JP5254752B2 - 多層ポリイミドフィルム - Google Patents

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本発明は、ますます高い柔軟性および寸法安定性が要求されるフレキシブルプリント基板に好適に使用できる多層ポリイミドフィルムに関する。
近年、エレクトロニクス製品の軽量化、小型化、高密度化にともない、各種プリント基板の需要が伸びているが、中でも、フレキシブル積層板(フレキシブルプリント配線板(FPC)等とも称する)の需要が特に伸びている。フレキシブル積層板は、ポリイミドフィルム等の絶縁性フィルム上に金属層からなる回路が形成された構造を有している。
近年における携帯電話などの高機能化および小型化に伴い、従来に増してFPCに対する高い柔軟性および寸法安定性が要求されているが、これらの特性は基盤となるポリイミドフィルムの特性によるところが大きい。例えば、従来より4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(以下、4,4’−ODAとも言う)とピロメリット酸二無水物(以下、PMDAとも言う)からなるポリイミドフィルムが知られている。このフィルムの平均弾性率(以下、弾性率ともいう)は4GPa未満程度であって、フィルムのコシの強さを表すスティフネス値が低い(すなわち、高い柔軟性を有している)が、平均線膨張係数(以下、線膨張係数ともいう)は30ppmを超えるため寸法安定性が十分でないという問題があった(例えば、特許文献1参照)。
これに対し、寸法安定性を向上させるためにパラフェニレンジアミンを共重合し、主として用いられる金属である銅の線膨張係数にポリイミドフィルムの線膨張係数を近づける技術が開示されているが(例えば、特許文献2参照)、線膨張係数を銅に近づけると相反して弾性率が増大し、それに伴ってスティフネス値も増大するため、フィルムの柔軟性が損なわれるという問題点があった。
上記のごとくポリイミドフィルムにおいては一般的に弾性率が低くなればスティフネス値も低くなる一方で線膨張係数が増加し寸法安定性が劣る傾向にあるため、柔軟性および寸法安定性の両立が困難であった。
一方、一般的にスティフネス値を下げる方法として、フィルム厚さを薄くする方法が知られている。しかしながら、フィルム厚さを薄くする方法は、製膜時にフィルムが破れやすくなるため安定生産が難しく、またフィルムの絶縁信頼性が低下する傾向にあり用いられるフィルムの厚さが制限されてしまう、といった問題を有している(例えば、特許文献3参照)。
従って、市場からは、フィルム厚さが制限されず、高い柔軟性すなわち低スティフネス値を示し、寸法安定性の高いポリイミドフィルムが待ち望まれている。
日本国特公昭36-10999号公報 日本国特開平1−16832号公報 日本国特開平8−156176号公報
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、その目的は、高い柔軟性及び寸法安定性を有する、フレキシブルプリント配線板等に好適なポリイミドフィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記の課題に鑑み鋭意検討した結果、ポリイミドフィルムを多層構造にし、各層の弾性率や線膨張係数等の諸特性を制御することにより、高い柔軟性及び寸法安定性を有するポリイミドフィルムが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、コア層とフィルム両面に露出するクラッド層を含む多層構造を有するポリイミドフィルムであって、コア層の平均弾性率が4.0GPa以上、10.0GPa以下である非熱可塑性ポリイミドであり、クラッド層はピール強度が3N/cm以下である非熱可塑性ポリイミドであって、前記コア層の平均弾性率(a)とクラッド層の平均弾性率(b)が次の関係式(1):a>bを満たすことを特徴とする、多層ポリイミドフィルムに関する。
本発明の好ましい実施態様は、前記多層ポリイミドフィルムにおいて、クラッド層の厚み構成比率が全総厚みの10%以上、50%以下であることを特徴とする、前記の多層ポリイミドフィルムに関する。
本発明の好ましい実施態様は、前記多層ポリイミドフィルムの全総厚みに対する各層の厚み構成比率において、クラッド層同士の差が3%以下であることを特徴とする、前記の多層ポリイミドフィルムに関する。
本発明の好ましい実施態様は、前記多層ポリイミドフィルムにおいて、クラッド層についてクラッド層の総厚みの80%を切削した後の多層ポリイミドフィルムの弾性率(c)と、当該切削前の多層ポリイミドフィルムの平均弾性率(d)との間に、次の関係式(2):1.05<c/d<1.20が成り立つことを特徴とする、前記の多層ポリイミドフィルムに関する。
本発明の好ましい実施態様は、前記多層ポリイミドフィルムにおけるコア層の平均弾性率(a)とクラッド層の平均弾性率(b)に、次の関係式(3):0.9a≧b≧0.2aが成り立つことを特徴とする、前記の多層ポリイミドフィルムに関する。
本発明の好ましい実施態様は、前記多層ポリイミドフィルムにおけるコア層の100〜200℃における平均線膨張係数が5〜20ppm/℃であることを特徴とする、前記の多層ポリイミドフィルムに関する。
本発明の好ましい実施態様は、フィルムの全厚みが7〜30μmであることを特徴とする、前記の多層ポリイミドフィルムに関する。
本発明の好ましい実施態様は、フレキシブルプリント配線板用途に用いられることを特徴とする、前記の多層ポリイミドフィルムに関する。
本発明により、高い柔軟性及び寸法安定性に優れた多層ポリイミドフィルム、およびそれを用いた積層板または金属張積層板を提供することができる。
本発明の実施の一形態について、以下に説明する。
本発明に係る多層構造を有するポリイミドフィルムは、コア層とフィルム両面に露出するクラッド(clad)層を有するものである。
ここで、前記コア層は、ポリイミドフィルムの最外層ではない中心付近にある層を意味し、例えばポリイミドフィルムが3層構造の場合は中心層(2層目)、4層構造の場合には2層目もしくは3層目またはその両方が該当し、5層構造の場合は2〜4層目中の中心層もしくは2〜4層目中のいずれかもしくは2層以上が該当し、好ましくは5層構造の場合は5層中の中心となる層が該当する。一方、クラッド層は、コア層を含む層を被覆する層であって、多層構造ポリイミドフィルムの表面に露出する層を意味する。
本発明における非熱可塑性ポリイミドとは、一般に加熱しても軟化、接着性を示さないポリイミドをいう。本発明では、フィルムの状態で380℃、2分間加熱を行い、シワが入ったり伸びたりせず、形状を保持しているポリイミド、若しくは実質的にガラス転移温度を有しないポリイミドをいう。なお、ガラス転移温度は動的粘弾性測定装置(DMA)により測定した貯蔵弾性率の変曲点の値により求めることができる。また、「実質的にガラス転移温度を有しない」とは、ガラス転移状態になる前に熱分解が開始するものをいう。
本発明に係る多層ポリイミドフィルムは、前記コア層の平均弾性率(a)とクラッド層の平均弾性率(b)に以下の関係式(1):a>bが成り立つことに特徴を有する。クラッド層の弾性率(b)がコア層の弾性率(a)以上である場合、フィルム全体のスティフネス値が上がり柔軟性が損なわれるため、好ましくない。コア層の平均弾性率は、寸法安定性の点および柔軟性の点から、4.0〜10.0GPaであることが好ましく、4.0〜7.0GPaであることがより好ましい。コア層の平均弾性率が4.0GPaを下回る場合、平均線膨張が大きくなりすぎる傾向にあり、また10.0GPaを上回る場合、本発明の課題の1つであるフィルムの柔軟性を有することが困難となる。
ここで、本発明において「平均弾性率」とは、フィルムのMD方向(Machine Direction)、TD方向(Transverse Direction)、分子配向軸方向、分子配向軸より右回りに45°方向、左回りに45°方向の各方向においてASTM D−882に準拠して測定した弾性率の平均を意味する。例えば、上記コア層の平均弾性率を測定する場合には、多層ポリイミドフィルムのクラッド層を削り取り、残ったコア層について測定しても良いし、コア層を単層で成膜し、その平均弾性率を測定しても良い。上記のクラッド層を削り取る方法としては特に限定されず、鑢、ガラスナイフ、カッターナイフを用いて削り取ることやSAICASといった装置によって表層を削ること、また薬品等によって溶解させることなどによって取り除くことができる。
当該多層ポリイミドフィルム全体の弾性率は、上記のごとくコア層とクラッド層の弾性率を適宜設定することにより定まるものであるが、好ましくは3.0GPa〜6.0GPaである。
本発明に係る多層ポリイミドフィルムのクラッド層は、ピール強度が3N/cm以下であるポリイミドであることに特徴を有する。ここで、本発明において「ピール強度」とは、前記多層ポリイミドフィルムそれ自体の両面に、またはクラッド層に用いるポリアミック酸溶液を単層で12.5μmの厚みに製膜したポリイミドフィルムの両面に、厚さ18μmのジャパンエナジー製銅箔(BHY−22BT)を配置し、ラミネート温度380℃、圧力0.8t、ラインスピード1m/minで熱圧着したサンプルの銅箔とポリイミドフィルムを、JIS C6471の「6.5 引きはがし強さ」に従って、サンプルを作製し、5mm幅の金属箔部分を、180度の剥離角度、50mm/分の条件で剥離し、その荷重を測定したときの密着強度を意味する。前記ピール強度の上限値は、例えば当該フィルムを当該フィルム同士または他のフィルムと積層し加熱下で搬送するような熱加工時の搬送性の観点から、3N/cm以下であることが好ましく、さらには1.5N/cm以下であることが好ましい。一方、前記ピール強度の下限値は熱加工時の搬送性の観点から0N/cmであることが好ましいが、特には制限されるものではない。
また、多層構造を有するポリイミドフィルムとして、日本国特許第3976532号や日本国特開2007−91803号公報が知られているが、これらの多層ポリイミドフィルムは高分子光導波路を形成するためのポリイミドフィルムであったり、接着性フィルムであることから、最外層には、50ppm/℃以上の高線膨張係数が必要であったり、または高度な接着性が求められている。すなわち、多層フィルム全体の線膨張係数は30ppm/℃よりもはるかに大きく、またはクラッド層のピール強度は3N/cmよりもはるかに大きいものであるため、本発明の意図するところとは全く異なった目的で設計されたものであり、フィルムとして技術分野が全く異なるものである。
本発明の多層ポリイミドフィルムにおけるクラッド層の厚み構成比率(両面を合わせたもの)は、設計する多層ポリイミドフィルムの線膨張係数や弾性率、用いるポリイミド樹脂の組成にも依存するが、寸法安定性および柔軟性の観点から、概ねフィルム全総厚みの10%以上、50%以下であることが好ましく、さらには10%以上、40%以下であることがより好ましい。
本発明の多層ポリイミドフィルムにおける全総厚みに対する各層の厚み構成比率において、クラッド層同士の差は、3%以下が好ましく、より好ましくは2%以下、更に好ましくは1%以下である。この範囲を上回る場合、フィルムにカールが生じてしまい加工性に支障をきたすこともある。
本発明おいて、クラッド層についてクラッド層の総厚みの80%を切削した後の多層ポリイミドフィルムの弾性率(c)と、当該切削前の多層ポリイミドフィルムの平均弾性率(d)との間に以下の関係式(2):1.05<c/d<1.20が成り立つことが好ましく、さらには1.05<c/d<1.15がより好ましい。この範囲を下回る場合、本発明の課題の1つである柔軟性を有するフィルムを得られにくい場合があり、この範囲を上回る場合、接着性を有してしまい加工性に不具合が生じてしまう場合がある。
本発明において、多層ポリイミドフィルムにおけるクラッド層の弾性率(b)は、コア層の弾性率(a)との関係においてa>bを満たす限り制限はないが、柔軟性と寸法安定性の観点から、関係式(3):0.9a≧b≧0.2aを満たすことがより好ましく、さらには0.8a≧b≧0.3a、特には0.7a≧b≧0.4aを満たすことがより好ましい。
本発明に係る多層ポリイミドフィルムのコア層は、100〜200℃における平均線膨張係数が5〜20ppm/℃である非熱可塑性ポリイミドであることが好ましい。本発明において好ましい前記コア層の平均線膨張係数は、寸法安定性の点から、9〜20ppm/℃であり、12〜18ppm/℃がより好ましい。
ここで、本発明において「平均線膨張係数」とは、フィルムのMD方向(Machine Direction)、TD方向(Transverse Direction)、分子配向軸方向、分子配向軸より右回りに45°方向、左回りに45°方向の各方向において測定した100〜200℃における熱線膨張係数の平均を意味する。
なお、ポリイミドフィルムの線膨張係数は、幅3mm、長さ10mmに切り出したサンプルを用い、例えばSIIナノテクノロジー社製熱機械的分析装置、商品名:TMA/SS6100により、荷重29.4mNの引張りモードで0℃〜460℃まで一旦昇温させた後、10℃まで冷却し、さらに10℃/minで昇温させて、2回目の昇温時の、100〜200℃の範囲内の平均値を求めることにより測定できる。例えば、上記コア層の線膨張係数を測定する場合には、多層ポリイミドフィルムのクラッド層を削り取り、残ったコア層について測定しても良いし、コア層を単層で成膜し、その線膨張係数を測定しても良い。削り取る方法としては特に限定されず、鑢、ガラスナイフ、カッターナイフを用いて削り取ることやSAICASといった装置によって表層を削ること、また薬品等によって溶解させることなどによって取り除くことができる。
本発明に係る多層ポリイミドフィルム全体の線膨張係数は、寸法安定性の観点から、9〜30ppm/℃であることが好ましく、さらには12ppm/℃〜25ppm/℃であることが好ましい。多層ポリイミドフィルムの線膨張係数は、例えば、金属張積層板を製造する際に用いる金属の線膨張係数に近いことが好ましく、上記範囲を外れる場合には熱加工時の金属と当該フィルムとの寸法変化率が異なるため好ましくない。
本発明の多層ポリイミドフィルムにおいて、多層フィルムのトータルのスティッフネス/コア層のスティッフネス×100の計算式にて表されるスティッフネス変化率が70以下であることが好ましく、より好ましくは65以下、さらに好ましくは60以下である。スティッフネス変化率が70よりも低い場合は特に問題ないが、70を超えると本願発明の課題の一つである、高い柔軟性を有したフィルムを得られにくくなる。
多層ポリイミドフィルム全体の厚みは特に制限されるものではないが、カバーレイ用途または金属張積層板用途において薄いフィルムが求められる傾向にあることから、7〜30μmであることが好ましく、さらに好ましくは10〜25μmである。
次に本発明における多層ポリイミドフィルムを製造する方法について説明する。本発明に係る多層ポリイミドフィルムは、通常、ポリアミド酸をその前駆体として用いて製造することができる。ポリアミド酸の製造方法としては公知のあらゆる方法を用いることができる。通常、芳香族酸二無水物と芳香族ジアミンを、実質的に等モル量となるように有機溶媒中に溶解、反応させてポリアミド酸有機溶媒溶液として得ることができる。ポリアミド酸の重合における重合方法の特徴はそのモノマーの添加順序等にあり、このモノマー種、添加順序等を制御することにより得られるポリイミドフィルムの諸物性を制御することができる。
本発明においてポリアミド酸の重合にはいかなるモノマーの添加方法を用いても良い。代表的な重合方法として、次のような方法が挙げられる。すなわち、
1)芳香族ジアミンを有機極性溶媒中に溶解し、これと実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物を反応させて重合する方法、
2)芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対し過小モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端に酸無水物基を有するプレポリマーを得る。続いて、全工程において芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物が実質的に等モルとなるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法、
3)芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対し過剰モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端にアミノ基を有するプレポリマーを得る。続いてここに芳香族ジアミン化合物を追加添加後、全工程において芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物が実質的に等モルとなるように芳香族テトラカルボン酸二無水物を用いて重合する方法、
4)芳香族テトラカルボン酸二無水物を有機極性溶媒中に溶解および/または分散させた後、実質的に等モルとなるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法、
5)実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンの混合物を有機極性溶媒中で反応させて重合する方法、
などのような方法である。これらの方法を単独で用いても良いし、部分的に組み合わせて用いることもできる。
本発明において使用できる適当な酸二無水物は特に制限されないが、ピロメリット酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)及びそれらの誘導体を含み、これらを単独で、または任意の割合で混合した混合物を好ましく用いることができる。
本発明において使用し得る適当なジアミンとしては特に制限されないが、4,4’−オキシジアニリン、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ベンジジン、3,3’−ジクロロベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’−ジアミノジフェニルジエチルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、4,4’−ジアミノジフェニルN−メチルアミン、4,4’−ジアミノジフェニル N−フェニルアミン、1,4−ジアミノベンゼン(p−フェニレンジアミン)、1,3−ジアミノベンゼン、1,2−ジアミノベンゼン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン及びそれらの誘導体などが挙げられ、これらを単独で、または任意の割合で混合した混合物を好ましく用いることができる。
これらジアミンと酸二無水物を適宜組み合わせて分子設計をし、所望とする特性を有したポリイミドとすることができる。
なお、この分子設計の際に完全な法則性というものは無く、およそ以下の一般的傾向にしたがって当業者の常識の範囲内での分子設計が必要となる。
(I)フェニレンジアミン類、ベンジジン類、ピロメリット酸二無水物などの剛直な構造を有するモノマーを用いた場合、弾性率が高くなり、線膨張係数が小さくなる傾向にある。
(II)分子鎖中にエーテル結合、炭化水素基、スルホン基、カルボニル基の様な屈曲性基を有するモノマーを用いた場合、弾性率が低くなり、線膨張係数が大きくなる傾向にある。
(III)3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物のように分子全体で見た場合に直線状でないモノマーを用いた場合も(II)と同様の傾向になる。
本発明においてポリアミド酸を合成するための好ましい溶媒は、ポリアミド酸を溶解する溶媒であればいかなるものも用いることができるが、アミド系溶媒、すなわちN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどを例示することができる。中でも、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドを特に好ましく用いることができる。
また、摺動性、熱伝導性、導電性、耐コロナ性等のフィルムの諸特性を改善する目的でフィラーを添加することもできる。フィラーとしては特に制限されないが、好ましい例としてはシリカ、酸化チタン、アルミナ、窒化珪素、窒化ホウ素、リン酸水素カルシウム、リン酸カルシウム、雲母などが挙げられる。
フィラーの粒子径は改質すべきフィルム特性と添加するフィラーの種類によって決定されるため、特に限定されるものではないが、一般的には平均粒子径が0.05〜100μm、好ましくは0.1〜75μm、更に好ましくは0.1〜50μm、特に好ましくは0.1〜25μmである。粒子径がこの範囲を下回ると摺動性等の改質効果が現れにくくなり、この範囲を上回ると表面性を大きく損なったり、機械的特性が大きく低下したりする可能性がある。また、フィラーの添加部数についても改質すべきフィルム特性やフィラー粒子径などにより決定されるため、特に限定されるものではない。一般的にフィラーの添加量はポリイミド100重量部に対して0.01〜100重量部、好ましくは0.01〜90重量部、更に好ましくは0.02〜80重量部である。フィラー添加量がこの範囲を下回るとフィラーによる改質効果が現れにくく、この範囲を上回るとフィルムの機械的特性が大きく損なわれる可能性がある。
フィラーの添加は、例えば、
(1)重合前または途中に重合反応液に添加する方法
(2)重合完了後、3本ロールなどを用いてフィラーを混錬する方法
(3)フィラーを含む分散液を用意し、これをポリアミド酸有機溶媒溶液に混合する方法
(4)ビーズミル等により分散する方法
などいかなる方法を用いてもよいが、フィラーを含む分散液をポリアミド酸溶液に混合する方法、特に製膜直前に混合する方法が、製造ラインのフィラーによる汚染が最も少なくてすむため、好ましい。
フィラーを含む分散液を用意する場合、ポリアミド酸の重合溶媒と同じ溶媒を用いるのが好ましい。また、フィラーを良好に分散させ、また分散状態を安定化させるために、分散剤、増粘剤等をフィルム物性に影響を及ぼさない範囲内で用いることもできる。
フィルムの摺動性改善のために添加する場合、粒子径は0.1〜10μm、好ましくは0.1〜5μmである。粒子径がこの範囲を下回ると摺動性改善の効果が発現しにくく、この範囲を上回るとプリント配線板用途に用いる場合に高精細な配線パターンを作成し難くなる傾向にある。またさらにこの場合、フィラーの分散状態も重要であり、20μm以上のフィラーの凝集物が50個/m2以下、好ましくは40個/m2以下にするのが好ましい。20μm以上のフィラー凝集物がこの範囲よりも多いと、多層ポリイミドフィルムに接着剤を塗工する際にはじきの原因となったり、高精細配線パターンを作成したときに接着面積の減少をきたしてフレキシブルプリント基板そのものの絶縁信頼性を落とす傾向にある。
本発明にかかる多層ポリイミドフィルムの製造方法の代表的な一例としては、例えば、
(a)ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミド酸(ポリアミック酸)を重合する工程(ポリアミド酸重合工程)、
(b)得られたポリアミド酸を有機溶媒溶液として支持体上に流延し、液膜を形成する工程(液膜形成工程)、
(c)液膜をゲルフィルムに転化する工程(ゲルフィルム形成工程)、
(d)ゲルフィルムを加熱してイミド化(焼成)する工程(焼成工程)、
(e)得られたポリイミドフィルムにポリアミド酸溶液を塗工する工程(塗工工程)
(f)塗工したフィルムを乾燥する工程(乾燥工程)
(g)乾燥させた多層フィルムをイミド化する工程(イミド化工程)
を含んでいる方法を挙げることができる。
また、(a)工程で得られた2種以上のポリアミド酸溶液を同時にそれぞれ流路の異なるTダイより押し出し、(b)〜(d)の工程により同時に多層ポリイミドフィルムを製造する方法(共押出流延塗布法)を挙げることもできる。この方法は塗工を含む製造方法よりも工程数が少ないため、コストの観点からより好ましい方法である。
以下に、上記の(b)工程以降について詳細に説明する。
<液膜形成工程>
液膜形成工程では、上記ポリアミド酸重合工程で得られたポリアミド酸、または既に合成済のポリアミド酸等を用いて、ポリアミド酸の有機溶媒溶液(便宜上、ポリアミド酸溶液と称する)を調製し、このポリアミド酸溶液を支持体上に流延して液膜を形成する。このときに形成されるポリアミド酸溶液には、硬化剤が含有されていることが好ましい。したがって、本工程で調製されるポリアミド酸溶液は、予め硬化剤が添加された製膜ドープとなっていてもよい。
一般に、ポリアミド酸をイミド化する方法としては、熱によってのみ行う熱イミド化法(熱キュア法ともいう)と、硬化剤を使用する化学イミド化法(化学キュア法ともいう)の2法が最も広く知られている。何れの方法を採用してもよいが、より高い生産性を付与する点から見れば、化学イミド化法を採用することが好ましい。
上記硬化剤には、少なくとも化学脱水剤が含有されており、より好ましくは、化学脱水剤および触媒が含有されている。化学脱水剤とは、ポリアミド酸に対する脱水閉環剤であれば特に限定されるものではないが、その主成分としては、具体的には、例えば、脂肪族酸無水物、芳香族酸無水物、N,N’−ジアルキルカルボジイミド、低級脂肪族ハロゲン化物、ハロゲン化低級脂肪族酸無水物、アリールスルホン酸ジハロゲン化物、チオニルハロゲン化物またはそれら2種以上の混合物を好ましく用いることができる。これら化合物の中でも、特に、脂肪族酸無水物および芳香族酸無水物を特に好ましく用いることができる。
また、上記触媒とは、ポリアミド酸に対する化学脱水剤の脱水閉環作用を促進する効果を有する成分であれば特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、脂肪族3級アミン、芳香族3級アミン、複素環式3級アミンを用いることができる。これら化合物の中でも、イミダゾール、ベンズイミダゾール、イソキノリン、キノリン、またはβ−ピコリン等の含窒素複素環化合物を特に好ましく用いることができる。
上記化学脱水剤および触媒の使用量は、所望の程度でイミド化ができる量であれば特に限定されるものではないが、化学脱水剤については、化学脱水剤を添加するポリアミド酸溶液に含有されるポリアミド酸中のアミド酸ユニット1モルに対して、0.5〜5モルの範囲内であることが好ましく、1.0〜4モルの範囲内であることがより好ましい。また、触媒については、化学脱水剤および触媒を添加するポリアミド酸溶液に含有されるポリアミド酸中のアミド酸ユニット1モルに対して、0.05〜3モルの範囲内であることが好ましく、0.2〜2モルの範囲内であることがより好ましい。化学脱水剤および触媒の使用量が上記範囲を下回ると化学的イミド化が不十分となり、イミド化(焼成)の途中でフィルムが破断したり、機械的強度が低下したりする場合がある。また、化学脱水剤および触媒の使用量が上記範囲を上回ると、イミド化の進行が早くなりすぎ、フィルム状にキャストすることが困難となることがある。
なお、本工程で調製されるポリアミド酸溶液や硬化剤に用いられる有機溶媒は特に限定されるものではなく、ポリアミド酸や得られるポリイミドの物性等に影響を及ぼすことなく、液膜の形成や後段のゲルフィルムの形成、焼成等に好適な有機溶媒を適宜選択して用いればよい。具体的には、前記のポリアミド酸の重合において例示した重合用溶媒としての有機極性溶媒を挙げることができる。これら有機極性溶媒を用いれば、ポリアミド酸重合工程で得られたポリアミド酸の重合溶媒溶液をそのままポリアミド酸溶液として用いることができる。
また、ポリアミド酸溶液の諸物性は特に限定されるものではない。例えば、ポリアミド酸溶液中のポリアミド酸の固形分濃度や、粘度については、液膜形成およびゲルフィルム形成等に好適な範囲を適宜設定すればよい。
上記ポリアミド酸溶液を流延するための支持体としては、ポリアミド酸溶液により溶解したり変質したりすることがなく、かつ、ポリアミド酸溶液から有機溶媒を除去するために行われる加熱処理に耐え得る耐熱性を有しているものであれば、特に限定されるものではない。具体的には、例えば、エンドレスベルトやドラム等のように、表面の回転により連続してゲルフィルムを成形して搬送する自己回転型の支持体を好ましく用いることができる。これらを支持体として用いれば、流延・塗布したポリアミド酸溶液を良好に乾燥できるとともに、連続的にポリイミドフィルムを製造できるため好ましい。
上記支持体の材質および形状は特に限定されるものではなく、ガラス板、アルミ箔等の平板状のものを用いてもよい。また、支持体として上記エンドレスベルトやドラムを用いる場合には、その好ましい材質として、後述する実施例に示すようにステンレスを挙げることができる。
また、支持体上に液膜を形成するための具体的な方法や条件については特に限定されるものではなく、ポリアミド酸溶液の物性や種類、得ようとするポリイミドフィルムの厚さ、支持体の種類、製造効率等に基づいて公知の各種方法を用いればよい。例えば、後述する実施例では、コンマコーターを用いてポリアミド酸溶液を支持体上にキャストすることにより液膜を形成している。
さらに、支持体上に多層液膜を形成するための1例として異なる流路をもつTダイを用いて2種以上のポリアミド酸を押し出し、多層液膜を形成する方法を挙げることもできる。また、この方法と後述する各工程とを組み合わせて、得られた多層ポリイミドフィルムをさらに多層にすることもできる。
<ゲルフィルム形成工程>
ゲルフィルム形成工程では、支持体上に形成された液膜を部分的に硬化および/または乾燥させることで、有機溶媒等を残存しており自己支持性を有するゲル状のフィルム(ゲルフィルムともいう)に転化させる。上記ゲルフィルムに含まれる固形分(樹脂成分)は、ポリアミド酸からポリイミドへ硬化するまでの中間段階にあるため、自己支持性を有している。当該ゲルフィルムには、ポリアミド酸溶液に用いられた有機溶媒や、硬化剤または硬化剤の反応により生ずる生成物等の揮発分が含まれている。揮発分の重量は、次式(4)で算出される。なお、次式においては、WAはゲルフィルムの重量を表し、WBはゲルフィルムを450℃で20分間加熱した後の重量を表す。
(WA−WB)×100/WB・・・(4)
上記式(4)で算出される揮発分の重量(含有量)は5〜500重量%の範囲内であることが好ましく、5〜200重量%の範囲内であることがより好ましく、5〜150重量%の範囲内であることが特に好ましい。揮発分の含有量がこの範囲内であるゲルフィルムを用いれば、後段の焼成工程でフィルムが破断したり、乾燥ムラによるフィルムの色調ムラが生じたりすることが回避されうる。逆に、ゲルフィルムの揮発分の含有量が上記範囲から外れると、異方性が生じたり、特性にばらつきが生じたりする等の不具合が起こることがある。
液膜をゲルフィルムに転化する際の加熱および/または乾燥条件については特に限定されるものではなく、用いるポリアミド酸の種類、液膜の形成状態、得ようとするポリイミドフィルムの厚み、用いる硬化剤の種類等の諸条件によって適宜好適な条件が設定される。代表的には、支持体上で80〜200℃の温度範囲、好ましくは100〜180℃の温度範囲で加熱することにより硬化剤を活性化させ、部分的な硬化および/または乾燥を生じさせることができる。
<焼成工程>
焼成工程では、得られたゲルフィルムを支持体から剥離して加熱(焼成)することにより、残存するアミド酸を完全にイミド化するとともに、揮発分を除去してポリイミドフィルムを得ることができる。焼成工程では、ゲルフィルムのTD方向の端部を固定化することが好ましい。これにより硬化時の収縮を有効に回避することができる。固定化手段としては特に限定されるものではなく、公知のテンターピンやクリップ等を用いればよい。
焼成工程での焼成(加熱)条件は特に限定されるものではなく、アミド酸の完全なイミド化と、揮発分すなわちイミド化反応で生じた水、残留する有機溶媒、残留する硬化剤を除去できる条件であればよい。一般的には、複数の加熱炉(焼成炉)を用いて、段階的に温度を上昇させて加熱することが好ましい。このときの各段階での加熱時間は特に限定されるものではなく、ポリアミド酸/ポリイミドの種類や、得ようとするポリイミドフィルムの厚み、加熱炉の種類等に応じて適切な時間を設定すればよい。一般的には、数十秒から数分の間である。
なお、上記段階的な焼成では、最終的に400〜500℃の温度範囲で5〜400秒程度加熱することが好ましい。最終段階にて上記条件で加熱(焼成)すれば、得られるポリイミドフィルムの物性をより向上させることができる。上記最終段階の加熱温度は、400〜500℃の範囲内であることがより好ましく、400〜480℃の範囲内であることが特に好ましい。最終段階の加熱温度が低すぎるとプレッシャークッカーテスト(PCT)前後の引裂き強度保持率が小さくなる傾向にあり、高すぎると色調がばらつく傾向にあるため好ましくない。
また、上記最終段階の加熱時間は、上記範囲内であればよいが、加熱温度が相対的に低いとき(上記温度範囲でより下限値に近い温度のとき)には長く、加熱温度が相対的に高いとき(上記温度範囲でより上限値に近い温度のとき)には短くすることが好ましい。上記加熱時間が短すぎるとPCT前後の引裂き強度の保持率が小さくなる傾向にあり、長すぎると色調のばらつきが大きくなる傾向にある。
なお、本工程では、ゲルフィルム中に残留している内部応力を緩和させるために、加熱(焼成)処理時においてゲルフィルムを搬送するときに必要最低限の張力下においてもよい。この加熱処理は焼成工程と並行して行っても良いが、別途このような工程を設けても良い。このとき加えられる張力は特に限定されるものではないが、1〜100Nの範囲内であることが好ましく、1〜50Nの範囲内であることが好ましい。この範囲内であれば過剰な張力をゲルフィルムに加える必要が無いため、得られるポリイミドフィルムの物性の低下を回避することができる。
また、上記張力を加える場合の加熱条件はゲルフィルム/ポリイミドフィルムの特性や用いる加熱炉等の装置の種類に応じて適宜設定されるものであり、特に限定されないが、加熱温度は、一般的には200℃以上500℃以下の加熱温度であればよく、250℃以上500℃以下の加熱温度であることが好ましく、300℃以上450℃以下の加熱温度であることが好ましい。また加熱時間は、一般的に1〜300秒の範囲内であればよく、2〜250秒の範囲内であることが好ましく、5〜200秒の範囲内であることが好ましい。この条件の熱処理により内部応力を緩和することができ、200℃での加熱収縮率を小さくすることができる。
さらに、得られるポリイミドフィルムの異方性を悪化させない程度にゲルフィルムの固定前後で当該ゲルフィルムを延伸してもよい。このとき、ゲルフィルムの揮発分の含有量は100〜500重量%の範囲内であることが好ましく、150〜500重量%の範囲内であることがより好ましい。揮発分の含有量がこの範囲を下回ると延伸しにくくなる傾向にあり、この範囲を上回るとフィルムの自己支持性が悪く、延伸操作そのものが困難になる傾向にある。
上記延伸を行うための具体的な方法は特に限定されるものではなく、差動ロールを用いる方法、テンターの固定間隔を広げていく方法等公知のどのような方法でも用いることができる。
<塗工工程>
上記ポリアミド酸溶液を基材フィルムに流延、塗布する方法については特に限定されず、ダイコーター、リバースコーター、ブレードコーター等、既存の方法を使用することができる。
また、必要に応じて、クラッド層を設ける前、もしくはクラッド層を設けた後にコロナ処理、プラズマ処理、カップリング処理等の各種表面処理をコアフィルム表面に施しても良い。
<乾燥工程>
上記塗工工程で得られたフィルムを乾燥する条件については特に限定されるものではなく、用いるポリアミド酸の種類、液膜の形成状態、得ようとするポリイミドフィルムの厚み、用いる硬化剤の種類等の諸条件によって適宜好適な条件が設定される。代表的には、80〜200℃の温度範囲、好ましくは100〜180℃の温度範囲で加熱することにより部分的な硬化および/または乾燥を生じさせることができる。
<イミド化工程>
また、イミド化の方法は化学イミド化、熱イミド化のどちらを用いても良く、上記焼成工程と同じような温度範囲と時間で行えばよい。
なお、本発明にかかる多層ポリイミドフィルムの製造方法においては、上述した各工程が全て含まれている必要はなく、必要に応じて一部の工程を省略してもよいし、他の工程を追加してもよいことは言うまでもない。例えば、重合済のポリアミド酸溶液を用いる場合等には、ポリアミド酸重合工程を省略することができる。
本発明に係る多層ポリイミドフィルムは、例えば、金属張積層板(フレキシブルプリント配線板)の基材やカバーレイなどの用途に好適に適用できる。
本発明の多層ポリイミドフィルムを用いて得られるカバーレイは、基材である多層ポリイミドフィルムの片面に、ポリエステルベース、アクリルベース、エポキシベース或いはポリイミドベース等、従来公知の接着剤を従来公知の方法で設けることで得られる。
本発明に係る多層ポリイミドフィルムを用いて得られる金属張積層板は、基材である多層ポリイミドフィルムの片面または両面に、ポリエステルベース、アクリルベース、エポキシベース或いはポリイミドベース等の従来公知の接着剤を用いて接着層を設けた積層板を形成し、その後導電性の金属層を積層するものと、多層ポリイミドフィルムの表面に、接着剤を介することなく、直接導電性の金属層を積層する構造の何れでも良い。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお、合成例、実施例及び比較例におけるポリイミドフィルムの弾性率、線膨張係数、ピール強度およびループスティフネスの評価法は次の通りである。
(弾性率の測定方法)
フィルムのMD方向、TD方向、分子配向軸方向、分子配向軸より右回りに45°方向、左回りに45°方向の各方向においてASTM D−882に準拠して測定した弾性率の平均を平均弾性率として表1、表2に記載した。
(線膨張係数の測定方法)
ポリイミドフィルムの線膨張係数(CTEともいう)は、幅3mm、長さ10mmに切り出したサンプルを用い、SIIナノテクノロジー社製熱機械的分析装置、商品名:TMA/SS6100により、荷重29.4mNの引張りモードで0℃〜460℃まで一旦昇温させた後、10℃まで冷却し、さらに10℃/minで昇温させて、2回目の昇温時の、100〜200℃の範囲内の平均値を求めることにより測定し、フィルムのMD方向、TD方向、分子配向軸方向、分子配向軸より右回りに45°方向、左回りに45°方向の各方向において測定した100〜200℃における熱線膨張係数の平均を表1、表2に記載した。
(ピール強度の測定方法)
作製した多層ポリイミドフィルムの両面、またはクラッド層に用いるポリアミック酸溶液を単層にて12.5μmの厚みにて製膜したポリイミドフィルムの両面に、厚さ18μmのジャパンエナジー製銅箔(BHY−22BT)を配置し、ラミネート温度380℃、圧力0.8t、ラインスピード1m/minで熱圧着したサンプルの銅箔とポリイミドフィルムをJIS C6471の「6.5 引きはがし強さ」に従って、サンプルを作製し、5mm幅の金属箔部分を、180度の剥離角度、50mm/分の条件で剥離し、その荷重を測定した。
(ループスティフネスの測定方法)
東洋精機製ループスティフネステスタを用い、サンプル幅5〜25mm、ループ長50mm、押し潰し距離10mmで測定した。サンプルの長手方向は、フィルムのMD方向、TD方向、分子配向軸方向、分子配向軸より右回りに45°方向、左回りに45°方向の各方向において切り出して測定を行った。サンプル幅は、フィルム厚みに応じて実測値が20〜200mgとなるように適宜設定した。以下に、測定のスキームを示す。
(1)サンプル幅10mmで測定する場合、原フィルムから220×10mmの短冊を切り出す。
(2)ループ形成部位にマジックなどでマーキングを施す。
(3)この短冊を半分に切断し、110×10mmの短冊を2本取得する。
(4)2本の短冊についてループ形成部位の厚みを5点測定し、平均してフィルムの厚みとする。
(5)2本の短冊のうち一方でA面を外側としたスティフネス、他方でB面を外側としたスティフネスを測定する。
(6)(1)〜(5)をn=3で測定し、測定値(mg)を測定サンプルの幅(cm)で除したものを平均し、データとする。数値が小さい程、フィルムが柔らかいことを示す。フィルムのMD方向、TD方向、分子配向軸方向、分子配向軸より右回りに45°方向、左回りに45°方向の各方向において測定したスティフネス値の平均を表1、表2に記載した。
(化学物質の略称)
化学物質の略称は以下のように記載した。
DMF : N,N−ジメチルホルムアミド
ODA : 4,4’−ジアミノジフェニルエーテル
PDA : パラフェニレンジアミン
BAPP : 2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン
PMDA : ピロメリット酸二無水物
BTDA : ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物
BPDA : ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
AA : 無水酢酸
IQ : イソキノリン
DEP : 3,5−ジエチルピリジン
DMP : 3,5−ジメチルピリジン
(合成例1)
10℃に冷却したDMF214.0gにPDA18.8g、BPDA46.1gを溶解し、30分間均一攪拌した。この溶液に別途調製してあったBPDAの10重量%DMF溶液を注意深く添加し、粘度が3000ポイズ程度に達したところで添加を止めた。1時間撹拌を行って固形分濃度約20.0重量%、23℃での回転粘度が3400ポイズのポリアミック酸溶液を得た。
この非熱可塑性ポリイミドの前駆体となるポリアミック酸溶液に無水酢酸212.1kg、イソキノリン53.7kgおよびDMF384.3kgからなる硬化剤をポリアミック酸溶液に対して重量比60%ですばやくミキサーで攪拌・混合し、製膜ドープをステンレス製のベルト上に流延した。この樹脂膜を130℃×150秒で加熱した後、自己支持性を有するゲルフィルムを引き剥がして(揮発分含量45重量%)、金属枠に固定し、250℃×20秒、350℃×20秒、450℃×20秒、500℃×20秒で乾燥・イミド化させて厚み12.5μmのポリイミドフィルムを得た。このフィルムの平均弾性率(表ではModとも記載する)、線膨張係数(表ではCTEとも記載する)、ピール強度、ループスティッフネスを測定した。
(合成例2)
10℃に冷却したDMF236.9gにODA6.1g、BAPP18.9g、BTDA9.9g、PMDA8.4gを溶解し、30分間均一攪拌した。この溶液に、PDA8.3g、PMDA15.1gを溶解させ30分間均一攪拌した。この溶液に別途調製してあったPMDAの10重量%DMF溶液を注意深く添加し、粘度が3000ポイズ程度に達したところで添加を止めた。1時間撹拌を行って固形分濃度約20.0重量%、23℃での回転粘度が3400ポイズである非熱可塑性ポリイミドの前駆体となるポリアミック酸溶液を得た。
合成例1と同様に乾燥・イミド化させて厚み12.5μmのポリイミドフィルムを得た。このフィルムの平均弾性率、線膨張係数、ピール強度、ループスティッフネスを測定した。
(合成例3)
10℃に冷却したDMF234.0gにPDA6.2g、PMDA10.0gを溶解し、30分間均一攪拌した。この溶液に、BAPP13.4g、PMDA22.1gを溶解させ30分間均一攪拌した。この溶液に別途調製してあったPMDAの10重量%DMF溶液を注意深く添加し、粘度が3000ポイズ程度に達したところで添加を止めた。1時間撹拌を行って固形分濃度約20.0重量%、23℃での回転粘度が3400ポイズである非熱可塑性ポリイミドの前駆体となるポリアミック酸溶液を得た。
合成例1と同様に乾燥・イミド化させて厚み12.5μmのポリイミドフィルムを得た。このフィルムの平均弾性率、線膨張係数、ピール強度、ループスティッフネスを測定した。
(合成例4)
10℃に冷却したDMF236.2gにODA10.9g、PDA5.9g、PMDA20.4gを溶解し、30分間均一攪拌した。この溶液に、BAPP19.2g、PMDA10.2gを溶解させ30分間均一攪拌した。この溶液に別途調製してあったPMDAの10重量%DMF溶液を注意深く添加し、粘度が3000ポイズ程度に達したところで添加を止めた。1時間撹拌を行って固形分濃度約20.0重量%、23℃での回転粘度が3400ポイズである非熱可塑性ポリイミドの前駆体となるポリアミック酸溶液を得た。
合成例1と同様に乾燥・イミド化させて厚み12.5μmのポリイミドフィルムを得た。このフィルムの平均弾性率、線膨張係数、ピール強度、ループスティッフネスを測定した。
(合成例5)
10℃に冷却したDMF244.9gにODA6.3g、PDA0.7g、BAPP35.9g、PMDA24.5gを溶解させ30分間均一攪拌した。この溶液に別途調製してあったPMDAの10重量%DMF溶液を注意深く添加し、粘度が3000ポイズ程度に達したところで添加を止めた。1時間撹拌を行って固形分濃度約20.0重量%、23℃での回転粘度である非熱可塑性ポリイミドの前駆体となる3400ポイズのポリアミック酸溶液を得た。
合成例1と同様に乾燥・イミド化させて厚み12.5μmのポリイミドフィルムを得た。このフィルムの平均弾性率、線膨張係数、ピール強度、ループスティッフネスを測定した。
(合成例6)
10℃に冷却したDMF242.4gにODA13.4g、BAPP27.5g、PMDA26.3gを溶解させ30分間均一攪拌した。この溶液に別途調製してあったPMDAの10重量%DMF溶液を注意深く添加し、粘度が3000ポイズ程度に達したところで添加を止めた。1時間撹拌を行って固形分濃度約20.0重量%、23℃での回転粘度が3400ポイズである非熱可塑性ポリイミドの前駆体となるポリアミック酸溶液を得た。
合成例1と同様に乾燥・イミド化させて厚み12.5μmのポリイミドフィルムを得た。このフィルムの平均弾性率、線膨張係数、ピール強度、ループスティッフネスを測定した。
(合成例7)
10℃に冷却したDMF242.3gにBAPP40.8g、BPDA26.3gを溶解させ30分間均一攪拌した。この溶液に別途調製してあったBPDAの10重量%DMF溶液を注意深く添加し、粘度が3000ポイズ程度に達したところで添加を止めた。1時間撹拌を行って固形分濃度約20.0重量%、23℃での回転粘度が3400ポイズである非熱可塑性ポリイミドの前駆体となるポリアミック酸溶液を得た。
合成例1と同様に乾燥・イミド化させて厚み12.5μmのポリイミドフィルムを得た。このフィルムの平均弾性率、線膨張係数、ピール強度、ループスティッフネスを測定した。
(塗工例)
上記ポリイミドフィルムに、上記ポリアミック酸溶液を固形分濃度が8重量%になるまでDMFで希釈した溶液を、コンマコーターを用いて片面に塗工し130℃に加熱したオーブンで15秒乾燥させた。さらにもう片方の面にも上記希釈溶液を初めに塗工したときと同じ厚みになるように塗工し、同様に乾燥させた。その後テンタークリップに固定し、300℃×20秒、400℃×20秒、450℃×20秒でイミド化を行い、総厚みが12.5μmの3層構造の多層ポリイミドフィルムを得た。
(実施例1)
合成例1と同様に得られた6.3μm厚みのポリイミドフィルムの両面に、上記塗工例に従って、合成例6で得られたポリアミック酸溶液を塗工、乾燥し、総厚みが12.5μmの3層構造フィルムを得た。この際のフィルム全体に対するクラッド層の厚み構成比率は50%であり、外側両面のクラッド層同士の厚み構成比率の差は、0.1%であった。このフィルムの平均弾性率、線膨張係数、ループスティッフネスを測定した。また得られたフィルムのクラッド層を、鑢を用いてクラッド層の総厚みの80%を削り取り、当該フィルムの平均弾性率を測定した。
(実施例2)
合成例2と同様に得られた6.3μm厚みのポリイミドフィルムの両面に、上記塗工例に従って合成例6で得られたポリアミック酸溶液を塗工、乾燥し、総厚みが12.5μmの3層構造フィルムを得た。この際のフィルム全体に対するクラッド層の厚み構成比率は50%であり、外側両面のクラッド層同士の厚み構成比率の差は、0.2%であった。このフィルムの平均弾性率、線膨張係数、ループスティッフネスを測定した。また得られたフィルムのクラッド層を、鑢を用いてクラッド層の総厚みの80%を削り取り、当該フィルムの平均弾性率を測定した。
(実施例3)
合成例3と同様に得られた6.3μm厚みのポリイミドフィルムの両面に、上記塗工例に従って合成例6で得られたポリアミック酸溶液を塗工、乾燥し、総厚みが12.5μmの3層構造フィルムを得た。この際のフィルム全体に対するクラッド層の厚み構成比率は50%であり、外側両面のクラッド層同士の厚み構成比率の差は、0.3%であった。このフィルムの平均弾性率、線膨張係数、ループスティッフネスを測定した。また得られたフィルムのクラッド層を、鑢を用いてクラッド層の総厚みの80%削り取り、平均弾性率を測定した。
(実施例4)
合成例4と同様に得られた6.3μm厚みのポリイミドフィルムの両面に、上記塗工例に従って合成例6で得られたポリアミック酸溶液を塗工、乾燥し、総厚みが12.5μmの3層構造フィルムを得た。この際のフィルム全体に対するクラッド層の厚み構成比率は50%であり、外側両面のクラッド層同士の厚み構成比率の差は、−0.1%であった。このフィルムの平均弾性率、線膨張係数、ループスティッフネスを測定した。また得られたフィルムのクラッド層を、鑢を用いてクラッド層の総厚みの80%削り取り、平均弾性率を測定した。
(実施例5)
合成例3と同様に得られた6.3μm厚みのポリイミドフィルムの両面に、上記塗工例に従って合成例4で得られたポリアミック酸溶液を塗工、乾燥し、総厚みが12.5μmの3層構造フィルムを得た。この際のフィルム全体に対するクラッド層の厚み構成比率は50%であり、外側両面のクラッド層同士の厚み構成比率の差は、0.1%であった。このフィルムの平均弾性率、線膨張係数、ループスティッフネスを測定した。また得られたフィルムのクラッド層を、鑢を用いてクラッド層の総厚みの80%削り取り、平均弾性率を測定した。
(比較例1)
合成例5と同様に得られた6.3μm厚みのポリイミドフィルムの両面に、上記塗工例に従って合成例6で得られたポリアミック酸溶液を塗工、乾燥し、総厚みが12.5μmの3層構造フィルムを得た。この際のフィルム全体に対するクラッド層の厚み構成比率は50%であり、外側両面のクラッド層同士の厚み構成比率の差は、0.5%であった。このフィルムの平均弾性率、線膨張係数、ループスティッフネスを測定した。また得られたフィルムのクラッド層を、鑢を用いてクラッド層の総厚みの80%削り取り、平均弾性率を測定した。
(比較例2)
合成例5と同様に得られた6.3μm厚みのポリイミドフィルムの両面に、上記塗工例に従って合成例7で得られたポリアミック酸溶液を塗工、乾燥し、総厚みが12.5μmの3層構造フィルムを得た。この際のフィルム全体に対するクラッド層の厚み構成比率は50%であり、外側両面のクラッド層同士の厚み構成比率の差は、0.3%であった。このフィルムの平均弾性率、線膨張係数、ループスティッフネスを測定した。また得られたフィルムのクラッド層を、鑢を用いてクラッド層の総厚みの80%削り取り、平均弾性率を測定した。
結果を表1および表2に示す。なお、表2における判定の基準は以下の通りとした。
(非接着性)
○:ピール強度が3.0N/cm以下であるもの。
×:ピール強度が3.0N/cmより大きいもの。
(スティッフネス変化率)
多層ポリイミドフィルムにおける、トータルのスティッフネス値をコア層のスティッフネス値で除し、百分率表示したものをスティッフネス変化率とした。
Figure 0005254752
Figure 0005254752
実施例および比較例の結果より、多層ポリイミドフィルムの製造において、コア層の平均弾性率が4.0GPa以上、10.0GPa以下、クラッド層のピール強度が3N/cm以下、コア層の平均弾性率がクラッド層の平均弾性率より大きい非熱可塑性ポリイミドからなる多層フィルムとすることで、柔軟性および寸法安定性に優れた多層ポリイミドフィルムを得ることができた。

Claims (8)

  1. コア層とフィルム両面に露出するクラッド層を含む多層構造を有するポリイミドフィルムであって、
    コア層の平均弾性率が4.0GPa以上、10.0GPa以下である非熱可塑性ポリイミドであり、
    クラッド層はピール強度が3N/cm以下である非熱可塑性ポリイミドであって、
    前記コア層の平均弾性率(a)とクラッド層の平均弾性率(b)が以下の関係式(1)を満たし、
    上記ピール強度は、前記多層構造を有するポリイミドフィルムの両面に、またはクラッド層に用いるポリアミック酸溶液を単層で12.5μmの厚みに製膜したポリイミドフィルムの両面に、厚さ18μmのジャパンエナジー製銅箔(BHY−22BT)を配置し、ラミネート温度380℃、圧力0.8t、ラインスピード1m/minで熱圧着したサンプルの銅箔とポリイミドフィルムをJIS C6471の「6.5 引きはがし強さ」に従って、サンプルを作製し、5mm幅の金属箔部分を、180度の剥離角度、50mm/分の条件で剥離し、その荷重を測定したときの密着強度であることを特徴とする、多層ポリイミドフィルム。
    関係式(1) a>b
  2. 前記多層ポリイミドフィルムにおいて、クラッド層の厚み構成比率が全総厚みの10%以上、50%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の多層ポリイミドフィルム。
  3. 前記多層ポリイミドフィルムの全総厚みに対する各層の厚み構成比率において、クラッド層同士の差が3%以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の多層ポリイミドフィルム。
  4. 前記多層ポリイミドフィルムにおいて、クラッド層についてクラッド層の総厚みの80%を切削した後の多層ポリイミドフィルムの弾性率(c)と、当該切削前の多層ポリイミドフィルムの平均弾性率(d)との間に以下の関係式(2)が成り立つことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の多層ポリイミドフィルム。
    関係式(2) 1.05<c/d<1.20
  5. 前記多層ポリイミドフィルムにおけるコア層の平均弾性率(a)とクラッド層の平均弾性率(b)に以下の関係式(3)が成り立つことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の多層ポリイミドフィルム。
    関係式(3) 0.9a≧b≧0.2a
  6. 前記多層ポリイミドフィルムにおけるコア層の100〜200℃における平均線膨張係数が5〜20ppm/℃であることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載の多層ポリイミドフィルム。
  7. フィルムの全厚みが7〜30μmであることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれかに記載の多層ポリイミドフィルム。
  8. フレキシブルプリント配線板用途に用いられることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれかに記載の多層ポリイミドフィルム。
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