JP2011138718A - 正極活物質、正極および非水電解質二次電池 - Google Patents

正極活物質、正極および非水電解質二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】高い充放電サイクル特性と、電池内部におけるガス発生抑制効果を得る。
【解決手段】
リチウム遷移金属複合酸化物の表面の少なくとも一部に設けられた被覆層とを備え、被覆層が、規格化されたX線吸収微細構造(XAFS)スペクトルにおいて1302eVから1312eVの間に強度0.5を与えるX線の吸収端が存在し、広域X線吸収端微細構造(EXAFS)のフーリエ変換として求められるMg周りの動径構造関数の絶対値において、2.6Å付近の第二近接ピークの強度に対する1.6Å付近の第一近接ピークの強度の比が、1.3以上4.0以下であり、リチウム遷移金属複合酸化物が層状岩塩構造を有し、被覆層が、充電状態で測定された規格化されたX線吸収微細構造(XAFS)スペクトルにおける1311eVでの強度に対する1318eVでの強度の比が0.9以上1.6以下である正極活物質を用いる。
【選択図】図1

Description

この発明は、正極活物質、正極および非水電解質二次電池に関し、例えば、リチウム(Li)と遷移金属とを含む複合酸化物を含有する非水電解質二次電池用正極活物質、並びにそれを用いた正極および非水電解質二次電池に関する。
近年、携帯電子機器の技術がめざましく発達し、携帯電話やノートブックコンピューターなどの電子機器は高度情報化社会を支える基盤技術と認知され始めた。また、これらの電子機器の高機能化に関する研究開発が精力的に進められており、これらの電子機器の消費電力も比例して増加の一途を辿っている。その反面、これらの電子機器は、長時間の駆動が求められており、駆動電源である二次電池の高エネルギー密度化が必然的に望まれてきた。また、環境面の配慮からサイクル寿命の延命についても望まれてきた。
電子機器に内蔵される電池の占有体積や質量などの観点より、電池のエネルギー密度は高いほど望ましい。現在では、リチウムイオン二次電池が、他の電池系に比較して高電圧で優れたエネルギー密度を有することから、殆どの機器に内蔵されるに至っている。
通常、リチウムイオン二次電池では、正極にはコバルト酸リチウム、負極には炭素材料が使用されており、作動電圧が4.2Vから2.5Vの範囲で用いられている。単電池において、端子電圧を4.2Vまで上げられるのは、非水電解質材料やセパレータなどの優れた電気化学的安定性によるところが大きい。
このようなリチウムイオン二次電池のさらなる高性能化、用途拡大を目的として多くの検討が進められている。その一つとして、例えば、充電電圧を高めるなどの方法で、コバルト酸リチウムをはじめとする正極活物質のエネルギー密度を高め、リチウムイオン二次電池の高容量化を図ることが検討されている。
しかしながら、高容量で充放電を繰り返した場合、容量劣化を起こし、電池寿命が短くなってしまうという問題がある。また、高温環境下で使用した場合、電池内部にてガスが発生し、漏液や電池変形などの問題が生じる。そこで、従来、正極活物質にLiMn1/3Co1/3Ni1/32などを少量混合して用いることや、他材料を表面被覆することにより、正極活物質の改質を行う方法が行われている。
例えば下記特許文献1には、正極電極の表面に金属酸化物を被覆することにより、サイクル特性を改善する方法が記載されている。また、下記特許文献2には、正極活物質の表面に金属酸化物を被覆することにより、熱的安定性を高める方法が記載されている。
また、正極活物質の表面被覆において、その被覆形態によるサイクル特性改善や熱的安定性向上の効果についても検討されている。例えば下記特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、および特許文献8には、リチウム遷移金属複合酸化物を均一に被覆する方法が記載されている。また、下記特許文献9には、金属酸化物層の上に金属酸化物の塊が付着された正極活物質が記載されている。
また、表面被覆に用いられる元素についても検討され、例えば下記特許文献10には、コアとなるリチウム化合物表面に2つ以上のコーティング元素を含む1つ以上の表面処理層を形成した正極活物質が記載されている。
下記特許文献11には、MXOkで表される化合物を含む表面処理層を粒子表面に配する事により、熱的安定性を改善する方法が開示されている。また、下記特許文献12には、M1mnで表される表面層を形成する方法が開示されている。
下記特許文献13には、リン(P)を添加した正極を用いる方法が開示されており、下記特許文献14には、粒子表面がリン(P)で被覆された材料が開示されている。また、下記特許文献15には、ホウ素(B)、リン(P)または窒素(N)を含有する層を形成する方法が開示されている。
また、下記特許文献16、下記特許文献17および下記特許文献18には、リン酸塩化合物などを正極中に含有させる方法が開示されている。
特許第3172388号公報 特許第3691279号公報 特開平7−235292号公報 特開2000−149950号公報 特開2000−156227号公報 特開2000−164214号公報 特開2000−195517号公報 特開2002−231227号公報 特開2001−256979号公報 特開2002−164053号公報 特開2003−7299号公報 特開2006−127932号公報 特開平05−36411号公報 特許第3054829号公報 特許第3192855号公報 特開平10−154532号公報 特開平10−241681号公報 特開平11−204145号公報
しかしながら、上述の特許文献1および特許文献2において開示されている被覆元素、被覆方法、被覆形態では、リチウムイオンの拡散を阻害するため、実用領域の充放電電流値では十分な容量が得られないという欠点がある。
上述の特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、および特許文献8で開示された方法によると、高い容量を維持できるものの、高度にサイクル特性を向上させるには不十分である。また、特許文献9で開示された方法により金属酸化物層の上に金属酸化物の塊が付着された構造の正極活物質を作製したところ、十分な充放電効率が得られず、容量が大きく低下する結果となった。
上述の特許文献10では、コアとなるリチウム化合物の粒子表面における分布については規定されておらず、その効果は熱的安定性の向上に限られたものである。
上述の特許文献11は、MXOkで表される化合物を粒子表面に均一に被覆、拡散することにより熱的安定性を改善するものであるが、この手法では、均一に存在するMXOk層がリチウムイオンの挿入脱離を阻害し、十分な充放電特性を得られない。同様に、上述の特許文献12においても、粒子表面に均一な表面層が形成されてしまい、十分な特性を得られない。
上述の特許文献13、特許文献14、特許文献15は、正極活物質にリンを添加または被覆することによりサイクル特性を向上させるものであるが、リチウムに対して不活性な軽元素のみを用いるこれらの技術では、十分な可逆容量を得られない。
上述の特許文献16は、過充電時の安全性に関する技術であり、また、実際に正極中にリン酸塩化合物などを単純に混合するだけでは十分な効果を得られない。同様に、上述の特許文献17および特許文献18でも、正極中にリン酸塩化合物などを単純に混合するゆえ、効果は不十分である。
このように、正極活物質を改質することにより、サイクル特性あるいは熱的安定性をある程度改善することはできるが、その一方で電池容量が低下しやすくなる。また、上述の方法により得られる電池特性の改善の程度は十分なものではなく、また、高温環境下で生じる電池内部でのガス発生の抑制について、さらなる改善が要望されている。
したがって、この発明の目的は、高容量で充放電サイクル特性に優れ、さらにガス発生を抑制することができる正極活物質、並びにそれを用いた正極および非水電解質二次電池を提供することにある。
コバルト酸リチウム(LiCoO2)やニッケル酸リチウム(LiNiO2)をはじめとするリチウム含有遷移金属酸化物を主体とする活物質を用いて、適切に正極負極比を設計した状態で最高充電電圧が4.20V以上、好ましくは4.30V以上、より好ましくは4.40V以上になるように充電を行うことで電池のエネルギー密度を向上させることが可能である。
しかしながら、充電電圧を上昇させるにつれて、正極活物質と電解液との界面での反応性が上がることにより、正極から遷移金属成分が溶出し、活物質の劣化や、溶出した金属が負極側で析出することによるLi吸蔵放出の阻害を引き起こしたり、界面での電解液の分解反応を加速させ、表面に皮膜を生成させたり、ガス発生を引き起こすなど電池特性の劣化を引き起こしていると考えられる。4.25V以上の高充電電圧状態で充放電を繰り返した場合に、充放電サイクル寿命低下や高温特性が劣化してしまう原因として、Li引き抜き量の増大に伴って活物質と電解液の界面での反応性が上がり、充電時に活物質や電解液の劣化を引き起こすことが考えられる。
このような問題に鑑みて鋭意検討行った結果、本願発明者等は、リチウム含有遷移金属酸化物の表面における少なくとも一部にはMgを含有し、Mgが特定の状態となるように被覆処理を施したリチウム遷移金属複合酸化物を用いることで、従来よりもサイクル劣化やガス発生などが少なく、高容量化と電池特性を両立させる正極活物質、正極、および非水電解質電池を発明するに到った。
上述した課題を解決するために、第1の発明は、リチウムと遷移金属とを構成元素として含むリチウム遷移金属複合酸化物と、
リチウム遷移金属複合酸化物の表面の少なくとも一部に設けられた被覆層と
を備え、
被覆層が、
規格化されたX線吸収微細構造(XAFS)スペクトルにおいて1302eVから1312eVの間に強度0.5を与えるX線の吸収端が存在し、
広域X線吸収端微細構造(EXAFS)のフーリエ変換として求められるMg周りの動径構造関数の絶対値において、2.6Å付近の第二近接ピークの強度に対する1.6Å付近の第一近接ピークの強度の比が、1.3以上4.0以下であり、
リチウム遷移金属複合酸化物が層状岩塩構造を有し、被覆層が、充電状態で測定された規格化されたX線吸収微細構造(XAFS)スペクトルにおける1311eVでの強度に対する1318eVでの強度の比が0.9以上1.6以下である
正極活物質である。
上述した課題を解決するために、第2の発明は、リチウムと遷移金属とを構成元素として含むリチウム遷移金属複合酸化物と、
リチウム遷移金属複合酸化物の表面の少なくとも一部に設けられた被覆層と
を備え、
被覆層が、
規格化されたX線吸収微細構造(XAFS)スペクトルにおいて1302eVから1312eVの間に強度0.5を与えるX線の吸収端が存在し、
広域X線吸収端微細構造(EXAFS)のフーリエ変換として求められるMg周りの動径構造関数の絶対値において、2.6Å付近の第二近接ピークの強度に対する1.6Å付近の第一近接ピークの強度の比が、1.3以上4.0以下であり、
リチウム遷移金属複合酸化物が層状岩塩構造を有し、被覆層が、充電状態で測定された規格化されたX線吸収微細構造(XAFS)スペクトルにおける1311eVでの強度に対する1318eVでの強度の比が0.9以上1.6以下である正極活物質を含む正極である。
上述した課題を解決するために、第3の発明は、正極と、負極と、電解質と、セパレータとを備え、
正極が、
リチウムと遷移金属とを構成元素として含むリチウム遷移金属複合酸化物と、
リチウム遷移金属複合酸化物の表面の少なくとも一部に設けられた被覆層と
を備え、
規格化されたX線吸収微細構造(XAFS)スペクトルにおいて1302eVから1312eVの間に強度0.5を与えるX線の吸収端が存在し、
広域X線吸収端微細構造(EXAFS)のフーリエ変換として求められるMg周りの動径構造関数の絶対値において、2.6Å付近の第二近接ピークの強度に対する1.6Å付近の第一近接ピークの強度の比が、1.3以上4.0以下であり、
リチウム遷移金属複合酸化物が層状岩塩構造を有し、被覆層が、充電状態で測定された規格化されたX線吸収微細構造(XAFS)スペクトルにおける1311eVでの強度に対する1318eVでの強度の比が0.9以上1.6以下である正極活物質を含む
非水電解質電池である。
この発明では、複合酸化物粒子の少なくとも一部に、複合酸化物粒子を実質的に構成する主要遷移金属とは異なり、マグネシウム(Mg)と、フッ素(F)、リン(P)、硫黄(S)、ケイ素(Si)、およびゲルマニウム(Ge)から選ばれる少なくとも1つの元素Xとを含む被覆層を備えていることが好ましい。この被覆層において、マグネシウム(Mg)と元素Xとは異なる分布を呈することが好ましい。
上述のような構成は、被覆層におけるマグネシウム(Mg)は存在形態が酸化マグネシウム(MgO)と類似したものであり、正極活物質表面における被覆層の結晶構造を安定させることができる。また、複合酸化物粒子表面に生じた例えばリチウム(Li)などの余剰な元素を化合物の形で存在させることにより、複合酸化物粒子の表面に余剰な元素が存在することを抑制することができる。
この発明によれば、高容量で充放電サイクル特性に優れ、さらに電池内部におけるガス発生の少ない二次電池を実現することができる。
この発明の第2の実施の形態による非水電解質二次電池の概略断面図である。 図1に示した巻回電極体の一部の拡大断面図である。 この発明のセパレータの一構成例を示す断面図である。 この発明の電池素子の構成を示す分解斜視図である。 図4に示す電池素子のVI−VI断面を示す断面図である。 実施例1−1で用いた正極活物質の粉末X線回折の測定結果を示すグラフである。 酸化マグネシウム(MgO)、および実施例1−1の正極活物質のMg周りの動径構造関数を示すグラフである。 酸化マグネシウム(MgO)、および実施例1−1の正極活物質のMgK吸収端のXANES(X-ray Absorption Near Edge Structure)スペクトルを示すグラフである。 実施例1−2で用いた正極活物質の粉末X線回折の測定結果を示すグラフである。 実施例1−2におけるMg周りの動径構造関数を示すグラフである。 実施例1−2におけるMgK吸収端のXANES(X-ray Absorption Near Edge Structure)スペクトルを示すグラフである。 比較例1−1で用いた正極活物質の粉末X線回折の測定結果を示すグラフである。 比較例1−1におけるMg周りの動径構造関数を示すグラフである。 比較例1−1におけるMgK吸収端のXANES(X-ray Absorption Near Edge Structure)スペクトルを示すグラフである。 比較例1−2で用いた正極活物質の粉末X線回折の測定結果を示すグラフである。 比較例1−3で用いた正極活物質の粉末X線回折の測定結果を示すグラフである。 比較例1−3におけるMg周りの動径構造関数を示すグラフである。 比較例1−3におけるMgK吸収端のXANES(X-ray Absorption Near Edge Structure)スペクトルを示すグラフである。
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。以下に説明する実施の形態はこの発明の具体的な例であり、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、この発明の範囲は、以下の説明において特にこの発明を限定する旨の記載がない限り実施の形態に限定されないものとする。なお、説明は、以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(非水電解質電池の第1の例)
2.第2の実施の形態(非水電解質電池の第2の例)
1.第1の実施の形態(非水電解質電池の第1の例)
(1−1)正極活物質
まず、この発明の第1の実施の形態による正極活物質について説明する。
[正極活物質の構成]
この発明の第1の実施の形態による正極活物質は、母粒子としてのリチウムと遷移金属とを構成元素として含むリチウム遷移金属複合酸化物粒子と、このリチウム遷移金属複合粒子の表面の少なくとも一部に形成されたマグネシウム(Mg)を含む被覆層とを有している。被覆層における正極活物質が下記(1)〜(4)の特徴を有するものである。
(1)規格化されたX線吸収微細構造(XAFS)スペクトルにおいて1302eVから1312eVの間に強度0.5を与えるX線の吸収端が存在
(2)広域X線吸収端微細構造(EXAFS)のフーリエ変換として求められるMg周りの動径構造関数の絶対値において、2.6Å付近の第二近接ピークの強度に対する1.6Å付近の第一近接ピークの強度の比が、1.3以上4.0以下
(3)リチウム遷移金属複合酸化物が層状岩塩構造を有し、被覆層が、充電状態で測定された規格化されたX線吸収微細構造(XAFS)スペクトルにおける1311eVでの強度に対する1318eVでの強度の比が0.9以上1.6以下である
すなわち、上述の(1)のような構成を有することにより、正極活物質の表面にマグネシウム(Mg)が存在している。そして、(2)および(3)のような構成を有することにより、マグネシウム(Mg)が酸化マグネシウム(MgO)に近い原子配列構造の状態で被覆層に存在することで、被覆層の結晶構造が安定し、Mg含有層が正極活物質と電解液の反応を抑制すると推測される。したがって、サイクル特性の劣化やガス発生の抑制など、電池特性の向上効果を得られると考えられる。
ただし、このメカニズムは、あくまでも推測であって、上記のメカニズム以外のメカニズムによりこの発明の作用効果が得られているとしても、この発明の技術的範囲は何ら影響ない。
[XAFS法]
ここで、請求項1〜3に記載された特徴を明らかにできるX線吸収微細構造(XAFS;X-ray Absorption Fine Structure)法について説明する。測定方法や解析方法の概要については、文献『X線吸収分光法』(太田俊明編、(株)アイピーシー)に詳しく解説されている。
X線を試料に入射させて、MgK吸収端(1303eV)付近のエネルギーの前後で入射するX線のエネルギーを変えながら、試料に照射する前のX線の強度と、試料からのMgKα蛍光X線強度を測定する。ここで、入射するX線のエネルギーを変化させる必要があることから、シンクロトロン放射光施設での測定が望ましい。例えば、高エネルギー加速器研究機構物質構造科学研究所の放射光研究施設ビームラインBL−11Aで測定することができる。蛍光X線強度として、MgKβも含めて測定して構わない。また、蛍光X線以外に、試料を透過するX線の強度や、試料を流れる電流の強度を測定することでも構わない。
蛍光X線強度を入射X線強度で割った値を入射X線エネルギーに対してプロットすることで、XAFSの生スペクトルを得る。標準試料として、市販のMgO多結晶粉末についても測定し、そのMgK吸収端付近でのスペクトル強度の微分の極値、すなわち変曲点のエネルギーが1308.30eVになるように、測定されたスペクトルのエネルギーを較正する。
吸収端近傍のスペクトルにおける吸収端の位置やピーク強度は、Mgの非束縛空軌道の電子状態を反映しており、酸化還元状態やMg周りの局所構造を反映する。
エネルギー較正した後で、測定されたスペクトルのMgK吸収端付近の強度の微分の極値の位置を基準として、それより75〜20eV低い領域を直線で近似し、それより30〜230eV高い領域を二次関数で近似し、その二次関数と直線の強度差がどのエネルギーでも1になるように、スペクトル全体を規格化した。請求項の規定はこの規格化されたXAFSスペクトルについてなされている。
EXAFS(広域X線吸収微細構造(Extend X-ray Absorption Fine Structure)振動成分χ(k)は、下記式(1)から求められる。
χ(k)=(μ−μs)/μ0 ・・・ 式(1)
ここで、式(1)中、μは規格化XAFSスペクトル、μsは光電子の波数1〜7.8Å-1の間を三次のスプライン関数で近似した曲線、μ0は吸収端でのスペクトル変曲点のエネルギーE0での強度増大量であり、規格化後は1である。スプライン関数の推定の際に、バックグラウンドとEXAFS振動との間のカットオフ(Rbkgパラメータ)を1Åとした。
光電子の波数kは、下記の式(2)で入射X線のエネルギーEと結び付けられる。
Figure 2011138718
・・・式(2)
ここで、mは電子の静止質量、hバーはプランク定数を2πで除したものである。
χ(k)をk=3〜8Å-1の間で複素フーリエ変換して、その絶対値としてMg周りの動径構造関数を得た。動径構造関数は、Mg周りの数Å程度の範囲内に配位する原子から成る局所構造を反映しており、それによって、Mgの占める結晶サイトや、Mg周りの局所構造の秩序性の程度などを知ることができる。
以下、上述のような正極活物質を構成する母粒子である複合酸化物粒子と、複合酸化物粒子の表面の少なくとも一部を被覆する被覆層について説明する。
[複合酸化物粒子]
母材となる複合酸化物粒子は、リチウムと、1または複数の遷移金属とを少なくとも含むリチウム含有遷移金属酸化物であり、リチウムを吸蔵および放出できるものであれば特に限定されない。このような複合酸化物粒子としては、高容量化の点から、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、ニッケルコバルトマンガン複合リチウム酸化物など、層状岩塩型の構造を有するリチウム含有遷移金属酸化物が好ましい。なかでも、コバルト酸リチウムを主体としたリチウム含有遷移金属酸化物は、高充填性や高い放電電圧を有するため好ましい。コバルト酸リチウムを主体としたリチウム含有遷移金属酸化物は、2族〜15族から選ばれる少なくとも1つ以上の元素で置換することや、フッ素化処理などが施されたものであってもよい。
具体的には、(化1)で表された組成を有するリチウム含有遷移金属酸化物を用いることが好ましい。
(化1)
LipCo(1-q)q(2-y)z
(式中、Tはコバルト(Co)を除く2族〜15族から選ばれる元素のうち少なくとも一種を、Qは酸素(O)以外の16族元素および17族元素のうち少なくとも1種を示す。p、q、y、zは、0≦p≦1.2、0≦q<0.3、−0.10≦y≦0.20、0≦z≦0.1の範囲内の値である。)
なお、複合酸化物粒子を構成する主要遷移金属とは、複合酸化物粒子を構成する遷移金属のうち最も比率の大きい遷移金属を意味する。例えば、平均組成がLiCo0.98Al0.01Mg0.012の複合酸化物粒子の場合、主要遷移金属はコバルト(Co)を示す。
[被覆層]
被覆層は、複合酸化物粒子の少なくとも一部に設けられ、少なくともマグネシウム(Mg)と、フッ素(F)、リン(P)、硫黄(S)、ケイ素(Si)、およびゲルマニウム(Ge)から選ばれる少なくとも1つの元素Xとを含むものである。
ここで、被覆層とは、複合酸化物粒子と異なる組成元素または組成比を有し、複合酸化物粒子表面の少なくとも一部を被覆する層である。この被覆層は、マグネシウム(Mg)および/または元素Xが複合酸化物粒子表面に分布することにより形成される層で、被覆層におけるマグネシウム(Mg)および元素Xの組成比が、複合酸化物粒子におけるマグネシウム(Mg)および元素Xの組成比よりも高い領域である。
この発明の第1の実施の形態による被覆層は、従来のように被覆層に含まれる複数の元素の分布態様が同じである単純な構成の被覆層とは異なり、被覆層に含まれるマグネシウム(Mg)と元素Xとが被覆層において異なる分布を呈するものである。具体的には、マグネシウム(Mg)と元素Xとは分布の均一性に差異を有し、マグネシウム(Mg)は元素Xに比して複合酸化物粒子表面により均一に分布することが好ましい。また、元素Xよりマグネシウム(Mg)が複合酸化物粒子表面により多く分布していることが好ましい。
なお、このようなマグネシウム(Mg)および元素Xの分布形態は、例えばエネルギー分散型X線分析装置(EDX:Energy Dispersive X-ray)を備えた走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron microscope)(以下、SEM/EDXと称する)により、被覆層を有する複合酸化物粒子を観察することにより確認することができる。また、TOF−SIMS(Time of Flight secondary Ion Mass Spectrometry:飛行時間型2次イオン質量分析法)により複合酸化物粒子の表面や断面の分析を行い、マグネシウム(Mg)やXを含むイオンを測定することでも確認することができる。
マグネシウム(Mg)は、複合酸化物粒子表面にほぼ均一に分布して被覆層を形成することが好ましい。マグネシウム(Mg)を含む被覆層が複合酸化物粒子の表面を被覆することにより、複合酸化物粒子に含まれる主要遷移金属元素の溶出を抑制したり、電解液との反応を抑制したりでき、電池特性の劣化を抑制することができるからである。また、マグネシウム(Mg)は、酸化マグネシウム(MgO)に近い原子配列構造の状態で被覆層に存在することが好ましい。被覆層の結晶構造が安定し、より高い電池特性が得られるためである。
また、被覆層には、ニッケル(Ni)を含有しない方が好ましい。ニッケル(Ni)を含有した場合には、ガス発生が増加し、マグネシウム(Mg)によるガス発生抑制効果が十分発揮できなくなるからである。なお、この場合、X線吸収微細構造(XAFS)スペクトルを測定した際に8300〜8350eVの間にX線の吸収端が存在しない。
一方、元素Xは、複合酸化物粒子表面に点在するように分布して被覆層を形成することが好ましい。元素Xを含む被覆層によるリチウムの吸蔵放出の阻害を抑制することができるからである。なお、元素Xは、例えば複合酸化物粒子表面に偏在してもいいし、表面全体に複数点で点在してもよい。また、元素Xは、マグネシウム(Mg)を含む被覆層の上に点在して分布してもよい。
元素Xは、例えばLi3PO4で代表されるようなM’abcで表される化合物の状態で表面に点在することが好ましい。これは、被覆材として用いたXが、複合酸化物粒子表面でM’abcとして存在することで、複合酸化物粒子に存在する余剰な元素M’を安定化し、電池特性の向上を図ることができるからである。例えば、水酸化リチウム(LiOH)や炭酸リチウム(Li2CO3)といった余剰なリチウム(Li)化合物は、ガス発生を引き起こして電池特性を悪化させる原因となるため、Li3PO4として安定化させることで電池特性の向上を図ることができると考えられる。Li3PO4で表されるような化合物はリチウムイオン伝導性が低く、複合酸化物粒子表面を完全に被覆してしまうとリチウムの吸蔵および放出の妨げとなるが、上述のように複合酸化物粒子表面に点在するような状態で存在することにより、高容量化とガス発生の抑制とを両立することができる。なお、M’abcで表される化合物は結晶性であることが好ましい。M’abcを結晶化することで粒子表面への点在が促進されるからである。
また、元素M’は、マグネシウム(Mg)とは異なる元素であることが好ましい。マグネシウム(Mg)は酸化物粒子表面になるべく均一に分布した方が好ましい元素であるため、元素Xとともに点在してしまうと電池特性を向上させる効果が小さくなってしまうからである。
なお、元素Xは、フッ素(F)、リン(P)、硫黄(S)、ケイ素(Si)、およびゲルマニウム(Ge)から選ばれる少なくとも1つの元素であるが、これらの元素は複合酸化物粒子に固溶しにくく表面に点在可能で、かつリチウムと安定な化合物を形成することでガス発生を抑制可能な元素である。リン(P)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)は、リチウムと結合しやすくリチウムイオンの拡散性を良好に確保することができ、良好な容量を確保することができる。また、リン(P)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)は、マグネシウム(Mg)と化合物を作りにくく、元素Mの機能を確保できる。
複合酸化物粒子の全量に対して含まれるマグネシウム(Mg)および元素Xの割合は、0<(Mg+X)/(Co+Mg+X)<0.25となるように存在することが好ましい。元素Mおよび元素Xが存在しないとサイクル維持率向上やガス発生抑制効果が得られないが、元素Mおよび元素Xの割合が0.25以上となると活物質の容量低下が大きく損なわれてしまうからである。また、複合酸化物粒子の全量に対して含まれるマグネシウム(Mg)および元素Xの割合は、0.005<(Mg+X)/(Co+Mg+X)<0.05となるように存在することがより好ましい。元素Mおよび元素Xが0.005以上の場合に、サイクル維持率向上やガス発生抑制効果が高いためである。また、元素Mおよび元素Xの割合が0.05以下で特に容量低下の抑制効果が高いためである。
上述のように構成された正極活物質表面の元素組成は、Co/(Mg+X+Co)<0.7の元素比率となるように存在することが好ましい。Coの存在割合が0.7以上になると、マグネシウム(Mg)を含む被覆層によるサイクル特性の向上効果が小さくなってしまうからである。
ここで、正極活物質表面のCo、元素Xおよびマグネシウム(Mg)の元素比率は、走査型X線光電子分光装置(ESCA:アルバック・ファイ社製、QuanteraSXM)を用いて測定することができる。具体的には、測定する粒子試料を金属インジウム片に埋め込み、その試料片を板バネで試料台に固定して測定を行う。X線源は単色化Al−Kα線(1486.6eV)を用い、アルゴンイオン銃および電子中和銃を用いて測定試料表面を自動モードで帯電補正しながら測定することができる。
正極活物質の平均粒子径は、2.0μm以上50μm以下の範囲内であることが好ましい。2.0μm未満では、正極を作製する際にプレス工程において正極活物質が正極集電体から剥離しやすくなり、また、正極活物質の表面積が大きくなるので、導電剤あるいは結着剤などの添加量を増加させなければならず、単位質量当たりのエネルギー密度が小さくなってしまうからである。逆に、50μmを超えると、正極活物質がセパレータを貫通し、短絡を引き起こしてしまう可能性が高くなるからである。
第1の実施の形態による正極活物質を用いることにより、二次電池の高容量化と充放電サイクル特性の向上を実現すると共に、電池内部におけるガス発生を抑制することができる。このような効果について、その改善挙動は明らかではないが、次のような機構によるものと推測される。
正極活物質として、上述のような被覆層を有する複合酸化物粒子を用い、適切に正極および負極比を設計した状態で、上限充電電圧が4.20V、好ましくは4.30V以上、より好ましくは4.40V以上になるように充電を行うことで、二次電池のエネルギー密度を向上させることが可能である。しかしながら、4.20V以上に充電した電池では、正極活物質は高い起電力を発生するため、正極活物質と接触する電解質が強い酸化環境に置かれる。これにより、リチウム(Li)をより多く引き抜かれることによって不安定になった正極活物質から金属成分が溶出して正極活物質が劣化したり、正極活物質から溶出した金属成分が負極側に還元析出することにより負極表面が覆われ、リチウムの吸蔵放出が妨げられたりすると考えられる。
また、正極活物質と電解液との界面での反応性が上がるため、界面での電解液の酸化分解が生じて電解質の劣化が加速したりすると考えられる。また、正極上で電解質が酸化分解してガスが発生したり、正極上に皮膜が生成することにより、電池が膨れたり、インピーダンスが上昇することが考えられる。
この発明では、充電時に正極活物質や電解液の劣化を抑制できると推測され、充放電サイクル特性の劣化や電池内部におけるガス発生を抑制できる。
これに対し、この発明の第1の実施の形態による正極活物質では、複合酸化物粒子表面にマグネシウム(Mg)を含む被覆層が設けられるため、複合酸化物粒子に含まれる主要遷移金属元素の溶出を抑制し、サイクル特性の劣化を抑制していると考えられる。また、被覆層には元素Xが含まれることから、元素Xが複合酸化物粒子表面の不純分(例えばLiOHやLi2CO3といった余剰なリチウム(Li)化合物)と反応して正極活物質を安定化させることなどによってガス発生を抑制すると共に、被覆層における元素Xの分布が元素Mに比べて小さく、リチウムの吸蔵放出の妨げにならないため、高容量化とサイクル特性の向上の両立に寄与していると考えられる。
(1−2)第1の実施の形態
図1は、この発明の第1の実施の形態による電池の断面構造を表すものである。この電池は、例えば、非水電解質二次電池であり、電極反応物質としてリチウム(Li)を用い、負極の容量が、リチウム(Li)の吸蔵および放出による容量成分により表されるいわゆるリチウムイオン二次電池である。
この電池は、いわゆる円筒型といわれるものであり、ほぼ中空円柱状の電池缶11の内部に、一対の帯状の正極21と帯状の負極22とがセパレータ23を介して巻回された巻回電極体20を有している。電池缶11は、例えばニッケル(Ni)のめっきがされた鉄(Fe)により構成されており、一端部が閉鎖され他端部が開放されている。電池缶11の内部には、巻回電極体20を挟むように巻回周面に対して垂直に一対の絶縁板12、13がそれぞれ配置されている。
電池缶11の開放端部には、電池蓋14と、この電池蓋14の内側に設けられた安全弁機構15および熱感抵抗素子(Positive Temperature Coefficient;PTC素子)16とが、ガスケット17を介してかしめられることにより取り付けられており、電池缶11の内部は密閉されている。
電池蓋14は、例えば、電池缶11と同様の材料により構成されている。安全弁機構15は、熱感抵抗素子16を介して電池蓋14と電気的に接続されており、内部短絡あるいは外部からの加熱などにより電池の内圧が一定以上となった場合にディスク板15Aが反転して電池蓋14と巻回電極体20との電気的接続を切断するようになっている。熱感抵抗素子16は、温度が上昇すると抵抗値の増大により電流を制限し、大電流による異常な発熱を防止するものである。ガスケット17は、例えば、絶縁材料により構成されており、表面にはアスファルトが塗布されている。
巻回電極体20の中心には、例えばセンターピン24が挿入されている。巻回電極体20の正極21には、アルミニウム(Al)などよりなる正極リード25が接続されており、負極22にはニッケル(Ni)などよりなる負極リード26が接続されている。正極リード25は安全弁機構15に溶接されることにより電池蓋14と電気的に接続されており、負極リード26は電池缶11に溶接され電気的に接続されている。
[正極]
図2は、図1に示した巻回電極体20の一部を拡大して表す断面図である。正極21は、例えば、対向する一対の面を有する正極集電体21Aの両面に正極活物質層21Bが設けられた構造を有している。なお、図示はしないが、正極集電体21Aの片面のみに正極活物質層21Bが存在する領域を設けるようにしてもよい。正極集電体21Aは、例えば、アルミニウム箔などの金属箔により構成されている。正極活物質層21Bは、例えば、上述の第1の実施の形態による正極活物質を含んでおり、必要に応じてカーボンブラックやグラファイトなどの導電剤およびポリフッ化ビニリデンなどの結着剤を含んで構成されている。
[負極]
図2に示すように、負極22は、例えば、対向する一対の面を有する負極集電体22Aと、負極集電体22Aの両面あるいは片面に設けられた負極活物質層22Bとを有している。なお、負極集電体22Aの片面のみに負極活物質層22Bが設けられた領域を有するようにしてもよい。負極集電体22Aは、例えば銅(Cu)箔などの金属箔により構成されている。
負極活物質層22Bは、例えば、負極活物質を含んでおり、必要に応じて導電剤、結着剤あるいは粘度調整剤などの充電に寄与しない他の材料を含んでいてもよい。導電剤としては、黒鉛繊維、金属繊維あるいは金属粉末などが挙げられる。結着剤としては、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素系高分子化合物、またはスチレンブタジエンゴムあるいはエチレンプロピレンジエンゴムなどの合成ゴムなどが挙げられる。粘度調整剤としては、カルボキシメチルセルロースなどが挙げられる。
負極活物質としては、対リチウム金属2.0V以下の電位で電気化学的にリチウム(Li)を吸蔵および放出することが可能な負極材料のいずれか1種または2種以上を含んで構成されている。
リチウム(Li)を吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、例えば、炭素材料、金属化合物、酸化物、硫化物、LiN3などのリチウム窒化物、リチウム金属、リチウムと合金を形成する金属、あるいは高分子材料などが挙げられる。
炭素材料としては、例えば、難黒鉛化性炭素、易黒鉛化性炭素、黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼成体、炭素繊維あるいは活性炭が挙げられる。このうち、コークス類には、ピッチコークス、ニードルコークスあるいは石油コークスなどがある。有機高分子化合物焼成体というのは、フェノール樹脂やフラン樹脂などの高分子材料を適当な温度で焼成して炭素化したものをいい、一部には難黒鉛化性炭素または易黒鉛化性炭素に分類されるものもある。また、高分子材料としてはポリアセチレンあるいはポリピロールなどが挙げられる。
このようなリチウム(Li)を吸蔵および離脱可能な負極材料のなかでも、充放電電位が比較的リチウム金属に近いものが好ましい。負極22の充放電電位が低いほど電池の高エネルギー密度化が容易となるからである。なかでも炭素材料は、充放電時に生じる結晶構造の変化が非常に少なく、高い充放電容量を得ることができると共に、良好なサイクル特性を得ることができるので好ましい。特に黒鉛は、電気化学当量が大きく、高いエネルギー密度を得ることができるので好ましい。また、難黒鉛化性炭素は、優れたサイクル特性を得ることができるので好ましい。
リチウム(Li)を吸蔵および離脱可能な負極材料としては、また、リチウム金属単体、リチウム(Li)と合金を形成可能な金属元素あるいは半金属元素の単体、合金または化合物が挙げられる。これらは高いエネルギー密度を得ることができるので好ましく、特に、炭素材料と共に用いるようにすれば、高エネルギー密度を得ることができると共に、優れたサイクル特性を得ることができるのでより好ましい。なお、本明細書において、合金には2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とからなるものも含める。その組織には固溶体、共晶(共融混合物)、金属間化合物あるいはそれらのうち2種以上が共存するものがある。
このような金属元素あるいは半金属元素としては、例えば、スズ(Sn)、鉛(Pb)、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、ケイ素(Si)、亜鉛(Zn)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、カドミウム(Cd)、マグネシウム(Mg)、ホウ素(B)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ素(As)、銀(Ag)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)またはハフニウム(Hf)が挙げられる。これらの合金あるいは化合物としては、例えば、化学式MasMbtLiu、あるいは化学式MapMcqMdrで表されるものが挙げられる。これら化学式において、Maはリチウムと合金を形成可能な金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を表し、MbはリチウムおよびMa以外の金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を表し、Mcは非金属元素の少なくとも1種を表し、MdはMa以外の金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を表す。また、s、t、u、p、qおよびrの値はそれぞれs>0、t≧0、u≧0、p>0、q>0、r≧0である。
なかでも、短周期型周期表における4B族の金属元素あるいは半金属元素の単体、合金または化合物が好ましく、特に好ましいのはケイ素(Si)あるいはスズ(Sn)、またはこれらの合金あるいは化合物である。これらは結晶質のものでもアモルファスのものでもよい。
リチウムを吸蔵・放出可能な負極材料としては、さらに、酸化物、硫化物、あるいはLiN3などのリチウム窒化物などの他の金属化合物が挙げられる。酸化物としては、MnO2、V25、V613、NiS、MoSなどが挙げられる。その他、比較的電位が卑でリチウムを吸蔵および放出することが可能な酸化物として、例えば酸化鉄、酸化ルテニウム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化チタン、酸化スズなどが挙げられる。硫化物としてはNiS、MoSなどが挙げられる。
[電解液]
電解液としては、非水溶媒に電解質塩を溶解させた非水電解液を用いることができる。非水溶媒としては、各種の高誘電率溶媒や低粘度溶媒を挙げることができ、従来の非水電解質二次電池に使用されてきたものを利用することが可能である。
高誘電率溶媒としては、例えば、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートなどを好適に用いることができるが、これに限定されるものではなく、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(フルオロエチレンカーボネート)、4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(クロロエチレンカーボネート)、及びトリフルオロメチルエチレンカーボネートなどの環状カーボネートを用いることができる。
また、高誘電率溶媒として、環状カーボネートの代わりに又はこれと併用して、γ−ブチロラクトン及びγ−バレロラクトンなどのラクトン、N−メチルピロリドンなどのラクタム、N−メチルオキサゾリジノンなどの環状カルバミン酸エステル、テトラメチレンスルホンなどのスルホン化合物なども使用可能である。
一方、低粘度溶媒としては、ジエチルカーボネートを好適に使用することができるが、これ以外にも、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート及びメチルプロピルカーボネートなどの鎖状カーボネート、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、イソ酪酸メチル、トリメチル酢酸メチル及びトリメチル酢酸エチルなどの鎖状カルボン酸エステル、N,N−ジメチルアセトアミドなどの鎖状アミド、N,N−ジエチルカルバミン酸メチル及びN,N−ジエチルカルバミン酸エチルなどの鎖状カルバミン酸エステル、並びに1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン及び1,3−ジオキソランなどのエーテルを用いることができる。
なお、溶媒として、上述の高誘電率溶媒及び低粘度溶媒は、その1種を単独で又は2種以上を任意に混合して用いることができるが、20〜50%の環状カーボネートと50〜80%の低粘度溶媒(低粘度非水溶媒)を含むものが好ましく、特に低粘度溶媒として沸点が130℃以下の鎖状カーボネートであるものが望ましい。環状カーボネートと低粘度溶媒との比率が上述の範囲を逸脱すると、例えば低粘度溶媒が多すぎる場合には誘電率が低くなり,逆に低粘度溶媒が少なすぎる場合には粘度が低くなってしまうため、いずれのの場合にも十分な伝導度が得られず,良好な電池特性が得られなくなるおそれがある。
電解質塩としては、上述の非水溶媒に溶解ないしは分散してイオンを生ずるものとして、例えばリチウム塩が挙げられる。
リチウム塩としては、例えば六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、六フッ化ヒ酸リチウム(LiAsF6)、六フッ化アンチモン酸リチウム(LiSbF6)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、四塩化アルミニウム酸リチウム(LiAlCl4)などの無機リチウム塩や、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド(LiN(CF3SO22)、リチウムビス(ペンタフルオロメタンスルホン)メチド(LiN(C25SO22)、及びリチウムトリス(トリフルオロメタンスルホン)メチド(LiC(CF3SO23)などのパーフルオロアルカンスルホン酸誘導体などが挙げられ、これらを1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することも可能である。中でも、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)は、高いイオン伝導性を得ることができると共に、サイクル特性を向上させることができるので好ましい。
なお、このような電解質塩の含有量は、溶媒1リットル(l)に対して0.1mol〜3.0molの範囲内が好ましく、0.5mol〜2.0molの範囲内であればより好ましい。この範囲内においてより高いイオン伝導性を得ることができるからである。
[セパレータ]
セパレータ23は、正極21と負極22とを隔離し、両極の接触による電流の短絡を防
止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。
セパレータ23としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリプロピレン(PP)、あるいはポリエチレン(PE)などの1種、もしくは2種以上を混合した合成樹脂製の微多孔膜、またはセラミック製の微多孔膜により構成されるような従来の電池に使用されてきたものや、上述のような微多孔膜上にポリフッ化ビニリデン(PVdF)やポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などを塗布し、表面に多孔性の樹脂層を形成した構造のものを用いることができる。なかでも、表面に多孔性の樹脂層を形成した構造のセパレータ23は、高充電圧下においても優れたサイクル特性を得ることができるので好ましい。
以下、図3を参照して、微多孔膜上に多孔性の樹脂層が形成されたセパレータ23の構造の一例および他の例について説明する。図3は、このようなセパレータ23の構造の一例を示す拡大断面図である。図3に示すように、セパレータ23は、基材層23Bの一主面上に樹脂層23Aが設けられた構造を有する。基材層23Bの材料としては、従来の電池に使用されてきたもの、例えば上述したような微多孔膜を利用することが可能であり、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、それらの共重合体、あるいはこれらを組み合わせたポレオレフィンから選ばれる少なくとも1種を含む微多孔膜を利用することができる。そのなかでも、ショート防止効果に優れ、且つシャットダウン効果による電池の安全性向上が可能なポリオレフィン製の微多孔膜を使用することが特に好ましい。具体的には、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン樹脂からなる微多孔膜が好ましい。
なお、図3中に示す基材層23Bは、単層の構造を有するが、基材層23Bを多層構造としてもよい。多層構造の基材層として、より具体的には、例えば、ポリプロピレン(PP)層と、ポリエチレン(PE)層と、ポリプロピレン(PP)層とを順次に積層した3層構造を有する微多孔膜などを用いることができる。基材層23Bとして、ポリエチレンとポリプロピレンとの混合体からなる微多孔膜や、ポリプロピレン(PP)層と、ポリエチレン(PE)層と、PP層とを順次に積層した3層構造を有する微多孔膜を用いることで、後述するセパレータ23として適切な透気度と強度とを両立させることが容易となるため好ましい。
樹脂層23Aは、多孔性に富むマトリックス樹脂層である。マトリックス樹脂層を有することで、電極とセパレータ23の基材層23Bが直接接触することを防ぐため、酸化還元反応による基材層23Bの炭化や目詰まりといった劣化を抑制することができ、これにより電池特性の劣化を抑制することができる。
マトリックス樹脂としては、具体的には、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などを用いることができ、また、これらの共重合体を用いることも可能である。
樹脂層23Aはマトリックス樹脂層に無機物が担持された物を用いてもよい。マトリックス樹脂に無機物が担持された樹脂層4aを有することで、さらに耐酸化性を向上させることができ、セパレータ4の劣化を抑制できる。
無機物としては、金属、半導体、またはこれらの酸化物、窒化物を挙げることができる。具体的に金属としては、例えば、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)など、半導体としては、例えば、ケイ素(Si)、ホウ素(B)などを挙げることができる。また、酸化物もしくは窒化物としては、アルミナ(Al23)、窒化ホウ素(BN)、窒化アルミニウム(AlN)、二酸化チタン(TiO2)、二酸化ケイ素(SiO2)などを挙げることができる。
無機物の粒径としては、1nm以上10μm以下の範囲内が好ましい。1nmより小さいと、入手が困難であり、また入手できたとしてもコスト的に見合わない。10μmより大きいと電極間距離が大きくなり、限られたスペースで活物質充填量が十分得られず電池容量が低くなるからである。
樹脂層23Aの形成方法としては、例えば、マトリックス樹脂、溶媒および無機物からなるスラリーを基材層23B上に塗布し、マトリックス樹脂の貧溶媒且つ上記溶媒の親溶媒浴中を通過させて相分離させ、その後、乾燥させることで形成できる。
このようなセパレータ23の突き刺し強度としては、100gf以上1000gf以下の範囲内であることが好ましい。突き刺し強度が低いとショートが発生することがあり、高いとイオン伝導性が低下してしまうからである。なお、突き刺し強度は、ハンディー圧縮試験機(KES−G5) カトーテック株式会社製)を用いて、先端の直径φ1.0mmのニードルを2mm/secで突き刺したときの最大荷重を測定することにより求められる。
また、セパレータ23の透気度としては、30sec/100cc以上1000sec/100cc以下の範囲内であることが好ましく、より好ましくは50sec/100cc以上600sec/100cc以下の範囲であり、さらに好ましくは100sec/100cc以上400sec/100cc以下である。透気度が低いとショートが発生することがあり、高いとイオン伝導性が低下してしまうからである。基材層23Bや樹脂層23Aの厚みを薄くすることで透気度を低下させることが可能となり、電池の容量増加にも寄与することができるが、一般にセパレータ23の突き刺し強度低下がおきやすくなる。なお、透気度は、JIS P8117に準拠して測定され、1.22kPa圧で100ccの空気が膜を透過する秒数を示す。
基材層23Bの厚みは、例えば5μm以上15μm以下の範囲内であることが好ましい。厚みが薄いとショートが発生しやすくなり、厚みが厚いとイオン伝導性が低下してしまうと共に体積容量が低下してしまうからである。
樹脂層23Aの厚みは、0.2μm以上10μm以下の範囲内が好ましい。厚みが薄いとショートが発生しやすくなり、厚みが厚いとイオン伝導性が低下してしまうと共に体積容量が低下してしまうからである。
また、樹脂層23Aの単位面積当たりの重量(以下、単位面積当たりの重量を面密と適宜称する)が、片面あたり0.05mg/cm2以上0.5mg/cm2以下、より好ましくは0.1mg/cm2以上0.3mg/cm2以下で形成されていることが好ましい。樹脂層23Aの面密が小さすぎると電極とセパレータとの間のゲル電解質層が不十分となり、セパレータの耐酸化性向上が不十分となる。また面密が大きくなると、イオン伝導性が低下してしまうからである。
セパレータ23には、液状の電解質である電解液が含浸されている。
この二次電池の上限充電電圧は、例えば4.20Vでもよいが、4.20Vよりも高く4.25V以上4.80V以下の範囲内になるように設計されていることが好ましく、4.35V以上4.65V以下の範囲内になるように設計されていることがより好ましい。また、下限放電電圧は2.00V以上3.30V以下とすることが好ましい。電池電圧を高くすることによりエネルギー密度を大きくすることができると共に、この発明の第1の実施の形態によれば、元素Mと元素Xとの分布態様が異なる被覆層が形成されているため、電池電圧を高くしても優れたサイクル特性を得られ、また、電池内部でのガス発生を抑制することができる。
(1−3)二次電池の製造方法
次に、この発明の第1の実施の形態による二次電池の製造方法の一例について説明する。
[正極活物質の製造]
正極活物質は、以下のようにして作製する。例えば、母材となる複合酸化物粒子として通常において正極活物質として入手できるリチウム含有遷移金属酸化物を出発原料として用い、この複合酸化物粒子と、これに被覆する元素M、元素Xを含む化合物とを、粉砕、混合し、複合酸化物粒子表面に元素MやXを被着させることにより作製することができる。
被着手段としては、例えばボールミル、ジェットミル、擂潰機、微粉砕機などを用いて行なう、いわゆる乾式の方法を用いることができる。この場合、水で例示できる、多少の液体分を添加して行なうことも有効である。また、メカノフュージョンなどのメカノケミカル処理や、スパッタリング法あるいは化学気相成長法(CVD:Chemical Vapor Deposition)などの気相法によって、複合酸化物粒子表面に元素Mや元素Xを被着させることもできる。
被着手段としては、さらに、原料を水中やエタノールなどの溶媒中で混合する方法、中和滴定法、金属アルコキシドを原料とするゾル−ゲル法などの湿式の方法により、元素Mおよび元素Xを被着させることもできる。
また、複合酸化物粒子表面にマグネシウム(Mg)および元素Xを被着したものを、空気あるいは純酸素などの酸化雰囲気中において、例えば300℃以上1000℃以下の温度で焼成を行っても良い。また、焼成後、必要に応じて軽い粉砕や分級操作などによって粒度調整してもよい。さらに被覆処理を2回以上行って異なる被覆層を形成してもよい。
被覆層における元素Mと元素Xの分布は、複合酸化物粒子とマグネシウム(Mg)やXの反応性、マグネシウム(Mg)やXの出発原料の状態、複合酸化物粒子表面への被着方法、被着後の熱処理条件等によって変わる。したがって、複合酸化物粒子とマグネシウム(Mg)やXの反応性、マグネシウム(Mg)やXの出発原料の状態、複合酸化物粒子表面への被着方法、被着後の熱処理条件等を変えることによって、マグネシウム(Mg)と元素Xの分布を同じにしたり、異ならせたりすることが可能である。特に、元素Xは必須であり、元素Xの種類や添加量に応じて被覆層の状態は左右される。また、複合酸化物粒子にマグネシウム(Mg)を含むものが特によく、すなわち、複合酸化物粒子に含まれる材料によっても被覆層の状態が変化する。このため、被覆層の状態は、焼成温度のみによって決定されるものではない。
[正極の製造]
正極21は、以下のようにして作製する。まず、例えば、正極活物質と、導電剤と、結着剤とを混合して正極合剤を調製し、この正極合剤をN−メチル−2−ピロリドン(NMP9などの溶剤に分散させて正極合剤スラリーとする。次いで、この正極合剤スラリーを正極集電体21Aに塗布し、溶剤を乾燥させた後、ロールプレス機などにより圧縮成型して正極活物質層21Bを形成し、正極21を得る。
[負極の製造]
負極22は、以下のようにして作製する。まず、例えば、負極活物質と、結着剤とを混合して負極合剤を調製し、この負極合剤をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)などの溶剤に分散させて負極合剤スラリーとする。次いで、この負極合剤スラリーを負極集電体22Aに塗布し溶剤を乾燥させたのち、ロールプレス機などにより圧縮成型して負極活物質層22Bを形成し、負極22を得る。
[電池の組み立て]
次に、正極集電体21Aに正極リード25を溶接などにより取り付けると共に、負極集電体22Aに負極リード26を溶接などにより取り付ける。その後、正極21と負極22とをセパレータ23を介して巻回し、正極リード25の先端部を安全弁機構15に溶接すると共に、負極リード26の先端部を電池缶11に溶接して、巻回した正極21および負極22を一対の絶縁板12,13で挟み、電池缶11の内部に収納する。正極21および負極22を電池缶11の内部に収納したのち、電解質を電池缶11の内部に注入し、セパレータ23に含浸させる。その後、電池缶11の開口端部に電池蓋14、安全弁機構15および熱感抵抗素子16を、ガスケット17を介してかしめることにより固定する。以上により、図1に示した二次電池が作製される。
この二次電池では、充電を行うと、例えば正極活物質層21Bからリチウムイオンが放出され、電解液を介して負極活物質層22Bに吸蔵される。また、放電を行うと、例えば負極活物質層22bからリチウムイオンが放出され、電解液を介して正極活物質層21Bに吸蔵される。
以上説明したように、この発明の第1の実施の形態では、複合酸化物粒子表面にマグネシウム(Mg)と元素Xとを含む被覆層が設けられ、この被覆層におけるマグネシウム(Mg)とXとが異なる分布を呈するため、二次電池の高容量化と充放電サイクル特性の向上を実現すると共に、電池内部におけるガス発生を抑制することができる。この発明の第1の実施の形態の二次電池は、軽量かつ高容量で高エネルギー密度の特性を有し、ビデオカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ、ラジオカセットレコーダ、携帯電話などの携帯用小型電子機器に広く利用可能である。
2.第2の実施形態
(2−1)二次電池の構成
図4は、第2の実施形態による二次電池の構成を表すものである。この二次電池は、いわゆるラミネートフィルム型といわれるものであり、正極リード31および負極リード32が取り付けられた巻回電極体30をフィルム状の外装部材40の内部に収容したものである。
正極リード31および負極リード32は、それぞれ、外装部材40の内部から外部に向かい例えば同一方向に導出されている。正極リード31および負極リード32は、例えば、アルミニウム、銅、ニッケルあるいはステンレスなどの金属材料によりそれぞれ構成されており、それぞれ薄板状または網目状とされている。
[外装部材]
外装部材40は、例えば、ナイロンフィルム、アルミニウム箔およびポリエチレンフィルムをこの順に貼り合わせた矩形状のアルミラミネートフィルムにより構成されている。外装部材40は、例えば、ポリエチレンフィルム側と巻回電極体30とが対向するように配設されており、各外縁部が融着あるいは接着剤により互いに密着されている。外装部材40と正極リード31および負極リード32との間には、外気の侵入を防止するための密着フィルム41が挿入されている。密着フィルム41は、正極リード31および負極リード32に対して密着性を有する材料、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエチレンあるいは変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂により構成されている。
なお、外装部材40は、上述したアルミラミネートフィルムに代えて、他の構造を有するラミネートフィルム、ポリプロピレンなどの高分子フィルムあるいは金属フィルムにより構成するようにしてもよい。
[巻回電極体]
図5は、図4に示した巻回電極体30のI−I線に沿った断面構造を表すものである。電極巻回体30は、正極33と負極34とをセパレータ35および電解質層36を介して積層し、巻回したものであり、最外周部は保護テープ37により保護されている。
正極33は、正極集電体33Aの片面あるいは両面に正極活物質層33Bが設けられた構造を有している。負極34は、負極集電体34Aの片面あるいは両面に負極活物質層34Bが設けられた構造を有しており、負極活物質層34Bと正極活物質層33Bとが対向するように配置されている。正極集電体33A、正極活物質層33B、負極集電体34A、負極活物質層34Bおよびセパレータ35の構成は、上述した第1の実施の形態における正極集電体21A、正極活物質層21B、負極集電体22A、負極活物質層22Bおよびセパレータ23と同様である。
電解質層36は、電解液と、この電解液を保持する保持体となる高分子化合物とを含み、いわゆるゲル状となっている。ゲル状の電解質は高いイオン伝導率を得ることができると共に、電池の漏液を防止することができるので好ましい。電解液(すなわち溶媒および電解質塩など)の構成は、第1の実施の形態による二次電池と同様である。
高分子材料としては、上述した電解液を吸収してゲル化することが可能な種々の高分子が利用できる。具体的には、例えば、ポリ(ビニリデンフルオロライド)やポリビニリデンフルオロライドとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体などのフッ素系高分子、ポリ(エチレンオキサイド)や同架橋体などのエーテル系高分子、あるいは、ポリ(アクリロニトリル)などを使用できる。特に酸化還元安定性から、フッ化ビニリデンの重合体などのフッ素系高分子を用いることが望ましい。
(2−2)二次電池の製造方法
次に、この発明の第2の実施形態による二次電池の製造方法の一例について説明する。
まず、正極33および負極34のそれぞれに、電解液と、高分子化合物と、混合溶剤とを含む前駆溶液を塗布し、混合溶剤を揮発させて電解質層36を形成する。そののち、正極集電体33Aの端部に正極リード31を溶接により取り付けると共に、負極集電体34Aの端部に負極リード32を溶接により取り付ける。次いで、電解質層36が形成された正極33と負極34とをセパレータ35を介して積層し積層体としたのち、この積層体をその長手方向に巻回して、最外周部に保護テープ37を接着して巻回電極体30を形成する。最後に、例えば、外装部材40の間に巻回電極体30を挟み込み、外装部材40の外縁部同士を熱融着などにより密着させて封入する。その際、正極リード31および負極リード32と外装部材40との間には密着フィルム41を挿入する。これにより、図3および図4に示した二次電池が完成する。
また、この二次電池は、次のようにして作製してもよい。まず、上述したようにして正極33および負極34を作製し、正極33および負極34に正極リード31および負極リード32を取り付けたのち、正極33と負極34とをセパレータ35を介して積層して巻回し、最外周部に保護テープ37を接着して、巻回電極体30の前駆体である巻回体を形成する。次いで、この巻回体を外装部材40に挟み、一辺を除く外周縁部を熱融着して袋状とし、外装部材40の内部に収納する。続いて、電解液と、高分子化合物の原料であるモノマーと、重合開始剤と、必要に応じて重合禁止剤などの他の材料とを含む電解質用組成物を用意し、外装部材40の内部に注入する。
電解質用組成物を注入したのち、外装部材40の開口部を真空雰囲気下で熱融着して密封する。次いで、熱を加えてモノマーを重合させて高分子化合物とすることによりゲル状の電解質層36を形成する。以上により、図4および図5に示した二次電池が得られる。
この二次電池の作用および効果は、上述した第1の実施の形態と同様である。また、第2の実施形態によれば、マグネシウム(Mg)を含む被覆層により電池内部におけるガス発生が抑制されることから、二次電池の膨張および変形を抑制することができる。
以下、この発明を、実施例および比較例を用いて説明するが、この発明は、実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
実施例1では、正極活物質の被覆層の構成を変えて電池を作製し、電池性能を評価した。
<実施例1−1>(乾式)
[正極の作製]
リン酸マグネシウム(Mg3(PO42)と、炭酸リチウム(Li2CO3)とを、Mg3(PO42:Li2CO3=2:3(Mg:Liのmol比が1:1)の比となるよう秤量、混合して被覆材としての粉末を得た。この粉末を平均粒子径13μm(レーザー散乱法により測定)のアルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)が固溶されたコバルト酸リチウム(LiCo0.98Al0.01Mg0.012)対してMg/(Co+Mn)の値が1.25mol%になるよう秤量し、メカノケミカル装置によって15分処理を行い、コバルト酸リチウム表面にMg3PO4、Li2CO3を被着させた。この焼成前駆体を毎分4℃の速度で昇温し、900℃で4時間保持した後に徐冷し、実施例1−1の正極活物質を得た。
得られた正極活物質粒子の粒子全体の組成は、(Mg+P)/(Co+Mg+P)は0.034であった。
また、得られた正極活物質粉末について、長波長のCuKαを用いた粉末X線回折(XRD:X-ray diffraction)パターンを測定したところ、層状岩塩構造を有するLiCoO2に相当する回折ピークに加えて20〜25°付近にLi3PO4の回折ピークが確認された。なお、図6に、粉末X線回折の測定結果を示した。
[正極の作製]
正極活物質95.7wt%と、アモルファス性炭素粉(ケッチェンブラック)0.8wt%と、黒鉛粉末0.5wt%と、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)3.0wt%とを混合して正極合剤を調製した。この正極合剤をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分散させて正極合剤スラリーを作製した後、この正極合剤スラリーを帯状アルミニウム箔よりなる正極集電体の両面に均一に塗布した。そして、塗布物を温風乾燥した後、ロールプレス機で圧縮成型して正極合剤層を形成し、正極とした。
[負極の作製]
黒鉛粉末97.2wt%と、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)2.8wt%とを混合して負極合剤を調製した。この負極合剤をN−メチル−2−ピロリドンに分散させて負極合剤スラリーを作製した後、負極合剤スラリーを帯状銅箔よりなる負極集電体の両面に均一に塗布した。そして、塗布物を温風乾燥した後、ロールプレス機で圧縮成型し、負極合剤層を形成し、負極とした。
[セパレータ]
セパレータにはポリエチレン(PE)とポリプロピレン(PP)との混合体である微多孔膜を用いた。
[電解液の作製]
エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)との体積混合比が1:1である混合溶媒に、1mol/dm3の濃度になるように六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を溶解して非水電解液を調製した。
[電池の作製]
作製したペレット状の正極と負極とをセパレータ介して正極活物質層と負極活物質層とが対向するようにして積層し、外装カップおよび外装缶の内部に収容させてガスケットを介してかしめた。これにより、直径20mm、高さ1.6mmのコイン電池を作製した。
[XAFS分析]
上記の正極と負極とをペレット状に打ち抜いたあと、ペレット状正極の正極活物質層と、ペレット上負極の負極活物質層とがセパレータを介して対向するように積層し、電解液を注液してコイン型電池を作製した。このコイン型電池を充電電流0.2Cで所定の充電電圧4.20Vまでの定電流定電圧充電を行い、その後、放電電流0.2C、終止電圧3.0Vでの定電流放電を行った後、さらに充電電流0.2Cで4.20Vまで定電流定電圧充電を行った。
上述のようにして作製したコイン型電池を解体して正極を取り出した。この正極をジメチルカーボネートで洗浄し、表面に付着した塩や溶媒を洗い流した。得られた正極を実施の形態で説明したXAFS測定方法のうち、転換電子強度を測定する方法により、MgK吸収端におけるX線吸収スペクトルを測定した。
測定に際し、水分による試料の変質を抑制するため解体作業は、アルゴン(Ar)などの不活性ガス雰囲気中で行うか、露点が−50℃以下のドライルーム中で行った。また、試料の測定装置への導入は、大気に触れないように、アルゴン(Ar)など不活性ガス雰囲気中で行うか、または、大気に触れさせるにしても表面の変質をできるだけ抑制するように、極く短時間(1、2分)で済ませるようにした。
得られたX線吸収スペクトルを、実施の形態で説明したように、MgK吸収端前の領域を近似した直線を差し引き、かつ、MgK吸収端後の領域のEXAFS振動中心を近似した曲線の強度が測定範囲のエネルギー領域で1になるように規格化した。
さらに、規格化されたスペクトルに対して、吸収端より高エネルギー側で生じるEXAFS(extended X-ray absorption fine structure)振動成分の振動中心を、3次スプライン(cubic spline)関数で推定し、その推定された振動中心をスペクトルから差し引いた上で、吸収端におけるスペクトルの増分(ジャンプ量)で割ることで、EXAFS振動成分χ(k)を抽出した。そして、EXAFS振動成分χ(k)に光電子の波数(k)の3乗を乗じたk3χ(k)を3〜12Å-1の光電子の波数範囲でフーリエ変換して、Mg周りの動径構造関数を得た。
実施例1−1の正極活物質のMg周りの動径構造関数を図7Bに示す。また、酸化マグネシウム(MgO)のMg周りの動径構造関数を図7Aに示す。
実施例1−1の正極活物質のMgK吸収端のXANES(X-ray Absorption Near Edge Structure)スペクトルを図8Bに示す。また、酸化マグネシウム(MgO)のMgK吸収端のXANESスペクトルを図8Aに示す。なお、MgK吸収端のXANESスペクトルにおいて、横軸は吸収原子であるMgからの距離Rを表し、縦軸は、Mg周りの動径構造関数の絶対値強度|F(r)|を表している。
このMg周りの動径構造関数の絶対値において、1.6Å付近の第1近接ピーク強度に対する2.6Å付近の第2近接ピーク強度の比を求めたところ、1.40となった。また、MgK吸収端におけるX線吸収微細構造(XAFS)スペクトルにおいて、強度0.5を与える吸収端エネルギーを求めたところ、1310eV近傍にピークが生じ、正極活物質にMgが含まれていることが明確になった。さらに、充電状態で測定された規格化されたX線吸収微細構造(XAFS)スペクトルにおける1311eVでの強度I1311eVに対する1318eVでの強度I1318eVの比(I1318eV/I1311eV)を求めたところ、1.04となった。
[電池の評価]
(a)初期容量の測定
各実施例および比較例で作製した正極と負極とを、負極、セパレータ、正極、セパレータの順に積層し、多数回巻回し、発電素子を作製した。この発電素子と上記の電解液を用いて18650サイズの円筒型電池を作製した。作製した円筒型電池について、環境温度23℃、充電電圧4.30V、充電電流1000mA、充電時間5時間の条件で定電流定電圧充電を行った後、放電電流550mA、終止電圧3.0Vで放電を行い、初期容量を測定した。
(b)充放電サイクル特性
作製した円筒型電池について、環境温度23℃、充電電圧4.20V、充電電流0.5CA、充電時間2.5時間の条件で定電流定電圧充電を行った後、放電電流0.5CA、終止電圧3.0Vで放電を行い、これと同様の条件で充放電を繰り返し、200サイクル目の放電容量を測定して、初期容量に対する容量維持率を求めた。
また、作製した円筒型電池について、環境温度45℃において充電電圧4.20V、充電電流0.5CA、充電時間2.5時間の条件で定電流定電圧充電を行った後、放電電流0.5CA、終止電圧3.0Vで放電を行い、これと同様の条件で充放電を繰り返し、200サイクル目の放電容量を測定して、初期容量に対する容量維持率を求めた。
(c)高温保存特性
初期容量を求めた円筒型電池を、充電電圧4.20V、充電電流1000mA、充電時間5時間の条件で定電流定電圧充電を行い45℃で1ヶ月保存を行った後、放電電流550mA、終止電圧3.0Vで放電を行い、高温充電保存後の放電容量を測定して、初期容量に対する容量維持率を求めた。
また、初期容量を求めた円筒型電池を、充電電圧4.20V、充電電流1000mA、充電時間5時間の条件で定電流定電圧充電を行い60℃で1ヶ月保存を行った後、放電電流550mA、終止電圧3.0Vで放電を行い、高温充電保存後の放電容量を測定して、初期容量に対する容量維持率を求めた。
(d)遮断時間の測定
初期容量を求めた円筒型電池を、充電電圧4.20V、充電電流1000mA、充電時間5時間の条件で定電流定電圧充電を行った後、90℃で保存を行い、セルが遮断するまでの時間を求めた。
<実施例1−2>(湿式)
コバルト酸リチウム(LiCo0.98Al0.01Mg0.012)とリン酸水素二アンモニウム((NH42HPO4)とを混合した水溶液に硝酸マンガン(Mg(NO32)水溶液を攪拌しながら滴下したのち、ろ過、120℃乾燥を行い、コバルト酸リチウム表面にMgとPの化合物を被着させた。MgとPとの比率は、Mg:P=3:2(mol比)とし、コバルト酸リチウム(LiCo0.98Al0.01Mg0.012)に対してMg/(Co+Mg)の値が1.25mol%とした。また、pH調整のためアンモニア水を適宜加えて処理を行った。この焼成前駆体と炭酸リチウム(Li2CO3)とを混合したものを毎分4℃の速度で昇温し、900℃で4時間保持した後に徐冷し、実施例1−2の正極活物質を得た。
得られた正極活物質粒子の粒子全体の組成は、(Mg+P)/(Co+Mg+P)は0.034であった。
また、得られた正極活物質粉末について、長波長のCuKαを用いた粉末X線回折(XRD:X-ray diffraction)パターンを測定したところ、層状岩塩構造を有するLiCoO2に相当する回折ピークに加えて20〜25°付近にLi3PO4の回折ピークが確認された。なお、図9に、粉末X線回折の測定結果を示した。
[XAFS分析]
実施例1−1と同様にして、XAFS分析を行った。実施例1−2におけるMg周りの動径構造関数を図10に示す。また、MgK吸収端のXANES(X-ray Absorption Near Edge Structure)スペクトルを図11に示す。
このMg周りの動径構造関数の絶対値において、1.6Å付近の第1近接ピーク強度に対する2.6Å付近の第2近接ピーク強度の比を求めたところ、1.48となった。また、MgK吸収端におけるX線吸収微細構造(XAFS)スペクトルにおいて、強度0.5を与える吸収端エネルギーを求めたところ、1310eV近傍にピークが生じ、正極活物質にMgが含まれていることが明確になった。さらに、充電状態で測定された規格化されたX線吸収微細構造(XAFS)スペクトルにおける1311eVでの強度I1311eVに対する1318eVでの強度I1318eVの比(I1318eV/I1311eV)を求めたところ、1.07となった。
上述のような正極活物質を用いた円筒型電池を作製し、実施例1−1と同様にして電池の評価を行った。
<比較例1−1>
コバルト酸リチウム(LiCo0.98Al0.01Mg0.012)に対して被覆処理を施さない以外は実施例1−1と同様にして比較例1−1の正極活物質を得た。
得られた正極活物質粉末について、長波長のCuKαを用いた粉末X線回折(XRD:X-ray diffraction)パターンを測定したところ、層状岩塩構造を有するLiCoO2に相当する回折ピークが確認されたが、Li3PO4の回折ピークを確認することはできなかった。なお、図12に、粉末X線回折の測定結果を示した。
[XAFS分析]
実施例1−1と同様にして、XAFS分析を行った。比較例1−1におけるMg周りの動径構造関数を図13に示す。また、MgK吸収端のXANES(X-ray Absorption Near Edge Structure)スペクトルを図14に示す。
このMg周りの動径構造関数の絶対値において、1.6Å付近の第1近接ピーク強度に対する2.6Å付近の第2近接ピーク強度の比を求めたところ、1.07となった。また、MgK吸収端におけるX線吸収微細構造(XAFS)スペクトルにおいて、強度0.5を与える吸収端エネルギーを求めたところ、1310eV近傍にピークが生じ、正極活物質にMgが含まれていることが明確になった。さらに、充電状態で測定された規格化されたX線吸収微細構造(XAFS)スペクトルにおける1311eVでの強度I1311eVに対する1318eVでの強度I1318eVの比(I1318eV/I1311eV)を求めたところ、0.75となった。
上述のような正極活物質を用いた円筒型電池を作製し、実施例1−1と同様にして電池の評価を行った。
<比較例1−2>(乾式)
炭酸リチウム(Li2CO3)と、水酸化ニッケル(Ni(OH)2)と、炭酸マンガン(MnCO3)とを、Li2CO3:Ni(OH)2:MnCO3=4:3:1(Li:Ni:Mnのmol比)となるように秤量し、混合して得た被覆材としての粉末を用いた以外は、実施例1−1と同様の処理を行って比較例1−2の正極活物質を得た。
得られた正極活物質粒子の粒子全体の組成は、(Mg+P)/(Co+Mg+P)は0.05であった。
また、得られた正極活物質粉末について、長波長のCuKαを用いた粉末X線回折(XRD:X-ray diffraction)パターンを測定したところ、層状岩塩構造を有するLiCoO2に相当する回折ピークが確認されたが、Li3PO4の回折ピークを確認することはできなかった。なお、図15に、粉末X線回折の測定結果を示した。
[XAFS分析]
比較例1−2では、表面にMgを含まないため、XAFS分析を行わなかった。
上述のような正極活物質を用いた円筒型電池を作製し、実施例1−1と同様にして電池の評価を行った。
<比較例1−3>
硝酸マグネシウム六水和物(Mg(NO32・6H2O)59.8gを純水に溶かした溶液に、中心部となるリチウム複合酸化物粒子1kgを加えて撹拌し、これにリン酸水素二アンモニウム((NH42HPO4)18.0gを純水に溶かしたものを滴下して、1時間程度撹拌したのち、この固液混合物を200℃で乾燥し800℃で5時間熱処理することで、比較例1−3の正極活物質を得た。
得られた正極活物質粒子の粒子全体の組成は、(Mg+P)/(Co+Mg+P)は0.034であった。
また、得られた正極活物質粉末について、長波長のCuKαを用いた粉末X線回折(XRD:X-ray diffraction)パターンを測定したところ、層状岩塩構造を有するLiCoO2に相当する回折ピークに加えて20〜25°付近にLi3PO4の回折ピークが確認された。なお、図16に、粉末X線回折の測定結果を示した。
[XAFS分析]
実施例1−1と同様にして、XAFS分析を行った。比較例1−3におけるMg周りの動径構造関数を図17に示す。また、MgK吸収端のXANES(X-ray Absorption Near Edge Structure)スペクトルを図18に示す。
このMg周りの動径構造関数の絶対値において、1.6Å付近の第1近接ピーク強度に対する2.6Å付近の第2近接ピーク強度の比を求めたところ、1.12となった。また、MgK吸収端におけるX線吸収微細構造(XAFS)スペクトルにおいて、強度0.5を与える吸収端エネルギーを求めたところ、1310eV近傍にピークが生じ、正極活物質にMgが含まれていることが明確になった。さらに、充電状態で測定された規格化されたX線吸収微細構造(XAFS)スペクトルにおける1311eVでの強度I1311eVに対する1318eVでの強度I1318eVの比(I1318eV/I1311eV)を求めたところ、1.02となった。
上述のような正極活物質を用いた円筒型電池を作製し、実施例1−1と同様にして電池の評価を行った。
<実施例2>
<実施例2−1>、<実施例2−2>、<比較例1−1>〜<比較例1−3>
XAFS分析時、および、電池性能の評価時の充電電圧を4.30Vとした以外は、実施例1−1、実施例1−2、比較例1−1ないし比較例1−3とそれぞれ同様にして円筒型電池を作製・評価した。
各実施例および比較例の構成を、表1および表2に示す。また、測定の結果を表3に示す。
Figure 2011138718
Figure 2011138718
Figure 2011138718
表3から分かるように、充電電圧が4.20Vの実施例1−1、実施例1−2、充電電圧が4.30Vの実施例2−1、実施例2−2では、初期容量を劣化させることなく、容量維持率を向上させることができる。
この発明の被覆層を設けた実施例1−1、実施例1−2、比較例1−3では、高い電池容量、常温時、高温時での高いサイクル特性を維持し、高温保存時の容量劣化を抑制できることが分かった。また、電池の遮断時間が長く、電池内部でのガス発生を抑制できることが分かった。これは、被覆層において、過剰なLiがLi3PO4の形で存在し、安定しているためであると考えられる。また、被覆層においてMgがMgOに近い原子配列で存在することにより、容量維持率の劣化抑制効果がより高くなると考えられる。
これに対して、被覆層を設けない比較例1−1は、電池の初期容量は変わらないものの、サイクルに伴う容量維持率の低下が顕著である。また、遮断時間が短く、ガス発生量が大きいことが分かる。Mgを含まない被覆層を設けた比較例1−2では、比較例1−1よりも電池特性が向上しているものの、各実施例と比較して遮断時間が短く、特にガス発生の抑制効果が小さいことが分かった。
充電電圧が4.35Vの実施例2−1、実施例2−2および比較例2−1ないし比較例2−3についても同様のことが言えると分かった。被覆層を設けていない比較例2−1の容量維持率の低下や遮断時間の短縮、Mgの含まれない被覆層を設けた比較例2−2の遮断時間の短縮は実施例1と同様である。また、比較例2−3のように、充電電圧が高くなった場合には、EXAFS強度比を適切に設定した場合、すなわち、被覆層に含まれるMgがMgOに近い原子配列で存在することにより、電池特性の劣化抑制効果がより高くなることが分かった。
5.他の実施の形態
この発明は、上述したこの発明の実施の形態に限定されるものでは無く、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。例えば、電池形状については特に限定されることはなく、円筒型、角型、コイン型、ボタン型、ラミネートシール型等の種々の形状にすることできる。また、例えば、電極体は、正極および負極とセパレータとを順次積層する積層方式等によって作製してもよい。
さらに、例えば、正極、負極の作製方法は、上述した例に限定されない。例えば、材料に公知の結着剤等を添加して加熱して塗布する方法、材料単独、あるいは導電性材料、さらには、結着剤と混合して成型等の処理を施して集電体上に成型体電極を作製する方法が採られるが、これに限定されるものではない。より具体的には、結着剤、有機溶剤等と混合されたスラリー状にされた後、集電体上に塗布、乾燥させて作製することができる。あるいは、結着剤有無にかかわらず、活物質に熱を加えたまま加圧成型することにより、高度を有した電極を作製することも可能である。
さらに、例えば、電池の作製方法として、正極と負極との間にセパレータを介して巻芯の周囲に巻回する作製方法、電極とセパレータを順次積層する積層方式等が取られる。角型電池を作成する際に、巻回する方式が採られる場合にも有効である。
また、第2の実施の形態では、電解質として、電解液を有する非水電解質二次電池、第3の実施の形態では、電解質として、ゲル電解質を有する非水電解質二次電池について説明したがこれらに限定されるものではない。例えば、電解質として、電解質塩を含有させた固体電解質を用いることもできる。固体電解質としては、リチウムイオン導電性を有する材料であれば無機固体電解質、高分子固体電解質いずれも用いることができる。無機固体電解質として、窒化リチウム、ヨウ化リチウム等が挙げられる。高分子固体電解質は、電解質塩とそれを溶解する高分子化合物からなり、その高分子化合物は、ポリ(エチレンオキサイド)や同架橋体等のエーテル系高分子、ポリ(メタクリレート)エステル系、アクリレート系等を単独あるいは分子中に共重合、または混合して用いることができる。
11・・・電池缶
12・・・絶縁板
14・・・電池蓋
15A・・・ディスク板
15・・・安全弁機構
16・・・熱感抵抗素子
17・・・ガスケット
20・・・巻回電極体
21・・・正極
21A・・・正極集電体
21B・・・正極活物質層
22・・・負極
22A・・・負極集電体
22B・・・負極活物質層
23・・・セパレータ
23A・・・樹脂層
23B・・・基材層
24・・・センターピン
25・・・正極リード
26・・・負極リード
30・・・巻回電極体
31・・・正極リード
32・・・負極リード
33・・・正極
33A・・・正極集電体
33B・・・正極活物質層
34・・・負極
34A・・・負極集電体
34B・・・負極活物質層
35・・・セパレータ
36・・・電解質層
37・・・保護テープ
40・・・外装部材
41・・・密着フィルム

Claims (11)

  1. リチウムと遷移金属とを構成元素として含むリチウム遷移金属複合酸化物と、
    上記リチウム遷移金属複合酸化物の表面の少なくとも一部に設けられた被覆層と
    を備え、
    上記被覆層が、
    規格化されたX線吸収微細構造(XAFS)スペクトルにおいて1302eVから1312eVの間に強度0.5を与えるX線の吸収端が存在し、
    広域X線吸収端微細構造(EXAFS)のフーリエ変換として求められるMg周りの動径構造関数の絶対値において、2.6Å付近の第二近接ピークの強度に対する1.6Å付近の第一近接ピークの強度の比が、1.3以上4.0以下であり、
    上記リチウム遷移金属複合酸化物が層状岩塩構造を有し、上記被覆層が、充電状態で測定された規格化されたX線吸収微細構造(XAFS)スペクトルにおける1311eVでの強度に対する1318eVでの強度の比が0.9以上1.6以下である
    正極活物質。
  2. 上記被覆層が、少なくともマグネシウム(Mg)と、フッ素(F)、リン(P)、硫黄(S)、ケイ素(Si)、およびゲルマニウム(Ge)から選ばれる少なくとも1つの元素Xとを含み、
    上記マグネシウム(Mg)の少なくとも一部が、層状岩塩構造を構成する
    請求項1に記載の正極活物質。
  3. 上記被覆層において、上記元素Xが上記リチウム遷移金属複合酸化物に存在する余剰な元素M’とM’abcで表される化合物を形成して該リチウム遷移金属複合酸化物表面に点在する
    請求項2に記載の正極活物質。
  4. 上記被覆層における上記マグネシウム(Mg)および上記元素Xの組成比が、複合酸化物粒子におけるマグネシウム(Mg)および元素Xの組成比よりも高い
    請求項3に記載の正極活物質。
  5. 上記被覆層において、上記マグネシウム(Mg)は上記元素Xに比して複合酸化物粒子表面により均一に分布するとともに、該元素Xより該マグネシウム(Mg)がより多く分布する
    請求項4に記載の正極活物質。
  6. 上記被覆層のX線吸収微細構造(XAFS)スペクトルを測定した際に8300eV〜8350eVの間にX線の吸収端が存在しない
    請求項5に記載の正極活物質。
  7. 上記リチウム遷移金属複合酸化物の上記遷移金属が、コバルト(Co)を主要元素とする
    請求項6に記載の正極活物質。
  8. リチウムと遷移金属とを構成元素として含むリチウム遷移金属複合酸化物と、
    上記リチウム遷移金属複合酸化物の表面の少なくとも一部に設けられた被覆層と
    を備え、
    上記被覆層が、
    規格化されたX線吸収微細構造(XAFS)スペクトルにおいて1302eVから1312eVの間に強度0.5を与えるX線の吸収端が存在し、
    広域X線吸収端微細構造(EXAFS)のフーリエ変換として求められるMg周りの動径構造関数の絶対値において、2.6Å付近の第二近接ピークの強度に対する1.6Å付近の第一近接ピークの強度の比が、1.3以上4.0以下であり、
    上記リチウム遷移金属複合酸化物が層状岩塩構造を有し、上記被覆層が、充電状態で測定された規格化されたX線吸収微細構造(XAFS)スペクトルにおける1311eVでの強度に対する1318eVでの強度の比が0.9以上1.6以下である正極活物質を含む正極。
  9. 正極と、負極と、電解質と、セパレータとを備え、
    上記正極が、
    リチウムと遷移金属とを構成元素として含むリチウム遷移金属複合酸化物と、
    上記リチウム遷移金属複合酸化物の表面の少なくとも一部に設けられた被覆層と
    を備え、
    上記被覆層が、
    規格化されたX線吸収微細構造(XAFS)スペクトルにおいて1302eVから1312eVの間に強度0.5を与えるX線の吸収端が存在し、
    広域X線吸収端微細構造(EXAFS)のフーリエ変換として求められるMg周りの動径構造関数の絶対値において、2.6Å付近の第二近接ピークの強度に対する1.6Å付近の第一近接ピークの強度の比が、1.3以上4.0以下であり、
    上記リチウム遷移金属複合酸化物が層状岩塩構造を有し、上記被覆層が、充電状態で測定された規格化されたX線吸収微細構造(XAFS)スペクトルにおける1311eVでの強度に対する1318eVでの強度の比が0.9以上1.6以下である正極活物質を含む
    非水電解質電池。
  10. 上限充電電圧が4.20V以上4.80V以下であり、下限放電電圧が2.00V以上3.30以下である
    請求項9に記載の非水電解質電池。
  11. 上限充電電圧が4.25V以上4.80V以下であり、下限放電電圧が2.00V以上3.30以下である
    請求項10に記載の非水電解質電池。
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