JP2004010650A - 粉体塗料用二酸化チタン顔料及び粉体塗料組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】粉体塗料の塗膜に優れた外観を付与することのできる二酸化チタン顔料及びそれを用いた粉体塗料組成物を提供すること。
【解決手段】ポリオルガノシロキサン類、アルキルシラン類及びその加水分解生成物から選ばれる少なくとも1種の有機ケイ素化合物により表面が被覆され、0.1〜0.5μmの範囲の平均粒子径を有する粉体塗料用二酸化チタン顔料である。また、上記粉体塗料用二酸化チタン顔料と樹脂成分とを含む粉体塗料組成物である。
【効果】本発明の粉体塗料用二酸化チタン顔料を用いた粉体塗料組成物は、特に高顔料濃度で優れた塗膜外観や隠ペイ性を示し、家電品、自動車部品、プレコート鋼板等の工業塗装に有用である。
【選択図】なし
【解決手段】ポリオルガノシロキサン類、アルキルシラン類及びその加水分解生成物から選ばれる少なくとも1種の有機ケイ素化合物により表面が被覆され、0.1〜0.5μmの範囲の平均粒子径を有する粉体塗料用二酸化チタン顔料である。また、上記粉体塗料用二酸化チタン顔料と樹脂成分とを含む粉体塗料組成物である。
【効果】本発明の粉体塗料用二酸化チタン顔料を用いた粉体塗料組成物は、特に高顔料濃度で優れた塗膜外観や隠ペイ性を示し、家電品、自動車部品、プレコート鋼板等の工業塗装に有用である。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は粉体塗料用二酸化チタン顔料及びそれを用いた粉体塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
二酸化チタン顔料は白色度が優れているため、塗料、インキ、プラスチックス、紙等の広い分野で着色剤として用いられており、粉体塗料もその一つである。粉体塗料は液状塗料と比較して、塗着効率が良好で、塗膜欠陥が発生し難く、オーバースプレーの回収が容易である等経済的に有利であり、特に有機溶剤型塗料より安全性が高く、作業衛生面で優れているので、家電品、自動車部品、プレコート鋼板等の工業塗装に用いられてきた。近年、工業塗装は環境問題への対応を強く求められており、環境負荷が少ないという点からも、粉体塗料が注目されている。しかし、粉体塗料には、液状塗料より塗膜の光沢・鮮映性、平滑性等の外観が劣るという問題があり、粉体塗料の使用分野が制限されている。特に、コストダウン等から粉体塗装にも薄膜化が求められているが、粉体塗料中の二酸化チタン顔料の濃度が高くなる程、塗膜外観の低下が顕著になるため、顔料濃度を高くすることが困難で、所望の隠ペイ性が得られていない。粉体塗料を用いて作成した塗膜外観を向上させるため、粉体塗料組成物に含まれる樹脂成分及び界面活性剤等の添加剤の改良、あるいは粉体粒子の微細化等の方法が用いられているが、十分な効果が得られていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上に述べた従来技術の問題点を克服し、粉体塗料を用いて作成した塗膜に優れた外観を付与することのできる粉体塗料組成物及びそれに含まれる二酸化チタン顔料を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、これらの問題点を解消すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の有機ケイ素化合物で表面が被覆され、平均粒子径が特定の範囲にある二酸化チタン顔料を配合した粉体塗料は、塗膜外観が優れたものになること、特に高顔料濃度での塗膜外観が優れていることを見出し、本発明を完成した。
【0005】
即ち、本発明は、ポリオルガノシロキサン類、アルキルシラン類及びその加水分解生成物から選ばれる少なくとも1種の有機ケイ素化合物により表面が被覆され、0.1〜0.5μmの範囲の平均粒子径を有することを特徴とする粉体塗料用二酸化チタン顔料である。さらに本発明は、粉体粒子中に二酸化チタン顔料と樹脂成分とを含む粉体塗料組成物であって、二酸化チタン顔料がポリオルガノシロキサン類、アルキルシラン類及びその加水分解生成物から選ばれる少なくとも1種の有機ケイ素化合物により表面が被覆され、0.1〜0.5μmの範囲の平均粒子径を有することを特徴とする粉体塗料組成物である。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明は粉体塗料用二酸化チタン顔料であって、ポリオルガノシロキサン類、アルキルシラン類及びその加水分解生成物から選ばれる少なくとも1種の有機ケイ素化合物により表面が被覆され、0.1〜0.5μmの範囲の平均粒子径を有することを特徴とする。本発明を粉体塗料組成物に用いると、光沢・鮮映性、平滑性等の塗膜外観が、特に高顔料濃度での塗膜外観が優れたものになる。これは、前記有機ケイ素化合物の被覆が、二酸化チタン顔料を粉体塗料樹脂成分と高度に親和させ、且つ、平均粒子径が前記範囲にあることにより、二酸化チタン粒子の表面エネルギーが、樹脂成分への分散に適したものとなるのではないかと考えられる。平均粒子径が前記範囲より小さくなると、表面エネルギーが大きくなり過ぎ、前記有機ケイ素化合物を被覆しても十分な効果が得られず、前記範囲より大きくしても更なる効果は得られず、隠ペイ性が却って低下してしまう。平均粒子径の好ましい範囲は0.1〜0.4μmである。尚、本発明における平均粒子径とは、一次粒子の50%粒子径を電子顕微鏡法により測定したものを言う。
【0007】
前記有機ケイ素化合物の被覆量は、二酸化チタン顔料に対し0.01〜2重量%の範囲であるのが好ましく、前記範囲より被覆量が少ないと、所望の効果が得られず、前記範囲を超えると、却って光沢・鮮映性が低下するので、好ましくない。より好ましい被覆量の範囲は0.1〜2重量%である。二酸化チタン顔料の表面は、全面が前記有機ケイ素化合物で被覆されているのが好ましいが、本発明の目的を阻害しない範囲で、一部が未被覆であっても良い。
【0008】
本発明で用いるオルガノポリシロキサン類は、一般的にシリコーンオイルと呼ばれるもので、官能基を含まない非反応性シリコーンオイル、官能基を含む反応性シリコーンオイル、変成されていない所謂ストレート型シリコーンオイル、高級脂肪酸、ポリエーテル、アルコール等で変成された変成シリコーンオイル等各種のものを用いることができる。特に、式(1)
【化2】
[Yがメチル基でありX1、X2が水素原子、同種または異種のアルキル基またはフルオロ基であるか、Y、X1がメチル基でありX2がフェニル基、アミノ基またはエポキシ基であるか、あるいはX1、X2がメチル基でありYが水酸基、アミノ基またはエポキシ基であり、n、mは整数である。]で表されるものが好ましく、このようなオルガノポリシロキサン類としては、例えば、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ポリジメチルポリシロキサンジオール、アルキル変成シリコーンオイル、アルキルアラルキル変成シリコーンオイル、アミノ変成シリコーンオイル、両末端アミノ変成シリコーンオイル、エポキシ変成シリコーンオイル、両末端エポキシ変成シリコーンオイル、フッ素変成シリコーンオイル等が挙げられ、中でもメチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサンは効果が高く好ましい。
【0009】
アルキルシラン類としては、特に、式(2)
式(2):YnSiX(4−n)
[Yはアルキル基、Xは加水分解性基、nは1〜3の整数である。但し、n=2または3であればYのアルキル基は同種であっても異種であっても良い。]で表されるものが好ましく、例えば、n−ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン等が挙げられる。アルキル基(式(2)中のY)は炭素数が10以下であれば、熱安定性に優れ、二酸化チタン粒子に被覆した後の乾燥、粉砕工程で加熱処理されても変色し難いので好ましく、6以下であれば更に好ましい。
【0010】
アルキルシラン類の加水分解生成物は、二酸化チタン粒子が表面に有する水酸基と反応して、二酸化チタン粒子と強固に結合するので好ましい。本発明では加水分解生成物は、アルキルシラン類の加水分解性基が加水分解されてシラノールになったものや、シラノール同士が重縮合してシロキサン結合を有するオリゴマーやポリマーになったものを言い、本発明の目的を害さない範囲で未反応のアルキルシラン類を含んでいても良い。加水分解させるアルキルシラン類としては、加水分解性基(式(2)中のX)がハロゲン基、水酸基等特に制限は無いが、アルコキシ基であれば、加水分解時に有害な二次生成物が発生し難く、安定性が高いので好ましく、更に、アルコキシ基がメトキシ基またはエトキシ基であれば、加水分解性に優れるのでより好ましい。また、式(2)中のnが1または2であれば、二酸化チタン粒子表面の水酸基との反応サイトが多いので好ましい。
【0011】
前記有機ケイ素化合物を二酸化チタン粒子に被覆する方法には、特に制限は無く、例えば、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の高速攪拌機を用いて、前記有機ケイ素化合物と二酸化チタン顔料とを混合して被覆したり、ジェットミル等の気流粉砕機、ハンマーミル等の衝撃粉砕機等の乾式粉砕機中に前記有機ケイ素化合物を添加し、二酸化チタン粒子を粉砕しながら被覆する等の所謂乾式処理を用いることができる。アルキルシラン類またはその加水分解生成物のように、二酸化チタン粒子との反応性を有するものには、二酸化チタン粒子を水等の分散媒体に分散させたスラリー中に添加し、攪拌・混合して被覆する所謂湿式処理を適用することもできる。いずれの処理方法においても、前記有機ケイ素化合物はアルコール等の有機溶媒に溶解した溶液や、界面活性剤を用いて水に分散させた分散液として添加しても良い。アルキルシラン類の加水分解生成物は、アルキルシラン類と水とを加水分解反応させて、予め調製しておくのが好ましい。
【0012】
乾式処理を適用する場合、例えば、高速攪拌機や粉砕機を加熱したり、あるいは気流粉砕機に用いる空気等の粉砕媒体を加熱する等して、100〜300℃の範囲の温度で処理すると、均一に被覆されるので好ましい。処理温度が前記範囲より低いと前記有機ケイ素化合物が揮発し難く、二酸化チタン顔料中に偏在して処理され、高くなると前記有機ケイ素化合物が揮散して歩留まりが低下したり、熱変色する等の問題が生じる。より好ましい処理温度の範囲は、120〜200℃である。
【0013】
本発明の二酸化チタン顔料の基体となる二酸化チタン粒子は、例えば、硫酸チタン溶液を加水分解する所謂硫酸法によって得られるものでも、ハロゲン化チタンを気相酸化する所謂塩素法によって得られるものであっても良く、製造方法は特に限定されない。その結晶形はアナターゼ型、ルチル型、あるいは両者の混合物のいずれでも良く、一部に非晶質の二酸化チタンが含まれていても良い。また、二酸化チタン粒子の結晶中には、アルミニウム、亜鉛等の無機元素が、好ましくはそれらの酸化物等の化合物として含まれていても良い。二酸化チタン粒子の表面には、更に、無機化合物や、前記有機ケイ素化合物以外の各種の有機化合物が被覆されていても良い。無機化合物を被覆する場合は、前記有機ケイ素化合物の内部(二酸化チタン粒子の表面側)に被覆されるのが好ましい。一方、前記有機ケイ素化合物と前記有機ケイ素化合物以外の有機化合物の被覆順序には、特に制限は無く、例えば、前記有機ケイ素化合物と前記有機ケイ素化合物以外の有機化合物を混合して被覆されても良い。
【0014】
本発明で用いることのできる無機化合物としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタン等が挙げられ、これらを単独で被覆しても、あるいは2種以上の被覆を積層したり、2種以上を混合する等して組合せて被覆しても良い。例えば、酸化ケイ素、酸化ジルコニウムには耐候性を改良する効果が知られており、自動車部品、建築資材等の屋外用途の二酸化チタン顔料に用いるのが好ましい。酸化ケイ素は耐候性の改良効果が大きいので、緻密状態で被覆するのが、更に好ましい。酸化アルミニウムには製造工程における脱水性、乾燥性、粉砕性等を改良する効果が知られており、少なくとも無機化合物を含む被覆層の最外層としては、酸化アルミニウムを用いるのが好ましい。これらの無機化合物は、水和物として被覆されていても良い。無機化合物の好ましい被覆量は、酸化アルミニウムはTiO2に対しAl2O3として0.5〜4重量%の範囲、より好ましくは1〜3重量%の範囲、酸化ケイ素はTiO2に対しSiO2として1〜10重量%の範囲、より好ましくは1〜6重量%の範囲、酸化ジルコニウムはTiO2に対しZrO2として0.05〜3重量%の範囲、より好ましくは0.1〜2重量%の範囲である。
【0015】
前記有機ケイ素化合物以外の有機化合物としては、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のポリオール類、トリエチルアミン等のアルカノールアミン類またはその誘導体、ステアリン酸等の高級脂肪酸類等が挙げられ、例えば、二酸化チタン粒子の乾式粉砕工程での粉砕助剤、粉体塗料化する際の加工助剤等の目的で用いることができる。被覆量としては二酸化チタン顔料に対し、0.05〜2重量%の範囲が好ましく、0.1〜1.5重量%の範囲が更に好ましい。
【0016】
次に、本発明は粉体塗料粒子中に二酸化チタン顔料と樹脂成分とを含む粉体塗料組成物であって、二酸化チタン顔料がポリオルガノシロキサン類及びアルキルシラン類から選ばれる少なくとも1種の有機ケイ素化合物により表面が被覆され、0.1〜0.5μmの範囲の平均粒子径を有することを特徴とする。本発明の粉体塗料組成物は、静電塗装法、流動浸漬法、溶射法等の塗装方法に制限されることなく、光沢・鮮映性、平滑性等の塗膜外観や、隠ペイ性に優れた塗膜が得られ、特に膜厚が10〜50μmの範囲の薄い塗膜に対して効果が大きい。また、塗布する基材も鋼材、各種の表面処理鋼材、ステンレス材、トタン材、ブリキ材、アルミニウム材等制限を受けない。粉体塗料粒子中には二酸化チタン顔料が、樹脂成分100重量部に対して20〜200重量部の範囲で含まれているのが好ましく、前記範囲より少ないと、十分な隠ペイ性が得られず、前記範囲より多いと、光沢や平滑性が損なわれる。より好ましい二酸化チタンの含有量は20〜150重量部の範囲であり、30〜150重量部が更に好ましい。粉体塗料粒子の平均粒子径は、塗着性や溶融時のレベリング性等から5〜150μmの範囲が好ましく、20〜50μmの範囲であればより好ましい。
【0017】
樹脂成分には公知のものを用いることのでき、例えば、主成分に用いるものとしてはポリエステル系樹脂、ポリエステル系/アクリル系ハイブリッド樹脂、ポリエステル系/エポキシ系ハイブリッド樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂等の熱硬化性樹脂や、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、フッ素系樹脂、変成ポリオレフィン樹脂等の熱可塑性樹脂が、架橋剤として用いるものとしてはウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、β‐ヒドロキシアルキルアミド系樹脂等が挙げられる。本発明の粉体塗料組成物には、二酸化チタン顔料と樹脂成分以外の成分が含まれていても良く、例えば、アミン系、ルイス酸、酸無水物等の硬化触媒、ポリアクリル酸ブチル等のポリアクリル酸エステルや、ポリエチレンワックス等の炭化水素系滑剤等のレベリング剤、ベンゾイン、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール等の紫外線吸収剤、微粒子シリカ、樹脂微粉末等の流動性調整剤、カーボンブラック、弁柄、酸化亜鉛、チタンイエロー等の無機顔料、及び、フタロシアニン、キナクドリン等の有機顔料や、染料等の着色剤、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の体質顔料、難燃剤、電荷調整剤等を、目的に応じて適宜配合することができる。
【0018】
本発明の粉体塗料組成物は、二酸化チタン顔料と樹脂成分とに、必要に応じて各種添加剤を加え、例えば、一軸型、二軸型等の押出し混練機、バンバリーミキサー等のインテンシブルミキサー、ロール成形機等の混練機を用い、加熱し溶融混練して、ペレット状、球状、チップ状等に成形した後、ジェットミル等の気流粉砕機や、ピンミル、ハンマーミル、ローラーミル等の衝撃粉砕機等の粉砕機を用いて粉砕し、サイクロン、遠心分級機、振動篩等の分級機で分級することによって、製造することができる。混練する前に、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の高速攪拌機を用いて、適宜予備混合を行っても良い。あるいは、樹脂成分を溶剤に溶解させたスラリーに、二酸化チタン顔料を分散させた後、噴霧乾燥したり、フラッシングさせる方法を用いても良い。
【0019】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0020】
実施例1
平均粒子径が0.25μmで、酸化アルミニウム及び緻密酸化ケイ素の水和物で被覆された二酸化チタン顔料に対し、0.3重量%のメチルハイドロジェンポリシロキサンを、ヘンシェルミキサーを用いて被覆処理し、本発明の粉体塗料用二酸化チタン顔料を得た。(試料A)
【0021】
実施例2
実施例1において、メチルハイドロジェンポリシロキサンの被覆量を1重量%としたこと以外は実施例1と同様にして、本発明の粉体塗料用二酸化チタン顔料を得た。(試料B)
【0022】
実施例3
実施例1において、メチルハイドロジェンポリシロキサンに替えて1重量%のn−ヘキシルトリメトキシシランの加水分解生成物を用いた以外は実施例1と同様にして、本発明の粉体塗料用二酸化チタン顔料を得た。(試料C)
尚、加水分解生成物は、n−ヘキシルトリメトキシシラン9重量部に対して、硫酸でpHを1に調整した水1重量部と反応させることで調製した。
【0023】
比較例1
実施例1〜3で用いた平均粒子径が0.25μmで、酸化アルミニウム及び緻密酸化ケイ素の水和物で被覆された二酸化チタン顔料を比較例とした。(試料D)
【0024】
実施例4〜6及び比較例2
実施例1〜3で得られた粉体塗料用二酸化チタン顔料(試料A〜C)を、下記処方でヘンシェルミキサーにて予備混合し、混合物1.5kgを2軸押出し機(L/D=17、D=29mmφ)を用い、95〜120℃にて3分間混練しながら、ペレタイザーによりペレット状に成形した。得られたペレットをピンミルにより粉砕した後、150メッシュで分級して、樹脂成分100重量部に対し、二酸化チタン顔料を100重量部含む本発明の粉体塗料組成物を得た。(それぞれを実施例4〜6(試料E〜G)とする。)また、比較例1で得られた二酸化チタン顔料(試料D)も同様にして粉体塗料組成物を得た。(比較例2(試料H)とする。)
【0025】
(塗料化処方)
二酸化チタン顔料 100重量部
ポリエステル樹脂
(ユピカコート GV−570:日本ユピカ製) 87重量部
硬化用ウレタン樹脂
(VESTAGON B1530:デグサ・ヒュルス・ジャパン製)13重量部
レベリング剤(ポリフローPW−95:共栄社化学製) 1重量部
硬化触媒(STANN OMF:三共有機合成製) 0.3重量部
ベンゾイン 0.5重量部
【0026】
実施例7、比較例3
樹脂成分100重量部に対し、二酸化チタン顔料を50重量部とした以外は、実施例4と同様にして粉体塗料組成物を得た。(実施例7(試料I)とする。)また、比較例2についても、同じ顔料濃度とした粉体塗料組成物を得た。(比較例3(試料J)とする。)
【0027】
評価1
試料E〜Hの粉体塗料組成物を、コロナ放電式静電塗装機を用い、焼き付け後の塗膜厚が37μmになるように、リン酸亜鉛処理鋼板上に塗布した後、180℃の温度で20分間焼き付けて、塗膜化した。試料I、Jについては、焼き付け後の塗膜厚が50μmになるようにした以外は同様にして、塗膜を得た。それぞれの塗膜の20°−20°光沢値を光沢計(ヘイズグロス計:ガードナー社製)を用い、ハンター表色系によるL値を、カラーコンピューター(SM−7型:スガ試験機製)を用いて測定した。結果を表1に示す。20°−20°光沢値が高い程塗膜外観が優れ、L値が高い程隠ペイ性が優れている。
【0028】
表1より、実施例4〜6と比較例2、あるいは、実施例7と比較例3との比較から、本発明は塗膜外観及び隠ペイ性が優れていることが解る。また、実施例4〜6と比較例3との比較から、本発明は隠ペイ性が低下しないように顔料濃度を高くしても、従来品と同等の塗膜外観が得られるので、膜厚を薄くすることができる。
【0029】
【表1】
【0030】
【発明の効果】
本発明は粉体塗料用二酸化チタン顔料を提供するものであって、これを用いた粉体塗料組成物は、特に高顔料濃度で優れた塗膜外観や隠ペイ性を示し、家電品、自動車部品、プレコート鋼板等の工業塗装に有用である。
【発明の属する技術分野】
本発明は粉体塗料用二酸化チタン顔料及びそれを用いた粉体塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
二酸化チタン顔料は白色度が優れているため、塗料、インキ、プラスチックス、紙等の広い分野で着色剤として用いられており、粉体塗料もその一つである。粉体塗料は液状塗料と比較して、塗着効率が良好で、塗膜欠陥が発生し難く、オーバースプレーの回収が容易である等経済的に有利であり、特に有機溶剤型塗料より安全性が高く、作業衛生面で優れているので、家電品、自動車部品、プレコート鋼板等の工業塗装に用いられてきた。近年、工業塗装は環境問題への対応を強く求められており、環境負荷が少ないという点からも、粉体塗料が注目されている。しかし、粉体塗料には、液状塗料より塗膜の光沢・鮮映性、平滑性等の外観が劣るという問題があり、粉体塗料の使用分野が制限されている。特に、コストダウン等から粉体塗装にも薄膜化が求められているが、粉体塗料中の二酸化チタン顔料の濃度が高くなる程、塗膜外観の低下が顕著になるため、顔料濃度を高くすることが困難で、所望の隠ペイ性が得られていない。粉体塗料を用いて作成した塗膜外観を向上させるため、粉体塗料組成物に含まれる樹脂成分及び界面活性剤等の添加剤の改良、あるいは粉体粒子の微細化等の方法が用いられているが、十分な効果が得られていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上に述べた従来技術の問題点を克服し、粉体塗料を用いて作成した塗膜に優れた外観を付与することのできる粉体塗料組成物及びそれに含まれる二酸化チタン顔料を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、これらの問題点を解消すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の有機ケイ素化合物で表面が被覆され、平均粒子径が特定の範囲にある二酸化チタン顔料を配合した粉体塗料は、塗膜外観が優れたものになること、特に高顔料濃度での塗膜外観が優れていることを見出し、本発明を完成した。
【0005】
即ち、本発明は、ポリオルガノシロキサン類、アルキルシラン類及びその加水分解生成物から選ばれる少なくとも1種の有機ケイ素化合物により表面が被覆され、0.1〜0.5μmの範囲の平均粒子径を有することを特徴とする粉体塗料用二酸化チタン顔料である。さらに本発明は、粉体粒子中に二酸化チタン顔料と樹脂成分とを含む粉体塗料組成物であって、二酸化チタン顔料がポリオルガノシロキサン類、アルキルシラン類及びその加水分解生成物から選ばれる少なくとも1種の有機ケイ素化合物により表面が被覆され、0.1〜0.5μmの範囲の平均粒子径を有することを特徴とする粉体塗料組成物である。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明は粉体塗料用二酸化チタン顔料であって、ポリオルガノシロキサン類、アルキルシラン類及びその加水分解生成物から選ばれる少なくとも1種の有機ケイ素化合物により表面が被覆され、0.1〜0.5μmの範囲の平均粒子径を有することを特徴とする。本発明を粉体塗料組成物に用いると、光沢・鮮映性、平滑性等の塗膜外観が、特に高顔料濃度での塗膜外観が優れたものになる。これは、前記有機ケイ素化合物の被覆が、二酸化チタン顔料を粉体塗料樹脂成分と高度に親和させ、且つ、平均粒子径が前記範囲にあることにより、二酸化チタン粒子の表面エネルギーが、樹脂成分への分散に適したものとなるのではないかと考えられる。平均粒子径が前記範囲より小さくなると、表面エネルギーが大きくなり過ぎ、前記有機ケイ素化合物を被覆しても十分な効果が得られず、前記範囲より大きくしても更なる効果は得られず、隠ペイ性が却って低下してしまう。平均粒子径の好ましい範囲は0.1〜0.4μmである。尚、本発明における平均粒子径とは、一次粒子の50%粒子径を電子顕微鏡法により測定したものを言う。
【0007】
前記有機ケイ素化合物の被覆量は、二酸化チタン顔料に対し0.01〜2重量%の範囲であるのが好ましく、前記範囲より被覆量が少ないと、所望の効果が得られず、前記範囲を超えると、却って光沢・鮮映性が低下するので、好ましくない。より好ましい被覆量の範囲は0.1〜2重量%である。二酸化チタン顔料の表面は、全面が前記有機ケイ素化合物で被覆されているのが好ましいが、本発明の目的を阻害しない範囲で、一部が未被覆であっても良い。
【0008】
本発明で用いるオルガノポリシロキサン類は、一般的にシリコーンオイルと呼ばれるもので、官能基を含まない非反応性シリコーンオイル、官能基を含む反応性シリコーンオイル、変成されていない所謂ストレート型シリコーンオイル、高級脂肪酸、ポリエーテル、アルコール等で変成された変成シリコーンオイル等各種のものを用いることができる。特に、式(1)
【化2】
[Yがメチル基でありX1、X2が水素原子、同種または異種のアルキル基またはフルオロ基であるか、Y、X1がメチル基でありX2がフェニル基、アミノ基またはエポキシ基であるか、あるいはX1、X2がメチル基でありYが水酸基、アミノ基またはエポキシ基であり、n、mは整数である。]で表されるものが好ましく、このようなオルガノポリシロキサン類としては、例えば、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ポリジメチルポリシロキサンジオール、アルキル変成シリコーンオイル、アルキルアラルキル変成シリコーンオイル、アミノ変成シリコーンオイル、両末端アミノ変成シリコーンオイル、エポキシ変成シリコーンオイル、両末端エポキシ変成シリコーンオイル、フッ素変成シリコーンオイル等が挙げられ、中でもメチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサンは効果が高く好ましい。
【0009】
アルキルシラン類としては、特に、式(2)
式(2):YnSiX(4−n)
[Yはアルキル基、Xは加水分解性基、nは1〜3の整数である。但し、n=2または3であればYのアルキル基は同種であっても異種であっても良い。]で表されるものが好ましく、例えば、n−ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン等が挙げられる。アルキル基(式(2)中のY)は炭素数が10以下であれば、熱安定性に優れ、二酸化チタン粒子に被覆した後の乾燥、粉砕工程で加熱処理されても変色し難いので好ましく、6以下であれば更に好ましい。
【0010】
アルキルシラン類の加水分解生成物は、二酸化チタン粒子が表面に有する水酸基と反応して、二酸化チタン粒子と強固に結合するので好ましい。本発明では加水分解生成物は、アルキルシラン類の加水分解性基が加水分解されてシラノールになったものや、シラノール同士が重縮合してシロキサン結合を有するオリゴマーやポリマーになったものを言い、本発明の目的を害さない範囲で未反応のアルキルシラン類を含んでいても良い。加水分解させるアルキルシラン類としては、加水分解性基(式(2)中のX)がハロゲン基、水酸基等特に制限は無いが、アルコキシ基であれば、加水分解時に有害な二次生成物が発生し難く、安定性が高いので好ましく、更に、アルコキシ基がメトキシ基またはエトキシ基であれば、加水分解性に優れるのでより好ましい。また、式(2)中のnが1または2であれば、二酸化チタン粒子表面の水酸基との反応サイトが多いので好ましい。
【0011】
前記有機ケイ素化合物を二酸化チタン粒子に被覆する方法には、特に制限は無く、例えば、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の高速攪拌機を用いて、前記有機ケイ素化合物と二酸化チタン顔料とを混合して被覆したり、ジェットミル等の気流粉砕機、ハンマーミル等の衝撃粉砕機等の乾式粉砕機中に前記有機ケイ素化合物を添加し、二酸化チタン粒子を粉砕しながら被覆する等の所謂乾式処理を用いることができる。アルキルシラン類またはその加水分解生成物のように、二酸化チタン粒子との反応性を有するものには、二酸化チタン粒子を水等の分散媒体に分散させたスラリー中に添加し、攪拌・混合して被覆する所謂湿式処理を適用することもできる。いずれの処理方法においても、前記有機ケイ素化合物はアルコール等の有機溶媒に溶解した溶液や、界面活性剤を用いて水に分散させた分散液として添加しても良い。アルキルシラン類の加水分解生成物は、アルキルシラン類と水とを加水分解反応させて、予め調製しておくのが好ましい。
【0012】
乾式処理を適用する場合、例えば、高速攪拌機や粉砕機を加熱したり、あるいは気流粉砕機に用いる空気等の粉砕媒体を加熱する等して、100〜300℃の範囲の温度で処理すると、均一に被覆されるので好ましい。処理温度が前記範囲より低いと前記有機ケイ素化合物が揮発し難く、二酸化チタン顔料中に偏在して処理され、高くなると前記有機ケイ素化合物が揮散して歩留まりが低下したり、熱変色する等の問題が生じる。より好ましい処理温度の範囲は、120〜200℃である。
【0013】
本発明の二酸化チタン顔料の基体となる二酸化チタン粒子は、例えば、硫酸チタン溶液を加水分解する所謂硫酸法によって得られるものでも、ハロゲン化チタンを気相酸化する所謂塩素法によって得られるものであっても良く、製造方法は特に限定されない。その結晶形はアナターゼ型、ルチル型、あるいは両者の混合物のいずれでも良く、一部に非晶質の二酸化チタンが含まれていても良い。また、二酸化チタン粒子の結晶中には、アルミニウム、亜鉛等の無機元素が、好ましくはそれらの酸化物等の化合物として含まれていても良い。二酸化チタン粒子の表面には、更に、無機化合物や、前記有機ケイ素化合物以外の各種の有機化合物が被覆されていても良い。無機化合物を被覆する場合は、前記有機ケイ素化合物の内部(二酸化チタン粒子の表面側)に被覆されるのが好ましい。一方、前記有機ケイ素化合物と前記有機ケイ素化合物以外の有機化合物の被覆順序には、特に制限は無く、例えば、前記有機ケイ素化合物と前記有機ケイ素化合物以外の有機化合物を混合して被覆されても良い。
【0014】
本発明で用いることのできる無機化合物としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタン等が挙げられ、これらを単独で被覆しても、あるいは2種以上の被覆を積層したり、2種以上を混合する等して組合せて被覆しても良い。例えば、酸化ケイ素、酸化ジルコニウムには耐候性を改良する効果が知られており、自動車部品、建築資材等の屋外用途の二酸化チタン顔料に用いるのが好ましい。酸化ケイ素は耐候性の改良効果が大きいので、緻密状態で被覆するのが、更に好ましい。酸化アルミニウムには製造工程における脱水性、乾燥性、粉砕性等を改良する効果が知られており、少なくとも無機化合物を含む被覆層の最外層としては、酸化アルミニウムを用いるのが好ましい。これらの無機化合物は、水和物として被覆されていても良い。無機化合物の好ましい被覆量は、酸化アルミニウムはTiO2に対しAl2O3として0.5〜4重量%の範囲、より好ましくは1〜3重量%の範囲、酸化ケイ素はTiO2に対しSiO2として1〜10重量%の範囲、より好ましくは1〜6重量%の範囲、酸化ジルコニウムはTiO2に対しZrO2として0.05〜3重量%の範囲、より好ましくは0.1〜2重量%の範囲である。
【0015】
前記有機ケイ素化合物以外の有機化合物としては、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のポリオール類、トリエチルアミン等のアルカノールアミン類またはその誘導体、ステアリン酸等の高級脂肪酸類等が挙げられ、例えば、二酸化チタン粒子の乾式粉砕工程での粉砕助剤、粉体塗料化する際の加工助剤等の目的で用いることができる。被覆量としては二酸化チタン顔料に対し、0.05〜2重量%の範囲が好ましく、0.1〜1.5重量%の範囲が更に好ましい。
【0016】
次に、本発明は粉体塗料粒子中に二酸化チタン顔料と樹脂成分とを含む粉体塗料組成物であって、二酸化チタン顔料がポリオルガノシロキサン類及びアルキルシラン類から選ばれる少なくとも1種の有機ケイ素化合物により表面が被覆され、0.1〜0.5μmの範囲の平均粒子径を有することを特徴とする。本発明の粉体塗料組成物は、静電塗装法、流動浸漬法、溶射法等の塗装方法に制限されることなく、光沢・鮮映性、平滑性等の塗膜外観や、隠ペイ性に優れた塗膜が得られ、特に膜厚が10〜50μmの範囲の薄い塗膜に対して効果が大きい。また、塗布する基材も鋼材、各種の表面処理鋼材、ステンレス材、トタン材、ブリキ材、アルミニウム材等制限を受けない。粉体塗料粒子中には二酸化チタン顔料が、樹脂成分100重量部に対して20〜200重量部の範囲で含まれているのが好ましく、前記範囲より少ないと、十分な隠ペイ性が得られず、前記範囲より多いと、光沢や平滑性が損なわれる。より好ましい二酸化チタンの含有量は20〜150重量部の範囲であり、30〜150重量部が更に好ましい。粉体塗料粒子の平均粒子径は、塗着性や溶融時のレベリング性等から5〜150μmの範囲が好ましく、20〜50μmの範囲であればより好ましい。
【0017】
樹脂成分には公知のものを用いることのでき、例えば、主成分に用いるものとしてはポリエステル系樹脂、ポリエステル系/アクリル系ハイブリッド樹脂、ポリエステル系/エポキシ系ハイブリッド樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂等の熱硬化性樹脂や、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、フッ素系樹脂、変成ポリオレフィン樹脂等の熱可塑性樹脂が、架橋剤として用いるものとしてはウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、β‐ヒドロキシアルキルアミド系樹脂等が挙げられる。本発明の粉体塗料組成物には、二酸化チタン顔料と樹脂成分以外の成分が含まれていても良く、例えば、アミン系、ルイス酸、酸無水物等の硬化触媒、ポリアクリル酸ブチル等のポリアクリル酸エステルや、ポリエチレンワックス等の炭化水素系滑剤等のレベリング剤、ベンゾイン、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール等の紫外線吸収剤、微粒子シリカ、樹脂微粉末等の流動性調整剤、カーボンブラック、弁柄、酸化亜鉛、チタンイエロー等の無機顔料、及び、フタロシアニン、キナクドリン等の有機顔料や、染料等の着色剤、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の体質顔料、難燃剤、電荷調整剤等を、目的に応じて適宜配合することができる。
【0018】
本発明の粉体塗料組成物は、二酸化チタン顔料と樹脂成分とに、必要に応じて各種添加剤を加え、例えば、一軸型、二軸型等の押出し混練機、バンバリーミキサー等のインテンシブルミキサー、ロール成形機等の混練機を用い、加熱し溶融混練して、ペレット状、球状、チップ状等に成形した後、ジェットミル等の気流粉砕機や、ピンミル、ハンマーミル、ローラーミル等の衝撃粉砕機等の粉砕機を用いて粉砕し、サイクロン、遠心分級機、振動篩等の分級機で分級することによって、製造することができる。混練する前に、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の高速攪拌機を用いて、適宜予備混合を行っても良い。あるいは、樹脂成分を溶剤に溶解させたスラリーに、二酸化チタン顔料を分散させた後、噴霧乾燥したり、フラッシングさせる方法を用いても良い。
【0019】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0020】
実施例1
平均粒子径が0.25μmで、酸化アルミニウム及び緻密酸化ケイ素の水和物で被覆された二酸化チタン顔料に対し、0.3重量%のメチルハイドロジェンポリシロキサンを、ヘンシェルミキサーを用いて被覆処理し、本発明の粉体塗料用二酸化チタン顔料を得た。(試料A)
【0021】
実施例2
実施例1において、メチルハイドロジェンポリシロキサンの被覆量を1重量%としたこと以外は実施例1と同様にして、本発明の粉体塗料用二酸化チタン顔料を得た。(試料B)
【0022】
実施例3
実施例1において、メチルハイドロジェンポリシロキサンに替えて1重量%のn−ヘキシルトリメトキシシランの加水分解生成物を用いた以外は実施例1と同様にして、本発明の粉体塗料用二酸化チタン顔料を得た。(試料C)
尚、加水分解生成物は、n−ヘキシルトリメトキシシラン9重量部に対して、硫酸でpHを1に調整した水1重量部と反応させることで調製した。
【0023】
比較例1
実施例1〜3で用いた平均粒子径が0.25μmで、酸化アルミニウム及び緻密酸化ケイ素の水和物で被覆された二酸化チタン顔料を比較例とした。(試料D)
【0024】
実施例4〜6及び比較例2
実施例1〜3で得られた粉体塗料用二酸化チタン顔料(試料A〜C)を、下記処方でヘンシェルミキサーにて予備混合し、混合物1.5kgを2軸押出し機(L/D=17、D=29mmφ)を用い、95〜120℃にて3分間混練しながら、ペレタイザーによりペレット状に成形した。得られたペレットをピンミルにより粉砕した後、150メッシュで分級して、樹脂成分100重量部に対し、二酸化チタン顔料を100重量部含む本発明の粉体塗料組成物を得た。(それぞれを実施例4〜6(試料E〜G)とする。)また、比較例1で得られた二酸化チタン顔料(試料D)も同様にして粉体塗料組成物を得た。(比較例2(試料H)とする。)
【0025】
(塗料化処方)
二酸化チタン顔料 100重量部
ポリエステル樹脂
(ユピカコート GV−570:日本ユピカ製) 87重量部
硬化用ウレタン樹脂
(VESTAGON B1530:デグサ・ヒュルス・ジャパン製)13重量部
レベリング剤(ポリフローPW−95:共栄社化学製) 1重量部
硬化触媒(STANN OMF:三共有機合成製) 0.3重量部
ベンゾイン 0.5重量部
【0026】
実施例7、比較例3
樹脂成分100重量部に対し、二酸化チタン顔料を50重量部とした以外は、実施例4と同様にして粉体塗料組成物を得た。(実施例7(試料I)とする。)また、比較例2についても、同じ顔料濃度とした粉体塗料組成物を得た。(比較例3(試料J)とする。)
【0027】
評価1
試料E〜Hの粉体塗料組成物を、コロナ放電式静電塗装機を用い、焼き付け後の塗膜厚が37μmになるように、リン酸亜鉛処理鋼板上に塗布した後、180℃の温度で20分間焼き付けて、塗膜化した。試料I、Jについては、焼き付け後の塗膜厚が50μmになるようにした以外は同様にして、塗膜を得た。それぞれの塗膜の20°−20°光沢値を光沢計(ヘイズグロス計:ガードナー社製)を用い、ハンター表色系によるL値を、カラーコンピューター(SM−7型:スガ試験機製)を用いて測定した。結果を表1に示す。20°−20°光沢値が高い程塗膜外観が優れ、L値が高い程隠ペイ性が優れている。
【0028】
表1より、実施例4〜6と比較例2、あるいは、実施例7と比較例3との比較から、本発明は塗膜外観及び隠ペイ性が優れていることが解る。また、実施例4〜6と比較例3との比較から、本発明は隠ペイ性が低下しないように顔料濃度を高くしても、従来品と同等の塗膜外観が得られるので、膜厚を薄くすることができる。
【0029】
【表1】
【0030】
【発明の効果】
本発明は粉体塗料用二酸化チタン顔料を提供するものであって、これを用いた粉体塗料組成物は、特に高顔料濃度で優れた塗膜外観や隠ペイ性を示し、家電品、自動車部品、プレコート鋼板等の工業塗装に有用である。
Claims (9)
- ポリオルガノシロキサン類、アルキルシラン類及びその加水分解生成物から選ばれる少なくとも1種の有機ケイ素化合物により表面が被覆され、0.1〜0.5μmの範囲の平均粒子径を有することを特徴とする粉体塗料用二酸化チタン顔料。
- 有機ケイ素化合物が0.01〜2重量%の範囲で被覆されることを特徴とする請求項1記載の粉体塗料用二酸化チタン顔料。
- アルキルシラン類が式(2)
式(2):YnSiX(4−n)
[Yはアルキル基、Xは加水分解性基、nは1〜3の整数である。但し、n=2または3であればYのアルキル基は同種であっても異種であっても良い。]で表されるものであることを特徴とする請求項1記載の粉体塗料用二酸化チタン顔料。 - 更に無機化合物及び有機ケイ素化合物以外の有機化合物から選ばれる少なくとも1種で被覆されていることを特徴とする請求項1記載の粉体塗料用二酸化チタン顔料。
- 無機化合物が酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウムまたはそれらの水和物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項5記載の粉体塗料用二酸化チタン顔料。
- 有機化合物がポリオール類、アルカノールアミン類またはその誘導体、高級脂肪酸類から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項5記載の粉体塗料用二酸化チタン顔料。
- 粉体塗料粒子中に二酸化チタン顔料と樹脂成分とを含む粉体塗料組成物であって、二酸化チタン顔料がポリオルガノシロキサン類及びアルキルシラン類から選ばれる少なくとも1種の有機ケイ素化合物により表面が被覆され、0.1〜0.5μmの範囲の平均粒子径を有することを特徴とする粉体塗料組成物。
- 二酸化チタン顔料を樹脂成分100重量部に対して20〜200重量部含むことを特徴とする請求項8記載の粉体塗料組成物。
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