JP4075147B2 - ハードコートフィルムもしくはシート、及び機能性無機薄膜付きハードコートフィルムもしくはシート - Google Patents

ハードコートフィルムもしくはシート、及び機能性無機薄膜付きハードコートフィルムもしくはシート Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種ディスプレイ、レンズ、ミラー、ゴーグル、窓ガラス等の光学部材に保護の目的で貼着されるプラスチックフィルムもしくはシートに関するものであり、特に耐引っ掻き、耐擦り傷性が付与されたプラスチックフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、液晶表示装置、CRT表示装置、その他商業用のディスプレイ、レンズ、ミラー、窓ガラス、ゴーグル等の光学部材には、耐引っ掻き性、擦り傷性を有する透明性プラスチックフィルムが貼着される場合が多い。一般的にプラスチック表面を硬質化する技術としては、オルガノシロキサン系、メラミン系等の熱硬化性樹脂をコーティングしたり真空蒸着法やスパッタリング法等で金属薄膜を形成する方法、あるいは多官能アクリレート系の活性エネルギー線硬化性樹脂をコーティングする。近年このような方法の中で、大面積の加工が容易で生産性に優れる活性エネルギー線硬化性樹脂を採用する場合が多い。しかしながら、これらのいずれの方法もハードコート/基材間の密着、フィルム折曲げ時のクラック、フィルムのカール等が実用的に問題ない範囲内で、プラスチックフィルムまたはシート基材上での鉛筆硬度値としては2Hから3Hが限界となる場合が多く、4H以上の要望があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決するものであり、その課題とするところは、プラスチックフィルムまたはシートをハードコート形成用の支持体として用いた場合でもハードコート/基材間の密着、フィルム折曲げ時のクラック、フィルムのカール等を実用的に許容できる範囲内に収めることができ、且つ従来の限界を上回る4H以上の鉛筆硬度値を有するハードコートフィルムもしくはシートを提供することにある。
【0004】
本発明に於いて上記課題を達成するために、まず請求項1の発明では、透明プラスチックフィルムもしくはシート基材の少なくとも一方の面に硬化樹脂被膜層、機能性無機薄膜を順に設けたハードコートフィルムもしくはシートであって、該硬化樹脂被膜層は多官能性のアクリレート樹脂、多官能性のウレタンアクリレート樹脂から選択される活性エネルギー線硬化型樹脂の紫外線もしくは電子線照射による加工工程を経て架橋されてなり、且つ、
1Kg荷重下でJIS K5400で求められる前記硬化樹脂被膜層表面の鉛筆硬度が4H以上であり、且つ、前記硬化樹脂被膜層は前記基材側から順に第1ハードコート層、第2ハードコート層を備えるものであり、且つ、前記第1ハードコート層が無機質あるいは有機質の内部架橋微粒子を含有する硬化樹脂層であり、且つ、前記第1ハードコート層の破壊歪み以下での弾性率が前記第2ハードコート層の破壊歪み以下の弾性率よりも小さいことを特徴とするハードコートフィルムもしくはシートとしたものである。
【0005】
また、請求項2の発明では、前記無機質或いは有機質の内部架橋超微粒子の平均粒子径が、0.01μm以上、5.0μm以下であることを特徴とする請求項1記載のハードコートフィルムもしくはシートとしたものである。
【0006】
また、請求項3の発明では、前記第1ハードコート層の膜厚が、3.0μm以上、30μm以下で、第2ハードコート層の膜厚が、1.0μm以上、20μm以下であることを特徴とする請求項1または2記載のハードコートフィルムもしくはシートとしたものである。
【0007】
また、請求項4の発明では、前記第1ハードコート層の破壊歪み以下での弾性率が、0.5GPaから4.5GPaの範囲であり、第2ハードコート層の破壊歪み以下での弾性率が、1.0GPaから6.0GPaの範囲に設定されてなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のハードコートフィルムもしくはシートとしたものである。
【0009】
さらにまた、請求項の発明では、請求項1、2、3または4に記載のハードコートフィルムもしくはシートの上に機能性無機薄膜を設けたことを特徴とする機能性無機薄膜付きハードコートフィルムもしくはシートとしたものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明のハードコートフィルムもしくはシートは、図1に示すように、透明プラスチックフィルムもしくはシート基材(10)の少なくとも一方の面に硬化樹脂被膜層(50)を設けたハードコートフィルムもしくはシート(1)であって、該基材(10)上に第1ハードコート層(20)として無機質或いは有機質の内部架橋超微粒子(40)を含有する硬化樹脂層を設けた後、さらに第2ハードコート層(30)として無機質或いは有機質の内部架橋超微粒子(40)を含有しないクリア硬化樹脂の薄膜を設けてなる硬化樹脂被膜層(50)であり、この硬化樹脂被膜層(50)に特徴を持たせたものである。
【0011】
ここでまず、このハードコートフィルムもしくはシート(1)の構成材料について説明し、その後、製造方法について述べる。
【0012】
本発明に使用する透明プラスチックフィルムもしくはシート基材(10)は特に限定されるものではなく、公知の透明プラスチックフィルムもしくはシートの中から適宜選択して用いることができる。具体例としては、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、アセチルセルロースブチレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、ポリスルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、アクリル、ナイロン、フッソ樹脂、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルフォン等のフィルムもしくはシートを挙げることができるが、本発明においては、特にトリアセチルセルロースフィルム、及び一軸延伸ポリエステルが透明性に優れることに加えて、光学的に異方性が無い点で好ましい。
【0013】
また、硬化樹脂被膜層(50)には加工速度の早さ、支持体への熱のダメージの少なさから、特に活性エネルギー線(紫外線や電子線)硬化型樹脂を用いることが好ましい。このような紫外線硬化型樹脂としては、例えば、多価アルコールのアクリル酸又はメタクリル酸エステルのような多官能性のアクリレート樹脂、ジイソシアネート、多価アルコール及びアクリル酸又はメタクリル酸のヒドロキシアルキルエステル等から合成されるような多官能性のウレタンアクリレート樹脂などを挙げることができる。さらにアクリレート系の官能基を有するポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂等も必要に応じて好適に使用することができる。
【0014】
またこれらの樹脂の反応性希釈剤としては、比較的低粘度である1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の2官能以上のモノマー及びオリゴマー並びに単官能モノマー、例えばN-ビニルピロリドン、エチルアクリレート、プロピルアクリレート等のアクリル酸エステル類、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、イソオクチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ノニルフェニルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、及びそのカプロラクトン変成物などの誘導体、スチレン、α−メチルスチレン、アクリル酸等及びそれらの混合物、などを使用することができる。
【0015】
本発明に於いて、活性エネルギー線が紫外線である場合には、光増感剤(ラジカル重合開始剤)を添加する必要があり、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルメチルケタールなどのベンゾインとそのアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、などのアセトフェノン類;メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−アミルアントラキノンなどのアントラキノン類;チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなどのケタール類;ベンゾフェノン、4,4−ビスメチルアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類及びアゾ化合物などがある。これらは単独または2種以上の混合物として使用でき、さらにはトリエタノールアミン、メチルジエタノールアミンなどの第3級アミン;2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エチルなどの安息香酸誘導体等の光開始助剤などと組み合わせて使用することができる。有機過酸化物や光重合開始剤の使用量は、前記樹脂組成物の重合性成分100重量部に対して0.5〜20重量部、好ましくは1〜15重量部である。
【0016】
本発明の第1ハードコート層(20)に含有させる無機もしくは有機の内部架橋超微粒子(40)としては活性エネルギー線硬化樹脂中で良好な透明性を保持する微粒子であれば任意に使用することができる。
【0017】
上記無機微粒子として一般的には、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアなどからなる微粒子が挙げられるが、透明性の点でシリカ粒子、特に合成シリカ粒子が好ましい。尚、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン、等の導電性の透明微粒子も帯電防止性の付与に係わらず必要に応じて用いることができる。
【0018】
また有機微粒子としては粒子内部に適度な架橋構造を有しており、活性エネルギー線硬化樹脂やモノマー、溶剤等による膨潤が少ない硬質な微粒子を用いることができる。例えば、粒子内部架橋タイプのスチレン系樹脂、スチレン−アクリル系共重合樹脂、アクリル系樹脂、ジビニルベンゼン樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、スチレン−イソプレン系樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、上記の樹脂等を主成分とするミクロゲル等を使用することができる。
【0019】
また必要に応じて公知の一般的な塗料添加剤を配合することができる。例えばレベリング、表面スリップ性等を付与するシリコーン系、フッソ系の添加剤は硬化膜表面の傷つき防止性に効果があることに加えて、活性エネルギー線として紫外線を利用する場合は前記添加剤の空気界面へのブリードによって、酸素による樹脂の硬化阻害を低下させることができ、低照射強度条件下に於いても有効な硬化度合を得ることができる。これらの添加量は、活性エネルギー線硬化型樹脂100重量部に対し0.01〜0.5重量部が適当である。
【0020】
以上、本発明に使用できる主な構成材料を記述したが、続いて具体的に無機薄膜形成用ハードコートフィルムもしくはシート(1)の製造方法を説明する。第1ハードコート層(20)及び第2ハードコート層(30)の塗工方法は任意であるが、生産段階ではロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、ナイフコーター、バーコーター等によるのが一般的である。活性エネルギー線源として紫外線を使用する場合は、高圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク、キセノンアーク等の光源が利用でき、フィラーを含まないクリア塗膜の硬化には高圧水銀灯、フィラーを含む場合や厚膜の硬化にはメタルハライドランプが一般的に使用される。また電子線を利用して硬化する場合にはコックロフトワルト型、バンデクラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される50〜1000Kev、好ましくは100〜300Kevのエネルギーを有する電子線が利用できる。
【0021】
本発明のハードコートフィルムもしくはシート(1)を構成する第1ハードコート層(20)として塗料成分に無機質或いは有機質の内部架橋超微粒子(40)を含有する硬化性樹脂から成り、これを硬化後の膜厚が3.0μm以上で好ましくは30μm以下となるように塗工した後、活性エネルギー線照射によって完全硬化もしくは半硬化(ハーフキュア)させる。但し、半硬化とは塗膜の物性(硬さ、耐スリキズ性等)が完全に飽和に達していない段階の架橋塗膜を指すが、少なくとも塗膜表面のタックがない程度に硬化した塗膜の状態を意味する。無機質或いは有機質の内部架橋超微粒子(40)は必要に応じてディスパーミキサー、サンドミル等の公知の機械的強制分散方法によって配合する。次いで、前記第1ハードコート層(20)上にクリア硬化樹脂から成る第2ハードコート層(30)を硬化後の膜厚が約1.0μm〜20μmとなるように塗工した後、活性エネルギー線照射を加えることによって硬化する。この場合、第1ハードコート層(20)がすでに完全硬化しているものであれば、第2ハードコート層(30)のみの硬化となり、第1ハードコート層(20)が半硬化状態である場合には、第1ハードコート層(20)と第2ハードコート層(30)の同時硬化となる。好ましくは第1ハードコート層(20)を半硬化とした方が第1、第2ハードコート層間の密着性が向上する場合が多い。
【0022】
以上のような本発明のハードコートフィルムもしくはシートの用途として、具体的には液晶表示装置、CRT表示装置、プラズマ表示装置、エレクトロクロミック表示装置、発光ダイオード表示装置、EL表示装置等、各種表示装置の画面保護に好適である。さらに本発明のハードコートフィルムもしくはシートは、赤外吸収効果、赤外反射効果、電磁波シールド効果、帯電防止効果、紫外線吸収効果、反射防止効果、反射強調効果等の各種機能を有する無機質材を中心に構成される機能性薄膜を表面に設ける目的に使用することができる。
【0023】
【実施例】
次に実施例、比較例により、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、部および%は特に断わりのない限り重量基準である。
〈実施例1〉
〔第1ハードコート層(20)の形成〕
内部架橋微粒子(40)としてコロイダルシリカ(平均粒子径:10〜20nm)を含有する紫外線硬化型の塗料組成物を、以下の処方にて第1ハードコート樹脂液として調製した。
Figure 0004075147
【0024】
次に厚さ150μmのポリエステルフィルムの片面に、上記で得られた紫外線硬化型の塗料組成物をワイヤーバーにて塗布し、溶剤分を蒸発させて厚さ6.1μmの塗布層を形成した後、塗膜側より高圧水銀UVランプ(120W/cm)の紫外線を積算光量約120mJ/m2 の条件で照射し、硬化処理することにより、第1ハードコート層(20)を作製した。
【0025】
〔第2ハードコート層(30)の形成〕
内部架橋微粒子(40)を含有しない以下の処方に示す紫外線硬化型のクリア塗料組成物を、第2ハードコート樹脂液として調製した。
Figure 0004075147
【0026】
次に上記で紫外線硬化した第1ハードコート層(20)上に、上記組成の第2ハードコート層(30)を熱乾燥後の膜厚が約5.2μmの塗布層を形成した後、塗膜側より高圧水銀UVランプ(120W/cm)の紫外線を積算光量約300mJ/m2 の条件で照射し、硬化処理することによって、基材(1)と第1ハードコート層(20)及び第2ハードコート層(30)の3層から成るハードコートフィルム(1)を得た。
【0027】
〔機能性無機薄膜層の形成〕
次に機能性無機薄膜層の具体例として、導電性反射防止層を以下の構成、方法にて上記ハードコート層即ち硬化樹脂被膜層(50)上に形成した。まず高屈折率層としてインジウム錫酸化物(ITO)をスパッタリング法により形成し、低屈折率層に酸化ケイ素からなる反射防止層をプラズマアシスト蒸着法により形成した。各層の屈折率n、形状膜厚d、及び光学膜厚ndは、
・PETフィルム (n=1.62)
・ハードコート層 (n=1.52 d=約5μm)
・1層目:ITO (nH =2.05 d=約58nm)
・2層目:SiO2 (nL =1.46 d=約38nm)
・3層目:ITO (nH =2.05 d=約125nm)
・4層目:SiO2 (nL =1.46 d=約140nm)
とした。但し、nH は高屈折率、nL は低屈折率を表す。また光学膜厚は、光学式の膜厚モニターにより監視し、目的光量値に達した時に成膜を止め所定の光学膜厚を得た。波長430〜680nmの範囲で反射率は1%以下であった。硬化樹脂被膜層(50)と導電性反射防止層との密着は良好であった。
【0028】
〈実施例2〉
実施例1の第1ハードコート処方に使用したコロイダルシリカの代わりに、内部架橋微粒子(40)として架橋アクリル微粒子を使用し、以下の処方にて第1ハードコート樹脂液として調製した。架橋アクリル微粒子は塗液中でホモジナイザーを用いて分散した。第2ハードコートの塗液組成、第1及び第2ハードコート層の紫外線硬化条件、機能性無機薄膜層の形成方法及び条件等は実施例1と同一とした。第1ハードコート層(20)及び第2ハードコート層(30)の膜厚はそれぞれ6.4μm、5.0μmであった。
Figure 0004075147
【0029】
〈比較例1〉
実施例1記載の第1ハードコート処方に内部架橋微粒子(40)であるコロイダルシリカを配合せず、クリア樹脂分のみの組成とした。第2ハードコートの塗液組成、第1ハードコート層(20)及び第2ハードコート層(30)の紫外線硬化条件、機能性無機薄膜層の形成方法及び条件等は実施例1と同一とした。第1ハードコート層(20)及び第2ハードコート層(30)の膜厚はそれぞれ6.0μm、5.2μmであった。
【0030】
〈比較例2〉
実施例1記載の第1ハードコート層(20)を設けず、第2ハードコート層(30)のみを膜厚11.2μmとして設けた。第2ハードコート層(30)の紫外線硬化条件、機能性無機薄膜層の形成方法及び条件等は実施例1と同一とした。
【0031】
〈比較例3〉
実施例1記載の第2ハードコート層(30)を設けず、第1ハードコート層(20)のみを膜厚12.3μmとして設けた。第1ハードコート層(20)の紫外線硬化条件、機能性無機薄膜層の形成方法及び条件等は実施例1と同一とした。
【0032】
上記実施例および比較例で得られたハードコートフィルム、及び導電性反射防止機能付きハードコートフィルムについて、下記の測定方法により機械的物性を測定し、評価した結果をそれぞれ表1及び表2に示した。
【0033】
〔評価方法〕
・「鉛筆硬度」:異なる硬度の鉛筆を用い、1Kg荷重下でJIS K5400で示される試験法での傷の有無を判定した。
・「耐擦傷性」:#0000のスチールウールにより、ハードコート膜の表面を400gの荷重をかけながら10回摩擦し、傷の発生の有無及び傷の程度を目視により観察し、以下の判定基準に従って評価した。
A;傷の発生が全く認められない。
B;数本の細い傷が認められる。
C;無数の傷が認められる。
・「密着性」:硬化被膜層表面にカッターによって1mm×1mmのクロスハッチ(升目)を100個入れ、その上にセロテープ(ニチバン社製)を貼り付けした後、該セロテープを剥がしたときに硬化被膜がフィルム基材から剥がれた升目の数を計測することで評価した。
・「カール」:ハードコートフィルム、及び導電性反射防止機能付きハードコートフィルムの標片を10cm角に切断し、反りおよび寸法を測定して曲率半径を算出した。
・「クラック」:ハードコートフィルム、及び導電性反射防止機能付きハードコートフィルムを直径3cmの金属ロールに巻付けたときのクラック発生の有無を目視により判定した。
【0034】
【表1】
Figure 0004075147
【0035】
【表2】
Figure 0004075147
【0036】
また、上記、実施例および比較例のハードコートフィルムもしくはシート(1)の膜厚、および下記に示す算出による弾性率を表3にまとめて示した。
【0037】
〔ハードコート層(硬化樹脂被膜層(50))の弾性率〕
以下に示す内部応力の式を用い、ハードコート層の弾性率(Ef)を算出した。ポリエステルフィルムの弾性率(Es)、及びポリエステルフィルム/ハードコート層から成る複合膜の弾性率(Ec)は引っ張り強度試験機を用いて、その応力−歪み曲線の初期傾斜から求めた。但し、ハードコート層にはクラックが生じ易い為、クラックが発生する破壊歪み以下での応力−歪み曲線を用いた。
σc(b+d)=σfd+σsb
Ec(b+d)=Efd+Esb
∴Ef=(Ec(b+d)−Esb)/d
σc:複合膜全体の内部応力
σf:ハードコート層の内部応力
σs:ポリエステルフィルムの内部応力
Ec:複合膜全体の弾性率
Ef:ハードコート層の弾性率
Es:ポリエステルフィルムの弾性率
b:ポリエステルフィルムの厚さ
d:ハードコート層の厚さ
【0038】
【表3】
Figure 0004075147
【0039】
上記表より、実施例1及び2で示した内部架橋微粒子(40)を含有する第1ハードコート層(20)上に、該微粒子を含有しないクリア硬化樹脂の第2ハードコート層(30)を設けた層構成では鉛筆硬度が4Hを実現し、且つ密着、耐擦傷、カール、クラック等も実用的に問題なく満足し、硬度と他物性とのバランスが良好であった。さらに本ハードコート上に機能性無機薄膜の具体例として、導電性反射防止層を設けても性能にほとんど変化が無く、良好な機械的物性を達成した。
【0040】
また、比較例1は膜厚が10μm以上を有するので、4Hの鉛筆硬度を実現できたが、内部架橋微粒子の硬化収縮緩和効果がない為、カールが大きく、高い弾性率と大きい硬化収縮を反映して密着が低下し、さらにクラックも発生した。
【0041】
さらに比較例2は比較例1と同様に4Hの鉛筆硬度は十分満足するが、カールが大きく、高い弾性率と大きい硬化収縮を反映して密着が低下し、比較例1よりも多くのクラックが膜に発生した。
【0042】
また、比較例3は比較例1及び2の結果とは逆に密着性、耐擦傷性、カール、クラックを満足するが、他の例と比較して低い弾性率を反映して鉛筆硬度が低下し、3Hの水準を満たすにすぎなかった。
【0043】
【発明の効果】
本発明は以上の構成であるから、下記に示す如き効果がある。
即ち、内部架橋微粒子の配合による硬化収縮緩和機能を有するハードコート層をフィルムもしくはシート基材とクリア硬化樹脂から成るハードコートの層間に設け、層構成が2層のハードコート膜とすることによって、ハードコート/基材間の密着、フィルム折曲げ時のクラック、フィルムのカール等を実用的に許容できる範囲内に収めることができ、且つ4H以上の鉛筆硬度値を実現するハードコートフィルムもしくはシートを提供することができる。
【0044】
さらに本発明のハードコートは、表面硬度に優れる反射防止機能を持つ光学フィルムへの利用が可能である。
【0045】
従って本発明は、液晶表示装置等各種ディスプレイ、レンズ、ミラー等光学部材の保護のため貼着フィルムの如き用途において、優れた実用上の効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のハードコートフィルムもしくはシートの一実施の形態を側断面で表した説明図である。
【符号の説明】
1‥‥ハードコートフィルムもしくはシート
10‥‥透明プラスチックフィルムもしくはシート基材
20‥‥第1ハードコート層
30‥‥第2ハードコート層
40‥‥無機質或いは有機質の内部架橋超微粒子
50‥‥硬化樹脂被膜層

Claims (5)

  1. 透明プラスチックフィルムもしくはシート基材の少なくとも一方の面に硬化樹脂被膜層、機能性無機薄膜を順に設けたハードコートフィルムもしくはシートであって、
    該硬化樹脂被膜層は多官能性のアクリレート樹脂、多官能性のウレタンアクリレート樹脂から選択される活性エネルギー線硬化型樹脂の紫外線もしくは電子線照射による加工工程を経て架橋されてなり、且つ、
    1Kg荷重下でJIS K5400で求められる前記硬化樹脂被膜層表面の鉛筆硬度が4H以上であり、且つ、
    前記硬化樹脂被膜層は前記基材側から順に第1ハードコート層、第2ハードコート層を備えるものであり、且つ、
    前記第1ハードコート層が無機質あるいは有機質の内部架橋微粒子を含有する硬化樹脂層であり、且つ、
    前記第1ハードコート層の破壊歪み以下での弾性率が前記第2ハードコート層の破壊歪み以下の弾性率よりも小さい
    ことを特徴とするハードコートフィルムもしくはシート。
  2. 前記無機質或いは有機質の内部架橋超微粒子の平均粒子径が、0.01μm以上、5.0μm以下であることを特徴とする請求項1記載のハードコートフィルムもしくはシート。
  3. 前記第1ハードコート層の膜厚が、3.0μm以上30μm以下で、前記第2ハードコート層の膜厚が、1.0μm以上20μm以下であることを特徴とする請求項1記載のハードコートフィルムもしくはシート。
  4. 前記第1ハードコート層の破壊歪み以下での弾性率が、0.5GPaから4.5GPaの範囲であり、第2ハードコート層破壊歪み以下での弾性率が、1.0GPaから6.0GPaの範囲に設定されてなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のハードコートフィルムもしくはシート。
  5. 求項1、2、3または4に記載のハードコートフィルムもしくはシートの上に機能性無機薄膜を設けたことを特徴とする機能性無機薄膜付きハードコートフィルムもしくはシート。
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