JP2000511338A - 高圧巻線用導体および前記導体を含む巻線を備える回転電気機械 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 本発明は、好適には、渦流損失を打ち消すために確実に電流分布を均一にし、絶縁システムの内部半導体層が、複数のストランド層（Ｋ１−Ｋ４）として動作している間、確実に同じ電位を持つように設計される、高圧発電機の固定子で使用するためのものであることが好ましい、高圧巻線用の導体に関する。上記目的は、ある数のストランド（Ａ）だけが電気絶縁層で包まれている、ストランドの間の電気的絶縁により達成される。ストランドの最も外側の層（Ｋ４）は、少なくとも一つの絶縁していないストランド（ｂ）を持っていなければならない。本発明は、また前記導体を備える回転電気機械に関する。

Description

【発明の詳細な説明】 高圧巻線用導体および前記導体を含む巻線を備える回転電気機械 発明の技術分野 本発明は、好適には、高圧発電機の固定子の高圧巻線用のものであることが好 ましい高圧巻線用の導体に関する。前記導体は、中央のコアの周囲に、相互に電 気的に絶縁している二本またはそれ以上のストランドの層を持つストランドから なる。前記コアは、前記導体の複数のストランドのうちの一つ、空気または他の 材料であってもよい。 本発明は、また請求項１３または請求項２０の冒頭の部分に記載されている、 回転電気機械に関する。 ここにいう回転電気機械は、例えば、同期機械であり、また二重供給機械、非 同期靜電流コンバータ・カスケードの諸用途、外側回転機械および同期実磁束機 械、並びに主として電力を発生するための発電所の発電機のような交流機械であ る。 ここにいう磁気回路は、積層した、非有向または有向のシート、または例えば 、無定型または粉末をベースとする他の材料からなる磁気コア、または交流磁束 を発生するための任意の他の装置、巻線、冷却システムを備える。前記磁気回路 は、前記機械の固定子、ロータまたは両方に配置することができる。 発明の背景 周知の発電機の固定子巻線は、従来、銅、アルミニウムまたは他の適当な金属 からなる、ストランドと呼ばれる多数の長方形のワイヤを備える電気導体からな る。前記ストランドは、転置され（すなわち、相互に位置が変えられ）、導体の 束の横断面が長方形になるように、共通の絶縁材で囲まれている。渦流損失を少 なくするために、銅の導体は長方形をしている。（磁界の方向の線形寸法は、短 いものでなければならない。）しかし、高圧絶縁材（すなわち、導体内）の横断 面が長方形である導体は、その隅のところに遥かに強い磁界を持つという欠点が ある。そのため、前記隅の絶縁材を厚くしなければならない。それ故、厚さを最 適にするためには、導体の横断面を円形にすることが好ましい。 円形の導体は、非常に種々様々な方法で製造することができる。例えば、 １）横断面が円形の銅、または他の金属の固体のロッド、 ２）同じまたは異なる直径を持つ複数の円形ワイヤからなる導体、 ３）複数の細分したワイヤからなる導体、 ４）それぞれが、複数の円形のワイヤからなり、その後一つのセグメントに形 成され、このようなセグメントを多数圧縮して作った導体、から作ることができ る。 導体の寸法を小さくするために、場合によっては、前記導体は束ねられた後で 圧縮されたり、または締めつけられるが、その際、一番外側の層のストランドま たは導体全体が変形を起こす。この変形により不都合が生じる場合がある。 ある電圧用の導体を含む電圧送電線により大きなエネルギーを確実に送るため には、電流を増大しなければならない。このように電流を増大するには、導体の 面積を増大しなければならない。電流が大きくなると、必然的に導体の電流分布 が不均一になるという困った問題が起き（電流は導体の外表面に集中しようとし て）、「皮層効果」、すなわち、電流ピンチ効果が起こる。この効果を打ち消す ために、従来技術の場合には、大きな横断面（銅の場合で、１２００ｍｍ²以上 ）を持つ、通常、ミリカン導体、すなわち、後で圧縮または成形される、多数の 同心に配置されたワイヤからなる導体が製造された。前記導体は、多くの場合、 ５または７のセグメントからなり、これらセグメントは相互に絶縁される。この ような構造は、高圧用の送電ケーブルおよび配電ケーブルの電流ピンチ効果を軽 減するのに有効である。 高圧電力送電用の配電システムにおいては、電流ピンチ効果を軽減するために 、ケーブルのすべてのストランドを、例えば、ニスで絶縁することは周知である 。１９９２年８月発行の、日立ケーブル・レビュー１１号の３〜６ページ掲載の 「低損失ＸＬＰＥケーブル製のＥＨＶバルク電力送電線」（ｔｈｅ ｐｕｂｌｉ ｃａｔｉｏｎ Ｈｉｔａｃｈｉ Ｃａｂｌｅ Ｒｅｖｉｅｗ，Ｎｏ．１１，Ａｕ ｇｕｓｔ １９９２，ｐａｇｅｓ ３−６：“Ａｎ ＥＨＶ Ｂｕｌｋ Ｐｏｗ ｅｒ Ｔｒａｎｓｍｉｓｓｉｏｎ Ｌｉｎｅ Ｍａｄｅ ｗｉｔｈ Ｌｏｗ Ｌ ｏｓｓ ＸＬＰＥ Ｃａｂｌｅ”）参照。この文献は、またワイヤ・ストランド と内部の半導体層との間に電位差が生じないようにするには、一番外側の層のス トランドを何本くらい絶縁しないでおいたらよいのかについても記載している。 しかし、発電機の巻線に対するこの技術の適用については記載していない。 上記の従来の設計の固定子巻線を持つ発電機の場合には、発生電圧の上限は３ ０キロボルトであると考えられてきた。このことは、通常、発電機を、１３０〜 ４００キロボルトの範囲の、電力ネットワークのレベルに電圧を昇圧させるトラ ンスを通して電力ネットワークに接続しなければならないことを意味する。 最近数十年間に、過去において設計可能な電圧と比較すると、もっと高圧用の 回転電気機械に対する需要がますます増大してきている。現在の技術レベルでは 、高い歩止まりでコイルを生産できる、同期機械に対する可能な最大電圧レベル は、２５〜３０キロボルトである。電力ネットワークに同期機械／発電機を接続 するには、Δ／Ｙ接続の、いわゆる昇圧トランスを通して行わなければならない ことも周知である。何故なら、電力ネットワークの電圧は、通常、回転電気機械 の電圧より高いレベルにあるからである。それ故、前記トランスおよび同期機械 は、設置装置の一部である。前記トランスを使用すると、余分なコストが掛かり 、システムの全効率が低下するという欠点がある。かなり高い電圧用の機械を製 造することができれば、前記昇圧トランスを使用しないですむ。 しかし、より高い電圧用の発電機を開発する努力が長い間試みられてきた。こ のことは、例えば、１９３２年１０月１５日の「電気世界」の５２４〜５２５ペ ージ（“Ｅｌｅｃｔｒｉｃａｌ Ｗｏｒｌｄ”，Ｏｃｔｏｂｅｒ １５，１９３ ２，ｐａｇｅｓ ５２４−５２５）を読めばはっきり分かる。前記文献は、パー ソン（Ｐａｒｓｏｎ）１９２９が設計した３３キロボルト用の発電機の組立方法 を記載している。前記文献は、また３６キロボルトの電圧を発生する、ベルギー のランゲルブルッゲの発電機について記載している。前記文献は、前記電圧をさ らに高いレベルにする可能性について述べているが、その開発は、前記発電機の 基礎となっているコンセプトにより挫折した。それは、主として、ニスを含んだ マイカ、オイルおよび紙の複数の層が、いくつかの独立した層で使用されている 、 絶縁システムの欠点によるものである。 とりわけ、１９７０年のジャーナル・エレクトロテクニカ１号、６〜８ページ の「水冷および油冷ターボ発電機、ＴＶＭ−３００」（“Ｗａｔｅｒ−ａｎｄ− ｏｉｌ−ｃｏｏｌｅｄ Ｔｕｒｂｏｇｅｎｅｒａｔｏｒ ＴＶＭ−３００”ｉｎ Ｊ．Ｅｌｅｋｔｒｏｔｅｃｈｎｉｋａ，Ｎｏ．１ １９７０，ｐａｇｅ ６− ８）という名称の論文、米国特許第４，４２９，２４４号「発電機の固定子（Ｓ ｔａｔｏｒ ｏｆ Ｇｅｎｅｒａｔｏｒ）」およびロシアの文献ＣＣＣＰ特許９ ５５３６９に、同期機械の設計に関する新しい方法によるいくつかの試みが記載 されている。 ジャーナル・エレクトロテクニカ（Ｊ．Ｅｌｅｋｔｒｏｔｅｃｈｎｉｋａ）に 記載されている水冷および油冷同期機械は、２０キロボルトまでの電圧に対する ものである。前記論文は、固定子をオイルの中に完全に埋没させることができる 、オイル／紙絶縁材からなる、新しい絶縁システムを記載している。その後、前 記オイルは、冷却剤として使用することができ、同時に絶縁材としても使用する ことができる。固定子のオイルがロータの方に漏れ出すのを防止するために、前 記コアの内面に誘電オイル分離リングが設けられている。固定子巻線は、オイル および紙絶縁材を含む中空の楕円形の導体から作られる。その絶縁材を持つコイ ル側面は、クサビより長方形の断面を持つスロットに固定される。冷却剤として は、中空の導体および固定子壁部の孔部の両方にオイルが使用される。しかし、 前記冷却システムは、必然的に、コイル端部のところでオイルおよび電気の両方 のための多数の接続を必要とする。前記厚い絶縁材は、また必然的に導体のより 大きな曲率半径を必要とし、その結果、巻線の出っ張りが大きくなる。 上記米国特許は、固定子巻線用の菱形のスロットを持つ、積層シートの磁気コ アを備える同期機械の固定子部分に関する。スロットはテーパ状になっている。 何故なら、固定子巻線の絶縁材の必要量が、中立点に最も近いところに位置する 巻線のその部分が配置されている、ロータの内部に行くに従って少なくなるから である。さらに、前記固定子部分は、このリングがないと、機械の磁化要件が増 大する恐れがある、コアの内面に最も近い誘電オイル分離円筒形を備える。固定 子巻線は、各コイル層と同じ直径を持つ、オイルを浸み込ませたケーブルから作 られる。複数の層は、スロットのスペーサにより、相互に分離されていて、クサ ビにより固定されている。巻線にとって特別なことは、巻線が直列に接続してい る、二つのいわゆる半巻線を備えることである。前記二つの半巻線の一方は、絶 縁スリーブに配置され、そこに中心を持つ。固定子巻線の導体は、周囲のオイル により冷却される。システムでこのような大量のオイルを使用する場合の欠点は 、漏洩の危険があることであり、故障した場合、オイルを除去するのにかなりの 大規模な清掃を必要とすることである。スロットの外側に位置する絶縁スリーブ の前記部分は、電流を流すための層で補強された円筒形の部分と円錐形の部分と を持つ。これら部分の目的は、ケーブルが端部巻線に入る部分の電界強度を制御 することである。 ＣＣＣＰ９５５３６９を読めば、同期機械の定格電圧を高くするためのもう一 つの試みにおいて、油冷固定子巻線が、すべての層に対して同じ寸法の中圧用の 、従来の絶縁導体を備えることは明らかである。前記導体は、円形の固定子・ス ロット、すなわち、ケーブルの横断面の面積に対応し、固定および冷却剤のため に必要なスペースを持つ、半径方向の開口部に設置される。巻線のいくつかの半 径方向に配置された複数の層は、絶縁チューブで囲まれ、その内部に固定される 。絶縁スペーサは、固定子スロットにチューブを固定する。オイルで冷却するた め、内部エアギャップに対して冷却剤を密封するために、内部誘電リングが必要 になる。図示の設計の場合、固定子スロットの絶縁材はテーパ状になっていない 。前記設計の場合には、機械の磁化要件に有意な影響を与える、大量のスロット 漏洩磁束を含む、いくつかの固定子スロットの間は、非常に細い半径方向に延び るくびれた部分になっている。 電力研究所ＥＰＲＩの１９８４年４月の報告書、ＥＬ−３３９１（ｔｈｅ Ｅ ｌｅｃｔｒｉｃ Ｐｏｗｅｒ Ｒｅｓｅａｒｃｈ Ｉｎｓｔｉｔｕｔｅ，ＥＰＲ Ｉ，ＥＬ−３３９１，ｆｒｏｍ Ａｐｒｉｌ １９８４）には、中間トランスを 通さないで、前記発電機を電力ネットワークに接続できるようにするために、電 気発電機でより高圧を発生するための、発電機のコンセプトが記載されている。 前記報告書においては、前記解決法は、効率を改善し、経済的にかなり優れてい ると評価されている。１９８４年に、電力ネットワークに直接接続するための発 電機の、開発への着手が可能であると判断された主な理由は、その時点で超伝導 ロータがすでに開発されていたからである。超伝導電界はかなりの励起容量を持 っているので、電気的ストレスに耐える十分な厚さを持つエアギャップ巻線を使 用することができる。 「モノリス・シリンダ・アーマチャ」と呼ばれる、巻線を持つ磁気回路を設計 するための、本プロジェクトにより最も有望と思われるコンセプトと、導体の二 つの円筒形が、絶縁材の三つの円筒形に囲まれ、全構造体が歯を持たない鉄のコ アに取り付けられているコンセプトとを組合せることにより、高電圧用の回転電 気機械を電力ネットワークに直接接続することができると評価された。前記解決 法は、必然的に、ネットワークとネットワークとの間、およびネットワークとア ースとの間の電位に耐えるだけの十分な厚さを持つ主絶縁材を必要とする。上記 の提案された解決法の明らかな欠点は、この方法が超伝導ロータを必要とする他 に、極度に厚い絶縁材を必要とすることであり、そのため機械が大きくなること である。端部の大きな電界を制御するために、コイル端部を絶縁し、オイルまた はフレオンで冷却しなければならない。液体誘電媒体が大気中から湿気を吸収し ないようにするために、機械全体を密閉する必要がある。 発明の概要 本発明の目的は、上記問題を解決し、すべてのタイプの高圧電力ネットワーク に、直接接続することができる回転電気機械を提供することである。 上記目的は、それぞれ、請求項１の冒頭の、前記請求項の特徴を記述した部分 に記載した、有利な特徴を持つ高圧巻線用の導体を使用することにより、また請 求項１３または請求項２０の冒頭の、前記請求項の特徴の記述部分の有利な特徴 を持つ回転電気機械を使用することにより達成される。 従って、前記導体のストランド間の電気的絶縁は、数本のストランドだけが電 気的絶縁層により囲まれるような方法で行われる。絶縁層を持つ前記ストランド は、二つの絶縁されていないストランドが、相互に電気的に接触しないように、 導体の二つの層に位置している。 好適には、本発明の電気導体は、銅、アルミニウムまたは他の適当な金属の、 複数のストランドからなる多数のよりあわせた層を備える。しかし、送電線用の 従来の導体とは異なり、前記導体の電気的導体層には磁界が掛かり、この磁界は 電流を発生し、その結果、損失が生じる。それ故、前記損失を少なくするために 、ストランドを相互に絶縁しなければならない。一番外側の層の少なくとも何本 かのストランドを導体の絶縁材の内部半導体層に接触しておかなければならない という要件が、いぜんとして残っている。それ故、導体のさらに、もう一つの特 徴は、一番外側のストランド層の、少なくとも一本のストランドが、絶縁されて いないことである。 導体の外部層の一本または複数の絶縁されていないストランドが、内部半導体 層上の電位を定め、それにより絶縁材の磁界が確実に均一になるという利点が得 られる。絶縁ストランドの代わりに、絶縁されていないストランドを使用するこ とにより、巻線用の絶縁導体を、より安く入手することができるという利点も得 られる。 もう一つの有利な特徴を説明すると、本発明は、前記ストランドのうちの何本 かのストランドだけを相互に絶縁していることを特徴とする。 本発明の回転電気機械の特徴は、巻線が、前記請求項何れかに記載するように 、少なくとも一本の電流を運ぶ導体を備えることと、半導体特性を持つ第一の層 が、前記導体の周囲に設けられていることと、固体の絶縁層が、前記第一の層の 周囲に設けられていることと、半導体特性を持つ第二の層が、前記絶縁層の周囲 に設けられていることである。 好適には、本発明の回転電気機械は、同様に、本発明による、例えば、通常、 円形の横断面を持つ、多数の銅（Ｃｕ）のストランドを備える中央電気導体を持 つ、高圧絶縁導体／ケーブルを備えることが好ましい。前記ストランドは、高圧 ケーブルの中央に配置される。前記複数のストランドの周囲には、第一の半導体 層が設けられ、前記第一の半導体層の周囲には、例えば、架橋ポリエチレン（Ｘ ＬＰＥ）絶縁材のような絶縁層が設けられる。前記絶縁層の周囲には、第二の半 導体層５が設けられる。それ故、この場合には、回転電気機械の巻線を表すため に、通常使用されるコンセプト「高圧ケーブル」は、通常、電力分配用のケーブ ルを取り巻いている外側の保護外皮を含んでいない。さらに、電力分配用の高圧 ケーブルには、本発明では使用していない第二の半導体層の頂部上に、外部絶縁 層も設置されている。 本発明の発電機の固定子巻線に、電力を送るための導体とほぼ同じタイプの、 導体を使用することによって、中間トランスを使用しないで、機械の電圧を電力 ネットワークに直接接続することができるレベルにまで昇圧できるという利点を 得ることができる。 請求項１３または請求項２０記載の回転電気機械は、配電または送電ネットワ ークに、直接接続するのに適している導体の、少なくとも一つの巻線システムを 持つことができるという利点が得られる。 このことは、必然的に、前記Δ／Ｙ接続の昇圧トランスを省略することができ るというさらに重要な利点をもたらす。従って、本発明の解決法を使用すれば、 経済面でもコストを削減できるし、発電所および回転電気機械を備える他の施設 の空間要件および重量を軽減することもできる。 すべてのタイプの高圧電力ネットワークに、回転電気機械を直接接続する場合 に起きる問題を、解決することができるように、本発明の機械は、従来の機械的 エンジニアリングおよびここ数年の間に発表された機械的エンジニアリングの両 方の点で、現在の技術レベルとは有意に異なる多くの機能を持つことができる。 その中のいくつかを以下に記載する。 すでに説明したように、巻線は、好適には、ある種の押し出しケーブルである ことが好ましい、内部および外部半導体層を持つ、一本またはそれ以上の絶縁導 体から作られる。前記絶縁導体の通常のいくつかの例としては、架橋ポリエチレ ン（ＸＬＰＥ）のケーブル、またはエチレン・プロピレン（ＥＰ）ゴム絶縁材の ケーブル等がある。しかし、この目的のため、本発明のケーブルは、導体のスト ランドにおいても、外部層においても設計が改善されている。 前記導体は、外部半導体層を持ち、この層の助けで、周囲に対するその電位が 決まる。それ故、前記層は、アーズ、機械の少なくとも何処か、おそらくコイル 端部部分に接続しなければならない。 外部半導体層を持つ絶縁導体を使用すると、巻線の外部層をその全長にわたっ て、アース電位に維持することができるという利点が得られる。従って、請求の 範囲に記載されている本発明は、外部半導体層がアース電位に接続しているとい う特徴を持つ。別の方法としては、導体の全長に沿って適当な場所で外部層を切 除し、切除した各部分の長さを直接アース電位に接続することができる。 アース電位に接続している外部層を持つことのかなりの利点は、外部半導体層 の外側のコイル端部領域内の電界が、ゼロに近いことであり、電界を制御する必 要がないことである。このことは、シートにおいても、コイル端部領域において も、またはその遷移部分においても、電界集中が起こり得ないことを意味する。 他の有利な特徴は、少なくとも二つ、好適には、全部で三つの層が、ほぼ等し い熱膨張係数を持つことである。それにより、熱の移動が防止され、熱の移動に よる巻線のひび割れ、亀裂または他の欠陥が防止される。 他の優れた特徴により、三つの各層は、ほぼ全接続面にわたって、隣接層にし っかりと接続している。このことは、複数の層が固定され、相互に移動すること ができず、各層間の遊びを確実に防止する働きをするという利点がある。各層間 への空気の侵入を防止することは、非常に重要なことである。何故なら、空気が 侵入すると、電界が外乱を起こすからである。 すでに説明したように、本発明は、高圧、本発明の場合には主として１０キロ ボルト以上の電圧で、使用するためのものである。本発明の装置の通常の動作範 囲は、３６キロボルトから、最高８００キロボルト、好適には、７２．５〜８０ ０キロボルトの範囲である。さらに、確実に電流分布を均一にし、渦流損失を打 ち消し、確実に絶縁システムの内部半導体層が、動作中、導体のワイヤまたはス トランドと同じ電位を持つようにするという利点を持つ。 例えば、ＸＬＰＥプロセスに関する絶縁層に対する材料要件は、安定している こと、融解しないこと、２２０℃までの温度で、約３０分間変形しないでいられ ることである。前記絶縁層の例としては、エナメル塗布ワイヤ、粉末焼結（エポ キシ、高温プラスチック）、押し出し高温プラスチック、酸化物層等がある。 本発明の上記目的は、従属請求項記載の導体の構造の種々の実施形態により最 適化される。それ故、他の特徴および利点は、残りの従属請求項を読めば明らか になるだろう。 図面の簡単な説明 本発明の高圧発電機の固定子巻線用の導体について、添付の図面を参照しなが ら、多くの実施形態により、以下にさらに詳細に説明するが、この説明は単に例 示としてのものに過ぎない。 図１は、ストランドが異なる方向に巻かれている、同心状に配置された本発明 の導体の一実施形態である。 図２は、複数の層の間に挿入された絶縁テープにより、相互に絶縁された複数 の層に、同心状に配置されたストランドを持つ、本発明の導体の第二の実施形態 である。 図３は、図１に類似しているが、その内部でストランドが同じ方向に配置され ている、本発明の導体の一実施形態である。 図４は、本発明の中央導体を含む、絶縁導体またはケーブルの横断面図である 。 好適な実施形態の詳細な説明 図１は、同心状に配置された、均一な横断面を持つ円形ストランドＡおよびＢ を含む本発明の導体の一例である。ストランド層Ｋ１、Ｋ２、Ｋ３およびＫ４に おいては、ストランドの方向が交互に配置されている。図面で黒く塗ってあるス トランドＡは、電気的に絶縁していて、一方、（図面で黒く塗ってない）ストラ ンドＢは、電気的に絶縁されていない。それ故、交互のストランド層Ｋ２、Ｋ４ の交互ストランド（Ｂ）は、絶縁されていない。それ故、１本＋６本＋１２本＋ １８本のストランドＡ＋Ｂを含む複数の層からなる、図示の導体においては、外 部層Ｋ４の９本のストランドＢ、および一番内側の層の次の層Ｋ２の３本のスト ランドＢは絶縁されていない。すなわち、３７本のストランドのうちの１２本の ストランドは絶縁されていない。 図２は、例示としての本発明の導体の他の実施形態である。図１の導体と同じ ように、均一の横断面を持つ円形ストランドＡおよびＢは、同心状に配置されて いる。図１の場合のように、ストランド層Ｋ１、Ｋ２、Ｋ３およびＫ４は、交互 の方向に配置されている。（図面で黒く塗った）ストランドＡは絶縁されている が、一方、（図面で黒く塗ってない）ストランドＢは絶縁されていない。それ故 、 すべてのストランド層の、一本の置きのストランドは絶縁されていない。ストラ ンド層Ｋ１、Ｋ２、Ｋ３およびＫ４は、それぞれ、ストランド層に挿入され、導 体を縦方向に走るテープ、または図２に示すように、複数の層間に存在するテー プである、テープＴ１、Ｔ２およびＴ３により相互に絶縁されている。全部で３ ７本のストランドＡ＋Ｂの中、１９本のストランドＢが絶縁されていない。テー プＴ１、Ｔ２、Ｔ３は、紙であっても、他の絶縁材であってもよい。 もちろん、ストランド層Ｋ１の一本のストランドを絶縁する場合には、テープ Ｔ１は省略することができる。 図３は、ストランド層Ｋ２、Ｋ３およびＫ４が同じ方向に配置されている点を 除けば、図１と同じ方法で作った導体である。 図４は、本発明の中央導体１を含む、高圧ケーブル１０の断面図である。この ケーブルは、以下に説明するように、通常の「高圧ケーブル」とは同じものでは ない。もっと実体に近い呼び方は、「絶縁導体」かも知れない。しかし、本発明 の場合は、（中央）導体と前記絶縁導体を区別するために、「ケーブル」という 名称を使用することができる。本明細書で、「導体」という用語だけを使用した 場合には、ケーブルまたは絶縁導体のことではなく、ケーブルのうちの中心の導 体素子を指すことを強調しておきたい。 図４においては、高圧ケーブルは、例えば、円形の横断面を持つ、銅（Ｃｕ） の多数のストランドＡ＋Ｂを含む、（中心）導体１を備える。前記ストランドＡ 、Ｂは、高圧ケーブルの中心に配置されている。前記複数のストランドＡ、Ｂの 周囲には、第一の半導体層２が設けられ、前記第一の半導体層２の周囲には、例 えば、ＸＬＰＥ絶縁材にような絶縁層３設けられる。前記絶縁層３の周囲には、 第二の半導体層４が設けられる。それ故、本明細書においては、コンセプト「高 圧ケーブル」は、通常、電力分配用の前記ケーブルを取り巻いている、外側の保 護外皮を含んでいない。絶縁導体またはケーブルの幾何学的寸法の場合、導体面 積は約８０〜３０００ｍｍ²の範囲内に含まれ、外径は約２０〜２５０ｍｍの範 囲内に含まれる。 本発明の導体は、もちろん、発電機の固定子巻線の導体に対する要求により、 ストランドの層の数を多くも、少なくもすることができる。ストランド層を、予 め形成したストランドから作ることもできる。その場合、導体の横断面積を最小 にすることができる。他の変更の場合、本発明の導体は、種々の層に、異なる横 断面をもつストランドを持つことができる。絶縁したストランドＡと、絶縁して いないストランドＢとの間の横断面を均一にするために、絶縁したストランドＡ の電気導体面積は、絶縁していないストランドＢの面積より小さくすることがで きる。 銅は、導体のストランドＡおよびＢにとって、最も望ましい材料であるが、ア ルミニウムのような他の導体材料を使用することができる。異なる層のストラン ドは、異なる導体材であってもよい。 絶縁ストランドＡを、その表面を酸化し、必要な絶縁を行うことができるアル ミニウムで作ることもできる。 本発明の完成導体で使用するストランドを、確実に４ミリを超えない、好適に は、２ミリ以下の線形寸法にすることによって、渦流電流損失は最初限度まで低 減する。動作中、導体ストランド層上の電位が、導体の内部半導体層上の電位と 同じであるという状態は、ストランドＫ４の外部層が、一本の絶縁していないス トランドＢを持つ状態のことである。それ故、半導体層（図示せず）と電気的に 接触している状態のことである。例としては、エナメル・ワイヤ、渦流焼結、押 し出し、酸化層等がある。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＤＥ， ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，ＩＴ，Ｌ Ｕ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ，ＣＦ ，ＣＧ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＭＬ，ＭＲ，ＮＥ， ＳＮ，ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＧＨ，ＫＥ，ＬＳ，ＭＷ，Ｓ Ｄ，ＳＺ，ＵＧ)，ＥＡ(ＡＭ，ＡＺ，ＢＹ，ＫＧ，ＫＺ ，ＭＤ，ＲＵ，ＴＪ，ＴＭ)，ＡＬ，ＡＭ，ＡＴ，ＡＵ ，ＡＺ，ＢＡ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ，ＢＹ，ＣＡ，ＣＨ， ＣＮ，ＣＵ，ＣＺ，ＣＺ，ＤＥ，ＤＥ，ＤＫ，ＤＫ，Ｅ Ｅ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＩ，ＧＢ，ＧＥ，ＧＨ，ＨＵ，ＩＬ ，ＩＳ，ＪＰ，ＫＥ，ＫＧ，ＫＰ，ＫＲ，ＫＺ，ＬＣ， ＬＫ，ＬＲ，ＬＳ，ＬＴ，ＬＵ，ＬＶ，ＭＤ，ＭＧ，Ｍ Ｋ，ＭＮ，ＭＷ，ＭＸ，ＮＯ，ＮＺ，ＰＬ，ＰＴ，ＲＯ ，ＲＵ，ＳＤ，ＳＥ，ＳＧ，ＳＩ，ＳＫ，ＴＪ，ＴＭ， ＴＲ，ＴＴ，ＵＡ，ＵＧ，ＵＳ，ＵＺ，ＶＮ，ＹＵ (72)発明者 カルステンセン，ペーター スウェーデン．エス―141 42 フディン ゲ，スヨヴェゲン 62 (72)発明者 リュドホルム，ベングト スウェーデン．エス―722 23 ヴェステ ロス，ブルンビュガタン 68

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．高圧巻線用導体であって、該導体が、該導体のストランド（ＡまたはＢ） のうちの一本、空気または他の材料である中心コアの周囲に、相互に電気的 に絶縁しているストランド（Ａ）の二つまたはそれ以上の層（Ｋ１〜Ｋ４） からなることと、前記ストランドの間の電気的絶縁において、何本かのスト ランド（Ａ）だけが電気絶縁層で覆われていることと、前記ストランド（Ａ ）が、二つの絶縁していないストランド（Ｂ）が相互に電気的に接触しない ように前記導体の複数の層（Ｋ１〜Ｋ４）に位置している絶縁層を持つこと とを特徴とする高圧巻線用導体。 ２．請求項１記載の導体において、一番外側の層（Ｋ４）の少なくとも一本の ストランドが絶縁されていないことを特徴とする導体。 ３．請求項２記載の導体において、前記導体が、交互に向きを変えて、同心状 に配置されている円形ストランドにより形成され、一番外側の層（Ｋ４）の 少なくとも一本のストランド（Ｂ）が絶縁されていないことを特徴とする導 体。 ４．請求項２記載の導体において、前記導体が、交互に向きを変えて、同心状 に配置されている円形ストランドにより形成され、交互に向きを変える層 （Ｋ２、Ｋ４）の交互に向きを変える複数のストランド（Ｂ）が絶縁されて いないことを特徴とする導体。 ５．請求項２記載の導体において、前記導体が、交互に向きを変えて、同心状 に配置されている円形ストランドにより形成され、すべての層（Ｋ１−Ｋ４ ）の交互に向きを変える複数のストランド（Ｂ）が絶縁され、複数の層それ 自身が絶縁テープ（Ｔ１−Ｔ３）により相互に絶縁されていることを特徴と する導体。 ６．請求項５記載の導体において、前記テープ（Ｔ１−Ｔ３）が、前記導体の 複数の層（Ｋ１−Ｋ４）に沿って縦方向に配列されているか、または前記導 体の複数の層（Ｋ１−Ｋ４）の間を延びていることを特徴とする導体。 ７．請求項５または請求項６記載の導体において、前記テープ（Ｔ１−Ｔ３ ）が、紙または合成材料でできていることを特徴とする導体。 ８．請求項３−請求項５の何れか１項記載の導体において、前記ストランド （Ａ、Ｂ）が、予め形成された断面を持つことを特徴とする導体。 ９．前記請求項の何れか１項記載の導体において、前記ストランド（Ａ，Ｂ） の前記複数の層（Ｋ１−Ｋ４）が、同じ方向に配置されていることを特徴と する導体。 １０．前記請求項の何れか１項記載の導体において、使用する前記ストランド （Ａ，Ｂ）の線形寸法が、最大４ミリ、しかし、好適には、２ミリ以下であ ることを特徴とする導体。 １１．前記請求項の何れか１項記載の導体において、前記絶縁ストランド（Ａ） が、絶縁酸化物の層を持つアルミニウム・ワイヤであり、他のストランド （Ｂ）が絶縁していない銅またはアルミニウム・ワイヤであることを特徴と する導体。 １２．前記請求項の何れか１項記載の導体において、前記ストランドのうちの何 本かのストランドが相互に絶縁されていないことを特徴とする導体。 １３．前記巻線が、前記請求項の何れか１項記載の少なくとも一本の電流を運ぶ 導体（１）を備えることと、半導体特性を持つ第一の層（２）が、前記導体 の周囲に設けられていることと、前記第一の層の周囲に固体の絶縁層（３） が設けられていることと、前記絶縁層の周囲に半導体特性を持つ第二の層 （４）が設けられていることとを特徴とする、固定子、ロータおよび少なく とも一つの巻線を備える高圧回転電気機械。 １４．請求項１３記載の回転電気機械において、前記第一の層（２）の電位が、 前記導体（１）の電位とほぼ等しいことを特徴とする回転電気機械。 １５．請求項１３または請求項１４記載の回転電気機械において、前記第二の層 （４）が、前記導体の周囲にほぼ等電位面を形成するように配置されている ことを特徴とする回転電気機械。 １６．請求項１５記載の回転電気機械において、前記第二の層が、予め定めた電 位に接続していることを特徴とする回転電気機械 １７．請求項１６記載の回転電気機械において、前記予め定めた電位が、アース 電位であることを特徴とする回転電気機械。 １８．前記請求項１３−請求項１７の何れか１項記載の回転電気機械において、 少なくとも二つの隣接する層が、ほぼ等しい熱膨張係数を持つことを特徴と する回転電気機械。 １９．前記請求項１３−請求項１８の何れか１項記載の回転電気機械において、 前記三つの各層（２、３、４）が、ほぼ全接続面に沿って隣接する層に、し っかりと接続していることを特徴とする回転電気機械。 ２０．磁気コアと巻線とを備える高圧用磁気回路を持つ回転電気機械であって、 前記巻線が、前記請求項１−請求項１２の何れか１項記載の少なくとも一本 の電流を運ぶ導体（１）を備えるケーブル（１０）から形成されていること と、各導体が多数のストランド（Ａ，Ｂ）を備えることと、内部半導体層 （２）が、各導体の周囲に設けられていることと、固体の絶縁材の絶縁層 （３）が前記内部半導体層の周囲に設けられていることと、外部半導体層 （４）が前記絶縁層の周囲に設けられていることとを特徴とする回転電気機 械。 ２１．前記請求項１３−請求項２０の何れか１項記載の回転電気機械において、 前記巻線が、また金属シールドおよび被覆を備えることを特徴とする回転電 気機械。