JP2008216330A - 防眩性ハードコートフィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材フィルム上に、バリア層を介して、防眩性ハードコート層形成用材料を用いて形成された、活性エネルギー線硬化樹脂層からなる防眩性ハードコート層を有するハードコートフィルムであって、(1)前記防眩性ハードコート層形成用材料が、(A)活性エネルギー線硬化型化合物と、(B)熱可塑性樹脂を、質量基準で100:0.3〜100:50の割合で含むと共に、(C)前記(A)成分と(B)成分に対する良溶媒と、(D)前記(B)成分に対する貧溶媒を、質量基準で99:1〜10:90の割合で含むものである。
【選択図】なし
Description
このような問題を解決するために、これまで種々のディスプレイに対して、様々な防眩処置がとられている。その一つとして、例えば液晶表示体における偏光板に使用されるハードコートフィルムや各種ディスプレイ保護用ハードコートフィルムなどに対し、その表面を粗面化する防眩処理が施されている。このハードコートフィルムの防眩処理方法は、一般に、(1)ハードコート層を形成するための硬化時に物理的方法で表面を粗面化する方法、(2)ハードコート層形成用のハードコート剤にフィラーを混入する方法、及び(3)ハードコート層形成用のハードコート剤に、非相溶な2成分が含有され、それらの相分離を利用する方法の3種類に大別することができる。
前記(3)の相分離を利用する方法としては、例えば少なくとも1つのポリマーと少なくとも1つの硬化性樹脂前駆体と溶媒とを含む液相から、前記溶媒の蒸発に伴うスピノーダル分解により、相分離構造を形成し、前記樹脂前駆体を硬化させることにより、表面に凹凸構造を有する防眩層を形成する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、この技術においては、前記溶媒は、各成分を均一に溶解し得るものであれば使用することができるとしており、相分離する各成分に対する溶解性については、なんら言及されていない。したがって、使用する溶媒の種類によっては、相分離した各領域が大きくなりすぎ、高精細な防眩機能が発揮されないという問題が生じる。
そこで、本発明者らは、特定の割合の活性エネルギー線硬化型重合性化合物と熱可塑性樹脂を含むと共に、少なくとも2種の溶媒を含み、かつこの溶媒が、前記の活性エネルギー線硬化型重合性化合物と熱可塑性樹脂の両方に対する良溶媒及び該熱可塑性樹脂に対する貧溶媒を特定の割合で含有する混合溶媒であるコート材料、並びに基材フィルム上に、このコート材料を用いて形成された、活性エネルギー線硬化樹脂層からなる防眩性ハードコート層を有することを特徴とする防眩性ハードコートフィルムを提案した(例えば、特許文献2参照)。
この技術によれば、ハードコート層が、防眩性を付与する微粒子を含有しないか、含有してもその量を低減することができ、かつ高精細な防眩性及び安定な光学特性を有すると共に、耐擦傷性に優れ、各種ディスプレイに好適に用いられる防眩性ハードコートフィルムを得ることができる。
しかしながら、この相分離を利用する技術においては、コート材料に用いる混合溶媒がある程度限定されるために、基材フィルムの種類や該混合溶媒の種類によっては、基材フィルムが、防眩性ハードコート層を形成する際に、損傷を受ける場合があるという問題があった。
すなわち、本発明は、
[1]基材フィルム上に、バリア層を介して、防眩性ハードコート層形成用材料を用いて形成された、活性エネルギー線硬化樹脂層からなる防眩性ハードコート層を有するハードコートフィルムであって、
(1)前記防眩性ハードコート層形成用材料が、(A)活性エネルギー線硬化型化合物と、(B)熱可塑性樹脂を、質量基準で100:0.3〜100:50の割合で含むと共に、(C)前記(A)成分と(B)成分に対する良溶媒と、(D)前記(B)成分に対する貧溶媒を、質量基準で99:1〜10:90の割合で含むものであること、及び
(2)前記バリア層が、活性エネルギー線硬化型化合物を含むバリア層形成用材料を用いて形成された、活性エネルギー線硬化樹脂層であること、
を特徴とする防眩性ハードコートフィルム、
[2]防眩性ハードコート層形成用材料及び/又はバリア層形成用材料が、帯電防止剤を含む上記[1]項に記載の防眩性ハードコートフィルム、
[3]防眩性ハードコート層形成用材料及び/又はバリア層形成用材料が、重合性不飽和基含有有機化合物が結合したシリカ微粒子を含む上記[1]又は[2]項に記載の防眩性ハードコートフィルム、
[4]防眩性ハードコート層形成用材料における(B)成分の熱可塑性樹脂が、ポリエステル系樹脂及びポリエステルウレタン系樹脂の中から選ばれる少なくとも1種である上記[1]〜[3]項のいずれかに記載の防眩性ハードコートフィルム、
[5]防眩性ハードコート層が、(A)成分と(B)成分とが相分離した構造を形成している上記[1]〜[4]項のいずれかに記載の防眩性ハードコートフィルム、
[6]防眩性ハードコート層表面の算術平均粗さRaが、0.015〜0.3μmである上記[1]〜[5]項のいずれかに記載の防眩性ハードコートフィルム、
[7]60°グロス値が110以下である上記[1]〜[6]項のいずれかに記載の防眩性ハードコートフィルム、
[8]像鮮明度の合計値が100以上である上記[1]〜[7]項のいずれかに記載の防眩性ハードコートフィルム、及び
[9]バリア層の厚さが0.1〜30μmである上記[1]〜[8]項のいずれかに記載の防眩性ハードコートフィルム、
を提供するものである。
[基材フィルム]
この基材フィルムについては特に制限はなく、従来光学用ハードコートフィルムの基材として公知のプラスチックフィルムの中から適宣選択して用いることができる。このようなプラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、ジアセチルセルロースフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、アセチルセルロースブチレートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ポリアミドフィルム、アクリル樹脂フィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、シクロオレフィン樹脂フィルム等を挙げることができる。
これらの基材フィルムは、透明、半透明のいずれであってもよく、また、着色されていてもよいし、無着色のものでもよく、用途に応じて適宜選択すればよい。例えば液晶表示体の保護用として用いる場合には、無色透明のフィルムが好適である。
本発明においては、まず、この基材フィルムの防眩性ハードコート層が形成される側の表面に、バリア層が設けられる。このバリア層は、基材フィルム上に防眩性ハードコート層形成用材料を用いて防眩性ハードコート層を形成する際に、該コート層形成用材料中の溶媒から、当該基材フィルムを保護するためのものである。
本発明においては、このバリア層は、活性エネルギー線硬化型化合物を含むバリア層形成用材料を用いて、前記基材フィルムの防眩性ハードコート層が形成される側の表面に形成される。
バリア層を形成することにより、基材フィルムを侵す溶媒であっても、防眩性ハードコート層形成用材料の溶媒として用いることができるので、使用できる防眩性ハードコート層形成用材料の種類が増え、また良好な防眩性を有するハードコートフィルムを製造することが容易となる。
当該バリア層形成用材料に含まれる活性エネルギー線硬化型化合物とは、電磁波又は荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するもの、すなわち、紫外線又は電子線などを照射することにより、架橋、硬化する重合性化合物を指す。
このような活性エネルギー線硬化型化合物としては、例えば光重合性プレポリマー及び/又は光重合性モノマーを挙げることができる。また、重合性不飽和基含有有機化合物が結合したシリカ微粒子も用いることができる。上記光重合性プレポリマーには、ラジカル重合型とカチオン重合型があり、ラジカル重合型の光重合性プレポリマーとしては、例えばポリエステルアクリレート系、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリオールアクリレート系などが挙げられる。ここで、ポリエステルアクリレート系プレポリマーとしては、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
一方、カチオン重合型の光重合性プレポリマーとしては、エポキシ系樹脂が通常使用される。このエポキシ系樹脂としては、例えばビスフェノール樹脂やノボラック樹脂などの多価フェノール類にエピクロルヒドリンなどでエポキシ化した化合物、直鎖状オレフィン化合物や環状オレフィン化合物を過酸化物などで酸化して得られた化合物などが挙げられる。
前記シラノール基と反応し得る官能基を有する重合性不飽和基含有有機化合物としては、例えば一般式(I)
で表される化合物などが好ましく用いられる。
このような化合物としては、例えばアクリル酸、アクリル酸クロリド、アクリル酸2−イソシアナ−トエチル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸2,3−イミノプロピル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランなど及びこれらのアクリル酸誘導体に対応するメタクリル酸誘導体を用いることができる。これらのアクリル酸誘導体やメタクリル酸誘導体は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
このようにして得られた重合性不飽和基含有有機化合物が結合したシリカ微粒子は、活性エネルギー線硬化成分として、活性エネルギー線の照射により架橋、硬化する。
この反応性シリカ微粒子は、得られる防眩性ハードコートフィルムの硬化収縮性及び熱湿収縮性を低下させ、これら収縮による防眩性ハードコートフィルムのカールの発生を抑制する効果を有している。該反応性シリカ微粒子の配合量は、通常シリカとして、形成されるバリア層中に20〜80質量%の割合で含有するように選定することが好ましい。この含有量が20質量%未満では防眩性ハードコートフィルムのカール発生抑制効果が十分に発揮されないおそれがあるし、80質量%を超えるとバリア層がもろくなることがある。バリア層の形成性及び防眩性ハードコートフィルムのカール抑制などを考慮すると、バリア層中のシリカのより好ましい含有量は30〜70質量%の範囲である。
このようなシリカ微粒子に重合性不飽和基を有する有機化合物を結合させてなる化合物を含む紫外線(UV)硬化型ハードコート剤として、例えばJSR(株)製、商品名「オプスターZ7530」、「オプスターZ7524」、「オプスターTU4086」などが上市されている。
四級アンモニウム塩基を有するカチオン系帯電防止剤は、低分子型及び高分子型のいずれも使用することができるが、効果の持続性及びブリードアウトやガス発生の防止性などの点から、高分子型カチオン系帯電防止剤が好ましい。
上記高分子型カチオン系帯電防止剤としては、従来公知のものの中から、任意のものを適宜選択して用いることができる。具体的には、分子内に、一般式(II)
で表される四級アンモニウム塩基を有する高分子重合体を好ましく挙げることができる。
上記一般式(II)において、R3及びR4で示されるアルキル基並びにR5のうちのアルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基、特に炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、また、R5のうちのアラルキル基としては、ベンジル基が好ましい。炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられる。
このような高分子型四級アンモニウム塩系帯電防止剤としては、例えば以下に示す化合物、すなわち、ポリビニルベンジル型[(a)]、ポリ(メタ)アクリレート型[(b)]、スチレン−(メタ)アクリレート共重合体型[(c)]、スチレン−マレイミド共重合体型[(d)]、メタクリレート−メタクリルイミド共重合体型[(e)]などを挙げることができる。なお、(c)、(d)及び(e)の共重合体型においては、ランダム共重合体型及びブロック共重合体型のいずれであってもよい。
一方、低分子型カチオン系帯電防止剤としては、例えば、一般式(III)
で表される四級アンモニウム塩基を有する化合物を好ましく挙げることができる。
上記一般式(III)におけるAの例としては、ラウリル基などのドデシル基、ミリスチル基などのテトラデシル基、パルミチル基などのヘキサデシル基、ステアリル基などのオクタデシル基、エイコシル基、ベヘニル基などが挙げられる。
また、R6、R7、R8、Ym-及びmは、それぞれ一般式(II)におけるR3、R4、R5、Xn-及びnと同じである。
本発明においては、この低分子型カチオン系帯電防止剤は1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
このような反応性カチオン系帯電防止剤を用いることにより、活性エネルギー線を照射した際に、前述の活性エネルギー線硬化型化合物と共重合して、形成される高分子鎖内に取り込まれるため、得られる防眩性ハードコートフィルムは、帯電防止性能の持続性が向上する。
この反応性カチオン系帯電防止剤としては、例えば一般式(IV)
で表される反応性四級アンモニウム塩系化合物などを挙げることができる。
本発明においては、この反応性カチオン系帯電防止剤は1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、前記高分子型カチオン系帯電防止剤、低分子型カチオン系帯電防止剤及び反応性カチオン系帯電防止剤を適当に組み合わせて用いることができる。
当該バリア層形成用材料には、必要に応じ、適当な溶媒中に、前記の活性エネルギー線硬化型化合物と、所望により用いられる前記の光重合開始剤、帯電防止剤、さらには各種添加剤、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、レベリング剤、消泡剤などを、それぞれ所定の割合で加え、溶解又は分散させることにより、調製することができる。
この際使用する溶媒としては、基材フィルムに損傷を与えにくい溶媒を選択して用いることが望ましく、例えば基材フィルムがトリアセチルセルロース(TAC)フィルムや易接着ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムである場合には、該溶媒として、メチルイソブチルケトン、キシレン、トルエン、テトラヒドロフラン、エチルセロソルブ、イソブタノール、イソプロパノール、メタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどの中から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
このようにして調製されたバリア層形成用材料の濃度、粘度としては、コーティング可能な濃度、粘度であればよく、特に制限されず、状況に応じて適宜選定することができる。
活性エネルギー線としては、例えば紫外線や電子線などが挙げられる。上記紫外線は、高圧水銀ランプ、フュージョンHランプ、キセノンランプなどで得られる。一方電子線は、電子線加速器などによって得られる。この活性エネルギー線の中では、特に紫外線が好適である。なお、電子線を使用する場合は、重合開始剤を添加することなく、硬化膜を得ることができる。
本発明においては、このようにして形成されたバリア層の厚さは、バリア層としての機能及び帯電防止性付与などの観点から0.1〜30μmの範囲が好ましく、1〜20μmの範囲がより好ましい。
本発明の防眩性ハードコートフィルムにおいては、このようにして基材フィルム上に設けられたバリア層上に、防眩性ハードコート層形成用材料を用いて、防眩性ハードコート層を形成する。
この防眩性ハードコート層の形成に用いられる防眩性ハードコート層形成用材料(以下、単にハードコート層用コート剤と称することがある。)は、(A)活性エネルギー線硬化型化合物、(B)熱可塑性樹脂、(C)前記(A)成分と(B)成分に対する良溶媒及び(D)前記(B)成分に対する貧溶媒を含む塗工液である。
当該ハードコート層用コート剤における(A)成分の活性エネルギー線硬化型化合物としては、例えば光重合性プレポリマー及び/又は光重合性モノマーを挙げることができる。また、重合性不飽基含有有機化合物が結合したシリカ微粒子も用いることができる。これらについては、前述のバリア層における活性エネルギー線硬化型化合物について説明したとおりである。
一方、(B)成分である熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく様々な樹脂を用いることができるが、前記(A)成分の活性エネルギー線硬化型化合物との相分離性や、形成される防眩性ハードコート層の性能の点などから、ポリエステル系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、アクリル系樹脂などが好適である。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ここで、ポリエステル系樹脂としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキシドやプロピレンオキシド付加物などのアルコール成分の中から選ばれる少なくとも1種と、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸及びその酸無水物などのカルボン酸成分の中から選ばれる少なくとも1種とを縮重合させて得られた重合体などを挙げることができる。
さらに、アクリル系樹脂としては、アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの中から選ばれる少なくとも1種の単量体の重合体、又は前記の(メタ)アクリル酸アルキルエステルと他の共重合可能な単量体との共重合体などを挙げることができる。
これらの中で、特にポリエステル系樹脂及び/又はポリエステルウレタン系樹脂が好ましい。
当該ハードコート層用コート剤における前記(A)成分の活性エネルギー線硬化型化合物と、前記(B)成分の熱可塑性樹脂の含有比率は、質量基準で100:0.3〜100:50の範囲で選定される。(A)成分100質量部に対し、(B)成分の含有量が0.3質量部以上であれば、形成されるハードコート層の表面に微細な凹凸構造を良好に形成することができ、50質量部以下であれば、該ハードコート層は良好な硬度(耐擦傷性)を有するものになる。前記含有比率[(A):(B)]は、質量基準で好ましくは100:0.5〜100:50、より好ましくは100:1〜100:45である。
対象となる試料の固形分3g相当に、溶解性を測定しようとする溶媒を全量が20gになるように加え、温度25℃にてかきまぜた場合に、均一で透明性を有し、粘度変化がなく相溶したものを、該試料に対し良溶媒であるとし、一方、にごりが認められたり、増粘、分離が認められたものを、該試料に対し貧溶媒であるとする。
(B)成分の熱可塑性樹脂が、例えばポリエステル系樹脂又はポリエステルウレタン系樹脂である場合、前記樹脂に対する良溶媒としては、シクロヘキサノン、アセトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトンなどを例示することができる。一方、貧溶媒としては、トルエン、キシレン、メチルイソブチルケトン、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、イソブタノール、イソプロパノール、エタノール、メタノール、ヘキサン、精製水などを例示することができる。
なお、前記の良溶媒、及び精製水を除く貧溶媒は、いずれも、通常用いられる活性エネルギー線硬化型化合物に対して、良溶媒である。
本発明においては、前記(C)成分の溶媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよく、前記(D)成分の溶媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
当該ハードコート層用コート剤における前記(C)成分の溶媒と前記(D)成分の溶媒の含有比率[(C):(D)]は、質量基準で99:1〜10:90の範囲で選定される。該含有比率が上記範囲にあれば、ハードコート層形成時において、良好な相分離が生じ、得られるハードコート層表面に微細な凹凸構造が形成される。該含有比率は、質量基準で好ましくは97:3〜15:85、より好ましくは95:5〜40:60である。
本発明においては、これらの無機系微粒子や有機系微粒子は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、その含有量は、従来の技術に比べて、はるかに少なくてよく、通常前記(A)成分と(B)成分との合計量100質量部に対し、0.1〜10質量部程度である。該微粒子の含有量が上記範囲にあれば、形成されるハードコート層は安定した光学特性が得られると共に、より良好な防眩性が付与される。該微粒子の好ましい含有量は1〜8質量部、さらに好ましくは2.5〜5質量部である。
当該ハードコート層用コート剤における溶媒の含有量に特に制限はないが、塗工に適した粘度のコート剤が得られるように、該含有量を適宜選定すればよいが、50〜95質量%が好ましい。
本発明においては、基材フィルム上に設けられたバリア層上に、前記のようにして調製されたハードコート層用コート剤を、従来公知の方法、例えば、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法などを用いて、コーティングして塗膜を形成させ、乾燥後、これに活性エネルギー線を照射して該塗膜を硬化させることにより、防眩性ハードコート層が形成される。本発明においては、バリア層上にハードコート層用コート剤を塗工するため、該コート剤中の溶媒によって、基材フィルムが損傷を受けることがない。
活性エネルギー線としては、例えば紫外線や電子線などが挙げられる。上記紫外線は、高圧水銀ランプ、フュージョンHランプ、キセノンランプなどで得られ、照射量は、通常100〜500mJ/cm2であり、一方電子線は、電子線加速器などによって得られ、照射量は、通常150〜350kVである。この活性エネルギー線の中では、特に紫外線が好適である。なお、電子線を使用する場合は、重合開始剤を添加することなく、硬化膜を得ることができる。
このようにして形成された防眩性ハードコート層の厚さは0.5〜20μmの範囲が好ましい。この厚さが0.5μm未満では防眩性ハードコートフィルムの耐擦傷性が十分に発揮されないおそれがあるし、また20μmを超えると60°グロス値が高くなるおそれがある。耐擦傷性及び60°グロス値のバランスなどの面から、このハードコート層のより好ましい厚さは1〜15μmの範囲であり、特に2〜10μmの範囲が好適である。
本発明の防眩性ハードコートフィルムにおいては、防眩性ハードコート層表面の算術平均粗さRaは、通常0.015〜0.3μm程度である。該Raが上記範囲にあれば、高精細でち密な凹凸となるので、良好な像鮮明度が得られる。該Raの好ましい値は、0.02〜0.29μmである。
なお、前記算術平均粗さRaは、JIS B 0601−1994に準拠して測定した値である。
本発明の防眩性ハードコートフィルムは、本発明の目的を達成するために、以下に示す光学的特性及び硬度を有することが好ましい。
本発明の防眩性ハードコートフィルムにおいては、ヘイズ値及び60゜グロス値が防眩性の指標となり、ヘイズ値は2%以上が望ましく、また60゜グロス値は110以下が好ましい。ヘイズ値が2%未満では十分な防眩性が発揮されにくいし、また、60゜グロス値が110を超えると表面光沢度が大きく(光の反射が大きい)、防眩性に悪影響を及ぼす原因となる。ただし、ヘイズ値があまり高すぎると光透過性が悪くなり、好ましくない。また、像鮮明度の合計値は100以上が好ましい。この像鮮明度の合計値は表示画質、すなわち視認性の指標となり、この値が100未満では十分に良好な表示画質(視認性)が得られない。さらに、全光線透過率は88%以上が好ましく、88%未満では透明性が不十分となるおそれがある。
防眩性、表示画質(視認性)、光透過性、透明性などのバランスの面から、ヘイズ値は、好ましくは3〜80%、像鮮明度の合計値は、より好ましくは150以上、全光線透過率は、より好ましくは90%以上である。
なお、前記光学的特性の測定方法については、後で説明する。
本発明の防眩性ハードコートフィルムにおいては、基材フィルムのハードコート層とは反対側の面に、液晶表示体などの被着体に貼着させるための粘着剤層を形成させることができる。この粘着剤層を構成する粘着剤としては、光学用途に適した、例えばアクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤が好ましく用いられる。この粘着剤層の厚さは、通常5〜100μm、好ましくは10〜60μmの範囲である。
さらに、この粘着剤層の上に、必要に応じて剥離フィルムを設けることができる。この剥離フィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンなどの各種プラスチックフィルムに、シリコーン樹脂などの剥離剤を塗付したものなどが挙げられる。この剥離フィルムの厚さについては特に制限はないが、通常20〜150μm程度である。
なお、防眩性ハードコートフィルムの性能は、下記の方法に従って評価した。
(1)全光線透過率及びヘイズ値
日本電色工業(株)製ヘイズメーター「NDH2000」を使用し、JIS K 7136に準拠して測定する。
(2)60゜グロス値
日本電色工業(株)製グロスメーター「VG2000」を使用し、JIS K 7105に準拠して測定する。
(3)像鮮明度の合計値
スガ試験機(株)製写像性測定器「ICM−10P」を使用し、JIS K 7105に準拠して測定する。5種類のスリット(スリット幅:0.125mm、0.25mm、0.5mm、1mm及び2mm)の合計値を像鮮明度と表す。
(4)耐擦傷性
コート層表面をスチールウール(#0000)で擦り付けた際の傷付き度合いを目視観察した。○は傷が付かないことを示す。
(5)ハードコート層用コート剤の安定性
コート剤を24時間放置した際の状態を目視観察した。○は変化しないことを示す。
(6)表面の算術平均粗さRa
(株)ミツトヨ製表面粗さ測定機「SV30000S4」を用い、JIS B 0601−1994に準拠して測定する。
(7)ハードコート層用コート剤による基材フィルムの侵食
バリア層上又は基材フィルム上に、ハードコート層用コート剤を添加し、10分間放置後のバリア層又は基材フィルムの表面状態を観察し、以下の基準で評価した。
なし:変化なし
あり:表面が侵食され、ぬめりがみられる。
(8)表面抵抗率
JIS K 6911に準拠し、三菱化学(株)製、抵抗率計「MCP−HT450」に連結した平行電極を使用して測定した。
帯電防止剤を含有する活性エネルギー線硬化型化合物として、紫外線(UV)硬化型ハードコート剤[JSR(株)製、商品名「オプスターTU4086」、反応性シリカ微粒子と多官能アクリレートを含有する活性エネルギー線硬化型化合物58質量%、帯電防止剤2質量%、メチルイソブチルケトン35質量%、メチルエチルケトン5質量%]100質量部、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン[チバスペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名「イルガキュア184」、固形分100%]2.4質量部、及び希釈溶媒としてエチルセロソルブ80質量部を均一に混合し、固形分濃度34質量%のバリア層形成用コート剤(バリア層形成用材料)を調製した。
調製例2 ハードコート層用コート剤Aの調製
(A)帯電防止剤を含有する活性エネルギー線硬化型化合物としてUV硬化型ハードコート剤「オプスターTU4086」(前出)100質量部、(B)熱可塑性樹脂としてポリエステル樹脂[東洋紡績(株)製、商品名「バイロン20SS」、ポリエステル樹脂30質量%、トルエン(沸点110.6℃)56質量%、メチルエチルケトン(沸点79.6℃)14質量%]23質量部、光開始剤として「イルガキュア184」(前出)2.4質量部、及び希釈溶媒としてエチルセロソルブ40質量部、シクロヘキサノン(沸点155.7℃)80質量部を均一に混合し、固形分濃度28質量%のハードコート層用コート剤(防眩性ハードコート層形成用材料)Aを調製した。
調製例3 ハードコート層用コート剤Bの調製
(A)活性エネルギー線硬化型化合物としてUV硬化型ハードコート剤[JSR(株)製、商品名「オプスターZ7530」反応性シリカ微粒子と多官能アクリレートを含有する活性エネルギー線硬化型化合物70質量%、光重合開始剤5質量%、メチルエチルケトン25質量%]100質量部、(B)熱可塑性樹脂としてポリエステル樹脂「バイロン20SS」(前出)17.5質量部、及び希釈溶媒としてエチルセロソルブ20質量部、シクロヘキサノン70質量部を均一に混合し、固形分濃度38質量%のハードコート層用コート剤(防眩性ハードコート層形成用材料)Bを調製した。
調製例4 ハードコート層用コート剤Cの調製
希釈溶媒を、トルエン45質量部、シクロヘキサノン45質量部に変えた以外は、ハードコート層用コート剤Bと同様にして、ハードコート層用コート剤(防眩性ハードコート層形成用材料)Cを調製した。
(A)活性エネルギー線硬化型化合物としてUV硬化型ハードコート剤[JSR(株)製、商品名「オプスターZ7524」反応性シリカ微粒子を含む活性エネルギー線硬化型化合物70質量%、光重合開始剤5質量%、メチルエチルケトン25質量%]100質量部、(B)熱可塑性樹脂としてポリエステル樹脂「バイロン20SS」(前出)100質量部、及び希釈溶媒としてシクロヘキサノン90質量部を均一に混合し、固形分濃度36質量%のハードコート層用コート剤(防眩性ハードコート層形成用材料)Dを調製した。
調製例6 ハードコート層用コート剤Eの調製
希釈溶媒を、シクロヘキサノン90質量部に変えた以外は、ハードコート層用コート剤Bと同様にして、ハードコート層用コート剤(防眩性ハードコート層形成用材料)Eを調製した。
調製例7 ハードコート層用コート剤Fの調製
希釈溶媒を、トルエン100質量部、シクロヘキサノン20質量部に変えた以外は、ハードコート層用コート剤Aと同様にして、ハードコート層用コート剤(防眩性ハードコート層形成用材料)Fを調製した。
調製例8 ハードコート層用コート剤Gの調製
(A)活性エネルギー線硬化型化合物としてUV硬化型ハードコート剤[JSR(株)製、商品名「オプスターZ7530」](前出)100質量部、(B)熱可塑性樹脂としてポリエステルウレタン樹脂[東洋紡績(株)製、商品名「バイロンUR3200」、ポリエステルウレタン樹脂30質量%、トルエン56質量%、メチルエチルケトン14質量%]30質量部、希釈溶媒として、エチルセロソルブ45質量部、シクロヘキサノン45質量部を均一に混合し、固形分濃度39質量%のハードコート層用コート剤(防眩性ハードコート層形成用材料)Gを調製した。
調製例2〜8における各ハードコート層用コート剤A〜Gに含まれる溶剤が、それぞれの調製例で使用した熱可塑性樹脂に対して良溶媒か貧溶媒かは以下の通りである。
ハードコート層用コート剤A〜Fのポリエステル樹脂「バイロン20SS」に対して
メチルエチルケトンとシクロヘキサノン:良溶媒
メチルイソブチルケトン、トルエン及びエチルセロソルブ:貧溶媒
ハードコート層用コート剤Gのポリエステルウレタン樹脂「バイロンUR3200」に対して
メチルエチルケトンとシクロヘキサノン:良溶媒
メチルイソブチルケトン、トルエン及びエチルセロソルブ:貧溶媒
また、調製例2〜8における各ハードコート層用コート剤に含まれる全ての溶媒は、各調製例で使用した(A)活性エネルギー線硬化型化合物に対して良溶媒である。
厚さ80μmのTACフィルム[コニカミノルタオプト(株)製、商品名「KC8UX2M」]の表面に、調製例1で得たバリア層形成用コート剤を、硬化膜厚が約2.5μmになるようにマイヤーバーで塗工し、70℃のオーブンで1分間乾燥させたのち、高圧水銀ランプで300mJ/cm2の紫外線を照射して、バリア層を形成した。
次いで、このバリア層上に、調製例2で得たハードコート層用コート剤Aを、硬化膜厚が約0.6μmになるようにマイヤーバーで塗工し、70℃のオーブンで1分間乾燥させたのち、高圧水銀ランプで300mJ/cm2の紫外線を照射して防眩性ハードコート層を形成し、防眩性ハードコートフィルムを作製した。その性能評価結果を第1表に示す。
実施例2
実施例1において、防眩性ハードコート層の膜厚を約1.5μmに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、防眩性ハードコートフィルムを作製した。その性能評価結果を第1表に示す。
実施例3
実施例2において、バリア層の膜厚を5.5μmに変更した以外は、実施例2と同様の操作を行い、防眩性ハードコートフィルムを作製した。その性能評価結果を第1表に示す。
実施例4
実施例1と同様にして、厚さ80μmのTACフィルムの表面に、膜厚が約3.5μmのバリア層を形成した。
次いで、このバリア層上に、調製例3で得たハードコート層用コート剤Bを、硬化膜厚が約2.5μmになるようにマイヤーバーで塗工し、70℃のオーブンで1分間乾燥させたのち、高圧水銀ランプで300mJ/cm2の紫外線を照射して防眩性ハードコート層を形成し、防眩性ハードコートフィルムを作製した。その性能評価結果を第1表に示す。
実施例5
実施例4において、バリア層の膜厚を約1.5μm、防眩性ハードコート層の膜厚を約1.0μmに変更した以外は、実施例4と同様の操作を行い、防眩性ハードコートフィルムを作製した。その性能評価結果を第1表に示す。
実施例1と同様にして、厚さ80μmのTACフィルムの表面に、膜厚が約2.5μmのバリア層を形成した。
次いで、このバリア層上に、調製例4で得たハードコート層用コート剤Cを、硬化膜厚が約2.5μmになるようにマイヤーバーで塗工し、70℃のオーブンで1分間乾燥させたのち、高圧水銀ランプで300mJ/cm2の紫外線を照射して防眩性ハードコート層を形成し、防眩性ハードコートフィルムを作製した。その性能評価結果を第2表に示す。
実施例7
実施例1と同様にして、厚さ80μmのTACフィルムの表面に、膜厚が約2.5μmのバリア層を形成した。
次いで、このバリア層上に、調製例5で得たハードコート層用コート剤Dを、硬化膜厚が約4.0μmになるようにマイヤーバーで塗工し、70℃のオーブンで1分間乾燥させたのち、高圧水銀ランプで300mJ/cm2の紫外線を照射して防眩性ハードコート層を形成し、防眩性ハードコートフィルムを作製した。その性能評価結果を第2表に示す。
実施例8
実施例1と同様にして、厚さ80μmのTACフィルムの表面に、膜厚が約2.5μmのバリア層を形成した。
次いで、このバリア層上に、調製例6で得たハードコート層用コート剤Eを、硬化膜厚が約4.0μmになるようにマイヤーバーで塗工し、70℃のオーブンで1分間乾燥させたのち、高圧水銀ランプで300mJ/cm2の紫外線を照射して防眩性ハードコート層を形成し、防眩性ハードコートフィルムを作製した。その性能評価結果を第2表に示す。
実施例9
実施例1と同様にして、厚さ80μmのTACフィルムの表面に、膜厚が約2.5μmのバリア層を形成した。
次いで、このバリア層上に、調製例7で得たハードコート層用コート剤Fを、硬化膜厚が約3.0μmになるようにマイヤーバーで塗工し、70℃のオーブンで1分間乾燥させたのち、高圧水銀ランプで300mJ/cm2の紫外線を照射して防眩性ハードコート層を形成し、防眩性ハードコートフィルムを作製した。その性能評価結果を第2表に示す。
実施例10
実施例1と同様にして、厚さ80μmのTACフィルムの表面に、膜厚が約2.5μmのバリア層を形成した。
次いで、このバリア層上に、調製例8で得たハードコート層用コート剤Gを、硬化膜厚が約3.0μmになるようにマイヤーバーで塗工し、70℃のオーブンで1分間乾燥させたのち、高圧水銀ランプで300mJ/cm2の紫外線を照射して防眩性ハードコート層を形成し、防眩性ハードコートフィルムを作製した。その性能評価結果を第2表に示す。
厚さ80μmのTACフィルム「KC8UX2M」(前出)の表面に、直接調製例2で得たハードコート層用コート剤Aを、硬化膜厚が約0.6μmになるようにマイヤーバーで塗工し、70℃のオーブンで1分間乾燥させたのち、高圧水銀ランプで300mJ/cm2の紫外線を照射して、防眩性ハードコート層を形成し、防眩性ハードコートフィルムを作製した。その性能評価結果を第3表に示す。
比較例2
比較例1において、防眩性ハードコート層の膜厚を約1.5μmに変更した以外は、比較例1と同様の操作を行い、防眩性ハードコートフィルムを作製した。その性能評価結果を第3表に示す。
比較例3
比較例1において、防眩性ハードコート層の膜厚を約6.5μmに変更した以外は、比較例1と同様の操作を行い、防眩性ハードコートフィルムを作製した。その性能評価結果を第3表に示す。
比較例4
厚さ80μmのTACフィルム「KC8UX2M」(前出)の表面に、直接調製例3で得たハードコート層用コート剤Bを、硬化膜厚が約3.5μmになるようにマイヤーバーで塗工し、70℃のオーブンで1分間乾燥させたのち、高圧水銀ランプで300mJ/cm2の紫外線を照射して、防眩性ハードコート層を形成し、防眩性ハードコートフィルムを作製した。その性能評価結果を第3表に示す。
比較例1〜4はバリア層を設けていないため、ハードコート層用コート剤を基材フィルムに滴下して10分間放置した場合、基材フィルムが溶媒のシクロヘキサノンとメチルエチルケトンに侵され、表面にぬめりがみられる。これに対して、実施例1〜10は、帯電防止性バリア層が設けられており、このバリア層上にハードコート層用コート剤を滴下しても、前記のような現象は起こらない。
比較例1〜3では、帯電防止性バリア層が設けられておらず、像鮮明度100以上にしようとすると、表面抵抗率が1012Ω/□レベルになってしまい、ハードコート層を厚くすると、表面抵抗率は1011Ω/□レベルになるが、像鮮明度が下がってしまう(表面粗さも大きくなる。)。これに対し、実施例1〜3及び実施例9は、ハードコート層が帯電防止剤を含むため、像鮮明度を100以上に保つと共に、表面抵抗率を1011Ω/□レベルにすることができる。
比較例4は、ハードコート層用コート剤が帯電防止剤を含まないため、表面抵抗率が極めて高い(計測不可)。これに対し、実施例4〜8及び10は、ハードコート層に帯電防止剤を含まないが、帯電防止性バリア層が設けられているため、表面抵抗率が、比較例4に比べてはるかに小さい。
なお、実施例1〜10で得られた防眩性ハードコートフィルムについて、防眩性ハードコート層の表面を、デジタル顕微鏡[(株)キーエンス製、機種名「VHX−100」]にて観察(450倍)したところ、いずれも相分離状態を確認することができた。また、電解放出型走査電子顕微鏡[(株)日立ハイテクノロジー社製、機種名「S−4700」]にて、各防眩性ハードコート層の表面及び断面を観察したところ、いずれも表面のみならず、深さ方向にも相分離構造が形成されていることを確認できた。
Claims (9)
- 基材フィルム上に、バリア層を介して、防眩性ハードコート層形成用材料を用いて形成された、活性エネルギー線硬化樹脂層からなる防眩性ハードコート層を有するハードコートフィルムであって、
(1)前記防眩性ハードコート層形成用材料が、(A)活性エネルギー線硬化型化合物と、(B)熱可塑性樹脂を、質量基準で100:0.3〜100:50の割合で含むと共に、(C)前記(A)成分と(B)成分に対する良溶媒と、(D)前記(B)成分に対する貧溶媒を、質量基準で99:1〜10:90の割合で含むものであること、及び
(2)前記バリア層が、活性エネルギー線硬化型化合物を含むバリア層形成用材料を用いて形成された、活性エネルギー線硬化樹脂層であること、
を特徴とする防眩性ハードコートフィルム。 - 防眩性ハードコート層形成用材料及び/又はバリア層形成用材料が、帯電防止剤を含む請求項1に記載の防眩性ハードコートフィルム。
- 防眩性ハードコート層形成用材料及び/又はバリア層形成用材料が、重合性不飽和基含有有機化合物が結合したシリカ微粒子を含む請求項1又は2に記載の防眩性ハードコートフィルム。
- 防眩性ハードコート層形成用材料における(B)成分の熱可塑性樹脂が、ポリエステル系樹脂及びポリエステルウレタン系樹脂の中から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載の防眩性ハードコートフィルム。
- 防眩性ハードコート層が、(A)成分と(B)成分とが相分離した構造を形成している請求項1〜4のいずれかに記載の防眩性ハードコートフィルム。
- 防眩性ハードコート層表面の算術平均粗さRaが、0.015〜0.3μmである請求項1〜5のいずれかに記載の防眩性ハードコートフィルム。
- 60°グロス値が110以下である請求項1〜6のいずれかに記載の防眩性ハードコートフィルム。
- 像鮮明度の合計値が100以上である請求項1〜7のいずれかに記載の防眩性ハードコートフィルム。
- バリア層の厚さが0.1〜30μmである請求項1〜8のいずれかに記載の防眩性ハードコートフィルム。
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