンブラックとを撹拌混合してカーボンブラックを分散する方法を挙げることができる。カーボンブラックが均一に分散して成るカーボンブラック含有樹脂組成物が得られる。なお、カーボンブラックと溶媒との親和性を高めるために、ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)、ポリ(N,N’−ジエチルアクリルアジド)等の分散剤を使用するのがよい。
この発明の半導電性ベルトは、遠心成形やRIM成形等により、この発明の半導電性ベルトを製造することができる。これらの方法の中でも、材料を問わずに適用可能であること、厚さ精度に優れていること、そして電気抵抗値のばらつきが小さいこと等から遠心成形法が好適である。
遠心成形で半導電性ベルトを成形する場合、溶媒を含有するカーボンブラック含有樹脂組成物は、その成形時の粘度を50,000mPa・s以下に調整するのが好ましい。粘度が50,000mPa・sを超えると、厚さの均一な半導電性ベルトを製造するのが困難になることがある。カーボンブラック含有樹脂組成物の粘度の下限については、特に限定されるものではないが、10mPa・s以上が好ましい。カーボンブラック含有樹脂組成物の粘度が上記範囲を外れる場合は、カーボンブラック含有樹脂組成物に加える溶媒の種類及び/又は溶媒の添加量を調節することにより、カーボンブラック含有樹脂組成物の粘度を前記範囲内に調整することができる。溶媒としては、上述したポリアミドイミド樹脂を重縮合させる際の重合溶媒がそのまま好適に用いられる。重合溶媒として、又はカーボンブラック含有樹脂組成物の粘度調整用の溶媒として、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ピリジンなどが挙げられる。
遠心成形法によると、円筒形の金型に、溶媒を含有することにより流動性となったカーボンブラック含有樹脂組成物を、注入し、金型を回転させて遠心力で金型内周面にカーボンブラック含有樹脂組成物の層を均一に成形し、溶媒を乾燥除去することにより、無端の半導電性ベルトが製造される。金型は各種金属管を用いることができる。好適な金型としては、金型の内周面は鏡面研磨されており、鏡面となった内周面はフッ素樹脂やシリコーン樹脂等の離型剤により離型処理され、形成した半導電性ベルトが内周面から容易に脱型できるようにされた金属管を挙げることができる。
なお、半導電性ベルトの厚さは、通常の場合、0.03〜1.0mm、好ましくは0.05〜0.2mm、さらに好ましくは0.07〜0.14mm程度が望ましい。半導電性ベルトの厚さが薄すぎれば機械的強度が損なわれ、厚すぎれば可撓性が損なわれる。この発明に係る半導電性ベルトは、カーボンブラック含有樹脂組成物で形成された単層構造に限らず、カーボンブラック含有樹脂組成物で形成された層と他の樹脂又は樹脂組成物で形成された層とを含む積層構造乃至多層構造であっても良い。
遠心成形法により半導電性ベルトを製造する場合には、カーボンブラック含有樹脂組成物は溶媒を含むので、金型内周面に成形された半完成品の成形体から溶媒を除去して円筒状の完成品の成形体を金型から脱型する。
金型内周面に成形された半完成品の成形体から溶媒を除去する処理として、以下の一次溶媒除去工程及び二次溶媒除去工程からなる溶媒除去処理を挙げることができる。一次溶媒除去工程では、金型を回転して遠心成形されたカーボンブラック含有樹脂組成物の樹脂フィルムから、金型を回転したまま5〜60分間、40〜150℃の熱風を金型内に通過させることにより、溶媒が除去される。一次溶媒除去工程に続く二次溶媒除去工程では、樹脂フィルムを金型ごと遠心成形機から取り出し、取り出した樹脂フィルムを過熱水蒸気炉で110〜350℃の過熱水蒸気で10〜120分間加熱し、これによって樹脂フィルム中の溶媒を完全に除去する。その後、金型ごと樹脂フィルムを取り出し放冷する。金型と樹脂フィルムとの熱膨張率の差を利用して樹脂フィルムを脱型し、脱型した円筒状の樹脂フィルムの両側端部を除去し、所定幅に裁断すればこの発明の半導電性ベルトが出来上がる。
なお、ポリアミドイミド樹脂製の半導電性ベルトは、上述した方法による他に、ポリアミドイミド樹脂の原料であるトリカルボン酸無水物とジイソシアネート化合物とが一部重合したポリアミド酸の溶液を、金型の内周面や外周面に浸漬方式、遠心方式、塗布方式等によってコートし、又は前記ポリアミド酸の溶液を注型金型に充填する等の適宜な方式で筒状に展開し、その展開層を乾燥製膜してベルト形に成形し、その成形物を加熱処理してポリアミド酸をイミドに転化して型より回収する周知の方法(特開昭61−95361号公報、特開昭64−22514号公報、特開平3−180309号公報等)等により得ることもできる。
上述のこの発明の半導電性ベルトは、各種画像形成装置の感光体基体用、現像用、記録体搬送用、定着用等の用途で使用可能である。この半導電性ベルトを組み込んだ現像装置を図2に示す。
半導電性ベルトの端部には作動中の横ぶれ防止用のガイドとして紐状、或いは帯状の細長いガイド部材を配置する場合もある。ガイド部材の材料は、適度なゴム弾性と耐摩耗性とを有する弾性材料、例えばウレタン系エラストマー、シリコーン系エラストマー、フッ素系樹脂エラストマー、スチレン系エラストマー等が挙げられる。これらの中でも、耐磨耗性に優れるJIS K 6253−1997A硬度30Hs以上95Hs以下のウレタン系エラストマーが好適である。
図2に示すように、現像装置10は、一対のローラ11,12と、この一対のローラ11,12間に掛け渡された半導電性ベルト13と、この半導電性ベルト13を挟むように配置された転写ロール14及び感光ドラム15とを備えて成る。前記感光ドラム15は、その周面に静電潜像を形成し、図示しない現像ローラにより供給されるトナーを付着させることによりトナー現像をその周面に形成する。半導電性ベルト13により搬送されてきた記録体16例えば紙シートが、前記感光ドラム15と転写ローラ14との間を通過する際に、前記トナー現像が記録体16に転写される。
このような現像装置10においては、この発明の一例である半導電性ベルト13が採用されるので、搬送途中で記録体16の「搬送ずれ」を生じることがなく、またトナー画像を記録体16に転移させる際にトナーが飛散し、又はトナーが拡散することもないので、白抜けや印字むらなどのない高品質の画像を記録体に形成することができる。
カラー画像を形成する現像装置は、図2における半導電性ベルト13の搬送方向に沿って、ブラック画像形成用の感光ドラム及び転写ローラ、イエロー画像形成用の感光ドラム及び転写ローラ、シアン画像形成用の感光ドラム及び転写ローラ、及びマゼンタ画像形成用の感光ドラム及び転写ローラが縦列配置(タンデム配置とも称する。)されて成る。
(実施例1〜8、比較例1〜6)
<芳香族ポリアミドイミド樹脂の合成>
N−メチル−2−ピロリドンを収容した反応容器中に、トリメリット酸無水物と当量の4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートとからなる原料と、前記トリメリット酸無水物に対して1モル%である触媒としてのフッ化カリウムとを入れ、反応容器中の内容物を撹拌しながら30分かけて室温から150℃に昇温した後に150℃に維持しつつ5時間の反応を行い、芳香族ポリアミドイミド樹脂を含有する反応生成液を得た。この反応生成液中には20質量%の芳香族ポリアミドイミド樹脂が含まれていた。また、得られた芳香族ポリアミドイミド樹脂は実質的に全閉環であった。この反応生成液にN−メチル−2−ピロリドンを更に加えて、芳香族ポリアミドイミド樹脂が15質量%で含有されているポリアミドイミド溶液を調製した。この芳香族ポリアミドイミド樹脂の対数粘度は、0.75dl/gであり、分子量分散は3.0であった。
<カーボンブラックの配合>
このポリアミドイミド溶液に複数種類のカーボンブラックを、芳香族ポリアミドイミド溶液とカーボンブラックとの合計100質量%に対して表1に示す配合量で配合し、得られた配合物をポットミルで24時間かけて混合分散することにより、芳香族ポリアミドイミド樹脂、カーボンブラック及びN−メチル−2−ピロリドンを含むカーボンブラック含有樹脂組成物を得た。
<半導電性ベルトの形成>
遠心成形機に円筒形の金型を装填し、続いてカーボンブラック含有樹脂組成物190gを、1000rpmで回転すると共に80℃に昇温された金型の内周に、注入した。
この金型は、内径226mm、外径246mm、長さ400mmの寸法を有した。金型の内周面は、ポリッシングにより研磨されることにより、鏡面であった。金型の両端開口部には、内径170mm及び外径250mmの寸法を有するリング状の蓋が、それぞれ嵌合装着されていて、前記カーボンブラック含有樹脂組成物が金型の外に漏出するのが防止されていた。
金型の内周面にカーボンブラック含有樹脂組成物を注入した後、この金型の中心軸を中心にしてこの金型を1000rpmの回転速度で30分間回転させてカーボンブラック含有樹脂組成物のレベリングを行い、金型の内周面にカーボンブラック含有樹脂組成物をフィルム状に展延した。さらにこの金型を同じ速度で回転させた状態で80℃の熱風を、カーボンブラック含有樹脂組成物のフィルム状物の表面が変形しない程度の風速で、この金型内に30分間流通させた。これにより、カーボンブラック含有樹脂組成物のフィルム状物中に存在する溶媒の一次除去を行った。一次溶媒除去後、内周面にカーボンブラック含有樹脂組成物の樹脂フィルムが張り付いている金型を、遠心成形機から取り外した。その金型を過熱水蒸気炉に装填した。過熱水蒸気炉内で、290℃で50分間の過熱水蒸気処理によって二次溶媒除去を行い、その後室温にまで放冷した。室温に戻すと、金型と樹脂フィルムとの熱膨張差により、金型の内周面から樹脂フィルムが剥離していた。溶媒の除去されたこのカーボンブラック含有樹脂組成物からなる円筒形の樹脂フィルムを金型内から取り出し、その円筒形の樹脂フィルムの両端開口部近傍を切断することにより、周長710mm、幅240mm、及び厚み100μmの寸法を有するところの、図1に示す形状を有する無端ベルト1’を得た。
<ガイド部材原反成形>
幅1000mm及び厚さ100μmの寸法を有するPETフィルム(東レ株式会社製、ルミラーS10♯100)をフィルム成形機にセットし、冷却ロールと巻取りロールとの間で196.1Nの張力で延伸して延伸PETフィルムを得た。120℃に加熱溶融させた熱可塑性ウレタン樹脂(日本ミラクトラン株式会社製、E180)をTダイにより厚み0.9mmに吐出した熱可塑性ウレタン樹脂フィルムと前記延伸PETフィルムとをラミネートし、このラミネートフィルムをガイド部材原反とした。
<ガイド部材作製>
このガイド部材原反から、MD方向長さ707mm、TD方向長さ5mmのガイド部材をトムソン刃で切り出した。芯材のないアクリル系両面間圧接着剤で、図1に示される前記無端ベルト1の内周面の一方の側縁に接着して、図3に示すように、ガイド部材2を有する半導電性ベルト1を作製した。
<物性測定>
半導電性ベルトの物性につき、以下のように測定した。
(1)体積抵抗値(ρv)
半導電性ベルトの体積抵抗値(ρv)は、体積抵抗測定装置(三菱化学株式会社製、商品名:Hiresta−UP、使用プローブ:URS)により、測定した。
(2)表面抵抗値(ρs)
半導電性ベルトの表面抵抗値(ρs)は、円形電極(三菱油化株式会社製、商品名:Hiresta−IP、使用プローブ:HR)を使用し、JIS K6911に従って測定した。
<画質評価>
この半導電性ベルトを画像形成装置(MicroLine9055c 株式会社沖データ製)に組み込んで、以下に示すHH環境、LL環境の両環境下で記録体に画像を形成した。得られた画像の品質を評価して表1及び表2に以下の記号で示した。
HH環境:温度 28℃、湿度 85%RH
LL環境:温度 10℃、湿度 20%RH
厚紙:コクヨ(株)製カラーレーザーコピー用紙LBP−F31 (0.215mm厚)
OHP:オーバーヘッドプロジェクタ用の透明シート コクヨ(株)OHPフィルムVF−1421N
◎:白抜け、かすれ、にじみ等がなく、高品質であった。
○:白抜け、かすれ、にじみ等が僅かに発生したものの許容範囲内であった。
×:白抜け、かすれ、にじみ等が発生し、画質が低下した。
<カーボンブラック含有樹脂組成物の抵抗調整作業性(カーボンブラックの分散性)評価)>
◎:カーボンブラック含有樹脂組成物を長期間静置してもカーボンブラックが沈殿せず、分散性が良好であった。
○:カーボンブラック含有樹脂組成物を数日間静置してもカーボンブラックが沈殿せず、通常の工程では問題ない分散性であった
×:カーボンブラック含有樹脂組成物を数時間静置するとカーボンブラックの沈殿が生じ、分散性に問題があった。
<用紙搬送性>
◎:抵抗値階差が101〜200の範囲であるので、用紙の搬送ずれがなかった。
○:抵抗値階差が11〜100もしくは201〜300の範囲であり、1000枚通紙した結果、3回用紙の搬送ずれが生じたが、実用上問題ないレベルであった。
×:抵抗値階差が10以下もしくは301以上であり、21回用紙の搬送ずれが生じたため、実用上問題があった。
<総合判定>
総合判定として以下の評価をした。
◎:全てにおいて◎のもの。
○:1つでも○があるもの。
×:1つでも×があるもの。
Figure 0004854011

D社:デグサ社
M社:三菱化学株式会社
SP4:スペシャルブラック4
SP5:スペシャルブラック5
SP6:スペシャルブラック6
Figure 0004854011

D社:デグサ社
M社:三菱化学株式会社
FW:FW200
P:プリンテックスV
#:♯3400B
SP4:スペシャルブラック4
図1は、この発明の一例である半導電性ベルトを示す斜視図である。 図2は、この発明の一例である半導電性ベルトを、画像形成装置における現像装置を示す説明図である。 図3は、ガイド部材を有する半導電性ベルトを示す一部切欠斜視図である。
符号の説明
1 半導電性ベルト
1’ 無端ベルト
2 ガイド部材
10 現像装置
11、12 ローラ
13 半導電性ベルト
14 転写ロール
15 感光ドラム
16 記録体

Claims (4)

  1. pH値が3.5未満BET比表面積100m/gあたりの揮発分が7.05〜8質量%であり、BET比表面積1m /gあたりの硫酸基含有量が6〜16ppm及び/又はBET比表面積1m /gあたりの硝酸基含有量が0.25〜3ppmであるカーボンブラックと、トリメリット酸無水物及び4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを反応して得られる芳香族ポリアミドイミド樹脂とを含有し、体積抵抗値(ρv)が1×10 〜1×10 13 Ω・cmであることを特徴とする半導電性ベルト。
  2. 前記半導電性ベルトは、その表面抵抗値(ρs)が1×1010〜1×1014Ω/□である請求項1に記載の半導電性ベルト。
  3. 前記体積抵抗値(ρv)に対する前記表面抵抗値(ρs)の比である抵抗値階差(ρs/ρv)が11〜300である請求項2に記載の半導電性ベルト。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導電性ベルトを備えて成ることを特徴とする電子写真方式の画像形成装置。
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