JP2020067550A - 静電荷像現像用トナー - Google Patents
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Abstract
Description
結晶性ポリエステル樹脂の分散性を改良するためには、複合樹脂との併用が有効であり、生産性は幾分改善するが、複合樹脂自体が脆いためキャリア汚染抑制には効果がない。
しかしながら、本発明では、非晶質複合樹脂の両反応性モノマーとして、水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルを用いることにより、結晶性ポリエステル樹脂の分散性を向上させ、さらにキャリア汚染も大幅に改善することができた。これは、複合樹脂の複合化部位がソフトな構造を有するためか、樹脂自体が脆くないためと推察される。通常、樹脂が硬くなると生産性が低くなる傾向があるのに対し、本発明では、むしろ生産性が向上する結果となっている。その原因は、複合樹脂が、トナー製造過程での粉砕時の速くて強い衝撃には弱いが、装置内での比較的遅く弱い衝撃には強いためではないかと推察しているが、その詳細は未だ解明中である。
<ポリエステル系樹脂セグメント>
非晶質複合樹脂におけるポリエステル系樹脂セグメントは、アルコール成分とカルボン酸成分との重縮合物である。
で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、グリセリン等が挙げられる。脂肪族ジオールとして、具体的には、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等が挙げられる。
ビニル系樹脂セグメントは、スチレン系化合物を含む原料モノマーの付加重合物である。
両反応性モノマーは、水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含む。
非晶質複合樹脂は、例えば、ポリエステル樹脂セグメントの原料モノマーによる重縮合反応の工程(A)と、ビニル系樹脂セグメントの原料モノマーによる付加重合反応の工程(B)とを含む方法により製造することができる。
工程(A)の後に工程(B)を行ってもよいし、工程(B)の後に工程(A)を行ってもよく、工程(A)と工程(B)を同時に行ってもよい。また、工程(A)と工程(B)は、同一容器内で行うことが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂のアルコール成分は、低温定着性の観点から、炭素数が6以上12以下の脂肪族ジオールを含有していることが好ましい。
フローテスター「CFT-500D」((株)島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
示差走査熱量計「Q-100」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、室温(25℃)から降温速度10℃/minで0℃まで冷却し、0℃にて1分間維持する。その後、昇温速度10℃/minで測定する。観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を吸熱の最高ピーク温度とする。
示差走査熱量計「DSC Q20」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで昇温し、吸熱ピークを測定する。吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とする。
JIS K 0070:1992の方法に基づき測定する。ただし、測定溶媒のみJIS K 0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、非晶質樹脂はアセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に、結晶性樹脂はクロロホルム:ジメチルホルムアミドの混合溶媒(クロロホルム:ジメチルホルムアミド=7:3(容量比))に、それぞれ変更する。
JIS K 0070:1992の方法に基づき測定する。ただし、測定溶媒のみJIS K 0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒からテトラヒドロフランに変更する。
示差走査熱量計「DSC Q20」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、昇温速度10℃/minで200℃まで昇温し、その温度から降温速度5℃/minで-10℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで180℃まで昇温し測定する。そこで得られた融解吸熱カーブから観察される吸熱の最高ピーク温度を離型剤の融点とする。
平均粒子径は、個数平均粒子径を指し、走査型電子顕微鏡(SEM)写真から500個の粒子の粒径(長径と短径の平均値)を測定し、それらの数平均値とする。
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター(株)製)
アパチャー径:100μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター(株)製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター(株)製)
分散液:電解液にエマルゲン109P(花王(株)製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB(グリフィン):13.6)を溶解して5質量%に調整したもの
分散条件:前記分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機(機械名:(株)エスエヌディー製US-1、出力:80W)にて1分間分散させ、その後、前記電解液25mLを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記電解液100mLに、3万個の粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度となるように、前記試料分散液を加え、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
表1、2に示す無水トリメリット酸以外のポリエステル系樹脂セグメントの原料モノマーを、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、160℃まで昇温した。そこに、ビニル系樹脂セグメントの原料モノマー、両反応性モノマー及び重合開始剤を混合したものを滴下し、重合を行った後、エステル化触媒を添加し、235℃まで昇温して10時間反応させた。その後、無水トリメリット酸を投入し、220℃、8.0kPaにて表1、2に示す軟化点に達するまで反応を行い、非晶質複合樹脂(樹脂A1〜A6、A9、A10)を得た。
表2に示す無水トリメリット酸以外のポリエステル系樹脂セグメントの原料モノマーを、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、160℃まで昇温した。そこに、ビニル系樹脂セグメントの原料モノマー、両反応性モノマー及び重合開始剤を混合したものを滴下し、重合を行った後、エステル化触媒を添加し、220℃まで7時間かけて昇温を行い、220℃にて4時間反応させた。その後、無水トリメリット酸を投入し、220℃、8.0kPaにて表2に示す軟化点に達するまで反応を行い、非晶質複合樹脂(樹脂A7、A8)を得た。
表3に示すアルコール成分とカルボン酸成分を、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、200℃まで8時間かけて昇温を行った。その後、エステル化触媒を添加し、8.0kPaにて表3に示す軟化点に達するまで反応を行い、結晶性ポリエステル樹脂(樹脂C1〜C3)を得た。
表4に示す結着樹脂100質量部、着色剤「ECB-301」(大日精化社製)5質量部、荷電制御剤「LR-147」(日本カーリット社製)1質量部、離型剤「カルナウバワックス C1」(加藤洋行社製、融点:80℃)2質量部、及び離型剤「パラフリントH105」(サゾールワックス社製、融点110℃)2質量部を、ヘンシェルミキサーでよく攪拌した後、混練部分の全長1560mm、スクリュー径42mm、バレル内径43mmの同方向回転二軸押出機を用いて溶融混練した。スクリューの回転速度は200r/min、ロール内の加熱設定温度は100℃であり、混練物の温度は160℃、混練物の供給速度は10kg/h、平均滞留時間は約18秒であった。
粉砕圧力、装置の条件を固定しているため、トナー平均粒径は、原料フィード量(kg/h)によって決まる。原料フィード量が多いほど、1時間当たりに砕けるトナー量が多いことを示し、生産性が高いことを示すが、過粉砕が起こると収率が下がるため、実際の生産高は減少する。即ち、原料フィード量と収率の積(原料フィード量×収率)がとれ高となる。収率に関しては、コストに跳ね返ってくるため、生産高とは別に重要な要素となる。
トナーを複写機「AR-505」(シャープ(株)製)に実装し、トナー付着量が0.7mg/cm2の未定着画像(2cm×12cm)を得た。複写機「AR-505」(シャープ(株)製)の定着機をオフラインで定着可能なように改良した定着機(定着速度200mm/sec)を用い、定着温度を90℃から240℃へと5℃ずつ順次上昇させながら、各定着温度で定着試験を行い、最低定着温度を判断した。定着紙には、「CopyBond SF-70NA」(シャープ社製、75g/m2)を使用した。
最低定着温度は500gの荷重をかけた底面が15mm×7.5mmの砂消しゴムで、定着機を通して定着された画像を5往復擦り、擦る前後の光学反射密度を反射濃度計「RD-915」(マクベス社製)を用いて測定し、両者の比率(擦り後/擦り前)が最初に70%を越える定着ローラーの温度を最低定着温度とする。結果を表4に示す。最低定着温度が低いほど、低温定着性に優れる。
トナー3質量部と平均粒子径90μmのシリコンコートフェライトキャリア(関東電化工業社製)97質量部とを混合して得られた現像剤を複写機「プリテール50」(リコー社製)に実装し、印字率5%の画像を2時間連続印刷した後、トナーを取り出し得られた混合物を目開き32μmの篩を用いてトナー部分を吸引し、キャリア部分だけにした。得られたキャリアの炭素量を炭素分析装置「EMIA-110」(堀場製作所製)を用いて測定し、あらかじめトナーと混合する前に測定しておいたキャリアの炭素量との差を求め、以下の評価基準に基づいて耐キャリア汚染性として評価した。結果を表4に示す。炭素量の差が大きいほど、キャリアに多量のトナーが付着していると判断できる。炭素量の差は0.3未満が実用上許容される範囲である。
Claims (5)
- アルコール成分と芳香族ジカルボン酸系化合物を含むカルボン酸成分との重縮合物であるポリエステル系樹脂セグメントと、スチレン系化合物を含む原料モノマーの付加重合物であるビニル系樹脂セグメントとが、両反応性モノマーを介して共有結合してなる非晶質複合樹脂と、結晶性ポリエステル樹脂とを含有する静電荷像現像用トナーであって、前記両反応性モノマーが水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含む、静電荷像現像用トナー。
- スチレン系化合物と水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルの質量比(スチレン系化合物/水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル)が70/30以上98/2以下である、請求項1記載の静電荷像現像用トナー。
- 非晶質複合樹脂と結晶性ポリエステル樹脂の質量比(非晶質複合樹脂/結晶性ポリエステル樹脂)が、70/30以上98/2である、請求項1又は2記載の静電荷像現像用トナー。
- ポリエステル系樹脂セグメントとビニル系樹脂セグメントの質量比(ポリエステル系樹脂セグメント/ビニル系樹脂セグメント)が50/50以上95/5以下である、請求項1〜3いずれか記載の静電荷像現像用トナー。
- 水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルが(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチルである、請求項1〜4いずれか記載の静電荷像現像用トナー。
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