JP4759342B2 - 異常判定方法及び異常判定装置 - Google Patents

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本発明は、互いに種類の異なる正常データの組合せである組データの集合からなる正常組データ群と、被検対象となる機器から取得した複数種類の情報とに基づいて、被検対象の異常の有無を判定する異常判定方法及び異常判定装置に関するものである。
従来、市場に出回っている様々な機器においては、故障が発生すると、その内容によっては部品を交換したり清掃したりするまで装置を使用することができず、ユーザーに不便を強いてしまうことがある。
一方、従来より、多変量解析によって被検対象の正常さ加減を量る種々の方法が知られている。例えば、非特許文献1に記載されたMTS(Maharanobis Taguchi System)法も、その1つである。MTS法では、まず、正常な状態の被検対象、あるいはこれと同一仕様のものである同一仕様物から、複数種類の情報からなる組データを取得する。そして、この組データを数多く収集して正常組データ群を構築する。その後、被検対象の正常さ加減を調べたいときに、被検対象から種々の情報を取得する。そして、それらの情報について、予め構築しておいた正常組データ群による多次元空間内でどのような相対位置関係にあるのかを示すマハラノビス距離を求め、その結果に基づいて被検対象の正常さ加減を量る。かかるMTS法を用いれば、被検対象となる機器の軽微な異常を検知して、故障の発生を事前に予測することが可能になる。そして、異常の検知に基づいて、その機器の設置場所にサービスマンを派遣し、故障が発生する前に保守点検を行うことで、機器のダウンタイムを低減することができる。
「MTシステムにおける技術開発」 刊行委員会委員長 田口玄一著 日本規格協会刊
サービスマンをユーザーのもとに派遣して部品の交換や清掃するといった機器の保守点検を、多変量解析による異常の判定結果に基づいて行う従来の方法においては、次のような問題を発生させることがあった。即ち、異常の判定結果に基づいて、機器内のある箇所について保守点検が必要であると判断されたとする。この判断は、例えば、機器に搭載された判断装置によってユーザーのもとで行われる場合もあれば、通信回線を介して機器に接続された判断装置によって保守点検サービス機関のもので行われる場合もある。前者の場合であっても、ユーザーによる電話連絡や、機器から通信回線を介して送られてくる信号に基づいて、その判断結果が保守点検サービス機関に通知される。保守点検サービス機関は、判断装置の判断結果に基づいて、そのユーザーのもとにサービスマンを派遣し、機器の保守必要箇所に対して部品交換や清掃を行う。これにより、その箇所における故障の発生を未然に防ぐことができる。ところが、このようにして保守点検を行ったにもかかわらず、その数日後には、その機器の違う箇所で異常が検知されることがある。このような場合、短期間で同じユーザーのもとにサービスマンを何度も派遣するという非効率的なメンテナンス作業を行ってしまうことになる。
また、機器を適切に保守点検していたとしても、突発的な要因などによって故障が発生してしまう場合がある。この場合には、EM(エマージェンシーメンテナンス)と呼ばれる緊急処置が必要になり、保守サービス機関はできるだけ迅速にサービスマンをユーザーのもとに派遣する。そして、故障箇所を修理して機器を使用できる状態にする。ところが、その数日後には、修理した箇所とは異なる箇所で異常が検知されることがある。このような場合にも、短期間で同じユーザーのもとにサービスマンを何度も派遣するという非効率的なメンテナンス作業を行ってしまうことになる。
また、あるユーザーのもとにサービスマンを派遣して故障箇所を修理したり、保守点検を行ったりしたにもかかわらず、その数日後には、そのユーザーのすぐ近所にいる別のユーザーのもとで機器の異常が発生することもある。このような場合には、短期間で比較的狭い範囲の地域にサービスマンを何度も出動させるという非効率的なメンテナンス作業を行ってしまうことになる。
本発明は、以上の背景に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、効率的なメンテナンス作業を実現するのに有用な判定を行うことができる異常判定方法及び異常判定装置を提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、被検対象となる機器から複数種類のデータを取得するデータ取得工程と、それら複数種類のデータについての正常データの組合せである正常組データの集合からなる正常組データ群、及び該データ取得工程にて該機器から取得した複数種類の取得データに基づいた多変量解析を行って異常指標値を算出し、算出結果と、予め定められた異常閾値との比較に基づいて該機器における異常の有無を判定する異常判定工程とを具備する異常判定処理を実施する異常判定方法において、上記機器に搭載された複数の装置からそれぞれ動作回数情報又は動作時間情報を取得する動作情報取得工程と、該動作回数情報又は動作時間情報と所定の保守閾値との比較に基づいてそれぞれの装置について部品交換又は清掃による保守の必要の有無を判定する保守要求判定工程を具備する保守判定処理を実施し、該保守判定処理で何れかの装置について保守の必要ありと判定した場合に、上記異常判定処理にて、上記正常組データ群として、互いに上記正常データの種類の組合せが異なる複数のものを用い、これらの正常組データ群のぞれぞれに基づいて複数の異常指標値を算出し、それぞれの算出結果と予め定められた異常閾値との比較に基づいて複数の該正常組データ群にそれぞれ個別に対応する複数種類の異常の有無を判定することを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、被検対象となる機器から複数種類のデータを取得するデータ取得手段と、それら複数種類のデータについての正常データの組合せである正常組データの集合からなる正常組データ群、及び該データ取得工程にて該機器から取得した複数種類の取得データに基づいた多変量解析を行って異常指標値を算出し、算出結果と、予め定められた異常閾値との比較に基づいて該機器における異常の有無を判定する異常判定手段とを備える異常判定装置において、上記機器に搭載された複数の装置からそれぞれ動作回数情報又は動作時間情報を取得する動作情報取得手段と、該動作回数情報又は動作時間情報と所定の保守閾値との比較に基づいてそれぞれの装置について部品交換又は清掃による保守の必要の有無を判定する保守要求判定手段とを設け、該保守要求判定手段によって何れかの装置について保守の必要ありと判定された場合に、上記正常組データ群として、互いに上記正常データの種類の組合せが異なる複数のものを用い、これらの正常組データ群のぞれぞれに基づいて複数の異常指標値を算出し、それぞれの算出結果と予め定められた異常閾値との比較に基づいて複数の該正常組データ群にそれぞれ個別に対応する複数種類の異常の有無を判定させるように上記異常判定手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、被検対象となる機器に接続されている通信回線を通じて該機器から複数種類のデータを取得するデータ取得工程と、それら複数種類のデータについての正常データの組合せである正常組データの集合からなる正常組データ群、及び該データ取得工程にて該機器から取得した複数種類の取得データに基づいた多変量解析を行って異常指標値を算出し、算出結果と、予め定められた異常閾値との比較に基づいて該機器における異常の有無を判定する異常判定工程とを具備する異常判定処理を実施する異常判定方法において、上記異常判定処理にて、上記正常組データ群として、互いに上記正常データの種類の組合せが異なる複数のものを用い、これらの正常組データ群のぞれぞれに基づいて複数の異常指標値を算出し、それぞれの算出結果と予め定められた異常閾値との比較に基づいて複数の該正常組データ群にそれぞれ個別に対応する複数種類の異常の有無を判定するとともに、上記機器から発せられた故障の発生及び種類を示す故障発生情報を、上記通信回線を通じて受信する故障発生情報受信工程を該異常判定処理とは別に実施し、該故障発生情報受信工程で該故障発生情報を受信した場合には、異常の判定基準をより厳しくして該異常判定処理を実施することを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、被検対象となる機器に接続されている通信回線を通じて該機器から複数種類のデータを取得するデータ取得手段と、それら複数種類のデータについての正常データの組合せである正常組データの集合からなる正常組データ群、及び該データ取得工程にて該機器から取得した複数種類の取得データに基づいた多変量解析を行って異常指標値を算出し、算出結果と、予め定められた異常閾値との比較に基づいて該機器における異常の有無を判定する異常判定手段とを備える異常判定装置において、上記機器から発せられた故障の発生及び種類を示す故障発生情報を、上記通信回線を通じて受信する故障発生情報受信手段を設け、且つ、上記正常組データ群として、互いに上記正常データの種類の組合せが異なる複数のものを用い、これらの正常組データ群のぞれぞれに基づいて複数の異常指標値を算出し、それぞれの算出結果と予め定められた異常閾値との比較に基づいて複数の該正常組データ群にそれぞれ個別に対応する複数種類の異常の有無を判定し、該故障発生情報受信手段によって該故障発生情報が受信された場合には、判定基準をより厳しくして異常の判定を行うように、上記異常判定手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、被検対象となる複数の機器にそれぞれ接続されている通信回線を通じて、複数の該機器からそれぞれ複数種類のデータを取得するデータ取得工程と、それら複数種類のデータについての正常データの組合せである正常組データの集合からなる正常組データ群、及び該データ取得工程にて該機器から取得した複数種類の取得データに基づいた多変量解析を該複数の機器のそれぞれについて行って、該複数の機器にそれぞれ個別に対応する複数の異常指標値を算出し、それぞれの算出結果と予め定められた異常閾値との比較に基づいて該複数の機器における異常の有無をそれぞれ個別に判定する異常判定工程とを実施する異常判定方法において、上記複数の機器にそれぞれ接続されている通信回線を通じて、それぞれの機器から送られてくる故障の発生及び種類を示す故障情報を受信する故障発生情報受信工程を実施し、該複数の機器の何れかから発せられた該故障発生情報を受信した場合には、該複数の機器のうち、該故障発生情報を発していない機器について、異常の判定基準をより厳しくして上記異常判定工程をやり直すことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、被検対象となる複数の機器にそれぞれ接続されている通信回線を通じて、複数の該機器から複数種類のデータをそれぞれ取得するデータ取得手段と、それら複数種類のデータについての正常データの組合せである正常組データの集合からなる正常組データ群、及び該データ取得手段によって該機器から取得した複数種類の取得データに基づいた多変量解析を該複数の機器についてそれぞれ行って、該複数の機器にそれぞれ個別に対応する複数の異常指標値を算出し、それぞれの算出結果と予め定められた異常閾値との比較に基づいて該複数の機器における異常の有無をそれぞれ個別に判定する異常判定手段とを備える異常判定装置において、上記複数の機器にそれぞれ接続されている通信回線を通じて、それぞれの機器から送られてくる故障の発生及び種類を示す故障発生情報を受信する故障発生情報受信手段を設け、該複数の機器の何れかから発せられた該故障発生情報が該故障発生情報受信手段によって受信された場合には、該複数の機器のうち、該故障発生情報を発していない機器について、異常の判定基準をより厳しくして異常の判定の有無をやり直しさせるように上記異常判定手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、被検対象となる機器に接続されている通信回線を通じて該機器から複数種類のデータを取得するデータ取得工程と、それら複数種類のデータについての正常データの組合せである正常組データの集合からなる正常組データ群、及び該データ取得工程にて該機器から取得した複数種類の取得データに基づいた多変量解析を行って異常指標値を算出し、算出結果と、予め定められた異常閾値との比較に基づいて該機器における異常の有無を判定する異常判定工程とを具備する異常判定処理を実施する異常判定方法において、上記異常判定処理にて、上記正常組データ群として、互いに上記正常データの種類の組合せが異なる複数のものを用い、これらの正常組データ群のぞれぞれに基づいて複数の異常指標値を算出し、それぞれの算出結果と予め定められた異常閾値との比較に基づいて複数の該正常組データ群にそれぞれ個別に対応する複数種類の異常の有無を判定するようにするとともに、上記通信回線を通じて、上記機器に搭載された複数の装置におけるぞれぞれの動作回数情報又は動作時間情報を取得する動作情報取得工程と、該動作回数情報又は動作時間情報と所定の保守閾値との比較に基づいて複数の該装置について部品交換又は清掃による保守の必要の有無をそれぞれ判定する保守要求判定工程とを具備する保守判定処理を該異常判定処理とは別に実施し、該異常判定処理で何れかの異常を有りと判定するか、あるいは該保守要求判定処理で何れかの装置について保守必要有りと判定した場合には、有りと判定しなかった異常について判定基準をより厳しくして上記異常判定処理をやり直すか、あるいは保守必要有りと判定しなかった装置について上記保守閾値を判定基準がより厳しくなるように補正して該保守判定処理をやり直すかすることを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、被検対象となる機器に接続されている通信回線を通じて該機器から複数種類のデータを取得するデータ取得手段と、それら複数種類のデータについての正常データの組合せである正常組データの集合からなる正常組データ群、及び該データ取得工程にて該機器から取得した複数種類の取得データに基づいた多変量解析を行って異常指標値を算出し、算出結果と、予め定められた異常閾値との比較に基づいて該機器における異常の有無を判定する異常判定手段とを備える異常判定装置において、上記通信回線を通じて、上記機器に搭載された複数の装置におけるぞれぞれの動作回数情報又は動作時間情報を取得する動作情報取得手段と、該動作回数情報又は動作時間情報と所定の保守閾値との比較に基づいて複数の該装置について部品交換又は清掃による保守の必要の有無をそれぞれ判定する保守要求判定手段とを備え、上記正常組データ群として、互いに上記正常データの種類の組合せが異なる複数のものを用い、これらの正常組データ群のぞれぞれに基づいて複数の異常指標値を算出し、それぞれの算出結果と予め定められた異常閾値との比較に基づいて複数の該正常組データ群にそれぞれ個別に対応する複数種類の異常の有無を判定するように上記異常判定装置が構成され、該異常判定手段によって何れかの種類の異常を有りと判定した場合、あるいは該保守要求判定手段によって何れかの装置について保守必要有りと判定した場合には、有りと判定しなかった異常について判定基準をより厳しくして判定をやり直すか、あるいは保守必要有りと判定しなかった装置について上記保守閾値を判定基準がより厳しくなるように補正して判定をやり直すかすることを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、被検対象となる複数の機器にそれぞれ接続されている通信回線を通じて該複数の機器からそれぞれ複数種類のデータを取得するデータ取得工程と、それら複数種類のデータについての正常データの組合せである正常組データの集合からなる正常組データ群、及び該データ取得工程にて該機器から取得した複数種類の取得データに基づいた多変量解析を該複数の機器のそれぞれについて行って、該複数の機器にそれぞれ個別に対応する複数の異常指標値を算出し、それぞれの算出結果と予め定められた異常閾値との比較に基づいて該複数の機器における異常の有無をそれぞれ個別に判定する異常判定工程とを実施する異常判定方法において、上記複数の機器の何れかについて異常を有りと判定した場合には、異常を有りと判定しなかった機器について異常の判定基準をより厳しくして上記異常判定工程をやり直すことを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、被検対象となる複数の機器にそれぞれ接続されている通信回線を通じて該複数の機器からそれぞれ複数種類のデータを取得するデータ取得手段と、それら複数種類のデータについての正常データの組合せである正常組データの集合からなる正常組データ群、及び該データ取得手段によって該機器から取得した複数種類の取得データに基づいた多変量解析を該複数の該機器についてそれぞれ行って、該複数の機器にそれぞれ個別に対応する複数の異常指標値を算出し、それぞれの算出結果と予め定められた異常閾値との比較に基づいて該複数の機器における異常の有無をそれぞれ個別に判定する異常判定手段とを備える異常判定装置において、上記複数の機器の何れかについて異常を有りと判定した場合には、異常を有りと判定しなかった機器について判定基準をより厳しくして異常の有無の判定をやり直しさせるように上記異常判定手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、被検対象となる複数の機器にそれぞれ接続されている通信回線を通じて該複数の機器からそれぞれ複数種類のデータを取得するデータ取得工程と、それら複数種類のデータについての正常データの組合せである正常組データの集合からなる正常組データ群、及び該データ取得工程にて該機器から取得した複数種類の取得データに基づいた多変量解析を該複数の機器のそれぞれについて行って、該複数の機器にそれぞれ個別に対応する複数の異常指標値を算出し、それぞれの算出結果と予め定められた異常閾値との比較に基づいて該複数の機器における異常の有無をそれぞれ個別に判定する異常判定工程とを実施する異常判定方法において、上記複数の機器にそれぞれ搭載された所定の装置の動作回数情報又は動作時間情報を、上記通信回線を通じてそれぞれ取得する動作情報取得工程と、上記異常判定工程にて該複数の機器の何れかについて異常を有りと判定した場合に、異常を有りと判定しなかった機器に搭載された装置について、部品交換又は清掃による保守の必要の有無を該動作回数情報又は動作時間情報と所定の保守閾値との比較に基づいて判定する保守要求判定工程とを実施することを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、被検対象となる複数の機器にそれぞれ接続されている通信回線を通じて該複数の機器からそれぞれ複数種類のデータを取得するデータ取得手段と、それら複数種類のデータについての正常データの組合せである正常組データの集合からなる正常組データ群、及び該データ取得手段によって該機器から取得した複数種類の取得データに基づいた多変量解析を該複数の機器についてそれぞれ行って、該複数の機器にそれぞれ個別に対応する複数の異常指標値を算出し、それぞれの算出結果と予め定められた異常閾値との比較に基づいて該複数の機器における異常の有無をそれぞれ個別に判定する異常判定手段とを備える異常判定装置において、上記複数の機器にそれぞれ搭載された所定の装置の動作回数情報又は動作時間情報を、上記通信回線を通じてそれぞれ取得する動作情報取得手段と、上記異常判定手段によって該複数の機器の何れかについて異常が有りと判定された場合に、異常が有りと判定されなかった機器に搭載された装置ついて、部品交換又は清掃による保守の必要の有無を該動作回数情報又は動作時間情報と所定の保守閾値との比較に基づいて判定する保守要求判定手段とを設けたことを特徴とするものである。
また、請求項13の発明は、被検対象となる複数の機器にそれぞれ接続されている通信回線を通じて該複数の機器からそれぞれ複数種類のデータを取得するデータ取得工程と、それら複数種類のデータについての正常データの組合せである正常組データの集合からなる正常組データ群、及び該データ取得工程にて該機器から取得した複数種類の取得データに基づいた多変量解析を該複数の機器のそれぞれについて行って、該複数の該機器にそれぞれ個別に対応する複数の異常指標値を算出し、それぞれの算出結果と予め定められた異常閾値との比較に基づいて該複数の機器における異常の有無をそれぞれ個別に判定する異常判定工程とを具備する異常判定処理を実施する異常判定方法において、上記通信回線を通じて、上記複数の機器のそれぞれに搭載された所定の装置の動作回数情報又は動作時間情報を取得する動作情報取得工程と、該動作回数情報又は動作時間情報と所定の保守閾値との比較に基づいてそれぞれの該装置について部品交換又は清掃による保守の必要の有無を判定する保守要求判定工程とを具備する保守判定処理を実施し、何れかの装置について保守必要有りと判定した場合に、上記複数の機器のうち、保守必要有りと判定しなかった装置を搭載する機器について上記異常判定処理を実施することを特徴とするものである。
また、請求項14の発明は、被検対象となる複数の機器にそれぞれ接続されている通信回線を通じて該複数の機器からそれぞれ複数種類のデータを取得するデータ取得手段と、それら複数種類のデータについての正常データの組合せである正常組データの集合からなる正常組データ群、及び該データ取得手段によって該機器から取得した複数種類の取得データに基づいた多変量解析を該複数の機器についてそれぞれ行って、該複数の機器にそれぞれ個別に対応する複数の異常指標値を算出し、それぞれの算出結果と予め定められた異常閾値との比較に基づいて該複数の機器における異常の有無をそれぞれ個別に判定する異常判定手段とを備える異常判定装置において、上記通信回線を通じて、上記複数の機器のそれぞれに搭載された所定の装置の動作回数情報又は動作時間情報を取得する動作情報取得手段と、該動作回数情報又は動作時間情報と所定の保守閾値との比較に基づいてそれぞれの該装置について部品交換又は清掃による保守の必要の有無を判定する保守要求判定手段とを設け、該保守要求判定手段によって何れかの装置について保守必要有りと判定された場合に、上記複数の機器のうち、保守必要有りと判定されなかった装置を搭載する機器について異常の有無を判定させるように上記異常判定手段を構成したことを特徴とするものである。
請求項1又は2の発明においては、正常組データ群として、互いに正常データの種類の組合せが異なる複数のものを用い、それぞれについて、被検対象となる機器から取得した複数種類のデータに基づいた多変量解析を行うことで、従来の多変量解析による異常の判定では困難であった異常の種類の判別を行うことが可能になる。具体的には、MTS法などといった多変量解析を用いた異常の判定は、被検対象となる機器が正常な状態からどれだけずれているのかを捉えて様々な種類の異常の発生を包括的に検出するものであるため、発生した異常についてどの種類の異常なのかを特定することが困難であった。このため、保守点検が必要になったことを知ることはできるが、どのような部品を用意してユーザーのもとに行くべきなのかを知ることが困難であった。そこで、請求項1又は2の発明においては、正常組データ群として、例えば、被検対象である画像形成装置の紙搬送系の箇所に関する正常データの組合せからなるもの、現像系の箇所に関する正常データの組合せからなるものなどとった具合に、互いに正常データの種類の組合せが異なる複数のものを用いる。そして、それぞれの正常組データ群について、データ取得工程において被検対象の機器から取得した複数種類の取得データに基づいて多変量解析を行う。これにより、異常の有無を異常の種類毎に分類して判定することが可能になる。このようにして複数種類の異常の有無をそれぞれ判定する前に、ある装置の動作回数が所定回数を上回ったらその装置について保守必要有りと判定するなどといった具合に、被検対象の機器に搭載された複数の装置について、それぞれ動作回数又は動作時間に基づいた保守の必要性の判定を行う。そして、何れかの装置について保守の必要有りと判定した場合に、多変量解析によって複数種類の異常の有無をそれぞれ判定する。これにより、被検対象となる機器に搭載された複数の装置のうち、何れかの装置についての保守必要有りという判定した場合に、保守必要有りと判定した装置とは異なる箇所で異常が発生しているか否かを確認する。そして、異なる箇所の異常を検出した場合には、サービスマンに対し、保守必要有りと判定した装置に加えて、その装置とは別の異常箇所の保守点検を同時に行わせて、メンテナンス作業の効率化を図ることが可能になる。よって、効率的なメンテナンス作業を実現するのに有用な判定を行うことができる。
また、請求項3又は4の発明においても、請求項1や2の発明と同様にして、複数の正常組データ群についてそれぞれ多変量解析を行うことで、被検対象となる機器における複数種類の異常の有無を判定する。このような判定を行うことで、その機器においてそれぞれの異常に対応する複数の箇所について、故障の発生を事前に検出することが可能になる。但し、事前に異常が検出されなかったにもかかわらず、何らかの突発的な原因によって故障が発生したり、異常の有無を検出していない箇所で故障が発生したりすることがある。そして、この際、機器内における故障発生箇所とは異なる箇所が、現時点では異常無しと判定されるものの、2〜3日後などといった近い将来、異常有りと判定される状態になっている場合がある。このような場合、従来では、サービスマンがユーザーのもとに出向いて故障を修理したすぐ後に、故障発生箇所とは異なる箇所が異常有りと判定され、サービスマンが再び同じユーザーのもとに出向くといった非効率的なメンテナンス作業を行わざるを得なかった。そこで、請求項3又は4の発明においては、被検対象の機器に故障が発生した場合には、複数種類の異常についてそれぞれ、判定基準をより厳しくして異常の有無を判定する。これにより、被検対象となる機器において、現時点では異常無しと判定されるものの、近い将来には異常有りと判定される箇所を、現時点で異常有りと判定できるようにする。かかる構成においては、サービスマンに対し、故障箇所の修理を行う際に、同時に、近い将来に異常が発生する箇所の保守点検を行わせて、メンテナンス作業の効率化を図ることが可能になる。よって、効率的なメンテナンス作業を実現するのに有用な判定を行うことができる。なお、異常の有無の判定基準をより厳しくする方法としては、異常閾値を補正する方法の他、多変量解析に用いる正常組データ群を切り替える方法が挙げられる。
また、請求項5又は6の発明においては、複数の機器を被検対象とし、それぞれの機器について多変量解析による異常の有無の判定を個別に行う。これにより、それぞれの機器について、故障の発生を事前に検出することが可能になる。但し、事前に異常が検出されなかったにもかかわらず、何らかの突発的な原因により、複数の機器のうちの何れかに故障が発生することがある。そして、この際、その機器を所有するユーザーの近所において、別のユーザーの機器が、現時点では異常無しと判定されるものの、2〜3日後などといった近い将来に、異常有りと判定される状態になっている場合がある。このような場合、従来では、サービスマンが故障した機器を所有するユーザーのもとに出向いて修理を行ったすぐ後に、そのユーザーの近所にいる別のユーザーの機器が異常有りと判定有りと判定される。そして、サービスマンが後者の機器の保守点検を行うために、両ユーザーの存在する比較的狭い範囲の地域に再び出向くといった非効率的なメンテナンス作業を行わざるを得なかった。そこで、請求項5又は6の発明においては、被検対象となる複数の機器の何れかに故障が発生した場合には、故障が発生していない別の機器について、判定基準をより厳しくして異常の有無を判定し直す。これにより、故障が発生していない別の機器であって、現時点では異常無しと判定されるものの、近い将来には異常有りと判定される機器を、現時点で異常有りと判定できるようにする。かかる構成においては、サービスマンに対し、故障が発生した機器の修理を行うついでに、その近所におかれた別の機器であって且つ近い将来に異常有りと判定される機器の保守点検を行わせて、メンテナンス作業の効率化を図ることが可能になる。よって、効率的なメンテナンス作業を実現するのに有用な判定を行うことができる。
また、請求校7又は8の発明においては、請求項1や2の発明と同様にして、複数の正常組データ群についてそれぞれ多変量解析を行うことで、被検対象となる機器における複数種類の異常の有無を判定する。これにより、その機器においてそれぞれの異常に対応する複数の箇所について、故障の発生を事前に検出することが可能になる。また、複数種類の異常の有無の判定とは別に、その機器に搭載された複数の装置についてそれぞれ、その動作回数又は動作時間とこれに対応する保守閾値との比較に基づいて保守点検の必要性を判定する。これにより、複数の装置についてそれぞれ、動作回数又は動作時間に応じた定期的な保守点検を行って故障の発生を抑えることが可能になる。被検対象となる機器において、異常有りと判定された箇所を保守点検することに加えて、保守必要有りと判定された装置を保守点検するのである。これにより、その機器における故障の発生をより確実に抑える。但し、被検対象となる機器において、ある箇所が異常有りと判定された場合に、別の箇所がその時点では異常無しと判定されるものの、2〜3日後などといった近い将来に、異常有りと判定される状態になっていたり、ある装置がその時点では保守必要無しと判定されるものの、近い将来に保守必要有りと判定される状態になっていたりする場合がある。また、被検対象となる機器において、ある装置が保守必要有りと判定された場合に、その装置とは異なる箇所がその時点では異常無しと判定されるものの、近い将来に異常有りと判定される状態になっていたり、その装置とは異なる別の装置がその時点では保守必要無しと判定されるものの、近い将来に保守必要有りと判定される状態になっていたりする場合もある。そこで、何れかの種類の異常が有りと判定された場合、あるいは何れかの装置が保守必要有りと判定された場合には、別の種類の異常について判定基準をより厳しくしてその有無を判定するか、あるいは、別の装置について保守閾値を判定基準がより厳しくなるように補正して保守点検の必要性を判定する。これにより、現時点では無しと判定されるものの、近い将来に有りと判定される異常を、現時点において有りと判定できるようにしたり、現時点では保守必要無しと判定されるものの、近い将来に保守必要有りと判定される装置を、現時点において保守必要ありと判定できるようにしたりする。かかる構成では、サービスマンに対し、有りと判定された異常に対応する箇所の保守点検を行わせるか、あるいは、保守必要有りと判定された装置の保守点検を行わせるかする際に、同時に、近い将来に有りと判定される異常に対応する箇所の保守点検を行わせるか、あるいは、近い将来に保守必要有りと判定される装置の保守点検を行わせるかして、メンテナンス作業の効率化を図ることが可能になる。よって、効率的なメンテナンス作業を実現するのに有用な判定を行うことができる。
また、請求項9又は10の発明においては、請求項5又は6の発明と同様に、被検対象となる複数の機器についてそれぞれ多変量解析による異常の有無の判定を個別に行って、故障の発生を事前に検出する。そして、何れかの機器について異常を有りと判定した場合には、他の機器について異常の判定基準をより厳しく補正して、現時点では異常無しと判定されるものの、近い将来に異常有りと判定される機器を、現時点で異常有りと判定できるようにする。これにより、サービスマンに対し、通常の判定基準で異常有りと判定された機器の保守点検を行わせるついでに、その機器の近所におかれた機器であって且つ近い将来に異常有りと判定される機器の保守点検を行わせることで、メンテナンス作業の効率化を図ることが可能になる。よって、効率的なメンテナンス作業を実現するのに有用な判定を行うことができる。
また、請求項11又は12の発明においても、請求項5又は6の発明と同様に、被検対象となる複数の機器についてそれぞれ多変量解析による異常の有無の判定を個別に行って、故障の発生を事前に検出する。そして、何れかの機器について異常有りと判定した場合には、他の機器に搭載された装置について、動作回数又は動作時間と所定の保守閾値との比較に基づいて保守点検の必要性を判定する。これにより、異常有りと判定しなかった機器の中に、保守必要有りと判定される装置を搭載した機器があるか否かを確認する。かかる構成では、サービスマンに対し、異常有りと判定された機器の保守点検を行わせるついでに、その機器の近所におかれた機器において保守必要有りと判定される装置の保守点検を行わせることで、メンテナンス作業の効率化を図ることが可能になる。よって、効率的なメンテナンス作業を実現するのに有用な判定を行うことができる。
また、請求項13又は14の発明においては、被検対象となる複数の機器についてそれぞれ、それが搭載している装置の動作回数又は動作時間と所定の保守閾値との比較に基づいて、その装置の保守点検の必要性を判定する。そして、何れかの機器の装置について保守必要有りと判定した場合には、他の機器について多変量解析による異常の有無の判定を行う。これにより、搭載している装置が保守必要有りと判定されなかった機器の中に、異常有りと判定される機器があるか否かを確認する。かかる構成では、サービスマンに対し、保守必要有りと判定された装置を搭載した機器の保守点検を行わせるついでに、その機器の近所におかれた別の機器であって且つ異常有りと判定された機器の保守点検を行わせることで、メンテナンス作業の効率化を図ることが可能になる。よって、効率的なメンテナンス作業を実現するのに有用な判定を行うことができる。
以下、本発明を、画像形成装置である電子写真方式の複写機(以下、単に複写機という)に適用した第1実施形態について説明する。
まず、本第1実施形態に係る複写機の基本的な構成について説明する。図1は、本複写機を示す概略構成図である。この複写機は、プリンタ部100と給紙部200とからなる画像形成手段と、スキャナ部300と、原稿搬送部400とを備えている。スキャナ部300はプリンタ部100上に取り付けられ、そのスキャナ部300の上に原稿自動搬送装置(ADF)からなる原稿搬送部400が取り付けられている。
スキャナ部300は、コンタクトガラス32上に載置された原稿の画像情報を読取センサ36で読み取り、読み取った画像情報を図示しない制御部に送る。制御部は、スキャナ部300から受け取った画像情報に基づき、プリンタ部100の露光装置21内に配設された図示しないレーザやLED等を制御してドラム状の4つの感光体40K,Y,M,Cに向けてレーザ書き込み光Lを照射させる。この照射により、感光体40K,Y,M,Cの表面には静電潜像が形成され、この潜像は所定の現像プロセスを経由してトナー像に現像される。なお、符号の後に付されたK,Y,M,Cという添字は、ブラック,イエロー,マゼンタ,シアン用の仕様であることを示している。
プリンタ部100は、露光装置21の他、1次転写ローラ62K,Y,M,C、2次転写装置22、定着装置25、排紙装置、図示しないトナー供給装置、トナー供給装置等も備えている。
給紙部200は、プリンタ部100の下方に配設された自動給紙部と、プリンタ部100の側面に配設された手差し部とを有している。そして、自動給紙部は、ペーパーバンク43内に多段に配設された2つの給紙カセット44、給紙カセットから記録体たる転写紙を繰り出す給紙ローラ42、繰り出した転写紙を分離して給紙路46に送り出す分離ローラ45等を有している。また、プリンタ部100の給紙路48に転写紙を搬送する搬送ローラ47等も有している。一方、手差し部は、手差しトレイ51、手差しトレイ51上の転写紙を手差し給紙路53に向けて一枚ずつ分離する分離ローラ52等を有している。
プリンタ部100の給紙路48の末端付近には、レジストローラ対49が配設されている。このレジストローラ対49は、給紙カセット44や手差しトレイ51から送られてくる転写紙を受け入れた後、所定のタイミングで中間転写体たる中間転写ベルト10と2次転写装置22との間に形成される2次転写ニップに送る。
本複写機において、操作者は、カラー画像のコピーをとるときに、原稿搬送部400の原稿台30上に原稿をセットする。あるいは、原稿搬送部400を開いてスキャナ部300のコンタクトガラス32上に原稿をセットした後、原稿搬送部400を閉じて原稿を押さえる。そして、図示しないスタートスイッチを押す。すると、原稿搬送部400に原稿がセットされている場合には原稿がコンタクトガラス32上に搬送された後に、コンタクトガラス32上に原稿がセットされている場合には直ちに、スキャナ部300が駆動を開始する。そして、第1走行体33及び第2走行体34が走行し、第1走行体33の光源から発せられる光が原稿面で反射した後、第2走行体34に向かう。更に、第2走行体34のミラーで反射してから結像レンズ35を経由して読取りセンサ36に至り、画像情報として読み取られる。
このようにして画像情報が読み取られると、プリンタ部100は、図示しない駆動モータで支持ローラ14、15、16の1つを回転駆動させながら他の2つの支持ローラを従動回転させる。そして、これらローラに張架される中間転写ベルト10を無端移動させる。更に、上述のようなレーザ書き込みや、後述する現像プロセスを実施する。そして、感光体40K,Y,M,Cを回転させながら、それらに、ブラック,イエロー,マゼンタ,シアンの単色画像を形成する。これらは、感光体40K,Y,M,Cと、中間転写ベルト10とが当接するK,Y,M,C用の1次転写ニップで順次重ね合わせて静電転写されて4色重ね合わせトナー像になる。感光体40K、40Y、40M、40C上にトナー像を形成する。
一方、給紙部200は、画像情報に応じたサイズの転写紙を給紙すべく、3つの給紙ローラのうちの何れか1つを作動させて、転写紙をプリンタ部100の給紙路48に導く。給紙路48内に進入した転写紙は、レジストローラ対49に挟み込まれて一旦停止した後、タイミングを合わせて、中間転写ベルト10と2次転写装置22の2次転写ローラ23との当接部である2次転写ニップに送り込まれる。すると、2次転写ニップにおいて、中間転写ベルト10上の4色重ね合わせトナー像と、転写紙とが同期して密着する。そして、ニップに形成されている転写用電界やニップ圧などの影響によって4色重ね合わせトナー像が転写紙上に2次転写され、紙の白色と相まってフルカラー画像となる。
2次転写ニップを通過した転写紙は、2次転写装置22の搬送ベルト24の無端移動によって定着装置25に送り込まれる。そして、定着装置25の加圧ローラ27による加圧力と、加熱ベルトによる加熱との作用によってフルカラー画像が定着せしめられた後、排出ローラ56を経てプリンタ部100の側面に設けられた排紙トレイ57上に排出される。
図2は、プリンタ部100を示す拡大構成図である。プリンタ部100は、ベルトユニット、各色のトナー像を形成する4つのプロセスユニット18K,Y,M,C、2次転写装置22、ベルトクリーニング装置17、定着装置25等を備えている。
ベルトユニットは、複数のローラに張架した中間転写ベルト10を、感光体40K,Y,M,Cに当接させながら無端移動させる。感光体40K,Y,M,Cと中間転写ベルト10とを当接させるK,Y,M,C用の1次転写ニップでは、1次転写ローラ62K,Y,M,Cによって中間転写ベルト10を裏面側から感光体40K,Y,M,Cに向けて押圧している。これら1次転写ローラ62K,Y,M,Cには、それぞれ図示しない電源によって1次転写バイアスが印加されている。これにより、K,Y,M,C用の1次転写ニップには、感光体40K,Y,M,C上のトナー像を中間転写ベルト10に向けて静電移動させる1次転写電界が形成されている。各1次転写ローラ62K,Y,M,Cの間には、中間転写ベルト10の裏面に接触する導電性ローラ74がそれぞれ配設されている。これら導電性ローラ74は、1次転写ローラ62K,Y,M,Cに印加される1次転写バイアスが、中間転写ベルト10の裏面側にある中抵抗の基層11を介して隣接するプロセスユニットに流れ込むことを阻止するものである。
プロセスユニット(18K,Y,M,C)は、感光体(40K,Y,M,C)と、その他の幾つかの装置とを1つのユニットとして共通の支持体に支持するものであり、プリンタ部100に対して着脱可能になっている。ブラック用のプロセスユニット18Kを例にすると、これは、感光体40Kの他、感光体40K表面に形成された静電潜像をブラックトナー像に現像するための現像手段たる現像ユニット61Kを有している。また、1次転写ニップを通過した後の感光体40K表面に付着している転写残トナーをクリーニングする感光体クリーニング装置63Kも有している。また、クリーニング後の感光体40K表面を除電する図示しない除電装置や、除電後の感光体40K表面を一様帯電せしめる図示しない帯電装置なども有している。他色用のプロセスユニット18Y,M,Cも、取り扱うトナーの色が異なる他は、ほぼ同様の構成になっている。本複写機では、これら4つのプロセスユニット18K,Y,M,Cを、中間転写ベルト10に対してその無端移動方向に沿って並べるように対向配設したいわゆるタンデム型の構成になっている。
図3は、4つのプロセスユニット18K,Y,M,Cからなるタンデム部20の一部を示す部分拡大図である。なお、4つのプロセスユニット18K,Y,M,Cは、それぞれ使用するトナーの色が異なる他はほぼ同様の構成になっているので、同図においては各符号に付すK,Y,M,Cという添字を省略している。同図に示すように、プロセスユニット18は、感光体40の周りに、帯電手段としての帯電装置60、現像装置61、1次転写手段としての1次転写ローラ62、感光体クリーニング装置63、除電装置64等を備えている。
感光体40としては、アルミニウム等の素管に、感光性を有する有機感光材を塗布し、感光層を形成したドラム状のものを用いている。但し、無端ベルト状のものを用いても良い。また、帯電装置60としては、帯電バイアスが印加される帯電ローラを感光体40に当接させながら回転させるものを用いている。感光体40に対して非接触で帯電処理を行うスコロトロンチャージャ等を用いてもよい。
現像装置61は、磁性キャリアと非磁性トナーとを含有する二成分現像剤を用いて潜像を現像するようになっている。内部に収容している二成分現像剤を攪拌しながら搬送して現像スリーブ65に供給する攪拌部66と、現像スリーブ65に付着した二成分現像剤のうちのトナーを感光体4K,Y,M,Cに転移させる現像部67とを有している。
攪拌部66は、現像部67よりも低い位置に設けられており、互いに平行配設された2本のスクリュウ68、これらスクリュウ間に設けられた仕切り板、現像ケース70の底面に設けられたトナー濃度センサ71などを有している。
現像部67は、現像ケース70の開口を通して感光体40に対向する現像スリーブ65、これの内部に回転不能に設けられたマグネットローラ72、現像スリーブ65に先端を接近させるドクタブレード73などを有している。ドクタブレード73と現像スリーブ65との間の最接近部における間隔は500[μm]程度に設定されている。現像スリーブ65は、非磁性の回転可能なスリーブ状の形状になっている。また、現像スリーブ65に連れ回らないようにないようされるマグネットローラ72は、例えば、ドクタブレード73の箇所から現像スリーブ65の回転方向にN1、S1、N2、S2、S3の5磁極を有している。これら磁極は、それぞれスリーブ上の二成分現像剤に対して回転方向の所定位置で磁力を作用させる。これにより、攪拌部66から送られてくる二成分現像剤を現像スリーブ65表面に引き寄せて担持させるとともに、スリーブ表面上で磁力線に沿った磁気ブラシを形成する。
磁気ブラシは、現像スリーブ65の回転に伴ってドクタブレード73との対向位置を通過する際に適正な層厚に規制されてから、感光体40に対向する現像領域に搬送される。そして、現像スリーブ65に印加される現像バイアスと、感光体40の静電潜像との電位差によって静電潜像上に転移して現像に寄与する。更に、現像スリーブ65の回転に伴って再び現像部67内に戻り、マグネットローラ72の磁極間の反発磁界の影響によってスリーブ表面から離脱した後、攪拌部66に戻される。攪拌部66内では、トナー濃度センサ71による検知結果に基づいて、二成分現像剤に適量のトナーが補給される。なお、現像装置61として、二成分現像剤を用いるものの代わりに、磁性キャリアを含まない一成分現像剤を用いるものを採用してもよい。
感光体クリーニング装置63としては、ポリウレタンゴム製のクリーニングブレード75を感光体40に押し当てる方式のものを用いているが、他の方式のものを用いてもよい。クリーニング性を高める目的で、本例では、外周面を感光体40に接触させる接触導電性のファーブラシ76を、図中矢印方向に回転自在に有するクリーニング装置63を採用している。そして、ファーブラシ76にバイアスを印加する金属製電界ローラ77を図中矢示方向に回転自在に設け、その電界ローラ77にスクレーパ78の先端を押し当てている。スクレーパ78によって電界ローラ77から除去されたトナーは、回収スクリュ79上に落下して回収される。
かかる構成の感光体クリーニング装置63は、感光体40に対してカウンタ方向に回転するファーブラシ76で、感光体40上の残留トナーを除去する。ファーブラシ76に付着したトナーは、ファーブラシ76に対してカウンタ方向に接触して回転するバイアスを印加された電界ローラ77に取り除かれる。電界ローラ77に付着したトナーは、スクレーパ78でクリーニングされる。感光体クリーニング装置63で回収したトナーは、回収スクリュ79で感光体クリーニング装置63の片側に寄せられ、トナーリサイクル装置80で現像装置61へと戻されて再利用される。
除電装置64は、除電ランプ等からなり、光を照射して感光体40の表面電位を除去する。このようにして除電された感光体40の表面は、帯電装置60によって一様帯電せしめられた後、光書込処理がなされる。
ベルトユニットの図中下方には、2次転写装置22が設けられている。この2次転写装置22は、2つのローラ23間に、2次転写ベルト24を掛け渡して無端移動させている。2つのローラ23のうち、一方は図示しない電源によって2次転写バイアスが印加される2次転写ローラとなっており、ベルトユニットのローラ16との間に中間転写ベルト10と2次転写ベルト24とを挟み込んでいる。これにより、両ベルトが当接しながら当接部で互いに同方向に移動する2次転写ニップが形成されている。レジストローラ対49からこの2次転写ニップに送り込まれた転写紙には、中間転写ベルト10上の4色重ね合わせトナー像が2次転写電界やニップ圧の影響で一括2次転写されて、フルカラー画像が形成される。2次転写ニップを通過した転写紙は、中間転写ベルト10から離間して、2次転写ベルト24の表面に保持されながら、ベルトの無端移動に伴って定着装置25へと搬送される。なお、2次転写ローラに代えて、転写チャージャ等によって2次転写を行わせるようにしてもよい。
2次転写ニップを通過した中間転写ベルト10の表面は、支持ローラ15による支持位置にさしかかる。ここでは、中間転写ベルト10が、おもて面(ループ外面)に当接するベルトクリーニング装置17と、裏面に当接する支持ローラ15との間に挟み込まれる。そして、ベルトクリーニング装置17により、おもて面に付着している転写残トナーが除去された後、K,Y,M,C用の1次転写ニップに順次進入して、次の4色トナー像が重ね合わされる。
ベルトクリーニング装置17は、2つのファーブラシ90,91を有している。これらは、複数の起毛をその植毛方向に対してカウンタ方向で中間転写ベルト10に当接させながら回転することで、ベルト上の転写残トナーを機械的に掻き取る。加えて、図示しない電源によってクリーニングバイアスが印加されることで、掻き取った転写残トナーを静電的に引き寄せて回収する。
ファーブラシ90,91に対しては、それぞれ金属ローラ92,93が接触しながら、順または逆方向に回転している。これら金属ローラ92,93のうち、中間転写ベルト10の回転方向上流側に位置する金属ローラ92には、電源94によってマイナス極性の電圧が印加されている。また、下流側に位置する金属ローラ93には、電源95によってプラス極性の電圧が印加される。そして、それらの金属ローラ92,93には、それぞれブレード96,97の先端が当接している。かかる構成では、中間転写ベルト10の図中矢印方向への無端移動に伴って、まず、上流側のファーブラシ90が中間転写ベルト10表面をクリーニングする。このとき、例えば金属ローラ92に−700[V]が印加されながら、ファーブラシ90に−400[V]が印加されると、まず、中間転写ベルト10上のプラス極性のトナーがファーブラシ90側に静電転移する。そして、ファーブラシ側に転移したトナーが更に電位差によってファーブラシ90から金属ローラ92に転移して、ブレード96によって掻き落とされる。
このように、ファーブラシ90で中間転写ベルト10上のトナーが除去されるが、中間転写ベルト10上にはまだ多くのトナーが残っている。それらのトナーは、ファーブラシ90に印加されるマイナス極性のバイアスにより、マイナスに帯電される。これは、電荷注入または放電により帯電されるものと考えられる。次いで下流側のファーブラシ91を用いて今度はプラス極性のバイアスを印加してクリーニングを行うことにより、それらのトナーを除去することができる。除去したトナーは、電位差によりファーブラシ91から金属ローラ93に転移させ、ブレード97により掻き落とす。ブレード96、97で掻き落としたトナーは、不図示のタンクに回収される。
ファーブラシ91でクリーニングされた後の中間転写ベルト10表面は、ほとんどのトナーが除去されているがまだ少しのトナーが残っている。これらの中間転写ベルト10上に残ったトナーは、上述したようにファーブラシ91に印加されるプラス極性のバイアスにより、プラス極性に帯電される。そして、1次転写位置で印加される転写電界によって感光体40K,Y,M,C側に転写され、感光体クリーニング装置63で回収される。
レジストローラ対49は一般的には接地されて使用されることが多いが、転写紙Pの紙粉除去のためにバイアスを印加することも可能である。
2次転写装置22および定着装置25の下には、上述したタンデム部20と平行に延びるような、転写紙反転装置28(図1参照)が設けられている。これにより、片面に対する画像定着処理を終えた転写紙が、切換爪で転写紙の進路を転写紙反転装置側に切り換えられ、そこで反転されて再び2次転写転写ニップに進入する。そして、もう片面にも画像の2次転写処理と定着処理とが施された後、排紙トレイ上に排紙される。
本複写機は、その構成要素の状態や内部で生ずる現象に関連する様々な情報を取得するデータ取得手段を備えている。このデータ取得手段は、図4に示される制御部1、各種センサ2、操作表示部3などから構成されている。制御部1は、複写機全体の制御を司る制御手段であり、制御プログラムを記憶しているデータ記憶手段たるROM1c、演算データや制御パラメータ等を記憶するデータ記憶手段たるRAM1b、演算手段たるCPU1a等を有している。操作表示部3は、文字情報等を表示する液晶ディスプレイ等から構成される表示部3aや、テンキー等などによって操作者から入力情報を受け付けて制御部1cに送る操作部3bなどを有している。本複写機では、これら制御部1、各種センサ2、操作表示部3等からなるデータ取得手段が、ROM(1c)等のデータ記憶手段に記憶された正常組データ群と、複写機から定期的に取得した各種の取得情報とに基づいて被検対象たる複写機の異常の有無を判定する異常判定装置としても機能している。
本複写機のデータ取得手段によって取得される各種のデータとしては、センシングデータ、制御パラメータデータ、入力データ、画像読取データなどが挙げられる。以下、これらのデータについて詳述する。
(a)センシングデータ
センシングデータとしては、駆動関係、記録媒体の各種特性、現像剤特性、感光体特性、電子写真の各種プロセス状態、環境条件、記録物の各種特性などが取得する対象として考えられる。これらのセンシングデータの概要を説明すると、以下のようになる。
(a-1)駆動系統のデータ
・感光体ドラムの回転速度をエンコーダーで検出したり、駆動モータの電流値を読み取ったり、駆動モータの温度を読み取る。
・同様にして、定着ローラ、紙搬送ローラ、駆動ローラなどの円筒状またはベルト状の回転する部品の駆動状態を検出する。
・駆動により発生する音を装置内部または外部に設置されたマイクロフォンで検出する。
(a-2)紙搬送の状態
・透過型または反射型の光センサ、あるいは接触タイプのセンサにより、搬送された紙の先端や後端の位置を読み取り、紙詰まりが発生したことを検出したり、紙の先端や後端の通過タイミングのずれ、送り方向と垂直な方向の変動などを読み取る。
・同様に、複数のセンサ間の検出タイミングにより、紙の移動速度を求める。
・給紙時の給紙ローラと紙とのスリップを、ローラの回転数計測値と紙の移動量との比較で求める。
(a-3)紙などの記録媒体の各種特性
このデータは、画質やシート搬送の安定性に大きく影響する。この紙種のデータ取得には以下のような方法がある。
・紙の厚みは、紙を二つのローラで挟み、ローラの相対的な位置変位を光学センサ等で検知したり、紙が進入してくることによって押し上げられる部材の移動量と同等の変位量を検知することによって求める。
・紙の表面粗さは、転写前の紙の表面にガイド等を接触させ、その接触によって生じる振動や摺動音等を検知する。
・紙の光沢は、規定された入射角で規定の開き角の光束を入射し、鏡面反射方向に反射する規定の開き角の光束をセンサで測定する。
・紙の剛性は、押圧された紙の変形量(湾曲量)を検知することにより求める。
・再生紙か否かの判断は、紙に紫外線を照射してその透過率を検出して行なう。
・裏紙か否かの判断は、LEDアレイ等の線状光源から光を照射し、転写面から反射した光をCCD等の固体撮像素子で検出して行なう。
・OHP用のシートか否かは、用紙に光を照射し、透過光と角度の異なる正反射光を検出して判断する。
・紙に含まれている水分量は、赤外線またはμ波の光の九州を測定することにより求める。
・カール量は光センサ、接触センサなどで検出する。
・紙の電気抵抗は、一対の電極(給紙ローラなど)を記録紙と接触させて直接測定したり、紙転写後の感光体や中間転写体の表面電位を測定して、その値から記録紙の抵抗値を推定する。
(a-4)現像剤特性
現像剤(トナーやキャリア)の装置内での特性は、電子写真プロセスの機能の根幹に影響するものである。そのため、システムの動作や出力にとって重要な因子となる。現像剤の情報を得ることは極めて重要である。この現像剤特性としては、例えば次のような項目が挙げられる。
・トナーについては、帯電量およびその分布、流動性、凝集度、嵩密度、電気抵抗、外添剤量、消費量または残量、流動性、トナー濃度(トナーとキャリアの混合比)を挙げることができる。
・キャリアについては、磁気特性、コート膜厚、スペント量などを挙げることができる。
これらのデータを複写機の中において単独で検出することは通常困難である。そこで、現像剤の総合的な特性として検出すると良い。この現像剤の総合的な特性は、例えば次のように測定することができる。
・感光体上にテスト用潜像を形成し、予め決められた現像条件で現像して、形成されたトナー像の反射濃度(光反射率)を測定する。
・現像装置中に一対の電極を設け、印加電圧と電流の関係を測定する(抵抗、誘電率など)。
・現像装置中にコイルを設け、電圧電流特性を測定する(インダクタンス)。
・現像装置中にレベルセンサを設けて、現像剤容量を検出する。レベルセンサは光学式、静電容量式などがある。
(a-5)感光体特性
感光体特性も現像剤特性と同じく、電子写真プロセスの機能と密接に関わる。この感光体特性のデータとしては、感光体の膜厚、表面特性(摩擦係数、凹凸)、表面電位(各プロセス前後)、表面エネルギー、散乱光、温度、色、表面位置(フレ)、線速度、電位減衰速度、電気抵抗、静電容量、表面水分量などが挙げられる。このうち、複写機の中では、次のようなデータを検出できる。
・膜厚変化に伴う静電容量の変化を、帯電部材から感光体に流れる電流を検知し、同時に帯電部材への印加電圧と予め設定された感光体の誘電厚みに対する電圧電流特性と照合することにより、膜厚を求める。
・表面電位、温度は従来周知のセンサで求めることができる。
・線速度は感光体回転軸に取り付けられたエンコーダーなどで検出される。
・感光体表面からの散乱光は光センサで検出される。
(a-6)電子写真プロセス状態
電子写真方式によるトナー像形成は、周知のように、感光体の均一帯電、レーザー光などによる潜像形成(像露光)、電荷を持ったトナー(着色粒子)による現像、転写材へのトナー像の転写(カラーの場合は中間転写体または最終転写材である記録媒体での重ね合わせ、または現像時に感光体への重ね現像を行なう)、記録媒体へのトナー像の定着という順序で行なわれる。これらの各段階での様々な情報は、画像その他のシステムの出力に大きく影響を与える。これらを取得することがシステムの安定を評価する上で重要となる。この電子写真プロセス状態のデータ取得の具体例としては、次のようなものが挙げられる。
・帯電電位、露光部電位は従来公知の表面電位センサにより検出される。
・非接触帯電における帯電部材と感光体とのギャップは、ギャップを通過させた光の量を測定することにより検知する。
・帯電による電磁波は広帯域アンテナにより捉える。
・帯電による発生音。
・露光強度。
・露光光波長。
また、トナー像の様々な状態を取得すること方法としては、次のようなものが挙げられる。
・パイルハイト(トナー像の高さ)を、変位センサで縦方向から奥行きを、平行光のリニアセンサで横方向から遮光長を計測して求める。
・トナー帯電量を、ベタ部の静電潜像の電位、その潜像が現像された状態での電位を測定する電位センサにより測定し、同じ箇所の反射濃度センサから換算した付着量との比により求める。
・ドット揺らぎまたはチリを、ドットパターン画像を感光体上においては赤外光のエリアセンサ、中間転写体上においては各色に応じた波長のエリアセンサで検知し、適当な処理をすることにより求める。
・オフセット量(定着後)を、記録紙上と定着ローラ上の対応する場所をそれぞれ光学センサで読み取って、両者比較することにより求める。
・転写工程後(PD上,ベルト上)に光学センサを設置し,特定パターンの転写後の転写残パターンからの反射光量で転写残量を判断する。
・重ね合わせ時の色ムラを定着後の記録紙上を検知するフルカラーセンサで検知する。
(a-7)形成されたトナー像の特性
・画像濃度、色は光学的に検知する。反射光、透過光のいずれでもよい。色に応じて投光波長を選択すればよい。濃度及び単色情報を得るには感光体上または中間転写体上でよいが、色ムラなど,色のコンビネーションを測るには紙上の必要がある。
・階調性は、階調レベルごとに感光体上に形成されたトナー像または転写体に転写されたトナー像の反射濃度を光学センサにより検出する。
・鮮鋭性は、スポット径の小さい単眼センサ、若しくは高解像度のラインセンサを用いて、ライン繰り返しパターンを現像または転写した画像を読み取ることにより求める。
・粒状性(ざらつき感)は、鮮鋭性の検出と同じ方法により、ハーフトーン画像を読み取り、ノイズ成分を算出することにより求める。
・レジストスキューは、レジスト後の主走査方向両端に光学センサを設け、レジストローラONタイミングと両センサの検知タイミングとの差異から求める。
・色ずれは、中間転写体または記録紙上の重ね合わせ画像のエッジ部を、単眼の小径スポットセンサ若しくは高解像度ラインセンサで検知する。
・バンディング(送り方向の濃度むら)は、記録紙上で小径スポットセンサ若しくは高解像度ラインセンサにより副走査方向の濃度ムラを測定し、特定周波数の信号量を計測する。
・光沢度(むら)は、均一画像が形成された記録紙を正反射式光学センサで検知するように設ける。
・かぶりは、感光体上、中間転写体上、または記録紙上において、比較的広範囲の領域を検知する光学センサで画像背景部を読み取る方法、または高解像度のエリアセンサで背景部のエリアごと画像情報を取得し、その画像に含まれるトナー粒子数を数えるという方法がある。
(a-8)画像形成装置のプリント物の物理的な特性
・像流れや画像かすれなどは、感光体上、中間転写体、あるいは記録紙上でトナー像をエリアセンサにより検知し、取得した画像情報を画像処理して判定する。
・トナーチリ汚れは記録紙上の画像を高解像度ラインセンサまたはエリアセンサで取り込み、パターン部の周辺に散っているトナー量を算定することにより求める。
・後端白抜け、ベタクロス白抜けは、感光体上、中間転写体、あるいは記録紙上で高解像度ラインセンサにより検知する。
・記録紙のカール、波打ち、折れは、変位センサで検出する。折れの検出のためには記録紙の両端部分に近い所にセンサを設置することが有効である。
・コバ面の汚れやキズは、排紙トレイに縦に設けたエリアセンサにより,ある程度排紙が溜まった時のコバ面をエリアセンサで撮影,解析する。
(a-9)環境状態
・温度検出には、異種金属どうし或いは金属と半導体どうしを接合した接点に発生する熱起電力を信号として取り出す熱電対方式、金属或いは半導体の抵抗率が温度によって変化することを利用した抵抗率変化素子、また、或る種の結晶では温度が上昇したことにより結晶内の電荷の配置に偏りが生じ表面に電位発生する焦電型素子、更には、温度による磁気特性の変化を検出する熱磁気効果素子などを採用することができる。
・湿度検出には、HO或いはOH基の光吸収を測定する光学的測定法、水蒸気の吸着による材料の電気抵抗値変化を測定する湿度センサ等がある。
・各種ガスは、基本的にはガスの吸着に伴う、酸化物半導体の電気抵抗の変化を測定することにより検出する。
・気流(方向、流速、ガス種)の検出には、光学的測定法等があるが、システムへの搭載を考慮するとより小型にできるエアブリッジ型フローセンサが特に有用である。
・気圧、圧力の検出には、感圧材料を使用する、メンブレンの機械的変位を測定する等の方法がある。振動の検出にも同様に方法が用いられる。
(b)制御パラメータデータ
複写機の動作は制御部によって決定されるため、制御部の入出力パラメータを直接利用することが有効である。
(b-1)画像形成パラメータ
画像形成のために制御部が演算処理により出力する直接的なパラメータで、以下のような例がある。
・制御部によるプロセス条件の設定値で、例えば帯電電位、現像バイアス値、定着温度設定値など。
・同じく、中間調処理やカラー補正などの各種画像処理パラメータの設定値。
・制御部が装置の動作のために設定する各種のパラメータで、例えば紙搬送のタイミング、画像形成前の準備モードの実行時間など。
(b-2)ユーザー操作履歴
・色数、枚数、画質指示など、ユーザーにより選択された各種操作の頻度
・ユーザーが選択した用紙サイズの頻度。
(b-3)消費電力
・全期間または特定期間単位(1日、1週間、1ヶ月など)の総合消費電力あるいはその分布、変化量(微分)、累積値(積分)など。
(b-4)消耗品消費情報
・全期間または特定期間単位(1日、1週間、1ヶ月など)のトナー、感光体、紙の使用量あるいはその分布、変化量(微分)、累積値(積分)など。
(b-5)故障発生情報
・全期間または特定期間単位(1日、1週間、1ヶ月など)の故障発生(種類別)の頻度あるいはその分布、変化量(微分)、累積値(積分)など。
(b-6)動作時間情報(作動時間情報)
・複写機の動作時間を計時手段によって計時して記憶する。
(b-7)プリント動作回数(作動回数情報)
・プリントアウト1枚ごとにカウントアップしていき、そのカウント値を記憶する。
(c)入力画像情報
ホストコンピュータから直接データとして送られる画像情報、あるいは原稿画像からスキャナーで読み取って画像処理をした後に得られる画像情報から、以下のような情報を取得することができる。
・着色画素累積数はGRB信号別の画像データを画素ごとにカウントすることにより求められる。
・例えば特許第2621879号の公報に記載されているような方法でオリジナル画像を文字、網点、写真、背景に分離し、文字部、ハーフトーン部などの比率を求めることができる。同様にして色文字の比率も求めることができる。
・着色画素の累積値を主走査方向で区切った領域別にカウントすることにより、主走査方向のトナー消費分布が求められる。
・画像サイズは制御部が発生する画像サイズ信号または画像データでの着色画素の分布により求められる。
・文字の種類(大きさ、フォント)は文字の属性データから求められる。
次に、本複写機における各種データの具体的取得法について説明する。
(1)温度データ
本複写機は、温度の情報を取得する温度センサとして、原理及び構造が簡単でしかも超小型にできる抵抗変化素子を用いるものを備えている。
(2)湿度データ
小型にできる湿度センサが有用である。基本原理は感湿性セラミックスに水蒸気が吸着すると、吸着水によりイオン伝導が増加しセラミックスの電気抵抗が低下することによる。感湿性セラミックスの材料は多孔質材料であり、一般的にはアルミナ系、アパタイト系、ZrO2−MgO系などが使用される。
(3)振動データ
振動センサは、基本的には気圧及び圧力を測定するセンサと同じであり、システムへの搭載を考慮すると超小型にできるシリコン利用のセンサが特に有用である。薄いシリコンのダイアフラム上に作製した振動子の運動を、振動子と対向して設けられた対向電極間との容量変化を計測する、或いはSiダイアフラム自体のピエゾ抵抗効果を利用して計測することができる。
(4)トナー濃度(4色分)データ
各色ごとにトナー濃度を検出してデータ化する。トナー濃度センサとしては従来より公知の方式のものを用いることができる。例えば、特開平6−289717号公報に記載されているような現像装置中の現像剤の透磁率の変化を測定するセンシングシステムにより、トナー濃度を検出することができる。
(5)感光体一様帯電電位(4色分)データ
各色用の感光体(40K,Y,M,C)について、それぞれ一様帯電電位を検出する。物体の表面電位を検知する公知の表面電位センサを用いることができる。
(6)感光体露光後電位(4色分)データ
光書込後の感光体(40K,Y,M,C)の表面電位を、(5)と同様にして検出する。
(7)着色面積率(4色分)データ
入力画像情報から、着色しようとする画素の累計値と全画素の累計値の比から着色面積率を色ごとに求め、これを利用する。
(8)現像トナー量(4色分)データ
感光体(40K,Y,M,C)上で現像された各色トナー像における単位面積あたりのトナー付着量を、反射型フォトセンサによる光反射率に基づいて求める。反射型フォトセンサは対象物にLED光を照射し、反射光を受光素子で検出するものである。トナー付着量と光反射率とには相関関係が成立するため、光反射率に基づいてトナー付着量を求めることができる。
(9)紙先端位置の傾き
給紙部(200)の給紙ローラから2次転写ニップに至る給紙経路のどこかに、転写紙をその搬送方向に直交する方向の両端で検知する光センサ対を設置し、搬送されてくる転写紙の先端付近の両端を検出する。両光センサについて、給紙ローラの駆動信号の発信時を基準として、通過までの時間を計測し、時間のズレに基づいて送り方向に対する転写紙の傾きを求める。
(10)排紙タイミングデータ
排出ローラ対(図1の56)を通過後の転写紙を光センサで検出する。この場合も給紙ローラの駆動信号の発信時を基準として計測する。
(11)感光体総電流(4色分)データ
感光体(40K,Y,M,C)からアースに流れ出る電流を検出する。感光体の基板と接地端子との間に、電流測定手段を設けることで、かかる電流を検出することができる。
(12)感光体駆動電力(4色分)
感光体の駆動源(モータ)が駆動中に費やす駆動電力(電流×電圧)を電流計や電圧計などによって検出する。
次に、本複写機の特徴的な構成について説明する。
本複写機は、上述のデータ記憶手段によって記憶している正常組データ群と、上述のデータ取得手段によって取得した各種のデータとに基づいて、多変量解析の手法を採用したMTS法によるマハラノビスの距離を求めて、装置内に異常が発生しているか否かを判定するようになっている。マハラノビスの距離を求めるためには、正常な状態の複写機から取得した複数種類の組データの集まりである正常組データ群を構築する必要がある。この構築については、本複写機と同一仕様の標準機(正常な状態)から取得した各種のデータによって構築してもよいし、完成直後あるいは初期運転時における本複写機から取得した各種のデータによって構築してもよい。なお、本複写機においては、上述した制御部1が、被検対象たる複写機の異常を判定する異常判定手段として機能している。
図5は、初期運転時に取得した各種のデータに基づいて正常組データ群を構築させるようにした場合におけるデータ処理の概要を示すフローチャートである。本複写機が工場から出荷された後(ステップ1:以下、ステップをSと記す)、ユーザーの元で初めに本複写機の主電源が投入されると(S2)、異常判定装置の一部である上述のCPU(1a)はその時点を期間計測開始タイミングとしてRAM(1b)に記憶させる(S3)。このRAM(1b)には、かかる期間計測開始タイミングから、ある一定の期間が経過したことを判断するために必要となる期間経過判断パラメータが、工場出荷に先立って格納されている。かかる期間経過判断パラメータとしては、経過時間閾値、経過日数閾値、経過月数閾値、プリント枚数閾値、運転時間閾値などが挙げられる。上述の期間計測開始タイミングから、これら期間経過判断パラメータに基づいて決定されるある一定の期間経過までの間、即ち、所定期間が経過するまでの間は、正常組データ群構築処理が実行される(S4でN、S5)。この所定期間内において、安定状態における各種のデータが蓄積される。かかる所定期間に実施される正常組データ群構築処理では、データ取得手段によって取得可能な各種情報の組み合わせである組データがプリントジョブ中に取得され、正常組データ群の一部としてデータ記憶手段たるRAM1bに記憶される。上述の期間計測開始タイミングから所定期間が経過すると(S4でY)、正常組データ群構築処理に代えて、異常判定処理が実行される(S6)。この異常判定処理では、所定期間経過後のプリントジョブ中にデータ取得手段によって取得された各種情報からなる組データと、RAM(1b)内に記憶されている正常組データ群とに基づいてマハラノビスの距離が求められる。そして、得られたマハラノビスの距離に基づいて、複写機について異常ありか否かが判定される。
次に示す表1は、上述の正常組データ群構築処理において構築される取得データテーブルの一例である。この取得データテーブルでは、k種類の情報からなる組データをn組取得して逆行列を構成する例を示している。
Figure 0004759342
正常組データ群構築処理では、まず、1組目の組データを構成するk種類の情報(y11、y12・・・・・・y1k)がそれぞれデータ取得手段によって取得される。そして、データテーブル内の1行目のデータとして、RAM(1b)に記憶される。次いで、2組目の組を構成するk種類の情報(y21、y22・・・・・・y2k)がそれぞれデータ取得手段によって取得され、データテーブル内の2行目のデータとして、RAM(1b)内に記憶される。以降、3組目以降の組データがプリントジョブに伴って順次取得されていき、データテーブル内のデータとして記憶されていく。そして、上述の所定期間が経過する直前にn組目の組データが取得されて、データテーブル内のn行目のデータとしてRAM(1b)内に記憶される。所定期間が経過すると、各組データを構成するk種類の情報(データ)について、それぞれn個における平均と標準偏差(σ)とが求められて、それぞれn+1、n+2行目のデータとして、RAM内に記憶される。
上述の所定期間が経過してこのような取得データテーブル構築工程が終わると、その直後に、逆行列構築処理が行われる。この逆行列構築処理では、以下に説明する情報正規化工程と、相関係数算出工程と、逆行列変換工程とが実施される。
逆行列構築処理における情報正規化工程では、表1に示した取得データテーブルに基づいて、次の表2に示すような正規化データテーブルが構築される。
Figure 0004759342
データの正規化とは、各種情報について、その絶対値情報を変量情報に変換するための処理であり、次に示す関係式に基づいて、各種情報の正規化データが算出される。なお、次式におけるiは、n組の組データのうちの何れか1つであることを示す符号である。また、jは、k種類の情報のうちの何れか1つであることを示す符号である。
Figure 0004759342
上記情報正規化工程が終わると、次に、相関係数算出工程が行われる。この相関係数算出工程では、n組の正規化データ群において、それぞれk種類の正規化データのうち、互いに異なる2種類が成立し得る全ての組合せ(通り)について、次式に基づいて相関係数rpq(rqp)が算出される。
Figure 0004759342
全ての組合せについての相関係数rpq(rqp)が算出されると、次に、対角要素を1、その他のp行q列の要素を相関係数rpqとした、k×k個の相関係数行列Rが構築される。なお、この相関係数行列Rの内容を、次式に示す。
Figure 0004759342
このような相関係数算出工程が終わると、次に、行列変換工程が実施される。この行列変換工程により、上記数3で示した相関係数行列Rが、次式で示される逆行列A(R−1)に変換される。
Figure 0004759342
本複写機は、表1に示した正常組データ群たる取得データテーブルを構築する正常組データ群構築処理を行った後、異常判定処理を実施するのに先立って、以上のような情報正規化工程、相関係数算出工程、行列変換工程という一連のプロセスによって正常組データ群としての逆行列Aを構築する。そして、この逆行列AをRAM(1b)内に記憶する。
逆行列Aを構築すると、複写機内の異常の有無を判定する異常判定処理を実行する。この異常判定処理では、プリントジョブ毎に、データ取得手段によって定期的に取得した各種の情報の全て又は一部の組合せからなる組データについて、逆行列Aによる多次元空間内におけるマハラノビスの距離(以下、マハラノビス距離という)Dを、次式に基づいて算出する。
Figure 0004759342
図6は、正常組データ群構築処理から行列変換工程までの一連のプロセスを示すフローチャートである。同図において、まず、複写機の状態と関連があるk個の情報が、複写機を動作させながらn組取得される(ステップ1−1:以下、ステップをSと記す)。次に、情報の種類(j)毎に、上記数1の関係式に基づいた平均値と標準偏差σとが算出され、算出結果に基づいて正規化データテーブルが構築される(S1−2)。そして、正規化データテーブルに基づいて相関係数行列Rが構築された後(S1−3)、逆行列Aに変換される(S1−4)。
図7は、逆行列Aと各種取得データとに基づいてマハラノビス距離Dを算出する手順を示すフローチャートである。この手順では、まず、任意の状態でのk種類のデータx1,x2,・・・,xkが取得される(S2−1)。データの種類はy11,y12,・・・,y1kなどに対応する。次に、上記数1の関係式に基づいて、それぞれの取得データがX1,X2,・・・,Xkといった具合に規格化される。そして、すでに構築されている逆行列Aの要素akkを用いて決められた上記数5の関係式により、マハラノビス距離Dの二乗が算出される。図中の「Σ」は、添字pおよびqに関する総和を表している。
上記制御部(1)は、このようにして求めたマハラノビス距離Dを、予め設定した異常閾値と比較する。そして、マハラノビス距離Dが異常閾値よりも大きい場合には、取得された組データについて正常分布から大きくずれている異常データであると判定して、操作表示部3に故障発生注意情報を表示する。
RAM(1b)内に正常組データ群として機能する逆行列Aを記憶させておく例について説明したが、逆行列Aの代わりに、次のような正常組データ群を記憶させておいてもよい。即ち、正常組データ群構築処理で構築した上記取得データテーブルや、逆行列構築工程の途中で得られる上記正規化データテーブル、上記相関係数行列Rなどである。逆行列Aの代わりにこれら正常組データ群の何れかを記憶させた場合には、異常の判定に先立って、そのデータに基づいて逆行列Aを構築させればよい。
また、初期運転時に正常組データ群を構築する例について説明したが、本複写機と同一仕様の標準機から取得したデータに基づいて構築した正常組データ群を、RAMやROM等のデータ記憶手段に予め記憶させておいてもよい。
MTS法によれば、各種のデータの全て又は一部の組合せからなる組データの取得結果についての異常をMTS法によって判定することで、様々な種類の異常を広範囲に渡って発見することができる。しかも、個々の異常について、その原因の有無をそれぞれ監視する必要がないため、かかる監視による制御の煩雑化を回避することができる。ところが、このような異常の判定を行う場合には、異常を検出した際に、その異常についてどのような種類のものであるかを特定することが困難である。
そこで、本複写機では、異常の種類をいくつかのカテゴリに分類し、そのカテゴリ毎に、カテゴリ内の個々の異常の判定に必要な組データを取得する。そして、その取得結果と、これに対応する正常組データ群である逆行列Aとに基づいて、それぞれマハラノビス距離Dを求めるようになっている。
次に示す表3は、本複写機における異常の種類のカテゴリと、そのカテゴリ内における異常の判定に必要な組情報との関係の一例を示すテーブルである。
Figure 0004759342
表3においては、上述した(1)温度から(12)感光体駆動電力までの12項目33種類(5項目+7項目×4色分)の取得データに基づいて、3つのカテゴリの異常をそれぞれ判定する例を示している。同表に示すように、紙詰まり系の異常については、次の7項目13種類の情報からなる組データに基づいて判定することができる。即ち、(1)温度、(2)湿度、(3)振動、(7)着色面積率×4色分、(8)現像トナー量×4色分、(9)紙先端位置の傾き、及び(10)排紙タイミングである。以下、この組データを紙詰まり系組データという。
また、感光体劣化系の異常については、次の7項目22種類の情報からなる組データに基づいて判定することができる。即ち、(1)温度、(2)湿度、(5)感光体一様帯電電位×4色分、(6)感光体露光後電位×4色分、(7)着色面積率×4色分、(11)感光体総電流×4色分、及び(12)感光体駆動電力×4色分である。以下、この組データを感光体系組データという。
また、画像濃度変動系の異常は、次の7項目22種類の組データに基づいて判定することができる。即ち、(1)温度、(2)湿度、(4)トナー濃度×4色分、(5)感光体一様帯電電位×4色分、(6)感光体露光後電位×4色分、(7)着色面積率×4色分、及び(8)現像トナー量×4色分である。以下、この組データを濃度系組データという。
表3から明らかなように、紙詰まり系、感光体系、濃度系組データは、情報の種類の組合せが互いに異なっている。これは、カテゴリが異なれば、そのカテゴリ内における個々の異常の判定に有用なデータの組合せも異なってくるからである。よって、互いに種類の組合せの異なる少なくとも2以上の組データを構築し、それぞれについてマハラノビス距離Dを求めれば、発生した異常の種類をカテゴリの単位まで絞り込んで特定することができる。表3の例では、紙詰まり系、感光体系、濃度系組データのそれぞれについてマハラノビス距離Dを求めることで、異常の種類を3つのカテゴリの何れに該当するのかまで絞り込むことができる。
マハラノビス距離Dを求めるためには、被検対象の複写機から定期的に取得した組データの他に、これと同じ組合せの逆行列Aが必要になる。例えば同表の例であれば、紙詰まり系、感光体系、濃度系組データのそれぞれについて、12項目33種類(5項目+7項目×4色分)の情報からなる逆行列Aを共通に用いてしまうと、異常を正確に判定することができなくなる。紙詰まり系組データであれば、それと同じ7項目13種類の情報からなる逆行列Aを用いて、マハラノビス距離Dを求める必要がある。よって、判定に先立って、カテゴリ毎に、マハラノビス距離Dを求めるための逆行列Aを準備する必要がある。
それぞれの系統(紙詰まり系、感光体系、濃度系)のための逆行列Aを準備する方法は、大別して2通りある。第1の方法は、各系統についてそれぞれ専用の逆行列A(又はこれに代わる正常組データ群)をROM(1c)等のデータ記憶手段に記憶させておく方法である。第2の方法は、少なくとも各系統の組データに含まれる全種類の情報からなる全種組データについての逆行列Aだけを記憶させておく方法である。この方法の場合には、それぞれの系統のための個別の逆行列Aを、全種組データの集合からなる逆行列Aの中から選択した任意の正常値の組合せに基づいてそれぞれ構築する。例えば、表3の例であれば、全種組データ(12項目33種類)の集合からなる逆行列Aだけを記憶させておく。そして、紙詰まり系組データの集合からなる逆行列Aについては、全種組データの中から7項目13種類の情報を選択して構築するのである。かかる方法では、第1の方法に比べて、データ記憶手段に記憶させて置く情報量を少なくすることができる。そこで、本複写機においては、第2の方法で各系統についてそれぞれ専用の逆行列Aを構築するようになっている。
このようにして各系統用の逆行列Aをそれぞれ構築する場合には、各系統についてのマハラノビス距離Dの他に、全系統を包括したマハラノビス距離Dも求めることができる。そして、後者のマハラノビス距離Dを求めることで、各系統の異常の他に、その他の系統の異常も判定することができる。例えば、表3の例では、全種組データについてのマハラノビス距離Dを求めることで、紙詰まり系、感光体劣化系、画像濃度変動系に加えて、その他のカテゴリの異常も判定することができる。
次に示す表4は、各カテゴリと、マハラノビス距離Dとの関係の一例を示している。なお、この表において、(Dは、表3における全種組データ(12項目33種類)についてのマハラノビス距離Dの二乗を示している。また、(Dは、紙詰まり系組データ(7項目13種類)についてのマハラノビス距離Dの二乗を示している。また、(Dは、感光体系組データ(7項目22種類)についてのマハラノビス距離Dの二乗を示している。また、(Dは、濃度系組データ(7項目22種類)についてのマハラノビス距離Dの二乗を示している。
Figure 0004759342
表4に示すように、各カテゴリに対応するマハラノビス距離(D、(D、(Dが何れも異常閾値(10)未満であったからと言って、複写機に異常が全くないとは限らない。それらが異常閾値未満であっても、全組情報についてのマハラノビス距離(Dが異常閾値以上になることもある。このような場合には、紙詰まり系、感光体劣化系、画像濃度変動系の何れにも該当しない他のカテゴリの異常が発生していると考えられる。また、逆に、マハラノビス距離(D、(D、(Dが何れかが異常閾値(10)未満になったからと言って、全種組データについてのマハラノビス距離(Dも異常閾値以上になるとは限らない。複写機全体としては異常と言えないまでも、各カテゴリだけにそれぞれ着目すれば、軽微な異常と言えるものが発生している場合がある。このような場合には、各カテゴリについての何れかのマハラノビス距離が異常閾値以上になる一方で、全種組データについてのマハラノビス距離(Dは異常閾値未満になると考えられる。このように、各カテゴリについてのマハラノビス距離(D、(D、(Dに加えて、全種組データのマハラノビス(Dも求めることで、各カテゴリの異常の度合(軽微であるか否か)も判定することが可能になる。そこで、各組データにそれぞれ個別に対応する複数のマハラノビス距離と、全種組データについてのマハラノビス距離(Dとに基づいて異常を判定してもよい。
なお、それぞれのマハラノビス距離の二乗の異常閾値を何れも10に設定した例について説明したが、実際の異常に合わせて、異常閾値をそれぞれ異ならせる方が望ましい。また、全体異常のマハラノビス距離を求める際には、先に数5に示した関係式のkに33(33種類)が代入される。また、紙詰まり系の異常のマハラノビス距離を求める際には、kに13(13種類)が代入される。また、感光体劣化系や画像濃度変動系の異常のマハラノビス距離を求める際には、kに22(22種類)が代入される。
被検対象の機器である本複写機では、以上のようにして各系統の異常を判定するのに先立ち、上述した各色のプロセスユニット(18K,Y,M,C)や定着装置(25)について、保守が必要であるか否かを判定する。具体的には、上述した制御部(1)は、各色のプロセスユニット(18K,Y,M,C)について、それぞれ転写紙1枚分に相当する動作量を1回とする動作回数をカウントする。また、定着装置(25)についても、転写紙1枚分に相当する動作量を1回とする動作回数をカウントする。即ち、制御部(1)は、複写機に搭載された装置である各色のプロセスユニットや定着装置からそれぞれ動作回数情報を取得する動作情報取得手段として機能している。そして、各色のプロセスユニットと定着装置とのそれぞれについて、例えば2万回などといった予め定められた保守閾値たる保守サイクル閾値と、動作回数情報たる動作回数カウント値とを比較する。このとき、動作回数カウント値が保守サイクル閾値を上回っている場合には、その装置(プロセスユニットや定着装置)について保守点検が必要になったと判定する(保守要求判定工程)。そして、保守要求判定手段たる制御部(1)は、保守必要有りと判定した装置についてその旨を示す保守要求メッセージを、図示しない液晶ディスプレイやランプなどの報知手段によってユーザーに報知させる。
本複写機では、動作回数が保守サイクル閾値を超えた装置については、寿命が到達したものとみなして新たなものと交換する仕様になっている。保守サイクル閾値とは、標準的な動作回数を示すデータである。これは例えば次のようにして定められる。即ち、ある装置について、図8に示すような故障発生率の特性曲線が得られるとする。具体的には、部品にはその製品毎に品質差が生ずるが、使用開始時点(0時点)から累積動作回数がC2に達して時点で、全ての製品に故障が発生する。図中のC1は、このC2よりも早いタイミングで到来する時点であり、この時点で、全ての製品のうち、10%の製品に故障が発生する。例えば、このように故障発生率が10%になる動作回数C1を保守サイクル閾値として定めるのである。
保守必要有りと判定された装置については、交換が必要になる。この交換は、基本的にサービスマンによって行われるため、上述の保守要求メッセージを確認したユーザーは、保守点検サービス機関に連絡して装置の交換依頼を行う。但し、制御部(1)は、上述した保守要求判定工程で何れかの装置(各色のプロセスユニットや定着装置)について保守要求有りと判定した場合には、直ちに、MTS法によって複数種類の異常のそれぞれについて有無を判定する。そして、この異常判定工程において、何れかの異常が発生した場合には、その発生と異常の種類とを示す異常発生メッセージを液晶ディスプレイやランプ等の報知手段によってユーザーに報知させる。
かかる構成の本複写機においては、寿命が到達した装置の交換が必要になったことだけでなく、そのときにどこかの箇所で異常が発生していれば、その異常が発生していることもユーザーに報知することになる。このような報知が行われたユーザーは、ある装置の寿命が到達したことに加えて、ある種の異常が発生していることも保守点検サービス機関に通知するようになる。これにより、サービスマンに対し、保守必要有りと判定した装置(寿命が到達した装置)の交換に加えて、その装置とは別の異常箇所の保守点検を同時に行わせて、メンテナンス作業の効率化を図ることができる。
なお、保守必要有りという判定結果や、異常有りという判定結果をユーザーに報知するようにした例について説明したが、電話回線や無線回線等の通信回線を介して、それらの判定結果の信号を保守点検サービス機関に送信させるようにしてもよい。
また、保守の必要性の判定や異常の有無の判定を行う異常判定装置を被検対象たる複写機内部に搭載した例について説明したが、複写機とは別体として、複写機外部に設けてもよい。更に、ユーザーのもとに設置した異常判定装置に判定を行わせるのではなく、保守点検サービス機関に設置した異常判定装置によって判定を行わせるようにしてもよい。この場合、ユーザーのもとにある複写機と、保守点検サービス機関のもとにある異常判定装置とを通信回線によって接続する。そして、複写機から通信回線を通じて送られてくるセンシングデータやカウント値データを各種のデータとして異常判定装置のデータ取得手段や動作情報取得手段として機能するモデム等の受信手段によって取得させる。その後、各種の取得データと、予め記憶させておいた逆行列とに基づいて、MST法による異常の有無の判定を行わせればよい。また、動作回数情報と予め記憶させておいた保守閾値との比較に基づいて、保守要求判定を行わせればよい。このように構成した場合には、複雑な判定処理を行う異常判定装置をユーザーのもとにおく必要がないので、ユーザーの装置購入コストを低減することができる。また、複数の複写機における異常の判定を1つの異常判定装置で集約して行うので、演算速度の速い演算手段を用いたり、逆行列Aとして膨大な量の正常組データからなるものを用いたりして、判定精度を容易に高めることが可能になる。一方、異常判定装置をユーザーのもとに設置した場合には、データ更新のための通信費用を不要にしてランニングコストを抑えることができる。特に、MTS法に用いる各種のデータは、データ容量が大きくなって通信時間を長くしてしまう傾向にあるので、保守サービス機関のもとに異常判定装置を設置すると、ランニングコストの低減に有効である。
また、ユーザーのもと、保守点検サービス機関のもと、の両方に異常判定装置を設置し、保守の必要性の判定を何れか一方の異常判定装置で行わせ、異常の有無の判定をもう一方の異常判定装置で行わせるようにしてもよい。この場合、後者の判定を保守点検サービス機関の異常判定装置で行わせれば、異常の有無の判定精度を高めることができるし、ユーザーの異常判定装置で行わせれば、通信コストを抑えることができる。
次に、本発明を適用した第2実施形態に係る異常判定装置について説明する。なお、この異常判定装置は、保守点検サービス機関に設置されており、遠隔地のユーザーのもとにおかれた複写機と電話回線等の通信回線を介してデータ交信できるようになっている。被検対象となる複写機の基本的な構成は、第1実施形態に係る複写機における異常判定装置を除いた部分と同様であるので説明を省略する。
本異常判定装置を使用する前提として、被検対象となる複写機は、転写紙1枚に対する画像形成動作を行う毎に、センシングデータなどといったMST法に必要な各種の取得データをサンプリングしてハードディスク等のデータ記憶手段に記憶する。そして、2時間毎などといった定期的なタイミングで、サンプリングしておいた各種の取得データをまとめて本異常判定装置に送信する。また、複写機は、定着ヒータ故障、電源回路故障などといった特定の箇所の故障を常に監視しており、その故障を検知すると、複写機全体の動作を緊急停止するとともに、EM(エマージェンシーメンテナンス)信号を、通信回線を通じて本異常判定装置に送信するようになっている。故障の監視の方法としては、故障発生に関連する情報を取得し得るセンサの出力値を監視し、その出力に基づいて検出させるようにすればよい。例えば、定着装置の場合には、ヒーターに電源を供給するヒーター電源から、ヒーターへの電流値をセンサたる電流計によって検知させる。そして、ヒーター電源がヒーターへの電流供給接点をオンしているにもかかわらず、電流計が電流を検知しない場合にヒーターやヒーター電源の故障と判定させればよい。また、加熱ベルトの表面温度を周知の表面温度センサによって検知させ、ヒーターへの電源をオンにしてから所定時間経過しても表面温度が所定の温度まで上昇しない場合に、ヒーターの故障と判定させればよい。また、感光体を一様帯電せしめる帯電装置の場合には、帯電装置に電源を供給する帯電電源による電源供給をオンしているにもかかわらず、感光体の一様帯電電位が所定の値に達しない場合に帯電装置の故障と判定させればよい。また、各種駆動伝達系の場合には、ギヤ等の回転体の回転をエンコーダーによって検知させ、モーター等の駆動源への電源供給がオンになっているにもかかわらず、エンコーダーによって回転体の回転が検出されない場合に故障と判定させればよい。また、駆動源に対して過電流が流れた場合に駆動伝達系の故障と判定させてもよい。また、各種の電気回路基板の場合には、外部からテスト用の信号を入力し、その信号の入力に基づく応答信号について、電気回路基板から正常に返ってくるか否かをみればよい。
本異常判定装置では、被検対象となる複写機から通信回線を通じて送られてくる各種の取得データを、ハードディスクなどのデータ記憶手段に記憶する。そして、2時間毎などといった定期的なタイミングで、第1実施形態に係る複写機と同様にして、複数種類の異常(複数系統の異常)についてそれぞれ有無を判定する。このとき、データ記憶手段に記憶している多量の組データ(各種の取得データからなる1組のデータ)のうち、まだMTS法による処理を行っていないものだけを選び出し、それぞれについてマハラノビス距離を求める。複写機からEM要求信号が送られてこない限りは、このように異常の有無を定期的に判定するだけである。
但し、複写機から送られてきたEM要求信号を受信すると、通常とは異なる処理によって異常の有無を判定する。具体的には、本異常判定装置は、各種の異常にそれぞれ個別に対応する複数の逆行列Aを記憶しているのは既に述べた通りであるが、それぞれの逆行列Aとして、異常判定用と、異常直前判定用との2種類を記憶している。そして、複写機からEM要求信号が送られてこない限りは、各種の異常について、それぞれ異常判定用の逆行列Aを用いて有無を判定する。これに対し、複写機から送られてきたEM要求信号を受信すると、各種の異常について、それぞれ異常直前判定用の逆行列Aを用いて有無を判定する。
異常判定用の逆行列Aは、次のようにして構築されたものである。即ち、被検対象の複写機と同一仕様であり、且つ正常な状態であることが判明している標準機から取得した各種のデータに基づいて構築されている。より詳しくは、標準機の試運転開始から、初めの故障が発生するまで、逆行列の構築に用いる各種データをサンプリングし続ける。そして、故障が発生した時点で、その時点から所定の第1期間よりも大きく遡った時期にサンプリングしたデータだけを抽出し、それらに基づいて異常判定用の逆行列Aを構築する。例えば、故障が発生した時点から30日(第1期間)よりも大きく遡った時期(31日以上遡った時期)にサンプリングしたデータだけに基づいて異常判定用の逆行列Aを構築する。故障が発生した時点の標準機は正常ではないが、それよりも所定の第1期間よりも大きく遡った時期の標準機は、それほど異常が進行していないため、正常とみなして差し支えないからである。かかる時期にサンプリングしたデータに基づいて構築した異常判定用の逆行列Aを後述する一般判定処理で用いるのである。なお、当然ながら、異常判定用の逆行列Aは、各系統毎にそれぞれ専用のものが構築される。また、故障とは、目に見えるあるいは比較的容易に認識することができ、且つ復旧させるまで装置の停止を余儀なくされる程度まで進行した異常のことを示す。
異常直前判定用の逆行列Aは、次のようにして構築されたものである。即ち、故障が発生した時点で、その時点から所定の第2期間(第1期間<第2期間)よりも大きく遡った時期に標準機からサンプリングされたデータだけを抽出し、それらに基づいて異常直前判定用の逆行列Aを構築する。例えば、故障が発生した時点から40日(第2期間)よりも大きく遡った時期(41日以上遡った時期)にサンプリングしたデータだけに基づいて異常直前判定用の逆行列Aを構築する。第2期間は第1期間よりも長いので、このようにして構築した異常直前判定用の逆行列Aは、異常判定用の逆行列Aよりも異常が進行していない状態の標準機からサンプリングされたものである。よって、正常さ加減が異常判定用の逆行列Aよりも大きくなる。かかる異常直前判定用の逆行列Aを用いて行う後述の基準引き上げ判定処理は、異常判定用の逆行列Aを用いて行う一般判定処理よりも判定基準を厳しくしていることになる。なお、当然ながら、異常直前判定用の逆行列Aも、各系統毎にそれぞれ専用のものが構築される。
図9は、本異常判定装置によって実施される異常判定工程の制御フローを示すフローチャートである。この異常判定工程では、まず、異常判定用の逆行列Aを用いた一般判定処理が行われる(S1)。そして、この一般判定処理で何らかの異常が検出された場合には(S2でY)、その異常の系統についての異常解消対策情報がデータ記憶手段内の各データから特定されて、操作表示部に表示される(S3)。この異常解消対策情報とは、例えば、「部品Aを注文して交換して下さいといった情報や、感光体劣化系の異常が発生した旨をサービスマンに伝えて下さいといった情報などである。本複写機では、各系統に対応した異常解消対策情報を予めデータ記憶手段に記憶しており、異常を検出した場合に、それらの中からその異常の系統に対応するものを特定して操作表示部に表示するのである。異常解消対策情報を操作表示部に表示すると、次に、全ての異常について一般判定処理を終了したか否かが判断され(S4)、終了していない場合には(S4でN)、上述のS1に制御がループせしめられる。このようなS1〜S4のフローにより、全ての系統の異常についてその有無が判定され、異常が検出された場合にはその都度、それに対応する異常解消対策情報が操作表示部に表示される。なお、異常解消対策情報を表示するのではなく、プリントアウトするようにしてもよい。
上述のS4で全ての系統について異常の有無を判定したと判断されると(S4でY)、次に、EM要求信号を受信したか否かが判断される(S5)。受信したと判断されるのは、被検対象の複写機に故障が発生した場合である。この場合(S5でY)、全ての種類の異常のうち、一般判定処理で検出されなかった異常について、基準引き上げ判定処理が行われる(S6)。この基準引き上げ判定処理においては、上述のように、判定基準をより厳しくしているため、通常の判定基準において現時点では有りと判定されないものの、近い将来には有りと判定される異常について、現時点で有りと判定することになる。かかる基準引き上げ判定処理において何れかの異常が有りと判定されると(S7でY)、その異常についての異常解消対策情報が特定されて操作表示部に表示された後(S8)、全ての未検出異常について基準引き上げ判定処理が行われたか否かが判断される(S9)。そして、全て終了したと判断された場合には(S9でY)、一連の制御フローが終了する。
異常の構成の本異常判定装置においては、被検対象となる複写機に故障が発生した場合に、その故障箇所とは異なる箇所について、現時点では異常無しと判定されるものの、近い将来には異常有りと判定される場合には、現時点で異常有りと判定できるようにする。これにより、サービスマンに対し、故障箇所の修理を行う際に、同時に、近い将来に異常が発生する箇所の保守点検を行わせて、メンテナンス作業の効率化を図ることが可能になる。なお、本異常判定装置においては、通信回線を介してデータ交信を行うモデム等の通信手段が、故障発生情報たるEM要求信号を受信する故障発生情報受信手段として機能している。
なお、異常の判定基準をより厳しくする方法として、マハラノビス距離Dの算出に用いる逆行列をAからAに切り替える方法について説明したが、次のようにしてもよい。即ち、マハラノビス距離Dの二乗と比較する閾値を、第1閾値からそれよりも小さな第2閾値に切り替えるのである。
次に、本発明を適用した第3実施形態に係る異常判定装置について説明する。なお、この異常判定装置は、複数のユーザーがそれぞれ所有する様々な地域におかれた複数の複写機を被検対象の機器とするものであるが、それら複写機の基本的な構成は第1実施形態に係る複写機のうち、異常判定装置を除いた箇所の構成と同様であるので説明を省略する。
図10は、本異常判定装置600と、被検対象となる複数の複写機との接続状態を示すブロック図である。同図において、本異常判定装置600は図示しないモデム等の通信手段を備えており、この通信手段を介して電話回線等の通信回線に接続されている。被検対象となる複写機A〜複写機Pという16台の複写機も、それぞれモデム等の通信手段を備えており、これを介して通信回線に接続されている。これにより、保守点検サービス機関に設置された本異常判定装置600は、遠隔地にある16台の複写機と、それぞれ通信回線を介して接続されている。
図中に示した地域1〜地域5は、それぞれ例えば3km圏内などといった地理的に狭いエリアを示している。16台の複写機のうち、複写機A501、複写機B502、及び複写機C503の3台は、地域1というエリア内に設置されており、地理的な観点から互いに近距離の位置関係にある。また、複写機D504及び複写機Eの2台は、地域2というエリア内に設置されており、互いに近距離の位置関係にある。また、複写機F506、複写機G507、及び複写機H508の3台は、地域3というエリア内に設置されており、互いに近距離の位置関係にある。また、複写機I509及び複写機J510の2台は、地域4というエリア内に設置されており、互いに近距離の位置関係にある。また、複写機K511、複写機K512、複写機M513、複写機N514、複写機O515、及び複写機P516は、地域5というエリア内に設置されており、互いに近距離の位置関係にある。
16台の複写機は、それぞれプリント動作を1回行う毎に各種のセンシングデータなどを監視して、それを電子データとしてハードディスク等のデータ記憶手段に記憶する。そして、例えば2時間経過毎などといった所定のタイミングで、記憶しておいた複数の電子データをまとめて送信する。このとき、それぞれ、複写機を1台毎に区別するためにそれぞれの複写機に付された機器IDのデータも、各種の取得データとともに送信する。送信されたデータは、通信回線を介して異常判定装置600に受信される。本異常判定装置600では、このようにデータを受信するモデム等の通信手段が、被検対象の機器である複写機から複数種類のデータを取得するデータ取得手段として機能している。
また、16台の複写機は、それぞれ、定着ヒータ故障、電源回路故障などといった特定の箇所の故障を常に監視しており、その故障を検知すると、複写機全体の動作を緊急停止するとともに、EM要求信号を、通信回線を通じて本異常判定装置600に送信するようになっている。
異常判定装置600は、16台の複写機の何れかによって送られた各種のデータを受信したら、上述の機器IDデータに基づいて、どの複写機から送られてきたものなのかを特定する。具体的には、データ記憶手段には、各機器におけるそれぞれの機器IDと、地域情報とを関連付けたデータテーブルが記憶されており、このデータテーブルに基づいて特定される。そして、データ記憶手段内にそれぞれの複写機に対応させて用意された複数の記憶エリアのうち、その複写機に対応する記憶エリアに、受信データを記憶する。
このようにして各複写機からそれぞれ送信されてくる各種のデータである組データを記憶していき、例えば2時間経過毎などといった所定のタイミングが到来する毎に、異常の判定を行う。但し、異常判定装置600は、第1実施形態に係る複写機とは異なり、正常組データ群たる逆行列Aとして、複写機内で生ずる複数種類の異常を包括的に捕捉することが可能な1つだけをハードディスク等のデータ記憶手段に記憶している。そして、それぞれの複写機について、この包括的な1つの異常の有無をそれぞれ判定すべく、データ記憶手段に記憶した各種の取得データ(組データ)と、逆行列Aとに基づいてマハラノビス距離を求める。そして、求めたマハラノビス距離と異常閾値との比較に基づいて包括的な異常の有無を判定する。
本異常判定装置600も、第2実施形態に係る異常判定装置と同様に、逆行列Aとして、異常判定用の逆行列Aと、異常直前判定用の逆行列Aとを記憶している。これらの逆行列は、何れも包括的な異常の有無を判定するためのものであるが、後者の逆行列は、上述したように判定基準がより厳しくなっている。
図11は、本異常判定装置600によって実施される異常判定制御の制御フローを示すフローチャートである。この異常判定制御では、まず、16台の複写機のそれぞれについて、上述した第1逆行列Aを用いた一般判定処理が行われる(S1)。そして、何れかの複写機で異常が検出された場合には(S2でY)、その複写機に異常が検出されたことを示す異常検出メッセージが図示しない液晶ディスプレイ等の表示手段に表示された後(S3)、その複写機と同じ地域に設置されている他の複写機が特定される(S4)。これにより、例えば、先に図10に示した複写機K511で異常が検出された場合には、それと同じ地域5に設置されている複写機L512、複写機M513、複写機N514、複写機O515、複写機P516の5台が特定される。そして、特定された複写機のぞれぞれについて、上述した第2逆行列Aを用いた、即ち、判定基準をより厳しくした基準引き上げ判定処理が行われる(S5)。これにより、通常の判定基準で異常が検出されなかった複写機のうち、一般判定処理で異常が検出された複写機と同じ地域に設置されているものについて、次のような確認が行われる。即ち、現時点では異常無しと判定されるものの、近い将来に異常有りと判定されるか否かの確認である。そして、この基準引き上げ判定処理において、先にS4で特定した複写機のうちの何れかで異常が検出された場合には(S6でY)、異常直前検出メッセージが図示しない表示手段に表示される(S7)。このような異常判定制御により、全ての複写機について通常異常の有無が前判定され、通常異常が検出された場合にはその都度、通常異常が検出された複写機と同じ地域に設置された他の複写機について異常直前の有無が後判定される。なお、検出メッセージについては、表示するのではなく、プリントアウトするようにしてもよい。
かかる構成の本異常判定装置600においては、サービスマンに対し、故障が検出された複写機の保守点検を行わせるついでに、その複写機と同じ地域に設置された複写機であって且つ近い将来に異常が検出される複写機の保守点検を行わせることで、メンテナンス作業の効率化を図ることが可能になる。
なお、異常判定装置を保守点検サービス機関に設置する例について説明したが、各ユーザーのもとにそれぞれ異常判定装置を設置するようにしてもよい。この場合、必要に応じて保守点検サービス機関の異常管理システムから発信した基準引き上げ要求信号を、それぞれの異常判定装置に対して、通信回線を介して受信させるようにしておく。また、各ユーザーのもとの異常判定装置に対しては、それぞれ、異常判定用の逆行列Aと、異常直前判定用の逆行列Aとを記憶させておく。更に、上述の基準引き上げ信号を受信しない限りは、異常判定用の逆行列Aを用いた一般判定処理を行わせる。この一方で、上述の基準引き上げ信号を受信した場合には、一般判定処理に代えて、異常直前判定用の逆行列Aを用いた基準引き上げ判定処理を行わせるようにする。そして、EM要求信号を発した複写機と同じ地域に設置された複写機を特定し、特定した複写機に対して通信回線を介して基準引き上げ信号を送信させるように保守点検サービス機関の異常管理システムを構成する。
また、異常の判定基準をより厳しくする方法として、マハラノビス距離Dの二乗と比較する閾値を、第1閾値からそれよりも小さな第2閾値に切り替える方法を採用してもよい。
次に、本発明を適用した第4実施形態に係る異常判定装置について説明する。この異常判定装置は、第1実施形態に係る複写機と同様にして、MTS法によって複数種類の異常についてそれぞれ有無を判定する。但し、それぞれの異常については、異常判定用の逆行列Aを用いた一般判定処理を行う場合と、異常直前判定用の逆行列Aを用いた基準引き上げ判定処理を行う場合とがある。
また、本異常判定装置は、第1実施形態に係る複写機と同様にして、各色のプロセスユニットと、定着装置とについて、それぞれ動作回数に基づいた保守要求判定を行うようになっている。
また、本異常判定装置は、何れかの種類の異常を一般判定処理で検出するか、あるいは何れかの装置についての保守要求を検出するまでは、異常の判定については一般判定処理だけで行う。そして、異常あるいは保守要求を検出すると、異常の判定のやり方を一般判定処理から基準引き上げ判定処理に切り替える。
かかる構成の本異常判定装置においては、一般判定処理で何れかの異常を検出した時点、あるいは保守要求判定で何れかの装置の保守要求を検出した時点で、無しと判定されているものの、近い将来に有りと判定される異常を、その時点で有りと判定できるようにする。これにより、サービスマンに対し、一般判定処理で有りと判定された異常に対応する箇所の保守点検を行わせるか、あるいは、保守必要有りと判定された装置の保守点検を行わせるかする際に、同時に、近い将来に有りと判定される異常に対応する箇所の保守点検を行わせることが可能となる。よって、サービスマンのメンテナンス作業の効率化を図ることが可能になる。
なお、異常あるいは保守要求が検出された時点で、異常の有無の判定を一般判定処理から基準引き上げ判定処理に切り替えるようにした例について説明したが、保守要求判定を一般判定処理から基準引き上げ判定処理に切り替えるようにしてもよい。この場合には、一般判定処理において保守サイクル閾値として第1実施形態に係る複写機と同程度の値のものを使用させる一方で、基準引き上げ判定処理において、保守サイクル閾値として、より値の小さくものを使用させる。
また、一般判定処理で異常が検出されたときにだけ、異常の有無の判定を基準引き上げ判定処理に切り替えさせてもよいし、保守要求が検出されたときにだけ異常の有無の判定を基準引き上げ判定処理に切り替えさせてもよい。
また、保守サイクル閾値として通常のものを使用した保守要求の有無の判定において保守要求が検出されたときにだけ、保守サイクル閾値をより厳しくしてもよい。更には、一般判定処理で異常が検出されたときにだけ、保守サイクル閾値をより厳しくしてもよい。
また、異常の判定基準をより厳しくする方法として、マハラノビス距離Dの二乗と比較する閾値を、第1閾値からそれよりも小さな第2閾値に切り替える方法を採用してもよい。
次に、本発明を適用した第5実施形態の異常判定装置について説明する。なお、本異常判定装置の被検対象となる複写機の基本的な構成は、第1実施形態に係る複写機のうち、異常判定装置を除いた部分の構成と同様である。
本異常判定装置においても、図10に示したように、通信回線を介して接続された複数の複写機を被検対象とする。そして、各複写機からそれぞれ送信されてくる各種のデータである組データを記憶していき、例えば2時間経過毎などといった所定のタイミングが到来する毎に、異常の判定を行う。それぞれの複写機について、包括的な1つの異常の有無をそれぞれ判定すべく、データ記憶手段に記憶した各種の取得データ(組データ)と、逆行列Aとに基づいてマハラノビス距離を求める。そして、求めたマハラノビス距離と異常閾値との比較に基づいて包括的な異常の有無を判定する。
また、本異常判定装置においても、包括的な1つの異常の有無を判定するための逆行列Aとして、異常判定用の逆行列Aと、異常直前判定用の逆行列Aとを記憶している。通常は、異常判定用の逆行列Aを用いる一般判定処理を行って各複写機について異常の有無を判定していく。そして、被検対象となる複数の複写機の何れかについて異常を検出すると、その複写機と同じ地域に設置されている他の複写機の全てを第3実施形態に係る異常判定装置と同様にして特定する。次いで、特定した複写機の全てについて、判定基準をより厳しくする異常直前判定用の逆行列Aを用いた基準引き上げ判定処理を行う。
かかる構成の本異常判定装置においては、何れかの複写機について一般判定処理で異常を検出した場合には、その複写機と同じ地域に設置されている他の複写機の全てについて、次のような判定を可能にする。即ち、異常の判定基準をより厳しくして、現時点では異常無しと判定されるものの、近い将来に異常有りと判定されるようにする。これにより、サービスマンに対し、一般判定処理で異常が検出された複写機の保守点検を行わせるついでに、その複写機の近所におかれた複写機であって且つ近い将来に異常有りと判定される複写機の保守点検を行わせる。よって、メンテナンス作業の効率化を図ることが可能になる。
なお、異常判定装置を保守点検サービス機関に設置する例について説明したが、各ユーザーのもとにそれぞれ異常判定装置を設置するようにしてもよい。この場合、必要に応じて保守点検サービス機関の異常管理システムから発信した基準引き上げ要求信号を、それぞれの異常判定装置に対して、通信回線を介して受信させるようにしておく。また、各ユーザーのもとの異常判定装置に対しては、それぞれ、基本的には一般判定処理だけを行わせ、一般判定処理で異常を検出した場合に、通信回線を介して保守点検サービス機関に異常検出信号を送信させる。但し、保守点検サービス機関の異常管理システムから通信回線を介して基準引き上げ信号が送られてきた場合には、一般判定処理に代えて、異常直前判定用の逆行列Aを用いる基準引き上げ判定処理を行わせる。一方、保守点検サービス機関の異常管理システムに対しては、何れかの複写機から異常検出信号が送られてきた場合に、その複写機と同じ地域に設置された複写機を特定させる。そして、特定した複写機に対して通信回線を介して基準引き上げ信号を送信させるようにする。
また、異常の判定基準をより厳しくする方法として、マハラノビス距離Dの二乗と比較する閾値を、第1閾値からそれよりも小さな第2閾値に切り替える方法を採用してもよい。
次に、本発明を適用した第6実施形態に係る異常判定装置について説明する。なお、本異常判定装置の被検対象となる複写機の基本的な構成は、第1実施形態に係る複写機のうち、異常判定装置を除いた部分の構成と同様である。
本異常判定装置においても、図10に示したように、通信回線を介して接続された複数の複写機を被検対象とする。そして、各複写機からそれぞれ送信されてくる各種のデータである組データを記憶していき、例えば2時間経過毎などといった所定のタイミングが到来する毎に、異常の判定を行う。それぞれの複写機について、包括的な1つの異常の有無をそれぞれ判定すべく、データ記憶手段に記憶した各種の取得データ(組データ)と、逆行列Aとに基づいてマハラノビス距離を求める。そして、求めたマハラノビス距離と異常閾値との比較に基づいて包括的な異常の有無を判定する。
通常は、このような異常判定処理だけを行うが、何れかの複写機について異常を検出した場合には、その複写機と同じ地域に設置されている他の複写機の全てを第3実施形態に係る複写機と同様にして特定する。そして、特定した複写機の全てについて、第1実施形態に係る複写機と同様の保守要求判定処理を行う。
かかる構成の本異常判定装置においては、何れかの複写機で異常を検出した場合に、異常を検出したかった複写機であって且つ異常を検出した複写機と同じ地域に設置されているものについて、保守要求があるか否かを判定する。これにより、サービスマンに対し、異常が検出された複写機の保守点検を行わせるついでに、その複写機の近所におかれた複写機であって且つ保守要求があるものの保守点検も行わせることで、メンテナンス作業の効率化を図ることが可能になる。
なお、異常判定装置を保守点検サービス機関に設置する例について説明したが、各ユーザーのもとにそれぞれ異常判定装置を設置するようにしてもよい。この場合、必要に応じて保守点検サービス機関の異常管理システムから発信した保守判定実施信号を、それぞれの異常判定装置に対して、通信回線を介して受信させるようにしておく。また、各ユーザーのもとの異常判定装置に対しては、それぞれ、基本的には異常判定処理だけを行わせ、異常判定処理で異常を検出した場合に、通信回線を介して保守点検サービス機関に異常検出信号を送信させる。但し、保守点検サービス機関の異常管理システムから通信回線を介して保守判定実施信号が送られてきた場合には、異常判定処理に代えて、保守要求判定処理を行わせる。一方、保守点検サービス機関の異常管理システムに対しては、何れかの複写機から異常検出信号が送られてきた場合に、その複写機と同じ地域に設置された複写機を特定させる。そして、特定した複写機に対して通信回線を介して保守判定実施信号を送信させるようにする。
次に、本発明を適用した第7実施形態に係る異常判定装置について説明する。なお、本異常判定装置の被検対象となる複写機の基本的な構成は、第1実施形態に係る複写機のうち、異常判定装置を除いた部分の構成と同様である。
本異常判定装置においても、図10に示したように、通信回線を介して接続された複数の複写機を被検対象とする。各複写機からは、所定のタイミングで取得した各種の取得データからなる組データや、動作回数カウント値などが送られてくる。
本異常判定装置は、基本的には、各複写機から通信回線を通じてそれぞれ送られている動作回数カウント値に基づいて、各複写機についてそれぞれ、各色のプロセスユニットや定着装置の保守要求判定処理だけを行う。但し、何れかの複写機における何れかの装置で保守要求を検出した場合には、その複写機と同じ地域に設置されている他の複写機の全てを第3実施形態に係る複写機と同様にして特定する。そして、特定した複写機の全てについて、第6実施形態に係る複写機と同様にして異常判定を行う。
かかる構成の本異常判定装置においては、何れかの複写機の何れかの装置で保守要求を検出した場合に、保守要求を検出したかった複写機であって且つ保守要求を検出した複写機と同じ地域に設置されているものについて、異常が検出されるか否かを判定する。これにより、サービスマンに対し、保守要求が検出された装置を搭載する複写機の保守点検を行わせるついでに、その複写機の近所におかれた複写機であって且つ異常が検出されたものの保守点検も行わせることで、メンテナンス作業の効率化を図ることが可能になる。
なお、異常判定装置を保守点検サービス機関に設置する例について説明したが、各ユーザーのもとにそれぞれ異常判定装置を設置するようにしてもよいことは言うまでもない。
これまで説明してきた各実施形態においては、異常判定装置を次のように構成することが望ましい。即ち、何らかの異常を検出した場合に、その異常に対応する異常解消対策情報をデータ記憶手段の記憶データから特定して操作者に報知する報知手段(CPUと操作表示部との組合せ)を設けるのである。かかる構成では、異常が発生した場合に、操作者に異常解消対策情報を提供することで、どの部品を交換して異常を解消したらよいのかや、どの部品を清掃して異常を解消したらよいのかを教えて、異常発生時に適切に対処してもらうことができる。
第1実施形態に係る複写機を示す概略構成図。 同複写機のプリンタ部を示す概略構成図。 同複写機のタンデム部を示す部分拡大図。 同複写機の電気回路の一部を示すブロック図。 同複写機の異常判定装置によって実施されるデータ処理の概要を示すフローチャート。 同複写機によって実施される正常組データ群構築処理から行列変換工程までの一連のプロセスを示すフローチャート。 逆行列Aと各種取得データとに基づいてマハラノビス距離Dを算出する手順を示すフローチャート。 同複写器内の部品における故障発生率特性の一例を示すグラフ。 第2実施形態に係る異常判定装置によって実施される異常判定工程の制御フローを示すフローチャート。 第3実施形態に係る異常判定装置と、被検対象となる複数の複写機との接続状態を示すブロック図。 同異常判定装置によって実施される異常判定制御の制御フローを示すフローチャート。
符号の説明
1 制御部(異常判定手段、動作情報取得手段、保守要求判定手段)
1a CPU
1b RAM(データ記憶手段)
1c ROM(データ記憶手段)
2 各種センサ(データ取得手段の一部)
3 操作表示部(データ入力手段、報知手段の一部、データ取得手段の一部)

Claims (14)

  1. 被検対象となる機器から複数種類のデータを取得するデータ取得工程と、
    それら複数種類のデータについての正常データの組合せである正常組データの集合からなる正常組データ群、及び該データ取得工程にて該機器から取得した複数種類の取得データに基づいた多変量解析を行って異常指標値を算出し、算出結果と、予め定められた異常閾値との比較に基づいて該機器における異常の有無を判定する異常判定工程とを具備する異常判定処理を実施する異常判定方法において、
    上記機器に搭載された複数の装置からそれぞれ動作回数情報又は動作時間情報を取得する動作情報取得工程と、該動作回数情報又は動作時間情報と所定の保守閾値との比較に基づいてそれぞれの装置について部品交換又は清掃による保守の必要の有無を判定する保守要求判定工程を具備する保守判定処理を実施し、該保守判定処理で何れかの装置について保守の必要ありと判定した場合に、上記異常判定処理にて、上記正常組データ群として、互いに上記正常データの種類の組合せが異なる複数のものを用い、これらの正常組データ群のぞれぞれに基づいて複数の異常指標値を算出し、それぞれの算出結果と予め定められた異常閾値との比較に基づいて複数の該正常組データ群にそれぞれ個別に対応する複数種類の異常の有無を判定することを特徴とする異常判定方法。
  2. 被検対象となる機器から複数種類のデータを取得するデータ取得手段と、
    それら複数種類のデータについての正常データの組合せである正常組データの集合からなる正常組データ群、及び該データ取得工程にて該機器から取得した複数種類の取得データに基づいた多変量解析を行って異常指標値を算出し、算出結果と、予め定められた異常閾値との比較に基づいて該機器における異常の有無を判定する異常判定手段とを備える異常判定装置において、
    上記機器に搭載された複数の装置からそれぞれ動作回数情報又は動作時間情報を取得する動作情報取得手段と、該動作回数情報又は動作時間情報と所定の保守閾値との比較に基づいてそれぞれの装置について部品交換又は清掃による保守の必要の有無を判定する保守要求判定手段とを設け、該保守要求判定手段によって何れかの装置について保守の必要ありと判定された場合に、上記正常組データ群として、互いに上記正常データの種類の組合せが異なる複数のものを用い、これらの正常組データ群のぞれぞれに基づいて複数の異常指標値を算出し、それぞれの算出結果と予め定められた異常閾値との比較に基づいて複数の該正常組データ群にそれぞれ個別に対応する複数種類の異常の有無を判定させるように上記異常判定手段を構成したことを特徴とする異常判定装置。
  3. 被検対象となる機器に接続されている通信回線を通じて該機器から複数種類のデータを取得するデータ取得工程と、
    それら複数種類のデータについての正常データの組合せである正常組データの集合からなる正常組データ群、及び該データ取得工程にて該機器から取得した複数種類の取得データに基づいた多変量解析を行って異常指標値を算出し、算出結果と、予め定められた異常閾値との比較に基づいて該機器における異常の有無を判定する異常判定工程とを具備する異常判定処理を実施する異常判定方法において、
    上記異常判定処理にて、上記正常組データ群として、互いに上記正常データの種類の組合せが異なる複数のものを用い、これらの正常組データ群のぞれぞれに基づいて複数の異常指標値を算出し、それぞれの算出結果と予め定められた異常閾値との比較に基づいて複数の該正常組データ群にそれぞれ個別に対応する複数種類の異常の有無を判定するとともに、上記機器から発せられた故障の発生及び種類を示す故障発生情報を、上記通信回線を通じて受信する故障発生情報受信工程を該異常判定処理とは別に実施し、該故障発生情報受信工程で該故障発生情報を受信した場合には、異常の判定基準をより厳しくして該異常判定処理を実施することを特徴とする異常判定方法。
  4. 被検対象となる機器に接続されている通信回線を通じて該機器から複数種類のデータを取得するデータ取得手段と、
    それら複数種類のデータについての正常データの組合せである正常組データの集合からなる正常組データ群、及び該データ取得工程にて該機器から取得した複数種類の取得データに基づいた多変量解析を行って異常指標値を算出し、算出結果と、予め定められた異常閾値との比較に基づいて該機器における異常の有無を判定する異常判定手段とを備える異常判定装置において、
    上記機器から発せられた故障の発生及び種類を示す故障発生情報を、上記通信回線を通じて受信する故障発生情報受信手段を設け、且つ、
    上記正常組データ群として、互いに上記正常データの種類の組合せが異なる複数のものを用い、これらの正常組データ群のぞれぞれに基づいて複数の異常指標値を算出し、それぞれの算出結果と予め定められた異常閾値との比較に基づいて複数の該正常組データ群にそれぞれ個別に対応する複数種類の異常の有無を判定し、該故障発生情報受信手段によって該故障発生情報が受信された場合には、判定基準をより厳しくして異常の判定を行うように、上記異常判定手段を構成したことを特徴とする異常判定装置。
  5. 被検対象となる複数の機器にそれぞれ接続されている通信回線を通じて、複数の該機器からそれぞれ複数種類のデータを取得するデータ取得工程と、
    それら複数種類のデータについての正常データの組合せである正常組データの集合からなる正常組データ群、及び該データ取得工程にて該機器から取得した複数種類の取得データに基づいた多変量解析を該複数の機器のそれぞれについて行って、該複数の機器にそれぞれ個別に対応する複数の異常指標値を算出し、それぞれの算出結果と予め定められた異常閾値との比較に基づいて該複数の機器における異常の有無をそれぞれ個別に判定する異常判定工程とを実施する異常判定方法において、
    上記複数の機器にそれぞれ接続されている通信回線を通じて、それぞれの機器から送られてくる故障の発生及び種類を示す故障情報を受信する故障発生情報受信工程を実施し、該複数の機器の何れかから発せられた該故障発生情報を受信した場合には、該複数の機器のうち、該故障発生情報を発していない機器について、異常の判定基準をより厳しくして上記異常判定工程をやり直すことを特徴とする異常判定方法。
  6. 被検対象となる複数の機器にそれぞれ接続されている通信回線を通じて、複数の該機器から複数種類のデータをそれぞれ取得するデータ取得手段と、
    それら複数種類のデータについての正常データの組合せである正常組データの集合からなる正常組データ群、及び該データ取得手段によって該機器から取得した複数種類の取得データに基づいた多変量解析を該複数の機器についてそれぞれ行って、該複数の機器にそれぞれ個別に対応する複数の異常指標値を算出し、それぞれの算出結果と予め定められた異常閾値との比較に基づいて該複数の機器における異常の有無をそれぞれ個別に判定する異常判定手段とを備える異常判定装置において、
    上記複数の機器にそれぞれ接続されている通信回線を通じて、それぞれの機器から送られてくる故障の発生及び種類を示す故障発生情報を受信する故障発生情報受信手段を設け、該複数の機器の何れかから発せられた該故障発生情報が該故障発生情報受信手段によって受信された場合には、該複数の機器のうち、該故障発生情報を発していない機器について、異常の判定基準をより厳しくして異常の判定の有無をやり直しさせるように上記異常判定手段を構成したことを特徴とする異常判定装置。
  7. 被検対象となる機器に接続されている通信回線を通じて該機器から複数種類のデータを取得するデータ取得工程と、
    それら複数種類のデータについての正常データの組合せである正常組データの集合からなる正常組データ群、及び該データ取得工程にて該機器から取得した複数種類の取得データに基づいた多変量解析を行って異常指標値を算出し、算出結果と、予め定められた異常閾値との比較に基づいて該機器における異常の有無を判定する異常判定工程とを具備する異常判定処理を実施する異常判定方法において、
    上記異常判定処理にて、上記正常組データ群として、互いに上記正常データの種類の組合せが異なる複数のものを用い、これらの正常組データ群のぞれぞれに基づいて複数の異常指標値を算出し、それぞれの算出結果と予め定められた異常閾値との比較に基づいて複数の該正常組データ群にそれぞれ個別に対応する複数種類の異常の有無を判定するようにするとともに、上記通信回線を通じて、上記機器に搭載された複数の装置におけるぞれぞれの動作回数情報又は動作時間情報を取得する動作情報取得工程と、該動作回数情報又は動作時間情報と所定の保守閾値との比較に基づいて複数の該装置について部品交換又は清掃による保守の必要の有無をそれぞれ判定する保守要求判定工程とを具備する保守判定処理を該異常判定処理とは別に実施し、該異常判定処理で何れかの異常を有りと判定するか、あるいは該保守要求判定処理で何れかの装置について保守必要有りと判定した場合には、有りと判定しなかった異常について判定基準をより厳しくして上記異常判定処理をやり直すか、あるいは保守必要有りと判定しなかった装置について上記保守閾値を判定基準がより厳しくなるように補正して該保守判定処理をやり直すかすることを特徴とする異常判定方法。
  8. 被検対象となる機器に接続されている通信回線を通じて該機器から複数種類のデータを取得するデータ取得手段と、
    それら複数種類のデータについての正常データの組合せである正常組データの集合からなる正常組データ群、及び該データ取得工程にて該機器から取得した複数種類の取得データに基づいた多変量解析を行って異常指標値を算出し、算出結果と、予め定められた異常閾値との比較に基づいて該機器における異常の有無を判定する異常判定手段とを備える異常判定装置において、
    上記通信回線を通じて、上記機器に搭載された複数の装置におけるぞれぞれの動作回数情報又は動作時間情報を取得する動作情報取得手段と、該動作回数情報又は動作時間情報と所定の保守閾値との比較に基づいて複数の該装置について部品交換又は清掃による保守の必要の有無をそれぞれ判定する保守要求判定手段とを備え、
    上記正常組データ群として、互いに上記正常データの種類の組合せが異なる複数のものを用い、これらの正常組データ群のぞれぞれに基づいて複数の異常指標値を算出し、それぞれの算出結果と予め定められた異常閾値との比較に基づいて複数の該正常組データ群にそれぞれ個別に対応する複数種類の異常の有無を判定するように上記異常判定装置が構成され、
    該異常判定手段によって何れかの種類の異常を有りと判定した場合、あるいは該保守要求判定手段によって何れかの装置について保守必要有りと判定した場合には、有りと判定しなかった異常について判定基準をより厳しくして判定をやり直すか、あるいは保守必要有りと判定しなかった装置について上記保守閾値を判定基準がより厳しくなるように補正して判定をやり直すかすることを特徴とする異常判定装置。
  9. 被検対象となる複数の機器にそれぞれ接続されている通信回線を通じて該複数の機器からそれぞれ複数種類のデータを取得するデータ取得工程と、
    それら複数種類のデータについての正常データの組合せである正常組データの集合からなる正常組データ群、及び該データ取得工程にて該機器から取得した複数種類の取得データに基づいた多変量解析を該複数の機器のそれぞれについて行って、該複数の機器にそれぞれ個別に対応する複数の異常指標値を算出し、それぞれの算出結果と予め定められた異常閾値との比較に基づいて該複数の機器における異常の有無をそれぞれ個別に判定する異常判定工程とを実施する異常判定方法において、
    上記複数の機器の何れかについて異常を有りと判定した場合には、異常を有りと判定しなかった機器について異常の判定基準をより厳しくして上記異常判定工程をやり直すことを特徴とする異常判定方法。
  10. 被検対象となる複数の機器にそれぞれ接続されている通信回線を通じて該複数の機器からそれぞれ複数種類のデータを取得するデータ取得手段と、
    それら複数種類のデータについての正常データの組合せである正常組データの集合からなる正常組データ群、及び該データ取得手段によって該機器から取得した複数種類の取得データに基づいた多変量解析を該複数の該機器についてそれぞれ行って、該複数の機器にそれぞれ個別に対応する複数の異常指標値を算出し、それぞれの算出結果と予め定められた異常閾値との比較に基づいて該複数の機器における異常の有無をそれぞれ個別に判定する異常判定手段とを備える異常判定装置において、
    上記複数の機器の何れかについて異常を有りと判定した場合には、異常を有りと判定しなかった機器について判定基準をより厳しくして異常の有無の判定をやり直しさせるように上記異常判定手段を構成したことを特徴とする異常判定装置。
  11. 被検対象となる複数の機器にそれぞれ接続されている通信回線を通じて該複数の機器からそれぞれ複数種類のデータを取得するデータ取得工程と、
    それら複数種類のデータについての正常データの組合せである正常組データの集合からなる正常組データ群、及び該データ取得工程にて該機器から取得した複数種類の取得データに基づいた多変量解析を該複数の機器のそれぞれについて行って、該複数の機器にそれぞれ個別に対応する複数の異常指標値を算出し、それぞれの算出結果と予め定められた異常閾値との比較に基づいて該複数の機器における異常の有無をそれぞれ個別に判定する異常判定工程とを実施する異常判定方法において、
    上記複数の機器にそれぞれ搭載された所定の装置の動作回数情報又は動作時間情報を、上記通信回線を通じてそれぞれ取得する動作情報取得工程と、上記異常判定工程にて該複数の機器の何れかについて異常を有りと判定した場合に、異常を有りと判定しなかった機器に搭載された装置について、部品交換又は清掃による保守の必要の有無を該動作回数情報又は動作時間情報と所定の保守閾値との比較に基づいて判定する保守要求判定工程とを実施することを特徴とする異常判定方法。
  12. 被検対象となる複数の機器にそれぞれ接続されている通信回線を通じて該複数の機器からそれぞれ複数種類のデータを取得するデータ取得手段と、
    それら複数種類のデータについての正常データの組合せである正常組データの集合からなる正常組データ群、及び該データ取得手段によって該機器から取得した複数種類の取得データに基づいた多変量解析を該複数の機器についてそれぞれ行って、該複数の機器にそれぞれ個別に対応する複数の異常指標値を算出し、それぞれの算出結果と予め定められた異常閾値との比較に基づいて該複数の機器における異常の有無をそれぞれ個別に判定する異常判定手段とを備える異常判定装置において、
    上記複数の機器にそれぞれ搭載された所定の装置の動作回数情報又は動作時間情報を、上記通信回線を通じてそれぞれ取得する動作情報取得手段と、上記異常判定手段によって該複数の機器の何れかについて異常が有りと判定された場合に、異常が有りと判定されなかった機器に搭載された装置ついて、部品交換又は清掃による保守の必要の有無を該動作回数情報又は動作時間情報と所定の保守閾値との比較に基づいて判定する保守要求判定手段とを設けたことを特徴とする異常判定装置。
  13. 被検対象となる複数の機器にそれぞれ接続されている通信回線を通じて該複数の機器からそれぞれ複数種類のデータを取得するデータ取得工程と、
    それら複数種類のデータについての正常データの組合せである正常組データの集合からなる正常組データ群、及び該データ取得工程にて該機器から取得した複数種類の取得データに基づいた多変量解析を該複数の機器のそれぞれについて行って、該複数の該機器にそれぞれ個別に対応する複数の異常指標値を算出し、それぞれの算出結果と予め定められた異常閾値との比較に基づいて該複数の機器における異常の有無をそれぞれ個別に判定する異常判定工程とを具備する異常判定処理を実施する異常判定方法において、
    上記通信回線を通じて、上記複数の機器のそれぞれに搭載された所定の装置の動作回数情報又は動作時間情報を取得する動作情報取得工程と、該動作回数情報又は動作時間情報と所定の保守閾値との比較に基づいてそれぞれの該装置について部品交換又は清掃による保守の必要の有無を判定する保守要求判定工程とを具備する保守判定処理を実施し、何れかの装置について保守必要有りと判定した場合に、上記複数の機器のうち、保守必要有りと判定しなかった装置を搭載する機器について上記異常判定処理を実施することを特徴とする異常判定方法。
  14. 被検対象となる複数の機器にそれぞれ接続されている通信回線を通じて該複数の機器からそれぞれ複数種類のデータを取得するデータ取得手段と、
    それら複数種類のデータについての正常データの組合せである正常組データの集合からなる正常組データ群、及び該データ取得手段によって該機器から取得した複数種類の取得データに基づいた多変量解析を該複数の機器についてそれぞれ行って、該複数の機器にそれぞれ個別に対応する複数の異常指標値を算出し、それぞれの算出結果と予め定められた異常閾値との比較に基づいて該複数の機器における異常の有無をそれぞれ個別に判定する異常判定手段とを備える異常判定装置において、
    上記通信回線を通じて、上記複数の機器のそれぞれに搭載された所定の装置の動作回数情報又は動作時間情報を取得する動作情報取得手段と、該動作回数情報又は動作時間情報と所定の保守閾値との比較に基づいてそれぞれの該装置について部品交換又は清掃による保守の必要の有無を判定する保守要求判定手段とを設け、該保守要求判定手段によって何れかの装置について保守必要有りと判定された場合に、上記複数の機器のうち、保守必要有りと判定されなかった装置を搭載する機器について異常の有無を判定させるように上記異常判定手段を構成したことを特徴とする異常判定装置。
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