JPWO2016006589A1 - 合成樹脂積層体 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1には、この欠点を改良する為に紫外線硬化樹脂などで表面をコーティングする方法や、ポリカーボネート樹脂とアクリル系樹脂を共押出した基板にハードコートを施す方法が提案されている。
しかし、ポリカーボネート樹脂の表面にハードコートを施したのでは要求される鉛筆硬度を満たす事ができず、高い表面硬度が要求される用途には使用できない場合がある。
また、アクリル系樹脂とポリカーボネート樹脂との積層体では、表面硬度がある程度向上し、電子機器のディスプレイやタッチパネル前面板などに広く使用されていたが、高温高湿環境に放置した後の板材が大きくカールするなどの形状安定性の問題があり、液晶ディスプレイカバーやタッチパネル前面板などの電子機器関連用途において、重大な欠陥となっていた。
このように、これまで、高温高湿環境下に放置した後の形状について、表層樹脂側が凸となるカールのみに方向性を定め、なおかつカールの大きさを抑制した樹脂積層体はなかった。
(i)高硬度層の厚みは10〜250μmで、基材層と高硬度層の合計厚みは0.1〜2.0mmで、高硬度層/基材層の厚みの比が0.01〜0.8であり、
(ii)高硬度層の鉛筆硬度がF以上であり、
(iii)該合成樹脂積層体を高温高湿環境下に放置した後のカール形状が高硬度層側を凸に曲率半径R≧2.0mとなる、
合成樹脂積層体。
<2> 基材層の高硬度層とは反対側の表面における水蒸気透過率が0.2〜0.6g/m2・dayになるように第3層がさらに積層されており、高温高湿環境下に放置した後のカール形状が高硬度層側を凸、又は基材層側を凸に曲率半径R≧3.2mとなる積層体であることを特徴とする<1>の合成樹脂積層体。
<3> 基材層に含まれる熱可塑性樹脂(A)がポリカーボネート(a1)を含有する樹脂であり、高硬度層に含まれる熱可塑性樹脂(B)が芳香族ビニル−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和ジカルボン酸共重合体(b1)とビニル系単量体を構成単位とする樹脂(b2)を含有する樹脂であって、前記(b1)が、芳香族ビニル単量体単位45〜80質量%、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位5〜45質量%、不飽和ジカルボン酸無水物単量体単位10〜30質量%である芳香族ビニル−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和ジカルボン酸共重合体であり、樹脂(B)が、前記(b1)の50〜100質量部と前記(b2)の50〜0質量部とのブレンド樹脂であることを特徴とする<1>または<2>の合成樹脂積層体。
<4> 前記(b1)の(メタ)アクリル酸エステル単量体単位がメチルメタクリレートである事を特徴とする上記<3>に記載の合成樹脂積層体。
<5> 前記樹脂(B)が、重量平均分子量50,000〜300,000の前記芳香族ビニル−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和ジカルボン酸共重合体(b1)50〜100質量部と、重量平均分子量50,000〜500,000のメチルメタクリレート樹脂(b2)50〜0質量部とのブレンド樹脂であることを特徴とする上記<3>または<4>に記載の合成樹脂積層体。
<6> 前記ポリカーボネート(a1)の重量平均分子量が25,000〜75,000であることを特徴とする上記<1>〜<5>のいずれかに記載の合成樹脂積層体。
<7> 前記高硬度層および/または前記基材層が紫外線吸収剤を含有することを特徴とする上記<1>〜<6>のいずれかを特徴とする合成樹脂積層体。
<8> 前記高硬度層の表面上にハードコート処理を施した上記<1>〜<7>のいずれかに記載の合成樹脂積層体。
<9> 前記樹脂積層体の片面または両面に、反射防止処理、防汚処理、耐指紋処理、帯電防止処理、耐候性処理および防眩処理のいずれか一つ以上を施した上記<1>〜<8>のいずれかに記載の合成樹脂積層体。
<10> 前記高硬度層と前記基材層のそれぞれの引張弾性率が、1600MPa以上である、上記<1>〜<9>のいずれかに記載の合成樹脂積層体。
<11> 前記高硬度層の引張弾性率と前記基材層の引張弾性率との差が、400MPa以下である、上記<1>〜<10>のいずれかに記載の合成樹脂積層体。
<12> 上記<1>〜<11>のいずれかに記載の合成樹脂積層体を含む透明性基板材料。
<13> 上記<1>〜<11>のいずれかに記載の合成樹脂積層体を含む透明性保護材料。
<14> 上記<1>〜<11>のいずれかに記載の合成樹脂積層体を含むタッチパネル前面保護板。
<15> 上記<1>〜<11>のいずれかに記載の合成樹脂積層体を含む低水蒸気透過率板の積層体。
熱可塑性樹脂(A)は、合成樹脂積層体の基材層を形成する主成分である。熱可塑性樹脂(A)は、主として、ポリカーボネート(a1)を含有する樹脂である。
本発明に使用されるポリカーボネート(a1)は、分子主鎖中に炭酸エステル結合を含む。即ち、−[O−R−OCO]−単位(Rが脂肪族基、芳香族基、又は脂肪族基と芳香族基の双方を含むもの、さらに直鎖構造あるいは分岐構造を有するもの)を含むものであれば特に限定されるものではないが、特に下記式[1]の構造単位を含むポリカーボネートを使用することが好ましい。このようなポリカーボネートを使用することで、耐衝撃性に優れた樹脂積層体を得ることができる。
本発明において、ポリカーボネート(a1)の重量平均分子量は、合成樹脂積層体の耐衝撃性および成形条件に影響する。つまり、重量平均分子量が小さすぎる場合は、合成樹脂積層体の耐衝撃性が低下するので好ましくない。重量平均分子量が高すぎる場合は、樹脂(a1)を含む樹脂層を積層させる時に過剰な熱源を必要とする場合があり、好ましくない。また成形法によっては高い温度が必要になるので、樹脂(a1)が高温にさらされることになり、その熱安定性に悪影響を及ぼすことがある。ポリカーボネート(a1)の重量平均分子量は、15,000〜75,000が好ましく、20,000〜70,000がより好ましい。さらに好ましくは25,000〜65,000である。
熱可塑性樹脂(B)は、合成樹脂積層体の高硬度層を形成する主成分である。熱可塑性樹脂(B)は、主として、芳香族ビニル−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和ジカルボン酸共重合体(b1)と、ビニル系単量体を構成単位とする樹脂(b2)とを含有する。
本発明の積層体に用いられる前記(b1)は、芳香族ビニル単量体単位45〜80質量%、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位5〜45質量%、不飽和ジカルボン酸無水物単量体単位10〜30質量%である、特定の芳香族ビニル−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和ジカルボン酸共重合体である。
(メタ)アクリル酸エステル単量体単位としては、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n―ブチル、アクリル酸2エチルヘキシル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸2エチルヘキシル等が挙げられる。これらの中でビニル系単量体との相溶性の観点からメタクリル酸メチル(MMA)が好ましい。これらの(メタ)アクリル酸エステル単量体単位は1種類でも良く、2種以上の併用をしても良い。
不飽和ジカルボン酸無水物単量体としては、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、アコニット酸等の酸無水物が挙げられ、ビニル系単量体との相溶性の観点から無水マレイン酸が好ましい。これらの不飽和ジカルボン酸無水物系単量体は1種類でも良く、2種以上の併用をしても良い。
本発明で用いられるビニル系単量体を構成単位とする樹脂(b2)は、例えばアクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n―ブチル、アクリル酸2エチルヘキシル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸2エチルヘキシル等のビニル系単量体を単独重合したものが挙げられ、特に単量体単位として、メタクリル酸メチルが好ましい。また、前記単量体単位を2種類以上含んだ共重合体でも良い。
本発明において、芳香族ビニル−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和ジカルボン酸共重合体(b1)とビニル系単量体を構成単位とする樹脂(b2)の質量比は、(b1)成分が50〜100質量部に対して(b2)成分が50〜0質量部である。好ましくは、(b1)成分が55〜90質量部に対して(b2)成分が45〜10質量部である。より好ましくは(b1)成分が60〜85質量部に対して(b2)成分が40〜15質量部である。この質量比内にすることにより、透明性を維持しつつ、表面硬度が優れ、OCAとITO形成PETの貼り合せなど、基材層側の水蒸気透過率が小さい状態において、高温高湿環境下に放置した後のカールを抑えるのに適した樹脂(B)となる。
本発明の合成樹脂積層体の形成方法は、特に限定されない。例えば、個別に形成した高硬度層と、ポリカーボネート(a1)(樹脂(A))を含む基材層とを積層して両者を加熱圧着する方法、個別に形成した高硬度層と基材層とを積層して、両者を接着剤によって接着する方法、高硬度層を形成する樹脂(B)と、ポリカーボネート樹脂(a1)(樹脂(A))とを共押出成形する方法、予め形成しておいた高硬度層を用いて、ポリカーボネート樹脂(a1)をインモールド成形して一体化する方法、などの各種方法があるが、製造コストや生産性の観点からは、共押出成形する方法が好ましい。
本発明において、高硬度層の厚さは、合成樹脂積層体の表面硬度や耐衝撃性に影響する。つまり、高硬度層の厚さが薄すぎると表面硬度が低くなり、好ましくない。高硬度層の厚さが大きすぎると耐衝撃性が悪くなり好ましくない。高硬度層の厚さは10〜250μmが好ましく、30〜200μmがより好ましい。さらに好ましくは60〜150μmである。
また、高硬度層と基材層の85℃環境下の引張弾性率の差は|(高硬度層の引張弾性率)−(基材層の引張弾性率)|≦400MPaであることが好ましく、より好ましくは|(高硬度層の引張弾性率)−(基材層の引張弾性率)|≦300MPaである。このように、引張弾性率の差が小さい高硬度層と基材層とを用いることにより、高硬度層と基材層の層間での剥離を防止することができる。
つまり、全体厚さが薄すぎると高温高湿環境下に放置した後のカールが大きくなり、全体厚さが厚い時には高温高湿環境下に放置した後のカールが小さくなる。
また、高硬度層の厚さが薄すぎると高温高湿環境下に放置した後のカールが小さくなるが硬度が低下し、表層厚さが厚い時には高温高湿環境下に放置した後のカールが大きくなるため、各々の全体厚さと高硬度層の厚さに合わせた高硬度層の組成を見出す必要がある。
具体的には、前記基材層と前記高硬度層の合計厚みは0.1〜2.0mm、好ましくは0.12〜1.5mm、より好ましくは0.15〜1.2mmであり、前記高硬度層/前記基材層の厚みの比が0.01〜0.8であり、好ましくは0.02〜0.7、より好ましくは0.04〜0.6である。
以上のように、さらなる層を積層させない状態で高温高湿の環境下においたときに、高硬度層側を凸にしたカールのみを適当な範囲内で生じさせることにより、合成樹脂積層体の基材層側に第3層を積層させて基材層側の水蒸気透過率が低下した状態において、合成樹脂積層体に生じるカールを最小限に抑制することができる。
例えば、熱可塑性樹脂(A)および/または熱可塑性樹脂(B)には、紫外線吸収剤を混合して使用することができる。紫外線吸収剤の含有量が少なすぎると耐光性が足りなくなり、含有量が多すぎると成形法によっては過剰な紫外線吸収剤が高い温度がかかることによって飛散して成形環境を汚染するので不具合を起こすことがある。紫外線吸収剤の含有割合は0〜5質量%が好ましく、0〜3質量%がより好ましく、さらに好ましくは0〜1質量%である。紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系紫外線吸収剤、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノールなどのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチル酸フェニル、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートなどのベンゾエート系紫外線吸収剤、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケートなどのヒンダードアミン系紫外線吸収剤、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−エトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジンなどのトリアジン系紫外線吸収剤などが挙げられる。混合の方法は特に限定されず、全量コンパウンドする方法、マスターバッチをドライブレンドする方法、全量ドライブレンドする方法などを用いることができる。
ハードコートの密着性を向上させる目的で、ハードコート前に塗布面の前処理を行うことがある。処理例として、サンドブラスト法、溶剤処理法、コロナ放電処理法、クロム酸処理法、火炎処理法、熱風処理法、オゾン処理法、紫外線処理法、樹脂組成物によるプライマー処理法などの公知の方法が挙げられる。
後述する製造例で得られた積層樹脂の物性測定、および実施例ならびに比較例で得られた合成樹脂積層体の評価は、以下のように行った。
電子銃/抵抗加熱蒸着装置 BMC−800T(河合光学製)を使用し、基材層(A)にアルゴンでRFプラズマ処理後、Alを100μm蒸着し、さらにSiO2を20μm蒸着した。その蒸着品についてLyssy水蒸気透過率計 L80−5000(PBI Dansenor製)を使用し、水蒸気透過率の測定を行うと水蒸気透過率0.2g/m2・dayであり、タッチパネル用のセンサーを貼り合せた時とほぼ同様な値を示した。
軸径50mmの単軸押出機にアダプター、Tダイとを有する単層押出装置を用いて、高硬度層と基材層の各種材料から、厚さが1mmの合成樹脂単層体をそれぞれ成形し、成形品の中央部でダンベル試験片を作成した。ダンベル試験片は23℃水中に3日間水漬けした後、水分を拭き取り、冷凍機式高温高湿槽を付属したオートグラフAGS−5kNX(島津製作所製)を使用して、85℃でJISK−7161記載の引張試験方法に準拠して、引張弾性率を測定した。
高温高湿環境に放置した後の積層体はカール形状をしているため、カールの形状を曲率半径と凹凸の方向を高硬度層(B)側を凸、又は基材層(A)側を凸で評価した。曲率半径(m)={弧長[m](=試験片の長さ)}2/(8×矢高さ[m])と定義した。
試験片を10cm×6cm四方に切り出した。試験片を2点支持型のホルダーにセットして温度23℃、相対湿度50%に設定した環境試験機に24時間以上投入して状態調整した後、ホルダーを温度85℃、相対湿度85%に設定した環境試験機の中に投入し、その状態で120時間保持した。さらに温度23℃、相対湿度50%に設定した環境試験機の中にホルダーごと移動し、その状態で4時間保持後にh(=矢高さ[m])を測定した。 矢高さの測定には、電動ステージ具備の3次元形状測定機を使用し、取り出した試験片を上に凸の状態で水平に静置し、1mm間隔でスキャンし、中央部の盛り上がりを矢高さとして測定し、(曲率半径[m])={0.116(=弧長[m])}2/(8×h[m])でカールの形状を積層体のみとAlとSiO2の蒸着した積層体(蒸着品)で評価した。
(積層体のみの場合)
良好(合格):高硬度層側を凸に、曲率半径R≧2.0mとなる。
不良(不合格):上記の範囲以外。
(蒸着品の場合)
良好(合格):高硬度層凸側を凸に、曲率半径R≧3.2mとなる。または、基材層側を凸に、曲率半径R≧3.2mとなる。
不良(不合格):上記の範囲以外。
JIS K 5600−5−4に準拠し、表面に対して角度45度、荷重750gで基材層(樹脂(A)の層)の表面に次第に硬度を増して鉛筆を押し付け、傷跡を生じなかった最も硬い鉛筆の硬度を鉛筆硬度として評価した。
(積層体のみの場合)
良好(合格):鉛筆硬度F以上。
不良(不合格):上記の範囲以外。
(塗装品の場合)
良好(合格):鉛筆硬度2H以上。
不良(不合格):上記の範囲以外。
熱可塑性樹脂(A)および熱可塑性樹脂(B)について、下記に示す材料を例示するが、これに限定されるわけではない。
A1:ポリカーボネート樹脂:三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製ユーピロンS−1000
S−1000を用いた厚さが1mmの合成樹脂単層体の85℃環境下の引張弾性率は1977MPaであった。
B1:特定の芳香族ビニル−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和ジカルボン酸共重合体:電気化学工業(株)R−200
B2:特定の芳香族ビニル−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和ジカルボン酸共重合体:電気化学工業(株)R−100
B3:ビニル系単量体を含有する樹脂:クラレ(株)製メチルメタクリレート樹脂パラペットHR−L
B4:(メタ)アクリル酸エステルと脂肪族ビニルを構成単位とする樹脂:合成樹脂(D12)
芳香族ビニル−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和ジカルボン酸共重合体(b1)としてR−200(電気化学工業製、重量平均分子量:185,000、芳香族ビニル単量体:(メタ)アクリル酸エステル単量体:不飽和ジカルボン酸無水物単量体の比=55:25:20)50質量%と、ビニル系単量体を構成単位とする樹脂(b2)であるメチルメタクリレート樹脂としてパラペットHR−L(クラレ製)50質量%と、りん系添加剤PEP36(ADEKA製) 500ppm、およびステアリン酸モノグリセリド(製品名:H−100、理研ビタミン製) 0.2%を仕込みブレンダーで20分混合後、スクリュー径26mmの2軸押出機(東芝機械製、TEM−26SS、L/D≒40)を用い、シリンダー温度240℃で溶融混錬して、ストランド状に押出してペレタイザーでペレット化した。ペレットは安定して製造できた。
上記のペレットを用いた厚さが1mmの合成樹脂単層体の85℃環境下の引張弾性率は1716MPaであった。
特定の芳香族ビニル−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和ジカルボン酸共重合体(b1)としてR−200を60質量%と、ビニル系単量体を構成単位とする樹脂(b2)であるメチルメタクリレート樹脂としてパラペットHR−Lを40質量%と、りん系添加剤PEP36を500ppmおよびステアリン酸モノグリセリドを0.2%にし、製造例1と同様に混合、ペレット化を行った。ペレットは安定して製造できた。
上記のペレットを用いた厚さが1mmの合成樹脂単層体の85℃環境下の引張弾性率は1891MPaであった。
特定の芳香族ビニル−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和ジカルボン酸共重合体(b1)としてR−200を70質量%と、ビニル系単量体を構成単位とする樹脂(b2)であるメチルメタクリレート樹脂としてパラペットHR−Lを30質量%と、りん系添加剤PEP36を500ppmおよびステアリン酸モノグリセリドを0.2%にし、製造例1と同様に混合、ペレット化を行った。ペレットは安定して製造できた。
上記のペレットを用いた厚さが1mmの合成樹脂単層体の85℃環境下の引張弾性率は1996MPaであった。
特定の芳香族ビニル−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和ジカルボン酸共重合体(b1)としてR−100(電気化学工業製、重量平均分子量:170,000、芳香族ビニル単量体:(メタ)アクリル酸エステル単量体:不飽和ジカルボン酸無水物単量体の比=65:20:15)65質量%と、ビニル系単量体を構成単位とする樹脂(b2)であるメチルメタクリレート樹脂としてパラペットHR−Lを35質量%と、りん系添加剤PEP36を500ppmおよびステアリン酸モノグリセリドを0.2%にし、製造例1と同様に混合、ペレット化を行った。ペレットは安定して製造できた。
上記のペレットを用いた厚さが1mmの合成樹脂単層体の85℃環境下の引張弾性率は1885MPaであった。
特定の芳香族ビニル−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和ジカルボン酸共重合体(b1)としてR−100を75質量%と、ビニル系単量体を構成単位とする樹脂(b2)であるメチルメタクリレート樹脂としてパラペットHR−Lを25質量%と、りん系添加剤PEP36を500ppmおよびステアリン酸モノグリセリドを0.2%にし、製造例1と同様に混合、ペレット化を行った。ペレットは安定して製造できた。
上記のペレットを用いた厚さが1mmの合成樹脂単層体の85℃環境下の引張弾性率は2089MPaであった。
特定の芳香族ビニル−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和ジカルボン酸共重合体(b1)としてR−100を85質量%と、ビニル系単量体を構成単位とする樹脂(b2)であるメチルメタクリレート樹脂としてパラペットHR−Lを15質量%と、りん系添加剤PEP36を500ppmおよびステアリン酸モノグリセリドを0.2%にし、製造例1と同様に混合、ペレット化を行った。ペレットは安定して製造できた。
上記のペレットを用いた厚さが1mmの合成樹脂単層体の85℃環境下の引張弾性率は2152MPaであった。
撹拌翼を備えた混合槽に、トリス(2−アクロキシエチル)イソシアヌレート(Aldrich社製)60質量部と、ネオペンチルグリコールオリゴアクリレート(大阪有機化学工業社製、商品名:215D)40質量部と、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(チバ・ジャパン社製、商品名:DAROCUR TPO)1質量部と、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(Aldrich社製)0.3質量部と、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(チバ・ジャパン社製、商品名:TINUVIN234)1質量部からなる組成物を導入し、40℃に保持しながら1時間撹拌して光硬化性樹脂組成物(C11:後述の表1参照)を得た。
撹拌翼を備えた混合槽に、1,9−ノナンジオールジアクリレート(大阪有機化学工業社製、商品名:ビスコート#260)40質量部と、6官能ウレタンアクリレートオリゴマー(新中村化学工業社製、商品名:U−6HA)40質量部と、コハク酸/トリメチロールエタン/アクリル酸のモル比が1/2/4である縮合物20質量部と、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(チバ・ジャパン社製、商品名:DAROCUR TPO)2.8質量部と、ベンゾフェノン(Aldrich社製)1質量部と、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(チバ・ジャパン社製、商品名:TINUVIN234)1質量部からなる組成物を導入し、40℃に保持しながら1時間撹拌して光硬化性樹脂組成物(C12)を得た。
パラペットHR−L100質量%と、りん系添加剤PEP36を500ppm、およびステアリン酸モノグリセリドを0.2%にし、製造例1と同様に混合、ペレット化を行った。ペレットは安定して製造できた。
上記のペレットを用いた厚さが1mmの合成樹脂単層体の85℃環境下の引張弾性率は1015MPaであった。
メタクリル酸メチル酸メチル(三菱ガス化学製)77.000モル%とスチレン(和光純薬工業製)22.998モル%と、重合開始剤としてt−アルミパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(アルケマ吉富製、商品名:ルぺロックス575)0.002モル%からなる混合液を、ヘルカルリボン翼付き10L完全混合層に1kg/hで連続的に供給し、平均滞留時間2.5時間、重合温度150℃で連続重合を行い、重合槽の液面が一定となるように底部から連続抜き出し、脱溶媒装置に導入してペレット状のビニル共重合樹脂を得た。そのビニル共重合樹脂をイソ酪酸メチル(関東化学製)に溶解し、10質量%イソ酪酸メチル溶液を調製した。1000mLオートクレーブ装置に10質量%イソ酪酸メチル溶液を500質量部、10質量%Pd/C(NEケムキャット製)を1質量部仕込み、水素圧9MPa、200℃で15時間保持して、ビニル共重合樹脂の芳香族二重結合部位を水素化した。フィルターにより触媒を除去し、脱溶剤装置に導入して得られたペレットとりん系添加剤PEP36を500ppmおよびステアリン酸モノグリセリドを製造例1と同様に混合、ペレット化を行った。ペレットは安定して製造できた。
上記のペレットを用いた厚さが1mmの合成樹脂単層体の85℃環境下の引張弾性率は1527MPaであった。
軸径32mmの単軸押出機と、軸径65mmの単軸押出機と、全押出機に連結されたフィードブロックと、フィードブロックに連結されたTダイとを有する多層押出機に各押出機と連結したマルチマニホールドダイとを有する多層押出装置を用いて合成樹脂積層体を成形した。軸径32mmの単軸押出機に製造例1で得た樹脂(B11)を連続的に導入し、シリンダー温度240℃、吐出量を2.1kg/hの条件で押し出した。また軸径65mmの単軸押出機にポリカーボネート樹脂(A1)(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、商品名:ユーピロンS−1000、重量平均分子量:27,000)を連続的に導入し、シリンダー温度270℃、吐出量を30.0kg/hで押し出した。全押出機に連結されたフィードブロックは2種2層の分配ピンを備え、温度270℃にして(B11)と(A1)を導入し積層した。その先に連結された温度270℃のTダイでシート状に押し出し、上流側から温度130℃、140℃、180℃とした3本の鏡面仕上げロールで鏡面を転写しながら冷却し、(B11)と(A1)の積層体(E11)を得た。得られた積層体(E11)の全体厚みは1.0mm、(B11)から成る層の厚みは中央付近で60μmであった。鉛筆引っかき硬度試験の結果はHで合格であり、高温高湿環境下に放置した後のカール形状の評価は、積層体のみでは、高硬度層側を凸に曲率半径が42.5m>R≧11.6mで合格であり、蒸着品では、基材層側を凸に曲率半径が20.3m>R≧14.2mで合格であり、総合判定で合格であった。
実施例1で使用した高硬度層(B11)の吐出量を3.5kg/hとし、ポリカーボネート樹脂(A1)の吐出量を28.7kg/hとした以外は、実施例1と同様として(B11)と(A1)の積層体(E12)を得た。得られた積層体の全体厚みは1.0mm、(B11)から成る層の厚みは中央付近で100μmであった。鉛筆引っかき硬度試験の結果はHで合格であり、高温高湿環境下に放置した後のカール形状の評価は、積層体のみでは、高硬度層凸側を凸に曲率半径が5.9m>R≧2.7mで合格であり、蒸着品では、高硬度層側を凸に曲率半径が17.1m>R≧9.9mで合格であり、総合判定で合格であった。
高硬度層を製造例2で得た樹脂(B12)とした以外は、実施例1と同様にして(B12)と(A1)の積層体(E13)を得た。得られた積層体の全体厚みは1.0mm、(B12)から成る層の厚みは中央付近で60μmであった。鉛筆引っかき硬度試験の結果はHで合格であり、高温高湿環境下に放置した後のカール形状の評価は、積層体のみでは、高硬度層側を凸に曲率半径が3.7m>R≧2.4mで合格であり、蒸着品では、基材層側を凸に曲率半径が79.1m>R≧26.4mで合格であり、総合判定で合格であった。
高硬度層を製造例3で得た樹脂(B13)とした以外は、実施例1と同様にして(B13)と(A1)の積層体(E14)を得た。得られた積層体の全体厚みは1.0mm、(B13)から成る層の厚みは中央付近で60μmであった。鉛筆引っかき硬度試験の結果はHで合格であり、高温高湿環境下に放置した後のカール形状の評価は、積層体のみでは、高硬度層側を凸に曲率半径が4.1m>R≧2.0mで合格であり、蒸着品では、高硬度側を凸に曲率半径が16.9m>R≧9.1mで合格であり、総合判定で合格であった。
高硬度層を製造例4で得た樹脂(B14)とした以外は、実施例1と同様にして(B14)と(A1)の積層体(E15)を得た。得られた積層体の全体厚みは1.0mm、(B14)から成る層の厚みは中央付近で60μmであった。鉛筆引っかき硬度試験の結果はFで合格であり、高温高湿環境下に放置した後のカール形状の評価は、積層体のみでは、高硬度側を凸に曲率半径が27.5m>R≧20.7mで合格であり、蒸着品では、基材層側を凸に曲率半径が4.6m>R≧3.3mで合格であり、総合判定で合格であった。
高硬度層を製造例4で得た樹脂(B14)とした以外は、実施例2と同様にして(B14)と(A1)の積層体(E16)を得た。得られた積層体の全体厚みは1.0mm、(B14)から成る層の厚みは中央付近で100μmであった。鉛筆引っかき硬度試験の結果はFで合格であり、高温高湿環境下に放置した後のカール形状の評価は、積層体のみでは、高硬度層側を凸に曲率半径が63.0m>R≧9.5mで合格であり、蒸着品では、基材層側を凸に曲率半径が5.1m>R≧3.8mで合格であり、総合判定で合格であった。
高硬度層を製造例5で得た樹脂(B15)とした以外は、実施例1と同様にして(B15)と(A1)の積層体(E17)を得た。得られた積層体の全体厚みは1.0mm、(B15)から成る層の厚みは中央付近で60μmであった。鉛筆引っかき硬度試験の結果はFで合格であり、高温高湿環境下に放置した後のカール形状の評価は、積層体のみでは、高硬度層側を凸に曲率半径が41.5m>R≧7.5mで合格であり、蒸着品では、基材層側を凸に曲率半径が10.8m>R≧6.1mで合格であり、総合判定で合格であった。
高硬度層を製造例5で得た樹脂(B15)とした以外は、実施例2と同様にして(B15)と(A1)の積層体(E18)を得た。得られた積層体の全体厚みは1.0mm、(B15)から成る層の厚みは中央付近で100μmであった。鉛筆引っかき硬度試験の結果はFで合格であり、高温高湿環境下に放置した後のカール形状の評価は、積層体のみでは、高硬度層側を凸に曲率半径が8.5m>R≧3.4mで合格であり、蒸着品では、高硬度層側を凸に曲率半径が77.3m>R≧10.4mで合格であり、総合判定で合格であった。
高硬度層を製造例6で得た樹脂(B16)とした以外は、実施例1と同様にして(B16)と(A1)の積層体(E19)を得た。得られた積層体の全体厚みは1.0mm、(B16)から成る層の厚みは中央付近で60μmであった。鉛筆引っかき硬度試験の結果はFで合格であり、高温高湿環境下に放置した後のカール形状の評価は、積層体のみでは、高硬度層側を凸に曲率半径が16.4m>R≧4.8mで合格であり、蒸着品では、基材層側を凸に曲率半径が18.5m>R≧11.8mで合格であり、総合判定で合格であった。
高硬度層を製造例6で得た樹脂(B16)とした以外は、実施例2と同様にして(B16)と(A1)の積層体(E20)を得た。得られた積層体の全体厚みは1.0mm、(B16)から成る層の厚みは中央付近で100μmであった。鉛筆引っかき硬度試験の結果はFで合格であり、高温高湿環境下に放置した後のカール形状の評価は、積層体のみでは、高硬度層側を凸に曲率半径が7.6m>R≧3.4mで合格であり、蒸着品では、高硬度層側を凸に曲率半径が26.6m>R≧11.3mで合格であり、総合判定で合格であった。
実施例3で得た積層体(E13)の高硬度層(B12)上に、製造例7で得た光硬化性樹脂組成物(C11)を硬化後の塗膜厚さが3〜8μmとなるようバーコーターを用いて塗布しPETフィルムで覆って圧着し、また(A1)から成る基材層上に製造例8で得た光硬化性樹脂組成物(C12)を硬化後の塗膜厚さが3〜8μmとなるようバーコーターを用いて塗布しPETフィルムで覆って圧着した。続いて、光源距離12cm、出力80W/cmの高圧水銀灯を備えたコンベアでラインスピード1.5m/分の条件で紫外線を照射し硬化させてPETフィルムを剥離し、高硬度層および基材層上にそれぞれ(C11)および(C12)から成るハードコート層を備えた積層体(F11)を得た。鉛筆引っかき硬度試験の結果は3Hで合格であり、高温高湿環境下に放置した後のカール形状の評価は、積層体のみでは、高硬度層側を凸に曲率半径が9.4m>R≧3.3mで合格であり、蒸着品では、基材層側を凸に曲率半径が58.6m>R≧12.5mで合格であり、総合判定で合格であった。
高硬度層を製造例2で得た樹脂(B12)とし、ポリカーボネート樹脂(A1)の吐出量を20.4kg/hとした以外は、実施例1と同様にして(B12)と(A1)の積層体を得た。得られた積層体の全体厚みは0.7mm、(B12)から成る層の厚みは中央付近で60μmであった。得られた積層体以外は実施例11と同様として、高硬度層および基材層上にそれぞれ(C11)および(C12)から成るハードコート層を備えた積層体(F12)を得た。鉛筆引っかき硬度試験の結果は3Hで合格であり、高温高湿環境下に放置した後のカール形状の評価は、積層体のみでは、高硬度層側を凸に曲率半径が30.6m>R≧4.6mで合格であり、蒸着品では、高硬度層側を凸に曲率半径が18.4m>R≧5.3mで合格であり、総合判定で合格であった。
高硬度層を製造例2で得た樹脂(B12)とした以外は、実施例2と同様にして(B12)と(A1)の積層体(E21)を得た。得られた積層体の全体厚みは1.0mm、(B12)から成る層の厚みは中央付近で100μmであった。鉛筆引っかき硬度試験の結果はHで合格であり、高温高湿環境下に放置した後のカール形状の評価は、積層体のみでは、高硬度層側を凸に曲率半径が1.8m>R≧1.3mで不合格であり、蒸着品では、基材層側を凸に曲率半径が3.0m>R≧2.4mで不合格であり、総合判定で不合格であった。
高硬度層を製造例3で得た樹脂(B13)とした以外は、実施例2と同様にして(B13)と(A1)の積層体(E22)を得た。得られた積層体の全体厚みは1.0mm、(B13)から成る層の厚みは中央付近で100μmであった。鉛筆引っかき硬度試験の結果はHで合格であり、高温高湿環境下に放置した後のカール形状の評価は、積層体のみでは、高硬度層側を凸に曲率半径が1.6m>R≧1.0mで不合格であり、蒸着品では、基材層側を凸に曲率半径が2.4m>R≧2.2mで不合格であり、総合判定で不合格であった。
高硬度層を製造例2で得た樹脂(B12)とし、ポリカーボネート樹脂(A1)の吐出量を19.1kg/hとした以外は、実施例1と同様にして(B12)と(A1)の積層体(E23)を得た。得られた積層体の全体厚みは0.7mm、(B12)から成る層の厚みは中央付近で60μmであった。鉛筆引っかき硬度試験の結果はHで合格であり、高温高湿環境下に放置した後のカール形状の評価は、積層体のみでは、高硬度層側を凸に曲率半径が1.5m>R≧1.2mで不合格であり、蒸着品では、基材層側を凸に曲率半径が1.8m>R≧1.5mで不合格であり、総合判定で不合格であった。
高硬度層を製造例2で得た樹脂(B12)とし、ポリカーボネート樹脂(A1)の吐出量を19.1kg/hとした以外は、実施例1と同様にして(B12)と(A1)の積層体(E24)を得た。得られた積層体の全体厚みは0.7mm、(B12)から成る層の厚みは中央付近で100μmであった。鉛筆引っかき硬度試験の結果はHで合格であり、高温高湿環境下に放置した後のカール形状の評価は、積層体のみでは、高硬度層側を凸に曲率半径が1.3m>R≧0.9mで不合格であり、蒸着品でも、基材層側を凸に曲率半径が1.5m>R≧1.3mで不合格であり、総合判定で不合格であった。
比較例1で得た積層体(E21)に、実施例11と同様として、高硬度層および基材層上にそれぞれ(C11)および(C12)から成るハードコート層を積層させて積層体(F13)を得た。鉛筆引っかき硬度試験の結果は3Hで合格であり、高温高湿環境下に放置した後のカール形状の評価は、積層体のみでは、高硬度層側を凸に曲率半径が1.9m>R≧1.7mで不合格であり、蒸着品でも、高硬度層凸側を凸に曲率半径が3.0m>R≧2.7mで不合格であり、総合判定で不合格であった。
比較例4で得た積層体(E24)に、実施例11と同様として、高硬度層および基材層上にそれぞれ(C11)および(C12)から成るハードコート層を積層させて積層体(F14)を得た。鉛筆引っかき硬度試験の結果は3Hで合格であり、高温高湿環境下に放置した後のカール形状の評価は、積層体のみでは、高硬度層側を凸に曲率半径Rが1.8m>≧1.3mで不合格であり、蒸着品でも、高硬度層側を凸に曲率半径が2.0m>R≧1.5mで不合格であり、総合判定で不合格であった。
高硬度層を比較製造例1で得た樹脂(D11)とした以外は、実施例1と同様にして(D11)と(A1)の積層体を得た。得られた積層体の全体厚みは1.0mm、(D11)から成る層の厚みは中央付近で60μmであった。得られた積層体以外は実施例11と同様として、高硬度層および基材層上にそれぞれ(C11)および(C12)から成るハードコート層を備えた積層体(F15)を得た。鉛筆引っかき硬度試験の結果は4Hで合格であり、高温高湿環境下に放置した後のカール形状の評価は、積層体のみでは、基材層側を凸に曲率半径が1.5m>R≧1.2mで不合格であり、蒸着品でも、基材層側を凸に曲率半径が1.1m>R≧0.9mで不合格であり、総合判定で不合格であった。
高硬度層を比較製造例2で得た樹脂(D12)とした以外は、実施例1と同様にして(D12)と(A1)の積層体を得た。得られた積層体の全体厚みは1.0mm、(D12)から成る層の厚みは中央付近で60μmであった。得られた積層体に、実施例11と同様として、高硬度層および基材層上にそれぞれ(C11)および(C12)から成るハードコート層を積層させて積層体(F16)を得た。鉛筆引っかき硬度試験の結果は4Hで合格であり、高温高湿環境下に放置した後のカール形状の評価は、積層体のみでは、基材層側を凸に曲率半径が36.1m>R≧15.7mで不合格であり、蒸着品でも、高硬度層側を凸に曲率半径が3.0m>R≧2.1mで不合格であり、総合判定で不合格であった。
一方、例えば、図2(A)に示すように、従来例の合成樹脂積層体10では、そのままの状態で高温高湿環境下に放置した後、基材層12を凸とするようにカールが生じる。このような従来例の合成樹脂積層体10をITO層16に張り合わせた状態で高温高湿環境下に放置した後、図2(B)に示すように、大きなカールが発生してしまう。この結果、合成樹脂積層体10を含む部材の表面の外観を損なう上に、長期的には、合成樹脂積層体10がITO層16から剥離してしまう可能性が高まる。
また、基材層と表層(高硬度層)の引張弾性率を高くし、かつ、基材層の引張弾性率の値と表層(高硬度層)の引張弾性率の値との差を小さく抑えた各実施例においては、上述のように良好な結果が認められるのに対し、引張弾性率の値の低い表層(高硬度層)を採用し、基材層の引張弾性率の値と表層(高硬度層)の引張弾性率の値との差が大きい比較例7および8においては、特に、高温高湿環境下に放置後の積層体のカールが大きくなった。
20 合成樹脂積層体
12,22 基材層
14,24 表層(高硬度層)
16,26 ITO層
18,28 ハードコート層
Claims (15)
- 熱可塑性樹脂(A)を含む基材層、およびその少なくとも一方の面に積層された、熱可塑性樹脂(A)とは異なる熱可塑性樹脂(B)を含む高硬度層を備えた合成樹脂積層体であって、
(i)前記高硬度層の厚みは10〜250μmで、前記基材層と前記高硬度層の合計厚みは0.1〜2.0mmで、前記高硬度層/前記基材層の厚みの比が0.01〜0.8であり、
(ii)前記高硬度層の鉛筆硬度がF以上であり、
(iii)該合成樹脂積層体を高温高湿環境下に放置した後のカール形状が前記高硬度層側を凸に曲率半径R≧2.0mとなる、
合成樹脂積層体。 - 前記基材層の前記高硬度層とは反対側の表面における水蒸気透過率が0.2〜0.6g/m2・dayになるように第3層がさらに積層されており、高温高湿環境下に放置した後の前記合成樹脂積層体のカール形状が前記高硬度層側を凸、又は前記基材層側を凸に曲率半径R≧3.2mとなる積層体であることを特徴とする請求項1に記載の合成樹脂積層体。
- 前記基材層に含まれる前記熱可塑性樹脂(A)がポリカーボネート(a1)を含有する樹脂であり、前記高硬度層に含まれる前記熱可塑性樹脂(B)が芳香族ビニル−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和ジカルボン酸共重合体(b1)とビニル系単量体を構成単位とする樹脂(b2)を含有する樹脂であって、
前記(b1)が、芳香族ビニル単量体単位45〜80質量%、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位5〜45質量%、不飽和ジカルボン酸無水物単量体単位10〜30質量%である芳香族ビニル−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和ジカルボン酸共重合体であり、
前記樹脂(B)が、前記(b1)の50〜100質量部と前記(b2)の50〜0質量部とのブレンド樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載の合成樹脂積層体。 - 前記(b1)の(メタ)アクリル酸エステル単量体単位がメチルメタクリレートである事を特徴とする請求項3に記載の合成樹脂積層体。
- 前記樹脂(B)が、重量平均分子量50,000〜300,000の前記芳香族ビニル−(メタ)アクリル酸エステル−不飽和ジカルボン酸共重合体(b1)50〜100質量部と、重量平均分子量50,000〜500,000のメチルメタクリレート樹脂(b2)50〜0質量部とのブレンド樹脂であることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の合成樹脂積層体。
- 前記ポリカーボネート(a1)の重量平均分子量が25,000〜75,000であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか記載の合成樹脂積層体。
- 前記高硬度層および/または前記基材層が紫外線吸収剤を含有することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか記載の合成樹脂積層体。
- 前記高硬度層の表面上にハードコート処理を施した請求項1〜請求項7のいずれかを特徴とする合成樹脂積層体。
- 前記樹脂積層体の片面または両面に、反射防止処理、防汚処理、耐指紋処理、帯電防止処理、耐候性処理および防眩処理のいずれか一つ以上を施した請求項1〜請求項8のいずれかに記載の合成樹脂積層体。
- 前記高硬度層と前記基材層のそれぞれの引張弾性率が、1600MPa以上である、請求項1〜請求項9のいずれかに記載の合成樹脂積層体。
- 前記高硬度層の引張弾性率と前記基材層の引張弾性率との差が、400MPa以下である、請求項1〜請求項10のいずれかに記載の合成樹脂積層体。
- 請求項1〜請求項11のいずれかに記載の合成樹脂積層体を含む透明性基板材料。
- 請求項1〜請求項11のいずれかに記載の合成樹脂積層体を含む透明性保護材料。
- 請求項1〜請求項11のいずれかに記載の合成樹脂積層体を含むタッチパネル前面保護板。
- 請求項1〜請求項11のいずれかに記載の合成樹脂積層体を含む低水蒸気透過率板の積層体。
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