以下、本技術の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明する順序は、下記の通りである。
1.二次電池用電極
2.二次電池
2−1.リチウムイオン二次電池(円筒型)
2−2.リチウムイオン二次電池(ラミネートフィルム型)
2−3.リチウム金属二次電池
3.二次電池の用途
3−1.電池パック
3−2.電動車両
3−3.電力貯蔵システム
3−4.電動工具
<1.二次電池用電極>
まず、本技術の一実施形態の二次電池用電極(以下、単に「電極」ともいう。)について説明する。この電極は、二次電池において正極として用いられてもよいし、負極として用いられてもよい。
[電極の全体構成]
図1は、電極の断面構成を表している。この電極は、集電体1および活物質層2を含んでいる。ここでは、例えば、電極が正極として用いられる場合について説明する。
[集電体]
集電体1は、例えば、導電性材料のいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。導電性材料の種類は、特に限定されないが、例えば、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)およびステンレスなどの金属材料である。なお、集電体1は、単層でもよいし、多層でもよい。
[活物質層]
活物質層2は、集電体1に設けられており、表面2Xおよび底面2Yを有している。すなわち、活物質層2の底面2Yは、集電体1の表面に接している。ただし、活物質層2は、集電体1の片面だけに設けられていてもよいし、両面に設けられていてもよい。図1では、活物質層2が集電体1の両面に設けられている場合を示している。
この活物質層2は、単層である。この「単層である」とは、活物質層2が1回の成膜工程により形成されているため、後述する界面3X(図4参照)が活物質層2中に存在していないことを意味している。
活物質層2が単層であるか否かを調べるためには、例えば、各種顕微鏡などを用いて活物質層2の断面を観察したのち、その観察結果(観察像)中に界面3Xを視認できるか否かを判断すればよい。この顕微鏡としては、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)などを用いることができる。活物質層2が2回以上の成膜工程により形成されている場合には、隣り合う層間に界面3Xが視認されるため、活物質層2が多層であることを確認できる。これに対して、活物質層2が1回の成膜工程により形成されている場合には、界面3Xが視認されないため、活物質層2が単層であることを確認できる。なお、観察像中に界面3Xを視認できるか否かは、倍率などの観察条件にほとんど依存しないため、少なくとも厚さ方向における活物質層2の全体を観察できる倍率で観察できれば、その観察条件は任意でよい。上記した「厚さ方向」とは、活物質層2の厚さに対応する方向であり、図1中における上下方向である。
また、活物質層2は、電極反応物質を吸蔵放出可能である複数の活物質粒子を含んでおり、その活物質粒子は、電極材料のいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。活物質層2における活物質粒子の含有量は、特に限定されないが、例えば、40重量%〜99重量%である。この「電極反応物質」とは、電極反応に関わる物質であり、例えば、リチウム(Li)の吸蔵放出を利用して電池容量が得られる場合の電極反応物質は、リチウムである。
ただし、活物質層2は、さらに他の材料のいずれか1種類または2種類以上を含んでいてもよい。この他の材料は、例えば、結着剤および導電剤などである。
電極材料は、リチウム含有化合物であることが好ましく、リチウム遷移金属複合酸化物であることがより好ましい。高いエネルギー密度が得られるからである。この「リチウム含有化合物」とは、リチウム(Li)を構成元素として含む化合物である。また、「リチウム遷移金属複合酸化物」とは、リチウムと1または2以上の遷移金属元素とを構成元素として含む酸化物であり、層状岩塩型の結晶構造を有している。遷移金属元素の種類は、特に限定されないが、中でも、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)および鉄(Fe)などのいずれか1種類または2種類以上であることが好ましく、コバルトであることがより好ましい。より高い電圧が得られるからである。
リチウム遷移金属複合酸化物の組成は、上記した特定種類の構成元素(リチウム、遷移金属元素および酸素)を含んでいると共に層状岩塩型の結晶構造が確保されれば、特に限定されない。中でも、リチウム遷移金属複合酸化物は、下記の式(1)で表される化合物のいずれか1種類または2種類以上を含んでいることが好ましい。より高いエネルギー密度が得られるからである。
Lia Nib Mc Od ・・・(1)
(Mは、コバルト(Co)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、バナジウム(V)、チタン(Ti)、マグネシウム(Mg)およびジルコニウム(Zr)のうちの少なくとも1種である。a〜dは、0.8<a<1.2、0.45≦b≦1、0≦c≦1、0≦b+c≦1および0<d<3を満たす。)
式(1)に示した化合物は、ニッケル系のリチウム遷移金属複合酸化物である。この化合物は、aの取り得る値の範囲から明らかなように、いわゆるリチウムリッチ(a>1)でもよい。また、上記した化合物は、bおよびcのそれぞれの取り得る値の範囲から明らかなように、遷移金属元素としてニッケル(Ni)を必ず含んでいるが、ニッケル以外の遷移金属元素(M)を含んでいてもいなくてもよい。なお、Mの種類は、上記したコバルトなどのうちのいずれか1種類または2種類以上であれば、特に限定されない。
ニッケル系のリチウム遷移金属複合酸化物の具体例は、LiNiO2 およびLiNi0.5 Co0.2 Mn0.3 O2 などであり、式(1)に示した組成を有する他の化合物でもよい。
なお、活物質粒子は、電極材料として上記したリチウム含有化合物を含んでいれば、さらに他の電極材料のいずれか1種類または2種類以上を含んでいてもよい。他の電極材料は、例えば、他のリチウム含有化合物(上記したリチウム含有化合物に該当するものを除く。)であることが好ましい。高いエネルギー密度が得られるからである。
具体的には、他の電極材料は、例えば、スピネル型の結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物や、オリビン型の結晶構造を有するリチウム遷移金属リン酸化合物などである。スピネル型の結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物の具体例は、LiMn2 O4 などであり、これ以外の化合物でもよい。「リチウム遷移金属リン酸化合物」とは、リチウムと1または2以上の遷移金属元素とを構成元素として含むリン酸化合物である。リチウム遷移金属リン酸化合物の具体例は、LiFePO4 、LiMnPO4 およびLiFe0.5 Mn0.5 PO4 などであり、これら以外の化合物でもよい。
この他、他の電極材料は、例えば、酸化物、二硫化物、カルコゲン化物および導電性高分子などのいずれか1種類または2種類以上でもよい。酸化物は、例えば、酸化チタン、酸化バナジウムおよび二酸化マンガンなどである。二硫化物は、例えば、二硫化チタンおよび硫化モリブデンなどである。カルコゲン化物は、例えば、セレン化ニオブなどである。導電性高分子は、例えば、硫黄、ポリアニリンおよびポリチオフェンなどである。もちろん、他の電極材料は、上記以外の材料でもよい。
結着剤は、例えば、合成ゴムおよび高分子材料などのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。合成ゴムは、例えば、スチレンブタジエン系ゴム、フッ素系ゴムおよびエチレンプロピレンジエンなどである。高分子材料は、例えば、ポリフッ化ビニリデンおよびポリイミドなどである。活物質層2における結着剤の含有量は、特に限定されないが、例えば、0.1重量%〜30重量%である。
導電剤は、例えば、炭素材料などのいずれか1種類または2種類以上である。この炭素材料は、例えば、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラックおよびケチェンブラックなどである。なお、正極導電剤は、導電性を有する材料であれば、金属材料および導電性高分子などの他の材料でもよい。活物質層2における導電剤の含有量は、特に限定されないが、例えば、0.1重量%〜30重量%である。
中でも、活物質層2は、結着剤を含んでいることが好ましい。活物質層2中に複数の活物質粒子が定着しやすくなり、言い替えれば、その活物質層2中において各活物質粒子の位置が固定されやすいからである。これにより、後述する活物質粒子の平均粒径の分布などが維持または制御されやすくなる。
なお、活物質層2に関する厚さ(μm)および体積密度(g/cm3 )などの条件は、特に限定されない。
[活物質層における活物質粒子の平均粒径の分布]
図2および図3は、活物質層2における活物質粒子の平均粒径の分布を説明するためのものであり、いずれも図1に対応する電極の断面構成を示している。また、図4は、比較例の電極の断面構成を表している。この比較例の電極は、単層の活物質層2に代えて、多層の活物質層3を含んでいることを除き、本一実施形態の電極(図1)と同様の構成を有している。
本一実施形態の電極では、活物質層2における活物質粒子の平均粒径の分布が下記の条件を満たしている。
活物質層2は、複数の活物質粒子を含んでいるため、その複数の活物質粒子は、単層の活物質層2中に分散している。ただし、活物質層2における活物質粒子の平均粒径の分布は、厚さ方向において勾配を有している。より具体的には、活物質粒子の平均粒径(μm)は、集電体1に近い側よりも遠い側において小さい。この「平均粒径」とは、いわゆるメジアン径(D50)であり、以降においても同様である。
活物質粒子の平均粒径の分布が上記した勾配を有していることを確認するためには、例えば、厚さ方向において活物質層2を2以上に分割して、その活物質層2中の異なる位置ごとに活物質粒子の平均粒径を測定したのち、その測定結果を比較すればよい。
具体的には、例えば、厚さ方向において活物質層2を二分割する場合には、最初に、カプトンテープなどを用いて活物質層2の一部(上層)を剥離させたのち、その上層に含まれている複数の活物質粒子を取り出して平均粒径を測定する。続いて、活物質層2の残り(下層)を集電体1から剥離させたのち、その下層に含まれている複数の活物質粒子を取り出して平均粒径を測定する。最後に、上層の平均粒径と下層の平均粒径とを比較する。上層の平均粒径が下層の平均粒径よりも小さくなっていれば、活物質粒子の平均粒径の分布が勾配を有していることになる。
なお、下層および上層のそれぞれの厚さは、特に限定されない。活物質粒子の平均粒径の分布が勾配を有していれば、下層および上層のそれぞれの厚さに依存せずに、上層の平均粒径は下層の平均粒径よりも小さくなるはずだからである。また、活物質層2から上層を剥がす場合には、カプトンテープを用いて上層を剥離除去する代わりに、例えば、N−メチル−2−ピロリドンなどの有機溶剤が含浸されたコットンなどを用いて上層を溶解除去してもよい。
ここで、上層から複数の活物質粒子を取り出す手順は、例えば、以下の通りである。最初に、時計皿に上層を採取したのち、その上層を有機溶剤に溶解させてスラリーとする。有機溶剤の種類は、特に限定されないが、例えば、N−メチル−2−ピロリドンなどのいずれか1種類または2種類以上である。続いて、乾燥機などを用いてスラリーを加熱する。これにより、スラリー中の有機溶剤が揮発するため、固形分が残存する。加熱条件は、特に限定されないが、例えば、90℃×5時間である。続いて、焼成炉を用いて空気中または酸素中において固形分を焼成して、その固形分に含まれている結着剤および導電剤などを焼き飛ばす。焼成条件は、特に限定されないが、例えば、700℃×10分間である。続いて、焼成後の残存物を乳鉢に採取したのち、その残存物を解砕して複数の活物質粒子を得る。
もちろん、下層から複数の活物質粒子を取り出す手順は、上層から複数の活物質粒子を取り出す手順と同様である。
なお、活物質層2の分割数は、二分割に限らず、三分割以上でもよい。三分割以上の場合においても、集電体1から最も遠い側の層(最上層)における活物質粒子の平均粒径と、集電体1に最も近い側の層(最下層)における活物質粒子の平均粒径とを比較すればよい。前者の平均粒径が後者の平均粒径よりも小さくなっていれば、活物質粒子の平均粒径の分布が勾配を有していることになる。
上記したように活物質粒子の平均粒径が勾配を有していることに伴い、その活物質粒子の平均粒径は、厚さ方向の位置に応じて異なる。
詳細には、図2に示したように、活物質層2を厚さ方向において分割(ここでは二分割)してみる。これにより、活物質層2は、集電体1に近い側から順に、下層201(第1層)および上層202(第2層)を含むことになる。この「分割した」とは、上記したように活物質層2が単層であることに伴い、あくまで概念上において活物質層2を分割したことを意味している。このため、下層201および上層202とは、物理的に分離された2つの層(後述する界面3Xを生じさせる現実の層)でなく、単一の層が概念的に区分けされた2つの層(界面3Xを生じさせない仮定の層)である。ただし、当然ながら、下層201および上層202のそれぞれにおける活物質粒子の平均粒径を調べる場合には、単層の活物質層2を2つの層(下層201および上層202)に分離する必要がある。この場合には、物理的に分離された2つの層(下層201および上層202)のそれぞれについて、活物質粒子の平均粒径を調べることになる。
このように概念上の2つの層(下層201および上層202)を含む活物質層2では、その活物質層2が単層であるにもかかわらず、上層202における活物質粒子の平均粒径D2は、下層201における活物質粒子の平均粒径D1よりも小さい。
単層の活物質層2において、活物質粒子の平均粒径の分布が上記した条件を満たしている理由は、以下の通りである。
活物質粒子の平均粒径Dが一律に大きい場合(例えば、D=D1)には、電解液に対する反応面積が小さいため、サイクル中(充放電を繰り返した時)において電池容量の劣化が抑制される。その反面、電極反応物質の拡散速度が遅くなるため、サイクル中において電気抵抗の上昇が促進される。一方、活物質粒子の平均粒径Dが一律に小さい場合(例えば、D=D2)には、電極反応物質の拡散速度が速くなると共に、対極との間において電極反応物質が円滑に受け渡しされるため、サイクル中において電気抵抗の上昇が抑制される。その反面、電解液に対する反応面積が大きいため、サイクル中において電池容量の劣化が促進される。これらのことから、単層の活物質層2において、活物質粒子の平均粒径を変化させることで電池容量および電気抵抗を調整しようとすると、一方が改善されると他方が悪化するというトレードオフの関係が生じてしまう。
ここで、上記したトレードオフの関係を打破するために、図4に示した比較例の電極を用いることが考えられる。活物質層3を形成する場合には、活物質粒子の平均粒径Dが相対的に大きい下層301(D=D1)を形成したのち、その下層301の上に、活物質粒子の平均粒径Dが相対的に小さい上層302(D=D2)を別途形成する。これにより、下層301ではサイクル中において高い電池容量が維持されると共に、上層302ではサイクル中において電気抵抗の上昇が抑制されるため、トレードオフの関係が打破するようにも思われる。しかしながら、多層の活物質層3では、下層301と上層302との間に界面3Xが生じるため、いわゆる界面抵抗(層間抵抗または接触抵抗ともいう。)に起因して電気抵抗が増加する。これにより、電極全体では電気抵抗が十分に低下しないため、結局のところ、トレードオフの関係が依然として残る。
これに対して、図2に示した本一実施形態の電極では、活物質層2のうち、集電体1に近い側に位置すると共に活物質粒子の平均粒径Dが相対的に大きい部分(下層201)において、サイクル中において高い電池容量が維持される。また、活物質層2のうち、集電体1から遠い側に位置すると共に活物質粒子の平均粒径Dが相対的に小さい部分(上層202)において、活物質粒子の表面に拡散速度の速い電極反応物質が存在することになる。これにより、対極との間において電極反応物質が円滑に受け渡しされるため、電気抵抗の上昇が抑制される。しかも、単層の活物質層2では、上記した界面3Xが生じない。これにより、界面抵抗に起因する電気抵抗の増加が生じないため、電極全体の電気抵抗が低く抑えられる。よって、上記したトレードオフの関係が打破されるため、電極全体の電気抵抗が低く抑えられたまま、高い電池容量が得られる。
なお、活物質層2を二分割する場合には、下層201および上層202のそれぞれの厚さは、特に限定されない。すなわち、下層201の厚さと上層202の厚さとは、互いに等しくてもよいし、互いに異なってもよい。下層201の厚さと上層202の厚さとの関係に依存せず、単層の活物質層2において活物質粒子の平均粒径の分布が上記した条件を満たしていれば、同様の利点が得られるからである。ただし、活物質層2を二等分して、下層201の厚さと上層202の厚さとを等しくすることが好ましい。より高い効果が得られるからである。もちろん、活物質層2を二等分する場合には、下層201の厚さと上層202の厚さとが厳密に一致していなければならないわけでなく、測定誤差などに起因して両者の厚さが多少ずれていてもよい。
特に、活物質層2における活物質粒子の平均粒径の分布は、下記の条件も満たしていることが好ましい。
詳細には、例えば、図3に示したように、活物質層2を厚さ方向において分割(ここでは三分割)してみる。これにより、活物質層2は、集電体1に近い側から順に、下層203(第3層)、中間層204(第4層)および上層205(第5層)を含むことになる。この「分割(三分割)した」が意味するところ(概念上における活物質層2の分割)は、上記した「分割(二分割)した」と同様である。
このように活物質層2は、概念上の3つの層(下層203、中間層204および上層205)を含んでいる。この場合において、活物質層2が単層であるにもかかわらず、上層205における活物質粒子の平均粒径D5は、下層203における活物質粒子の平均粒径D3よりも小さいことが好ましい。上記した電池容量と電気抵抗とのバランスが適正化されるため、より高い効果が得られるからである。ここで、3つの層のうち、2つの層(下層203および上層205)だけに注目しているのは、表面2Xの近傍部分と底面2Yの近傍部分とにおいて、活物質粒子の平均粒径に明確な差異が生じやすいからである。
この場合には、中間層204における活物質粒子の平均粒径D4が下層203における活物質粒子の平均粒径D3よりも小さいと共に、上層205における活物質粒子の平均粒径D5が中間層204における活物質粒子の平均粒径D4よりも小さいことがより好ましい。電池容量と電気抵抗とのバランスがより適正化されるため、さらに高い効果が得られるからである。
中でも、活物質層2における活物質粒子の平均粒径Dは、厚さ方向において、集電体1から離れるにしたがって次第に小さいことが好ましい。著しく高い効果が得られるからである。
なお、活物質層2を三分割する場合には、その活物質層2を二分割した場合と同様に、下層203、中間層204および上層205のそれぞれの厚さは特に限定されないが、中でも、活物質層2を三等分することが好ましい。この場合においても、下層203の厚さと中間層204の厚さと上層205の厚さとは、多少ずれていてもよい。
活物質層2における活物質粒子の平均粒径が上記した条件を満たす電極は、後述するように、全体に渡って平均粒径Dが均一である活物質層2を形成したのち、その活物質層2を圧縮することで形成される。この場合には、圧縮処理と同時に、成型処理を行ってもよい。この圧縮処理により、複数の活物質粒子のうちの一部が粉砕するため、その粉砕された活物質粒子の粒径は粉砕前の粒径よりも小さくなる。
なお、活物質粒子の粒子強度は、特に限定されない。ただし、上記した圧縮処理に応じて活物質粒子の平均粒径が変化しやすいようにして、その平均粒径を容易かつ高精度に制御するために、粒子強度は比較的軟らかいことが好ましい。
具体的には、活物質層2を二分割する場合には、例えば、その活物質層2から下層201を取りだして、ロールプレス機を用いて下層201を厚さ方向において一軸プレス(圧力=30MPa)する。この下層201の粒度分布測定により検出される最小ピークの頻度(%)のプレス前後における変化(以下、「頻度変化ΔF」という。)は、特に限定されないが、中でも、0.9%〜16.1%であることが好ましく、1.1%〜15.8%であることがより好ましい。頻度変化ΔFが1.1%よりも小さいと、上記した圧縮処理により活物質粒子が粉砕されにくくなるからである。また、頻度変化ΔFが15.8%よりも大きいと、活物質粒子が粉砕されすぎるため、圧縮処理により活物質層2が集電体1から脱落しやすくなるからである。
この「頻度変化ΔF」は、活物質粒子の軟らかさを表す指標であり、値が大きいほど活物質粒子が粉砕されやすくなる。また、「粒度分布」とは、いわゆる体積分布であり、以降においても同様である。この粒度分布において、横軸は粒径(μm)、縦軸は頻度(%)である。頻度変化ΔFは、プレス前に下層201の粒度分布を測定したのち、1または2以上のピークの中から頻度が最小であるピークを特定する。続いて、プレス後に下層201の粒度分布を測定したのち、プレス前と同様に頻度が最小であるピークを特定する。なお、いずれの最小ピークを特定する場合においても、1つのピークしか検出されない場合には、そのピークを最小ピークとする。この結果から、頻度変化ΔF(%)=プレス後の最小ピークの頻度−プレス前の最小ピークの頻度を算出する。
また、活物質層2を三分割する場合には、例えば、活物質層2を二分割した場合と同様の理由により、下層203の頻度変化ΔFは、特に限定されないが、0.9%〜16.1%であることが好ましく、1.1%〜15.8%であることがより好ましい。この下層203の頻度変化ΔFを測定する手順は、活物質層2を二分割した場合と同様である。
[活物質層の構成に関する他の条件]
活物質層2の構成に関しては、上記した条件の他、下記の条件も満たしていることが好ましい。電池容量と電気抵抗とのバランスがより適正化されるため、より高い効果が得られるからである。
活物質層2を厚さ方向において二分割する場合(図2参照)には、下記の5つの条件(第1〜第5条件)を満たしていることが好ましい。
第1条件として、活物質層2の厚さは、80μm〜180μmである。この「厚さ」とは、集電体1の片面側における活物質層2の厚さである。このため、集電体1の両面に活物質層2が設けられている場合には、各活物質層2の厚さを意味する。
第2条件として、活物質層2の体積密度は、2.7g/cm3 〜3.6g/cm3 である。この体積密度は、活物質層2の重量(g)を体積(cm3 )で割ることで算出される。
第3条件として、活物質層2における活物質粒子の粒度分布を測定する。この粒度分布測定により、2つのピークが検出される。この2つのピークは、相対的に頻度(%)が大きいピークP1(第1ピーク)と、相対的に頻度(%)が小さいピークP2(第2ピーク)とである。ピークP1の頻度をF1、ピークP2の頻度をF2としたとき、それらの頻度F1,F2の比F1/F2は、0.2〜7である。
第4条件として、下層201における活物質粒子の粒度分布を測定する。この粒度分布測定により、2つのピークが検出される。この2つのピークは、相対的に頻度(%)が大きいピークP3(第3ピーク)と、相対的に頻度(%)が小さいピークP4(第4ピーク)とである。ピークP3の頻度をF3、ピークP4の頻度をF4としたとき、それらの頻度F3,F4の比F3/F4は、0.35〜9である。
第5条件として、上記した比F1/F2と比F3/F4との比(F1/F2)/(F3/F4)は、0.57〜0.79である。
または、活物質層2を厚さ方向において三分割する場合(図3参照)には、下記の5つの条件(第6〜第10条件)を満たしていることが好ましい。
第6〜第8条件は、上記した第1〜第3条件と同様である。
第9条件として、下層203および中間層204における活物質粒子の粒度分布を測定する。この粒度分布測定により、2つのピークが検出される。この2つのピークは、相対的に頻度(%)が大きいピークP5(第5ピーク)と、相対的に頻度(%)が小さいピークP6(第6ピーク)とである。ピークP5の頻度をF5、ピークP6の頻度をF6としたとき、それらの頻度F5,F6の比F5/F6は、0.27〜7.65である。
第10条件として、下層203における活物質粒子の粒度分布を測定する。この粒度分布測定により、2つのピークが検出される。この2つのピークは、相対的に頻度(%)が大きいピークP7(第7ピーク)と、相対的に頻度(%)が小さいピークP8(第8ピーク)とである。ピークP7の頻度をF7、ピークP8の頻度をF8としたとき、それらの頻度F7,F8の比F7/F8は、0.47〜11.97である。
上記した活物質粒子の粒度分布(体積分布)を測定するためには、例えば、株式会社島津製作所のナノ粒子径分布測定装置SALD−2100を用いる。測定時には、例えば、溶媒として、蒸留水およびイオン交換水などのいずれか1種類または2種類以上を用いる。また、測定条件としては、例えば、溶媒中に活物質粒子を分散させたのち、超音波の強度=7、超音波の印加時間=5分間、透過率=75%〜90%とする。ただし、超音波の強度などの測定条件は、適宜変更可能である。活物質層2を二分割して、各層における活物質粒子の粒度分布を調べる場合には、例えば、カプトンテープなどを用いて活物質層2の一部を剥離除去したり、有機溶剤が含浸されたコットンなどを用いて活物質層2の一部を溶解除去すればよい。この場合には、除去量を正確に把握するために、例えば、ハイト計などを用いて活物質層2の除去厚さまたは残存厚さを確認することが好ましい。
[電極の製造方法]
この電極は、例えば、以下の手順により製造される。
最初に、複数の活物質粒子と、結着剤および導電剤などの他の材料とを混合して、電極合剤とする。続いて、電極合剤を有機溶剤などの溶媒に分散させて、ペースト状の電極合剤スラリーとする。続いて、集電体1の両面に電極スラリーを塗布してから乾燥させて、活物質層2を形成する。最後に、ロールプレス機などを用いて活物質層2を圧縮成型する。圧縮時における圧力などの条件は、複数の活物質粒子の一部を粉砕可能な圧力であれば、特に限定されない。この場合には、加熱しながら活物質層2を圧縮成型してもよいし、その圧縮成型処理を複数回繰り返してもよい。
この圧縮処理により、複数の活物質粒子のうちの一部が粉砕されるため、その粉砕された活物質粒子の粒径は、粉砕前の粒径よりも小さくなる。しかも、圧縮処理による粉砕作用は、その圧縮処理に直接晒される活物質層2の表面2X近傍において最も強くなると共に、その表面2X近傍から離れるにしたがって次第に弱くなる。これにより、複数の活物質粒子は、活物質層2の表面2Xから底面2Yに向かうにしたがって平均粒径が次第に大きくなるように粉砕される。よって、活物質粒子の平均粒径の分布は、厚さ方向において、集電体1から離れるにしたがって活物質粒子の平均粒径が次第に小さくなるような勾配を有することになる。この場合には、圧縮強度などの条件を調整することで、活物質粒子の平均粒径の分布状況を制御できる。これにより、電極が完成する。
[電極の作用および効果]
この電極によれば、単層の活物質層2を二分割した場合において、上層202における活物質粒子の平均粒径D2は下層201における活物質粒子の平均粒径D1よりも小さい。この場合には、上記したように、サイクル中において高い電池容量が維持されると共に、サイクル中において電気抵抗の上昇も抑制される。しかも、界面抵抗に起因する電気抵抗の増加が生じないため、電極全体の電気抵抗が低く抑えられる。これにより、上記したトレードオフの関係が打破されるため、電極全体の電気抵抗が低く抑えられたまま、高い電池容量が得られる。よって、優れた電池特性を得ることができる。
特に、単層の活物質層2を三分割した場合において、上層205における活物質粒子の平均粒径D5が下層203における活物質粒子の平均粒径D3よりも小さくなっていれば、より高い効果を得ることができる。この場合には、中間層204における活物質粒子の平均粒径D4が下層203における活物質粒子の平均粒径D3よりも小さいと共に、上層205における活物質粒子の平均粒径D5が中間層204における活物質粒子の平均粒径D4よりも小さければ、さらに高い効果を得ることができる。
また、厚さ方向における活物質粒子の平均粒径の分布が集電体1から離れるにしたがって活物質粒子の平均粒径が次第に小さくなるような勾配を有していれば、著しく高い効果を得ることができる。
この他、活物質層2が結着剤を含んでいれば、上記した活物質粒子の平均粒径に関する条件を満たしやすいため、より高い効果を得ることができる。また、頻度変化ΔFが上記した条件を満たしていれば、平均粒径D1〜D5を容易かつ高精度に制御できる。さらに、活物質層2を二分割した場合には上記した第1〜第5条件を満たしており、または、活物質層2を三分割した場合には上記した第6〜第10条件を満たしていれば、より高い効果を得ることができる。
<2.二次電池>
次に、上記した二次電池用電極の適用例について説明する。この二次電池用電極は、例えば、以下のようにして二次電池に用いられる。
<2−1.リチウムイオン二次電池(円筒型)>
図5および図6は、二次電池の断面構成を表しており、図6では、図5に示した巻回電極体20の一部を拡大している。ここでは、例えば、二次電池用電極を正極21に適用している。
[二次電池の全体構成]
ここで説明する二次電池は、電極反応物質であるリチウム(リチウムイオン)の吸蔵放出により負極22の容量が得られるリチウム二次電池(リチウムイオン二次電池)であり、いわゆる円筒型の電池構造を有している。
この二次電池は、例えば、中空円柱状の電池缶11の内部に、一対の絶縁板12,13と、巻回電極体20とを収納している。巻回電極体20は、例えば、セパレータ23を介して正極21と負極22とが積層されてから巻回されたものである。
電池缶11は、例えば、一端部が閉鎖されると共に他端部が開放された中空構造を有しており、例えば、鉄、アルミニウムおよびそれらの合金などのいずれか1種類または2種類以上により形成されている。この電池缶11の表面には、ニッケルなどが鍍金されていてもよい。一対の絶縁板12,13は、巻回電極体20を挟むように配置されていると共に、その巻回電極体20の巻回周面に対して垂直に延在している。
電池缶11の開放端部には、電池蓋14、安全弁機構15および熱感抵抗素子(PTC素子)16がガスケット17を介してかしめられているため、その電池缶11は密閉されている。電池蓋14は、例えば、電池缶11と同様の材料により形成されている。安全弁機構15および熱感抵抗素子16は、電池蓋14の内側に設けられており、その安全弁機構15は、熱感抵抗素子16を介して電池蓋14と電気的に接続されている。この安全弁機構15では、内部短絡、または外部からの加熱などに起因して内圧が一定以上になると、ディスク板15Aが反転して電池蓋14と巻回電極体20との電気的接続を切断する。熱感抵抗素子16は、大電流に起因する異常な発熱を防止するものであり、その熱感抵抗素子16の抵抗は、温度の上昇に応じて増加する。ガスケット17は、例えば、絶縁材料により形成されており、そのガスケット17の表面には、アスファルトが塗布されていてもよい。
巻回電極体20の巻回中心の空洞には、例えば、センターピン24が挿入されている。ただし、センターピン24はなくてもよい。正極21には、例えば、アルミニウムなどの導電性材料により形成された正極リード25が接続されていると共に、負極22には、例えば、ニッケルなどの導電性材料により形成された負極リード26が接続されている。正極リード25は、例えば、安全弁機構15に溶接されていると共に、電池蓋14と電気的に接続されている。負極リード26は、例えば、電池缶11に溶接されており、その電池缶11と電気的に接続されている。
[正極]
正極21は、上記した二次電池用電極と同様の構成を有しており、正極集電体21Aの片面または両面に正極活物質層21Bを有している。正極集電体21Aおよび正極活物質層21Bの構成は、それぞれ集電体1および活物質層2の構成と同様である。
[負極]
負極22は、負極集電体22Aの片面または両面に負極活物質層22Bを有している。
負極集電体22Aは、例えば、銅(Cu)、ニッケルおよびステンレスなどの導電性材料のいずれか1種類または2種類以上により形成されている。この負極集電体22Aの表面は、粗面化されていることが好ましい。いわゆるアンカー効果により、負極集電体22Aに対する負極活物質層22Bの密着性が向上するからである。この場合には、少なくとも負極活物質層22Bと対向する領域において、負極集電体22Aの表面が粗面化されていればよい。粗面化の方法は、例えば、電解処理を利用して微粒子を形成する方法などである。この電解処理とは、電解槽中において電解法を用いて負極集電体22Aの表面に微粒子を形成することで、その負極集電体22Aの表面に凹凸を設ける方法である。電解法により作製された銅箔は、一般的に、電解銅箔と呼ばれている。
負極活物質層22Bは、負極活物質として、リチウムイオンを吸蔵放出可能である負極材料のいずれか1種類または2種類以上を含んでおり、さらに負極結着剤および負極導電剤などの他の材料のいずれか1種類または2種類以上を含んでいてもよい。負極結着剤および負極導電剤に関する詳細は、例えば、正極結着剤および正極導電剤と同様である。ただし、充電途中において意図せずにリチウム金属が負極22に析出することを防止するために、負極材料の充電可能な容量は正極21の放電容量よりも大きいことが好ましい。すなわち、リチウムイオンを吸蔵放出可能である負極材料の電気化学当量は正極21の電気化学当量よりも大きいことが好ましい。
負極材料は、例えば、炭素材料のいずれか1種類または2種類以上である。リチウムイオンの吸蔵放出時における結晶構造の変化が非常に少ないため、高いエネルギー密度および優れたサイクル特性が得られるからである。また、炭素材料は負極導電剤としても機能するからである。この炭素材料は、例えば、易黒鉛化性炭素、難黒鉛化性炭素および黒鉛などである。ただし、難黒鉛化性炭素における(002)面の面間隔は0.37nm以上であることが好ましいと共に、黒鉛における(002)面の面間隔は0.34nm以下であることが好ましい。より具体的には、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素繊維、有機高分子化合物焼成体、活性炭およびカーボンブラック類などである。このコークス類は、ピッチコークス、ニードルコークスおよび石油コークスなどを含む。有機高分子化合物焼成体は、フェノール樹脂およびフラン樹脂などの高分子化合物が適当な温度で焼成(炭素化)されたものである。この他、炭素材料は、約1000℃以下の温度で熱処理された低結晶性炭素でもよいし、非晶質炭素でもよい。なお、炭素材料の形状は、繊維状、球状、粒状および鱗片状のいずれでもよい。
また、負極材料は、例えば、金属元素および半金属元素のいずれか1種類または2種類を構成元素として含む材料(金属系材料)である。高いエネルギー密度が得られるからである。この金属系材料は、単体、合金および化合物のいずれでもよいし、それらの2種類以上でもよいし、それらの1種類または2種類以上の相を少なくとも一部に有する材料でもよい。なお、合金には、2種類以上の金属元素からなる材料に加えて、1種類以上の金属元素と1種類以上の半金属元素とを含む材料も含まれる。また、合金は、非金属元素を含んでいてもよい。その組織には、固溶体、共晶(共融混合物)、金属間化合物、およびそれらの2種類以上の共存物などがある。
上記した金属元素および半金属元素は、例えば、リチウムと合金を形成可能である金属元素および半金属元素のいずれか1種類または2種類以上である。具体的には、例えば、Mg、B、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Bi、Cd、Ag、Zn、Hf、Zr、Y、PdおよびPtなどである。中でも、SiおよびSnのいずれか一方または双方が好ましい。リチウムイオンを吸蔵放出する能力が優れているため、高いエネルギー密度が得られるからである。
SiおよびSnのいずれか一方または双方を構成元素として含む材料は、SiまたはSnの単体、合金および化合物のいずれでもよいし、それらの2種類以上でもよいし、それらの1種類または2種類以上の相を少なくとも一部に有する材料でもよい。なお、単体とは、あくまで一般的な意味合いでの単体(微量の不純物を含んでいてもよい)であり、必ずしも純度100%を意味しているわけではない。
Siの合金は、例えば、Si以外の構成元素として、Sn、Ni、Cu、Fe、Co、Mn、Zn、In、Ag、Ti、Ge、Bi、SbおよびCrなどのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。Siの化合物は、例えば、Si以外の構成元素として、CおよびOなどのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。なお、Siの化合物は、例えば、Si以外の構成元素として、Siの合金について説明した元素のいずれか1種類または2種類以上を含んでいてもよい。
Siの合金およびSiの化合物の具体例は、SiB4 、SiB6 、Mg2 Si、Ni2 Si、TiSi2 、MoSi2 、CoSi2 、NiSi2 、CaSi2 、CrSi2 、Cu5 Si、FeSi2 、MnSi2 、NbSi2 、TaSi2 、VSi2 、WSi2 、ZnSi2 、SiC、Si3 N4 、Si2 N2 O、SiOv (0<v≦2)、およびLiSiOなどである。なお、SiOv におけるvは、0.2<v<1.4でもよい。
Snの合金は、例えば、Sn以外の構成元素として、Si、Ni、Cu、Fe、Co、Mn、Zn、In、Ag、Ti、Ge、Bi、SbおよびCrなどのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。Snの化合物は、例えば、Sn以外の構成元素として、CおよびOなどのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。なお、Snの化合物は、例えば、Sn以外の構成元素として、Snの合金について説明した元素のいずれか1種類または2種類以上を含んでいてもよい。Snの合金およびSnの化合物の具体例は、SnOw (0<w≦2)、SnSiO3 、LiSnOおよびMg2 Snなどである。
特に、Snを構成元素として含む材料としては、例えば、Snを第1構成元素とし、それに加えて第2および第3構成元素を含む材料が好ましい。第2構成元素は、例えば、Co、Fe、Mg、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Ag、In、Ce、Hf、Ta、W、BiおよびSiなどのいずれか1種類または2種類以上である。第3構成元素は、例えば、B、C、AlおよびPなどのいずれか1種類または2種類以上である。第2および第3構成元素を含むことで、高い電池容量および優れたサイクル特性などが得られるからである。
中でも、Sn、CoおよびCを構成元素として含む材料(SnCoC含有材料)が好ましい。このSnCoC含有材料では、例えば、Cの含有量が9.9質量%〜29.7質量%、SnおよびCoの含有量の割合(Co/(Sn+Co))が20質量%〜70質量%である。高いエネルギー密度が得られるからである。
SnCoC含有材料は、Sn、CoおよびCを含む相を有しており、その相は、低結晶性または非晶質であることが好ましい。この相は、リチウムと反応可能な反応相であるため、その反応相の存在により優れた特性が得られる。この相のX線回折により得られる回折ピークの半値幅は、特定X線としてCuKα線を用いると共に挿引速度を1°/minとした場合において、回折角2θで1°以上であることが好ましい。リチウムイオンがより円滑に吸蔵放出されると共に、電解液との反応性が低減するからである。なお、SnCoC含有材料は、低結晶性または非晶質の相に加えて、各構成元素の単体または一部を含む相を含んでいる場合もある。
X線回折により得られた回折ピークがリチウムと反応可能な反応相に対応するものであるか否かは、リチウムとの電気化学的反応の前後におけるX線回折チャートを比較すれば容易に判断できる。例えば、リチウムとの電気化学的反応の前後で回折ピークの位置が変化すれば、リチウムと反応可能な反応相に対応するものである。この場合には、例えば、低結晶性または非晶質の反応相の回折ピークが2θ=20°〜50°の間に見られる。このような反応相は、例えば、上記した各構成元素を有しており、主に、Cの存在に起因して低結晶化または非晶質化しているものと考えられる。
SnCoC含有材料では、構成元素であるCのうちの少なくとも一部が他の構成元素である金属元素または半金属元素と結合していることが好ましい。Snなどの凝集または結晶化が抑制されるからである。元素の結合状態については、例えば、X線光電子分光法(XPS)を用いて確認可能である。市販の装置では、例えば、軟X線としてAl−Kα線またはMg−Kα線などが用いられる。Cのうちの少なくとも一部が金属元素または半金属元素などと結合している場合には、Cの1s軌道(C1s)の合成波のピークが284.5eVより低い領域に現れる。なお、Au原子の4f軌道(Au4f)のピークは、84.0eVに得られるようにエネルギー較正されているものとする。この際、通常、物質表面に表面汚染炭素が存在しているため、その表面汚染炭素のC1sのピークを284.8eVとし、それをエネルギー基準とする。XPS測定では、C1sのピークの波形が表面汚染炭素のピークとSnCoC含有材料中の炭素のピークとを含んだ形で得られるため、例えば、市販のソフトウエアを用いて解析することで、両者のピークを分離する。波形の解析では、最低束縛エネルギー側に存在する主ピークの位置をエネルギー基準(284.8eV)とする。
なお、SnCoC含有材料は、構成元素がSn、CoおよびCだけである材料(SnCoC)に限られない。このSnCoC含有材料は、例えば、Sn、CoおよびCに加えて、さらにSi、Fe、Ni、Cr、In、Nb、Ge、Ti、Mo、Al、P、GaおよびBiなどのいずれか1種類または2種類以上を構成元素として含んでいてもよい。
SnCoC含有材料の他、Sn、Co、FeおよびCを構成元素として含む材料(SnCoFeC含有材料)も好ましい。このSnCoFeC含有材料の組成は、任意である。一例を挙げると、Feの含有量を少なめに設定する場合は、Cの含有量が9.9質量%〜29.7質量%、Feの含有量が0.3質量%〜5.9質量%、SnおよびCoの含有量の割合(Co/(Sn+Co))が30質量%〜70質量%である。また、Feの含有量を多めに設定する場合は、Cの含有量が11.9質量%〜29.7質量%、Sn、CoおよびFeの含有量の割合((Co+Fe)/(Sn+Co+Fe))が26.4質量%〜48.5質量%、CoおよびFeの含有量の割合(Co/(Co+Fe))が9.9質量%〜79.5質量%である。このような組成範囲において、高いエネルギー密度が得られるからである。なお、SnCoFeC含有材料の物性(半値幅など)は、上記したSnCoC含有材料の物性と同様である。
この他、負極材料は、例えば、金属酸化物および高分子化合物などのいずれか1種類または2種類以上でもよい。金属酸化物は、例えば、酸化鉄、酸化ルテニウムおよび酸化モリブデンなどである。高分子化合物は、例えば、ポリアセチレン、ポリアニリンおよびポリピロールなどである。
負極活物質層22Bは、例えば、塗布法、気相法、液相法、溶射法および焼成法(焼結法)などのいずれか1種類または2種類以上の方法により形成されている。塗布法とは、例えば、粒子(粉末)状の負極活物質を負極結着剤などと混合したのち、その混合物を有機溶剤などの溶媒に分散させてから負極集電体22Aに塗布する方法である。気相法は、例えば、物理堆積法および化学堆積法などである。より具体的には、例えば、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法、熱化学気相成長、化学気相成長(CVD)法およびプラズマ化学気相成長法などである。液相法は、例えば、電解鍍金法および無電解鍍金法などである。溶射法とは、溶融状態または半溶融状態の負極活物質を負極集電体22Aに噴き付ける方法である。焼成法とは、例えば、塗布法を用いて、溶媒に分散された混合物を負極集電体22Aに塗布したのち、負極結着剤などの融点よりも高い温度で熱処理する方法である。この焼成法としては、例えば、雰囲気焼成法、反応焼成法およびホットプレス焼成法などを用いることができる。
この二次電池では、上記したように、充電途中において負極22にリチウム金属が意図せずに析出することを防止するために、リチウムイオンを吸蔵放出可能である負極材料の電気化学当量は正極の電気化学当量よりも大きい。また、完全充電時の開回路電圧(すなわち電池電圧)が4.25V以上であると、4.20Vである場合と比較して、同じ正極活物質を用いても単位質量当たりのリチウムイオンの放出量が多くなるため、それに応じて正極活物質と負極活物質との量が調整されている。これにより、高いエネルギー密度が得られる。
[セパレータ]
セパレータ23は、正極21と負極22とを隔離することで、両極の接触に起因する電流の短絡を防止しながらリチウムイオンを通過させるものである。このセパレータ23は、例えば、合成樹脂およびセラミックなどの多孔質膜であり、2種類以上の多孔質膜が積層された積層膜でもよい。合成樹脂は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレンおよびポリエチレンなどのいずれか1種類または2種類以上である。
特に、セパレータ23は、例えば、上記した多孔質膜(基材層)の片面または両面に高分子化合物層を有していてもよい。正極21および負極22に対するセパレータ23の密着性が向上するため、巻回電極体20の歪みが抑制されるからである。これにより、電解液の分解反応が抑制されると共に、基材層に含浸された電解液の漏液も抑制されるため、充放電を繰り返しても抵抗が上昇しにくくなると共に、電池膨れが抑制される。
高分子化合物層は、例えば、ポリフッ化ビニリデンなどの高分子材料を含んでいる。物理的強度に優れていると共に、電気化学的に安定だからである。ただし、高分子材料は、ポリフッ化ビニリデン以外の他の高分子材料でもよい。この高分子化合物層を形成する場合には、例えば、高分子材料が溶解された溶液を準備したのち、その溶液を基材層に塗布してから乾燥させる。なお、溶液中に基材層を浸漬させてから乾燥させてもよい。
[電解液]
セパレータ23には、液状の電解質である電解液が含浸されている。この電解液は、溶媒および電解質塩を含んでおり、さらに添加剤などの他の材料のいずれか1種類または2種類以上を含んでいてもよい。
溶媒は、有機溶媒などの非水溶媒のいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。この非水溶媒は、例えば、環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル、ラクトン、鎖状カルボン酸エステルおよびニトリルなどである。優れた電池容量、サイクル特性および保存特性などが得られるからである。環状炭酸エステルは、例えば、炭酸エチレン、炭酸プロピレンおよび炭酸ブチレンなどであり、鎖状炭酸エステルは、例えば、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチルおよび炭酸メチルプロピルなどである。ラクトンは、例えば、γ−ブチロラクトンおよびγ−バレロラクトンなどである。カルボン酸エステルは、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、イソ酪酸メチル、トリメチル酢酸メチルおよびトリメチル酢酸エチルなどである。ニトリルは、例えば、アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリルおよび3−メトキシプロピオニトリルなどである。
この他、非水溶媒は、例えば、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノン、N−メチルオキサゾリジノン、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、ニトロメタン、ニトロエタン、スルホラン、燐酸トリメチルおよびジメチルスルホキシドなどでもよい。同様の利点が得られるからである。
中でも、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチルおよび炭酸エチルメチルのいずれか1種類または2種類以上が好ましい。より優れた電池容量、サイクル特性および保存特性などが得られるからである。この場合には、炭酸エチレンおよび炭酸プロピレンなどの高粘度(高誘電率)溶媒(例えば比誘電率ε≧30)と、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチルおよび炭酸ジエチルなどの低粘度溶媒(例えば粘度≦1mPa・s)との組み合わせがより好ましい。電解質塩の解離性およびイオンの移動度が向上するからである。
特に、溶媒は、不飽和環状炭酸エステル、ハロゲン化炭酸エステル、スルトン(環状スルホン酸エステル)および酸無水物などのいずれか1種類または2種類以上を含んでいてもよい。電解液の化学的安定性が向上するからである。不飽和環状炭酸エステルとは、1または2以上の不飽和結合(炭素間二重結合)を有する環状炭酸エステルであり、例えば、炭酸ビニレン、炭酸ビニルエチレンおよび炭酸メチレンエチレンなどである。ハロゲン化炭酸エステルとは、1または2以上のハロゲンを構成元素として含む環状または鎖状の炭酸エステルである。環状のハロゲン化炭酸エステルは、例えば、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンおよび4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンなどである。鎖状のハロゲン化炭酸エステルは、例えば、炭酸フルオロメチルメチル、炭酸ビス(フルオロメチル)および炭酸ジフルオロメチルメチルなどである。スルトンは、例えば、プロパンスルトンおよびプロペンスルトンなどである。酸無水物は、例えば、無水コハク酸、無水エタンジスルホン酸および無水スルホ安息香酸などである。ただし、溶媒は、上記以外の他の材料でもよい。
電解質塩は、例えば、リチウム塩などの塩のいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。ただし、電解質塩は、例えば、リチウム塩以外の他の塩を含んでいてもよい。この他の塩とは、例えば、リチウム塩以外の軽金属塩などである。
リチウム塩は、例えば、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6 )、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4 )、過塩素酸リチウム(LiClO4 )、六フッ化ヒ酸リチウム(LiAsF6 )、テトラフェニルホウ酸リチウム(LiB(C6 H5 )4 )、メタンスルホン酸リチウム(LiCH3 SO3 )、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3 SO3 )、テトラクロロアルミン酸リチウム(LiAlCl4 )、六フッ化ケイ酸二リチウム(Li2 SiF6 )、塩化リチウム(LiCl)および臭化リチウム(LiBr)などである。優れた電池容量、サイクル特性および保存特性などが得られるからである。
中でも、LiPF6 、LiBF4 、LiClO4 およびLiAsF6 のいずれか1種類または2種類以上が好ましく、LiPF6 がより好ましい。内部抵抗が低下するため、より高い効果が得られるからである。ただし、電解質塩は、上記した一連の材料に限られず、他の材料でもよい。
電解質塩の含有量は、特に限定されないが、中でも、溶媒に対して0.3mol/kg〜3.0mol/kgであることが好ましい。高いイオン伝導性が得られるからである。
[二次電池の動作]
この二次電池は、例えば、以下のように動作する。充電時には、正極21からリチウムイオンが放出されると、そのリチウムイオンが電解液を介して負極22に吸蔵される。一方、放電時には、負極22からリチウムイオンが放出されると、そのリチウムイオンが電解液を介して正極21に吸蔵される。
[二次電池の製造方法]
この二次電池は、例えば、以下の手順により製造される。
最初に、上記した二次電池用電極と同様の作製手順により、正極21を作製する。具体的には、正極集電体21Aの両面に正極活物質層21Bを形成して、正極21を作製する。
また、上記した正極21と同様の手順により、負極22を作製する。具体的には、負極活物質と、負極結着剤および負極導電剤などとが混合された負極合剤を有機溶剤などの溶媒に分散させて、ペースト状の負極合剤スラリーとする。続いて、負極集電体22Aの両面に負極合剤スラリーを塗布してから乾燥させて負極活物質層22Bを形成したのち、その負極活物質層22Bを圧縮成型する。
最後に、正極21および負極22を用いて二次電池を組み立てる。具体的には、溶接法などを用いて正極集電体21Aに正極リード25を取り付けると共に、溶接法などを用いて負極集電体22Aに負極リード26を取り付ける。続いて、セパレータ23を介して正極21と負極22とを積層してから巻回させて巻回電極体20を作製したのち、その巻回中心にセンターピン24を挿入する。続いて、一対の絶縁板12,13で挟みながら巻回電極体20を電池缶11の内部に収納する。この場合には、溶接法などを用いて正極リード25の先端部を安全弁機構15に取り付けると共に、溶接法などを用いて負極リード26の先端部を電池缶11に取り付ける。続いて、溶媒に電解質塩が分散された電解液を電池缶11の内部に注入してセパレータ23に含浸させる。続いて、ガスケット17を介して電池缶11の開口端部に電池蓋14、安全弁機構15および熱感抵抗素子16をかしめる。
[二次電池の作用および効果]
この円筒型の二次電池によれば、正極21が上記した二次電池用電極と同様の構成を有しているので、正極21全体の電気抵抗が低く抑えられたまま、高い電池容量が得られる。よって、優れた電池特性を得ることができる。これ以外の作用および効果は、二次電池用電極と同様である。
<2−2.リチウムイオン二次電池(ラミネートフィルム型)>
図7は、他の二次電池の斜視構成を表しており、図8は、図7に示した巻回電極体30のVIII−VIII線に沿った断面を拡大している。ただし、図7では、巻回電極体30と2枚の外装部材40とを離間させた状態を示している。以下では、既に説明した円筒型の二次電池の構成要素を随時引用する。
[二次電池の全体構成]
ここで説明する二次電池は、いわゆるラミネートフィルム型のリチウムイオン二次電池であり、例えば、フィルム状の外装部材40の内部に巻回電極体30を収納している。この巻回電極体30は、例えば、セパレータ35および電解質層36を介して正極33と負極34とが積層されてから巻回されたものである。正極33には正極リード31が取り付けられていると共に、負極34には負極リード32が取り付けられている。巻回電極体30の最外周部は、保護テープ37により保護されている。
正極リード31および負極リード32は、例えば、外装部材40の内部から外部に向かって同一方向に導出されている。正極リード31は、例えば、アルミニウムなどの導電性材料のいずれか1種類または2種類以上により形成されている。負極リード32は、例えば、銅、ニッケルおよびステンレスなどの導電性材料のいずれか1種類または2種類以上により形成されている。これらの導電性材料は、例えば、薄板状または網目状である。
外装部材40は、例えば、融着層と、金属層と、表面保護層とがこの順に積層されたラミネートフィルムである。この外装部材40は、例えば、融着層が巻回電極体30と対向するように2枚のラミネートフィルムが重ねられたのち、各融着層の外周縁部同士が融着されたものである。ただし、2枚のラミネートフィルムは、接着剤などを介して貼り合わされていてもよい。融着層は、例えば、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのフィルムである。金属層は、例えば、アルミニウム箔などである。表面保護層は、例えば、ナイロンおよびポリエチレンテレフタレートなどのフィルムである。
中でも、外装部材40は、ポリエチレンフィルムと、アルミニウム箔と、ナイロンフィルムとがこの順に積層されたアルミラミネートフィルムであることが好ましい。ただし、外装部材40は、他の積層構造を有するラミネートフィルムでもよいし、ポリプロピレンなどの高分子フィルムでもよいし、金属フィルムでもよい。
外装部材40と正極リード31および負極リード32との間には、例えば、外気の侵入を防止するために密着フィルム41が挿入されている。この密着フィルム41は、正極リード31および負極リード32に対して密着性を有する材料により形成されている。この密着性材料は、例えば、ポリオレフィン樹脂などであり、より具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエチレンおよび変性ポリプロピレンなどである。
正極33は、例えば、正極集電体33Aの片面または両面に正極活物質層33Bを有していると共に、負極34は、例えば、負極集電体34Aの片面または両面に負極活物質層34Bを有している。正極集電体33A、正極活物質層33B、負極集電体34Aおよび負極活物質層34Bの構成は、それぞれ正極集電体21A、正極活物質層21B、負極集電体22Aおよび負極活物質層22Bの構成と同様である。すなわち、正極33は、二次電池用電極と同様の構成を有している。セパレータ35の構成は、セパレータ23の構成と同様である。
電解質層36は、高分子化合物により電解液が保持されたものであり、いわゆるゲル状の電解質である。高いイオン伝導率(例えば、室温で1mS/cm以上)が得られると共に、電解液の漏液が防止されるからである。この電解質層36は、さらに添加剤などの他の材料を含んでいてもよい。
高分子化合物は、高分子材料のいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。この高分子材料は、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリフォスファゼン、ポリシロキサン、ポリフッ化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、ポリスチレンおよびポリカーボネートなどである。この他、高分子材料は、共重合体でもよい。この共重合体は、例えば、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロピレンとの共重合体などである。中でも、ポリフッ化ビニリデンや、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロピレンとの共重合体が好ましく、ポリフッ化ビニリデンがより好ましい。電気化学的に安定だからである。
電解液の組成は、例えば、円筒型の場合と同様である。ただし、ゲル状の電解質である電解質層36において電解液の溶媒とは、液状の溶媒だけでなく、電解質塩を解離させることが可能なイオン伝導性を有する材料まで含む広い概念である。よって、イオン伝導性を有する高分子化合物を用いる場合には、その高分子化合物も溶媒に含まれる。
なお、ゲル状の電解質層36に代えて、電解液をそのまま用いてもよい。この場合には、電解液がセパレータ35に含浸される。
[二次電池の動作]
この二次電池は、例えば、以下のように動作する。充電時には、正極33からリチウムイオンが放出されると、そのリチウムイオンが電解質層36を介して負極34に吸蔵される。一方、放電時には、負極34からリチウムイオンが放出されると、そのリチウムイオンが電解質層36を介して正極33に吸蔵される。
[二次電池の製造方法]
ゲル状の電解質層36を備えた二次電池は、例えば、以下の3種類の手順により製造される。
第1手順では、正極21および負極22と同様の作製手順により、正極33および負極34を作製する。この場合には、正極集電体33Aの両面に正極活物質層33Bを形成して正極33を作製すると共に、負極集電体34Aの両面に負極活物質層34Bを形成して負極34を作製する。続いて、電解液と、高分子化合物と、有機溶剤などの溶媒とを含む前駆溶液を調製したのち、その前駆溶液を正極33および負極34に塗布して、ゲル状の電解質層36を形成する。続いて、溶接法などを用いて正極集電体33Aに正極リード31を取り付けると共に、溶接法などを用いて負極集電体34Aに負極リード32を取り付ける。続いて、正極33と負極34とをセパレータ35を介して積層してから巻回させて巻回電極体30を作製したのち、その最外周部に保護テープ37を貼り付ける。続いて、2枚のフィルム状の外装部材40の間に巻回電極体30を挟み込んだのち、熱融着法などを用いて外装部材40の外周縁部同士を接着させて、その外装部材40の内部に巻回電極体30を封入する。この場合には、正極リード31および負極リード32と外装部材40との間に密着フィルム41を挿入する。
第2手順では、正極33に正極リード31を取り付けると共に、負極34に負極リード32を取り付ける。続いて、セパレータ35を介して正極33と負極34とを積層してから巻回させて、巻回電極体30の前駆体である巻回体を作製したのち、その最外周部に保護テープ37を貼り付ける。続いて、2枚のフィルム状の外装部材40の間に巻回体を配置したのち、熱融着法などを用いて一辺の外周縁部を除いた残りの外周縁部を接着させて、袋状の外装部材40の内部に巻回体を収納する。続いて、電解液と、高分子化合物の原料であるモノマーと、重合開始剤と、さらに重合禁止剤などの他の材料とを混合して、電解質用組成物を調製する。続いて、袋状の外装部材40の内部に電解質用組成物を注入したのち、熱融着法などを用いて外装部材40を密封する。続いて、モノマーを熱重合させて、高分子化合物を形成する。これにより、高分子化合物に電解液が含浸され、その高分子化合物がゲル化するため、電解質層36が形成される。
第3手順では、高分子化合物が両面に塗布されたセパレータ35を用いることを除き、上記した第2手順と同様に、巻回体を作製して袋状の外装部材40の内部に収納する。このセパレータ35に塗布する高分子化合物は、例えば、フッ化ビニリデンを成分とする重合体(単独重合体、共重合体および多元共重合体)などである。具体的には、単独重合体は、例えば、ポリフッ化ビニリデンである。共重合体は、例えば、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとを成分とする二元系の共重合体などである。多元共重合体は、例えば、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとクロロトリフルオロエチレンとを成分とする三元系の共重合体などである。なお、フッ化ビニリデンを成分とする重合体と一緒に、他の1種類または2種類以上の高分子化合物を用いてもよい。続いて、電解液を調製して外装部材40の内部に注入したのち、熱融着法などを用いて外装部材40の開口部を密封する。続いて、外装部材40に加重をかけながら加熱して、高分子化合物を介してセパレータ35を正極33および負極34に密着させる。これにより、高分子化合物に電解液が含浸され、その高分子化合物がゲル化するため、電解質層36が形成される。
この第3手順では、第1手順よりも二次電池の膨れが抑制される。また、第3手順では、第2手順よりも高分子化合物の原料であるモノマーまたは溶媒などが電解質層36中にほとんど残らないため、高分子化合物の形成工程が良好に制御される。このため、正極33、負極34およびセパレータ35と電解質層36との間で十分な密着性が得られる。
[二次電池の作用および効果]
このラミネートフィルム型の二次電池によれば、正極33が二次電池用電極と同様の構成を有しているので、円筒型の場合と同様の理由により、優れた電池特性を得ることができる。これ以外の作用および効果は、円筒型の場合と同様である。
<2−3.リチウム金属二次電池>
ここで説明する二次電池は、リチウム金属の析出溶解により負極22の容量が表されるリチウム二次電池(リチウム金属二次電池)である。この二次電池は、負極活物質層22Bがリチウム金属により形成されていることを除き、上記したリチウムイオン二次電池(円筒型)と同様の構成を有していると共に、同様の手順により製造される。
この二次電池では、負極活物質としてリチウム金属が用いられているため、高いエネルギー密度が得られる。負極活物質層22Bは、組み立て時から既に存在してもよいが、組み立て時には存在せず、充電時において析出したリチウム金属により形成されるようにしてもよい。また、負極活物質層22Bを集電体として利用することで、負極集電体22Aを省略してもよい。
この二次電池は、例えば、以下のように動作する。充電時には、正極21からリチウムイオンが放出されると、そのリチウムイオンが電解液を介して負極集電体22Aの表面にリチウム金属となって析出する。一方、放電時には、負極活物質層22Bからリチウム金属がリチウムイオンとなって電解液中に溶出すると、そのリチウムイオンが電解液を介して正極21に吸蔵される。
このリチウム金属二次電池によれば、正極21が二次電池用電極と同様の構成を有しているので、上記したリチウムイオン二次電池と同様の理由により、優れた電池特性を得ることができる。これ以外の作用および効果は、リチウムイオン二次電池の場合と同様である。なお、ここで説明したリチウム金属二次電池は、円筒型に限らず、ラミネートフィルム型でもよい。この場合においても、同様の効果を得ることができる。
<3.二次電池の用途>
次に、上記した二次電池の適用例について説明する。
二次電池の用途は、その二次電池を駆動用の電源または電力蓄積用の電力貯蔵源などとして利用可能な機械、機器、器具、装置およびシステム(複数の機器などの集合体)などであれば、特に限定されない。電源として使用される二次電池は、主電源(優先的に使用される電源)でもよいし、補助電源(主電源に代えて、または主電源から切り換えて使用される電源)でもよい。二次電池を補助電源として使用する場合には、主電源の種類は二次電池に限られない。
二次電池の用途は、例えば、以下の通りである。ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、携帯電話機、ノート型パソコン、コードレス電話機、ヘッドホンステレオ、携帯用ラジオ、携帯用テレビおよび携帯用情報端末などの電子機器(携帯用電子機器を含む)である。電気シェーバなどの携帯用生活器具である。バックアップ電源およびメモリーカードなどの記憶用装置である。電動ドリルおよび電動鋸などの電動工具である。着脱可能な電源としてノート型パソコンなどに用いられる電池パックである。ペースメーカおよび補聴器などの医療用電子機器である。電気自動車(ハイブリッド自動車を含む)などの電動車両である。非常時などに備えて電力を蓄積しておく家庭用バッテリシステムなどの電力貯蔵システムである。もちろん、上記以外の用途でもよい。
中でも、二次電池は、電池パック、電動車両、電力貯蔵システム、電動工具および電子機器などに適用されることが有効である。優れた電池特性が要求されるため、本技術の二次電池を用いることで、有効に性能向上を図ることができるからである。なお、電池パックは、二次電池を用いた電源であり、いわゆる組電池などである。電動車両は、二次電池を駆動用電源として作動(走行)する車両であり、上記したように、二次電池以外の駆動源を併せて備えた自動車(ハイブリッド自動車など)でもよい。電力貯蔵システムは、二次電池を電力貯蔵源として用いるシステムである。例えば、家庭用の電力貯蔵システムでは、電力貯蔵源である二次電池に電力が蓄積されているため、その電力を利用して家庭用の電気製品などを使用可能になる。電動工具は、二次電池を駆動用の電源として可動部(例えばドリルなど)が可動する工具である。電子機器は、二次電池を駆動用の電源(電力供給源)として各種機能を発揮する機器である。
ここで、二次電池のいくつかの適用例について具体的に説明する。なお、以下で説明する各適用例の構成はあくまで一例であるため、適宜変更可能である。
<3−1.電池パック>
図9は、電池パックのブロック構成を表している。この電池パックは、例えば、プラスチック材料などにより形成された筐体60の内部に、制御部61と、電源62と、スイッチ部63と、電流測定部64と、温度検出部65と、電圧検出部66と、スイッチ制御部67と、メモリ68と、温度検出素子69と、電流検出抵抗70と、正極端子71および負極端子72とを備えている。
制御部61は、電池パック全体の動作(電源62の使用状態を含む)を制御するものであり、例えば、中央演算処理装置(CPU)などを含んでいる。電源62は、1または2以上の二次電池(図示せず)を含んでいる。この電源62は、例えば、2以上の二次電池を含む組電池であり、それらの二次電池の接続形式は、直列でもよいし、並列でもよいし、双方の混合型でもよい。一例を挙げると、電源62は、2並列3直列となるように接続された6つの二次電池を含んでいる。
スイッチ部63は、制御部61の指示に応じて電源62の使用状態(電源62と外部機器との接続の可否)を切り換えるものである。このスイッチ部63は、例えば、充電制御スイッチ、放電制御スイッチ、充電用ダイオードおよび放電用ダイオード(いずれも図示せず)などを含んでいる。充電制御スイッチおよび放電制御スイッチは、例えば、金属酸化物半導体を用いた電界効果トランジスタ(MOSFET)などの半導体スイッチである。
電流測定部64は、電流検出抵抗70を用いて電流を測定して、その測定結果を制御部61に出力するものである。温度検出部65は、温度検出素子69を用いて温度を測定して、その測定結果を制御部61に出力する。この温度測定結果は、例えば、異常発熱時において制御部61が充放電制御を行う場合や、制御部61が残容量の算出時において補正処理を行う場合などに用いられる。電圧検出部66は、電源62中における二次電池の電圧を測定して、その測定電圧をアナログ−デジタル変換して制御部61に供給するものである。
スイッチ制御部67は、電流測定部64および電圧検出部66から入力される信号に応じて、スイッチ部63の動作を制御するものである。
このスイッチ制御部67は、例えば、電池電圧が過充電検出電圧に到達した場合に、スイッチ部63(充電制御スイッチ)を切断して、電源62の電流経路に充電電流が流れないように制御する。これにより、電源62では、放電用ダイオードを介して放電のみが可能になる。なお、スイッチ制御部67は、例えば、充電時に大電流が流れた場合に、充電電流を遮断する。
また、スイッチ制御部67は、例えば、電池電圧が過放電検出電圧に到達した場合に、スイッチ部63(放電制御スイッチ)を切断して、電源62の電流経路に放電電流が流れないようにする。これにより、電源62では、充電用ダイオードを介して充電のみが可能になる。なお、スイッチ制御部67は、例えば、放電時に大電流が流れた場合に、放電電流を遮断する。
なお、二次電池では、例えば、過充電検出電圧は4.20V±0.05Vであり、過放電検出電圧は2.4V±0.1Vである。
メモリ68は、例えば、不揮発性メモリであるEEPROMなどである。このメモリ68には、例えば、制御部61により演算された数値や、製造工程段階で測定された二次電池の情報(例えば、初期状態の内部抵抗など)などが記憶されている。なお、メモリ68に二次電池の満充電容量を記憶させておけば、制御部61が残容量などの情報を把握可能になる。
温度検出素子69は、電源62の温度を測定すると共にその測定結果を制御部61に出力するものであり、例えば、サーミスタなどである。
正極端子71および負極端子72は、電池パックを用いて稼働される外部機器(例えばノート型のパーソナルコンピュータなど)や、電池パックを充電するために用いられる外部機器(例えば充電器など)などに接続される端子である。電源62の充放電は、正極端子71および負極端子72を介して行われる。
<3−2.電動車両>
図10は、電動車両の一例であるハイブリッド自動車のブロック構成を表している。この電動車両は、例えば、金属製の筐体73の内部に、制御部74と、エンジン75と、電源76と、駆動用のモータ77と、差動装置78と、発電機79と、トランスミッション80およびクラッチ81と、インバータ82,83と、各種センサ84とを備えている。この他、電動車両は、例えば、差動装置78およびトランスミッション80に接続された前輪用駆動軸85および前輪86と、後輪用駆動軸87および後輪88とを備えている。
この電動車両は、例えば、エンジン75またはモータ77のいずれか一方を駆動源として走行可能である。エンジン75は、主要な動力源であり、例えば、ガソリンエンジンなどである。エンジン75を動力源とする場合、そのエンジン75の駆動力(回転力)は、例えば、駆動部である差動装置78、トランスミッション80およびクラッチ81を介して前輪86または後輪88に伝達される。なお、エンジン75の回転力は発電機79にも伝達され、その回転力を利用して発電機79が交流電力を発生させると共に、その交流電力はインバータ83を介して直流電力に変換され、電源76に蓄積される。一方、変換部であるモータ77を動力源とする場合、電源76から供給された電力(直流電力)がインバータ82を介して交流電力に変換され、その交流電力を利用してモータ77が駆動する。このモータ77により電力から変換された駆動力(回転力)は、例えば、駆動部である差動装置78、トランスミッション80およびクラッチ81を介して前輪86または後輪88に伝達される。
なお、図示しない制動機構を介して電動車両が減速すると、その減速時の抵抗力がモータ77に回転力として伝達され、その回転力を利用してモータ77が交流電力を発生させるようにしてもよい。この交流電力はインバータ82を介して直流電力に変換され、その直流回生電力は電源76に蓄積されることが好ましい。
制御部74は、電動車両全体の動作を制御するものであり、例えば、CPUなどを含んでいる。電源76は、1または2以上の二次電池(図示せず)を含んでいる。この電源76は、外部電源と接続され、その外部電源から電力供給を受けることで電力を蓄積可能になっていてもよい。各種センサ84は、例えば、エンジン75の回転数を制御したり、図示しないスロットルバルブの開度(スロットル開度)を制御するために用いられる。この各種センサ84は、例えば、速度センサ、加速度センサおよびエンジン回転数センサなどを含んでいる。
なお、電動車両がハイブリッド自動車である場合について説明したが、その電動車両は、エンジン75を用いずに電源76およびモータ77だけを用いて作動する車両(電気自動車)でもよい。
<3−3.電力貯蔵システム>
図11は、電力貯蔵システムのブロック構成を表している。この電力貯蔵システムは、例えば、一般住宅および商業用ビルなどの家屋89の内部に、制御部90と、電源91と、スマートメータ92と、パワーハブ93とを備えている。
ここでは、電源91は、例えば、家屋89の内部に設置された電気機器94に接続されていると共に、家屋89の外部に停車された電動車両96に接続可能である。また、電源91は、例えば、家屋89に設置された自家発電機95にパワーハブ93を介して接続されていると共に、スマートメータ92およびパワーハブ93を介して外部の集中型電力系統97に接続可能である。
なお、電気機器94は、例えば、1または2以上の家電製品を含んでおり、その家電製品は、例えば、冷蔵庫、エアコン、テレビおよび給湯器などである。自家発電機95は、例えば、太陽光発電機および風力発電機などのいずれか1種類または2種類以上である。電動車両96は、例えば、電気自動車、電気バイクおよびハイブリッド自動車などのいずれか1種類または2種類以上である。集中型電力系統97は、例えば、火力発電所、原子力発電所、水力発電所および風力発電所などのいずれか1種類または2種類以上である。
制御部90は、電力貯蔵システム全体の動作(電源91の使用状態を含む)を制御するものであり、例えば、CPUなどを含んでいる。電源91は、1または2以上の二次電池(図示せず)を含んでいる。スマートメータ92は、例えば、電力需要側の家屋89に設置されるネットワーク対応型の電力計であり、電力供給側と通信可能である。これに伴い、スマートメータ92は、例えば、外部と通信しながら、家屋89における需要・供給のバランスを制御することで、効率的で安定したエネルギー供給を可能とする。
この電力貯蔵システムでは、例えば、外部電源である集中型電力系統97からスマートメータ92およびパワーハブ93を介して電源91に電力が蓄積されると共に、独立電源である自家発電機95からパワーハブ93を介して電源91に電力が蓄積される。この電源91に蓄積された電力は、制御部90の指示に応じて電気機器94および電動車両96に供給されるため、その電気機器94が稼働可能になると共に、電動車両96が充電可能になる。すなわち、電力貯蔵システムは、電源91を用いて、家屋89内における電力の蓄積および供給を可能にするシステムである。
電源91に蓄積された電力は、任意に利用可能である。このため、例えば、電気使用料が安い深夜に集中型電力系統97から電源91に電力を蓄積しておき、その電源91に蓄積しておいた電力を電気使用料が高い日中に用いることができる。
なお、上記した電力貯蔵システムは、1戸(1世帯)ごとに設置されていてもよいし、複数戸(複数世帯)ごとに設置されていてもよい。
<3−4.電動工具>
図12は、電動工具のブロック構成を表している。この電動工具は、例えば、電動ドリルであり、プラスチック材料などにより形成された工具本体98の内部に、制御部99と、電源100とを備えている。この工具本体98には、例えば、可動部であるドリル部101が稼働(回転)可能に取り付けられている。
制御部99は、電動工具全体の動作(電源100の使用状態を含む)を制御するものであり、例えば、CPUなどを含んでいる。電源100は、1または2以上の二次電池(図示せず)を含んでいる。この制御部99は、図示しない動作スイッチの操作に応じて、電源100からドリル部101に電力を供給する。
本技術の具体的な実施例について、詳細に説明する。
(実験例1−1〜1−4)
以下の手順により、図5および図6に示した円筒型のリチウムイオン二次電池を作製した。
正極21を作製する場合には、最初に、複数の正極活物質粒子(LiNiO2 )91質量部と、正極結着剤(ポリフッ化ビニリデン)3質量部と、正極導電剤(黒鉛)6質量部とを混合して、正極合剤とした。この正極活物質粒子として用いた粉末状のリチウム遷移金属複合酸化物(LiNiO2 )の平均粒径(D50)は、3μmである。また、正極活物質粒子の軟らかさを表す指標である頻度変化ΔF(%)は、2.1%である。続いて、正極合剤を有機溶剤(N−メチル−2−ピロリドン)に分散させて、ペースト状の正極合剤スラリーとした。続いて、コーティング装置を用いて帯状の正極集電体21A(20μm厚のアルミニウム箔)の両面に正極合剤スラリーを均一に塗布してから乾燥させて、正極活物質層21Bを形成した。最後に、ロールプレス機を用いて正極活物質層21Bを圧縮成型した。この圧縮処理により、正極活物質層21Bに含まれている複数の正極活物質粒子は、正極集電体21Aから離れるにしたがって平均粒径が次第に小さくなるように粉砕された。正極活物質層21Bの層構造と、その正極活物質層21Bを二等分した場合における各層(下層および上層)の平均粒径(μm)とは、表1に示した通りである。
なお、比較のために、表1に示したように、正極活物質粒子の軟らかさ(頻度変化ΔF)を変更して、その正極活物質粒子の平均粒径が均一となるように単層の正極活物質層21Bを形成した。また、下層201と上層202とを別工程において形成して、多層(二層)の正極活物質層21Bを形成した。
負極22を作製する場合には、最初に、負極活物質(人造黒鉛)90質量部と、負極結着剤(ポリフッ化ビニリデン)10質量部とを混合して、負極合剤とした。続いて、負極合剤を有機溶剤(N−メチル−2−ピロリドン)に分散させて、ペースト状の負極合剤スラリーとした。続いて、コーティング装置を用いて帯状の負極集電体22A(15μm厚の電解銅箔)の両面に負極合剤スラリーを均一に塗布してから乾燥させて、負極活物質層22Bを形成した。最後に、ロールプレス機を用いて負極活物質層22Bを圧縮成型した。
電解液を調製する場合には、溶媒(炭酸エチレンおよび炭酸ジエチル)に電解質塩(LiPF6 )を溶解させた。この場合には、溶媒の組成を重量比で炭酸エチレン:炭酸ジエチル=50:50、電解質塩の含有量を溶媒に対して1mol/kgとした。
二次電池を組み立てる場合には、最初に、正極集電体21Aにアルミニウム製の正極リード25を溶接すると共に、負極集電体22Aにニッケル製の負極リード26を溶接した。続いて、セパレータ23(25μm厚の微多孔性ポリプロピレンフィルム)を介して正極21と負極22とを積層してから巻回させることで巻回体を形成したのち、粘着テープを用いて巻回物の巻き終わり部分を固定して、巻回電極体20を作製した。続いて、巻回電極体20の巻回中心にセンターピン24を挿入した。続いて、ニッケル鍍金された鉄製の電池缶11の内部に、一対の絶縁板12,13で挟みながら巻回電極体20を収納した。この場合には、正極リード25の一端部を安全弁機構15に溶接すると共に、負極リード26の一端部を電池缶11に溶接した。続いて、減圧方式により電池缶11の内部に電解液を注入してセパレータ23に含浸させた。最後に、ガスケット17を介して電池缶11の開口端部に電池蓋14、安全弁機構15および熱感抵抗素子16をかしめた。これにより、円筒型の二次電池が完成した。なお、二次電池を作製する場合には、満充電時において負極22にリチウム金属が析出しないように正極活物質層21Bの厚さを調節した。
二次電池の電池特性としてサイクル特性および抵抗特性を調べたところ、表1に示した結果が得られた。
サイクル特性を調べる場合には、電池状態を安定化させるために常温環境中(23℃)において二次電池を1サイクル充放電させたのち、同環境中において二次電池をさらに1サイクル充放電させて放電容量を測定した。続いて、同環境中においてサイクル数の合計が100サイクルになるまで充放電を繰り返して放電容量を測定した。この結果から、サイクル維持率(%)=(100サイクル目の放電容量/2サイクル目の放電容量)×100を算出した。充電時には、1Cの電流で上限電圧が4.2Vに到達するまで充電したのち、4.2Vの電圧で電流が0.2Cに到達するまで充電した。放電時には、5Cの電流で終止電圧が2.5Vに到達するまで放電した。「0.2C」、「1C」および「5C」とは、それぞれ電池容量(理論容量)を5時間、1時間および0.2時間で放電しきる電流値である。
抵抗特性を調べる場合には、サイクル特性を調べる際に、上記した100サイクルの充放電の前後において正極活物質層21Bの1kHzインピーダンス(Ω)を測定した。この結果から、抵抗上昇率(%)=(充放電後のインピーダンス/充放電前のインピーダンス)×100を算出した。
多層(二層)の正極活物質層21Bにおいて、上層における正極活物質粒子の平均粒径が下層における正極活物質粒子の平均粒径よりも小さい場合(実験例1−4)には、高いサイクル維持率が得られた。しかしながら、下層と上層との間に界面が生じたため、主に界面抵抗に起因して抵抗上昇率が大幅に増加した。
単層の正極活物質層21Bにおいて、上層における正極活物質粒子の平均粒径と下層における正極活物質粒子の平均粒径とが同等に大きい場合(実験例1−2)には、多層の正極活物質層21Bを形成した場合と比較して、サイクル維持率は僅かに増加すると共に、抵抗上昇率も僅かに抑えられた。しかしながら、それらのサイクル維持率および抵抗上昇率は、未だ十分でなかった。また、単層の正極活物質層21Bにおいて、上層における正極活物質粒子の平均粒径と下層における正極活物質粒子の平均粒径とが同等に小さい場合(実験例1−3)においても、同様の傾向が得られた。
これらのことから、上記した一連の場合には、サイクル維持率と抵抗上昇率との間において、一方が改善されると他方が悪化するというトレードオフの関係が生じており、その関係が打破されなかった。
これに対して、単層の正極活物質層21Bにおいて、上層における正極活物質粒子の平均粒径が下層における正極活物質粒子の平均粒径よりも小さい場合(実験例1−1)には、高いサイクル維持率が得られると共に、抵抗上昇率も減少した。これにより、上記したトレードオフの関係が打破された。
(実験例2−1〜2−4)
表2に示したように、正極活物質層21Bを三等分した場合における各層の平均粒径(%)を設定したことを除き、実験例1−1〜1−4と同様の手順により二次電池を作製して、その二次電池の諸特性を調べた。
正極活物質層21Bを三等分した場合においても、二等分した場合(表1)と同様の結果が得られた。すなわち、上層における正極活物質粒子の平均粒径が下層における正極活物質粒子の平均粒径よりも小さい場合(実験例2−1)には、それ以外の場合(実験例2−2〜2−4)と比較して、高いサイクル維持率が得られると共に、抵抗上昇率も低く抑えられた。この場合には、中間層における正極活物質粒子の平均粒径が下層における正極活物質粒子の平均粒径よりも小さいと共に、上層における正極活物質粒子の平均粒径が中間層における正極活物質粒子の平均粒径よりも小さいと、良好な結果が得られた。
特に、正極活物質層21Bを三等分した場合(実験例2−1)には、二等分した場合(実験例1−1)と比較して、サイクル維持率がより増加すると共に、抵抗上昇率がより減少した。
(実験例3−1〜3−5)
表3に示したように、正極活物質層21Bを二等分した場合において頻度変化ΔFを変化させたことを除き、実験例1−1と同様の手順により二次電池を作製して、その二次電池の諸特性を調べた。
頻度変化ΔFが増加するにしたがって、サイクル維持率は増加してから減少すると共に、抵抗上昇率は減少してから増加した。この場合には、頻度変化ΔFが0.9%〜16.1%であると、高いサイクル維持率および低い抵抗上昇率が得られた。また、頻度変化ΔFが1.1%〜15.8%であると、サイクル維持率がより増加すると共に、抵抗上昇率がより低下した。
(実験例4−1〜4−5)
表4に示したように、正極活物質層21Bを三等分した場合において頻度変化ΔFを変化させたことを除き、実験例2−1,3−1〜3−5と同様の手順により二次電池を作製して、その二次電池の諸特性を調べた。
正極活物質層21Bを三等分した場合においても、二等分した場合(表3)と同様の結果が得られた。すなわち、頻度変化ΔFが0.9%〜16.1%であるか、さらに1.1%〜15.8%であると、高いサイクル維持率および低い抵抗上昇率が得られた。
(実験例5−1〜5−19)
表5に示したように、正極活物質層21Bを二等分した場合において一連のパラメータを設定したことを除き、実験例1−1と同様の手順により二次電池を作製して、その二次電池の諸特性を調べた。この一連のパラメータとは、正極活物質層21Bの厚さ(μm)および体積密度(g/cm3 )と、比F1/F2と、比F3/F4と、比(F1/F2)/(F3/F4)とである。
単層の正極活物質層21Bにおいて、上層における正極活物質粒子の平均粒径が下層における正極活物質粒子の平均粒径よりも小さい場合には、一連のパラメータに応じてサイクル維持率および抵抗上昇率が変化した。この場合には、厚さ=80μm〜180μm、体積密度=2.7g/cm3 〜3.6g/cm3 、比F1/F2=0.2〜7、比F3/F4=0.35〜9、比(F1/F2)/(F3/F4)=0.57〜0.79という一連の条件を同時に満たしていると、サイクル維持率がより増加すると共に、抵抗上昇率がより減少した。
(実験例6−1〜6−20)
表6に示したように、正極活物質層21Bを三等分した場合において一連のパラメータを設定したことを除き、実験例2−1と同様の手順により二次電池を作製して、その二次電池の諸特性を調べた。この一連のパラメータとは、正極活物質層21Bの厚さ(μm)および体積密度(g/cm3 )と、比F1/F2と、比F5/F6と、比F7/F8とである。
単層の正極活物質層21Bにおいて、上層における正極活物質粒子の平均粒径が下層における正極活物質粒子の平均粒径よりも小さい場合には、一連のパラメータに応じてサイクル維持率および抵抗上昇率が変化した。この場合には、厚さ=80μm〜180μm、体積密度=2.7g/cm3 〜3.6g/cm3 、比F1/F2=0.2〜7、比F5/F6=0.27〜7.65、比F7/F8=0.47〜11.97という一連の条件を同時に満たしていると、サイクル維持率がより増加すると共に、抵抗上昇率がより減少した。
表1〜表6の結果から、単層の活物質層を厚さ方向において分割したとき、集電体から遠い側の第2層における活物質粒子の平均粒径が、集電体に近い側の第1層における活物質粒子の平均粒径よりも小さいと、優れた電池特性が得られた。
以上、実施形態および実施例を挙げながら本技術を説明したが、本技術は実施形態および実施例において説明した態様に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、電池構造が円筒型およびラミネートフィルム型であると共に、電池素子が巻回構造を有する場合を例に挙げて説明したが、これらに限られない。本技術の二次電池は、角型、コイン型およびボタン型などの他の電池構造を有する場合や、電池素子が積層構造などの他の構造を有する場合に関しても、同様に適用可能である。
また、本技術の二次電池用電極は、二次電池に限らず、他の電気化学デバイスに適用されてもよい。他の電気化学デバイスの具体例は、キャパシタなどである。
また、正極活物質層の厚さの範囲について、実施例の結果から導き出された適正範囲を説明しているが、その説明は、厚さが上記した範囲外となる可能性を完全に否定するものではない。すなわち、上記した適正範囲は、あくまで本技術の効果を得る上で特に好ましい範囲であるため、本技術の効果が得られるのであれば、上記した範囲から厚さが多少外れてもよい。このことは、体積密度などの他の一連のパラメータに関しても同様である。
なお、本技術は、以下のような構成を取ることも可能である。
(1)
正極および負極と共に非水電解液を備え、
前記正極は、正極集電体と、その正極集電体に設けられた正極活物質層とを含み、
前記正極活物質層は、単層であると共に、複数の正極活物質粒子を含み、
前記正極活物質層を前記正極集電体に近い側から順に第1層および第2層に分割したとき、
前記第2層における前記正極活物質粒子の平均粒径は、前記第1層における前記正極活物質粒子の平均粒径よりも小さい、
二次電池。
(2)
前記正極活物質層を前記正極集電体に近い側から順に第3層、第4層および第5層に分割したとき、
前記第5層における前記正極活物質粒子の平均粒径は、前記第3層における前記正極活物質粒子の平均粒径よりも小さい、
上記(1)に記載の二次電池。
(3)
前記第4層における前記正極活物質粒子の平均粒径は、前記第3層における前記正極活物質粒子の平均粒径よりも小さいと共に、
前記第5層における前記正極活物質粒子の平均粒径は、前記第4層における前記正極活物質粒子の平均粒径よりも小さい、
上記(2)に記載の二次電池。
(4)
前記正極活物質層における前記正極活物質粒子の平均粒径は、前記正極集電体から離れるにしたがって次第に小さくなる、
上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の二次電池。
(5)
前記正極活物質粒子は、下記の式(1)で表される化合物のうちの少なくとも1種を含む、
上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の二次電池。
Lia Nib Mc Od ・・・(1)
(Mは、コバルト(Co)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、バナジウム(V)、チタン(Ti)、マグネシウム(Mg)およびジルコニウム(Zr)のうちの少なくとも1種である。a〜dは、0.8<a<1.2、0.45≦b≦1、0≦c≦1、0≦b+c≦1および0<d<3を満たす。)
(6)
前記正極活物質層は、正極結着剤を含む、
上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の二次電池。
(7)
前記第1層を厚さ方向において30MPaの圧力で一軸プレスしたとき、その第1層の粒度分布(体積分布)測定により検出される最小ピークの頻度(%)のプレス前後における変化は、1.1%以上15.8%以下である、
上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の二次電池。
(8)
前記第3層を厚さ方向において30MPaの圧力で一軸プレスしたとき、その第1層の粒度分布(体積分布)測定により検出される最小ピークの頻度(%)のプレス前後における変化は、1.1%以上15.8%以下である、
上記(2)ないし(6)のいずれかに記載の二次電池。
(9)
(A)前記正極活物質層の厚さは、80μm以上180μm以下であり、
(B)前記正極活物質層の体積密度は、2.7g/cm3 以上3.6g/cm3 以下であり、
(C)前記正極活物質層における前記正極活物質粒子の粒度分布(体積分布)測定により、相対的に頻度(%)が大きい第1ピークと、相対的に頻度(%)が小さい第2ピークとが検出され、
前記第1ピークの頻度F1と前記第2ピークの頻度F2との比F1/F2は、0.2以上7以下であり、
(D)前記第1層における前記正極活物質粒子の粒度分布(体積分布)測定により、相対的に頻度(%)が大きい第3ピークと、相対的に頻度(%)が小さい第4ピークとが検出され、
前記第3ピークの頻度F3と前記第4ピークの頻度F4との比F3/F4は、0.35以上9以下であり、
(E)前記比F1/F2と前記比F3/F4との比(F1/F2)/(F3/F4)は、0.57以上0.79以下である、
上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の二次電池。
(10)
(F)前記正極活物質層の厚さは、80μm以上180μm以下であり、
(G)前記正極活物質層の体積密度は、2.7g/cm3 以上3.6g/cm3 以下であり、
(H)前記正極活物質層における前記正極活物質粒子の粒度分布(体積分布)測定により、相対的に頻度(%)が大きい第1ピークと、相対的に頻度(%)が小さい第2ピークとが検出され、
前記第1ピークの頻度F1と前記第2ピークの頻度F2との比F1/F2は、0.2以上7以下であり、
(I)前記第3層および前記第4層における前記正極活物質粒子の粒度分布(体積分布)測定により、相対的に頻度(%)が大きい第5ピークと、相対的に頻度(%)が小さい第6ピークとが検出され、
前記第5ピークの頻度F5と前記第6ピークの頻度F6との比F5/F6は、0.27以上7.65以下であり、
(J)前記第3層における前記正極活物質粒子の粒度分布(体積分布)測定により、相対的に頻度(%)が大きい第7ピークと、相対的に頻度(%)が小さい第8ピークとが検出され、
前記第7ピークの頻度F7と前記第8ピークの頻度F8との比F7/F8は、0.47以上11.97以下である、
上記(2)ないし(8)のいずれかに記載の二次電池。
(11)
リチウム二次電池である、
上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の二次電池。
(12)
正極および負極と共に非水電解液を備え、
前記正極は、正極集電体と、その正極集電体に設けられた正極活物質層とを含み、
前記正極活物質層は、単層であると共に、複数の正極活物質粒子を含み、
前記正極活物質層の厚さ方向における前記正極活物質粒子の平均粒径の分布は、前記正極集電体から離れるにしたがって前記正極活物質粒子の平均粒径が次第に小さくなるような勾配を有する、
二次電池。
(13)
集電体と、その集電体に設けられた活物質層とを含み、
前記活物質層は、単層であると共に、複数の活物質粒子を含み、
前記活物質層を前記集電体に近い側から順に第1層および第2層に分割したとき、
前記第2層における前記活物質粒子の平均粒径は、前記第1層における前記活物質粒子の平均粒径よりも小さい、
二次電池用電極。
(14)
上記(1)ないし(12)のいずれかに記載の二次電池と、
その二次電池の使用状態を制御する制御部と、
その制御部の指示に応じて前記二次電池の使用状態を切り換えるスイッチ部と
を備えた、電池パック。
(15)
上記(1)ないし(12)のいずれかに記載の二次電池と、
その二次電池から供給された電力を駆動力に変換する変換部と、
その駆動力に応じて駆動する駆動部と、
前記二次電池の使用状態を制御する制御部と
を備えた、電動車両。
(16)
上記(1)ないし(12)のいずれかに記載の二次電池と、
その二次電池から電力を供給される1または2以上の電気機器と、
前記二次電池からの前記電気機器に対する電力供給を制御する制御部と
を備えた、電力貯蔵システム。
(17)
上記(1)ないし(12)のいずれかに記載の二次電池と、
その二次電池から電力を供給される可動部と
を備えた、電動工具。
(18)
上記(1)ないし(12)のいずれかに記載の二次電池を電力供給源として備えた、電子機器。