JP2008008996A - 異常判定装置、画像形成装置および保守システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】通常は、状態情報の経時変化データに基づいて異常を予測する第1異常判定手段で被検対象の異常について判定を行う。被検対象について保守を行ってから、取得手段が所定数複数種類の状態情報を取得するまでの第1異常判定手段が正しい異常判定を行うことのできない間は、記憶手段に記憶されている最新の状態情報に基づいて判定する第2異常判定手段で被検対象の異常について判定を行う。
【選択図】図7
Description
ひとつは、装置から取得した状態情報を刻々観測して、その時点での装置の状態を推定しその時系列変化から将来の状態を推定する時系列解析による方法である。これは、過去から現在までの変化を将来へ外挿するという考え方の上に成り立っている。具体的な一例を挙げると、感光体や現像装置などといった装置内の各種部品や機器の累積稼働時間をカウンターによって順次カウントしていくカウント値の時系列変化が図15に示すように月単位や期単位の周期的変動を持ちながら増加する場合、この時系列変化を波形近似し、現時点を基点として、近似した波形を将来に向けて延ばす(外挿)ことで、あらかじめ設定された寿命(異常多発域)に到達する日を予測することができる。このような予測は、現在を含む比較的短期間の予測には精度が得られるが、長期間の予測では精度が低い。
そこで、本発明者らは、画像形成装置に関する複数種類の状態情報を複数日分取得して、指標値を算出するときは、複数日分の状態情報から状態情報の移動平均や変化量などの特徴量を抽出して、この特徴量を更に加えて指標値を算出することを考えた。このように特徴量を追加することで、例えば、その種類の状態情報が下降過程にあるのか上昇過程にあるのかなどの状態情報の経時変化に関する情報(トレンド)を捉えることができる。これにより、指標値を状態情報の経時変化を加味して算出することができ、指標値を算出するときにばらつきやノイズなどの要因が除去でき、特許文献1のものよりも精度の高い指標値が算出することができる。これにより、精度の高い異常の予測をすることができる。
また、請求項2の発明は、請求項1の異常判定装置において、前記第1異常判定手段で被検対象の異常について判定するとき、前記第2異常判定手段でも被検対象の異常について判定を行うように構成したことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、被検対象の異常状態の判定を行う異常判定装置において、被検対象についての互いに異なる複数種類の状態情報を取得する情報取得手段と、前記複数種類の状態情報を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶されている最新の前記複数種類の状態情報を取得した時点から所定の取得回数分だけ過去に遡った時点までに取得した複数種類の状態情報に基づいて、前期状態情報の種類毎に状態情報の経時変化を捉えた特徴量を抽出する特徴量抽出手段と、前記複数種類の状態情報の特徴量に基づいて前記被検対象の状態を示す指標値を算出する指標値算出手段と、前記指標値に基づいて、その後の被検対象の異常について判定する異常判定手段と、を備え、前記被検対象について保守を行ってから、前記取得手段が所定回数前記複数種類の状態情報を取得するまでの間、前記取得手段の前記複数種類の状態情報を取得するタイミングを早めるよう構成したことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、被検対象の異常状態の判定を行う異常判定装置において、被検対象についての互いに異なる複数種類の状態情報を取得する情報取得手段と、前記複数種類の状態情報を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶されている最新の前記複数種類の状態情報を取得した時点から所定の取得回数分だけ過去に遡った時点までに取得した複数種類の状態情報に基づいて、前記状態情報の種類毎に状態情報の経時変化を捉えた特徴量を抽出する特徴量抽出手段と、前記複数種類の状態情報の特徴量に基づいて前記被検対象の状態を示す指標値を算出する指標値算出手段と、前記指標値に基づいて、その後の被検対象の異常について判定する異常判定手段と、を備え、前記被検対象について保守を行ってから、前記取得手段が所定回数前記複数種類の状態情報を取得するまでの間、前記指標値算出手段は、前記被検対象の保守が行われた部位に関する状態情報を除去して、暫定指標値を算出し、前記異常判定手段は、前記暫定指標値に基づいて、その後の被検対象の異常について判定するように構成したことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項3または4の異常判定装置において、前記記憶手段に記憶されている最新の前記複数種類の状態情報に基づいて、被検対象の異常について判定する第2異常判定手段を備えたことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5いずれかの異常判定装置において、前記被検対象の異常判定の結果を報知する報知手段を備えたことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項6の異常判定装置において、前記報知手段は、前記被検対象が異常と判定されたとき、前記被検対象の保守が必要な部位を報知することを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項1乃至7いずれかの異常判定装置において、前記指標値算出手段は、前記被検対象の正常状態の指標となる正常指標情報を用いて指標値を算出することを特徴とした異常判定装置。
また、請求項9の発明は、記録体を搬送する記録体搬送手段と、前記記録体搬送手段によって搬送される記録体に可視像を形成する可視像形成手段と、装置全体又は一部の異常を判定する異常判定手段とを備える画像形成装置において、前記異常判定手段として、請求項1乃至8の何れかのものを用いたことを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、被検対象の異常を判定する異常判定手段を備え、前記異常判定手段の判定結果に基づいて、前記被検対象の保守を行う保守システムにおいて、前記異常判定手段として、請求項1乃至8の何れかのものを用いたことを特徴とするものである。
まず、本第1実施形態に係る複写機の基本的な構成について説明する。図1は、本複写機を示す概略構成図である。この複写機は、プリンタ部100と給紙部200とからなる画像形成手段と、スキャナ部300と、原稿搬送部400とを備えている。スキャナ部300はプリンタ部100上に取り付けられ、そのスキャナ部300の上に原稿自動搬送装置(ADF)からなる原稿搬送部400が取り付けられている。
図に示すように制御部1は、複写機全体の制御を司る制御手段であり、CPUなどからなる演算手段1aと、RAMやROMなどで構成される記憶手段1cとを有している。この記憶手段1cは、複数種類の複写機の状態情報が時系列で記憶されている。また、制御部1は、記憶手段1cに記憶された複写機の複数種類の状態情報に基づいて、画像形成装置の故障などの異常状態を予測するための指標値を算出する指標値算出手段としての機能を有している。また、制御部1は、前記指標値や複写機の状態情報に基づいて、画像形成装置の異常状態を判定する異常判定手段としての機能も有している。
また、制御部1は、複写機の構成要素の状態や内部で生ずる現象に関連する複写機の状態情報を各種センサ2、操作表示部3などから取得して、上記記憶手段1cに記憶する情報取得手段たる情報取得部1eを備えている。操作表示部3は、文字情報等を表示する液晶ディスプレイ等から構成される表示部や、テンキー等などによって操作者から入力情報を受け付けて制御部1に送る操作部などを有している。
また、制御部1は、画像形成装置の異常状態の判定結果を、前記操作表示部3に表示してユーザに報知する報知手段としての機能を備えている。また、判定結果、画像形成装置の異常があった場合や、異常が予測された場合は、制御部1は、異常の発生が予測される(または異常が発生した)機器や部品を特定して、前記操作表示部に表示してユーザに報知する報知手段としての機能も有している。
このセンシング情報としては、駆動関係、記録媒体の各種特性、現像剤特性、感光体特性、電子写真の各種プロセス状態、環境条件、記録物の各種特性などが取得する対象として考えられる。これらのセンシング情報の概要を説明すると、以下のようになる。
・感光体ドラムの回転速度をエンコーダで検出したり、駆動モータの電流値を読み取ったり、駆動モータの温度を読み取る。
・同様にして、定着ローラ、紙搬送ローラ、駆動ローラなどの円筒状またはベルト状の回転する部品の駆動状態を検出する。
・駆動により発生する音を装置内部または外部に設置されたマイクロフォンで検出する。
・透過型または反射型の光センサ、あるいは接触タイプのセンサにより、搬送された紙の先端・後端の位置を読み取り、紙詰まりが発生したことを検出したり、紙の先端・後端の通過タイミングのずれや、送り方向と垂直な方向の変動を読み取る。
・同様に、複数のセンサ間の検出タイミングにより、紙の移動速度を求める。
・給紙時の給紙ローラと紙とのスリップを、ローラの回転数計測値と紙の移動量との比較で求める。
この情報は、画質やシート搬送の安定性に大きく影響する。この紙種の情報取得には以下のような方法がある。
・紙の厚みは、紙を二つのローラで挟み、ローラの相対的な位置変位を光学センサ等で検知したり、紙が進入してくることによって押し上げられる部材の移動量と同等の変位量を検知することによって求める。
・紙の表面粗さは、転写前の紙の表面にガイド等を接触させ、その接触によって生じる振動や摺動音等を検知する。
・紙の光沢は、規定された入射角で規定の開き角の光束を入射し、鏡面反射方向に反射する規定の開き角の光束をセンサで測定する。
・紙の剛性は、押圧された紙の変形量(湾曲量)を検知することにより求める。
・再生紙か否かの判断は、紙に紫外線を照射してその透過率を検出して行なう。
・裏紙か否かの判断は、LEDアレイ等の線状光源から光を照射し、転写面から反射した光をCCD等の固体撮像素子で検出して行なう。
・OHP用のシートか否かは、用紙に光を照射し、透過光と角度の異なる正反射光を検出して判断する。
・紙に含まれている水分量は、赤外線またはμ波の光の九州を測定することにより求める。
・カール量は光センサ、接触センサなどで検出する。
・紙の電気抵抗は、一対の電極(給紙ローラなど)を記録紙と接触させて直接測定したり、紙転写後の感光体や中間転写体の表面電位を測定して、その値から記録紙の抵抗値を推定する。
現像剤(トナー・キャリア)の装置内での特性は、電子写真プロセスの機能の根幹に影響するものである。そのため、システムの動作や出力にとって重要な因子となる。現像剤の情報を得ることは極めて重要である。この現像剤特性としては、例えば次のような項目が挙げられる。
・トナーについては、帯電量およびその分布、流動性・凝集度・嵩密度、電気抵抗、外添剤量、消費量または残量、流動性、トナー濃度(トナーとキャリアの混合比)を挙げることができる。
・キャリアについては、磁気特性、コート膜厚、スペント量などを挙げることができる。
・感光体上にテスト用潜像を形成し、予め決められた現像条件で現像して、形成されたトナー像の反射濃度(光反射率)を測定する。
・現像装置中に一対の電極を設け、印加電圧と電流の関係を測定する(抵抗、誘電率など)。
・現像装置中にコイルを設け、電圧電流特性を測定する(インダクタンス)。
・現像装置中にレベルセンサを設けて、現像剤容量を検出する。レベルセンサは光学式、静電容量式などがある。
感光体特性も現像剤特性と同じく、電子写真プロセスの機能と密接に関わる。この感光体特性の情報としては、感光体の膜厚、表面特性(摩擦係数、凹凸)、表面電位(各プロセス前後)、表面エネルギー、散乱光、温度、色、表面位置(フレ)、線速度、電位減衰速度、抵抗・静電容量、表面水分量などが挙げられる。このうち、画像形成装置の中では、次のような情報を検出できる。
・膜厚変化に伴う静電容量の変化を、帯電部材から感光体に流れる電流を検知し、同時に帯電部材への印加電圧と予め設定された感光体の誘電厚みに対する電圧電流特性と照合することにより、膜厚を求める。
・表面電位、温度は従来周知のセンサーで求めることができる。
・線速度は感光体回転軸に取りつけられたエンコーダーなどで検出される。
・感光体表面からの散乱光は光センサーで検出される。
電子写真方式によるトナー像形成は、周知のように、感光体の均一帯電、レーザー光などによる潜像形成(像露光)、電荷を持ったトナー(着色粒子)による現像、転写材へのトナー像の転写(カラーの場合は中間転写体または最終転写材である記録媒体での重ね合わせ、または現像時に感光体への重ね現像を行なう)、記録媒体へのトナー像の定着という順序で行なわれる。これらの各段階での様々な情報は、画像その他のシステムの出力に大きく影響を与える。これらを取得することがシステムの安定を評価する上で重要となる。この電子写真プロセス状態の情報取得の具体例としては、次のようなものが挙げられる。
・帯電電位、露光部電位は従来公知の表面電位センサにより検出される。
・非接触帯電における帯電部材と感光体とのギャップは、ギャップを通過させた光の量を測定することにより検知する。
・帯電による電磁波は広帯域アンテナにより捉える。
・帯電による発生音
・露光強度
・露光光波長
・パイルハイト(トナー像の高さ)を、変位センサで縦方向から奥行きを、平行光のリニアセンサで横方向から遮光長を計測して求める。
・トナー帯電量を、ベタ部の静電潜像の電位、その潜像が現像された状態での電位を測定する電位センサにより測定し、同じ箇所の反射濃度センサから換算した付着量との比により求める。
・ドット揺らぎまたはチリを、ドットパターン画像を感光体上においては赤外光のエリアセンサ、中間転写体上においては各色に応じた波長のエリアセンサで検知し、適当な処理をすることにより求める。
・オフセット量(定着後)を、記録紙上と定着ローラ上の対応する場所をそれぞれ光学センサで読み取って、両者比較することにより求める。
・転写工程後(PD上,ベルト上)に光学センサを設置し,特定パターンの転写後の転写残パターンからの反射光量で転写残量を判断する。
・重ね合わせ時の色ムラを定着後の記録紙上を検知するフルカラーセンサで検知する。
・画像濃度、色は光学的に検知する(反射光、透過光のいずれでもよい。色によって投光波長を選択する)。濃度及び単色情報を得るには感光体上または中間転写体上でよいが、色ムラなど,色のコンビネーションを測るには紙上の必要がある。
・階調性は、階調レベルごとに感光体上に形成されたトナー像または転写体に転写されたトナー像の反射濃度を光学センサにより検出する。
・鮮鋭性は、スポット径の小さい単眼センサ、若しくは高解像度のラインセンサを用いて、ライン繰り返しパターンを現像または転写した画像を読み取ることにより求める。
・粒状性(ざらつき感)は、鮮鋭性の検出と同じ方法により、ハーフトーン画像を読み取り、ノイズ成分を算出することにより求める。
・レジストスキューは、レジスト後の主走査方向両端に光学センサを設け、レジストローラONタイミングと両センサの検知タイミングとの差異から求める。
・色ずれは、中間転写体または記録紙上の重ね合わせ画像のエッジ部を、単眼の小径スポットセンサ若しくは高解像度ラインセンサで検知する。
・バンディング(送り方向の濃度むら)は、記録紙上で小径スポットセンサ若しくは高解像度ラインセンサにより副走査方向の濃度ムラを測定し、特定周波数の信号量を計測する。
・光沢度(むら)は、均一画像が形成された記録紙を正反射式光学センサで検知するように設ける。
・かぶりは、感光体上、中間転写体上、または記録紙上において、比較的広範囲の領域を検知する光学センサで画像背景部を読み取る方法、または高解像度のエリアセンサで背景部のエリアごと画像情報を取得し、その画像に含まれるトナー粒子数を数えるという方法がある。
・像流れ・かすれなどは、感光体上、中間転写体、あるいは記録紙上でトナー像をエリアセンサにより検知し、取得した画像情報を画像処理して判定する。
・チリは記録紙上の画像を高解像度ラインセンサまたはエリアセンサで取り込み、パターン部の周辺に散っているトナー量を算定することにより求める。
・後端白抜け、ベタクロス白抜けは、感光体上、中間転写体、あるいは記録紙上で高解像度ラインセンサにより検知する。
・カール・波打ち・折れは、変位センサで検出する。折れの検出のためには記録紙の両端部分に近い所にセンサを設置することが有効である。
・コバ面の汚れやキズは、排紙トレイに縦に設けたエリアセンサにより,ある程度排紙が溜まった時のコバ面をエリアセンサで撮影,解析する。
・温度検出には、異種金属どうし或いは金属と半導体どうしを接合した接点に発生する熱起電力を信号として取り出す熱電対方式、金属或いは半導体の抵抗率が温度によって変化することを利用した抵抗率変化素子、また、或る種の結晶では温度が上昇したことにより結晶内の電荷の配置に偏りが生じ表面に電位発生する焦電型素子、更には、温度による磁気特性の変化を検出する熱磁気効果素子などが採用できる。
・湿度検出には、H2O或いはOH基の光吸収を測定する光学的測定法、水蒸気の吸着による材料の電気抵抗値変化を測定する湿度センサ等がある
・各種ガスは、基本的にはガスの吸着に伴う、酸化物半導体の電気抵抗の変化を測定することにより検出する。
・気流(方向、流速、ガス種)の検出には、光学的測定法等があるが、システムへの搭載を考慮するとより小型にできるエアブリッジ型フローセンサが特に有用である。
・気圧・圧力の検出には、感圧材料を使用する、メンブレンの機械的変位を測定する等の方法がある。振動の検出にも同様に方法が用いられる。
画像形成装置の動作は制御部によって決定されるため、制御部の入出力パラメータを直接利用することが有効である。
画像形成のために制御部が演算処理により出力する直接的なパラメータで、以下のような例がある。
・制御部によるプロセス条件の設定値で、例えば帯電電位、現像バイアス値、定着温度設定値など
・同じく、中間調処理やカラー補正などの各種画像処理パラメータの設定値
・制御部が装置の動作のために設定する各種のパラメータで、例えば紙搬送のタイミング、画像形成前の準備モードの実行時間など
・色数、枚数、画質指示など、ユーザーにより選択された各種操作の頻度
・ユーザーが選択した用紙サイズの頻度
・全期間または特定期間単位(1日、1週間、1ヶ月など)の総合消費電力あるいはその分布、変化量(微分)、累積値(積分)
・全期間または特定期間単位(1日、1週間、1ヶ月など)のトナー、感光体、紙の使用量あるいはその分布、変化量(微分)、累積値(積分)
・全期間または特定期間単位(1日、1週間、1ヶ月など)の故障発生(種類別)の頻度あるいはその分布、変化量(微分)、累積値(積分)
ホストコンピュータから直接データとして送られる画像情報、あるいは原稿画像からスキャナーで読み取って画像処理をした後に得られる画像情報から、以下のような情報を取得することができる。
・着色画素累積数はGRB信号別の画像データを画素ごとにカウントすることにより求められる。
・例えば特許第2621879号の公報に記載されているような方法でオリジナル画像を文字・網点・写真・背景に分離し、文字部、ハーフトーン部などの比率を求めることができる。同様にして色文字の比率も求めることができる。
・着色画素の累積値を主走査方向で区切った領域別にカウントすることにより、主走査方向のトナー消費分布が求められる。
・画像サイズは制御部が発生する画像サイズ信号または画像データでの着色画素の分布により求められる。
・文字の種類(大きさ、フォント)は文字の属性データから求められる。
また、記憶手段に記憶される複写機の状態情報は、一日の状態情報として記憶する必要がなく、例えば、4時間毎に状態情報を取得して、記憶手段にm個の状態情報を時系列に記憶するようにしてもよい。
図6は、紙搬送の状態など、複写機の状態情報を検知するセンサである光センサの駆動電流の時系列変動データである。図に示すように、光センサの交換や清掃を行った前後では、駆動電流値が大幅に異なっていることがわかる。このため、交換や清掃を行った前後の光センサのデータを用いて特徴量を抽出した場合、光センサによって検知される部品や装置などの状態の時系列での変化の傾向(トレンド)などを特徴量で正しく捕らえることができない。その結果、この特徴量に基づいて算出した指標値も正確なものでなくなり、正しく画像形成装置の状態を予測することができない。よって、複数(m)日分のデータが取得されるまでは、指標値を算出して、異常状態を予測することができない。
そこで、本実施形態は、第2の異常予測手段たる第2異常予測モードを設けて、複数(m)日分のデータが取得される間、この第2の異常予測モードによって、画像形成装置の異常を予測するようにしている。
図に示すように、まず、制御部は、部品の交換や清掃などの保守が行われた否かをチェックする(S1)。保守が行われた否かは、例えば、サービスマンが画像形成装置内の部品を保守したときに、サービスマンが像形成装置に保守した部品情報を入力することで検知される。また、装置内に部品があるか否かを検知する検知手段を設け、例えば部品がない状態からある状態に検知結果が変化したら、装置内の部品が交換されたと判定する。そして、部品の保守が行われた場合(S1のYES)は、この部品の保守が行われたことによって、取得データが大きく変動する状態情報を特定する(S2)。保守が行われた時点で、複数種類の状態情報を取得して、以前のデータと取得したデータとを調べることで、大きく変動する状態情報を検索してもよい。また、予め保守される部品に対して変動する状態情報を調べておいて、部品と状態情報とを関連付けて記憶手段に記憶しておき、部品が保守されたら記憶手段から保守された部品情報に基づいて変動する状態情報を特定するようにしてもよい。そして、特定された部品保守によって大きく変動する状態情報を記憶手段から消去する。次に、保守が清掃か否かをチェックして(S3)、交換の場合(S3のNO)は、状態情報を取得して、初期値データを更新する(S4)。これは、部品毎に特性値が異なるためである。一方、清掃の場合(S3のYES)は、特性値は変らないため、初期値は更新しない。次に、制御部は、通常の異常予測モードから、第2異常予測モードに変更する(S5)。
一方、部品の交換や清掃などの保守が行われて否かった場合(S1のNO)、第2異常予測モードか否かをチェックする(S6)。第2異常予測モードでない場合(S6のNO)は、通常の異常予測モードで画像形成装置の異常を予測しているので、そのまま終了する。一方、第2異常予測モードの場合(S6のYES)、記憶手段に記憶されている複数種類の状態情報が全てm(=整数)個あるか否かをチェックする(S7)。複数種類の状態情報のうち、いずれかひとつでも、複数(m)個の状態情報がない場合(S7のNO)、通常の異常予測モードを実行できないので、そのまま第2異常予測モードで画像形成装置の異常を予測する。一方、記憶手段に記憶されている複数種類の状態情報が全てm(=整数)個ある場合(S8のYES)、通常の異常予測モードを実行できるので、通常の異常予測モードに変更して(S8)、通常の異常予測モードで画像形成装置の異常を予測する。
所定時間経過したときや、所定枚数印刷したときなど、所定のタイミングとなったら、通常の以上予測モードをスタートさせて、記憶手段から、状態情報を読み出して(S11)、それぞれ状態情報の特徴量を抽出する(S12)。そして、抽出した特徴量から指標値(例えばマハラノビス距離)を算出して(S13)、閾値と比べる(S14)。指標値が閾値以上の場合(S14のYES)、装置の異常の発生が予測されているので、異常の発生が予測された部位を特定して(S15)ユーザに報知する(S16)。また、指標値が閾値以下の場合(S14のNO)、装置の異常が発生しないことが予測されているので、指標値を「○日後の状態予測値」としてユーザに報知する(S17)。
実施例1の第2異常予測モードは、複数(m)日分のデータが取得される間、各センサなどから個々に取得される状態情報毎に異常を予測するものである。例えば、感光体の駆動速度を検知するエンコーダの出力値がある閾値を越えたら、異常と予測するなど、第2異常予測手段は、状態情報の値そのものから異常値か否かを予測するものである(以下、異常検知型)。
図9は、実施例1の第2異常予測モードの制御フローである。
まず、所定時間経過したときや、所定枚数印刷したときなど、所定のタイミングとなったら、制御部1は、異常予測モードが通常の異常予測モードか第2異常予測モードかを調べて、第2異常予測モードの場合は、第2異常予測モードをスタートさせる。
第2異常予測モードがスタートすると、まず、制御部1は、記憶手段に記憶されている複数種類の最新の状態情報を読み出す(S21)。次に、制御部1は、記憶手段から各状態情報に対応する閾値を読み出し(S22)、上記最新の状態情報が閾値を越えているか否かをチェックする(S23)。閾値を越えている状態情報がある場合(S23のYES)、装置に異常があると予測して、表示部に表示するなどしてユーザに報知する(S24)。このとき、閾値を越えた状態情報から、異常のある部品を特定して、予測した部品情報を表示部に表示しても良い。一方、いずれの状態情報も閾値を越えていない場合(S23のNO)、装置に異常な状態が発生していないので、そのままモードを終了する。
次に、実施例2の第2異常予測モードについて説明する。
この実施例2においては、部品の保守によって保守前後大きく変動した状態情報に関して複数(m)個分の状態情報を短時間で取得して、この変動した状態情報が複数(m)日分取得するまで、この短時間で取得したダミーの状態情報で通常異常予測モードを仮運用するものである。
図10は、実施例2の第2異常予測モード実行時の制御部の制御フローである。
第2異常予測モードに変更されたら、部品の保守によって交換または清掃前後大きく変動した所定の状態情報の情報取得タイミングを変更する(S31)。すなわち、通常時においては、一日1回程度のタイミングで取得していたタイミングを例えば、10分毎など、取得のサイクルを非常に短く変更するのである。そして、特定された状態情報が記憶手段に時系列で複数(m)個分取得されたら(S32のYES)、状態情報の取得のタイミングを通常のタイミングに戻す(S33)。これにより、部品の保守によって交換または清掃前後で大きく変動した所定の状態情報が短時間で複数(m)個記憶されることになり、記憶手段に記憶されている複数種類の状態情報が全て複数(m)個ある状態にすることができる。よって、早期に通常の異常予測モードで運用することができる。なお、短時間で取得した複数(m)個の状態情報から抽出する特徴量は、部品や装置などの状態の変化を正確には捉えていないが、交換や清掃などの保守が実施されて部品の状態が正常な状態に戻されているため、正しく複数(m)日間取得した状態情報から抽出した特徴量と、短時間で仮取得したm個の状態情報から抽出した特徴量との間に大きな差は生じない。よって、短時間で仮取得した状態情報から抽出した特徴量を用いて、指標値を算出しても著しく予測の精度が低下することがない。
そして、通常の取得タイミングで取得された状態情報は、一番古い仮の状態情報と順次入れ替わっていき、m日後には、仮の状態情報が全てなくなり、通常の取得タイミングで取得された状態情報に全て置き換わる。
このように、早期に指標値を算出する通常異常予測モードで装置の異常を予測することができるので、精度の高い予測を行うことができる。
次に、実施例3の第2異常予測モードについて説明する。
この実施例3においては、部品の交換または清掃などの保守によって保守前後で大きく変動した所定の状態情報を除いて指標値を算出し、装置の異常を予測するものである。
図11は、実施例3の第2異常予測モード実行時の制御部の制御フローである。
まず、制御部1は、第2異常モードに変更されたら、保守部品を特定して(S41)、この特定した保守部品から、この部品が保守された場合の暫定的に用いる暫定演算式(例えば逆行列)を特定して(S42)、記憶手段から読み出す。この暫定演算式(例えば逆行列)は、予めこの部品の保守によって保守前後で大きく変動する所定の状態情報を除いた正常組データから導出された暫定演算式である。
所定時間経過したときや、所定枚数印刷したときなど、所定のタイミングとなったら(S43のYES)、この部品の保守によって保守前後で大きく変動する所定の状態情報を除いた特定の状態情報を記憶手段から読み出して(S44)、それぞれ状態情報の特徴量を抽出する(S45)。そして、抽出した特徴量と暫定演算式(逆行列)とから暫定指標値(例えばマハラノビス距離)を算出して(S46)、閾値と比べる(S47)。暫定指標値が閾値以上の場合(S47のYES)、装置の異常の発生が予測されているので、異常の発生が予測された部位を特定して(S48)ユーザに報知する(S49)。また、暫定指標値が閾値以下の場合(S47のNO)、装置の異常が発生しないことが予測されているので、図12に示すような暫定指標値をユーザに報知する(S51)。
これにより、交換や清掃などの保守を行った部品以外の装置や部品などの異常を予測することができる。
2 各種センサ
3 操作表示部
100 複写機
Claims (10)
- 被検対象の異常状態の判定を行う異常判定装置において、
被検対象についての互いに異なる複数種類の状態情報を取得する情報取得手段と、
前記複数種類の状態情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されている最新の前記複数種類の状態情報を取得した時点から所定の取得回数分だけ過去に遡った時点までに取得した複数種類の状態情報に基づいて、状態情報の種類毎に状態情報の経時変化を捉えた特徴量を抽出する特徴量抽出手段と、
前記複数種類の状態情報の特徴量に基づいて前記被検対象の状態を示す指標値を算出する指標値算出手段と、
前記指標値に基づいて、その後の被検対象の異常について判定する第1異常判定手段と、
前記記憶手段に記憶されている最新の状態情報に基づいて異常について判定する第2異常判定手段と、を備え、
通常時は、前記第1異常判定手段で被検対象の異常について判定し、前記被検対象について保守を行ってから、前記取得手段が所定回数分前記複数種類の状態情報を取得するまでの間は、前記第2異常判定手段で被検対象の異常について判定するよう構成したことを特徴とする異常判定装置。 - 請求項1の異常判定装置において、
前記第1異常判定手段で被検対象の異常について判定するとき、前記第2異常判定手段でも被検対象の異常について判定を行うように構成したことを特徴とする異常判定装置。 - 被検対象の異常状態の判定を行う異常判定装置において、
被検対象についての互いに異なる複数種類の状態情報を取得する情報取得手段と、
前記複数種類の状態情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されている最新の前記複数種類の状態情報を取得した時点から所定の取得回数分だけ過去に遡った時点までに取得した複数種類の状態情報に基づいて、前期状態情報の種類毎に状態情報の経時変化を捉えた特徴量を抽出する特徴量抽出手段と、
前記複数種類の状態情報の特徴量に基づいて前記被検対象の状態を示す指標値を算出する指標値算出手段と、
前記指標値に基づいて、その後の被検対象の異常について判定する異常判定手段と、を備え、
前記被検対象について保守を行ってから、前記取得手段が所定回数前記複数種類の状態情報を取得するまでの間、前記取得手段の前記複数種類の状態情報を取得するタイミングを早めるよう構成したことを特徴とする異常判定装置。 - 被検対象の異常状態の判定を行う異常判定装置において、
被検対象についての互いに異なる複数種類の状態情報を取得する情報取得手段と、
前記複数種類の状態情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されている最新の前記複数種類の状態情報を取得した時点から所定の取得回数分だけ過去に遡った時点までに取得した複数種類の状態情報に基づいて、前記状態情報の種類毎に状態情報の経時変化を捉えた特徴量を抽出する特徴量抽出手段と、
前記複数種類の状態情報の特徴量に基づいて前記被検対象の状態を示す指標値を算出する指標値算出手段と、
前記指標値に基づいて、その後の被検対象の異常について判定する異常判定手段と、を備え、
前記被検対象について保守を行ってから、前記取得手段が所定回数前記複数種類の状態情報を取得するまでの間、前記指標値算出手段は、前記被検対象の保守が行われた部位に関する状態情報を除去して、暫定指標値を算出し、前記異常判定手段は、前記暫定指標値に基づいて、その後の被検対象の異常について判定するように構成したことを特徴とする異常判定装置。 - 請求項3または4の異常判定装置において、
前記記憶手段に記憶されている最新の前記複数種類の状態情報に基づいて、被検対象の異常について判定する第2異常判定手段を備えたことを特徴とする異常判定装置。 - 請求項1乃至5いずれかの異常判定装置において、
前記被検対象の異常判定の結果を報知する報知手段を備えたことを特徴とする異常判定装置。 - 請求項6の異常判定装置において、
前記報知手段は、前記被検対象が異常と判定されたとき、前記被検対象の保守が必要な部位を報知することを特徴とする異常判定装置。 - 請求項1乃至7いずれかの異常判定装置において、
前記指標値算出手段は、前記被検対象の正常状態の指標となる正常指標情報を用いて指標値を算出することを特徴とした異常判定装置。 - 記録体を搬送する記録体搬送手段と、前記記録体搬送手段によって搬送される記録体に可視像を形成する可視像形成手段と、装置全体又は一部の異常を判定する異常判定手段とを備える画像形成装置において、
前記異常判定手段として、請求項1乃至8の何れかのものを用いたことを特徴とする画像形成装置。 - 被検対象の異常を判定する異常判定手段を備え、前記異常判定手段の判定結果に基づいて、前記被検対象の保守を行う保守システムにおいて、
前記異常判定手段として、請求項1乃至8の何れかのものを用いたことを特徴とする保守システム。
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