JP5828288B2 - 微細繊維状セルロースの製造方法、不織布の製造方法、微細繊維状セルロース、微細繊維状セルロース含有スラリー、不織布、および複合体 - Google Patents

微細繊維状セルロースの製造方法、不織布の製造方法、微細繊維状セルロース、微細繊維状セルロース含有スラリー、不織布、および複合体 Download PDF

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Description

本発明は、微細繊維状セルロースの製造方法、不織布の製造方法、微細繊維状セルロース、微細繊維状セルロース含有スラリー、不織布、および複合体に関する。
近年、石油資源の代替および環境意識の高まりから、再生産可能な天然繊維を利用した材料が着目されている。天然繊維の中でも、繊維径が10〜50μmのセルロース繊維、とりわけ木材由来のセルロース繊維(パルプ)は主に紙製品としてこれまでにも幅広く使用されてきた。 また、セルロース繊維としては、繊維径が1μm以下の微細繊維状セルロースも知られており、その微細繊維状セルロースを含有するシートは機械的強度が高いなどの利点を有し、様々な用途への適用が検討されている(特許文献1)。例えば、微細繊維状セルロースを抄紙して不織布とし、高強度のシートとして利用することが知られている。
微細繊維状セルロースの製造方法としては、特許文献2に、ニトロキシルラジカル誘導体、臭化アルカリおよび酸化剤を含む水系溶媒中でリグノセルロースを処理する方法が開示されている。
特許文献3には、セルロースのヒドロキシ基の一部に多塩基酸無水物を半エステル化してカルボキシ基を導入した後、解繊して微細化処理する方法が開示されている。
特開2008−24788号公報 特開2008−308802号公報 特開2009−293167号公報
しかしながら、特許文献2は特殊な触媒を用いる必要があり、コストが高くなり、特許文献3に記載の微細繊維状セルロースの製造方法では、繊維原料の微細化が不充分で、微細繊維状セルロースの収率が低く、分散液の安定性も不充分なため、繊維原料からの製造効率が低く、また、コストが高い、環境負荷が大きい等の問題を有していた。
本発明は、上記問題を解決した微細繊維状セルロースの製造方法、不織布の製造方法、微細繊維状セルロース、微細繊維状セルロース含有スラリー、不織布、および複合体を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
[1] 2つ以上のカルボキシ基を有する化合物、2つ以上のカルボキシ基を有する化合物の酸無水物、およびそれらの誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種のカルボン酸系化合物により、セルロースを含む繊維原料を処理して、セルロースにカルボキシ基を導入するカルボキシ基導入工程と、前記カルボキシ基導入工程終了後に、カルボキシ基を導入したセルロースをアルカリ溶液で処理するアルカリ処理工程と、前記アルカリ処理した後のセルロースを解繊処理する解繊処理工程とを有することを特徴とする微細繊維状セルロースの製造方法。
[2] 前記カルボキシ基導入工程では、セルロースに前記カルボン酸系化合物を付加する、[1]に記載の微細繊維状セルロースの製造方法。
[3] 前記カルボキシ基導入工程では、ガス化した前記カルボン酸系化合物によりセルロースを処理する、[1]または[2]に記載の微細繊維状セルロースの製造方法。
[4] 前記繊維原料の水分を予め10%以下にする、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の微細繊維状セルロースの製造方法。
[5] [1]〜[4]のいずれか1項に記載の微細繊維状セルロースの製造方法により製造した微細繊維状セルロースを含むスラリー(以下、「解繊パルプスラリー」という。)を濾材上で脱水して湿紙を得る脱水工程と、前記湿紙を乾燥させる乾燥工程とを有することを特徴とする不織布の製造方法。
[6] 1〜1000nmの繊維幅を有し、かつ繊維を構成するセルロースのヒドロキシ基の一部が、下記構造式(1)に示す官能基で置換されたことを特徴とする、微細繊維状セルロース。
(構造式(1)において、Rは、飽和-直鎖状炭化水素基、飽和-分岐鎖状炭化水素基、飽和-環状炭化水素基、不飽和-直鎖状炭化水素基、不飽和-分岐鎖状炭化水素基、芳香族基、および単結合のいずれかであり、Mはカチオン性基である。)。
[7] [6]に記載の微細繊維状セルロースが分散媒中に分散されてなる微細繊維状セルロース含有スラリー。
[8] [6]に記載の微細繊維状セルロースを含有する不織布。
[9] [6]に記載の微細繊維状セルロースと、マトリックス材料とを含有する複合体。
[10] [8]に記載の不織布と、マトリックス材料とを含有する複合体。
本発明の微細繊維状セルロースの製造方法によれば、繊維原料を充分に微細化でき、微細繊維状セルロースの収率が高いため、繊維原料からの微細繊維状セルロースの製造効率が高い。また、本発明の微細繊維状セルロースの製造方法は、コストが低く、環境負荷が小さい。
本発明の不織布の製造方法によれば、繊維原料に対する不織布の製造効率を向上させることができる。
本発明の微細繊維状セルロースは繊維幅が小さくて、軸比(繊維長/繊維幅)が大きいため、微細繊維状セルロースのスラリー安定性が高く、得られた不織布は強度が高い。また、本発明の微細繊維状セルロースと、マトリックス樹脂の複合体は高強度を有し、線熱膨張率が低い。
実施例1で得られた解繊パルプスラリーに含まれるセルロースの透過型電子顕微鏡写真である。 実施例2で得られた解繊パルプスラリーに含まれるセルロースの透過型電子顕微鏡写真である。 実施例3で得られた解繊パルプスラリーに含まれるセルロースの透過型電子顕微鏡写真である。 実施例4で得られた解繊パルプスラリーに含まれるセルロースの透過型電子顕微鏡写真である。 本発明の不織布の製造方法で使用される製造装置の一実施形態の概略構成図である。
<微細繊維状セルロース>
本発明の微細繊維状セルロースは、ヒドロキシ基(−OH基)の一部が、下記構造式(1)に示す官能基で置換されたものである。また、通常製紙用途で用いるパルプ繊維よりもはるかに細いセルロース繊維あるいは棒状粒子である。
構造式(1)におけるRは、後述するカルボキシ基導入工程において使用するカルボン酸系化合物の2つのカルボキシ基の間を連結する基であって、各カルボン酸系化合物に由来する基である。具体的には、飽和-直鎖状炭化水素基(例えばマロン酸、コハク酸などに由来)、飽和-分岐鎖状炭化水素基(例えば2−メチルプロパン二酸、2−メチルブタン二酸等に由来)、飽和-環状炭化水素基(例えば1,2−シクロヘキサンジカルボン酸等に由来)、不飽和-直鎖状炭化水素基(例えばマレイン酸、フマル酸等に由来)、不飽和-分岐鎖状炭化水素基(例えば2−メチル−2−ブテン二酸、イタコン酸等に由来)、芳香族基(例えばフタル酸、イソフタル酸等に由来)、及びそれらに対してカルボキシ基やヒドロキシル基等の官能基が付加した誘導体基(例えばクエン酸、ピロメリット酸等に由来)、または単結合(例えばシュウ酸等に由来)が挙げられる。
構造式(1)におけるRを構成する炭素原子数は20以下であることが好ましく、10以下であることより好ましい。Rを構成する炭素原子数が20を超える場合には、カルボン酸化合物の分子が大きくなりすぎて、繊維原料に浸透しにくくなるおそれがある。なお、Rを構成する炭素原子数が0のときは単結合であり、Rの両側のエステル基とカルボキシ基は直接結合している。
また、構造式(1)におけるRについては、炭化水素基からなる主構造に対して、複数のカルボキシ基やヒドロキシ基を有することもできる。
構造式(1)におけるMはカチオン性基であり、構造式(1)におけるカルボキシ基と対になってカルボン酸塩を形成する。
カルボン酸塩を形成するカチオン性基Mとしては、1価および多価のカチオン性基を必要に応じて選択して使用することができる。具体的には、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属の陽イオンや、カルシウム、マグネシウム等の2価金属の陽イオン、およびアンモニウム、脂肪族アンモニウム、芳香族アンモニウム等が挙げられ、1種または2種類以上のカチオン性基を組み合わせて適用することもできる。上記カチオン性基Mのうち、汎用的であることから、ナトリウムイオン、カリウムイオンおよびアンモニウムが好ましい。
本発明の微細繊維状セルロースの繊維幅は電子顕微鏡で観察して1nm〜1000nmが好ましく、より好ましくは2nm〜500nm、さらに好ましくは4nm〜100nmである。微細繊維状セルロースの繊維幅が1nm未満であると、セルロース分子として水に溶解しているため、微細繊維状セルロースとしての物性(強度や剛性、寸法安定性)が発現しなくなる。一方、1000nmを超えると微細繊維状セルロースとは言えず、通常のパルプに含まれる繊維にすぎないため、微細繊維状セルロースとしての物性(強度や剛性、寸法安定性)が得られない。
微細繊維状セルロースに透明性が求められる用途においては、繊維幅が30nmを超えると、可視光の波長の1/10に近づき、マトリックス材料と複合した場合には界面で可視光の屈折及び散乱が生じ易く、透明性が低下する傾向にあるため、繊維幅は2nm〜30nmが好ましく、より好ましくは2〜20nmである。前記のような微細繊維状セルロースから得られる複合体は、一般的に緻密な構造体となるために強度が高く、セルロース結晶に由来した高い弾性率が得られることに加え、可視光の散乱が少ないため高い透明性も得られる。
ここで、微細繊維状セルロースがI型結晶構造を有していることは、グラファイトで単色化したCuKα(λ=1.5418Å)を用いた広角X線回折写真より得られる回折プロファイルにおいて、2θ=14〜17°付近と2θ=22〜23°付近の2箇所の位置に典型的なピークを有することで同定することができる。
また、微細繊維状セルロースの電子顕微鏡観察による繊維幅の測定は以下のようにして行う。濃度0.05〜0.1質量%の微細繊維状セルロース含有スラリーを調製し、該スラリーを親水化処理したカーボン膜被覆グリッド上にキャストしてTEM観察用試料とする。幅広の繊維を含む場合には、ガラス上にキャストした表面のSEM像を観察してもよい。構成する繊維の幅に応じて1000倍、5000倍、10000倍、20000倍、40000倍あるいは50000倍のいずれかの倍率で電子顕微鏡画像による観察を行う。但し、試料、観察条件や倍率は下記の条件を満たすように調整する。
(1)観察画像内の任意箇所に一本の直線Xを引き、該直線Xに対し、20本以上の繊維が交差する。
(2)同じ画像内で該直線と垂直に交差する直線Yを引き、該直線Yに対し、20本以上の繊維が交差する。
上記条件を満足する観察画像に対し、直線X、直線Yと交錯する繊維の幅を目視で読み取る。こうして少なくとも重なっていない表面部分の画像を3組以上観察し、各々の画像に対して、直線X、直線Yと交錯する繊維の幅を読み取る。このように少なくとも20本×2×3=120本の繊維幅を読み取る。本発明における微細繊維幅はこのように読み取った繊維幅の平均値である。
本発明の微細繊維状セルロースの繊維長は、0.1μm以上が好ましい。繊維長が0.1μm未満では、微細繊維状セルロースを樹脂に複合した際の強度向上効果を得難くなる。繊維長は、TEMやSEM、AFMの画像解析より求めることができる。上記繊維長は、微細繊維の30質量%以上を占める繊維長である。
本発明による微細繊維状セルロースの軸比(繊維長/繊維幅)は100〜10000の範囲であることが好ましい。軸比が100未満であると微細繊維状セルロース含有不織布を形成し難くなるおそれがある。軸比が10000を超えるとスラリー粘度が高くなり、好ましくない。
本発明の微細繊維状セルロースが含有する結晶部分の比率は、X線回折法によって求められる結晶化度が60%以上であるが、結晶化度は、好ましくは65%以上、より好ましくは70%以上であると、耐熱性と低線熱膨張率発現の点でさらに優れた性能が期待できる。結晶化度については、X線回折プロファイルを測定し、そのパターンから常法により求めることができる(Seagalら、Textile Research Journal、29巻、786ページ、1959年)。
<微細繊維状セルロースの製造>
本発明の微細繊維状セルロースの製造方法は、セルロースを含む繊維原料をカルボン酸系化合物により処理して、セルロースにカルボキシ基導入するカルボキシ基導入工程と、前記カルボキシ基導入工程終了後に、カルボキシ基を導入したセルロース(以下、「カルボキシ基導入セルロース」という。)をアルカリ溶液で処理するアルカリ処理工程と、前記アルカリ処理した後のセルロース(以下、「アルカリ処理セルロース」という。)を解繊処理する解繊処理工程とを有する。
(カルボキシ基導入工程)
繊維原料をカルボン酸系化合物により処理する方法としては、繊維原料にガス化したカルボン酸系化合物を混合する方法、繊維原料のスラリーにカルボン酸系化合物を添加する方法等が挙げられる。これらのうち、工程が簡便で且つカルボキシ基導入の効率が高くなることから、繊維原料にガス化したカルボン酸系化合物を混合する方法が好ましい。カルボン酸系化合物をガス化する方法としては、カルボン酸系化合物を加熱する方法が挙げられる。
また、カルボキシ基導入工程では、微細繊維状セルロースの収率がより向上することから、セルロースにカルボン酸系化合物を付加することが好ましい。セルロースへのカルボン酸系化合物の付加では、セルロースのヒドロキシ基にカルボン酸系化合物が付加する。
セルロースを含む繊維原料としては、製紙用パルプ、コットンリンターやコットンリントなどの綿系パルプ、麻、麦わら、バガスなどの非木材系パルプ、ホヤや海草などから単離されるセルロースなどが挙げられる。これらの中でも、入手のしやすさという点で、製紙用パルプが好ましい。製紙用パルプとしては、広葉樹クラフトパルプ(晒クラフトパルプ(LBKP)、未晒クラフトパルプ(LUKP)、酸素漂白クラフトパルプ(LOKP)など)、針葉樹クラフトパルプ(晒クラフトパルプ(NBKP)、未晒クラフトパルプ(NUKP)、酸素漂白クラフトパルプ(NOKP)など)、サルファイトパルプ(SP)、ソーダパルプ(AP)等の化学パルプ、セミケミカルパルプ(SCP)、ケミグラウンドウッドパルプ(CGP)等の半化学パルプ、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP、BCTMP)等の機械パルプ、楮、三椏、麻、ケナフ等を原料とする非木材パルプ、古紙を原料とする脱墨パルプが挙げられる。これらの中でも、より入手しやすいことから、クラフトパルプ、脱墨パルプ、サルファイトパルプが好ましい。
繊維原料は1種を単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
繊維原料は、予め乾燥させて水分を減らしておくことが好ましく、具体的には、繊維原料の水分量を10質量%以下にすることが好ましく、5質量%以下にすることがより好ましく、3質量%以下にすることがさらに好ましい。繊維原料の水分を減らしておくと、軸比が大きい微細繊維状セルロースが得られやすい。軸比の大きい微細繊維状セルロースを不織布、繊維強化樹脂、紙基材に配合すると、強度を容易に向上させることができる。
本発明で使用するカルボン酸系化合物は、2つ以上のカルボキシ基を有する化合物、2つ以上のカルボキシ基を有する化合物の酸無水物、およびそれらの誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種である。2つ以上のカルボキシ基を有する化合物の中では、2つのカルボキシ基を有する化合物(ジカルボン酸化合物)が好ましい。
2つ以上のカルボキシ基を有する化合物としては、プロパン二酸(マロン酸)、ブタン二酸(コハク酸)、ペンタン二酸(グルタル酸)、ヘキサン二酸(アジピン酸)、2−メチルプロパン二酸、2−メチルブタン二酸、2メチルペンタン二酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、2−ブテン二酸(マレイン酸、フマル酸)、2−ペンテン二酸、2,4−ヘキサジエン二酸、2−メチル−2−ブテン二酸、2−メチル−2ペンテン二酸、2−メチリデンブタン二酸(イタコン酸)、ベンゼン−1,2−ジカルボン酸(フタル酸)、ベンゼン−1,3−ジカルボン酸(イソフタル酸)、ベンゼン−1,4−ジカルボン酸(テレフタル酸)、エタン二酸(シュウ酸)等のジカルボン酸化合物が挙げられる。
また、2つ以上のカルボキシ基を有する化合物の誘導体としては、2−ヒドロキシプロパン−1,2,3−トリカルボン酸(クエン酸)、ベンゼン−1,2,4,5−テトラカルボン酸(ピロメリット酸)等の前記ジカルボン酸化合物の誘導体が挙げられる。
2つ以上のカルボキシ基を有する化合物の酸無水物としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸、無水グルタル酸、無水アジピン酸、無水イタコン酸、無水ピロメリット酸、無水1,2−シクロヘキサンジカルボン酸等のジカルボン酸化合物や複数のカルボキシ基を含む化合物の酸無水物が挙げられる。
2つ以上のカルボキシ基を有する化合物の酸無水物の誘導体としては、ジメチルマレイン酸無水物、ジエチルマレイン酸無水物、ジフェニルマレイン酸無水物等の、カルボキシ基を有する化合物の酸無水物の少なくとも一部の水素原子が置換基(例えば、アルキル基、フェニル基等)で置換されたものが挙げられる。
これらのうち、工業的に適用しやすく、また、ガス化しやすいことから、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸が好ましい。
繊維原料に対するカルボン酸系化合物の質量割合は、繊維原料100質量部に対して、カルボン酸系化合物が0.1〜500質量部であることが好ましく、10〜200質量部であることがより好ましい。カルボン酸系化合物の割合が前記下限値以上であれば、微細繊維状セルロースの収率をより向上させることができる。しかし、前記上限値を超えても、収率向上の効果は頭打ちとなり、無駄にカルボン酸系化合物を使用するだけである。
本発明においては、カルボキシ基の導入によって、繊維原料のセルロースのヒドロキシ基(−OH基)の一部がエステル結合を形成する。繊維原料のセルロースのヒドロキシ基(−OH基)におけるカルボキシ基の導入量は、セルロース1gあたりに対する導入量として、0.1〜2.0mmol/gの範囲が好ましい。上記範囲では微細化によって得られた微細繊維状セルロース含有スラリーの分散安定性が優れる。カルボキシ基の導入量が0.1mmol/g未満では、微細繊維状セルロース含有スラリーの分散安定性が劣り凝集しやすくなるおそれがあり、カルボキシ基の導入量が2.0mmol/gを超えると、微細繊維状セルロースが溶解する恐れがある。
なお、カルボキシ基の導入量については、TAPPI T237 cm−08(2008) Carboxyl content of pulpに準じてカルボキシ基の量を測定して求めた。ただし、カルボキシ基の導入量をより広範囲まで求めることを可能にするために、前記測定方法に用いる試験液のうち、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)/塩化ナトリウム(NaCl)=0.84g/5.85gを蒸留水で1000mlに溶解希釈した試験液について、前記試験液の濃度がほぼ4倍となるように、炭酸水素ナトリウム/塩化ナトリウム=3.36g/23.40gに変更した。また、カルボキシ基導入前後のカルボキシ基の量の差を実質的なカルボキシ基導入量とした。
カルボキシ基導入時に用いる装置は特に限定されないが、例えば、攪拌羽根を有する加熱反応容器や回転式加熱反応容器、加熱ジャケットを有する圧力容器や回転式圧力容器、加温ジャケットを有する一軸ミキサーおよび二軸ミキサー、あるいは二軸押出機、多軸混練押出機、加圧ニーダー、双腕式ニーダーなどの加熱装置を有する混練装置を用いてもよい。
処理温度は、セルロースの熱分解温度の点から、250℃以下であることが好ましい。さらに、処理の際に水が含まれている場合には、80〜200℃にすることが好ましく、100〜170℃にすることがより好ましい。
また、カルボン酸系化合物をガス化する場合には、カルボン酸系化合物の沸点以上あるいは昇華点以上の温度にすることが好ましい。カルボン酸系化合物が無水マレイン酸または無水コハク酸である場合には、100℃以上であることが好ましい。
カルボキシ基導入工程においては、必要に応じて触媒を用いることもできる。触媒としてはピリジンやトリエチルアミン、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム等の塩基性触媒や、酢酸、硫酸、過塩素酸等の酸性触媒を用いることが好ましい。
繊維原料をカルボン酸系化合物により処理した後には、後述するアルカリ処理工程を施すことが好ましいが、アルカリ処理工程におけるアルカリ溶液使用量を減らすために、アルカリ処理工程の前に、カルボキシ基導入セルロースを水や有機溶媒(例えば、アセトン等)により洗浄しても構わない。
ただし、水を用いた場合には、カルボン酸系化合物の溶解や加水分解によって生じる酸がセルロースを加水分解するため、繊維長が短くなる可能性がある。
(アルカリ処理工程)
アルカリ処理の方法としては、特に限定されないが、例えば、アルカリ溶液中に、カルボキシ基導入セルロースを浸漬する方法が挙げられる。
アルカリ溶液に含まれるアルカリ化合物は、無機アルカリ化合物であってもよいし、有機アルカリ化合物であってもよい。無機アルカリ化合物としては、アルカリ金属の水酸化物またはアルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩またはアルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ金属のリン酸塩またはアルカリ土類金属のリン酸塩が挙げられる。アルカリ金属の水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが挙げられ、アルカリ土類金属の水酸化物としては、水酸化カルシウムが挙げられる。
アルカリ金属の炭酸塩としては炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムが挙げられる。アルカリ土類金属の炭酸塩としては炭酸カルシウムなどが挙げられる。
アルカリ金属のリン酸塩としてはリン酸リチウム、リン酸カリウム、リン酸3ナトリウム、リン酸水素2ナトリウムなどが挙げられる。アルカリ土類金属のリン酸塩としてはリン酸カルシウム、リン酸水素カルシウムなどが挙げられる。
有機アルカリ化合物としては、アンモニア、脂肪族アミン、芳香族アミン、脂肪族アンモニウム、芳香族アンモニウム、複素環式化合物およびその水酸化物、炭酸塩、リン酸塩等が挙げられる。
例えば、アンモニア、ヒドラジン、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、ブチルアミン、ジアミノエタン、ジアミノプロパン、ジアミノブタン、ジアミノペンタン、ジアミノヘキサン、シクロヘキシルアミン、アニリン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、リン酸水素2アンモニウム等が挙げられる。
アルカリ溶液における溶媒としては水または有機溶媒のいずれであってもよいが、極性溶媒(水、アルコール等の極性有機溶媒)が好ましく、少なくとも水を含む水系溶媒がより好ましい。
また、アルカリ溶液のうちでは、汎用性が高いことから、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液およびアンモニア水溶液が特に好ましい。
カルボキシ基導入セルロースを浸漬させたアルカリ溶液の25℃におけるpHは9以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましく、11〜14であることがさらに好ましい。アルカリ溶液のpHが前記下限値以上であれば、微細繊維状セルロースの収率がより高くなる。しかし、pHが14を超えると、アルカリ溶液の取り扱い性が低下する。
該アルカリ処理によって、セルロースに導入されたカルボン酸はカルボン酸塩となって、構造式(1)の化学構造を形成する。
アルカリ処理工程によるカルボン酸塩の導入量は0.1〜2.0mmol/gであることが好ましい。前記範囲では、上記導入されたカルボキシ基の多くが塩になっている。
セルロースにカルボン酸塩を導入することによって、微細化が容易になり、解繊効率が著しく向上する。また、微細繊維状セルロースのスラリーとしての分散安定性が特に良好になる。理由は定かではないが、セルロース繊維同士の電気的な反発力が強いためと推測される。
アルカリ処理後には、取り扱い性を向上させるために、解繊処理工程の前に、アルカリ処理セルロースを水や有機溶媒により洗浄することが好ましい。
(解繊処理工程)
解繊処理工程では、通常、解繊処理装置を用いて、アルカリ処理セルロースを解繊処理して、微細繊維状セルロース含有スラリーを得る。
解繊処理装置としては、高速解繊機、グラインダー(石臼型粉砕機)、高圧ホモジナイザーや超高圧ホモジナイザー、高圧衝突型粉砕機、ボールミル、ビーズミル、ディスク型リファイナー、コニカルリファイナー、二軸混練機、振動ミル、高速回転下でのホモミキサー、超音波分散機、ビーターなど、湿式粉砕する装置等を適宜使用することができる。
解繊処理の際には、アルカリ処理セルロースを水と有機溶媒を単独または組み合わせて希釈してスラリー状にすることが好ましい。希釈後のアルカリ処理セルロースの固形分濃度は0.1〜20質量%であることが好ましく、0.5〜10質量%であることがより好ましい。希釈後のアルカリ処理セルロースの固形分濃度が前記下限値以上であれば、解繊処理の効率が向上し、前記上限値以下であれば、解繊処理装置内での閉塞を防止できる。
(化学修飾処理)
本発明においては、セルロースに対して、化学修飾処理を施してもよい。ここで、化学修飾とは、セルロース中のヒドロキシ基に化学修飾剤を反応させて付加させることである。化学修飾処理は、微細繊維状セルロースの製造のどの時点で行ってもよく、繊維原料に施してもよいし、カルボキシ基導入セルロースに施してもよいし、アルカリ処理セルロースに施してもよいし、後述の不織布に施してもよい。また、化学修飾処理を、カルボキシ基導入工程と同時に行ってもよい。
化学修飾によってセルロースに導入させる官能基としては、アセチル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、プロピオニル基、プロピオロイル基、ブチリル基、2−ブチリル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ウンデカノイル基、ドデカノイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、ナフトイル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基、フロイル基、シンナモイル基等のアシル基、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアノイル基等のイソシアネート基、メチル基、エチル基、プロピル基、2−プロピル基、ブチル基、2−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基等のアルキル基、オキシラン基、オキセタン基、チイラン基、チエタン基等が挙げられる。これらの中では特にアセチル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ベンゾイル基、ナフトイル基等の炭素数2〜12のアシル基、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜12のアルキル基が好ましい。
修飾方法としては、特に限定されるものではないが、セルロース繊維と次に挙げるような化学修飾剤とを反応させる方法がある。この反応条件についても特に限定されるものではないが、必要に応じて溶媒、触媒等を用いたり、加熱、減圧等を行うこともできる。
化学修飾剤の種類としては、酸、酸無水物、アルコール、ハロゲン化試薬、イソシアナート、アルコキシシラン、オキシラン(エポキシ)等の環状エーテルよるなる群から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
酸としては、例えば酢酸、アクリル酸、メタクリル酸、プロパン酸、ブタン酸、2−ブタン酸、ペンタン酸等が挙げられる。
酸無水物としては、例えば無水酢酸、無水アクリル酸、無水メタクリル酸、無水プロパン酸、無水ブタン酸、無水2−ブタン酸、無水ペンタン酸等が挙げられる。
ハロゲン化試薬としては、例えばアセチルハライド、アクリロイルハライド、メタクロイルハライド、プロパノイルハライド、ブタノイルハライド、2−ブタノイルハライド、ペンタノイルハライド、ベンゾイルハライド、ナフトイルハライドが挙げられる。
アルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール等が挙げられる。
イソシアナートとしては、例えばメチルイソシアナート、エチルイソシアナート、プロピルイソシアナート等が挙げられる。
アルコキシシランとしては、例えばメトキシシラン、エトキシシラン等が挙げられる。
オキシラン(エポキシ)等の環状エーテルとしては、例えばエチルオキシラン、エチルオキセタンが挙げられる。
これらの中では特に無水酢酸、無水アクリル酸、無水メタクリル酸、ベンゾイルハライド、ナフトイルハライドが好ましい。
これらの化学修飾剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
触媒としてはピリジンやトリエチルアミン、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム等の塩基性触媒や、酢酸、硫酸、過塩素酸等の酸性触媒を用いることが好ましい。
化学修飾の際の温度条件としては、高すぎるとセルロースの黄変や重合度の低下等が懸念され、低すぎると反応速度が低下することから、10〜250℃が好ましい。反応時間は化学修飾剤や化学修飾率にもよるが、通常、数分から数十時間である。
本発明において、セルロースの化学修飾率は、セルロースの全ヒドロキシ基に対して、通常65mol%以下、好ましくは50mol%以下、より好ましくは40mol%以下である。化学修飾率の下限は特にない。
化学修飾を行うことで、セルロースの分解温度が上昇し、耐熱性が高くなるが、化学修飾率が高すぎると、セルロース構造が破壊されて結晶性が低下するため、後述する複合体においては線熱膨張係数が大きくなる傾向にあり、好ましくない。
ここでいう化学修飾率とは、セルロース中の全ヒドロキシ基のうちの化学修飾されたものの割合のことである。化学修飾率は、IR、NMR、滴定法などにより求めることができる。例えば、エステルの化学修飾率は下記の滴定法によって測定することができる。
乾燥セルロース0.05gを精秤し、これにエタノール1.5ml、蒸留水0.5mlを添加する。これを60〜70℃の湯浴中で30分静置した後、0.5N水酸化ナトリウム水溶液2mlを添加する。これを60〜70℃の湯浴中で3時間静置した後、超音波洗浄器にて30分間超音波振とうする。これを、フェノールフタレインを指示薬として0.2N塩酸標準溶液で滴定する。
ここで、滴定に要した0.2N塩酸水溶液の量Z(ml)から、化学修飾により導入された置換基のモル数Qは、下記式で求められる。
Q(mol)=0.5(N)×2(ml)/1000−0.2(N)×Z(ml)/1000
ここで、化学修飾前のカルボキシ基の導入量を、A mmol/g、a mol%、置換基の分子量をSとし、化学修飾基の導入量を、B mmol/g、b mol%、置換基の分子量をTとすると
Ammol/gは先の方法により算出され
Ammol/gから a mol%は以下の式(I)により算出される。
一方、Bmmo/gはQとAから以下の式(II)により算出される。
B(mmol/g)=(Q × 1000)/サンプル量−2A (II)
また、Bmmol/gと、 b mol%は以下の式(III)関係にある。
従って、b mol%は下記式(IV)で示される。
(作用効果)
上記微細繊維状セルロースの製造方法によれば、繊維原料を充分に微細化でき、微細繊維状セルロースの収率が高くなって、微細繊維状セルロースの製造効率が向上する。その理由は、カルボキシ基導入セルロースをアルカリ処理することによって、セルロース繊維同士の静電反発力が高くなり、また、セルロース間への水の浸透圧が向上し、解繊性が高くなるため、と推測される。
また、上記微細繊維状セルロースの製造方法は、ニトロキシラジカル誘導体、臭化アルカリおよび酸化剤を用いないため、コストが低く、また、環境負荷が小さい。
<微細繊維状セルロース含有スラリー>
本発明の微細繊維状セルロース含有スラリーは、微細繊維状セルロースが分散媒中に分散されてなる。
分散媒としては、水の他に、極性有機溶剤を使用することができ、好ましい極性有機溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブチルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)等のケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル類、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF),ジメチルアセトアミド(DMAc)等が挙げられる。これらは1種であってもよいし、2種以上でもよい。また、微細繊維状セルロース含有スラリーの分散安定性を妨げない範囲であれば、上記の水および極性有機溶剤に加えて非極性有機溶媒を使用しても構わない。
微細繊維状セルロース含有スラリーにおける微細繊維状セルロースの含有量は0.05〜20質量%であることが好ましく、0.1〜10質量%であることがより好ましい。微細繊維状セルロースの含有量が前記下限値以上であれば、後述の不織布や複合体を製造する際の製造効率に優れ、前記上限値以下であれば、スラリーの分散安定性に優れる。
<不織布>
以下に、本発明の不織布およびその製造方法の一実施形態について説明する。
本発明の不織布は、上記微細繊維状セルロースを含有するものである。
本発明の不織布の厚みは特に制限されるものではないが、好ましくは10μm以上、さらに好ましくは50μm以上、特に好ましくは80μm以上であり、好ましくは10cm以下、さらに好ましくは1cm以下、より好ましくは1mm以下、特に好ましくは250μm以下である。不織布の厚みは、製造の安定性、強度の点から上記下限値以上で厚い方が好ましく、生産性、均一性、樹脂の含浸性の点から上記上限値以下で薄い方が好ましい。
本発明の不織布は空隙率が35vol%以上であることが好ましく、さらには35vol%以上60vol%以下であることが好ましい。不織布の空隙率が小さいと、上記化学修飾を施す場合にその反応が進行しにくくなったり、樹脂等のマトリックス材料が含浸しにくくなり、複合体にしたときに未含浸部が残るため、その界面で散乱が生じてヘーズが高くなり好ましくない。また、不織布の空隙率が高いと複合体としたとき、セルロース繊維による充分な補強効果が得られず、線熱膨張率が大きくなるので、好ましくない。
ここでいう空隙率とは、不織布中における空隙の体積率を示し、空隙率は、不織布の面積、厚み、質量から、下記式によって求めることができる。
空隙率(vol%)={(1−B/(M×A×t)}×100
ここで、Aは不織布の面積(cm)、t(cm)は厚み、Bは不織布の質量(g)、Mはセルロースの密度であり、本発明ではM=1.5g/cmと仮定する。不織布の膜厚は、膜厚計(PEACOK社製 PDN−20)を用いて、不織布の種々な位置について10点の測定を行い、その平均値を採用する。
また、複合体中の不織布の空隙率を求める場合、分光分析や、複合体の断面のSEM観察を画像解析することにより空隙率を求めることもできる。
本発明の不織布の通気度は、坪量に依存するため特に限定されないが、例えば坪量が50g/mのシートの場合には、100〜20000秒/100ccであることが好ましい。
(製造装置)
図5に、本実施形態の不織布の製造方法で使用する製造装置を示す。本実施形態の製造装置1は、脱水セクション20と、脱水セクション20の下流側に設けられた乾燥セクション40と、乾燥セクションの下流側に設けられた巻取セクション60とを具備するものである。
[脱水セクション]
脱水セクション20は、抄紙用ワイヤー10を用いて微細繊維状セルロース含有スラリー3aを脱水して含水ウェブ3bを得るセクションである。
抄紙用ワイヤーとしては、プラスチックワイヤー、金属ワイヤーなどの織布や不織布、紙類を使用することができ、これらのうち、不織布や紙類が好ましい。
脱水セクション20には、抄紙用ワイヤー10を繰り出す送出リール21と、微細繊維状セルロース含有スラリー3aの吐出部20aおよび分散媒の脱水部30とが設けられている。
吐出部20aには、送出リール21から繰り出された走行中の抄紙用ワイヤー10に微細繊維状セルロース含有スラリー3aを吐出する複数のダイヘッド22と、各ダイヘッド22の下流側に配置され、吐出された微細繊維状セルロース含有スラリー3aの上面を均すプレート24とが設けられている。
吐出部20aおよび脱水部30には、微細繊維状セルロース含有スラリー3aから分散媒を強制的に脱水する吸引装置26,32が設けられている。吸引装置26,32は、抄紙用ワイヤー10の下方に配置され、その上面には真空ポンプ(図示せず)に接続された吸引孔(図示せず)が多数形成されている。ただし、吸引装置26の上流側では吸引孔は形成されず、真空ポンプに接続されていない非吸引孔にされていることが好ましい。上流側に吸引孔が形成されると、微細繊維状セルロース含有スラリー3aの塗膜の表面が粗くなるおそれがある。また、下流側では脱水量が少なくなるため、脱水部30における吸引装置32は、下流側に孔が形成されていなくてもよい。
[乾燥セクション]
乾燥セクション40は、含水ウェブ3bを、ドライヤーを用いて乾燥して不織布3cを得るセクションである。 乾燥セクション40には、フード49内に、シリンダードライヤーで構成された第1ドライヤー42および第2ドライヤー52と、第1ドライヤー42の外周に沿って配置されたフェルト布44とが設けられている。第1ドライヤー42は、第2ドライヤー52よりも上流側に配置されている。また、フェルト布44は無端状にされており、ガイドロール46によって、循環走行している。
乾燥セクション40では、含水ウェブ3bを、ガイドロール48によって移送するようになっている。具体的には、まず、含水ウェブ3bの微細繊維状セルロース含有スラリー3aが塗布された面A(以下、「塗布面A」という。)が第1ドライヤー42の外周面に接し、含水ウェブ3bの微細繊維状セルロース含有スラリー3aが塗布されなかった面B(以下、「非塗布面B」という。)がフェルト布44に接するように移送し、次いで、塗布面Aが第2ドライヤー52の外周面に接するようになっている。
[巻取セクション]
巻取セクション60は、抄紙用ワイヤー10から不織布3cを分離し、これを巻き取るセクションである。 巻取セクション60には、抄紙用ワイヤー10から不織布3cを分離する一対の分離ローラ62a,62bと、不織布3cを巻き取る巻取リール64と、使用済みの抄紙用ワイヤー10を巻き取って回収する回収リール66とが設けられている。分離ローラ62bは抄紙用ワイヤー10側に、分離ローラ62aは不織布3c側に配置されている。
(製造方法)
本実施形態の不織布の製造方法は、上記微細繊維状セルロースの製造方法により製造した微細繊維状セルロースを含むスラリーを濾材上で脱水して湿紙を得る脱水工程と、前記湿紙を乾燥させて不織布を得る乾燥工程と、不織布を巻き取る巻取工程とを有する。
[脱水工程]
脱水工程では、抄紙用ワイヤー10を送出リール21から繰り出し、抄紙用ワイヤー10に微細繊維状セルロース含有スラリー3aをダイヘッド22から吐出し、抄紙用ワイヤー10の微細繊維状セルロース含有スラリー3aの上面をプレート24によって均す。それと共に、吸引装置26,32により、抄紙用ワイヤー10上の微細繊維状セルロース含有スラリー3aに含まれる分散媒を吸引し、脱水して、含水ウェブ3bを得る。
脱水工程において、抄紙用ワイヤー10の走行張力が大きい場合には、抄紙用ワイヤー10が破断するおそれがあるため、通常の抄紙に使用されるワイヤーを抄紙用ワイヤー10の下に配置して抄紙用ワイヤー10を支持してもよい。
抄紙用ワイヤー10に微細繊維状セルロース含有スラリー3aを供給する前には、予め抄紙用ワイヤー10に水を含浸させて湿潤状態にしてもよい。抄紙用ワイヤー10に微細繊維状セルロース含有スラリー3aを吐出すると、ワイヤーの吸水により伸びてシワが発生することがあるが、予め湿潤状態にすれば、そのシワの発生を防止できる。
抄紙用ワイヤー10を湿潤状態にする手段としては、抄紙用ワイヤー10を水に浸漬させる水槽、水の塗工装置が挙げられる。水の塗工装置としては、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、カーテンコーター、ダイコーター等を使用することができる。
脱水工程にて抄紙用ワイヤー10に供給する微細繊維状セルロース含有スラリー3aは、微細繊維状セルロースおよび水を含有する液である。
また、微細繊維状セルロース含有スラリー3aは、樹脂エマルションを含有してもよい。ここで、樹脂エマルションとは、粒子径が0.001〜10μmの天然樹脂あるいは合成樹脂の粒子が水中に乳化したエマルションである。樹脂エマルションに含まれる粒子状の樹脂としては特に限定されないが、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル重合体、(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、珪素樹脂、ジアリルフタレート樹脂等の前駆体、およびこれらを構成するモノマーやオリゴマー等の樹脂エマルション、天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、分子鎖末端が−SH、−CSSH、−SOH、−(COO)x M、−(SO)x Mおよび−CO−R(なお、前記官能基において、Mはカチオン、xはMの価数に依存する1〜3の整数であり、Rはアルキル基である)の群から選ばれる少なくとも1つの官能基で変性されたスチレン−ブタジエン共重合体、酸変性、アミン変性、アミド変性、アクリル変性等の変性スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、スチレン−ブタジエン−メチルメタクリレート共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体等が挙げられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等を後乳化法によってエマルション化したものであってもよい。これらの樹脂エマルションは2種類以上含有してもかまわない。
また、本スラリーを脱水し、乾燥した場合、不織布3c中に微細繊維セルロースとマトリックス材料を含有した状態で得られるため、これをさらに加熱や光照射などによって硬化処理を施す方法によって複合化することもできる。この場合、シートを複数枚積層して硬化処理を施してもよい。
さらに、微細繊維状セルロース含有スラリー3aは、セルロース凝結剤を配合しても構わない。該セルロース凝結剤としては、水溶性無機塩やカチオン性官能基を含む水溶性有機化合物が挙げられる。
水溶性無機塩としては塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アルミニウム、硫酸マグネシウム、硝酸ナトリウム、硝酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウムリン酸ナトリウム、リン酸アンモニウムなどが挙げられる。
カチオン性官能基を含む水溶性有機化合物としてはポリアクリルアミド、ポリビニルアミン、尿素樹脂、メラミン樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、第四級アンモニウム塩を含有するモノマーを重合あるいは共重合したポリマーなどが挙げられる。
さらに、微細繊維状セルロース含有スラリー3aは、水溶性有機高分子、無機高分子、有機高分子と無機高分子とのハイブリッド高分子等の材料を1種類以上含有しても構わない。
ここで、水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、ビニルアルコール/エチレン共重合体やビニルアルコールとブチラール等その他のモノマー類との共重合体構造を有するもの、ポリエチレンオキサイドあるいはその末端をアルキル修飾したもの、ポリプロピレンオキサイド、ポリブチラール系樹脂(水溶性のグレード)のようなノニオン性の水溶性高分子、ポリ(メタ)アクリル酸およびポリ(メタ)アクリル酸塩、ポリ(メタ)アクリル酸の有機アミノ誘導体エステル、ポリエチレンイミンとその誘導体、ポリアミン、ポリアクリルアミド、アクリルアミド・アクリル酸ソーダ共重合物、澱粉、カチオン化澱粉、リン酸化澱粉、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸およびアルギン酸塩等が挙げられる。
無機高分子としてはガラス、シリケート材料、チタネート材料などのセラミックス等が挙げられ、これらは例えばアルコラートの脱水縮合反応により形成することができる。
さらに、得られる不織布3cの多孔性を向上させるためには、微細繊維状セルロース含有スラリー3aに有機溶媒を含有させる、あるいは脱水後の湿紙の水分を有機溶媒で置換することが好ましい。有機溶媒を混合する場合、水と有機溶媒との質量比率(水:有機溶媒)を100:10〜10:100にすることが好ましく、100:30〜30:100にすることがより好ましく、100:50〜50:100にすることがさらに好ましい。有機溶媒の混合量が前記下限値以上であれば、不織布3cの多孔性を充分に向上させることができ、前記上限値以下であれば、微細繊維状セルロース含有スラリー3aの高粘度化を抑制できる。
脱水後の湿紙の水分を有機溶媒で置換する場合には、微細繊維状セルロース含有スラリー3aを脱水の後、固形分5質量%以上30質量%以下に調製した湿紙を有機溶媒あるいは水と有機溶媒の混合溶液に含浸あるいは混合溶液を塗布し、吸引脱水するなどによって処理し、乾燥させることにより本発明の不織布を得ることができる。
有機溶媒としては、例えば、アルコール、ケトン、エーテル、エステル、芳香族化合物、炭化水素、環状炭化水素、環状炭化水素誘導体が挙げられる。
アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、ベンジルアルコール、フェノールなどの1価アルコール類、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール 、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリエチレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオールなどの2価アルコール類、ジプロピレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリンなどが挙げられる。
エーテルとしては、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテルなどのグライム類、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール等が挙げられる。
ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、t−ブチルメチルケトン、ジイソプロピルケトン、ブチルイソプロピルケトン、イソブチルイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、3−メチル-2−ペンタノン、4−メチル-2−ペンタノン、3−メチル−2−ヘキサノン、5−メチル-3−ヘプタノン、2−デカノン、3−デカノン、4−デカノン、5−デカノン等が挙げられる。
エステルとしては、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、アセト酢酸ブチル、酢酸アミル、アセト酢酸アミル、酢酸ヘキシル、アセト酢酸ヘキシル、酢酸ヘプチル、アセト酢酸ヘプチル、酢酸オクチル、アセト酢酸オクチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル、吉草酸メチル、吉草酸エチル、ヘキサン酸メチル、ヘキサン酸エチル、ヘプタン酸メチル、ヘプタン酸エチル、オクタン酸メチル、オクタン酸エチル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、シュウ酸ジメチル、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、コハク酸ジメチル、コハク酸ジエチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチルなどの脂肪酸エステル、安息香酸メチル、安息香酸エチルなどの芳香族エステルが挙げられる。
芳香族化合物としてはベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等が挙げられる。
炭化水素としては、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン等が挙げられる。
環状炭化水素としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、テルペン等が挙げられる。
環状炭化水素誘導体としては、シクロペンタノール、シクロペンタノン、シクロペンチルメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、シクロヘキサノンジメチルアセタール、テルピノレン、テルピネオール等が挙げられる。
上記の有機溶媒は2種以上を混合し、併用しても構わない。また、水と混合して使用する場合、混合溶液中に占める有機溶媒の割合は、好ましくは40質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。有機溶媒の割合の上限は特に制限はない。混合溶液における有機溶媒は2種以上のものを使用しても構わない。さらに、該有機溶媒は水に溶解していることが好ましいが、水に溶解しない有機溶媒を乳化させてエマルジョンとして使用しても構わない。
微細繊維状セルロース含有スラリー3aの固形分濃度は0.05〜1.5質量%であることが好ましく、0.1〜0.8質量%であることがより好ましい。微細繊維状セルロース含有スラリー3aの濃度が前記下限値以上であれば、脱水工程にて充分な生産効率を確保でき、前記上限値以下であれば、高粘度化を防ぎ、取り扱い性を向上させることができる。
脱水工程では、得られる不織布3cの坪量が、好ましくは10〜900g/m2、より好ましくは20〜300g/m2となるように微細繊維状セルロース含有スラリー3aを供給する。坪量が前記下限値以上であると、得られた不織布3cを抄紙用ワイヤー10から容易に剥離でき、連続生産に適する。一方、坪量が前記上限値以下であると、脱水時間をより短縮でき、生産性をより高くできる。
[乾燥工程]
乾燥工程では、まず、抄紙用ワイヤー10の上面に載置した含水ウェブ3bを、加熱した第1ドライヤー42の外周面の約半周に、第1ドライヤー42の外周面に塗布面Aが接するように巻き掛けて、含水ウェブ3bに残留していた分散媒を蒸発させる。蒸発した分散媒は、抄紙用ワイヤー10の細孔を通ってフェルト布44から蒸発する。
次いで、含水ウェブ3bを、加熱した第2ドライヤー52の外周面の約3/4周に、第2ドライヤー52の外周面に塗布面Aが接するように巻き掛けて、含水ウェブ3bに残留していた分散媒を蒸発させる。
このように含水ウェブ3bを乾燥させて不織布3cを得る。
[巻取工程]
巻取工程では、抄紙用ワイヤー10および不織布3cを一対の分離ローラ62a,62bで挟み込むことにより、不織布3cを抄紙用ワイヤー10から分離させて一方の分離ローラ62aの表面に転移する。そして、分離ローラ62aの表面から不織布3cを引き離して、巻取りリール64により巻き取る。それと共に、使用した抄紙用ワイヤー10を回収リール66により巻き取る。
(他の実施形態)
本発明の不織布の製造方法では、上記製造装置1を使用しなくてもよい。例えば、抄紙用ワイヤー10を無端または有端のベルトの上に載せて移送してもよい。
また、本発明の不織布の製造方法では、一般の紙を製造する際に使用する抄紙機を容易に適用することができる。抄紙機としては、長網式、円網式、傾斜式等の連続抄紙機のほか、これらを組み合わせた多層抄き合わせ抄紙機を適用できる。
(作用効果)
上記不織布の製造方法は、上記製造方法により製造した微細繊維状セルロース含有スラリー3aを濾材上で脱水し、乾燥させて不織布を製造する方法であるため、繊維原料に対する不織布の収率を向上させることができる。
また、上記不織布の製造方法で得られた不織布は、適度な空隙を有することから、マトリックス材料との複合体を得る際の、マトリックス材料の樹脂含浸性が良好である。さらに、本発明の不織布を用いると、得られる複合体の黄色味が低くなり、かつ充分な補強効果が発現し、線熱膨張が低くなる。
また、本発明の不織布は、単体で使用することもできる。例えば、微細繊維特有の緻密な構造を活かして、フィルター部材や電池用セパレータ等に好適に用いることができる。
<複合体>
本発明の複合体は、微細繊維状セルロースとマトリックス材料とを含むものである。
(マトリックス材料)
本発明において、マトリックス材料とは、微細繊維状セルロース同士の空隙、微細繊維状セルロースが不織布を形成している場合には不織布の空隙を埋める材料であり、好ましくは高分子材料である。
マトリックス材料として好適な高分子材料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂(熱硬化性樹脂の前駆体が加熱により重合硬化した硬化物)、光硬化性樹脂(光硬化性樹脂の前駆体が放射線(紫外線や電子線等)の照射により重合硬化した硬化物)が挙げられる。これらは1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
熱可塑性樹脂としては、特に限定されるものではないが、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、芳香族ポリカーボネート系樹脂、脂肪族ポリカーボネート系樹脂、芳香族ポリエステル系樹脂、脂肪族ポリエステル系樹脂、脂肪族ポリオレフィン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、熱可塑性ポリイミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリスルホン系樹脂、非晶性フッ素系樹脂等が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、特に限定されるものではないが、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、オキセタン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、珪素樹脂、ポリウレタン樹脂、ジアリルフタレート樹脂等が挙げられる。
光硬化性樹脂としては、特に限定されるものではないが、上述の熱硬化性樹脂として例示したエポキシ樹脂、アクリル樹脂、オキセタン樹脂等が挙げられる。
さらに、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂の具体例としては、特開2009−299043号公報に記載のものが挙げられる。
上記マトリックス材料としては、透明性に優れ且つ高耐久性の複合体を得る点では、非晶質でガラス転移温度(Tg)の高い合成高分子が好ましい。非晶質の程度としては、結晶化度で10%以下、特に5%以下であるものが好ましく、また、Tgは110℃以上、特に120℃以上、とりわけ130℃以上のものが好ましい。Tgが低いと例えば熱水等に触れた際に変形する恐れがあり、実用上問題が生じる。なお、マトリックス材料のTgはDSC法による測定で求められ、結晶化度は、非晶質部と結晶質部の密度から算定することができる。
また、本発明の複合体を光学材料等の透明用途に用いる場合には、マトリックス材料として、アクリル系樹脂、芳香族ポリカーボネート系樹脂、脂肪族ポリカーボネート系樹脂等の透明樹脂を用いることが好ましい。
また、低吸水性の複合体を得るためには、マトリックス材料は、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基などの親水性の官能基が少ないことが好ましい。
本発明の複合体中の微細繊維状セルロースの含有量は、1質量%以上99質量%以下であり、マトリックス材料の含有量が1質量%以上99質量%以下であることが好ましい。低線熱膨張性を発現するには、微細繊維状セルロースの含有量が1質量%以上、マトリックス材料の含有量が99質量%以下であることが、また、透明性を発現するには微細繊維状セルロースの含有量が99質量%以下、マトリックス材料の含有量が1質量%以上であることが好ましい。
より好ましい範囲は、微細繊維状セルロースの含有量が2質量%以上90質量%以下であり、マトリックス材料が10質量%以上98質量%以下であり、さらに好ましい範囲は、微細繊維状セルロースの含有量が5質量%以上80質量%以下であり、マトリックス材料の含有量が20質量%以上95質量%以下である。特に、本発明の複合体では、微細繊維状セルロースの含有量が70質量%以下でマトリックス材料の含有量が30質量%以上、さらには、微細繊維状セルロースの含有量が60質量%以下で、マトリックス材料の含有量が40質量%以上であることが好ましい。また、微細繊維状セルロースの含有量が10質量%以上でマトリックス材料の含有量が90質量%以下、さらには微細繊維状セルロースの含有量が15質量%以上でマトリックス材料の含有量が85質量%以下、さらには微細繊維状セルロース繊維の含有量が20質量%以上でマトリックス材料の含有量が80質量%以下であることが好ましい。
複合体中の微細繊維状セルロース及びマトリックス材料の含有量は、例えば、複合体とする前の不織布の質量と複合体の質量より求めることができる。また、複合体をマトリックス材料が可溶な溶媒に浸漬してマトリックス材料のみを取り除き、残った繊維の質量から求めることもできる。その他、マトリックス材料の比重から求める方法や、NMR、IRを用いてマトリックス材料やセルロース繊維由来の官能基を定量して求めることもできる。
本発明の複合体は、平膜状(フィルム状)又は平板状であってもよいし、曲面を有する膜状又は板状であってもよいし、その他の立体的な形状であってもよい。
本発明の複合体が膜状又は平板状である場合には、厚みが10μm以上、10cm以下であることが好ましい。このような厚みの複合体にすることで強度を保つことができる。複合体の厚みは、より好ましくは50μm以上、1cm以下であり、さらに好ましくは80μm以上、250μm以下である。また、厚みは必ずしも均一である必要はなく、部分的に異なっていてもよい。
また、本発明の複合体が膜状又は平板状である場合、複数枚重ねて積層体としてもよい。また、セルロース繊維を含む複合体とセルロースを含まない樹脂シートを積層してもよい。積層体に加熱プレス処理を加えることで厚膜化することができる。厚膜の複合材はグレージングや構造材料として好適に用いることができる。
本発明の複合体は、その用途に応じて、その表面に無機膜が積層されてもよい。無機膜を構成する無機材料としては、例えば、白金、銀、アルミニウム、金、銅等の金属、シリコン、ITO、SiO、SiN、SiOxNy、ZnO等、TFT等が挙げられる。これらの組み合わせや膜厚は任意に設計することができる。
(複合体の製造方法)
複合体を製造する方法としては、特に制限はなく、例えば、以下の方法により複合体を得ることができる。
(a) 不織布に可塑性樹脂前駆体を含浸させて重合させる方法。
(b) 不織布に熱硬化性樹脂前駆体又は光硬化性樹脂前駆体を含浸させて重合硬化させる方法。
(c) 不織布に樹脂溶液(熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂前駆体、熱硬化性樹脂前駆体、及び光硬化性樹脂前駆体から選ばれる1以上の溶質を含む溶液)を含浸させて乾燥した後、加熱プレス等で密着させ、必要に応じて重合硬化させる方法。
(d) 不織布に熱可塑性樹脂の溶融体を含浸させ、加熱プレス等で密着させる方法
(e) 熱可塑性樹脂シートと不織布とを交互に配置し、加熱プレス等で密着させる方法
(f) 不織布の片面もしくは両面に液状の熱可塑性樹脂前駆体や熱硬化性樹脂前駆体もしくは光硬化性樹脂前駆体を塗布して重合硬化させる方法。
(g) 不織布の片面もしくは両面に樹脂溶液(熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂前駆体、熱硬化性樹脂前駆体、及び光硬化性樹脂前駆体から選ばれる1以上の溶質を含む溶液)を塗布して、溶媒を除去後、必要に応じて重合硬化させる方法。
(h) 微細繊維状セルロース含有スラリーとモノマー溶液又は分散液(熱可塑性樹脂前駆体、熱硬化性樹脂前駆体、及び光硬化性樹脂前駆体から選ばれる1以上の溶質又は分散質を含む溶液又は分散液)とを混合した後、溶媒除去、重合硬化させる方法。
(i) 微細繊維状セルロース含有スラリーと高分子溶液又は分散液(熱可塑性樹脂溶液又は分散液)を混合した後、溶媒を除去する方法。
(a)不織布に液状の熱可塑性樹脂前駆体を含浸させて重合させる方法としては、重合可能なモノマーやオリゴマーを不織布に含浸させ、熱処理等により上記モノマーを重合させることによりセルロース繊維複合体を得る方法が挙げられる。一般的には、モノマーの重合に用いられる重合触媒を重合開始剤として用いることができる。
(b)不織布に熱硬化性樹脂前駆体又は光硬化性樹脂前駆体を含浸させて重合硬化させる方法としては、エポキシ樹脂モノマー等の熱硬化性樹脂前駆体、又はアクリル樹脂モノマー等の光硬化性樹脂前駆体と硬化剤の混合物を、不織布に含浸させ、熱又は放射線等により上記熱硬化性樹脂前躯体又は光硬化性樹脂前躯体を硬化させることによりセルロース繊維複合体を得る方法が挙げられる。
(c)不織布に樹脂溶液(熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂前駆体、熱硬化性樹脂前駆体、及び光硬化性樹脂前駆体から選ばれる1以上の溶質を含む溶液)を含浸させて乾燥した後、加熱プレス等で密着させ、必要に応じて重合硬化させる方法としては、樹脂が溶解する溶媒に樹脂を溶解させ、その溶液を不織布に含浸させ、乾燥させることでセルロース繊維複合体を得る方法が挙げられる。この場合、乾燥後加熱プレス等で溶媒が乾燥した空隙を密着させることでより高性能なセルロース繊維複合体を得る方法が挙げられる。光硬化性樹脂の場合にはさらに、必要に応じて放射線等による重合硬化を行う。
ここで樹脂を溶解させる溶媒としては、樹脂の溶解性に応じて選択すればよい。
(d)不織布に熱可塑性樹脂の溶融体を含浸させ、加熱プレス等で密着させる方法としては、熱可塑性樹脂をガラス転移温度以上又は融点以上で熱処理することにより溶解させて、不織布に含浸させ、加熱プレス等で密着することによりセルロース繊維複合体を得る方法が挙げられる。熱処理は加圧下で行うことが好ましく、真空加熱プレス機能を有する設備の使用が有効である。
(e)熱可塑性樹脂シートとセ不織布を交互に配置し、加熱プレス等で密着させる方法としては、不織布の片面もしくは両面に熱可塑性樹脂のフィルムもしくはシートを配置し、必要に応じて加熱やプレスすることにより、熱可塑性樹脂と不織布を貼り合わせる方法が挙げられる。この場合、不織布の表面に接着剤やプライマーなどを塗布して貼り合わせてもよい。貼り合わせる際に気泡を抱き込まないように、加圧された2本のロールの間を通す方法や、真空状態でプレスする方法を用いることができる。
(f)不織布の片面もしくは両面に液状の熱可塑性樹脂前駆体や熱硬化性樹脂前駆体もしくは光硬化性樹脂前駆体を塗布して硬化させる方法としては、不織布の片面もしくは両面に熱重合開始剤を処方した熱硬化性樹脂前駆体を塗布して加熱することにより硬化させて両者を密着させる方法や、不織布の片面もしくは両面に光重合開始剤を処方した光硬化性樹脂前駆体を塗布した後、紫外線等の放射線を照射して硬化させる方法が挙げられる。また、不織布に熱もしくは光硬化性樹脂前駆体を塗布した後、さらに不織布を重ねるなど、多層構造にしてから、硬化させてもよい。
(g)不織布の片面もしくは両面に樹脂溶液(熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂前駆体、熱硬化性樹脂前駆体、及び光硬化性樹脂前駆体から選ばれる1以上の溶質を含む溶液)を塗布して、溶媒を除去後、必要に応じて重合硬化させることにより複合化する方法としては、溶媒に可溶な樹脂を溶解させた樹脂溶液を用意し、不織布の片面もしくは両面に塗布し、加熱により溶媒を除去する方法が挙げられる。光硬化性樹脂の場合にはさらに、必要に応じて放射線等による重合硬化を行う。
樹脂を溶解させる溶媒としては、樹脂の溶解性に応じて選択すればよい。
(h)微細繊維状セルロース含有スラリーとモノマー溶液又は分散液(熱可塑性樹脂前駆体、熱硬化性樹脂前駆体、及び光硬化性樹脂前駆体から選ばれる1以上の溶質又は分散質を含む溶液又は分散液)とを混合した後、溶媒除去と重合硬化の工程を経ることにより複合化する方法としては、溶媒に可溶なモノマーを溶解させた溶液、もしくは分散液を用意し、微細繊維状セルローススラリーを混合する。この際、必要に応じてセルロース繊維の解繊は分散媒(溶媒)としてあらかじめ有機溶媒を用いるか、水中で解繊した場合は水から有機溶媒に置換することが好ましい。この混合液中でモノマーを重合硬化もしくは、溶媒を除去した後にモノマーを重合硬化させることでセルロース繊維複合体を得ることができる。
(i)微細繊維状セルロース含有スラリーと高分子溶液又は分散液(熱可塑性樹脂溶液又は分散液)を混合した後、溶媒を除去して複合化する方法としては、溶媒に可溶な高分子溶液又は分散液を用意し、微細繊維状セルローススラリーと混合する。この際、必要に応じてセルロース繊維の解繊は分散媒(溶媒)としてあらかじめ有機溶媒を用いるか、水中で解繊した場合は水から有機溶媒に置換することが好ましい。この混合液の溶媒を除去することでセルロース繊維複合体を得ることができる。
上記の熱可塑性樹脂前駆体、熱硬化性樹脂前駆体、及び光硬化性樹脂前駆体には、適宜、連鎖移動剤、紫外線吸収剤、セルロース以外の充填剤、シランカップリング剤等を配合して、組成物(以下、「硬化性組成物」という。)としてもよい。
硬化性組成物が連鎖移動剤を含むと、反応を均一に進行させることができる。連鎖移動剤としては、例えば、分子内に2個以上のチオール基を有する多官能メルカプタン化合物を用いることができる。多官能メルカプタン化合物を用いることにより硬化物に適度な靱性を付与することができる。
メルカプタン化合物としては、例えばペンタエリスリトールテトラキス(β−チオプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(β−チオプロピオネート)、トリス[2−(β−チオプロピオニルオキシエトキシ)エチル]トリイソシアヌレートなどの1種又は2種以上を用いることが好ましい。
硬化性組成物に連鎖移動剤を含有させる場合、連鎖移動剤は硬化性組成物中のラジカル重合可能な化合物の合計に対して、通常30質量%以下の割合で含有させる。
硬化性組成物が紫外線吸収剤を含むと、着色を防止できる。紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤から選ばれ、その紫外線吸収剤は1種類を用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
硬化性組成物に紫外線吸収剤を含有させる場合、紫外線吸収剤は硬化性組成物中のラジカル重合な可能化合物の合計100質量部に対して、通常0.01〜1質量部の割合で含有させる。
充填剤としては、例えば、無機粒子や有機高分子などが挙げられる。具体的には、シリカ粒子、チタニア粒子、アルミナ粒子などの無機粒子、ゼオネックス(日本ゼオン社)やアートン(JSR社)などの透明シクロオレフィンポリマーの粒子、ポリカーボネートやポリメチルメタアクリレートなどの汎用熱可塑性ポリマーの粒子などが挙げられる。中でも、ナノサイズのシリカ粒子を用いると透明性を維持することができ好適である。また、紫外線硬化性モノマーと構造の似たポリマーの粒子を充填剤として用いると、高濃度までポリマーを溶解させることが可能であり、好適である。
シランカップリング剤としては、例えば、γ−((メタ)アクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−((メタ)アクリロキシプロピル)メチルジメトキシシラン、γ−((メタ)アクリロキシプロピル)メチルジエトキシシラン、γ−((メタ)アクリロキシプロピル)トリエトキシシラン、γ−(アクリロキシプロピル)トリメトキシシラン等が挙げられる。これらは分子中に(メタ)アクリル基を有しており、他のモノマーと共重合することができるので好ましい。
硬化性組成物にシランカップリング剤を含有させる場合、シランカップリング剤は、硬化性組成物中のラジカル重合な可能化合物の合計に対して通常0.1〜50質量%、好ましくは1〜20質量%となるように含有させる。この配合量が少な過ぎると、これを含有させる効果が充分に得られず、また、多過ぎると、硬化物の透明性などの光学特性が損なわれる恐れがある。
硬化性組成物は、公知の硬化方法で重合硬化させて、硬化物とすることができる。
硬化方法としては、例えば、熱硬化、又は放射線硬化等が挙げられ、好ましくは放射線硬化である。放射線としては、赤外線、可視光線、紫外線、電子線等が挙げられるが、好ましくは波長1〜1000nmの電磁波である光である。より好ましくは波長が200nm〜450nm程度の電磁波であり、さらに好ましくは波長が300〜400nmの紫外線である。
具体的な硬化性組成物の硬化方法としては、予め硬化性組成物に加熱によりラジカルや酸を発生する熱重合開始剤を添加しておき、加熱して重合させる方法(以下「熱重合」という場合がある。)、予め硬化性組成物に紫外線等の放射線によりラジカルや酸を発生する光重合開始剤を添加しておき、放射線(好ましくは光)を照射して重合させる方法(以下「光重合」という場合がある。)、予め熱重合開始剤と光重合開始剤の両方を添加しておき、熱と光の組み合わせにより重合させる方法が挙げられる。
放射線照射により重合硬化する場合、照射する放射線の量は、光重合開始剤がラジカルを発生させる範囲であれば任意である。しかし、極端に少ない場合は重合が不完全となるため硬化物の耐熱性、機械特性が充分に発現されず、一方、極端に過剰な場合は硬化物の黄変等の光による劣化を生じる。そのため、モノマーの組成及び光重合開始剤の種類、量に応じて、300〜450nmの紫外線を、好ましくは0.1〜200J/cmの範囲で、より好ましくは1〜20J/cmの範囲で照射する。
また、放射線を複数回に分割して照射すると、さらに好ましい。すなわち1回目に全照射量の1/20〜1/3程度を照射し、2回目以降に必要残量を照射すると、複屈折のより小さな硬化物が得られる。
放射線照射に使用するランプの具体例としては、メタルハライドランプ、高圧水銀灯ランプ、紫外線LEDランプ、無電極水銀ランプ等を挙げることができる。
重合硬化をすみやかに完了させるために、光重合と熱重合を同時に行ってもよい。この場合には、放射線照射と同時に硬化性組成物を30〜300℃の範囲で加熱して硬化を行う。また、硬化性組成物には、重合を完結するために熱重合開始剤を添加してもよいが、大量に添加すると硬化物の複屈折の増大と色相の悪化をもたらす。そのため、熱重合開始剤の添加量は、硬化性モノマー成分の合計に対して0.1〜2質量%であることが好ましく、0.3〜1質量%であることがより好ましい。
熱重合に使用する熱重合開始剤としては、例えば、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアシルパーオキサイド、パーオキシカーボネート、パーオキシケタール、ケトンパーオキサイド等が挙げられる。具体的にはベンゾイルパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)ジクミルパーオキサイド、ジt−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルハイドロパーキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等を用いることができる。これらの重合開始剤は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
光照射時に熱重合が開始されると、重合を制御することが難しくなるので、熱重合開始剤は好ましくは1分半減期温度が120℃以上であることがよい。
光重合に使用する光重合開始剤としては、通常、光ラジカル発生剤又は光カチオン重合開始剤が用いられる。光重合開始剤は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
光ラジカル発生剤としては、この用途に用い得ることが知られている公知の化合物を用いることができる。例えば、ベンゾフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホシフィンオキシド等が挙げられる。これらの中でも、ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドが好ましい。
光カチオン重合開始剤とは、紫外線や電子線などの放射線の照射によりカチオン重合を開始させる化合物であり、次のようなものが挙げられる。
例えば、芳香族スルホニウム塩として、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロホスフェート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロアンチモネート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロボレート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルフォニウムヘキサフルオロ、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルフォニウムテトラフルオロボレート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルフォニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルフォニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロホスフェート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルフォニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロアンチモネート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルフォニオ)フェニル]スルフィドテトラフルオロボレート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルフォニオ)フェニル]スルフィドテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
芳香族ヨードニウム塩としては、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロボレート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
芳香族ジアゾニウム塩としては、フェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、フェニルジアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
芳香族アンモニウム塩としては、1−ベンジル−2−シアノピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1−ベンジル−2−シアノピリジニウムヘキサフルオロアンチモネート、1−ベンジル−2−シアノピリジニウムテトラフルオロボレート、1−ベンジル−2−シアノピリジニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウムヘキサフルオロアンチモネート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウムテトラフルオロボレート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−鉄塩としては、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−鉄(II)ヘキサフルオロアンチモネート、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−鉄(II)テトラフルオロボレート、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−鉄(II)テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
これらの光カチオン重合開始剤の市販品としては、例えば、ユニオンカーバイド社製のUVI6990、UVI6979、ADEKA社製のSP−150、SP−170、SP−172、チバガイギー社製のイルガキュア261、イルガキュア250、ローディア社製のRHODORSIL PI2074、JMF−2456、三新化学工業社製のサンエイドSI−60L、SI−80L、SI−100L、SI−110L、SI−180L、SI−100L等が挙げられる。
さらに、光カチオン重合開始剤の他にも、カチオン重合性モノマーを硬化させるための硬化剤を添加してもよい。硬化剤としては、例えば、アミン化合物、アミン化合物から合成されるポリアミノアミド化合物等の化合物、3級アミン化合物、イミダゾール化合物、ヒドラジド化合物、メラミン化合物、酸無水物、フェノール化合物、熱潜在性カチオン重合触媒、ジシアンアミド及びその誘導体等が挙げられる。これらの硬化剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。これらのうち、熱潜在性カチオン重合触媒としては、アデカオプトン CP−66、CP−77((株)ADEKA社製)、サンエイド SI−15、SI−20、SI−25、SI−40、SI−45、SI−47、SI−60、SI−80、SI−100、SI−100L、SI−110L、SI−145、SI−150、SI−160、SI−180L(三新化学工業(株)社製)などが挙げられる。
また、光増感剤を添加することもできる。具体的にはピレン、ペリレン、アクリジンオレンジ、チオキサントン、2−クロロチオキサントン及びベンゾフラビン等が挙げられる。市販の光増感剤としては、アデカイプトマーSP−100((株)ADEKA社製)などが挙げられる。
光重合開始剤の成分量は、硬化性組成物中の重合可能な化合物の合計を100質量部としたとき、0.001質量部以上であることが好ましく、0.01質量部以上であることがより好ましく、0.05質量部以上であることがさらに好ましい。その上限は、5質量部以下であることが好ましく、2質量部以下であることがより好ましく、0.1質量部以下であることがさらに好ましい。
ただし、光重合開始剤が光カチオン重合開始剤である場合には、カチオン重合性モノマーの総量100質量部に対して、0.01質量部以上、好ましくは0.1質量部以上、さらに好ましくは0.5質量部以上である。その上限は、通常10質量部以下、好ましくは5質量部以下、さらに好ましくは1質量部以下である。
光重合開始剤の添加量が多すぎると、重合が急激に進行し、得られる硬化物の複屈折を大きくするだけでなく色相を悪化させる。例えば、光重合開始剤の濃度を5質量部とした場合、光重合開始剤の吸収により、紫外線の照射と反対側に光が到達できずに未硬化の部分が生ずる。また、黄色く着色し色相の劣化が著しい。一方、少なすぎると紫外線照射を行っても重合が充分に進行しないおそれがある。
複合体の製造において、本発明の不織布とマトリックス材料とを複合化する場合には、マトリックス材料の複合化の前に、不織布に対して、上述した化学修飾処理を施すことが好ましい。
不織布の微細繊維状セルロースに化学修飾を施す場合には、不織布をアルコール等の有機溶媒で置換し、乾燥した後に化学修飾を行ってもよいし、乾燥せずに化学修飾を行ってもよいが、乾燥後の方が化学修飾の反応速度が速くなるため好ましい。乾燥は送風乾燥でもよいし、減圧乾燥でもよいし、加圧乾燥でもよい。また、加熱しても構わない。
不織布に化学修飾を行った場合、化学修飾後、反応を終結させるために充分に洗浄することが好ましい。未反応の化学修飾剤が残留していると、後で着色の原因になったり、樹脂と複合化する際に問題になったりするので好ましくない。また、充分に洗浄した後、さらにアルコール等の有機溶媒で置換することが好ましい。この場合、不織布をアルコール等の有機溶媒に浸漬しておくことで容易に置換することができる。
また、不織布に化学修飾を行った場合、通常は、化学修飾後に不織布を乾燥する。この乾燥は送風乾燥であってもよいし、減圧乾燥であってもよいし、加圧乾燥であってもよいし、加熱乾燥であってもよい。
乾燥の際に加熱する場合、温度は50℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましく、また、250℃以下が好ましく、150℃以下がより好ましい。加熱温度が低すぎると乾燥に時間がかかったり、乾燥が不充分になる可能性があり、加熱温度が高すぎると不織布が着色したり、分解したりする可能性がある。
また、加圧する場合、圧力(ゲージ圧)は0.01MPa以上が好ましく、0.1MPa以上がより好ましく、また、5MPa以下が好ましく、1MPa以下がより好ましい。圧力が低すぎると乾燥が不充分になる可能性があり、圧力が高すぎると不織布がつぶれたり分解する可能性がある。
(複合体の物性)
次に、本発明の複合体の物性について説明する。
本発明の複合体は、厚み100μmの繊維複合体について、190℃で酸素分圧0.006MPa以下で1時間加熱した後に、JIS規格K7105に準拠して測定した黄色度(YI値)が30以下であることが好ましい。この黄色度は25以下であることがより好ましい。
複合体の黄色度は例えば、スガ試験機製カラーコンピューターを用いて測定することができる。
なお、複合体の黄色度は、セルロース繊維を化学修飾したり、透明性の高いマトリックス材料を用いたりすることにより、小さくすることができる。
本発明の複合体では、可視光の波長よりも細い繊維径の繊維を用いているから、マトリックス材料に透明性の高いものを用いれば、透明性の高い、すなわちヘーズの小さい複合体とすることができる。複合体のヘーズ値は、厚み100μmの複合体について、JIS規格K7136に従って測定した値において、5以下であることが好ましく、3以下であることがより好ましく、2以下であることがより好ましく、1以下であることが特に好ましい。
複合体のヘーズは、例えばスガ試験機製ヘーズメータで測定することができ、C光の値を用いる。
本発明の複合体は、吸水率が低いものとなるが、厚み100μmのものにおいて、JIS規格K7209(D法)に準拠して測定した吸水率が1%以下であることが好ましく、0.8%以下であることがより好ましく、0.5%以下であることがさらに好ましく、0.3%以下であることが特に好ましい。吸水率が1%を超えると、加工プロセス上で脱水した複合体が空気中に放置された際、空気中の水分を吸収して伸び、寸法変形を起こすため、好ましくない。
本発明の複合体は、厚み100μmのものにおいて、その厚み方向にJIS規格K7105に準拠して測定された全光線透過率が好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、より好ましくは82%以上、より好ましくは84%以上、さらに好ましくは86%以上、特に好ましくは88%以上、とりわけ好ましくは90%以上である。この全光線透過率が60%未満であると半透明又は不透明となり、透明性が要求される用途への使用が困難となる場合がある。全光線透過率は例えば、スガ試験機製ヘーズメータを用いて測定することができ、C光の値を用いる。
本発明の複合体は、厚み100μmのものにおいて、その厚み方向にJIS規格K7105に準拠して測定された平行光線透過率が57%以上、さらには70%以上、特に80%以上、とりわけ89%以上であることが好ましい。この平行光線透過率が57%未満であると散乱光が多く、ヘーズが大きくなり、例えば有機EL素子用途等において、画素が不明瞭となり、色がぼやけたりにじんだりする。平行光線透過率は例えば、スガ試験機製ヘーズメータを用いて測定することができ、C光の値を用いる。
本発明の複合体は、線熱膨張率を容易に低くできるが、複合体線熱膨張率が1〜50ppm/K以下であることが好ましい。本発明の複合体の線熱膨張率は30ppm/K以下であることがさらに好ましく、20ppm/K以下であることが特に好ましい。また、線熱膨張率は1ppm/K以上であることが好ましく、5ppm/K以上であることがより好ましい。例えば、基板用途においては、無機の薄膜トランジスタの線熱膨張率が15ppm/K程度であるため、複合体の線熱膨張率が50ppm/Kを超えると無機膜との積層複合化の際に、二層の線熱膨張率差が大きくなり、クラック等が発生する。なお、線熱膨張率は、後述の実施例の項に記載される方法により測定される。
本発明の複合体においては、微細繊維状セルロース同士の空隙にマトリックス材料が充填されているが、不織布を用いた場合には、不織布の空隙にマトリックス材料が充填されている。よって、マトリックス材料充填部の体積割合は不織布の空隙率と略同等となる。
本発明の複合体は、引張強度が、好ましくは40MPa以上であり、より好ましくは100MPa以上である。引張強度が40MPaより低いと、充分な強度が得られず、構造材料等、力の加わる用途への使用に影響を与えることがある。
本発明の複合体は、引張弾性率が、好ましくは0.2〜100GPaであり、より好ましくは、1〜100GPaである。引張弾性率が0.2GPaより低いと、充分な強度が得られず、構造材料等、力の加わる用途への使用に影響を与えることがある。
特に、ディスプレイ用基板用途において、基板の引張弾性率には好適範囲が存在し、基板の引張弾性率が低いと基板は自重で曲がってしまい、平滑な面を形成することが難しくなる。そのため、トランジスタやその他の素子を精度よく形成することができなくなる。一方、引張弾性率が高すぎると硬く脆くなり、基板自体が割れるなど不都合が生じる。
本発明の複合体は、低線熱膨張率、高弾性、高強度のものとなる。その特性を活かして本発明の複合体を構造材としても用いることができる。特に、グレージング、内装材、外板、バンパー等の自動車材料やパソコンの筐体、家電部品、包装用資材、建築資材、土木資材、水産資材、その他工業用資材等として好適に用いられる。
本発明の複合体において、微細繊維状セルロースとして繊維幅が30nm以下、特に好ましくは20nm以下を用い、マトリックス材料として透明樹脂を用いた場合には、複合体の透明性も高くなり、ヘーズが小さくなる。また、本発明の複合体においては、マトリックス材料を適宜選択することによって、吸水性を低下させることもできる。本発明の複合体のうち、透明性が高く、ヘーズが小さく、高強度、低吸水性のものは光学特性に優れるため、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、リアプロジェクションテレビ等のディスプレイや基板やパネルとして好適である。また、シリコン系太陽電池、色素増感太陽電池などの太陽電池用基板に好適である。基板としての用途において、バリア膜、ITO、TFT等と積層してもよい。また、自動車用の窓材、鉄道車両用の窓材、住宅用の窓材、オフィスや工場などの窓材などに好適に使われる。窓材としては、必要に応じてフッ素皮膜、ハードコート膜等の膜や耐衝撃性、耐光性の素材を積層してもよい。
(実施例1)
広葉樹クラフトパルプ(LBKP)を105℃で3時間乾燥させて水分3質量%以下の乾燥パルプを得た。次いで、乾燥パルプ4gと無水マレイン酸4g(乾燥パルプ100質量部に対して100質量部)とをオートクレーブに充填し、150℃で2時間処理した。
次いで、無水マレイン酸で処理されたパルプを500mLの水で3回洗浄した後、イオン交換水を添加して490mLのスラリーを調製した。
次いで、スラリーを攪拌しながら、4Nの水酸化ナトリウム水溶液10mLを少しずつ添加し、スラリーのpHを12〜13として、パルプをアルカリ処理した。その後、pHが8以下になるまで、アルカリ処理後のパルプを水で洗浄した。
次いで、アルカリ処理後のパルプにイオン交換水を添加し、固形分濃度0.5質量%のスラリーを調製した。そのスラリーを、解繊処理装置(エムテクニック社製、クレアミックス−2.2S)を用いて、21500回転/分の条件で30分間解繊処理して、最後に冷却/高速遠心機(コクサン社製、H−2000B)を用いて12000Gで10分間遠心分離してから上澄みを回収し、解繊パルプスラリーを得た。
解繊パルプスラリーに含まれるセルロースについて透過型電子顕微鏡により観察したところ、幅4nm程度の微細繊維状セルロースになっていることが確認された(図1参照)。また、X線回折により、セルロースはセルロースI型結晶を維持しており、結晶化度は84%であった。FT−IRによる赤外線吸収スペクトルの測定により、1580および1720cm−1付近にカルボキシ基に基づく吸収が見られ、マレイン酸の付加が確認された。
(実施例2)
無水マレイン酸の代わりに無水コハク酸を用いた以外は実施例1と同様にして解繊パルプスラリーを得た。解繊パルプスラリーに含まれるセルロースについて透過型電子顕微鏡により観察したところ、幅4nm程度の微細繊維状セルロースになっていることが確認された(図2参照)。また、X線回折により、セルロースはセルロースI型結晶を維持しており、結晶化度は82%であった。FT−IRによる赤外線吸収スペクトルの測定により、コハク酸の付加が確認された。
(実施例3)
無水マレイン酸の添加量を12g(乾燥パルプ100質量部に対して300質量部)に、無水マレイン酸による処理時間を1時間に、洗浄媒をアセトンに変更した以外は実施例1と同様にして解繊パルプスラリーを得た。解繊パルプスラリーに含まれるセルロースについて透過型電子顕微鏡により観察したところ、幅4nm程度の微細繊維状セルロースになっていることが確認された(図3参照)。また、X線回折により、セルロースはセルロースI型結晶を維持しており、FT−IRによる赤外線吸収スペクトルの測定により、マレイン酸の付加が確認された。
(実施例4)
広葉樹クラフトパルプを乾燥せず、無水マレイン酸による処理時間を1時間に変更した以外は実施例3と同様にして解繊パルプスラリーを得た。解繊パルプスラリーに含まれるセルロースについて透過型電子顕微鏡により観察したところ、幅4nm程度の微細繊維状セルロースになっていることが確認された(図4参照)。また、X線回折により、セルロースはセルロースI型結晶を維持しており、FT−IRによる赤外線吸収スペクトルの測定により、マレイン酸の付加が確認された。
(実施例5)
広葉樹クラフトパルプの代わりに針葉樹クラフトパルプ(NBKP)を用い、無水マレイン酸の添加量を2g(乾燥パルプ100質量部に対して50質量部)に変更した以外は実施例1と同様にして解繊パルプスラリーを得た。
解繊パルプスラリーに含まれるセルロースについて透過型電子顕微鏡により観察したところ、幅4nm程度の微細繊維状セルロースになっていることが確認された。また、X線回折により、セルロースはセルロースI型結晶を維持しており、FT−IRによる赤外線吸収スペクトルの測定により、マレイン酸の付加が確認された。
(実施例6)
広葉樹クラフトパルプの代わりに麻パルプを用い、無水マレイン酸の添加量を2gに変更した以外は実施例1と同様にして解繊パルプスラリーを得た。解繊パルプスラリーに含まれるセルロースについて透過型電子顕微鏡により観察したところ、幅4nm程度の微細繊維状セルロースになっていることが確認された。また、X線回折により、セルロースはセルロースI型結晶を維持しており、FT−IRによる赤外線吸収スペクトルの測定により、マレイン酸の付加が確認された。
(実施例7)
無水マレイン酸4gを無水マレイン酸2g(乾燥パルプ100質量部に対して50質量部)に変更した以外は実施例1と同様にして解繊パルプスラリーを得た。解繊パルプスラリーに含まれるセルロースについて透過型電子顕微鏡により観察したところ、幅4nm程度の微細繊維状セルロースになっていることが確認された。また、X線回折により、セルロースはセルロースI型結晶を維持しており、FT−IRによる赤外線吸収スペクトルの測定により、マレイン酸の付加が確認された。
(実施例8)
無水マレイン酸4gを無水フタル酸2g(乾燥パルプ100質量部に対して50質量部)に変更した以外は実施例1と同様にして解繊パルプスラリーを得た。解繊パルプスラリーに含まれるセルロースについて透過型電子顕微鏡により観察したところ、幅4nm程度の微細繊維状セルロースになっていることが確認された。また、X線回折により、セルロースはセルロースI型結晶を維持しており、FT−IRによる赤外線吸収スペクトルの測定により、フタル酸の付加が確認された。
(実施例9)
広葉樹クラフトパルプを105℃で3時間乾燥させて水分3質量%以下の乾燥パルプを得た。次いで、乾燥パルプ4gと無水マレイン酸2g(乾燥パルプ100質量部に対して50質量部)とをオートクレーブに充填し、150℃で2時間処理した。
次いで、水による洗浄をせずに、0.8質量%の水酸化ナトリウム水溶液250mLに乾燥パルプを分散し、スラリーを攪拌しながらパルプをアルカリ処理した。パルプスラリーのpHは12.5程度であった。その後、pHが8以下になるまで、アルカリ処理後のパルプを水で洗浄した。
次いで、アルカリ処理後のパルプにイオン交換水を添加し、固形分濃度0.5質量%のスラリーを調製した。そのスラリーを、解繊処理装置(エムテクニック社製、クレアミックス−2.2S)を用いて、21500回転/分の条件で30分間解繊処理して、最後に冷却/高速遠心機(コクサン社製、H−2000B)を用いて12000Gで10分間遠心分離してから上澄みを回収し、解繊パルプスラリーを得た。
解繊パルプスラリーに含まれるセルロースについて透過型電子顕微鏡により観察したところ、幅4nm程度の微細繊維状セルロースになっていることが確認された。また、X線回折により、セルロースはセルロースI型結晶を維持しており、結晶化度は84%であった。FT−IRによる赤外線吸収スペクトルの測定により、マレイン酸の付加が確認された。
(実施例10)
無水マレイン酸2gを無水コハク酸2g(乾燥パルプ100質量部に対して50質量部)に変更した以外は実施例9と同様にして解繊パルプスラリーを得た。解繊パルプスラリーに含まれるセルロースについて透過型電子顕微鏡により観察したところ、幅4nm程度の微細繊維状セルロースになっていることが確認された。また、X線回折により、セルロースはセルロースI型結晶を維持しており、FT−IRによる赤外線吸収スペクトルの測定により、コハク酸の付加が確認された。
(実施例11)
無水マレイン酸2gを無水フタル酸2g(乾燥パルプ100質量部に対して50質量部)に変更した以外は実施例9と同様にして解繊パルプスラリーを得た。解繊パルプスラリーに含まれるセルロースについて透過型電子顕微鏡により観察したところ、幅4nm程度の微細繊維状セルロースになっていることが確認された。また、X線回折により、セルロースはセルロースI型結晶を維持しており、FT−IRによる赤外線吸収スペクトルの測定により、フタル酸の付加が確認された。
(実施例12)
未晒広葉樹クラフトパルプ(LUKP、漂白処理をしていないクラフトパルプ)を用いたこと以外は実施例9と同様にして解繊パルプスラリーを得た。解繊パルプスラリーに含まれるセルロースについて透過型電子顕微鏡により観察したところ、幅4nm程度の微細繊維状セルロースになっていることが確認された。また、X線回折により、セルロースはセルロースI型結晶を維持しており、FT−IRによる赤外線吸収スペクトルの測定により、マレイン酸の付加が確認された。
(実施例13)
酸素晒広葉樹クラフトパルプ(LOKP、酸素漂白処理したクラフトパルプ)を用いたこと以外は実施例9と同様にして解繊パルプスラリーを得た。解繊パルプスラリーに含まれるセルロースについて透過型電子顕微鏡により観察したところ、幅4nm程度の微細繊維状セルロースになっていることが確認された。また、X線回折により、セルロースはセルロースI型結晶を維持しており、FT−IRによる赤外線吸収スペクトルの測定により、マレイン酸の付加が確認された。
(実施例14)
0.8質量%水酸化ナトリウムの代わりに12.5質量%アンモニア水溶液を用いた以外は実施例9と同様にして解繊パルプスラリーを得た。解繊パルプスラリーに含まれるセルロースについて透過型電子顕微鏡により観察したところ、幅4nm程度の微細繊維状セルロースになっていることが確認された。また、X線回折により、セルロースはセルロースI型結晶を維持しており、FT−IRによる赤外線吸収スペクトルの測定により、マレイン酸の付加が確認された。
(実施例15)
0.8質量%水酸化ナトリウムの代わりに2.0質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いた以外は実施例9と同様にして解繊パルプスラリーを得た。解繊パルプスラリーに含まれるセルロースについて透過型電子顕微鏡により観察したところ、幅4nm程度の微細繊維状セルロースになっていることが確認された。また、X線回折により、セルロースはセルロースI型結晶を維持しており、FT−IRによる赤外線吸収スペクトルの測定により、マレイン酸の付加が確認された。
(実施例16)
0.8質量%水酸化ナトリウムの代わりに2.5質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いた以外は実施例9と同様にして解繊パルプスラリーを得た。解繊パルプスラリーに含まれるセルロースについて透過型電子顕微鏡により観察したところ、幅4nm程度の微細繊維状セルロースになっていることが確認された。また、X線回折により、セルロースはセルロースI型結晶を維持しており、FT−IRによる赤外線吸収スペクトルの測定により、マレイン酸の付加が確認された。
(実施例17)
0.8質量%水酸化ナトリウムの代わりに3.0質量%テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いた以外は実施例9と同様にして解繊パルプスラリーを得た。解繊パルプスラリーに含まれるセルロースについて透過型電子顕微鏡により観察したところ、幅4nm程度の微細繊維状セルロースになっていることが確認された。また、X線回折により、セルロースはセルロースI型結晶を維持しており、FT−IRによる赤外線吸収スペクトルの測定により、マレイン酸の付加が確認された。
(実施例18)
0.8質量%水酸化ナトリウムの代わりに3.5質量%テトラブチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いた以外は実施例9と同様にして解繊パルプスラリーを得た。解繊パルプスラリーに含まれるセルロースについて透過型電子顕微鏡により観察したところ、幅4nm程度の微細繊維状セルロースになっていることが確認された。また、X線回折により、セルロースはセルロースI型結晶を維持しており、FT−IRによる赤外線吸収スペクトルの測定により、マレイン酸の付加が確認された。
(実施例19)
オートクレーブ中で130℃、2時間反応させた以外は実施例7と同様にして解繊パルプスラリーを得た。解繊パルプスラリーに含まれるセルロースについて透過型電子顕微鏡により観察したところ、幅4nm程度の微細繊維状セルロースになっていることが確認された。また、X線回折により、セルロースはセルロースI型結晶を維持しており、FT−IRによる赤外線吸収スペクトルの測定により、マレイン酸の付加が確認された。
(比較例1)
実施例3におけるアルカリ処理を省略し、無水マレイン酸処理後のスラリーを解繊処理しようとしたが、スラリーにパルプの塊が多く含まれているため、解繊処理することができなかった。
(比較例2)
乾燥パルプの無水マレイン酸による処理を省略し、乾燥パルプをアルカリ処理した後に解繊処理した以外は実施例3と同様にして、解繊パルプスラリーを得た。解繊パルプスラリーに含まれるセルロースについて透過型電子顕微鏡により観察したところ、幅4nm程度の微細繊維状セルロースになっていることが確認された。また、X線回折により、セルロースはセルロースI型結晶を維持していることが確認された。
(比較例3)
無水マレイン酸処理およびアルカリ処理を省略した以外は実施例3と同様にして、解繊パルプスラリーを得た。
(比較例4)
無水マレイン酸処理およびアルカリ処理を省略した以外は実施例12と同様にして、解繊パルプスラリーを得た。
(比較例5)
パルプを乾燥せず、無水マレイン酸処理及びアルカリ処理を省略した以外は実施例3と同様にして、解繊パルプスラリーを得た。
(評価)
上記実施例1〜19および比較例2〜5の解繊パルプスラリーについて、遠心分離した後の上澄み収率を以下に記載の方法により測定した。測定結果を表1に示す。なお、遠心分離後の上澄み収率は、微細繊維状セルロースの収率の指標となり、上澄み収率が高い程、微細繊維状セルロースの収率が高い。比較例1については、塊状の粒が多く、解繊処理ができなかったため、上澄み収率を測定することはできなかった。
[遠心分離後の上澄み収率の測定]
解繊パルプスラリーにイオン交換水を添加してスラリー固形分濃度0.2質量%に調整し、冷却高速遠心分離機(コクサン社、H−2000B)を用い、12000G×10分間の条件で遠心分離し、得られた上澄み液を回収し、上澄み液の固形分濃度を測定した。そして、上澄み液の固形分濃度/0.2質量%の式より、上澄み液の収率を求めた。
なお、遠心分離後の上澄み収率は、微細繊維状セルロースが凝集した凝集物および繊維幅が太い非微細繊維状のものを排除して求めた微細繊維状セルロースの収率であり、上澄み収率が高い程、より微細な微細繊維状セルロースの収率が高い。
[透過型電子顕微鏡観察]
上澄み液を水で希釈し、親水化処理したカーボングリッド膜に滴下した。乾燥後、酢酸ウラニルで染色し、透過型電子顕微鏡(日本電子社製、JEOL−2000EX)により観察した。
繊維原料をジカルボン酸の無水物で処理した後にアルカリ処理を施した実施例1〜19では、遠心分離後の上澄み収率が高く、微細繊維状セルロース収率が高かった。
ジカルボン酸の無水物による処理を省略した比較例2では、遠心分離後の上澄み収率が低く、微細繊維状セルロース収率が低かった。
また、実施例1〜3と実施例4との対比より、パルプを乾燥した実施例1〜3では、得られる微細繊維状セルロースの繊維長が、パルプを乾燥しなかった実施例4で得た微細繊維状よりも長くなっていた。実施例1〜4で微細繊維状セルロースの繊維幅は同じであるため、軸比は、実施例1〜3で得た微細繊維状セルロースが、実施例4で得た微細繊維状セルロースよりも大きくなっていた(図1〜4参照)。
未漂白のクラフトパルプを用いた実施例12,13は比較例4に比べて遠心分離後の上澄み収率が高く、微細繊維状セルロース収率が高かった。
(実施例20)
<不織布の製造>
実施例8で得られた微細繊維状セルロース含有スラリーをセルロース濃度0.127質量%になるように水で希釈して、150mlに調整し、液の上方から30mlのイソプロピルアルコールを静かに加え、減圧濾過を行った。濾過器としてはアドバンテック社製KG−90を用い、ガラスフィルターの上にアドバンテック社製の1.0μm孔径のPTFE製メンブランフィルターを載せた。有効濾過面積は48cmであった。減圧度−0.09MPa(絶対真空度10kPa)にて減圧濾過したところ、PTFE製メンブランフィルターの上にセルロース繊維の堆積物が得られた。このセルロース堆積物を120℃に加熱したプレス機にて0.15MPaの圧力で5分間プレス乾燥して多孔性の不織布を得た。
(実施例21)
<アセチル化不織布の製造>
実施例8の方法でフタル酸を付加したセルロースを115℃、5時間、無水酢酸中でアセチル化した。その後、蒸留水でよく洗浄し、実施例1と同様に解繊し、微細繊維状セルロース含有スラリーを得た。この微細繊維状セルロース含有スラリーを用い、実施例20と同様にして不織布化して、アセチル化不織布を得た。
(評価)
上記実施例20,21の不織布について、セルロースの化学修飾率および空隙率を以下に記載の方法により測定した。測定結果を表2に示す。
[セルロースの化学修飾率]
上述した方法により化学修飾率を求めた。
[不織布の空隙率]
不織布の面積、厚み、質量から、下記式によって求めた。
空隙率(vol%)={(1−B/(M×A×t)}×100
ここで、Aは不織布の面積(cm)、t(cm)は厚み、Bは不織布の質量(g)、Mはセルロースの密度であり、本発明ではM=1.5g/cmと仮定した。不織布の膜厚は、膜厚計(Mitutoyo(株)製 IP65)を用いて、不織布の種々な位置について10点の測定を行い、その平均値を採用した。
実施例20,21の不織布はいずれも、適度な空隙率を有していた。
(実施例22)
<樹脂マトリックス材料との複合化>
実施例21で得られたアセチル化セルロース不織布を、1,10−デカンジオールジメタクリレート80質量部、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)20質量部、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(BASF社製「ルシリンTPO」)0.02質量部、およびイルガノックス184を0.02質量部を混合した溶液に含浸させ、減圧下で一晩放置した。得られた樹脂溶液を含浸させたセルロース繊維集合体を2枚のガラス板に挟み、無電極水銀灯ランプ(フュージョンUVシステムズ社製「Dバルブ」)を用いて、紫外線硬化させた。紫外線硬化の条件は、波長365nmでの照射強度400mW/cm、ライン速度7m/minに表裏計10回通して半硬化させ、次いで、波長365nmでの照射強度1900mW/cm、ライン速度2m/minで表裏各10回(計20回)通して完全硬化させる条件で行った。紫外線照射終了後、ガラス板よりはずし、190℃で酸素分圧0.006MPa以下で1時間加熱して厚み75μmのセルロース繊維複合体を得た。得られた複合体の23℃における引張弾性率は7.0Paであった。
なお、紫外線の放射照度は、オーク製作所製紫外線照度計「UV−M02」で、アタッチメント「UV−35」を用いて、320〜390nmの紫外線の照度を23℃で測定した。
(実施例23)(エポキシエマルション抄紙)
固形分濃度0.2質量%に希釈した実施例3で得られた微細繊維状セルロース含有スラリー50質量部と、固形分濃度0.2質量%に希釈したエポキシ樹脂エマルションW2821R70(ジャパンエポキシレジン社製)スラリーを50質量部と、固形分濃度0.2質量%に希釈したイミダゾール系硬化剤EMI24(ジャパンエポキシレジン社製)5質量部を混合した後、固形分濃度0.2質量%のカチオン性凝結剤(FS−614、栗田工業社製)水溶液を1質量部加えて1分間攪拌した。得られた混合液を坪量50g/mになるように1.0μm孔径のポリテトラフルオロエチレン製メンブランフィルター上で吸引脱水して堆積物を得た。その堆積物を120℃のシリンダードライヤーで乾燥し、微細繊維状セルロース-マトリックス複合体を得た。
得られた複合体を4枚積層してから170℃に加熱したプレス機により10kgf/cmの圧力で1時間プレス処理した。プレス後の複合体は厚み150μmであった。得られた複合体の23℃における引張弾性率は6.2GPaであった。
[複合体の引張弾性率]
得られた複合体をレーザーカッターにより、10mm幅×40mm長に切断した。これを、SII社製DMS6100を用いて引っ張りモードでチャック間20mm、周波数10Hz、2℃/min.で−100℃から250℃まで測定し、23℃における貯蔵弾性率E’(単位:GPa)より引張弾性率を求めた。
[複合体の黄色度]
得られた複合体を190℃で酸素分圧0.006MPa以下で1時間加熱した後、JIS規格K7105に準拠し、スガ試験機製カラーコンピューターを用いて黄色度を測定した。
[複合体の全光線透過率]
JIS規格K7105に準拠し、スガ試験機製ヘーズメータを用いてC光による全光線透過率を測定した。
[複合体の線熱膨張率]
得られた複合体をレーザーカッターにより、3mm幅×30mm長に切断した。これを、SII製TMA120を用いて引っ張りモードでチャック間20mm、荷重10g、窒素雰囲気下、室温から180℃まで5℃/min.で昇温、180℃から25℃まで5℃/min.で降温、25℃から180℃まで5℃/min.で昇温した際の2度目の昇温時の60℃から100℃の測定値から線熱膨張率を求めた。
実施例22の複合体は、高弾性率、低線熱膨張係数で黄色度の低いものであった。実施例23の複合体は、高弾性率、低線熱膨張係数のものであった。
1 製造装置
3a 微細繊維状セルロース含有スラリー
3b 含水ウェブ
3c 不織布
10 抄紙用ワイヤー
20 脱水セクション
40 乾燥セクション
60 巻取セクション

Claims (10)

  1. 2つ以上のカルボキシ基を有する化合物、2つ以上のカルボキシ基を有する化合物の酸無水物、およびそれらの誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種のカルボン酸系化合物により、セルロースを含む繊維原料を処理して、セルロースにカルボキシ基を導入するカルボキシ基導入工程と、
    前記カルボキシ基導入工程終了後に、カルボキシ基を導入したセルロースをアルカリ溶液で処理するアルカリ処理工程と、
    前記アルカリ処理した後のセルロースを解繊処理して微細繊維状セルロースを得る解繊処理工程とを有し、
    前記微細繊維状セルロースがI型結晶構造を有し、X線回折法によって求められる結晶化度が60%以上であることを特徴とする微細繊維状セルロースの製造方法。
  2. 前記カルボキシ基導入工程では、セルロースに前記カルボン酸系化合物を付加する、請求項1に記載の微細繊維状セルロースの製造方法。
  3. 前記カルボキシ基導入工程では、ガス化した前記カルボン酸系化合物によりセルロースを処理する、請求項1または2に記載の微細繊維状セルロースの製造方法。
  4. 前記繊維原料の水分を予め10%以下にする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の微細繊維状セルロースの製造方法。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載の微細繊維状セルロースの製造方法により製造した微細繊維状セルロースを含むスラリーを濾材上で脱水して湿紙を得る脱水工程と、前記湿紙を乾燥させる乾燥工程とを有することを特徴とする不織布の製造方法。
  6. 1〜1000nmの繊維幅を有し、繊維を構成するセルロースのヒドロキシ基の一部が、下記構造式(1)に示す官能基で置換されており、かつI型結晶構造を有し、X線回折法によって求められる結晶化度が60%以上であることを特徴とする、微細繊維状セルロース。
    (構造式(1)において、Rは、飽和-直鎖状炭化水素基、飽和-分岐鎖状炭化水素基、飽和-環状炭化水素基、不飽和-直鎖状炭化水素基、不飽和-分岐鎖状炭化水素基、芳香族基、および単結合のいずれかであり、Mはカチオン性基である。)。
  7. 請求項に記載の微細繊維状セルロースが分散媒中に分散されてなる微細繊維状セルロース含有スラリー。
  8. 請求項に記載の微細繊維状セルロースを含有する不織布。
  9. 請求項に記載の微細繊維状セルロースと、マトリックス材料とを含有する複合体。
  10. 請求項に記載の不織布と、マトリックス材料を含有する複合体。
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