JP2013048061A - 二次電池、電池パック、電動車両、電力貯蔵システム、電動工具および電子機器 - Google Patents

二次電池、電池パック、電動車両、電力貯蔵システム、電動工具および電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた電池特性を得ることが可能な二次電池を提供する。
【解決手段】二次電池は、正極および負極と共に電解液を備え、その正極は、リチウムと1または2以上の遷移金属とマグネシウムと酸素とを構成元素として含むリチウム遷移金属複合化合物を含有する。X線吸収分光法により測定されたリチウム遷移金属複合化合物の規格化X線吸収スペクトルにおいて、放電電圧=3.0Vの放電状態では、X線エネルギーが1303eV〜1313eVである範囲内に、X線吸収強度=0.5において吸収端エネルギーE1を有する第1吸収端が存在する。また、充電電圧V=4.3V〜4.5Vの充電状態では、X線吸収強度=0.5において吸収端エネルギーE2を有する第2吸収端が存在する。吸収端エネルギーE1,E2および充電電圧VはE2−E1≧(V−4.25)×4の関係を満たす。
【選択図】図2

Description

本技術は、正極がリチウム遷移金属複合化合物を含有する二次電池、ならびにその二次電池を用いた電池パック、電動車両、電力貯蔵システム、電動工具および電子機器に関する。
近年、携帯電話機または携帯情報端末機器(PDA)などの多様な電子機器が広く普及しており、そのさらなる小型化、軽量化および長寿命化が強く求められている。これに伴い、電源として、電池、特に小型かつ軽量で高エネルギー密度を得ることが可能な二次電池の開発が進められている。この二次電池は、最近では、上記した電子機器に限らず、多様な用途への適用も検討されている。電子機器などに着脱可能に搭載される電池パック、電気自動車などの電動車両、家庭用電力サーバなどの電力貯蔵システム、または電動ドリルなどである。
二次電池としては、さまざまな充放電原理を利用するものが広く提案されているが、中でも、電極反応物質の吸蔵放出を利用するものが有望視されている。鉛電池およびニッケルカドミウム電池などよりも高いエネルギー密度が得られるからである。
二次電池は正極および負極と共に電解液を備えており、その正極および負極はセパレータを介して積層されている。正極は、電極反応物質を吸蔵放出可能である正極活物質と共に正極結着剤などの他の材料を含んでおり、その正極活物質としては、一般的に、LiCoO2 などのリチウム遷移金属複合酸化物が用いられている。
電極反応物質の供給源である正極活物質の構成は二次電池の性能に大きな影響を及ぼすため、その正極活物質の構成に関してはいくつかの提案がなされている。具体的には、厳しい使用環境下でも優れた電池特性を得るために、スピネル型のリチウム遷移金属複合酸化物の粒子表面にMgを所定の割合で存在させている(例えば、特許文献1参照。)。高容量を得ると共に低温特性などを向上させるために、リチウム遷移金属複合酸化物の粒子表面にPおよびNiなどを含む被覆元素を設けている(例えば、特許文献2参照。)。高容量で優れたサイクル特性を得ると共に高温時のガス発生を抑制するために、リチウム遷移金属複合酸化物の粒子表面に2族〜13族の元素MとPなどの元素Xとを含む被覆層を設けている(例えば、特許文献3参照。)。
特開2004−327309号公報 国際公開第2006/123572号パンフレット 特開2009−054583号公報
正極活物質としてLiCoO2 などのリチウム遷移金属複合酸化物が広く用いられているが、その正極活物質の充電状態における安定性は未だ十分であるとは言えない。具体的には、正極活物質と電解液との反応性が高いため、遷移金属の溶出に起因して正極活物質が劣化する。この場合には、正極活物質だけでなく、電解液、セパレータおよび正極結着剤なども劣化する可能性がある。また、正極から溶出された遷移金属が負極に析出するため、充放電時に電極反応物質の吸蔵放出が阻害されると共に電解液の分解反応が促進される。よって、二次電池の電池特性が低下しやすくなり、その問題は、特にエネルギー密度を向上させるために充電電圧を高くすると顕著になる。
本技術はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、優れた電池特性を得ることが可能な二次電池、電池パック、電動車両、電力貯蔵システム、電動工具および電子機器を提供することにある。
本技術の二次電池は、正極および負極と共に電解液を備え、その正極がリチウムと1または2以上の遷移金属とマグネシウムと酸素とを構成元素として含むリチウム遷移金属複合化合物を含有するものである。X線吸収分光法により測定されたリチウム遷移金属複合化合物の規格化X線吸収スペクトル(横軸:X線エネルギー(eV),縦軸:X線吸収強度)において、放電電圧=3.0Vの放電状態では、X線エネルギーが1303eV〜1313eVである範囲内に、X線吸収強度=0.5において吸収端エネルギーE1を有する第1吸収端が存在する。充電電圧V=4.3V〜4.5Vの充電状態では、X線吸収強度=0.5において吸収端エネルギーE2を有する第2吸収端が存在する。吸収端エネルギーE1,E2および充電電圧VはE2−E1≧(V−4.25)×4の関係を満たす。
また、本技術の電池パック、電動車両、電力貯蔵システム、電動工具または電子機器は、上記した本技術の二次電池を用いたものである。
ここで説明しているX線吸収スペクトルは、いわゆるX線吸収微細構造(XAFS:X-ray Absorption Fine Structure )スペクトルである。「規格化X線吸収スペクトル」とは、吸収端エネルギーE1,E2を特定する際に、再現性および信頼性を確保するために、所定の手順によりスペクトル強度(吸収強度)が規格化されたX線吸収スペクトルである。このX線吸収スペクトルの規格化の詳細に関しては、後述する。
本技術の二次電池によれば、正極の正極活物質がマグネシウムを構成元素として含むリチウム遷移金属複合化合物を含有しており、そのリチウム遷移金属複合化合物が上記した条件を満たしているので、優れた電池特性を得ることができる。また、本技術の二次電池を用いた電池パック、電動車両、電力貯蔵システム、電動工具または電子機器でも同様の効果を得ることができる。
本技術の一実施形態の二次電池(円筒型)の構成を表す断面図である。 図1に示した巻回電極体の一部を拡大して表す断面図である。 本技術の一実施形態の他の二次電池(ラミネートフィルム型)の構成を表す斜視図である。 図3に示した巻回電極体のIV−IV線に沿った断面図である。 二次電池の適用例(電池パック)の構成を表すブロック図である。 二次電池の適用例(電動車両)の構成を表すブロック図である。 二次電池の適用例(電力貯蔵システム)の構成を表すブロック図である。 二次電池の適用例(電動工具)の構成を表すブロック図である。
以下、本技術の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明する順序は、下記の通りである。

1.二次電池
1−1.円筒型
1−2.ラミネートフィルム型
2.二次電池の用途
2−1.電池パック
2−2.電動車両
2−3.電力貯蔵システム
2−4.電動工具
<1.二次電池/1−1.円筒型>
図1および図2は、本技術の一実施形態における二次電池の断面構成を表しており、図2では、図1に示した巻回電極体20の一部を拡大している。
[二次電池の全体構成]
この二次電池は、例えば、電極反応物質であるリチウムイオンの吸蔵放出により電池容量が得られるリチウムイオン二次電池(以下、単に「二次電池」という。)である。
ここで説明する二次電池は、いわゆる円筒型である。この二次電池では、ほぼ中空円柱状の電池缶11の内部に、巻回電極体20と、一対の絶縁板12,13とが収納されている。巻回電極体20は、例えば、セパレータ23を介して正極21と負極22とが積層および巻回されたものである。
電池缶11は、一端部が閉鎖されると共に他端部が開放された中空構造を有していると共に、例えば、Fe、Alまたはそれらの合金などにより形成されている。なお、電池缶11の表面にNiなどが鍍金されていてもよい。一対の絶縁板12,13は、巻回電極体20を上下から挟むと共にその巻回周面に対して垂直に延在するように配置されている。
電池缶11の開放端部には、電池蓋14、安全弁機構15および熱感抵抗素子(PTC素子)16がガスケット17を介してかしめられている。これにより、電池缶11は密閉されている。電池蓋14は、例えば、電池缶11と同様の材料により形成されている。安全弁機構15および熱感抵抗素子16は、電池蓋14の内側に設けられており、その安全弁機構15は、熱感抵抗素子16を介して電池蓋14と電気的に接続されている。この安全弁機構15では、内部短絡、または外部からの加熱などに起因して内圧が一定以上になると、ディスク板15Aが反転して電池蓋14と巻回電極体20との間の電気的接続を切断するようになっている。熱感抵抗素子16は、大電流に起因する異常な発熱を防止するものである。この熱感抵抗素子16では、温度が上昇すると、それに応じて抵抗が増加するようになっている。ガスケット17は、例えば、絶縁材料により形成されており、その表面には、アスファルトが塗布されていてもよい。
巻回電極体20の中心には、センターピン24が挿入されていてもよい。正極21には、例えば、Alなどの導電性材料により形成された正極リード25が接続されていると共に、負極22には、例えば、Niなどの導電性材料により形成された負極リード26が接続されている。正極リード25は、安全弁機構15に溶接などされており、電池蓋14と電気的に接続されていると共に、負極リード26は、電池缶11に溶接などされており、その電池缶11と電気的に接続されている。
[正極]
正極21は、例えば、正極集電体21Aの片面または両面に正極活物質層21Bが設けられたものである。正極集電体21Aは、例えば、Al、Niまたはステンレスなどの導電性材料により形成されている。
正極活物質層21Bは、正極活物質として、リチウムイオンを吸蔵放出可能である正極材料のいずれか1種類または2種類以上を含んでおり、必要に応じて正極結着剤または正極導電剤などの他の材料を含んでいてもよい。
正極材料は、リチウム(Li)と1または2以上の遷移金属とマグネシウム(Mg)と酸素(O)とを構成元素として含むリチウム遷移金属複合化合物である。このリチウム遷移金属複合化合物は、少なくとも表面にMgを含んでいればよく、より具体的には、下記の2つの物性条件を満たしている。
第1物性条件として、二次電池の放電時および充電時において、X線吸収分光法により測定されたリチウム遷移金属複合化合物の規格化X線吸収スペクトル(横軸:X線エネルギー(eV),縦軸:X線吸収強度)に、所定の条件を満たす2つの吸収端が得られる。具体的には、放電電圧=3.0Vの放電状態では、X線エネルギーが1303eV〜1313eVである範囲内に、X線吸収強度=0.5において吸収端エネルギーE1を有する第1吸収端が存在する。また、充電電圧V=4.3V〜4.5Vの充電状態では、X線吸収強度=0.5において吸収端エネルギーE2を有する第2吸収端が存在する。
第2物性条件として、上記した吸収端エネルギーE1,E2および充電電圧Vは、E2−E1≧(V−4.25)×4の関係を満たす。
リチウム遷移金属複合化合物が第1の物性条件を満たしているのは、構成元素の1つであるMgが表面近傍に存在するため、リチウム遷移金属複合化合物の結晶構造が安定化するからである。これにより、充放電の初期から高い放電容量が得られると共に、充放電を繰り返しても放電容量が低下しにくくなる。
詳細には、充電時には、正極活物質であるリチウム遷移金属複合化合物からリチウムイオンが放出される。この場合には、リチウム遷移金属複合化合物の結晶構造を形成していた構成元素の一部(Li)が欠損した状態になるため、その結晶構造が不安定になる。ところが、リチウム遷移金属複合化合物の表面近傍にMgが存在していると、結晶構造の欠損箇所がMgにより補填されるため、その結晶構造が充電状態でも安定化する。これにより、特に高電圧条件で二次電池が充電されてもリチウム遷移金属複合化合物の結晶構造が安定に維持されるため、その結晶構造の歪みまたは崩壊などに起因する放電容量の低下が抑制される。
また、リチウム遷移金属複合化合物が第2物性条件を満たしているのは、そのリチウム遷移金属複合化合物の表面近傍に存在しているMgの存在量が充電電圧Vとの関係において適正化されるため、電解液の分解反応が抑制されるからである。これにより、充放電を繰り返しても放電容量が低下しにくくなる。
詳細には、充電状態の二次電池では、正極21が強い酸化性を有する状態になるため、その正極21の表面近傍で電解液が酸化分解されやすくなる。これにより、充放電反応に用いられる電解液の絶対量が減少するだけでなく、その電解液の分解物などが正極活物質の表面に被膜として形成されるため、電子およびリチウムイオンなどの移動が阻害されると共に抵抗も上昇する。ところが、リチウム遷移金属複合化合物の表面近傍におけるMgの存在量が適正化されていると、正極21の酸化性が低減するため、その正極21の反応性が抑制される。これにより、充放電を繰り返しても、電解液の酸化分解に起因する放電容量の低下が抑制される。
中でも、リチウム遷移金属複合化合物は、遷移金属としてコバルトを含んでいることが好ましい。高いエネルギー密度が得られるからである。ただし、遷移金属の種類は、必ずしもコバルトに限定されるわけではない。
ここで、吸収端エネルギーE1,E2を特定するために用いられるX線吸収分光法の詳細について説明する。ここで言及しているX線吸収スペクトルとは、上記したように、いわゆるX線吸収微細構造(XAFS)スペクトルである。このX線吸収分光法の測定方法および解析方法などの詳細に関しては、太田俊明編の「X線吸収分光法(株式会社アイピーシー)」に掲載されている。
X線吸収分光法では、MgK吸収端(X線エネルギー=約1303eV)の近傍でX線エネルギーを変化させながら試料(リチウム遷移金属複合化合物)にX線を照射して、その照射するX線の強度と試料から生じるMgKα蛍光X線の強度とを測定する。吸収端近傍のスペクトルにおいて、吸収端の位置およびスペクトルの強度(吸収強度)は、Mgの非束縛空軌道の電子状態を反映するため、酸化還元状態またはMg周辺の局所構造を反映している。この場合には、照射するX線エネルギーを変化させるために、シンクロトロン放射光施設で測定を行うことが好ましい。この施設は、例えば、高エネルギー加速器研究機構物質構造科学研究所の放射光研究施設ビームラインBL−11Aなどである。なお、蛍光X線の強度を測定する場合には、MgKα蛍光X線と一緒にMgKβ蛍光X線を測定してもよい。なお、蛍光X線の強度の代わりに、試料を透過したX線の強度または試料を流れる電流の強度などを測定してもよい。
照射するX線エネルギーに対して、蛍光X線の強度を照射X線強度で割った値をプロットすることで、XAFSスペクトル(生スペクトル)が得られる。この場合には、測定精度を向上させるために、標準試料を用いてXAFSスペクトルのエネルギーを較正することが好ましい。具体的には、例えば、標準試料(市販のMgO多結晶粉末)も同様に測定して、MgK吸収端の近傍における吸収強度の微分の極値、すなわち変曲点のエネルギーが1308.3eVとなるようにXAFSスペクトル(生スペクトル)のエネルギーを較正する。
吸収端エネルギーE1,E2を特定するために用いるXAFSスペクトルは、「規格化X線吸収スペクトル」と説明していることから明らかなように、再現性および信頼性を確保するために、所定の手順によりスペクトル強度が規格化されたものである。この場合には、上記した手順によりXAFSスペクトルのエネルギーを較正したのち、MgK吸収端の近傍における吸収強度の微分の極値の位置を基準として、その基準よりも低エネルギー側(X線エネルギーが約20eV〜75eV低い領域)を直線で近似する。また、上記した基準よりも高エネルギー側(X線エネルギーが約30eV〜230eV高い領域)を二次関数で近似する。そして、二次関数と直線との強度差がどのX線エネルギーでも1となるようにスペクトル全体を規格化する。
第1物性条件に関して、第1吸収端の吸収端エネルギーE1を特定するためには、充電状態の二次電池を放電電圧=3.0Vとなるように放電させる。そして、放電状態の二次電池を解体して正極21から正極活物質(リチウム遷移金属複合化合物)を取り出して、上記した手順によりXAFSスペクトルを測定する。このリチウム遷移金属複合化合物の表面近傍にMgが存在していれば、XAFSスペクトルにおいて、X線エネルギーが1303eV〜1313eVである範囲内に第1吸収端が検出されるはずである。第1吸収端を確認できた場合には、その第1吸収端においてX線吸収強度=0.5となるX線エネルギーをE1とする。
また、第2吸収端の吸収端エネルギーE2を特定するためには、二次電池を充電電圧V=4.3V〜4.5Vとなるように充電させる。そして、充電状態の二次電池を解体して正極21から正極活物質(リチウム遷移金属複合化合物)を取り出して、上記した手順によりXAFSスペクトルを測定する。このXAFSスペクトルに第2吸収端が検出された場合には、その第2吸収端においてX線吸収強度=0.5となるX線エネルギーをE2とする。
上記した手順により吸収端エネルギーE1,E2を特定できれば、その吸収端エネルギーE2を測定するために設定した充電電圧Vに基づいて、第2物性条件の関係式(E2−E1≧(V−4.25)×4)を満たしているか否かを確認できる。
なお、吸収端エネルギーE1,E2を特定するために二次電池を充放電させる場合の充電電圧および放電電圧は、特に限定されない。中でも、充電電圧の上限値は4.2V〜4.8V、放電電圧の下限値は2V〜3.3Vであることが好ましい。また、充電電圧の上限値は4.25V〜4.8V、放電電圧の下限値は2V〜3.3Vであることがより好ましい。このような充電電圧および放電電圧としても、上記した利点が得られるからである。
リチウム遷移金属複合化合物の構成は、上記したように、リチウムと1または2以上の遷移金属とマグネシウムと酸素とを構成元素として含んでいると共に2つの物性条件を満たしていれば、特に限定されない。
中でも、リチウム遷移金属複合化合物は、リチウムと1または2以上の遷移金属と酸素とを構成元素として含む中心部と、その中心部の表面の少なくとも一部に設けられた被覆部とを含んでいることが好ましい。この場合には、中心部および被覆部のうちの少なくとも一方がマグネシウムを構成元素として含んでいればよい。
中心部の組成は、リチウムと1または2以上の遷移金属元素と酸素とを構成元素として含んでいれば、特に限定されない。中でも、中心部は、下記の式(1)〜式(5)で表される化合物のうちの少なくとも1種を含んでいることが好ましい。高いエネルギー密度が得られるからである。
Li0.9+a Cob M11-b 2 ・・・(1)
(M1はAl、MgおよびBaのうちの少なくとも1種であり、aおよびbは0≦a≦0.2、0<b≦1を満たす。)
Li0.9+c Nid Co1-d-e M2e 2 ・・・(2)
(M2はMg、Al、MnおよびBaのうちの少なくとも1種であり、c、dおよびeは0≦c<0.2、0<d+e<1を満たす。)
Li1+f (Mng Nih Co1-g-h 1-f 2 ・・・(3)
(f、gおよびhは0.05≦f<0.25、0.5≦g<0.7、0≦h≦(1−g)を満たす。)
Li1+i M3PO4 ・・・(4)
(M3はFe、MnおよびCoのうちの少なくとも1種であり、iは0≦i≦0.1である。)
Li0.9+j Mn2-k M4k 4 ・・・(5)
(M4はAl、Fe、Co、Cu、CrおよびNiのうちの少なくとも1種であり、jおよびkは0≦j≦0.2、0.5≦k<1を満たす。)
式(1)〜式(3)に示した化合物は、層状岩塩型の結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物である。式(4)に示した化合物は、オリビン型の結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物である。式(5)に示した化合物は、スピネル型の結晶構造を有するリチウム遷移金属複合リン酸塩である。
式(1)に示した化合物の具体例は、LiCoO2 またはLiCo0.98Al0.01Mg0.012 などである。式(2)に示した化合物の具体例は、LiNi0.5 Co0.2 Mn0.3 2 またはLi1.03Ni0.77Co0.2 Al0.03 2 などである。式(3)に示した化合物の具体例は、Li1.13(Mn0.6 Ni0.2 Co0.2 0.872 などである。式(4)に示した化合物の具体例は、Li1.01FePO4 またはLi1.02Fe0.1 Mn0.9 PO4 などである。式(5)に示した化合物の具体例は、LiMn2 4 またはLiMn1.8 Ni0.2 4 などである。
式(1)〜式(5)に示した化合物の中には、既にMgを構成元素として含んでいるものもあれば、Mgを構成元素として含んでいないものもある。このため、被覆部の組成は、中心部の組成に応じて異なる。
具体的には、式(3)〜式(5)に示した化合物はMgを構成元素として含んでいないため、被覆部はMgを構成元素として含んでいる必要がある。この被覆部は、Mgを構成元素として含んでいる材料であれば特に限定されないが、例えば、Mgの炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩およびハロゲン化物などのうちの少なくとも1種を含んでいる。ハロゲン化物の種類は特に限定されないが、例えば、フッ化物などである。
一方、式(1)および式(2)に示した化合物がMgを構成元素として含んでいる場合には、被覆部はMgを構成元素として含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。この被覆部は、例えば、上記したMgの炭酸塩などの他、Mg以外の金属塩を含んでいてもよく、その金属塩は、例えば、AlまたはTiなどの炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩およびハロゲン化物などのうちの少なくとも1種である。
中でも、被覆部は、Mgを構成元素として含んでいることが好ましい。リチウム遷移金属複合化合物の表面近傍にMgが存在しやすくなるため、より高い効果が得られるからである。
中心部および被覆部を含むリチウム遷移金属複合化合物は、以下の手順により作製される。最初に、中心部および被覆部のそれぞれの形成材料(原材料)の粉末を準備したのち、その原材料粉末を秤量すると共に混合する。続いて、ボールミル、擂潰機または微粉砕機などを用いて原材料粉末を粉砕混合して、中心部の表面に被覆部を被着させる。こののち、必要に応じて中心部および被覆部を焼成してから冷却して、リチウム遷移金属複合化合物を得る。この場合には、中心部の形成材料の粉末の粒径、焼成温度および焼成時間などの条件を調整することで、吸収端エネルギーE1,E2を制御できる。
ただし、中心部の表面に被覆部を被着させるためには、例えば、メカノケミカル処理を用いたり、液相中の中和による晶析などを用いてもよい。また、スパッタ法または化学気相成長法(CVD)などの気相成長法を用いたり、水またはエタノールなどの溶媒中で原材料粉末を混合してもよい。この他、正極21または電解液などに被覆部の原材料を添加しておき、充放電または加熱などにより中心部の表面に被覆部を被着させてもよい。
なお、正極活物質層21Bは、正極活物質として、上記したリチウム遷移金属複合化合物と共に、他の正極材料を含んでいてもよい。この正極材料は、例えば、酸化物、二硫化物、カルコゲン化物または導電性高分子などでもよい。酸化物は、例えば、酸化チタン、酸化バナジウムまたは二酸化マンガンなどである。二硫化物は、例えば、二硫化チタンまたは硫化モリブデンなどである。カルコゲン化物は、例えば、セレン化ニオブなどである。導電性高分子は、例えば、硫黄、ポリアニリンまたはポリチオフェンなどである。
正極結着剤は、例えば、合成ゴムまたは高分子材料などのいずれか1種類または2種類以上である。合成ゴムは、例えば、スチレンブタジエン系ゴム、フッ素系ゴムまたはエチレンプロピレンジエンなどである。高分子材料は、例えば、ポリフッ化ビニリデンまたはポリイミドなどである。
正極導電剤は、例えば、炭素材料などのいずれか1種類または2種類以上である。炭素材料は、例えば、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラックまたはケチェンブラックなどである。なお、正極導電剤は、導電性を有する材料であれば、金属材料または導電性高分子などでもよい。
[負極]
負極22は、例えば、負極集電体22Aの片面または両面に負極活物質層22Bが設けられたものである。
負極集電体22Aは、例えば、Cu、Niまたはステンレスなどの導電性材料により形成されている。この負極集電体22Aの表面は、粗面化されていることが好ましい。いわゆるアンカー効果により、負極集電体22Aに対する負極活物質層22Bの密着性が向上するからである。この場合には、少なくとも負極活物質層22Bと対向する領域で、負極集電体22Aの表面が粗面化されていればよい。粗面化の方法は、例えば、電解処理により微粒子を形成する方法などである。この電解処理とは、電解槽中で電解法により負極集電体22Aの表面に微粒子を形成して凹凸を設ける方法である。電解法により作製された銅箔は、一般に電解銅箔と呼ばれている。
負極活物質層22Bは、負極活物質として、リチウムイオンを吸蔵放出可能である負極材料のいずれか1種類または2種類以上を含んでおり、必要に応じて負極結着剤または負極導電剤などの他の材料を含んでいてもよい。なお、負極結着剤および負極導電剤に関する詳細は、例えば、正極結着剤および正極導電剤と同様である。この負極活物質層22Bでは、例えば、充放電時に意図せずにリチウム金属が析出することを防止するために、負極材料の充電可能な容量は正極21の放電容量よりも大きいことが好ましい。
負極材料は、例えば、炭素材料である。リチウムイオンの吸蔵放出時における結晶構造の変化が非常に少ないため、高いエネルギー密度および優れたサイクル特性が得られるからである。また、負極導電剤としても機能するからである。この炭素材料は、例えば、易黒鉛化性炭素、(002)面の面間隔が0.37nm以上の難黒鉛化性炭素、または(002)面の面間隔が0.34nm以下の黒鉛などである。より具体的には、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素繊維、有機高分子化合物焼成体、活性炭またはカーボンブラック類などである。このうち、コークス類には、ピッチコークス、ニードルコークスまたは石油コークスなどが含まれる。有機高分子化合物焼成体は、フェノール樹脂あるいはフラン樹脂などの高分子化合物が適当な温度で焼成(炭素化)されたものである。この他、炭素材料は、約1000℃以下で熱処理された低結晶性炭素または非晶質炭素でもよい。なお、炭素材料の形状は、繊維状、球状、粒状または鱗片状のいずれでもよい。
また、負極材料は、例えば、金属元素および半金属元素のいずれか1種類または2種類を構成元素として含む材料(金属系材料)である。高いエネルギー密度が得られるからである。この金属系材料は、単体、合金または化合物でもよいし、それらの2種類以上でもよいし、それらの1種類または2種類以上の相を少なくとも一部に有するものでもよい。なお、合金には、2種類以上の金属元素からなる材料に加えて、1種類以上の金属元素と1種類以上の半金属元素とを含む材料も含まれる。また、合金は、非金属元素を含んでいてもよい。その組織には、固溶体、共晶(共融混合物)、金属間化合物、またはそれらの2種類以上の共存物などがある。
上記した金属元素または半金属元素は、例えば、Liと合金を形成可能な金属元素または半金属元素であり、具体的には、以下の元素の1種類または2種類以上である。Mg、B、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Bi、Cd、Ag、Zn、Hf、Zr、Y、PdまたはPtである。中でも、SiおよびSnのうちの少なくとも一方が好ましい。リチウムイオンを吸蔵放出する能力が優れているため、高いエネルギー密度が得られるからである。
SiおよびSnのうちの少なくとも一方を含む材料は、SiまたはSnの単体、合金または化合物でもよいし、それらの2種類以上でもよいし、それらの1種類または2種類以上の相を少なくとも一部に有するものでもよい。なお、単体とは、あくまで一般的な意味合いでの単体(微量の不純物を含んでいてもよい)であり、必ずしも純度100%を意味しているわけではない。
Siの合金は、例えば、Si以外の構成元素として以下の元素の1種類または2種類以上を含む材料である。Sn、Ni、Cu、Fe、Co、Mn、Zn、In、Ag、Ti、Ge、Bi、SbまたはCrである。Siの化合物としては、例えば、Si以外の構成元素としてCまたはOを含む材料が挙げられる。なお、Siの化合物は、例えば、Si以外の構成元素として、Siの合金について説明した元素のいずれか1種類または2種類以上を含んでいてもよい。
Siの合金または化合物は、例えば、以下の材料などである。SiB4 、SiB6 、Mg2 Si、Ni2 Si、TiSi2 、MoSi2 、CoSi2 、NiSi2 、CaSi2 、CrSi2 、Cu5 Si、FeSi2 、MnSi2 、NbSi2 またはTaSi2 である。VSi2 、WSi2 、ZnSi2 、SiC、Si3 4 、Si2 2 O、SiOv (0<v≦2)またはLiSiOである。なお、SiOv におけるvは、0.2<v<1.4でもよい。
Snの合金は、例えば、Sn以外の構成元素として以下の元素の1種類または2種類以上を含む材料などである。Si、Ni、Cu、Fe、Co、Mn、Zn、In、Ag、Ti、Ge、Bi、SbまたはCrである。Snの化合物としては、例えば、CまたはOを構成元素として含む材料などが挙げられる。なお、Snの化合物は、例えば、Sn以外の構成元素としてSnの合金について説明した元素のいずれか1種類または2種類以上を含んでいてもよい。Snの合金または化合物としては、例えば、SnOw (0<w≦2)、SnSiO3 、LiSnOまたはMg2 Snなどが挙げられる。
また、Snを含む材料としては、例えば、Snを第1構成元素とし、それに加えて第2および第3構成元素を含む材料が好ましい。第2構成元素は、例えば、以下の元素の1種類または2種類以上である。Co、Fe、Mg、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Ag、In、Ce、Hf、Ta、W、BiまたはSiである。第3構成元素は、例えば、B、C、AlおよびPの1種類または2種類以上である。第2および第3構成元素を含むと、高い電池容量および優れたサイクル特性などが得られるからである。
中でも、Sn、CoおよびCを含む材料(SnCoC含有材料)が好ましい。SnCoC含有材料の組成としては、例えば、Cの含有量が9.9質量%〜29.7質量%であり、SnおよびCoの含有量の割合(Co/(Sn+Co))が20質量%〜70質量%である。このような組成範囲で高いエネルギー密度が得られるからである。
このSnCoC含有材料は、Sn、CoおよびCを含む相を有しており、その相は、低結晶性または非晶質であることが好ましい。この相は、Liと反応可能な反応相であり、その反応相の存在により優れた特性が得られる。この相のX線回折により得られる回折ピークの半値幅は、特定X線としてCuKα線を用いると共に挿引速度を1°/minとした場合に、回折角2θで1°以上であることが好ましい。リチウムイオンがより円滑に吸蔵放出されると共に、電解液との反応性が低減するからである。なお、SnCoC含有材料は、低結晶性または非晶質の相に加えて、各構成元素の単体または一部を含む相を含んでいる場合もある。
X線回折により得られた回折ピークがLiと反応可能な反応相に対応するものであるか否かは、Liとの電気化学的反応の前後におけるX線回折チャートを比較すれば容易に判断できる。例えば、Liとの電気化学的反応の前後で回折ピークの位置が変化すれば、Liと反応可能な反応相に対応するものである。この場合には、例えば、低結晶性または非晶質の反応相の回折ピークが2θ=20°〜50°の間に見られる。このような反応相は、例えば、上記した各構成元素を有しており、主に、Cの存在に起因して低結晶化または非晶質化しているものと考えられる。
SnCoC含有材料では、構成元素であるCの少なくとも一部が他の構成元素である金属元素または半金属元素と結合していることが好ましい。Snなどの凝集または結晶化が抑制されるからである。元素の結合状態については、例えば、X線光電子分光法(XPS)で確認できる。市販の装置では、例えば、軟X線としてAl−Kα線またはMg−Kα線などが用いられる。Cの少なくとも一部が金属元素または半金属元素などと結合している場合には、Cの1s軌道(C1s)の合成波のピークは284.5eVよりも低い領域に現れる。なお、Au原子の4f軌道(Au4f)のピークが84.0eVに得られるようにエネルギー較正されているものとする。この際、通常、物質表面には表面汚染炭素が存在しているため、表面汚染炭素のC1sのピークを284.8eVとし、それをエネルギー基準とする。XPS測定では、C1sのピークの波形が表面汚染炭素のピークとSnCoC含有材料中のCのピークとを含んだ形で得られるため、例えば、市販のソフトウエアを用いて解析して、両者のピークを分離する。波形の解析では、最低束縛エネルギー側に存在する主ピークの位置をエネルギー基準(284.8eV)とする。
なお、SnCoC含有材料は、必要に応じて、さらに他の構成元素を含んでいてもよい。このような他の構成元素は、例えば、Si、Fe、Ni、Cr、In、Nb、Ge、Ti、Mo、Al、P、GaまたはBiなどのいずれか1種類または2種類以上である。
このSnCoC含有材料の他、Sn、Co、FeおよびCを含む材料(SnCoFeC含有材料)も好ましい。このSnCoFeC含有材料の組成は、任意に設定可能である。例えば、Feの含有量を少なめに設定する場合の組成は、以下の通りである。Cの含有量は9.9質量%〜29.7質量%、Feの含有量は0.3質量%〜5.9質量%、SnおよびCoの含有量の割合(Co/(Sn+Co))は30質量%〜70質量%である。また、例えば、Feの含有量を多めに設定する場合の組成は、以下の通りである。Cの含有量は11.9質量%〜29.7質量%、Sn、CoおよびFeの含有量の割合((Co+Fe)/(Sn+Co+Fe))は26.4質量%〜48.5質量%、CoおよびFeの含有量の割合(Co/(Co+Fe))は9.9質量%〜79.5質量%である。このような組成範囲で高いエネルギー密度が得られるからである。このSnCoFeC含有材料の物性(半値幅など)は、上記したSnCoC含有材料と同様である。
この他、負極材料は、例えば、金属酸化物または高分子化合物などでもよい。金属酸化物は、例えば、酸化鉄、酸化ルテニウムまたは酸化モリブデンなどである。高分子化合物は、例えば、ポリアセチレン、ポリアニリンまたはポリピロールなどである。
負極活物質層22Bは、例えば、塗布法、気相法、液相法、溶射法または焼成法(焼結法)、あるいはそれらの2種類以上の方法により形成されている。塗布法とは、例えば、粒子状の負極活物質を結着剤などと混合したのち、有機溶剤などの溶媒に分散させて塗布する方法である。気相法としては、例えば、物理堆積法または化学堆積法などが挙げられる。具体的には、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法、熱化学気相成長、化学気相成長(CVD)法またはプラズマ化学気相成長法などである。液相法としては、例えば、電解鍍金法または無電解鍍金法などが挙げられる。溶射法とは、負極活物質を溶融状態または半溶融状態で吹き付ける方法である。焼成法とは、例えば、塗布法と同様の手順で塗布したのち、結着剤などの融点よりも高い温度で熱処理する方法である。焼成法については、公知の手法を用いることができる。一例としては、例えば、雰囲気焼成法、反応焼成法またはホットプレス焼成法などが挙げられる。
この二次電池では、上記したように、充電途中で負極22にLi金属が意図せずに析出することを防止するために、リチウムイオンを吸蔵放出可能である負極材料の電気化学当量は正極の電気化学当量よりも大きくなっている。また、完全充電時の開回路電圧(すなわち電池電圧)が4.25V以上であると、4.20Vである場合よりも、同じ正極活物質でも単位質量当たりのリチウムイオンの放出量が多くなるため、それに応じて正極活物質と負極活物質との量が調整されている。これにより、高いエネルギー密度が得られるようになっている。
[セパレータ]
セパレータ23は、正極21と負極22とを隔離して、両極の接触に起因する電流の短絡を防止しながらリチウムイオンを通過させるものである。このセパレータ23は、例えば、合成樹脂あるいはセラミックからなる多孔質膜であり、2種類以上の多孔質膜が積層された積層膜でもよい。合成樹脂は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレンあるいはポリエチレンなどである。
特に、セパレータ23は、例えば、上記した多孔質膜からなる基材層と、その基材層の少なくとも一方の面に設けられた高分子化合物層とを含んでいてもよい。正極21および負極22に対するセパレータ23の密着性が向上するため、巻回電極体20の歪みが抑制されるからである。これにより、電解液の分解反応が抑制されると共に基材層に含浸された電解液の漏液も抑制されるため、充放電を繰り返しても二次電池の抵抗が上昇しにくくなると共に電池膨れが抑制される。
高分子化合物層は、例えば、ポリフッ化ビニリデンなどの高分子材料を含んでいる。物理的強度に優れていると共に、電気化学的に安定だからである。ただし、高分子材料は、ポリフッ化ビニリデン以外の他の材料でもよい。この高分子化合物層は、例えば、高分子材料が溶解された溶液を準備したのち、その溶液を基材層の表面に塗布し、または基材層を溶液中に浸漬させてから乾燥させることで形成される。
[電解液]
セパレータ23には、液状の電解質である電解液が含浸されており、その電解液は、溶媒および電解質塩と共に、必要に応じて添加剤などの他の材料を含んでいる。
溶媒は、例えば、有機溶剤などの非水溶媒のいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。この非水溶媒は、例えば、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ブチレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル、炭酸メチルプロピル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、イソ酪酸メチル、トリメチル酢酸メチル、トリメチル酢酸エチル、アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノン、N−メチルオキサゾリジノン、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、ニトロメタン、ニトロエタン、スルホラン、燐酸トリメチルまたはジメチルスルホキシドなどである。優れた電池容量、サイクル特性および保存特性などが得られるからである。
中でも、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチルおよび炭酸エチルメチルのうちの少なくとも1種が好ましい。より優れた特性が得られるからである。この場合には、炭酸エチレンまたは炭酸プロピレンなどの高粘度(高誘電率)溶媒(例えば比誘電率ε≧30)と、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチルまたは炭酸ジエチルなどの低粘度溶媒(例えば粘度≦1mPa・s)との組み合わせがより好ましい。電解質塩の解離性およびイオンの移動度が向上するからである。
特に、溶媒は、1または2以上の不飽和炭素結合を有する環状炭酸エステル(不飽和環状炭酸エステル)を含んでいることが好ましい。充放電時に負極22の表面に安定な保護膜が形成されるため、電解液の分解反応が抑制されるからである。不飽和環状炭酸エステルは、例えば、炭酸ビニレン(1,3−ジオキソール−2−オン)、炭酸メチルビニレン(4−メチル−1,3−ジオキソール−2−オン)、炭酸エチルビニレン(4−エチル−1,3−ジオキソール−2−オン)、4,5−ジメチル−1,3−ジオキソール−2−オン、4,5−ジエチル−1,3−ジオキソール−2−オン、4−フルオロ−1,3−ジオキソール−2−オンまたは4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソール−2−オンなどである。なお、溶媒中における不飽和環状炭酸エステルの含有量は、例えば、0.01重量%〜10重量%である。電池容量を低下させすぎずに、電解液の分解反応が抑制されるからである。
また、溶媒は、1または2以上のハロゲンを有する鎖状炭酸エステル(ハロゲン化鎖状炭酸エステル)、および1または2以上のハロゲンを有する環状炭酸エステル(ハロゲン化環状炭酸エステル)のうちの少なくとも一方を含んでいることが好ましい。充放電時に負極22の表面に安定な保護膜が形成されるため、電解液の分解反応が抑制されるからである。ハロゲンの種類は、特に限定されないが、中でも、F、ClまたはBrが好ましく、Fがより好ましい。より高い効果が得られるからである。ただし、ハロゲンの数は、1つよりも2つが好ましく、さらに3つ以上でもよい。より強固で安定な保護膜が形成されるため、電解液の分解反応がより抑制されるからである。
ハロゲン化鎖状炭酸エステルは、例えば、炭酸フルオロメチルメチル、炭酸ビス(フルオロメチル)または炭酸ジフルオロメチルメチルなどである。ハロゲン化環状炭酸エステルは、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、テトラフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−フルオロ−5−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジクロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、テトラクロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ビストリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジフルオロ−4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−メチル−5,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−5,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−トリフルオロメチル−5−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−トリフルオロメチル−5−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−フルオロ−4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジフルオロ−5−(1,1−ジフルオロエチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジクロロ−4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−5−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−4,5,5−トリフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、または4−フルオロ−4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オンなどである。なお、非水溶媒中におけるハロゲン化鎖状炭酸エステルおよびハロゲン化環状炭酸エステルの含有量は、例えば、0.01重量%〜50重量%である。電池容量を低下させすぎずに、電解液の分解反応が抑制されるからである。
また、溶媒は、スルトン(環状スルホン酸エステル)を含んでいてもよい。電解液の化学的安定性が向上するからである。スルトンは、例えば、プロパンスルトンまたはプロペンスルトンなどである。なお、溶媒中におけるスルトンの含有量は、特に限定されないが、例えば、0.5重量%〜5重量%である。電池容量を低下させすぎずに、電解液の分解反応が抑制されるからである。
さらに、溶媒は、酸無水物を含んでいてもよい。電解液の化学的安定性がより向上するからである。酸無水物は、例えば、例えば、ジカルボン酸無水物、ジスルホン酸無水物またはカルボン酸スルホン酸無水物などである。ジカルボン酸無水物は、例えば、無水コハク酸、無水グルタル酸または無水マレイン酸などである。ジスルホン酸無水物は、例えば、無水エタンジスルホン酸または無水プロパンジスルホン酸などである。カルボン酸スルホン酸無水物は、例えば、無水スルホ安息香酸、無水スルホプロピオン酸または無水スルホ酪酸などである。なお、溶媒中における酸無水物の含有量は、特に限定されないが、例えば、0.5重量%〜5重量%である。電池容量を低下させすぎずに、電解液の分解反応が抑制されるからである。
[電解質塩]
電解質塩は、例えば、以下で説明するリチウム塩のいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。ただし、電解質塩は、リチウム塩以外の他の塩(例えばリチウム塩以外の軽金属塩など)でもよい。
リチウム塩は、例えば、以下の化合物などである。LiPF6 、LiBF4 、LiClO4 、LiAsF6 、LiB(C6 5 4 、LiCH3 SO3 、LiCF3 SO3 、LiAlCl4 、Li2 SiF6 、LiCl、またはLiBrである。優れた電池容量、サイクル特性および保存特性などが得られるからである。
中でも、LiPF6 、LiBF4 、LiClO4 およびLiAsF6 のうちの少なくとも1種が好ましく、LiPF6 がより好ましい。内部抵抗が低下するため、より高い効果が得られるからである。
電解質塩の含有量は、溶媒に対して0.3mol/kg以上3.0mol/kg以下であることが好ましい。高いイオン伝導性が得られるからである。
[二次電池の動作]
この二次電池では、例えば、充電時に、正極21から放出されたリチウムイオンが電解液を介して負極22に吸蔵されると共に、放電時に、負極22から放出されたリチウムイオンが電解液を介して正極21に吸蔵される。
[二次電池の製造方法]
この二次電池は、例えば、以下の手順により製造される。
最初に、正極21を作製する。リチウム遷移金属複合化合物を含む正極活物質と、必要に応じて正極結着剤および正極導電剤などとを混合して正極合剤とする。続いて、有機溶剤などに正極合剤を分散させて、ペースト状の正極合剤スラリーとする。続いて、正極集電体21Aの両面に正極合剤スラリーを塗布してから乾燥させて、正極活物質層21Bを形成する。続いて、必要に応じて加熱しながら、ロールプレス機などを用いて正極活物質層21Bを圧縮成型する。この場合には、圧縮成型を複数回繰り返してもよい。
また、上記した正極21と同様の手順により、負極22を作製する。負極活物質と、必要に応じて負極結着剤および負極導電剤などとを混合した負極合剤を有機溶剤などに分散させて、ペースト状の負極合剤スラリーとする。続いて、負極集電体22Aの両面に負極合剤スラリーを塗布してから乾燥させて負極活物質層22Bを形成したのち、必要に応じて負極活物質層22Bを圧縮成型する。
最後に、正極21および負極22を用いて二次電池を組み立てる。最初に、溶接法などを用いて、正極集電体21Aに正極リード25を取り付けると共に、負極集電体22Aに負極リード26を取り付ける。続いて、セパレータ23を介して正極21と負極22とを積層してから巻回させて巻回電極体20を作製したのち、その巻回中心にセンターピン24を挿入する。続いて、一対の絶縁板12,13で挟みながら、巻回電極体20を電池缶11の内部に収納する。この場合には、溶接法などを用いて、正極リード25の先端部を安全弁機構15に取り付けると共に、負極リード26の先端部を電池缶11に取り付ける。続いて、電池缶11の内部に電解液を注入してセパレータ23に含浸させる。続いて、ガスケット17を介して電池缶11の開口端部に電池蓋14、安全弁機構15および熱感抵抗素子16をかしめる。
[二次電池の作用および効果]
この円筒型の二次電池によれば、正極21がMgを構成元素として含むと共に上記した2つの物性条件を満たすリチウム遷移金属複合化合物を含有している。この場合には、上記したように、リチウム遷移金属複合化合物の表面近傍にMgが存在すると共に、そのMgの存在量が適正化されるため、高電圧条件の充電時でも結晶構造が安定に維持されると共に、電解液の分解反応が抑制される。よって、充放電の初期から高い放電容量が得られると共に、充放電を繰り返しても放電容量が低下しにくくなるため、優れた電池特性を得ることができる。
特に、リチウム遷移金属複合化合物が中心部および被覆部を含んでおり、その被覆部がMgを構成元素として含んでいれば、より高い効果を得ることができる。また、中心部が式(1)〜式(5)に示した化合物のうちの少なくとも1種を含んでおり、またはリチウム遷移金属複合酸化物が遷移金属としてCoを構成元素として含んでいれば、より高い効果を得ることができる。
また、充電電圧の上限値が4.2V〜4.8V以下、さらに4.25V〜4.8Vであれば、より高い効果を得ることができる。
<1−2.ラミネートフィルム型>
図3は、本技術の一実施形態における他の二次電池の分解斜視構成を表しており、図4は、図3に示した巻回電極体30のVI−VI線に沿った断面を拡大して示している。以下では、既に説明した円筒型の二次電池の構成要素を随時引用する。
[二次電池の全体構成]
ここで説明する二次電池は、いわゆるラミネートフィルム型のリチウムイオン二次電池である。この二次電池では、フィルム状の外装部材40の内部に巻回電極体30が収納されており、その巻回電極体30は、セパレータ35および電解質層36を介して正極33と負極34とが積層および巻回されたものである。正極33には正極リード31が取り付けられていると共に、負極34には負極リード32が取り付けられている。この巻回電極体30の最外周部は、保護テープ37により保護されている。
正極リード31および負極リード32は、例えば、外装部材40の内部から外部に向かって同一方向に導出されている。正極リード31は、例えば、Alなどの導電性材料により形成されていると共に、負極リード32は、例えば、Cu、Niまたはステンレスなどの導電性材料により形成されている。これらの材料は、例えば、薄板状または網目状になっている。
外装部材40は、例えば、融着層、金属層および表面保護層がこの順に積層されたラミネートフィルムである。このラミネートフィルムでは、例えば、融着層が巻回電極体30と対向するように、2枚のフィルムの融着層における外周縁部同士が融着、または接着剤などにより貼り合わされている。融着層は、例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどのフィルムである。金属層は、例えば、Al箔などである。表面保護層は、例えば、ナイロンまたはポリエチレンテレフタレートなどのフィルムである。
中でも、外装部材40としては、ポリエチレンフィルム、アルミニウム箔およびナイロンフィルムがこの順に積層されたアルミラミネートフィルムが好ましい。ただし、外装部材40は、他の積層構造を有するラミネートフィルムでもよいし、ポリプロピレンなどの高分子フィルム、または金属フィルムでもよい。
外装部材40と正極リード31および負極リード32との間には、外気の侵入を防止するために密着フィルム41が挿入されている。この密着フィルム41は、正極リード31および負極リード32に対して密着性を有する材料により形成されている。このような材料は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエチレンまたは変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂である。
正極33は、例えば、正極集電体33Aの両面に正極活物質層33Bが設けられたものである。負極34は、例えば、負極集電体34Aの両面に負極活物質層34Bが設けられたものである。正極集電体33A、正極活物質層33B、負極集電体34Aおよび負極活物質層34Bの構成は、それぞれ正極集電体21A、正極活物質層21B、負極集電体22Aおよび負極活物質層22Bの構成と同様である。すなわち、正極活物質層33Bは、リチウムと1または2以上の遷移金属とマグネシウムと酸素とを構成元素として含むと共に上記した2つの物性条件を満たすリチウム遷移金属複合化合物を含有している。また、セパレータ35の構成は、セパレータ23の構成と同様である。
電解質層36は、高分子化合物により電解液が保持されたものであり、必要に応じて添加剤などの他の材料を含んでいてもよい。この電解質層36は、いわゆるゲル状の電解質である。高いイオン伝導率(例えば、室温で1mS/cm以上)が得られると共に、電解液の漏液が防止されるからである。
高分子化合物は、例えば、以下の高分子材料などのいずれか1種類または2種類以上である。ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリフォスファゼン、ポリシロキサンまたはポリフッ化ビニルである。ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、ポリスチレンまたはポリカーボネートである。フッ化ビニリデンとヘキサフルオロピレンとの共重合体である。中でも、ポリフッ化ビニリデン、またはフッ化ビニリデンとヘキサフルオロピレンとの共重合体が好ましく、ポリフッ化ビニリデンがより好ましい。電気化学的に安定だからである。
電解液の組成は、円筒型の場合と同様である。ただし、ゲル状の電解質である電解質層36において、電解液の溶媒とは、液状の溶媒だけでなく、電解質塩を解離させることが可能なイオン伝導性を有する材料まで含む広い概念である。よって、イオン伝導性を有する高分子化合物を用いる場合には、その高分子化合物も溶媒に含まれる。
なお、ゲル状の電解質層36に代えて、電解液をそのまま用いてもよい。この場合には、電解液がセパレータ35に含浸される。
[二次電池の動作]
この二次電池では、例えば、充電時に、正極33から放出されたリチウムイオンが電解質層36を介して負極34に吸蔵されると共に、放電時に、負極34から放出されたリチウムイオンが電解質層36を介して正極33に吸蔵される。
[二次電池の製造方法]
このゲル状の電解質層36を備えた二次電池は、例えば、以下の3種類の手順により製造される。
第1手順では、正極21および負極22と同様の作製手順により、正極33および負極34を作製する。この場合には、正極集電体33Aの両面に正極活物質層33Bを形成して正極33を作製すると共に、負極集電体34Aの両面に負極活物質層34Bを形成して負極34を作製する。続いて、電解液と、高分子化合物と、有機溶剤などの溶媒とを含む前駆溶液を調製したのち、その前駆溶液を正極33および負極34に塗布してゲル状の電解質層36を形成する。続いて、溶接法などを用いて、正極集電体33Aに正極リード31を取り付けると共に、負極集電体34Aに負極リード32を取り付ける。続いて、電解質層36が形成された正極33と負極34とをセパレータ35を介して積層してから巻回させて巻回電極体30を作製したのち、その最外周部に保護テープ37を貼り付ける。続いて、2枚のフィルム状の外装部材40の間に巻回電極体30を挟み込んだのち、熱融着法などを用いて外装部材40の外周縁部同士を接着させて巻回電極体30を封入する。この場合には、正極リード31および負極リード32と外装部材40との間に密着フィルム41を挿入する。
第2手順では、正極33に正極リード31を取り付けると共に、負極34に負極リード52を取り付ける。続いて、セパレータ35を介して正極33および負極34を積層してから巻回させて巻回電極体30の前駆体である巻回体を作製したのち、その最外周部に保護テープ37を貼り付ける。続いて、2枚のフィルム状の外装部材40の間に巻回体を挟み込んだのち、熱融着法などで一辺の外周縁部を除いた残りの外周縁部を接着させて、袋状の外装部材40の内部に巻回体を収納する。続いて、電解液と、高分子化合物の原料であるモノマーと、重合開始剤と、必要に応じて重合禁止剤などの他の材料とを含む電解質用組成物を調製して袋状の外装部材40の内部に注入したのち、熱融着法などを用いて外装部材40を密封する。続いて、モノマーを熱重合させる。これにより、高分子化合物が形成されるため、ゲル状の電解質層36が形成される。
第3手順では、高分子化合物が両面に塗布されたセパレータ35を用いることを除き、上記した第2手順と同様に、巻回体を作製して袋状の外装部材40の内部に収納する。このセパレータ35に塗布する高分子化合物としては、例えば、フッ化ビニリデンを成分とする重合体(単独重合体、共重合体または多元共重合体など)が挙げられる。具体的には、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデンおよびヘキサフルオロプロピレンを成分とする二元系共重合体、またはフッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレンおよびクロロトリフルオロエチレンを成分とする三元系共重合体などである。なお、フッ化ビニリデンを成分とする重合体と一緒に、他の1種または2種以上の高分子化合物を用いてもよい。続いて、電解液を調製して外装部材40の内部に注入したのち、熱融着法などを用いて外装部材40の開口部を密封する。続いて、外装部材40に加重をかけながら加熱して、高分子化合物を介してセパレータ35を正極33および負極34に密着させる。これにより、電解液が高分子化合物に含浸するため、その高分子化合物がゲル化して電解質層36が形成される。
この第3手順では、第1手順よりも二次電池の膨れが抑制される。また、第3手順では、第2手順よりも高分子化合物の原料であるモノマーまたは溶媒などが電解質層36中にほとんど残らないため、高分子化合物の形成工程が良好に制御される。このため、正極33、負極34およびセパレータ35と電解質層36との間で十分な密着性が得られる。
[二次電池の作用および効果]
このラミネートフィルム型の二次電池によれば、正極33がMgを構成元素として含むと共に上記した2つの物性条件を満たすリチウム遷移金属複合化合物を含有している。よって、円筒型の二次電池と同様の理由により、優れた電池特性を得ることができる。これ以外の作用および効果は、円筒型と同様である。
<2.二次電池の用途>
次に、上記した二次電池の適用例について説明する。
二次電池の用途は、それを駆動用の電源または電力蓄積用の電力貯蔵源などとして用いることが可能な機械、機器、器具、装置またはシステム(複数の機器などの集合体)などであれば、特に限定されない。二次電池が電源として用いられる場合、それは主電源(優先的に使用される電源)でもよいし、補助電源(主電源に代えて、または主電源から切り換えて使用される電源)でもよい。この主電源の種類は、二次電池に限られない。
二次電池の用途としては、例えば、以下の用途などが挙げられる。ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、携帯電話機、ノート型パソコン、コードレス電話機、ヘッドホンステレオ、携帯用ラジオ、携帯用テレビまたは携帯用情報端末などの携帯用電子機器である。電気シェーバなどの携帯用生活器具である。バックアップ電源またはメモリーカードなどの記憶用装置である。電動ドリルまたは電動のこぎりなどの電動工具である。ノート型パソコンなどの電源として用いられる電池パックである。ペースメーカーまたは補聴器などの医療用電子機器である。電気自動車(ハイブリッド自動車を含む)などの電動車両である。非常時などに備えて電力を蓄積しておく家庭用バッテリシステムなどの電力貯蔵システムである。もちろん、上記以外の用途でもよい。
中でも、二次電池は、電池パック、電動車両、電力貯蔵システム、電動工具または電子機器などに適用されることが有効である。優れた電池特性が要求されるため、本技術の二次電池を用いることにより、有効に特性向上を図ることができるからである。なお、電池パックは、二次電池を用いた電源であり、いわゆる組電池などである。電動車両は、二次電池を駆動用電源として作動(走行)する車両であり、上記したように、二次電池以外の駆動源も併せて備えた自動車(ハイブリッド自動車など)でもよい。電力貯蔵システムは、二次電池を電力貯蔵源として用いるシステムである。例えば、家庭用の電力貯蔵システムでは、電力貯蔵源である二次電池に電力が蓄積されており、その電力が必要に応じて消費されるため、家庭用の電気製品などが使用可能になる。電動工具は、二次電池を駆動用の電源として可動部(例えばドリルなど)が可動する工具である。電子機器は、二次電池を駆動用の電源として各種機能を発揮する機器である。
ここで、二次電池のいくつかの適用例について具体的に説明する。なお、以下で説明する各適用例の構成はあくまで一例であるため、適宜変更可能である。
<2−1.電池パック>
図5は、電池パックのブロック構成を表している。この電池パックは、例えば、図5に示したように、プラスチック材料などにより形成された筐体60の内部に、制御部61と、電源62と、スイッチ部63と、電流測定部64と、温度検出部65と、電圧検出部66と、スイッチ制御部67と、メモリ68と、温度検出素子69と、電流検出抵抗70と、正極端子71および負極端子72とを備えている。
制御部61は、電池パック全体の動作(電源62の使用状態を含む)を制御するものであり、例えば、中央演算処理装置(CPU)などを含んでいる。電源62は、1または2以上の二次電池(図示せず)を含んでいる。この電源62は、例えば、2以上の二次電池を含む組電池であり、それらの接続形式は、直列でもよいし、並列でもよいし、双方の混合型でもよい。一例を挙げると、電源62は、2並列3直列となるように接続された6つの二次電池を含んでいる。
スイッチ部63は、制御部61の指示に応じて電源62の使用状態(電源62と外部機器との接続の可否)を切り換えるものである。このスイッチ部63は、例えば、充電制御スイッチ、放電制御スイッチ、充電用ダイオードおよび放電用ダイオード(いずれも図示せず)などを含んでいる。充電制御スイッチおよび放電制御スイッチは、例えば、金属酸化物半導体を用いた電界効果トランジスタ(MOSFET)などの半導体スイッチである。
電流測定部64は、電流検出抵抗70を用いて電流を測定して、その測定結果を制御部61に出力するものである。温度検出部65は、温度検出素子69を用いて温度を測定して、その測定結果を制御部61に出力するようになっている。この温度測定結果は、例えば、異常発熱時に制御部61が充放電制御を行う場合や、制御部61が残容量の算出時に補正処理を行うために用いられる。電圧検出部66は、電源62中における二次電池の電圧を測定して、その測定電圧アナログ/デジタル変換(A/D)変換して制御部61に供給するものである。
スイッチ制御部67は、電流測定部66および電圧測定部66から入力される信号に応じて、スイッチ部63の動作を制御するものである。
このスイッチ制御部67は、例えば、電池電圧が過充電検出電圧に到達した場合に、スイッチ部67(充電制御スイッチ)を切断して、電源62の電流経路に充電電流が流れないように制御するようになっている。これにより、電源62では、放電用ダイオードを介して放電のみが可能になる。なお、スイッチ制御部67は、例えば、充電時に大電流が流れた場合に、充電電流を遮断するようになっている。
また、スイッチ制御部67は、例えば、電池電圧が過放電検出電圧に到達した場合に、スイッチ部67(放電制御スイッチ)を切断して、電源62の電流経路に放電電流が流れないように制御するようになっている。これにより、電源62では、充電用ダイオードを介して充電のみが可能になる。なお、スイッチ制御部67は、例えば、放電時に大電流が流れた場合に、放電電流を遮断するようになっている。
なお、二次電池では、例えば、過充電検出電圧は4.20V±0.05Vであり、過放電検出電圧は2.4V±0.1Vである。
メモリ68は、例えば、不揮発性メモリであるEEPROMなどである。このメモリ68には、例えば、制御部61により演算された数値や、製造工程段階で測定された二次電池の情報(例えば、初期状態の内部抵抗など)が記憶されている。なお、メモリ68に二次電池の満充電容量を記憶させておけば、制御部10が残容量などの情報を把握できる。
温度検出素子69は、電源62の温度を測定して、その測定結果を制御部61に出力するものであり、例えば、サーミスタなどである。
正極端子71および負極端子72は、電池パックを用いて稼働される外部機器(例えばノート型のパーソナルコンピュータなど)または電池パックを充電するために用いられる外部機器(例えば充電器など)に接続される端子である。電源62の充放電は、正極端子71および負極端子72を介して行われる。
<2−2.電動車両>
図6は、電動車両の一例であるハイブリッド自動車のブロック構成を表している。この電動車両は、例えば、図6に示したように、金属製の筐体73の内部に、制御部74と、エンジン75と、電源76と、駆動用のモータ77と、差動装置78と、発電機79と、トランスミッション80およびクラッチ81と、インバータ82,83と、各種センサ84とを備えている。この他、電動車両は、例えば、差動装置78およびトランスミッション80に接続された前輪用駆動軸85および前輪86と、後輪用駆動軸87および後輪88とを備えている。
この電動車両は、エンジン75またはモータ77のいずれか一方を駆動源として走行可能である。エンジン75は、主要な動力源であり、例えば、ガソリンエンジンなどである。エンジン75を動力源とする場合、エンジン75の駆動力(回転力)は、例えば、駆動部である差動装置78、トランスミッション80およびクラッチ81を介して前輪86または後輪88に伝達される。なお、エンジン75の回転力は発電機79にも伝達され、その回転力により発電機79が交流電力を発生させると共に、その交流電力はインバータ83を介して直流電力に変換され、電源76に蓄積される。一方、変換部であるモータ77を動力源とする場合、電源76から供給された電力(直流電力)がインバータ82を介して交流電力に変換され、その交流電力によりモータ77が駆動する。このモータ77により電力から変換された駆動力(回転力)は、例えば、駆動部である差動装置78、トランスミッション80およびクラッチ81を介して前輪86または後輪88に伝達される。
なお、図示しない制動機構により電動車両が減速すると、その減速時の抵抗力がモータ77に回転力として伝達され、その回転力によりモータ77が交流電力を発生させるようにしてもよい。この交流電力はインバータ82を介して直流電力に変換され、その直流回生電力は電源76に蓄積されることが好ましい。
制御部74は、電動車両全体の動作を制御するものであり、例えば、CPUなどを含んでいる。電源76は、1または2以上の二次電池(図示せず)を含んでいる。この電源76は、外部電源と接続され、その外部電源から電力供給を受けることで電力を蓄積可能になっていてもよい。各種センサ84は、例えば、エンジン75の回転数を制御したり、図示しないスロットルバルブの開度(スロットル開度)を制御するために用いられる。この各種センサ84は、例えば、速度センサ、加速度センサ、エンジン回転数センサなどを含んでいる。
なお、上記では電動車両としてハイブリッド自動車について説明したが、電動車両は、エンジン75を用いずに電源76およびモータ77だけを用いて作動する車両(電気自動車)でもよい。
<2−3.電力貯蔵システム>
図7は、電力貯蔵システムのブロック構成を表している。この電力貯蔵システムは、例えば、図7に示したように、一般住宅または商業用ビルなどの家屋89の内部に、制御部90と、電源91と、スマートメータ92と、パワーハブ93とを備えている。
ここでは、電源91は、例えば、家屋89の内部に設置された電気機器94に接続されていると共に、家屋89の外部に停車された電動車両96に接続可能になっている。また、電源91は、例えば、家屋89に設置された自家発電機95にパワーハブ93を介して接続されていると共に、スマートメータ92およびパワーハブ93を介して外部の集中型電力系統97に接続可能になっている。
なお、電気機器94は、例えば、冷蔵庫、エアコン、テレビまたは給湯器などの1または2以上の家電製品を含んでいる。自家発電機95は、例えば、太陽光発電機または風力発電機などの1種類または2種類以上である。電動車両96は、例えば、電気自動車、電気バイクまたはハイブリッド自動車などの1種類または2種類以上である。集中型電力系統97は、例えば、火力発電所、原子力発電所、水力発電所または風力発電所などの1種類または2種類以上である。
制御部90は、電力貯蔵システム全体の動作(電源91の使用状態を含む)を制御するものであり、例えば、CPUなどを含んでいる。電源91は、1または2以上の二次電池(図示せず)を含んでいる。スマートメータ92は、例えば、電力需要側の家屋89に設置されるネットワーク対応型の電力計であり、電力供給側と通信可能になっている。これに伴い、スマートメータ92は、例えば、必要に応じて外部と通信しながら、家屋89における需要・供給のバランスを制御し、効率的で安定したエネルギー供給を可能にするようになっている。
この電力貯蔵システムでは、例えば、外部電源である集中型電力系統97からスマートメータ92およびパワーハブ93を介して電源91に電力が蓄積されると共に、独立電源である太陽光発電機95からパワーハブ93を介して電源91に電力が蓄積される。この電源91に蓄積された電力は、制御部91の指示に応じて、必要に応じて電気機器94または電動車両96に供給されるため、その電気機器94が稼働可能になると共に、電動車両96が充電可能になる。すなわち、電力貯蔵システムは、電源91を用いて、家屋89内における電力の蓄積および供給を可能にするシステムである。
電源91に蓄積された電力は、任意に利用可能である。このため、例えば、電気使用量が安い深夜に集中型電力系統97から電源91に電力を蓄積しておき、その電源91に蓄積しておいた電力を電気使用量が高い日中に用いることができる。
なお、上記した電力貯蔵システムは、1戸(1世帯)ごとに設置されていてもよいし、複数戸(複数世帯)ごとに設置されていてもよい。
<2−4.電動工具>
図8は、電動工具のブロック構成を表している。この電動工具は、例えば、図8に示したように、電動ドリルであり、プラスチック材料などにより形成された工具本体98の内部に、制御部99と、電源100とを備えている。この工具本体98には、例えば、可動部であるドリル部101が稼働(回転)可能に取り付けられている。
制御部99は、電動工具全体の動作(電源100の使用状態を含む)を制御するものであり、例えば、CPUなどを含んでいる。電源100は、1または2以上の二次電池(図示せず)を含んでいる。この制御物99は、図示しない動作スイッチの操作に応じて、必要に応じて電源100からドリル部101に電力を供給して可動させるようになっている。
本技術の具体的な実施例について、詳細に説明する。
(実験例1〜35)
以下の手順により、図1および図2に示した円筒型のリチウムイオン二次電池を作製した。
最初に、正極活物質を準備した。まず、表1〜表3に示したように、中心部および被覆部の原材料の粉末を準備した。この中心部の原材料は、層状岩塩型の結晶構造を有するLiCoO2 等、スピネル型の結晶構造を有するLiMn2 4 等、オリビン型の結晶構造有するLi1.01FePO4 等である。中心部および被覆部を含むリチウム遷移金属複合化合物を作製する場合には、原材料を所定量となるように秤量すると共に混合したのち、メカノケミカル装置を用いて混合物を1時間処理して中心部の表面に被覆部(Mg(OH)2 )を被着させて焼成前駆体を得た。続いて、焼成前駆体を焼成したのち、その焼成状態を保持してから冷却して、リチウム遷移金属複合化合物を得た。この焼成時の温度および保持時間は、表1〜表3に示した通りである。この場合には、昇温速度を毎分3℃、降温速度を毎分5℃とした。この他、必要に応じて、中心部の原材料をそのまま正極活物質として用いた。レーザ散乱法により測定された中心部の原材料の平均粒径および原材料の混合比(原子比)は、表1〜表3に示した通りである。
次に、上記した正極活物質を用いて二次電池を作製した。正極21を作製する場合には、正極活物質98質量部と、正極結着剤(ポリフッ化ビニリデン:PVDF)1.2質量部と、正極導電剤(ケッチェンブラック)0.8質量部とを混合して正極合剤とした。続いて、正極合剤を有機溶剤(N−メチル−2−ピロリドン:NMP)に分散させてペースト状の正極合剤スラリーとした。続いて、コーティング装置を用いて帯状の正極集電体21A(12μm厚のアルミニウム箔)の両面に正極合剤スラリーを均一に塗布してから乾燥させて正極活物質層21Bを形成した。続いて、ロールプレス機を用いて正極活物質層21Bを圧縮成型した。
負極22を作製する場合には、負極活物質(人造黒鉛)95質量部と、負極結着剤(PVDF)5質量部とを混合して負極合剤とした。続いて、負極合剤を有機溶剤(NMP)に分散させてペースト状の負極合剤スラリーとした。続いて、コーティング装置を用いて帯状の負極集電体22A(15μm厚の電解銅箔)の両面に負極合剤スラリーを均一に塗布してから乾燥させて、負極活物質層22Bを形成した。続いて、ロールプレス機を用いて負極活物質層22Bを圧縮成型した。
電解液を調製する場合には、溶媒(炭酸エチレン(EC)および炭酸エチルメチル(EMC))に電解質塩(LiPF6 )を溶解させた。この場合には、溶媒の組成を重量比でEC:EMC=50:50、電解質塩の含有量を溶媒に対して1mol/dm3 と(=1mol/l)とした。
二次電池を組み立てる場合には、正極集電体21Aにアルミニウム製の正極リード25を溶接すると共に、負極集電体22Aにニッケル製の負極リード26を溶接した。続いて、セパレータ23を介して正極21と負極22とを積層および巻回したのち、粘着テープで巻き終わり部分を固定して巻回電極体20を作製した。続いて、巻回電極体20の巻回中心にセンターピン24を挿入した。続いて、一対の絶縁板12,13で挟みながら、ニッケル鍍金された鉄製の電池缶11の内部に巻回電極体20を収納した。この場合には、正極リード25の先端部を安全弁機構15に溶接すると共に、負極リード26の先端部を電池缶11に溶接した。続いて、減圧方式により電池缶11の内部に電解液を注入してセパレータ23に含浸させた。このセパレータ23は、微多孔性ポリプロピレンフィルム(厚さ=25μm)である。最後に、電池缶11の開口部にガスケット17を介して電池蓋14、安全弁機構15および熱感抵抗素子16をかしめた。これにより、円筒型の二次電池(外径=18mm×高さ65mm)が完成した。この二次電池を作製する場合には、正極活物質層21Bの厚さを調節して、満充電時に負極22にLi金属が析出しないようにした。
二次電池の電池容量特性およびサイクル特性を調べたところ、表1〜表3に示した結果が得られた。
電池容量特性を調べる場合には、常温環境中(23℃)で二次電池を1サイクル充放電させて初回容量(mAh)を測定した。充電条件は充電電流=1.5A、充電電圧=4.35V、充電時間=2.5時間とし、放電条件は放電電流=1A、終止電圧=3Vとした。
サイクル特性を調べる場合には、常温環境中(23℃)で二次電池を1サイクル充放電させて放電容量(mAh)を測定したのち、サイクル数の合計が300サイクルになるまで充放電を繰り返して放電容量(mAh)を測定した。この結果から、容量維持率(%)=(300サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)×100を算出した。充放電条件は、電池容量特性を調べた場合と同様である。
なお、二次電池の諸特性を調べる場合には、以下の手順により、吸収端エネルギーE1,E2を特定した。
第1吸収端の吸収端エネルギーE1を調べる場合には、上記した充電条件で充電した二次電池を放電電圧=3.0Vになるまで放電したのち、その二次電池を解体して正極21を取り出した。この場合には、水分に起因する試料の変質などを防止するために、Arなどの不活性ガスの雰囲気中、または露点が−50℃以下であるドライルーム中で解体作業を行った。続いて、正極21を炭酸ジメチル(DMC)で洗浄して、その表面に付着している塩または溶媒などを除去した。続いて、X線吸収分光法として転換電子強度を測定する方法を用いて、MgK吸収端におけるXAFSスペクトルを測定した。この場合には、試料が大気に触れないようにするためにArなどの不活性ガスの雰囲気中、または表面変質を抑えるために大気中で極短時間(1分間〜2分間)で測定装置に試料を導入した。
XAFSスペクトルを得たのち、上記したように、MgK吸収端よりも低エネルギー側の領域を直線で近似すると共に高エネルギー側の領域を二次関数で近似して、曲線の強度が測定範囲のエネルギー領域で1になるように規格化した。この規格化されたXAFSスペクトルから、第1吸収端においてX線吸収強度=0.5となる吸収端エネルギーE1を求めた。
第2吸収端の吸収端エネルギーE2を調べる場合には、上記した充電条件で、表1〜表3に示した充電電圧Vになるまで二次電池を充電した。こののち、吸収端エネルギーE1を調べた場合と同様の手順により、充電状態の二次電池を解体して正極21を取り出し、XAFSスペクトルを測定すると共に規格化した。この規格化されたXAFSスペクトルから、第2吸収端においてX線吸収強度=0.5となる吸収端エネルギーE2を求めた。
測定された吸収端エネルギーE1,E2およびその差(E2−E1)は、表1〜表3に示した通りである。
Figure 2013048061
Figure 2013048061
Figure 2013048061
正極活物質であるリチウム遷移金属複合化合物が表面近傍にMgを含んでいると、放電時に測定されたXAFSスペクトルにおいて、X線エネルギーが1303eV〜1313eVである範囲内に吸収端エネルギーE1を有する第1吸収端が検出された。
また、吸収端エネルギーE1,E2および充電電圧VがE2−E1≧(V−4.25)×4の関係を満たしていると、その関係を満たしていない場合と比較して、初回容量および容量維持率がいずれも増加した。
これらの結果は、リチウム遷移金属複合化合物がMgを構成元素として含んでいる場合には、その表面近傍におけるMgの存在量(分布状態)に応じて、初回容量および容量維持率が増減することを表している。この場合には、吸収端エネルギーE1,E2および充電電圧Vが上記した関係を満たしていると、Mgの存在量が充電電圧Vとの関係において適正化されるため、初回容量および容量維持率が特異的に増加することも表している。
以上、実施形態および実施例を挙げて本技術を説明したが、本技術は、実施形態および実施例で説明した態様に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、本技術の二次電池は、負極の容量がリチウムイオンの吸蔵放出による容量とリチウム金属の析出溶解に伴う容量とを含み、それらの容量の和により表されるリチウムイオン二次電池についても、同様に適用可能である。この場合には、負極材料の充電可能な容量が正極の放電容量よりも小さくなるように設定される。
また、実施形態および実施例では、電極反応物質の元素としてリチウムを用いる場合について説明したが、必ずしもこれに限られない。電極反応物質の元素は、例えば、NaまたはKなどの他の1族元素や、MgまたはCaなどの2族元素や、Alなどの他の軽金属でもよい。
また、実施形態および実施例では、電池構造が円筒型またはラミネートフィルム型である場合、あるいは電池素子が巻回構造を有する場合を例に挙げて説明したが、これに限られない。本技術の二次電池は、コイン型、角型またはボタン型などの他の電池構造を有する場合、あるいは電池素子が積層構造などの他の構造を有する場合についても、同様に適用可能である。
なお、本技術は以下のような構成を取ることも可能である。
(1)
正極および負極と共に電解液を備え、
前記正極は、リチウム(Li)と1または2以上の遷移金属とマグネシウム(Mg)と酸素(O)とを構成元素として含むリチウム遷移金属複合化合物を含有し、
X線吸収分光法により測定された前記リチウム遷移金属複合化合物の規格化X線吸収スペクトル(横軸:X線エネルギー(eV),縦軸:X線吸収強度)において、
放電電圧=3.0Vの放電状態では、X線エネルギーが1303eV〜1313eVである範囲内に、X線吸収強度=0.5において吸収端エネルギーE1を有する第1吸収端が存在し、
充電電圧V=4.3V〜4.5Vの充電状態では、X線吸収強度=0.5において吸収端エネルギーE2を有する第2吸収端が存在し、
前記吸収端エネルギーE1,E2および前記充電電圧VはE2−E1≧(V−4.25)×4の関係を満たす、
二次電池。
(2)
前記リチウム遷移金属複合化合物は少なくとも表面にマグネシウムを含む、
上記(1)に記載の二次電池。
(3)
前記リチウム遷移金属複合化合物は、リチウムと1または2以上の遷移金属と酸素とを構成元素として含む中心部と、その中心部の少なくとも一部に設けられた被覆部とを含み、前記中心部および前記被覆部のうちの少なくとも一方はマグネシウムを構成元素として含む、
上記(1)または(2)に記載の二次電池。
(4)
前記被覆部はマグネシウムを構成元素として含む、
上記(3)に記載の二次電池。
(5)
前記中心部は下記の式(1)〜式(5)で表される化合物のうちの少なくとも1種を含む、
上記(3)または(4)に記載の二次電池。
Li0.9+a Cob M11-b 2 ・・・(1)
(M1はAl、MgおよびBaのうちの少なくとも一方であり、aおよびbは0≦a≦0.2、0<b≦1を満たす。)
Li0.9+c Nid Co1-d-e M2e 2 ・・・(2)
(M2はMg、Al、MnおよびBaのうちの少なくとも1種であり、c、dおよびeは0≦c<0.2、0<d+e<1を満たす。)
Li1+f (Mng Nih Co1-g-h 1-f 2 ・・・(3)
(f、gおよびhは0.05≦f<0.25、0.5≦g<0.7、0≦h≦(1−g)を満たす。)
Li1+i M3PO4 ・・・(4)
(M3はFe、MnおよびCoのうちの少なくとも1種であり、iは0≦i≦0.1である。)
Li0.9+j Mn2-k M4k 4 ・・・(5)
(M4はAl、Fe、Co、Cu、CrおよびNiのうちの少なくとも1種であり、jおよびkは0≦j≦0.2、0.5≦k<1を満たす。)
(6)
マグネシウムを構成元素として含む前記被覆部はマグネシウムの炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩およびハロゲン化物のうちの少なくとも1種を含む、
上記(3)ないし(5)のいずれかに記載の二次電池。
(7)
前記リチウム遷移金属複合化合物は遷移金属としてコバルトを含む、
上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の二次電池。
(8)
充電電圧の上限値は4.2V〜4.8V以下である、
上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の二次電池。
(9)
充電電圧の上限値は4.25V〜4.8Vである、
上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の二次電池。
(10)
リチウムイオン二次電池である、
上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の二次電池。
(11)
上記(1)ないし(10)のいずれかに記載した二次電池と、
その二次電池の使用状態を制御する制御部と、
その制御部の指示に応じて前記二次電池の使用状態を切り換えるスイッチ部と
を備えた、電池パック。
(12)
上記(1)ないし(10)のいずれかに記載した二次電池と、
その二次電池から電力を供給された電力を駆動力に変換する変換部と、
その駆動力に応じて駆動する駆動部と、
前記二次電池の使用状態を制御する制御部と
を備えた、電動車両。
(13)
上記(1)ないし(10)のいずれかに記載した二次電池と、
1または2以上の電気機器と、
前記二次電池から前記電気機器に対する電力供給を制御する制御部と
を備えた、電力貯蔵システム。
(14)
上記(1)ないし(10)のいずれかに記載した二次電池と、
その二次電池から電力を供給される可動部と
を備えた、電動工具。
(15)
上記(1)ないし(10)のいずれかに記載した二次電池を備え、その二次電池から電力を供給される、
電子機器。
11…電池缶、20,30…巻回電極体、21,33…正極、21A,33A…正極集電体、21B,33B…正極活物質層、21C,22C,23C…被覆層、22,34…負極、22A,34A…負極集電体、22B,34B…負極活物質層、23,35…セパレータ、23A…基材層、36…電解質層、40…外装部材。

Claims (15)

  1. 正極および負極と共に電解液を備え、
    前記正極は、リチウム(Li)と1または2以上の遷移金属とマグネシウム(Mg)と酸素(O)とを構成元素として含むリチウム遷移金属複合化合物を含有し、
    X線吸収分光法により測定された前記リチウム遷移金属複合化合物の規格化X線吸収スペクトル(横軸:X線エネルギー(eV),縦軸:X線吸収強度)において、
    放電電圧=3.0Vの放電状態では、X線エネルギーが1303eV〜1313eVである範囲内に、X線吸収強度=0.5において吸収端エネルギーE1を有する第1吸収端が存在し、
    充電電圧V=4.3V〜4.5Vの充電状態では、X線吸収強度=0.5において吸収端エネルギーE2を有する第2吸収端が存在し、
    前記吸収端エネルギーE1,E2および前記充電電圧VはE2−E1≧(V−4.25)×4の関係を満たす、
    二次電池。
  2. 前記リチウム遷移金属複合化合物は少なくとも表面にマグネシウムを含む、
    請求項1記載の二次電池。
  3. 前記リチウム遷移金属複合化合物は、リチウムと1または2以上の遷移金属と酸素とを構成元素として含む中心部と、その中心部の少なくとも一部に設けられた被覆部とを含み、
    前記中心部および前記被覆部のうちの少なくとも一方はマグネシウムを構成元素として含む、
    請求項1記載の二次電池。
  4. 前記被覆部はマグネシウムを構成元素として含む、
    請求項3記載の二次電池。
  5. 前記中心部は下記の式(1)〜式(5)で表される化合物のうちの少なくとも1種を含む、
    請求項3記載の二次電池。
    Li0.9+a Cob M11-b 2 ・・・(1)
    (M1はAl、MgおよびBaのうちの少なくとも1種であり、aおよびbは0≦a≦0.2、0<b≦1を満たす。)
    Li0.9+c Nid Co1-d-e M2e 2 ・・・(2)
    (M2はMg、Al、MnおよびBaのうちの少なくとも1種であり、c、dおよびeは0≦c<0.2、0<d+e<1を満たす。)
    Li1+f (Mng Nih Co1-g-h 1-f 2 ・・・(3)
    (f、gおよびhは0.05≦f<0.25、0.5≦g<0.7、0≦h≦(1−g)を満たす。)
    Li1+i M3PO4 ・・・(4)
    (M3はFe、MnおよびCoのうちの少なくとも1種であり、iは0≦i≦0.1である。)
    Li0.9+j Mn2-k M4k 4 ・・・(5)
    (M4はAl、Fe、Co、Cu、CrおよびNiのうちの少なくとも1種であり、jおよびkは0≦j≦0.2、0.5≦k<1を満たす。)
  6. マグネシウムを構成元素として含む前記被覆部はマグネシウムの炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩およびハロゲン化物のうちの少なくとも1種を含む、
    請求項3記載の二次電池。
  7. 前記リチウム遷移金属複合化合物は遷移金属としてコバルトを含む、
    請求項1記載の二次電池。
  8. 充電電圧の上限値は4.2V〜4.8V以下である、
    請求項1記載の二次電池。
  9. 充電電圧の上限値は4.25V〜4.8Vである、
    請求項1記載の二次電池。
  10. リチウムイオン二次電池である、
    請求項1記載の二次電池。
  11. 二次電池と、
    その二次電池の使用状態を制御する制御部と、
    その制御部の指示に応じて前記二次電池の使用状態を切り換えるスイッチ部と
    を備え、
    前記二次電池は、正極および負極と共に電解液を備え、
    前記正極は、リチウムと1または2以上の遷移金属とマグネシウムと酸素とを構成元素として含むリチウム遷移金属複合化合物を含有し、
    X線吸収分光法により測定された前記リチウム遷移金属複合化合物の規格化X線吸収スペクトル(横軸:X線エネルギー(eV),縦軸:X線吸収強度)において、
    放電電圧=3.0Vの放電状態では、X線エネルギーが1303eV〜1313eVである範囲内に、X線吸収強度=0.5において吸収端エネルギーE1を有する第1吸収端が存在し、
    充電電圧V=4.3V〜4.5Vの充電状態では、X線吸収強度=0.5において吸収端エネルギーE2を有する第2吸収端が存在し、
    前記吸収端エネルギーE1,E2および前記充電電圧VはE2−E1≧(V−4.25)×4の関係を満たす、
    電池パック。
  12. 二次電池と、
    その二次電池から供給された電力を駆動力に変換する変換部と、
    その駆動力に応じて駆動する駆動部と、
    前記二次電池の使用状態を制御する制御部と
    を備え、
    前記二次電池は、正極および負極と共に電解液を備え、
    前記正極は、リチウムと1または2以上の遷移金属とマグネシウムと酸素とを構成元素として含むリチウム遷移金属複合化合物を含有し、
    X線吸収分光法により測定された前記リチウム遷移金属複合化合物の規格化X線吸収スペクトル(横軸:X線エネルギー(eV),縦軸:X線吸収強度)において、
    放電電圧=3.0Vの放電状態では、X線エネルギーが1303eV〜1313eVである範囲内に、X線吸収強度=0.5において吸収端エネルギーE1を有する第1吸収端が存在し、
    充電電圧V=4.3V〜4.5Vの充電状態では、X線吸収強度=0.5において吸収端エネルギーE2を有する第2吸収端が存在し、
    前記吸収端エネルギーE1,E2および前記充電電圧VはE2−E1≧(V−4.25)×4の関係を満たす、
    電動車両。
  13. 二次電池と、
    1または2以上の電気機器と、
    前記二次電池からの前記電気機器に対する電力供給を制御する制御部と
    を備え、
    前記二次電池は、正極および負極と共に電解液を備え、
    前記正極は、リチウムと1または2以上の遷移金属とマグネシウムと酸素とを構成元素として含むリチウム遷移金属複合化合物を含有し、
    X線吸収分光法により測定された前記リチウム遷移金属複合化合物の規格化X線吸収スペクトル(横軸:X線エネルギー(eV),縦軸:X線吸収強度)において、
    放電電圧=3.0Vの放電状態では、X線エネルギーが1303eV〜1313eVである範囲内に、X線吸収強度=0.5において吸収端エネルギーE1を有する第1吸収端が存在し、
    充電電圧V=4.3V〜4.5Vの充電状態では、X線吸収強度=0.5において吸収端エネルギーE2を有する第2吸収端が存在し、
    前記吸収端エネルギーE1,E2および前記充電電圧VはE2−E1≧(V−4.25)×4の関係を満たす、
    電力貯蔵システム。
  14. 二次電池と、
    その二次電池から電力を供給される可動部と
    を備え、
    前記二次電池は、正極および負極と共に電解液を備え、
    前記正極は、リチウムと1または2以上の遷移金属とマグネシウムと酸素とを構成元素として含むリチウム遷移金属複合化合物を含有し、
    X線吸収分光法により測定された前記リチウム遷移金属複合化合物の規格化X線吸収スペクトル(横軸:X線エネルギー(eV),縦軸:X線吸収強度)において、
    放電電圧=3.0Vの放電状態では、X線エネルギーが1303eV〜1313eVである範囲内に、X線吸収強度=0.5において吸収端エネルギーE1を有する第1吸収端が存在し、
    充電電圧V=4.3V〜4.5Vの充電状態では、X線吸収強度=0.5において吸収端エネルギーE2を有する第2吸収端が存在し、
    前記吸収端エネルギーE1,E2および前記充電電圧VはE2−E1≧(V−4.25)×4の関係を満たす、
    電動工具。
  15. 二次電池を電力供給源として備え、
    前記二次電池は、正極および負極と共に電解液を備え、
    前記正極は、リチウムと1または2以上の遷移金属とマグネシウムと酸素とを構成元素として含むリチウム遷移金属複合化合物を含有し、
    X線吸収分光法により測定された前記リチウム遷移金属複合化合物の規格化X線吸収スペクトル(横軸:X線エネルギー(eV),縦軸:X線吸収強度)において、
    放電電圧=3.0Vの放電状態では、X線エネルギーが1303eV〜1313eVである範囲内に、X線吸収強度=0.5において吸収端エネルギーE1を有する第1吸収端が存在し、
    充電電圧V=4.3V〜4.5Vの充電状態では、X線吸収強度=0.5において吸収端エネルギーE2を有する第2吸収端が存在し、
    前記吸収端エネルギーE1,E2および前記充電電圧VはE2−E1≧(V−4.25)×4の関係を満たす、
    電子機器。
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