JP2000122435A - 画像形成装置 - Google Patents

画像形成装置

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JP2000122435A
JP2000122435A JP10294865A JP29486598A JP2000122435A JP 2000122435 A JP2000122435 A JP 2000122435A JP 10294865 A JP10294865 A JP 10294865A JP 29486598 A JP29486598 A JP 29486598A JP 2000122435 A JP2000122435 A JP 2000122435A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 転写部で転写体に印加される転写電圧によっ
て、転写体の表面抵抗率の低下を抑制してホロキャラク
タの発生を防止し、転写時にトナーの飛散を防止し、即
ちブラーの発生を防止し、良質の画質を得ることがで
き、しかも高品質の転写画像が安定して得られる画像形
成装置を提供しようとするものである。 【解決手段】 静電潜像の像担持体と、トナーによる現
像手段と、トナー像を記録媒体に転写する転写体を備え
た画像形成装置において、転写体は、ポリイミド樹脂に
脱ドープ状態のポリアニリン及び該ポリアニリンをドー
ピングしてイオン導電性を高めるためのドーパントを分
散したポリマーブレンド樹脂で構成されてなることを特
徴とする画像形成装置である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真複写機、
レーザープリンター、ファクシミリ、これらの複合機等
の電子写真方式を用いた画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真方式を利用した画像形成装置
は、無機又は有機の光導電性材料で構成された感光体か
らなる像担持体上に一様な電荷を付与し、画像信号を変
調したレーザー光等で前記像担持体上に静電潜像を形成
した後、トナーを用いて静電潜像を現像してトナー像を
形成する。そして、像担持体上の前記トナー像を直接あ
るいは中間転写体を介して、用紙等の記録媒体に転写す
ることにより所要の再生画像を得る。像担持体上に形成
されたトナー像を中間転写体に一旦転写し、さらに中間
転写体上のトナー像を記録媒体に二次転写する方式を採
用した画像形成装置は、例えば特開昭62−20656
7号公報に記載されている。
【0003】中間転写体方式を採用した画像形成装置の
転写ベルトの材料としては、例えば、ポリフッ化ビニリ
デン(PVDF)(特開平5−200904号公報、特
開平6−228335号公報)、ポリカーボネート(P
C)(特開平6−95521号公報)ポリアルキレンテ
レフタレート(PAT)(特開平6−149081号公
報)、PCとPATのブレンド材料(特開平6−149
083号公報)、エチレンテトラフロロエチレン共重合
体(ETFE)とPCとのブレンド材料、ETFEとP
ATとのブレンド材料、ETFEとPCとPATのブレ
ンド材料(特開平6−149079号公報)などの熱可
塑性樹脂に、カーボンブラックなどの導電剤を分散させ
た導電性無端ベルトが提案されている。
【0004】しかし、上記の導電剤を分散した熱可塑性
樹脂からなる中間転写ベルトは、機械的特性が劣り、駆
動時の応力に対するベルトの変形が大きく、高品質の転
写画質を安定して得ることができない。また、PVD
F,PC,ETFEなどの熱可塑性樹脂にカーボンブラ
ックを分散してなる中間転写体は、転写部で印加される
転写電圧によって、中間転写体の表面抵抗率が低下する
という問題が発生する。
【0005】像担持体から中間転写体への一次転写部に
おける表面抵抗率の低下は、多重色のトナーを転写する
部位を連続して転写する場合に顕著に発生する。即ち、
多重色のトナーにおいては、トナー粒子間にエアーギャ
ップがあるため、このエアーギャップで放電現像(パッ
シエン放電)が発生するのが原因である。また、中間転
写体から記録用紙への二次転写部における表面抵抗率の
低下は、用紙を剥離する時に発生する放電現象が原因で
ある。
【0006】また、機械特性の優れた材料としては、ポ
リイミド樹脂などを挙げることができる。例えば、特開
昭63−11263号公報には、カーボンブラックを分
散のポリイミド樹脂からなるシームレスベルトが提案さ
れている。このシームレスベルトは、ポリイミド前駆体
であるポリアミック酸の溶液中に導電剤のカーボンブラ
ックを分散させ、分散液を金属ドラムに流延して乾燥し
て被膜を形成し、この被膜をドラムから剥離した後、高
温度下で延伸してポリイミドフィルムを形成し、さらに
適当な大きさに切り出してエンドレスベルトにする。
【0007】前記フィルム形成の一般的な方法は、カー
ボンブラックを分散したポリマー溶液を円筒金型に注入
して、例えば、100〜200℃に加熱しつつ円筒金型
を回転させて遠心成形法によりフィルム状に成膜する。
得られたフィルムは半硬化した状態で脱型して、鉄芯に
被せて300〜450℃でポリイミド化反応を進行させ
て本硬化させる。
【0008】しかし、前記遠心成形法等の回転式成形法
では、成形及び本硬化の工程において、溶媒の蒸発が不
均一になる場合が多く、フィルム表面に微小な凹凸が形
成される。このようなフィルムから製造された中間転写
ベルトは、記録媒体に転写された画像に、前記の微小な
凹凸に起因して微小な転写不良(白抜け、以下、ホロキ
ャラクタという)が発生する。また、平滑なフィルムを
得るためには、溶媒の蒸発乾燥及びポリイミド酸の硬化
を行う成形・硬化工程に長時間を費やす必要があり、ベ
ルトの製造コストが嵩む。
【0009】また、導電剤としてカーボンブラックや金
属酸化物を分散してなるポリイミド樹脂からなる電子導
電性中間転写ベルトは、体積抵抗率の可使用領域が低す
ぎて画像の周囲にトナーが飛散し(ブラーの発生)、ノ
イズの大きな画像が形成されるという問題がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、上
記の問題点を解消し、転写部で転写体に印加される転写
電圧によって、転写体の表面抵抗率の低下を抑制してホ
ロキャラクタの発生を防止し、転写時にトナーの飛散を
防止し、即ちブラーの発生を防止し、良質の画質を得る
ことができ、しかも高品質の転写画像を安定して得られ
る画像形成装置を提供しようとするものである。
【0011】
【課題を解決るするための手段】本発明は、下記の構成
を採用することにより、上記の課題の解決に成功した。 (1) 画像情報に対応した静電潜像を形成する像担持体
と、前記静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成す
る現像手段と、前記像担持体上の前記トナー像を記録媒
体に転写する転写体を備えた画像形成装置において、前
記転写体は、ポリイミド樹脂に脱ドープ状態のポリアニ
リン及び該ポリアニリンをドーピングしてイオン導電性
を高めるためのドーパントを分散したポリマーブレンド
樹脂で構成されてなることを特徴とする画像形成装置。
【0012】(2) 前記ポリマーブレンド樹脂は、前記ポ
リアニリンを5〜40重量%の範囲、好ましくは10〜
25重量%の範囲で含有することを特徴とする前記(1)
記載の画像形成装置。 (3) 前記ポリマーブレンド樹脂は、前記ドーパンドを5
〜40重量%の範囲、好ましくは10〜25重量%の範
囲で含有することを特徴とする前記(1) 又は(2) 記載の
画像形成装置。 (4) 前記ドーパンドが、酸解離定数pKa値が4.8以
下であるプロトン酸、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン
酸などの無機酸や、アリルスルホン酸、キシレンスルホ
ン酸、エタンスルホン酸、クロロベンゼンスルホン酸な
どの有機酸であることを特徴とする前記(1) 〜(3) のい
ずれか1つに記載の画像形成装置。
【0013】(5) 前記転写体は、表面抵抗率が1010.0
〜1013.2Ω/□の範囲で、かつ体積抵抗率が109.8
〜1013.5Ωcmの範囲、好ましくは表面抵抗率が10
11.0〜1012.5Ω/□の範囲で、かつ体積抵抗率が10
12.0〜1013.0Ωcmの範囲にあることを特徴とする前記
(1) 〜(4) のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【0014】(6) 前記転写体は、ポリアミック酸、脱ド
ープ状態のポリアニリン及びドーパントを含有する成膜
溶液を調製する間に、前記ポリアニリンをドーピングし
て前記ポリマーブレンド樹脂のイオン導電性を調整し、
基材表面に前記成膜溶液を塗布して被膜を形成し、25
0〜450℃の温度で加熱して前記ポリアミック酸をイ
ミド化したポリマーブレンド樹脂シートを形成し、前記
基材から剥離して用いたことを特徴とする前記(1) 〜
(5) のいずれか1つに記載の画像形成装置。 (7) 前記転写体は、前記ポリマーブレンド樹脂シートの
基材側の表面を転写面として用いたことを特徴とする前
記(6) 記載の画像形成装置。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明者等は、上記の問題を解消
すべく鋭意研究・検討を重ねてきたところ、画像形成装
置の転写体を、ポリイミド樹脂に脱ドープ状態のポリア
ニリン及び該ポリアニリンをドーピングしてイオン導電
性を高めるためのドーパントを分散したポリマーブレン
ド樹脂で構成し、表面抵抗率を1010.0〜1013.0Ω/
□の範囲で、かつ体積抵抗率が1010.5〜1013.5Ωcm
の範囲にすることにより、転写電圧によって、転写体の
表面抵抗率の低下を抑制してホロキャラクタの発生を防
止し、転写時にトナーの飛散を防止し、即ちブラーの発
生を防止し、良質の画質が得られることを見いだし、本
発明を完成するに至ったものである。
【0016】即ち、中間転写体の表面抵抗率が1010.0
Ω/□を下回ると、プレニップ部における電界強度が強
くなり、ギャップ放電が発生しやすくなり、画質の粒状
性が悪化する原因となる。また、1013.0Ω/□より高
くなると、像担持体と転写ベルトが離間するポストニッ
プ部で剥離放電が発生しやすくなり、放電発生部分が白
抜けし、ホロキャラクタが発生する。
【0017】また、中間転写体の体積抵抗率が1010.5
Ωcmより低くなると、像担持体から中間転写ベルトへ
のトナー像の一次転写時に、一次転写器によって付与さ
れた電荷が中間転写ベルト自身の導電性により帯電電荷
が除去される。その結果、像担持体から中間転写ベルト
に転写された未定着トナー像の電荷を保持する静電的な
力が働かなくなるため、トナー同士の静電的な反発力や
画像エッジ付近のフリンジ電界の力によって、画像周囲
にトナーが飛散してしまい(ブラーの発生)、ノイズの
大きい画像が形成されるようになる。また、体積抵抗率
が1013.5Ωcmより高いと、一次転写時の転写電界に
より中間転写ベルト表面が帯電するため、除電機構が必
要となる。
【0018】そこで、前記遠心成形法で形成されたカー
ボンブラック分散にポリイミド樹脂フィルムの表面抵抗
率と体積抵抗率の関係を調べると、図6のようになる。
図6から明らかなように、ポリイミド樹脂フィルムの表
面抵抗率が1014Ω/□のときの体積抵抗率は1010Ω
cmである。
【0019】即ち、上記の樹脂フィルムからなる中間転
写ベルトを用いて、ホロキャラクタ(白抜け)の発生を
回避しようとすると、その体積抵抗率の可使用範囲は1
10Ωcm未満となる。その場合、中間転写ベルト自身
の電子導電性により、像担持体から中間転写体に転写さ
れた未定着トナー像の電荷を保持する静電的な力が働か
なくなるため、トナー同士の静電的反発力や画像エッジ
付近のフリンジ電界の力によって、画像の周囲にトナー
が飛散してしまい(ブラーの発生)、ノイズの大きい画
像が形成される。
【0020】また、導電性金属酸化物分散のポリイミド
樹脂フィルムの表面抵抗率と体積抵抗率の関係を調べる
と図7のようになる。図7から明らかなように、樹脂フ
ィルムの表面抵抗率が1013Ω/□のときの体積抵抗率
は107.8 Ωcmである。即ち、導電性金属酸化物分散
のポリイミド樹脂フィルムからなる中間転写ベルトは、
上記のカーボンブラック分散のポリイミド樹脂フィルム
からなる中間転写ベルトと同様に、ホロキャラクタとブ
ラーの発生を回避することはできない。このように、導
電剤を分散させて電子導電性を付与したポリイミド樹脂
フィルムからなる転写ベルトは、ホロキャラクタとブラ
ーの発生を同時に回避できる表面抵抗率及び体積抵抗率
の領域を保有することができない。
【0021】本発明の画像形成装置の転写体は、中間転
写ベルトが特に望ましい。例えば、現像装置内に単色の
トナーのみを収容する通常のモノカラー画像形成装置
や、感光体ドラム等の像担持体上に担持されたトナー像
を中間転写ベルトに順次一次転写を繰り返すカラー画像
形成装置、各色毎の現像器を備えた複数の像担持体を中
間転写ベルト上に直列に配置したタンデム型カラー画像
形成装置等に適用することができる。
【0022】本発明の画像形成装置の1例である、一次
転写を繰り返すカラー画像形成装置の概要を図1に示
す。図1において、感光体ドラムからなる像担持体1の
周囲には、その回転方向に沿って順次、帯電器2、画像
書き込み手段3、現像装置4、一次転写器5、クリーニ
ング装置6などが配置されている。
【0023】現像装置4は、各色の静電潜像に対応する
トナーを収容した複数の現像器41〜44 を有する。即
ち、各現像器には、それぞれ黒(B)、イエロー
(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色トナーが
収容されている。
【0024】また、像担持体1表面に当接しながら該像
担持体1と一次転写器5の間を矢印方向に走行する中間
転写ベルト7が、テンションロール8a,8b,8c及
びバックアップロール9に張架されている。バックアッ
プロール9及びテンションロール8にそれぞれ対向する
位置には、中間転写ベルト7を介して、それぞれバイア
スロール10およびベルトクリーナー11が配置されて
いる。
【0025】一次転写器5が中間転写ベルト7を介して
像担持体1に押圧する部位が一次転写部となり、像担持
体1と一次転写器5の間には一次転写電圧が印加され
る。バイアスロール10がバックアップロール9に押圧
する二次転写部において、バックアプロール9には、バ
イアスロール10に二次転写電圧を印加する電極部材1
2が押接している。
【0026】図1に示すカラー画像形成装置において、
矢印方向に回転する像担持体1表面が、帯電器2で一様
に帯電された後、画像処理されたレーザー光等の画像書
き込み手段3により、第1色目の静電潜像が形成され、
トナー像が形成される。このトナー像は、一次転写部を
通過する際に、一次転写器5によって中間転写ベルト7
上に静電的に一次転写される。以下同様にして、第1色
目のトナー像を担持した中間転写ベルト7上に、第2色
目、第3色目及び第4色目のトナー像が順次重ね合わせ
るように一次転写され、最終的にフルカラー多重トナー
像が形成される。
【0027】上記フルカラー多重トナー像は、二次転写
部を通過する際に、給紙トレイ13から所定のタイミン
グで供給される記録媒体(用紙P)に静電的に一括転写
される。トナー像が転写された用紙Pは、定着装置14
に搬送され定着処理された後、機外に排出される。他
方、一次転写後の像担持体1はクリーニング装置6等に
より残留トナーや電荷が除去され、二次転写後の中間転
写ベルト7はベルトクリーナ11により残留トナーが除
去され、次の画像形成プロセスに備える。
【0028】フルカラー以外の多色画像を形成する場合
は、2個又は3個の現像器に多色画像に対応したトナー
を収容することになる。また、単色の静電潜像を形成す
る場合は、画像処理された画像書き込み手段3により、
像担持体1上に静電潜像を形成し、その色に対応するト
ナーのみを現像装置4に収容して、図1に示す画像形成
装置をモノカラー画像形成装置に応用することも可能で
ある。さらに、感光体ドラム1を公知のベルト感光体に
置き換えることもできる。
【0029】前記の一次転写部5としては、コロトロン
等のコロナ転写器、転写ロール、転写ブレードなどが用
いられる。一次転写部5にはトナーの帯電極性と逆極性
の電圧が1〜4KV程度印加され、像担持体1と一次転
写部5との間に発生する電界の作用により、像担持体1
に担持されたトナー像が中間転写ベルト7に一次転写さ
れる。
【0030】電極部材12としては、電気良導性の部材
であれば特に限定されるものではなく、例えばアルミニ
ウム、ステンレス鋼、銅からなる金属ロール、導電性ゴ
ムロール、導電性ブラシ、金属プレート、導電性樹脂プ
レート等が用いられる。電極部材12からは、バックア
ップロール9を通じて−1〜−5kVの転写電圧がバイ
アスロール10に印加される。電極部材2に印加される
電圧の極性は、トナーの帯電極性に応じて逆極性(プラ
ス)に帯電してもよい。上記の二次転写部において、電
極部材12は必ずしも必要な部材ではなく、例えばバッ
クアップロール9の導電性シャフト又はバイアスロール
10に上記転写電圧を印加してもよい。
【0031】本発明の画像形成装置は、前記中間転写ベ
ルト7として、ポリイミド樹脂に脱ドープ状態のポリア
ニリン及びドーパントを分散してイオン導電性を付与し
たポリマーブレンド樹脂で構成し、表面抵抗率を10
10.0〜1013.0Ω/□の範囲で、かつ体積抵抗率が10
10.5〜1013.5Ωcmの範囲であるを特徴とする。
【0032】本発明の転写ベルトは、ポリアミック酸と
脱ドープ状態のポリアニリンとドーパント剤を含む成膜
溶液をSUSシートなどの基材上にキャスティングし、
基材上に上記成膜溶液の層を形成し、60〜200℃の
温度に加熱して基材上に樹脂被膜を形成し、必要に応じ
て該樹脂被膜を基材から剥離し、250〜450℃の温
度に加熱してポリアミック酸をイミド化させることによ
って転写体用の樹脂シートを得る。この樹脂シートは基
材に接していた表面の方が平滑であるため、その表面を
転写面として使用することが望ましい。なお、上記管状
の基材を用いるときは、チューブ状の製品を得ることが
できる。
【0033】ポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無
水物又はその誘導体と、ジアミンとの、ほぼ等モル混合
物を有機極性溶媒に溶解し、溶液状態で反応させること
によって溶液として得ることができ、ポリイミドの前駆
体として調整される。このようなポリアミック酸は加熱
によって不溶不融のポリイミドが得られる。
【0034】本発明で使用するポリアミック酸は、特
に、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン
との反応によって得られるポリアミック酸が好ましく用
いられる。上記芳香族テトラカルボン酸二無水物として
は、ピロメリット酸、ナフタレン−1,4,5,8−テ
トラカルボン酸、ナフタレン−2,3,6,7−テトラ
カルボン酸、2,3,5,6−ジフェニルテトラカルボ
ン酸、2,2’,3,3’−ジフェニルテトラカルボン
酸、3,3’,4,4’−ジフェニルテトラカルボン
酸、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカ
ルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラ
カルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホン
テトラカルボン酸、3,3’,4,4’−アゾベンゼン
テトラカルボン酸、ビス(2,3−ジカルボキシフェニ
ル)メタン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メ
タン、β,β−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)
プロパン、β,β−ビス(3,4−ジカルボキシフェニ
ル)ヘキサフロロプロパン等が挙げられる。
【0035】また、上記芳香族ジアミン成分としては、
m−フェニルジアミン、p−フェニルジアミン、2,4
−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、2,
4−ジアミノクロロベンゼン、m−キシリレンジアミ
ン、p−キシリレンジアミン、1,4−ジアミノナフタ
レン、1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノ
ナフタレン、2,4’−ジアミノナフタレビフェニル、
ベンジジン、3,3−ジメチルベンジジン、3,3’−
ジメトキシベンジジン、3,4’−ジアミノジフェニル
エーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(オ
キシ−p,p’−ジアニリン;ODA)、4,4’−ジ
アミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノベン
ゾフェノン、4,4’−ジアミノフェニルスルホン、
4,4’−ジアミノアゾベンゼン、4,4’−ジアミノ
ジフェニルメタン、β,β−ビス(4−アミンフェニ
ル)プロパン等が挙げられる。
【0036】また、上記有機極性溶媒としては、例え
ば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルア
セトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホス
ホルトリアミド等を挙げることができる。これらの有機
極性溶媒には、必要に応じて、クレゾール、フェノー
ル、キシレノール等のフェノール類、ヘキサン、ベンゼ
ン、トルエン等の炭化水素類を混合することができる、
これらの溶剤も、単独で又は2種類以上の混合物として
用いることができる。
【0037】本発明で用いるポリアニリンは、キノンジ
イミン構造単位及び/又はフェニレンジアミン構造単位
を主たる繰り返し単位として有し、脱ドープ状態におい
て溶剤に可溶性を有するポリアニリン(以下、ポリアニ
リンキノンジイミン・フェニレンジアミン型ポリアニリ
ンという)が望ましい。
【0038】本発明において、ポリアニリンをイオン導
電性にするためのドーパントとしては、プロトン酸を好
ましく用いることができる。ドーパントとして好ましい
プロトン酸は、酸解離定数pKa値が4.8以下である
プロトン酸である。そのようなプロトン酸としては、例
えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸、及びア
リルスルホン酸、キシレンスルホン酸、エタンスルホン
酸、クロロベンゼンスルホン酸などの有機酸を挙げるこ
とができる。
【0039】本発明の転写体は、表面抵抗率が1010.0
〜1013.2Ω/□の範囲で、かつ体積抵抗率が109.8
〜1013.5Ωcmの範囲、好ましくは表面抵抗率が10
11.0〜1012.5Ω/□の範囲で、かつ体積抵抗率が10
12.0〜1013.0Ωcmの範囲であることが適当である。
この表面抵抗率及び体積抵抗率は、脱ドープ状態のポリ
アニリン量及びドーパント量を調節することによって上
記範囲の転写体を容易に得ることができる。
【0040】図3は、脱ドープ状態のポリアニリンの配
合量(同量のドーパントを配合)と表面抵抗率との関係
を示したものである。表面抵抗率は、前記ポリアニリン
の配合量が増えるとともに低くなり、配合量5重量%で
1013.2Ω/□を示し、配合量40重量%で1010.0Ω
/□を示した。
【0041】また、図4は、脱ドープ状態のポリアニリ
ンの配合量(同量のドーパントを配合)と体積抵抗率と
の関係を示したものである。体積抵抗率は、前記ポリア
ニリンの配合量が増えるとともに低くなり、配合量5重
量%で1013.5Ωcmを示し、配合量40重量%で10
9.8 Ωcmを示した。
【0042】図3及び図4から明らかなように、本発明
のポリマーブレンドは、脱ドープ状態のポリアニリン及
びドーパントを5〜40重量%、好ましくは10〜25
重量%の範囲で配合することにより、イオン導電性を付
与して上記の表面抵抗率及び体積抵抗率に調整すること
が可能となった。なお、図5は、図3及び図4から求め
た表面抵抗率と体積抵抗率の関係を示した図である。
【0043】本発明のポリマーブレンドは、イオン導電
性樹脂シートにおいて、脱ドープ状態のポリアニリン1
00重量部に対してドーパントを50〜150重量部、
好ましくは80〜100重量部の範囲で配合するのが適
当である。50重量部を下回ると、所望のイオン導電性
を発現するためのポリアニリンの量を多く配合する必要
があり、必要な機械強度が得られなくなる。また、15
0重量部を超えると、45℃、85%RHの高温、高湿
度の下において、遊離しているドーパントが、ブリード
して感光体を汚染するなどの問題が発生する。
【0044】上記成膜溶液を基材上キャスティングし、
基材上に上記成膜溶液の層を形成して 上記の樹脂シー
トは、溶媒を蒸発させて除去する工程において、加熱時
のばらつきなどにより溶媒の蒸発が不均一になると、樹
脂シートの表面(空気面)に微小な突起が発生して表面
の平滑性が悪くなる場合がある。そして、、転写体は、
トナー像を転写して、かつ像担持体に良好な転写を行う
ためには、転写体の表面は平滑であることが望まれる。
それ故、本発明の転写体では、上記の樹脂シートのSU
S基材側表面を転写面として使用することが望ましい。
【0045】
【実施例】以下、本発明を実施例によって説明するが、
本発明は下記の実施例に限定されるものではない。 (画像形成装置)図2は本発明の画像形成装置として中
間転写ベルトを備えたデジタルカラー複写機の全体図で
ある。図2において、プラスチック製の天板21上に載
置した原稿(図示せず)の下面に沿って移動する原稿照
明用ランプ22から放射し、原稿で反射した光を移動ミ
ラーユニット23、レンズ24、固定ミラー25を介し
て画像読取部のCCDで受光する。CCDは、多数の光
電変換素子により上記原稿画像を各色毎に電気信号に変
換する。この電気信号は画像処理回路26に入力され、
画像処理回路26で各色毎に処理された原稿画像読取信
号をデジタル信号に変換して画像メモリに記録する。
【0046】光書込制御装置27は、上記画像処理回路
26の画像データを所定のタイミングで読み出して、光
ビーム書込制御装置28に出力する。光ビーム書込制御
装置28は、矢印方向Aに回転する感光体ドラムからな
る像担持体1に各色に対応した静電潜像を書き込む。
【0047】像担持体1の周囲には、その表面を一様に
帯電させる帯電器2、像担持体1に書き込まれた静電潜
像を各色のトナー像に現像する現像装置4、各色のトナ
ー像を中間転写ベルト7に転写する一次転写ロール5、
クリーニングブレード及び除電器を有するクリーニング
ユニット6が配置されている。上記現像装置4は、B、
Y、M、Cの各色トナーを収容した現像器を有し、それ
ぞれ各色のトナーで上記静電潜像を現像して可視化す
る。
【0048】上記中間転写ベルト7は、テンションロー
ル8a、8b、8c、及びバックアップロール9に張架
され、像担持体1表面に当接しながらその接線方向に走
行する。未定着トナー像を担持する中間転写ベルト7の
表側には、バックアップロール9及びテンションロール
8aに対向して、それぞれバイアスロール10及びベル
トクリーナ11が配置されている。バックアップロール
9には、トナーと同極性の二次転写電圧を印加する電極
ロール12が押接されている。また、バイアスロール1
0とベルトクリーナ11の間には、二次転写されたトナ
ー像を担持する用紙Pを中間転写ベルト7から剥がす剥
離爪29が配置されている。バイアスロール10表面に
は、ポリウレタンで形成されたクリーニングブレード3
0が常時当接していて、転写工程で付着したトナー粒子
や紙粉等の異物が除去される。
【0049】画像形成装置U本体の下部には抽出自在の
給紙トレイ13が設けられ、その上方にピックアップロ
ーラ31が配置されている。このピックアップローラ3
1の下流側には、用紙Pの重送を防止する一対のフィー
ドロール32、用紙搬送ロール33、用紙Pを案内する
ガイド部材34及びレジストロール35が順次配置され
ている。前記二次転写部の下流側には、二次転写された
トナー像を担持した用紙Pを搬送する搬送ベルト36、
用紙P上の未定着トナー像を定着処理する定着装置1
4、定着画像が形成された用紙Pを排出する一対の排出
ロール37、及び排出された用紙Pを載置する排紙トレ
イ38が順次配置されている。
【0050】(画像形成装置の作用)矢印方向Aに回転
する像担持体1は、帯電器2により表面が所定の電位に
帯電され、光ビーム書き込み装置28により静電潜像が
書き込まれる。像担持体1上の静電潜像は現像装置4に
よりトナー像に現像される。このトナー像の形成は、最
初に第1色目のトナー像が形成され、その後、像担持体
1が1回転する毎に、第2色目から第4色目のトナー像
が順次形成される。本実施例では、B、Y、M、C色の
トナー像が順次形成されるようになっている。像担持体
1表面は、トナー像が中間転写ベルト7に転写された
後、クリーニングユニット6により像担持体1表面の残
留トナー及び電荷が除去される。
【0051】ここで、前記光書込制御装置27では、最
初に第1色目のB色に画像処理されたデジタル信号を読
出して光ビーム書込制御装置28に出力する。この書込
装置28は像担持体1表面にB色に対応した静電潜像を
書き込む。B色に対応した静電潜像は現像装置4内の現
像器BによりB色の可視化されたトナー像に現像され、
一次転写部に移動する。一次転写部において、中間転写
ベルト7の裏側に配置された一次転写ロール5からトナ
ー像にその帯電極性とは逆極性の電界を作用させること
により、一次転写部に到達したB色のトナー像を静電的
に中間転写ベルト7に吸着させつつ、中間転写ベルト7
の矢印方向Bに走行させて一次転写させる。
【0052】中間転写ベルト7は、Bトナー像を吸着担
持したまま像担持体1と同一周速で走行する。1色目の
Bトナー像の転写が終了すると、光書込装置27からの
出力により、ブルーのフィルタで色分解された光像に対
応する静電潜像の書込みが開始される。そして、Bトナ
ー像を担持した中間転写ベルト7の転写開始位置が一次
転写部に到達すると、一次転写ロール5によって2色目
のYトナー像の転写が行われる。続いて、グリーン、レ
ッドのフィルタで色分解された光像に対応する静電潜像
が現像器M、Cにより可視化され、Mトナー像及びCト
ナー像の転写が上記トナー像の転写と同様に行われる。
【0053】このようにして、各色に重ね合わされた多
重トナー像が中間転写ベルト7上に形成される。この各
色のトナー像が中間転写ベルト7上に一次転写されるま
では、中間転写ベルト7の表側に配置された前記バイア
スロール10、剥離爪29、及びベルトクリーナ11
は、中間転写ベルト7から離間した退避位置に保持され
ている。
【0054】一方、給紙トレイ13に収容された用紙P
は、ピックアップローラ31により所定のタイミングで
1枚ずつ取り出されて、一対のフィードロール32、用
紙搬送ロール33により給紙され、一対のレジストロー
ル35で一旦停止される。用紙Pは、その後中間転写ベ
ルト7上に転写された各色(B、Y、M、C)の多重ト
ナー像が二次転写部に移動してくるのと同期して、レジ
ストロール35から二次転写部に搬送される。
【0055】二次転写部において、バイアスロール10
は中間転写ベルト7を介してバックアップロール9に圧
接した状態にある。そして、搬送されてきた用紙Pは、
ロール9、10間の圧接搬送および中間転写ベルト7の
走行によって二次転写部を通過する。この際、トナー像
の帯電極性と同極性の転写電圧を電極ロール12に印加
することにより、中間転写ベルト7に吸着担持されてい
た多重トナー像が中間転写ベルト7表面から用紙Pに二
次転写される。
【0056】以上、フルカラー画像の転写について述べ
てきたが、モノカラー画像を形成する場合は、中間転写
ベルト7上に一次転写された例えばB色のトナー像が二
次転写部に移動してきた時、直ちにトナー像は用紙Pに
転写される。2色または3色のカラー画像を形成する場
合は、所望の色相を選択して、多重トナー像が転写部に
移動してきた時にトナー像を用紙Pに転写すればよい。
【0057】このようにして、トナー像が所望の色相に
転写された用紙Pは、剥離爪29の作動により剥離さ
れ、搬送ベルト36に載置されて定着装置14に搬送さ
れる。この定着装置14において、未定着トナー像を固
定して永久画像に定着処理した後、用紙Pは一対の排出
ロール37により排出トレイ38に排出される。二次転
写が完了すると、中間転写ベルト7は、二次転写部の下
流側に設けられたベルトクリーナ11によりクリーニン
グされ、次の転写に備える。
【0058】〔実施例1〕ポリアニリンキノンジイミン
・フェニレンジアミン型ポリアニリンを、酸解離定数p
ka値4.0以下のプロトン酸である硫酸でドーピング
してアニリンの酸化重合体を生成し、次いで、このドー
プされたポリアニリンを塩基性物質であるアンモニアに
よって脱ドープ状態のポリアニリンを得た。この脱ドー
プ状態のポリアニリンをN−メチル−2ピロリドンに溶
解して脱ドープ状態のポリアニリン溶液(濃度15重量
%)を得た。
【0059】次いで、ポリアミック酸溶液(濃度20重
量%)425gに、前記の脱ドープ状態のポリアニリン
溶液100gの比率で添加し、さらに、脱ドープ状態の
ポリアニリンと同量ドーパントであるリン酸を加え、脱
ドープ状態のポリアニリンと、ドーパント剤のリン酸
と、ポリイミド前駆体からなる成膜溶液を得た。
【0060】前記の成膜溶液をステンレススチール製シ
ート状基材上に厚さ300μmに均一に流延し、120
℃で120分乾燥した後、さらに150℃で30分、2
00℃で30分、250℃で60分、420℃で30分
と段階的に昇温してイミド化を終了した後、これを剥離
して厚さ80μmの脱ドープ状態のポリアニリン15重
量%を含有してなるポリイミドのシートを得た。
【0061】得られたポリイミドシートを長さ540m
m、幅320mmに切削した後、ステンレススチールに
接していた面をベルトの表面となるように、シートの一
端部10mmを一液性弾性接着剤(スーパーX800
8:セメダイン(株)製)を塗布して両端部を接合し、
シームレスの中間転写ベルト7を形成した。得られた中
間転写ベルトの表面抵抗率は1011.8Ω/□であり、体
積抵抗率1012.3Ωcmであった。また、前記ベルトの
表面抵抗率の低下は100.05Ω/□であった。
【0062】なお、体積抵抗率と表面抵抗率の測定は全
て、抵抗計(ハイレスターIPのHRプローブ:三菱油
化(株)製)を用い、100Vの電圧を印加してから3
0秒後の電流値を読みとって求めた。
【0063】〔比較例1〕前記Nメチル2ピロリドンを
溶媒とするポリイミドワニス(ユーピレックスS:宇部
興産(株)製)溶液に、その樹脂成分100重量部に対
してカーボンブラックを18重量部添加してミキサーで
混合し、成膜溶液を得た。得られた成膜溶液を直径16
8mm、高さ500mmのステンレススチール製円筒状
基材に注入し120℃の熱風で120分間乾燥させなが
ら遠心成形した。
【0064】次いで、半硬化状態で基材から剥離した円
筒状フィルムを鉄芯に被せ、30分かけて120℃から
350℃に昇温して溶媒を蒸発させた後、さらに450
℃で20分間加熱して、ポリアミック酸を脱水縮合させ
本硬化させた。得られた80μm厚のカーボンブラック
分散ポリイミドフィルムを320mm幅に切断して、シ
ームレスの中間転写ベルト7を完成した。得られた中間
転写ベルトの表面抵抗率は1011.8Ω/□で、体積抵抗
率は10 8.9 Ωcmであった。また、前記ベルトの表面
抵抗率の低下は100.3 Ω/□であった。
【0065】〔比較例2〕導電性金属酸化物として、酸
化錫系導電剤で被覆された平均粒子径0.4μmの硫酸
バリウム(パストランType−IV:三井金属(株)
製)をγ−アミノプロピルトリエトキシシランで表面処
理したものを用いた。この導電性金属酸化物を、実施例
1で用いたポリイミドワニスの樹脂成分100重量部に
対して37重量部添加して、ミキサーで充分に混合して
成膜溶液を得た。得られた成膜溶液をステンレススチー
ル製シート状基材上に厚み300μmに均一に流延し、
120℃で120分乾燥した後、さらに150℃で30
分、200℃で30分、250℃で60分、420℃で
30分と段階的に昇温して、厚さ75μmのポリイミド
シートを得た。
【0066】得られたポリイミドシートを長さ540m
m、幅320mmに切削した後、シートの一端部10m
mに一液性弾性接着剤(スーパーX8008:セメンダ
イン(株)製)を塗布し、両端部を接合してシームレス
の中間転写ベルト7を得た。得られた中間転写ベルトの
表面抵抗率は1011.8Ω/□で、体積抵抗率は10 7.5
Ωcmであった。また、前記ベルトの表面抵抗率の低下
は100.5 Ω/□であった。
【0067】〔比較例3〕押出成形法により、厚さ15
0μmのカーボンブラック分散熱可塑性PC(ポリカー
ボネイト)樹脂製のシームレス中間転写ベルトを製造し
た。この中間転写ベルトの表面抵抗率は1011.9Ω/□
であり、体積抵抗率は1012.5Ωcmであった。また、
前記ベルトの表面抵抗率の低下は101.8 Ω/□であっ
た。
【0068】〔比較例4〕押出成形法により、厚さ15
0μmのカーボンブラック分散熱可塑性ETFE製のシ
ームレス中間転写ベルトを製造した。この中間転写ベル
トの表面抵抗率は1011.5Ω/□であり、体積抵抗率が
109.0 Ωcmであった。また、前記ベルトの表面抵抗
率の低下は102.3 Ω/□であった。
【0069】(中間転写ベルトの表面抵抗率、体積抵抗
率及び表面抵抗率の低下量)実施例1及び比較例1〜4
の中間転写ベルトは、予め表面抵抗率を測定した後、前
記中間転写ベルトを図2の画像形成装置に装着し、一次
転写電圧を1.2kVに印加し、二次転写電圧を−4.
5kVに印加して1000枚の連続プリントした後の表
面抵抗率を測定し、その差を表面抵抗率の低下量(lo
gΩ/□)として表1に示した。また、表面抵抗率及び
体積抵抗率も表1に示した。
【0070】(画質評価)実施例1及び比較例1〜4の
中間転写ベルトを図2に示す画像形成装置に装着し、コ
ピーテストを行って得られた画質の状態を下記の基準で
目視により判定した。 ホロキャラ評価 ○:ホロキャラクタの発生なし ×:ホロキャラクタの発生あり ブラー評価 ○:ブラーの発生なし ×:ブラーの発生あり
【0071】
【表1】
【0072】(評価結果)表1から明らかなように、実
施例1の中間転写ベルトは、ベルト材料の表面抵抗率及
び表面層の体積抵抗率が適性な範囲にあり、表面抵抗率
の低下量も僅かであるため、ブラー及びホロキャラクタ
が発生するようなことはなかった。
【0073】一方、比較例1のカーボンブラック分散ポ
リイミド及び比較例2の金属酸化物分散ポリイミドから
なる中間転写ベルトは、いずれも体積抵抗率が適性な範
囲より低いためブラーが発生した。また、表面抵抗率の
低下量も実施例1に比べて1桁大きいため、ホロキャラ
クタが発生した。
【0074】また、比較例3のカーボンブラック分散P
C樹脂の中間転写ベルトは、転写部でベルトに印加され
る転写電圧によって、中間転写ベルトの表面抵抗率は
1.8桁(11.9→10.1:logΩ/□)も低下
した。比較例4のカーボンブラック分散ETFE樹脂の
中間転写ベルトは、体積抵抗率が適性な範囲より低いた
めにブラーが発生し、かつ、転写部でベルトに印加され
る転写電圧によって、中間転写体材料の抵抗は2.3桁
(11.5→9.2:logΩ/□)も低下した。
【0075】
【発明の効果】本発明は、上記の構成を採用することに
より、中間転写ベルトの表面抵抗率及び体積抵抗率を適
正な範囲に調整することができ、転写時にブラーの発生
を防止することができた。また、除電機構も不用とし
た。さらに、経時的な中間転写体の表面抵抗率の低下と
いう問題がないので、高品質の転写画質を経時的に安定
して得ることが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例である画像形成装置の概略図
である。
【図2】本発明の1実施例である画像形成装置の全体図
である。
【図3】脱ドープ状態のポリアニリンの配合量(ドーパ
ントを同量配合)と表面抵抗率との関係を示した図であ
る。
【図4】脱ドープ状態のポリアニリンの配合量(ドーパ
ントを同量配合)と体積抵抗率との関係を示した図であ
る。
【図5】図3及び図4より求めた表面抵抗率と体積抵抗
率の関係を示した図である。
【図6】カーボンブラック分散ポリイミド樹脂材料の表
面抵抗率と体積抵抗率の関係を示した図である。
【図7】導電性金属酸化物分散ポリイミド樹脂材料の表
面抵抗率と体積抵抗率の関係を示した図である。
【符号の説明】
1 潜像担持体、 2 帯電器、 3 画像書込装置、
4 現像装置、 5一次転写器、 7 中間転写ベル
ト、 8a,8b,8c テンションロール、 9 バ
ックアップロール、 10 バイアスロール、 13
給紙トレイ、14 定着装置、 22 原稿証明用ラン
プ、 28 光ビーム書込制御装置、 30 クリーニ
ングブレード、 34 ガイド部材、 36 搬送ベル
ト。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡本 佳和 神奈川県南足柄市竹松1600番地 富士ゼロ ックス株式会社内 (72)発明者 木村 朗子 神奈川県南足柄市竹松1600番地 富士ゼロ ックス株式会社内 Fターム(参考) 2H032 AA05 AA15 BA02 BA05 BA09 BA16 BA18 BA26 BA30 CA13 DA12 3J103 AA02 AA12 FA06 FA07 FA30 GA57 GA58 GA60 GA74 HA03 HA20 HA46 HA60

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 画像情報に対応した静電潜像を形成する
    像担持体と、前記静電潜像をトナーで現像してトナー像
    を形成する現像手段と、前記像担持体上の前記トナー像
    を記録媒体に転写する転写体を備えた画像形成装置にお
    いて、前記転写体は、ポリイミド樹脂に脱ドープ状態の
    ポリアニリン及び該ポリアニリンをドーピングしてイオ
    ン導電性を高めるためのドーパントを分散したポリマー
    ブレンド樹脂で構成されてなることを特徴とする画像形
    成装置。
  2. 【請求項2】 前記ポリマーブレンド樹脂は、前記ポリ
    アニリンを5〜40重量%の範囲で含有することを特徴
    とする請求項1記載の画像形成装置。
  3. 【請求項3】 前記ポリマーブレンド樹脂は、前記ドー
    パンドを5〜40重量%の範囲で含有することを特徴と
    する請求項1又は2記載の画像形成装置。
  4. 【請求項4】 前記転写体は、表面抵抗率が1010.0
    1013.2Ω/□の範囲にあり、かつ体積抵抗率が10
    9.8 〜1013.5Ωcmの範囲にあることを特徴とする請求
    項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  5. 【請求項5】 前記転写体は、ポリアミック酸、脱ドー
    プ状態のポリアニリン及びドーパントを含有する成膜溶
    液を調製する間に、前記ポリアニリンをドーピングして
    前記ポリマーブレンド樹脂のイオン導電性を調整し、基
    材表面に前記成膜溶液を塗布して被膜を形成し、250
    〜450℃の温度で加熱して前記ポリアミック酸をイミ
    ド化したポリマーブレンド樹脂シートを形成し、前記基
    材から剥離して用いたことを特徴とする請求項1〜4の
    いずれか1項に記載の画像形成装置。
  6. 【請求項6】 前記転写体は、前記ポリマーブレンド樹
    脂シートの基材側の表面を転写面として用いたことを特
    徴とする請求項5記載の画像形成装置。
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