JPH07106853B2 - エレベータのかご室装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この発明は、エレベータのかご室装置に関し、さらに詳
しくいうと、既設エレベータを改造して新規なエレベー
タにするとき、またはビル建築工事などに用いるエレベ
ータのかご室装置に関するものである。

［従来の技術］ 従来、一般に、エレベータのかごは、昇降路に収納し得
る最大のサイズが採用される。他方、エレベータの据付
途中または建築工事用エレベータに仮設の駆動装置を使
用する場合があるが、駆動装置の関係より、かご容量が
問題となる。

第10図は特開昭61−55079号公報に示されたような従来
のエレベータ取替工事における仮設巻上機によるサービ
スの態様を示し、昇降路（１）の上端に設けられた機械
室（２）内に、巻上機（３）および制御盤（４）が収
納、設置されている。新規なエレベータのかご室（5a）
は昇降路（１）の最上階部位で組立てられるが、その間
のサービスのため、仮設巻上機（3a）を設け、巻上ロー
プ（６）により既設のかご室（５）が駆動される。巻上
ロープ（６）の他端には釣合重り（７）が結合されてい
る。ガイドレール（図示せず）はそのままで、撤去しな
い。

また、特公昭56−34556号公報には、建築工事の間、仮
設の機械室によって運転する同様なエレベータについて
の記載がある。

［発明が解決しようとする課題］ 以上のような従来のエレベータのかご室装置では、昇降
路に収納し得る最大サイズのかご室を採用したとき、仮
設の駆動装置に対応するかご容量についての対策がなか
った。

この発明は上記の課題を解消するためになされたもの
で、かご積載量を制限することができるエレベータのか
ご室装置を得ることを目的とする。

［課題を解決するための手段］ この発明の第一の発明に係るエレベータのかご室装置
は、かご室の床面から垂直に一定高さまで設けた垂直パ
ネルと、この垂直パネルの上端からかご室の壁へ傾斜し
て取付けた傾斜パネルとからなる着脱可能な間仕切りが
設けられている。

また、第二の発明は、第一の発明において、傾斜パネル
が、垂直パネルとの連結部を中心として揺動可能になっ
ている。

さらに、第三の発明は、第一の発明において、かご室の
対面する壁に伸縮可能な梁をその両端を当てて固定し、
この梁に垂直パネルと傾斜パネルが取付けられている。

［作 用］ この発明の第一の発明においては、積載容量に合わせ、
パネルによる間仕切りの位置が決められる。

また、第二の発明においては、組立て、運搬が容易とな
る。

さらに、第三の発明においては、エレベータ取替工事
が、かご室を傷つけないで行うことができる。

［実施例］ 第１図〜第４図は第一の発明の一実施例を示し、第10図
における既設のかご室（５）は、かご床（８）、壁
（９）、天井（10）からなり、天井（10）に照明（11）
および救出口が設けられている。出入口柱（13）が設け
られた出入口よりも奥側に、所定の高さの垂直パネル
（14）および垂直パネル（14）の上端からかご室（５）
の奥の壁（9a）へ傾斜した傾斜パネル（15）を設けてか
ご室（５）を仕切っている。

垂直パネル（14）および傾斜パネル（15）は、Ｌ字状の
取付金（16）、座板（18）を介して取付ネジ（17）によ
り、壁（９）に取付けられている。

以上の構成により、垂直パネル（14）と傾斜パネル（1
5）がかご室（５）の間仕切りとして機能し、かご室
（５）の積載容量に所定の制限を与える。また、垂直パ
ネル（14）を、天井（10）に達しない所定の高さとする
ことにより、天井（10）に設けた照明（11）や救出口
（12）を塞ぐことがなく、乗客に圧迫感を与えない。傾
斜パネル（15）の下端の高さは、約900mm以上とすれ
ば、傾斜パネル（15）の上に乗っていたずらや荷物載置
などを防止することができる。そうして上記の間仕切り
は、不要になれば取外す。

さらに、仮説乗かご用としての積載容量に合わせ、間仕
切りの位置をかご室（５）の前後方向に移動可能とすれ
ば、任意の積載容量に合わせることができる。この際、
傾斜パネル（15）が間仕切りの上部の蓋となるので、美
観上および剛性の点で好ましいものとなる。

第５図は同じく第一の発明の他の実施例を示し、垂直パ
ネル（14）を部分（14a）と（14b）に分割し、長さ可変
に互いに結合できる構造としたものである。その他、第
４図と同一符号は同一部分である。

かような構成により、垂直パネル（14）をかご室（５）
の間口寸法の変化に対応させることができる。また、前
述した垂直パネル（14）の前後移動可能構造と合わせる
ことにより、間仕切りの種類を減らし、循環使用が可能
となる。

第６図，第７図は第二の発明の一実施例を示し、垂直パ
ネル（14）に対して傾斜パネル（15）が、互いの連結部
を中心として矢印（Ａ）のように回転可能に設けられて
いる。この連結部は傾斜パネル（15）に設けた溶植スタ
ッド（19）に、カラー（20）、平座金（22）を介したナ
ット（21）により垂直パネル（14）に連結した構造にな
っている。

かかる構成により、組立作業時間を短縮することがで
き、運搬も容易となる。

第８図および第９図は第三の発明の一実施例を示し、伸
縮可能な梁（23）を、その両端を弾性材（25）を介して
かご室（５）の壁（９）に当てて固定し、梁（23）に垂
直パネル（14）および傾斜パネル（15）を取付けたもの
で、この取付構造は、取付金（16a）を介してサドル（2
4）により垂直パネル（14）および傾斜パネル（15）を
梁（23）に固定している。

以上の構成により、間仕切りの取付けに際してかご室
（５）を傷つけないので、エレベータ取替工事において
は、既設かご室を取替えないで機械室内の巻上機、制御
盤等のみの改修（制御改修）時にも適用可となる。ま
た、工事用エレベータにおいては、かご室を本設時のも
のが流用でき、工事使用時のみの仮かご室を設けなくて
よい。

［発明の効果］ 以上の説明から明らかなように、この発明の第一の発明
は、既設のものを新設のエレベータに替えるとき、また
は建築工事用のエレベータにおいて、垂直パネルと傾斜
パネルでなる着脱可能なかご室間仕切りを設けたので、
仮設の巻上機等の小形化を図ることができて、仮設機械
室の昇降路内設置が容易となる。また、かご積載量を一
定の値となるよう、間仕切りの大きさを変化させれば、
仮設の巻上機等が同一のものでよくなり、循環使用が可
能となる。また、垂直パネルと傾斜パネルとから間仕切
りを構成し、かご室壁との隙間がないように配設したと
きには、間仕切りの裏面に荷物などを置くことを防ぐこ
とができ、また傾斜パネルに荷物を置いたり、人が乗る
ようなことを防止することができ、積載量を確実に制限
することができる。さらに、通常、天井には照明、換気
装置、救出口、停電灯等が設けられているが、かご室の
上部を傾斜パネルとしたことから照明装置等が塞がれる
ことがなく、照明装置等の機能は間仕切り取り付け前と
同等となる。さらにまた、傾斜パネルにより奥行き方向
が狭まらないので、乗客に圧迫感を与えない。

また、第二の発明は、傾斜パネルを回転可能に垂直パネ
ルに連結したので、第一の発明の効果に加え、組立，運
搬が容易となる。

さらに第三の発明は、第一の発明の効果に加え、伸縮可
能な梁に間仕切りを取付けたことから、エレベータ取替
工事には、既設かご室を取替えないで、制御改修時に適
用でき、工事用エレベータでは、工事専用の仮かご室を
設けなくてよい。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第４図は第一の発明の一実施例を示し、第１図
は傾斜図、第２図は側断面図、第３図は要部側断面図、
第４図は第３図のIV−IV線に沿う平面による断面図であ
る。第５図は同じく他の実施例の一部平断面図、第６図
は第二の発明の一実施例の要部側断面図、第７図は第６
図のVII−VII線に沿う平面による断面図、第８図は第三
の発明の一実施例の要部側断面図、第９図は第８図のIX
−IX線に沿う平面による断面図、第10図は従来のエレベ
ータ取替工事における仮設エレベータ設置時の昇降路立
断面図である。 （１）……昇降路、（３）……巻上機、（3a）……仮設
巻上機、（５）……既設かご室、（８）……かご床、
（９），（9a）……壁、（14）……垂直パネル、（15）
……傾斜パネル、（23）……伸縮梁。 なお、各図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】昇降路に仮設巻上機を設けてかごを運転す
   るエレベータのかご室装置において、かご室の床面に立
   設した垂直パネルと、この垂直パネルの上端部から前記
   かご室の壁へ傾斜して設けた傾斜パネルとからなる着脱
   可能な間仕切りを備えてなることを特徴とするエレベー
   タのかご室装置。
2. 【請求項２】垂直パネルと傾斜パネルの連結部を回転可
   能にした請求項（１）記載のエレベータのかご室装置。
3. 【請求項３】かご室の対面する壁に両端を当てて固定す
   る伸縮可能な梁を設け、この梁に垂直パネルおよび傾斜
   パネルを取付けた請求項（１）記載のエレベータのかご
   室装置。