JP2000071392A - ハードコートフィルムもしくはシート - Google Patents
ハードコートフィルムもしくはシートInfo
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Abstract
ムもしくはシート基材の表面に形成したハードコート層
と基材間の密着、フィルム折曲げ時のクラック、フィル
ムのカール等を実用的に許容できる範囲内に収めること
ができ、且つ従来の限界を上回る4H以上の鉛筆硬度値を
有する耐引っ掻き性、耐擦り傷性の優れたハードコート
フィルムもしくはシートを提供することを目的とする。 【解決手段】透明プラスチックフィルムもしくはシート
基材の少なくとも一方の面に、第1のハードコート層と
してラジカル重合型樹脂とカチオン重合型樹脂のブレン
ドから成る硬化樹脂層を設けた後、さらに、その上に第
2のハードコート層としてラジカル重合型樹脂のみで構
成される硬化樹脂の薄膜からなる2層構成のハードコー
ト層を設けることを特徴とするハードコートフィルムも
しくはシートである。
Description
イ、レンズ、ミラー、ゴーグル、窓ガラス等の光学部材
に保護の目的で貼着されるプラスチックフィルム及びシ
ートに関し、特に耐引っ掻き、擦り傷性が付与されたプ
ラスチックフィルムに関する。具体的には液晶表示装
置、CRT 表示装置、プラズマ表示装置、エレクトロクロ
ミック表示装置、発光ダイオード表示装置、EL表示装置
等、各種表示装置の画面保護に適したハードコートフィ
ルムもしくはシートに関する。さらに、該フィルムもし
くはシートの表面に無機材質を中心に構成される機能性
薄膜を設けることにより、赤外吸収効果、赤外反射効
果、電磁波シールド効果、帯電防止効果、紫外線吸収効
果、反射防止効果、反射強調効果等の各種機能を有する
ハードコートフィルムもしくはシートに関する。
の他商業用のディスプレイ、レンズ、ミラー、窓ガラ
ス、ゴーグル等の光学部材には、耐引っ掻き性、擦り傷
性を有する透明性プラスチックフィルムが貼着される場
合が多い。一般的にプラスチック表面を硬質化する技術
としては、オルガノシロキサン系、メラミン系等の熱硬
化性樹脂をコーティングしたり真空蒸着法やスパッタリ
ング法等で金属薄膜を形成する方法、あるいは多官能ア
クリレート系の活性エネルギー線硬化性樹脂をコーティ
ングする。近年このような方法の中で、大面積の加工が
容易で生産性に優れる活性エネルギー線硬化性樹脂を採
用する場合が多い。しかしながら、これらのいずれの方
法もハードコート層と基材間の密着、フィルム折曲げ時
のクラック、フィルムのカール等が実用的に問題ない範
囲内で実現できるものの、プラスチックフィルム、シー
ト基材上での鉛筆硬度値としては2Hから3Hが限界で、耐
引っ掻き性、耐擦り傷性の点で問題になる場合があっ
た。
を鑑みてなされたものであり、ハードコート層を支持す
るプラスチックフィルムもしくはシート基材の表面に形
成したハードコート層と基材間の密着、フィルム折曲げ
時のクラック、フィルムのカール等を実用的に許容でき
る範囲内に収めることができ、且つ従来の限界を上回る
4H以上の鉛筆硬度値を有する耐引っ掻き性、耐擦り傷性
の優れたハードコートフィルムもしくはシートを提供す
ることを目的とする。
決するための手段として、透明プラスチックフィルムも
しくはシート基材の少なくとも一方の面に硬化樹脂被膜
層を設けたハードコートフィルムであって、前記基材上
に第1ハードコート層としてラジカル重合型樹脂とカチ
オン重合型樹脂のブレンドから成る硬化樹脂層を設けた
後、さらに、その上に第2ハードコート層としてラジカ
ル重合型樹脂のみで構成される硬化樹脂の薄膜からなる
2層構成のハードコート層を設けることによって達せら
れることを見出し、本発明に至ったものである。
ラスチック基材の少なくとも一方の面に硬化樹脂被膜層
を設けたハードコートフィルムもしくはシートであっ
て、前記基材上に、第1のハードコート層と、第2のハ
ードコート層とをこの順に形成した2層構成から成る硬
化樹脂被膜層を設けたことを特徴とするハードコートフ
ィルムもしくはシートである。
ードコートフィルムもしくはシートにおいて、前記第1
のハードコート層は、ラジカル重合型樹脂とカチオン重
合型樹脂のブレンドから成る硬化樹脂被膜層であること
を特徴とする。
載のハードコートフィルムもしくはシートにおいて、前
記第2のハードコート層は、ラジカル重合型樹脂のみか
ら成る硬化樹脂被膜層であことを特徴とする。
の何れかのハードコートフィルムもしくはシートにおい
て、前記第1ハードコート層は、ラジカル重合型樹脂と
カチオン重合型樹脂の重量組成比が、10:90〜8
0:20の範囲を満たすことを特徴とする。
載の何れかのハードコートフィルムもしくはシートにお
いて、前記第1のハードコート層と第2のハードコート
層の少なくとも何れかのハードコート層に平均粒子径
0.01〜10μm の範囲を満たす無機或いは有機の微
粒子を含有することを特徴とする。
の何れかのハードコートフィルムもしくはシートにおい
て、ハードコート層を構成する前記硬化樹脂被膜層は、
活性エネルギー線硬化性樹脂が紫外線によって硬化反応
が完結して形成された架橋構造を有することを特徴とす
る。
の何れかのハードコートフィルムもしくはシートにおい
て、前記第1のハードコート層の膜厚が、3.0〜30
μm の範囲を満たすことを特徴とする。
の何れかのハードコートフィルムもしくはシートにおい
て、前記第2のハードコート層の膜厚が、1.0〜20
μm の範囲を満たすことを特徴とする。
の何れかのハードコートフィルムもしくはシートにおい
て、前記第1のハードコート層の破壊歪み以下での弾性
率が、1.5GPa 〜4.5GPa の範囲を満たすこと
を特徴とする。
載の何れかのハードコートフィルムもしくはシートにお
いて、前記第2のハードコート層の破壊歪み以下での弾
性率が、2.0GPa 〜4.5GPa の範囲を満たすこ
とを特徴とする。
記載の何れかのハードコートフィルムもしくはシートの
表面に、機能性無機薄膜層を設けたことを特徴とするハ
ードコートフィルムもしくはシートである。
て詳細に説明する。まず、ハードコートフィルムもしく
はシートの構成材料について説明し、その後、製造方法
について述べる。本発明に使用する透明プラスチック基
材は、特に限定されるものではなく、公知の透明プラス
チックフィルムもしくはシートの中から適宜選択して用
いることができる。具体例としては、ポリエステル、ポ
リエチレン、ポリプロピレン、セロファン、トリアセチ
ルセルロース、ジアセチルセルロース、アセチルセルロ
ースブチレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデ
ン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコー
ル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルペン
テン、ポリスルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、
アクリル、ナイロン、フッソ樹脂、ポリイミド、ポリエ
ーテルイミド、ポリエーテルスルフォン等のフィルムも
しくはシートを挙げることができるが、本発明において
は、特にトリアセチルセルロースフィルム、及び一軸延
伸ポリエステルが透明性に優れることに加えて、光学的
に異方性が無い点で好ましい。
脂被膜層は、加工速度の早さ、支持体への熱のダメージ
の少なさから、特に活性エネルギー線(紫外線や電子
線)硬化型樹脂を用いることが好ましい。ラジカル重合
型の紫外線硬化樹脂としては、例えば、多価アルコール
のアクリル酸又はメタクリル酸エステルのような多官能
性のアクリレート樹脂、ジイソシアネート、多価アルコ
ール及びアクリル酸又はメタクリル酸のヒドロキシアル
キルエステル等から合成されるような多官能性のウレタ
ンアクリレート樹脂などを挙げることができる。さらに
アクリレート系の官能基を有するポリエーテル樹脂、ポ
リエステル樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、スピ
ロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオール
ポリエン樹脂等も必要に応じて好適に使用することがで
きる。
は、比較的低粘度である1、6- ヘキサンジオールジ
(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ
(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレ
ート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレー
ト、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレー
ト、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレー
ト、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等
の2官能以上のモノマー及びオリゴマー並びに単官能モ
ノマー、例えばN-ビニルピロリドン、エチルアクリレー
ト、プロピルアクリレート等のアクリル酸エステル類、
エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソ
プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキ
シルメタクリレート、イソオクチルメタクリレート、2
- ヒドロキシエチルメタクリレート、シクロヘキシルメ
タクリレート、ノニルフェニルメタクリレート等のメタ
クリル酸エステル類、テトラヒドロフルフリルメタクリ
レート、及びそのカプロラクトン変成物などの誘導体、
スチレン、α- メチルスチレン、アクリル酸等及びそれ
らの混合物、などを使用することができる。
付加重合型と開環重合型に大きく分類でき、付加重合型
の化合物として、電子密度の高いビニル基を有するビニ
ルエーテル化合物、スチレン誘導体等を、開環重合型の
化合物として、多様なヘテロ環状化合物、例えばエポキ
シ化合物、ラクトン化合物、4員環の環状エーテルであ
るオキセタン化合物等を使用することができる。
ラジカル重合型樹脂とカチオン重合型樹脂の中から各々
任意に選択された樹脂のブレンドから成る硬化樹脂被膜
層であり、また第2のハードコート層は、上記ラジカル
重合型樹脂のみから任意に選択された樹脂から成る硬化
樹脂被膜層であることを特徴とする。
ラジカル重合型樹脂とカチオン重合型樹脂の中から各々
任意に選択された樹脂のブレンドから成る各々の重量組
成比が10:90から80:20の範囲であることを特
徴とする。
線である場合には、光増感剤(光重合開始剤)を添加す
る必要があり、ラジカル発生型の光重合開始剤としてベ
ンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチ
ルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジ
ルメチルケタールなどのベンゾインとそのアルキルエー
テル類;アセトフェノン、2、2、- ジメトキシ- 2-
フェニルアセトフェノン、1- ヒドロキシシクロヘキシ
ルフェニルケトン、などのアセトフェノン類;メチルア
ントラキノン、2- エチルアントラキノン、2- アミル
アントラキノンなどのアントラキノン類;チオキサント
ン、2、4- ジエチルチオキサントン、2、4- ジイソ
プロピルチオキサントンなどのチオキサントン類;アセ
トフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケター
ルなどのケタール類;ベンゾフェノン、4、4- ビスメ
チルアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類及び
アゾ化合物などがある。これらは単独または2種以上の
混合物として使用でき、さらにはトリエタノールアミ
ン、メチルジエタノールアミンなどの第3級アミン;2
- ジメチルアミノエチル安息香酸、4- ジメチルアミノ
安息香酸エチルなどの安息香酸誘導体等の光開始助剤な
どと組み合わせて使用することができる。カチオン重合
開始剤として使用できる光酸発生剤は、イオン性の化合
物と非イオン性の化合物に大別できる。イオン性の化合
物としてはアリールジアゾニウム塩、ジアリールヨード
ニウム塩、トリアリールスルホニウム塩及びトリアリー
ルホスホニウム塩等があり、対イオンとしてBF4-、PF6
-、AsF6- 、SbF6- などが用いられる。このようなオニ
ウム塩系の光酸発生剤には必要に応じてアンスラセン
や、チオキサントンのような光増感剤を併用することが
できる。非イオン性の光酸発生剤としては、光照射によ
ってカルボン酸、スルホン酸、リン酸、ハロゲン化水素
等を生成するものが使用でき、具体的にはスルホン酸の
2-ニトロベンジルエステル、イミノスルホナート、1-オ
キソ-2- ジアゾナフトキノン-4- スルホナート誘導体、
N-ヒドロキシイミドスルホナート、トリ(メタンスルホ
ニルオキシ)ベンゼン誘導体等が利用でき、さらにカル
ボン酸o-ニトロベンジルエステル、1-オキソ-2- ジアゾ
ナフトキノン-5- アリールスルホナート、トリアリール
リン酸エステル誘導体等が使用できる。
合型樹脂分に対してはラジカル光重合開始剤を、カチオ
ン重合型樹脂分にはカチオン光重合開始剤をそれぞれの
重合性樹脂成分100重量部に対して0. 5〜20重量
部、好ましくは1〜15重量部である。
ードコート層の少なくとも何れかのハードコート層に平
均粒子径0.01〜10μm の範囲を満たす無機或いは
有機の微粒子を含有することを特徴とする。本発明のハ
ードコート層に配合可能な無機もしくは有機の微粒子と
しては活性エネルギー線硬化樹脂中で良好な透明性を保
持する微粒子であれば任意に使用することができる。
ルミナ、チタニア、ジルコニアなどからなる微粒子が挙
げられるが、透明性の点でシリカ粒子、特に合成シリカ
粒子が好ましい。尚、酸化錫、酸化インジウム、酸化カ
ドミウム、酸化アンチモン、等の導電性の透明微粒子も
帯電防止性の付与に係わらず必要に応じて用いることが
できる。
な架橋構造を有しており、活性エネルギー線硬化樹脂や
モノマー、溶剤等による膨潤が少ない硬質な微粒子を用
いることができる。例えば、粒子内部架橋タイプのスチ
レン系樹脂、スチレン- アクリル系共重合樹脂、アクリ
ル系樹脂、ジビニルベンゼン樹脂、シリコーン系樹脂、
ウレタン樹脂、メラミン樹脂、スチレン- イソプレン系
樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、上記の樹脂等を主成分と
するミクロゲル等を使用することができる。
加剤を配合することができる。例えばレベリング、表面
スリップ性等を付与するシリコーン系、フッソ系の添加
剤は硬化膜表面の傷つき防止性に効果があることに加え
て、活性エネルギー線として紫外線を利用する場合は前
記添加剤の空気界面へのブリードによって、酸素による
樹脂の硬化阻害を低下させることができ、低照射強度条
件下に於いても有効な硬化度合を得ることができる。こ
れらの添加量は、活性エネルギー線硬化型樹脂100重
量部に対し0.01〜0.5重量部が適当である。
記述したが、続いて本発明のハードコートフィルムもし
くはシートの製造方法を説明する。第1及び第2ハード
コート層の塗工方法は任意であるが、生産段階ではロー
ルコーター、リバースロールコーター、グラビアコータ
ー、ナイフコーター、バーコーター等によるのが一般的
である。活性エネルギー線源として紫外線を使用するこ
とが好ましく、高圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀
灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク、キセノン
アーク等の光源が利用でき、フィラーを含まないクリア
塗膜の硬化には高圧水銀灯、フィラーを含む場合や厚膜
の硬化にはメタルハライドランプが一般的に使用され
る。また第2ハードコート層の硬化には電子線を利用す
ることも可能で、具体的にはコックロフトワルト型、バ
ンデクラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線
型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器
から放出される50〜1000KeV 、好ましくは100
〜300KeV のエネルギーを有する電子線が利用でき
る。
ートは、前記透明プラスチック基材にラジカル重合型樹
脂とカチオン重合型樹脂のブレンドから成る第1ハード
コート層として硬化後の膜厚が3.0 μm 〜30μm の範囲
を満たすように塗工した後、活性エネルギー線照射によ
って完全硬化もしくは半硬化(ハーフキュア)させる。
但し、半硬化とは塗膜の物性(硬さ、耐スリキズ性等)
が完全に飽和に達していない段階の架橋塗膜を指すが、
少なくとも塗膜表面のタックがない程度に硬化した塗膜
の状態を意味する。次いで、前記第1ハードコート層上
にラジカル重合型樹脂のみから成る第2ハードコート層
を硬化後の膜厚が1.0 μm 〜20μm の範囲を満たすよう
に塗工した後、活性エネルギー線照射を加えることによ
って硬化する。この場合、第1ハードコート層がすでに
完全硬化しているものであれば、第2ハードコート層の
みの硬化となり、第1ハードコート層が半硬化状態であ
る場合には、第1と第2ハードコート層の同時硬化とな
る。好ましくは第1ハードコート層を半硬化とした方が
第1、第2ハードコート層間の密着性が向上する場合が
多い。
ートにおいて、上に述べたように第1のハードコート層
の膜厚が、3.0〜30μm の範囲を、また第2のハー
ドコート層の膜厚が、1.0〜20μm の範囲を各々満
たすことを特徴とする。
しくはシートにおいて、ハードコート層を形成する硬化
樹脂被膜層は、活性エネルギー線硬化性樹脂が紫外線に
よって硬化反応が完結して形成された架橋構造を有する
ことを特徴とする。ハードコート層を形成する加工段階
で、上記したように活性エネルギー線照射によって完全
硬化もしくは半硬化(ハーフキュア)させることができ
るが、何れの場合も、活性エネルギー線硬化性樹脂に紫
外線照射を加えることによって硬化反応が完結して完全
硬化せしめ、塗膜の物性(硬さ、耐擦り傷性等)が完全
に飽和に達する段階の架橋塗膜を形成する。
ートにおいて、上記にて得られた第1ハードコート層の
破壊歪み以下での弾性率が1.5 GPa から4.5GPaの範囲を
満たし、かつ第2ハードコート層が2.0GPaから6.0GPaの
範囲を満たすことを特徴とする。後述するように、本発
明は上記ハードコートフィルムもしくはシートの表面
に、機能性無機薄膜層を設けることができる。ハードコ
ートフィルムもしくはシートの表面に、機能性無機薄膜
層を設ける場合、ハードコート層の弾性率が高すぎて
も、また低すぎても鉛筆硬度が低下する傾向がある。ハ
ードコート層の弾性率が高すぎる場合、機能性無機薄膜
層に応力が集中し、無機薄膜層のみが表面から削り取ら
れる場合が多い。また、ハードコート層の弾性率が低す
ぎる場合には、、無機薄膜層とともにハードコート層が
支持体である基材の表面から削り取られてしまう。第1
ハードコート層の破壊歪み以下での弾性率が1.5 GPa か
ら4.5GPaの範囲を満たし、かつ第2ハードコート層が2.
0GPaから6.0GPaの範囲を満たす弾性率を適宜設定するこ
とにより、鉛筆の先端からの応力をハードコート層の変
形によって、分散、吸収することができ、無機薄膜層の
みへの応力集中を緩和させ、膜の破壊を最小限に抑える
ことができる。上記弾性率は、樹脂組成、光開始剤等の
配合量及び紫外線照射露光量等による樹脂の硬化度合い
のコントロールによって制御することができる。
ルムもしくはシートの表面に、赤外吸収効果、赤外反射
効果、電磁波シールド効果、帯電防止効果、紫外線吸収
効果、反射防止効果、反射強調効果等の各種機能を有す
る無機材質を中心に構成される機能性無機薄膜(AR等)
を設けることもできる。ハードコート層の表面に、機能
性無機薄膜を設ける一例として反射防止層を形成する場
合について説明する。高屈折率層と低屈折率層を交互
に、所定の光学膜厚nd(屈折率nと膜厚dの積)となる
ように積層する。高屈折率層は屈折率(nH )が1.8
以上、好ましくは1.95以上であれば、また低屈折率
層は屈折率(nL )1.6以下、好ましくは1.5以下
であれば実用的に満足する反射防止効果を発現する。高
屈折率層としては、屈折率(nH )が1.80以上のも
のであれば特に限定されるものではないが、実用的には
金属酸化物として酸化チタン、酸化ジルコニユウム、酸
化タンタル、酸化亜鉛、酸化インジュウム、酸化セリユ
ウム、酸化錫、酸化ニオブ、酸化イットリュウム、酸化
イッテリビュウム、インジュウム・錫酸化物の何れか、
或いはこれらを主材料とする混合物質を用いる。一方、
低屈折率層としては、屈折率(nL )1.6以下のもの
であれば特に限定されるものではないが、酸化珪素系、
弗化マグネシウム、弗化カルシウム、弗化バリウム等が
使用できる。機能性無機薄膜の形成方法としては、真空
蒸着法、反応性蒸着法、イオンビームアシスト蒸着法、
スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマ
CVD法等の真空成膜プロセスによって形成することが
できが、特に限定されるものではない。赤外吸収効果、
赤外反射効果、電磁波シールド効果、帯電防止効果、紫
外線吸収効果、反射強調効果等のその他の各種機能を有
する公知公用の材料及び形成方法によって機能性無機薄
膜を設けることもできる。
本発明について具体的に説明するが、本発明はこれらの
実施例に限定されるものではない。なお、部および%は
特に断わりのない限り重量基準である。
脂組成物に対し、同じく紫外線硬化型樹脂であるカチオ
ン重合型樹脂を重量組成割合で0%、10%、20%、
30%、60%、100%にそれぞれブレンドし、この
組成物を酢酸エチルにて樹脂固形分が70wt% となるよう
に調製した塗料組成物を第1ハードコート樹脂液として
使用した。 (ラジカル重合型樹脂) ・ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート 30部 ・ペンタエリスリトールトリアクリレート 20部 ・ラジカル光重合開始剤(Darocur 1173 、チバガイギー社製) 2 部 (カチオン重合型樹脂) ・3,4-エポキシ-6- メチルシクロヘキシルメチルカルボキシレート 45部 ・シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル 5部 ・カチオン光重合開始剤(San-Aid SI-100L 、三新化学工業社製)1.5 部
ステルフィルムの片面に、前記、紫外線硬化型の塗料組
成物をワイヤーバーにて塗布し、溶剤分を蒸発させて厚
さ7μm 前後の塗布層を形成した後、塗膜側より高圧水
銀UVランプ(120W/cm) の紫外線を積算光量約250mJ/m2の
条件で照射し、硬化処理することにより、第1ハードコ
ート層を作製した。
料組成物を、第2ハードコート樹脂液として調製した。 ・ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート 30部 ・ペンタエリスリトールトリアクリレート 20部 ・Darocur 1173(チバガイギー社製) 2.5部 ・酢酸エチル 30部
ト層上に、上記組成の第2ハードコート層を熱乾燥後の
膜厚が6 μm 前後の塗布層を形成した後、塗膜側より高
圧水銀UVランプ(120W/cm) の紫外線を積算光量約300mJ/
m2の条件で照射し、硬化処理することによって、基材と
第1及び第2ハードコートの3層から成るハードコート
フィルムを得た。
以下の構成、方法にて上記ハードコート層上に形成し
た。まず高屈折率層としてインジウム錫酸化物(ITO )
をスパッタリング法により形成し、低屈折率層に酸化ケ
イ素からなる反射防止層をプラズマアシスト蒸着法によ
り形成した。各層の屈折率n、形状膜厚d、及び光学膜
厚ndは、 PET フィルム (n=1.62) ハードコート層 (n=1.52 d=約13μm ) 1層目:ITO (nH=2.05 d=約58nm) 2層目:SiO2 (nL=1.46 d=約38nm) 3層目:ITO (nH=2.05 d=約125nm ) 4層目:SiO2 (nL=1.46 d=約140nm ) とした。光学膜厚は、光学式の膜厚モニターにより監視
し、目的光量値に達した時に成膜を止め所定の光学膜厚
を得た。波長430 〜680nm の範囲で反射率は1%以下であ
った。ハードコート層と導電性反射防止層との密着は良
好であった。
性反射防止機能付きハードコートフィルムについて、下
記の測定方法により機械的物性を測定し、評価した結果
をそれぞれ表2及び表3に示す。
示される試験法での傷の有無を判定した。
を400gの荷重をかけながら10回摩擦し、傷の発生の有無
及び傷の程度を目視により観察し、以下の判定基準に従
って評価した。A :傷の発生が全く認められない。B :
数本の細い傷が認められる。C :無数の傷が認められ
る。
ハッチ(升目)を100個入れ、その上にセロテープ(ニ
チバン社製)を貼り付けした後、該セロテープを剥がし
たときに硬化被膜がフィルム基材から剥がれた升目の数
を計測することで評価した。
ードコートフィルムの標片を10cm角に切断し、反りおよ
び寸法を測定して曲率半径を算出した。
ードコートフィルムを直径3cm の金属ロールに巻付けた
ときのクラック発生の有無を目視により判定した。
率(Ef )を算出した。ポリエステルフィルムの弾性率(E
s )、及びポリエステルフィルム/ハードコート層から
成る複合膜の弾性率(Ec)は引っ張り強度試験機を用い
て、その応力-歪み曲線の初期傾斜から求めた。但し、
ハードコート層にはクラックが生じ易い為、クラックが
発生する破壊歪み以下での応力- 歪み曲線を用いた。 σc(b+d)= σfd+ σsb Ec(b+d)=Efd+Esb ∴Ef=(Ec(b+d)-Esb)/d σc :複合膜全体の内部応力 σf :ハードコート層の内部応力 σs :ポリエステルフィルムの内部応力 Ec:複合膜全体の弾性率 Ef:ハードコート層の弾性率 Es:ポリエステルフィルムの弾性率 b :ポリエステルフィルムの厚さ d :ハードコート層の厚さ
とめて示す。
着性、耐擦傷性、カール、クラックの評価結果を示し、
表3にハードコート層上に導電性反射防止層を設けた形
態での鉛筆硬度、密着性、耐擦傷性、カール、クラック
の評価結果を示す。
配合量が10wt% 以下の場合、4Hの鉛筆硬度を達成できた
がカールが大きく、高い弾性率と大きい硬化収縮を反映
して密着が低下し、クラックも発生した。さらに本ハー
ドコート層上に機能性無機薄膜の具体例として、導電性
反射防止層を設けても上記の傾向に変化はなかった。
ドコート層を形成した場合には、機能性無機薄膜付きの
層構成でも絶対的な硬度不足を反映して鉛筆硬度が3Hに
低下し、耐擦傷性にも影響が見られ、B に低下した。
% 以上、80wt% 以下の場合には鉛筆硬度が4Hを実現し、
且つ密着、耐擦傷性、カール、クラック等も実用的に問
題なく満足し、鉛筆硬度と他物性とのバランスが良好で
あった。カチオン重合型樹脂は開環重合機構で反応する
為、配合量の増加と共にカールが小さくなり、硬化収縮
時の残留内部応力に起因するクラックの発生も抑制され
る。さらに本ハードコート層上に機能性無機薄膜として
導電性反射防止層を設けても性能にほとんど変化が無
く、良好な機械的物性を達成した。
ードコートフィルムもしくはシートにおいて、 ラジカ
ル重合型樹脂とカチオン重合型樹脂のブレンドから成る
硬化樹脂被膜層である第1のハードコート層は、カチオ
ン重合型樹脂の配合による硬化収縮緩和機能を有するこ
とから、第1のハードコート層をフィルムもしくはシー
ト基材とラジカル重合型樹脂のみから成る第2のハード
コートの層間に設け、ハードコート層を2層構成とする
ことによって、ハードコート/基材間の密着、フィルム
折曲げ時のクラック、フィルムのカール等を実用的に許
容できる範囲内に収めることができ、且つ4H以上の鉛筆
硬度値を実現し、耐引っ掻き性、耐擦り傷性の優れたハ
ードコートフィルムもしくはシートが得られる。さら
に、上記ハードコートフィルムもしくはシートの表面
に、一例として反射防止機能等の種々の光学機能を付与
する無機薄膜を形成することにより、光学分野の広い範
囲の用途展開が可能となった。
の層構成を示す断面図
Claims (11)
- 【請求項1】透明プラスチック基材の少なくとも一方の
面に硬化樹脂被膜層を設けたハードコートフィルムもし
くはシートであって、 前記基材上に、第1のハードコート層と、第2のハード
コート層とをこの順に形成した2層構成から成る硬化樹
脂被膜層を設けたことを特徴とするハードコートフィル
ムもしくはシート。 - 【請求項2】前記第1のハードコート層は、ラジカル重
合型樹脂とカチオン重合型樹脂のブレンドから成る硬化
樹脂被膜層であることを特徴とする請求項1記載のハー
ドコートフィルムもしくはシート。 - 【請求項3】前記第2のハードコート層は、ラジカル重
合型樹脂のみから成る硬化樹脂被膜層であことを特徴と
する請求項1又は2記載のハードコートフィルムもしく
はシート。 - 【請求項4】前記第1ハードコート層は、ラジカル重合
型樹脂とカチオン重合型樹脂の重量組成比が、10:9
0〜80:20の範囲を満たすことを特徴とする請求項
1〜3記載の何れかのハードコートフィルムもしくはシ
ート。 - 【請求項5】前記第1のハードコート層と第2のハード
コート層の少なくとも何れかのハードコート層に平均粒
子径0.01〜10μm の範囲を満たす無機或いは有機
の微粒子を含有することを特徴とする請求項1〜4に記
載の何れかのハードコートフィルムもしくはシート。 - 【請求項6】ハードコート層を構成する前記硬化樹脂被
膜層は、活性エネルギー線硬化性樹脂が紫外線によって
硬化反応が完結して形成された架橋構造を有することを
特徴とする請求項1〜5記載の何れかのハードコートフ
ィルムもしくはシート。 - 【請求項7】前記第1のハードコート層の膜厚が、3.
0〜30μm の範囲を満たすことを特徴とする請求項1
〜6記載の何れかのハードコートフィルムもしくはシー
ト。 - 【請求項8】前記第2のハードコート層の膜厚が、1.
0〜20μm の範囲を満たすことを特徴とする請求項1
〜7記載の何れかのハードコートフィルムもしくはシー
ト。 - 【請求項9】前記第1のハードコート層の破壊歪み以下
での弾性率が、1.5GPa 〜4.5GPa の範囲を満
たすことを特徴とする請求項1〜8記載の何れかのハー
ドコートフィルムもしくはシート。 - 【請求項10】前記第2のハードコート層の破壊歪み以
下での弾性率が、2.0GPa 〜4.5GPa の範囲を
満たすことを特徴とする請求項1〜9記載の何れかのハ
ードコートフィルムもしくはシート。 - 【請求項11】請求項1〜10記載の何れかのハードコ
ートフィルムもしくはシートの表面に、機能性無機薄膜
層を設けたことを特徴とするハードコートフィルムもし
くはシート。
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