JP2005017874A - 異常発生予測方法、状態判定装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】画像形成装置の状態と関連がある複数種類の情報を取得し、取得した複数種類の情報から指標値Dを算出し、算出した指標値Dの時間変化のデータに基づいて、その後の画像形成装置の状態の変化を判定する。複数種類の情報は、画像形成装置に設けたセンサーで検出した検出値、画像形成装置の制御に用いる制御パラメータの値、及び画像形成対象の入力画像に関する情報の少なくとも一つの情報を含む。画像形成装置の正常動作中に取得した複数種類の情報に基づいて、上記指標値Dの算出方法を決定してもよい。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンター、FAXなどの画像形成装置、画像形成装置における異常発生予測方法、及び画像形成装置の状態を判定する状態判定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の画像形成装置、特に電子写真方式の画像形成装置においては、トナーや感光体などの消耗品の交換や故障時の修理などメンテナンスが必要である。故障した場合は、故障発生から修理完了まで装置の全機能または一部の機能を停止させることになり、使用者にとって時間的なロスが大きい。そこで、故障の発生やユニット・部品等の寿命の到来などの画像形成装置における異常状態の発生を予測し、予めメンテナンスなどの必要な処置を施して、ダウンタイムを低減することが望まれている。
【0003】
従来、上記故障や寿命等の異常状態の発生を予測する方法としては、画像形成装置の各種センサで検知されたセンシング情報等の複数の情報に対して統計的な処理や推論などにより行う方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−175328号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記特許文献1の方法では、異常状態の発生の可能性の有無については予測していたが、その異常状態の具体的な発生時期についてまでは予測していなかった。画像形成装置における異常状態の具体的な発生時期が予測できれば、その異常に対するメンテナンスの緊急度を判断して適正な時期にメンテナンスできるようになる。そこで、画像形成装置における故障等の異常状態の発生の可能性の有無だけでなく、その異常状態の発生時期まで予測することが望まれる。
【0006】
本発明は以上の背景に鑑みなされたものである。その目的は、画像形成装置における故障等の異常状態の発生時期まで予測可能になる異常発生予測方法、状態判定装置及び画像形成装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、画像形成装置の異常状態の発生を予測する異常発生予測方法であって、画像形成装置の状態と関連がある複数種類の情報を取得するステップと、該複数種類の情報から指標値を算出するステップと、該指標値の時間変化のデータに基づいて、その後の該画像形成装置の状態の変化を判定するステップとを含むことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の異常発生予測方法において、上記複数種類の情報は、上記画像形成装置に設けたセンサーで検出した検出値、該画像形成装置の制御に用いる制御パラメータの値、及び画像形成対象の入力画像に関する情報の少なくとも一つの情報を含むことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の異常発生予測方法において、上記画像形成装置の正常動作中に取得した上記複数種類の情報に基づいて、上記指標値の算出方法を決定することを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項3の異常発生予測方法において、上記算出方法を次の手順(1)〜(5)で決定することを特徴とするものである。
(1)上記複数種類の情報として予め選定したk種類の情報を、上記画像形成装置を安定状態で動作させながらn組取得する。
(2)取得した(k×n)個の情報を、種類ごとに規格化する。
(3)規格化した(k×n)個の情報の各種類間のすべての組み合わせについて相関係数を求める。
(4)それらの相関係数を要素とする(k×k)の行列の逆行列を求める。
(5)その逆行列のすべての要素を用いて上記算出方法を定義する。
また、請求項5の発明は、画像形成装置の状態を判定する状態判定装置であって、画像形成装置の状態と関連がある複数種類の情報を取得する情報取得手段と、該複数種類の情報から指標値を算出する指標値算出手段と、該指標値の時間変化のデータに基づいて、その後の該画像形成装置の状態の変化を判定する状態変化判定手段とを備えたことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項5の状態判定装置において、上記判定手段の判定結果に基づいて、上記画像形成装置における異常状態の発生時期を予測する異常発生予測手段を備えたことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項5又は6の状態判定装置において、上記指標値の時間変化のデータを表示する指標値データ表示手段を備えたことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項5乃至7のいずれかの状態判定装置において、上記複数種類の情報は、上記画像形成装置に設けたセンサーで検出した検出値、該画像形成装置の制御に用いる制御パラメータの値、及び画像形成対象の入力画像に関する情報の少なくとも一つの情報を含むことを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項5乃至8のいずれかの状態判定装置において、上記指標値算出手段は、上記画像形成装置の正常動作中に取得した上記複数種類の情報に基づいて、上記指標値の算出方法を決定することを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項9の状態判定装置において、上記指標値算出手段は、上記算出方法を次の手順(1)〜(5)で決定することを特徴とするものである。
(1)上記複数種類の情報として予め選定したk種類の情報を、上記画像形成装置を動作させながらn組取得する。
(2)取得した(k×n)個の情報を、種類ごとに規格化する。
(3)規格化した(k×n)個の情報の各種類間のすべての組み合わせについて相関係数を求める。
(4)それらの相関係数を要素とする(k×k)の行列の逆行列を求める。
(5)その逆行列のすべての要素を用いて上記算出方法を定義する。
また、請求項11の発明は、請求項10の状態判定装置において、上記情報取得手段は、上記n組の情報を1台の画像形成装置から時系列で取得することを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、請求項10の状態判定装置において、上記情報取得手段は、上記n組の情報を複数台の画像形成装置から並列的に取得することを特徴とするものである。
また、請求項13の発明は、請求項5乃至12のいずれかの状態判定装置において、上記画像形成装置の複数種類の異常について予め取得した上記複数の情報の時間変化を該異常の内容と関連付けて記憶した情報記憶手段と、上記指標値算出手段で算出した指標値が所定の基準値よりも大きくなったときに、その後の上記複数の情報の時間変化と、該情報記憶手段に記憶している情報とに基づいて、その後に発生すると予測される異常の内容を特定する異常内容特定手段とを備えたことを特徴とするものである。
また、請求項14の発明は、請求項5乃至13のいずれかの状態判定装置において、上記指標値の算出に用いる複数の情報を上記画像形成装置から通信回線を介して受信するための通信手段を備えたことを特徴とするものである。
また、請求項15の発明は、画像形成装置自体の状態の変化を判定する状態変化判定手段と、記録媒体に画像を形成する画像形成手段とを備えた画像形成装置において、上記状態変化判定手段として、請求項5乃至14のいずれかの状態判定装置を用いたことを特徴とするものである。
また、請求項16の発明は、請求項15の画像形成装置において、上記指標値の時間変化のデータに基づいて上記画像形成手段を制御する制御手段を備えたことを特徴とするものである。
また、請求項17の発明は、請求項15又は16の画像形成装置において、上記画像形成手段は、像担持体上に潜像を形成し、該像担持体上の潜像を現像してトナー像を形成し、該像担持体上のトナー像を直接又は中間転写体を介して上記記録媒体に転写するものであることを特徴とするものである。
また、請求項18の発明は、請求項15乃至17のいずれかの画像形成装置において、上記指標値の時間変化のデータから予測した異常状態の発生の予測結果を表示する異常予測結果表示手段を備えたことを特徴とするものである。
また、請求項19の発明は、請求項15乃至17のいずれかの画像形成装置において、上記指標値の時間変化のデータから予測した異常状態の発生の予測結果を通信回線を介して外部装置に送信する通信手段を備えたことを特徴とするものである。
また、請求項20の発明は、請求項16又は17の画像形成装置において、上記制御手段は、上記判定の結果に基づいて、画像形成動作に制限を加えるように上記画像形成手段を制御することを特徴とするものである。
また、請求項21の発明は、請求項16又は17の画像形成装置において、上記制御手段は、上記判定の結果に基づいて修復のための修復制御モードを実行することを特徴とするものである。
また、請求項22の発明は、請求項15乃至21のいずれかの画像形成装置において、上記状態判定手段は、画像形成装置の稼動を開始するたびに上記指標値の算出方法を再決定することを特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は本発明に係る異常発生予測方法に用いることができる状態判定装置を含む異常発生予測システムの基本的な構成を示すブロック図である。状態判定装置1は、情報取得手段としての情報取得部2と、指標値算出手段としての指標値算出部3と、状態変化判定手段としての判定部4を備えている。情報取得部2は、画像形成装置の画像形成動作に関する複数種類の情報を取得する。指標値算出部3は、情報取得部2で取得した複数種類の情報に基づいて単一の指標値を算出する。判定部4は、指標値算出部3で算出した指標値の時間変化のデータに基づいて、その後の画像形成装置の状態の変化を判定する。指標値算出部3で算出した指標値の時間変化のデータや、判定部4で判定された判定結果のデータは、画像形成手段としての画像形成システム6内の各装置を制御する制御手段としての制御部5で用いられたり、ディスプレイ等の表示手段や外部装置に出力したりすることができる。
【0009】
上記情報取得部2は、後述の各種情報を取得するものであり、各種センシング情報を検出する各種センサ、制御部5及び図示しない画像データ処理部との間でデータ送受信用の通信インターフェース等で構成されている。この情報取得部2は、各種センサ、制御部5及び画像データ処理部に対してデータ取得要求を送信する。そして、各種センサから各種センシング情報のデータを受信し、制御部5から制御パラメータ情報のデータを受信し、画像データ処理部から入力画像情報のデータを受信することができる
上記制御部5は、CPU、RAM、ROM及びI/Oインターフェース部などにより構成されている。
上記指標値算出部3及び判定部4は、専用のLSI等で構成した装置として制御部5とは別に設けてもいいし、上記制御部5を構成するCPU等のハードウェア資源を兼用して構成してもよい。
【0010】
上記情報取得部2で取得して指標値算出部に入力する情報は、センシング情報(a)、制御パラメータ情報(b)、入力画像情報(c)などの情報である。
上記センシング情報は、画像形成装置の内部あるいは周辺に設けられた各種センサにより得られるデータからなる情報である。このセンシング情報としては、装置各部の寸法、装置内にある移動体の速度、時間(タイミング)、重量、電流値、電位、振動、音、磁力、光量、温度、湿度などがある。
上記制御パラメータ情報は、装置の制御の結果として蓄積されている情報一般である。この制御パラメータ情報としては、ユーザーの操作履歴、消費電力、消費トナー量、各種の画像形成条件設定履歴、警告履歴などがある。
上記入力画像情報は、画像データとして画像形成システム6へ入力された情報から得られるものである。この入力画像情報としては、着色画素累積数、文字部比率、ハーフトーン部比率、色文字比率、主走査方向のトナー消費分布、RGB信号(画素単位の総トナー量)、原稿サイズ、縁有り原稿、文字の種類(大きさ、フォント)などがある。
【0011】
図2は、上記構成の異常発生予測システムの基本的な動作を示すフローチャートである。この異常発生予測システムの状態判定装置1に、画像形成装置の状態との関連が予想される上述の複数種類の情報が入力される(ステップ1−1)。この複数種類の情報が情報取得部2によって必要なタイミングで取得され、指標値算出部3において、取得した情報に基づいて予め決められた算出方法により、単一の指標値が算出される(ステップ1−2)。この算出された指標値の時間変化のデータは、画像形成装置の故障などの異常発生の判定に用いられたり、ディスプレイや外部装置に出力されたりする(ステップ1−3)。
【0012】
ここで、上記指標値の算出に先だって、その指標値の算出方法(算出式)を決める必要がある。本実施形態では、入力する複数の情報それぞれに対して互いに異なる座標軸を設定した多次元空間を定義し、その多次元空間での距離として指標値を算出する。そのために、画像形成装置が正常に動作している状態において、図1で取得する複数の情報を複数組求める。
【0013】
図3は、上記指標値の算出方法(算出式)を決める手順を示すフローチャートである。
まず、画像形成装置の状態と関連があると考えられるk個の情報を、画像形成装置を動作させながらn組取得する(ステップ2−1)。情報の取得については前述のとおりであり、その具体例については後述する。
表1は、取得した情報のデータの構成を示している。最初の条件(例えば1日目あるいは1台目など)でk個のデータが得られる。それらをy11,y12,・・・,y1kとする。同様に次の条件(2日目あるいは2台目など)で得られるデータをy21,y22,・・・,y2k、などとし、n組のデータが得られる。
【表1】
【0014】
次に、情報の種類(j)ごとに、式(1)を用いて生データ(例えばyij)を平均値(yj)と標準偏差(σj)で規格化する(ステップ2−2)。表2は、表1に示すデータを数1に示す式を用いて規格化した結果を示している。
【数1】
【表2】
【0015】
次に、数2で示す式を用いてk種類のうち2組のデータ間の相関係数rpq(=rqp)をすべて求め、それらを数3で示すように行列Rで表わす(ステップ2−3)。さらに、相関係数の行列Rの逆行列を求め、その結果を、数4のように行列Aで表わす(ステップ2−4)。なお、数2で示す式中の「Σ」は、添字iに関する総和を表している。
【数2】
【数3】
【数4】
【0016】
以上により、上記単一の指標値の算出するときに用いる算出式における算出パラメータの値が定まる。ここで扱うデータ群はいずれも正常な状態を表すものであるので、取りこんだ様々な情報間に一定の相関があると考える。正常な状態から離れて故障などの異常が起こりそうになると、これらの相関に乱れが生じて、上記定義した多次元空間における原点(安定状態の平均)からの「距離」が大きくなる。この「距離」が指標値である。
【0017】
図4は、図2におけるステップ1−2における指標値の算出の手順のフローチャートである。任意のタイミングにおける指標値は次のようにして求める。まず、任意の状態でのk種類のデータx1,x2,・・・,xkを取得する(ステップ3−1)。データの種類はy11,y12,・・・,y1kなどに対応する。次に、数5に示す式を用いて、取得した情報のデータを規格化する(ステップ3−2)。ここで、規格化したデータをX1,X2,・・・,Xkとする。次に、すでに求めている逆行列Aの要素akkを用いて決めた数6に示す算出式により、指標値D2を算出する。なお、この指標値の平方根であるDは「マハラノビスの距離」と呼ばれている。また、数6で示す式中の「Σ」は、添字pおよびqに関する総和を表している。
【数5】
【数6】
【0018】
なお、上記指標値の算出方法を決定する処理すなわち上記指標値の算出式を決定する処理と、その算出式を用いて指標値Dを算出して更新する処理は、画像形成システム6を動作させた状態で連続して実行するようにしてもよい。この場合の処理のフローチャートは、図5に示すように上記図2の処理ステップと図3の処理ステップとを組み合わせたものになる。
【0019】
次に、本発明を適用可能な画像形成装置の構成例及びその動作について説明する。
図6は、本実施形態に係る電子写真方式を用いた画像形成装置であるカラー複写機の構成図である。このカラー複写機の画像形成手段としての画像形成システム6は、複写装置本体であるプリンタ部100と給紙部200とスキャナ部300と原稿搬送部400とを備えている。スキャナ部300は複写装置本体100上に取り付けられ、そのスキャナ部300の上に原稿自動搬送装置(ADF)からなる原稿搬送部400が取り付けられている。また、カラー複写機内の各装置の動作を制御する制御手段としての制御部5(図1参照)も備えている。この制御部5は、前述のようにCPU、RAM、ROM及びI/Oインターフェース部などにより構成されている。
【0020】
スキャナ部300は、コンタクトガラス32上に載置された原稿の画像情報を読取センサ36で読み取り、読み取った画像情報を制御部に送る。制御部は、スキャナ部300から受け取った画像情報に基づき、プリンタ部100の露光装置21内に配設された図示しないレーザやLED等を制御して感光体ドラム40Bk、40Y、40M、40Cに向けてレーザ書き込み光Lを照射させる。この照射により、感光体ドラム40Bk、40Y、40M、40Cの表面には静電潜像が形成され、この潜像は所定の現像プロセスを経由してトナー像に現像される。
【0021】
プリンタ部100は、露光装置21の他、一次転写装置62、二次転写装置22、定着装置25、排紙装置、図示しないトナー供給装置、トナー供給装置等も備えている。なお、上記現像プロセスについては後に詳述する。
【0022】
給紙部200は、ペーパーバンク43に多段に備える給紙カセット44、給紙カセットから記録媒体としての転写紙を繰り出す給紙ローラ42、繰り出した転写紙Pを分離して給紙路46に送り出す分離ローラ45、プリンタ部100の給紙路48に転写紙Pを搬送する搬送ローラ47等を備えている。本実施形態の装置においては、この給紙部以外に、手差し給紙も可能となっており、手差しのための手差しトレイ51、手差しトレイ上の転写紙Pを手差し給紙路53に向けて一枚ずつ分離する分離ローラ52も装置側面に備えている。レジストローラ49は、それぞれ給紙カセット44又は手差しトレイ51に載置されている転写紙Pを1枚だけ排出させ、中間転写体としての中間転写ベルト10と2次転写装置22との間に位置する二次転写ニップ部に送る。
【0023】
上記構成において、カラー画像のコピーをとるとき、原稿搬送部400の原稿台30上に原稿をセットするか、又は原稿搬送部400を開いてスキャナ部300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿搬送部400を閉じて原稿を押さえる。そして、図示しないスタートスイッチを押すと、原稿搬送部400に原稿をセットしたときは原稿をコンタクトガラス32上へと搬送して後、他方コンタクトガラス32上に原稿をセットしたときは直ちに、スキャナ部300を駆動し、第1走行体33及び第2走行体34を走行する。そして、第1走行体33で光源から光を発射するとともに原稿面からの反射光をさらに反射して第2走行体34に向け、第2走行体34のミラーで反射して結像レンズ35を通して読取りセンサ36に入れ、画像情報を読み取る。そして、スキャナ部から画像情報を受け取ると、上述のようなレーザ書き込みや、後述する現像プロセスを実施させて感光体ドラム40Bk、40Y、40M、40C上にトナー像を形成させるとともに、画像情報に応じたサイズの転写紙Pを給紙させるべく、4つのレジストローラのうちの1つを作動させる。
また、これに伴なって、不図示の駆動モータで支持ローラ14、15、16の1つを回転駆動して他の2つの支持ローラを従動回転し、中間転写ベルト10を回転搬送する。同時に、個々の画像形成ユニット18でその感光体ドラム40Bk、40Y、40M、40Cを回転して各感光体ドラム40Bk、40Y、40M、40C上にそれぞれ、ブラック・イエロー・マゼンタ・シアンの単色画像を形成する。そして、中間転写ベルト10の搬送とともに、それらの単色画像を順次転写して中間転写ベルト10上に合成カラー画像を形成する。
【0024】
一方、給紙部200の給紙ローラ42の1つを選択回転し、給紙カセット44の1つから転写紙Pを繰り出し、分離ローラ45で1枚ずつ分離して給紙路46に入れ、搬送ローラ47で複写機本体100内の給紙路48に導き、この転写紙Pをレジストローラ49に突き当てて止める。又は、給紙ローラ50を回転して手差しトレイ51上の転写紙Pを繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。そして、中間転写ベルト10上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転し、中間転写ベルトと二次転写ローラ23との当接部である二次転写ニップ部に転写紙Pを送り込み、ニップに形成されている転写用電界や当接圧力などの影響によってカラー画像を二次転写して転写紙P上にカラー画像を記録する。
【0025】
画像転写後の転写紙Pは、2次転写装置の搬送ベルト24で定着装置25へと送り込み、定着装置25で加圧ローラ27による加圧力と熱の付与によりトナー像を定着させた後、排出ローラ56で排紙トレイ57上に排出する。
【0026】
次に、本実施形態のカラー複写機におけるプリンタ部100の詳細について説明する。
図7は、プリンタ部100の主要部拡大図である。このプリンタ部100は、中間転写ベルトとしての3つの支持ローラ14,15,16に指示された中間転写ベルト10と、中間転写ベルトに対向するよう併設され、表面にブラック、イエロー、マゼンタ、シアンのうちの1色のトナー像をそれぞれ担持する潜像担持体としての4つの感光体ドラム40Bk、40Y、40M、40Cと、感光体ドラム表面にトナー像を形成するための現像手段としての現像ユニット61Bk、61Y、61M、61Cとを備えている。更に、感光体ドラム表面から一次転写後に残留しているトナーを除去する感光体クリーニング装置63Bk、63Y、63M、63Cも備えている。上記複数の感光体ドラム40Bk、40Y、40M、40C、現像ユニット18Bk、18Y、18M、18C、そして、感光体クリーニング装置63Bk、63Y、63M、63Cからなる4つの画像形成ユニット18Bk、18Y、18M、18Cによってタンデム画像形成装置20が構成されている。また、支持ローラ15の向かって左に、トナー像を転写紙上に転写した後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去するベルトクリーニング装置17を備えている。
【0027】
クリーニング装置17には、クリーニング部材として2つのファーブラシ90、91を設けている。ファーブラシ90、91は、φ20mm、アクリルカーボン、6.25D/F、10万本/inch2、1×107Ωのものを使用し、中間転写ベルト10に対して接触してカウンタ方向に回転するように設ける。そして、それぞれのファーブラシ90、91には、図示しない電源から各々異なる極性のバイアスを印加する。そして、これらのファーブラシ90、91には、それぞれ金属ローラ92、93を接触させ、ファーブラシに対して順または逆方向に回転可能に設けている。
【0028】
本実施形態において、中間転写ベルト10の回転方向上流側の金属ローラ92に電源94から(−)電圧を印加し、下流側の金属ローラ93に電源95から(+)電圧を印加する。それらの金属ローラ92、93には、それぞれブレード96、97の先端を押し当てている。そして、中間転写ベルト10の矢印方向への回転とともに、はじめ上流側のファーブラシ90を用いて例えば(−)のバイアスを印加して中間転写ベルト10表面のクリーニングを行う。仮に、金属ローラ92に−700V印加すると、ファーブラシ90は−400Vとなり、中間転写ベルト10上の(+)トナーをファーブラシ90側に転移させることができる。ファーブラシ側に転移させたトナーをさらに電位差によりファーブラシ90から金属ローラ92に転移させ、ブレード96により掻き落とす。
このように、ファーブラシ90で中間転写ベルト10上のトナーを除去するが、中間転写ベルト10上にはまだ多くのトナーが残っている。それらのトナーは、ファーブラシ90に印加される(−)のバイアスにより、(−)に帯電される。これは、電荷注入または放電により帯電されるものと考えられる。次いで下流側のファーブラシ91を用いて今度は(+)のバイアスを印加してクリーニングを行うことにより、それらのトナーを除去することができる。除去したトナーは、電位差によりファーブラシ91から金属ローラ93に転移させ、ブレード97により掻き落とす。ブレード96、97で掻き落としたトナーは、不図示のタンクに回収される。これらのトナーは、後述のトナーリサイクル装置を用いて現像装置61に戻すようにしてもよい。
【0029】
ファーブラシ91でクリーニングされた後の中間転写ベルト10表面は、ほとんどのトナーが除去されているがまだ少しのトナーが残っている。これらの中間転写ベルト10上に残ったトナーは、上述したようにファーブラシ91に印加される(+)のバイアスにより、(+)に帯電される。(+)に帯電されたトナーは、1次転写位置で印加される転写電界により感光体ドラム40Bk、40Y、40M、40C側に転写され、感光体クリーニング装置63で回収することができる。
【0030】
中間転写ベルト10を挟んでタンデム画像形成装置20と反対の側には、2次転写装置22を備える。この2次転写装置22は、本実施形態においては、2つのローラ23間に、2次転写ベルト24を掛け渡して構成し、中間転写ベルト10を介して第3の支持ローラ16に押し当てて配置し、二次転写ニップ部を形成して中間転写ベルト10上のカラートナー画像を転写紙上に二次転写する。二次転写後の中間転写ベルト10は、ベルトクリーニング装置17で、画像転写後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーが除去され、タンデム画像形成装置20による再度の画像形成に備える。上述した2次転写装置22には、画像転写後の転写紙Pを定着装置25へと搬送する転写紙P搬送機能も備えてなる。もちろん、2次転写装置22として、転写ローラや非接触のチャージャを配置してもよく、そのような場合は、この転写紙P搬送機能を併せて備えることは難しくなる。
【0031】
レジストローラ49は一般的には接地されて使用されることが多いが、転写紙Pの紙粉除去のためにバイアスを印加することも可能である。例えば、導電性ゴムローラを用いバイアスを印加する。径φ18mmで、表面を1mm厚みの導電性NBRゴムとする。電気抵抗はゴム材の体積抵抗で10×109Ω・cm程度であり、印加電圧はトナーを転写する側(表側)には−800V程度の電圧が印加されている。又、紙裏面側は+200V程度の電圧が印加されている。
【0032】
一般的に中間転写方式は紙粉が感光体ドラムにまで移動しづらいため、紙粉転写を考慮する必要が少なくアースになっていても良い。また、印加電圧として、DCバイアスが印加されているが、これは転写紙Pをより均一帯電させるためDCオフセット成分を持ったAC電圧でも良い。このようにバイアスを印加したレジストローラ49を通過した後の紙表面は、若干マイナス側に帯電している。よって、中間転写ベルト10から転写紙Pへの転写では、レジストローラ49に電圧を印加しなかった場合に比べて転写条件が変わり転写条件を変更する場合がある。
【0033】
なお、本実施例においては、2次転写装置22および定着装置25の下に、上述したタンデム画像形成装置20と平行に、転写紙Pの両面に画像を記録すべく転写紙Pを反転する転写紙反転装置28(図6参照)を備えている。これによって、転写紙の片面に画像定着後に、切換爪で転写紙の進路を転写紙反転装置側に切り換え、そこで反転させて再び維持転写ニップでトナー像を転写させた後、排紙トレイ上に排紙させるようにしても良い。
【0034】
次に、上記タンデム画像形成装置20について説明する。
図8は、タンデム画像形成装置20の部分拡大図である。4つ画像形成ユニット18Bk、18Y、18M、18Cにおいては、同一の構成からなっているので、4つのカラー記号Bk、Y、M、Cを省略し1つのユニットの構成の詳細を説明する。図14に示すように、この画像形成ユニットは、感光体ドラム40Bk、40Y、40M、40Cのまわりに、帯電手段としての帯電装置60、現像装置61、一次転写手段としての一次転写装置62、感光体クリーニング装置63、除電装置64等を備えている。上記感光体ドラム40Bk、40Y、40M、40Cは、図示例では、アルミニウム等の素管に、感光性を有する有機感光材を塗布し、感光層を形成したドラム状であるが、無端ベルト状であってもよい。
【0035】
また、図示を省略するが、少なくとも感光体ドラム40Bk、40Y、40M、40Cを設け、画像形成ユニット18を構成する部分の全部または一部でプロセスカートリッジを形成し、複写機本体100に対して一括して着脱自在としてメンテナンス性を向上するようにしてもよい。また、画像形成ユニット18を構成する部分のうち、帯電装置60は、図示例ではローラ状につくり、感光体ドラム40Bk、40Y、40M、40Cに接触して電圧を印加することによりその感光体ドラム40Bk、40Y、40M、40Cの帯電を行う。勿論、非接触のスコロトロンチャージャで帯電を行うことも出来る。
【0036】
現像装置61は、一成分現像剤を使用してもよいが、図示例では、磁性キャリアと非磁性トナーとよりなる二成分現像剤を使用している。そして、その二成分現像剤を攪拌しながら搬送して現像スリーブ65に二成分現像剤を供給付着させる攪拌部66と、その現像スリーブ65に付着した二成分現像剤のうちのトナーを感光体ドラム40Bk、40Y、40M、40Cに転移する現像部67とを設け、その現像部67より攪拌部66を低い位置としている。
攪拌部66には、平行な2本のスクリュ68を設けており、2本のスクリュ68の間は、両端部を除いて仕切り板69で仕切っている。また、現像ケース70にトナー濃度センサ71を設けている。
現像部67には、現像ケース70の開口を通して感光体ドラム40Bk、40Y、40M、40Cと対向して現像スリーブ65を設けるとともに、その現像スリーブ65内にマグネット72を固定して設ける。また、その現像スリーブ65に先端を接近してドクタブレード73を設けている。図示例では、ドクタブレード73と現像スリーブ65間の最接近部における間隔は500μmに設定している。
【0037】
現像スリーブ65は、非磁性の回転可能なスリーブ状の形状を持ち、内部には複数のマグネット72を配設している。マグネット72は、固定されているために現像剤が所定の場所を通過するときに磁力を作用させられるようになっている。図示例では、現像スリーブ65の直径をφ18mmとし、表面はサンドブラストまたは1〜数mmの深さを有する複数の溝を形成する処理を行い、表面粗さ(Rz)が10〜30μmの範囲に入るように形成されている。
【0038】
マグネット72は、例えば、ドクタブレード73の箇所から現像スリーブ65の回転方向にN1、S1、N2、S2、S3の5磁極を有する。現像剤は、マグネット72により磁気ブラシを形成され、現像スリーブ65上に担持される。現像スリーブ65は、現像剤の磁気ブラシを形成したマグネット72のS1側の領域に、感光体ドラム40Bk、40Y、40M、40Cに対向して配設されている。
【0039】
以上の構成によって、2成分現像剤を2本のスクリュ68で攪拌しながら搬送循環し、現像スリーブ65に供給する。現像スリーブ65に供給された現像剤は、マグネット72により汲み上げて保持され、現像スリーブ65上に磁気ブラシを形成する。磁気ブラシは、現像スリーブ65の回転とともに、ドクタブレード73によって適正な量に穂切りされる。切り落とされた現像剤は、攪拌部66に戻される。
現像スリーブ65上に担持された現像剤のうちトナーは、現像スリーブ65に印加する現像バイアス電圧により感光体ドラム40Bk、40Y、40M、40Cに転移して、その感光体ドラム40Bk、40Y、40M、40C上の静電潜像を可視像化する。可視像化後、現像スリーブ65上に残った現像剤は、マグネット72の磁力がないところで現像スリーブ65から離れて攪拌部66に戻る。この繰り返しにより、攪拌部66内のトナー濃度が薄くなると、それをトナー濃度センサ71で検知して攪拌部66にトナーが補給される。
【0040】
なお、本実施形態の装置において、各部の設定は感光体ドラム40Bk、40Y、40M、40Cの線速を200mm/s、現像スリーブ65の線速を240mm/sとし、感光体ドラム40Bk、40Y、40M、40Cの直径を50mm、現像スリーブ65の直径を18mmとして現像工程を行っている。現像スリーブ65上のトナーの帯電量は、−10〜−30μC/gの範囲が好適である。感光体ドラム40Bk、40Y、40M、40Cと現像スリーブ65の間隙である現像ギャップGPは、従来と同様に0.8mmから0.4mmの範囲で設定でき、値を小さくすることで現像効率の向上を図ることが可能である。更に、感光体40の厚みを30μmとし、光学系のビームスポット径を50×60μm、光量を0.47mWとしている。また、感光体ドラム40の帯電(露光前)電位VOを−700V、露光後電位VLを−120Vとして現像バイアス電圧を−470Vすなわち現像ポテンシャル350Vとして現像工程が行われるようにしている。
【0041】
一次転写装置62は、ローラ状の一次転写ローラ62によって構成し、中間転写ベルト10を挟んで感光体ドラム40に押し当てて設けている。なお、各一次転写ローラ62間には、中間転写ベルト10の基層11側に接触して導電性ローラ74を設けている。この導電性ローラ74は、転写時に各一次転写ローラ62により印加するバイアスが、中抵抗の基層11を介して隣接する各画像形成ユニット18に流れ込むことを阻止するものである。
【0042】
感光体クリーニング装置63は、例えばポリウレタンゴム製のクリーニングブレード75を用い、その先端を感光体ドラム40に押し当てている。更に、クリーニング性を高めるため、本実施形態においては、外周が感光体ドラム40に接触する接触導電性のファーブラシ76を矢印方向に回転自在に備えている。また、ファーブラシ76にバイアスを印加する金属製電界ローラ77を矢示方向に回転自在に備え、その電界ローラ77にスクレーパ78の先端を押し当てている。さらに、除去したトナーを回収する回収スクリュ79も設けている。
上記構成の感光体クリーニング装置63によって、感光体ドラム40に対してカウンタ方向に回転するファーブラシ76で、感光体ドラム40上の残留トナーを除去する。ファーブラシ76に付着したトナーは、ファーブラシ76に対してカウンタ方向に接触して回転するバイアスを印加された電界ローラ77に取り除かれる。電界ローラ77に付着したトナーは、スクレーパ78でクリーニングされる。感光体クリーニング装置63で回収したトナーは、回収スクリュ79で感光体クリーニング装置63の片側に寄せ、トナーリサイクル装置80で現像装置61へと戻して再利用する。
除電装置64は、除電ランプを用いており、光を照射して感光体ドラム40の表面電位を初期化する。
【0043】
上記構成のタンデム画像形成装置20における画像形成プロセスは次のように行われる。感光体ドラム40の回転とともに、まず帯電装置60で感光体ドラム40の表面を一様に帯電し、書込み光Lを照射して感光体ドラム40上に静電潜像を形成する。その後、現像装置61により静電潜像にトナーを付着させる現像を行いトナー像化し、そのトナー像を一次転写ローラ62で中間転写ベルト10上に一次転写する。画像転写後の感光体ドラム40の表面は、感光体クリーニング装置63で残留トナーを除去し、除電装置64で除電して再度の画像形成に備える。一方、感光体ドラム表面から除去した残留トナーは、後述するトナーリサイクル装置によって、再び現像に使用される。ここで、画像を形成する色の順番は、上記のものに限定されるものではなく、画像形成装置の持つ狙いや特性に応じて異なるものである。
【0044】
次に、上記構成のカラー複写機において異常発生を予測するために取得すべき情報の種類と取得方法を具体的に説明する。
【0045】
(a)センシング情報について
このセンシング情報としては、駆動関係、記録媒体の各種特性、現像剤特性、感光体特性、電子写真の各種プロセス状態、環境条件、記録物の各種特性などが取得する対象として考えられる。これらのセンシング情報の概要を説明すると、以下のようになる。
【0046】
(a−1)駆動の情報
・感光体ドラムの回転速度をエンコーダで検出したり、駆動モータの電流値を読み取ったり、駆動モータの温度を読み取る。
・同様にして、定着ローラ、紙搬送ローラ、駆動ローラなどの円筒状またはベルト状の回転する部品の駆動状態を検出する。
・駆動により発生する音を装置内部または外部に設置されたマイクロフォンで検出する。
【0047】
(a−2)紙搬送の状態
・透過型または反射型の光センサ、あるいは接触タイプのセンサにより、搬送された紙の先端・後端の位置を読み取り、紙詰まりが発生したことを検出したり、紙の先端・後端の通過タイミングのずれや、送り方向と垂直な方向の変動を読み取る。
・同様に、複数のセンサ間の検出タイミングにより、紙の移動速度を求める。
・給紙時の給紙ローラと紙とのスリップを、ローラの回転数計測値と紙の移動量との比較で求める。
【0048】
(a−3)紙などの記録媒体の各種特性
この情報は、画質やシート搬送の安定性に大きく影響する。この紙種の情報取得には以下のような方法がある。
・紙の厚みは、紙を二つのローラで挟み、ローラの相対的な位置変位を光学センサ等で検知したり、紙が進入してくることによって押し上げられる部材の移動量と同等の変位量を検知することによって求める。
・紙の表面粗さは、転写前の紙の表面にガイド等を接触させ、その接触によって生じる振動や摺動音等を検知する。
・紙の光沢は、規定された入射角で規定の開き角の光束を入射し、鏡面反射方向に反射する規定の開き角の光束をセンサで測定する。
・紙の剛性は、押圧された紙の変形量(湾曲量)を検知することにより求める。
・再生紙か否かの判断は、紙に紫外線を照射してその透過率を検出して行なう。
・裏紙か否かの判断は、LEDアレイ等の線状光源から光を照射し、転写面から反射した光をCCD等の固体撮像素子で検出して行なう。
・OHP用のシートか否かは、用紙に光を照射し、透過光と角度の異なる正反射光を検出して判断する。
・紙に含まれている水分量は、赤外線またはμ波の光の九州を測定することにより求める。
・カール量は光センサ、接触センサなどで検出する。
・紙の電気抵抗は、一対の電極(給紙ローラなど)を記録紙と接触させて直接測定したり、紙転写後の感光体や中間転写体の表面電位を測定して、その値から記録紙の抵抗値を推定する。
【0049】
(a−4)現像剤特性
現像剤(トナー・キャリア)の装置内での特性は、電子写真プロセスの機能の根幹に影響するものである。そのため、システムの動作や出力にとって重要な因子となる。現像剤の情報を得ることは極めて重要である。この現像剤特性としては、例えば次のような項目が挙げられる。
・トナーについては、帯電量およびその分布、流動性・凝集度・嵩密度、電気抵抗、外添剤量、消費量または残量、流動性、トナー濃度(トナーとキャリアの混合比)を挙げることができる。
・キャリアについては、磁気特性、コート膜厚、スペント量などを挙げることができる。
【0050】
以上のような項目を画像形成装置の中で単独で検出することは通常困難である。そこで、現像剤の総合的な特性として検出する。この現像剤の総合的な特性は、例えば次のように測定することができる。
・感光体上にテスト用潜像を形成し、予め決められた現像条件で現像して、形成されたトナー像の反射濃度(光反射率)を測定する。
・現像装置中に一対の電極を設け、印加電圧と電流の関係を測定する(抵抗、誘電率など)。
・現像装置中にコイルを設け、電圧電流特性を測定する(インダクタンス)。
・現像装置中にレベルセンサを設けて、現像剤容量を検出する。レベルセンサは光学式、静電容量式などがある。
【0051】
(a−5)感光体特性
感光体特性も現像剤特性と同じく、電子写真プロセスの機能と密接に関わる。この感光体特性の情報としては、感光体の膜厚、表面特性(摩擦係数、凹凸)、表面電位(各プロセス前後)、表面エネルギー、散乱光、温度、色、表面位置(フレ)、線速度、電位減衰速度、抵抗・静電容量、表面水分量などが挙げられる。このうち、画像形成装置の中では、次のような情報を検出できる。
・膜厚変化に伴う静電容量の変化を、帯電部材から感光体に流れる電流を検知し、同時に帯電部材への印加電圧と予め設定された感光体の誘電厚みに対する電圧電流特性と照合することにより、膜厚を求める。
・表面電位、温度は従来周知のセンサーで求めることができる。
・線速度は感光体回転軸に取りつけられたエンコーダーなどで検出される。
・感光体表面からの散乱光は光センサーで検出される。
【0052】
(a−6)電子写真プロセス状態
電子写真方式によるトナー像形成は、周知のように、感光体の均一帯電、レーザー光などによる潜像形成(像露光)、電荷を持ったトナー(着色粒子)による現像、転写材へのトナー像の転写(カラーの場合は中間転写体または最終転写材である記録媒体での重ね合わせ、または現像時に感光体への重ね現像を行なう)、記録媒体へのトナー像の定着という順序で行なわれる。これらの各段階での様々な情報は、画像その他のシステムの出力に大きく影響を与える。これらを取得することがシステムの安定を評価する上で重要となる。この電子写真プロセス状態の情報取得の具体例としては、次のようなものが挙げられる。
・帯電電位、露光部電位は従来公知の表面電位センサにより検出される。
・非接触帯電における帯電部材と感光体とのギャップは、ギャップを通過させた光の量を測定することにより検知する。
・帯電による電磁波は広帯域アンテナにより捉える。
・帯電による発生音
・露光強度
・露光光波長
【0053】
また、トナー像の様々な状態を取得すること方法として、以下のようなものがあげられる。
・パイルハイト(トナー像の高さ)を、変位センサで縦方向から奥行きを、平行光のリニアセンサで横方向から遮光長を計測して求める。
・トナー帯電量を、ベタ部の静電潜像の電位、その潜像が現像された状態での電位を測定する電位センサにより測定し、同じ箇所の反射濃度センサから換算した付着量との比により求める。
・ドット揺らぎまたはチリを、ドットパターン画像を感光体上においては赤外光のエリアセンサ、中間転写体上においては各色に応じた波長のエリアセンサで検知し、適当な処理をすることにより求める。
・オフセット量(定着後)を、記録紙上と定着ローラ上の対応する場所をそれぞれ光学センサで読み取って、両者比較することにより求める。
・転写工程後(PD上,ベルト上)に光学センサを設置し,特定パターンの転写後の転写残パターンからの反射光量で転写残量を判断する。
・重ね合わせ時の色ムラを定着後の記録紙上を検知するフルカラーセンサで検知する。
【0054】
(a−7)形成されたトナー像の特性
・画像濃度、色は光学的に検知する(反射光、透過光のいずれでもよい。色によって投光波長を選択する)。濃度及び単色情報を得るには感光体上または中間転写体上でよいが、色ムラなど,色のコンビネーションを測るには紙上の必要がある。
・階調性は、階調レベルごとに感光体上に形成されたトナー像または転写体に転写されたトナー像の反射濃度を光学センサにより検出する。
・鮮鋭性は、スポット径の小さい単眼センサ、若しくは高解像度のラインセンサを用いて、ライン繰り返しパターンを現像または転写した画像を読み取ることにより求める。
・粒状性(ざらつき感)は、鮮鋭性の検出と同じ方法により、ハーフトーン画像を読み取り、ノイズ成分を算出することにより求める。
・レジストスキューは、レジスト後の主走査方向両端に光学センサを設け、レジストローラONタイミングと両センサの検知タイミングとの差異から求める。
・色ずれは、中間転写体または記録紙上の重ね合わせ画像のエッジ部を、単眼の小径スポットセンサ若しくは高解像度ラインセンサで検知する。
・バンディング(送り方向の濃度むら)は、記録紙上で小径スポットセンサ若しくは高解像度ラインセンサにより副走査方向の濃度ムラを測定し、特定周波数の信号量を計測する。
・光沢度(むら)は、均一画像が形成された記録紙を正反射式光学センサで検知するように設ける。
・かぶりは、感光体上、中間転写体上、または記録紙上において、比較的広範囲の領域を検知する光学センサで画像背景部を読み取る方法、または高解像度のエリアセンサで背景部のエリアごと画像情報を取得し、その画像に含まれるトナー粒子数を数えるという方法がある。
【0055】
(a−8)画像形成装置のプリント物の物理的な特性
・像流れ・かすれなどは、感光体上、中間転写体、あるいは記録紙上でトナー像をエリアセンサにより検知し、取得した画像情報を画像処理して判定する。
・チリは記録紙上の画像を高解像度ラインセンサまたはエリアセンサで取り込み、パターン部の周辺に散っているトナー量を算定することにより求める。
・後端白抜け、ベタクロス白抜けは、感光体上、中間転写体、あるいは記録紙上で高解像度ラインセンサにより検知する。
・カール・波打ち・折れは、変位センサで検出する。折れの検出のためには記録紙の両端部分に近い所にセンサを設置することが有効である。
・コバ面の汚れやキズは、排紙トレイに縦に設けたエリアセンサにより,ある程度排紙が溜まった時のコバ面をエリアセンサで撮影,解析する。
【0056】
(a−9)環境状態
・温度検出には、異種金属どうし或いは金属と半導体どうしを接合した接点に発生する熱起電力を信号として取り出す熱電対方式、金属或いは半導体の抵抗率が温度によって変化することを利用した抵抗率変化素子、また、或る種の結晶では温度が上昇したことにより結晶内の電荷の配置に偏りが生じ表面に電位発生する焦電型素子、更には、温度による磁気特性の変化を検出する熱磁気効果素子などが採用できる。
・湿度検出には、H2O或いはOH基の光吸収を測定する光学的測定法、水蒸気の吸着による材料の電気抵抗値変化を測定する湿度センサ等がある
・各種ガスは、基本的にはガスの吸着に伴う、酸化物半導体の電気抵抗の変化を測定することにより検出する。
・気流(方向、流速、ガス種)の検出には、光学的測定法等があるが、システムへの搭載を考慮するとより小型にできるエアブリッジ型フローセンサが特に有用である。
・気圧・圧力の検出には、感圧材料を使用する、メンブレンの機械的変位を測定する等の方法がある。振動の検出にも同様に方法が用いられる。
【0057】
(b)制御パラメータ情報について
画像形成装置の動作は制御部によって決定されるため、制御部の入出力パラメータを直接利用することが有効である。
【0058】
(b−1)画像形成パラメータ
画像形成のために制御部が演算処理により出力する直接的なパラメータで、以下のような例がある。
・制御部によるプロセス条件の設定値で、例えば帯電電位、現像バイアス値、定着温度設定値など
・同じく、中間調処理やカラー補正などの各種画像処理パラメータの設定値
・制御部が装置の動作のために設定する各種のパラメータで、例えば紙搬送のタイミング、画像形成前の準備モードの実行時間など
【0059】
(b−2)ユーザー操作履歴
・色数、枚数、画質指示など、ユーザーにより選択された各種操作の頻度
・ユーザーが選択した用紙サイズの頻度
【0060】
(b−3)消費電力
・全期間または特定期間単位(1日、1週間、1ヶ月など)の総合消費電力あるいはその分布、変化量(微分)、累積値(積分)
【0061】
(b−4)消耗品消費情報
・全期間または特定期間単位(1日、1週間、1ヶ月など)のトナー、感光体、紙の使用量あるいはその分布、変化量(微分)、累積値(積分)
【0062】
(b−5)故障発生情報
・全期間または特定期間単位(1日、1週間、1ヶ月など)の故障発生(種類別)の頻度あるいはその分布、変化量(微分)、累積値(積分)
【0063】
(c)入力画像情報
ホストコンピュータから直接データとして送られる画像情報、あるいは原稿画像からスキャナーで読み取って画像処理をした後に得られる画像情報から、以下のような情報を取得することができる。
・着色画素累積数はGRB信号別の画像データを画素ごとにカウントすることにより求められる。
・例えば特許第2621879号の公報に記載されているような方法でオリジナル画像を文字・網点・写真・背景に分離し、文字部、ハーフトーン部などの比率を求めることができる。同様にして色文字の比率も求めることができる。
・着色画素の累積値を主走査方向で区切った領域別にカウントすることにより、主走査方向のトナー消費分布が求められる。
・画像サイズは制御部が発生する画像サイズ信号または画像データでの着色画素の分布により求められる。
・文字の種類(大きさ、フォント)は文字の属性データから求められる。
【0064】
以上のような各種の情報から、前述の指標値Dを算出し、その指標値に基づいて、故障等の異常が発生する潜在的な可能性を判断し、故障等の異常発生を予測する。基本的には、前述したように複数種類の情報から算出した指標値Dの大きさが、予め定めた閾値より大きい場合、故障発生の可能性が高いとする。この閾値は一般的には事前の実験によって決められる。あるいは初期値を適当な値(例えば10)などにしておき、データが積み重なるにつれて更新していくようにしてもよい。
【0065】
指標値Dは、取り入れた情報間の相関が正常な状態からずれている尺度を表わすものである。この指標値が大きいほど正常状態からの乖離が大きいと判断するので、故障のメカニズムが不明な場合でも、故障が発生する可能性を予見することができる。
【0066】
次に、上記指標値Dの算出した後、その指標値Dに基づいて画像形成装置の状態を判定して異常発生を予測した後の処置方法について説明する。指標値の算出後や異常発生の予測後は、次の(d)〜(j)に挙げたような処置を行うことができる。
【0067】
(d)算出結果、状態判定結果、異常発生予測結果を出力する。
出力する内容としては、指標値Dの算出結果あるいはその指標値を反映した数値、画像形成装置の状態変化の判定結果、故障が近いことを利用者に知らせるための警告等の故障や寿命等の異常発生の予測結果を挙げることができる。指標値Dの値あるいはそれを反映した数値の時間変化のデータをグラフ化して出力してもよい。出力方法としては、次のような方法を挙げることができる。
(d−1)操作部パネル等における液晶ディスプレイ等の表示手段への数値データやメッセージの表示
(d−2)スピーカ等の音出力手段による音声や特定のパターン音からなる告知、警告
(d−3)記録媒体(転写紙)への記録
【0068】
上記(d)の結果の出力は、該当する画像形成装置に備えられた表示手段や音出力手段に出力したり、記録媒体(転写紙)に記録して出力するものである。これとは別に、通信手段により、ネットワークを介して接続されているプリンタサーバや、通信回線で接続されて各装置の状態を監視している監視センターに、これらを転送する方法もある。
【0069】
(e)算出結果、状態判定結果、異常発生予測結果を転送する。
プリンターサーバ又は監視センターに、上記(d)の場合と同様の内容を転送するものである。
【0070】
(f)算出結果、状態判定結果、異常発生予測結果を記憶する。
各画像形成装置、プリンタサーバ、監視センターの装置の内部に備えられた記憶装置(メモリ)に、上記(d)の場合と同様の内容を記憶させる。さらには、この記憶装置に記憶した内容を読み出して制御を行なうこともできる。
【0071】
(g)装置を停止させる。
指標値Dの算出結果が予め定められた基準値を超えたり、増加率が大きくなったときなどに、画像形成装置を強制的に作動できないようにし、メンテナンスを要求する。
【0072】
(h)動作の制限・制御の変更を行なう。
上記指標値Dの算出結果と各情報源の両面から、関連のある部分を推定し、それに関わる動作を制限する等の制御変更を行なう。この制御変更としては、次のようなものを挙げることができる。
(h−1)色モードの変更
(h−2)記録速度の変更
(h−3)中間調の線数の変更
(h−4)中間調処理方法の変更
(h−5)紙種の制限
(h−6)レジスト制御のパラメータ変更
(h−7)画像形成プロセスのパラメータ変更(例えば電子写真方式の画像形成装置では、帯電電位、露光量、現像バイアス、転写バイアスなどである。)
【0073】
(i)消耗品や部品の補給・交換
上記指標値Dの算出結果により、自動的に補給や交換を行なう。
【0074】
(j)自動修理
上記指標値Dと各情報源との両面から、特定の部位の異常が判明したとき、対象とする部位の修理を行なうためのモードが実行される。
【0075】
【実施例】
次に、本実施形態の画像形成装置においてより具体的な情報の取得方法について示した実施例について説明する。なお、画像形成装置の状態の判定に用いる情報の種類及びその取得方法は以下に説明するものに限らず、前述の様々な種類・形態の情報及びその取得方法を採用することができる。
【0076】
〔実施例1〕
本実施例では、図6〜8に示した画像形成装置を用いて、製品出荷前に個別あるいは共通の指標値を求めておき、出荷後はオンラインで指標値をモニターして、それが増加したときにメンテナンスを行なう。取得する情報の種類及びその取得方法の具体的な内容は以下のとおりである。
【0077】
(1)温度
本実施例では、温度の情報を取得する情報取得手段として、最も原理及び構造が簡単でしかも超小型にできる抵抗変化素子を用いた手段を採用した。
図9は、本実施例に使用した薄膜タイプの抵抗変化素子の斜視図である。この抵抗変化素子は次のように製造することができる。まず基板501上に絶縁膜502を形成し、その上に金属或いは半導体材料からなる薄膜状の感知部503を設けている。更に、感知部503の両端にパッド電極504を設け、最後にリード線505を接続する。この抵抗変化素子においては、周囲の温度が変化するとそれに伴って感知部503の電気抵抗が変化するので、その変化を電圧或いは電流変化として取り出せばよい。感知部503が薄膜であるため、素子全体が小型にできシステムに組み込みやすい。
【0078】
図10は本実施例で使用したもう一つの抵抗変化素子を示している。図9の抵抗変化素子とは、薄膜状感知部503が、スペーサ506を介して基板501から中空に浮いている薄膜ブリッジ507の上に設置されている点で異なる。このような構造にすることで感知部503から熱の散逸が妨げられ、感知部503の温度に対する応答性が早くなる。この構造であれば被計測部からの輻射熱だけを検知することができ、非接触での測定には好適である。
【0079】
(2)湿度
小型にできる湿度センサが有用である。基本原理は感湿性セラミックスに水蒸気が吸着すると、吸着水によりイオン伝導が増加しセラミックすの電気抵抗が低下することによる。感湿性セラミックスの材料は多孔質材料であり、一般的にはアルミナ系、アパタイト系、ZrO2−MgO系などが使用される。
図11は本実施例に使用した湿度センサの斜視図である。絶縁基板511上に櫛形電極512を設けその両端に端子513を接続する。更に感湿層514(一般的には感湿性セラミックス)を設け全体をケース515でカバーしてある。ケース515を介して水蒸気が感湿性セラミックスに吸着すると、電気抵抗が減少するので、それを電圧或いは電流変化として計測すればよい。
【0080】
(3)振動
振動センサは、基本的には気圧及び圧力を測定するセンサと同じであり、システムへの搭載を考慮すると超小型にできるシリコン利用のセンサが特に有用である。薄いシリコンのダイアフラム上に作製した振動子の運動を、振動子と対向して設けられた対向電極間との容量変化を計測する、或いはSiダイアフラム自体のピエゾ抵抗効果を利用して計測する事ができる。
図12は本実施例に使用した振動センサの断面図である。絶縁基板521の上に対向電極522を設ける。次に、シリコン基板523に薄いダイアフラム524及び振動子525を設け、更に対向電極522との間隔を保持する段差部526を形成し、先に作製した対向電極522を有する基板521と接合する。この状態で周囲から振動或いは圧力が加わると、それに伴って振動子525が振動し、それを対向電極522との間の容量変化として測定すればよい。
【0081】
(4)トナー濃度
各色ごとにトナー濃度を検出する。トナー濃度センサーとしては従来公知の方式を用いることができる。例えば、特開平6−289717号公報に記載されているような現像装置中の現像剤の透磁率の変化を測定するセンシングシステムにより、トナー濃度を検出することができる。
図13はトナー濃度検出部の概略構成図を示している。例えば、磁性キャリアと非磁性トナーを混合してなる現像剤531の近傍に配置された検知コイル532には基準コイル533が差動的に接続されている。検知コイル532はトナー濃度(直接的には磁性キャリア)の増減による透磁率変化に対してインダクタンスが変動し、これに対して基準コイル533のインダクタンスはトナー濃度の変化に対して影響を受けないようになっている。そして、上記2つのコイル532、533の直列回路には、例えば500kHzにて発振駆動する交流駆動源534が接続されており、上記両コイル532、533を駆動するようになっている。これら両コイル532、533の接続点からは差動出力が取り出され、その出力は位相比較器535へ接続されるとともに、この位相比較器535には上記交流駆動源534の一方の出力が別途接続されており、これら駆動源534からの電圧と差動出力電圧との位相を比較するように構成される。
そして、上記2つのコイル、すなわち検知コイル532と基準コイル533の少なくともいずれか一方、図示例にあっては検知コイル532に感度設定用抵抗536(R1)が並列に接続されており、トナー濃度の変化に対する感度を鈍化させて感度特性を制御し得るように構成されている。この両コイルの組立図は図14に示されており、両コイル532、533は、筒状のコイル支持体537に図中上下方向に隣り合って巻回されており、現像剤531に近い側には透誘率の変化を検知するために検知コイル532が位置され、遠い側はトナー濃度が変化しても透磁率が変化しないように基準コイル533が配置されている。
【0082】
(5)帯電電位
帯電電位は色ごとに検出する。
図15は、本実施例で用いた帯電電位を検出する電位測定システムの概略構成図である。図15において、符号541は対象物(図示せず)に対向して取り付けられるセンサ部基板を示している。符号542はセンサ部基板1に対し、ドライブ信号を送り、センサ出力を受ける信号処理部基板を示している。センサ部基板1内には、チョッピング手段である音さ543と、圧電素子544とが設けられている。信号処理部基板542からのドライブ信号によってこの圧電素子544が駆動される。この電位測定システムでは一方の圧電素子544をドライブするとそれによる振動が音さ543を通してもう一方の圧電素子544aに伝わり、それがドライブ元に戻るというループによる自励発振方式を用いている。符号545は、対象物からの電気力線を受ける測定電極(以下電極という)をである。符号546は、電極545によって受信された電気力線Sの時間変化量を増幅する増幅器を示している。信号処理部基板542内には、圧電素子ドライブ回路547、フィルタ548及び圧電素子ドライブ回路549を備えている。フィルタ548は波形を整形する。移相回路549は、センサに混入するドライブ信号と実際のドライブ信号の位相差を180度ずらせ、打消し合わせられるようにする目的をもっている。2つの信号の位相差は混入経路によって異なってくるのが一般的である。アッテネータ550は、位相調整された補正信号の大きさを調整する役割を有する。加算回路551は補正信号とセンサ出力を加算する。処理回路552は最終的な信号出力を処理し、対象物の電位を求める。符号553,554はそれぞれ移相回路およびアッテネータの調整用ボリュームを示している。
以上のような構成において、移相量,アッテネータゲインを調整し最適化することにより、ドライブ信号に基づいた混入信号に対し、逆位相,同レベルの信号を補正信号として加算することができ、実際には真の対象物に基づくセンサ出力のみが検出可能となる。また、調整手段を設けたことによって、調整により経年変化に伴う特性変化にも対応することができ、センサとしての信頼性が向上する。
【0083】
(6)LD駆動電流
像露光を行なうLD(半導体レーザー)の駆動電流値を色別に駆動回路上でモニターし、それを利用する。
【0084】
(7)トータルカウンタ(色別累積プリント画面数)
各色のプリント画面数をカウントした累積データを利用する。例えば、フルカラーモードで1枚形成されると、Y,M,C,Bkがそれぞれ1カウント増え、モノクロ(黒)モードで1枚形成されるとBkだけが1カウント増え、Y,MモードではYとMだけが1カウント増える。このようなデータを記憶素子に記憶させておき、その結果を利用する。
【0085】
(8)現像γ値
テストモードで感光体上に段階的な潜像電位を形成し、それを特定条件で現像することにより、段階的な濃度パターンを形成する。それを反射濃度センサーで読み取り、ポテンシャル(電位差)と現像された反射濃度の関係を求める。その傾きをγ値とする。この値を色別に求めて、利用する。
【0086】
(9)現像開始電圧
上記と同様にテストモードでポテンシャルと現像された反射濃度との関係を求め、現像が0となるポテンシャルを外挿によって求める。これを現像開始電圧とする。この値を色別に求めて、利用する。
【0087】
(10)着色面積率
入力画像情報から、着色しようとする画素の累計値と全画素の累計値の比から着色面積率を色ごとに求め、これを利用する。
【0088】
本実施例では、以下のようなテストを実施した。1台のプリンター試作機を用意し、実験室内で擬似的に様々な使用形態を想定したランニングテストを行なう。その際、上述した以上の10項目30種類のデータを毎日数回収集する。収集したデータの一部を、表3に示す。
【0089】
【表3】
【0090】
実際には50組のデータを収集したが、その間、特に問題なく動作していた。このデータをもとに、前述の数1から数5に示した数式を用いた計算を行ない、数6に示す算出式における算出パラメータを求めた。この結果を用いると、正常動作中の50組のDの平均値は約1になる。このようにして、指標値Dの算出方法(算出式)を定義した。
次に、その試作機に基づいた商品の発売後、市場で継続的にモニターを行なった。取得するデータは先のテストと同じ項目である。
【0091】
図16は本実施例で算出した指標値Dの動き(時間変化)を示すグラフである。図16において、画像形成装置に問題(異常状態)が発生したタイミングを矢印で示している。ここで発生した問題は感光体ドラムへのトナーフィルミングであった。この異常の発生に先立って指標値Dが上昇している。この結果から、指標値Dの上昇と異常発生との間に強い相関が見られ、指標値Dの時間変化のデータを追跡することにより、上記問題(トナーフィルミング)の発生を事前に予測できることがわかる。すなわち、上記指標値Dが大きくなるときの時間変化に基づいて、その後のプリンターの状態の変化を判定することにより、あとどのくらいの期間が経過すれば指標値Dが上記問題(トナーフィルミング)が発生する値になるかがわかるため、問題(トナーフィルミング)の発生の有無だけでなく、その問題(トナーフィルミング)の発生時期まで予測可能になる。
【0092】
なお、本実施例では、画像形成装置は通信回線を介して監視システムと接続されており、指標値Dの値が常時監視システムに送信される。監視システムでは、その指標値Dの変化を監視し、増加傾向となって特定値を超えるときに警報を発するように設定されている。警報が発せられた状態は、潜在的な故障があるとみなされ、メンテナンスのためにサービスマンが派遣される。サービスマンは画像形成装置の状態を直接確認し、部品の交換、電気的・機械的調整などの必要な処置を行なう。処置後、指標値Dの値が正常範囲であることを確認した後、メンテナンスは終了となる。また、指標値Dの値あるいはそれに対応したコメントを常に表示させるようにしておき、使用者に状態を知らせて、事前のメンテナンスを促すようにすることもできる。
【0093】
〔実施例2〕
本実施例では、製品出荷後に、市場において10台のプリンターをフィールドテスト機としてデータを収集する。測定した項目は実施例1と同様であり、毎日1点、連続5日間のデータを採用した。当然1台ごとに使用条件・環境は様々であるが、データ収集中はいずれも正常に動作している。
【0094】
表4は、本実施例で取得した情報のデータの一覧である。これらのデータを用いて、実施例1と同様な方法により、指標Dの算出パラメータを定める。その後、フィールドテスト機以外の複数のプリンター(仕様はフィールドテスト機と同一)で、同じ項目のデータを取得し、指標値Dを算出していく。
【0095】
【表4】
【0096】
図17は、上記指標値を算出した複数のプリンターのうち特定の1台のプリンターに関する指標値Dの推移(時間変化)を示すグラフである。図17において、画像形成装置に問題(異常)が発生したタイミングを矢印で示している。その中で発生問題1は感光体へのトナーフィルミングであり、発生問題2はトナー飛散による装置内汚れである。この図17の結果においても、実際に問題(異常)が発生する前には指標値Dが大きくなるという傾向が見られる。このように、実際に指標値Dの算出方法の決定に用いたフィールドテスト機ではない同一種の商品に対して、その指標値を適用しても、指標値の推移(時間変化)により問題発生を予知し、対策を講じることが可能となる。
また、上記指標値Dが大きくなるときの時間変化に基づいて、その後のプリンターの状態の変化を判定することにより、あとどのくらいの期間が経過すれば指標値Dが上記問題(トナーフィルミング)が発生する値になるかがわかるため、問題(トナーフィルミング)の発生の有無だけでなく、その問題(トナーフィルミング)の発生時期まで予測可能になる。
【0097】
〔実施例3〕
本実施例では、製品出荷後に、市場において各プリンターごとに実施例1と同様の項目を取得する。その結果、特定の1台に関して、表5に記載するような構成のデータが得られた。このデータを利用して、正常に動作していたデータから、それぞれの指標値Dの算出方法を決める。すなわち、この結果は、そのプリンター固有の指標値Dとなる。その後、同じ項目のデータを取得しながら、上記のように決定した方法でDを算出する。
【0098】
【表5】
【0099】
図18は、本実施例のプリンターについて算出した実際の指標値Dの推移(時間変化)のグラフである。図18においても、問題(異常状態)、具体的には感光体へのトナーフィルミングが発生したタイミングを矢印で示している。この場合、プリンター1台ごとに、設置されている環境や使われる状態を反映した故障予測の指標値Dが得られるため、より精度の高い予測が可能となる。実際に問題(トナーフィルミング)が発生する前には指標値Dが大きくなるという傾向が見られる。また、このように指標値Dが大きくなるときの時間変化に基づいて、その後のプリンターの状態の変化を判定することにより、あとどのくらいの期間が経過すれば指標値Dが上記問題(トナーフィルミング)が発生する値になるかがわかるため、上記問題(トナーフィルミング)の発生の有無だけでなく、その問題(トナーフィルミング)の発生時期まで予測可能になる。
【0100】
上記指標値Dが所定値より大きな値を示した場合、図1に示す制御部は画像形成システムに対して、必要な動作制限を加えたり、修復モードを実行させたりする。制限される動作としては、連続プリントの枚数制限や、カラー出力モードの禁止などがあり、修復モードとしては、感光体やその周辺のユニットの清掃モード、画像濃度や色の調整モード(形成される画像や電位などを検出して、所定値になるように各バイアス電源やモーターなどにフィードバックをかける)、トナー補給モード、トナー帯電調整モード(現像装置を動作させてトナーを帯電させる)などがある。さらに、帯電部材やクリーニング部材などを装置内に備えてある予備部品と交換する自動交換を行ってもよい。
【0101】
〔実施例4〕
本実施例では、上記実施例1に示したシステムで、特定の発生問題と相関の強い情報項目を求める情報項目導出モードを実行可能に構成されている。この具体的には、以下のようにして実行する。
(1)初期状態(N0)、中間状態(N1)、問題発生直前(Nt)において、k種類ある情報の項目すべてのデータを比較する。
(2)初期状態(N0)、中間状態(N1)に比べて問題発生直前(Nt)が際立って異なる値を示す項目があるかどうかを検出する。例えばN0、N1の差の絶対値とN0とNtの差の絶対値を比較し、後者が5倍以上であれば有意であるとする。
(3)そのような項目が存在したとき、それを記憶装置に記憶したり、表示装置に表示したり、あるいは通信回線を通じて監視システムに送信する。
【0102】
前述の図17に示すデータを用いて、5日目のデータを初期状態(N0)、15日目のデータを中間状態(N1)、165日目のデータを問題発生直前状態(Nt)とし、それぞれの情報項目の数値の比較を行なった。その結果、数値の差が大きな情報項目は、表6に示す3つの項目であった。
【0103】
【表6】
【0104】
これらの項目と発生問題とを互いに関連付けて記憶し、これをシステム開発上のデータとすることで、さらに精度の高い異常発生予測システムを実現することができる。なお、ここで初期状態と中間状態は任意だが、システムは正常に動作していることが必要である。中間状態は複数設けてもよい。
【0105】
以上、本実施形態によれば、画像形成装置の状態と関連がある複数種類の情報を取得し、取得した複数種類の情報から指標値を算出している。本発明者らは、この算出した指標値の時間変化と、画像形成装置が異常状態に至るときの状態の変化との関係を実験等により調べたところ、上記複数の情報から算出した指標値の時間変化が画像形成装置の状態の変化に対応し、しかもこの指標値が、初期の正常状態のときの値から一定量以上ずれると、画像形成装置が故障等の異常状態に至ることがわかった。そこで、上記指標値の時間変化のデータに基づいて、その後の画像形成装置の状態の変化を判定することにより、あとどのくらいの期間が経過すれば上記指標値が上記異常状態が発生する値になるかがわかるため、故障等の異常状態の発生の有無だけでなく、その異常状態の発生時期まで予測可能になる。
また、本実施形態によれば、上記指標値Dを複数種類の情報から算出しているため、指標値Dの時間変化(推移)から、画像形成装置の総合的な状態変化がわかる。従って、画像形成装置における発生原因が不明確な故障等の異常発生についても、その発生の有無と発生時期を予測できる。しかも、上記異常状態の発生を単一の指標値Dの時間変化で予測することができるため、異常発生の予測のためのデータ処理が簡易になる。
また、本実施形態において、上記指標値Dの算出に用いる複数種類の情報は、上記画像形成装置に設けたセンサーで検出した検出値、該画像形成装置の制御に用いる制御パラメータの値、及び画像形成対象の入力画像に関する情報の少なくとも一つであってもよい。上記画像形成装置に設けたセンサーで検出した検出値の情報は、画像形成装置の状態との関連が大き装置内部の状態や装置周辺の状態に関する情報を含む。また、上記画像形成装置の制御に用いる制御パラメータの値の情報は、画像形成装置の状動作態に大きな影響を及ぼす制御内容の情報を含む。また、上記画像形成対象の入力画像に関する情報は、出力される画像と直結した画像に関する情報を含む。これらの情報から上記指標値を算出することにより、画像形成装置の状態変化を精度良く判定することができ、精度の高い異常発生の予測が可能になる。
また、本実施形態において、画像形成装置の正常動作中に取得した複数種類の情報に基づいて、上記指標値Dの算出方法すなわち指標値Dの算出式を決定してもよい。この場合は、画像形成装置の状態変化の判定における基準が明確になり、画像形成装置の状態変化を精度良く判定することができ、精度の高い異常発生の予測が可能になる。
また、本実施形態において、上記指標値Dの時間変化のデータを表示するディスプレイ等の指標値データ表示手段を設けてもよい。このように指標値Dの時間変化のデータを表示することにより、この表示を使用者が見て画像形成装置の状態変化を判定し、異常発生を予測することができるので、異常発生前のメンテナンスが可能になる。
【0106】
また、本実施形態において、上記指標値Dの算出方法すなわち指標値Dの算出式を次の手順(1)〜(5)で決定してもよい。
(1)上記複数種類の情報として予め選定したk種類の情報を、上記画像形成装置を動作させながらn組取得する。
(2)取得した(k×n)個の情報を、その平均値及び標準偏差を用いて、種類ごとに規格化する。
(3)規格化した(k×n)個の情報の各種類間のすべての組み合わせについて相関係数を求める。
(4)それらの相関係数を要素とする(k×k)の行列の逆行列を求める。
(5)その逆行列のすべての要素を用いて上記算出方法(算出式)を定義する。
ここで、上記取得した(k×n)個の情報を、平均値及び標準偏差を用いて種類ごとに規格化することにより、統計的なデータのばらつきの影響を低減することができる。
また、上記算出方法(算出式)の決定に用いる逆行列の要素の値は、画像形成装置の状態変化との関連性が強いほど大きな値となる。この逆行列の要素を用いて、各種類の情報同士の相関に対して、状態変化との関連性が強いほどより大きな重みを付けて指標値Dを算出することができる。従って、画像形成装置の状態変化をより正確に判定することができる。
以上により、画像形成装置における異常発生をより高精度に予測することができる。
なお、上記(1)〜(5)の算出方法(算出式)の決定において、上記n組の情報を1台の画像形成装置から時系列で取得するようにしてもよい。この場合は、上記指標値算出式の決定のための情報取得を、1台のテスト用の複数台の画像形成装置を用いて行うことができるので、開発コストを抑制することができる。
また、上記(1)〜(5)の算出方法(算出式)の決定において、上記n組の情報を複数台の画像形成装置から並列的に取得するようにしてもよい。この場合は、上記指標値の算出方法(算出式)の決定のための情報取得を、同一種類の複数台の画像形成装置を用いて平行して行うことができるので、開発期間の短縮化を図ることができる。
【0107】
また、本実施形態において、画像形成装置の複数種類の異常について予め取得した複数の情報の時間変化をそれらの異常の内容と関連付けて情報記憶手段に記憶してもよい。そして、上記指標値算出部3で算出した指標値Dが所定の基準値よりも大きくなったときに、その後の複数の情報の時間変化と、上記情報記憶手段に記憶している情報とに基づいて、その後に発生すると予測される異常の内容を特定するようにしてもよい。この場合は、上記複数の情報の時間変化から、異常の内容を特定することができるので、異常発生の予測の精度をより高めることができ、異常発生前により適切なメンテナンスを行うことができる。
なお、上記情報記憶手段としては、前述の制御部5を構成しているRAM等のメモリを用いることができる。また、上記異常の内容を特定する異常内容特定手段としては、同じく制御部5を構成しているCPU等を用いることができる。また、上記情報記憶手段及び異常内容特定手段は、制御部5とは別に専用のLSIからなる装置で構成してもよい。また、上記複数の情報の時間変化には、上記異常の内容に代えてその異常が発生するときのメンテナンスの内容を関連付けてもいいし、異常の内容とその異常が発生するときのメンテナンスの内容の両方の内容を関連づけてもよい。
【0108】
また、本実施形態において、上記指標値Dの算出に用いる複数の情報を画像形成装置から専用回線、公衆回線、インターネット、ローカルエリアネットワーク等の通信回線を介して受信するための通信手段を備えた状態判定装置を、画像形成装置の外部に設けてもよい。この場合は、画像形成装置を簡潔な構成することができ、しかも複数の画像形成装置における状態変化の判定や異常発生の予測を、状態判定装置が設置された監視センター等で一元的に行うことができる。
【0109】
また、本実施形態の画像形成装置において、制御部5により、上記指標値Dの時間変化のデータに基づいて画像形成システム6を制御してもよい。この場合は、画像形成装置の状態変化を判定して異常発生を予測して画像形成システム6を速やかに制御できるので、重大な障害の発生を未然に回避することができる。
また、本実施形態によれば、像担持体上に潜像を形成し、像担持体上の潜像を現像してトナー像を形成し、像担持体上のトナー像を直接又は中間転写体を介して記録媒体に転写する電子写真方式の画像形成装置において効果的である。電子写真方式の画像形成装置は、▲1▼構成要素が多く、現象の因果関係が複雑である、▲2▼温湿度などの使用環境の影響を受けやすい、▲3▼ユニット・部品等の消耗品の劣化の影響を受けやすい、▲4▼ユーザーによる使用条件の差が大きい、等の特徴を有する。かかる複雑な構成や現象が介在している画像形成装置において、発生原因が不明確な故障等の異常発生についても簡易なデータ処理で予測することができる。
また、本実施形態の画像形成装置において、上記指標値Dの時間変化のデータから予測した異常発生の予測結果を表示するディスプレイ等の異常予測結果表示手段を設けてもよい。このように異常発生の予測結果を表示することにより、使用者は、指標値Dの時間変化から画像形成装置の状態変化を判定することなく、予測された異常発生をしることができるので、異常発生前のメンテナンスが可能になる。
また、本実施形態の画像形成装置において、上記指標値Dの時間変化のデータから予測した異常発生の予測結果を、専用回線、公衆回線、インターネット、ローカルエリアネットワーク等の通信回線を介して外部装置に送信する通信手段を設けてもよい。この場合は、複数の画像形成装置における異常発生の予測を、監視センター等で一元的に行うことができる。
また、本実施形態の画像形成装置において、制御部5により、上記指標値Dの時間変化のデータから予測した異常発生の予測結果に基づいて、画像形成動作に制限を加えるように画像形成システム6を制御してもよい。この場合は、異常発生の予測結果に応じて特定動作に一次的に制限を加えることにより、未然に重大な障害を回避することができる。
また、本実施形態の画像形成装置において、制御部5により、上記指標値Dの時間変化のデータから予測した異常発生の予測結果に基づいて、異常状態を修復するための修復制御モードを実行してもよい。この場合は、異常発生の予測結果に応じて修復制御モードを実行することにより、未然に重大な障害を回避することができる。
また、本実施形態の画像形成装置において、画像形成装置の稼動を開始するたびに上記指標値Dの算出方法を再決定するようにしてもよい。この場合は、指標値Dの算出方法を適宜再決定して更新することにより、画像形成装置について取得した複数種類の情報間の相関関係及びその相関関係と異常発生との関連が変動するときでも、精度の高い状態変化の判定及び異常発生の予測を行なうことができる。
【0110】
【発明の効果】
請求項1乃至22の発明によれば、画像形成装置の状態と関連がある複数種類の情報を取得し、取得した複数種類の情報から指標値を算出している。本発明者らは、この算出した指標値の時間変化と、画像形成装置が異常状態に至るときの状態の変化との関係を実験等により調べたところ、上記複数の情報から算出した指標値の時間変化が画像形成装置の状態の変化に対応し、しかもこの指標値が、初期の正常状態のときの値から一定量以上ずれると、画像形成装置が故障等の異常状態に至ることがわかった。そこで、上記指標値の時間変化のデータに基づいて、その後の画像形成装置の状態の変化を判定することにより、あとどのくらいの期間が経過すれば上記指標値が上記異常状態が発生する値になるかがわかるため、故障等の異常状態の発生の有無だけでなく、その異常状態の発生時期まで予測可能になるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る異常発生予測方法を実施可能な状態判定装置を含む異常発生予測システムの基本的な構成を示すブロック図。
【図2】異常発生予測システムの基本的な動作を示すフローチャート。
【図3】指標値を算出するときに用いる算出式を決める手順を示すフローチャート。
【図4】図2におけるステップ1−2における指標値の算出の手順のフローチャート。
【図5】変形例に係る異常発生予測システムの基本的な動作を示すフローチャート。
【図6】実施形態に係るカラー複写機の構成図。
【図7】同カラー複写機のプリンタ部の主要部拡大図。
【図8】同プリンタ部のタンデム画像形成装置の部分拡大図。
【図9】実施例に使用した薄膜タイプの抵抗変化素子の斜視図。
【図10】変形例に係る抵抗変化素子の斜視図。
【図11】実施例に使用した湿度センサの斜視図。
【図12】実施例に使用した振動センサの断面図。
【図13】実施例に使用したトナー濃度検出部の概略構成図。
【図14】同トナー濃度検出部におけるコイルの組立図。
【図15】実施例で用いた帯電電位を検出する電位測定システムの概略構成図。
【図16】実施例1で算出した指標値Dの動き(時間変化)を示すグラフ。
【図17】実施例2で算出した指標値Dの推移(時間変化)を示すグラフ。
【図18】実施例3で算出した指標値Dの推移(時間変化)を示すグラフ。
【符号の説明】
1 状態判定装置
2 情報取得部
3 指標値算出部
4 判定部
5 制御部
6 画像形成システム
Claims (22)
- 画像形成装置の異常状態の発生を予測する異常発生予測方法であって、
画像形成装置の状態と関連がある複数種類の情報を取得するステップと、
該複数種類の情報から指標値を算出するステップと、
該指標値の時間変化のデータに基づいて、その後の該画像形成装置の状態の変化を判定するステップとを含むことを特徴とする異常発生予測方法。 - 請求項1の異常発生予測方法において、
上記複数種類の情報は、上記画像形成装置に設けたセンサーで検出した検出値、該画像形成装置の制御に用いる制御パラメータの値、及び画像形成対象の入力画像に関する情報の少なくとも一つの情報を含むことを特徴とする異常発生予測方法。 - 請求項1又は2の異常発生予測方法において、
上記画像形成装置の正常動作中に取得した上記複数種類の情報に基づいて、上記指標値の算出方法を決定することを特徴とする異常発生予測方法。 - 請求項3の異常発生予測方法において、
上記算出方法を次の手順(1)〜(5)で決定することを特徴とする異常発生予測方法。
(1)上記複数種類の情報として予め選定したk種類の情報を、上記画像形成装置を動作させながらn組取得する。
(2)取得した(k×n)個の情報を、種類ごとに規格化する。
(3)規格化した(k×n)個の情報の各種類間のすべての組み合わせについて相関係数を求める。
(4)それらの相関係数を要素とする(k×k)の行列の逆行列を求める。
(5)その逆行列のすべての要素を用いて上記算出方法を定義する。 - 画像形成装置の状態を判定する状態判定装置であって、
画像形成装置の状態と関連がある複数種類の情報を取得する情報取得手段と、
該複数種類の情報から指標値を算出する指標値算出手段と、
該指標値の時間変化のデータに基づいて、その後の該画像形成装置の状態の変化を判定する状態変化判定手段とを備えたことを特徴とする状態判定装置。 - 請求項5の状態判定装置において、
上記判定手段の判定結果に基づいて、上記画像形成装置における異常状態の発生時期を予測する異常発生予測手段を備えたことを特徴とする状態判定装置。 - 請求項5又は6の状態判定装置において、
上記指標値の時間変化のデータを表示する指標値データ表示手段を備えたことを特徴とする状態判定装置。 - 請求項5乃至7のいずれかの状態判定装置において、
上記複数種類の情報は、上記画像形成装置に設けたセンサーで検出した検出値、該画像形成装置の制御に用いる制御パラメータの値、及び画像形成対象の入力画像に関する情報の少なくとも一つの情報を含むことを特徴とする状態判定装置。 - 請求項5乃至8のいずれかの状態判定装置において、
上記指標値算出手段は、上記画像形成装置の正常動作中に取得した上記複数種類の情報に基づいて、上記指標値の算出方法を決定することを特徴とする状態判定装置。 - 請求項9の状態判定装置において、
上記指標値算出手段は、上記算出方法を次の手順(1)〜(5)で決定することを特徴とする状態判定装置。
(1)上記複数種類の情報として予め選定したk種類の情報を、上記画像形成装置を動作させながらn組取得する。
(2)取得した(k×n)個の情報を、種類ごとに規格化する。
(3)規格化した(k×n)個の情報の各種類間のすべての組み合わせについて相関係数を求める。
(4)それらの相関係数を要素とする(k×k)の行列の逆行列を求める。
(5)その逆行列のすべての要素を用いて上記算出方法を定義する。 - 請求項10の状態判定装置において、
上記情報取得手段は、上記n組の情報を1台の画像形成装置から時系列で取得することを特徴とする状態判定装置。 - 請求項10の状態判定装置において、
上記情報取得手段は、上記n組の情報を複数台の画像形成装置から並列的に取得することを特徴とする状態判定装置。 - 請求項5乃至12のいずれかの状態判定装置において、
上記画像形成装置の複数種類の異常について予め取得した上記複数の情報の時間変化を該異常の内容と関連付けて記憶した情報記憶手段と、
上記指標値算出手段で算出した指標値が所定の基準値よりも大きくなったときに、その後の上記複数の情報の時間変化と、該情報記憶手段に記憶している情報とに基づいて、その後に発生すると予測される異常の内容を特定する異常内容特定手段とを備えたことを特徴とする状態判定装置。 - 請求項5乃至13のいずれかの状態判定装置において、
上記指標値の算出に用いる複数の情報を上記画像形成装置から通信回線を介して受信するための通信手段を備えたことを特徴とする状態判定装置。 - 画像形成装置自体の状態の変化を判定する状態変化判定手段と、記録媒体に画像を形成する画像形成手段とを備えた画像形成装置において、
上記状態変化判定手段として、請求項5乃至14のいずれかの状態判定装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項15の画像形成装置において、
上記指標値の時間変化のデータに基づいて上記画像形成手段を制御する制御手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項15又は16の画像形成装置において、
上記画像形成手段は、像担持体上に潜像を形成し、該像担持体上の潜像を現像してトナー像を形成し、該像担持体上のトナー像を直接又は中間転写体を介して上記記録媒体に転写するものであることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項15乃至17のいずれかの画像形成装置において、
上記指標値の時間変化のデータから予測した異常状態の発生の予測結果を表示する異常予測結果表示手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項15乃至17のいずれかの画像形成装置において、
上記指標値の時間変化のデータから予測した異常状態の発生の予測結果を通信回線を介して外部装置に送信する通信手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項16又は17の画像形成装置において、
上記制御手段は、上記判定の結果に基づいて、画像形成動作に制限を加えるように上記画像形成手段を制御することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項16又は17の画像形成装置において、
上記制御手段は、上記判定の結果に基づいて修復のための修復制御モードを実行することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項15乃至21のいずれかの画像形成装置において、
上記状態判定手段は、画像形成装置の稼動を開始するたびに上記指標値の算出方法を再決定することを特徴とする画像形成装置。
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