JP5464636B2 - ポリイミドフィルムの製造方法および得られたポリイミドフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、寸法安定性に優れたポリイミドフィルムの製造方法および当該製造方法により得られたポリイミドフィルムに関する。
耐熱性、電気絶縁性および耐溶剤性等の各種の優れた特性を有するポリイミド樹脂は、従来からエレクトロニクス分野において広く用いられている。例えば、フレキシブルプリント基板、TABテープあるいは高密度記録媒体用ベースフィルム等に用いられている。なお、ポリイミド樹脂は、フィルム体以外には、例えばシート体、コーティング剤等の各種形態で用いられているが、フィルム体の場合においてはその単体としての形態のみならず、フィルムの表面に銅箔を接着剤で接着する、銅のスパッタリング−銅電解メッキを施す、更には銅箔上にポリイミド樹脂をキャスト若しくはコーティングするといった積層体の形態としても広く用いられている。
しかしながら、近年の電子材料や機器の進捗に伴い、用いられるポリイミドフィルムも、耐熱性、電気絶縁性、耐溶剤性等の基本的な特徴だけではなく、より複雑な多くの特徴が要求されるようになっている。例えば、電気、電子機器の小型化に伴い、それに用いられるフレキシブルプリント基板の配線パターンも細密になり、その結果、従来よりも加熱による寸法変化が抑制されたポリイミドフィルムが求められるようになっている。
前記課題を解決するため、例えば、フィルムの吸湿膨張係数や線膨張係数、あるいは吸水率を制御することが試みられているが、製造面からのアプローチはほとんどなされていないのが現状である(例えば、特許文献1乃至3参照)。
特開2003−335874号 特開2005−298814号 特開昭61−264028号
本発明の目的は、寸法安定性に優れたポリイミドフィルムを提供することである。
本発明者らは、上記の課題に鑑み鋭意検討した結果、ポリイミドフィルムの製造過程においてゲルフィルムのMD方向にある一定範囲の張力をかけることにより、寸法安定性が良好なフィルムが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、(1)有機溶剤中で芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸二無水物を反応させてポリアミック酸溶液を得る工程、(2)ポリアミック酸溶液を含む製膜ドープを支持体上に流延する工程、(3)支持体上で加熱した後、支持体から溶媒を含んだゲルフィルムを引き剥がす工程、(4)ゲルフィルムを把持具で固定し、残存するアミック酸部位をイミド化する工程、を含有するポリイミドフィルムの製造方法において、前記(3)の工程の後に、ゲルフィルムのMD方向に対して0.50〜0.90kg/(m・μm)の張力をかけることを特徴とする、ポリイミドフィルムの製造方法に関する。
好ましい実施態様は、前記(4)工程において、TD方向に対する延伸倍率が−5〜+5%となるように延伸することを特徴とする、前記のポリイミドフィルムの製造方法に関する。
また本発明は、前記いずれかの製造方法により得られたポリイミドフィルムに関する。
好ましい実施態様は、TD方向の400℃での加熱寸法変化率が−0.4〜0.4%であることを特徴とする、前記のポリイミドフィルムに関する。
本発明により、寸法安定性に優れたポリイミドフィルムを工業的に有利に製造することができる。
以下、本発明のポリイミドフィルムの製造方法について、その実施の形態の一例に基づき説明する。
本発明に係るポリイミドフィルムの製造方法は、(1)有機溶剤中で芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸二無水物を反応させてポリアミック酸溶液を得る工程、(2)ポリアミック酸溶液を含む製膜ドープを支持体上に流延する工程、(3)支持体上で加熱した後、支持体から溶媒を含んだゲルフィルムを引き剥がす工程、(4)ゲルフィルムを把持具で固定し、残存するアミック酸部位をイミド化する工程、を含むものであり、更に前記(3)の工程の後に、ゲルフィルムのMD方向に対して0.50〜0.90kg/(m・μm)の張力をかけることを特徴とするものである。
前記(1)工程にて、ポリアミック酸溶液を製造する方法としては公知のあらゆる方法を用いることができる。通常、芳香族酸二無水物と芳香族ジアミンを、実質的に等モル量となるように有機溶媒中に溶解させて得られたポリアミック酸有機溶媒溶液を、制御された温度条件下で、上記芳香族酸二無水物と芳香族ジアミンの重合が完了するまで攪拌することによって製造されうる。これらのポリアミック酸溶液は、通常、5〜35重量%、好ましくは10〜30重量%の濃度で得られうる。ポリアミック酸溶液がこの範囲の濃度である場合に、適当な分子量と溶液粘度を得ることができる。
次に、重合方法については特に制限はなく、あらゆる公知の方法を用いることができるが、特に好ましい重合方法としては、次のような方法が挙げられる。すなわち、
1)芳香族ジアミンを有機極性溶媒中に溶解し、これと実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物を反応させて重合する方法、
2)芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対し過小モル量の芳香族ジアミンとを有機極性溶媒中で反応させ、両末端に酸無水物基を有するプレポリマーを得る。続いて、全工程において芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンが実質的に等モルとなるように芳香族ジアミンを用いて重合させる方法、
3)芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対し過剰モル量の芳香族ジアミンとを有機極性溶媒中で反応させ、両末端にアミノ基を有するプレポリマーを得る。続いてここに芳香族ジアミンを追加添加後、全工程において芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンが実質的に等モルとなるように芳香族テトラカルボン酸二無水物を用いて重合する方法、
4)芳香族テトラカルボン酸二無水物を有機極性溶媒中に溶解及び/又は分散させた後、実質的に等モルとなるように芳香族ジアミンを用いて重合させる方法、
5)実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンの混合物を有機極性溶媒中で反応させて重合する方法、などのような方法である。
次に、まずポリアミック酸溶液を製造する際に用いられる芳香族テトラカルボン酸二無水物について以下に説明する。適当な芳香族テトラカルボン酸二無水物として、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)及びそれらの誘導物があげられる。これらを単独または任意の割合で混合した混合物を好ましく用いることができる。
次に、ポリアミック酸溶液を製造する際に用いられうる芳香族ジアミンとしては、例えば、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、4,4’−オキシジアニリン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−オキシジアニリン、3,4’−オキシジアニリン、2,4’−オキシジアニリン、4,4’−ジアミノジフェニルジエチルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、4,4’−ジアミノジフェニルN−メチルアミン、4,4’−ジアミノジフェニル N−フェニルアミン、1,3−ジアミノベンゼン、1,2−ジアミノベンゼン、p−フェニレンジアミン、ベンジジン及びそれらの誘導物があげられる。これらを単独または任意の割合で混合した混合物を好ましく用いることができる。
本発明においては、芳香族ジアミンとして、特に以下に示す屈曲性ジアミンと直線性ジアミンを各々単独または任意の割合で混合して用いることが好ましい。
なお、本発明において屈曲性ジアミンとは、エーテル基、メチレン基、プロパギル基、ヘキサフルオロプロパギル基、カルボニル基、スルホン基、スルフィド基などの屈曲性基を主鎖中に含むジアミン、または、屈曲基を含まない場合は、2個のアミノ基の窒素原子とそれらと結合する炭素原子が一直線に並ばない構造を有するジアミン化合物を意味する。例えば、屈曲性ジアミンとして、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、4,4’−オキシジアニリン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−オキシジアニリン、3,4’−オキシジアニリン、2,4’−オキシジアニリン、4,4’−ジアミノジフェニルジエチルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、4,4’−ジアミノジフェニルN−メチルアミン、4,4’−ジアミノジフェニル N−フェニルアミン、1,3−ジアミノベンゼン、1,2−ジアミノベンゼン、及びそれらの誘導物などが挙げられる。中でも適度な剛直性を有すること、またコストの点から、4,4’−オキシジアニリンがより好ましい。
一方、本発明において直線性ジアミンとは、エーテル基、メチレン基、プロパギル基、ヘキサフルオロプロパギル基、カルボニル基、スルホン基、スルフィド基などのような屈曲性基を主鎖中に含まず、かつ2個のアミノ基の窒素原子とそれらが結合している炭素原子が一直線に並ぶ構造を有するジアミン化合物を意味する。例えば、直線性ジアミンとして、p−フェニレンジアミンおよびその核置換化合物、ベンジジンおよびその核置換化合物などが挙げられる。これらの中で加工性、取り扱い性、ポリイミドフィルムの特性バランスの面からp−フェニレンジアミンを用いるのがより好ましい。
ポリアミック酸溶液を製造するための好ましい有機溶剤は、ポリアミック酸を溶解できる溶媒であればいかなるものも用いることができるが、中でもアミド系溶媒すなわちN,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどを用いることが好ましい。中でも、沸点の点から、N,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドを特に好ましく用いることができる。
また、例えば、摺動性、熱伝導性、導電性、耐コロナ性等のフィルムの諸特性を改善する目的でポリアミック酸溶液にフィラーを添加することもできる。フィラーとしてはいかなるものを用いても良いが、好ましい例としてはシリカ、酸化チタン、アルミナ、窒化珪素、窒化ホウ素、リン酸水素カルシウム、リン酸カルシウム、雲母などが挙げられる。
フィラーの粒子径は改質すべきフィルム特性と添加するフィラーの種類によって決定されるため、特に制限されるものではないが、一般的には平均粒子径が0.05〜100μm、好ましくは0.1〜75μm、更に好ましくは0.1〜50μm、特に好ましくは0.1〜25μmである。平均粒子径がこの範囲を下回るとフィルムの改質効果が現れにくくなり、この範囲を上回るとフィルムの表面性を大きく損なったり、機械的特性が大きく低下したりする虞がある。なお、本発明における前記平均粒子径とは、顕微鏡等で観察し、100個体の平均値を算出したものを平均粒子径とする。また、フィラーの添加部数についても改質すべきフィルム特性やフィラー粒子径などにより決定されるため、特に制限されるものではない。一般的にフィラーの添加量は、ポリイミド樹脂100重量部に対して0.01〜100重量部、好ましくは0.01〜90重量部、更に好ましくは0.02〜80重量部となるような範囲である。フィラー添加量がこの範囲を下回るとフィラーによるフィルムの改質効果が現れにくく、この範囲を上回るとフィルムの機械的特性が大きく損なわれる虞がある。
前記フィラーの添加は、例えば、
1)重合前または重合途中に重合反応液に添加する方法、
2)重合完了後、3本ロールなどを用いてフィラーを混錬する方法、
3)フィラーを含む分散液を用意し、これをポリアミック酸有機溶媒溶液に混合する方法、
などいかなる方法を用いてもよいが、フィラーを含む分散液をポリアミック酸溶液に混合する方法、特に製膜直前に混合する方法が製造ラインのフィラーによる汚染が最も少なくてすむため、好ましい。なお、フィラーを含む分散液を用意する場合、ポリアミック酸の重合溶媒と同じ有機溶剤を用いることが好ましい。また、フィラーを良好に分散させ、また分散状態を安定化させるために分散剤、増粘剤等をフィルム物性に影響を及ぼさない範囲内で用いることもできる。
次に、ポリアミック酸溶液からポリイミドフィルムを製造する方法について説明する。本発明においては、(1)工程の後、(2)ポリアミック酸溶液を含む製膜ドープを支持体上に流延する工程、(3)支持体上で加熱した後、支持体から溶媒を含んだゲルフィルムを引き剥がす工程、(4)ゲルフィルムを把持具で固定し、残存するアミック酸部位をイミド化する工程、を含んでポリイミドフィルムが製造されうる。ここで、前記(2)工程乃至(4)工程については、従来公知の方法を適宜適用することができる。
一般的に、アミック酸部位をイミド化する方法としては、熱イミド化法と化学イミド化法が挙げられる。熱イミド化法とは、一般に、ポリアミック酸溶液からなる製膜ドープを支持体上に流延した後、化学的キュア剤を用いることなく、例えば100〜200℃程度で加熱することでイミド化を達成する方法である。一方、化学イミド化法とは、ポリアミック酸溶液に、例えば無水酢酸等の酸無水物に代表される脱水剤と、イソキノリン、β−ピコリン、ピリジン等の第三級アミン類等に代表されるイミド化触媒とを作用させ、化学的にイミド化を促進する方法である。これらの内、フィルムの熱的寸法安定性、機械的強度の面から、化学イミド化法を用いてイミド化することが好ましい。また本発明においては、化学イミド化法に熱イミド化法を併用してもよい。加熱条件は、ポリアミック酸の種類、フィルムの厚さ等により、適宜変動し得る。
本発明の(2)工程において、ポリアミック酸溶液を含む製膜ドープの作成方法、あるいは製膜ドープを支持体上に流延する方法は特に制限されず、公知の方法を適宜使用できる。例えば、前記脱水剤およびイミド化触媒を必要に応じて低温でポリアミック酸溶液中に混合して製膜ドープを得た後、引き続いてこの製膜ドープをガラス板、アルミ箔、エンドレスステンレスベルト、ステンレスドラムなどの支持体上にフィルム状にキャストすることができる。
次に、本発明のポリイミドフィルムの製造方法における(3)工程について説明する。前記の如く支持体上に流延された製膜ドープを、例えば支持体上で80℃〜200℃、好ましくは100℃〜180℃の温度領域で加熱することによりイミド化触媒等を活性化し、結果としてアミック酸部位が部分的に硬化及び/又は乾燥したポリアミック酸フィルム(以下、ゲルフィルムともいう)を得ることができる。その後、支持体からゲルフィルムを剥離する。ここで前記ゲルフィルムは、ポリアミック酸からポリイミドへの硬化の中間段階にあり、自己支持性を有するものであり、以下の(式1)から算出される揮発分含量は5〜500%の範囲であり、好ましくは5〜100%、より好ましくは10〜80%、最も好ましくは30〜60%の範囲にある。
(A−B)×100/B・・・・(式1)
ここで(式1)中、A:ゲルフィルムの重量、B:ゲルフィルムを450℃で20分間加熱した後の重量である。この範囲のゲルフィルムを用いることが好適であり、上記範囲を外れると最終的に得られるポリイミドフィルムの機械的強度の低下等を引き起こす虞がある。
本発明の製造方法においては、前記(3)工程の後、前記ゲルフィルムに対し、MD方向(フィルム長さ方向)に対してある一定範囲の張力をかける工程を有することに特徴がある。好ましくは、この状態でゲルフィルムをクリップやピンシート等の把持具に固定するのが良い。ここで、上記のある一定範囲の張力とは0.50〜0.90kg/(m・μm)であり、好ましくは0.60〜0.90kg/(m・μm)である。この際の張力が上記範囲を下回る場合、本発明の寸法安定性に優れる効果を発現しづらくなり、逆に張力が上記範囲を超える場合、最終的に得られるポリイミドフィルムの物性に異方性が生じてしまいフィルムとしての本質を見失う虞がある。
次に、本発明のポリイミドフィルムの製造方法における(4)工程について説明する。例えば、前記ゲルフィルムの端部をクリップ、ピンシート等の把持具で固定し、硬化時の収縮を回避して乾燥することができる。フィルム中の水、残留溶媒、残存する脱水剤やイミド化触媒を除去し、そして残ったアミック酸部位をイミド化して、本発明のポリイミドフィルムを得ることができる。この際、一般的には400〜580℃の温度で5〜400秒加熱するのが好ましい。上記温度より高い及び/又は加熱時間が長いとフィルムの熱劣化が起こり易く、逆に上記温度より低い及び/又は加熱時間が短いと所望の機械特性、熱特性が発現しないことがある。
本発明において、特に好ましいポリイミドフィルムの製造工程は、例えば、
a)有機溶剤中で芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸二無水物を反応させてポリアミック酸溶液を得る工程、
b)上記ポリアミック酸溶液を含む製膜ドープを支持体上に流延する工程、
c)支持体上で加熱した後、支持体からゲルフィルムを引き剥がす工程、
d)ゲルフィルムのMD方向に特定範囲の張力をかける工程、
e)ゲルフィルムをクリップ等の把持具に固定し加熱し、残存するアミック酸部位をイミド化し、かつ乾燥させる工程、
をこの手順で含むものである。
以上のようにして、400℃におけるTD方向(フィルム幅方向)の加熱寸法変化率が、−0.4〜0.4%のポリイミドフィルムを得ることができる。これら諸特性が上記範囲を満たすことにより、本発明に係るポリイミドフィルムをフレキシブルプリント基板へ適用する際の加工工程における前記不具合点を解消することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(評価方法)
(1)加熱寸法変化率
エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製TMA/SS6100を用いて、荷重3gにて10℃/minにて400℃まで昇温し、40℃/minにて0℃まで降温した。この際に昇温、降温のTMA%を50℃にて読み取りその差を400℃における加熱寸法変化率とした。なお、サンプルサイズは、幅3mm、長さ10mmにて測定した。
(実施例1)
10℃に冷却したN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)758gに2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン(BAPP)49.9g、4,4‘−ジアミノジフェニルエーテル16.2gを溶解した。ここに3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)26.1gを添加して溶解させた後、ピロメリット酸二無水物(PMDA)22.1gを添加して30分攪拌した。この溶液にp−フェニレンジアミン(p−PDA)21.9gを溶解した後、PMDA44.2gを添加し1時間撹拌して溶解させた。さらにこの溶液に別途調製してあったPMDAのDMF溶液(PMDA1.85g/DMF24.6g)を注意深く添加し、粘度が3000ポイズ程度に達したところで添加を止めた。1時間撹拌を行って固形分濃度約18.5重量%、23℃での回転粘度が3400ポイズのポリアミック酸溶液を得た。
このポリアミック酸溶液100gに無水酢酸165.7g、イソキノリン104.8gおよびDMF229.6gからなる硬化剤をポリアミック酸溶液に対して重量比50%ですばやくミキサーで攪拌・混合し、Tダイから押出してダイの下10mmを0.3m/分の速度で走行しているステンレス製のエンドレスベルト上に流延した。この樹脂膜を130℃×150秒で加熱した後、エンドレスベルトから自己支持性を有するゲルフィルムを引き剥がして(揮発分含量45重量%)、MD方向に0.50kg/(m・μm)の加重で張力をかけた状態で金属枠に固定し、TD方向の延伸倍率は0%の状態で、250℃×20秒、350℃×20秒、450℃×20秒、500℃×20秒で乾燥・イミド化させて厚み35μmのポリイミドフィルムを得た。
(実施例2)
実施例1と同様にして、ポリアミック酸溶液を得た。このポリアミック酸溶液100gに無水酢酸165.7g、イソキノリン104.8gおよびDMF229.6gからなる硬化剤をポリアミック酸溶液に対して重量比50%ですばやくミキサーで攪拌・混合し、Tダイから押出してダイの下10mmを0.3m/分の速度で走行しているステンレス製のエンドレスベルト上に流延した。この樹脂膜を130℃×150秒で加熱した後、エンドレスベルトから自己支持性を有するゲルフィルムを引き剥がして(揮発分含量45重量%)、MD方向に0.55kg/(m・μm)の加重で張力をかけた状態で金属枠に固定し、TD方向の延伸倍率は0%の状態で、250℃×20秒、350℃×20秒、450℃×20秒、500℃×20秒で乾燥・イミド化させて厚み35μmのポリイミドフィルムを得た。
(実施例3)
実施例1と同様にして、ポリアミック酸溶液を得た。このポリアミック酸溶液100gに無水酢酸165.7g、イソキノリン104.8gおよびDMF229.6gからなる硬化剤をポリアミック酸溶液に対して重量比50%ですばやくミキサーで攪拌・混合し、Tダイから押出してダイの下10mmを0.3m/分の速度で走行しているステンレス製のエンドレスベルト上に流延した。この樹脂膜を130℃×150秒で加熱した後、エンドレスベルトから自己支持性を有するゲルフィルムを引き剥がして(揮発分含量45重量%)、MD方向に0.65kg/(m・μm)の加重で張力をかけた状態で金属枠に固定し、TD方向の延伸倍率は0%の状態で、250℃×20秒、350℃×20秒、450℃×20秒、500℃×20秒で乾燥・イミド化させて厚み35μmのポリイミドフィルムを得た。
(実施例4)
実施例1と同様にして、ポリアミック酸溶液を得た。このポリアミック酸溶液100gに無水酢酸165.7g、イソキノリン104.8gおよびDMF229.6gからなる硬化剤をポリアミック酸溶液に対して重量比50%ですばやくミキサーで攪拌・混合し、Tダイから押出してダイの下10mmを0.3m/分の速度で走行しているステンレス製のエンドレスベルト上に流延した。この樹脂膜を130℃×150秒で加熱した後、エンドレスベルトから自己支持性を有するゲルフィルムを引き剥がして(揮発分含量45重量%)、MD方向に0.90kg/(m・μm)の加重で張力をかけた状態で金属枠に固定し、TD方向の延伸倍率は0%の状態で、250℃×20秒、350℃×20秒、450℃×20秒、500℃×20秒で乾燥・イミド化させて厚み35μmのポリイミドフィルムを得た。
(比較例1)
実施例1と同様にして、ポリアミック酸溶液を得た。このポリアミック酸溶液100gに無水酢酸165.7g、イソキノリン104.8gおよびDMF229.6gからなる硬化剤をポリアミック酸溶液に対して重量比50%ですばやくミキサーで攪拌・混合し、Tダイから押出してダイの下10mmを0.3m/分の速度で走行しているステンレス製のエンドレスベルト上に流延した。この樹脂膜を130℃×150秒で加熱した後、エンドレスベルトから自己支持性を有するゲルフィルムを引き剥がして(揮発分含量45重量%)、MD方向に0.40kg/(m・μm)の加重で張力をかけた状態で金属枠に固定し、TD方向の延伸倍率は0%の状態で、250℃×20秒、350℃×20秒、450℃×20秒、500℃×20秒で乾燥・イミド化させて厚み35μmのポリイミドフィルムを得た。
(比較例2)
実施例1と同様にして、ポリアミック酸溶液を得た。このポリアミック酸溶液100gに無水酢酸165.7g、イソキノリン104.8gおよびDMF229.6gからなる硬化剤をポリアミック酸溶液に対して重量比50%ですばやくミキサーで攪拌・混合し、Tダイから押出してダイの下10mmを0.3m/分の速度で走行しているステンレス製のエンドレスベルト上に流延した。この樹脂膜を130℃×150秒で加熱した後、エンドレスベルトから自己支持性を有するゲルフィルムを引き剥がして(揮発分含量45重量%)、MD方向に1.10kg/(m・μm)の加重で張力をかけた状態で金属枠に固定し、TD方向の延伸倍率は0%の状態で、250℃×20秒、350℃×20秒、450℃×20秒、500℃×20秒で乾燥・イミド化させて厚み35μmのポリイミドフィルムを得た。
得られたポリイミドフィルムの加熱寸法変化率を測定した結果を表1に示す。
Figure 0005464636
実施例および比較例の結果より、ポリイミドフィルムの製造において、ゲルフィルムのMD方向にかける張力が0.50kg/(m・μm)未満である場合、また、同様に0.90kg/(m・μm)を超える張力をかけた場合、400℃におけるポリイミドフィルムの加熱寸法変化率が悪化することがわかる。

Claims (2)

  1. (1)有機溶剤中で芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸二無水物を反応させてポリアミック酸溶液を得る工程、(2)ポリアミック酸溶液を含む製膜ドープを支持体上に流延する工程、(3)支持体上で加熱した後、支持体から溶媒を含んだゲルフィルムを引き剥がす工程、(4)ゲルフィルムを把持具で固定し、残存するアミック酸部位をイミド化する工程、を含有するポリイミドフィルムの製造方法において、前記(3)の工程の後でかつ前記(4)の工程の前に、ゲルフィルムのMD方向に対して0.50〜0.90kg/(m・μm)の張力をかけ、当該張力をかけた状態で、前記(4)の工程を実施することを特徴とする、ポリイミドフィルムの製造方法。
  2. 前記(4)の工程において、TD方向に対する延伸倍率が−5〜+5%となるように、前記ゲルフィルムを延伸することを特徴とする、請求項1に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
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