JPWO2006123572A1 - 正極活物質およびその製造方法、並びに電池 - Google Patents

正極活物質およびその製造方法、並びに電池 Download PDF

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Abstract

高い容量を得ることができると共に、安定性または低温特性を向上させることができる正極活物質およびその製造方法、並びに電池を提供する。正極(21)は、Liと、Co,Ni,Mnのうちの少なくとも1種とを含むリチウム複合酸化物を含有し、表面に、被覆元素として、Pと、Ni,Co,Mn,Fe,Al,Mg,Znのうちの少なくとも1種とを含む正極活物質を含有している。被覆元素の含有量は内部よりも表面の方が高く、表面から内部に向かって減少していくことが好ましい。

Description

本発明は、リチウム複合酸化物を含有する正極活物質およびその製造方法、並びに電池に関するものである。
近年、ノートブックコンピュータ、携帯電話などのポータブル機器の多機能化・高性能化に伴い、機器の消費電力は高まりつつあり、その電源となる電池に対して、より一層の高容量化が要求されている。中でも、経済性および機器の小型軽量化の観点から、二次電池についてその要求が大きい。このような要求に応えることができる電池としては、例えばリチウム二次電池がある。
現在一般的に用いられているリチウム二次電池は、正極にコバルト酸リチウム、負極に炭素材料を用い、作動電圧は4.2Vから2.5Vの範囲内である。このように最大4.2Vで作動するリチウム二次電池の場合、正極に用いられるコバルト酸リチウムなどの正極活物質は、その理論容量に対して6割程度の容量を活用しているに過ぎない。このため、更に充電電圧を上げることにより残存容量を活用することが原理的には可能であり、実際に、充電時の電圧を4.25V以上にすることにより高エネルギー密度化が実現することが知られている(特許文献1参照)。
ところが、充電電圧を高くすると正極の電位が高くなるので、正極近傍における酸化雰囲気が強くなり、電解質が酸化分解により劣化しやすくなる。その結果、充放電効率が低下し、サイクル特性が低下してしまうという問題があった。また、このような反応は高温においてより激しくなるので、高温で作動または保存したときの劣化が著しいという問題もあった。更に、二次電池は寒冷地などの低温環境下において用いられる場合もあり、高温のみでなく、低温条件下においても、優れた特性を有することが求められていた。
なお、従来より、コバルト酸リチウムなどのリチウム複合酸化物について、特性を改善する目的で、アルミニウム(Al),マグネシウム(Mg)あるいはチタン(Ti)などの元素を固溶させる方法がよく知られている。また、正極活物質の安定性または低温特性を改善する手法としては、活物質の表面に安定な物質の被膜を形成する方法がある。例えば、特許文献2には、コバルト酸リチウムの表面を酸化アルミニウム(Al)で被覆することが記載されており、特許文献3には、ニッケルコバルト複合酸化物の表面にアルミニウム含有層を形成することが記載されている。更に、特許文献4には、コバルト酸リチウムの表面をチタン酸リチウム(LiTiO)で被覆することが記載されており、特許文献5,6には、MXO(Mは金属、Xは酸素と二重結合を形成することができる元素、k=2〜4)で表される化合物の表面層を形成する方法が記載されている。また、特許文献7には、リチウム酸化物において表面のマンガン(Mn)濃度を内部よりも高くすることが記載されており、特許文献8には、コバルト酸リチウムの粒子表面を硫酸塩で被覆することが記載されている。
国際公開第WO03/0197131号パンフレット 特開2001−143703号公報 特開2001−143708号公報 特開2004−103566号公報 特開2003−7299号公報 特開2003−331846号公報 特開2004−348981号公報 特開2003−20229号公報
しかしながら、リチウム複合酸化物にアルミニウムなどの元素を固溶させる技術では、固溶量が少ないと高温または高充電電圧下におけるサイクル特性を十分に改善することができず、固溶量が多いと充放電容量が低下してしまい、電池電圧を高くする意味が失われてしまうという問題があった。また、表面に酸化物の被膜を形成するのみでは、特性を十分に向上させることができず、更なる改善が求められていた。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、高い容量を得ることができると共に、安定性または低温特性を向上させることができる正極活物質およびその製造方法、並びに電池を提供することにある。
本発明による正極活物質は、リチウム(Li)と、コバルト(Co),ニッケル(Ni)およびマンガンからなる群のうちの少なくとも1種とを含むリチウム複合酸化物を含有し、表面に、被覆元素として、リン(P)と、ニッケル,コバルト,マンガン,鉄(Fe),アルミニウム,マグネシウムおよび亜鉛(Zn)からなる群のうちの少なくとも1種とを含むものである。
本発明による正極活物質の製造方法は、リチウムと、コバルト,ニッケルおよびマンガンからなる群のうちの少なくとも1種とを含むリチウム複合酸化物の粒子表面を、リンと、ニッケル,コバルト,マンガン,鉄,アルミニウム,マグネシウムおよび亜鉛からなる群のうちの少なくとも1種の化合物で被覆し、焼成する工程を含むものである。
本発明による電池は、正極および負極と共に、電解質を備えたものであって、正極は、リチウムと、コバルト,ニッケルおよびマンガンからなる群のうちの少なくとも1種とを含むリチウム複合酸化物を含有する正極活物質を含み、この正極活物質は、表面に、被覆元素として、リンと、ニッケル,コバルト,マンガン,鉄,アルミニウム,マグネシウムおよび亜鉛からなる群のうちの少なくとも1種とを含むものである。
本発明の正極活物質によれば、リチウム複合酸化物を含有すると共に、表面にリンと被覆元素とを含むようにしたので、高い容量を得ることができると共に、化学的安定性または低温特性を向上させることができる。よって、本発明の電池によれば、高いエネルギー密度を得ることができると共に、高温または低温における充放電効率を向上させることができる。
本発明の正極活物質の製造方法によれば、リチウム複合酸化物の粒子表面を、リンと、ニッケル,コバルト,マンガン,鉄,アルミニウム,マグネシウムおよび亜鉛からなる群のうちの少なくとも1種の化合物で被覆し、焼成するようにしたので、本発明の正極活物質を容易に得ることができる。
本発明の一実施の形態に係る正極活物質を用いた第1の二次電池の構成を表す断面図である。 図1に示した二次電池における巻回電極体の一部を拡大して表す断面図である。 本発明の一実施の形態に係る正極活物質を用いた第2の二次電池の構成を表す分解斜視図である。 図3で示した巻回電極体のI−I線に沿った断面図である。 実施例1−1に係る正極活物質の深さ方向のオージェ電子分光分析による元素組成比の変化を表す特性図である。 実施例3−1に用いた正極活物質のCuKα線によるX線回折図である。 実施例3−2に用いた正極活物質のCuKα線によるX線回折図である。 比較例3−1に用いた正極活物質のCuKα線によるX線回折図である。 実施例5−1の正極活物質の深さ方向のオージェ電子分光分析による元素組成比の変化を表す特性図である。 実施例9−3の正極活物質の深さ方向のオージェ電子分光分析による元素組成比の変化を表す特性図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
本発明の一実施の形態にかかる正極活物質は、例えば粒子状であり、リチウムと、コバルト,ニッケルおよびマンガンからなる群のうちの少なくとも1種とを含むリチウム複合酸化物を含有する中心部を備えている。また、この中心部の表面の少なくとも一部には、リンと、ニッケル,コバルト,マンガン,鉄,アルミニウム,マグネシウムおよび亜鉛からなる群のうちの少なくとも1種とを含む化合物を含有する表面層が設けられている。すなわち、この正極活物質は、リチウム複合酸化物を含有し、表面に、被覆元素として、リンと、ニッケル,コバルト,マンガン,鉄,アルミニウム,マグネシウムおよび亜鉛からなる群のうちの少なくとも1種とを含んでいる。これによりこの正極活物質は、高いエネルギー密度を得ることができると共に、化学的安定性または低温における反応性を向上させることができるようになっている。
リチウム複合酸化物としては、例えば、化1、化2または化3で表される化合物が好ましく、2種以上を含んでいてもよい。このような組成においてより高いエネルギー密度を得ることができるからである。
(化1)
LiCoM12−c
(式中、M1はニッケル,マンガン,マグネシウム,アルミニウム,ホウ素(B),チタン(Ti),バナジウム(V),クロム(Cr),鉄,銅(Cu),亜鉛,モリブデン(Mo),スズ(Sn),カルシウム(Ca),ストロンチウム(Sr),タングステン(W),ジルコニウム(Zr)およびケイ素(Si)からなる群のうちの少なくとも1種の元素である。x、a、bおよびcはそれぞれ0.8≦x≦1.2、0.8≦a≦1、0≦b≦0.2、−0.1≦c≦0.2の範囲内の値である。M1は安定性などを向上させるためのものであり、必要に応じて添加される任意の構成元素である。)
(化2)
LiNiM22−f
(式中、M2はコバルト,マンガン,マグネシウム,アルミニウム,ホウ素,チタン,バナジウム,クロム,鉄,銅,亜鉛,モリブデン,スズ,カルシウム,ストロンチウム,タングステン,ジルコニウムおよびケイ素からなる群のうちの少なくとも1種の元素である。y、d、eおよびfはそれぞれ0.8≦y≦1.2、0.3≦d≦0.98、0.02≦e≦0.7、−0.1≦f≦0.2の範囲内の値である。M2は安定性などを向上させるためのものであり、必要に応じて添加される任意の構成元素である。)
(化3)
LiMn2−gM34−h
(式中、M3はコバルト,ニッケル,マグネシウム,アルミニウム,ホウ素,チタン,バナジウム,クロム,鉄,銅,亜鉛,モリブデン,スズ,カルシウム,ストロンチウムおよびタングステンからなる群のうちの少なくとも1種の元素である。z、gおよびhはそれぞれ0.8≦z≦1.2、0≦g<1.0、−0.2≦h≦0.2の範囲内の値である。M3は安定性などを向上させるためのものであり、必要に応じて添加される任意の構成元素である。)
表面層は、上述した被覆元素に加えて他の元素を含んでいてもよい。他の元素としては、リチウム、酸素(O)、またはリチウム複合酸化物を構成する元素などが挙げられる。表面層を構成する化合物は、1種でもよいが、2種以上を含んでいてもよい。被覆元素としてより好ましいのは、リンと、マンガン、マグネシウムおよびアルミニウムのうちの少なくとも1種である。より高い特性を得ることができるからである。被覆元素としてアルミニウムを含む場合には、表面におけるアルミニウムに対するリンの原子比(P/Al)は、0.3以上であることが好ましく、0.35以上12.7以下であればより好ましい。原子比が小さいと十分な効果を得ることができず、原子比が大きくなると改善効果が飽和するからである。
また、被覆元素の含有量は内部よりも表面の方が高く、被覆元素が表面から内部に向かって減少していくように存在していることが好ましい。より高い効果を得ることができるからである。表面層の量は、中心部に含まれるリチウム複合酸化物の質量に対して、0.2質量%以上5質量%以下の範囲内であることが好ましい。量が少ないと十分な効果を得ることができず、多すぎると容量が低下してしまうからである。さらに、表面層における被覆元素の好適な被覆量は、その被覆元素種によって異なり、被覆元素に例えばリンとマンガンとを含む場合には、リチウム複合酸化物に対して0.2mol%以上6.0mol%以下であることが好ましく、リンとマグネシウムとを含む場合には0.2mol%以上4.0mol%以下であることが好ましい。あるいは、被覆元素としてリンとアルミニウムとを含む場合には、リンとアルミニウムとを含む被覆元素が、リチウム複合酸化物に対して合計で0.2mol%以上6.0mol%以下であることが好ましい。いずれも、量が少ないと十分な効果を得ることができず、多すぎると容量が低下してしまうからである。
なお、表面層は、正極活物質を構成する元素の表面から内部に向かう濃度変化を調べることにより確認することができる。この濃度変化は、例えば、正極活物質をスパッタリングなどにより削りながらその組成をオージェ電子分光法(AES:Auger Electron Spectroscopy)あるいは二次イオン質量分析(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)を用いて分析することにより測定することが可能である。また、正極活物質を酸性溶液中などでゆっくり溶解させ、その溶出分の時間変化を誘導結合高周波プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)分光分析などに分析することにより測定することも可能である。
この正極活物質は、例えば、リチウム複合酸化物を構成する各元素の化合物を混合して焼成し、粒子状の中心部を形成したのち、被覆元素を含む化合物の溶液または懸濁液中に投入して中心部の表面を被覆元素の化合物で被覆し、焼成して表面層を形成することにより製造することができる。また、同様にして中心部を形成したのち、スパッタリング法、レーザーアブレーション法、あるいはメカノフュージョン法などにより、被覆元素の化合物を中心部の表面に被着し、焼成することにより製造することもできる。中心部および表面層の原料には、各構成元素の酸化物、水酸化物、オキシ水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、あるいは有機錯塩などを用いることができる。
この正極活物質は、例えば、次のようにして二次電池に用いられる。
(第1の二次電池)
図1は本実施の形態に係る正極活物質を用いた第1の二次電池の断面構造を表すものである。この二次電池は、電極反応物質としてリチウムを用い、負極の容量が、リチウムの吸蔵および放出による容量成分により表されるいわゆるリチウムイオン二次電池である。この二次電池は、いわゆる円筒型といわれるものであり、ほぼ中空円柱状の電池缶11の内部に、一対の帯状の正極21と帯状の負極22とがセパレータ23を介して巻回された巻回電極体20を有している。電池缶11の内部には、液状の電解質である電解液が注入されており、セパレータ23に含浸されている。電池缶11は、例えばニッケルのめっきがされた鉄により構成されており、一端部が閉鎖され他端部が開放されている。電池缶11の内部には、また、巻回電極体20を挟むように巻回周面に対して垂直に一対の絶縁板12,13がそれぞれ配置されている。
電池缶11の開放端部には、電池蓋14と、この電池蓋14の内側に設けられた安全弁機構15および熱感抵抗素子(Positive Temperature Coefficient;PTC素子)16とが、ガスケット17を介してかしめられることにより取り付けられており、電池缶11の内部は密閉されている。電池蓋14は、例えば、電池缶11と同様の材料により構成されている。安全弁機構15は、熱感抵抗素子16を介して電池蓋14と電気的に接続されており、内部短絡あるいは外部からの加熱などにより電池の内圧が一定以上となった場合にディスク板15Aが反転して電池蓋14と巻回電極体20との電気的接続を切断するようになっている。熱感抵抗素子16は、温度が上昇すると抵抗値の増大により電流を制限し、大電流による異常な発熱を防止するものである。ガスケット17は、例えば、絶縁材料により構成されており、表面にはアスファルトが塗布されている。
巻回電極体20は、例えば、センターピン24を中心に巻回されている。巻回電極体20の正極21にはアルミニウムなどよりなる正極リード25が接続されており、負極22にはニッケルなどよりなる負極リード26が接続されている。正極リード25は安全弁機構15に溶接されることにより電池蓋14と電気的に接続されており、負極リード26は電池缶11に溶接され電気的に接続されている。
図2は図1に示した巻回電極体20の一部を拡大して表すものである。正極21は、例えば、対向する一対の面を有する正極集電体21Aの両面に正極活物質層21Bが設けられた構造を有している。なお、図示はしないが、正極集電体21Aの片面のみに正極活物質層21Bを設けるようにしてもよい。正極集電体21Aは、例えば、アルミニウム箔,ニッケル箔あるいはステンレス箔などの金属箔により構成されている。正極活物質層21Bは、例えば、本実施の形態に係る粒子状の正極活物質と、必要に応じて黒鉛などの導電剤およびポリフッ化ビニリデンなどの結着剤を含んでおり、更に他の正極活物質を含有していてもよい。
負極22は、例えば、対向する一対の面を有する負極集電体22Aの両面に負極活物質層22Bが設けられた構造を有している。なお、図示はしないが、負極集電体22Aの片面のみに負極活物質層22Bを設けるようにしてもよい。負極集電体22Aは、例えば、良好な電気化学的安定性、電気伝導性および機械的強度を有する銅箔,ニッケル箔あるいはステンレス箔などの金属箔により構成されている。特に、銅箔は高い電気伝導性を有するので最も好ましい。
負極活物質層22Bは、負極活物質として、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料のいずれか1種または2種以上を含んで構成されており、必要に応じて正極活物質層21Bと同様の結着剤を含んで構成されている。
なお、この二次電池では、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料の充電容量が、正極21の充電容量よりも大きくなっており、充電の途中において負極22にリチウム金属が析出しないようになっている。
また、この二次電池の完全充電時における開回路電圧(すなわち電池電圧)は4.20Vでもよいが、4.20Vよりも高く4.25V以上4.60V以下の範囲内になるように設計されていることが好ましい。電池電圧を高くすることによりエネルギー密度を大きくすることができると共に、本実施の形態によれば、正極活物質の化学的安定性が向上されているので、電池電圧を高くしても優れたサイクル特性を得ることができるからである。その場合、電池電圧を4.20Vとする場合よりも、同じ正極活物質でも単位質量当たりのリチウムの放出量が多くなるので、それに応じて正極活物質と負極活物質との量が調整される。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、例えば、難黒鉛化性炭素,易黒鉛化性炭素,黒鉛,熱分解炭素類,コークス類,ガラス状炭素類,有機高分子化合物焼成体,炭素繊維あるいは活性炭などの炭素材料が挙げられる。このうち、コークス類には、ピッチコークス,ニードルコークスあるいは石油コークスなどがある。有機高分子化合物焼成体というのは、フェノール樹脂やフラン樹脂等の高分子材料を適当な温度で焼成して炭素化したものをいい、一部には難黒鉛化性炭素または易黒鉛化性炭素に分類されるものもある。これら炭素材料は、充放電時に生じる結晶構造の変化が非常に少なく、高い充放電容量を得ることができると共に、良好なサイクル特性を得ることができるので好ましい。特に黒鉛は、電気化学当量が大きく、高いエネルギー密度を得ることができ好ましい。また、難黒鉛化性炭素は、優れたサイクル特性が得られるので好ましい。更にまた、充放電電位が低いもの、具体的には充放電電位がリチウム金属に近いものが、電池の高エネルギー密度化を容易に実現することができるので好ましい。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、また、リチウムを吸蔵および放出することが可能であり、金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を構成元素として含む材料も挙げられる。このような材料を用いれば、高いエネルギー密度を得ることができるからである。特に、炭素材料と共に用いるようにすれば、高エネルギー密度を得ることができると共に、優れたサイクル特性を得ることができるのでより好ましい。この負極材料は金属元素あるいは半金属元素の単体でも合金でも化合物でもよく、またこれらの1種または2種以上の相を少なくとも一部に有するようなものでもよい。なお、本発明において、合金には2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とを含むものも含める。また、非金属元素を含んでいてもよい。その組織には固溶体,共晶(共融混合物),金属間化合物あるいはそれらのうちの2種以上が共存するものがある。
この負極材料を構成する金属元素あるいは半金属元素としては、マグネシウム,ホウ素,アルミニウム,ガリウム(Ga),インジウム(In),ケイ素(Si),ゲルマニウム(Ge),スズ,鉛(Pb),ビスマス(Bi),カドミウム(Cd),銀(Ag),亜鉛,ハフニウム(Hf),ジルコニウム,イットリウム(Y),パラジウム(Pd)あるいは白金(Pt)が挙げられる。これらは結晶質のものでもアモルファスのものでもよい。
中でも、この負極材料としては、短周期型周期表における4B族の金属元素あるいは半金属元素を構成元素として含むものが好ましく、特に好ましいのはケイ素およびスズの少なくとも一方を構成元素として含むものである。ケイ素およびスズは、リチウムを吸蔵および放出する能力が大きく、高いエネルギー密度を得ることができるからである。
スズの合金としては、例えば、スズ以外の第2の構成元素として、ケイ素,ニッケル,銅,鉄,コバルト,マンガン,亜鉛,インジウム,銀,チタン,ゲルマニウム,ビスマス,アンチモン(Sb),およびクロムからなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。ケイ素の合金としては、例えば、ケイ素以外の第2の構成元素として、スズ,ニッケル,銅,鉄,コバルト,マンガン,亜鉛,インジウム,銀,チタン,ゲルマニウム,ビスマス,アンチモンおよびクロムからなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。
スズの化合物あるいはケイ素の化合物としては、例えば、酸素あるいは炭素(C)を含むものが挙げられ、スズまたはケイ素に加えて、上述した第2の構成元素を含んでいてもよい。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、更に、他の金属化合物あるいは高分子材料が挙げられる。他の金属化合物としては、MnO,V,V13などの酸化物、NiS,MoSなどの硫化物、あるいは窒化リチウムなどの窒化物が挙げられ、高分子材料としてはポリアセチレンあるいはポリピロールなどが挙げられる。
セパレータ23は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン,ポリプロピレンあるいはポリエチレンなどの合成樹脂製の多孔質膜、またはセラミック製の多孔質膜により構成されており、これら2種以上の多孔質膜を積層した構造とされていてもよい。中でも、ポリオレフィン製の多孔質膜はショート防止効果に優れ、かつシャットダウン効果による電池の安全性向上を図ることができるので好ましい。
電解液は、例えば有機溶媒などの非水溶媒よりなる溶媒と、この溶媒に溶解された電解質塩とを含んでいる。
非水溶媒としては、炭酸エチレンあるいは炭酸プロピレンなどの環状の炭酸エステルを用いることができ、炭酸エチレンおよび炭酸プロピレンのうちの一方、特に両方を混合して用いることが好ましい。サイクル特性を向上させることができるからである。
非水溶媒としては、また、これらの環状の炭酸エステルに加えて、炭酸ジエチル,炭酸ジメチル,炭酸エチルメチルあるいは炭酸メチルプロピルなどの鎖状の炭酸エステルを混合して用いることが好ましい。高いイオン伝導性を得ることができるからである。
非水溶媒としては、更にまた、2,4−ジフルオロアニソールあるいは炭酸ビニレンを含むことが好ましい。2,4−ジフルオロアニソールは放電容量を向上させることができ、また、炭酸ビニレンはサイクル特性を向上させることができるからである。よって、これらを混合して用いれば、放電容量およびサイクル特性を向上させることができるので好ましい。
これらの他にも、非水溶媒としては、炭酸ブチレン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピロニトリル、N,N−ジメチルフォルムアミド、N−メチルピロリジノン、N−メチルオキサゾリジノン、N,N−ジメチルイミダゾリジノン、ニトロメタン、ニトロエタン、スルホラン、ジメチルスルフォキシドあるいはリン酸トリメチルなどが挙げられる。
なお、これらの非水溶媒の少なくとも一部の水素(H)をフッ素(F)で置換した化合物は、組み合わせる電極の種類によっては、電極反応の可逆性を向上させることができる場合があるので、好ましい場合もある。
電解質塩としては、例えばリチウム塩が挙げられ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。リチウム塩としては、LiPF,LiBF,LiAsF,LiClO,LiB(C,LiCHSO,LiCFSO,LiN(SOCF,LiC(SOCF,LiAlCl,LiSiF,LiCl,ジフルオロ[オキソラト−O,O’]ホウ酸リチウム,リチウムビスオキサレートボレート,あるいはLiBrなどが挙げられる。中でも、LiPFは高いイオン伝導性を得ることができると共に、サイクル特性を向上させることができるので好ましい。
この二次電池は、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、例えば、正極集電体21Aに正極活物質層21Bを形成し正極21を作製する。正極活物質層21Bは、例えば、正極活物質と、導電剤と、結着剤とを混合して正極合剤を調製したのち、この正極合剤をN−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に分散させてペースト状の正極合剤スラリーとし、この正極合剤スラリーを正極集電体21Aに塗布し溶剤を乾燥させ、ロールプレス機などにより圧縮成型することにより形成する。
また、例えば、負極集電体22Aに負極活物質層22Bを形成し負極22を作製する。負極活物質層22Bは、例えば、気相法、液相法、焼成法、または塗布のいずれにより形成してもよく、それらの2以上を組み合わせてもよい。気相法、液相法または焼成法により形成する場合には、形成時に負極活物質層22Bと負極集電体22Aとが界面の少なくとも一部において合金化することがあるが、更に、真空雰囲気下または非酸化性雰囲気下で熱処理を行い、合金化するようにしてもよい。
なお、気相法としては、例えば、物理堆積法あるいは化学堆積法を用いることができ、具体的には、真空蒸着法,スパッタ法,イオンプレーティング法,レーザーアブレーション法,熱CVD(Chemical Vapor Deposition ;化学気相成長)法あるいはプラズマCVD法等が利用可能である。液相法としては電解鍍金あるいは無電解鍍金等の公知の手法が利用可能である。焼成法に関しても公知の手法が利用可能であり、例えば、雰囲気焼成法,反応焼成法あるいはホットプレス焼成法が利用可能である。塗布の場合には、正極21と同様にして形成することができる。
続いて、正極集電体21Aに正極リード25を溶接などにより取り付けると共に、負極集電体22Aに負極リード26を溶接などにより取り付ける。そののち、正極21と負極22とをセパレータ23を介して巻回し、正極リード25の先端部を安全弁機構15に溶接すると共に、負極リード26の先端部を電池缶11に溶接して、巻回した正極21および負極22を一対の絶縁板12,13で挟み電池缶11の内部に収納する。正極21および負極22を電池缶11の内部に収納したのち、電解液を電池缶11の内部に注入し、セパレータ23に含浸させる。そののち、電池缶11の開口端部に電池蓋14,安全弁機構15および熱感抵抗素子16をガスケット17を介してかしめることにより固定する。これにより、図1,2に示した二次電池が形成される。
この二次電池では、充電を行うと、正極活物質層21Bからリチウムイオンが放出され、電解液を介して、負極活物質層22Bに含まれるリチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料に吸蔵される。次いで、放電を行うと、負極活物質層22B中のリチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料に吸蔵されたリチウムイオンが放出され、電解液を介して正極活物質層21Bに吸蔵される。本実施の形態では、リチウム複合酸化物を含有すると共に表面に被覆元素を含む正極活物質を用いているので、正極の化学的安定性が高くなっており、完全充電時における開回路電圧を高くしても、または、高温環境下においても、正極21および電解液の劣化反応が抑制される。また、低温における反応性が向上する。
このように本実施の形態では、リチウム複合酸化物を含有すると共に、表面に被覆元素を含むようにしたので、正極活物質の化学的安定性を向上させ、高電位下または高温環境下における正極活物質の容量低下を抑制することができる。よって、充電電圧を4.2Vより高くしても、または、高温下で使用あるいは保存しても、正極21および電解液の劣化反応を抑制することができ、高いエネルギー密度を得ることができると共に、充放電効率を向上させて、サイクル特性などの電池特性を向上させることができる。また、低温における反応性を向上させることができ、低温特性を改善することができる。
(第2の二次電池)
図3は、本発明の第2の二次電池に係る二次電池の構成を表すものである。この二次電池は、正極リード31および負極リード32が取り付けられた巻回電極体30をフィルム状の外装部材40の内部に収容したものであり、小型化,軽量化および薄型化が可能となっている。
正極リード31および負極リード32は、それぞれ、外装部材40の内部から外部に向かい例えば同一方向に導出されている。正極リード31および負極リード32は、例えば、アルミニウム,銅,ニッケルあるいはステンレスなどの金属材料によりそれぞれ構成されており、それぞれ薄板状または網目状とされている。
外装部材40は、例えば、ナイロンフィルム,アルミニウム箔およびポリエチレンフィルムをこの順に貼り合わせた矩形状のアルミラミネートフィルムにより構成されている。外装部材40は、例えば、ポリエチレンフィルム側と巻回電極体30とが対向するように配設されており、各外縁部が融着あるいは接着剤により互いに密着されている。外装部材40と正極リード31および負極リード32との間には、外気の侵入を防止するための密着フィルム41が挿入されている。密着フィルム41は、正極リード31および負極リード32に対して密着性を有する材料、例えば、ポリエチレン,ポリプロピレン,変性ポリエチレンあるいは変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂により構成されている。
なお、外装部材40は、上述したアルミラミネートフィルムに代えて、他の構造を有するラミネートフィルム,ポリプロピレンなどの高分子フィルムあるいは金属フィルムにより構成するようにしてもよい。
図4は、図3に示した巻回電極体30のI−I線に沿った断面構造を表すものである。巻回電極体30は、正極33と負極34とをセパレータ35および電解質層36を介して積層し、巻回したものであり、最外周部は保護テープ37により保護されている。
正極33は、正極集電体33Aの両面に正極活物質層33Bが設けられた構造を有しており、負極34は、負極集電体34Aの両面に負極活物質層34Bが設けられた構造を有している。正極集電体33A,正極活物質層33B,負極集電体34A,負極活物質層34Bおよびセパレータ35の構成は、それぞれ上述した正極集電体21A,正極活物質層21B,負極集電体22A,負極活物質層22Bおよびセパレータ23と同様である。
電解質層36は、電解液と、この電解液を保持する保持体となる高分子化合物とを含み、いわゆるゲル状となっている。ゲル状の電解質層36は高いイオン伝導率を得ることができると共に、電池の漏液を防止することができるので好ましい。電解液の構成は、第1の二次電池に係る二次電池と同様である。高分子化合物としては、例えば、ポリアクリロニトリル,ポリフッ化ビニリデン,フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体,ポリテトラフルオロエチレン,ポリヘキサフルオロプロピレン,ポリエチレンオキサイド,ポリプロピレンオキサイド,ポリフォスファゼン,ポリシロキサン,ポリ酢酸ビニル,ポリビニルアルコール,ポリメタクリル酸メチル,ポリアクリル酸,ポリメタクリル酸,スチレン−ブタジエンゴム,ニトリル−ブタジエンゴム,ポリスチレンあるいはポリカーボネートが挙げられる。特に電気化学的な安定性の点からはポリアクリロニトリル,ポリフッ化ビニリデン,ポリヘキサフルオロプロピレンあるいはポリエチレンオキサイドが好ましい。
この二次電池は、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、第1の二次電池と同様にして正極33および負極34を作製したのち、正極33および負極34のそれぞれに、電解液と、高分子化合物と、混合溶剤とを含む前駆溶液を塗布し、混合溶剤を揮発させて電解質層36を形成する。そののち、正極集電体33Aに正極リード31を取り付けると共に、負極集電体34Aに負極リード32を取り付ける。次いで、電解質層36が形成された正極33と負極34とをセパレータ35を介して積層し積層体としたのち、この積層体をその長手方向に巻回して、最外周部に保護テープ37を接着して巻回電極体30を形成する。最後に、例えば、外装部材40の間に巻回電極体30を挟み込み、外装部材40の外縁部同士を熱融着などにより密着させて封入する。その際、正極リード31および負極リード32と外装部材40との間には密着フィルム41を挿入する。これにより、図3,4に示した二次電池が完成する。
また、この二次電池は、次のようにして作製してもよい。まず、上述したようにして正極33および負極34を作製し、正極33および負極34に正極リード31および負極リード32を取り付けたのち、正極33と負極34とをセパレータ35を介して積層して巻回し、最外周部に保護テープ37を接着して、巻回電極体30の前駆体である巻回体を形成する。次いで、この巻回体を外装部材40に挟み、一辺を除く外周縁部を熱融着して袋状とし、外装部材40の内部に収納する。続いて、電解液と、高分子化合物の原料であるモノマーと、重合開始剤と、必要に応じて重合禁止剤などの他の材料とを含む電解質用組成物を、外装部材40の内部に注入し、外装部材40の開口部を密封する。そののち、熱を加えてモノマーを重合させて高分子化合物とすることによりゲル状の電解質層36を形成し、図3,図4に示した二次電池を組み立てる。
この二次電池の作用および効果は、第1の二次電池に係る二次電池と同様である。
更に、本発明の具体的な実施例について詳細に説明する。
(実施例1−1〜1−5)
正極活物質を次のようにして作成した。まず、市販試薬の炭酸リチウム(LiCO)と炭酸コバルト(CoCO)と水酸化アルミニウム(Al(OH))と炭酸マグネシウム(MgCO)とをボールミルで粉砕しながら十分に混合した。このとき、リチウム、コバルト、アルミニウムおよびマグネシウムのモル比が、Li:Co:Al:Mg=1.05:0.98:0.01:0.01となるようにした。次いで、この混合物を650℃下の空気中で5時間仮焼成し、さらに950℃下の空気中で20時間保持した後、毎分7℃づつ温度を下げて150℃まで冷却することにより、リチウム複合酸化物を合成した。この後、室温に取り出して粉砕して粉末状とし、これを中心部とした。作成した中心部の粒径をレーザー散乱法により測定したところ、平均粒子径は13μmであり、また、平均化学組成の分析値はLi1.03Co0.98Al0.01Mg0.01であった。
続いて、この中心部の表面にリンを含む化合物を含有する表面層を形成した。その際、実施例1−1では、乳酸アルミニウム23.5gを純水に溶かした溶液に、中心部となるリチウム複合酸化物粒子1kgを加えて撹拌し、これにリン酸水素二アンモニウム((NHHPO)21.1gを純水に溶かしたものを滴下して、1時間程度撹拌したのち、この固液混合物を200℃で乾燥し、800℃で5時間熱処理することにより表面層を形成した。
実施例1−2では、硝酸マグネシウム六水和物(Mg(NO・6HO)59.8gを純水に溶かした溶液に、中心部となるリチウム複合酸化物粒子1kgを加えて撹拌し、これにリン酸水素二アンモニウム18.0gを純水に溶かしたものを滴下して、1時間程度撹拌したのち、この固液混合物を200℃で乾燥し、800℃で5時間熱処理することにより表面層を形成した。
実施例1−3では、リン酸コバルト八水和物(Co(PO・8HO)28.4gをビーズミル法により純水を分散媒として粉砕し、固体分の平均粒径が0.9μmのスラリーとしたのち、これに中心部となるリチウム複合酸化物粒子1kgを加えて撹拌し、この固液混合物を200℃で乾燥して、800℃で5時間熱処理することにより表面層を形成した。
実施例1−4では、リン酸リチウム(LiPO)4.8gと、リン酸亜鉛四水和物(Zn(PO・4HO)18.6gとを混合し、ビーズミル法により純水を分散媒として粉砕し、固体分の平均粒径が0.8μmのスラリーとしたのち、これに中心部となるリチウム複合酸化物粒子1kgを加えて撹拌し、この固液混合物を200℃で乾燥して、800℃で5時間熱処理することにより表面層を形成した。
実施例1−5では、リン酸リチウムと、リン酸マンガン八水和物(Mn(PO・8HO)と、リン酸鉄八水和物(Fe(PO・8HO)とを混合し、窒素気流中において550℃で焼成することによりLiMn0.65Fe0.35POを合成したのち、これを中心部となるリチウム複合酸化物粒子の表面にメカノフュージョン法により被着し、表面層を形成した。なお、合成したLiMn0.65Fe0.35POについてX線回折測定を行ったところ、オリビン構造を有することが確認された。
作製した実施例1−1〜1−5の正極活物質について粉末X線回折測定を行った。X線回折装置にはリガクRINT2500の回転対陰極型を用いた。なお、このX線回折装置は、ゴニオメータとして縦標準型半径185mmのものを備えていると共に、Kβフィルタなどのフィルタは使用せず波高分析器とカウンタモノクロメータとの組み合わせによりX線の単色化を行うものである。測定は、特定X線としてCuKα(40kV,200mA)を用い、試料面に対する入射角度DSおよび試料面に対する回折線のなす角度RSをそれぞれ1°、入射スリットの幅SSを0.15mmとし、連続スキャン(走査範囲2θ=10°〜90°,走査速度4°/min)で反射法により行った。
その結果、実施例1−1では、中心部に含まれるリチウム複合酸化物の回折ピーク以外に、アルミニウムとリンとの結合に由来する回折ピークが観察された。実施例1−2では、マグネシウムとリンとの結合を有する化合物に由来する回折ピークが観察された。実施例1−3では、コバルトとリンとの結合に由来する回折ピークが観察された。実施例1−4では、亜鉛とリンとの結合に由来する回折ピークが観察された。実施例1−5では、マンガンとリンとの結合および鉄とリンとの結合に由来する回折ピークが観察された。
また、作製した実施例1−1〜1−5の正極活物質をインジウム金属箔に貼り付け、オージェ電子分光分析(Auger Electron Spectroscopy;AES)とスパッタエッチングとを併用することにより、表面の元素組成および深さ方向の元素分布を測定した。図5に実施例1−1の結果を代表して示す。なお、図5では主な元素であるリン,アルミニウム,コバルト,および酸素につて示した。また、表1に各実施例における表面層の含有元素を示す。その結果、図5に示したように、各実施例について表面層にリンが存在することが確認された。また、リンおよびアルミニウムなどの被覆元素は内部よりも表面の方が高く、表面から内部に向かって連続的に変化しており、リンは表面から内部に向かって150nm程度の深さまで存在していることがわかった。
次に、作製したこれらの正極活物質を用いて図1,2に示したような二次電池を作製した。まず、作製した正極活物質粉末と、炭酸リチウム粉末とを、正極活物質:炭酸リチウム=95:5の質量比で混合し、この混合物と、導電剤であるアモルファス性炭素粉末(ケッチェンブラック)と、結着剤であるポリフッ化ビニリデンとを、混合物:アモルファス性炭素粉末:ポリフッ化ビニリデン=94:3:3の質量比で混合して正極合剤を調製した。続いて、この正極合剤を溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンに分散させて正極合剤スラリーとし、厚み20μmの帯状アルミニウム箔よりなる正極集電体21Aの両面に均一に塗布して乾燥させ、ロールプレス機で圧縮成型して正極活物質層21Bを形成し正極21を作製した。そののち、正極集電体21Aの一端にアルミニウム製の正極リード25を取り付けた。
また、負極活物質として平均粒径30μmの球状黒鉛粉末と、結着剤としてポリフッ化ビニリデンとを、黒鉛粉末:ポリフッ化ビニリデン=90:10の質量比で混合して負極合剤を調製した。続いて、この負極合剤を溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンに分散させて負極合剤スラリーとし、厚み15μmの帯状銅箔よりなる負極集電体22Aの両面に均一に塗布し、加熱プレス成型して負極活物質層22Bを形成し負極22を作製した。そののち、負極集電体22Aの一端にニッケル製の負極リード26を取り付けた。その際、正極活物質と負極活物質の量を調節し、完全充電時における開回路電圧が4.40Vであり、負極22の容量がリチウムの吸蔵および放出による容量成分により表されるように設計した。
正極21および負極22をそれぞれ作製したのち、微多孔性セパレータ23を用意し、負極22,セパレータ23,正極21,セパレータ23の順に積層してこの積層体を渦巻状に多数回巻回し、ジェリーロール型の巻回電極体20を作製した。
巻回電極体20を作製したのち、巻回電極体20を一対の絶縁板12,13で挟み、負極リード26を電池缶11に溶接すると共に、正極リード25を安全弁機構15に溶接して、巻回電極体20をニッケルめっきした鉄製の電池缶11の内部に収納した。そののち、電池缶11の内部に電解液4.0gを減圧方式により注入した。電解液には、炭酸エチレンと炭酸ジメチルと炭酸ビニレンとを、炭酸エチレン:炭酸ジメチル:炭酸ビニレン=35:64:1の質量比で混合した溶媒に、電解質塩としてLiPFを1.0mol/kgとなるように溶解させたものを用いた。
電池缶11の内部に電解液を注入したのち、ガスケット17を介して電池缶11をかしめることにより、安全弁機構15、熱感抵抗素子16および電池蓋14を固定し、外径18mm、高さ65mmの円筒型二次電池を得た。
また、実施例1−1〜1−5に対する比較例1−1として、実施例1−1〜1−5において中心部に用いたリチウム複合酸化物粒子(平均化学組成Li1.03Co0.98Al0.01Mg0.01)をそのまま表面層を形成せずに正極活物質として用いたことを除き、他は実施例1−1〜1−5と同様にして二次電池を作製した。
比較例1−2として、実施例1−1〜1−5において中心部に用いたリチウム複合酸化物(平均化学組成Li1.03Co0.98Al0.01Mg0.01)と、実施例1−5において表面層に用いたリン含有化合物(LiMn0.65Fe0.35PO)とを、リチウム複合酸化物:リン含有化合物=98:2の質量比で混合したものを正極活物質として用いたことを除き、他は実施例1−1〜1−5と同様にして二次電池を作製した。
比較例1−3として、実施例1−1〜1−5において中心部に用いたリチウム複合酸化物粒子1kgを、硝酸アルミニウム九水和物(Al(NO・9HO)110.5gを純水に溶かした溶液に加えて1時間程度撹拌したのち、この固液混合物を200℃で乾燥し、800℃で5時間熱処理することにより表面層を形成し、正極活物質としたことを除き、他は実施例1−1〜1−5と同様にして二次電池を作製した。
作製した実施例1−1〜1−5および比較例1−1〜1−3の二次電池について、充放電を行い、定格容量およびサイクル特性を調べた。充電は、23℃において、2000mAの定電流で電池電圧が4.4Vに達するまで定電流充電を行ったのち、定電圧で充電時間の合計が3時間となるまで定電圧充電を行い、完全充電状態とした。放電は、23℃において、2000mAの定電流で電池電圧が2.75Vに達するまで定電流放電を行い、完全放電状態とした。この充放電を繰返し、2サイクル目の放電容量を定格容量とした。また、サイクル特性としては、定格容量に対する200サイクル目の放電容量の割合を(200サイクル目の放電容量/定格容量)×100により求めた。得られた結果を表1に示す。
Figure 2006123572
表1に示したように、正極活物質に表面層を設けた実施例1−1〜1−5によれば、表面層を設けずに、中心部のみを用いた比較例1−1に比べて、定格容量は表面層の分が低下したものの、放電容量維持率を大幅に向上させることができた。これに対して、リチウム複合酸化物とリン含有化合物とを単に混合した比較例1−2では、放電容量維持率を向上させることはできたが、その程度は実施例1−1〜1−5に比べて僅かであった。また、アルミニウムを含む酸化物の表面層を設けた比較例1−3でも、放電容量維持率が90%を超える程度まで十分に向上させることはできなかった。
すなわち、完全充電時における開回路電圧を4.25V以上としても、リンを含む表面層を設けた正極活物質を用いるようにすれば、高いエネルギー密度を得ることができると共に、サイクル特性を向上させることができることが分かった。
(実施例2−1〜2−3)
正極活物質を次のようにして作製した。まず、硫酸ニッケルと、硫酸コバルトと、硫酸マンガンとを水溶液として混合し、撹拌しながらアンモニア水と水酸化ナトリウム水溶液とを滴下して、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物を作製し、これを水酸化リチウムと混合して、酸素気流中において900℃で10時間熱処理することにより、ニッケルコバルトマンガン複合酸化物を合成した。得られた焼成物について原子吸光法により分析したところ、その組成はLi1.02Ni0.1Co0.8Mn0.1であった。また、このニッケルコバルトマンガン複合酸化物はJCPDS(Joint Committee of Powder Diffraction Standard)ファイルに登録されたカードの50−0653に記載されたLiCoOのパターンに類似しており、LiCoOと同様の層状岩塩構造を形成していることが確認された。次いで、これを粉砕して粉末状とし、中心部とした。作製した中心部の粒径をレーザー回折法により測定したところ、平均粒径は13μmであった。また、走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope;SEM)によりこの粉末を観察したところ、0.1μm〜5μmの1次粒子が凝集した球状の粒子が観察された。
続いて、この中心部に表面層を形成した。その際、実施例2−1では、リン酸リチウム(LiPO)5gと、リン酸コバルト八水和物(Co(PO・8HO)21.8gとを混合し、ビーズミル法により純水を分散媒として粉砕し、固体分の平均粒径が0.8μmのスラリーとしたのち、これに中心部となるリチウム複合酸化物粒子1kgを加えて撹拌し、この固液混合物を200℃で乾燥して、800℃で5時間熱処理することにより表面層を形成した。
実施例2−2では、水酸化リチウム・一水和物(LiOH・HO)5.3gと、水酸化ニッケル(Ni(OH))11.8gと、リン酸水素二アンモニウム((NHHPO)17.1gとを混合し、ビーズミル法により純水を分散媒として粉砕し、固体分の平均粒径が0.8μmのスラリーとしたのち、これに中心部となるリチウム複合酸化物粒子1kgを加えて撹拌し、この固液混合物を200℃で乾燥して、800℃で5時間熱処理することにより表面層を形成した。
実施例2−3では、リン酸リチウム(LiPO)9.7gと、リン酸マグネシウム八水和物(Mg(PO・8HO)33.3gとを混合し、ビーズミル法により純水を分散媒として粉砕し、固体分の平均粒径が0.8μmのスラリーとしたのち、これに中心部となるリチウム複合酸化物粒子1kgを加えて撹拌し、この固液混合物を200℃で乾燥して、800℃で5時間熱処理することにより表面層を形成した。
作製した実施例2−1〜2−3の正極活物質についても、実施例1−1〜1−5と同様にして分析したところ、表面層にリン含有化合物が存在することが確認された。そののち、作製した正極活物質を用いて、実施例1−1〜1−5と同様にして二次電池を作製した。
また、実施例2−1〜2−3に対する比較例2−1〜2−3として、実施例2−1〜2−3において中心部に用いたリチウム複合酸化物粒子(Li1.02Ni0.1Co0.8Mn0.1)をそのまま表面層を形成せずに正極活物質として用いたことを除き、他は実施例2−1〜2−3と同様にして二次電池を作製した。
更に、比較例2−4として、実施例2−1〜2−3において中心部に用いたリチウム複合酸化物(Li1.02Ni0.1Co0.8Mn0.1)と、リン含有化合物(LiMgPO)とを、リチウム複合酸化物:リン含有化合物=97:3の質量比で混合したものを正極活物質として用いたことを除き、他は実施例2−1〜2−3と同様にして二次電池を作製した。その際、リン含有化合物は、リン酸リチウム(LiPO)と、リン酸マグネシウム八水和物(Mg(PO・8HO)とを1:1のモル比となるように混合し、ビーズミル法により純水を分散媒として粉砕したのち、200℃で乾燥して、800℃で5時間熱処理することにより合成した。得られたリン含有化合物についてX線回折測定を行ったところ、オリビン構造を有することが確認された。
作製した実施例2−1〜2−3および比較例2−1〜2−4の二次電池についても、充電電圧を変えたことを除き、実施例1−1〜1−5と同様にして充放電を行い、定格容量およびサイクル特性を調べた。充電電圧は、実施例2−1および比較例2−1では4.4V、実施例2−2および比較例2−2では4.5V、実施例2−3および比較例2−3,2−4では4.6Vとした。得られた結果を表2に示す。
Figure 2006123572
表2に示したように、正極活物質に表面層を設けた実施例2−1〜2−3によれば、表面層を設けずに、中心部のみを用いた比較例2−1〜2−3に比べて、放電容量維持率を大幅に向上させることができた。特に、充電電圧を高くするほどその効果は大きかった。これに対して、リチウム複合酸化物とリン含有化合物とを単に混合した比較例2−4では、充電電圧を高くすると放電容量維持率を向上させることができなかった。
すなわち、完全充電時における開回路電圧を4.25V以上としても、リンを含む表面層を設けた正極活物質を用いるようにすれば、高いエネルギー密度を得ることができると共に、サイクル特性を向上させることができ、開回路電圧を高くするほど高い効果を得られることが分かった。
(実施例3−1〜実施例3−9、比較例3−1,3−2)
正極活物質を次のようにして作成した。まず、コバルト化合物Coと、リチウム塩LiCOとを、リチウムとコバルトとのモル比がLi:Co=1.05:1となるように均一に混合した。次に、上記混合物を空気中において、900℃で5時間熱処理を行うことによりコバルト酸リチウム(LiCoO)を作成した。このコバルト酸リチウム(LiCoO)について、実施例1−1〜1−5と同様にして粉末X線回折測定を行ったところ、JCPDSのファイルに登録されたコバルト酸リチウム(LiCoO)のピークとよく一致していた。次いで、このコバルト酸リチウム(LiCoO)を粉砕し、レーザー回折法で得られる累積50%粒径が14μmの粉末状とした。
続いて、リンとアルミニウムとの化合物をコバルト酸リチウム(LiCoO)の表面に存在させた。その際、実施例3−1では、乳酸アルミニウム34.9gを1Lの純水に溶かし、コバルト酸リチウム(LiCoO)1kgを加え攪拌した。次いで、この溶液に、リン酸水素二アンモニウム15.7gを純水に溶かしたものを滴下し、さらに、1時間程度攪拌した。このようにして作製した固液混合物を700℃で10時間、乾燥および熱処理することにより、正極活物質を作製した。
実施例3−2では、乳酸アルミニウムの量を23.3g、リン酸水素二アンモニウムの量を20.9gとしたことを除き、他は実施例3−1と同様にして、正極活物質を作製した。
実施例3−3では、乳酸アルミニウムの量を17.4g、リン酸水素二アンモニウムの量を23.5gとしたことを除き、他は実施例3−1と同様にして、正極活物質を作製した。
実施例3−4では、乳酸アルミニウムの量を11.6g、リン酸水素二アンモニウムの量を26.1gとしたことを除き、他は実施例3−1と同様にして、正極活物質を作製した。
実施例3−5では、乳酸アルミニウムの量を4.36g、リン酸水素二アンモニウムの量を29.4gとしたことを除き、他は実施例3−1と同様にして、正極活物質を作製した。
実施例3−6では、乳酸アルミニウムの量を2.44g、リン酸水素二アンモニウムの量を1.09gとしたことを除き、他は実施例3−1と同様にして、正極活物質を作製した。
実施例3−7では、乳酸アルミニウムの量を4.88g、リン酸水素二アンモニウムの量を2.19gとしたことを除き、他は実施例3−1と同様にして、正極活物質を作製した。
実施例3−8では、乳酸アルミニウムの量を75.4g、リン酸水素二アンモニウムの量を33.8gとしたことを除き、他は実施例3−1と同様にして、正極活物質を作製した。
実施例3−9では、乳酸アルミニウムの量を101.5g、リン酸水素二アンモニウムの量を45.6gとしたことを除き、他は実施例3−1と同様にして、正極活物質を作製した。
また、実施例3−1〜3−9に対する比較例3−1として、乳酸アルミニウムおよびリン酸水素二アンモニウムを用いずに、リチウム複合酸化物(Li1.03Co0.98Al0.01Mg0.01)を純水中で撹拌したことを除き、他は実施例3−1〜3−9と同様にして正極活物質を作製した。さらに、比較例3−2として、乳酸アルミニウムを用いず、リン酸水素二アンモニウムのみを31.3g用いたことを除き、他は実施例3−1〜3−9と同様にして正極活物質を作製した。
作製した実施例3−1,3−2および比較例3−1の正極活物質について、実施例1−1〜1−5と同様にして粉末X線回折測定を行った。結果を図6、図7および図8に示す。この結果、図6および図7に示す実施例3−1および実施例3−2の正極活物質は、CuのKα線を用いた回折スペクトルにおいて、図8に示す比較例3−1の正極活物質の回折ピーク以外に、22°〜22.5°、23°〜23.5°、24.5°〜25°に回折ピークを示すことがわかった。
次いで、作製した実施例3−1〜3−9および比較例3−1,3−2の正極活物質を用いて図1,2に示したような二次電池を作製した。この際、正極合剤として、作製した正極活物質86重量%,導電剤としてのグラファイト10重量%,結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)4重量%を混合して調整したものを用いたこと、負極集電体22Aとして厚み10μmの銅箔を用いたこと、電解液としてエチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの体積混合比が1:1である混合溶液に対して1mol/dmのLiPFを溶解したものを用いたことを除き、他は実施例1−1〜1−5と同様にして作製した。
作製した実施例3−1〜3−9および比較例3−1,3−2の二次電池について、充電電圧を変えたことを除き、実施例1−1〜1−5と同様にして充放電を行い、定格容量およびサイクル特性を調べた。この際、充放電は23℃および45℃の環境下で行った。
また、実施例3−1〜実施例3−9および比較例3−1,3−2の正極活物質をインジウム金属箔に貼り付け、下記の条件でESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)分析を行い、表面元素組成比P/Alを測定した。
(ESCA分析の条件)
測定装置 アルバック・ファイ社製X線光電子分光装置Quantera SXMX線源 単色化Al−Kα線(1486.6eV)
X線ビーム径 100μm
X線出力 25W
電子中和条件 電子中和銃、および中和用アルゴン銃を「オート」モードで使用
パスエネルギー 112eV
Step Size 0.2eV
スキャン回数 20回
実施例3−1〜実施例3−9および比較例3−1,3−2に用いた正極活物質の表面元素組成比、被覆量および作製した電池の初期容量、維持率の測定結果を表3〜表6に示す。なお、充電上限電圧については、表3では4.55V、表4では4.40V、表5では4.30V、表6では4.20Vとした。
Figure 2006123572
Figure 2006123572
Figure 2006123572
Figure 2006123572
表3〜6に示すように、リチウム複合酸化物の粒子表面にリンとアルミニウムとの化合物を有するようにすれば、サイクル特性を改善できることがわかった。また、表面におけるアルミニウムに対するリンの原子比(P/Al)を0.3以上とした場合に、より高い特性が得られた。
更に、表面におけるリンとアルミニウムとの化合物の量が少なすぎるとサイクル改善効果が小さく、多すぎると初期容量の減少が著しい。したがって、リンとアルミニウムとを合わせて、リチウム複合酸化物粒子に対して0.2mol%以上6.0mol%以下の範囲で含むことが好ましいことがわかった。
(実施例4−1〜実施例4−9、比較例4−1,4−2)
実施例3−1〜3−9および比較例3−1,3−2と同様にして、正極33および負極34を作製したのち、図3,4に示したような二次電池を作製した。まず、正極集電体33Aの一端にアルミニウム製の正極リード31を取り付けるとともに、負極集電体34Aの一端にニッケル製の負極リード32を取り付けた。次いで、正極33および負極34の上に、ポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体に電解液を保持させた電解質層36を設けた。電解液には、非水溶媒としてのエチレンカーボネート60重量%とプロピレンカーボネート40重量%とを混合したものに電解質塩としてのLiPFを0.8mol/kgの含有量で溶解させたものを用いた。
次いで、電解質層36が形成された正極33と負極34とを、セパレータ35を介して積層したのち、渦巻き状に多数回巻回することにより巻回電極体30を形成した。そののち、正極リード31および負極リード32を外部に導出しつつ、巻回電極体30をラミネートフィルムよりなる外装部材40に減圧封入することより、厚さ3.8mm、幅34mm、高さ50mmの二次電池を作製した。
作製した実施例4−1〜実施例4−9および比較例4−1,4−2の二次電池について、充放電の定電流を700mAとしたこと、および充電電圧を変えたことを除き、実施例1−1〜1−5と同様にして充放電を行い、定格容量およびサイクル特性を調べた。その際、充放電は23℃および45℃の環境下で行った。また、実施例3−1〜実施例3−9および比較例3−1,3−2と同様にして、表面元素組成比、被覆量を測定した。これらの結果を表7〜表10に示す。なお、充電上限電圧については、表7では4.55V、表8では4.40V、表9では4.30V、表10では4.20Vとした。
Figure 2006123572
Figure 2006123572
Figure 2006123572
Figure 2006123572
表7〜表10に示すように、リチウム複合酸化物の粒子表面にリンとアルミニウムとの化合物を有するようにすれば、サイクル特性を改善できることがわかった。また、表面におけるアルミニウムに対するリンの原子比(P/Al)を0.3以上とした場合に、より高い特性が得られた。
更に、表面におけるリンとアルミニウムとの化合物の量が少なすぎるとサイクル改善効果が小さく、多すぎると初期容量の減少が著しい。したがって、リンとアルミニウムとを合わせて、リチウム複合酸化物粒子に対して0.2mol%〜6.0mol%含むことが好ましいことがわかった。
(実施例5−1〜5−5、比較例5−1〜5−3)
正極活物質を次のようにして作製した。実施例5−1では、まず、リン酸マンガン3水和物(Mn(PO・3HO)とリン酸リチウム(LiPO)とを混合し、ビーズミル法により純水を分散媒として粉砕し、固体分の平均粒径が0.3μmのスラリーとした。これに、平均組成Li1.03Co0.98Al0.01Mg0.01、レーザ散乱法による平均粒子径が13μmのリチウム複合酸化物粒子を加えて撹拌し、この固液混合物を200℃で乾燥して、800℃で5時間熱処理した後に徐冷することにより正極活物質を作製した。この際、マンガン、リンの被覆量は、リチウム複合酸化物粉末に対して、それぞれ2.0mol%となるようにした。
実施例5−2では、マンガン、リンの被覆量を、リチウム複合酸化物粉末に対して3.0mol%、2.0mol%としたことを除き、他は実施例5−1と同様にして正極活物質を作製した。
実施例5−3では、マンガン、リンの被覆量を、リチウム複合酸化物粉末に対して2.0mol%、3.0mol%としたことを除き、他は実施例5−1と同様にして正極活物質を作製した。
実施例5−4では、リン酸マンガン3水和物と炭酸リチウム(LiCO)とを混合し、マンガン、リン、リチウムの被覆量をリチウム複合酸化物粉末に対して、3.0mol%、2.0mol%、3.0mol%としたことを除き、他は実施例5−1と同様にして正極活物質を作製した。
実施例5−5では、リン酸マンガン3水和物を用いて、リン酸リチウムを用いないことにより、マンガン、リンの被覆量をリチウム複合酸化物粉末に対して3.0mol%、2.0mol%としたことを除き、他は実施例5−1と同様にして正極活物質を作製した。
作製した実施例5−1の正極活物質について、実施例1−1〜1−5と同様にして、表面の元素組成および深さ方向の元素分布を測定した。結果を図9に示す。これにより、表面から内部に向かってリンおよびマンガンの含有量が減少していくのに対して、コバルトの含有量は増加していくことがわかった。
次いで、作製した実施例5−1〜5−5の正極活物質を用いて、実施例3−1〜3−9と同様にして二次電池を作製した。
また、実施例5−1〜5−5に対する比較例5−1として、実施例5−1〜5−5で用いたリチウム複合酸化物粒子(Li1.03Co0.98Al0.01Mg0.01)を水に撹拌したものを用いて正極活物質を作製したことを除き、他は実施例5−1〜5−5と同様にして二次電池を作製した。
さらに、比較例5−2および5−3として、実施例5−1〜5−5で用いたリチウム複合酸化物粒子(Li1.03Co0.98Al0.01Mg0.01)を、リン酸水素二アンモニウム((NHHPO)を純水に溶かした溶液に混合したものを正極活物質に用いたことを除き、他は実施例5−1〜5−5と同様にして二次電池を作製した。この際、リンの被覆量は、リチウム複合酸化物粉末に対して、比較例5−2では1.0mol%、比較例5−3では3.0mol%となるようにした。
作製した実施例5−1〜5−5および比較例5−1〜5−3の二次電池について、以下のようにして初期容量、高温時の200サイクル目の容量維持率および低温時の容量維持率を求めた。
<初期容量>
環境温度23℃、充電電流1000mA、充電電圧4.4V、充電時間3時間の条件で定電流定電圧充電した後、環境温度23℃、放電電流800mA、終止電圧3.0Vの条件で定電流放電し、初期容量を測定した。結果を表11に示す。
<高温時の200サイクル目の容量維持率>
環境温度45℃、充電電流1000mA、充電電圧4.4V、充電時間3時間の条件で定電流定電圧充電した後、環境温度45℃、放電電流800mA、終止電圧3.0Vの条件で定電流放電し、初期容量を測定した。次いで、この初期容量を測定した場合と同様の条件で充放電を繰り返し、200サイクル目の放電容量を測定した。次いで、初期容量に対する、200サイクル目の容量維持率を求めた。結果を表11に示す。
<低温時の容量維持率>
環境温度23℃、充電電流1000mA、充電電圧4.4V、充電時間3時間の条件で定電流定電圧充電した後、環境温度−20℃〜23℃、放電電流2400mA、終止電圧3.0Vの条件で定電流放電し、それぞれの温度での放電容量を測定した。次いで、23℃での放電容量に対する、環境温度0℃、−10℃、−20℃の放電容量維持率を求めた。結果を表11に示す。
また、実施例5−1および比較例5−1の二次電池について、充電電圧を4.20V,4.30V,4.40V,4.50V,4.60Vと変化させたことを除き、上記と同様にして、初期容量、高温時の200サイクル目の容量維持率および低温時の容量維持率を求めた。結果を表12に示す。
Figure 2006123572
Figure 2006123572
表11の結果から、リンおよびマンガンを含む化合物、またはリン、マンガンおよびリチウムを含む化合物をリチウム複合酸化物の粒子表面に含有させた場合には、それらの化合物を粒子表面に含有させなかった場合と比べて、二次電池の初期容量がやや減少するが、高温時の200サイクル目の容量維持率、および低温時の容量維持率が向上することが分かる。この際、リンとマンガンとの比率を一定の範囲内で変化させても、高温時の200サイクル目の容量維持率および低温時の容量維持率の改善効果が得られることが分かる。また、リンのみを粒子表面に含有させた場合には、高温時の200サイクル目の容量維持率が十分ではなく、低温時の容量維持率の改善効果が得られないことがわかった。
表12の結果から、リンおよびマンガンを含む化合物をリチウム複合酸化物の粒子表面に含有させた場合には、それらの化合物を粒子表面に含有させなかった場合と比べて充電上限電圧4.2〜4.6Vの範囲内において二次電池の初期容量がやや減少するが、高温時のサイクル容量維持率、および低温時の容量維持率が改善されることがわかった。
(実施例6−1〜6−5)
リン酸マンガン3水和物とリン酸リチウムの混合量を変化させて作製した正極活物質を用いたことを除き、他は実施例3−1〜3−9と同様にして二次電池を作製した。この際、マンガンおよびリンの被覆量は、リチウム複合酸化物粉末に対して等しく、実施例6−1では5.7mol%、実施例6−2では3.0mol%、実施例6−3では1.5mol%、実施例6−4では0.3mol%、実施例6−5では0.15mol%とした。
作製した実施例6−1〜6−5の二次電池について、実施例5−1〜5−5と同様にして、初期容量、高温時の200サイクル目の容量維持率および低温時の容量維持率を測定した。なお、充電電圧は4.4Vとした。結果を表13に示す。
Figure 2006123572
表13の結果から、リチウム複合酸化物粉末に対してリンとマンガンとを添加して熱処理することにより、高温時の200サイクル目の容量維持率および低温時の容量維持率が改善されることがわかった。また、マンガンおよびリンの被覆量は、リチウム複合酸化物粉末に対して0.1mol%以上6.0mol%以下の範囲内であることが好ましい。被覆量が少なすぎると、高温時の200サイクル目の容量維持率および低温時の容量維持率を改善する効果が十分には得られず、多すぎると、二次電池の初期容量が大幅に減少するためである。
(実施例7、比較例7)
正極活物質を次のようにして作製した。まず、リン酸マンガン3水和物(Mn(PO・3HO)とリン酸リチウム(LiPO)とを混合し、ビーズミル法により純水を分散媒として粉砕し、固体分の平均粒径が0.4μmのスラリーとした。これに、平均組成Li1.02Ni0.5Co0.2Mn0.3、レーザー散乱法による平均粒子径12μmのリチウム複合酸化物粒子を加えて撹拌し、この固液混合物を200℃で乾燥して、900℃で5時間熱処理した後に徐冷することにより正極活物質を作製した。この際、マンガン、リンの被覆量がリチウム複合酸化物粉末に対して、それぞれ2.0mol%となるようにした。そののち、実施例3−1〜3−9と同様にして二次電池を作製した。
また、実施例7の比較例7として、実施例7で用いたリチウム複合酸化物粒子(Li1.02Ni0.5Co0.2Mn0.3)を水で撹拌した後、200℃で乾燥して、800℃で5時間熱処理した後に徐冷することにより正極活物質を作製したことを除き、他は実施例7と同様にして二次電池を作製した。
作製した実施例7および比較例7の二次電池について、実施例5−1および比較例5−1と同様にして、初期容量、高温時の200サイクル目の容量維持率および低温時の容量維持率を求めた。結果を表14に示す。
Figure 2006123572
表14の結果から、中心部となるリチウム複合酸化物として平均組成がLi1.02Ni0.5Co0.2Mn0.3で表されるリチウム複合酸化物を用い、このリチウム複合酸化物の粒子表面にリン、マンガンおよびリチウムの化合物を含有させた場合には、それらの化合物を含有させなかった場合と比べて充電上限電圧を4.2V以上4.6V以下の範囲内において二次電池の初期容量がやや減少するが、高温時の200サイクル目の容量維持率および低温時の容量維持率が改善されることがわかった。
(実施例8、比較例8)
正極活物質を次のようにして作製した。まず、リン酸マンガン3水和物とリン酸リチウムとを混合し、ビーズミル法により純水を分散媒として粉砕し、固体分の平均粒径が0.4μmのスラリーとした。これに、平均組成Li1.05Mn1.85Al0.1、レーザー散乱法による平均粒子径15μmのスピネル構造を有するリチウム複合酸化物粒子を加えて撹拌し、この固液混合物を200℃で乾燥して、800℃で5時間熱処理した後に徐冷することにより正極活物質を作製した。この際、マンガン、リンの被覆量がリチウム遷移金属複合酸化物粉末に対して、それぞれ2.0mol%となるようにした。そののち、実施例3−1〜3−9と同様にして二次電池を作製した。
また、実施例8に対する比較例8として、実施例8で用いたリチウム複合酸化物粒子(Li1.05Mn1.85Al0.1)を水に投入して撹拌した後、200℃で乾燥して、800℃で5時間熱処理して徐冷することにより正極活物質を作製したことを除き、他は実施例3−1〜3−9と同様にして二次電池を作製した。
作製した実施例8および比較例8の二次電池について、以下のようにして初期容量および低温時の容量維持率を測定した。
<初期容量>
環境温度23℃、充電電圧4.2V、充電電流800mA、充電時間2.5時間の条件で定電流定電圧充電した後、環境温度23℃、放電電流500mA、終止電圧3.0Vの条件で定電流放電し、初期容量を測定した。結果を表15に示す。
<低温時の容量維持率>
環境温度23℃、充電電圧4.2V、充電電流800mA、充電時間2.5時間の条件で定電流定電圧充電した後、環境温度−20℃〜23℃、放電電流500mA、終止電圧3.0Vの条件で定電流放電し、それぞれの温度での放電容量を測定した。次いで、環境温度23℃での放電容量に対する、環境温度0℃、−10℃、−20℃での容量維持率を求めた。結果を表15に示す。
Figure 2006123572
表15の結果から、中心部となるリチウム複合酸化物としてスピネル構造を有するものを用い、その表面にリン、マンガンおよびリチウムの化合物を含有させた場合、それらの化合物を表面に含有させなかった場合と比べて、初期容量がやや減少したが、低温時の容量維持率が改善されることがわかった。
(実施例9−1〜9−6、比較例9−1,9−2)
正極活物質を次にようにして作製した。実施例9−1では、まず、リン酸マグネシウム8水和物(MgPO・8HO)55.16gとリン酸リチウム(LiPO)15.99gとを混合し、ビーズミル法により純水を分散媒として粉砕し、固体分の平均粒径が0.4μmのスラリーとした。これに、平均組成Li1.03Co0.98Al0.01Mg0.01、レーザー散乱法による平均粒子径13μmのリチウム複合酸化物粒子1Kgを加えて撹拌し、この固液混合物を200℃で乾燥して、800℃で5時間熱処理した後に徐冷することにより正極活物質を作製した。この際、マグネシウム、リンの被覆量は、リチウム複合酸化物に対して、それぞれ3.8mol%であった。
実施例9−2では、リン酸マグネシウム8水和物44.83gとリン酸リチウム13.00gとを混合し、マグネシウム、リンの被覆量が、リチウム複合酸化物に対して、それぞれ3.1mol%となるようにしたことを除き、他は実施例9−1と同様にして正極活物質を作製した。
実施例9−3では、リン酸マグネシウム8水和物33.28gとリン酸リチウム9.65gとを混合し、マグネシウム、リンの被覆量が、リチウム複合酸化物に対して、それぞれ2.3mol%となるようにしたことを除き、他は実施例9−1と同様にして正極活物質を作製した。
実施例9−4では、リン酸マグネシウム8水和物10.87gとリン酸リチウム3.15gとを混合し、マグネシウム、リンの被覆量が、リチウム複合酸化物に対して、それぞれ0.8mol%となるようにしたことを除き、他は実施例9−1と同様にして二次電池を作製した。
実施例9−5では、リン酸マグネシウム8水和物5.41gとリン酸リチウム1.57gとを混合し、マグネシウム、リンの被覆量が、リチウム複合酸化物に対して、それぞれ0.4mol%となるようにしたことを除き、他は実施例9−1と同様にして正極活物質を作製した。
実施例9−6では、リン酸マグネシウム8水和物6.37gとリン酸リチウム21.96gとを混合し、マグネシウム、リンの被覆量が、リチウム複合酸化物に対して、それぞれ0.15mol%となるようにしたことを除き、他は実施例9−1と同様にして正極活物質を作製した。
作製した実施例9−3の正極活物質について、実施例1−1〜1−5と同様にして、表面の元素組成および深さ方向の元素分布を測定した。結果を図10に示す。これにより、表面から内部に向かって、リンおよびマグネシウムの含有量が減少していくのに対して、コバルトの含有量が増加していくことがわかった。
次いで、作製した実施例9−1〜9−6の正極活物質を用いて、実施例3−1〜3−9と同様にして二次電池を作製した。
また、作製した実施例9−1〜9−6に対する比較例9−1として、実施例9−1〜9−3で用いたリチウム複合酸化物(Li1.03Co0.98Al0.01Mg0.01)を水に投入して撹拌した後、200℃で乾燥して、800℃で5時間熱処理することにより正極活物質を作製したことを除き、他は実施例9−1〜9−6と同様にして二次電池を作製した。
さらに、実施例9−1〜9−6に対する比較例9−2として、実施例9−1〜9−6で用いたリチウム複合酸化物(Li1.03Co0.98Al0.01Mg0.01)1kgを、リン酸水素2アンモニウム41.9gを純水に溶かした溶液に加えて撹拌した後、200℃で乾燥して、800℃で5時間熱処理することにより正極活物質を作製したことを除き、他は実施例9−1〜9−6と同様にして二次電池を作製した。この際、リンの被覆量はリチウム複合酸化物粉末に対して3.0mol%であった。
作製した実施例9−1〜9−6および比較例9−1,9−2の二次電池について、以下のようにして初期容量および低温時の容量維持率を測定した。
<初期容量>
環境温度23℃、充電電流1000mA、充電上限電圧4.2V〜4.6Vの条件で定電流定電圧充電した後、環境温度23℃、放電電流2400mA、終止電圧3.0Vの条件で定電流放電し、放電容量を測定した。結果を表16に示す。
<低温時の容量維持率>
環境温度23℃、充電電流1000mA、充電上限電圧4.2V〜4.6Vの条件で定電流低電圧充電した後、環境温度−20℃〜23℃、放電電流2400mA、終止電圧3.0V の条件で定電流定放電し、それぞれの温度での放電容量を測定した。次いで、環境温度23℃での放電容量に対する、環境温度0℃、−10℃、−20℃での容量維持率を求めた。結果を表16に示す。
Figure 2006123572
表16の結果から、リチウム複合酸化物粉末に対してリンとマグネシウムとを含む化合物を添加した場合、これらを添加しなかった場合と比べて初期容量がやや減少したが、低温時の容量維持率が改善されることがわかった。また、リンおよびマグネシウムの被覆量は、0.1mol%以上4.0mol%以下であることが好ましい。量が少なすぎると低温時の容量維持率が小さくなり、多すぎると初期容量の減少が著しいからである。
(実施例10、比較例10)
正極活物質を次のように作製した。まず、リン酸マグネシウム8水和物33.28gとリン酸リチウム9.65gとを混合し、固体分の平均粒径が0.4μmのスラリーとした。これに、平均組成Li1.02Ni0.5Co0.2Mn0.3、レーザー散乱法による平均粒子径12μmであるリチウム複合酸化物粒子を加えて撹拌し、この固液混合物を200℃で乾燥して、900℃で5時間熱処理した後に徐冷することにより、正極活物質を作製した。この際、マグネシウム、リンの被覆量は、リチウム複合酸化物に対して、それぞれ2.3mol%であった。そののち、実施例3−1〜3−9と同様にして二次電池を得た。
また、実施例10に対する比較例10として、実施例10で用いたリチウム複合酸化物Li1.02Ni0.5Co0.2Mn0.3を水に投入して撹拌した後、200℃で乾燥して、900℃で5時間熱処理することにより正極活物質を作製したことを除き、他は実施例10と同様にして二次電池を作製した。
作製した実施例10および比較例10の二次電池について、実施例9−1と同様にして初期容量および低温時の容量維持率を求めた。結果を表17に示す。
Figure 2006123572
表17の結果から、中心部となるリチウム複合酸化物として、Li1.02Ni0.5Co0.2Mn0.3を用い、その表面にリン、マグネシウムおよびリチウムの化合物を含有させた場合、それらの化合物を表面に含有させなかった場合と比べて電池の初期容量がやや減少するが、低温時の容量維持率が改善されることがわかった。
(実施例11、比較例11)
正極活物質を次のように作製した。まず、リン酸マグネシウム8水和物27.59gとリン酸リチウム8.00gとを混合し、ビーズミル法により純水を分散媒として粉砕し、固体分の平均粒径が0.4μmのスラリーとした。これに、平均組成Li1.05Mn1.85Al0.14、レーザー散乱法による平均粒子径14μmであるスピネル構造を有するリチウム複合酸化物粒子1kgを加えて撹拌し、この固液混合物を200℃で乾燥して、800℃で5時間熱処理した後に徐冷することにより、正極活物質を作製した。この際、マグネシウム、リンの被覆量は、リチウム複合酸化物に対して、それぞれ3.4mol%であった。そののち、実施例3−1〜3−9と同様にして二次電池を作製した。
また、実施例11に対する比較例11として、実施例11において中心部となるリチウム複合酸化物(Li1.05Mn1.85Al0.1)を水に投入して攪拌した後、200℃で乾燥して、900℃で5時間熱処理することにより正極活物質を作製したことを除き、他は実施例11と同様にして二次電池を作製した。
作製した実施例11および比較例11の二次電池の初期容量および低温時の容量維持率を以下のようにして求めた。
<初期容量>
環境温度23℃、充電電圧4.2V、充電電流800mA、充電時間2.5時間の条件で定電流定電圧充電した後、環境温度23℃、放電電流500mA、終止電圧3.0Vの条件で定電流放電し、初期容量を測定した。結果を表18に示す。
<低温時の容量維持率>
環境温度23℃、充電電圧4.2V、充電電流800mA、充電時間2.5時間の条件で定電流定電圧充電した後、環境温度−20℃〜23℃、放電電流500mA、終止電圧3.0Vの条件で定電流放電し、それぞれの温度での放電容量を測定した。次いで、環境温度23℃での放電容量に対する、環境温度0℃、−10℃、−20℃での容量維持率を求めた。結果を表18に示す。
Figure 2006123572
表18の結果から、中心部となるリチウム複合酸化物として、スピネル構造を有するLi1.05Mn1.85Al0.1を用い、この表面にリン、マグネシウムおよびリチウムの化合物を含有させた場合、それらの化合物を粒子表面に含有させなかった場合と比べて初期容量がやや減少するが、低温時の容量維持率が改善されることがわかった。
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態または実施例では、液状の電解質である電解液、または電解液を高分子化合物に保持させたゲル状の電解質を用いる場合について説明したが、他の電解質を用いるようにしてもよい。他の電解質としては、例えば、イオン伝導性を有する高分子化合物に電解質塩を分散させた高分子電解質、イオン伝導性セラミックス,イオン伝導性ガラスあるいはイオン性結晶などよりなる無機固体電解質、溶融塩電解質、またはこれらを混合したものが挙げられる。
また、上記実施の形態および実施例では、負極の容量が、リチウムの吸蔵および放出による容量成分により表されるいわゆるリチウムイオン二次電池について説明したが、本発明は、負極活物質にリチウム金属を用い、負極の容量が、リチウムの析出および溶解による容量成分により表されるいわゆるリチウム金属二次電池、または、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料の充電容量を正極の充電容量よりも小さくすることにより、負極の容量がリチウムの吸蔵および放出による容量成分と、リチウムの析出および溶解による容量成分とを含み、かつその和により表されるようにした二次電池についても同様に適用することができる。
更に、上記実施の形態および実施例では、巻回構造を有する二次電池について説明したが、本発明は、正極および負極を折り畳んだりあるいは積み重ねた構造を有する二次電池についても同様に適用することができる。加えて、いわゆるコイン型,ボタン型あるいは角型などの二次電池についても適用することができる。また、二次電池に限らず、一次電池についても適用することができる。

Claims (22)

  1. リチウム(Li)と、コバルト(Co),ニッケル(Ni)およびマンガン(Mn)からなる群のうちの少なくとも1種とを含むリチウム複合酸化物を含有し、
    表面に、被覆元素として、リン(P)と、ニッケル,コバルト,マンガン,鉄(Fe),アルミニウム(Al),マグネシウム(Mg)および亜鉛(Zn)からなる群のうちの少なくとも1種とを含む
    ことを特徴とする正極活物質。
  2. 前記リチウム複合酸化物を含有する中心部と、
    この中心部の少なくとも一部に設けられ、前記被覆元素を含む化合物を含有する表面層と
    を有することを特徴とする請求項1記載の正極活物質。
  3. 前記被覆元素の含有量は内部よりも表面の方が高く、表面から内部に向かって減少していく
    ことを特徴とする請求項1記載の正極活物質。
  4. 前記リチウム複合酸化物として、化1、化2または化3で表される化合物のうちの少なくとも1種を含有する
    ことを特徴とする請求項1記載の正極活物質。
    (化1)
    LiCoM12−c
    (式中、M1はニッケル,マンガン,マグネシウム,アルミニウム,ホウ素(B),チタン(Ti),バナジウム(V),クロム(Cr),鉄,銅(Cu),亜鉛,モリブデン(Mo),スズ(Sn),カルシウム(Ca),ストロンチウム(Sr),タングステン(W),ジルコニウム(Zr)およびケイ素(Si)からなる群のうちの少なくとも1種の元素である。x、a、bおよびcはそれぞれ0.8≦x≦1.2、0.8≦a≦1、0≦b≦0.2、−0.1≦c≦0.2の範囲内の値である。)
    (化2)
    LiNiM22−f
    (式中、M2はコバルト,マンガン,マグネシウム,アルミニウム,ホウ素,チタン,バナジウム,クロム,鉄,銅,亜鉛,モリブデン,スズ,カルシウム,ストロンチウム,タングステン,ジルコニウムおよびケイ素からなる群のうちの少なくとも1種の元素である。y、d、eおよびfはそれぞれ0.8≦y≦1.2、0.3≦d≦0.98、0.02≦e≦0.7、−0.1≦f≦0.2の範囲内の値である。)
    (化3)
    LiMn2−gM34−h
    (式中、M3はコバルト,ニッケル,マグネシウム,アルミニウム,ホウ素,チタン,バナジウム,クロム,鉄,銅,亜鉛,モリブデン,スズ,カルシウム,ストロンチウムおよびタングステンからなる群のうちの少なくとも1種の元素である。z、gおよびhはそれぞれ0.8≦z≦1.2、0≦g<1.0、−0.2≦h≦0.2の範囲内の値である。)
  5. 前記被覆元素として、リンと、マンガンとを含む
    ことを特徴とする請求項1記載の正極活物質。
  6. 前記表面層は、前記リンと前記マンガンとを含む被覆元素を、前記リチウム複合酸化物に対して0.1mol/%以上6.0mol/%以下の範囲内で含む
    ことを特徴とする請求項1記載の正極活物質。
  7. 前記被覆元素として、リンと、マグネシウムとを含む
    ことを特徴とする請求項1記載の正極活物質。
  8. 前記表面層は、前記リンと前記マグネシウムとを含む被覆元素を、前記リチウム複合酸化物に対して0.1mol/%以上4.0mol/%以下の範囲内で含む
    ことを特徴とする請求項1記載の正極活物質。
  9. 前記被覆元素として、リンと、アルミニウムとを含む
    ことを特徴とする請求項1記載の正極活物質。
  10. 前記表面層は、前記リンと前記アルミニウムとを含む被覆元素を、合計で前記リチウム複合酸化物に対して0.2mol/%以上6.0mol/%以下の範囲内で含む
    ことを特徴とする請求項1記載の正極活物質。
  11. リチウム(Li)と、コバルト(Co),ニッケル(Ni)およびマンガン(Mn)からなる群のうちの少なくとも1種とを含むリチウム複合酸化物の粒子表面を、リン(P)並びにニッケル,コバルト,マンガン,鉄(Fe),アルミニウム(Al),マグネシウム(Mg)および亜鉛(Zn)からなる群のうちの少なくとも1種の化合物で被覆し、焼成する工程を含む
    ことを特徴とする正極活物質の製造方法。
  12. 正極および負極と共に、電解質を備えた電池であって、
    前記正極は、リチウム(Li)と、コバルト(Co),ニッケル(Ni)およびマンガン(Mn)からなる群のうちの少なくとも1種とを含むリチウム複合酸化物を含有する正極活物質を含み、
    この正極活物質は、表面に、被覆元素として、リン(P)と、ニッケル,コバルト,マンガン,鉄(Fe),アルミニウム(Al),マグネシウム(Mg)および亜鉛(Zn)からなる群のうちの少なくとも1種とを含む
    ことを特徴とする電池。
  13. 前記正極活物質は、前記リチウム複合酸化物を含有する中心部と、この中心部の少なくとも一部に設けられ、前記被覆元素を含む化合物を含有する表面層とを有する
    ことを特徴とする請求項12記載の電池。
  14. 前記正極活物質における前記被覆元素の含有量は内部よりも表面の方が高く、表面から内部に向かって減少していく
    ことを特徴とする請求項12記載の電池。
  15. 前記リチウム複合酸化物として、化1、化2または化3で表される化合物のうちの少なくとも1種を含有する
    ことを特徴とする請求項12記載の電池。
    (化1)
    LiCoM12−c
    (式中、M1はニッケル,マンガン,マグネシウム,アルミニウム,ホウ素(B),チタン(Ti),バナジウム(V),クロム(Cr),鉄,銅(Cu),亜鉛,モリブデン(Mo),スズ(Sn),カルシウム(Ca),ストロンチウム(Sr),タングステン(W),ジルコニウム(Zr)およびケイ素(Si)からなる群のうちの少なくとも1種の元素である。x、a、bおよびcはそれぞれ0.8≦x≦1.2、0.8≦a≦1、0≦b≦0.2、−0.1≦c≦0.2の範囲内の値である。)
    (化2)
    LiNiM22−f
    (式中、M2はコバルト,マンガン,マグネシウム,アルミニウム,ホウ素,チタン,バナジウム,クロム,鉄,銅,亜鉛,モリブデン,スズ,カルシウム,ストロンチウム,タングステン,ジルコニウムおよびケイ素からなる群のうちの少なくとも1種の元素である。y、d、eおよびfはそれぞれ0.8≦y≦1.2、0.3≦d≦0.98、0.02≦e≦0.7、−0.1≦f≦0.2の範囲内の値である。)
    (化3)
    LiMn2−gM34−h
    (式中、M3はコバルト,ニッケル,マグネシウム,アルミニウム,ホウ素,チタン,バナジウム,クロム,鉄,銅,亜鉛,モリブデン,スズ,カルシウム,ストロンチウムおよびタングステンからなる群のうちの少なくとも1種の元素である。z、gおよびhはそれぞれ0.8≦z≦1.2、0≦g<1.0、−0.2≦h≦0.2の範囲内の値である。)
  16. 前記被覆元素として、リンと、マンガンとを含む
    ことを特徴とする請求項12記載の電池。
  17. 前記表面層は、前記リンと前記マンガンとを含む被覆元素を、前記リチウム複合酸化物に対して0.1mol/%以上6.0mol/%以下の範囲内で含む
    ことを特徴とする請求項12記載の電池。
  18. 前記被覆元素として、リンと、マグネシウムとを含む
    ことを特徴とする請求項12記載の電池。
  19. 前記表面層は、前記リンと前記マグネシウムとを含む被覆元素を、前記リチウム複合酸化物に対して0.1mol/%以上4.0mol/%以下の範囲内で含む
    ことを特徴とする請求項12記載の電池。
  20. 前記被覆元素として、リンと、アルミニウムとを含み、
    ことを特徴とする請求項12記載の電池。
  21. 前記表面層は、前記リンと前記アルミニウムとを含む被覆元素を、合計で前記リチウム複合酸化物に対して0.2mol/%以上6.0mol/%以下の範囲内で含む
    ことを特徴とする請求項12記載の電池。
  22. 一対の正極および負極当たりの完全充電状態における開回路電圧が4.25V以上4.6V以下の範囲内である
    ことを特徴とする請求項12記載の電池。
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