JP7154104B2 - 静電荷像現像用トナー - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられる静電荷像現像用トナーに関する。
特許文献1には、ポリエステル樹脂部分とビニル系樹脂部分とを有する1種又は2種以上の複合樹脂と結晶性ポリエステルを含有するトナー用結着樹脂組成物であって、少なくとも1種の複合樹脂のポリエステル樹脂部分が、エチレングリコールと芳香族ジオールを含有するアルコール成分とカルボン酸成分とを重縮合させて得られる、トナー用結着樹脂組成物が開示されている。
特許文献2には、第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールを含有するアルコール成分とカルボン酸成分との重縮合物であるポリエステル系樹脂と、スチレン化合物を含有する原料モノマーの付加重合物であるスチレン系樹脂とを含有する、軟化点が130℃以上160℃以下の非晶質複合樹脂と、結晶性ポリエステル樹脂とを含有する、トナー用結着樹脂組成物が開示されている。
特開2014-232169号公報 特開2018-13520号公報
トナーの基本性能である低温定着性は、結晶性ポリエステル樹脂を配合することにより改善するが、その一方で生産性と二成分現像剤においてはキャリア汚染が悪化するという課題がある。
本発明は、低温定着性及び生産性に優れ、キャリア汚染も抑制することができる静電荷像現像用トナーに関する。
本発明は、アルコール成分と芳香族ジカルボン酸系化合物を含むカルボン酸成分との重縮合物であるポリエステル系樹脂セグメントと、スチレン系化合物を含む原料モノマーの付加重合物であるビニル系樹脂セグメントとが、両反応性モノマーを介して共有結合してなる非晶質複合樹脂と、結晶性ポリエステル樹脂とを含有する静電荷像現像用トナーであって、前記両反応性モノマーが水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含む、静電荷像現像用トナーに関する。
本発明の静電荷像現像用トナーは、低温定着性及び生産性に優れ、キャリア汚染も抑制することができるという効果を奏するものである。
本発明の静電荷像現像用トナーは、ポリエステル系樹脂セグメントとビニル系樹脂セグメントとが両反応性モノマーを介して共有結合した非晶質複合樹脂と、結晶性ポリエステル樹脂とを含有し、両反応性モノマーとして、水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルが用いられている点に大きな特徴を有する。
結晶性ポリエステル樹脂の配合による生産性の低下とキャリア汚染の悪化は、非晶質樹脂中での結晶性ポリエステル樹脂の分散性の低さと結晶性ポリエステル樹脂自体の硬さによるものと推察される。
結晶性ポリエステル樹脂の分散性を改良するためには、複合樹脂との併用が有効であり、生産性は幾分改善するが、複合樹脂自体が脆いためキャリア汚染抑制には効果がない。
しかしながら、本発明では、非晶質複合樹脂の両反応性モノマーとして、水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルを用いることにより、結晶性ポリエステル樹脂の分散性を向上させ、さらにキャリア汚染も大幅に改善することができた。これは、複合樹脂の複合化部位がソフトな構造を有するためか、樹脂自体が脆くないためと推察される。通常、樹脂が硬くなると生産性が低くなる傾向があるのに対し、本発明では、むしろ生産性が向上する結果となっている。その原因は、複合樹脂が、トナー製造過程での粉砕時の速くて強い衝撃には弱いが、装置内での比較的遅く弱い衝撃には強いためではないかと推察しているが、その詳細は未だ解明中である。
[非晶質複合樹脂]
<ポリエステル系樹脂セグメント>
非晶質複合樹脂におけるポリエステル系樹脂セグメントは、アルコール成分とカルボン酸成分との重縮合物である。
アルコール成分としては、例えば、脂肪族ジオール、好ましくは炭素数2以上20以下、より好ましくは炭素数2以上15以下の脂肪族ジオールや、式(I):
Figure 0007154104000001
(式中、OR及びROはオキシアルキレン基であり、Rはエチレン基及び/又はプロピレン基であり、x及びyはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、xとyの和の値は、1以上、好ましくは1.5以上であり、そして、16以下、好ましくは8以下、より好ましくは6以下、さらに好ましくは4以下である)
で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、グリセリン等が挙げられる。脂肪族ジオールとして、具体的には、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等が挙げられる。
アルコール成分としては、キャリア汚染抑制の観点から、式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物が好ましい。式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の含有量は、アルコール成分中、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上、さらに好ましくは100モル%である。
ポリエステル樹脂セグメントのカルボン酸成分は、キャリア汚染抑制の観点から、芳香族ジカルボン酸系化合物を含む。芳香族ジカルボン酸系化合物としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、これらの酸の無水物及びそれらの酸の炭素数が1以上3以下のアルキルエステル等が挙げられるが、これらの中では、テレフタル酸が好ましい。なお、本発明において、カルボン酸系化合物には、遊離酸だけでなく、反応中に分解して酸を生成する無水物、及び炭素数が1以上3以下のアルキルエステルも含まれる。
芳香族ジカルボン酸系化合物の含有量は、カルボン酸成分中、キャリア汚染抑制の観点から、好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上であり、そして、100モル%以下、好ましくは98モル%以下である。
他のカルボン酸成分としては、脂肪族ジカルボン酸、3価以上のカルボン酸、これらの酸の無水物及びそれらの酸の炭素数が1以上3以下のアルキルエステル等が挙げられる。
3価以上のカルボン酸系化合物としては、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸(ピロメリット酸)、又はそれらの酸無水物等が挙げられる。
3価以上のカルボン酸系化合物の含有量は、カルボン酸成分中、帯電安定性の観点から、0モル%以上、好ましくは2モル%以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは20モル%以下、より好ましくは15モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下である。
なお、アルコール成分には1価のアルコールが、カルボン酸成分には1価のカルボン酸系化合物が、ポリエステル樹脂の分子量及び軟化点を調整する観点から、適宜含有されていてもよい。
また、アルコール成分とカルボン酸成分の一部として、ポリエチレンテレフタレート(PET)を用いてもよい。PETは、エチレングリコールとテレフタル酸の等モル重縮合物として、PETを構成するエチレングリコールとテレフタル酸をそれぞれアルコール成分とカルボン酸成分としてみなす。
カルボン酸成分とアルコール成分との当量比(COOH基/OH基)は、ポリエステル樹脂の軟化点を調整する観点から、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.7以上、さらに好ましくは0.75以上であり、そして、好ましくは1.1以下、より好ましくは1.05以下である。
ポリエステル樹脂セグメントは、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分とを不活性ガス雰囲気中、好ましくはエステル化触媒の存在下、さらに必要に応じて、エステル化助触媒、重合禁止剤等の存在下、好ましくは130℃以上、より好ましくは170℃以上、そして、好ましくは250℃以下、より好ましくは240℃以下の温度で重縮合させて製造することができる。
エステル化触媒としては、酸化ジブチル錫、2-エチルヘキサン酸錫(II)等の錫化合物、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等のチタン化合物等が挙げられ、錫化合物が好ましい。エステル化触媒の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上であり、そして、好ましくは1.5質量部以下、より好ましくは1質量部以下である。エステル化助触媒としては、没食子酸等が挙げられる。エステル化助触媒の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、そして、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下である。重合禁止剤としては、t-ブチルカテコール等が挙げられる。重合禁止剤の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、そして、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下である。
なお、本発明において、ポリエステル系樹脂は、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステル樹脂であってもよい。変性されたポリエステル樹脂としては、例えば、特開平11-133668号公報、特開平10-239903号公報、特開平8-20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステル樹脂が挙げられるが、変性されたポリエステル樹脂のなかでは、ポリエステル樹脂をポリイソシアネート化合物でウレタン伸長したウレタン変性ポリエステル樹脂が好ましい。
<ビニル系樹脂セグメント>
ビニル系樹脂セグメントは、スチレン系化合物を含む原料モノマーの付加重合物である。
スチレン系化合物としては、スチレン以外に、α-メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体等が挙げられ、スチレンが好ましい。
スチレン系化合物の含有量は、帯電安定性の観点から、ビニル系樹脂セグメントの原料モノマー中、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは100質量%である。
スチレン化合物以外に用いられるビニル系樹脂セグメントの原料モノマーとしては、エチレン、プロピレン等のエチレン性不飽和モノオレフィン類;ブタジエン等のジオレフィン類;塩化ビニル等のハロビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル等のエチレン性モノカルボン酸エステル;メチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;ビニリデンクロリド等のビニリデンハロゲン化物;N-ビニルピロリドン等のN-ビニル化合物類等が挙げられる。
ビニル系樹脂セグメントの原料モノマーの付加重合反応は、例えば、ジブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等の重合開始剤、重合禁止剤、架橋剤等の存在下、有機溶媒存在下又は無溶媒下で行うことができるが、温度条件としては、好ましくは110℃以上、より好ましくは140℃以上であり、そして、好ましくは200℃以下、より好ましくは170℃以下である。
付加重合反応の際に有機溶媒を使用する場合、キシレン、トルエン、メチルエチルケトン、アセトン等を用いることができる。有機溶媒の使用量は、ビニル系樹脂セグメントの原料モノマー100質量部に対して、10質量部以上50質量部以下が好ましい。
<両反応性モノマー>
両反応性モノマーは、水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含む。
(メタ)アクリル酸エステルは、エステル交換に対する反応性の観点から、(メタ)アクリル酸アルキルエステルであることが好ましく、アルキル基の炭素数は、好ましくは2以上であり、そして、好ましくは6以下、より好ましくは4以下である。なお、アルキル基の炭素数が7以上であっても、分岐鎖を有するアルキルエステルや、アルキルエステルでなくても、環状の炭化水素基を有するエステルのように、アルコール残基が嵩高くエステル交換により脱離しやすい構造を有するエステルであれば、両反応性モノマーとして使用することができる。
水酸基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、具体的には、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル等が挙げられ、これらの中では、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチルが好ましく、メタクリル酸2-ヒドロキシエチルがより好ましい。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸、メタクリル酸、又はその両者を示す。
水酸基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量は、両反応性モノマー中、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上、さらに好ましくは100モル%である。
水酸基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル以外の両反応性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、水酸基を有していない(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。
スチレン系化合物と水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルの質量比(スチレン系化合物/水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル)は、帯電安定性の観点から、好ましくは70/30以上、より好ましくは75/25以上、さらに好ましくは80/20以上であり、そして、発色性の観点から、好ましくは98/2以下、より好ましくは95/5以下、さらに好ましくは90/10以下である。
<製法・物性>
非晶質複合樹脂は、例えば、ポリエステル樹脂セグメントの原料モノマーによる重縮合反応の工程(A)と、ビニル系樹脂セグメントの原料モノマーによる付加重合反応の工程(B)とを含む方法により製造することができる。
工程(A)の後に工程(B)を行ってもよいし、工程(B)の後に工程(A)を行ってもよく、工程(A)と工程(B)を同時に行ってもよい。また、工程(A)と工程(B)は、同一容器内で行うことが好ましい。
また、重縮合反応を行う工程(A)の代わりに、予め重合した重縮合系樹脂を用いてもよい。工程(A)と工程(B)を並行して進行する際には、ポリエステル樹脂セグメントの原料モノマーを含有した混合物中に、ビニル系樹脂セグメントの原料モノマーを含有した混合物を滴下して反応させることもできる。
両反応性モノマーは、帯電安定性の観点から、ビニル系樹脂セグメントの原料モノマーとともに用いることが好ましい。
非晶質複合樹脂におけるポリエステル系樹脂セグメントとビニル系樹脂セグメントの質量比(ポリエステル系樹脂セグメント/ビニル系樹脂セグメント)は、発色性の観点から、好ましくは50/50以上、より好ましくは60/40以上、さらに好ましくは70/30以上であり、そして、帯電安定性の観点から、好ましくは95/5以下、より好ましくは90/10以下、さらに好ましくは85/15以下である。なお、上記の計算において、ポリエステル樹脂セグメントの質量は、用いられるポリエステル樹脂セグメントの原料モノマーの質量から、重縮合反応により脱水される反応水の量を除いた質量であり、両反応性モノマーの量は、ポリエステル樹脂セグメントの原料モノマー量に含める。また、ビニル系樹脂セグメントの量は、ビニル系樹脂セグメントの原料モノマーと重合開始剤の合計量である。
非晶質複合樹脂の軟化点は、耐久性の観点から、好ましくは100℃以上、より好ましくは110℃以上、さらに好ましくは120℃以上であり、そして、低温定着性の向上の観点から、好ましくは150℃以下、より好ましくは140℃以下、さらに好ましくは130℃以下である。
なお、樹脂の結晶性は、軟化点と示差走査熱量計による吸熱の最高ピーク温度との比、即ち[軟化点/吸熱の最高ピーク温度]の値で定義される結晶性指数によって表わされる。結晶性樹脂は、結晶性指数が0.6以上、好ましくは0.8以上、より好ましくは0.9以上であり、そして、1.4以下、好ましくは1.2以下、より好ましくは1.1以下の樹脂である一方、非晶質樹脂は、結晶性指数が1.4を超える、好ましくは1.5を超える、より好ましくは1.6以上の樹脂であるか、または、0.6未満、好ましくは0.5以下の樹脂である。樹脂の結晶性は、原料モノマーの種類とその比率、及び製造条件(例えば、反応温度、反応時間、冷却速度)等により調整することができる。なお、吸熱の最高ピーク温度とは、観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を指す。結晶性樹脂においては、吸熱の最高ピーク温度を融点とする。
非晶質複合樹脂のガラス転移温度は、耐久性の観点から、好ましくは50℃以上、より好ましくは55℃以上であり、そして、帯電安定性の観点から、好ましくは70℃以下、より好ましくは65℃以下である。
非晶質複合樹脂の酸価は、帯電安定性の観点から、好ましくは5mgKOH/g以上、より好ましくは8mgKOH/g以上であり、そして、耐久性の観点から、好ましくは20mgKOH/g以下、より好ましくは10mgKOH/g以下である。
非晶質複合樹脂の水酸基価は、帯電安定性の観点から、好ましくは10mgKOH/g以上、より好ましくは20mgKOH/g以上であり、そして、耐久性の観点から、好ましくは50mgKOH/g以下、より好ましくは40mgKOH/g以下である。
[結晶性ポリエステル樹脂]
結晶性ポリエステル樹脂のアルコール成分は、低温定着性の観点から、炭素数が6以上12以下の脂肪族ジオールを含有していることが好ましい。
炭素数6以上12以下の脂肪族ジオールとしては、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール等が挙げられる。
脂肪族ジオールの炭素数は、非晶質複合樹脂との相溶性を下げる観点から、好ましくは6以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは12以下、より好ましくは10以下、さらに好ましくは8以下である。
また、炭素数6以上12以下の脂肪族ジオールは、トナーの低温定着性を向上させる観点から、水酸基を炭素鎖の末端に有していることが好ましく、α,ω-直鎖アルカンジオールであることがより好ましい。
アルコール成分には、炭素数6以上12以下の脂肪族ジオール以外のアルコールが含まれていてもよいが、炭素数6以上12以下の脂肪族ジオールの含有量は、低温定着性及び保存性の観点から、アルコール成分中、好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上、さらに好ましくは100モル%である。
炭素数6以上12以下の脂肪族ジオール以外のアルコール成分としては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール等の炭素数2~5のα,ω-脂肪族ジオール、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族ジオール、グリセリン等の3価以上のアルコール等が挙げられる。
結晶性ポリエステル樹脂のカルボン酸成分は、低温定着性の観点から、炭素数4以上14以下の脂肪族ジカルボン酸系化合物を含有していることが好ましい。
炭素数4以上14以下の脂肪族ジカルボン酸系化合物としては、コハク酸(炭素数:4)、フマル酸(炭素数:4)、スベリン酸(炭素数:8)、アゼライン酸(炭素数:9)、セバシン酸(炭素数:10)、ドデカン2酸(炭素数:12)、テトラデカン2酸(炭素数:14)、側鎖にアルキル基又はアルケニル基を有するコハク酸、これらの酸の無水物、それらの炭素数1~3のアルキルエステル等が挙げられる。なお、本発明において、カルボン酸系化合物には、遊離酸だけでなく、反応中に分解して酸を生成する無水物、及び炭素数が1以上3以下のアルキルエステルも含まれる。ただし、アルキルエステル部のアルキル基の炭素数は、脂肪族ジカルボン酸系化合物の炭素数には含めない。
脂肪族ジカルボン酸系化合物における鎖状炭化水素基は直鎖であっても分岐鎖であってもよく、脂肪族ジカルボン酸系化合物の炭素数は、耐久性の観点から、好ましくは4以上、より好ましくは6以上、さらに好ましくは10以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは14以下、より好ましくは12以下である。
炭素数4以上14以下の脂肪族ジカルボン酸系化合物の含有量は、耐熱保存性の観点から、アルコール成分100モルに対して、好ましくは70モル以上、より好ましくは80モル以上、さらに好ましくは90モル以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは130モル以下、より好ましくは120モル以下、さらに好ましくは110モル以下である。
カルボン酸成分には、他のカルボン酸系化合物が含まれていてもよい。他のカルボン酸系化合物としては、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸系化合物、炭素数2~3の脂肪族ジカルボン酸系化合物、トリメリット酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸系化合物等が挙げられる。
カルボン酸成分及びアルコール成分との重縮合反応は、例えば、不活性ガス雰囲気中にて、好ましくはエステル化触媒の存在下、さらに必要に応じて、エステル化助触媒等の存在下、135℃以上250℃以下の温度で行うことができる。エステル化触媒としては、酸化ジブチル錫、2-エチルヘキサン酸錫(II)等の錫化合物、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等のチタン化合物等が挙げられる。エステル化触媒とともに用い得るエステル化助触媒としては、没食子酸等が挙げられる。エステル化触媒の使用量は、アルコール成分及びカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上であり、そして、好ましくは1質量部以下、より好ましくは0.6質量部以下である。エステル化助触媒の使用量は、アルコール成分及びカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、そして、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下である。
結晶性ポリエステル樹脂の融点は、保存性を確保するための、トナーのガラス転移温度調整の観点から、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上、さらに好ましくは65℃以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは120℃以下、より好ましくは100℃以下、さらに好ましくは80℃以下である。
結晶性ポリエステル樹脂の酸価は、低温定着性の観点から、好ましくは3mgKOH/g以上、より好ましくは10mgKOH/g以上、さらに好ましくは12mgKOH/g以上であり、そして、保存性を確保するための、トナーのガラス転移温度調整の観点から、好ましくは30mgKOH/g以下、より好ましくは25mgKOH/g以下、さらに好ましくは20mgKOH/g以下である。
結晶性ポリエステル樹脂の水酸基価は、低温定着性の観点から、好ましくは3mgKOH/g以上、より好ましくは6mgKOH/g以上、さらに好ましくは8mgKOH/g以上であり、そして、保存性を確保するための、トナーのガラス転移温度調整の観点から、好ましくは30mgKOH/g以下、より好ましくは20mgKOH/g以下、さらに好ましくは15mgKOH/g以下である。
非晶質複合樹脂と結晶性ポリエステル樹脂の質量比(非晶質複合樹脂/結晶性ポリエステル樹脂)は、生産性の観点から、好ましくは70/30以上、より好ましくは75/25以上、さらに好ましくは80/20以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは98/2以下、より好ましくは95/5以下、さらに好ましくは90/10以下である。
本発明のトナーは、前記の非晶質複合樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂を結着樹脂として含有しており、これらの樹脂以外の結着樹脂が含有されていてもよいが、これらの樹脂の合計含有量は、結着樹脂中、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは100質量%である。他の結着樹脂としては、スチレン-アクリル樹脂等のビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン、これらの樹脂を2種以上含む複合樹脂等が挙げられる。
本発明のトナーは、結着樹脂以外に、着色剤、離型剤、荷電制御剤、磁性粉、流動性向上剤、導電性調整剤、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、クリーニング性向上剤等の添加剤を含有していてもよい。
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料、磁性体等を使用することができる。例えば、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントレッド122、ピグメントグリーンB、ローダミン-Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、イソインドリン、ジスアゾエロー等が挙げられる。なお、本発明において、トナーは、黒トナー、カラートナーのいずれであってもよい。
着色剤の含有量は、トナーの画像濃度及び低温定着性を向上させる観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上であり、そして、好ましくは40質量部以下、より好ましくは10質量部以下である。
離型剤としては、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンポリエチレン共重合体ワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、サゾールワックス等の炭化水素系ワックス及びそれらの酸化物;カルナウバワックス、モンタンワックス及びそれらの脱酸ワックス、脂肪酸エステルワックス等のエステル系ワックス;脂肪酸アミド類、脂肪酸類、高級アルコール類、脂肪酸金属塩等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を用いることができる。
離型剤の融点は、トナーの転写性の観点から、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは160℃以下、より好ましくは150℃以下である。
離型剤の含有量は、トナーの低温定着性と耐オフセット性の観点及び結着樹脂中への分散性の観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは1.5質量部以上であり、そして、好ましくは10質量部以下、より好ましくは8質量部以下、さらに好ましくは7質量部以下である。
荷電制御剤は、特に限定されず、正帯電性荷電制御剤及び負帯電性荷電制御剤のいずれを含有していてもよい。
正帯電性荷電制御剤としては、ニグロシン染料、例えば「ニグロシンベースEX」、「オイルブラックBS」、「オイルブラックSO」、「ボントロンN-01」、「ボントロンN-04」、「ボントロンN-07」、「ボントロンN-09」、「ボントロンN-11」(以上、オリエント化学工業(株)製)等;3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩化合物、例えば「ボントロンP-51」(オリエント化学工業(株)製)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、「COPY CHARGE PX VP435」(クラリアント社製)等;ポリアミン樹脂、例えば「AFP-B」(オリエント化学工業(株)製)等;イミダゾール誘導体、例えば「PLZ-2001」、「PLZ-8001」(以上、四国化成工業(株)製)等;スチレン-アクリル系樹脂、例えば「FCA-701PT」(藤倉化成(株)製)等が挙げられる。
また、負帯電性荷電制御剤としては、含金属アゾ染料、例えば「バリファーストブラック3804」、「ボントロンS-31」、「ボントロンS-32」、「ボントロンS-34」、「ボントロンS-36」(以上、オリエント化学工業(株)製)、「アイゼンスピロンブラックTRH」、「T-77」(保土谷化学工業(株)製)等;ベンジル酸化合物の金属化合物、例えば、「LR-147」、「LR-297」(以上、日本カーリット(株)製)等;サリチル酸化合物の金属化合物、例えば、「ボントロンE-81」、「ボントロンE-84」、「ボントロンE-88」、「ボントロンE-304」(以上、オリエント化学工業(株)製)、「TN-105」(保土谷化学工業(株)製)等;銅フタロシアニン染料;4級アンモニウム塩、例えば「COPY CHARGE NX VP434」(クラリアント社製)、ニトロイミダゾール誘導体等;有機金属化合物等が挙げられる。
荷電制御剤の含有量は、トナーの帯電安定性の観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.2質量部以上であり、そして、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、さらに好ましくは3質量部以下、さらに好ましくは2質量部以下である。
本発明のトナーは、溶融混練法、乳化転相法、重合法等の従来より公知のいずれの方法により得られたトナーであってもよいが、生産性や着色剤の分散性の観点から、溶融混練法による粉砕トナーが好ましい。溶融混練法による粉砕トナーの場合、例えば、結着樹脂、着色剤、離型剤、荷電制御剤等の原料をヘンシェルミキサー等の混合機で均一に混合した後、密閉式ニーダー、1軸もしくは2軸の押出機、オープンロール型混練機等で溶融混練し、冷却、粉砕、分級して製造することができる。
本発明のトナーには、転写性を向上させるために、外添剤を用いることが好ましい。外添剤としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化亜鉛等の無機微粒子や、メラミン系樹脂微粒子、ポリテトラフルオロエチレン樹脂微粒子等の樹脂粒子等の有機微粒子が挙げられ、2種以上が併用されていてもよい。これらの中では、シリカが好ましく、トナーの転写性の観点から、疎水化処理された疎水性シリカであることがより好ましい。
シリカ粒子の表面を疎水化するための疎水化処理剤としては、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、ジメチルジクロロシラン(DMDS)、シリコーンオイル、オクチルトリエトキシシラン(OTES)、メチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
外添剤の平均粒子径は、トナーの帯電性や流動性、転写性の観点から、好ましくは10nm以上、より好ましくは15nm以上であり、そして、好ましくは250nm以下、より好ましくは200nm以下、さらに好ましくは90nm以下である。
外添剤の含有量は、トナーの帯電性や流動性、転写性の観点から、外添剤で処理する前のトナー100質量部に対して、好ましくは0.05質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、さらに好ましくは0.3質量部以上であり、そして、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下である。
本発明のトナーの体積中位粒径(D50)は、好ましくは3μm以上、より好ましくは4μm以上であり、そして、好ましくは15μm以下、より好ましくは10μm以下である。なお、本明細書において、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。また、トナーを外添剤で処理している場合には、外添剤で処理する前のトナー粒子の体積中位粒径をトナーの体積中位粒径とする。
本発明のトナーは、特に限定されるものでないが、そのまま一成分現像用トナーとして、又はキャリアと混合して用いられる二成分現像用トナーとして、それぞれ一成分現像方式又は二成分現像方式の画像形成装置に用いることができるが、キャリア汚染を低下する本発明の効果は、キャリアと混合した二成分現像剤として用いることにより、より顕著に発揮されるものである。
二成分現像剤において、キャリアのコア材としては、公知の材料からなるものを特に限定することなく用いることができ、例えば、鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属、マグネタイト、ヘマタイト、フェライト、銅-亜鉛-マグネシウムフェライト、マンガンフェライト、マグネシウムフェライト等の合金や化合物、ガラスビーズ等が挙げられ、これらの中では、トナーの帯電安定性を向上させ、耐刷時のトナーの感光体摩耗を抑制し、画像濃度を維持する観点から、マグネタイト、フェライト、銅-亜鉛-マグネシウムフェライト及びマンガンフェライトが好ましい。
キャリアの表面は、トナーのスペントを防止する観点から樹脂で被覆されていてもよい。キャリア表面を被覆する樹脂としては、ともに用いるトナーの原料により異なるが、例えばポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂、ポリジメチルシロキサン等のシリコーン樹脂、ポリエステル、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリビニルブチラール、アミノアクリレート樹脂等が挙げられる。トナーの帯電安定性を向上させ、耐刷時のトナーの感光体摩耗を抑制し、画像濃度を維持する観点から、シリコーン樹脂が好ましい。これらは単独であるいは2種以上を併用することができる。
樹脂によるコア材の被覆方法は、例えば、樹脂等の被覆材を溶剤中に溶解もしくは懸濁させて塗布し、コア材に付着させる方法、樹脂粉体とコア材を混合して、コア材に付着させる方法等、特に限定されない。
トナーとキャリアとを混合して得られる二成分現像剤において、トナーの含有量は、外添剤のトナーへの埋め込みを防止し、耐刷時のトナーの感光体摩耗を抑制し、画像濃度を維持する観点から、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上であり、そして、トナーの帯電安定性を向上させ、耐刷時のトナーの感光体摩耗を抑制し、画像濃度を維持する観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは9質量%以下、さらに好ましくは8質量%以下である。
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。樹脂等の物性は、以下の方法により測定した。
〔樹脂の軟化点〕
フローテスター「CFT-500D」((株)島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
〔樹脂の吸熱の最高ピーク温度〕
示差走査熱量計「Q-100」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製)を用いて、試料0.01~0.02gをアルミパンに計量し、室温(25℃)から降温速度10℃/minで0℃まで冷却し、0℃にて1分間維持する。その後、昇温速度10℃/minで測定する。観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を吸熱の最高ピーク温度とする。
〔樹脂のガラス転移温度〕
示差走査熱量計「DSC Q20」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製)を用いて、試料0.01~0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで昇温し、吸熱ピークを測定する。吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とする。
〔樹脂の酸価〕
JIS K 0070:1992の方法に基づき測定する。ただし、測定溶媒のみJIS K 0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、非晶質樹脂はアセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に、結晶性樹脂はクロロホルム:ジメチルホルムアミドの混合溶媒(クロロホルム:ジメチルホルムアミド=7:3(容量比))に、それぞれ変更する。
〔樹脂の水酸基価〕
JIS K 0070:1992の方法に基づき測定する。ただし、測定溶媒のみJIS K 0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒からテトラヒドロフランに変更する。
〔離型剤の融点〕
示差走査熱量計「DSC Q20」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製)を用いて、試料0.01~0.02gをアルミパンに計量し、昇温速度10℃/minで200℃まで昇温し、その温度から降温速度5℃/minで-10℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで180℃まで昇温し測定する。そこで得られた融解吸熱カーブから観察される吸熱の最高ピーク温度を離型剤の融点とする。
〔外添剤の平均粒子径〕
平均粒子径は、個数平均粒子径を指し、走査型電子顕微鏡(SEM)写真から500個の粒子の粒径(長径と短径の平均値)を測定し、それらの数平均値とする。
〔トナーの体積中位粒径〕
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター(株)製)
アパチャー径:100μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター(株)製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター(株)製)
分散液:電解液にエマルゲン109P(花王(株)製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB(グリフィン):13.6)を溶解して5質量%に調整したもの
分散条件:前記分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機(機械名:(株)エスエヌディー製US-1、出力:80W)にて1分間分散させ、その後、前記電解液25mLを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記電解液100mLに、3万個の粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度となるように、前記試料分散液を加え、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
樹脂製造例1
表1、2に示す無水トリメリット酸以外のポリエステル系樹脂セグメントの原料モノマーを、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、160℃まで昇温した。そこに、ビニル系樹脂セグメントの原料モノマー、両反応性モノマー及び重合開始剤を混合したものを滴下し、重合を行った後、エステル化触媒を添加し、235℃まで昇温して10時間反応させた。その後、無水トリメリット酸を投入し、220℃、8.0kPaにて表1、2に示す軟化点に達するまで反応を行い、非晶質複合樹脂(樹脂A1~A6、A9、A10)を得た。
樹脂製造例2
表2に示す無水トリメリット酸以外のポリエステル系樹脂セグメントの原料モノマーを、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、160℃まで昇温した。そこに、ビニル系樹脂セグメントの原料モノマー、両反応性モノマー及び重合開始剤を混合したものを滴下し、重合を行った後、エステル化触媒を添加し、220℃まで7時間かけて昇温を行い、220℃にて4時間反応させた。その後、無水トリメリット酸を投入し、220℃、8.0kPaにて表2に示す軟化点に達するまで反応を行い、非晶質複合樹脂(樹脂A7、A8)を得た。
樹脂製造例3
表3に示すアルコール成分とカルボン酸成分を、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、200℃まで8時間かけて昇温を行った。その後、エステル化触媒を添加し、8.0kPaにて表3に示す軟化点に達するまで反応を行い、結晶性ポリエステル樹脂(樹脂C1~C3)を得た。
Figure 0007154104000002
Figure 0007154104000003
Figure 0007154104000004
実施例1~12及び比較例1~3
表4に示す結着樹脂100質量部、着色剤「ECB-301」(大日精化社製)5質量部、荷電制御剤「LR-147」(日本カーリット社製)1質量部、離型剤「カルナウバワックス C1」(加藤洋行社製、融点:80℃)2質量部、及び離型剤「パラフリントH105」(サゾールワックス社製、融点110℃)2質量部を、ヘンシェルミキサーでよく攪拌した後、混練部分の全長1560mm、スクリュー径42mm、バレル内径43mmの同方向回転二軸押出機を用いて溶融混練した。スクリューの回転速度は200r/min、ロール内の加熱設定温度は100℃であり、混練物の温度は160℃、混練物の供給速度は10kg/h、平均滞留時間は約18秒であった。
得られた溶融混練物を冷却し、粉砕機「ロートプレックス」(ホソカワミクロン社製)により目開き2mmのふるいを用いて2mm以下に粗粉砕した。
得られた粗粉砕物を、日本ニューマチック社製のIDS2型粉砕機を用いて微粉砕を行った。粉砕機の条件としては、衝突部材を半径10mmの真円を底面とする円柱を底面に対して垂直に切断することにより二等分して得られた半円柱型衝突部材に取り替えて用い、粉砕エア圧を0.5MPa、衝突板とノズルの距離を20mmに調整して、体積中位粒径6.0μm、CV値22になるように、原料フィード量を調整して粉砕した。
ここで、この粉砕工程での粉砕量(原料フィード量)、収率及びとれ高を測定、算出し、生産性を評価した。結果を表4に示す。
粉砕圧力、装置の条件を固定しているため、トナー平均粒径は、原料フィード量(kg/h)によって決まる。原料フィード量が多いほど、1時間当たりに砕けるトナー量が多いことを示し、生産性が高いことを示すが、過粉砕が起こると収率が下がるため、実際の生産高は減少する。即ち、原料フィード量と収率の積(原料フィード量×収率)がとれ高となる。収率に関しては、コストに跳ね返ってくるため、生産高とは別に重要な要素となる。
得られたトナー粒子100質量部に、外添剤として疎水性シリカ「AEROSIL NAX 50」(日本アエロジル(株)製、疎水化処理剤:HMDS、平均粒子径:約30nm)1.0質量部を添加し、ヘンシェルミキサーで混合することにより、トナーを得た。
試験例1〔低温定着性〕
トナーを複写機「AR-505」(シャープ(株)製)に実装し、トナー付着量が0.7mg/cm2の未定着画像(2cm×12cm)を得た。複写機「AR-505」(シャープ(株)製)の定着機をオフラインで定着可能なように改良した定着機(定着速度200mm/sec)を用い、定着温度を90℃から240℃へと5℃ずつ順次上昇させながら、各定着温度で定着試験を行い、最低定着温度を判断した。定着紙には、「CopyBond SF-70NA」(シャープ社製、75g/m2)を使用した。
最低定着温度は500gの荷重をかけた底面が15mm×7.5mmの砂消しゴムで、定着機を通して定着された画像を5往復擦り、擦る前後の光学反射密度を反射濃度計「RD-915」(マクベス社製)を用いて測定し、両者の比率(擦り後/擦り前)が最初に70%を越える定着ローラーの温度を最低定着温度とする。結果を表4に示す。最低定着温度が低いほど、低温定着性に優れる。
試験例2〔耐キャリア汚染性〕
トナー3質量部と平均粒子径90μmのシリコンコートフェライトキャリア(関東電化工業社製)97質量部とを混合して得られた現像剤を複写機「プリテール50」(リコー社製)に実装し、印字率5%の画像を2時間連続印刷した後、トナーを取り出し得られた混合物を目開き32μmの篩を用いてトナー部分を吸引し、キャリア部分だけにした。得られたキャリアの炭素量を炭素分析装置「EMIA-110」(堀場製作所製)を用いて測定し、あらかじめトナーと混合する前に測定しておいたキャリアの炭素量との差を求め、以下の評価基準に基づいて耐キャリア汚染性として評価した。結果を表4に示す。炭素量の差が大きいほど、キャリアに多量のトナーが付着していると判断できる。炭素量の差は0.3未満が実用上許容される範囲である。
Figure 0007154104000005
以上の結果より、非晶質複合樹脂の両反応性モノマーとしてアクリル酸を使用した比較例1、2、非晶質複合樹脂を用いていない比較例3のトナーと対比して、実施例1~12のトナーは、低温定着性及び生産性が良好であり、キャリア汚染も抑制されていることが分かる。
本発明の静電荷像現像用トナーは、例えば、静電荷像現像法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像等に用いられるものである。

Claims (5)

  1. アルコール成分と芳香族ジカルボン酸系化合物を含むカルボン酸成分との重縮合物であるポリエステル系樹脂セグメントと、スチレン系化合物を含む原料モノマーの付加重合物であるビニル系樹脂セグメントとが、両反応性モノマーを介して共有結合してなる非晶質複合樹脂(ただし、ポリエチレンテレフタレートを使用して得られた非晶質複合樹脂を除く)と、結晶性ポリエステル樹脂とを含有する静電荷像現像用トナーであって、前記両反応性モノマーが水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含み、前記非晶質複合樹脂が前記両反応性モノマーを用いて得られる樹脂であり、前記非晶質複合樹脂の軟化点が100℃以上129.2℃以下である、静電荷像現像用トナー。
  2. スチレン系化合物と水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルの質量比(スチレン系化合物/水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル)が70/30以上98/2以下である、請求項1記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 非晶質複合樹脂と結晶性ポリエステル樹脂の質量比(非晶質複合樹脂/結晶性ポリエステル樹脂)が、70/30以上98/2である、請求項1又は2記載の静電荷像現像用トナー。
  4. ポリエステル系樹脂セグメントとビニル系樹脂セグメントの質量比(ポリエステル系樹脂セグメント/ビニル系樹脂セグメント)が50/50以上95/5以下である、請求項1~3いずれか記載の静電荷像現像用トナー。
  5. 水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルが(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチルである、請求項1~4いずれか記載の静電荷像現像用トナー。
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