JP2016139040A - 画像形成装置用の中間転写ベルト - Google Patents

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Abstract

【課題】単層構成の中間転写ベルトにおいて、中間転写ベルトの表面側における表面抵抗率の常用対数値LogSRと、体積抵抗率の常用対数値LogVRとの差(LogSR−LogVR)が十分に小さい範囲(例えば−1〜1の範囲)に設定された、画像形成装置用の中間転写ベルトを提供する。
【解決手段】樹脂と導電材とを含む、単層構造の樹脂フィルムにより形成された画像形成装置用の中間転写ベルトであって、導電材は、少なくとも比重の異なる2種の導電材2a、2bを含み、相対的に比重の大きな導電材2aを中間転写ベルトの表面側に偏在させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ等の画像形成装置における中間転写ベルトに関する。更に、本発明は、当該中間転写ベルトの製造方法に関する。
複写機、プリンター、ファクシミリ等の画像形成装置において、トナーを紙などの被転写物に転写する中間転写ベルトが使用されている。中間転写ベルトは、感光体上のトナーをベルトに引きつけ(一次転写)、さらにそのトナーを被転写物に移す(二次転写)役割を有しており、静電気の力によりトナーの移動を行っている。そのため、中間転写ベルトには、精密な導電性制御が求められており、一般に、ベルトの基材となる樹脂に、導電材を混合して導電性を持たせる等の方法により、導電性制御が行われている。
画像形成装置を用いた画像形成においては、被転写物に印刷された画像上に、細かい白点が形成されることがある。例えば、中間転写ベルトから被転写物上にトナー像を転写する二次転写部において、印加バイアスによる局部的な微小放電が発生し、転写前のトナーの帯電電荷が減少し、被転写物に移動するのに充分な電荷量が得られず、その部分が白点状の白抜けとなることがある。また、例えば、中間転写ベルトと被転写物との接触による物理的な摩擦により静電気が発生し、転写後の中間転写ベルトと被転写物が剥離する際、剥離放電が発生して、同様にトナー帯電電荷が減少し、結果、画像上の白点抜けが発生する場合がある。
このような問題を解決するために、例えば、特許文献1には、電子写真機器用無端ベルトの基層において、ポリイミド樹脂に導電剤としてカーボンブラックを配合する技術が開示されている。特許文献1においては、この基層の表面に、直接もしくは他の層を介して特定の表層を形成しており、この表層により、抵抗特性などを特定の範囲に設定している。
また、特許文献2には、導電材を分散させたポリイミド樹脂層を積層して、内周面層と、該内周面層よりも高抵抗の外周面層とを有する中間転写ベルトが開示されている。当該中間転写ベルトにおいて、上記内周面層と上記外周面層のポリイミド樹脂層は、樹脂材料とポリイミド樹脂中の導電材の比率が同一で、各層形成時の乾燥温度が異なるものであり、500V印加時の該外周面層の表面抵抗率の常用対数値をρs外、該内周面層の表面抵抗率の常用対数値をρs内、100V印加時の該ベルトの体積抵抗率の常用対数値をρvとすると、ρs外−ρs内が0.25より大きく、ρs内が10〜12であり、ρs外−ρvが1.5より小さいことを特徴としている。
しかしながら、特許文献1、2に開示されたベルトは、いずれも単層構成ではなく、複数層構成を有している。このため、設備の増加や工数の増加するという問題がある。したがって、単層構成において、画像上の白点抜けが発生する問題を解決する技術が求められる。
このような問題を解決するために、例えば特許文献3には、導電性樹脂により形成される単層の電子写真機器用無端ベルトであって、当該ベルトの体積抵抗率を、ベルトの裏面側における表面抵抗率よりも高く設定し、さらに、当該ベルトの裏面側における表面抵抗率を1.0×108〜1.0×1013[Ω/□]の範囲内に設定することにより、単層構成において、画像上の白点抜けを抑制する技術が提案されている。
特開2008−241906号公報 特開2013−125201号公報 特開2012−133318号公報
例えば特許文献2などに開示されているように、中間転写ベルトの外周面層の表面抵抗率の常用対数値と体積抵抗率の常用対数値との差を小さくすることにより、画像上の白点抜けが抑制されることが知られている。しかしながら、例えば単層構成の中間転写ベルトに係る特許文献3に開示されたような方法においては、中間転写ベルトの外周面層の表面抵抗率の常用対数値と体積抵抗率の常用対数値との差が小さくならない場合があり、画像上の白点抜けの発生が十分に抑制できないことがある。
このような状況下、本発明は、単層構成の中間転写ベルトにおいて、中間転写ベルトの表面側における表面抵抗率の常用対数値LogSRと、体積抵抗率の常用対数値LogVRとの差(LogSR−LogVR)が十分に小さい範囲(例えば−1〜1の範囲)に設定された、画像形成装置用の中間転写ベルトを提供することを主な目的とする。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、樹脂と導電材とを含む、単層構造の樹脂フィルムにより形成された画像形成装置用の中間転写ベルトにおいて、導電材が、少なくとも、比重の異なる2種の導電材を含み、当該比重の異なる2種の導電材のうち、相対的に比重の大きな導電材が、中間転写ベルトの表面側に偏在していることにより、中間転写ベルトの表面側における表面抵抗率の常用対数値LogSRと、体積抵抗率の常用対数値LogVRとの差(LogSR−LogVR)を十分に小さい範囲(例えば−1〜1の範囲)に設定できることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる発明を提供する。
項1. 樹脂と導電材とを含む、単層構造の樹脂フィルムにより形成された画像形成装置用の中間転写ベルトであって、
前記導電材は、少なくとも、比重の異なる2種の導電材を含み、
前記比重の異なる2種の導電材のうち、相対的に比重の大きな導電材が、前記中間転写ベルトの表面側に偏在している、画像形成装置用の中間転写ベルト。
項2. 前記相対的に比重の大きな導電材の比重が、4.0g/cm3以上である、項1に記載の画像形成装置用の中間転写ベルト。
項3. 前記比重の異なる2種の導電材のうち、相対的に比重の小さな導電材の比重が、2.5g/cm3以下である、項1または2に記載の画像形成装置用の中間転写ベルト。
項4. 前記相対的に比重の大きな導電材が、導電性酸化チタン、導電性亜鉛、導電性酸化錫、及び酸化インジウム錫からなる群から選択された少なくとも1種である、項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置用の中間転写ベルト。
項5. 前記相対的に比重の小さな導電材が、導電性炭素系物質である、項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置用の中間転写ベルト。
項6. 前記相対的に比重の大きな導電材の形状が、粒子状、針状、板状、鱗片状、柱状、または球状である、項1〜5のいずれかに記載の画像形成装置用の中間転写ベルト。
項7. 前記樹脂が、ポリイミドである、項1〜6のいずれかに記載の画像形成装置用の中間転写ベルト。
項8. 前記相対的に比重の大きな導電材が粒子状である場合の粒子径が、0.03〜5.0μmの範囲にあり、
前記相対的に比重の大きな導電材が針状である場合の繊維長が1.0〜10.0μmの範囲、繊維径が0.1〜1.0μmの範囲にある、項1〜7のいずれかに記載の画像形成装置用の中間転写ベルト。
項9. 前記中間転写ベルトの表面側における表面抵抗率の常用対数値LogSRと、体積抵抗率の常用対数値LogVRとの差(LogSR−LogVR)が、−1〜1の範囲にある、項1〜8のいずれかに記載の画像形成装置用の中間転写ベルト。
項10. 樹脂またはその前駆体と、少なくとも比重の異なる2種の導電材とを含む樹脂組成物を調製する調製工程と、
前記樹脂組成物を円筒状金型の内面に供給し、前記円筒状金型を円周方向に回転させて、前記樹脂組成物を円筒形のフィルム状に成型する遠心成型工程と、
前記フィルム状の樹脂組成物を加熱して、円筒形の樹脂フィルムを得る加熱工程と、
を備える、画像形成装置用の中間転写ベルトの製造方法。
本発明によれば、樹脂と導電材とを含む単層構造の樹脂フィルムにより形成された画像形成装置用の中間転写ベルトにおいて、中間転写ベルトの表面側における表面抵抗率の常用対数値LogSRと、体積抵抗率の常用対数値LogVRとの差(LogSR−LogVR)が十分に小さい範囲(例えば−1〜1の範囲)に設定された、画像形成装置用の中間転写ベルトを提供することができる。さらに、本発明によれば、当該中間転写ベルトの製造方法を提供することができる。
本発明の中間転写ベルトにおいて、相対的に比重の大きな導電材が、前記中間転写ベルトの表面側に偏在していることを示す模式的断面図である。 実施例1、2で製造した中間転写ベルトの表面側における表面抵抗率の常用対数値LogSR及び体積抵抗率の常用対数値LogVRを示したグラフである。 実施例3〜5で製造した中間転写ベルトの表面側における表面抵抗率の常用対数値LogSR及び体積抵抗率の常用対数値LogVRを示したグラフである。 比較例1〜6で製造した中間転写ベルトの表面側における表面抵抗率の常用対数値LogSR及び体積抵抗率の常用対数値LogVRを示したグラフである。
1.中間転写ベルト
本発明の中間転写ベルトは、樹脂と導電材とを含む、単層構造の樹脂フィルムにより形成された画像形成装置用の中間転写ベルトである。本発明の中間転写ベルトにおいて、導電材は、少なくとも、比重の異なる2種の導電材を含み、かつ、比重の異なる2種の導電材のうち、相対的に比重の大きな導電材が、中間転写ベルトの表面側に偏在していることを特徴とする。以下、本発明の中間転写ベルトについて詳述する。
本発明において、樹脂フィルムに含まれる樹脂としては、特に制限されないが、好ましくはポリイミドが挙げられる。ポリイミドは、耐熱性、耐屈曲性、柔軟性、寸法安定性等の特性に優れており、画像形成装置における中間転写ベルトなどに好適に使用されている。ポリイミドは、例えば、酸無水物とジアミン化合物からポリアミック酸(ポリイミド前駆体)を合成し、当該ポリアミック酸を熱や触媒によってイミド化することにより得られる。ポリイミドの合成に使用される酸無水物としては、特に制限されないが、例えば、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ターフェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、無水ピロメリット酸、オキシジフタル酸二無水物、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
また、ポリイミドの合成に使用されるジアミン化合物としては、特に制限されないが、例えば、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、3,4'−ジアミノジフェニルエーテル、3,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、2,2'−ビス(トリフルオロメチル)−4,4'−ジアミノビフェニル、3,7−ジアミノ−ジメチルジベンゾチオフェン−5,5'−ジオキシド、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、4,4'−ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、4,4'−ジアミノベンズアニリド、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン等の芳香族ジアミン等が挙げられる。
例えば図1に示す様に、本発明の中間転写ベルト1には、導電材として、少なくとも、比重の異なる2種の導電材2a、2bが含まれている。当該比重の異なる2種の導電材2a、2bのうち、相対的に比重の大きな導電材2aは、中間転写ベルト1の表面側1aに偏在している。
相対的に比重の大きな導電材の比重としては、特に制限されないが、中間転写ベルトの表面側における表面抵抗率の常用対数値LogSRと、体積抵抗率の常用対数値LogVRとの差(LogSR−LogVR)が十分に小さい範囲(例えば−1〜1の範囲)に好適に設定する観点からは、好ましくは4.0g/cm3以上、より好ましくは4.0〜7.0g/cm3程度、さらに好ましくは4.0〜6.0g/cm3程度が挙げられる。なお、本発明において、導電材の比重は、使用する導電材の組成によって定まる固有値(真比重)であり、文献によって確認することができる。
相対的に比重の大きな導電材の粉体抵抗としては、特に制限されないが、上記のLogSR−LogVRを十分に小さい範囲に好適に設定する観点からは、好ましくは100Ω・cm以下、より好ましくは1〜50Ω・cm程度、さらに好ましくは1〜30Ω・cm程度が挙げられる。
相対的に比重の大きな導電材としては、上記のLogSR−LogVRを十分に小さい範囲に好適に設定する観点からは、好ましくは導電性酸化チタン、導電性亜鉛、導電性酸化錫、酸化インジウム錫などが挙げられる。相対的に比重の大きな導電材は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の中間転写ベルトを形成する樹脂フィルムにおいて、相対的に比重の大きな導電材の含有量としては、上記のLogSR−LogVRを十分に小さい範囲に好適に設定する観点からは、上記の樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1〜5.0質量部程度、より好ましくは0.1〜3.0質量部程度、さらに好ましくは0.1〜1.0質量部程度が挙げられる。
相対的に比重の大きな導電材の形状としては、特に制限されないが、例えば、粒子状、針状、板状、鱗片状、柱状、球状などが挙げられる。相対的に比重の大きな導電材としては、異なる形状を有する導電材を複数種類含んでいてもよい。
相対的に比重の大きな導電材が粒子状である場合、上記のLogSR−LogVRを十分に小さい範囲に好適に設定する観点からは、その粒子径としては、好ましくは0.03〜5.0μm程度、より好ましくは0.1〜5.0μm程度、さらに好ましくは0.5〜3.0μm程度が挙げられる。また、相対的に比重の大きな導電材が針状である場合、上記のLogSR−LogVRを十分に小さい範囲に好適に設定する観点からは、その繊維長としては、好ましくは1.0〜10.0μm程度、より好ましくは1.0〜7.0μm程度、さらに好ましくは1.0〜5.0μm程度が挙げられ、繊維径としては、好ましくは0.1〜1.0μm程度、より好ましくは0.1〜0.8μm程度、さらに好ましくは0.1〜0.5μm程度が挙げられる。
本発明の中間転写ベルトにおいて、比重の異なる2種の導電材のうち、相対的に比重の小さな導電材は、上記のLogSR−LogVRを十分に小さい範囲に好適に設定する観点からは、中間転写ベルト中に均一性高く分散していることが好ましい。
相対的に比重の小さな導電材の比重としては、特に制限されないが、上記のLogSR−LogVRを十分に小さい範囲に好適に設定する観点からは、好ましくは2.5g/cm3以下、より好ましくは0.5〜2.0g/cm3程度、さらに好ましくは1.0〜2.0g/cm3程度が挙げられる。
相対的に比重の小さな導電材の粉体抵抗としては、特に制限されないが、上記のLogSR−LogVRを十分に小さい範囲に好適に設定する観点からは、好ましくは30Ω・cm以下、より好ましくは1〜20Ω・cm程度、さらに好ましくは1〜10Ω・cm程度が挙げられる。
相対的に比重の小さな導電材の形状としては、特に制限されないが、例えば、粒子状が挙げられる。
相対的に比重の小さな導電材が粒子状である場合、上記のLogSR−LogVRを十分に小さい範囲に好適に設定する観点からは、その粒子径としては、好ましくは0.01〜1.0μm程度、より好ましくは0.01〜0.5μm程度、さらに好ましくは0.01〜0.3μm程度が挙げられる。
相対的に比重の小さな導電材としては、上記のLogSR−LogVRを十分に小さい範囲に好適に設定する観点からは、好ましくは、カーボンブラック、グラファイト等の導電性炭素系物質が挙げられる。導電材は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせ使用してもよい。これらの導電剤の中でも、好ましくは導電性炭素系物質、更に好ましくはカーボンブラックが挙げられる。
本発明の中間転写ベルトを形成する樹脂フィルムにおいて、相対的に比重の小さな導電材の含有量としては、上記のLogSR−LogVRを十分に小さい範囲に好適に設定する観点からは、上記の樹脂100質量部に対して、好ましくは10〜50質量部程度、より好ましくは10〜40質量部程度、さらに好ましくは15〜40質量部程度が挙げられる。
本発明の中間転写ベルトを形成する樹脂フィルムは、2種類以上の導電材を含んでいてもよく、上記で例示した導電材以外の導電材を含んでいてもよい。
本発明の中間転写ベルトの表面側(トナーが転写される側の表面)における表面抵抗率の常用対数値LogSRと、体積抵抗率の常用対数値LogVRとの差(LogSR−LogVR)は、−1〜1の範囲にあることが好ましい。これにより、本発明の中間転写ベルトを備える画像形成装置を用いた画像形成において、画像上の白点抜けが効果的に抑制される。
本発明において、中間転写ベルトの表面側における表面抵抗率、中間転写ベルトの体積抵抗率は、それぞれ、実施例に記載の方法により測定した値である。
上記のとおり、本発明の中間転写ベルトにおいては、樹脂と導電材とを含む、単層構造の樹脂フィルムにより形成された画像形成装置用の中間転写ベルトにおいて、導電材が、少なくとも、比重の異なる2種の導電材を含み、当該比重の異なる2種の導電材のうち、相対的に比重の大きな導電材が、中間転写ベルトの表面側に偏在していることにより、中間転写ベルトの表面側における表面抵抗率の常用対数値LogSRと、体積抵抗率の常用対数値LogVRとの差(LogSR−LogVR)を十分に小さい範囲(例えば−1〜1の範囲)に設定できる。このような効果が奏される機序の詳細は必ずしも明らかではないが、例えば次のように考えることができる。例えば、ポリイミドなどの樹脂中にカーボンブラックなどの導電材が均一に分散した従来の単層構造の中間転写ベルトにおいては、中間転写ベルトの表面側(トナーが付着する側)の表面抵抗率が、体積抵抗率よりも高くなる傾向がある。ところが、本発明の中間転写ベルトにおいては、中間転写ベルトに含まれる2種類の導電材のうち、相対的に比重の大きな導電材が中間転写ベルトの表面側に偏在しているため、表面側において導電材同士の距離が短くなり、電気が流れやすくなっていると考えられる。このため、中間転写ベルトの表面側の導電性が高められており、表面抵抗率の常用対数値LogSRと、体積抵抗率の常用対数値LogVRとの差(LogSR−LogVR)を十分に小さい範囲(例えば−1〜1の範囲)に設定できているものと考えられる。
本発明の中間転写ベルトの表面側における表面抵抗率が高すぎるとベルトが帯電せず、トナーがベルト上に固定されない現象(トナーの飛び散り)を生じる。また、表面抵抗率が低すぎる場合には、電流が流れやすくなるためにベルトが帯電しにくくなってトナーの飛び散りが起こりやすくなる。トナーの飛び散りは、画質の低下の原因となるため、このような回避するために中間転写ベルトの表面抵抗率を所定の範囲に調製することが望ましい。中間転写ベルトの表面側における表面抵抗率としては、好ましくは9〜13Ω/□程度、より好ましくは9〜12Ω/□程度、さらに好ましくは9〜11Ω/□程度が挙げられる。なお、本発明の中間転写ベルトの表面側における表面抵抗率は、使用する樹脂、導電材などの種類、含有量などを調整することによって、所定範囲に設定することができる。
本発明の中間転写ベルト体積抵抗率としては、好ましくは7〜11Ω・cm程度、より好ましくは7〜10Ω・cm程度、さらに好ましくは7〜9Ω・cm程度が挙げられる。
本発明の中間転写ベルトは、単層構造の樹脂フィルムにより形成されている。なお、本発明において、「単層構造」とは、その層内に積層による界面を有しておらず、1つの層からなることをいう。
本発明の中間転写ベルトは、継ぎ目のない(シームレス)形状であることが望ましい。シームレス形状の中間転写ベルトは、例えば、下記の製造方法を採用することにより製造することができる。
本発明の中間転写ベルトの厚さについては、用途に応じて、駆動時に中間転写ベルトにかかる応力や外力に対する耐久性を考慮して適宜設定され得るが、例えば50〜100μm程度、好ましくは50〜90μm程度、さらに好ましくは60〜90μm程度が挙げられる。中間転写ベルトの厚みは、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)により得られた厚み方向の断面を観察することにより計測することができる。
2.本発明の中間転写ベルトの用途
本発明の中間転写ベルトは、複写機、プリンター、ファクシミリ等の画像形成装置用として好適に使用される。
例えば、本発明の中間転写ベルトは、各種画像形成装置において、ベルト状又はロール状の中間転写体として配置され、表面に形成されたトナー画像を、紙などの被転写物に転写するために用いられる。当該画像形成装置では、上記の中間転写ベルトの表面に形成されたトナー画像を紙などの被転写物に転写し、ベルト状又はロール状の定着部材と加圧ローラの間に、トナー画像が転写された紙などの被転写物を通過させ、未定着のトナー画像をベルト状又はロール状の定着部材で加熱溶融して被転写物上に定着させることにより、被転写物に画像が形成される。
本発明の中間転写ベルトの製造方法しては、特に制限されないが、例えば、以下の製造方法により、好適に製造することができる。
3.本発明の中間転写ベルトの製造方法
本発明の中間転写ベルトの製造方法は、少なくとも下記の調製工程、遠心成型工程、及び加熱工程を備えている。
樹脂またはその前駆体と、少なくとも比重の異なる2種の導電材とを含む樹脂組成物を調製する調製工程
前記樹脂組成物を円筒状金型の内面に供給し、前記円筒状金型を円周方向に回転させて、前記樹脂組成物を円筒形のフィルム状に成型する遠心成型工程
前記フィルム状の樹脂組成物を加熱して、円筒形の樹脂フィルムを得る加熱工程
本発明の中間転写ベルトの製造方法によれば、上述の本発明の中間転写ベルトを好適に製造することができる。以下、本発明の中間転写ベルトの製造方法について、詳述する。
調製工程
本発明の製造方法においては、まず、樹脂またはその前駆体と、少なくとも比重の異なる2種の導電材とを含む樹脂組成物を調製する調製工程を行う。樹脂及び少なくとも比重の異なる2種の導電材としては、それぞれ、上記の「1.中間転写ベルト」において説明した通りである。また、中間転写ベルトを形成する樹脂がポリイミドである場合、本発明の製造方法においては、ポリイミド前駆体を用いる。ポリイミド前駆体についても、上記の「1.中間転写ベルト」において説明した通りである。また、樹脂組成物に配合する樹脂またはその前駆体及び少なくとも比重の異なる2種の導電材の配合量などについても、樹脂またはその前駆体及び少なくとも比重の異なる2種の導電材が上記本発明の中間転写ベルトの組成となるように適宜調製すればよい。
樹脂組成物を調製する調製工程において、樹脂組成物は、樹脂またはその前駆体及び少なくとも比重の異なる2種の導電材に加えて、溶媒を混合することが好ましい。樹脂組成物の調製においては、例えば、酸無水物とジアミン化合物とを溶媒中で反応させて、一旦ポリアミック酸溶液(ポリイミド前駆体溶液)とし、さらに少なくとも比重の異なる2種の導電材、必要に応じて添加される添加剤をポリアミック酸溶液中に分散させた樹脂組成物を得ることが好ましい。
樹脂組成物の調製に使用される溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の非プロトン系有機極性溶媒が挙げられる。これらの溶媒は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの溶媒の中でも、好ましくはNMPが挙げられる。
当該樹脂組成物における固形分濃度については、特に制限されないが、例えば10〜40質量%程度が挙げられる。ここで、固形分濃度とは、樹脂フィルムを形成する成分の総量の濃度であり、溶媒を含む樹脂組成物において樹脂フィルムの形成時に揮発して除去される成分以外の濃度を示す。
樹脂組成物の調製方法としては、特に限定されないが、例えば、樹脂またはその前駆体、少なくとも比重の異なる2種の導電材、溶媒、及び必要に応じて添加される添加剤等の材料を配合した後ボールミル等を用いて混合する方法が挙げられる。
遠心成型工程
次に、調製工程で得られた樹脂組成物を円筒状金型の内面に供給し、円筒状金型を、当該円筒状金型の円周方向に回転させて、樹脂組成物を円筒形のフィルム状に成型する遠心成型工程を行う。
円筒状金型の内面への樹脂組成物の供給方法としては、特に制限されず、例えば、ダイスによる方法、ディスペンサーによる方法、スプレー状にして供給する方法などが採用することができる。
樹脂組成物の供給量は、得られる中間転写ベルトの厚みが、上記本発明の中間転写ベルトで例示した範囲となるように、適宜設定すればよい。
遠心成型工程においては、供給された樹脂組成物が均一な厚みとなるように、円筒状金型を、当該円筒状金型の円周方向に回転させる。円筒状金型としては、回転ドラムなどを使用することができる。遠心成型工程において、円筒状金型の回転条件については、円筒状金型の大きさ、使用する樹脂組成物の組成等に応じて適宜設定すればよい。円筒状金型の回転条件としては、例えば、10〜120G程度、好ましくは30〜70G程度の遠心力を加えた状態で、90〜180分間程度、好ましくは120〜160分間程度回転させる条件が挙げられる。より具体的には、例えば、直径6cm程度の円筒状金型を使用する場合であれば、60〜180rad/秒程度、好ましくは80〜160rad/秒程度で、90〜180分間程度、好ましくは120〜160分間程度の回転条件が挙げられる。また、例えば、直径10cm程度の円筒状金型を使用する場合であれば、60〜180rad/秒程度、好ましくは80〜160rad/秒程度で、90〜180分間程度、好ましくは120〜160分間程度の回転条件が挙げられる。
遠心成型工程において、樹脂組成物に含まれる溶媒を揮発させることなどを目的として、円筒形金型を加熱することが好ましい。円筒形金型の加熱条件については、樹脂組成物の組成などに応じて適宜設定されるが、例えば、0.5〜1.5℃/分程度、好ましくは0.7〜1.0℃/分程度の速度で昇温させて、100〜120℃程度、好ましくは110〜120℃程度に到達したら、その温度を例えば120〜180分間程度維持することが挙げられる。
遠心成型工程によって得られる、円筒形のフィルム状に成型された樹脂組成物中に含まれる上記の相対的に比重の大きな導電材は、円筒形金型に接している面側に偏在する。
加熱工程
次に、遠心成型工程で得られたフィルム状の樹脂組成物を加熱して、円筒形の樹脂フィルムを得る。すなわち、円筒状金型内のフィルム状の樹脂組成物を加熱し、樹脂組成物から溶媒を揮発させる。このとき、樹脂の前駆体としてポリイミド前駆体などを用いた場合には、加熱工程においてポリイミド前駆体を硬化させる。上記のとおり、遠心成型工程によって得られるフィルム状の樹脂組成物においては、円筒形金型に接している面側に相対的に比重の大きな導電材が偏在しており、この状態で加熱されるため、円筒形の樹脂フィルムとなった際の表面側(トナーが接触する外周面側)において、相対的に比重の大きな導電材が偏在する。
加熱の条件としては、樹脂組成物から溶媒を揮発し、さらにポリイミド前駆体を用いる場合には、ポリイミド前駆体が硬化する条件であれば特に制限されないが、例えば、熱風炉で100〜450℃の間を速度1.5〜25℃/分のペースで昇温し、400〜450℃で10〜60分間、好ましくは20〜40分間加熱処理を行う条件が挙げられる。ポリイミド前駆体を用いる場合、このような条件で加熱を行うことにより、ポリイミド前駆体であるポリアミック酸がイミド化されてポリイミドに変換され、円筒形の樹脂フィルムが得られる。
以上の工程により得られた円筒形の樹脂フィルムを、円筒形金型から剥離することにより、本発明の中間転写ベルトが得られる。
以下、実施例を挙げて、本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、表面抵抗率及び体積抵抗率の測定は、以下の方法に従って行った。
[表面抵抗率の測定方法]
中間転写ベルトの表面側における表面抵抗率(Ω/□)は、三菱化学(株)製の抵抗測定器「ハイレスタIP・HRブロ−ブ」を用いて測定した。幅方向の長さ360mmにカットした中間転写ベルトをサンプルとし、該サンプルの幅方向に等ピッチで3ヶ所、縦(周)方向に4カ所の合計12ヶ所について、印加電圧100V、10秒後に表面抵抗率を測定し、その平均値を算出した。また、この平均値から表面抵抗率の常用対数値LogSRを求めた。結果を下表1〜3、図2〜4に示す。
[体積抵抗率の測定方法]
体積抵抗率(Ω・cm)は、三菱化学(株)製の抵抗測定器「ハイレスタIP・HRブロ−ブ」を用いて測定した。測定条件として印加電圧は100Vとし、サンプルに電圧を加えてから10秒後の抵抗率の値を読み取った。幅方向に長さ360mmにカットしたベルトの幅方向に等ピッチで3箇所、縦(周)方向に8箇所の合計24箇所についてそれぞれ測定を行い、得られた値の平均値を算出し体積抵抗率とした。また、当該体積抵抗率から体積抵抗率の常用対数値LogVRを求めた。結果を下表1〜3、図2〜4に示す。
[表面抵抗率の常用対数値LogSRと、体積抵抗率の常用対数値LogVRとの差(LogSR−LogVR)の算出]
上記の表面抵抗率及び体積抵抗率の測定方法で得られた測定値を用いて、中間転写ベルトの表面側における表面抵抗率の常用対数値LogSRと、体積抵抗率の常用対数値LogVRとの差(LogSR−LogVR)の算出した。結果を下表1〜3に示す。
<表面に比重の大きな導電材が偏在した中間転写ベルトの製造>
実施例1
ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)144.6gと4,4'−ジアミノジフェニルエーテル(DADE)53.2gをNーメチルピロリドン溶媒802.2L中で縮重合反応して固形分濃度18重量%のポリアミック酸溶液(粘度5.1Pa・s;B型粘度計(TVB−10M(東機産業株式会社)、ローターM3、回転数12rpm、測定温度23℃)を得た。
この溶液1kgに、導電性酸化チタン(石原産業株式会社のET300W、真比重5g/cm3、粒子状、粒子径0.03〜0.06μm、粉体抵抗10〜30Ω・cm、以上は商品表示)3.6gと、カーボンブラック(三菱化学社製のカーボンブラック、真比重1.8g/cm3)49.5g、溶媒としてN−メチルピロリド125gを加え、ホモディスパーにて均一分散を行い、樹脂組成物を得た。なお、樹脂組成物中の導電性酸化チタンの含有量が、ポリイミド100質量部に対して、2.0質量部となるようにした。また、樹脂組成物中のカーボンブラックの含有量は、ポリイミド100質量部に対して、27.5質量部となるようにした。
次いで、上記樹脂組成物73.2gを、遠心成型用の円筒形金型(回転ドラム)内に注入し、次の条件で遠心成型を行った。円筒形金型としては、内径61.54mm、幅520mmの内面鏡面仕上げの金属製の回転ドラムを用い、2本の回転ローラー上に載置して、当該ローラーの回転とともに、回転ドラムが円周方向に回転する状態に配置した。遠心成型工程における加熱条件は、回転ドラムの内面温度を2℃/分で120℃まで昇温して、その温度で120分間維持しながら、回転ドラムの回転を行った。回転ドラムの回転速度は加熱と共に徐々に加速し、80rad/sに到達したらこれを維持した。
回転、加熱が終了した後、冷却せずそのまま回転ドラムを離脱して熱風滞留式オーブン中に静置してイミド化のための加熱を開始した。この加熱も徐々に昇温しつつ380℃に達した。そして、この温度で120分間加熱した後、常温に冷却して、樹脂フィルムを回転ドラムから剥離し取り出した。得られたベルトの厚みは、80μmであった。
次に、得られた中間転写ベルトについての表面抵抗率の常用対数値LogSRと体積抵抗率の常用対数値LogVRの測定結果、表面抵抗率の常用対数値LogSRと、体積抵抗率の常用対数値LogVRとの差(LogSR−LogVR)の算出結果を、表1及び図2に示す。また、得られた中間転写ベルトの断面をSEM-EDXで観察した。その結果、ベルト表面側に添加した比重の大きな導電材が傾斜している様子がSEM写真から確認できた。また、EDXによる元素分析により、添加した導電剤と同じ元素が表面近傍の断面で確認された。これらの結果から、比重の大きな導電材が表面に偏在していることが確認された。
実施例2
樹脂組成物中の導電性酸化チタンの含有量が、ポリイミド100質量部に対して、3.0質量部となるようにしたこと以外は、実施例1と同様にして、ベルトを得た。また、得られた中間転写ベルトについての表面抵抗率の常用対数値LogSRと体積抵抗率の常用対数値LogVRの測定結果、表面抵抗率の常用対数値LogSRと、体積抵抗率の常用対数値LogVRとの差(LogSR−LogVR)の算出結果を、表1及び図2に示す。また、実施例1と同様にして、比重の大きな導電材の偏在を確認した。
表1及び図2に示される結果から明らかな通り、単層構造の樹脂フィルムにより形成された中間転写ベルトにおいて、比重の異なる2種の導電材のうち、相対的に比重の大きな導電材が、中間転写ベルトの表面側に偏在していることにより、中間転写ベルトの表面側における表面抵抗率の常用対数値LogSRと、体積抵抗率の常用対数値LogVRとの差を−1〜1の範囲内に設定できることが分かる。
実施例3
導電性酸化チタン(石原産業株式会社のET300W、真比重5g/cm3、粒子状、粒子径0.03〜0.06μm、粉体抵抗10〜30Ω・cm、以上は商品表示)の代わりに、導電性酸化チタン(石原産業株式会社のFT1000、真比重4.4g/cm3、針状、繊維長約1.68μm、繊維径約0.13μm、粉体抵抗2〜10Ω・cm、以上は商品表示)9.0gを用いたこと、及び、樹脂組成物中の導電性酸化チタンの含有量が、ポリイミド100質量部に対して、0.50質量部となるようにしたこと以外は、実施例1と同様にして、ベルトを得た。また、得られた中間転写ベルトについての表面抵抗率の常用対数値LogSRと体積抵抗率の常用対数値LogVRの測定結果、表面抵抗率の常用対数値LogSRと、体積抵抗率の常用対数値LogVRとの差(LogSR−LogVR)の算出結果を、表2及び図3に示す。また、実施例1と同様にして、比重の大きな導電材の偏在を確認した。
実施例4
樹脂組成物中の導電性酸化チタンの含有量が、ポリイミド100質量部に対して、0.75質量部となるようにしたこと以外は、実施例3と同様にして、ベルトを得た。また、得られた中間転写ベルトについての表面抵抗率の常用対数値LogSRと体積抵抗率の常用対数値LogVRの測定結果、表面抵抗率の常用対数値LogSRと、体積抵抗率の常用対数値LogVRとの差(LogSR−LogVR)の算出結果を、表2及び図3に示す。また、実施例1と同様にして、比重の大きな導電材の偏在を確認した。
実施例5
樹脂組成物中の導電性酸化チタンの含有量が、ポリイミド100質量部に対して、1.0質量部となるようにしたこと以外は、実施例3と同様にして、ベルトを得た。また、得られた中間転写ベルトについての表面抵抗率の常用対数値LogSRと体積抵抗率の常用対数値LogVRの測定結果、表面抵抗率の常用対数値LogSRと、体積抵抗率の常用対数値LogVRとの差(LogSR−LogVR)の算出結果を、表2及び図3に示す。また、実施例1と同様にして、比重の大きな導電材の偏在を確認した。
表2に示される結果から明らかな通り、相対的に比重の大きな導電材として、針状のものを用いた場合にも、中間転写ベルトの表面側における表面抵抗率の常用対数値LogSRと、体積抵抗率の常用対数値LogVRとの差を−1〜1の範囲内に設定できることが分かる。
比較例1
導電性酸化チタンを配合せず、樹脂組成物中のカーボンブラックの含有量が、ポリイミド100質量部に対して、25.5質量部となるようにしたこと以外は、実施例1と同様にして、ベルトを得た。また、得られた中間転写ベルトについての表面抵抗率の常用対数値LogSRと体積抵抗率の常用対数値LogVRの測定結果、表面抵抗率の常用対数値LogSRと、体積抵抗率の常用対数値LogVRとの差(LogSR−LogVR)の算出結果を、表3及び図4に示す。
比較例2
樹脂組成物中のカーボンブラックの含有量が、ポリイミド100質量部に対して、25.9質量部となるようにしたこと以外は、比較例1と同様にして、ベルトを得た。また、得られた中間転写ベルトについての表面抵抗率の常用対数値LogSRと体積抵抗率の常用対数値LogVRの測定結果、表面抵抗率の常用対数値LogSRと、体積抵抗率の常用対数値LogVRとの差(LogSR−LogVR)の算出結果を、表3及び図4に示す。
比較例3
樹脂組成物中のカーボンブラックの含有量が、ポリイミド100質量部に対して、26.3質量部となるようにしたこと以外は、比較例1と同様にして、ベルトを得た。また、得られた中間転写ベルトについての表面抵抗率の常用対数値LogSRと体積抵抗率の常用対数値LogVRの測定結果、表面抵抗率の常用対数値LogSRと、体積抵抗率の常用対数値LogVRとの差(LogSR−LogVR)の算出結果を、表3及び図4に示す。
比較例4
樹脂組成物中のカーボンブラックの含有量が、ポリイミド100質量部に対して、26.7質量部となるようにしたこと以外は、比較例1と同様にして、ベルトを得た。また、得られた中間転写ベルトについての表面抵抗率の常用対数値LogSRと体積抵抗率の常用対数値LogVRの測定結果、表面抵抗率の常用対数値LogSRと、体積抵抗率の常用対数値LogVRとの差(LogSR−LogVR)の算出結果を、表3及び図4に示す。
比較例5
樹脂組成物中のカーボンブラックの含有量が、ポリイミド100質量部に対して、27.5質量部となるようにしたこと以外は、比較例1と同様にして、ベルトを得た。また、得られた中間転写ベルトについての表面抵抗率の常用対数値LogSRと体積抵抗率の常用対数値LogVRの測定結果、表面抵抗率の常用対数値LogSRと、体積抵抗率の常用対数値LogVRとの差(LogSR−LogVR)の算出結果を、表3及び図4に示す。
比較例6
樹脂組成物中のカーボンブラックの含有量が、ポリイミド100質量部に対して、28.3質量部となるようにしたこと以外は、比較例1と同様にして、ベルトを得た。また、得られた中間転写ベルトについての表面抵抗率の常用対数値LogSRと体積抵抗率の常用対数値LogVRの測定結果、表面抵抗率の常用対数値LogSRと、体積抵抗率の常用対数値LogVRとの差(LogSR−LogVR)の算出結果を、表3及び図4に示す。
表3に示される結果から明らかな通り、導電材としてカーボンブラック1種類を用い、これを均一に分散した中間転写ベルトにおいては、導電材の含有量を種々変更しても、中間転写ベルトの表面側における表面抵抗率の常用対数値LogSRと、体積抵抗率の常用対数値LogVRとの差が大きくなることが分かる。

Claims (10)

  1. 樹脂と導電材とを含む、単層構造の樹脂フィルムにより形成された画像形成装置用の中間転写ベルトであって、
    前記導電材は、少なくとも、比重の異なる2種の導電材を含み、
    前記比重の異なる2種の導電材のうち、相対的に比重の大きな導電材が、前記中間転写ベルトの表面側に偏在している、画像形成装置用の中間転写ベルト。
  2. 前記相対的に比重の大きな導電材の比重が、4.0g/cm3以上である、請求項1に記載の画像形成装置用の中間転写ベルト。
  3. 前記比重の異なる2種の導電材のうち、相対的に比重の小さな導電材の比重が、2.5g/cm3以下である、請求項1または2に記載の画像形成装置用の中間転写ベルト。
  4. 前記相対的に比重の大きな導電材が、導電性酸化チタン、導電性亜鉛、導電性酸化錫、及び酸化インジウム錫からなる群から選択された少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置用の中間転写ベルト。
  5. 前記相対的に比重の小さな導電材が、導電性炭素系物質である、請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置用の中間転写ベルト。
  6. 前記相対的に比重の大きな導電材の形状が、粒子状、針状、板状、鱗片状、柱状、または球状である、請求項1〜5のいずれかに記載の画像形成装置用の中間転写ベルト。
  7. 前記樹脂が、ポリイミドである、請求項1〜6のいずれかに記載の画像形成装置用の中間転写ベルト。
  8. 前記相対的に比重の大きな導電材が粒子状である場合の粒子径が、0.03〜5.0μmの範囲にあり、
    前記相対的に比重の大きな導電材が針状である場合の繊維長が1.0〜10.0μmの範囲、繊維径が0.1〜1.0μmの範囲にある、請求項1〜7のいずれかに記載の画像形成装置用の中間転写ベルト。
  9. 前記中間転写ベルトの表面側における表面抵抗率の常用対数値LogSRと、体積抵抗率の常用対数値LogVRとの差(LogSR−LogVR)が、−1〜1の範囲にある、請求項1〜8のいずれかに記載の画像形成装置用の中間転写ベルト。
  10. 樹脂またはその前駆体と、少なくとも比重の異なる2種の導電材とを含む樹脂組成物を調製する調製工程と、
    前記樹脂組成物を円筒状金型の内面に供給し、前記円筒状金型を円周方向に回転させて、前記樹脂組成物を円筒形のフィルム状に成型する遠心成型工程と、
    前記フィルム状の樹脂組成物を加熱して、円筒形の樹脂フィルムを得る加熱工程と、
    を備える、画像形成装置用の中間転写ベルトの製造方法。
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