JP4211088B2 - 防眩性ハードコートフィルムもしくはシート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種表示装置用の防眩性ハードコートフィルムもしくはシートに関し、さらに詳しくは、液晶表示装置、CRT(カソードレイチューブ)表示装置、プラズマ表示装置、エレクトロクロミック表示装置、発光ダイオード表示装置、EL(エレクトロルミネセンス)表示装置、各種の表示装置等の画面用の防眩に適し、また画面保護の機能も併せもつハードコートフィルムもしくはシートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置あるいはCRT等のディスプレイにおいて、画面に外部から光が入射し、この光が画面表面で反射してギラツキ等を発生させ、表示画像を見づらくするという欠点があった。特に近年、フラットパネルディスプレイの急速な普及と大型化に伴い上記欠点を解決すること(以降、防眩と記述する)が益々重要な課題となっている。特に液晶表示体はそれ自身発光せず、バックライトを内蔵しない限り、外光を利用して画像表示を行なわざるを得ないために、特に防眩性を施すことが重要となる。
従来、防眩性を付与する手段として、ガラス板、フィルム等の表面に多層蒸着層を設ける多層蒸着膜法、又サンドブラスト、エンボス加工、シリカ粒子の配合(特公昭63−40283号公報)等の種々の方式で表面を微細凹凸構造化した(以下、微細凹凸構造形成法とする)フィルムもしくはシート等からなる防眩層が提案されている。
しかしながら、多層蒸着膜法は大面積の画像表示面に形成させることが難しいことから、ディスプレイの大型化に対応することが困難であることに加えて、多層蒸着膜を画像表示面に形成させるコストが高いために、ディスプレイの製造コスト上昇を招くという欠点があった。
【0003】
一方、微細凹凸構造形成法は液晶表示装置等のフラットパネルディスプレイが薄型化及び軽量化するに伴い、微細凹凸表面化された透明プラスチックフィルム及びシートを画像表示体表面に直接貼り合わすことが行なわれている。例えば液晶表示装置に使用される偏光板に於いて、偏光膜を保護あるいは補強するために偏光膜の両面に透明プラスチックフィルム若しくはシートを直接貼合わせている。この場合に透明プラスチックフィルム及びシートの外側に面するフィルムに微細凹凸表面化された透明プラスチックフィルム及びシートを使用すると、さらに防眩フィルム及びシートを別に設ける必要がなく、薄型化及び軽量化を達成することができるためメリットが大きい。このような使用方法の場合、本来の表示像の視認性を低下させては利点がないことから、表示像の一定以上の解像度を保持する性能と表面に傷が付きにくい表面硬度を有するハードコート性が同時に要求される。
【0004】
しかしながら、従来の微細凹凸表面化された透明プラスチックフィルム及びシートに於いては、表示像の解像性とハードコート性をバランス良く満足させることが困難であった。例えばフィラー粒子を配合する方法において、その平均粒子径を小さくした場合には解像性を向上させ、鮮明でギラツキ感の小さい表示像を得るには有効であるが、同時にハードコート層の膜厚を薄くしなければ表面にフィラー粒子による微細凹凸が形成されない。このため表面硬度が低下する問題が生じる。またハードコート層の膜厚を厚くした場合には、表面硬度に代表されるハードコート性を付与するには効果的であるが、フィラー粒子が膜内に埋もれてしまうため、表面の微細凹凸形成に寄与しなくなる。一方、ハードコート性を優先させる為にその膜厚を厚く設定した状態で表面に微細凹凸を形成させる方法として、[1]小粒子径フィラーの多量配合、[2]大粒子径フィラーの配合、等が有効であるが、[1]の場合にはハードコート層の膜質が脆くなり、[2]の場合には表示像のギラツキ感が大きくなるという問題が発生する。従って、フィルムもしくはシート表面に傷が付きにくい表面硬度を有するハードコート性と共に、表示像のギラツキ感が小さい光学特性が要求されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上のようなフィルム若しくはシートに要求される課題を解決するためになされたもので、防眩性と鮮明でギラツキ感の小さい表示像をバランス良く満たす光学特性と耐擦傷性に優れた表面硬度や耐薬品性を有するハードコート性を兼ね備える防眩性ハードコートフィルムもしくはシートを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の発明は、透明プラスチックフィルムもしくはシート基材(1)の少なくとも一方の面に活性エネルギー線硬化樹脂被膜層を備える防眩性ハードコートフィルムであって、前記エネルギー線硬化樹脂被膜層が基材側から順に第1ハードコート層(2)、第2ハードコート層(3)を備え、且つ、前記第1ハードコート層(2)が無機もしくは有機微粒子を含有しない硬化樹脂の薄膜を設けてなるクリア硬化樹脂層であり、且つ、前記第2ハードコート層(3)が無機もしくは有機微粒子(4)を含有する硬化樹脂の薄膜であり、且つ、前記第1ハードコート層と前記第2ハードコート層が同一の活性エネルギー線硬化樹脂を含み、且つ、前記第1ハードコート層の膜厚が前記第2ハードコート層の膜厚と比較して大きいことを特徴とする防眩性ハードコートフィルムもしくはシートである。
【0007】
本発明の第2の発明は、活性エネルギー線硬化樹脂層を構成する第1ハードコート層(2)を活性エネルギー線照射によってハーフキュアさせ、次いで第2ハードコート層(3)を設けた後、第1及び第2ハードコート層を活性エネルギー線照射によって同時に完全硬化することを特徴とする防眩性ハードコートフィルムもしくはシートの製造方法である。
【0008】
また本発明は上記第1の発明において、第1ハードコート層(2)が膜厚0.5μm〜20μm、第2ハードコート層(3)が膜厚0.1μm〜5μmの活性エネルギー線硬化樹脂層からなる防眩性ハードコートフィルムもしくはシートである。
【0012】
【作用】
透明プラスチックフィルムもしくはシート基材(1)の少なくとも一方の面に活性エネルギー線硬化樹脂被膜層を設けたハードコートフィルムであって、前記基材(1)上に第1ハードコート層(2)として無機もしくは有機微粒子を含有しないクリア硬化樹脂層を設けた後、さらに第2ハードコート層(3)として無機もしくは有機微粒子(4)を含有する硬化樹脂の薄膜を設けてなる活性エネルギー線硬化樹脂被膜層であることを特徴とすることによって達せられ、好ましくは前記第1ハードコート層(2)が膜厚0.5μm〜20μm、第2ハードコート層(3)が膜厚0.1μm〜7μmの活性エネルギー線硬化樹脂層からなることを特徴とする防眩性ハードコートフィルムもしくはシートであり、さらに好ましくは前記無機もしくは有機微粒子(4)の平均粒子径が0.1μm〜5.0μmであることを特徴とする請求項1、または2、または3記載の防眩性ハードコートフィルムもしくはシートである。さらに前記の活性エネルギー線硬化樹脂層を構成する第1ハードコート層(2)を活性エネルギー線照射によってハーフキュアさせ、次いで第2ハードコート層(3)を設けた後、第1及び第2ハードコート層を活性エネルギー線照射によって同時に完全硬化することを特徴とする請求項4、または5、または6記載の防眩性ハードコートフィルムもしくはシートの製造方法によって達成することができる。
【0013】
本発明の防眩性ハードコートフィルムもしくはシートは、前記透明プラスチック基材(1)、第1ハードコート層(2)、第2ハードコート層(3)の3層からなる構造を有する。第1ハードコート層(2)は塗料成分に無機若しくは有機微粒子を含有しない透明性(クリア)硬化性樹脂から成り、これを硬化後の膜厚が0.5μm以上で好ましくは10μm以下となるように塗工した後、活性エネルギー線照射によって完全硬化もしくは半硬化(ハーフキュア)させる。但し、半硬化とは塗膜の物性(硬さ、耐スリキズ性等)が完全に飽和に達していない段階の架橋塗膜を指すが、少なくとも塗膜表面のタックがない程度に硬化した塗膜の状態を意味する。次いで、前記第1ハードコート層(2)上に第2ハードコート層(3)として、樹脂中に必要量の無機もしくは有機微粒子(4)をディスパーミキサー、サンドミル等の公知の分散方法によって配合した塗膜を硬化後の膜厚が約0.1μm〜7.0μmとなるように塗工した後、活性エネルギー線照射を加えることによって硬化する。この場合、第1ハードコート層(2)がすでに完全硬化しているものであれば、第2ハードコート層(3)のみの硬化となり、第1ハードコート層(2)が半硬化状態である場合には、第1と第2ハードコート層(3)の同時硬化となる。好ましくは第1ハードコート層(2)を半硬化とした方が第1、第2ハードコート層間の密着性が向上する場合が多い。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を実施の形態に基づき詳細に説明する。まず防眩性ハードコートフィルムもしくはシートの構成材料について説明し、その後、製造方法について詳細に述べる。
図1は、本発明の防眩性ハードコートフィルムもしくはシートの層構成を示す断面図的概略図であり、1は透明プラスチックフィルムもしくはシート基材、2は第1ハードコート層、3は第2ハードコート層、4は無機もしくは有機微粒子である。
【0015】
本発明に使用する透明プラスチックフィルムもしくはシート(1)は特に限定されるものではなく、公知の透明プラスチックフィルムもしくはシートの中から適宜選択して用いることができる。具体例としては、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、アセチルセルロースブチレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、ポリスルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、アクリル、ナイロン、フッ素樹脂、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルフォン等のフィルムもしくはシートを挙げることができるが、本発明においては、特にトリアセチルセルロースフィルム、及び一軸延伸ポリエステルが透明性に優れることに加えて、光学的に異方性が無い点で好ましい。
【0016】
本発明に用いられる活性エネルギー線硬化型樹脂には特に制限はなく、紫外線や電子線硬化により鉛筆硬度がH以上の塗膜を与える樹脂であれば任意に使用することができる。このような紫外線硬化型樹脂としては、例えば、多価アルコールのアクリル酸又はメタクリル酸エステルのような多官能性のアクリレート樹脂、ジイソシアネート、多価アルコール及びアクリル酸又はメタクリル酸のヒドロキシアルキルエステル等から合成されるような多官能性のウレタンアクリレート樹脂などを挙げることができる。さらにアクリレート系の官能基を有するポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂等も必要に応じて好適に使用することができる。またこれらの樹脂の反応性希釈剤としては、比較的低粘度である1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の2官能以上のモノマー及びオリゴマー並びに単官能モノマー、例えばn−ビニルピロリドン、エチルアクリレート、プロピルアクリレート等のアクリル酸エステル類、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、イソオクチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ノニルフェニルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、及びそのカプロラクトン変成物などの誘導体、スチレン、α−メチルスチレン、アクリル酸等及びそれらの混合物、などを使用することができる。
【0017】
本発明に於いて、活性エネルギー線が紫外線である場合には、光増感剤(ラジカル重合開始剤)を添加する必要があり、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルメチルケタールなどのベンゾインとそのアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、などのアセトフェノン類;メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−アミルアントラキノンなどのアントラキノン類;チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなどのケタール類;ベンゾフェノン、4,4−ビスメチルアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類及びアゾ化合物などがある。これらは単独または2種以上の混合物として使用でき、さらにはトリエタノールアミン、メチルジエタノールアミンなどの第3級アミン;2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エチルなどの安息香酸誘導体等の光開始助剤などと組み合わせて使用することができる。有機過酸化物や光重合開始剤の使用量は、前記樹脂組成物の重合性成分100重量部に対して0.5重量部〜20重量部、好ましくは1重量部〜15重量部である。
【0018】
本発明に於いて、第2ハードコート層(3)に配合する無機もしくは有機微粒子としては活性エネルギー線硬化樹脂中で良好な透明性を保持する微粒子であれば任意に使用することができる。無機微粒子として一般的には、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアなどからなる微粒子が用いられ、その中で防眩性や解像性、ハードコート性等の点よりシリカ粒子、特に合成シリカ粒子が好ましい。尚、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン、等の導電性の透明微粒子も帯電防止性の付与に係わらず用いることができる。また有機微粒子としては粒子内部に適度な架橋構造を有しており、活性エネルギー線硬化樹脂やモノマー、溶剤等による膨潤がない硬質な微粒子を用いることができる。例えば、粒子内部架橋タイプのスチレン系樹脂、スチレン−アクリル系共重合樹脂、アクリル系樹脂、ジビニルベンゼン樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、スチレン−イソプレン系樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、その他反応性ミクロゲル等を使用することができる。透明微粒子の配合量は、活性エネルギー線硬化型樹脂100重量部あたり0.5重量部〜20重量部、好ましくは1重量部〜15重量部である。
【0019】
また必要に応じて公知の一般的な塗料添加剤を配合することができる。例えばレベリング、表面スリップ性等を付与するシリコーン系、フッ素系の添加剤は硬化膜表面の傷つき防止性に効果があることに加えて、活性エネルギー線として紫外線を利用する場合は前記添加剤の空気界面へのブリードによって、酸素による樹脂の硬化阻害を低下させることができ、低照射強度条件下に於いても有効な硬化度合を得ることができる。これらの添加量は、活性エネルギー線硬化型樹脂100重量部に対し0.01重量部〜1.0重量部が適当である。
【0020】
以上、本発明に使用できる主な構成材料を記述したが、続いて具体的に防眩性ハードコートフィルムもしくはシートの製造方法を説明する。
第1及び第2ハードコート層の塗工方法は任意であるが、生産段階ではロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、ダイコーター、ナイフコーター、バーコーター等によるのが一般的である。
【0021】
活性エネルギー線源として紫外線を使用する場合は、高圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク、キセノンアーク等の光源が利用でき、フィラーを含まないクリア塗膜の硬化には高圧水銀灯、フィラーを含む場合や厚膜の硬化にはメタルハライドランプが一般的に使用される。また電子線を利用して硬化する場合にはコックロフトワルト型、バンデクラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される50keV〜1000keV、好ましくは100keV〜300keVのエネルギーを有する電子線が利用できる。
【0022】
【実施例】
以下に実施例および比較例を挙げて本発明について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、部および%は特に断わりのない限り重量基準である。
【0023】
<実施例1>
(第1ハードコート層)
フィラー粒子を含有しない以下の処方に示す紫外線硬化型のクリア塗料組成物を、第1ハードコート樹脂液として調製した。
・4官能ウレタンアクリレートオリゴマー
(U−4HA、新中村化学工業社製) 25部
・トリメチロールプロパントリアクリレート
(東亜合成化学社製) 45部
・Darocur1173
(チバガイギー社製) 2.3部
・トルエン 15部
・2−ブタノン 5部
次に厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルムの片面に、前記、紫外線硬化型のクリア塗料組成物をワイヤーバーにて塗布し、溶剤分を蒸発させて厚さ約5μmの塗布層を形成した後、塗膜側より高圧水銀UV(紫外線)ランプ(120W/cm)の紫外線を積算光量約200mJ/m2 の条件で照射し、硬化処理することにより、第1ハードコート層を作製した。
(第2ハードコート層)
フィラーを含有する紫外線硬化型の塗料組成物を、以下に述べる手順によって調製した。まずトルエン/2−ブタノン=1/1の混合溶媒にフィラー分散剤としてDisperbyk−170をあらかじめ溶解した後、シリカを少量ずつ加えながらディスパーミキサーによる高速撹拌を行なうことによってシリカ分散液を調製した。次いで、4官能ウレタンアクリレートオリゴマーとトリメチロールプロパントリアクリレートの混合液に前記シリカ分散液を撹拌しながら徐々に添加し、最後に光重合開始剤としてDarocur1173を配合することによって調製した。
・4官能ウレタンアクリレートオリゴマー
(U−4HA、新中村化学工業社製) 25部
・トリメチロールプロパントリアクリレート
(東亜合成化学社製) 45部
・Disperbyk−170
(ビック・ケミー社製) 0.8部
・Darocur1173
(チバガイギー社製) 2.3部
・シリカ
(ファインシールF80、トクヤマ社製) 6部
・トルエン 15部
・2−ブタノン 15部
次に前記、紫外線硬化した第1ハードコート層上に、上記組成の第2ハードコート層を熱乾燥後の膜厚が約1.5μmとなるように塗布した後、塗膜側より高圧水銀UVランプ(120W/cm)の紫外線を積算光量約300mJ/m2 の条件で照射し、硬化処理することによって、基材と第1及び第2ハードコートの3層から成る防眩性ハードコートフィルムを得た。
【0024】
<実施例2>
実施例1の第1及び第2ハードコート処方から光重合開始剤(Darocur1173)のみを除いた組成で実施例1と同様にトリアセチルセルロースフィルム(80μm)上に第1ハードコート層を膜厚が約5μmの塗布層を形成した後、塗膜側より加速電圧200keVの電子線を吸収線量2Mradの条件で硬化処理することによって、第1ハードコート層を作製した。次に前記、電子線硬化した第1ハードコート層上に第2ハードコート層を膜厚が約1.5μmとなるように塗布した後、塗膜側より加速電圧200keVの電子線を吸収線量3Mradの条件で硬化処理することにより、本発明の防眩性ハードコートフィルムを作製した。
【0025】
<比較例1>
実施例1記載のフィラー粒子を含有する第2ハードコートの1層のみをトリアセチルセルロースフィルム上に、膜厚1.5μmとなるように形成した後、塗膜側より高圧水銀UVランプ(120W/cm)の紫外線を積算光量約300mJ/m2 の条件で照射し、硬化処理することによって、2層構成からなる防眩性ハードコートフィルムを作製した。
【0026】
<比較例2>
実施例1記載のフィラー粒子を含有する第2ハードコートの1層のみをトリアセチルセルロースフィルム上に、膜厚5.0μmとなるように形成した後、比較例1と同一の紫外線照射条件にて硬化処理することによって、2層構成からなる防眩性ハードコートフィルムを作製した。
【0027】
<比較例3>
実施例1記載のフィラー粒子を含有する第2ハードコート塗料組成のシリカ粒子(ファインシールF80:平均凝集粒子径1.2μm〜1.8μm、トクヤマ社製)配合量を13部とした他は同一の組成、紫外線照射条件にて比較例2と同様に膜厚5.0μmの防眩性ハードコート層をトリアセチルセルロースフィルム上に形成することによって、2層構成からなる防眩性ハードコートフィルムを作製した。
【0028】
<比較例4>
実施例1記載のフィラー粒子を含有する第2ハードコート塗料組成のシリカ粒子(ファインシールF80:平均凝集粒子径1.2μm〜1.8μm、トクヤマ社製)の代わりに、より大粒子径のシリカ粒子(ファインシールP8:平均凝集粒子径5.5μm〜8.0μm、トクヤマ社製)を使用した他は同一の組成、紫外線照射条件にて膜厚6.5μmの防眩性ハードコート層をトリアセチルセルロースフィルム上に形成することによって、2層構成からなる防眩性ハードコートフィルムを作製した。
【0029】
[評価方法]
上記、実施例1、2及び比較例1〜4より得られた防眩性ハードコートフィルムについて、下記の測定方法により諸物性を測定し、性能評価した結果を表1に示す。
・ヘイズ度(透明フィルムに入射する平行光のうちで散乱したり屈折する光の割合):直読ヘイズコンピューター(スガ試験機社製)によって測定した。
・表示像のギラツキ感:防眩処理が施されていないLCDディスプレイの表面に本発明による防眩性ハードコートフィルムを密着させ、表示像を目視観察し、以下の判定基準に従って評価した。
A+:ギラツキ感無し(極めて鮮明)
A:ギラツキ感ほとんど無し(鮮明)
B:若干ギラツキ感有り
C:ギラツキ感大(不鮮明)
・表面粗さ:(Surfcom550AD,東京精密社製)の表面粗さ、輪郭形状計測システムによって中心線平均粗さ(Ra)を測定した。
・被膜密着度:硬化被膜層表面にカッターによって1mm×1mmのクロスハッチ(升目)を100個入れ、その上にセロテープ(ニチバン社製)を貼り付けした後、該セロテープを剥がしたときに硬化被膜がフィルム基材から剥がれた升目の数を計測することで評価した。
・鉛筆硬度:異なる硬度の鉛筆を用い、500g荷重下での傷の有無を判定した。
・耐擦傷性:#0000のスチールウールにより、ハードコート膜の表面を400gの荷重をかけながら10回摩擦し、傷の発生の有無及び傷の程度を目視により観察し、以下の判定基準に従って評価した。
A:傷の発生が全く認められない。
B:数本の細い傷が認められる。
C:無数の傷が認められる。
【0030】
【表1】
【0031】
[評価結果]
表1より、実施例1及び2で示した3層構成のハードコートフィルムでは透過鮮明度がそれぞれ34%〜35%であり、防眩処理が施されていないLCDディスプレイの表面に密着させ、画像を観察すると鮮明でギラツキ感の少ない良好な透過文字画像を観察することができた。さらに鉛筆硬度、耐擦傷性もそれぞれ3H及びAとハードコート性としては非常に良好なものであった。
比較例1ではヘイズ度、表示像のギラツキ感共に光学特性上は実施例1及び2とほぼ同等であったが、第2ハードコート層のみの構成であり、しかも膜厚が薄い(1.5μm)為ハードコート性が著しく低下した。
一方、比較例2では膜厚を厚く(5μm)することによりハードコート性は改善され、表示像のギラツキ感も著しく改善するがヘイズ度が大きく低下し、室内の蛍光灯の輪郭がハードコート表面に鮮明に映り込むことから十分な防眩効果が得られなかった。
比較例3では、比較例2の防眩効果を改良する目的で膜厚を厚く、且つ小粒子径のシリカ(1.2μm〜1.8μm)を多量に配合することを試みたが、膜質が脆くなりハードコート性が若干低下した。
比較例4ではハードコート層の膜厚を十分厚く(6.5μm)し、且つ大粒子径のシリカ(5.5μm〜8.0μm)を配合することにより、防眩効果とハードコート性を満足させることができたが表示像のギラツキ感が大きく、不鮮明な透過文字画像が観察された。
【0032】
【発明の効果】
上述の実施例の説明からも明らかなように、本発明による防眩性ハードコートフィルムもしくはシートの特徴として、透明プラスチック基材の少なくとも一方の面に、保護膜としての機械的強度付与機能を有する無機もしくは有機微粒子を含有しないクリア硬化樹脂から成る第1ハードコート層を設けた後、さらに光制御性付与機能を有する第2ハードコート層として無機もしくは有機微粒子を含有する硬化樹脂の薄膜を設けた3層からなる構造によって、防眩性と鮮明でギラツキ感の小さい表示像をバランス良く満足する光学特性を有すると共に、耐擦傷性に優れた表面硬度や耐薬品性を有するハードコート性を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の防眩性ハードコートフィルムもしくはシートの層構成を示す断面図的概略図である。
【符号の説明】
1…透明プラスチックフィルムもしくはシート基材
2…第1ハードコート層
3…第2ハードコート層
4…無機もしくは有機微粒子
Claims (3)
- 透明プラスチックフィルムもしくはシート基材の少なくとも一方の面に活性エネルギー線硬化樹脂被膜層を備える防眩性ハードコートフィルムであって、
前記エネルギー線硬化樹脂被膜層が基材側から順に第1ハードコート層、第2ハードコート層を備え、且つ、
前記第1ハードコート層が無機もしくは有機微粒子を含有しない硬化樹脂の薄膜を設けてなるクリア硬化樹脂層であり、且つ、
前記第2ハードコート層が無機もしくは有機微粒子を含有する硬化樹脂の薄膜であり、且つ、
前記第1ハードコート層と前記第2ハードコート層が同一の活性エネルギー線硬化樹脂を含み、且つ、
前記第1ハードコート層の膜厚が前記第2ハードコート層の膜厚と比較して大きいことを特徴とする防眩性ハードコートフィルムもしくはシート。 - 前記第1ハードコート層が膜厚0.5μm〜20μm、前記第2ハードコート層が膜厚0.1μm〜5μmの活性エネルギー線硬化樹脂層からなる請求項1に記載の防眩性ハードコートフィルムもしくはシート。
- 前記無機もしくは有機微粒子の平均粒子径が0.1μm〜5.0μmである請求項1または請求項2に記載の防眩性ハードコートフィルムもしくはシート。
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