キューブコーナー要素並びにキューブコーナー要素以外の構造体及び微細構造を作製するための新たなエンドミル加工技術を開発して、本発明者らは、この技術を、1つ以上のセキュリティ画像を組み込む物品、又は別の言い方をすれば、検出可能なインディシアを組み込む物品の製造に適用する。インディシアは、構造化表面の対応する異なる第1及び第2の領域又は区域に異なる第1及び第2の微細構造を提供することによって、基材の所与の構造化表面内に設けてもよい。このようにして構造化表面自体の形状又は設計にインディシアを埋め込むことにより、悪徳業者が元のセキュリティ物品の安価な偽造コピーを作製することが困難になる。
第1及び第2の微細構造は、物品の通常の観察者が検出するのが困難な方法で互いに異なっていて、したがって、微細若しくは微弱なインディシアを提供してもよく、又は第1の微細構造と第2の微細構造との間の差異は、検出するのが容易であり、目立つ若しくは明瞭に見えるインディシアを提供してもよい。第1の微細構造及び第2の微細構造が多くの群のうちの単に2つである、多数のタイプの微細構造を、構造化表面上に設けてもよく、いくつかの微細構造間の差異は、検出することが困難であり、1つ以上の微細なインディシアを提供してもよく、一方で同じ構造化表面上の他の微細構造間の差異は、検出することが容易であり、検出することが容易な1つ以上のインディシアを提供してもよい。ほとんどの場合、所与のインディシアを検出する際の相対的な容易さ又は困難さは、照明形態若しくは観察形態、又はその両方の関数として変化する。これは、所与の微細構造によって反射又は透過される光の相対輝度又は強度が、通常、所与の微細構造に対するそれらの形態に依存するためである。したがって、第1及び第2の微細構造の所与の分布又はパターンは、通常の観察者が照明形態と観察形態との第1の組み合わせの下で検出するのが困難であるが、照明形態と観察形態との異なる第2の組み合わせの下で検出することが容易である、インディシアを提供することができる。
第1の微細構造と第2の微細構造との間の多数の可能な設計差異のうちの任意の1つ以上を選択して、インディシアを生成することができる。そのような差異は、サイズ、向き、キューブコーナータイプ、及び二面角値(単数又は複数)を含んでもよい。場合によっては、第1の微細構造は、キューブコーナー要素であってもよく、第2の微細構造は、キューブコーナー要素ではなく、又はその逆もまた同様である。場合によっては、第1の微細構造又は第2の微細構造のいずれも、キューブコーナー要素でなくてもよく、他の場合には、第1及び第2の微細構造の両方が、キューブコーナー要素であってもよい。第1の微細構造及び第2の微細構造は、実質的に類似又は同一の微細構造の同質の群である必要はないが、異なる微細構造のブレンド又は分布とすることができる。第1の微細構造は、例えば、キューブコーナー要素と非キューブコーナー要素との第1のブレンドであってもよく、第2の微細構造は、キューブコーナー要素と非キューブコーナー要素との異なる第2のブレンドであってもよい。
新しいエンドミル加工技術によって作製することができる、したがって、開示するセキュリティ物品に使用することができる多数の異なるタイプの構造体及び微細構造のより良好な理解を読者が有するために、図1〜図71に関連して、新しいエンドミル加工技術、並びにこの技術によって形成される構造体、微細構造、及びキューブコーナー要素に関する包括的な背景情報を最初に提供する。
新しい技術では、エンドミル加工を使用して、以下で更に説明するように、六角形、五角形、又は四辺形である平面視での外周形状を有するものを含めて、「切頭」キューブコーナー要素だけでなく、「完全な」又は「好ましい形状(preferred geometry)」(PG)のキューブコーナー要素を含む、事実上任意のタイプのキューブコーナー要素を作製することができる。切頭又はPGにかかわらず、キューブコーナー要素はまた、以下にまた説明するように、傾斜した又は傾斜していない、及び対称又は非対称、及び大きい又は小さいものとすることができる。新しい技術により、キューブコーナー要素を個々に調整し、基材の加工面に個別に切削することが可能になり、これにより、ほとんど無制限な設計の柔軟性が可能になる。例えば、新しい技術によって作製された隣接する微細構造のアレイ又はクラスタにおいて、1つのキューブコーナー要素は、大きくかつ傾斜していなくてもよく、隣接するキューブコーナー要素は、小さく、かつ第1の方向に傾斜していてもよく、更に別の隣接するキューブコーナー要素は、中サイズであり、かつ異なる第2の方向に傾斜していてもよい。更に、これらの隣接する近傍のキューブコーナー要素は、例えば、1つのキューブコーナー要素の光学面がその隣接するキューブコーナー要素の光学面と同一平面上にあることを必要とするように制約される必要はない。むしろ、新しい技術では、キューブコーナー要素は、その隣接する又は近傍のキューブコーナー要素(単数又は複数)の光学面のいずれとも同一平面上にある光学面を有さない(名目上同一平面上でさえない)ように設計されてもよい。
新しい技術は、キューブコーナー要素の製造に限定されるものではなく、他の種類の構造体及び微細構造を作製するためにも使用することができ、その一部は以下に示される又は説明され、その他のものは、開示する実施形態の単純な組み合わせ及び拡張によって読者に容易に明らかとなるであろう。これらの他の種類の構造体の一部は、キューブコーナー要素に外観が類似していてもよいが、他のものは、非常に異なってもよい。これらの他の構造体は、光学用途、例えば、透明若しくは反射光学フィルム、又は、研磨物品、滑り止め物品などの機械的用途が挙げられるがこれらに限定されない非光学用途において有用であり得る。ほとんどの場合、構造体は、エンドミルの作業による新しい技術を使用して(最終物品自体における、又は1つ以上の複製作業による最終物品に関連する先行世代の物品におけるにかかわらず)形成された少なくとも1つの平坦面を含む。場合によっては、単一の構造体又は微細構造は、2つ、若しくは3つ、若しくは4つのそのような面、又はそれより多くの面を有することができる。キューブコーナー要素である構造体を含む構造体はまた、1つ以上の複合面を有することができ、複合面は、同一平面上又はほぼ同一平面上にあり、かつ分割線に沿って合流する又は一緒になる2つの個別の面から構成される。
新しい技術は、全くそれ自体で使用して、基材内に1つ以上の構造体又は微細構造を形成することができ、又は公知の技術と組み合わせることができる。例えば、一部の微細構造は、新しい技術で作製することができるが、同じ基材中の他の微細構造は、直接機械加工技術又は別の公知の技術で作製される。更に、1つ以上の微細構造の一部分、例えば1つの面を新しい技術で作製することができ、その一方で、そのような微細構造(単数又は複数)の残部、例えば別の面は、直接機械加工技術で作製されてもよい。
新しい技術を用いて基材に多数の微細構造を形成することが望ましい場合、各微細構造は、エンドミル加工を使用して個別に形成することができる。微細構造のサイズ及び種類、並びに基材のサイズに応じて、微細構造のアレイ全体を個別に形成する方法は、以下に更に説明するように、1つ以上のエンドミルを使用して、数百個、又は数千個、又は更には数百万個の極めて精密な個々の切削工程を伴ってもよい。人間の機械工により手で実施する場合、非常に手間がかかり、時間がかかることがある、そのような仕事は、現代のコンピュータ制御機械、又は他の自動切削システム及び装置を使用して、高速、高精度、及び高品質に合理的な期間で実行することができる。
更に進む前に、本発明者らは、ここで一旦、本明細書で説明する構造体、微細構造、及びキューブコーナー要素のうちのいくつか、並びに関連する特徴について、簡単に説明する。
ほとんどの場合、本明細書で説明する構造体は、キューブコーナー要素、微細構造、又はその両方にかかわらず、精密に設計された形状を有し、かつ、それらがその一部であるより大きな表面との関連で存在する突出部又はキャビティであり、より大きな表面は、多くの場合、構造化表面、又は機械加工可能な基材の場合では加工面と呼ばれる。場合によっては、構造体は、キャビティ内に存在する又はキャビティを占める突出部であってもよく、例えば、以下の図56A又は図56Bを参照されたい。開示する構造体は、典型的には、平坦な1つ以上の個々の面又はファセットを含み、構造体の他の面又は表面に対して特定の設計された向きに配置される。
この点に関して、面又は他の表面は、(a)精密に平坦な、例えば、標準的な若しくは適用可能な製造公差内で平面の、又は(b)実質的に平坦な、例えば、意図される用途において小さいと見なされる量だけ最良適合基準平面から偏位している、例えば、そのような平面から数マイクロメートル以下、若しくは±1、±0.5、±0.1、±0.05、若しくは±0.005マイクロメートル以下だけ偏位している、又は(c)機能的に平坦な、例えば、意図される用途において精密に平坦若しくは実質的に平坦な面若しくは表面と同じ若しくはそれと同様に面が機能する、場合には、「平坦」であると言うことができる。場合によっては、所与の有意な光学的又は機械的機能を提供するために、表面又は他の表面は、少量の湾曲、テクスチャ、又は平坦度からの他の偏差を有するように意図的に設計されてもよい。そのような場合、面が先の条件(a)〜(c)のいずれかを満たす場合、又は、面がその一部である構造体が、面が実際に平坦であった場合に有するであろう機能の実質的な量を依然として保持している一部であるのに、平坦度からの偏差が十分に小さい場合には、面は、本明細書の目的のために、依然として名目上平坦であると見なされてもよい。したがって、名目上平坦な面は、とりわけ、精密に平坦、又は実質的に平坦、又は機能的に平坦である面を指すことができる。
微細構造は、一般的に、特定の用途との関連において小さい構造体を指すことができる。例えば、微細構造は、1ミリメートル以下、例えば、2mm以下、又は1mm以下、又は0.5mm以下、又は更には200マイクロメートル以下、又は100マイクロメートル以下、及び典型的にはまた、少なくとも5、10、15、又は20マイクロメートルのサイズのオーダーである、深さ、高さ、長さ、幅、又は直径などの少なくとも1つの特性寸法を有する構造体であってもよい(広く定義されているように、円形の特徴に限定されない)。場合によっては、構造体のこれらの特性寸法のうちの2つ、3つ、又はそれより多くは、これらのサイズ条件のいずれか、及びこれらのサイズ条件の任意の組み合わせを満たすことができる。
微細構造はまた、又は代替的に、米国特許第4,576,850号(Martens)に記載されているようなものであってもよい。例えば、微細構造体は、一般に、中心線の上の表面プロファイルにより包囲された面積の合計が線の下の面積の合計と等しくなるように、微細構造を通って引かれた平均中心線から、プロファイルが偏位している物品の表面内の突出部及びくぼみなどの不連続であり得、線は物品の名目表面(微細構造を有する)に本質的に平行である。例えば、1〜30cmの表面の代表的な特性長を通って、光学又は電子顕微鏡により測定したとき、偏差の高さは、典型的には、約±0.005〜±750マイクロメートルであってもよい。この平均中心線は、平面(すなわち、平坦又は真っ直ぐ)、若しくは凹面若しくは凸面(非球面であるか否かにかかわらず)、又はこれらの組み合わせであってもよい。偏差が低位、例えば、±0.005〜±0.1マイクロメートル又は好ましくは±0.05マイクロメートルであり、かつ、偏差がまれに又は最小限に発生する、すなわち、表面が任意の著しい不連続を含まない物品は、本質的に「滑らかな」表面、並びに平均中心線が平面である場合は「平坦な」表面を有すると見なすことができる。他の物品は、例えば、±0.1〜±750マイクロメートルの高位であり、かつ、同じ又は異なり、かつランダム若しくは規則正しい方式で間隔をあけた又は連続することができる複数個の実利的不連続を含む微細構造に起因する、偏差を有することができる。
上述したように、キューブコーナー要素は、光学面と呼ばれる、1組の3つの平坦な反射面又はファセットを有する構造体として単純に説明することができ、光学面は、ともにグループ化され、互いに直交するように向けられ、それにより、面のうちの第1の面に衝突する入射光が、第2のそのような面に反射され、次いで第3の反射面に反射される。反射の法則に従って、第3の面によって反射された光は、入射光の方向と本質的に反対(逆平行)の方向に伝搬する。そのような構造体は、立方体の角部に概ね似ており、したがって、「キューブコーナー」要素という用語である。キューブコーナー要素という用語はまた、それ自体が反射性ではないが反射性に作製することができる、又はポジ若しくはネガ型複製に複製して、上記で言及した3つの反射面を提供することができる、一組の3つの面を有する構造体にも適用され、その場合、元の3つの(非反射性)面は、本開示の目的のために光学面であると依然として見なされる。キューブコーナー要素という用語はまた、3つの光学面が正確に互いに垂直ではないが、典型的には1度未満、又は0.5度未満、又は0.2度未満、又は0.1度未満、又は1分程度の角度(0.0167度)のオーダーの直交性からの小さな偏差が3つの面のうちの任意の2つの間に存在し、それにより、再帰反射光が、光源をキューブコーナー要素に接続する直線に対して角度的にわずかに広げられる、構造体にも適用される。精密な直交性からのそのような偏差は、二面角誤差、又はより簡潔には角度誤差と呼ばれる。本明細書で名目上直交する(又は実質的に直交する)として説明する面は、精密に直交する面、又は二面角誤差だけ直交性から偏位する面のいずれかを指す。
角度誤差は、キューブコーナー要素(単数又は複数)によって生成される発散プロファイル又は他の光戻りパターンの商業的に有用な変化を生成するのに十分に大きい又は実質的に十分であるが、キューブコーナー要素(単数又は複数)が再帰反射体(単数又は複数)として効果的に機能することを停止するほど大きくはない。最も商業的な対象とする場合では、角度誤差は、下限が1又は2分の角度、及び、上限が40分の角度(ハイウェイ又は交通標識シートに有用であり、完全な再帰反射の方向から離れる光の最大2度の偏差を生成する)、又は70分の角度(ライセンスプレート又はセキュリティ特徴などのより短い観察距離の用途に有用であり、光の最大4度の偏差を生成する)、又は120分の角度(2度の角度)(特定のディスプレイ用途に有用であり、光の最大8度の偏差を生成する)の範囲内にある。
いくつかのキューブコーナー要素は、3つの光学面の組に加えて、光学面のうちのいずれかとは非常に異なる向きを有する1つ以上の他の面を含む。そのような他の面は、キューブコーナー要素の非光学面と呼ばれる。
キューブコーナー要素の説明は、多くの場合、二面縁部、非二面縁部、及び二面角を参照する。キューブコーナー要素の二面縁部は、そのキューブコーナー要素の光学面のうちのいずれか2つの交線に形成された縁部である。非二面縁部は、例えば、所与のキューブコーナー要素の光学面及び隣接するキューブコーナー要素の光学面によって形成された縁部、又は所与のキューブコーナー要素の光学面及び非光学面によって形成された縁部を含む、キューブコーナー要素の任意の他の縁部である。従来のキューブコーナー要素の縁部(二面縁部及び非二面縁部の両方)は、本質的に鋭いとして古典的に示されている、又は説明されている。本開示では、キューブコーナー要素又は他の構造体の一部の縁部は、鋭くてもよく、一方、他の縁部は、湾曲している、又は丸みがあってもよい。
二面角は、所与の2つの非平行平面間の内角であり、これらの平面は、開示する構造体又は構造化表面の所与の2つの面を表してもよく、そのような内角は、所与の平面の両方に垂直な基準平面内で測定される。言い換えれば、所与の平面間の二面角を表す内角は、ある点で交差する第1の線と第2の線との間で測定され、第1の線は、所与の平面のうちの1つに位置し、第2の線は、所与の平面の他方に位置し、第1及び第2の線はそれぞれ、所与の平面の交線に垂直である。2つの平面(又は面)が平行である場合、それらの間の二面角は、ゼロである。非直交キューブコーナー要素に関して上述した角度誤差は、一般に、特に明確に示さない限り、90度からの二面角の小さい偏差を指す。
キューブコーナー要素の3つの二面縁部は、一緒になる又は交差して、キューブコーナー要素の頂点を形成する。縁部及び他の設計要因の性質に応じて、頂点は、鋭い点であってもよく、他の場合には、とがっていなくてもよく、例えば、小さい平坦領域又は他の小さい領域であってもよい。更に、頂点は、キューブコーナー要素が表面から突き出る、又は表面内に沈むかに応じて、構造化表面の極大又は極小であってもよい。頂点は、キューブコーナー要素が突出部であるとき、すなわち、3つの光学面の間の空間に中実材料が存在する場合、極大、例えば、頂部又はピークである。頂点は、キューブコーナー要素がキャビティ又は凹部であるとき、すなわち、3つの光学面の間の空間に真空、空気、又は非中実材料が存在する場合、極小、例えば、ベース又は最下点である。
各キューブコーナー要素は、キューブコーナー要素の対称軸又は立方体軸と一般的に呼ばれる軸を画定する。対称軸は、頂点を通過し、構造体を三分し、キューブコーナー要素の3つ全ての光学面と等しい角度を形成する。キューブコーナー要素がその一部である構造化表面に対して対称軸が垂直であるキューブコーナー要素は、「傾斜していない」キューブコーナー要素と呼ばれる。そうでなければ、対称軸が構造化表面に対して傾斜している場合、キューブコーナー要素は、「傾斜している」と言われる。
キューブコーナー要素はまた、キューブコーナー要素の非二面底縁部の構成、並びにキューブの対称軸の向きに関しても伝統的に分類されている。「切頭」キューブコーナー要素は、(a)3つ全ての光学面の底縁部が同一平面上(実質的に同一平面上を含む)であり、典型的には、構造化表面に平行な平面内に位置する、又は(b)3つの光学面のそのような底縁部がそのような平面に対して全て平行である、又は(c)(a)及び(b)の両方である、ものである。これらの底縁部は、平面視で実質的に三角形の外周を形成し、この外周は、次に、切頭キューブコーナー要素の「ベース三角形」と呼ばれる。傾斜していない切頭キューブコーナー要素は、等辺であるベース三角形を生成し、すなわち、ベース三角形の各角部は、正確に60度の内角を有する。例えば、米国特許第3,712,706号(Stamm)を参照されたい。対称軸が一方向に傾斜しているキューブコーナー要素は、そのような要素に関連付けられたベース三角形が60度よりも大きい1つの内角のみを有する場合、「前方傾斜」又は「正の傾斜」であると言われる。例えば、米国特許第4,588,258号(Hoopman)を参照されたい。対称軸が反対方向に傾斜しているキューブコーナー要素は、「後方傾角」又は「負の傾斜」であると言われ、3つの内角のうちの2つが60度より大きい関連するベース三角形を有する。例えば、米国特許第5,565,151号(Nilsen)を参照されたい。
切頭キューブコーナー要素とは対照的に、「完全キューブコーナー要素」(又は「完全キューブ」)又は「好ましい形状(PG)のキューブコーナー要素」(又は「PGキューブ」)と呼ばれることもある他のキューブコーナー要素は、1つの光学面の少なくとも1つの非二面縁部が、他の2つの光学面の非二面縁部と同一平面上にないように設計されてもよい。キューブコーナー要素の構造化表面の一部であるPGキューブコーナー要素は、代替的に又は追加的に、(1)構造化表面が延在する基準平面に非平行であり、かつ(2)近傍のキューブコーナー要素の隣接する非二面縁部に実質的に平行である、少なくとも1つの非二面縁部を有するキューブコーナー要素として説明することができる。完全キューブは、(1)垂直又はほぼ垂直な光学面及び非光学面を実質的に含まず、かつ(2)垂直入射角又は別の設計入射角(かつ照明軸及び観測軸が同一線上であると仮定する場合)で90%より大きいパーセント作用面積を有する、キューブコーナー要素を指すことができる。切頭キューブコーナー要素は、この条件の組み合わせを満足することができない。
そのようなPG及び完全キューブコーナー要素の一部は、六角形の形状である平面視での外周を有し、他のものは、五角形であり、更に他のものは、平行四辺形、長方形、又は正方形の形状を有するものを含むがこれらに限定されない、四辺形である。他のPG及び完全キューブは、更に他の平面視外周形状を有することができる。光学面のうちの1つ以上の形状(そのそれぞれの光学面の平面内に画定されたそのような形状それぞれ)を使用して、PG及び完全キューブコーナー要素を識別する、又は三角形面を有する切頭キューブコーナー要素とそれらを区別することもできる。いくつかのPG及び完全キューブコーナー要素は、例えば、長方形、正方形、台形、又は五角形である、少なくとも1つの光学面を有することができる。ほとんどの場合、所与のPGキューブコーナー要素はまた、完全キューブコーナー要素であり、逆もまた同様であるが、例外が存在し得る。以下の説明では、PGキューブコーナー要素(単数又は複数)と呼ばれるキューブコーナー要素(単数又は複数)は、特に指示しない限り、完全キューブコーナー要素(単数又は複数)でもあり、逆もまた同様である、又はそうであると仮定される。
これらの外周形状又は面形状のいずれが選択されるかにかかわらず、適切に設計されかつ釣り合いの取れたPG及び完全キューブコーナー要素は、例えばキューブコーナー再帰反射シートで使用される場合、切頭キューブコーナー要素と比較して、より高い全光戻りを呈することが知られている。完全キューブ又はPGキューブは、切頭キューブコーナー要素と同様に、傾斜していない又は傾斜していてもよい。例えば、米国特許第6,015,214号(Heenanら)を参照されたい。
入射軸に沿って、所与のキューブコーナー要素又はそのような要素のアレイに最初に入射する光に関して、そのような要素(単数又は複数)の「全光戻り」は、その指定された半角、例えば、4度内の入射軸に沿って戻るように反射されるそのような入射光の一部である。全光戻りはまた、垂直入射光、又は入射光の別の指定された向きに対する、キューブコーナー要素(単数又は複数)のパーセント作用面積と正規化された再帰反射光線強度との積とみなすこともできる。例として、正規化された再帰反射光線強度が1.0である限界では、垂直入射光に対する米国特許第3,712,706号(Stamm)に示される切頭キューブコーナー形状の最大理論全光戻りは、67%であり、その一方で、後述するいくつかのPGキューブコーナー要素に対する最大理論値は、100%である。
ここで、キューブコーナー要素及び他の構造体を作製するための本発明者らの新しい手法の説明に戻って、図1、図2、及び図3は、開示する構造体又は微細構造を形成することができる、又は形成されていてもよい、異なる代表的な基材105、205、305の斜視図を示す。これらの基材のそれぞれは、様々な外面を有し、これらの表面のうちの1つは、少なくともエンドミル加工を含む精密材料除去機械加工作業のために構成される又は少なくとも好適であるかぎり、加工面(又は構造化表面)に指定することができる。図1の基材105は、側面106を有し、その1つは、主表面であり、加工面107に指定される。図2の基材205は、側面206を有し、その1つは、より小さい表面であり、加工面207に指定される。図3の基材305は、長手方向回転軸309を有する直円柱の形態を有し、そのように、端面及び周面を有し、周面は、加工面307に指定される。基材105、205、305は、機械加工可能な材料で作製される、又は、その加工面に位置するそのような基材の少なくとも層又は他の部分は、機械加工可能な材料で作製される。望ましい機械加工可能な材料としては、低延性及び低粒状性、並びに材料除去作業後に寸法精度を維持する能力を有する、バリの形成を伴わずにきれいにエンドミルで機械加工することが可能なものが挙げられる。所望の特徴サイズ及び他の要因に応じて、様々な機械加工可能なプラスチック又は金属を使用することができる。好適なプラスチックとしては、アクリル又は他の材料などの熱可塑性材料又は熱硬化性材料が挙げられる。機械加工可能な金属としては、アルミニウム、黄銅、銅、無電解ニッケル、及びこれらの合金が挙げられる。好ましい金属としては、非鉄金属が挙げられる。選択された金属は、例えば、圧延、注型化学堆積、電着、又は鍛造によって、シート又は層に形成されてもよい。好ましい機械加工材料は、典型的には、エンドミル切削工具の摩耗を最小限にするように選択される。
以下の図の多くでは、微細構造又は他の特徴は、互いに直交するx軸、y軸、及びz軸を有するデカルトxyz座標系との関連で示されている。そのようなデカルト座標系は、同様に、図1及び2に含まれる。しかしながら、任意の他の好適な座標系、又は座標系なしもまた、所望に応じて使用されてもよい。示された座標系は、なんらか限定することを意図するものではなく、参照を容易にするため、視覚化のため、及び比較のために含まれている。全てではないがほとんどの場合、座標系は、z軸が加工面に対して垂直である(及び作用面から直接離れる方向に向いている)ように、又は加工面若しくは構造化表面が延在する基準平面に対して垂直であるように向けられ、そのような基準平面は、次に、座標系のx軸及びy軸によって画定されるx−y平面に対応する。再度、この向きは、参照及び説明を容易にするためだけのものであり、限定するものとして解釈されるべきではない。図の多くでは、x軸は、工具経路が傾斜した経路部分を有する場合、経路部分がx−z平面内にあるように向けられる。しかし、当然のことながら、他の向きも使用することができる。
座標系のz軸、並びに基材は、重力方向に対して任意の所望の向きを有してもよく、例えば、z軸は、重力とは反対の方向(例えば、「上向き」)、又は重力と同じ方向(例えば、「下向き」)、又は任意の他の方向を向いていてもよい。この点に関して更に、以下の説明では、1つ以上の「垂直平面」を参照する。反対に明確に示されない限り、そのような垂直平面は、必ずしも重力ではなく、問題となっている加工面又は構造化表面に関連して理解されるべきである。したがって、多くの場合では法線ベクトル及びz軸が重力軸と整列されていても、そのような表面に対する重力の方向にかかわらず、垂直平面は、加工面又は構造化表面の法線ベクトルを含む(したがって、そのような法線ベクトルに平行に向けられたときにz軸も含む)平面を指す。「上方」、「下方」などの用語もまた、柔軟かつ非限定的な方法で解釈されるべきである。
図3の単純に湾曲した加工面307などの平坦でない加工面又は構造化表面の場合、そのような表面は、小さな局所領域の多数又はグリッドに概念的に細分することができる。各局所領域は、平坦な表面のより精密な近似であり、次いで、z軸をその位置で加工面に対して垂直又は直角に向けることによって、局所デカルトxyz座標系を任意のそのような領域に割り当てることができる。
材料は、以下に更に説明するように、1つ以上の回転エンドミルを使用して、基材107、207、307の加工面から選択的かつ精密に除去して、本明細書に開示するキューブコーナー要素又は他の微細構造のいずれか又は全てを、そのような基材に作製することができる。
図4A〜図4Cは、フライカット加工とエンドミル加工との間の相違を指摘するために、簡略化した概略形態で、フライカット加工の態様を示す。図4Aは、フライカット加工用に作製された静止した切削工具408の正面図を示す。フライカット加工工具408は、シャフトに取り付けられた切削ヘッド410を含み、工具は、横方向回転軸409周りの回転を可能にするように取り付けられている。切削ヘッド410は、鋭い点又は頂点を有するV字形である。モータ(図示せず)は、フライカット加工工具408に係合し、それを軸409周りに急速にスピンさせる。急速に回転する切削工具408rは、図4Bに示すように、急速に回転する、リング形状の切削ヘッド又は切削包絡面410rを含む。回転切削工具を使用して、図4Cに示すように、基材の加工面にV溝を切削することができる。そこで、機械加工可能な基材405は、外面406を有し、その1つが加工面407に指定される。直線状のV溝416は、図示のように、回転切削工具408rが基材405に対して直線経路415に沿って移動されると、切削包絡面410rによって加工面407に切削される。切削ヘッド410及び切削包絡面410rのV字形状のプロファイルは、V字溝416に複写される。(切頭)キューブコーナー要素の直接機械加工は、このフライカット加工法を繰り返して、基材405に平行なV溝の全組を形成し、次いで、第1の組と交差する平行なV溝の他の2つの組を同様に形成して、それにより、フライカット加工によって形成された結果として生じる面(V溝側面の残り)がキューブコーナー要素のアレイを生成することを伴う。
本開示のここ及び他の箇所では、フライカット加工工具又はエンドミル工具にかかわらず、切削工具が移動される又は移動させられる、例えば、基材に対して移動させられるとして説明されるときはいつでも、そのような運動は、(a)基材を静止して保持し、(回転)切削工具を並進させる、又は(b)(回転)切削工具を静止して保持し、基材を並進させる、又は(c)(回転)切削工具及び基材の両方を並進させて、それにより、指定された経路に沿って切削工具と基材との間に相対運動が設定される、ことにより、実行することができることを読者は理解するであろう。
図5A〜図5Dは、簡略化した概略形態で、エンドミル加工の態様を示す。図5Aは、エンドミル加工用に作製された静止した切削工具508の正面図を示す。エンドミル加工工具508は、シャフトに取り付けられた切削ヘッド510を含み、工具は、長手方向回転軸509周りの回転を可能にするように取り付けられている。切削ヘッド510は、テーパ状の刃先を有するが、明らかとなることになる理由で、テーパは、鋭い点で終端するのではなく、端部で先端を切られている。テーパは、本明細書では、テーパ状刃先と回転軸509との間の工具半角(tool half angle)(THA)と呼ばれる角度によって特徴付けることができる。モータ(図示せず)は、エンドミル加工工具508に係合し、それを軸509周りに急速にスピンさせる。急速に回転する切削工具508rは、図5Bに示すように、急速に回転する、円錐形状の切削ヘッド又は切削包絡面510rを含む。切削包絡面510rの拡大図を、図5C(側面又は断面図)及び図5D(斜視図)に示す。
拡大した図5C及び図5Dは、回転エンドミルの切削包絡面510rが端部又は先端が切られた円錐の形状を実際に有することをより明確に示す。エンドミル加工作業では、回転切削工具は、切削包絡面510rの経路内に存在する任意の材料を除去するために、基材上に、及び基材内に押し下げることができる必要がある。これから、切削包絡面を鋭く、かつ先端を切られていないようにするために、切削ヘッド510の先端は、針の先端と同様に、非常に鋭い精細な点である必要があるであろうことを容易に理解することができる。しかし、そのような繊細な尖った先端は、回転工具が基材に接触して切削する際に、使用中に急速に損傷又は破壊されるであろう。したがって、実用上の理由から、エンドミル切削ヘッド510は、先端を切られ、回転切削ヘッドによって形成された切削包絡面510rは、包絡面の端部又はベース510rbで同様に先端が切られる。ベース510rbに加えて、切削包絡面510rはまた、直径Dtopの頂部510rt、及び円錐の一部分の形態の側面510rsを有する。ベース510rbは、直径Dbotを有する。側面510rsは、軸509に対して角度THA(工具半角)をなし、THAはまた、静止した切削ヘッド510の半角である。側面510rsは、軸509に垂直な横断面又は線に対して、角度THAC(工具半角の余角、THAC+THA=90度であるように)をなす。包絡面510rは軸509周りの回転によって形成されるため、包絡面510rは、軸509周りの回転対称性を呈し、頂部510rt及びベース510rbは両方とも、円形の形状、すなわち、軸509から測定したときに一定の半径である。
エンドミル加工工具508及びその寸法及び他の特徴は、市場で現在入手可能な多数のエンドミル加工工具のいずれかから所望に応じて選択することができる、又は、既存の若しくは将来の工具製造会社から限度内で仕様を要求するように特別に注文する、若しくは他の方法で特別に作製することができる。したがって、切削包絡面510rの寸法Dtop、Dbot、THA、及びTHACもまた、エンドミル加工工具の適切な選択によって、合理的な限度内で選択又は調整することができる。直径Dbotをどの程度小さく作製することができるかの実用的な限界が存在する。本発明者らは、Dbotが20マイクロメートルのオーダーであるミル加工ツールを認識しており、これは、10マイクロメートルの半径(Dbot/2)に対応するが、Dbotの値が更に小さい特殊化されたエンドミル加工工具が存在し得、切削技術の将来の進歩はまた、より小さいDbot値を可能にし得る。
本発明者らは、回転エンドミルの切削包絡面の端部が鋭い点ではなく先端が切られている理由を説明してきた。場合によっては、切頭端部は、実質的に図5B及び図5Cに示すように、鋭い縁部で側面510rsに合流する小さく平坦な円形の領域であってもよい。他の場合には、切頭端部は、丸みがある、湾曲している、又はなんらかの他の平坦でない(しかし、依然として先端が切られた)形状を有することができ、側面510rsとの鋭い縁部を形成してもよく、又は形成しなくてもよい。平坦でない形状であるものは何でも、回転軸509に対して回転対称性を呈する。以下の説明における簡潔さ及び一貫性のために、本発明者らは、図5B及び図5Cに示すように、切頭端部が小さく、平坦、かつ円形であり、側面510rsとの鋭い縁部を形成すると仮定する。しかしながら、読者は、切頭端部が、代わりに任意の好適な平坦でない形状を有してもよく、そのような代替的な切頭形状は、そのような切頭端部の切削動作によって形成される表面及び特徴、特に、以下で更に説明し例示する構造体内の丸みのある縁部と呼ばれる特徴の対応する形状の変化を生じさせるであろうことを理解するであろう。
回転切削工具508rを使用して、図6A〜図6Cの一連の概略断面図で示すように、単純な止まり穴、キャビティ、又は凹部を基材の加工面に切削することができる。ここで、図1〜図3又は図4Cの基材のいずれかを含む、本明細書で説明する基材のいずれかと同じ又は同様であってもよい、機械加工可能な基材605は、加工面607を有する。デカルト座標は、加工面607がx−y平面内に位置する、又はx−y平面と平行に延在するように規定され、z軸は、表面607の法線ベクトルを表す。基材の上に準備された回転切削工具は、切削包絡面510rに関連して上述したように、回転エンドミルの切削包絡面610rを提供する。切削包絡面610rは、回転軸609周りに対称であり、円錐面610rs及び端部又はベース610rbを有する切頭円錐の形状を有する。回転軸609は、z軸に平行であり、加工面607に垂直である。
エンドミル加工によって基材605内に単純な止まり穴を作製するために、回転工具及び切削包絡面610rは、図6Aの下向きの矢印によって示すように加工面607に向かって移動され、そのような動きは、包絡面(及び切削工具)が図6Bに示すように基材605内に少なくとも部分的に入るまで、包絡面610rの切削動作によって、加工面607を越えて基材605内へと前進する。その後、切削包絡面610rは、図6Cの上向きの矢印によって示すように、それが入れられた同じ経路に沿って基材605から引き出される。切削包絡面の引き抜きにより、切削工具が基材に貫入される際の切削工具のミル加工動作によって形成されたキャビティ又は凹部620が明らかになり、そのような凹部620は、湾曲した側面631及びベース620bを有する。基材605の中及び外への切削包絡面の動き(図6A及び図6Cの矢印を参照)は、z軸に平行であると仮定される。(読者はまた、相対運動についての前述の説明を考慮して、切削工具又は切削包絡面610rの動きは、任意の所望の方法、例えば、基材605を静止して保持し、切削包絡面610rを並進させる(図6A、図6Cの矢印に従って)こと、又は切削包絡面610rを静止して保持し、基材605を並進させる(図6A、図6Cの矢印と反対の矢印に従って)こと、又はこれらの任意の組み合わせで達成されてもよく、及びこの同じ理解は、本明細書に開示する全ての他の切削運動に適用されるべきであることを留意するであろう。)凹部620の側面631は、切削包絡面610rの円錐面610rsに対応し、これと同じ円錐形状を有し、凹部620のベース620bは、切削包絡面のベース610rbに対応し、これと同じ形状を有する、すなわち、小さく、平坦、かつ丸みがある。当然のことながら、切削包絡面のベースが平坦以外の、例えば、丸みのある切頭形状である場合、凹部のベース620bは、切削包絡面のベースと同じ平坦でない形状を呈することになる。
図7は、一連の図6A〜図6Cに関連した回転エンドミルが従う経路の概略表現である。図7では、Σは、基材605の加工面607の平面を表し、回転エンドミルの経路は、線715によって表される。表面平面Σは、x−y平面に平行であり、経路715は、真っ直ぐであり、z軸に平行である。回転エンドミル又は切削包絡面610rは、平面Σの上に準備された点Sで始まり、次いで、経路715に沿って点Aに移動し、ここで最初に回転エンドミルと基材との間で接触が生じ、切削が始まる。次いで、経路715に沿って最深点Bまで移動するときに基材を切削し続け、次いで、点Bから点Aまで経路715に沿って移動して戻り、次いで、点Aから点Sへと移動して戻ることによって凹部620から完全に引き抜かれる。経路715の様々な識別可能な部分又はセグメントのうち、基材の切削は、点Aから点Bに向けられたセグメント内のみで行われる。
図8及び図9は、それぞれ、図6Cの基材605及び凹部620の概略上面図及び斜視図であり、同様の要素は、同様の参照番号を有し、更なる説明を必要としない。これらの図では、凹部620の外周620pも見える。外周620pは、回転エンドミルが基材の中に突入して凹部を形成する方法のため、かつ切削包絡面610rの回転対称性のために、ベース620bと同様に円形の形状である。
エンドミル加工による基材除去を使用して、他の種類の凹部、キャビティ、及び穴を作製することもできる。一連の図10A〜図10Dは、どのようにエンドミル加工を使用して、単純な細長い凹部を基材の加工面に切削することができるかを示す。これらの図では、基材605と同じ又は同様であってもよい機械加工可能な基材1005は、加工面1007を有する。デカルト座標は、加工面1007がx−y平面内に位置する、又はx−y平面と平行に延在するように規定され、z軸は、表面1007の法線ベクトルを表す。基材の上に準備された回転切削工具は、上述したように、回転エンドミルの切削包絡面1010rを提供する。切削包絡面1010rは、回転軸1009周りに対称であり、円錐面1010rs及び端部又はベース1010rbを有する切頭円錐の形状を有する。回転軸1009は、z軸に平行であり、加工面1007に垂直である。
エンドミル加工によって基材1005内に単純な細長い凹部を作製するために、回転工具及び切削包絡面1010rは、図10Aの下向きの矢印によって示すように加工面1007に向かって移動され、そのような動きは、包絡面(及び切削工具)が図10Bに示すように基材1005内に少なくとも部分的に入るまで、包絡面1010rの切削動作によって、加工面1007を越えて基材1005内へと前進する。次に、図6Cのように基材から直ちに引き抜かれる代わりに、切削包絡面1010rは、図10Cの右向きの矢印によって示すように、基材を通って横方向に移動され、進むにつれて切削する。横方向の動きは、x軸に平行である。図10Cの図では、凹部が切削包絡面1010rによって部分的に占有されていても、形成された凹部1020を既に識別することができる。また、この図では、凹部1020の特定の要素又は特徴:側面1031a、別の側面1041a、遷移線1061a1、及びベース1020bが見える。(間もなく、表面1031aが曲面であり、表面1041aが平坦面であることがわかることになる。)最後に、図10Cの横方向の切削の後で、切削包絡面1010rは、図10Dの上向きの矢印によって示すように、基材1005から垂直方向に引き出される。切削包絡面の引き抜きにより、切削工具が基材1005を通って切削する際の切削工具のミル加工動作によって形成された完全な細長いキャビティ又は凹部1020が明らかになる。上記の要素1031a、1041a、1061a1、及び1020bに加えて、凹部1020はまた、別の側面1031b、及び別の遷移線1061a2を有するように図10Dに見ることができる。凹部1020のこれら及び他の特徴は、図12及び図13に関連して以下で更に説明する。
図11は、一連の図10A〜図10Dに関連した回転エンドミルが従う経路の概略表現である。図11では、Σは、基材1005の加工面1007の平面を表し、回転エンドミルの経路は、線1115によって表される。表面平面Σは、x−y平面に平行である。経路1115は、真っ直ぐ、かつz軸に平行である、S1〜Bのセグメント及びC〜S2のセグメントを有する。経路1115はまた、真っ直ぐ、かつX軸に平行であるB〜Cのセグメントを有する。回転エンドミル又は切削包絡面1010rは、表面平面Σの上に準備された点S1で始まり、次いで、経路1115に沿って点Aに移動し、ここで、最初に回転エンドミルと基材との間で接触が生じ、切削が始まる。次いで、経路1115に沿って最深点Bまで移動するときに基材を切削し続け、次いで、x軸に平行に点Bから点Cまで横方向に移動し、次いで、点Cから点Dまで垂直に経路1115に沿って移動し、次いで、点Dから点S2まで平面Σの上に垂直に移動することによって、凹部1020から完全に引き抜かれる。経路1115に沿ったその移動全体にわたって、回転エンドミル又は切削包絡面1010rは、その回転軸1009をz軸に平行に維持する。経路1115の様々な識別可能な部分又はセグメントのうち、基材1005の実際の切削は、点Aから点Bへのセグメント、及び点Bから点Cへのセグメントの2つのセグメントのみで行われる。
図12及び図13は、それぞれ、図10Dの基材1005及び凹部1020の概略上面図及び斜視図であり、同様の要素は、同様の参照番号を有する。これらの図では、凹部1020は、その一部分が真っ直ぐであり、その一部分が湾曲している、外周1020pによって画定されているのを見ることができる。図12及び図13の図は、要素1031a及び1031bが凹部1020の湾曲した側面であることをより明確に示す。実際に、各湾曲した側面1031a、1031bは、切削包絡面1010rの円錐面1010rsの半分に対応し、それと同じ円錐形状を有する。対照的に、要素1041a、1041bは、凹部1020の平坦な側面である。各面1041a、1041bは、切削包絡面1010rの円錐面1010rsと同じ量で傾斜している。換言すれば、面1041aとx−z平面との間に形成される角度(並びに面1041bとx−z平面との間の角度)は、切削包絡面1010rの工具半角(THA)に等しい。図示された遷移線1061a1、1061a2、1061b1、1061b2は、物理的縁部ではないが、曲面(表面1031aなどの)から平坦面(面1041aなどの)への遷移が生じる場所を示すために図中に設けられている。平坦面1041a、1041bは、それら自体がそれぞれ加工面1007に対して傾斜しているが、平坦面1041a、1041bのいずれも加工面1007に対して傾斜した縁部を有していないことに留意されたい。凹部1020のベース1020bも、図12及び図13に示されている。
エンドミルの回転切削工具を使用して、キューブコーナー要素及び他の構造体を作製するための新たに開示する技術の基盤を形成することができる凹部を含む、他の凹部を切削することもできる。1つのそのような凹部は、図14A〜図14Bの一連の概略断面図で示すエンドミル加工手順で作製される。そこでは、基材1005と同じ又は同様であってもよい機械加工可能な基材1405は、加工面1407を有する。デカルト座標は、加工面1407がx−y平面内に位置する、又はx−y平面と平行に延在するように規定され、z軸は、表面1407の法線ベクトルを表す。最初に基材の上に準備された回転切削工具は、上述したように、回転エンドミルの切削包絡面1410rを提供する。切削包絡面1410rは、回転軸1409周りに対称であり、円錐面1410rs及び平坦な丸みのある端部又はベース1410rbを有する切頭円錐の形状を有する。回転軸1409は、z軸に平行であり、加工面1407に垂直である。
エンドミル加工によって基材1405内に凹部を作製し始めるために、切削包絡面1410rによって表される回転工具は、図6A〜図6B及び図10A〜図10Bと同様に、加工面1407に向かって、加工面1407の中に移動される。したがって、それらの他の図と同様に、切削包絡面1410rの動きは、包絡面(及び切削工具)が基材1405内に少なくとも部分的に入るまで、包絡面1410rの切削動作によって、加工面1407を越えて基材1405内へと前進する。これは、図14Aに示されており、図14Aは、図6B及び図10Bに類似している。その後、切削包絡面1410rは、基材1405から引き出される。しかし、図6Cのような純粋な垂直経路に沿って切削包絡面1410rを引き出す代わりに、及び図10Cのように純粋な横方向(水平)経路に沿って切削包絡面を移動させる代わりに、切削包絡面1410rは、回転軸1409の垂直な向きを維持しながら、加工面1407に対して傾斜した経路に沿って引き出される。傾斜した経路は、ゼロでない横方向成分及びゼロでない垂直成分を有し、図14Bのx−z平面内にあり、傾斜した基準軸1411に平行である。基準軸1411は、x−y平面に対して、又は加工面1407に対して測定したカント角α(アルファ)で傾斜している。図14Bは、回転エンドミル工具又は切削包絡面1410rが基材内に形成した凹部1420からちょうど出てきた時点における基材1405を示す。切削包絡面1410rの引き抜きにより、基材を通る切削工具のミル加工動作によって形成されたキャビティ又は凹部1420が明らかになる。切削包絡面1410rの円錐面1410rsは、x−y平面又は表面1407に対して角度THACをなす。
凹部1420の特徴の全てではないが一部が、図14Bの断面図に見える。読者が加工面1407及び凹部1420並びに関連する特徴のトポグラフィをより容易に理解することができるように、基材1405及び凹部1420の多くの他の図も示す。具体的には、図15は、図14Bの配置の上面図を示し、図16は、図15の切断線16−16を通る断面図を示し、図18は、図15と同様だが切削包絡面のない平面図を示し、図19は、図18の切断線19−19を通る断面図を示す。図20Aは、図14Bの切断線20A−20Aに沿った部分断面図を示し、図20Bは、図20Aと同様だが、図14Bの切断線20B−20Bに沿って取られており、図21は、基材1405の斜視図を示す。(図17A及び図17Bは、以下に更に説明する。)これらの図の全てを確認し比較して、凹部1420の明確な理解を得ることを読者に勧める。この一群の図を参照し、同様の参照番号が同様の要素を示し、いくつかの要素が一部の図では見えない、又はラベル付けされていないことを念頭に置いて、ここで、凹部1420に関連付けられた以下の特徴:ベース1420b、湾曲した側面1431、平坦面1441a及び平坦面1441b、遷移線1461a、1461b、丸みのある縁部1451、遷移線1451a、1451b、丸みのある縁部の終端1451t、並びに周囲又は外周1420pを説明する。
凹部1420のベース1420bは、切削包絡面のベース1410rbに対応し、それと同じ形状を有し、すなわち、ベース1410rbも小さく、平坦、かつ丸みがある場合には、小さく、平坦、かつ丸みがある。ベース1420bは小さいが、切削包絡面1410rの回転軸1409が切削の最深点でz軸に平行であったという事実により、x−y平面に平行な平面内にある。
凹部1420の湾曲した側面1431は、切削包絡面1410rの円錐面1410rsの一部分に対応し、それと同じ円錐形状を有する。
平坦面1441a及び1441bは、切削包絡面1410rが傾斜した切削経路に沿って基材1405を通ってその進路を切削している間に、対として共に形成される。面1441a、1441bは、互いに平行ではないが、以下により詳細に説明する丸みのある縁部1451に沿って、一緒になる、又は合流する。面1441aと1441bとの間の完全夾角(二面角)の真の測定は、両方の面に垂直であり、したがって縁部1451に垂直である任意の断面平面内で行なうことができる。他の断面平面内の面1441aと1441bとの間の角度を測定することにより、真の二面角以外の夾角(見かけ上の夾角と呼ばれる)の値をもたらすことになる。
切断線20A−20A及び20B−20B(図14Bを参照)は、例えば、面1441a、1441bの両方に垂直な断面平面を表す。二次デカルト座標系、x’y’z’(図14B、図20A、及び図20Bを参照)は、y’−z’平面がこれらの断面平面に平行であり、かつx’軸が丸みのある縁部1451(及びまた軸1411)に平行であるように規定される。したがって、図20A及び図20Bの断面図は、夾角が180−2Ωとしてラベル付けされた面1441aと1441bとの間の真の夾角(二面角)を示し、式中、Ω(大文字のオメガ)は、そのような面のそれぞれがx’−y’平面となす角度である。図20Bは、同様だが切断線19−19(図18を参照)に沿った一次xyz座標系のy−z平面における断面図である図19と対比することができる。y−z平面は、面1441a、1441bに対して垂直ではなく、縁部1451に対して垂直でもない。その図19では、見かけの夾角180−2ωが測定され、式中、ω(小文字のオメガ)は、各面1441a、1441bがこの断面平面においてx−y平面となす、見かけの角度である。幾何学的原理を使用して、ωがΩより大きいこと、及び、したがって図19の見かけの夾角180−2ωが図20Bの真の二面角180−2Ω未満であることを示すことができる。これらの面間の見かけの夾角180−2ωはまた、切削包絡面1410rの全角(図16の2*THAを参照)よりも大きい。(面1441aと1441bとの間の真の二面角180−2Ω、及び本明細書に開示する同様の面間の二面角は、エンドミルの切削包絡面の回転軸が、それらの面の形成中に傾斜した切削経路の軸に対して垂直ではないときはいつでも、切削包絡面の全角2*THAよりも大きいことも示すことができる。)工具半角THA及び傾斜した切削経路のカント角α、並びに後述する他の要因を適切に選択することにより、面1441a、1441bは、実用的な限度内の任意の所望の二面角180−2Ωを有するように作製することができる。図14A〜図14Bのエンドミル加工手順が基材内で実施される多くの他のエンドミル加工切削工程のうちの2つのみである、キューブコーナー要素の製造を伴う場合(例えば、以下の図47を参照)、THA及びαパラメータは、面間の二面角180−2Ωが90度に等しいように選択される。例えば、図14Bのエンドミル加工手順では、THAを35.264度に等しい(すなわち、THACが54.736度に等しい)ように選択し、カント角αを35.264度に等しいように選択することにより、面1441a、1441bが90度の二面角を有する、すなわち、それらが互いに直交することになることを確実にする。THA、αパラメータの他の組み合わせを使用して、x−y平面に対して異なる向きの互いに直交する面、並びに互いに直交しない面を作製することができる。
面1441a、1441bはまた、加工面に対して傾斜した線に沿って交差するそれぞれの基準平面を画定すると言うことができ、そのような線は、軸1411に平行であり、したがって、同じ角度αで傾斜している。
また、一群の図14B、図15、図16、図18、図19、図20A、図20B、及び図21では、遷移線1461a、1461bも見られる。これらの特徴は、物理的縁部ではないが、曲面、すなわち湾曲した側面1431から平坦面、すなわち、面1441a及び面1441bへの遷移が生じる場所を示すために図に設けられている。
また、一群の図では、面1441a、1441bが一緒になる場所に位置する丸みのある縁部1451も見られる。図14Bで最も良く分かるように、丸みのある縁部1451は、傾斜した切削経路及び基準軸1411に平行な方向に延在する。換言すれば、縁部1451は、傾斜した切削経路及び軸1411に平行な軸に沿って延在する。図14Bは、縁部1451が、x−y平面に対して軸1411と同じ角度αで傾斜していることを示す。これは、縁部1451が、傾斜した切削経路に沿って基材の中実材料を通って切削包絡面が移動する間に、ベース1410rb(又はベース1410rbの外側円形刃先)の動きによって形成されるためである。
縁部1451は、ベース1410rbの相対運動によって形成されるため、縁部1451の丸み又は曲率は、切削包絡面1410rが回転エンドミルの軸1409周りに円形(回転対称)であるベース1410rbを有するように先端が切られているという事実の直接的な結果である。すなわち、切削包絡面1410rがとがっていないベースではなく鋭い尖った切削先端部を有するように変更することが可能であった場合、面1441a、1441bは、鋭い縁部を形成するように合流することになる。実際は、切削包絡面の先端が切られており、その結果、ベースは、円形の刃先を有し、縁部1451は、丸みがある。読者は、完全な平坦度からの切削包絡面の切頭ベースの偏差は、上述したように、丸みのある縁部1451、並びに以下で説明する多くの構造体上の同様の丸みのある縁部の形状に影響を及ぼし得ることを理解するであろう。しかし、一般に、縁部1451及び同様の縁部は、切削包絡面の先端が切られ(平坦である又は平坦でないかにかかわらず)、エンドミル切削工具の回転軸周りに円対称性を有するという事実により、依然として丸みがある。
丸みのある縁部1451は、任意の様式で丸みがない、又は湾曲していないが、特定の方法では、円形ベース1410rbの向きの結果として、エンドミルによって丸みのある縁部が形成されている。これは、図14Bを参照して最も良く理解することができる。この図では、回転軸1409がz軸に平行である(及び、傾斜した切削経路に沿って切削包絡面が移動していた間にz軸に平行であった)という事実により、切削包絡面のベース1410rbは、x−y平面内にある。切削包絡面1410rのこの向きでは、ベース1410rbは、x−y平面内の円形形状を切削する。したがって、x−y平面に平行な平面内の丸みのある縁部1451の断面は、円弧であり、すなわち、その平面内で一定半径の曲率を示すことになる。これは、丸みのある縁部1451の終端1451tにおいて図18に見ることができ、ここで、終端1451tの曲率半径は、一定であり、ベース1420bの曲率半径に等しい。しかしながら、y−z平面(図19の断面図を参照)、又は面1441a、1441bの両方に垂直な平面(図20Bの断面図を参照)などの他の断面平面では、そのような他の平面内の円弧の投影は、楕円形状を生成し、したがって、一定の曲率ではなく可変の曲率を示す。これは、一定の曲率の丸みのある先端を有する鈍い切削工具を使用してフライカット加工によって(例えば、薄層の側面に)作製された面について予想されるものとは反対である。その場合、丸みのある先端は、第1の面と第2の面との間に丸みのある縁部を生成するが、丸みのある縁部の曲率は、第1及び第2の面の両方に垂直な断面平面において円形(一定半径)であり、他の断面平面において一定でない半径(非円形弧)を有することになる。
面1441a、1441bの両方に垂直な平面以外の平面内で一定半径の曲率を示す丸みのある縁部1451についての前述の説明はまた、切削包絡面のベースが平坦でない場合にも適用可能である。
丸みのある縁部1451の曲率又は半径、及び付随する幅は、所望により、エンドミル加工工具の好適な選択によって、限度内で選択することができ、これは次に、切削包絡面1410rの寸法Dbot(図5C参照)及び他の寸法を制御する。開示するエンドミル加工技術を使用してキューブコーナー要素を作製する多くの場合を含む、多くの用途において、丸みのある縁部1451が可能な限り鋭い縁部に近いように、丸みのある縁部1451の曲率半径をできるだけ小さくすることが望ましいであろう。これは、キューブコーナー要素上の丸みのある表面が、通常、再帰反射の非作用面積及び全光戻りの減少と関連付けられるからである。上述したように、寸法Dbotは、約20マイクロメートルほどに小さい、又は場合によってはより小さいものとすることができ、これは、一定の曲率をもたらす上述の断面平面における丸みのある縁部1451の曲率半径が、約10マイクロメートルほどに小さい、又は場合によってはより小さいものとすることができることを意味する。しかしながら、場合によっては、例えば、工具コスト、若しくは金型分離の問題、又は構造化物品の性能特性の理由にかかわらず、丸みのある縁部が10マイクロメートルの曲率半径を有する、又は更により大きな曲率半径を有する(すなわち、より丸みのある、より鋭くない)ことが実際に望ましい場合がある。
上記の説明から、丸みのある縁部1451、並びに凹部1420の他の表面及び特徴は、それを形成するために使用された回転エンドミル(切削包絡面1410r)の加工物であることが明らかである。この事実は、機械加工された物品自体(並びに、機械加工された物品の加工面の1つ以上の複製工程によって構造化表面が作製された後の世代の物品)における、切削工具が基材材料を通ってその進路を動作して縁部を形成する際に切削工具の欠陥又は波状動作から生じる、小さいナノスケールの跡又は特徴によって、明らかにすることができる。したがって、所与の開示した基材又は物品の丸みのある縁部は、例えば、電子顕微鏡又は他の高度な検査技術による、物品自体の近接検査にもっぱら基づいて、回転エンドミル、又はその切頭ベースの加工物として識別することができ得る。これは、切削包絡面のベースが平坦である又は平坦でないかにかかわらず、事実である。
また、一群の図14B、図15、図16、図18、図19、図20A、図20B、及び図21では、遷移線1451a、1451bも見られる。遷移線1461a、1461bと同様に、線1451a、1451bは、物理的縁部ではないが、丸みのある縁部1451から平坦面1441a、1441bへの遷移が生じる場所を示すために図に設けられている。
丸みのある縁部1451の終端1451tは、既に上記で参照されている。ここで、2つの端部のある丸みのある縁部1451はまた、終端1451tと反対側の別の終端を有し、そのような他の終端は、ベース1420bに配置されていることだけを言及しておく。
終端1451tはまた、凹部1420のより大きな周囲又は外周1420pの一部を形成する。特定の凹部1420に関して、外周1420pは、涙滴の一般的な形態を有する。外周1420pは、面1441a、1441bの上縁部に直線部分、並びに、曲面1431の上縁部に湾曲部分(大きな曲率半径の円弧)、及び丸みのある縁部1451の終端1451tに対応する反対側にある湾曲部分(小さい曲率半径の円弧)を有する。
ここで凹部1420を詳細に説明して、図17A及び図17Bに一時的に戻り、凹部が形成された、又は凹部を形成することができるエンドミル加工法を説明する。一連の図14A、図14B及び関連する説明によれば、回転エンドミル(切削包絡面)1410rは、基材内に直接下向きに突入することによって始まり、次いで、その後角度αで真っ直ぐな傾斜した経路に沿って引き抜かれる。この製造シーケンスは、図17Aの経路によって表される。
図17Aでは、Σは、基材1405の加工面1407の平面を表し、回転エンドミルの経路は、線1715aによって表される。表面平面Σは、x−y平面に平行である。経路1715aは、全部がx−z平面内にある。経路は、真っ直ぐ、かつz軸に平行である、S1〜Aのセグメント及びA〜Bのセグメントを有する。経路はまた、真っ直ぐだが、x軸に対して図14Bと同じ角度αである角度αで傾斜している、B〜Cのセグメント及びC〜S2のセグメントも有する。回転エンドミル又は切削包絡面1410rは、平面Σの上の点S1で始まり、次いで、経路1715aに沿って点Aに移動し、ここで回転エンドミルは最初に基材と接触し、次いで、経路1715aに沿って最深点Bに移動するときに基材を切削し続け、次いで、点Bから点Cまで角度αでの傾斜に沿って移動し、次いで、点Cから平面Σの上の点S2まで経路1715aに沿って移動するときに、凹部1420から引き抜かれながら、同じ傾斜方向に進む。経路1715aに沿ったその移動全体にわたって、回転エンドミル又は切削包絡面1410rは、その回転軸1409をz軸に平行に維持する。経路1715aの様々な識別可能な部分又はセグメントのうち、基材1405の実際の切削は、AからBへのセグメント、及びBからCへのセグメントの2つのセグメントで行われる。したがって、平面Σの上の経路部分、すなわち、S1〜A及びC〜S2の経路セグメントは、これらの経路部分が基材の切削を伴わないため、例えば、点S1又はS2を平面Σの上方の任意の他の位置に再配置することによって、形成される凹部の形状に影響を及ぼさずに、所望に応じて変更することができる。
図17Bは、経路1715aに類似している経路1715bを示し、実際に、経路1715bは、単に逆の順序での経路1715aである。したがって、図17Bの方法では、回転エンドミル又は切削包絡面1410rは、平面Σの上の点S1で始まり、次いで、経路1715bに沿って傾斜(カント角α)で点Aに移動し、ここで回転エンドミルは最初に基材と接触し、次いで、経路1715bに沿って最深点Bへと同じ傾斜(カント角α)で移動するときに基材を切削し続け(経路1715b上のこの点Bでは、凹部1420の形成が完了していることに留意されたい)、次いで、点Bから点Cまで垂直に移動するときに凹部から引き抜かれ始め、次いで、点Cから平面Σの上の点S2まで経路1715bに沿って移動するときに、凹部1420から完全に引き抜かれる。経路1715bに沿ったその移動全体にわたって、回転エンドミル又は切削包絡面1410rは、その回転軸1409をz軸に平行に維持する。経路1715bの様々な識別可能な部分又はセグメントのうち、基材1405の実際の切削は、1つのセグメント、AからBへのセグメントのみで行なわれる。
経路1715a(図17A)の動きに従って基材1405を切削包絡面1410rで切削することにより、図14B、図15、図16、図18、図19、図20A、図20B、及び図21に示すように凹部1420が生成される。しかし、経路1715b(図17B)の動きに従って同じ切削包絡面で同じ基材を切削することにより、同じ凹部1420が生成される。凹部が形成される方法においていくらかの違いがあるが、最終結果は同じ凹部である。1つの方法の差は、切削経路セグメントの数であり、経路1715aは、そのような2つのセグメント(図17AのA〜B及びB〜C)を有し、一方で、経路1715bは、1つの切削経路セグメント(図17BのA〜B)のみを有する。別の方法の差は、凹部1420の様々な特徴が形成される順序であり、経路1715aでは、湾曲した側面1431が、面1441a、1441bの前に形成され、形成された最後の特徴は、丸みのある縁部1451の終端1451tであるが、経路1715bでは、終端1451tは、最初に形成され、続いて面1441a、1441b、次いで湾曲した側面1431が形成される。
本明細書に開示する構造体のいずれも、第1の基材をマスター金型、又はツール、又はスタンパとして使用することによって複製することが可能であり、これから、成形、エンボス加工、押出成形、スタンピング、又は注型硬化法などの既知の複製技術によって、構造化表面を第2の基材に作製することができる。単一又は奇数の複製手順は、元の構造化表面のネガ又は反転コピーである複製内の構造化表面を生成する。2つ又は別の偶数の複製手順は、元の構造化表面のポジ又は反転されていないコピーである、すなわち、元の構造化表面と実質的に同じである複製内の構造化表面を生成する。
1つの既知の複製手順では、流体樹脂組成物をツール(第1の基材)の構造化表面上に注型し硬化させて、シート(第2の基材)を形成し、次いでシートは、ツールに対して反転された構造化表面を有する。ツール上に流体樹脂を注型するための好ましい方法は、米国特許第7,410,604号(Ericksonら)に記載されている。樹脂を所望の構成に形成することができる限り、様々な好適な樹脂組成物を使用することができる。屋外使用を目的とするキューブコーナーシート又は他のシートの場合、樹脂は、典型的には、寸法安定性、耐久性、耐候性であり、かつ所望の構成に容易に成形可能である透明材料である。好適な材料の例としては、Rohm and Haas Companyによって製造されたPlexiglasブランドの樹脂などの約1.5の屈折率を有するアクリル、約1.59の屈折率を有するポリカーボネート、熱硬化性アクリレート及びエポキシアクリレートなどの反応性材料、E.I.Dupont de Nemours and Co.,Inc.により商標名SURLYNで市販されているものなどのポリエチレン系イオノマー、(ポリ)エチレン−コ−アクリル酸、ポリエステル、ポリウレタン、及びセルロースアセテートブチレートが挙げられる。ポリカーボネートは、それらの靭性、及び一般により広い範囲の進入角度にわたって改善された再帰反射性能に寄与する比較的高い屈折率のためにキューブコーナーシートに特に好適である。これらの材料はまた、染料、着色剤、顔料、紫外線安定剤、又は他の添加剤を含んでもよい。
図22に、図14B、図15、図16、図18、図19、図20A、図20B、及び図21の基材1405の加工面(構造化表面)1407のネガ型複製である構造化表面2207を有する基材2205を示す。したがって、基材2205は、基材1405からの複製によって作製されてもよい。したがって、構造化表面2207は、基材1405の凹部1420の代わりに、構造化表面2207から突き出る突出部2220Zを含む。本発明者らは、構造化表面2207が概ね延在する平面にx−y平面が対応するように、図22にデカルト座標系を導入し、z軸は、表面2207の法線ベクトルを表し、x軸は、基材1405の丸みのある縁部1451に反転して対応する丸みのある縁部2251Zがx−z平面内にあるように向けられる。
突出部2220Zの特徴は、凹部1420の対応する特徴と1対1の(かつ反転された)関係を有する。読者は、凹部1420に関連して説明した態様及び特性が、突出部2220Zに対応する様式で適用されることを理解するであろう。その理解により、不要な繰り返しを回避することを願って、ここで、突出部2220Zと関連付けられた以下の特徴:ピーク又は頂部2220Za、湾曲した側面2231Z、平坦面2241Za及び平坦面2241Zb、遷移線2261Za、2261Zb、丸みのある縁部2251Z、遷移線2251Za、2251Zb、丸みのある縁部の終端2251Zt、及び周囲又は外周2220Zpを簡潔に要約する。
突出部2220Zのピーク又は頂部2220Zaは、小さく、平坦、かつ丸みのある形状を有し、x−y平面に平行な平面内にある。
突出部2220Zの湾曲した側面2231Zは、円錐形状を有する。
平坦面2241Za及び2241Zbは、丸みのある縁部2251Zに沿って一緒になる、又は合流する。面2241Zaと2241Zbとの間の二面角(ここでも180−2Ωと呼ぶことができる)は、両方の面に垂直な、したがって、また縁部2251Zに垂直である任意の断面平面内で測定することができる。面2241Za、2241Zbは、実用的な限度内の任意の所望の二面角180−2Ωを有するように作製することができる。キューブコーナー要素を伴う場合、面間の二面角180−2Ωは、90度に等しい。面2241Za、2241Zbは、構造化表面2207に対して傾斜した線に沿って交差するそれぞれの基準平面を画定すると言うことができ、そのような線は、角度αで傾斜している。
遷移線2261Za、2261Zbは、物理的縁部ではないが、湾曲した側面2231Zから平坦面2241Za、2241Zbへの遷移が生じる場所を示すために図に設けられている。
丸みのある縁部2251Zは、面2241Za、2241Zbが一緒になる場所に位置する。丸みのある縁部2251Zは、x−y平面に対して角度αで傾斜した軸に沿って延在する。丸みのある縁部2251Zは、任意の様式で丸みがない、又は湾曲していない。x−y平面に平行な平面内の丸みのある縁部2251Zの断面は、円弧であり、すなわち、その平面内で一定半径の曲率を示すことになる。しかしながら、y−z平面、又は面2241Za、2241Zbの両方に垂直な平面などの他の断面平面では、丸みのある縁部2251Zの形状は、楕円形であり、したがって、一定の曲率ではなく可変の曲率を示す。丸みのある縁部1451の曲率半径及び付随する幅は、所望の限度内とすることができるが、一定の曲率をもたらす断面平面内で測定したときに、概ね少なくとも10マイクロメートルであり、場合によっては、実質的により大きくてもよい。エンドミル加工によって作製された物品から複製された結果として、丸みのある縁部2251Zはまた、例えば、切削工具が先行世代の基材材料を通ってその進路で動作する際に、切削工具の欠陥又は波状動作から生じ、縁部2251Zへの複製によって引き継がれた、小さいナノスケールの跡又は特徴によって明らかにされるように、回転エンドミルの加工物である。
遷移線2261Za、2261Zbと同様に、遷移線2251Za、2251Zbは、物理的縁部ではないが、丸みのある縁部2251Zから平坦面2241Za、2241Zbへの遷移が生じる場所を示すために図に設けられている。
終端2251Ztは、丸みのある縁部2251Zの2つの端部のうちの1つである。丸みのある縁部2251Zの他方の端部又は終端は、頂部2220Zaに配置される。終端2251Ztはまた、突出部2220Zのより大きな周囲又は外周2220Zpの一部を形成する。外周2220Zpは、面2241Za、2241Zbの下縁部に直線部分、並びに、曲面2231Zの下縁部に湾曲部分(大きな曲率半径の円弧)、及び丸みのある縁部2251Zの終端2251Ztに対応する反対側にある湾曲部分(小さい曲率半径の円弧)を有する、涙滴の一般的な形態を有する。
突出部2220Zは、涙滴形状の凹部1420からの複製によって作製される。図17Aの経路又は図17Bの経路によってかにかかわらず、凹部1420を形成する方法は、切削経路に沿って基材を通って移動する回転エンドミルで基材を切削することを伴い、切削経路は、基材の加工面に対して傾斜した経路部分を含む。図17Aの経路1715aでは、BからCへの経路セグメントは、角度αで傾斜した切削経路であり、図17Bの経路1715bでは、AからBへの経路セグメントは、角度αで傾斜した切削経路である。
涙滴形状の凹部1420及び突出部2220Zは両方とも、エンドミル加工法によって直接的又は間接的に作製される特徴的なマークを有する。凹部1420又は突出部2220Zのいずれもキューブコーナー要素ではないが、それらは、光学的、機械的、若しくは他の用途でフィルム、シート、又は他の物品の構造化表面に組み込まれる場合に、個々に、又は同一若しくは異なる凹部若しくは突出部のアレイ若しくはグループの1つの要素としてかにかかわらず、それでも有用であり得る。
更に、本明細書に開示するキューブコーナー要素を形成するためのエンドミル加工法は、凹部1420及び突出部2220Zの平坦面を作製するために使用された同じエンドミル加工法、すなわち、基材の加工面に対して傾斜した部分を含む切削経路に沿って基材を通って移動する回転エンドミルで基材を切削することを、繰り返して、追加の平坦面を形成することができ、次いで、元の平坦面及び追加の平坦面の少なくとも一部を組み合わせて、基材にキューブコーナー要素を形成することができるという認識から生じる。以下の説明及び図で更に説明するように、そのような組み合わせは、互いに対する平坦面の向き、及び加工面(又は構造化表面)に対する平坦面の向きの適切な制御に依拠し、これは次に、各切削工程のための切削包絡面の工具半角THA、各切削工程のための傾斜した切削経路部分のカント角(後述するようにα、又はβ、γなど)、z軸及び各切削工程のための傾斜した切削経路部分の垂直平面に対する切削工具回転軸の向き、並びに様々な切削工程のための切削経路部分の相対的な向きなどのエンドミル加工切削パラメータの賢明な選択によって制御される。
しかし、エンドミル加工法によって作製されたキューブコーナー要素を説明する前に、キューブコーナー要素ではない、涙滴形状の凹部1420及びその対応する突出部2220Zの多数の変形を作製することができることを指摘したい。これらの多数の変形のうちのいくつかを、図23〜図27に示すように、回転エンドミルの動きの代替的な経路を参照して説明する。これらの代替経路に対応する凹部を図28〜図32に示し、図28の凹部は、図23の経路に対応し、図29の凹部は、図24の経路に対応する、などである。
ここで読者は、図17A又は図17Bの経路(又は図23〜図27の経路のいずれか)などでも、エンドミルに関する動きの所与の経路は、図14B、図15、図16、図18、図19、図20A、図20B、及び図21に示すキャビティ1420が単にそのうちの1つの要素である、異なる凹部(及び対応する突出部)の一群全体を生成することができることを注意する必要がある。そのような異なる凹部の群は、同じ経路(例えば、図17A又は図17B)だが、異なるエンドミルパラメータ、例えば、異なる工具半角THA(図5C及び以下の図34〜図36を参照)、Dbot及びDtopに対する異なる値(図5C参照)、並びにz軸及び切削経路部分の垂直平面に対する切削工具回転軸の異なる向き(例えば、以下の図33の角度θ及びφを参照)を使用する。別の言い方をすれば、他のエンドミルパラメータも提供されない限り、エンドミルの動きの所与の経路単独では、特定の凹部又は対応する突出部の形状又は構成を指定するには不十分である。
これを念頭に置いて、本発明者らは、図23〜図27及び対応する図28〜図32に注意を向ける。簡略化のために、図23〜図27のそれぞれにおけるエンドミルの動きの経路全体は、単一の垂直平面内にあると仮定され、この平面に、x−z平面を指定する。これらの図のそれぞれにおいて、Σは、切削される基材の加工面(又は構造化表面)の平面を表し、Σは、座標系のx−y平面に平行であると見なされる。図23〜図27の経路のそれぞれは、点S1で始まり、点S2で終了するとして説明されるが、読者は、回転エンドミルが、S2で始まり、S1で終了する逆経路に従って、同じ凹部を作製することができることを理解するであろう。図28〜図32の凹部は、図23〜図27の経路にそれぞれ対応し(図示した凹部のそれぞれが、それらの経路に対応することができる可能な凹部の一群全体のうちの1つの要素であることに留意して)、回転切削工具(又は切削包絡面)の回転軸は、対応する経路に従う際にz軸に常に平行であると仮定する。図28〜図32の凹部はまた、これらの追加の回転エンドミルパラメータ(図5Cを参照):THA=35.264度、及びDbot=30マイクロメートルを仮定する。図28〜図32のxyz座標軸は、それらの対応する図23〜図27のxyz軸と一致する。
図23では、回転エンドミルの経路2315は、表面の上の点S1で始まり、表面平面Σ上に位置する点Aに進み、次いで最深点Bに進み、次いで点Cに進み、次いで表面平面Σ上に位置する点Dに進み、表面の上の点S2で終了することができる。S1〜A、及びA〜B、及びC〜D、及びD〜S2の経路2315のセグメントは、真っ直ぐであり、かつz軸に平行である。B〜Cの経路2315のセグメントは、真っ直ぐであるが、x軸に対して角度αで傾斜している。このように経路2315に従うと、基材の実際の切削は、A〜Bのセグメント、及びB〜Cのセグメントにおいてのみ行なわれる。(逆経路では、切削は、D〜C、及びC〜Bのみで行なわれる。)
図28は、凹部2820が形成された加工面2807を有する、上述した基材と同じ又は類似であってもよい基材2805を示し、この凹部は、図23の経路2315に沿って移動する上述したような回転エンドミルによって形成される。凹部2820は、外周2820p及びベース2820bを有する。凹部2820はまた、大きな湾曲した側面2831a及びより小さい湾曲した側面2831bを有する。凹部2820はまた、丸みのある縁部2851に沿って一緒になる又は合流する平坦面2841a、2841bを有する。これらの平坦面間の二面角は、90度である。丸みのある縁部は、図23におけるのと同じカント角αでx−y平面に対して傾斜した軸に沿って延在する。図28では、αは、35.264度であると仮定される。丸みのある縁部2851は、終端2851t、及びベース2820bにある別の終端を有する。遷移線2861a、2861b、2861c、2861dは、平坦面と湾曲した側面との間の境界を示す。遷移線2851a、2851bは、丸みのある縁部と平坦面との間の境界を示す。湾曲した側面、平坦面、丸みのある縁部、及び遷移線は、詳細に上述したキャビティ1420の対応する特徴と同じ又は類似の特性及び属性を有する。経路2315を参照して、切削包絡面が経路セグメントB〜Cに沿って移動する間に、凹部の平坦面2841a、2841bが形成され、切削包絡面が点Bに位置している間に、湾曲した側面2831aが形成され、切削包絡面が点Cに位置している間に、湾曲した側面2831bが形成される。
図24では、回転エンドミルの経路2415は、表面の上の点S1で始まり、表面平面Σ上に位置する点Aに進み、次いで最深点Bに進み、次いで別の最深点Cに進み、次いで表面平面Σ上に位置する点Dに進み、表面の上の点S2で終了することができる。S1〜A、及びA〜Bの経路2415のセグメントは、真っ直ぐであり、かつz軸に平行である。B〜Cの経路2415のセグメントは、真っ直ぐであり、かつx軸に平行である。C〜D、及びD〜S2の経路2415のセグメントは、真っ直ぐであるが、x軸に対して角度αで傾斜している。このように経路2415に従うと、基材の実際の切削は、A〜Bのセグメント、及びB〜Cのセグメント、及びC〜Dのセグメントにおいてのみ行なわれる。(逆経路では、切削は、D〜C、及びC〜Bのみで行なわれる。)
図29は、凹部2920が形成された加工面2907を有する、上述した基材と同じ又は類似であってもよい基材2905を示し、この凹部は、図24の経路2415に沿って移動する上述したような回転エンドミルによって形成される。凹部2920は、外周2920p及びベース2920bを有する。凹部2920はまた、大きな湾曲した側面2931、及び2つのより小さい湾曲した側面2932a、2932bを有する。凹部2920はまた、ともにベース2920bと交差する平坦面2941a、2941bを有する。これらの平坦面間の二面角は、切削包絡面の全円錐角、すなわち、2*THAと同じである。凹部2920はまた、丸みのある縁部2951に沿って一緒になる又は合流する平坦面2941c、2941dを有する。これらの平坦面間の二面角は、90度である。丸みのある縁部は、図24におけるのと同じカント角αでx−y平面に対して傾斜した軸に沿って延在する。図29では、αは、35.264度であると仮定される。丸みのある縁部2951は、終端2951t、及びベース2920bとのその交線にある別の終端を有する。遷移線2961a、2961b、2961c、2961d、2961e、2961fは、平坦面と湾曲した側面との間の境界を示す。遷移線2951a、2951bは、丸みのある縁部と平坦面との間の境界を示す。湾曲した側面、平坦面、丸みのある縁部、及び遷移線は、詳細に上述したキャビティ1420の対応する特徴と同じ又は類似の特性及び属性を有する。経路2415を参照して、切削包絡面が経路セグメントB〜Cに沿って移動する間に、凹部の平坦面2941a、2941bが形成され、切削包絡面が経路セグメントC〜Dに沿って移動する間に、平坦面2941c、2941dが形成され、切削包絡面が点Bに位置している間に、湾曲した側面2931aが形成され、切削包絡面が点Cに位置している間に、湾曲した側面2932a、2932bが形成される。
図25では、回転エンドミルの経路2515は、表面の上の点S1で始まり、表面平面Σ上に位置する点Aに進み、次いで最深点Bに進み、次いで点Cに進み、次いで表面平面Σ上に位置する点Dに進み、表面の上の点S2で終了することができる。S1〜A、及びA〜Bの経路2515のセグメントは、真っ直ぐであり、かつz軸に平行である。B〜Cの経路2515のセグメントは、真っ直ぐであるが、x軸に対して角度α1で傾斜している。C〜D、及びD〜S2の経路2515のセグメントは、真っ直ぐであるが、x軸に対して角度α2(式中、α2>α1)で傾斜している。このように経路2515に従うと、基材の実際の切削は、A〜Bのセグメント、及びB〜Cのセグメント、及びC〜Dのセグメントにおいてのみ行なわれる。(逆経路では、切削は、D〜C、及びC〜Bのみで行なわれる。)
図30は、凹部3020が形成された加工面3007を有する、上述した基材と同じ又は類似であってもよい基材3005を示し、この凹部は、図25の経路2515に沿って移動する上述したような回転エンドミルによって形成される。凹部3020は、外周3020p及びベース3020bを有する。凹部3020はまた、大きな湾曲した側面3031、及び2つのより小さい湾曲した側面3032a、3032bを有する。凹部3020はまた、丸みのある縁部3051に沿って一緒になる又は合流する平坦面3041a、3041bを有する。これらの平坦面間の二面角は、71.783度である。丸みのある縁部3051は、図25におけるのと同じカント角α1でx−y平面に対して傾斜した軸に沿って延在する。図30では、α1は、10度であると仮定される。丸みのある縁部3051は、終端3051t、及びベース3020bにある別の終端を有する。凹部3020はまた、丸みのある縁部3052に沿って一緒になる又は合流する平坦面3042a、3042bを有する。これらの平坦面間の二面角は、90度である。丸みのある縁部3052は、図25におけるのと同じカント角α2でx−y平面に対して傾斜した軸に沿って延在する。図30では、α2は、35.264度であると仮定される。丸みのある縁部3052は、終端3052t、及び他の丸みのある縁部3051と共有する別の終端3051tを有する。遷移線3061a、3061b、3061c、3061d、3062a、3062bは、平坦面と湾曲した側面との間の境界を示す。遷移線3051a、3051b、3052a、3052bは、丸みのある縁部と平坦面との間の境界を示す。湾曲した側面、平坦面、丸みのある縁部、及び遷移線は、詳細に上述したキャビティ1420の対応する特徴と同じ又は類似の特性及び属性を有する。経路2515を参照して、切削包絡面が経路セグメントB〜Cに沿って移動する間に、凹部の平坦面3041a、3041bが形成され、切削包絡面が経路セグメントC〜Dに沿って移動する間に、平坦面3042a、3042bが形成され、切削包絡面が点Bに位置している間に、湾曲した側面3031aが形成され、切削包絡面が点Cに位置している間に、湾曲した側面3032a、3032bが形成される。
図26では、回転エンドミルの経路2615は、表面の上の点S1で始まり、表面平面Σ上に位置する点Aに進み、次いで最深点Bに進み、次いで表面平面Σ上に位置する点Cに進み、表面の上の点S2で終了することができる。S1〜A、及びA〜Bの経路2615のセグメントは、真っ直ぐであるが、x軸に対して角度α1で傾斜している。B〜C、及びC〜S2の経路2615のセグメントは、真っ直ぐであるが、x軸に対して角度α2(式中、α2はα1におよそ等しいが、それらは、図に示すように反対の向きに傾斜している)で傾斜している。このように経路2615に従うと、基材の実際の切削は、A〜B、及びB〜Cのセグメントにおいてのみ行なわれる。(逆経路では、切削は、C〜B、及びB〜Aのみで行なわれる。)
図31は、凹部3120が形成された加工面3107を有する、上述した基材と同じ又は類似であってもよい基材3105を示し、この凹部は、図26の経路2615に沿って移動する上述したような回転エンドミルによって形成される。凹部3120は、外周3120p及びベース3120bを有する。凹部3120はまた、2つの湾曲した側面3131a、3131bを有する。凹部3120はまた、丸みのある縁部3151に沿って一緒になる又は合流する平坦面3141a、3141bを有する。これらの平坦面間の二面角は、90度である。丸みのある縁部3151は、図26におけるのと同じカント角α1でx−y平面に対して傾斜した軸に沿って延在する。図31では、α1は、35.264度であると仮定される。丸みのある縁部3151は、終端3151t、及びベース3120bにある別の終端を有する。凹部3120はまた、丸みのある縁部3152に沿って一緒になる又は合流する平坦面3142a、3142bを有する。これらの平坦面間の二面角は、90度である。丸みのある縁部3152は、図26におけるのと同じカント角α2でx−y平面に対して傾斜した軸に沿って延在する。図31では、α2は、35.264度であると仮定される。丸みのある縁部3152は、終端3152t、及びベース3120bにある別の終端を有する。遷移線3161a、3161b、3162a、3162bは、平坦面と湾曲した側面との間の境界を示す。遷移線3151a、3151b、3152a、3152bは、丸みのある縁部と平坦面との間の境界を示す。湾曲した側面、平坦面、丸みのある縁部、及び遷移線は、詳細に上述したキャビティ1420の対応する特徴と同じ又は類似の特性及び属性を有する。経路2615を参照して、切削包絡面が経路セグメントA〜Bに沿って移動する間に、凹部の平坦面3141a、3141bが形成され、切削包絡面が経路セグメントB〜Cに沿って移動する間に、平坦面3142a、3142bが形成され、切削包絡面が点Bに位置している間に、湾曲した側面3131a,3131b(並びにベース3120b)が形成される。
図27では、回転エンドミルの経路2715は、表面の上の点S1で始まり、表面平面Σ上に位置する点Aに進み、次いで最深点Bに進み、次いで表面平面Σ上に位置する点Cに進み、表面の上の点S2で終了することができる。S1〜A、及びA〜Bの経路2715のセグメントは、真っ直ぐであるが、x軸に対して角度α1で傾斜している。B〜C、及びC〜S2の経路2715のセグメントは、真っ直ぐであるが、x軸に対して角度α2(式中、α2<α1であり、それらの角度は、図に示すように反対の向きに傾斜している)で傾斜している。このように経路2715に従うと、基材の実際の切削は、A〜B、及びB〜Cのセグメントにおいてのみ行なわれる。(逆経路では、切削は、C〜B、及びB〜Aのみで行なわれる。)
図32は、凹部3220が形成された加工面3207を有する、上述した基材と同じ又は類似であってもよい基材3205を示し、この凹部は、図27の経路2715に沿って移動する上述したような回転エンドミルによって形成される。凹部3220は、外周3220p及びベース3220bを有する。凹部3220はまた、2つの湾曲した側面3231a、3231bを有する。凹部3220はまた、丸みのある縁部3251に沿って一緒になる又は合流する平坦面3241a、3241bを有する。これらの平坦面間の二面角は、110.988度である。丸みのある縁部3251は、図27におけるのと同じカント角α1でx−y平面に対して傾斜した軸に沿って延在する。図32では、α1は、45.526度であると仮定される。丸みのある縁部3251は、終端3251t、及びベース3220bにある別の終端を有する。凹部3220はまた、丸みのある縁部3252に沿って一緒になる又は合流する平坦面3242a、3242bを有する。これらの平坦面間の二面角は、90度である。丸みのある縁部3252は、図27におけるのと同じカント角α2でx−y平面に対して傾斜した軸に沿って延在する。図32では、α2は、35.264度であると仮定される。丸みのある縁部3252は、終端3252t、及びベース3220bにある別の終端を有する。遷移線3261a、3261b、3262a、3262bは、平坦面と湾曲した側面との間の境界を示す。遷移線3251a、3251b、3252a、3252bは、丸みのある縁部と平坦面との間の境界を示す。湾曲した側面、平坦面、丸みのある縁部、及び遷移線は、詳細に上述したキャビティ1420の対応する特徴と同じ又は類似の特性及び属性を有する。経路2715を参照して、切削包絡面が経路セグメントA〜Bに沿って移動する間に、凹部の平坦面3241a、3241bが形成され、切削包絡面が経路セグメントB〜Cに沿って移動する間に、平坦面3242a、3242bが形成され、切削包絡面が点Bに位置している間に、湾曲した側面3231a、3231b(並びにベース3220b)が形成される。
図28〜図32の凹部、並びに本明細書に開示する全ての他の凹部は、物品の構造化表面内に、個々に、又はグループ若しくはアレイに形成することができ、そのような個々の又はグループの凹部もまた複製して、物品の構造化表面内に個々又はグループの対応する突出部を形成することができる。
上述のように、開示した凹部及び突出部に対する更なる設計柔軟性は、傾斜した切削経路部分のカント角(例えば、α、α1、α2、β、γなど)を調整することに加えて、THA、Dbot、及びDtop(図5Cを参照)などのエンドミルパラメータ、並びにz軸及び切削経路部分の垂直平面に対する切削工具回転軸の向きを調整することにより、実現することができる。
切削工具回転軸の向きは、図33の概略図に示すように、極角θ及び方位角φの観点から表すことができる。この図では、上述したエンドミルの切削包絡面のうちのいずれかと同じ又は同様であってもよい切削包絡面3310rが示されている。したがって、切削包絡面3310rは、円錐形状の側面3310rs、切頭端部又はベース3310rb、及び回転軸3309を含む。切削包絡面3310rは、本明細書の他の図と同様に、デカルトxyz座標系との関連で示されている。図33の目的のために、z軸は、エンドミルによって切削される加工面又は構造化表面の法線ベクトルに対応し、そのような表面はx−y平面に平行に延在すると仮定する。更に、切削包絡面がz軸に平行でない(すなわちx−y平面に対して傾斜している、又はx−y平面に平行であるのいずれか)経路部分に沿って移動する範囲で、そのような経路部分は、x−z平面内にあると仮定する。このようにして、傾斜した切削包絡面の方位角φを測定する基準は、経路部分が位置する垂直平面である。
切削包絡面3310rは、傾斜を有さない、すなわち、その回転軸3309がz軸に平行であるとして参照目的のために示されている。これは、図に示す一般化した傾斜した切削包絡面3310r’と対比することができる。切削包絡面3310rと同様に、切削包絡面3310r’は、円錐形状の側面3310r’、切頭端部又はベース3310rb’、及び回転軸3309’を有する。しかしながら、切削包絡面3310r’は、ゼロでない極角θ及びゼロでない方位角φを有するように傾斜し、すなわち、回転軸3309’は、z軸に対してゼロでない角度θをなし、回転軸3309’を含む垂直平面(回転軸垂直平面と呼ぶことができる)は、x−z平面に対してゼロでない角度φをなす。図33はまた、x−z平面から離れている(その外側に位置する)として切削包絡面3310r’を示す。この隔離は、ゼロでない極角及び方位角θ、φをより良好に示す目的のためだけであり、読者は、切削包絡面3310r’(例えば、少なくともそのベース3310rb’)が、通常、x−z平面内にあると仮定した経路部分に沿って切削するときに、x−z平面内に存在することを理解するであろう。以下に説明する実施形態のいくつかの目的のために、x−z平面(傾斜した経路部分が存在する)に対する回転軸垂直平面の回転方向に応じて、正又は負の値をφに割り当てることができる。図33に示す切削包絡面の向き3310r’に示すように、及びいわゆる右手の法則に従って、z軸周りの反時計回りの回転は、正であると見なされ、その一方で、z軸周りの時計回りの回転は、負であると見なされる。
所与の切削経路又は経路部分に関して、回転エンドミルの切削包絡面は、ゼロでない極角θ及びゼロの方位角φ(すなわち、傾斜した切削経路部分の垂直平面内で傾斜した)、又はゼロでない極角及び方位角(すなわち、傾斜した切削経路部分の垂直平面の外側で傾斜した)、又は全く傾斜していない(傾斜した切削経路部分の垂直平面内で垂直に向けられた)かにかかわらず、所望に応じて傾斜させて、所与の凹部の様々な曲面、平坦面、又は他の特徴の所望の向きを達成することができる。例えば、凹部の平坦面を切削するために使用されるx−z平面内に位置する傾斜した切削経路に対して、切削包絡面の回転軸の極角θを調整することによって、そのような面の間の二面角を、所与の工具半角THAに対して調整することができる。回転軸が切削経路の方向又は軸に対して垂直であるように、極角θを選択することにより、最大二面角(2*THAに等しい)を生成し、一方で、回転軸と切削経路の軸との間の角度を減少させるように、極角θを調整することにより、平坦面の間のより大きな二面角(2*THAより大きい)を生成する。方位角φはまた、例えば、切削経路が存在する垂直平面に対して非対称な様式で平坦面を向けるように、(ゼロでない極角θに対して)調整することもできる。角度θ及びφのゼロでない値は、2つの平坦面を接続する丸みのある縁部の曲率特性に関する結果を有することに留意されたい。すなわち、角度θ及びφを変更することにより、一般的に、丸みのある縁部が一定半径の曲率を示す断面平面の向きを変更することになる。
切削工具回転軸の向きを調整することに加えて、また、THA及びDbotなどのエンドミルパラメータの適切な選択によって、設計柔軟性を提供することができる。一群の図34、図35、及び図36に、THAの異なる値の比較を示す。図34では、第1の回転エンドミルは、円錐面3410rs、切頭端部又はベース3410rb、及び工具半角THA1を有する第1の切削包絡面3410rを提供する。THAC1は、THA1の幾何学的余角である。図35では、第2の回転エンドミルは、円錐面3510rs、切頭端部又はベース3510rb、及び工具半角THA2を有する第2の切削包絡面3510rを提供する。THAC2は、THA2の幾何学的余角である。図36では、第3の回転エンドミルは、円錐面3610rs、切頭端部又はベース3610rb、及び工具半角THA3を有する第3の切削包絡面3610rを提供する。THAC3は、THA3の幾何学的余角である。切削包絡面3410r、3510r、又は3610rのいずれか1つは、上述の切削包絡面510rと同じ又は同様であってもよいが、これらの切削包絡面は、THA2がTHA1よりも大きく、かつTHA3がTHA2よりも大きい、異なる半(及び全)円錐角を有する。THAの増加した又は減少した値を提供するエンドミル工具を選択することにより、設計者が、開示した方法によって形成される凹部の平坦面間の二面角をそれぞれ増加又は減少させて、目標二面角を達成することが可能になる。
図37は、図37の経路が単一の垂直平面内に全部はないことを除いて、図17A、図17B、及び図23〜図27の経路とほとんどの点で類似している回転エンドミルのための経路3715を示す。代わりに、経路3715は、異なる垂直平面内にある2つのセグメントを含む。経路3715は、本明細書の他の図と同様に、デカルトxyz座標系との関連で示されている。図37の目的のために、z軸は、エンドミルによって切削される基材の加工面又は構造化表面の法線ベクトルに対応し、そのような表面はx−y平面に平行に延在すると仮定する。しかしながら、図37では、加工面の実際の平面(例えば、図17A、図17B、及び図23〜図27のΣを参照)は、Az及びCzの両方としてラベル付けする点でz軸と交差するように、x−y平面の上に位置すると仮定する。また、加工面の平面が図37の点A及びCを含むと仮定する。点Azはz軸上への点Aの投影であり、点Cz(Azと同じ点)は、z軸上への点Cの投影である。点Axyは、x−y平面上への点Aの投影であり、点Cxyは、x−y平面上への点Cの投影である。別の点Bは、経路3715上に位置し、加工面の平面の下に位置する。点Bは、実際には、経路3715上の任意の点の最深の(基材内の)点である。
経路3715は、1つは点Aから点Bのもの(又はその逆)、及び1つは点Bから点Cのもの(又はその逆)の2つの別個のセグメント又は部分を有する。点Bは、両方のセグメントに共通である、又は共有される。経路3715のA〜Bセグメントは、x−z垂直平面内にあり、角度αでx−y平面(及び基材の加工面)に対して傾斜している。経路3715のB〜Cセグメントは、異なる垂直平面内にあり、角度βでx−y平面(及び基材の加工面)に対して傾斜している。B〜Cセグメントの垂直平面は、z軸及び点Cを含み、角度Φ(大文字のファイ)で他の垂直平面(x−z平面)と交差する。二次デカルト座標系x’y’z’は、z’軸が一次z軸と同一であり、かつ、B〜Cセグメントの垂直平面が二次座標系のx’−z’平面であるように規定することができる。x’軸は、図37に示されているが、y’軸は、図を過度に複雑にすることを避けるために示されていない。非平行な垂直平面間の交差角Φは、一般に、所望に応じて選択することができるが、開示する実施形態の多くにおいて、交差角Φは、少なくとも10度である。
経路3715は、図17AのS1〜A及びC〜S2のセグメントなどの基材の表面の上で行われる、したがって任意の切削を伴わない回転エンドミルの切削包絡面の任意の動きを無視して省略している。むしろ、経路3715は、基材の切削を伴うセグメントのみを含む。上述のように工具半角THA及び切頭ベースを有する切削包絡面が、経路の傾斜したセグメントA〜Bに沿って移動するとき、第1及び第2の平坦面を形成する。実際に、切削包絡面が最深点Bに到達する時までに、上記の図21に示すものなどの涙滴形状の凹部を既に形成している。次いで、切削包絡面をB〜Cの他の傾斜したセグメントに従わせる場合、切削包絡面は、凹部を拡張し、そうすることで、第1及び第2の平坦面とは異なる第3及び第4の平坦面を形成する。(一般に、第1のエンドミル(及び第1の切削包絡面)をセグメントA〜Bに使用することができ、第2のエンドミル(及び第2の切削包絡面)をセグメントB〜Cに使用することができ、第1及び第2のエンドミルは、同じである必要はないが、場合によっては、同じであってもよい。更に、そのような第1及び第2のエンドミルは、それぞれの切削経路のそれぞれに対して、極角θ及び方位角φ(図33を参照)に関して同じ向きを有する必要はないが、場合によっては、同じ向きを有することができる。エンドミル切削工具がゼロでない極角θで傾斜しているいくつかの場合には、切削包絡面は、両方の切削経路セグメントに関して構造化表面上の固定基準マーク(又は座標系)に対して同じ向きで傾斜させることができ、その場合、単一の固定された垂直平面ではなく、それぞれの対応する切削経路セグメントの垂直平面に対して角度φが測定されると仮定するため、異なる切削経路の方位角φは異なることになる。)
経路セグメントB〜Cに関連付けられた第3及び第4の平坦面は、経路セグメントA〜Bに関連付けられた第1及び第2の平坦面に対して、任意の所望の構成、並びに任意の整合度又は不整合度を有することができる。しかしながら、本発明者らは、第3の平坦面及び第4の平坦面を、これらの面のうちの1つが第1及び第2の面のうちの1つと十分に整列するように構成して、それにより、整列した2つの面が単一の複合面を形成することによって、キューブコーナー要素を含む特に有用な構造体を形成することができることを見出した。図38に、そのような実施形態を示す。
図38は、凹部3820が形成された加工面3807を有する、上述した基材と同じ又は類似であってもよい基材3805を示し、この凹部は、図37の経路3715と同様の、共有する最深端点を有する異なる2つの傾斜したセグメントを有する経路に沿って移動する上述したような回転エンドミル(又は2つの回転エンドミル)によって形成される。(読者は、一次(用意されていない)座標軸に対する二次(用意した)座標軸の配置が、図38では図37とは異なるが、それでもなお、図38の凹部は、図37の経路3715に非常によく似た2つのセグメントの経路、すなわち、異なる垂直平面内に位置する2つの傾斜した経路又は経路部分で切削されることを注意されたい。)
凹部3820は、外周3820p及びベース3820bを有し、ベースは、切削経路セグメントの最深(及び共有)点に対応する。凹部3820は、湾曲した側面3831を有する。凹部3820はまた、丸みのある縁部3851に沿って一緒になる又は合流する2つの平坦面3841a、3841bを有する。これらの平坦面間の二面角は、所望に応じて調整することができるが、図示した実施形態では、90度である。丸みのある縁部3851は、x−y平面に対して角度αで傾斜した軸に沿って延在する(例えば、図37を参照)。図38では、αは、35.264度であると仮定される。そのようなカント角では、面3841a、3841bは、THA=35.264度の切削包絡面が極角θ=0、及び方位角φ=0で使用される場合、90度の二面角を有するように作製することができる。丸みのある縁部3851は、終端3851t、及びベース3820bにある別の終端を有する。
凹部3820はまた、第2の丸みのある縁部3852に沿って一緒になる又は合流する他の2つの平坦面3842a、3842bを有する。これらの平坦面間の二面角は、所望に応じて調整することができるが、図示した実施形態では、90度である。丸みのある縁部3852は、x−y平面に対して角度βで傾斜した軸に沿って延在する(例えば、図37を参照)。図38では、βは、35.264度であると仮定される。そのようなカント角では、面3842a、3842bは、THA=35.264度の切削包絡面が極角θ=0、及び方位角φ=0で使用される場合、90度の二面角を有するように作製することができる。丸みのある縁部3852は、終端3852t、及びベース3820bにある別の終端を有する。ベース3820bはまた、少なくとも丸みのある縁部3851、3852の接合部に位置するため、頂点と見なすこともできる。遷移線3861、3862は、平坦面と湾曲した側面3831との間の境界を示す。遷移線3851a、3851b、3852a、3852bは、丸みのある縁部と平坦面との間の境界を示す。湾曲した側面、平坦面、丸みのある縁部、及び遷移線は、詳細に上述したキャビティの対応する特徴と同じ又は類似の特性及び属性を有する。
図38の凹部3820を図18に示す涙滴形状の凹部1420と比較することによって、図37に示すものなどの切削経路の2つの傾斜したセグメント又は部分に対応する2つの工程で、凹部3820を作製することができることを理解することができる。第1の工程では、回転エンドミルの切削包絡面は、x−z平面内に位置する傾斜した切削経路に沿って移動しながら、基材内に切削する(例えば、図37のセグメントA〜Bを参照)。この第1の工程の最後に、涙滴形状の凹部は、図18のものと同様又は同じに形成される。第2の工程では、同じ切削包絡面は、垂直にではなく、異なる垂直平面内に位置する第2の傾斜した切削経路に沿って基材から引き抜かれる(図38のx’−z’平面を参照)。第2の工程の間、切削包絡面は、凹部を拡張し、更なる2つの平坦面を形成し、図38の凹部3820をもたらす。代替の実施形態では、涙滴形状のキャビティを保持するような方法で、第1の切削包絡面を涙滴形状のキャビティから引き抜くことができ、次いで、代替の第2の工程では、異なる第2の切削包絡面(例えば、異なるTHAを有する)を、第2の傾斜した切削経路に沿って移動させて、2つの代替的な平坦面を形成することができる。
異なる2つの傾斜した切削経路又は経路セグメントは、異なる垂直平面、すなわち、丸みのある縁部3851並びに平坦面3841a及び3841bを形成することに関与する、図38のx−z平面、並びに、丸みのある縁部3852並びに平坦面3842a及び3842bを形成することに関与する、図38のx’−z’平面内に位置する。これらの異なる垂直平面は、角度Φ(図38ではラベル付けされていないが、図37に示す角度Φと類似している)で交差する。凹部の製造業者は、任意の所望の方法で回転エンドミルの動きを制御することができ、したがって、交差角Φを任意の所望の値にすることができる。図38の実施形態では、本発明者らは、交差角Φ=120度を選択した。面3842a、3842bの選択された形状を考慮すると、この交差角は、面3842aが面3841bと実質的に整列し、それにより、これらの面が一緒になって複合面を形成することを確実にする。これにより、本発明者らは、個々の面がその一部である構造体が、代替の構造体と同じ又は類似の方法で機能し、代替の構造体が、第1の構造体の2つの面が単一の一体型面で置き換えられていることを除いて、第1の構造体と別の方法で同一であるように、個々の面が密接に整列し、互いに近いことを意味する。したがって、複合面の2つの構成面は、実質的に単一の面として機能する。一般に、異なる機械加工工程で形成された構成面は、互いに区別可能であり、本明細書で分割線と呼ばれる特徴に沿って合流する。所与の実施形態における分割線は、構成面がわずかな不整合を有する場合、容易に検出することができる、又は、アライメントが完璧若しくはほぼ完璧である場合、分割線は、検出することが困難、例えば、電子顕微鏡などの高度な検査装置でのみ検出可能であり得る。凹部3820の場合、複合面の構成面3842a、3841bは、分割線3871に沿って合流する。分割線3871は、ベース3820bから凹部3820の外周3820pまで延在する。図38及び以下の他の図では、分割線は、異なる破線パターンを使用することによって、遷移線と区別される。
図38の複合面の分離された正面図を、図39に示す。図39では、複合面は、CFとラベル付けされる。図39の他の参照ラベルは、図38の参照ラベルと同じであり、更なる説明を必要としない。
図40〜図42は、複合面の2つの構成面の間で実現することができる異なる整合度又は不整合度を示す。これらの図は、平坦面が線分として見えるように、側面図又は横面図で描かれている。図40では、複合面CFの構成面4041、4042は、完璧又はほぼ完璧なアライメントにあり、それにより、それらは、検出することが困難、例えば、高度な検査装置でのみ検出可能である分割線4071に沿って一緒になる又は合流する。図41では、複合面CFの構成面4141、4142は、小さい並進不整合を有し、それにより、それらは、分割線4071よりも検出することが困難でない小さな段階状分割線4171に沿って一緒になる又は合流する。図42では、複合面CFの構成面4241、4242は、小さい角度不整合を有し、それにより、それらは、同様に分割線4071よりも検出することが困難でないわずかなエッジ状分割線4271に沿って一緒になる又は合流する。
更に、図42の角度不整合に関して、図43は、図42のものなどの複合面の構成面を表すことができる2つの平面PLN1、PLN2を概略的に示す。これらの平面は、それぞれの平面に垂直なそれぞれの法線ベクトルN1及びN2を有する。図42に概略的に示すような角度不整合は、N1及びN2が完全な平行からわずかに偏位しているときに生じる。角度偏差は、任意の方向又は平面に沿って生じ得る。例示的な実施形態では、精密機械加工技術を使用して、角度偏差が小さい、例えば、10度未満、又は5度未満、又は1度未満であることを確実にすることができる。
図38の基材3805及び凹部3820の斜視図を、図44に示す。同様の参照番号は同様の要素を示し、更なる説明は必要ではない。
図45に、図38及び図44の基材3805の加工面(構造化表面)3807のネガ型複製である構造化表面4507を有する基材4505を示す。したがって、基材4505は、基材3805からの複製によって作製されてもよい。したがって、構造化表面4507は、基材3805の凹部3820の代わりに、構造化表面4507から突き出る突出部4520Zを含む。本発明者らは、構造化表面4507が概ね延在する平面にx−y平面が対応するように、図45にデカルト座標系を導入し、z軸は、表面4507の法線ベクトルを表し、x軸は、凹部3820の丸みのある縁部に反転して対応する丸みのある縁部4551Zがx−z平面内にあるように向けられる。
突出部4520Zの特徴は、凹部3820の対応する特徴と1対1の(かつ反転された)関係を有する。読者は、凹部3820に関連して開示した態様及び特性が、突出部4520Zに対応する様式で適用されることを理解するであろう。その理解により、不要な繰り返しを回避することを願って、ここで、突出部4520Zと関連付けられた以下の特徴:ピーク又は頂部4520Za、湾曲した側面4531Z、平坦面4541Za、4541Zb、4542Za、及び4542Zb、複合面の構成平坦面4541Zbと4542Zaとの間の分割線4571Z、遷移線4561Z、4562Z、丸みのある縁部4551Z及び4552Z、一方の丸みのある縁部の終端4551Zt及び他方の丸みのある縁部の終端4552Zt、並びに周囲又は外周4520Zpを簡潔に要約する。(丸みのある縁部と隣接する平坦な表面との間の境界を示す遷移線は、図に示されているが、ラベル付けされていない。)
突出部4520Zのピーク又は頂部4520Zaは、小さく、平坦、かつ丸みのある形状を有し、x−y平面に平行な平面内にある。頂部4520Zaは、少なくとも丸みのある縁部4551Z、4552Zの接合部に位置するため、突出部の頂点と見なすことができる。
突出部4520Zの湾曲した側面4531Zは、円錐形状を有する。
平坦面4541Za及び4541Zbは、丸みのある縁部4551Zに沿って一緒になる、又は合流する。面4541Zaと4541Zbとの間の二面角(180−2*Ω1と呼ぶことができる)は、両方の面に垂直な、したがって、また縁部4551Zに垂直である任意の断面平面内で測定することができる。面4541Za、4541Zbは、実用的な限度内の任意の所望の二面角180−2*Ω1を有するように作製することができる。キューブコーナー要素を伴う場合、面間の二面角180−2*Ω1は、90度に等しい。面4541Za、4541Zbは、構造化表面4507に対して傾斜した線に沿って交差するそれぞれの基準平面を画定すると言うことができ、そのような線は、角度αで傾斜している。
平坦面4542Za及び4542Zbは、丸みのある縁部4552Zに沿って一緒になる、又は合流する。面4542Zaと4542Zbとの間の二面角(180−2*Ω2と呼ぶことができる)は、両方の面に垂直な、したがって、また縁部4552Zに垂直である任意の断面平面内で測定することができる。面4542Za、4542Zbは、実用的な限度内の任意の所望の二面角180−2*Ω2を有するように作製することができる。キューブコーナー要素を伴う場合、面間の二面角180−2*Ω2は、90度に等しい。面4542Za、4542Zbは、構造化表面4507に対して傾斜した線に沿って交差するそれぞれの基準平面を画定すると言うことができ、そのような線は、角度βで傾斜している。
遷移線4561Z、4562Zは、物理的縁部ではないが、湾曲した側面4531Zから平坦面4541Za、4542Zbへの遷移が生じる場所を示すために図に設けられている。
丸みのある縁部4551Zは、面4541Za、4541Zbが一緒になる場所に位置する。丸みのある縁部4551Zは、x−y平面に対して角度αで傾斜した軸に沿って延在する。丸みのある縁部4551Zは、任意の様式で丸みがない、又は湾曲していないが、特定の方法では、図21及び図22に関連して上述したようである。したがって、x−y平面に平行な平面内の丸みのある縁部4551Zの断面は、円弧であり、すなわち、その平面内で一定半径の曲率を示す。面4541Za、4541Zbの両方に垂直な平面を含む他の断面平面では、丸みのある縁部4551Zの形状は、楕円形であり、したがって、一定の曲率ではなく可変の曲率を有する。丸みのある縁部4551の曲率半径は、概ね少なくとも10マイクロメートルである。丸みのある縁部4551Zはまた、回転エンドミルの加工物である。
同様に、丸みのある縁部4552Zは、面4542Za、4542Zbが一緒になる場所に位置する。丸みのある縁部4552Zは、x−y平面に対して角度βで傾斜した軸に沿って延在する。丸みのある縁部4552Zは、任意の様式で丸みがない、又は湾曲していないが、特定の方法では、図21及び図22に関連して上述したようである。したがって、x−y平面に平行な平面内の丸みのある縁部4552Zの断面は、円弧であり、すなわち、その平面内で一定半径の曲率を示す。面4542Za、4542Zbの両方に垂直な平面を含む他の断面平面では、丸みのある縁部4552Zの形状は、楕円形であり、したがって、一定の曲率ではなく可変の曲率を有する。丸みのある縁部4552の曲率半径は、概ね少なくとも10マイクロメートルである。丸みのある縁部4552Zはまた、回転エンドミルの加工物である。
終端4551Ztは、丸みのある縁部4551Zの2つの端部のうちの1つである。丸みのある縁部4551Zの他方の端部又は終端は、頂部4520Zaに配置される。同様に、終端4552Ztは、丸みのある縁部4552Zの2つの端部のうちの1つであり、他方の端部は、頂部4520Zaに配置されている。終端4551Zt及び終端4552Ztの両方は、突出部4520Zのより大きな周囲又は外周4520Zpの一部を形成する。外周4520Zpは、面4541Za、4541Zb、4542Za、4542Zbの下縁部に直線部分、並びに、曲面4531Zの下縁部に湾曲部分(大きな曲率半径の円弧)、並びに終端4551Zt及び終端4552Ztに対応する他の湾曲部分(小さい曲率半径の円弧)を含む。
凹部3820及び突出部4520Zは両方とも、エンドミル加工法によって直接的又は間接的に作製される特徴的なマークを有する。これらの構造体のそれぞれは、光学的、機械的、若しくは他の用途でフィルム、シート、又は他の物品の構造化表面に組み込まれる場合に、個々に、又は同一若しくは異なる凹部若しくは突出部のアレイ若しくはグループの1つの要素としてかにかかわらず、有用であり得る。
図46は、図46の経路が異なる2つの垂直平面のみに限定されないことを除いて、図37の経路とほとんどの点で類似している回転エンドミルのための経路4615を示す。代わりに、経路4615は、3つのセグメントを含み、これらのセグメントのそれぞれは、それ自体の異なる垂直平面内にある。経路4615は、本明細書の他の図と同様に、1つ以上のデカルト座標系との関連で考えられてもよい。しかしながら、簡略化及び説明の容易さのために、1つのz軸のみが図に含まれている。z軸は、エンドミルによって切削される基材の加工面又は構造化表面の法線ベクトルに対応し、そのような表面はx−y平面に平行に延在すると仮定する。加工面の実際の平面(例えば、図17A、図17B、及び図23〜図27のΣを参照)は、代わりにAz、Cz、又はDzとしてラベル付けした点でz軸と交差すると仮定される。また、加工面の平面が図46の点A、C、及びDを含むと仮定する。点Az、Cz、Dzは、z軸上への点Aの投影、及びまたz軸上への点Cの投影、及びまたz軸上への点Dの投影である。別の点Bは、経路4615上に位置し、加工面の平面の下に位置する。点Bは、実際には、経路4615上の任意の点の最深の(基材内の)点である。
経路4615は、1つは点Aから点Bのもの(又はその逆)、1つは点Bから点Cのもの(又はその逆)、及び1つは点Bから点Dのもの(又はその逆)の3つの別個のセグメント又は部分を有する。点Bは、3つ全てのセグメントに共通である、又は共有される。経路4615のA〜Bのセグメントは、第1の垂直平面内にあり、角度α(アルファ、図46には示されていない)で基材の加工面に対して傾斜している。第1の垂直平面は、点A及びz軸を含む。Z軸は、図46に示すようなものであり、x軸は、x−z平面が第1の垂直平面であるように向けられた、一次xyz座標系を規定することができる。
経路4615のB〜Cのセグメントは、異なる第2の垂直平面内にあり、角度β(ベータ、図46には示されていない)で基材の加工面に対して傾斜している。第2の垂直平面は、点C及びz軸を含む。z’軸は、z軸と同じであり、x’軸は、x’−z’平面が第2の垂直平面であるように向けられた、二次x’y’z’座標系を規定することができる。
経路4615のB〜Dのセグメントは、異なる第3の垂直平面内にあり、角度γ(ガンマ、図46には示されていない)で基材の加工面に対して傾斜している。第3の垂直平面は、点D及びz軸を含む。z’’軸は、z軸と同じであり、x’’軸は、x’’−z’’平面が第3の垂直平面であるように向けられた、三次x’’y’’z’’座標系を規定することができる。
第1及び第2の垂直平面は、角度Φ1で交差する(図46には示されていない)。第2及び第3の垂直平面は、角度Φ2で交差する(図46には示されていない)。第1及び第3の垂直平面は、角度Φ3で交差する(図46には示されていない)。交差角Φ1、Φ2、Φ3は、一般に、所望に応じて選択することができるが、開示する実施形態の多くにおいて、交差角Φは、少なくとも10度である。場合によっては、3つ全ての角度Φ1、Φ2、Φ3は、同じであるが、他の場合には、3つの角度のうちの2つのみが同じであり、一方、更に他の場合では、3つの角度の全ては、互いに異なる。
経路4615は、基材の表面の上で行われる回転エンドミルの切削包絡面の任意の動きを無視し省略する。むしろ、経路4615は、基材の切削を伴うセグメントのみを含む。上述のように工具半角THA及び切頭ベースを有する切削包絡面が、経路の傾斜したセグメントA〜Bに沿って移動するとき、第1及び第2の平坦面を形成する。実際に、切削包絡面が最深点Bに到達する時までに、上記の図21に示すものなどの涙滴形状の凹部を既に形成している。次いで、切削包絡面をB〜Cの傾斜したセグメントに従わせる場合、切削包絡面は、凹部を拡張し、そうすることで、上記の図38のものと同様のキャビティを提供するようになど、第1及び第2の平坦面とは異なる第3及び第4の平坦面を形成する。次に、切削包絡面を残りのセグメントB〜Dに従わせることによって、基材を更に拡張してもよく、そうすることで、切削包絡面は、第1の面から第4の面とは別個の第5及び第6の平坦面を形成する。(一般に、第1のエンドミル(及び第1の切削包絡面)をセグメントA〜Bに使用することができ、第2のエンドミル(及び第2の切削包絡面)をセグメントB〜Cに使用することができ、第3のエンドミル(及び第3の切削包絡面)をセグメントB〜Dに使用することができ、第1、第2、及び第3のエンドミルは、同じである必要はないが、場合によっては、同じであってもよい。更に、そのような第1、第2、及び第3のエンドミルは、それぞれの切削経路のそれぞれに対して、極角θ及び方位角φに関して同じ向きを有する必要はないが、場合によっては、同じ向きを有することができる。エンドミル切削工具がゼロでない極角θで傾斜しているいくつかの場合には、切削用包絡面は、3つ全ての切削経路セグメントに関して構造化表面上の固定基準マーク(又は座標系)に対して同じ向きで傾斜させることができ、その場合、単一の固定された垂直平面ではなく、それぞれの対応する切削経路セグメントの垂直平面に対して角度φが測定されると仮定するため、異なる切削経路の方位角φは異なることになる。)
経路セグメントB〜Cに関連付けられた第3及び第4の平坦面は、経路セグメントA〜Bに関連付けられた第1及び第2の平坦面に対して、任意の所望の構成、並びに任意の整合度又は不整合度を有することができ、更に、経路セグメントB〜Dに関連付けられた第5及び第6の平坦面は、第1〜第4の平坦面のいずれに対しても、任意の所望の構成、並びに任意の整合度又は不整合度を有することができる。しかしながら、本発明者らは、面のうちの2つ(例えば、第2の面及び第3の面)が名目上平坦な第1の複合面を形成し、かつ他の2つの面(例えば、第4の面及び第5の面)が名目上平坦な第2の複合面を形成し、かつ残りの2つの面(例えば、第1の面及び第6の面)が名目上平坦な第3の複合面を形成するように、面を構成することによって、キューブコーナー要素を含む特に有用な構造体を形成することができることを見出した。図47に、そのような実施形態を示す。
図47は、凹部4720が形成された加工面4707を有する、上述した基材と同じ又は類似であってもよい基材4705を示し、この凹部は、図46の経路4615と同様の、共有する最深端点を有する異なる3つの傾斜したセグメントを有する経路に沿って移動する上述したような回転エンドミル(又は、異なる2つ若しくは3つの回転エンドミル)によって形成される。(読者は、図46の概略図が、図47の凹部4720の特徴に厳密に対応しないことがあるが、それでもなお、図47の凹部は、図46の経路4615に非常によく似た3つのセグメントの経路、すなわち、異なる垂直平面内に位置する3つの傾斜した経路又は経路部分で切削されることを注意されたい。)
凹部4720は、外周4720p及びベース4720bを有し、ベースは、切削経路セグメントの最深(及び共有)点に対応する。凹部4720は、丸みのある縁部4751に沿って一緒になる又は合流する2つの平坦面4741a、4741bを有する。これらの平坦面間の二面角は、所望に応じて調整することができるが、図示した実施形態では、90度である。丸みのある縁部4751は、x−y平面に対して角度αで傾斜した軸に沿って延在する。図47では、αは、35.264度であると仮定される。そのようなカント角では、面4741a、4741bは、THA=35.264度の切削包絡面が極角θ=0、及び方位角φ=0で使用される場合、90度の二面角を有するように作製することができる。丸みのある縁部4751は、終端4751t、及びベース4720bにある別の終端を有する。
凹部4720はまた、第2の丸みのある縁部4752に沿って一緒になる又は合流する他の2つの平坦面4742a、4742bを有する。これらの平坦面間の二面角は、所望に応じて調整することができるが、図示した実施形態では、90度である。丸みのある縁部4752は、x−y平面に対して角度βで傾斜した軸に沿って延在する。図47では、βは、35.264度であると仮定される。そのようなカント角では、面4742a、4742bは、THA=35.264度の切削包絡面が極角θ=0、及び方位角φ=0で使用される場合、90度の二面角を有するように作製することができる。丸みのある縁部4752は、終端4752t、及びベース4720bにある別の終端を有する。
凹部4720はまた、第2の丸みのある縁部4753に沿って一緒になる又は合流する他の2つの平坦面4743a、4743bを有する。これらの平坦面間の二面角は、所望に応じて調整することができるが、図示した実施形態では、90度である。丸みのある縁部4753は、x−y平面に対して角度γで傾斜した軸に沿って延在する。図47では、γは、35.264度であると仮定される。そのようなカント角では、面4743a、4743bは、THA=35.264度の切削包絡面が極角θ=0、及び方位角φ=0で使用される場合、90度の二面角を有するように作製することができる。丸みのある縁部4753は、終端4753t、及びベース4720bにある別の終端を有する。ベース4720はまた、少なくとも丸みのある縁部4751、4752、4753の接合部に位置するため、頂点と見なすこともできる。遷移線4751a、4751b、4752a、4752b、4753a、4753bは、丸みのある縁部と平坦面との間の境界を示す。平坦面、丸みのある縁部、及び遷移線は、詳細に上述したキャビティの対応する特徴と同じ又は類似の特性及び属性を有する。
図47の凹部4720を図18に示す涙滴形状の凹部1420と比較することによって、図46に示すものなどの切削経路の3つの傾斜したセグメント又は部分に対応する3つの工程で、凹部4720を作製することができることを理解することができる。第1の工程では、回転エンドミルの切削包絡面は、x−z平面内に位置する傾斜した切削経路に沿って移動しながら、基材内に切削する(例えば、図46のセグメントA〜Bを参照)。この第1の工程の最後に、涙滴形状の凹部は、図18のものと同様又は同じに形成される。第2の工程では、同じ切削包絡面は、垂直にではなく、異なる垂直平面内に位置する第2の傾斜した切削経路に沿って基材から引き抜かれる(例えば、図46のセグメントB〜Cを参照)。第2の工程の間、切削包絡面は、凹部を拡張し、更なる2つの平坦面を形成し、図38の凹部3820と同じ又は同様であってもよい拡張された凹部をもたらす。第3の工程では、同じ切削包絡面は、更に別の垂直平面内に位置する第3の傾斜した切削経路に沿って切削包絡面を移動させることによって、基材のなんらかの残りの部分を通って切削してもよい(例えば、図46のセグメントB〜Dを参照)。第3の工程の間、切削包絡面は、凹部を更に拡張し、更なる2つの平坦面を形成し、図47に示すものなどの更なる拡張された凹部をもたらす。代替的な実施形態では、第1の切削包絡面は、涙滴形状のキャビティを保持するような方法で涙滴形状のキャビティから引き抜くことができ、次いで、代替の第2の工程では、異なる第2の切削包絡面(例えば、異なるTHAを有する)は、更に2つ(第3及び第4)の平坦面を形成するように、第2の傾斜した切削経路に沿って移動させることができ、代替の第3の工程では、異なる第3の切削包絡面(例えば、更に別のTHAを有する)は、2つの最終(第5及び第6の)平坦面を形成するように、第3の傾斜した切削経路に沿って移動させることができる。
異なる3つの傾斜した切削経路又は経路セグメントは、異なる垂直平面、すなわち、丸みのある縁部4751並びに平坦面4741a及び4741bを形成することに関与する、図47のx−z平面、丸みのある縁部4752並びに平坦面4742a及び4742bを形成することに関与する、図47のx’−z’平面、並びに、丸みのある縁部4753並びに平坦面4743a及び4743bを形成することに関与する、図47のx’’−z’’平面内に位置する。x−z平面は、角度Φ1でx’−z’平面と交差し、x’−z’平面は、角度Φ2でx’’−z’’平面と交差し、x’’−z’’平面は、角度Φ3でx−z平面と交差する(これらの角度は図47ではラベル付けされない)。凹部の製造業者は、任意の所望の方法で回転エンドミルの動きを制御することができ、したがって、Φ1+Φ2+Φ3=360度の制約で交差角Φ1、Φ2、Φ3を任意の所望の値にすることができる。図47の実施形態では、本発明者らは、Φ1=Φ2=Φ3=120度を選択した。様々な平坦面4741a、4741b、4742a、4742b、4743a、4743bの本発明者らの選択した形状を考慮すると、これらの交差角は、面4742aが面4741bと実質的に整列して第1の複合面を形成し、面4742bが面4743aと実質的に整列して第2の複合面を形成し、面4743bが面4741aと実質的に整列して第3の複合面を形成することを確実にし、これらの複合面のそれぞれは、図39〜図43に関連して上述した複合面と同様又は同じである。第1の複合面の構成面4742a及び4741bは、第1の分割線4771に沿って交わり、第2の複合面の面4742b及び4743aは、第2の分割線4772に沿って交わり、第3の複合面の面4743b及び4741aは、第3の分割線4773に沿って合流する。分割線4771、4772、及び4773のそれぞれは、凹部4720のベース4720bから外周4720pまで延在する。
図47の基材及び凹部の斜視図を図48に示し、同様の参照番号は同様の要素を示し、更なる説明は必要ではない。
キューブコーナー文献に精通している読者は、凹部4720が傾斜していない切頭キューブコーナー要素と見かけが実質的に同様であることを直ちに認識するであろう。また、図47〜図48の実施形態では、本発明者らは、平坦面の様々な対が90度の二面角で互いに交差するように設計したため、第1、第2、及び第3の複合面は、互いに垂直であり、したがって、凹部4720はまた、キューブコーナー要素4780である。第1、第2、及び第3の複合面は、キューブコーナー要素4780の光学面である。丸みのある縁部4751、4752、4753は、キューブコーナー要素の二面縁部であり、非二面縁部は、キューブコーナー要素4780のベース三角形を構成する三角形状の外周4720pの3辺である。ベース三角形の内角は、傾斜していないキューブコーナー要素と一致して、全て60度であることに留意されたい。
したがって、本発明者らは、円錐形の切削包絡面を有する回転エンドミルだけを使用して基材内にキューブコーナー要素を形成するための技術を実証した。更に、キューブコーナー要素の全ての平坦面(構成面及び複合面の両方)は、単一のエンドミル切削工具で、かつエンドミルの回転軸が基材の加工面に常に垂直な切削工程で作製することができる。当然ながら、本明細書に開示する他の実施形態は、回転エンドミルで作製されるキューブコーナー要素の一部又は1つの平坦面のみを有してもよく、いくつかの実施形態は、第1の回転エンドミル(第1の切削包絡面を有する)で形成された1つ又はいくつかの平坦面、及び異なる第2の回転エンドミル(異なる第2の切削包絡面を有する)で形成された別の又は他の平坦面などを有してもよく、いくつかの実施形態は、回転軸が基材の加工面に対して傾斜した回転エンドミルを使用することができるため、これらの記述は、過度に限定的に解釈されるべきではない。
キューブコーナー要素4780の二面縁部が鋭くはなく丸みがあり、頂点又はベース4720bが尖っているのではなく先端が切られているという事実は、キューブコーナー要素の光学性能に影響を与えることになる。特に、先鋭度からのこれらの偏差は、先鋭度からの偏差を除いて同じ別のキューブコーナー要素と比較して、キューブコーナー要素4780の全光戻りを低減することになる。しかしながら、全光戻りの低減は、寸法Dbot(図5Cを参照)、及び丸みのある縁部の関連する曲率半径をキューブコーナー要素の他の寸法に対して可能な限り小さく維持することによって、管理することができる。更に、以下に更に示すように、キューブコーナー要素4780を作製するために使用される同じエンドミル加工技術を使用して、丸みのある縁部がキューブコーナー要素の二面縁部にではなく、非二面縁部に生じる、PGキューブコーナーコーナー要素を含む代替のキューブコーナー要素を作製することができる。
読者は、キューブコーナー要素4780は、基材のサイズ又は厚さ、及び利用可能なエンドミル切削工具のサイズによってのみ制限される、任意の所望のサイズ(例えば、ベース4720bの深さによって、又は外周4720pの直径などの横寸法によって測定したときの)に作製することができることを理解するであろう。読者はまた、単に回転エンドミルで更なる切削作業を実行することにより、同じ加工面又は基材に、同じサイズ又は異なるサイズかにかかわらず、多数のキューブコーナー要素を容易に作製することができることを理解するであろう。更に、同じ基材内に形成された追加のキューブコーナー要素のうちのいずれか1つ、又はいくつか、又は全ては、図47〜図48のxyz座標系に対してキューブコーナー要素4780と同じ向きを有することができる、又は、例えば、図47〜図48のz軸周りのなんらかの任意の回転量に関連付けられたように、異なって向けられてもよい。別の言い方をすれば、開示する技術は、キューブコーナー要素4780の光学面(複合面)のいずれも、その隣接する又は近傍のキューブコーナー要素(単数又は複数)の光学面のいずれとも同一平面上にない(名目上同一平面上にもない)ように、キューブコーナー要素4780に隣接するが異なる向きの(例えば、要素4780を作製するために使用される垂直平面の組とは異なる垂直平面を選択することによって)追加のキューブコーナー要素を形成する自由を設計者に与える。更に、本明細書の教示から、凹部又は構造体のうちの1つ、いくつか、又は全ては、三角形のベース外周を有する必要はなく、キューブコーナー要素である必要はないことが、本明細書の教示から明らかであろう。所与の構造体のベースは、例えば、正方形、六角形、若しくは五角形の形状、又は星形などのより複雑な形状を有してもよい。
読者はまた、切削パラメータのうちの1つ又はいくつかを変更することによって、例えば、切削用包絡面のTHAを変更することによって、又は切削経路セグメントのカント角を変更することによって、キューブコーナー要素4780を作製するために使用される同じ技術を使用して、キューブコーナー要素ではないがキューブコーナー要素に似ていてもよい他のプリズム構造体を、それらが三角形のベース外周及び3つの三角形の複合面を含んでもよいが、その複合面が互いに垂直であることから大きく偏位している限り、作製することができることを理解するであろう。そのような代替のプリズム構造体は、キューブコーナーシート以外の光管理フィルム、又は、例えば、研磨剤若しくは非粘着フィルムなどの機械的用途において有用であり得る。
構造化表面4907が図48のもののネガ型複製である基材4905の斜視図を、図49に示す。したがって、基材4905は、基材4705からの複製によって作製されてもよい。したがって、構造化表面4907は、基材4705の凹部4720の代わりに、構造化表面4907から突き出る突出部4920Zを含む。凹部4720はキューブコーナー要素(キャビティ)4780であるため、突出部4920Zも、キューブコーナー要素(突出部)4980である。
本発明者らは、構造化表面4907が概ね延在する平面にx−y平面が対応するように、図49にデカルト座標系を導入し、z軸は、表面4907の法線ベクトルを表し、x軸は、凹部4720の丸みのある縁部に反転して対応する丸みのある縁部4951Zがx−z平面内にあるように向けられる。
突出部4920Zの特徴は、凹部4720の対応する特徴と1対1の(かつ反転された)関係を有する。読者は、凹部4720に関連して開示した態様及び特性が、突出部4920Zに対応する様式で適用されることを理解するであろう。その理解により、不要な繰り返しを回避することを願って、ここで、突出部4920Zと関連付けられた以下の特徴:ピーク又は頂部4920Za、平坦面4941Zb及び4942Za(第1の複合面を形成する)、4942Zb及び4943Za(第2の複合面を形成する)、並びに4943Zb及び4941Za(第3の複合面を形成する)、3つの複合面の構成平坦面間の分割線4971Z、4972Z、及び4973Z、丸みのある縁部4951Z、4952Z、及び4953Z、それぞれの丸みのある縁部の終端4951Zt、4952Zt、及び4953Zt、並びに周囲又は外周4920Zpを簡潔に要約する。丸みのある縁部と隣接する平坦な表面との間の境界を示す遷移線は、図に示されているが、ラベル付けされていない。
突出部4920Zのピーク又は頂部4920Zaは、小さく、平坦、かつ丸みのある形状を有し、x−y平面に平行な平面内にある。頂部4920Zaは、少なくとも丸みのある縁部4951Z、4952Z、4953Zの接合部に位置するため、突出部の頂点と見なすことができる。
平坦面4941Za及び4941Zbは、丸みのある縁部4951Zに沿って一緒になる、又は合流する。面4941Zaと4941Zbとの間の二面角(180−2*Ω1と呼ぶことができる)は、両方の面に垂直な任意の断面平面内で測定することができる。面4941Za、4941Zbは、任意の所望の二面角180−2*Ω1を有するように作製することができるが、突出部4920zがキューブコーナー要素である図示の実施形態では、二面角は、90度に等しい。面4941Za、4941Zbは、構造化表面4907に対して傾斜した線に沿って交差するそれぞれの基準平面を画定すると言うことができ、そのような線は、角度αで傾斜している。
平坦面4942Za及び4942Zbは、丸みのある縁部4952Zに沿って一緒になる、又は合流する。面4942Zaと4942Zbとの間の二面角(180−2*Ω2と呼ぶことができる)は、両方の面に垂直な任意の断面平面内で測定することができる。面4942Za、4942Zbは、任意の所望の二面角180−2*Ω2を有するように作製することができるが、突出部4920zがキューブコーナー要素である図示の実施形態では、二面角は、90度に等しい。面4942Za、4942Zbは、構造化表面4907に対して傾斜した線に沿って交差するそれぞれの基準平面を画定すると言うことができ、そのような線は、角度βで傾斜している。
平坦面4943Za及び4943Zbは、丸みのある縁部4953Zに沿って一緒になる、又は合流する。面4943Zaと4943Zbとの間の二面角(180−2*Ω3と呼ぶことができる)は、両方の面に垂直な任意の断面平面内で測定することができる。面4943Za、4943Zbは、任意の所望の二面角180−2*Ω3を有するように作製することができるが、突出部4920zがキューブコーナー要素である図示の実施形態では、二面角は、90度に等しい。面4943Za、4943Zbは、構造化表面4907に対して傾斜した線に沿って交差するそれぞれの基準平面を画定すると言うことができ、そのような線は、角度γで傾斜している。
丸みのある縁部4951Zは、面4941Za、4941Zbが一緒になる場所に位置する。丸みのある縁部4951Zは、x−y平面に対して角度αで傾斜した軸に沿って延在する。丸みのある縁部4951Zは、任意の様式で丸みがない、又は湾曲していないが、特定の方法では、図21及び図22に関連して上述したようである。丸みのある縁部4951の曲率半径は、概ね少なくとも10マイクロメートルである。丸みのある縁部4951Zはまた、回転エンドミルの加工物である。
同様に、丸みのある縁部4952Zは、面4942Za、4942Zbが一緒になる場所に位置する。丸みのある縁部4952Zは、x−y平面に対して角度βで傾斜した軸に沿って延在する。丸みのある縁部4952Zは、任意の様式で丸みがない、又は湾曲していないが、特定の方法では、図21及び図22に関連して上述したようである。丸みのある縁部4952の曲率半径は、概ね少なくとも10マイクロメートルである。丸みのある縁部4952Zはまた、回転エンドミルの加工物である。
同様に、丸みのある縁部4953Zは、面4943Za、4943Zbが一緒になる場所に位置する。丸みのある縁部4953Zは、x−y平面に対して角度γで傾斜した軸に沿って延在する。丸みのある縁部4953Zは、任意の様式で丸みがない、又は湾曲していないが、特定の方法では、図21及び図22に関連して上述したようである。丸みのある縁部4953の曲率半径は、概ね少なくとも2マイクロメートルである。丸みのある縁部4953Zはまた、回転エンドミルの加工物である。
終端4951Ztは、丸みのある縁部4951Zの2つの端部のうちの1つであり、他方の端部は、頂部4920Zaに配置されている。同様に、終端4952Ztは、丸みのある縁部4952Zの2つの端部のうちの1つであり、他方の端部は、頂部4920Zaに配置されている。終端4953Ztは、丸みのある縁部4953Zの2つの端部のうちの1つであり、他方の端部は、頂部4920Zaに配置されている。3つの終端4951Zt、4952Zt、及び4953Zt全ては、突出部4920Zのより大きい周囲又は外周4920Zpの一部を形成する。外周4920Zpは、複合面の下縁部に直線部分、及び丸みのある縁部の終端に湾曲部分(小さい曲率半径の円弧)を含む。
凹部4720及び突出部4920Zは両方とも、エンドミル加工法によって直接的又は間接的に作製される特徴的なマークを有する。これらの構造体のそれぞれは、光学的、機械的、若しくは他の用途でフィルム、シート、又は他の物品の構造化表面に組み込まれる場合に、個々に、又は同一若しくは異なる凹部若しくは突出部のアレイ若しくはグループの1つの要素としてかにかかわらず、有用であり得る。
上述のように、開示したエンドミル加工技術を使用して、基材の加工面に多数のキューブコーナー要素及び他の構造体を形成することができる。図50は、開示した技術を使用して、2つの凹部5020、5021が互いに隣接して形成された構造化表面の図である。これらの凹部の面は、互いに対して相互に垂直であるように構成されており、それにより、凹部5020がキューブコーナー要素5080であり、凹部5021がキューブコーナー要素5081であると仮定するが、相互垂直条件が満たされず、かつ凹部がキューブコーナー要素ではない、代替の実施形態も想到される。構造化表面は、x−y平面に沿って延在し、座標系のz軸と関連付けることができる法線ベクトルを有する。
キューブコーナー要素5080は、キューブコーナー要素4780と同じ又は同様であると仮定される。例えば、図50の要素5080の平面図と図47の要素4780の平面図との間で、直接比較を行うことができる。キューブコーナー要素5080のラベル付けされた要素−外周5020p、頂点又はベース5020b、分割線5071、5072、及び5073で複合面を形成する平坦面5041a、5041b、5042a、5042b、5043a、5043b、並びに丸みのある縁部5051、5052、5053は全て、キューブコーナー要素4780内に直接対応するものを有し、更なる説明を必要としない。
キューブコーナー要素5081は、キューブコーナー要素5080と実質的に同じであるが、z軸周りに180度回転した向きを有するキューブコーナー要素であると仮定される。換言すれば、キューブコーナー要素5080、5081は、対応する特徴を有し、これらの特徴は、z軸に平行な軸周りに180度の回転によって互いに関連する。そのような構造体は、一致した一対のキューブコーナー要素と呼ばれる。したがって、キューブコーナー要素5081のラベル付けされた要素−外周5021p、頂点又はベース5021b、分割線5074、5075、及び5076で複合面を形成する平坦面5044a、5044b、5045a、5045b、5046a、5046b、並びに丸みのある縁部5054、5055、5056は全て、キューブコーナー要素5080(及びキューブコーナー要素4780)内に直接対応するものを有し、更なる説明を必要としない。
キューブコーナー要素5080、5081は、小さな狭いストリップ(平坦な領域)が、それらのそれぞれの外周の2つの直線辺の間に見えるように、わずかに離間して示されている。代替的な実施形態では、要素5080、5081は、(キューブコーナー要素5080内の)面5042b、5043aによって形成された複合面と、(キューブコーナー要素5081内の)面5045b、5046aによって形成された複合面が、互いに交差して鋭い縁部を形成するように、互いにより近接して形成することができる。
図51は、例えば、図47に関連して説明したように、開示した技術を使用して、多数の凹部5120、5121、5122、5123、5124、5125などが互いに隣接して形成されている構造化表面の図である。構造化表面は、x−y平面に沿って延在し、座標系のz軸と関連付けることができる法線ベクトルを有する。凹部の面は、互いに対して相互に垂直であるように構成されおり、それにより、凹部がそれぞれのキューブコーナー要素5180、5181、5182、5183、5184、5185等を形成すると仮定するが、相互垂直条件が満たされず、かつ凹部がキューブコーナー要素ではない、代替の実施形態も想到される。キューブコーナー要素は、例えば、キューブコーナー要素5180、5181が第1の一致した対を形成し、キューブコーナー要素5182、5183が第2の一致した対を形成し、キューブコーナー要素5184、5185が第3の一致した対を形成するなど、図50に関連して説明したように、一致した対のキューブコーナー要素として構成することができる。隣接するキューブコーナー要素は、小さな狭いストリップ(平坦な領域)が、それらのそれぞれの外周の2つの直線辺の間に見えるように、わずかに離間して示されている。代替的な実施形態では、隣接するキューブコーナー要素の複合面が互いに交差して鋭い縁部を形成するように、キューブコーナー要素の隣接する対の一部又は全てを、互いにより近接して形成することができる。
キューブコーナー要素及び同様の構造体を形成するための開示した技術は、再構成された又は修正された構造体を生成するように、回転エンドミルの切削包絡面の形状、若しくは傾斜した切削経路の形状、又はその両方を調整することにより、様々な平坦面の形状及び向きを調整するように容易に適用可能である。本発明者らは、そのような設計ツールを使用して、傾斜したキューブコーナー要素及びPGキューブコーナー要素を生成することができる。
図52は、開示したエンドミル加工技術を使用して構造化表面に形成されたいくつかの凹部5220、5221の概略平面図であり、凹部は、一致した一対の後方に傾斜した切頭キューブコーナー要素5280、5281である。構造化表面は、x−y平面に沿って延在し、座標系のz軸と関連付けることができる法線ベクトルを有する。
図52を図50と比較することにより、かつ図18に示す涙滴形状の構造体を基本構築ブロックとして使用してどのように図50のキューブコーナー要素が作製されるかを知っている利点により、開示したエンドミル加工技術を使用して図52の修正された構成を作製することができる方法を直ちに理解することができる。
図52のキューブコーナー要素5280は、以下のラベル付けされた要素を有する:外周5220p、頂点又はベース5220b、それぞれの分割線5271、5272、及び5273で第1、第2、及び第3の複合面を形成する平坦面5241a、5241b、5242a、5242b、5243a、5243b、並びに丸みのある縁部5251、5252、5253。これらの要素の全ては、対応する要素が同一ではない場合であっても、図50のキューブコーナー要素5080内の対応する要素を有する。前の説明の恩恵により、読者は、第1のエンドミル切削包絡面を第1の傾斜した経路セグメント(第1の垂直平面内に配置された)に沿ってカント角αで移動させることによって、第1の切削工程で丸みのある縁部5251及び面5241a、5241bが形成され、第2のエンドミル切削包絡面を第2の傾斜した経路セグメント(第2の垂直平面内に配置された)に沿ってカント角βで移動させることによって、第2の切削工程で丸みのある縁部5252及び面5242a、5242bが形成され、第3のエンドミル切削包絡面を第3の傾斜した経路セグメント(第3の垂直平面内に配置された)に沿ってカント角γで移動させることによって、第3の切削工程で丸みのある縁部5253及び面5243a、5243bが形成されることを認識するであろう。第1、第2、及び第3の傾斜した経路セグメントは、図46に示すように、共通の最深点を共有し、最深点は、ベース5220bに対応する。
残りの唯一の問題は、キューブの対称軸が後方に傾斜している、すなわち、キューブコーナー要素のベース三角形又は外周が60度より大きい2つの内角を有するように、キューブコーナー要素を第1、第2、及び第3の複合面に形成させることになる様々な切削パラメータに何の値を割り当てるかを判定することである。これは、端的な幾何学的実習である。本発明者らは、後方に8.826度の傾斜を有するキューブコーナー要素5280を提供する以下の回答に到達し、そのようなキューブコーナー要素は、(66,66,48)度の内角を有するベース三角形を有する。
第1の垂直平面内の第1の切削工程:
・THA=35.264度、
・切削包絡面の傾斜:θ=8.826度、φ=0度、
・カント角α=26.438度、
第2の垂直平面内の第2の切削工程:
・THA=35.264度、
・切削包絡面の傾斜:θ=8.826度、φ=114度、
・カント角β=39.284度、
・第1の垂直平面と第2の垂直平面との間の交差角Φ1:114度、
第3の垂直平面内の第3の切削工程:
・THA=35.264度、
・切削包絡面の傾斜:θ=8.826度、φ=−114度、
・カント角γ=39.284度、
・第2の垂直平面と第3の垂直平面との間の交差角Φ2:132度、
図33に関する説明と一致して、キューブコーナー要素5280を形成するために使用されるこれら3つの切削工程のそれぞれについて、極角及び方位角(θ,φ)に対して与えられる値は、その特定の切削工程に対する局所垂直平面(例えば、図47のものと同様な、x−y平面、又はx’−y’平面、又はx’’−y’’平面)に対して測定される。3つの切削工程に対して異なる方位角が与えられるという事実にもかかわらず、読者は、関与する他の角度(Φ1、Φ2)及び図の検分に基づいて、この場合、3つの切削工程及びそれらに関連する傾斜した切削経路全てについて、構造化表面上の固定基準マーク(又は座標系)に対して、切削包絡面の向きは同じであることを検証することができる。
これらの切削パラメータを使用して、本発明者らは、説明したような後方に傾斜したキューブコーナー要素5280を生成する。同じだが、z軸周りに180度の回転で実行される切削工程により、他の後方に傾斜したキューブコーナー要素5281を、そのラベル付けされた要素:外周5221p、頂点又はベース5221b、それぞれの分割線5274、5275、及び5276で第4、第5、及び第6の複合面を形成する平坦面5244a、5244b、5245a、5245b、5246a、5246b、並びに丸みのある縁部5254、5255、5256と共に生成する。キューブコーナー要素5281は、キューブコーナー要素5280と一致した対であり、これは、要素5281が、後方の同じ角度の傾斜、及び要素5280について上述したものと同じ内角の組を有するベース三角形を有することを意味する。
図53は、開示したエンドミル加工技術を使用して構造化表面に形成されたいくつかの凹部5320、5321の概略平面図であり、凹部は、後方に傾斜しているのではなく、前方に傾斜していることを除いて、図52のものと同様の、一致した一対の切頭キューブコーナー要素5380、5381である。構造化表面は、x−y平面に沿って延在し、座標系のz軸と関連付けることができる法線ベクトルを有する。
図53の検分時、図52と同様に、かつ上記教示の恩恵により、開示したエンドミル加工技術を使用して図53の修正された構成を作製することができる方法を直ちに理解することができる。
図53のキューブコーナー要素5380は、以下の要素:外周5320p、頂点又はベース(ラベル付けされていない)、それぞれの分割線(ラベル付けされていない)で第1、第2、及び第3の複合面CF1、CF2、CF3を形成する平坦面(ラベル付けされていない)、並びに丸みのある縁部(ラベル付けされていない)を有する。これらの要素の全ては、対応する要素が同一ではない場合であっても、図50のキューブコーナー要素5080及び図52のキューブコーナー要素5280内の対応する要素を有する。前の説明の恩恵により、読者は、第1のエンドミル切削包絡面を第1の傾斜した経路セグメント(第1の垂直平面内に配置された)に沿ってカント角αで移動させることによって、第1の切削工程で第1の丸みのある縁部及び関連する面が形成され、第2のエンドミル切削包絡面を第2の傾斜した経路セグメント(第2の垂直平面内に配置された)に沿ってカント角βで移動させることによって、第2の切削工程で第2の丸みのある縁部及び関連する面が形成され、第3のエンドミル切削包絡面を第3の傾斜した経路セグメント(第3の垂直平面内に配置された)に沿ってカント角γで移動させることによって、第3の切削工程で第3の丸みのある縁部及び関連する面が形成されることを認識するであろう。第1、第2、及び第3の傾斜した経路セグメントは、図46に示すように、共通の最深点を共有し、最深点は、キューブコーナー要素5380のベースに対応する。第1、第2、及び第3の切削工程からの面は、交わって、第1、第2、及び第3の複合面CF1、CF2、CF3を形成する。
残りの唯一の問題は、キューブの対称軸が前方に傾斜している、すなわち、キューブコーナー要素のベース三角形又は外周が60度より大きい1つの内角のみを有するように、キューブコーナー要素を第1、第2、及び第3の複合面に形成させることになる様々な切削パラメータに何の値を割り当てるかを判定することである。これは、端的な幾何学的実習である。本発明者らは、前方に21.781度の傾斜を有するキューブコーナー要素5380を提供する以下の回答に到達し、そのようなキューブコーナー要素は、(50,50,80)度の内角を有するベース三角形を有する。
第1の垂直平面内の第1の切削工程:
・THA=35.264度、
・切削包絡面の傾斜:θ=21.781度、φ=180度、
・カント角α=57.045度、
第2の垂直平面内の第2の切削工程:
・THA=35.264度、
・切削包絡面の傾斜:θ=21.781度、φ=−50度、
・カント角β=22.622度、
・第1の垂直平面と第2の垂直平面との間の交差角Φ1:130度、
第3の垂直平面内の第3の切削工程:
・THA=35.264度、
・切削包絡面の傾斜:θ=21.781度、φ=50度、
・カント角γ=22.622度、
・第2の垂直平面と第3の垂直平面との間の交差角Φ2:100度、
図33に関する説明と一致して、キューブコーナー要素5380を形成するために使用されるこれら3つの切削工程のそれぞれについて、極角及び方位角(θ,φ)に対して与えられる値は、その特定の切削工程に対する局所垂直平面(例えば、図47のものと同様な、x−y平面、又はx’−y’平面、又はx’’−y’’平面)に対して測定される。3つの切削工程に対して異なる方位角が与えられるという事実にもかかわらず、読者は、関与する他の角度(Φ1、Φ2)及び図の検分に基づいて、この場合、3つの切削工程及びそれらに関連する傾斜した切削経路全てについて、構造化表面上の固定基準マーク(又は座標系)に対して、切削包絡面の向きは同じであることを検証することができる。
これらの切削パラメータを使用して、本発明者らは、説明したような前方に傾斜したキューブコーナー要素5380を生成する。同じだが、z軸周りに180度の回転で実行される切削工程により、以下の要素:外周5321p、頂点又はベース(ラベル付けされていない)、それぞれの分割線(ラベル付けされていない)で第4、第5、及び第6の複合面CF4、CF5、CF6を形成する平坦面(ラベル付けされていない)、並びに丸みのある縁部(ラベル付けされていない)とともに、他の前方に傾斜したキューブコーナー要素5381を生成する。キューブコーナー要素5381は、キューブコーナー要素5380と一致した対であり、これは、要素5381が、前方の同じ角度の傾斜、及び要素5380について上述したものと同じ内角の組を有するベース三角形を有することを意味する。
図47〜図53のキューブコーナー要素は、全て切頭キューブコーナー要素である。開示したエンドミル加工技術は、PGキューブコーナー要素、及び同様の構造体を作製するために拡張することができる。一群の図54〜図56Aは、これを行うことができる1つの方法を示す。
図54から始めて、この図は、x−y平面に平行に延在する加工面又は構造化表面5407を有する基材5405を示し、加工面はまた、座標系のz軸に対応する法線ベクトルを有する。3つの別個の凹部5420、5421、及び5422は、開示したエンドミル加工切削工程によって加工面に既に形成されている。
凹部5420は、図38を図54の凹部5420と比較することによって理解することができるように、前述の凹部3820と同じ又は同様であってもよい。したがって、凹部5420の選択された要素、すなわち、外周5420p、頂点又はベース5420b、湾曲した側面5431、平坦面5441a、5441b、5442a、5442b、それぞれのカント角α1、β1で傾斜した丸みのある縁部5451、5452、遷移線5461、5462、及び面5441b、5442aが交わって複合面CF1を形成する分割線5471のみを示す必要があり、それらは、前述の凹部3820の要素内の直接対応する要素を有することに留意されたい。
Z軸周りの回転を除いて凹部5420と同一である、他の2つの凹部5421、5422もまた提供される。凹部5421の要素は、外周5421p、頂点又はベース5421b、湾曲した側面5432、平坦面5443a、5443b、5444a、5444b、それぞれのカント角α2、β2で傾斜した丸みのある縁部5453、5454、遷移線5463、5464、及び面5443b、5444aが交わって複合面CF2を形成する分割線5472を含む。凹部5422の要素は、外周5422p、頂点又はベース5422b、湾曲した側面5433、平坦面5445a、5445b、5446a、5446b、それぞれのカント角α3、β3で傾斜した丸みのある縁部5455、5456、遷移線5465、5466、及び面5445b、5446aが交わって複合面CF3を形成する分割線5473を含む。これらの要素の全ては、凹部5420内の要素(並びに図38の凹部3820内の要素)に直接対応する要素を有し、したがって、これらの要素の更なる説明は必要ではない。
凹部5420、5421、5422は、z軸周りのそれらの相対回転を除いて、互いに実質的に同一である。凹部5421は、凹部5420に対して120度時計回りに回転され、凹部5422は、凹部5421に対して120度時計回りに回転される。これらの相対的向きでは、複合面CF1、CF2、CF3は、互いに対して相互に直交しているが、3つの外周5420p、5421p、5422pの直線部分によって画定される中央三角形領域によって互いに分離されている。3つの凹部を互いにより近づけた場合に、3つの複合面を使用して、PGキューブコーナー要素を形成することができる。
図55の基材5505は、基材5405のものと同様の加工面5507を有するが、凹部は、互いにより近づけられているため、複合面は、一部の場所では互いに接触するが、他の場所では(より小さい)中央三角形領域によって互いに分離されている。加工面5507は、x−y平面に平行に延在し、座標系のz軸に対応する法線ベクトルを有する。図54で別個として形成された同じ3つの凹部5420、5421、及び5422は、それらの相対的な回転向きを維持しながら、凹部が部分的に重なり合っているように、互いにより近づけられた又は形成されたことを除いて、エンドミル加工技術によって基材5505内に再び形成されている。
3つの凹部が互いにより接近して形成されると、エンドミルの切削は、切削経路に沿って移動して後の第2の凹部を形成する際に、第1の凹部のいくつかの特徴を部分的に破壊又は消去し、回転エンドミルが更に他の切削経路に沿って移動して第3かつ最終の凹部を形成する際に、第1及び第2の凹部の他の部分が破壊又は消去される。破壊又は消去は、重なり合う凹部が交差する場所で、新しい鋭い縁部の形成をもたらす。
これは、図55に見ることができる。凹部は、互いにより接近して形成されており、それにより、ベース5420b、5421b、5422bは互いにより接近しており、中央三角形の分離領域はより小さい。5420’とラベル付けされた凹部5420の残部は、依然として無傷であり、5421’とラベル付けられた凹部5421の残部、及び5422’とラベル付けられた凹部5422の残部も同様である。これらの部分的凹部5420’、5421’、及び5422’は、組み合わせて、単一のより大きい凹部5520を形成する。複合面CF1、CF2、CF3の一部分は、破壊されている。いくつかの場所では、複合面は、今度は互いに交差して、鋭い縁部SE12a、SE23a、及びSE13aを形成する。丸みのある縁部もまた、互いに交差して、鋭い縁部SE12b、SE23b、及びSE13bを形成する。外側の複合面(別個にラベル付けされていない)が、現在重なり合っている凹部の他の面から形成される際に、分割線5574、5575、5576も形成する。
図56Aの基材は、以前に分離した凹部を一緒にする最終段階を表す。図56Aの基材5605は、基材5405及び5505のものと同様の加工面5607を有し、加工面5607は、x−y平面に平行に延在し、z軸に対応する法線ベクトルを有する。図54で別個に形成された、図55で部分的に重なり合う同じ3つの凹部5420、5421、及び5422は、それらの相対的な回転向きを依然として維持しながら、凹部が更により部分的に重なり合っているように、互いに更により近づけられた又は形成されたことを除いて、エンドミル加工技術によって基材5605内に再び形成されている。
加工面5607では、凹部を互いに更により近づけることにより、複合面CF1、CF2、CF3は、もはやそれらの間になんらの中央三角形の分離領域を有さずに、互いに完全に接触する。その代わりに、3つの複合面、及びそれらのそれぞれの分割線5471、5472、5473(例えば、図54又は図55を参照)は、中心点Pで一緒になり、点Pは、構造化表面の極大である。複合面CF1、CF2、CF3はまた、3つの鋭い縁部に沿って互いに交差し、これらはまた、点Pで一緒になる。
ベース5420b、5421b、5422bは、図54又は図55よりも図56Aで互いにより接近している。凹部5420、5421、及び5422の残部は、組み合わせて、単一のより大きい凹部5620を形成する。分割線5674、5675、5676は、元の3つの凹部の他の面から生成される外側複合面(別個にラベル付けされていない)に現れる。元の複合面の一部分は破壊されているが、残っている複合面CF1、CF2、CF3は、それぞれ4辺(四辺形)で、互いに直交し、鋭い二面縁部に沿って互いに交差する。共に、図56Aの複合面CF1、CF2、CF3は、キューブコーナー要素5680を形成する。6つの傾斜した丸みのある縁部は、キューブコーナー要素の非二面縁部を形成し、図に見られるように、平面視で六角形である境界又は外周を形成する。そのようなキューブコーナー要素5680は、PGキューブコーナー要素である。キューブコーナー要素は、点Pを通過し、かつz軸に平行である対称軸を有し、すなわち、キューブコーナー要素5680は、傾斜していない。点Pが構造化表面の極大である、すなわち、その直近の周囲に対するピーク又は頂部であることを考慮すると、キューブコーナー要素5680は、したがって、凹部5620の中心に存在するという事実にもかかわらず、かつ、なんらの複製又はなんらのネガ若しくは反転したコピーなしに、回転エンドミルの材料除去工程によって完全に形成することができるという事実にもかかわらず、キューブコーナー突出部である。
図56Bの基材5605’は、凹部の外周とキューブコーナー要素5680の外周との間に位置する3つの分割線の向きを除いて、図56Aの基材5605と同じ又は類似の加工面5607’を有する。図56Aでは、凹部は5620とラベル付けされ、分割線は、5674、5675、5676とラベル付けされる。これらの分割線は、回転切削工具が丸みのある縁部を形成するために使用される傾斜した切削経路に沿って移動する際に、回転切削工具が基材から完全に引き抜かれないと仮定する。対照的に、図56Bの代替的な分割線5674’、5675’、5676’(代替の凹部5620’を提供する)は、回転切削工具が丸みのある縁部を形成するために使用される傾斜した切削経路に沿って移動する際に、回転切削工具が基材から完全に引き抜かれると仮定する。全ての他の点では、加工面5607、5607’は同じである。
端的な方法では、図56A又は図56BのPGキューブコーナー要素5680を形成するために使用されるエンドミル切削工程は、所与の基材内でステップアンドリピート方式で行って、密集したPGキューブコーナー要素のアレイを含む構造化表面を形成することができる。そのような構造化表面を、図57に示す。その図では、図54〜図56Aに関連して説明したのと同じ方法だが、切削工程が規則的な様式で繰り返されて、結果として得られるPGキューブコーナー要素のアレイを形成する、開示したエンドミル加工技術によって、丸みのある縁部及び平坦面が形成されている。したがって、構造化表面は、点P1(頂部)で合流する複合面CF1、CF2、CF3を含むPGキューブコーナー要素5780と、点P2(頂部)で合流する複合面CF4、CF5、CF6を含む別のPGキューブコーナー要素5781と、点P3(頂部)で合流する複合面CF7、CF8、CF9を含む別のPGキューブコーナー要素5782と、点P4(頂部)で合流する複合面CF10、CF11、CF12を含む別のPGキューブコーナー要素5783と、を含む。アレイに組み合わせることができるそのようなPGキューブコーナー要素の数は、限定されない。
図54〜図57のPGキューブコーナー要素は、全て傾斜していないPGキューブコーナー要素である。開示したエンドミル加工技術は、傾斜したPGキューブコーナー要素、及び同様の構造体を作製するために拡張することができる。図58〜図59の対は、これを行うことができる1つの方法を示す。
図58は、x−y平面に平行に延在する加工面又は構造化表面5807を有する基材5805を示し、加工面はまた、座標系のz軸に対応する法線ベクトルを有する。3つの別個の凹部5820、5821、及び5822は、開示したエンドミル加工切削工程によって加工面に形成される。図54の個々の凹部を互いに近づけて、図56AのPGキューブコーナー要素を形成する方法と同様に、図58の凹部5820、5821、及び5822は、図56Aで行われたように、凹部が一緒にされ重なり合うように作製されたときに、重なり合う(及び干渉する)特徴が傾斜したPGキューブコーナー要素を生成するように、複合面、丸みのある縁部、及び他の要素で構成される。
図58の凹部5820は、外周5820p、頂点又はベース5820b、湾曲した側面5831、平坦面5841a、5841b、5842a、5842b、それぞれのカント角α1、β1で傾斜した丸みのある縁部5851、5852、遷移線5861、5862、及び面5841b、5842aが交わって複合面CF1を形成する分割線5871を含む。
図58の凹部5821は、外周5821p、頂点又はベース5821b、湾曲した側面5832、平坦面5843a、5843b、5844a、5844b、それぞれのカント角α2、β2で傾斜した丸みのある縁部5853、5854、遷移線5863、5864、及び面5843b、5844aが交わって複合面CF2を形成する分割線5872を含む。
図58の凹部5822は、外周5822p、頂点又はベース5822b、湾曲した側面5833、平坦面5845a、5845b、5846a、5846b、それぞれのカント角α3、β3で傾斜した丸みのある縁部5855、5856、遷移線5865、5866、及び面5845b、5846aが交わって複合面CF3を形成する分割線5873を含む。
凹部5820、5821、及び5822は、凹部5420、5421、5422とそれぞれ類似しており、対応する要素が同一でない場合であっても、対応する要素を有する。読者は、適切に複合面の向きを変えて、適切に傾斜した(PG)キューブコーナー要素を形成するように、凹部の切削パラメータを修正する方法を決定することは、端的な幾何学的問題であることを認識するであろう。本発明者らは、以下の切削パラメータが、凹部の複合面及び他の特徴を、それらが一緒にされると、9.985度の傾斜(カント角が、対応する切頭キューブコーナー要素内に(49,61,70)のベース三角形を生成する)を有するPGキューブコーナー要素を形成するように提供すると判定した。
凹部5820−丸みのある縁部5851を形成するための第1の垂直平面内の第1の切削工程:
・THA=35.264度、
・切削包絡面の傾斜:θ=9.985度、φ=29.386度、及び
・カント角α=26.690度。
凹部5820−丸みのある縁部5852を形成するための第2の垂直平面内の第2の切削工程:
・THA=35.264度、
・切削包絡面の傾斜:θ=9.985度、φ=148.386度、
・カント角β=43.960度、及び
・第1の垂直平面と第2の垂直平面との間の交差角Φ1:119度。
凹部5821−丸みのある縁部5853を形成するための第1の垂直平面内の第1の切削工程:
・THA=35.264度、
・切削包絡面の傾斜:θ=9.985度、φ=148.386度、及び
・カント角α=43.960度。
凹部5821−丸みのある縁部5854を形成するための第2の垂直平面内の第2の切削工程:
・THA=35.264度、
・切削包絡面の傾斜:θ=9.985度、φ=−80.614度、
・カント角β=34.228度、及び
・第1の垂直平面と第2の垂直平面との間の交差角Φ1:131度。
凹部5820に対する凹部5821の向きは、凹部5821の第1の垂直平面(縁部5853が存在する)が凹部5820の第2の垂直平面(縁部5852が存在する)と平行であるようになっている。
凹部5822−丸みのある縁部5856を形成するための第1の垂直平面内の第1の切削工程:
・THA=35.264度、
・切削包絡面の傾斜:θ=9.985度、φ=29.386度、及び
・カント角α=26.690度。
凹部5822−丸みのある縁部5855を形成するための第2の垂直平面内の第2の切削工程:
・THA=35.264度、
・切削包絡面の傾斜:θ=9.985度、φ=−80.614度、
・カント角β=34.228度、及び
・第1の垂直平面と第2の垂直平面との間の交差角Φ1:110度。
凹部5820に対する凹部5822の向きは、凹部5822の第1の垂直平面(縁部5856が存在する)が凹部5820の第1の垂直平面(縁部5851が存在する)と平行であるようになっている。
図33に関する説明と一致して、キューブコーナー要素5980を形成するために使用される上記6つの切削工程のそれぞれについて、極角及び方位角(θ,φ)に対して与えられる値は、その特定の切削工程に対する局所垂直平面(例えば、図47のものと同様な、x−y平面、又はx’−y’平面、又はx’’−y’’平面)に対して測定される。6つの切削工程に対して異なる方位角が与えられるという事実にもかかわらず、読者は、関与する他の角度及び図の検分に基づいて、この場合、6つの切削工程及びそれらに関連する傾斜した切削経路全てについて、構造化表面上の固定基準マーク(又は座標系)に対して、切削包絡面の向きは同じであることを検証することができる。
これらの切削パラメータは、適切に向けられた複合面を有する凹部5820、5821、5822を提供し、これにより、重なり合うことによって組み合わされると、その結果は、傾斜したPGキューブコーナー要素である。図59の基材5905は、x−y平面に平行に延在し、z軸に対応する法線ベクトルを有する加工面5907を有する。図58で別個として形成された同じ3つの凹部5820、5821、及び5822は、それらの相対的な回転向きを維持しながら、凹部が部分的に重なり合っているように、互いにより近づけられた又は形成されたことを除いて、エンドミル加工技術によって基材5905内に再び形成されている。凹部5820、5821、及び5822の残部は、組み合わせて、単一のより大きい凹部5920を形成する。
加工面5907では、複合面CF1、CF2、CF3は、互いに完全に接触する。3つの複合面は、点Pで一緒になり、点Pは、構造化表面の極大である。複合面CF1、CF2、CF3はまた、3つの鋭い縁部に沿って互いに交差し、これらはまた、点Pで一緒になる。
元の複合面の一部分は破壊されているが、残っている複合面CF1、CF2、CF3は、それぞれ4辺(四辺形)で、互いに直交し、鋭い二面縁部に沿って互いに交差する。共に、図59の複合面CF1、CF2、CF3は、キューブコーナー要素5980を形成する。6つの傾斜した丸みのある縁部は、キューブコーナー要素の非二面縁部を形成し、図に見られるように、平面視で六角形である境界又は外周を形成する。そのようなキューブコーナー要素5980は、PGキューブコーナー要素である。キューブコーナー要素は、点Pを通過し、かつz軸に対して傾斜した対称軸を有し、すなわち、キューブコーナー要素5980は、傾斜している。点Pが構造化表面の極大である、すなわち、その直近の周囲に対するピーク又は頂部であることを考慮すると、キューブコーナー要素5980は、したがって、凹部5920の中心に存在するという事実にもかかわらず、かつ、なんらの複製又はなんらのネガ若しくは反転したコピーなしに、回転エンドミルの材料除去工程によって完全に形成することができるという事実にもかかわらず、キューブコーナー突出部である。
図60〜図62は、他のタイプのPGキューブコーナー要素を示す。図60では、PGキューブコーナー要素6081は、第1、第2、及び第3の光学面F1、F2、F3を有し、これらの面は、図示のように、鋭い縁部SE12、SE23、SE13に沿って交差する。鋭い縁部は、局所的なピーク又は頂部である点P1で交差する。
図61では、キューブコーナー要素6081を同様のPGキューブコーナー要素6181と組み合わせて、一致した一対のキューブコーナー要素を形成する。キューブコーナー要素6181は、第4、第5、及び第6の光学面F4、F5、F6を有し、これらの面は、図示のように、鋭い縁部SE45、SE56、SE46に沿って交差する。鋭い縁部は、局所的なピーク又は頂部である点P2で交差する。
図62は、図61の一致した対の斜視図を示す。図62の図では、キューブコーナー要素6081、6181の一部の非光学面も見ることができる。
図63〜図67Bは、開示したエンドミル加工技術を用いて、どのように図60〜図62のものなどのPGキューブコーナー要素を作製することができるか示す。図63に示すように、凹部6320で開始する。凹部6320は、外周6320pと、ベース6320bと、湾曲した側面6331a、6331bと、丸みのある縁部6351に沿って合流する平坦面6341a、6341bと、丸みのある縁部6352に沿って合流する平坦面6342a、6342bと、丸みのある縁部6351の終端6351tと、丸みのある縁部6352の終端6352tと、遷移線6361a、6361b、6362a、6362bと、遷移線6351a、6351b、6352a、6352bとを含む。これらの特徴は、更なる説明を必要としない、図31の凹部3120の対応する特徴と同じ又は類似していてもよい。丸みのある縁部6351のカント角は、35.264度であり、丸みのある縁部6352のカント角は、35.264度である。これらは、切削包絡面が従う傾斜した切削経路の同じカント角であり、切削包絡面は、THA=35.264度を有し、かつ傾斜していない(θ=0)と仮定される。面6341aと6341bとの間の二面角は、90度であり、面6342aと6342bとの間の二面角も、90度である。
次に、図64に示すように、別の回転エンドミルを用いて別の切削作業を行う。THA=35.264度を有し、かつ傾斜していない(θ=0)切削包絡面を用いて、50.768度のカント角で、丸みのある縁部6451に対応する傾斜した切削経路に従う。この切削作業は、丸みのある縁部6451に加えて、平坦面6441a、6441b、遷移線6451a、6451b、及び終端6451tを形成する。平坦面6441aは、分割線6471aで合流する面6341aとともに、複合面CF1(図65にラベル付けされた)を形成する。平坦面6441bは、分割線6471bで合流する面6342aとともに、複合面CF2(図65にラベル付けされた)を形成する。面6441aと6441bとの間の二面角は、131.808度である。
次に、図65に示すように、別の回転エンドミルを用いて別の切削作業を行う。THA=35.264度を有し、かつ傾斜していない(θ=0)切削包絡面を用いて、50.768度のカント角で、丸みのある縁部6551に対応する傾斜した切削経路に従う。この切削作業は、丸みのある縁部6551に加えて、平坦面6541a、6541b、遷移線6551a、6551b、及び終端6551tを形成する。平坦面6541aは、分割線6571aで合流する面6341bとともに、複合面CF3を形成する。平坦面6541bは、分割線6571bで合流する面6342bとともに、複合面CF4を形成する。面6541aと6541bとの間の二面角は、131.808度である。
次に、図66に示すように、これらの作業を繰り返して、同じ設計の重なり合う凹部を形成する。この図では、基材6605は、xyz座標系との関連で加工面6607を有する。最初に、凹部6520が、図65と全く同様に、加工面に切削される。次に、図66に示すように、実質的に同様の凹部6621、6622、及び6623が、互いに、かつ凹部6520と重なり合うように切削される。凹部6621の切削は、元の凹部6520(例えば、図65を参照)の一部を消去して、図66に見られる修正された凹部6520’を提供する。鋭い縁部が、隣接する複合面の交線に形成される。凹部6621は、ベース6621b、及び複合面CF5、CF6、CF7、CF8を有する。凹部6622は、ベース6622b、及び複合面CF9、CF10、CF11、CF12を有する。凹部6623は、ベース6623b、及び複合面CF13、CF14、CF15、CF16を有する。
最後に、図67Aに示すように、基材内に真っ直ぐな一定の深さのV溝を機械加工する。この図では、新しいV字溝によって行なわれた変更を反映するように、基材は、6605’とラベル付けされ、加工面は、6607’とラベル付けされている。V字溝によるそれらの修正を反映するように、プライム記号も、キャビティラベル及び複合面ラベルに追加されている。V溝6716は、平坦なベース6716b、及び傾斜した側面6716a、6716cを有する。溝6716及びy軸に平行な別のV溝6717は、平坦なベース6717b、及び傾斜した側面6717a、6717cを有する。(代替の実施形態では、V字溝6716、6717のいずれか又は両方の平坦なベースは、省略して、鋭い頂点と置き換えられてもよい。これに関して、V溝6716、6717の一方又は両方は、エンドミル加工ではなくフライカット加工によって作製されてもよい。)V溝6716は、THA=35.264度で切削され、それにより、側面6716cは、複合面CF3’、CF5’などに対して垂直であり、そのような複合面と鋭い縁部を形成する。V溝6717は、THA=35.264度で切削され、それにより、側面6717aは、複合面CF4’、CF6’などに対して垂直であり、そのような複合面と鋭い縁部を形成する。図67Aの構造化表面は、図60〜図62に示すタイプのPGキューブコーナー要素を提供し、そのようなキューブコーナー要素の頂点又はピークは、図67AでP1、P2、P3、...P6としてラベル付けされている。明確にするために、図67Bは、より少ない参照ラベル、並びに暗色の輪郭を用いて、基材6605’及び加工面6607’を再現し、一致した一対のPGキューブコーナー要素6781、6782を特定している。
PGキューブコーナー要素が、図60〜図62などのような突出部ではなくキャビティ又は凹部の形態であること、及び丸みのある縁部が、キューブコーナー要素の非二面縁部ではなく二面縁部に位置することを除いて、図60〜図62、図67A、及び図67Bのものと同様な長方形(又は正方形)の外周を有するPGキューブコーナー要素を作製する別の方法を、図68A、図68Bの対によって示す。したがって、図68Aでは、構造化表面6807は、内部に形成された複数の凹部6820〜6829を有し、これらは、(切頭)キューブコーナー要素6880〜6889にそれぞれ対応する。凹部6820、6822、6824、6826、6828のそれぞれは、図47に関連して上述した凹部4720と同じ又は同様であってもよい。不要な繰り返しを避けるために、そのような凹部の全ての様々な遷移線、分割線、終端、及び面の参照番号は、図68Aには示されず、説明もまた不要として省略する。凹部6821、6823、6825、6827、及び6829(キューブコーナー要素6881、6883、6885、6887、及び6889にそれぞれ対応する)は、同様に形成され、それにより、キューブコーナー要素6880、6881が一致した対を形成し、キューブコーナー要素6882、6883が一致した対を形成するなどとなる。様々なキャビティ6820b、6821b、...、6829bのベースは、例示するキューブコーナー要素の配置又は位置を説明することを可能にするために便宜上ラベル付けされている。図示のように、キューブコーナー要素6880、6882など、及びそれらのベースは、y軸に平行な1つの列に配置され、キューブコーナー要素6881、6883など、及びそれらのベースは、y軸に平行な別の列に配置される。
図68Aのキューブコーナーアレイを基準点として使用して、平面視で長方形の外周を有するPGキューブコーナー要素は、(1)各列内のキューブコーナー要素間の間隔を適切な量(及び同じ量)低減することと、(2)キューブコーナー要素の2つの列間の間隔を適切な量低減することとの組み合わせによって作製することができる。これらのガイドラインに従って新しい(しかし関連する)構造化表面6807’を形成するとき、エンドミルの切削は、切削経路に沿って移動して、新しい凹部(単数又は複数)を形成する際に、先に形成された凹部(単数又は複数)のいくつかの特徴を部分的に破壊又は消去する。破壊又は消去は、重なり合う凹部が交差する場所で、新しい鋭い縁部の形成をもたらす。結果は、図68Bの構造化表面6807’に見ることができ、図68Aのものに対応する特徴を見ることができる。キャビティのベース6820b、6821b、6822bなどは、x方向及びy方向の両方でより密に離間していることを見ることができ、新しい鋭い縁部及び新しい分割線は、各キューブコーナー要素の長方形の外周を画定することが見ることができる。キューブコーナー要素6886’、6887’の2つは、太く輪郭を描かれており、一致した一対のPGキューブコーナー要素を形成することが見ることができる。図68Bに示すものなどのアレイ内のキューブコーナー要素のうちの1つ、いくつか、又は全ては、傾斜していなくてもよく、又は前方に傾斜若しくは後方に傾斜していてもよく、又はx−z平面に対して対称若しくはそのような平面に対して非対称であってもよい。
追加の説明
本明細書で説明する丸みのある縁部及び平坦面を生成する、傾斜した切削経路並びに切削経路セグメント及び部分は、任意の数の異なる構成を有することができる。上記に図示及び説明したように、そのような傾斜した切削経路は、真っ直ぐであってもよく、場合によっては同じ垂直平面内に位置し、他の場合には異なる垂直平面内に位置する、異なる傾斜セグメントでセグメント化することができる。傾斜した切削経路はまた、湾曲していてもよい。そのような湾曲した傾斜した切削経路は、単一の垂直平面内に位置する曲率を有してもよく、又は、例えば、コルスクリュ形状の経路又はその一部分の場合と同様でなくてもよく、曲率は、一定の半径若しくは可変の半径であってもよい。ほとんどの場合、経路に制御された量の曲率を加えることによって、最初に真っ直ぐな傾斜した切削経路を再設計することは、切削包絡面によって形成された関連する表面(この表面は、そうでなければ真っ直ぐな切削経路に従った場合に平坦面である)を完全な平坦度から偏位させ、制御された量の曲率を有させる効果を有し、表面の曲率は、傾斜した切削経路がどの程度強く又は弱く湾曲しているかの関数である。実質的に平坦な表面が形成されることが望ましい場合、傾斜した切削経路の任意の曲率は、好ましくは、小さい、すなわち、大きな曲率半径を有する。開示した傾斜した真っ直ぐな、セグメント化された、又は湾曲した切削経路の任意の所与の1つは、つなぎ合わされた複数の小さな個々の真っ直ぐ又は湾曲した断片によって、近似又は置き換えることができ、それらの集合は、所与の切削経路を近似し、元の構造体と同じ又は類似の光学的、機械的、又は他の関連する特性を有する構造体を生成する。湾曲した、真っ直ぐ、セグメント化された、又は別の方法かにかかわらず、前述の傾斜した切削経路全ての組み合わせもまた、本明細書で企図される。
更に、この点に関して、本明細書に開示するキューブコーナー要素又は他の構造体若しくは微細構造のいずれか又は全ては、湾曲した、セグメント化された、又はその両方である1つ以上の縁部(二面縁部、非二面縁部、又はその両方かにかかわらず)を有するように修正されてもよい(切削経路の適切な修正によって)。切頭又はPG若しくは完全キューブコーナー要素としてそのような修正(単数又は複数)を組み込むキューブコーナー要素を分類する目的で、真直度からの縁部(単数又は複数)の偏差(単数又は複数)は、真直度からの偏差がキューブコーナー要素の関連する性能特性に対して小さい又は最小限の効果を有する場合、黙認又は無視されてもよい(例えば、湾曲した縁部は、真っ直ぐな縁部として近似することができる)。
本明細書で説明する加工面の平面に対するカント角、例えば、α、β、γ、α1、α2などは、任意の好適な範囲、例えば、1〜89度、又は10〜70度、又は20〜60度であってもよい。Z軸に対する切削包絡面の回転軸の傾斜θの極角は、多くの場合、ゼロとすることができる。傾斜していないものから傾斜しているものまでに及ぶ、キューブコーナー要素を設計し製造する際のθの特に有用な範囲は、0〜55度である。
開示したエンドミル加工法は、典型的には、マスターツールの基材の加工面上の構造化表面を有するマスターツールを作製するために使用されることが理解される。構造化表面は、最終物品が突出部又はキャビティ(又はその両方)を有することになるかに応じて、最終物品中の所望の微細構造化形状、又はそのネガ型(反転された)コピーのいずれかに対応する。エンドミル法は、基材上に様々な微細構造を形成するために、他の直接機械加工法と共に使用することができることが理解される。
再帰反射シートなどの物品を形成するための好適なサイズのマスターツールを形成するために、マスターツールの表面を電気めっきしてネガ型コピーを形成し、続いて、ネガ型コピーに電気メッキしてポジ型コピーを形成し、ポジ型コピーに電気めっきして第2世代のネガ型コピーを形成することなどによって、複数のツール(タイルとも呼ばれる)が形成される。ポジ型コピーは、マスターツールと同じキューブコーナー要素構造体を有し、その一方で、ネガ型コピーは、キューブキャビティの複製である。したがって、ネガ型コピーツールを用いて、ポジ型コピー(すなわち、キューブコーナー要素)シートを作製し、ポジ型コピーツールを用いて、ネガ型コピー(すなわち、キューブコーナーキャビティ)シートを作製する。更に、再帰反射シートは、キューブコーナー要素とキューブコーナーキャビティ微細構造との組み合わせを含んでもよい。米国特許第4,478,769号(Priconeら)及び同第6,159,407号(Krinkeら)に記載されているものなどの電鋳技術が公知である。次に、そのようなツールを一緒にタイリングすることにより、所望のサイズのマスターツールを組み立てることができる。
次いで、ツールをエンボス加工、成形、押出成形、注型硬化法で使用して、物品を形成する。形成されたツールは、所望されるもの、又は形成されたツールの反転したものとすることができる。ツールを使用して成形法から作製された物品は、物品上に形成されるツールからの微細構造をもたらすことになる。
開示したエンドミル加工技術では、縁部を有する微細構造を、基材に形成することができる。具体的には、角部で合流する鋭い縁部を有する微細構造を形成することができる。キューブコーナー要素を形成するように角部で合流する3つの縁部を有する微細構造は、再帰反射性材料の作製に有用である。本明細書に記載のエンドミル加工技術は、切頭及びPGキューブコーナー要素を作製する能力を実証する。
説明する技術を使用して、切頭キューブコーナー要素及び非切頭キューブコーナー要素の両方を含む多数の種類の微細構造を、様々な他の形状及び構成で作製することができる。微細構造は、例えば、三角形、菱形、台形、長方形、平行四辺形、五角形、及び六角形、並びにこれらの形状の組み合わせから選択される平面視の外周形状を有することができる。N個の尖った星形(Nは、3、4、5、6などとすることができる)を含むがこれらに限定されない多くの他の外周形状もまた想到される。
「シート」という用語は、微細構造が形成されたポリマー(例えば、合成)材料の薄片を指すことができる。キューブコーナー微細構造を有するシートは、再帰反射シートとして使用される。再帰反射シートは、その高い再帰反射輝度を考慮すると、交通標識、路面標示、車両標示、及び個人用安全物品などの様々な用途に有用である。
シートは、任意の幅及び長さであってもよく、そのような寸法は、シートが作製された装置(例えば、ツールの幅、スロットダイ開口部の幅など)によってのみ制限される。シートの厚さは、典型的には、約0.004インチ(0.1016mm)〜約0.10インチ(2.54mm)の範囲である。好ましくは、シートの厚さは、約0.020インチ(0.508mm)未満、より好ましくは約0.014インチ(0.3556mm)未満である。シートは、封止フィルム又はオーバーレイなどの表面層を更に含んでもよい。再帰反射シートの場合、幅は、典型的には、少なくとも30インチ(122cm)、好ましくは、少なくとも48インチ(76cm)である。シートは、典型的には、その長さが最大約50ヤード(45.5m)〜100ヤード(91m)で連続的であり、これにより、シートは、便利に取り扱われるロール商品に提供される。しかしながら、代替的に、シートは、ロール商品ではなく個別のシートとして製造されてもよい。そのような実施形態では、シートは、好ましくは、最終物品に寸法が対応する。例えば、再帰反射シートは、標準的な米国標識(例えば、30インチ×30インチ(76cm×76cm))の寸法を有してもよく、したがって、シートを調製するために用いられる微細構造化ツールは、およそ同じ寸法を有してもよい。ライセンスプレート又は反射ボタンなどのより小さい物品は、対応するより小さい寸法を有するシートを用いることができる。
再帰反射シートは、好ましくは一体型材料として製造され、すなわち、キューブコーナー微細構造要素は、金型の寸法全体にわたって連続層内に相互接続され、個々の要素及びそれらの間の接続は、同じ材料を含む。マイクロプリズム表面の反対側にあるシートの表面は、典型的には滑らかかつ平坦であり、「ランド層」とも呼ばれる。ランド層の厚さ(すなわち、複製された微細構造から生じる部分を除く厚さ)は、0.001〜0.100インチ、好ましくは0.003〜0.010インチである。そのようなシートの製造は、典型的には、流体樹脂組成物をツール上に注型し、組成物を硬化させてシートを形成することによって達成される。ツール上に流体樹脂を注型するための好ましい方法は、米国特許第7,410,604号(Ericksonら)に記載されている。
しかしながら、任意選択的に、ツールをエンボス加工ツールとして使用して、米国特許第4,601,861号(Priconeら)に記載されているものなどの再帰反射性物品を形成することができる。あるいは、シートは、国際公開第95/11464号(Benson Jr.ら)及び米国特許第3,684,348号(Rowland)に教示されているように、予備形成されたフィルムに対してキューブコーナー要素を注型することによって、又は予備形成されたフィルムを予備形成されたキューブコーナー要素に積層することによって、層状製品として製造することができる。そうすることで、個々のキューブコーナー要素は、予備形成されたフィルムによって相互接続される。更に、要素及びフィルムは、典型的には、異なる材料から構成される。
シートの製造において、ツールの溝は、米国特許第6,884,371号(Smith)に更に記載されるように、前進するツールの方向とほぼ整列することが好ましい。したがって、任意の更なる製造工程の前に、シートの主溝は、シートのロールの縁部に実質的に平行であることになる。
樹脂が所望の構成に成形可能であり得る限り、シート用の様々な好適な樹脂組成物を使用することができる。屋外で使用されることになる再帰反射シートに対して、樹脂は、典型的には、寸法安定性、耐久性、耐候性であり、かつ所望の構成に容易に成形可能である透明材料である。好適な材料の例としては、Rohm and Haas Companyによって製造されたPlexiglasブランドの樹脂などの約1.5の屈折率を有するアクリル、約1.59の屈折率を有するポリカーボネート、熱硬化性アクリレート及びエポキシアクリレートなどの反応性材料、E.I.Dupont de Nemours and Co.,Inc.により商標名SURLYNで市販されているものなどのポリエチレン系イオノマー、(ポリ)エチレン−コ−アクリル酸、ポリエステル、ポリウレタン、及びセルロースアセテートブチレートが挙げられる。ポリカーボネートは、それらの靭性、及び一般により広い範囲の進入角度にわたって改善された再帰反射性能に寄与する比較的高い屈折率のためにキューブコーナーシートに特に好適である。これらの材料はまた、染料、着色剤、顔料、紫外線安定剤、又は他の添加剤を含んでもよい。
再帰反射シートを製造するときに、金属コーティングなどの鏡面反射性コーティングを、キューブコーナー要素の裏面に配置することができる。金属コーティングは、アルミニウム、銀、又はニッケルなどの金属を蒸着する又は化学的に堆積するなどの既知の技術によって適用することができる。プライマー層を、コーナーキューブ要素の裏面に適用し、金属コーティングの接着性を促進してもよい。金属コーティングに加えて、又はその代わりに、封止フィルムをキューブコーナー要素の裏面に適用することができる。例えば、米国特許第4,025,159号(McGrath)及び同第5,117,304号(Huangら)を参照されたい。封止フィルムは、境界面での内部全反射を可能にし、かつ汚れ及び/又は水分などの汚染物質の侵入を阻止する、キューブの裏面の空気界面を維持する。バリア要素の層を感圧接着剤層上に使用して、米国特許出願公開第2013/0034682号(Freeら)に開示されているものなどの、境界面での内部全反射を可能にし、かつ汚染物質の侵入を阻止する、キューブの裏面の空気界面を形成することができる。
改善された(例えば、屋外)耐久性のために、又は画像受容表面を提供するために、別個のオーバーレイフィルムをシートの視認面上に利用してもよい。そのような屋外耐久性の指標は、長期間(例えば、1年、3年)の曝露後にASTM D4956−16bに記載されるものなどの十分な輝度仕様を維持することである。更に、日中の輝度係数(CapY)は、好ましくは、曝露の前及び後に30よりも大きい。
また、キューブコーナー要素又は封止フィルムの背後に接着剤層を配置して、キューブコーナー再帰反射シートを基材に固定することを可能にすることができる。好適な基材としては、木材、アルミニウムシート、亜鉛めっき鋼、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリフッ化ビニル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリウレタンなどのポリマー材料、並びにこれら及び他の材料から作製された多種多様な積層体が挙げられる。
開示したエンドミル加工法を使用して作製された構造化表面(又は構造化表面の反転したもの)を含む基材から形成される物品に関して、形成された物品は、基材の構造化表面の形状をとり、上述したような基材の構造化表面の特徴を含むことになる。
例えば、異なる横方向、厚さ方向、又はエンドミル軸の様々な角度の切削のエンドミル加工法を使用すると、結果として得られる微細構造の様々な向きを形成することができる。例えば、キューブコーナー微細構造を作製するとき、二面角誤差を導入することができる。全光戻り(total light return)(TLR)の均一性を改善するために、そのような誤差を導入することが望ましい場合がある。
したがって、対称な、又は、傾斜した、例えば、前方若しくは後方に傾斜した、切頭キューブを形成することが可能である。米国特許第5,565,151号(Nilsen)及び同第4,588,258号(Hoopman)を参照されたい。PGキューブコーナー要素の傾斜は、米国特許第6,015,214号(Heenanら)に記載されている。
したがって、スキュー及び傾斜を有する完全キューブコーナー要素又はPGキューブコーナー要素を形成することが可能である。米国特許第9,470,822号(Smith)を参照されたい。
微細構造を含む物品は、概ね平坦な表面及び縁部を有する微細構造が有用である様々な用途に使用することができる。例えば、微細構造を含む物品は、研磨材料として、又は光若しくはノイズを方向付けるために使用することができる。
非直交キューブコーナー要素の更なる説明
既に説明したように、上記の教示を使用して、所与のキューブコーナー要素の少なくとも2つの光学面の間、又はそのような少なくとも2つの光学面の一部分の間に二面角誤差を組み込む、キューブコーナー要素を備える物品、及びキューブコーナー要素のアレイを備える物品を作製することができる。これらの二面角誤差は、本明細書に開示するキューブコーナー要素の任意のものに適用することができる。場合によっては、異なる二面角誤差を、1つ以上のキューブコーナー要素の1つ以上の複合面の異なる構成面に適用することができる。場合によっては、二面角誤差を、1つ以上のキューブコーナー要素の1つ以上の複合面の構成面に等しく適用することができる。場合によっては、二面角誤差は、キューブコーナー要素の列以外のパターンで適用することができる。対象とする角度誤差は、一般に、1分の角度〜2度、又は1若しくは2分の角度〜70分間の角度、又は1若しくは2分の角度〜40分の角度の範囲内にある。所与の角度誤差は、名目上90度の二面角に加える、又はそれから減算するのいずれかとすることができるため、これらの範囲は、当然ながら、対象とする角度誤差の大きさを指す。
開示したエンドミル加工法によって作製される非直交キューブコーナー要素のアレイもまた、(所望により)所与のキューブコーナー要素の光学面(又は少なくともその一部分)が、隣接するキューブコーナー要素の少なくとも1つの光学面(又はその一部分)と同一平面上にあるという条件を満たすように作製されてもよい。しかし、一般に、開示したエンドミル加工法によって作製される非直交キューブコーナー要素のアレイは、アレイ内の1つ、いくつか、又は全てのキューブコーナー要素に対してこの条件が満たされないように作製することができる。
開示したエンドミル加工技術を使用して、キューブコーナー要素を構成する様々な面のうちの1つ以上が、名目上垂直であるキューブコーナー要素の他の面に対して直交性から小さいが有意な量、偏位するように向きを変えるように、切削パラメータに対してわずかな調整を行うことによって、非直交キューブコーナー要素を作製することができ、この小さな偏差は、二面角誤差と呼ばれる。切削パラメータに対する小さな調整は、
・例えば、図5CのDtop、Dbot、及びTHAに関して、回転エンドミルの切削包絡面の寸法、又は
・例えば、図33の極角θ又は方位角φに関して、切削包絡面の向き、又は
・例えば、カント角α若しくはβ、又は図37の垂直切削面間の角度Φに関して、傾斜した切削経路の形状、
のうちの1つ、いくつか、又は全てに対する、厳密に直交するキューブコーナー要素を生成するそのようなパラメータの組に対して、再構成された又は修正されたキューブコーナー要素、すなわち、非直交キューブコーナー要素を生成するような、調整を含むことができる。
傾斜した切削経路の形状に対するいくつかの調整を、図69に概略的に示す。図37との比較で最も良く理解される、この図は、3715abとラベル付けされた点Aから点B(又はその逆)までのもの、及び3715bcとラベル付けされた点Bから点C(又はその逆)までのものの、2つの別個のセグメント又は部分を有する名目上経路を示す。図69の目的のために、これらの経路3715ab、3715bcは、厳密に直交する切頭又はPGキューブコーナー要素を形成するために、エンドミル加工工具(単数又は複数)によって使用されるいくつかの切削経路のうちの2つであると仮定する。小さな偏差又は調整は、代替点A’、C’、及びC’によって表される。点A’は、元のカント角αを調整されたカント角α’に変更するための増分Δαを導入する。点C’は、元のカント角βを調整されたカント角β’に変更するための増分Δβを導入する。点C’’は、元の交差角Φ(経路AB及びBCをそれぞれ含む垂直平面間の)を調整されたカント角Φ’に変更するための増分ΔΦを導入し、調整された経路B〜C’はまた、新しい又は修正されたx’’−z垂直平面を画定する。点A’、C’、又はC’’によって表される小さな調整は、切頭又はPGキューブコーナー要素の1つ以上の光学面(又はそのような光学面の一部分)の向きを変え、それにより、二面角誤差だけキューブコーナー要素の他の光学面に対して直交性から偏位させるために、好適であり得る。当然ながら、傾斜した切削経路の形状に対する小さな調整はまた、又は代替的に、任意の所望の軸又は方向に沿って少量だけ図69の点Bの位置をシフトさせることによって達成されてもよい。
図70は、図51のものと同様のキューブコーナー要素のアレイが形成されているが、所与のキューブコーナー要素7080が、上述したような1つ以上の切削パラメータを調整することによって1つ以上の二面角誤差を有するように作製された、構造化表面7007を示す。キューブコーナー要素5081(図50)及びキューブコーナー要素5181(図51)と同様に、キューブコーナー要素7080は、名目上互いに直交する3つの複合光学面CF1、CF2、及びCF3を有し、これらは全て、本明細書に開示するエンドミル加工技術によって作製されている。しかしながら、キューブコーナー要素7080の複合面のうちの少なくとも1つは、その2つの構成面の切削パラメータの適切な調整によって向きを変えられており、それにより、そのような複合面は、他の光学面の一方又は両方に対して直交性から偏位している。例えば、光学面CF1は、光学面CF2に対して垂直であってもよいが、光学面CF3に対して二面角誤差を有してもよい。あるいは、光学面CF1は、光学面CF2に対して第1の二面角誤差、及び光学面CF3に対して第2の二面角誤差を有してもよい。
エンドミル加工技術は、アレイ内の全ての他のキューブコーナー要素とは独立して、図70のアレイ内の各キューブコーナー要素を個別に形成することを可能にするため、キューブコーナー要素の列又は行に沿った光学面が互いに同一平面上になければならないという要件、又は所与のキューブコーナー要素の光学面が隣接するキューブコーナー要素の光学面と同一平面上になければならないという付随要件によって制約されず、各光学面の向きを独立して調整することが可能である。その関連で、キューブコーナー要素7080に隣接する全てのキューブコーナー要素は、陰影によって図70で特定されている。そのような陰影を付けた12個の隣接するキューブコーナー要素が存在し、それらのうちの3つ、すなわち、キューブコーナー要素7081、7082、及び7083は、キューブコーナー要素7080と実質的に共通の又は共有された非二面縁部を有することにより隣接し、残りの9つは、キューブコーナー要素7080と実質的に共通の若しくは共有された点又は角部を有することにより隣接している。
したがって、キューブコーナー要素7080の光学面CF1は、隣接するキューブコーナー要素の光学面のいずれも向きを変えることなく、光学面CF2、CF3の一方又は両方と二面角誤差を有するように向きを変えられてもよい。追加的に又は代わりに、光学面CF2は、隣接するキューブコーナー要素の光学面のいずれも向きを変えることなく、光学面CF1、CF3の一方又は両方と二面角誤差を有するように向きを変えられてもよい。追加的に又は代わりに、光学面CF3は、隣接するキューブコーナー要素の光学面のいずれも向きを変えることなく、光学面CF1、CF2の一方又は両方と二面角誤差を有するように向きを変えられてもよい。これらの全ての場合、並びに隣接するキューブコーナー要素の光学面(単数又は複数)がキューブコーナー要素7080とは異なる様式で向きを変えられる場合では、結果として得られる非直交キューブコーナー要素7080は、(1)二面角誤差だけ残りの光学面のうちの一方又は両方と直交性から偏位し、かつ(2)任意の隣接するキューブコーナー要素の任意の光学面と同一平面上にない(すなわち、同じ平面内にない)、少なくとも1つの光学面を有することになる。端的な方法では、キューブコーナー要素の光学面(単数又は複数)のそのような選択的で個別化された向きの変更は、図52、図53、図56A、図56B、図57、図59、図67A、図67B、図68A、及び図68Bのいずれかのキューブコーナーコーナー要素を含むがこれらに限定されない、切頭キューブコーナー要素、PGキューブコーナー要素、完全キューブコーナー要素、又は傾斜したキューブコーナーコーナー要素を含むアレイを含む、他のタイプのキューブコーナー要素アレイで実施することができる。上記条件は、(1)対象キューブコーナー要素(キューブコーナー要素7080など)が、その隣接するキューブコーナー要素のうちのいくつか又は全ての対応するベースと平行な又は更に同一平面上にあるベース三角形又は他のベースを有する、あるいは(2)対象キューブコーナー要素が、その隣接するキューブコーナー要素のいくつか又は全てと共に、それらのベースに沿って破壊されない(すなわち、それらは無傷である)場合でも満たすことができる。
開示したエンドミル加工技術によって作製されるキューブコーナー要素は、図39〜図43に関連して上述したように、少なくとも1つの複合光学面、又は少なくとも2つの複合光学面を有してもよく、多くの場合、各キューブコーナー要素の光学面の3つ全ては、本質的に複合であり、すなわち、分割線によって分離された2つの別個の構成面からなる。更に、所与の複合面の構成面を形成するために、異なる切削工程が使用される。場合によっては、例えば、図70に関連して上述したように、切削パラメータに対する調整は、各複合面の完全性を維持するために、すなわち、各複合面の構成面間の平行を維持するために選択することができる。他の場合には、切削パラメータに対する調整は、所与の複合面の構成面が、例えば、少なくとも1分の角度だが2度以下、又は少なくとも1若しくは2分の角度だが70分以下の角度だけ、実質的に平行から偏位する非直交キューブコーナー要素を提供し、それにより、それらの構成面のうちの少なくとも1つがキューブコーナー要素の他の光学面、又はそれらの一部分に対して実質的な二面角誤差を有するように選択することができる。そのような一実施形態を、図71に概略的に示す。個々の構成要素の面の調整により、無傷の構成面の対として複合面を調整するよりも、より多くの設計の自由度が可能になる。例えば、3つ全ての光学面が複合面である(合計6つの構成面について)キューブコーナー要素では、極端な1つの場合では、6つの構成面のうちの1つのみが、二面角誤差を生成するように向きを変えられ又は調整されてもよく、一方で、他方の極端な場合では、6つ全ての構成面は、二面角誤差を生成するように向きを変えられ又は調整されてもよい。これらの両極端の間で、他の数の構成面の向きを変えてもよい。これにより、キューブコーナー要素の形状を調整する際のより大きな設計柔軟性を提供し、したがって、キューブコーナー要素(単数又は複数)によって生成される発散プロファイル又は他の光戻りパターンを調整する際のより大きな設計柔軟性を提供する。
図71は、1つ以上の切削パラメータを調整して非直交キューブコーナー要素を提供することによって、複合光学面の少なくとも1つの構成面の向きが(厳密に直交するキューブコーナー要素に対して)調整された、単一のキューブコーナー要素を平面図で示す。図に示し説明において報告する実際の角度偏差が、非直交キューブコーナー要素を作製するのに好適であろうよりも大きい限りにおいて、この図は、概略的である、又は縮尺通りではない。別の言い方をすれば、図に示す偏差は、直交性からの偏差が非常に大きいため、キューブコーナー要素としてほとんど又は全く有用性を有さないであろう構造体を生成する。しかしながら、過度の偏差は、キューブコーナー要素の形状に行なわれた変更を読者が理解することを可能にする図面を提供するのに有用である。
図71は、1つのキューブコーナー要素のみを示すが、本開示は、そのようなキューブコーナー要素の一致した対、並びにそのようなキューブコーナー要素のアレイ、及び異なるタイプのキューブコーナー要素を含むアレイを企図する。更に、図71のキューブコーナー要素は、凹部又はキャビティとして説明されるが、本開示はまた、例えば、好適な複製方法によって、凹部の反転した対応物が突出部として提供される構造化表面も企図する。開示する非直交キューブコーナー要素は、キャビティ又は突出部にかかわらず、上記に開示したような横断方向寸法を有してもよく、微細構造であっても、又は微細構造を含んでもよい。
次に、図71を参照して、そこに、キューブコーナー要素7180として構成された凹部7120を見る。キューブコーナー要素7180は、キューブコーナー要素の光学面間に少なくとも1つの二面角誤差(90度に対して)を提供するように、1つ以上の切削パラメータが調整されていることを除いて、上述のキューブコーナー要素4780(図47を参照)と同様に回転エンドミルを用いて作製することができる。キューブコーナー要素7180は、ベース7120bと、関連する遷移線7151a、7151b、7152a、7152b、7153a、7153b、並びに終端7151t、7152t、及び7153tを有する丸みのある縁部7151、7152、7153と、外周7120pと、面7141b、7142a(第1の複合光学面を形成する)、7142b、7143a(第2の複合光学面を形成する)、及び7143b、7141a(第3の複合光学面を形成する)とを含み、3つの光学面は、互いに対して名目上相互に直交する。これらの要素は全て、キューブコーナー要素4780内に実質的な対応物を有し(いくつかの対応物は同一でなくてもよい)、更なる説明を必要としない。
キューブコーナー要素7180を形成するために使用される3つの傾斜した切削経路又は経路セグメントは、図71に示すように、異なる垂直平面、すなわち、丸みのある縁部7151を形成することに関与するx−z平面、丸みのある縁部7152を形成することに関与するx’−z’平面、及び丸みのある縁部7153を形成することに関与するx’’−z’’平面内にある。x−z平面は、角度Φ1でx’−z’平面と交差し、x’−z’平面は、角度Φ2でx’’−z’’平面と交差し、x’’−z’’平面は、角度Φ3でx−z平面と交差し、これらの角度は、図71ではラベル付けされない。キューブコーナー要素7180は、全ての他の切削パラメータを同じに維持しながら、10度だけ、z軸周りのx−z平面の反時計回りの回転によって(図47及び図71の視点から)、キューブコーナー要素4780とは異なる。この調整は、Φ1=130度、Φ2=120度、Φ3=110度(Φ1=Φ2=Φ3=120度の図47と比較して)をもたらす。
キューブコーナー要素7180の複合面に関して、面7142b及び面7143aは、実質的に同一平面上かつ平行であり、それらは、分割線7172に沿って交わる。角度Φ3の調整された値により、面7141a、7143bは、平行から偏位しているが、依然として複合面を形成し、分割線7173に沿って交わる。角度Φ1の調整された値により、面7141b、7142aは、平行から偏位しているが、依然として複合面を形成し、実効分割線7171として集合的に特定する、密に離間した特徴の群(湾曲した側面7131b、遷移線7161b、及び遷移線7162a)に沿って交わる。
以下の表1は、キューブコーナー要素7180において、その様々な面の間に具現化された様々な角度誤差を示す。この表に報告される角度は、図に示す過剰な角度偏差(x−z平面の10度の回転)に対して正確である。しかしながら、読者は、はるかに小さい偏差(例えば、図示した偏差の1/10)が使用される場合、表の角度の大きさは、同様に低減されることを理解するであろう。表の全ての角度値は、角度の度で与えられ、0度(平行条件)に対する角度誤差を表すアスタリスク(*)でマークされた値を除いて、90度に対する角度誤差を表す。表中、CF1aは、面7141bを指し CF1bは、面7142aを指し、CF2aは、面7142bを指し、CF2bは、面7143aを指し、CF3aは、面7143bを指し、CF3bは、面7141aを指す。
非直交キューブコーナー要素(少なくとも1つの二面角誤差を有するキューブコーナー要素)の更なる実施例又はタイプは、キューブコーナー要素の3つの光学面を形成する6つの構成面のうちのより多く又は他の面の向きを変えることによって、図71と同様の方法で達成することができる。
切削パラメータのうちの1つ以上を調整することによって、非直交キューブコーナー要素を形成するためのこれらの同じ原理及び技術はまた、切頭キューブコーナー要素、完全キューブコーナー要素、PGキューブコーナー要素、傾斜したキューブコーナー要素、キューブコーナー要素の一致した対、キューブコーナー要素の均一又は不均一なアレイなどを含む、本明細書に開示する全ての他のタイプのキューブコーナー要素に、端的な方法で適用することができる。
セキュリティ物品の更なる説明
前述の原理及び教示を使用して、上述したような1つ以上のセキュリティ画像を組み込む物品及び検出可能なインディシアを組み込む物品を作製することができる。そのようなセキュリティ物品を、図72に概略的に示す。この図では、本明細書で説明する他の構造化表面物品のいずれかと同じ又は同様であってもよい基材7205は、少なくとも第1の領域又は区域内の第1の部分7207a、及び第2の領域又は区域内の第2の部分7207bに分割された構造化表面を有する。第1及び第2の領域は、例えば、前景及び背景として相補的であってもよく、又は他の方法で本質的に重なり合わなくてもよい。参照番号7207で集合的に参照する構造化表面は、基材7205の加工面又は複製表面であってもよい。第1及び第2の部分7207a、7207b及びそれらの対応する領域は、インディシアを画定するように構成される。インディシアは、例えば、セキュリティ物品自体、若しくはセキュリティ物品が取り付けられた若しくは別の方法で組み合わされた別の製品に対する真正性のインジケーションとして機能することができる、又は別の方法で情報を伝達することができる、1つ以上の英数字、記号、ロゴ、若しくは他の認識可能なパターン、マーク、マークの群、又はその一部分(単数又は複数)であってもよく、又はそれを含んでもよい。
インディシアは、第1又は第2の領域内の構造化表面7207上の微細構造の好適な配置又は分布に起因して、可視である、又は別の方法で検出可能であり、微細構造は、キューブコーナー要素、非キューブコーナー要素、又はこれらの組み合わせかにかかわらず、本明細書に開示する微細構造のいずれかであってもよい。例えば、第1の部分7207aの境界内では、構造化表面7207は、第1の微細構造のみを含んでもよく、一方で第2の微細構造(第1の微細構造とは異なる)のみが、第2の部分7207bの境界内に含まれてもよい。第1及び第2の微細構造の多数の組み合わせが可能であり、本開示によって企図される。第1及び第2の微細構造のうちの少なくとも1つ、好ましくは両方は、本明細書に開示するエンドミル加工技術によって直接的又は間接的に(例えば、1つ以上の複製方法を介して)作製される微細構造を含む。
したがって、例えば、第1の微細構造のそれぞれは、図21又は図22に示すような涙滴形状の構造体、又は例えば、図28〜図32、図38、図44、又は図45のいずれかに示すような別の非キューブコーナー構造体であってもよい。場合によっては、セキュリティ物品の構造化表面内の第2の微細構造のそれぞれは、次いで、第1の微細構造と同じタイプの構造体だが、物品の最終エンドユーザの見地から視覚的相違を生成する何らかの方法で修正されてもよい。例えば、各第2の微細構造は、均一な倍率によって縮小若しくは拡大される、又は例えば、構造化表面のz軸(表面法線方向)周りの回転によって向きが変更される、又は第1の微細構造の相対間隔よりも異なる量だけその隣接する第2の微細構造から離間される(より密に集積される、又はより疎に集積される)ことなどを除いて、各第1の微細構造と同じであってもよい。他の場合には、第2の微細構造は、第1の微細構造に対して異なるタイプの構造体であってもよい。例えば、第1の微細構造は、図21又は図22に示すような涙滴型であってもよく、第2の微細構造は、図28〜図32、図38、図44、又は図45のいずれかに示すタイプであってもよい。
更に他の場合では、第1の微細構造、第2の微細構造、又はその両方は、キューブコーナー要素であってもよい。したがって、例えば、第1の微細構造は、例えば、切頭又はPG若しくは完全かにかかわらず、傾斜している又は傾斜していないにかかわらず、対称又は非対称かにかかわらず、任意の二面角誤差を有するかにかかわらず、及び三角形、六角形、五角形、又は四辺形の外周形状かにかかわらず、エンドミル加工技術によって作製された本明細書に開示するキューブコーナー要素のうちのいずれであってもよい。場合によっては、セキュリティ物品の構造化表面内の第2の微細構造のそれぞれは、次いで、非キューブコーナー要素、例えば、本明細書に開示する非キューブコーナー構造体のいずれかであってもよい。他の場合には、第2の微細構造のそれぞれは、第1の微細構造と同じタイプのキューブコーナー要素だが、例えば、均一な倍率によって縮小若しくは拡大される、又は例えば、構造化表面のz軸(表面法線方向)周りの回転によって向きが変更される、又は第1の微細構造の相対間隔よりも異なる量だけその隣接する第2の微細構造から離間される(より密に集積される、又はより疎に集積される)など、物品の最終エンドユーザの見地から視覚的相違を生成する何らかの方法で修正されてもよい。更に他の場合では、第2の微細構造は、第1の微細構造とは異なるキューブコーナー要素であってもよい。例えば、第1の微細構造が切頭キューブコーナー要素である場合、第2の微細構造は、PG又は完全キューブコーナー要素であってもよい。あるいは、第1の微細構造が傾斜したキューブコーナー要素である場合、第2の微細構造は、傾斜していないキューブコーナー要素、又は第1の微細構造とは異なる量だけ若しくは反対の向き(例えば、後方対前方)に傾斜したキューブコーナー要素であってもよい。あるいは、第1の微細構造が二面角誤差を有さないキューブコーナー要素である場合、第2の微細構造は、1つ以上の二面角誤差を有するキューブコーナー要素であってもよい。あるいは、第1の微細構造が1つ以上の二面角誤差を有するキューブコーナー要素である場合、第2の微細構造は、二面角誤差を有さない、又は第1の微細構造とは異なる二面角誤差を有するキューブコーナー要素であってもよい。
多くの場合、構造化表面の第1の領域と第2の領域との間の視覚的相違又はコントラストは、物品の通常のエンドユーザによって見られたときに、照明形態、若しくは観察形態、又はその両方の関数として有意に変化してもよく、それにより、インディシアの視認性もまた、それらのパラメータの関数として有意に変化する。例えば、第1及び第2の領域が両方ともキューブコーナー要素を含むいくつかの場合では、2つの領域の外観は、これらの領域によって形成されるインディシアの視認性が非常に低いように、通常の周囲照明条件において実質的に同じ又は非常に類似していてもよい。しかし、キューブコーナー要素による光戻りの方向特性に起因して、例えば、入射光が照明軸に沿って物品に衝突し、ユーザが観測軸に沿って物品を観察し、照明軸及び観測軸が平行又はほぼ平行である、再帰反射照明条件下では、同じセキュリティ物品は、インディシアに対する高い視認性を提供することができる。そのような場合、インディシアの視認性は、典型的には、照明軸と観測軸との間の角度の関数として変化することになる。
実施例1
疑似ランダム化されたMNOを有する傾斜していない完全なキューブ
図68Bのものと同様であるが、全てアスペクト比が1.7に近い長方形の外周を有した数千個のキューブコーナー要素を含む完全(PG)キューブコーナー要素のアレイを、回転エンドミルのみを使用して硬質銅基材の表面に切削し、回転エンドミルの動きをコンピュータ制御して、アレイ内の全ての面を形成するために必要な全ての切削を行なった。硬質銅基材は、公称厚さ25.4mmであった。6つの切削の一次セットを使用して6つの丸みのある縁部及び6つの複合面を形成した。そのような複合面は、図68Bのキューブコーナー要素6886’、6887’に類似した一致した一対のキューブコーナー要素を形成している。使用したエンドミルは、36.264度に側面での等しいテーパ角(THA)、及び60マイクロメートルに等しい先端直径(Dbot)を有する、実質的に図5A〜図5Dに示すようなダイヤモンドエンドミルであった。基材は、図1に示すタイプであり、加工面107を含んでいた。アレイの全ての面に関して、エンドミルを、図6Aに示すように、エンドミルの回転軸が加工面に垂直であるように、基材に対して配置した。すなわち、切削包絡面は、傾斜しておらず、極角θは、ゼロであった。
切削の準備において、エンドミルの平坦な先端を、基材の上部の平坦な表面に置き、次いで、表面の上方の約0.042mmの垂直距離で基材から離れるように移動させた。次いで、この位置で、この垂直位置(Z座標)をゼロに設定した。
次いで、一連の切削を加工面に行なって、以下の表2に示すデカルト座標によって画定される経路に沿って回転エンドミルを移動させることにより、非直交キューブコーナー要素の密集したアレイ内の2つの第1の非直交キューブコーナー要素を形成した。(0,0)の初期(X,Y)座標を、基材上の特定の位置に割り当てた。表2のX、Y、及びZ値は、標準的なデカルト座標系に従い、Z=−0.042mmによって画定される平面は、基材の最初は滑らかで平坦な加工面に対応し、正のZ値は、加工面の上方に位置する。図68Bに示すx、y、z軸と比較して、表2のX、Y、Z軸は、z軸周りのx、y、z軸の90度の反時計回りの回転に対応する。
一連の切削を実行する前に、−0.005mm〜+0.005mmの合計9個の乱数を選択した。例えば、3つの乱数値を選択し、RandX1、RandX2、RandX3に割り当て、更に3つの乱数値を選択し、RandY1、RandY2、RandY3に割り当て、最後の3つの乱数値を選択し、RandZ1、RandZ2、RandZ3に割り当てた。表2に示すように、これらの乱数を、名目上のX、Y、Z座標にオフセットとして適用した。名目上の座標は、厳密に直交するキューブコーナー要素及び90度の二面角を生成するものである。キャビティのベースに対応する座標(一方のキューブコーナー要素の位置3及び10、他方の位置10及び12)に乱数を適用しなかった。それにより、アレイ全体にわたってベース位置は、明確に定義された規則的なグリッドを生成することになるが、代替的な実施形態では、オフセットもまた、又は代わりに、ベース位置に適用することができる。
回転エンドミルは、エンドミルが位置2から3に移動する際に、基材に第1の切り込み(並びに第1の丸みのある縁部及び平坦面の第1の対)を形成した。エンドミルが位置3から4に移動したときに、第2の切り込み(第2の丸みのある縁部及び平坦面の第2の対と共に)を形成した。エンドミルが位置4から5に移動したときに、第3の切り込み(並びに第3の丸みのある縁部及び平坦面の第3の対)を形成した。エンドミルが位置5から6に移動したときに、第4の切り込み(並びに第4の丸みのある縁部及び平坦面の第4の対)を形成した。エンドミルが位置9から10に移動したときに、第5の切り込み(並びに第5の丸みのある縁部及び平坦面の第5の対)を形成した。エンドミルが位置12から13に移動したときに、第6の切り込み(並びに第6の丸みのある縁部及び平坦面の第6の対)を形成した。これらの切り込みを完了すると、第1、第2、及び第5の丸みのある縁部は、第1のキューブコーナー要素の二面縁部を形成し、第3、第4、及び第6の丸みのある縁部は、第2の(一致した対の)キューブコーナー要素の二面縁部を形成し、各キューブコーナー要素の3つの光学面は、複合面である。乱数によって与えられるランダムオフセットの結果として、各複合面の構成面は、概して互いに正確に平行ではなく、光学面(及びその一部分)間の名目上直交する二面角は、上述のような角度誤差を含んだ。各キューブコーナー要素は、284.6マイクロメートルの深さ(基材の初期の平坦な表面の下の)を有した。
2つの非直交キューブコーナー要素を形成すると、同じ手順をステップアンドリピート方式で実行して、局所座標オフセットを適用して(0,0)(X,Y)座標を基材上の新たな位置に再配置することによって、キューブコーナー要素の更なる対を形成した。一連の6つの切り込みの各新たな繰り返しに対して、−0.005mm〜+0.005mmの9個の乱数値の新しい組を選択し、それにより、順次形成されたキューブコーナー要素の対は、それらのそれぞれの面の異なる向き及び二面角誤差の異なる組を有することになる。(しかし、乱数発生器は、フラクタルパターンに基づく技術を使用し、結果として、ステップアンドリピート法中に、(数ダースのオーダーの)限定された数の9個の乱数値の固有の組のみを使用し、最後のそのような固有の組を使用した後で、乱数の同じ組を同じ順序で再度使用して、キューブコーナー要素の次の対を形成した。乱数値の組のこの再使用を、所与の方向に沿ったステップアンドリピート法の秩序だった進行と組み合わせて、キューブコーナー要素のサイズよりも実質的に大きく、機械加工された基材の観察者に視覚的に明らかであるパターンを生成した。)全部で、6つの切削順序を、X方向に0.4mmのピッチ間隔で76回、Y方向に0.4619mmのピッチ間隔で38回、ステップアンドリピート方式で行った。これにより、それぞれX方向に400マイクロメートル、及びY方向に231マイクロメートルの辺寸法を有する平面視で長方形の外周を有する、5,000個をはるかに上回る非直交キューブコーナー要素のアレイを作製した。アレイは、X方向に約30mm、及びY方向に18mmの基材上の長方形領域を充填する。
同じ基材上の非直交PGキューブコーナー要素のこの第1の長方形アレイと並行して、キューブコーナー要素の実質的に同様の第2のアレイを、乱数値が全てゼロであったことを除いて、同じエンドミル加工手順及び同じステップアンドリピート手順によって形成し、それにより、この第2のアレイ内の全てのキューブコーナー要素の構成面は、互いに平行であり、光学面(及びその一部分)間の名目上直交する二面角は、上述のようないかなる有意な角度誤差も含まなかった。したがって、第2のアレイ内の実質的に全てのキューブコーナー要素は、厳密に直交するPGキューブコーナー要素であった。
図73Aは、(非直交)PGキューブコーナー要素の第1のアレイを含む第1の部分7307a、及び(直交)PGキューブコーナー要素の第2のアレイを含む第2の部分7307bに加工面が分割された、結果として得られた機械加工された基材7305の写真である。図73Aの観察形態は、垂直照明、すなわち、基材のZ軸に実質的に平行な照明軸に沿った照明、及び小さい又はゼロの観測角度を使用し、すなわち、照明軸と観測軸(基材からカメラレンズに引かれた線)との間の角度は、実質的にゼロであった。図73B及び図73Cは、同じ垂直照明だが、実質的により大きい観測角度を使用した、同じ機械加工された基材7305の写真である。より大きな観測角度では、直交キューブコーナー要素のアレイは、輝度を失うが、非直交キューブコーナー要素のアレイは、二面角誤差の結果として(ゼロの観測角度に対して)輝度を得る。加工面部分7307aの図73A〜Cのそれぞれで、乱数の組の再使用に関する上述したパターンを見ることができることに留意されたい。
この実施例1の物品は、セキュリティ物品に有用に用いることができる2種類のインディシア特徴を呈する。そのようなインディシア特徴の1つは、第1の部分7307a(構造化表面の第1の領域)と第2の部分7307b(構造化表面の第2の領域)との間のコントラストによって表される。これらの2つの領域は、それらの間に直線境界を有する隣接する矩形形状の領域として配置され、そのような領域及び境界は、第1のインディシア又はその一部分として使用するのに好適である。図73A〜Cを比較することによって、これらの2つの領域間の視覚的コントラストは、照明/観察形態の関数として有意に変化することを見ることができる。
実施例1の物品はまた、第2のインディシア特徴を具現化する。第2のインディシア特徴は、第1のインディシア特徴よりもスケールが小さく、第1の部分7307aの境界内のより明るい領域及びより暗い領域の繰り返しパターンによって特徴付けられる。繰り返しパターンは、図73Cで最も良く見ることができる(すなわち、最も視覚的に明らかである)。繰り返しパターンは、第2のインディシアを形成し、キューブコーナー要素を形成するために使用された乱数の組の再使用の結果として、二面角誤差の異なる組を有するキューブコーナー要素が第1の部分7307a全体にわたって反復して空間的に分布した、領域の集合からなる。
実施例2
半円形のMNOパターンを有する傾斜していない完全なキューブ
二面角誤差を生成する小さなオフセットを適用した方法を除いて、実施例1と関連して上述したものと実質的に同じ手順を用いて、別の硬質銅基材上に、完全(PG)キューブコーナー要素のアレイを作製した。(実施例1で行ったように)乱数の異なる組を有するオフセットを一連のキューブコーナー要素に適用するのではなく、キューブコーナー要素を、代わりに二分決定法に従って形成した。すなわち、それらは、オフセットなし(したがって、実質的に二面角誤差を有しない矩形キューブコーナー要素の一致した対を生成する)、又は0.005mmに等しい小さい固定オフセットを有して(したがって、ゼロでない二面角誤差を有する矩形キューブコーナー要素の一致した対を生成する)のいずれかで形成された。作製された矩形キューブコーナー要素のそれぞれの一致した対に対して、エンドミル加工機用のコントローラは、一致した対が位置する基材上の位置の関数として、ゼロのオフセット又は小さい固定オフセットの間で選択するようにプログラムされた。内側半径10mm及び外側半径12mmの半円弧形状の領域内に入る位置に対して、小さい固定オフセットを適用したが、半円弧形状の領域の外側の位置に対して、オフセットを適用しなかった。
結果は、それぞれがX方向に400マイクロメートル及びY方向に231マイクロメートルの辺寸法を有する平面視で矩形の外周を有する約1300個のキューブコーナー要素のアレイであり、アレイは、X方向に約15mm及びY方向に8mmの基材上の矩形領域を充填する。所定の半円弧形状の領域内に位置するキューブコーナー要素は、非直交であり、すなわち、それらは、ゼロでない二面角誤差を有し、残りのキューブコーナー要素は、直交しており、すなわち、それらは、実質的に二面角誤差を有しなかった。矩形アレイ全体は再帰反射性であったが、再帰反射特性は、光学面のわずかに修正された形状の結果として、第1のキューブコーナー要素(例えば、円弧形状領域内に位置するもの)と第2のキューブコーナー要素(円弧形状領域の外側に位置するもの)との間で異なっていた。
実施例2の物品の写真を、図74A及び図74Bに示す。これらの写真は、写真を撮るために使用した観察形態のみが異なる。両方の場合で、物品は、実質的な垂直入射光で照射された。図74Aの写真では、カメラレンズは、観測角度が小さい又はゼロであるように、照明軸に近接して配置された。図74Bの写真では、カメラレンズは、観測角度がより大きいように、照明軸からより遠く離れていた。予測どおりに、非直交キューブコーナー要素は、より大きい観測角度に対してより明るかった。2つの領域間のコントラスト、及び円弧形状のインディシアのコントラストは、照明形態及び観察形態の関数として変化した。
別段の指示のない限り、本明細書及び「特許請求の範囲」で使用される、数量、特性の測定値などを表す全ての数は、用語「約」によって修飾されているものと理解されたい。したがって、反対の指示がない限り、本明細書及び「特許請求の範囲」に記載の数値パラメータは、本出願の教示を利用する当業者が得ようとする所望の特性に応じて変動し得る、近似値である。「特許請求の範囲」に対する均等論の適用を制限しようとするものではないが、各数値パラメータは、少なくとも、報告されている有効桁数を考慮して、通常の四捨五入法を適用することによって解釈されるべきである。本発明の広義の範囲を記載している数値範囲及びパラメータは、近似値ではあるが、いずれかの数値が、本明細書で説明されている具体例で記載される限りにおいて、それらは、合理的な範囲で可能な限り正確に報告されるものである。しかしながら、いかなる数値も、試験又は測定の限界に伴う誤差を包含し得る。
本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本発明の様々な改変及び変更が、当業者には明らかとなるものであり、本発明は、本明細書に記載される例示的実施形態に限定されるものではないことを理解されたい。読者には、別段の指示のない限り、開示される1つの実施形態の特徴はまた、開示される全ての他の実施形態にも適用することができる点を想定されたい。また、本明細書で参照する全ての米国特許、特許出願公開、並びに他の特許文献及び非特許文献は、上述の開示に矛盾しない範囲内で、参照により組み込まれるものであることも理解されたい。
(付記)
(付記1)
基準平面に沿って延在する構造化表面を有する基材を備える物品であって、前記構造化表面は、内部に形成された別個の微細構造を含み、前記微細構造のそれぞれは、凹部又は突出部であり、
前記微細構造のそれぞれは、第1の面、及び前記第1の面とは別個の第2の面を有し、前記第1の面及び前記第2の面は、丸みのある縁部によって互いに接続されており、前記丸みのある縁部は、前記基準平面に対して角度αで傾斜した軸に沿って延在し、
前記微細構造は、インディシアを画定するように、互いに異なる第1の微細構造及び第2の微細構造を含む、物品。
(付記2)
前記微細構造のそれぞれは、1ミリメートル以下のオーダーの少なくとも1つの特性寸法を有する、付記1に記載の物品。
(付記3)
前記微細構造の少なくとも一部は、キューブコーナー要素である、付記1又は2に記載の物品。
(付記4)
前記第1の微細構造及び前記第2の微細構造は両方とも、キューブコーナー要素を含む、付記1〜3のいずれか一項に記載の物品。
(付記5)
前記微細構造の少なくとも一部は、キューブコーナー要素ではない、付記1〜4のいずれか一項に記載の物品。
(付記6)
前記微細構造の少なくとも一部は、凹部である、付記1〜5のいずれか一項に記載の物品。
(付記7)
前記微細構造の少なくとも一部は、突出部である、付記1〜6のいずれか一項に記載の物品。
(付記8)
前記第1の微細構造は、サイズ、向き、キューブコーナータイプ、及び二面角値のうちの1つ以上に関して、前記第2の微細構造とは異なる、付記1〜7のいずれか一項に記載の物品。
(付記9)
前記第1の微細構造は、向きに関して前記第2の微細構造とは異なり、前記向きは、前記基準平面に直交する軸を中心にする回転に関連する、付記1〜8のいずれか一項に記載の物品。
(付記10)
前記第1の微細構造は、カント角に関して前記第2の微細構造とは異なる、付記1〜9のいずれか一項に記載の物品。
(付記11)
前記第1及び第2の微細構造は、前記インディシアが周囲照明条件下で前記物品の通常の観察者によって検出可能であるように、互いに十分に異なる、付記1〜10のいずれか一項に記載の物品。
(付記12)
前記インディシアは、照明形態及び観察形態の一方又は両方の関数として変化する視認性を有する、付記1〜11のいずれか一項に記載の物品。
(付記13)
前記丸みのある縁部は、選択された断面平面内で測定したときに、少なくとも10マイクロメートルの曲率半径を有する、付記1〜12のいずれか一項に記載の物品。
(付記14)
前記丸みのある縁部は、選択された断面平面内では一定の曲率半径を示すが、前記第1の面及び前記第2の面の両方に垂直な断面平面内では一定の曲率半径を示さない、付記1〜12のいずれか一項に記載の物品。
(付記15)
前記基材は金属を含む、付記1〜14のいずれか一項に記載の物品。
(付記16)
前記物品は、微細複製に適したツールである、付記1〜15のいずれか一項に記載の物品。
(付記17)
前記物品は、マスターであり、前記構造化表面は、前記マスターの加工面である、付記1〜16のいずれか一項に記載の物品。
(付記18)
前記基材は、光透過性材料を含む、付記1〜14のいずれか一項に記載の物品。
(付記19)
前記基材は、薄くかつ可撓性であり、前記基材の厚さよりも大きい長さ及び幅を有する、付記18に記載の物品。
(付記20)
前記物品は、キューブコーナーシートである、付記19に記載の物品。
(付記21)
基準平面に沿って延在する構造化表面を有する基材を備える物品であって、前記構造化表面は、内部に形成されたキューブコーナー要素を含み、前記キューブコーナー要素は、インディシアを画定するように、互いに異なる第1のキューブコーナー要素及び第2のキューブコーナー要素を含み、
前記キューブコーナー要素の少なくとも一部はそれぞれ、分割線に沿って合流する第1の面及び第2の面を含む複合面を有し、前記分割線は、前記基準平面に対して傾斜している、物品。
(付記22)
前記複合面、前記第1の面、及び前記第2の面は、全て名目上平坦である、付記21に記載の物品。
(付記23)
前記キューブコーナー要素の前記少なくとも一部のそれぞれに関して、前記複合面は、前記キューブコーナー要素の光学面である、付記21又は22に記載の物品。
(付記24)
前記キューブコーナー要素の前記少なくとも一部のそれぞれに関して、前記キューブコーナー要素は、外周を有し、前記分割線は、前記外周まで延在している、付記21〜23のいずれか一項に記載の物品。
(付記25)
前記キューブコーナー要素の前記少なくとも一部のそれぞれに関して、前記キューブコーナー要素は、頂点を有し、前記分割線は、前記頂点まで延在している、付記21〜24のいずれか一項に記載の物品。
(付記26)
前記キューブコーナー要素のそれぞれが、1ミリメートル以下のオーダーの少なくとも1つの特性寸法を有する、付記21〜25のいずれか一項に記載の物品。
(付記27)
前記第1のキューブコーナー要素は、サイズ、向き、キューブコーナータイプ、及び二面角値のうちの1つ以上に関して、前記第2のキューブコーナー要素とは異なる、付記21〜26のいずれか一項に記載の物品。
(付記28)
前記第1のキューブコーナー要素は、向きに関して前記第2のキューブコーナー要素とは異なり、前記向きは、前記基準平面に直交する軸を中心にする回転に関連する、付記21〜27のいずれか一項に記載の物品。
(付記29)
前記第1のキューブコーナー要素は、カント角に関して前記第2のキューブコーナー要素とは異なる、付記21〜28のいずれか一項に記載の物品。
(付記30)
前記インディシアは、照明形態及び観察形態の一方又は両方の関数として変化する視認性を有する、付記21〜29のいずれか一項に記載の物品。
(付記31)
セキュリティ物品の製造方法であって、
基準平面に沿って延在する加工面を有する基材を準備することと、
前記基材内に複数の微細構造を形成することと、
を含み、前記微細構造は、インディシアを画定するように、互いに異なる第1の微細構造及び第2の微細構造を含み、
前記形成することは、
前記基材を回転エンドミルで切削して、前記基材内に凹部を形成することと、
前記切削中に、前記基材に対して切削経路に沿って前記回転エンドミルを移動させることと、を含み、前記切削経路は、前記基準平面に対して傾斜した経路部分を含む、方法。
(付記32)
前記経路部分は、前記基準平面に対して角度αで傾斜し、αは、1度〜89度の範囲である、付記31に記載の方法。
(付記33)
前記回転エンドミルが前記経路部分に沿って移動する際に、前記切削中に前記凹部の別個の第1の面及び第2の面を形成することを更に含む、付記31又は32に記載の方法。
(付記34)
前記第1及び第2の面は、名目上平坦であり、丸みのある縁部によって接続されている、付記33に記載の方法。
(付記35)
前記微細構造の少なくとも一部は、キューブコーナー要素である、付記31〜34のいずれか一項に記載の方法。
(付記36)
前記第1の微細構造及び前記第2の微細構造は両方とも、キューブコーナー要素を含む、付記31〜35のいずれか一項に記載の方法。
(付記37)
前記第1の微細構造は、サイズ、向き、キューブコーナータイプ、及び二面角値のうちの1つ以上に関して、前記第2の微細構造とは異なる、付記31〜36のいずれか一項に記載の方法。
(付記38)
前記第1の微細構造は、向きに関して前記第2の微細構造とは異なり、前記向きは、前記基準平面に直交する軸を中心にする回転に関連する、付記31〜37のいずれか一項に記載の方法。
(付記39)
前記第1の微細構造は、カント角に関して前記第2の微細構造とは異なる、付記31〜38のいずれか一項に記載の方法。
(付記40)
前記形成することは、前記インディシアが照明形態及び観察形態の一方又は両方の関数として変化する視認性を有するように、実施される、付記31〜39のいずれか一項に記載の方法。