JP2005248064A - カーボンブラック分散ポリアミド酸溶液の製造方法および半導電性ポリイミドベルト - Google Patents
カーボンブラック分散ポリアミド酸溶液の製造方法および半導電性ポリイミドベルト Download PDFInfo
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Abstract
【課題】カーボンブラックの凝集を防ぐとともに安定化した粒径で分散したポリアミド酸溶液の製造方法、およびこれを用いて得られる半導電性ポリイミドベルトを提供する。
【解決手段】カーボンブラックを分散させた分散液にテトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分を溶解し、重合させる工程を含むカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液の製造方法において、前記重合工程後にポリアミド酸溶液を0.0001MPa〜1MPaの剪断応力で混練する工程を含むことを特徴とする製造方法、前記製造方法により得られるカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液、および前記カーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を用いて得られる半導電性ポリイミドベルト。
【選択図】なし
【解決手段】カーボンブラックを分散させた分散液にテトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分を溶解し、重合させる工程を含むカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液の製造方法において、前記重合工程後にポリアミド酸溶液を0.0001MPa〜1MPaの剪断応力で混練する工程を含むことを特徴とする製造方法、前記製造方法により得られるカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液、および前記カーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を用いて得られる半導電性ポリイミドベルト。
【選択図】なし
Description
本発明は、半導電性ポリイミドベルトの原料となるカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液の製造方法に関するものである。前記ベルトは、例えば電子写真方式の複写機、プリンタやファクシミリ等の画像形成装置の中間転写ベルトに使用される。
従来より、電子写真方式で像を形成記録する電子写真記録装置として、複写機やレーザープリンタ、ビデオプリンタやファクシミリ、それらの複合機等が知られている。この種の装置では、装置寿命の向上などを目的として、感光ドラム等の像担持体にトナー等の記録剤により形成された像を印刷シート上に直接定着させる方式を回避すべく、像担持体上の像を中間転写ベルトに一旦転写(一次転写)し、それを印刷シート上に転写(二次転写)してから定着を行う中間転写方式が検討されている。また、装置の小型化等を目的に、転写ベルトに印刷シートの搬送も兼ねさせる転写ベルトを使用する方式も検討されている。このような中間転写ベルト等に用いうる半導電性ベルトの一例として、ポリイミド系樹脂に導電性フィラーとしてアセチレンブラック等のカーボンブラックを分散してなる中間転写ベルトが提案されている(特許文献1を参照)。
特開昭63−311263号
カーボンブラックをポリイミド系樹脂に分散させたベルトは、温度、湿度等の環境変化に対する電気抵抗値の変動は小さいが、カーボンブラックを均一に分散させることが非常に難しい。通常カーボンブラックは二次凝集を起こしやすく、凝集により導通経路が生じ、電気抵抗値のばらつきにつながる。このようなカーボンブラックの凝集の多くは、ポリイミドベルトの原料であるカーボンブラックを分散させたポリアミド酸を作製する際に発生する。このカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液の製法としては、例えばカーボンブラックを分散させた分散液にジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分を溶解し、重合させる方法があげられる。しかし、樹脂中に同種で同量のカーボンブラックを分散させても、カーボンブラックの凝集の程度により、常に同じ分散状態のポリアミド酸溶液を得るとは限らない。そのようなカーボンブラックの分散状態の異なるアミド酸溶液をそれぞれ用いてベルトを作製しても、それぞれ全く電気抵抗値の異なるベルトとなってしまい、電気抵抗値の制御が困難である。
一方、樹脂中のカーボンブラックの凝集は、通常、経時により徐々に凝集が解け、カーボンブラックの粒径が小さくなることが確認されている。粒径が小さいものを用いるほど、高い電気抵抗値を持つベルトとなる。また、カーボンブラックの粒径は、経時により小粒径化が進むが、ある水準の粒径になるとそれ以上小さくはならず、安定化する。そのため、カーボンブラックを分散させたポリアミド酸溶液を調製後に同水準の粒径となるまで保管し、粒径が安定化した溶液を用いてベルトを作製すれば、同じ水準の電気抵抗値を持つベルトを得ることができる。
しかし、初期の凝集の程度などによってカーボンブラックの粒径安定化までの時間は各ポリアミド酸溶液毎に大幅に異なり、長いものでは数ヶ月要する場合がある。このような原料を用いてポリイミドベルトの生産を行うのは、非常に効率が悪い。そこで、本発明の目的は、カーボンブラックの凝集を防ぐとともに安定化した粒径で分散したポリアミド酸溶液の製造方法、およびこれを用いて得られる半導電性ポリイミドベルトを提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究したところ、カーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を調製した後に一定の剪断応力で当該溶液を混練することにより、カーボンブラックの分散を安定化できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液の製造方法は、カーボンブラックを分散させた分散液にテトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分を溶解し、重合させる工程を含む製造方法において、前記重合工程後にポリアミド酸溶液を0.0001MPa〜1MPaの剪断応力で混練する工程を含むことを特徴とする。前記剪断応力は、0.001MPa〜0.1MPaであることが好ましい。
本発明のカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液は、前記製造方法により得られることを特徴とする。
また、本発明の半導電性ポリイミドベルトは、前記カーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を用いて得られることを特徴とする。
本発明の製造方法によれば、カーボンブラック分散ポリアミド酸溶液中の不規則なカーボンブラックの凝集が解け、経時変化による粒径の安定化を待つことなく、均一分散されたポリアミド酸溶液を得ることが可能となる。本発明のカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液によれば、カーボンブラックが均一分散されており、カーボンブラックの粒径の安定化を待つことなく直ちに半導電性ポリイミドベルトを作成することができ、ベルト製造工程の所要時間の短縮化が可能である。また、本発明の半導電性ポリイミドベルトによれば、ベルト間および同一ベルト内で電気抵抗値のばらつきが少なく、一定の電気抵抗値をもつベルトを提供することができる。
本発明の半導電性ポリイミドベルトは、カーボンブラックを含有するポリイミド樹脂からなる。本発明の半導電性ベルトは、電子写真記録装置の中間転写ベルトとして用いられる場合、その表面抵抗率が108 〜1014Ω/□であることが好ましく、1011〜1013Ω/□であることがより好ましい。
本発明の半導電性ポリイミドベルトを製造するには、原料として本発明の製造方法により得られるカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を用いる。
本発明のカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液の製造方法は、カーボンブラックを分散させた分散液にテトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分を溶解し、重合させる工程を含み、前記重合工程後にポリアミド酸溶液を0.0001MPa〜1MPaの剪断応力で混練する工程を含むことを特徴とする。
前記重合工程後に得られたポリアミド酸溶液は、分散させたカーボンブラックが程度の差はあれ、二次凝集を起こしていることが多く、本発明において、この溶液を一定の剪断応力で混練する工程に付すことにより、カーボンブラックの粒径安定化が達成される。
本製造方法において、まず、有機極性溶媒中にカーボンブラックを分散させ、カーボンブラック分散液を作製する。
本発明に用いるカーボンブラックとしては、例えばチャンネルブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等が挙げられ、これらは単独使用することもでき、または複数種類のカーボンブラックを併用してもよい。これらのカーボンブラックの種類は、目的とする導電性により適宜選択することができ、中間転写ベルトや転写搬送ベルト等の中抵抗から高抵抗域(表面抵抗率108 〜1014Ω/□、体積抵抗率108 〜1014Ω・cm)において制電性が必要である場合は、特にチャンネルブラックやファーネスブラックが好適に用いられ、その用途によっては酸化処理、グラフト処理等の酸化劣化を防止したものや溶媒への分散性を向上させたものを用いると好ましい。カーボンブラックの含有量については、その目的に応じ、添加するカーボンブラックの種類により適宜決定されるが、画像形成装置用機能性ベルトとしてはその機械的強度等から、ポリイミド樹脂固形分に対し3〜40重量%、より好ましくは3〜30重量%である。
具体的には、ファーネスブラックとして、デグサ・ヒュルス社製の「Special Black 550」、「Special Black 350」、「Special Black 250」、「Special Black 100」、「Printex 35」、「Printex 25」、三菱化学社製の「MA 7」、「MA 77」、「MA 8」、「MA 11」、「MA 100」、「MA 100R」、「MA 220」、「MA 230」、キャボット社製、「MONARCH 1300」、「MONARCH 1100」、「MONARCH 1000」、「MONARCH 900」、「MONARCH 880」、「MONARCH 800」、「MONARCH 700」、「MOGUL L」、「REGAL 400R」、「VULCAN XC−72R」等が挙げられ、チャンネルブラックとしてデグサ・ヒュルス社製の「Color Black FW200」、「Color Black FW2」、「Color Black FW2V」、「Color Black FW1」、「Color Black FW18」、「Special Black 6」、「Color Black S170」、「Color Black S160」、「Special Black 5」、「Special Black 4」、「Special Black 4A」、「Printex 150T」、「Printex U」、「Printex V」、「Printex 140U」、「Printex 140V」等が挙げられる。
本発明に用いる有機極性溶媒は、カーボンブラックの分散性を高めるものであれば特に制限されないが、カーボンブラックの分散用と重合反応の溶媒用とを兼用できるN,N−ジアルキルアミド類が有用であり、例えば低分子量のものとしてN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等が挙げられる。これらは、蒸発、置換又は拡散によりポリアミド酸及びポリアミド酸成形品から容易に除去することができる。また、上記以外の有機極性溶媒として、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ピリジン、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、併せて使用しても差し支えない。さらに、上記有機極性溶媒にクレゾール、フェノール、キシレノール等のフェノール類、ベンゾニトリル、ジオキサン、ブチロラクトン、キシレン、シクロヘキサン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等を単独でもしくは併せて混合することもできる。
カーボンブラックを溶媒中に均一に分散させる方法として、プラネタリーミキサーやビーズミル、超音波等を用いる方法が考えられる。その際、カーボンブラックと溶媒との親和性を高めるために、ポリ(N−ビニル−ピロリドン)、ポリ(N,N’−ジエチルアクリルアジド)等の分散剤を使用してもよい。
このようにして得られたカーボンブラック分散液に、テトラカルボン酸二無水物またはその誘導体とジアミン成分を溶解、重合させてカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を作製する。
テトラカルボン酸二無水物成分としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、エチレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
ジアミン成分としては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジクロロベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、1,5−ジアミノナフタレン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3
ンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフイド、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、2,4−ビス(β−アミノ−t−ブチル)トルエン、ビス(p−β−アミノ−t−ブチルフェニル)エーテル、ビス(p−β−メチル−δ−アミノフェニル)ベンゼン、ビス−p−(1,1−ジメチル−5−アミノ−ペンチル)ベンゼン、1−イソプロピル−2,4−m−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、ジ(p−アミノシクロヘキシル)メタン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ジアミノプロピルテトラメチレン、3−メチルへプタメチレンジアミン、4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、2,11−ジアミノドデカン、1,2−ビス−3−アミノプロポキシエタン、2,2−ジメチルプロピレンジアミン、3−メトキシヘキサメチレンジアミン、2,5 −ジメチルヘプタメチレンジアミン、3−メチルへプタメチレンジアミン、5 −メチルノナメチレンジアミン、2,11−ジアミノドデカン、2,17 −ジアミノエイコサデカン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,10−ジアミノ−1,10−ジメチルデカン、1,12−ジアミノオクタデカン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン等が挙げられる。
ンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフイド、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、2,4−ビス(β−アミノ−t−ブチル)トルエン、ビス(p−β−アミノ−t−ブチルフェニル)エーテル、ビス(p−β−メチル−δ−アミノフェニル)ベンゼン、ビス−p−(1,1−ジメチル−5−アミノ−ペンチル)ベンゼン、1−イソプロピル−2,4−m−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、ジ(p−アミノシクロヘキシル)メタン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ジアミノプロピルテトラメチレン、3−メチルへプタメチレンジアミン、4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、2,11−ジアミノドデカン、1,2−ビス−3−アミノプロポキシエタン、2,2−ジメチルプロピレンジアミン、3−メトキシヘキサメチレンジアミン、2,5 −ジメチルヘプタメチレンジアミン、3−メチルへプタメチレンジアミン、5 −メチルノナメチレンジアミン、2,11−ジアミノドデカン、2,17 −ジアミノエイコサデカン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,10−ジアミノ−1,10−ジメチルデカン、1,12−ジアミノオクタデカン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン等が挙げられる。
重合反応の際のモノマー濃度(溶媒中におけるテトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分の濃度)は、種々の条件に応じて設定され、通常、5〜30重量%程度が好ましい。また、反応温度は80℃以下、特に5〜50℃に設定することが好ましく、反応時間は5〜10時間程度に設定することが好ましい。ポリアミド酸溶液のポリマー成分は、本発明の目的を達成されるならば、上記のテトラカルボン酸二無水物成分及びジアミン成分を共重合したものでもブレンドしたものでも構わない。
上記の反応により得られたポリアミド酸溶液の粘度は上昇するが、そのまま加熱、攪拌を行うとポリアミド酸溶液の粘度が低下する。この現象を利用して、ポリアミド酸溶液を所定の粘度に調整することができる。このときの加熱温度は50〜90℃が好ましい。加熱時間は、下記溶液粘度に達するまで行えばよい。
このとき溶液の粘度はB型粘度計で1〜1000Pa・s(25℃)とすることが好ましい。通常、ベルトの製法としては、金型内面にポリアミド酸溶液を塗布し、遠心成形にて行う。そのため、粘度がこの範囲でないと均一に展開することが困難であり、ベルトの厚みバラツキの原因となる。
このような方法にてカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を得ることができるが、カーボンブラックの凝集の発生により、常に同じ粒径を持つ溶液を得ることは非常に困難である。
そこで本発明では、カーボンブラックの凝集により分散が異なるポリアミド酸溶液の混練を行う。これにより、不規則なカーボンブラックの凝集が解け、経時変化による粒径の安定化を待つことなく、均一分散されたポリアミド酸溶液を得ることが可能となる。
混練時の剪断応力としては、0.0001〜1MPaが好ましく、さらに好ましくは0.001〜0.1MPaである。剪断応力が0.0001MPaより小さいと、カーボンブラックの凝集が解けず、分散が進まない。また、1MPaより大きいと、ポリアミド酸の分子鎖が切断されることにより、溶液の粘度が大きく低下するため、ベルト作製が困難になる。
混練の方法としては、乳鉢を用いる方法、サンドミル、ビーズミル、三本ロールミル、プラネタリーミキサー等を用いる方法が挙げられ、これら混練方法を適宜選択することができる。
混練時間は、通常5分〜10時間である。
このようにして得られた本発明のカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液では、カーボンブラックが均一に分散しており、その分散状態は、常温、常圧の状態で安定である。カーボンブラックの分散・凝集状態は、光学顕微鏡により目視観察すること、またはカーボンブラックの粒径を例えば動的光散乱式粒径分布測定装置を用いて測定することによって確認することができる。
混練後のカーボンブラックポリアミド酸溶液の粘度は、混練前と比べて多少粘度が低下するが、B型粘度計で1〜1000Pa・s(25℃)が好ましい。粘度がかかる範囲であれば、金型内面に塗布して遠心成形を行う方式のベルトの製法に好適に用いられる。
前記カーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を用いて、本発明の半導電性ポリベルトは次のように作製される。まず、円筒金型内に前記溶液を供給し、回転遠心成形法により金型内周面に遠心力により均一に展開する。製膜後、加熱により溶媒を除去した後、さらに300〜450℃の高温で加熱することにより、閉環イミド化反応を進行させた後、金型から取り出す。この金型への加熱は均等に行う必要がある。不均等であると、溶剤蒸発時においてもカーボンブラックの凝集バラツキが発生し、ベルトの抵抗値にバラツキが生じる。均等に加熱する方法としては、金型を回転させながら加熱する、熱風の循環の改善等の方法や、低温で投入し、昇温速度を小さくするなどの方法がある。
このようにして得られた半導電性べルトは、カーボンブラックの凝集が抑制され、電気抵抗値のバラツキが小さく、電子写真記録装置の中間転写ベルトとして使用した場合、印刷シートに転写したトナー像に転写ムラが生じることなく、良好な画像を転写することが可能になる。
[実施例]
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。
(評価方法)
(1)カーボンブラックの凝集状態
ポリアミド酸溶液中のカーボンブラックの凝集状態を調べるため、カーボンブラックの粒径を評価した。実施例および比較例で得られたポリアミド酸溶液をN−メチル−2−ピロリドンにて100倍に希釈した後、堀場製作所製の動的光散乱式粒径分布測定装置LB−500を使用し、粒径分布を調べ、平均粒径を求めた。
(1)カーボンブラックの凝集状態
ポリアミド酸溶液中のカーボンブラックの凝集状態を調べるため、カーボンブラックの粒径を評価した。実施例および比較例で得られたポリアミド酸溶液をN−メチル−2−ピロリドンにて100倍に希釈した後、堀場製作所製の動的光散乱式粒径分布測定装置LB−500を使用し、粒径分布を調べ、平均粒径を求めた。
(2)表面抵抗率
実施例および比較例で得られたポリイミドベルトについて、ハイレスタIP MCP−HT260(三菱化学社製、プローブ:HR−100)を用い、印加電圧100V、1分間の測定条件にて、25℃、60%RHでの表面抵抗率を調べた。測定は、ベルト表面の48箇所を測定し、平均値および最大値と最小値の差を常用対数値にて示した。
実施例および比較例で得られたポリイミドベルトについて、ハイレスタIP MCP−HT260(三菱化学社製、プローブ:HR−100)を用い、印加電圧100V、1分間の測定条件にて、25℃、60%RHでの表面抵抗率を調べた。測定は、ベルト表面の48箇所を測定し、平均値および最大値と最小値の差を常用対数値にて示した。
[比較例1]
N−メチル−2−ピロリドン833.6gにカーボンブラック(デグサ社製Printex V)41.7gを加え、ボールミルで室温にて12時間混合した。得られたカーボンブラック分散液に、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)133.9gとp−フェレンジアミン(PDA)49.2gとを室温にて溶解、重合した。反応により増粘した溶液を、65℃で18時間攪拌することにより150Pa・s(B型粘度計、25℃)のカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を得た。得られたポリアミド酸溶液のカーボンブラック粒径の評価を行った。また経時によるカーボンブラックの凝集の変化を確認するため、溶液作製後、100日間室温で保管した後の粒径も評価した。
N−メチル−2−ピロリドン833.6gにカーボンブラック(デグサ社製Printex V)41.7gを加え、ボールミルで室温にて12時間混合した。得られたカーボンブラック分散液に、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)133.9gとp−フェレンジアミン(PDA)49.2gとを室温にて溶解、重合した。反応により増粘した溶液を、65℃で18時間攪拌することにより150Pa・s(B型粘度計、25℃)のカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を得た。得られたポリアミド酸溶液のカーボンブラック粒径の評価を行った。また経時によるカーボンブラックの凝集の変化を確認するため、溶液作製後、100日間室温で保管した後の粒径も評価した。
[実施例1]
比較例1にて得られたカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を、乳鉢により0.02MPaの剪断応力にて30分混練を行った。得られたポリアミド酸溶液の粘度は130Pa・s(B型粘度計、25℃)であり、そのカーボンブラック粒径の評価を行った。
比較例1にて得られたカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を、乳鉢により0.02MPaの剪断応力にて30分混練を行った。得られたポリアミド酸溶液の粘度は130Pa・s(B型粘度計、25℃)であり、そのカーボンブラック粒径の評価を行った。
[実施例2]
比較例1にて得られたカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を、乳鉢により0.08MPaの剪断応力にて30分混練を行った。得られたポリアミド酸溶液の粘度は、130Pa・s(B型粘度計、25℃)であり、そのカーボンブラック粒径の評価を行った。
比較例1にて得られたカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を、乳鉢により0.08MPaの剪断応力にて30分混練を行った。得られたポリアミド酸溶液の粘度は、130Pa・s(B型粘度計、25℃)であり、そのカーボンブラック粒径の評価を行った。
[比較例2]
比較例1にて得られたカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を、乳鉢により0.00007MPaの剪断応力にて30分混練を行った。得られたポリアミド酸溶液の粘度は、140Pa・s(B型粘度計、25℃)であり、そのカーボンブラック粒径の評価を行った。
比較例1にて得られたカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を、乳鉢により0.00007MPaの剪断応力にて30分混練を行った。得られたポリアミド酸溶液の粘度は、140Pa・s(B型粘度計、25℃)であり、そのカーボンブラック粒径の評価を行った。
[実施例3および4]
実施例1および2で得られたポリアミド酸溶液を用いてポリイミドベルトを作製した。前記溶液を、それぞれ内径180mm長さ500mmのドラム金型内周面に、ディスペンサを介して塗布し、1500rpmで10分間回転させて、厚さ400μmの均一な展開層を得た。熱風を均等に循環させた150℃の乾燥炉内で250rpmでドラム金型を回転させながら、30分間加熱した。さらに2℃/minの速度で350℃まで昇温し、そのまま30分加熱を続け、イミド化を完了させた。室温に冷却した後、金型内面より剥離し、厚さ75μmの半導電性ポリイミドベルトを得た。
実施例1および2で得られたポリアミド酸溶液を用いてポリイミドベルトを作製した。前記溶液を、それぞれ内径180mm長さ500mmのドラム金型内周面に、ディスペンサを介して塗布し、1500rpmで10分間回転させて、厚さ400μmの均一な展開層を得た。熱風を均等に循環させた150℃の乾燥炉内で250rpmでドラム金型を回転させながら、30分間加熱した。さらに2℃/minの速度で350℃まで昇温し、そのまま30分加熱を続け、イミド化を完了させた。室温に冷却した後、金型内面より剥離し、厚さ75μmの半導電性ポリイミドベルトを得た。
[比較例3および4]
比較例1および2で得られたポリアミド酸溶液を用いてポリイミドベルトを作製した。実施例3および4において、比較例1および2で得られたポリアミド酸溶液をそれぞれ用いたこと以外は実施例3および4と同様にして、厚さ75μmの半導電性ポリイミドベルトを得た。
比較例1および2で得られたポリアミド酸溶液を用いてポリイミドベルトを作製した。実施例3および4において、比較例1および2で得られたポリアミド酸溶液をそれぞれ用いたこと以外は実施例3および4と同様にして、厚さ75μmの半導電性ポリイミドベルトを得た。
Claims (4)
- カーボンブラックを分散させた分散液にテトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分を溶解し、重合させる工程を含むカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液の製造方法において、前記重合工程後にポリアミド酸溶液を0.0001MPa〜1MPaの剪断応力で混練する工程を含むことを特徴とする製造方法。
- 前記剪断応力が0.001MPa〜0.1MPaである請求項1に記載の製造方法。
- 請求項1または2に記載の製造方法により得られるカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液。
- 請求項3に記載のカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を用いて得られる半導電性ポリイミドベルト。
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2004
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