JP5866778B2 - 円筒状成形体の製造方法 - Google Patents
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Description
例えば、フッ素化ポリイミド樹脂を使用した定着部材(加熱ベルト、加圧ベルト)が提案されている(特許文献1参照)。
また、ポリイミド樹脂にフッ素樹脂粒子を分散させ、さらにポリイミド表面にフッ素樹脂を分散偏在させた定着部材も提案されている(特許文献2参照)。
また、フッ素原子を含有するフッ素樹脂をベルト基材に塗布する方法が提案されている(特許文献5参照)。
また、表面層にポリイミド樹脂とフッ素樹脂とを併用した定着ベルトも提案されている(特許文献11参照)。
また、内周面にポリイミド樹脂とフッ素樹脂とを併用した層を設けた定着ベルトも提案されている(特許文献12参照)。
また、表面層にポリイミド樹脂とフッ素樹脂とを併用した定着ロールも提案されている(特許文献13参照)。
体積平均粒径が40μm以上2mm以下である熱可塑性ポリイミド系樹脂粒子と、体積平均粒径が0.5μm以上20μm以下であるフッ素樹脂粒子とが溶媒中に分散された溶液を、被塗布物上に塗布して塗膜を形成した後、前記塗膜に対して加熱処理を施して、前記熱可塑性ポリイミド系樹脂粒子と前記フッ素樹脂粒子とを含む層状の混合物の前記ポリイミド系樹脂粒子の溶融層又は軟化層を形成する工程を有する円筒状成形体の製造方法。
図1は、実施形態に係る円筒状成形体を示す概略斜視図である。図2は、図1のA−A概略断面図である。
そして、最外層11として、熱可塑性ポリイミド系樹脂粒子とフッ素樹脂粒子とを含む層状の混合物の前記ポリイミド系樹脂粒子の溶融層又は軟化層(以下、単に「ポリイミド樹脂層」と称することがある)を適用している。ただし、本実施形態では、熱可塑性ポリイミド系樹脂粒子の体積平均粒径は40μm以上2mm以下とし、フッ素樹脂粒子の体積平均粒径は0.5μm以上20μm以下とする。
具体的には、最外層11としてのポリイミド系樹脂層は、例えば、熱可塑性ポリイミド系樹脂粒子とフッ素樹脂粒子とが溶媒中に分散された溶液の塗膜(当該塗膜が熱可塑性ポリイミド系樹脂粒子とフッ素樹脂粒子とを含む混合物に相当)に対して、加熱処理を施すことで得られた層であることがよい。
つまり、ポリイミド系樹脂層は、熱可塑性ポリイミド系樹脂粒子とフッ素樹脂粒子とを含む混合物を層状に形成し、加熱により熱可塑性ポリイミド系樹脂粒子を溶融又軟化させた層である。
この理由は定かではないが、以下の理由によるものと推測される。
そして、このような状態でフッ素樹脂粒子が含まれるポリイミド系樹脂層に対して、例えば、曲げや伸び機械的負荷が掛けられると、ポリイミド系樹脂とフッ素樹脂粒子との濡れ性の違いのためか、フッ素樹脂粒子の凝集存在個所、並びにフッ素樹脂凝集体とポリイミド系樹脂との界面部に応力が集中して、局所的な割れが生じ易くなるものと考えられる。
そして、このような互いの粒子が混ざり合った状態を作り出すには、例えば、熱可塑性ポリイミド系樹脂粒子とフッ素樹脂粒子と溶媒に分散させることがよいと考えられる。これは、フッ素樹脂粒子を分散させたポリイミド系樹脂前駆体溶液からの加工の際に見られるポリイミド樹脂前駆体のイミド反応を伴わないため、フッ素樹脂粒子の凝集が少なくなり、また、先に示したフッ素樹脂粒子を分散させたポリイミド系樹脂前駆体溶液からの加工や、溶融した熱可塑性ポリイミド系樹脂にフッ素樹脂粒子を分散して加工する場合に比べて、分散物の粘度が低いため、容易に分散できるためと考えられるからである。
即ち、ポリイミド系樹脂層中に、フッ素樹脂粒子が均一に分散して含まれ易くなると考えられる。
つまり、本実施形態に係る無端ベルト10では、曲げや伸び等の機械的負荷に対して、最外層11の局所的な割れが抑制されることから、例えば、画像形成装置用部材として有用である。
そして、当該画像形成装置用部材を備えた画像形成装置では、最外層11(ポリイミド系樹脂層の一例)の局所的な割れに起因する画像欠陥が抑制される。
最外層11は、例えば、フッ素樹脂粒子を含んで構成されたポリイミド系樹脂層であって、熱可塑性ポリイミド系樹脂粒子とフッ素樹脂粒子とを含む混合物のポリイミド系樹脂層である。
具体的には、最外層11としてのポリイミド系樹脂層は、例えば、熱可塑性ポリイミド系樹脂粒子とフッ素樹脂粒子とが溶媒中に分散された溶液の塗膜に対して、加熱処理を施すことで得られた層である。
この場合、例えば、最外層11としてのポリイミド系樹脂層は、例えば、熱可塑性ポリイミド系樹脂粒子とフッ素樹脂粒子とが溶媒中に分散された溶液であって、導電材料も溶媒に分散又は溶解された溶液の塗膜に対して、加熱処理を施すことで得られた層である。
熱可塑性ポリイミド系樹脂粒子を構成する熱可塑性ポリイミド樹脂とは、例えば、加熱により溶融成形可能な樹脂であって、イミド環構造の繰り返し単位を有する重合体である。熱可塑性ポリイミド系樹脂の熱的特性に関しては、加工上の観点より、融解し得る溶融温度又は軟化温度を持ち、溶融温度又は軟化温度が熱分解温度よりも低いことがよい。
ここで、溶融温度は、融点(Tm)で代表される結晶質樹脂部が溶融する温度で求められる値である。
また、軟化温度は所謂ガラス転移温度(Tg)で示される 非晶質樹脂部の溶融する温度で求められる値である。
熱可塑性ポリイミド系樹脂粒子の体積平均粒径は、例えば、0.2μm以上2mm以下であることがよく、望ましくは 0.5μm以上1mm以下であり、より望ましくは 1μm以上100μm以下である。係る体積平均粒径となるように、大きな粒径の熱可塑性樹脂は粉砕して用いられる。
体積平均粒径を上記範囲とすると、熱可塑性ポリイミド系樹脂粒子同士で凝集し難く、フッ素樹脂粒子と混ざり易くなり、また、ポリイミド系樹脂層の厚みに対して小さく、粒子が存在することによる部分的な強度不良(つまり、粒子の存在により部分的に樹脂の存在率が低くなることによる部分的な強度不良)が抑制され、結果、ポリイミド系樹脂層の局所的な割れが抑制され易くなる。
なお、体積平均粒径は、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定、動的光散乱法等の方法にて測定される。
ポリイミド系樹脂粒子は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
フッ素樹脂粒子を構成するフッ素樹脂としては、例えば、完全フッ素化樹脂、部分フッ素化樹脂、フッ素化樹脂共重合体等が挙げられる。
完全フッ素化樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(四フッ素化樹脂、略号:PTFE)等が挙げられる。
部分フッ素化樹脂としては、ポリクロロトリフルオロエチレン(三フッ素化樹脂、略号:PCTFE,CTFE)、ポリフッ化ビニリデン(略号:PVDF)、ポリフッ化ビニル(略号:PVF)等が挙げられる。
フッ素化樹脂共重合体としては、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(略号:PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(略号:FEP)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(略号:ETFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(略号:ECTFE)、ポリテトラフルオロエチレン(四フッ素化樹脂、略号:PTFE)等が挙げられる。
フッ素樹脂粒子の体積平均粒径は、例えば、0.5μm以上70μm以下であることがよく、望ましくは1μm以上50μm以下であり、より望ましくは2μm以上20μm以下である。
体積平均粒径を上記範囲とすると、フッ素樹脂粒子同士で凝集し難く、熱可塑性ポリイミド系樹脂粒子と混ざり易くなり、また、ポリイミド系樹脂層の厚みに対して小さく、粒子が存在することによる部分的な強度不良(つまり、粒子の存在により部分的に樹脂の存在率が低くなることによる部分的な強度不良)が抑制され、結果、ポリイミド系樹脂層の局所的な割れが抑制され易くなる。
なお、体積平均粒径は、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定、動的光散乱法、などの方法にて測定される。
フッ素樹脂粒子は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
導電材料としては、導電性(例えば体積抵抗率107Ω・cm未満、以下同様である)もしくは半導電性(例えば体積抵抗率107Ω・cm以上1013Ω・cm以下、以下同様である)のものが挙げられる。
導電材料として具体的は、例えば、カーボンブラック(例えばケッチエンブラック、アセチレンブラック、表面が酸化処理されたカーボンブラック等)、金属(例えばアルミニウムやニッケル等)、酸化金属化合物(例えば酸化イットリウム、酸化錫等)、イオン導電性物質(例えばチタン酸カリウム、LiCl等)、導電性高分子(例えばポリアニリン、ポリピロール、ポリサルフォン、ポリアセチレンなど)等が挙げられる。
導電材料は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
基材層12は、樹脂材料を含んで構成される。基材層12も、無端ベルト10の用途に応じて(例えば中間転写体[中間転写ベルト]や、搬送転写体[搬送転写ベルト]等の転写ベルトに適用する場合)、導電材料を含んで構成される。
樹脂材料としては、樹脂材料は、そのヤング率が、ベルト厚みによっても異なるが、望ましくは、3500MPa以上、より望ましくは4000MPa以上であればよく、ベルトとしての機械特性が満足される。樹脂としては、上記ヤング率を満たせば、制限はないが、例えば、ポリイミド系樹脂(例えば、熱可塑性、又は熱硬化性のポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂)、ポリアミド樹脂、ポリエーテルエーテルエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、補強材を添加してなるポリエステル樹脂などが挙げられる。
導電材料についても、最外層11を構成する導電材料と同様なものが挙げられる。
本実施形態に係る無端ベルト10は、周方向に屈曲半径5mmにて135°の変形を加えたとき、最外層11(ポリイミド系樹脂層)に破損(割れ、折れ等)が発生しないことがよい。
式:ρs=π×(D+d)/(D−d)×(V/I)
なお、表面抵抗率は、円形電極(三菱油化(株)製ハイレスターIPのURプローブ:円柱状電極部Cの外径Φ16mm、リング状電極部Dの内径Φ30mm、外径Φ40mm)を用い、22℃/55%RH環境下、電圧500V、10秒印加後の電流値を求め算出する。
式ρv=19.6×(V/I)×t
なお、体積抵抗率は、円形電極(三菱油化(株)製ハイレスターIPのURプローブ:円柱状電極部Cの外径Φ16mm、リング状電極部Dの内径Φ30mm、外径Φ40mm)を用い、22℃/55%RH環境下、電圧500V、10秒印加後の電流値を求め算出する。
なお、無端ベルト10として、基材層12の樹脂材料としてポリイミド樹脂、基材層12及び最外層11に導電材料としてカーボンブラックを含ませた形態の製造方法について説明するが、これに限られるわけではない。
具体的には、例えば、有機極性溶媒中にテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物を溶解させ、これにカーボンブラックを分散させた後、重合してカーボンブラックを分散させたポリアミック酸溶液を準備する。
この際、ポリアミック酸溶液における、モノマー濃度(溶媒中におけるテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物の濃度)は種々の条件により設定されるが、5質量%以上30質量%以下が望ましい。また、重合反応温度は80℃以下に設定することが望ましく、特に望ましくは5℃以上50℃以下であり、重合反応時間は5時間以上10時間以下である。
塗布液の円筒状金型への塗布方法は、特に制限はなく、例えば、円筒状金型の外周面に浸漬する方法や、円筒状金型の内周面に塗布する方法、軸を水平にして円筒状金型を回転させながら、その外周面又は内周面にらせん状に塗布する方法や、円筒状金型の外周と特定の間隔を有するダイを用い塗布する方法により塗布する方法等が挙げられる。
具体的には、例えば、熱可塑性ポリイミド系樹脂粒子、フッ素樹脂粒子、カーボンブラックを溶媒に添加し、攪拌処理を行って分散液を準備してもよく、予めそれぞれの粒子の分散液を調製し、これら分散液を混合して準備してもよい。
例えば、熱可塑性ポリイミド系樹脂粒子、及びカーボンブラック(粒子状の導電材料)を分散させる分散剤としては、低分子量でも高分子量のものでもよく、またカチオン系、アニオン系、非イオン系から選ばれるいずれの種類の分散剤が挙げられるが、特に、非イオン系高分子が望ましい。
非イオン系高分子としては、ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)、ポリ(N,N’−ジエチルアクリルアジド)、ポリ(N−ビニルホルムアミド)、ポリ(N−ビニルアセトアミド)、ポリ(N−ビニルフタルアミド)、ポリ(N−ビニルコハク酸アミド)、ポリ(N−ビニル尿素)、ポリ(N−ビニルピペリドン)、ポリ(N−ビニルカプロラクタム)、ポリ(N−ビニルオキサゾリン)等が挙げられ、単独又は複数の非イオン系高分子を添加してもよい。
本分散剤の添加量は、層を構成する成分全体に対して100質量部に対して、例えば、0.2質量部以上3質量部以下であることがよい。
フッ素系グラフトポリマーとしては、分子鎖の片方の末端に重合性の官能基を有するマクロモノマーと、フッ化アルキル基を有する重合性フッ素系モノマーと、の共重合体が挙げられる。
フッ素系グラフトポリマーとして具体的には、例えば、マクロマーとして、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン化合物等の重合体又はそれらの共重合体と、フッ素系モノマーとして、パーフルオロアルキルエチルメタクリレート、パーフルオロアルキルメタクリレート等との、グラフト共重合体が挙げられる。
マクロモノマーと重合性フッ素系モノマーとの重合比は、例えば、フッ素系グラフトポリマー中のフッ素含有量として10質量%以上50質量%以下(望ましくは10質量%以上40質量%以下、より望ましくは10質量%以上30質量%以下)となる重合比であることがよい。
フッ素系グラフトポリマーの分子量は、例えば、数平均分子量で5000以上20000以下であることよく、望ましくは5000以上17500以下、より望ましくは5000以上12000以下である。
フッ素系グラフトポリマーの量は、例えば、層を構成する成分全体に対して100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下であることがよい。
塗布液の円筒状金型への塗布方法は、特に制限はなく、基材層形成用塗布液の塗布方法と同様である。
本加熱処理は、基材層12となる皮膜のポリアミック酸がイミド化する条件(温度・時間)、及び最外層11となる皮膜のポリイミド系樹脂粒子が溶融又は軟化する条件(温度・時間)で行う。通常は、基材層となる皮膜のポリアミック酸がイミド化反応が生じる条件で行えば、最外層となる皮膜のポリイミド系樹脂粒子が溶融又は軟化する条件となる。
そして、本加熱処理を行った後、皮膜を芯体から抜き取る。これにより、基材層12及び最外層11の積層体である無端ベルト10が得られる。
また、基材層12を複数層としてもよく、基材層12と最外層11との間、基材層12と最内層13との間に、中間層(例えば無端ベルト10を電磁誘導加熱方式の加熱ベルトとして適用する場合、金属発熱層等)等を設けた形態であってもよい。
図5は、本実施形態に係る円筒状成形体ユニットを示す概略斜視図である。
本実施形態に係る円筒状成形体ユニット130(以下、無端ベルトユニットと称する)は、図5に示すように、上記本実施形態に係る無端ベルト10を備えており、例えば、無端ベルト10は対向して配置された駆動ロール131及び従動ロール132により張力がかかった状態で掛け渡されている(以下、「張架」という場合がある。)。
ここで、本実施形態に係る無端ベルトユニット130は、無端ベルト10を中間転写体として適用させる場合、無端ベルト10を張架するロールとして、感光体(像保持体)表面のトナー像を無端ベルト10上に一次転写させるためのロールと、無端ベルト10上に転写されたトナー像をさらに記録媒体に二次転写させるためのロールが配置される。
なお、無端ベルト10を張架するロールの数は限定されず、使用態様に応じて配置すればよい。このような構成の無端ベルトユニット130は、装置に組み込まれて使用され、駆動ロール131,従動ロール132の回転に伴って無端ベルト10も張架した状態で回転する。
本実施形態に係る無端ベルトは、画像形成装置用部材(本実施形態に係る画像形成用部材)として利用し得る。
画像形成装置用部材としては、例えば、中間転写体(中間転写ベルト)、記録媒体搬送転写部材(記録媒体搬送ベルト)、記録媒体搬送部材(記録媒体搬送ベルト)、定着部材(定着ベルト:加熱ベルトや加圧ベルト)等が挙げられる。
なお、本実施形態に係る無端ベルトは、画像形成装置用部材以外にも、例えば、搬送ベルト、駆動ベルト、ラミネートベルト、電気絶縁材、配管被覆材、電磁波絶縁材、熱源絶縁体、電磁波吸収フィルム等にも利用し得る。
本実施形態に係る画像形成装置は、本実施形態に係る無端ベルトで構成された画像形成装置用部材(本実施形態に係る画像形成用部材)を備えて構成される。
例えば、本実施形態に係る画像形成装置は、中間転写体(中間転写ベルト)、記録媒体搬送転写部材(記録媒体搬送ベルト)、記録媒体搬送部材(記録媒体搬送ベルト)、定着部材(定着ベルト:加熱ベルトや加圧ベルト)等の画像形成装置用部材として、本実施形態に係る無端ベルト10を備える。
なお、以下に示す具体例において、定着手段としては、一対の定着ロールを備えたものが用いられているが、少なくとも一方の定着ロールを定着ベルトに置き換え、当該定着ベルトとして本実施形態に係る無端ベルトを備えたものでもよい。
従って、例えば、感光体101Yに書き込まれた静電潜像はイエローの画像情報に対応したものであり、この静電潜像はイエロー(Y)のトナーを内包する現像装置105で現像され、感光体101Y上にはイエローのトナー像が形成される。
熱可塑性ポリイミド樹脂として三井化学社製AURUM溶融成型ペレットを、Retsch社 製超遠心粉砕機ZM200を用いて、8000rpmにて粉砕処理を行った。粉砕後の熱可塑性ポリイミド樹脂粒子の体積平均粒径は、50μmであった。
熱可塑性ポリイミド樹脂粒子200g、フッ素樹脂粒子としてPTFE粒子(ダイキン化成ルブロンL−2:体積平均粒径3μm)200g、及び導電材料としてカーボンブラック(デグザ社製SB−4)80gを、ポリリン酸ナトリウム1gを溶解させたイオン交換水200ml、イソプロピルアルコール200ml中に徐々に加えながら混合した。この溶液に対して、ハイフレクックスディスパーサー(株式会社エスエムテー社製)を用いて、500rpm×10分間分散処理を行って、熱可塑性ポリイミド樹脂塗布液(A−1)を調整した。
熱可塑性ポリアミドイミド樹脂として、ソルベイアドバンストポリマーズ社製トーロン4203の溶融成型ペレットを、Retsch社製超遠心粉砕機ZM200を用いて、8000rpmにて粉砕処理を行った。粉砕後の熱可塑性ポリイミド粒子の体積平均粒径は、60μmであった。
熱可塑性ポリアミドイミド粒子200g、フッ素樹脂粒子としてPTFE粒子(ダイキン化成ルブロンL−2:体積平均粒径3μm)200g、及び導電材料としてカーボンブラック(デグザ社製SB−4)80gを、ポリリン酸ナトリウム1gを溶解させたイオン交換水200ml、イソプロピルアルコール200ml中に徐々に加えながら混合した。この混合液に対して、ハイフレクックスディスパーサー(株式会社エスエムテー社製)を用いて、500rpm×10分間分散処理を行って、熱可塑性ポリアミドイミド樹脂塗布液(B−1)を調整した。
熱可塑性ポリエーテルイミド樹脂として、GEプラスチックス社製ULTEMの溶融成型ペレットを、Retsch社製超遠心粉砕機ZM200を用いて、8000rpmにて粉砕処理を行った。粉砕後の熱可塑性ポリエーテルイミド粒子の体積平均粒径は、40μmであった。
熱可塑性ポリエーテルイミド樹脂粒子200g、フッ素樹脂としてPTFE粒子(ダイキン化成ルブロンL−2:体積平均粒径3μm)200g、及び導電材料としてカーボンブラック(デグザ社製SB−4)80gを、ポリリン酸ナトリウム1gを溶解させたイオン交換水200ml、イソプロピルアルコール200ml中に徐々に加えながら混合した。ハイフレクックスディスパーサーを用いて、500rpm×10分間分散処理を行って、熱可塑性ポリエーテルイミド樹脂塗布液(C−1)を調整した。
調製例1において、ポリイミド系樹脂種、フッ素樹脂種、カーボンブラック、これらの配合量(配合比)を表1〜2に従って変更した以外は、調製例1と同様に処理を行い、熱可塑性ポリイミド樹脂塗布液(A−3〜A−6)を調整した。
熱可塑性ポリイミド樹脂溶解溶液として、DIC社製ポリイミドワニスユニディックV8004(固形分率22質量%)300g(樹脂分量66g)中に、PTFE粒子(ダイキン化成ルブロンL−2:体積平均粒径3μm)66g、及び導電材料としてカーボンブラック(デグザ社製SB−4)26.6gを徐々に加えながら混合した。この溶液に対して、ハイフレクックスディスパーサー(株式会社エスエムテー社製)を用いて、500rpm×10分間分散処理を行って、熱可塑性ポリイミド樹脂塗布液(A−2)を調整した。
熱可塑性ポリアミドイミド樹脂溶解溶液として、東洋紡社製ポリアミドイミドワニスバイロマックスHR16NN(固形分率14質量%)500g(樹脂分量70g)中に、フッ素樹脂粒子としてPTFE粒子(ダイキン化成ルブロンL−2:体積平均粒径3μm)70g、及び導電材料としてカーボンブラック(デグザ社製SB−4)28gを徐々に加えながら混合した。この溶液に対して、ハイフレクックスディスパーサー(株式会社エスエムテー社製)を用いて、500rpm×10分間分散処理を行って、熱可塑性ポリイミド樹脂塗布液(B−2)を調整した。
調製例1において、ポリイミド系樹脂種、フッ素樹脂種、カーボンブラック、これらの配合量(配合比)を表1〜2に従って変更した以外は、調製例1と同様に処理を行い、熱可塑性ポリイミド樹脂塗布液(A−7〜A−10)を調整した。
熱硬化性ポリイミド樹脂(その前駆体溶液となるポリアミック酸溶液)として、宇部興産社製ポリイミドワニス(商品名;U−ワニス−A:固形分20質量%)1000g(樹脂固形分400g)中に、カーボンブラック120gを徐々に加えながら混合した。この溶液に対して、ハイフレクックスディスパーサーを用いて、500rpm×10分間分散処理を行って、熱硬化性ポリイミド樹脂塗布液(G−1)を調整した。
熱硬化性ポリイミド樹脂(その前駆体溶液となるポリアミック酸溶液)として、宇部興産社製ポリイミドワニス(商品名;U−ワニス−A:固形分20質量%)1000g(樹脂固形分400g)中に、フッ素樹脂としてPTFE粒子(ダイキン化成ルブロンL−2:体積平均粒径3μm)200g、及びカーボンブラック40gを徐々に加えながら混合した。この溶液に対して、ハイフレクックスディスパーサーを用いて、500rpm×10分間分散処理を行って、熱硬化性ポリイミド樹脂塗布液(G−2)を調整した。
外径90mm、長さ450mmのSUS材料製筒型金型を用意し、その外表面にシリコーン系離型剤を塗布・乾燥処理を行った(離型剤処理)。離型剤処理を施した円筒型金型を周方向に10rpmの速度で回転させながら、円筒型金型端部より、基材層形成用塗布液としての熱硬化性ポリイミド樹脂塗布液(G−1)を、口径1.0mmディスペンサーより吐出しながら、金型上に設置した金属ブレードにて一様の圧力で押し付けながら塗布を行った。ディスペンサーユニットを円筒型金型の軸方向に100mm/分の速度で移動させることによって円筒型金型上に螺旋状に塗布液を塗布した。塗布後、ブレードを解除して円筒状金型を2分間回転し続けレベリングを行った。
その後、塗膜を形成した円筒状金型を乾燥炉中で150℃空気雰囲気下、10rpmで回転させながら、30分乾燥処理を行った。乾燥後、塗膜より溶媒が揮発することで塗膜は自己支持性を有するポリアミック酸の皮膜(基材層となる皮膜)と変化した。
その後、ポリアミック酸の皮膜上に上記塗膜を形成した円筒状金型を乾燥炉中で150℃空気雰囲気下、10rpmで回転させながら、30分乾燥処理を行った。これにより、ポリアミック酸の皮膜上に、最外層となる皮膜(各粒子の層状の混合物)を形成した。
その後、金型を25℃にして、金型から皮膜樹脂を取り外し、基材層と最外層とが積層された目的の無端ベルト(ST−1)を得た。
使用する基材層形成用塗布液、及び最外層形成用塗布液を、表3〜4に従って変更した以外は、実施例1と同様にして無端ベルト(ST−2)〜(ST−7)、(RT−1)(RE−2)〜(RE−7)を得た。
各例で得られた無端ベルトにつき、以下の評価を行った。その結果を表3〜4に示す。
得られた無端ベルトの表面を、ボイドの有無、膜収縮の有無について目視にて観察した。各評価は、下記基準により評価した。
−ボイド−
○:表面にボイドが発生していないもの
△:表面に1mm以下のボイド1〜10個が発生しているもの
×:表面に1mm以下のボイド11個以上、もしくは、1mm以上のボイドが発生しているもの
−膜収縮−
○:表面に膜収縮が発生していないもの
×:表面に膜収縮が発生しているもの
得られた無端ベルトから試験片をランダムに10箇所切りだし、フィルム厚み計を用いて膜厚を測定した。無端ベルトで、基材層の表面に表面層を塗布しなかった端部の膜厚を基材層膜厚とし、基材層表面に最外層を形成した部位の膜厚を総膜厚とした。最外層の膜厚は、総膜厚より基材層膜厚を減じることで算出した。
耐磨耗性試験は、下記の方法によって求めた。作製した無端ベルトを100mm角程度に切り、その小片を瞬間接着剤で硝子版に固定した。この試料をスクラッチテスタCSR−101(株式会社レスカ製)回転式試料台上にセットした。10φプローブにナイロン布を設置し、試料表面を2kg荷重、200rpmで回転しながらこすった。2000回転後の磨耗量を、触針式膜厚計アルファステップ500KLAテンコールにて未試験部分との膜厚差により評価した。試験後の膜厚は5μm減じていたものの使用には問題ないレベルであった。
得られた無端ベルトから切り出した10片の試料を、MIT試験機により引張り荷重1.0kg、屈折角度135°の条件で100回繰り返し折り曲げを行い、最外層の破壊の起こった枚数にて評価した。
富士ゼロックス社製DocuCentreColor2220改造機(プロセス速度:250mm/sec、一次転写電流:35μAに改造)を使用し、得られた無端ベルトを中間転写ベルトとして搭載して、高温高湿(28℃85%RH)及び低温低湿(10℃15%RH)で、富士ゼロックス社製DocuCentreColor2220等のカラートナー(シアントナー、マゼンタトナー)を用い、Cyan、Magentaの50%ハーフトーンを富士ゼロックス社製C2紙に出力し、以下の規準で濃度ムラ及び斑点欠陥を目視で以下の基準で評価した。
10枚目の印字試料の印字部を3×3=9等分に分割してそれぞれの色度を色彩色度計CR−210(ミノルタ社製)を用いて測定して色度の最大と最小との差である色差ΔEを求めた。「○」以上を合格とした。
◎:色差ΔEが0.3未満である(濃度ムラが確認されない)。
○:色差ΔEが0.3以上0.5未満である。
△:色差ΔEが0.5以上1.0未満である。
×:色差ΔEが1.0以上である。
10枚目の印字試料における印字部内の斑点を目視観察し、以下の基準で評価した。「○」以上を合格とした。
◎:0.5mm未満の大きさの斑点が10個未満である。
○:0.5mm未満の大きさの斑点が10個以上50個未満発生した。
△:0.5mm未満の大きさの斑点が50個以上100個未満発生した。又は、0.5mm以上1.0mm未満の大きさの斑点が50個未満発生し、1.0mm以上の大きさの斑点が発生しなかった。
×:0.5mm未満の大きさの斑点が100個以上発生した。又は、0.5mm以上1.0mm未満の大きさの斑点が50個以上発生した。又は、1.0mm以上の大きさの斑点が1個以上発生した。
得られた無端ベルトにおける通紙テスト後のベルト性状として、通紙テスト後のベルト破損の有無について、1000枚の通紙テスト後(30%ハーフトーン画像形成後)に測定を行い、通紙前との比較を行った。
−ポリイミド系樹脂−
・PI−1: 三井化学社製AURUM PL450C溶融成型ペレット(熱可塑性ポリイミド樹脂、溶融温度388℃:成型温度390−420℃)
・PI−2: DIC社製ポリイミドワニスユニディックV8004(熱可塑性ポリイミド樹脂)
・PI−3:宇部興産社製ポリイミドワニス(商品名;U−ワニス−A:固形分20%)(熱硬化性ポリイミド樹脂)
・PAI−1: 東洋紡社製ポリアミドイミドワニスバイロマックスHR16NN(熱可塑性ポリアミドイミド樹脂)
・PAI−2: トーロン4205(熱可塑性ポリアミドイミド樹脂、溶融温度290℃:成型温度300-370℃)
・PEI−1: GEプラスチックス社製ULTEM1000(熱可塑性ポリエーテルイミド樹脂、溶融温度350−400℃)
−フッ素樹脂−
・PTFE−1: ルブロンL−2
11 最外層
12 基材層
12 最内層
100 画像形成装置
101Y、101M、101C、101BK 感光体
102 中間転写ベルト
105〜108 現像器
200 画像形成装置
200Y、200M、200C、200Bk 画像形成ユニット
206 記録媒体搬送転写ベルト
Claims (1)
- 体積平均粒径が40μm以上2mm以下である熱可塑性ポリイミド系樹脂粒子と、体積平均粒径が0.5μm以上20μm以下であるフッ素樹脂粒子とが溶媒中に分散された溶液を、被塗布物上に塗布して塗膜を形成した後、前記塗膜に対して加熱処理を施して、前記熱可塑性ポリイミド系樹脂粒子と前記フッ素樹脂粒子とを含む層状の混合物の前記ポリイミド系樹脂粒子の溶融層又は軟化層を形成する工程を有する円筒状成形体の製造方法。
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