JP5649765B2 - 樹脂組成物、樹脂成形品 - Google Patents

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本発明は、樹脂組成物、樹脂成形品に関する。
従来、導電性フィルム、シートは熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂中にカーボンブラックなどの導電剤を添加しこれを湿式下あるいは乾式下分散・成形することにより作製される。しかしながら、使う導電剤や樹脂の特性により、環境の温度や湿度による変動が大きかったり、使用される電圧による特性の変動が大きい場合がある。
例えば、第4級アンモニウム塩、界面活性剤等の導電剤を添加した樹脂組成物は、吸着した水分子によって導電性が発現するために、低温低湿下の冬場では導電効果が小さくなるなどの問題が生じる。
また、電子写真分野おいては、画像形成方法が電荷授受により行なわれるため、環境や使用電圧による変動が小さい部品が望まれる。
特許文献1にはポリイミドに酸化チタン、アルミナを添加した樹脂組成物、電子写真用管状物が提案されている。
電子写真装置は、導電性材料からなる感光体上に一様に電荷を形成し、変調した画像信号をレーザー光などで静電潜像を形成した後、帯電したトナーにより静電潜像を現像してトナー像とする。次いでこのトナー像を直接又は中間転写体を介して紙などの記録媒体に転写することにより画像を得る装置である。
ここで、感光体上のトナー像を中間転写体に一次転写し、次いで、中間転写体上のトナー像を紙などの記録媒体へ二次転写する方法、いわゆる、中間転写方式を採用した画像形成装置に用いられる中間転写ベルトは、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリカーボネート、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体とポリカーボネートとのブレンドなどの熱可塑性樹脂にカーボンブラック等の導電剤を分散させた導電性ベルトが提案されている。
以下の特許文献2、3等において、カーボンブラックを導電性微粉末としてポリイミドに分散させた中間転写体が提案されている。通常、カーボンブラックを導電性粉末としてポリイミドに分散させた場合には、温度や湿度の環境変化に対する電気抵抗値の変動は少ないが、カーボンブラックを均一に分散させることが難しいために電気抵抗値の面内バラツキが大きくなりやすい。さらに、抵抗値の電圧依存性が2.0以上と大きいため、画像形成装置内で使用する時の使いこなしが難しい。また、転写部において印加した電圧集中が起こり、経時で転写電圧により電気抵抗値が低下する問題がある。
一方、ポリイミド樹脂の成型品に導電性を付与する方法として、導電材料としてポリアニリンなどの導電性高分子を使用する方法が知られている。ポリアニリンのような導電性高分子は、ポリイミドワニスに均一に溶解又は分散しやすいため、成型品を所定の抵抗値に調整することが容易となり、かつ、分散の面内ばらつきの均一な抵抗値が得られるという長所がある。このようにポリイミド中に導電材料としてポリアニリンを添加して導電性を付与する方法が、例えば、引用文献4〜6に開示されている。
特開2003−113305公報 特許第2560727号 特開平5-77252号公報 特開平8−259709号公報 特開平9−176329号公報 特開2000−226765公報
しかしながら、上記引用文献4〜6のように、導電性高分子(ポリアニリン)を使用する際にはドーパントを多量に添加しなければならず、結果として空気中の湿度の影響を受けやすくなるため、これを塗工液として用いて得られた成形品の品質、例えば、高温高湿下の表面抵抗率と低温低湿下での表面抵抗率の常用対数値の差は1.0以上と大きいため、環境によって得られる画質にばらつきが生じることがあった。
そこで、本発明は、前記従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。すなわち、
本発明の目的は、温度や湿度の環境変化に対する電気抵抗値の変動と、印加電圧変化による電気抵抗値の変動とがともに小さい樹脂組成物、樹脂成形品を提供することにある。
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。すなわち、
<1> 樹脂と、還元処理されたポリアニリンと、酸解離定数pKaが5以下のプロトン酸であるドーパントと、溶媒と、が含有されてなり、
前記ドーパントが、前記還元処理されたポリアニリンにおけるドーピングにより導電性が発現する最小構成単位1モルに対して0.1〜0.75モル当量で含有されてなることを特徴とする樹脂組成物である。
<2> 前記樹脂がポリアミック酸であることを特徴とする前記<1>に記載の樹脂組成物である。
<3> 前記還元処理されたポリアニリンが、前記ドーピングにより導電性が発現する最小構成単位として、下記式(1)で示される繰り返し単位を有するポリアニリンであることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂組成物である。
> 前記ドーパントがフェノールスルホン酸であることを特徴とする前記<1>から<>のいずれか1項に記載の樹脂組成物である。
> 前記<1>から<4>のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含む樹脂成形品である。
本発明によれば、温度や湿度の環境変化に対する電気抵抗値の変動と、印加電圧変化による電気抵抗値の変動とがともに小さい樹脂組成物、樹脂成形品を提供することができる。
<樹脂組成物>
まず、本発明の樹脂組成物について説明する。本発明の樹脂組成物は、樹脂と導電性高分子とドーパントと溶媒とが含有されてなり、前記ドーパントが、前記導電性高分子におけるドーピングにより導電性が発現する最小構成単位(以下、この最小構成単位を「繰り返し単位」と称する)1モルに対して0.1〜0.75モル当量で含有されてなることを特徴としている。
なお、本発明の樹脂組成物においては、導電性高分子として、還元処理されたポリアニリンが適用され、ドーパントとして、酸解離定数pKaが5以下のプロトン酸が適用される。
ここで、樹脂としては、ポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネートが挙げられ、中でも、ポリアミック酸が好ましい。また、導電性高分子としては、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンが好適に挙げられ、特に、ポリアニリンが好ましい。
特に、本発明の樹脂組成物としては、樹脂としてポリアミック酸を利用した樹脂組成物(以下、「ポリアミック酸組成物」と呼ぶ。)が好適に挙げられる。なお、上記ドーパント、その含有量、溶媒の詳細に加え、ポリアミック酸組成物の詳細については、後述する本発明の樹脂成形品で述べるポリアミック酸組成物で記載された内容と同様であるので、説明を省略する。
<樹脂成形品>
次に、本発明の樹脂成形品について説明する。
本発明の樹脂成形品は、本発明の樹脂組成物を含むことを特徴としている。
本発明の樹脂成形品は、例えば、フィルム、シート、ロール、ベルト等の形状があり、例えば、後述する電子写真装置に利用される中間転写体、転写ベルト、搬送ベルト等の他、帯電粒子を用いた画像表示媒体の誘電層等に利用することができる。
本発明の樹脂成形品をベルトとした場合の最大厚みと最小厚みの差は、大きすぎるとシワ寄りの原因となる。ベルトのシワ寄りは、回転不良、対向する部材や搬送する部材との接触不良等の形状に由来した欠陥を起こすのみでなく、帯電のムラ等の電気的に不均一になることに由来した欠陥を起こすため、可能な限り低減する必要がある。この点から、ベルトの最大厚みと最小厚みの差は、ベルトの厚みの平均の20%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましく、10%以下であることが更に好ましい。なお、「ベルトの厚み」とは、ベルトと5mm2以上の面積で接触した平板間の距離を測定する厚み計で測定できる厚みのことであり、ベルト表面に特異的に存在する幅50μm以下の突起物の高さを無視したものである。
また、ベルトの厚みは、厚すぎると熱伝導度や抵抗値等の観点から好ましくなく、薄すぎるとその靭性が小さすぎるため好ましくない。従って、ベルトの用途を考慮すると、厚みは10μm以上1000μm以下、好ましくは30μm以上150μm以下であることが好ましい。
本発明の樹脂成形品は、既述の通り、導電剤と樹脂とが含有されてなる。導電剤としては、導電性高分子が好ましく、中でも特に、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンが好ましい。また、樹脂としては、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネートが挙げられ、中でも、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とオキシジアニリンから重縮合されてなるポリイミドが好ましい。
以下に、導電剤としてポリアニリンを、樹脂としてポリイミドを含む樹脂成形品について説明する。当該樹脂成形品は、ポリアミック酸組成物を調製し、該組成物を所望の形状の金型に塗布し、イミド転化させることにより作製することができる。
[ポリアミック酸組成物]
本発明に用いられるポリアミック酸組成物は、ポリアミック酸と、導電性高分子と、該導電性高分子を導電化させるドーパントと、溶媒と、を含有してなることを特徴とする。
[導電性高分子]
導電性高分子としては、上記のものが挙げられるがポリアニリンが好ましい。本発明におけるポリアニリンは、上述の通り、導電材料として用いられるもので、該ポリアニリンの合成・構造については、特開平3−28229号公報に詳しく述べられている。
本発明におけるポリアニリンは、アニリン又はアニリン誘導体から酸化重合法にて容易に製造することができる。以下に示すように、ポリアニリンはその酸化の状態によってロイコエメラルジン(又はロイコエマラルジン)(leucoemeraldine)、エメラルジン(又はエマラルジン)(emeraldine)及びパーニグルアニリン(pernigraniline)の構造をとることが知られている。
この中でも、エメラルジン構造を持つポリアニリンがドーピングの時に一番高い電気伝導度を持ち、空気の中で安定なので一番有用である。ポリアニリンは通常においては酸化されやすいため、導電性向上、安定化のためにはパーニグルアニリン構造がより少ないことが好ましく、より還元状態からドーピング処理することで効率よくドーピングすることができる。本発明では後述する還元剤を用いて還元処理し、溶媒中に溶解し、ドーピング処理を行なうことで本発明の樹脂成形品を形成しうるポリアミック酸組成物が得られる。
ポリアニリンの合成は、特開平3−28229号公報に詳細に記載されているように、プロトン酸の存在下に溶剤中にてアニリンに温度を5℃以下、好ましくは0℃以下の温度を保持しつつ、酸化剤を作用させて酸化重合を行い、後述するプロトン酸を用いてドープされたアニリンの酸化重合体(以下、ドープされたポリアニリンという。)を生成させる。次いで、このドープされたポリアニリンを塩基性物質によって脱ドープすることによって得ることができる。
ポリアミック酸組成物中のポリアニリンの添加量(使用量)は、発現させる導電度によって適宜調整される。一般的には、ポリアミック酸組成物中のポリアミック酸樹脂分100質量部に対して、添加されるポリアニリンは5〜40質量部が好ましく、より好ましくは10〜30質量部である。ポリアニリンの添加量が5質量部未満であると所定の電気導電性を発現することができず、40質量部を超えると、ポリアミック酸組成物を用いたポリイミド成型品のしなやかさが失われてしまう。
[還元剤]
上記還元剤としては、フェニルヒドラジン、ヒドラジン、ヒドラジン水和物、硫酸ヒドラジン、塩酸ヒドラジン等のヒドラジン化合物、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素リチウム等の還元性水素化金属化合物等が好適に用いられる。
[ポリアミック酸]
本発明におけるポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを重縮合させてなるものであり、例えば、前記両性分を実質的に等モル量を有機極性溶媒中で重合反応させて得られる。なお、ポリアミック酸は、部分イミド化していてもよい。
以下、テトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物について説明する。
(テトラカルボン酸二無水物)
ポリアミック酸の製造に用いられ得るテトラカルボン酸二無水物としては、特に制限はなく、芳香族系、脂肪族系いずれの化合物も使用できる。
芳香族系テトラカルボン酸としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物等を挙げることができる。
脂肪族テトラカルボン酸二無水物としては、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボナン−2−酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等の脂肪族又は脂環式テトラカルボン酸二無水物;1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン等の芳香環を有する脂肪族テトラカルボン酸二無水物等を挙げることができる。
本発明に使用されるテトラカルボン酸二無水物としては、芳香族系テトラカルボン酸二無水物が好ましく、更に、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、が最適に使用される。
これらのテトラカルボン酸二無水物は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
(ジアミン化合物)
次に、ポリアミック酸の製造に用いられ得るジアミン化合物は、分子構造中に2つのアミノ基を有するジアミン化合物であれば特に限定されない。
具体的には、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、1,5−ジアミノナフタレン、3,3−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、5−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、6−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、3,5−ジアミノ−3’−トリフルオロメチルベンズアニリド、3,5−ジアミノ−4’−トリフルオロメチルベンズアニリド、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,7−ジアミノフルオレン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、2,2’,5,5’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジメトキシビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’ −ビス(4−アミノフェノキシ)−ビフェニル、1,3’ −ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’ −(p−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’ −(m−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチル)フェノキシ]−オクタフルオロビフェニル等の芳香族ジアミン;ジアミノテトラフェニルチオフェン等の芳香環に結合された2個のアミノ基と当該アミノ基の窒素原子以外のヘテロ原子を有する芳香族ジアミン;1,1−メタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、4,4−ジアミノヘプタメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソフォロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6,2,1,02.7]−ウンデシレンジメチルジアミン、4,4’ −メチレンビス(シクロヘキシルアミン)等の脂肪族ジアミン及び脂環式ジアミン等を挙げることができる。
本発明に使用されるジアミン化合物としては、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’ −ジアミノジフェニルエーテル、4,4’ −ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’ −ジアミノジフェニルスルフォン、が好ましい。
これらのジアミン化合物は単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
(テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との好ましい組み合わせ)
本発明におけるポリアミック酸としては、好ましくは、成型体の強度の観点から、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族系ジアミンとからなるものが好ましい。さらにはビフェニルテトラカルボン酸二無水物とオキシジアニリンからなるものが好ましい。
(合成溶媒)
このポリアミック酸の生成反応に使用される有機極性溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、フェノール、o−、m−、又はp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール系溶媒、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系或いはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどを挙げることができ、これらを単独又は混合物として用いるのが望ましいが、更には、キシレン、トルエンのような芳香族炭化水素も使用可能である。
(ポリアミック酸重合時の固形分濃度)
ポリアミック酸重合時の反応溶液中の固形分濃度は特に規定されるものではないが、5〜50質量%が好ましく。更に、特に10〜30質量%が好適である。固形分濃度が5質量%未満であるとポリアミック酸の重合度が低く、最終的に得られる成型体の強度が低下する。また、重合時の固形分濃度が、50質量%より高いと原料モノマーの不溶部が生じ反応が進行しない。
(ポリアミック酸重合温度)
ポリアミック酸重合時の反応温度としては、0℃〜80℃の範囲で行われる。反応温度が0℃以下であると、溶液の粘度が高くなり、反応系の攪拌が十分に行うことができなくなるためである。また、反応温度が80℃より高くなると、ポリアミック酸の重合にと平行して、一部イミド化反応が起こるため、反応制御の点で問題がある。
[ドーパント]
本発明において、ポリアニリンをドーピングして導電性とするためのドーパントとしては、酸解離定数pKaが5以下であるプロトン酸用いることが好ましく、pKaが1〜4の範囲のプロトン酸が特に好ましく用いられる。プロトン酸の形態としては1塩基酸、2塩基酸、3塩基酸、多塩基酸などいかなる形態の酸も用いることができる。例えば、3塩基酸であるリン酸の場合、リン酸に含まれる3個のプロトンのpKaは:pKa1=2.1,pKa2=7.2,pKa3=12.3であり、プロトンの2個分はpKaが5を超えるため、本発明においては、リン酸は、プロトン1個のみが有効なプロトン酸としてポリアニリンの繰り返し単位に対して使用されるよう制御して添加する。本発明において、プロトン酸の種類としては、例えば、スルホン酸化合物、カルボン酸化合物、ホスホン酸化合物が好適に用いられる。
スルホン酸化合物としては、例えば、アミノナフトールスルホン酸、メタニル酸、スルファニル酸、アリルスルホン酸、ラウリル硫酸、キシレンスルホン酸、クロロベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1−プロパンスルホン酸、1−ブタンスルホン酸、1−ヘキサンスルホン酸、1−ヘプタンスルホン酸、1−オクタンスルホン酸、1−ノナンスルホン酸、1−デカンスルホン酸、1−ドデカンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、スチレンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸、プロピルベンゼンスルホン酸、ブチルベンゼンスルホン酸、ペンチルベンゼンスルホン酸、ヘキシルベンゼンスルホン酸、ヘプチルベンゼンスルホン酸、オクチルベンゼンスルホン酸、ノニルベンゼンスルホン酸、デシルベンゼンスルホン酸、ウンデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ペンタデシルベンゼンスルホン酸、オクタデシルベンゼンスルホン酸、ジエチルベンゼンスルホン酸、ジプロピルベンゼンスルホン酸、ジブチルベンゼンスルホン酸、メチルナフタレンスルホン酸、エチルナフタレンスルホン酸、プロピルナフタレンスルホン酸、ブチルナフタレンスルホン酸、ペンチルナフタレンスルホン酸、ヘキシルナフタレンスルホン酸、ヘプチルナフタレンスルホン酸、オクチルナフタレンスルホン酸、ノニルナフタレンスルホン酸、デシルナフタレンスルホン酸、ウンデシルナフタレンスルホン酸、ドデシルナフタレンスルホン酸、ペンタデシルナフタレンスルホン酸、オクタデシルナフタレンスルホン酸、ジメチルナフタレンスルホン酸、ジエチルナフタレンスルホン酸、ジプロピルナフタレンスルホン酸、ジブチルナフタレンスルホン酸、ジペンチルナフタレンスルホン酸、ジヘキシルナフタレンスルホン酸、ジヘプチルナフタレンスルホン酸、ジオクチルナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、トリメチルナフタレンスルホン酸、トリエチルナフタレンスルホン酸、トリプロピルナフタレンスルホン酸、トリブチルナフタレンスルホン酸、カンフアースルホン酸、アクリルアミド−t−ブチルスルホン酸等を挙げることができる。これらの中でも、フェノールスルホン酸が好適に用いられる。
また、有機カルボン酸化合物の具体例として、安息香酸、m−ブロモ安息香酸、p−クロロ安息香酸、m−クロロ安息香酸、p−クロロ安息香酸、o−ニトロ安息香酸、2,4−ジニトロ安息香酸、3,5−ジニトロ安息香酸、ピクリン酸、o−クロロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、m−ニトロ安息香酸、トリメチル安息香酸、p−シアノ安息香酸、m−シアノ安息香酸、チモールブルー、サリチル酸、5−アミノサリチル酸、o−メトキシ安息香酸、1,6−ジニトロ−4−クロロフェノール、2,6−ジニトロフェノール、2,4−ジニトロフェノール、p−オキシ安息香酸、等を挙げることができる。
更に、本発明において、ドーパントとして用いられる多塩基酸としては、例えば、ポリビニルスルホン酸、ポリビニル硫酸、ポリスチレンスルホン酸、スルホン化スチレン−ブタジエン共重合体、ポリアリルスルホン酸、ポリメタリルスルホン酸、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸、等を挙げることができる。
これらのドーパントの内、特に、ドデシルベンゼンスルホン酸、フェノールスルホン酸、フェニルホスホン酸が好ましい。
これらのドーパントは、下記式(1)で示されるポリアニリンの繰り返し単位1モルに対して、0.1〜0.75モル当量、より好ましくは、0.2〜0.40モル当量の範囲で添加される。0.1モル当量未満の場合導電性が発現しない場合があり、0.75モル当量を超えると環境変動が大きくなってしまうため好ましくない。
従来は、酸化状態の異なるものが混在したポリアニリンの繰り返し単位1モルに対して、1.0〜1.2モル当量のドーパントを添加していたが、本発明では、ポリアニリンを還元処理した後にドーピングすることで、上記式(1)で示される繰り返し単位に対して0.1〜0.75モル当量の添加でも効率よく導電化することができる。この範囲においてドーパントの添加量を少なくすればするほど、表面抵抗率の環境変動、並びに体積抵抗率の電界変動を小さくすることができる。
[溶媒]
ポリアミック酸組成物の溶媒としては、ポリアミック酸を溶解するものであれば特に限定されないが、具体的には、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、フェノール、o−、m−、又はp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール系溶媒、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系或いはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどを挙げることができ、これらを単独又は混合物として用いるのが望ましいが、更には、キシレン、トルエンのような芳香族炭化水素も使用可能である。
この溶媒はポリアミック酸組成物を調整する際に用いられてもよい。また、この溶媒は、上述のポリアミック酸重合時から使用しても、ポリアミック酸重合後に所定の溶媒に置換してもよい。溶媒の置換には、ポリアミック酸重合後の溶液に、所定量の溶剤を添加して希釈する方法、ポリイミドポリマーを再沈殿した後に、所定の溶媒中に再溶解させる方法、溶剤を徐々に留去しながら所定の溶媒を添加して組成を調整する方法のいずれでもよい。
ポリアミック酸組成物中のポリアミック酸の濃度は、10〜50質量部の範囲で調整されることが好ましい。
また、この溶媒はポリアニリン液を調製する際に用いられてもよい。その場合、ポリアニリン液中のポリアニリンの含有量は、0.1〜30質量%の範囲で調整されることが好ましい。
[添加剤]
また、ポリアミック酸組成物に添加することができる任意成分(添加剤)としては、カーボンブラック等が挙げられる。
(カーボンブラック)
任意成分であるカーボンブラックは、例えば、ポリアミック酸組成物を用いて得られる成型品の抵抗値を調整する目的で用いられる。
例えば、ポリアミック酸組成物を用いて、ポリイミド無端ベルトを得る場合、カーボンブラックの添加量は、ポリアミック酸組成物中のポリアミック酸100質量部に対して、0〜20質量部であることが好ましく、5〜10質量部であることがより好ましい。カーボンブラックの添加量が20質量部を超えると所望の抵抗値が得られ難くなる。更に、カーボンブラックを5〜10質量部含有させることにより、その効果を最大限発揮させることができ、表面抵抗率の面内ムラや電界依存性を顕著に向上させることができる。
[ポリアミック酸組成物の調製]
上記ポリアミック酸組成物は、下記に示す手順で調製される。
(a)ポリアニリンを溶解してなるポリアニリン液と、ポリアミック酸を溶解してなるポリアミック酸溶液とをそれぞれ調製する。調製されたポリアニリン液にドーパントを添加してポリアニリンを導電化した後、この混合液に、ポリアミック酸溶液を徐々に添加して、攪拌・混合することで、ポリアミック酸組成物が得られる。
(b)ポリアニリンを溶解してなるポリアニリン液と、ポリアミック酸を溶解してなるポリアミック酸溶液とをそれぞれ調製する。調製されたポリアミック酸溶液にドーパントを添加して得られた混合液に、ポリアニリン液を徐々に添加して、攪拌・混合することで、ポリアミック酸組成物が得られる。
なお、ポリアミック酸組成物の調製には、必要に応じて、上述のカーボンブラック等の任意成分を添加し、攪拌・分散する工程を含んでいてもよい。
このようにして得られたポリアミック酸組成物は、調整直後の粘度V0と、室温環境下、2日間経過後の粘度V2との粘度比V2/V0が、0.8以上1.2以下であることが好ましく、0.9以上1.15以下であることがより好ましい。V2/V0が0.8未満であると、粘度低下によって塗工時にタレなどを生じ、結果、成型品の不良箇所となる場合があり、一方、1.2を超えるとポリアニリンのゲルが生じ、抵抗の不均一や画質欠陥の原因となる場合がある
ここで、ポリアミック酸組成物の粘度は、液温25℃での粘度であり、HAKKE(株)社製定速粘度計PK100を用いて測定した値である。
以上、ポリアミック酸組成物について説明したが、本発明はこれらの実施の態様のみについて限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で,当業者の知識に基づき、種々なる改良、変更、修正を加えた態様で実施しうるものである。
本発明の樹脂成形品として、ポリイミド無端ベルトは、上述のポリアミック酸組成物を円筒状基材上に塗布する工程と、前記円筒状基材上に塗布された前記ポリアミック酸組成物を加熱する加熱処理工程と、を経ることで製造されることが好ましい。
このようにして得られたポリイミド無端ベルトは、ポリイミド成型体を主体とするものである。
ポリイミド無端ベルトの製造方法の一例を具体的に説明する。
まず、上述のポリアミック酸組成物を円筒状基材である金型の内面若しくは外面に塗布する。なお、金型の代わりに、樹脂製、ガラス製、セラミック製など、従来既知の様々な素材の円筒状成形型を用いることもできる。また、円筒状金型や円筒状成形型の表面にガラスコートやセラミックコートなどを設けること、また、シリコーン系やフッ素系の剥離剤を使用することも適宜選択されうる。
また、円筒状金型に対するクリアランス調整がなされた膜厚制御用金型を、円筒状金型に通し平行移動させることで、余分な溶液を排除し円筒状金型上の溶液の厚みを均一にする方法を適用してもよい。円筒状金型上への溶液塗布の段階で、溶液の均一な厚み制御がなされていれば、特に膜厚制御用金型を用いなくてもよい。
次に、ポリアミック酸組成物が塗布された円筒状金型を、加熱環境に置き、含有溶媒の30質量%以上好ましくは50質量%以上を揮発させるための乾燥を行う。この際、乾燥温度は50〜200℃の範囲であることが好ましい。
更に、この円筒状金型を温度150℃〜300℃で加熱してイミド転化反応を十分に進行させる。イミド転化反応の温度は、原料のテトラカルボン酸二無水物及びジアミンの種類、によってそれぞれ異なるが、イミド化が不充分であると、機械的特性及び電気的特性に劣るものとなるため、イミド転化が完結する温度に設定しなければならない。
その後、円筒状金型からポリイミドを取り外し、ベルト状のポリイミド(ポリイミド無端ベルト)を得ることができる。
このようにして得られたポリイミド無端ベルトは、上述のように、温度や湿度の環境変化に対する電気抵抗値の変動と、印加電圧変化による電気抵抗値の変動とがともに小さくなる。
以上、ポリイミド無端ベルトについて説明したが、本発明はこれらの実施の態様のみに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で、当業者の知識に基づき、種々なる改良、変更、修正を加えた態様で実施しうるものである。
なお、ポリアミック酸組成物を塗布する基材の形状を変えれば、所望の形状のポリイミド成形品を得ることが可能である。具体的には、例えば、板状の基材にポリアミック酸組成物を塗布すれば、フィルムやシート形状のポリイミド成形品を得ることが可能である。
以下、本発明に対応する複数の実施例及びこれらの実施例に対する比較例について述べる。なお、これらの実施例は全て例示であり、この記述によって本発明の適用範囲が制限されるものではない。
[実施例A0]
<ポリアミック酸溶液(a)の調製>
攪拌棒、温度計、滴下ロートを取り付けたフラスコ中に、五酸化リンによって乾燥した窒素ガスを通じ、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物29.42g(0.1モル)とN−メチル−2−ピロリドン(NMP)117.68gを注入した。十分攪拌・溶解した後、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル20.02g(0.1モル)をN−メチル−2−ピロリドン80.08gに溶解させた溶液を10℃に保持したフラスコ内に徐々に滴下した。ジアミン溶液滴下後10〜15℃にて攪拌・重合を行った。反応溶液を大量のメタノール中に注ぎ、再沈殿精製を行った。析出した白色ポリマーを、濾別・乾燥した後、N−メチル−2−ピロリドンに再溶解させて20質量%ポリアミック酸溶液(a)を得た。
<ポリアニリンの合成>
10L−セパラブル・フラスコに、イオン交換水6000g、35%塩酸400ml、及びアニリン400g(4.295モル)を仕込み、攪拌を行ってアニリンを溶解させた。ビーカー容器に、氷水にて冷却しながら、イオン交換水1493gに、98%濃硫酸434g(4.295モル)を添加・混合して、硫酸水溶液を調製した。この硫酸水溶液をアニリン溶液に氷冷しながら徐々に加えた。
次に、ペルオキソ二硫酸アンモニウム980g(4.295モル)をイオン交換2300gに溶解させた酸化剤水溶液を、アニリン溶液に氷冷しながら徐々に滴下した。滴下後、無色透明の溶液は、重合の進行に伴って緑青色から黒緑色となり、次いで、黒緑色の粉末が析出した。そして、ペルオキソ二硫酸アンモニウム水溶液の滴下後、更に1時間、攪拌を続けた。
得られた粉末を濾別し、水洗、アセトン洗浄し、室温で真空乾燥して、硫酸にてドープされた導電性ポリアニリン430gを黒緑色の粉末として得た。
続いて、ドープ状態の導電性ポリアニリン粉末350gを、2Nアンモニア水4リットル中に加え、ホモミキサーにて回転数5000rpmにて5時間攪拌した。混合物は、黒緑色から青紫色に変化した。粉末を濾別し、イオン交換水・アセトンにて洗浄して、室温にて10時間真空乾燥して、黒褐色の脱ドープされたポリアニリン粉末280gを得た。
<ポリアニリン液の調製>
上記の方法で得られたポリアニリン粉末(脱ドープ状態)18.22g(0.05モル)をヒドラジンを用いて還元したのち、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)180g中に溶解させて、ポリアニリン液を得た。
<ポリアミック酸組成物の調製>
上記の方法で調製されたポリアニリン液に、これにドーパントとして、フェノールスルホン酸2.61g(0.015モル)を添加した。これを、上記の方法で得られた20質量%ポリアミック酸溶液(a)500gに、攪拌を行いながら徐々に添加した。その後、50μm孔金属メッシュにて凝集物を除去して、ポリアミック酸組成物を得た。
このようにして得られたポリアミック酸組成物の組成は以下の通りである。
−ポリアミック酸組成物の組成−
・ポリアミック酸;100g
・ポリアニリン ;18.22g
(0.05モル;ポリアミック酸100質量部に対して18.22質量部)
・ドーパント ;2.61g
0.015モル;ポリアニリンの繰り返し単位1モルに対して0.15モル当量)
・溶媒 ;580g
[評価]
得られたポリアミック酸組成物において調整直後の粘度V0と、室温環境下、2日間経過後の粘度V2との粘度比V2/V0について、以下のように評価した。
(粘度比)
得られたポリアミック酸組成物を液温25℃に調整した後、HAKKE(株)社製定速粘度計PK100を用いて3回測定した粘度の平均値を粘度V0とした。また、得られたポリアミック酸組成物を室温環境下にて2日間保持した後、液温を25℃に調整し、HAKKE(株)社製定速粘度計PK100を用いて3回測定した粘度の平均値を粘度V2とした。得られた値から粘度比V2/V0を求めた。結果を表1に示した。
<ポリイミドフィルムの製造>
得られたポリアミック酸組成物を長さ300mm、スリット0.4mmのTダイを用いてSUS薄板上にキャスティングした。フィルムを45分間かけて40℃から150℃に加熱し、半硬化したポリアミック酸のフィルムを作製した。次いで、半硬化ポリアミック酸フィルムを高温のオーブンを通し、ポリアミック酸をポリイミドに硬化させた。高温オープンで、320℃から350℃の間の空気温度に20分間フィルムを曝し80μmのポリイミドフィルムを得た。
[実施例A0〜A4、比較例A1〜A4]
ポリアミック酸組成物の処方又はフィルムの厚みを下記表1に示すように変更したこと以外は実施例A0と同様にしてポリイミドフィルムを作製した。
表1において、「PI」はポリイミドを示し、「PAI」はポリアミドイミドを示し、「C.B.」はカーボンブラックを示す。
また、ドーパントの酸解離定数pKaを以下に示す。
phOH−SO3H:1.1
phOH:9.99
また、ドーパント量は、前記式(1)で示される繰り返し単位1モルに対するモル当量数である。
[評価]
得られたポリイミドフィルムの厚み、電気特性(表面抵抗率、表面抵抗率の環境変動、体積抵抗率の電界変動)について、以下のように評価した。
(厚み)
得られたポリイミドフィルムから、大きさ20mm×200mmの試験片をランダムに10箇所切りだし、フィルム厚み計(定圧厚さ測定器 PG−02型(TECLOCK))を用いて測定し、その平均値をポリイミド無端ベルトの厚みとした。また、その最大値をポリイミド無端ベルトの最大厚み、最小値を最小厚みとし、ポリイミド無端ベルトの最大厚みと最小厚みとの差も求め、ポリイミド無端ベルトの厚み差とした。測定結果を表1に示した。
「電気特性の評価」
(表面抵抗率の測定)
表面抵抗率は、ポリイミドフィルムの表面に沿って流れる電流と平行方向の電位傾度を、表面の単位幅当たりの電流で除した数値である。この数値は、各辺1cmの正方形の相対する辺を電極とする二つの電極間の表面抵抗に等しい。表面抵抗率の単位は、正式には(Ω)だが、単なる抵抗と区別するため(Ω/□)と記載されるのが一般的である。従って、本願においては、(Ω/□)と(Ω/cm2)は同等の単位である。
得られたポリイミドフィルムの表面抵抗率の測定には、R8340A デジタル超高抵抗/微小電流計(株式会社アドバンテスト社製)、接続部をR8340A用に改造した二重リング電極構造のURプローブMCP−HTP12、及びレジテーブルUFL MCP−ST03(何れも、株式会社ダイアインスツルメンツ社製)を用い、JIS K6911(1995)に準拠して行った。
なお、測定の際の試験片は、実施例・比較例にて製造したベルト片を用いた。
レジテーブルUFL MCP−ST03(フッ素樹脂面を使用)上に、測定面を上にして、試験片を置き、測定面に接するようにURプローブMCP−HTP12の二重電極を当てた。なお、URプローブMCP−HTP12の上部には質量2.00kg±0.10kg(19.6N±1.0N)の錘を取り付け、試験片に一様な荷重がかかるようにした。
R8340A デジタル超高抵抗/微小電流計の測定条件は、チャージタイムを30sec、ディスチャージタイムを1sec、印加電圧を100Vとした。
この時、試験片の表面抵抗率をρs、R8340Aデジタル超高抵抗/微小電流計の読み値をR、URプローブMCP−HTP12の表面抵抗率補正係数をRCF(S)とすると、三菱化学「抵抗率計シリーズ」カタログによればRCF(S)=10.00なので、下記式(1)のようになる。
すなわち、式(1):ρs[Ω/□]=R×RCF(S)=R×10.00となる。
(体積抵抗率の測定)
体積抵抗率は、ポリイミドフィルムの内部を流れる電流と平行方向の電位傾度を、その電流密度で除した数値である。この数値は各辺1cmの立方体の相対する2表面を電極とする二つの電極間の体積抵抗に等しい。
ポリイミドフィルムの体積抵抗率の測定には、R8340A デジタル超高抵抗/微小電流計(株式会社 アドバンテスト社製)と、接続部をR8340A用に改造した二重リング電極構造のURプローブMCP−HTP12及びレジテーブルUFL MCP−ST03(何れも、株式会社 ダイアインスツルメンツ社製)を用い、JIS K6911(1995)に準拠して行った。
なお、測定の際の試験片は、実施例・比較例で製造したフィルム片を用いた。
レジテーブUFL MCP−ST03(金属面を下部電極として使用)上に、試験片を置き、上部電極としてURプローブMCP−HTP12の二重電極部を当てた。なお、URプローブMCP−HTP12の上部には質量2.00kg±0.10kg(19.6N±1.0N)の錘を取り付け、試験片に一様な荷重がかかるようにした。
R8340A デジタル超高抵抗/微小電流計の測定条件は、チャージタイムを30sec、ディスチャージタイムを1sec、印加電圧を100Vとした。
この時、試験片の体積抵抗率をρv、フィルムの厚さt(μm)、R8340A デジタル超高抵抗/微小電流計の読み値をR、URプローブMCP−HTP12の体積抵抗率補正係数をRCF(V)とすると、三菱化学「抵抗率計シリーズ」カタログによれば、RCF(V)=2.011なので、下記式(2)のようになる。
すなわち、式(2):ρv[Ω・cm]=R×RCF(V)×(10000/t)=R×2.011×(10000/t)となる。
上記測定方法に従って、22℃55%RHの条件下において100Vの電圧を印加した時の表面抵抗率の常用対数値(logΩ/□)、22℃55%RHの条件下において10V及び100Vの電圧を印加した時の体積抵抗率の常用対数値の差(logΩcm)と、28℃85%RH及び10℃15%RHの条件下において100Vの電圧を印加した時の表面抵抗率の常用対数値の差(logΩ/□)を求めた。結果を表1に示す。
以上より明らかなように、本発明の樹脂成形品であるポリイミドフィルムは、樹脂としてポリイミド又はポリアミドイミドを使用し、導電剤として、ポリアニリンを使用し、該ポリアニリンに対するドーパントとその量を表1のようにした実施例A0〜A4は、いずれも表面抵抗率の環境変動と体積抵抗率の電界依存とがともに良好な結果を示した。これに対し、導電剤、ドーパント種、又はドーパント量を実施例とは異ならせた比較例A1〜A4は上記表面抵抗率及び体積抵抗率のいずれも、満足できる数値とはならなかった。

Claims (5)

  1. 樹脂と、還元処理されたポリアニリンと、酸解離定数pKaが5以下のプロトン酸であるドーパントと、溶媒と、が含有されてなり、
    前記ドーパントが、前記還元処理されたポリアニリンにおけるドーピングにより導電性が発現する最小構成単位1モルに対して0.1〜0.75モル当量で含有されてなることを特徴とする樹脂組成物。
  2. 前記樹脂がポリアミック酸であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記還元処理されたポリアニリンが、前記ドーピングにより導電性が発現する最小構成単位として、下記式(1)で示される繰り返し単位を有するポリアニリンであることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記ドーパントがフェノールスルホン酸であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含む樹脂成形品。
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