JP6488537B2 - 微細繊維含有複合シート及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、衝撃に強く、高い曲げ強度及び引張弾性率を有する微細繊維含有複合シートに関する。さらに本発明は、上記微細繊維含有複合シートの製造方法、並びに上記微細繊維含有複合シートを組み込んだ照明装置、投影装置、看板又は画像表示装置に関する。
複合シート、特に液晶テレビ、液晶モニター、看板、標識・表示などに使用される光透過性を有するシートとしては、ガラス系シートが多く使用されている。しかし、ガラス系シートは、耐衝撃性と曲げ強度が弱い問題がある。近年、マトリックス樹脂系シートも使用されるようになっているが、熱膨張係数が高く、強度や曲げ強度も不十分である。
一方、近年、石油資源の代替および環境意識の高まりから再生産可能な天然繊維の応用に注目が集まっている。天然繊維の中でもセルロース繊維、とりわけ木材由来のセルロース繊維(パルプ)は主に紙製品として幅広く使用されている。セルロース繊維をリファイナーやニーダー、サンドグラインダーなどで処理(叩解、粉砕)し、セルロース繊維を微細化(ミクロフィブリル化)すると透明紙(グラシン紙等)が得られる。また、従来からセルロース繊維で構成された不織布は、サイズ剤や紙力増強剤などを添加し、紙として印刷用紙や書籍などに利用されている。さらにセルロース繊維で構成された不織布は、気体や液体などに対する透過性を利用して、フィルター、蓄電素子、電池又はキャパシタのセパレータなどへの利用も検討されている。
特許文献1には、微細セルロース繊維平面構造体もしくはセルロース繊維粒子と、セルロース以外の高分子とを複合化させてなる高分子セルロース複合体が記載されている。特許文献1には、高分子セルロース複合体の製造方法として、セルロース不織布、シート又は粒子にモノマーを含浸させて重合する方法などが記載されている。また、特許文献2には、セルロースを含有する不織布、セルロース以外の樹脂及び難燃化剤からなる複合体が記載されている。特許文献2には、複合体の製造方法として、セルロースを含有する不織布に、モノマーを含浸させて重合させる方法などが記載されている。しかし、特許文献1及び特許文献2に記載の方法は、製造コストが高く、特に、複合シートの厚みの増加に伴って製造コストが大幅アップになり、製造も著しく困難になるという問題がある。
特開2009−299043号公報 特開2008−106152号公報
本発明は、低コストで、衝撃に強く、高い曲げ強度及び引張弾性率を有する微細繊維含有複合シート、及びその製造方法を提供することを解決すべき課題とした。さらに本発明は、上記微細繊維含有複合シートを組み込んだ照明装置、投影装置、看板および画像表示装置を提供することを解決すべき課題とした。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、微細繊維とマトリックス樹脂を含有する複合シートにおいて、微細繊維を複合シートの少なくとも一方の表面に偏在させることによって、上記課題を解決できることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成したものである。
本発明は、以下の各発明を包含する。
(1)少なくとも微細繊維とマトリックス樹脂を含有する複合シートにおいて、前記微細繊維が複合シートの少なくとも一方の表面に偏在することを特徴とする微細繊維含有複合シート。
(2)複合シート面の法線方向において、微細繊維を含有する部分と、微細繊維を含有しない部分とを有し、微細繊維を含有しない部分の厚さが、複合シート全体の厚さの20%以上である、(1)に記載の微細繊維含有複合シート。
(3)微細繊維を含有する部分のマトリックス樹脂の主成分が、微細繊維を含有しない部分のマトリックス樹脂の主成分と異なるものである、(1)又は(2)に記載の微細繊維含有複合シート。
(4)マトリックス樹脂の溶融体を微細繊維含有する不織布に含浸させ、プレスすることにより製造される、(1)から(3)の何れかに記載の微繊維含有複合シート。
(5)マトリックス樹脂の溶融体を微細繊維含有する複合シート上に設け、プレスすることにより製造される、(1)から(3)の何れかに記載の微細繊維含有複合シート。
(6)引張弾性率が5.0GPa以上であり、全光線透過率が70%以上である、(1)から(5)の何れかに記載の微細繊維含有複合シート。
(7)微細繊維の平均繊維幅が1〜1000nmである、(1)から(6)の何れかに記載の微細繊維含有複合シート。
(8)微細繊維が木材系セルロース由来の繊維である、(1)から(7)の何れかに記載の微細繊維含有複合シート。
(9)マトリックス樹脂の溶融体を微細繊維含有する不織布に含浸させた後、プレスする工程を含む(1)から(8)の何れかに記載の微繊維含有複合シートの製造方法。
(10)マトリックス樹脂の溶融体を微細繊維含有する複合シート上に設けた後、プレスする工程を含む(1)から(8)の何れかに記載の微細繊維含有複合シートの製造方法。
(11) (1)から(8)の何れかに記載の微細繊維含有複合シートを組み込んだ照明装置、投影装置、看板又は画像表示装置。
本発明によれば、低コストで、衝撃に強く、高い曲げ強度及び引張弾性率を有する微細繊維含有複合シートを提供することが可能である。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書に記載される材料、方法及び数値範囲などの説明は、当該材料、方法及び数値範囲などに限定することを意図したものではなく、また、それ以外の材料、方法及び数値範囲などの使用を除外するものでもない。
本発明の微細繊維含有複合シートは、少なくとも微細繊維とマトリックス樹脂とを含む複合シートであって、前記微細繊維が複合シートの少なくとも一方の表面に偏在することを特徴とするものである。低コストで衝撃に強く、高い曲げ強度及び引張弾性率を有する複合シートにするために、微細繊維が複合シートの少なくとも一方の表面に偏在することが重要である。微細繊維が複合シートの少なくとも一方の表面に偏在するとは、微細繊維が複合シートの片方の表面に偏在する場合、又は微細繊維が複合シートの両方の表面に偏在する場合の何れでもよい。微細繊維が複合シートの片方の表面に偏在する場合とは、微細繊維が複合シートの片側の表面に近い領域に存在し、複合シートの反対の表面に近い領域には存在しない場合である。微細繊維が複合シートの両方の表面に偏在する場合とは、微細繊維が複合シートの両方の表面に近い領域に存在し、複合シートの表面から遠いシート内部には微細繊維が存在しない場合である。好ましくは、微細繊維は、複合シートの片方の表面に偏在している。
本発明の微細繊維含有複合シートは、少なくとも微細繊維とマトリックス樹脂とを含む複合シートであるが、微細繊維とマトリックス樹脂とにより一体化された複合シートである。本発明の微細繊維含有複合シートは、微細繊維からなるシートとマトリックス樹脂からなるシートとを単なる貼り合せることにより作製したシートとは構造的に区別することができる。
本発明の微細繊維含有複合シートは、好ましくは、微細繊維とマトリックス樹脂を含有する部分と、微細繊維を含有せずにマトリックス樹脂を含有する部分とから構成されている。ここで、微細繊維を含有する部分のマトリックス樹脂と、微細繊維を含有しない部分のマトリックス樹脂とが同一のマトリックス樹脂である場合には、このマトリックス樹脂により複合シートは一体化されている。また、微細繊維を含有する部分のマトリックス樹脂と、微細繊維を含有しない部分のマトリックス樹脂とが異なるマトリックス樹脂である場合であっても、これら異なるマトリックス樹脂により複合シートは一体化されている。
<微細繊維>
本発明における微細繊維は特に限定されるものではないが、有機系繊維、無機系繊維あるいは有機系繊維と無機系繊維の混合系の何れも使用可能である。有機系繊維では、合成繊維、半合成繊維、再生繊維、炭素繊維、動植物から直接取れる繊維(例えばキトサン繊維、植物繊維、動物繊維)が挙げられる。合成繊維としては、例えば、ナイロン、ピニロン、ビニリデン、ポリエステル、ポリオレフィン(例えばポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリウレタン、アクリル、ポリ塩化ビニル、アラミド等が挙げられるがこれらに限定されない。半合成繊維としては、アセテート、トリアセテート、プロミックス等が挙げられるがこれらに限定されない。再生繊維としては、例えば、レーヨン、キュプラ、ポリノジックレーヨン、リヨセル、テンセル等が挙げられるがこれらに限定されない。無機系繊維ではガラス繊維、炭素繊維、岩石繊維、金属繊維などが挙げられる。
本発明でいう微細繊維は通常製紙用途で用いるパルプ繊維よりもはるかに幅の狭い繊維あるいは棒状粒子である。微細繊維の平均繊維幅は電子顕微鏡で観察して2nm〜1000nmが好ましく、より好ましくは2nm〜400nm、さらに好ましくは2nm〜100nmである。平均繊維幅が2nm未満では、製造コストが高く、非現実である。一方、平均繊維幅が1000nmを超えると、複合シートの強度が低下する。照明装置、投影装置、看板および画像表示装置に使用される場合は、複合シートの透明性が要求されるので、微細繊維の平均繊維幅2〜400nmが好ましく、2〜100nmが特に好ましい。
微細繊維の平均繊維幅は電子顕微鏡観察により、以下のようにして測定を行う。微細繊維の集合体を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察する。構成する繊維の幅に応じて1000倍、5000倍、10000倍、20000倍、50000倍あるいは100000倍のいずれかの倍率で電子顕微鏡画像による観察を行う。但し、試料、観察条件や倍率は下記の条件を満たすように調整する。
(1)観察画像内の任意箇所に一本の直線Xを引き、該直線Xに対し、20本以上の繊維が交差する。
(2)同じ画像内で該直線Xと垂直に交差する直線Yを引き、該直線Yに対し、20本以上の繊維が交差する。
上記のような電子顕微鏡観察画像に対して、直線Xに交錯する繊維、直線Yに交錯する繊維の各々について少なくとも20本(すなわち、合計が少なくとも40本)の幅(繊維の短径)を読み取る。こうして上記のような電子顕微鏡画像を少なくとも3組以上観察し、少なくとも40本×3組(すなわち、少なくとも120本)の繊維幅を読み取る。読み取った全繊維の中で、幅が最も大きい繊維5%、幅が最も小さい繊維5%を除き、残りの90%の繊維の繊維幅の平均値を平均繊維幅とする。
本発明の微細繊維の平均繊維長は10mm以下が好ましく、0.3μm〜2mmがさらに好ましく、0.5μm〜500μmが特に好ましい。10mmを超えると複合シートの表面平滑性に悪影響を及ぼすことがあり、好ましくない。繊維長は、前記平均繊維幅を測定する際に使用した電子顕微鏡観察画像を解析することにより求めることができる。すなわち、上記のような電子顕微鏡観察画像に対して、直線Xに交錯する繊維、直線Yに交錯する繊維の各々について少なくとも20本(すなわち、合計が少なくとも40本)の繊維長を読み取る。こうして上記のような電子顕微鏡画像を少なくとも3組以上観察し、少なくとも40本×3組(すなわち、少なくとも120本)の繊維長を読み取る。読み取った全繊維の中で、繊維長が最も長い繊維5%、繊維長が最も短い繊維5%を除き、残りの90%の繊維の繊維長の平均値を平均繊維長とする。
本発明で用いる微細繊維としては、自然界に多く存在する植物繊維が好ましく選択される。植物繊維としては、木材系セルロース繊維又は非木材系セルロース繊維の何れでもよい。植物繊維は、セルロース原料から製造することができる。セルロース原料としては、製紙用パルプ、コットンリンターやコットンリントなどの綿系パルプ、麻、麦わら、パガスなどの非木材系パルプ、ホヤや海草などから単離されるセルロースなどが挙げられる。これらの中でも、入手のしやすさという点で、製紙用パルプが好ましい。製紙用パルプとしては、広葉樹クラフトパルプ(晒クラフトパルプ(LBKP)、未晒クラフトパルプ(LUKP)、酸素漂白クラフトパルプ(LOKP)など)、針葉樹クラフトパルプ(晒クラフトパルプ(NBKP)、未晒クラフトパルプ(NUKP)、酸素漂白クラフトパルプ(NOKP)など)、サルファイトパルプ(SP)、ソーダパルプ(AP)等の化学パルプ、セミケミカルパルプ(SCP)、ケミグラウンドウッドパルプ(CGP)等の半化学パルプ、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP、BCTMP)等の機械パルプ、楮、三椏、麻、ケナフ等を原料とする非木材パルプ、古紙を原料とする脱墨パルプが挙げられるが、特に限定されない。これらの中でも、より入手しやすいことから、クラフトパルプ、脱墨パルプ、サルファイトパルプが好ましいが、特に限定されない。セルロース原料は1種を単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
特にコストが安く、複合シートの強度が得られやすい木材系セルロース繊維が好ましい。木材系セルロースから得られる微細繊維は化学処理や機械的処理の程度により微細繊維の繊維径や繊維長を制御しやすい。これは木材系セルロース繊維の直径が2〜4nmのシングルナノファイバーで構成されたミクロフィブリル繊維の集合体である(直径数μm〜数十μm、繊維長0.1mm〜数mm)。そのため、微細化方法を選択、組合せすることによって、種々の繊維径や繊維長の微細繊維を製造できる。また、光の拡散性や散乱性、透過性を容易に制御できるようになる。木材系セルロースは広葉樹や針葉樹から得られる木材チップを化学処理することで得られる。
木材系セルロース繊維を微細化する前の化学処理としては、脱脂、脱リグニン、脱ヘミセルロース、クラフト処理、スルファイト処理、漂白処理、酵素処理が挙げられる。微細繊維の結晶化度は40%〜95%が好ましく、50%〜90%がさらに好ましく、55%〜90%が特に好ましい。結晶化度が40%未満の場合は散乱性が低下したり光学フィルムの強度が低下したりする。結晶化度が95%を超えるような微細繊維を製造することは非常に困難である。
木材系微細セルロース繊維の製造方法には特に制限はないが、グラインダー(石臼型粉砕機)、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、高圧衝突型粉砕機、ボールミル、ディスク型リファイナー、コニカルリファイナー、二軸混練機、振動ミル、高速回転下でのホモミキサー、超音波分散機、ビーター、超音波ホモジナイザーなどの機械的作用を利用する湿式粉砕でセルロース系繊維を細くする方法が好ましい。また、アセチル化などの化学修飾、TEMPO酸化、オゾン処理、リン酸処理、マレイン酸処理、酵素処理などの化学処理を施してから微細化する方法がある。
さらに、微細繊維含有複合シート面の法線方向(即ち、微細繊維含有複合シートのZ軸方向)において、微細繊維を含有しない部分の厚さが、複合シート全体の厚さの20%以上を有することが好ましい。40%以上がさらに好ましく、50%以上が特に好ましい。微細繊維を含有しない部分の厚さは、複合シート全体の厚さの95%以下が好ましく、90%以下がさらに好ましい。微細繊維を含有しない部分の厚さが複合シート全体の厚みの20%未満では、低コストと曲げ強度の両立が困難となり、95%を超えると線熱膨張率が高くなる傾向がある。
<マトリックス樹脂>
本発明において、マトリックス樹脂としては高分子材料が好適である。例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂(熱硬化性樹脂の前駆体が加熱により重合硬化した硬化物)、又は光硬化性樹脂(光硬化性樹脂の前駆体が放射線(紫外線や電子線等)の照射により重合硬化した硬化物)が挙げられる。さらに、有機無機ハイブリッド構造を有するシルセスキオサンを基本骨格とした樹脂を使用することもできる。これらは1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
本発明においては、微細繊維同士の空隙、又は微細繊維が不織布を形成している場合には不織布の空隙をマトリックス樹脂で埋めることが好ましい。微細繊維含有不織布は特開2008−106152号公報、国際公開WO2013/022025A1に示される不織布の製造方法で得ることが可能である。
熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、芳香族ポリカーボネート系樹脂、脂肪族ポリカーボネート系樹脂、芳香族ポリエステル系樹脂、脂肪族ポリエステル系樹脂、脂肪族ポリオレフィン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、熱可塑性ポリイミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリスルホン系樹脂、又は非晶性フッ素系樹脂等が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、特に限定されないが、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、オキセタン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、珪素樹脂、ポリウレタン樹脂、アリルエステル樹脂、又はジアリルフタレート樹脂等が挙げられる。
光硬化性樹脂としては、特に限定されないが、上述の熱硬化性樹脂として例示したエポキシ樹脂、アクリル樹脂、又はオキセタン樹脂等が挙げられる。
さらに、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、又は光硬化性樹脂の具体例としては、特開2009−299043号公報に記載のものが挙げられる。
上記マトリックス樹脂としては、透明性に優れ且つ高耐久性の複合体を得る点では、非晶質でガラス転移温度(Tg)の高い合成高分子が好ましい。非晶質の程度としては、結晶化度で10%以下が好ましく、特に5%以下であるものが好ましい。また、Tgは110℃以上、特に120℃以上、とりわけ130℃以上のものが好ましい。Tgが低いと例えば熱水等に触れた際に変形する恐れがあり、実用上問題が生じる。マトリックス樹脂のTgはDSC法による測定で求められ、結晶化度は、非晶質部と結晶質部の密度から算定することができる。
また、本発明の複合シートを光学材料等の透明用途に用いる場合には、マトリックス樹脂として、アクリル系樹脂、芳香族ポリカーボネート系樹脂、又は脂肪族ポリカーボネート系樹脂等の透明樹脂を用いることが好ましい。
低吸水性の複合シートを得るためには、マトリックス樹脂は、ヒドロキシ基、カルボキシ基、又はアミノ基などの親水性の官能基が少ないことが好ましい。
また、微細繊維を含有する部分のマトリックス樹脂の主成分が、微細繊維を含有しない部分のマトリックス樹脂の主成分と異なる態様は、各種樹脂の性能が発揮できるため、用途によるが、好ましい形態である。
引張弾性率を向上させるためには、本発明の複合シート中の微細繊維とマトリックス樹脂の質量比率は99/1〜1/99が好ましく、97/3〜3/97がより好ましく、95/5〜5/95が特に好ましい。衝撃に強く、曲げ強度も強くするには、微細繊維とマトリックス樹脂の最適質量比率は10/90〜60/40である。
複合シート中の微細繊維及びマトリックス樹脂の含有量は、例えば、複合シートとする前の不織布の質量と複合シートの質量より求めることができる。また、複合シートをマトリックス樹脂が可溶な溶媒に浸漬してマトリックス樹脂のみを取り除き、残った繊維の質量から求めることもできる。その他、マトリックス樹脂の比重から求める方法や、NMR、又はIRを用いてマトリックス樹脂や繊維由来の官能基を定量して求めることもできる。
<複合シート>
本発明の複合シートは、平膜状(フィルム状)又は平板状であってもよいし、曲面を有する膜状又は板状であってもよい。
本発明の複合シートが膜状又は平板状である場合には、厚みが10μm以上、10cm以下であることが好ましい。このような厚みの複合シートにすることで強度を保つことができる。複合シートの厚みは、より好ましくは50μm以上、1cm以下であり、さらに好ましくは80μm以上、250μm以下である。また、厚みは必ずしも均一である必要はなく、部分的に異なっていてもよい。
本発明の複合シートは、その用途に応じて、その表面に無機膜が積層されてもよい。無機膜を構成する無機材料としては、例えば、白金、銀、アルミニウム、金、若しくは銅等の金属、シリコン、ITO、SiO2、SiN、SiOxNy、ZnO等、又はTFT等が挙げられる。これらの組み合わせや膜厚は任意に設計することができる。
本発明の複合シートの引張弾性率は、好ましくは5.0GPa以上であり、より好ましくは5.5GPa以上である。また、本発明の複合シートの全光線透過率は、好ましくは70%以上であり、より好ましくは80%以上である。
<複合シートの製造方法>
本発明の複合シートを製造する方法としては、特に制限はなく、例えば、以下の方法により複合シートを得ることができる。
(a) 上部開放の容器に微細繊維を含む不織布を引き、可塑性樹脂前駆体を添加し、含浸させて重合させる方法。
(b) 上部開放の容器に微細繊維を含む不織布を引き、熱硬化性樹脂前駆体又は光硬化性樹脂前駆体を添加し、含浸させて重合硬化させる方法。
(c) 上部開放の容器に微細繊維を含む不織布を引き、樹脂溶液(熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂前駆体、熱硬化性樹脂前駆体、及び光硬化性樹脂前駆体から選ばれる1以上の溶質を含む溶液)を添加し、含浸させて乾燥させる。その後、加熱プレス等で密着させ、所望により重合硬化させる方法。
(d) 上部開放の容器に微細繊維を含む不織布を引き、熱可塑性樹脂の溶融体を添加し、含浸させ、加熱プレス等で密着させる方法。
(e) 上部開放の容器に微細繊維含有分散液を加え、さらに高分子溶液又は分散液(熱可塑性樹脂溶液又は分散液)を添加し、攪拌を行わずに溶媒を除去する方法。
(f) 上部開放の容器に、特開2008−106152号公報、国際公開WO2013022025A1に示された方法で得られた微細繊維を含む予備複合シートを引き、その上に溶融したマトリックス樹脂を添加し、プレスする方法。
上記(a)〜(d)の方法においては、製造される複合シートが、微細繊維を含む不織布部分と、不織布を含まない樹脂部分とから構成されるように、十分量の樹脂、樹脂前駆体又はその溶融体などが添加される。上記(e)においても、製造される複合シートが、微細繊維を含む不織布部分と、不織布を含まない樹脂部分とから構成されるように、十分量の高分子溶液又は分散液が添加される。また、上記(f)においても、製造される複合シートが、微細繊維を含む予備複合シート部分と、予備複合シートを含まないマトリックス樹脂部分とから構成されるように、十分量の溶融したマトリックス樹脂が添加される。
(a)不織布に液状の熱可塑性樹脂前駆体を含浸させて重合させる方法としては、重合可能なモノマーやオリゴマーを不織布に含浸させ、熱処理等により上記モノマーを重合させることにより微細繊維含有複合シートを得る方法が挙げられる。一般的には、モノマーの重合に用いられる重合触媒を重合開始剤として用いることができる。
(b)不織布に熱硬化性樹脂前駆体又は光硬化性樹脂前駆体を含浸させて重合硬化させる方法としては以下の方法が挙げられる。エポキシ樹脂モノマー等の熱硬化性樹脂前駆体又はアクリル樹脂モノマー等の光硬化性樹脂前駆体と硬化剤の混合物を不織布に含浸させ、熱又は放射線等により上記熱硬化性樹脂前躯体又は光硬化性樹脂前躯体を硬化させることによりセルロース繊維複合シートを得る。
(c)不織布に樹脂溶液(熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂前駆体、熱硬化性樹脂前駆体、及び光硬化性樹脂前駆体から選ばれる1以上の溶質を含む溶液)を含浸させて乾燥した後、加熱プレス等で密着させ、重合硬化させる方法としては以下の方法が挙げられる。樹脂が溶解する溶媒に樹脂を溶解させ、その溶液を不織布に含浸させ、乾燥させることでセルロース繊維複合体を得る。この場合、乾燥後加熱プレス等で溶媒が乾燥した空隙を密着させることでより高性能なセルロース繊維複合体を得る方法が挙げられる。光硬化性樹脂の場合にはさらに、所望により放射線等による重合硬化を行う。ここで樹脂を溶解させる溶媒としては、樹脂の溶解性に応じて選択すればよい。
(d)不織布に熱可塑性樹脂の溶融体を含浸させ、加熱プレス等で密着させる方法としては以下の方法が挙げられる。熱可塑性樹脂をガラス転移温度以上又は融点以上で熱処理することにより溶解させて、不織布に含浸させ、加熱プレス等で密着することによりセルロース繊維複合体を得る。熱処理は加圧下で行うことが好ましく、真空加熱プレス機能を有する設備の使用が有効である。
(e)微細繊維含有分散液を加え、さらに高分子溶液又は分散液(熱可塑性樹脂溶液又は分散液)を添加し、攪拌を行わずに溶媒を除去する方法では、所望により微細繊維の分散媒(溶媒)としてあらかじめ有機溶媒を用いることが好ましい。あるいは、水中で解繊した場合は水から有機溶媒に置換することが好ましい。この混合液中でモノマーを重合硬化若しくは、溶媒を除去した後にモノマーを重合硬化させることで微細繊維含有複合シートを得ることができる。
(f)特開2008−106152号公報、国際公開WO2013022025A1に示された方法で得られた予備複合シートに溶融したマトリックス樹脂を添加し、熱プレスする方法により、溶融したマトリックス樹脂と前記予備複合シートが一体化される。これにより、本発明の複合シートが得られる。予備複合シート中に含有するマトリックス樹脂と溶融添加するマトリックス樹脂が異なってもよい。
本発明の複合シートは各種用途で使用可能である。例えば、家電部品(照明用、ディスプレイ用、タッチパネル用など)、自動車用材料、包装部品、建築資材などに使用可能である。本発明の複合シートは半透明や透明品が得られるため、特に照明装置、投影装置、看板および画像表示装置に効果的に使用できる。
以下の参考例、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<微細繊維の水系懸濁液Aの製造>
広葉樹クラフトパルプ(LBKP)を水に分散させて1.0質量%とし、ディスクレファイナー(熊谷理機(株)製,No.2500−I)により叩解処理を施して均一なパルプスラリーとした。このパルプスラリーを高速回転型解繊機(エムテクニック社製、商品名:「クレアミックス9S」)にて回転数7000rpmで2時間処理し、濃度0.2%に希釈して、1000Gの遠心力で遠心分離した。この操作により粗大な繊維分を除去して微細繊維の水系懸濁液Aを得た。
<微細繊維の水系懸濁液Bの製造>
ベイマツのチップを、チップ厚み分級装置で、厚みが8mmパスで2mmオン分のチップに分級した後、天日でチップの含水率(水分量/水分量を含むチップ全量の割合)を約7%に調節し、木粉化の試料とした。
前記チップを、(株)槙野産業製の粗粉砕機(ハンマークラッシャー HC−400)を用いて、粗粉砕した。それを分級することなく、同社製のDDミル(スクリーン 0.8mm径、DD−3型)で一次微粉砕した後、さらにDDミル(スクリーン 0.2mm径、DD−3型)で二次微粉砕し平均粒子径が0.1mmの木粉を得た。
前記木粉を2%炭酸ナトリウム水溶液中で攪拌しながら90℃で5時間脱脂処理した。処理後の原料は、10倍量の蒸留水で洗浄し、ブフナーで脱水した後、蒸留水を加えて濃度を調整した。
脱リグニン工程で、無水酢酸と30%過酸化水素を液量として1:1に混合して調整し、この脱リグニン液を、脱脂処理後の原料(BD30g)に対して過酸化水素当量で4.5%に相当する過酸水溶液を1.5L加え、90℃で1時間処理した。
スラリー状の脱リグニン処理した原料(BD30g)に5%水酸化カリウム水溶液を用いて、室温で24時間浸漬し、脱ヘミセルース処理した。10倍量の蒸留水で洗浄し、ブフナーで脱水し、蒸留水を加えて2%のパルプ懸濁液を作製した。
前記のパルプスラリーを高速回転型解繊機(エムテクニック社製、商品名:「クレアミックス9S」)にて回転数7000rpmで6時間処理し、濃度0.2%に希釈して、1000Gの遠心力で遠心分離した。この操作により粗大な繊維分を除去して微細繊維の水系懸濁液Bを得た。
<不織布A>
微細繊維の水系懸濁液Aをセルロース濃度0.127質量%になるように水で希釈して、150mlに調整し、上部から30mlのイソプロピルアルコールを静かに加えて減圧濾過を行った。濾過器としてアドバンテック社KG−90を用い、ガラスフィルターの上に同アドバンテック社製の1.0μm孔径のPTFE製メンブランフィルターを載せた。有効濾過面積は48cm2であった。減圧度−0.09MPa(絶対真空度10kPa)にて減圧濾過したところ、PTFE製メンブランフィルターの上に微細繊維含有湿紙が得られた。この湿紙を120℃に加熱したプレス機にて0.15MPaの圧力で5分間プレス乾燥して不織布を得た。
得られた不織布の表面を前記記載の方法で、平均繊維径と平均繊維長を測定した。平均繊維幅は120nm、平均繊維長は3.0μmであった。結晶化度を測定したところ、84%であった。
<不織布B>
前記不織布Aと同様の方法で不織布Bを作成した。得られた不織布の表面を前記記載の方法で、平均繊維径と平均繊維長を測定した。平均繊維幅は25nm、平均繊維長は0.9μmであった。結晶化度を測定したところ、81%であった。
<参考例1>
不織布Aを、1,10−デカンジオールジメタクリレート80質量部、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)20質量部、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(BASF社製「ルシリンTPO」)0.02質量部、イルガノックス184を0.02質量部混合した溶液に含浸させ、減圧下で一晩放置した。得られた樹脂溶液を含浸させたセルロース繊維集合体を2枚のガラス板に挟み、無電極水銀灯ランプ(フュージョンUVシステムズ社製「Dバルブ」)を用いて、紫外線硬化させた。紫外線硬化の条件は、波長365nmでの照射強度400mW/cm2、ライン速度7m/minに表裏計10回通して半硬化させた。次いで、波長365nmでの照射強度1900mW/cm2、ライン速度2m/minで表裏各10回(計20回)通して完全硬化させる条件で行った。
紫外線照射終了後、ガラス板よりはずし、190℃で酸素分圧0.006MPa以下で1時間加熱して厚み75μmの微細繊維含有複合シートを得た。参考例1の微細繊維含有複合シートでは、微細繊維が複合シートの全体に存在している。得られた微細繊維含有複合シートの23℃における引張弾性率は6.1GPaであった。
紫外線の放射照度は、オーク製作所製紫外線照度計「UV−M02」で、アタッチメント「UV−35」を用いて、320〜390nmの紫外線の照度を23℃で測定した。
<参考例2>
不織布Aの代わりに不織布Bを用いて、参考例1と同様の方法で微細繊維含有複合シートを作成した。参考例2の微細繊維含有複合シートでは、微細繊維が複合シートの全体に存在している。得られた微細繊維含有複合シートの23℃における引張弾性率は7.1GPaであった。
<参考例3>
微細繊維の水系懸濁液Bを50部と濃度0.2%に希釈したアニオン性ポリプロピレン樹脂エマルション(商品名:「ハイテックP−5800」(ガラス転移温度:0℃未満、平均粒子径:0.15μm、屈折率1.48、東邦化学社製)50部と混合した。その後、濃度0.2%のカチオン性凝結剤(商品名:「フィクサージュ614」、栗田工業化学社製)を5部加えて1分間攪拌した。得られた混合液を180℃で熱カレンダー処理した不織布(商品名:「テクノワイパー」、テクノス社製)上で吸引脱水して微細繊維とアニオン性ポリプロピレン樹脂エマルション含有湿紙が得られた。この湿紙を120℃に加熱したプレス機にて0.15MPaの圧力で5分間プレス乾燥して。坪量90g/m2、厚さ75μmの微細繊維含有複合シートを得た。参考例3の微細繊維含有複合シートでは、微細繊維が複合シートの全体に存在している。得られた微細繊維含有複合シートの23℃における引張弾性率は6.3GPaであった。
<実施例1>
参考例1のシートを上部開放の容器に平置きし、溶融したポリメチルメタクリレートを坪量3g/m2となるように流延したものを、0.2Mpaの圧力で10分間熱プレスした。これにより、厚み130μm(微細繊維含有部分の厚みは75μm)の微細繊維含有複合シートを作製した。実施例1の微細繊維含有複合シートでは、微細繊維が複合シートの一方の表面に偏在している。得られた微細繊維含有複合シートの23℃における引張弾性率は5.9GPaであった。
<実施例2>
参考例1の代わりに参考例2の複合シートを用いて、実施例1と同様に厚み130μm(微細繊維含有部分の厚みは75μm)の微細繊維含有複合シートを作製した。実施例2の微細繊維含有複合シートでは、微細繊維が複合シートの一方の表面に偏在している。得られた微細繊維含有複合シートの23℃における引張弾性率は7.0GPaであった。
<実施例3>
参考例1の代わりに参考例3の複合シートを用いて、実施例1と同様に厚み130μm(微細繊維含有部分の厚みは75μm)の微細繊維含有複合シートを作製した。実施例3の微細繊維含有複合シートでは、微細繊維が複合シートの一方の表面に偏在している。得られた微細繊維含有複合シートの23℃における引張弾性率は6.0GPaであった。
<比較例1>
1,10−デカンジオールジメタクリレート80質量部、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)20質量部、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(BASF社製「ルシリンTPO」)0.02質量部、イルガノックス184を0.02質量部混合した溶液に無電極水銀灯ランプ(フュージョンUVシステムズ社製「Dバルブ」)を用いて、紫外線硬化させた。紫外線硬化の条件は以下の通りである。波長365nmでの照射強度400mW/cm2、ライン速度7m/minに表裏計10回通して半硬化させた後、2枚のガラス板に挟んだ。次いで、波長365nmでの照射強度1900mW/cm2、ライン速度2m/minで表裏各10回(計20回)通して完全硬化させた。
紫外線照射終了後、ガラス板よりはずし、190℃で酸素分圧0.006MPa以下で1時間加熱して厚み130μm樹脂シートを得た。この樹脂シートは微細繊維を含まないシートである。得られた樹脂シートの23℃における引張弾性率は2.7GPaであった。
紫外線の放射照度は、オーク製作所製紫外線照度計「UV−M02」で、アタッチメント「UV−35」を用いて、320〜390nmの紫外線の照度を23℃で測定した。
<比較例2>
参考例3のアニオン性ポリプロピレンエマルションをガラス基板上に塗工して130℃で乾燥して、得られた塗工層をガラス基板からはがして、坪量150g/m2、厚さ130μmのフィルムを得た。このフィルムは微細繊維を含まないフィルムである。得られたフィルの23℃における引張弾性率は8.5GPaであった。
<シートの引張弾性率>
JIS K 7113−1995に準じて測定した。
<シートの全光線透過率>
得られたシートについて、JIS規格K7105に準拠し、ヘーズメータ(村上色彩技術研究所社製、型番:HM−150)を用いて、JIS K7136に準じて全光線透過率を測定した。
Figure 0006488537
表1から明らかのように、本発明により引張弾性率の高い複合シートが得られた。微細繊維の繊維幅が小さければ、光透過性の優れた複合シートを得ることが可能である。本発明は微細繊維が複合シートの表層の一部にしか含有していないが、全層に微細繊維含有複合シートと同等の引張弾性率を示した。

Claims (7)

  1. 少なくとも微細繊維とマトリックス樹脂を含有する複合シートにおいて、前記微細繊維が複合シートの少なくとも一方の表面に偏在し、微細繊維を含有する部分のマトリックス樹脂の主成分が、微細繊維を含有しない部分のマトリックス樹脂の主成分と異なるものであり、
    微細繊維を含有する部分と、微細繊維を含有しない部分とが、一体化されており、
    複合シート面の法線方向において、微細繊維を含有する部分と、微細繊維を含有しない部分とを有し、微細繊維を含有しない部分の厚さが、複合シート全体の厚さの20%以上であり、
    前記微細繊維がセルロース微細繊維であり、
    微細繊維を含有しない部分のマトリックス樹脂の主成分が、
    スチレン樹脂、アクリル樹脂、芳香族ポリカーボネート樹脂、脂肪族ポリカーボネート樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂、脂肪族ポリオレフィン樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリスルホン樹脂又は非晶性フッ素系樹脂から選択される熱可塑性樹脂;
    エポキシ樹脂、アクリル樹脂、オキセタン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、珪素樹脂、ポリウレタン樹脂、アリルエステル樹脂、又はジアリルフタレート樹脂から選択される熱硬化性樹脂;又は
    エポキシ樹脂、アクリル樹脂、又はオキセタン樹脂から選択される光硬化性樹脂:
    であることを特徴とする微細繊維含有複合シート。
  2. 引張弾性率が5.0GPa以上であり、全光線透過率が70%以上である、請求項1に記載の微細繊維含有複合シート。
  3. 微細繊維の平均繊維幅が1〜1000nmである、請求項1又は2に記載の微細繊維含有複合シート。
  4. 微細繊維が木材系セルロース由来の繊維である、請求項1からの何れか1項に記載の微細繊維含有複合シート。
  5. 少なくとも微細繊維とマトリックス樹脂を含有する複合シートにおいて、前記微細繊維が複合シートの少なくとも一方の表面に偏在することを特徴とする微細繊維含有複合シートの製造方法であって、マトリックス樹脂の溶融体を微細繊維含有する不織布に含浸させた後、プレスする工程を含む方法。
  6. 少なくとも微細繊維とマトリックス樹脂を含有する複合シートにおいて、前記微細繊維が複合シートの少なくとも一方の表面に偏在することを特徴とする微細繊維含有複合シートの製造方法であって、マトリックス樹脂の溶融体を微細繊維含有する複合シート上に設けた後、プレスする工程を含む方法。
  7. 請求項1からの何れか1項に記載の微細繊維含有複合シートを組み込んだ照明装置、投影装置、看板又は画像表示装置。
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