JP5488765B2 - 油脂組成物、チョコレート及び複合菓子 - Google Patents

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Description

本発明は、チョコレートと油脂性食品素材を組み合わせた複合菓子において、特定のトリグリセリド組成により、油脂移行によるブルームを抑制できるチョコレート用油脂組成物、該油脂組成物を用いたチョコレート及び該チョコレートを用いた複合菓子に関するものである。
以前より、チョコレート類、焼き菓子類、スナック類、油菓子類、ケーキ類、クリーム類、キャンディー類、フィリング類、ナッツペースト類などの油脂性食品素材は単独ではもとよりそのそれぞれを組み合わせた複合菓子がよく知られており、チョコレート類を組み合わせたチョコレート複合菓子は人気の商品である。
チョコレート複合菓子にしても、様々なタイプがあるが、例えばシェルチョコレートと呼ばれるようなタイプはセンター部と呼ばれる部分を中心にして、外側をシェル部と呼ばれる部分で覆った形状をしており、通常、センター部に用いられる食品素材はソフトさ、口溶けの良さ、シェル部との食感の違いを出すために、常温で比較的軟らかい油脂(液体油成分の比較的多い油脂)を原料として用いることが多い。
また、チョコレート複合菓子の他のタイプとしては、チョコレート類とフライ又は乾煎りされたナッツを埋め込んだり、ナッツにチョコレート類をコーチングしたりして組み合わせたもの(以下、ナッツチョコレートと称する)や、ビスケットやプレッツエルといったフライや焼成された小麦粉主体の焼菓子とチョコレート類とを組み合わせたもの(以下、焼菓子組み合わせチョコレートと称する)が挙げられる。
シェルチョコレートにおいては、シェル部は常温で硬い油脂(液体油成分の比較的少ない油脂)、例えばココアバター、ココアバター代用脂などを原料としているのに対し、センターのフィリング部は常温で軟らかい油脂を原料としている場合が多く、そのため両者の常温での液体油成分含有量も異なる。
また、ナッツチョコレートにおいてもチョコレート部が常温で硬い油脂を原料としているのに対し、ナッツは常温で比較的軟らかい油脂を多く含んでいるし、焼菓子組み合わせチョコレートにしてもチョコレート部はナッツチョコレート同様に常温で硬い油脂を原料にしているが、焼菓子には練りこみマーガリンやスプレー油脂などといった常温で比較的軟らかい油脂を多く含んでいる。更にナッツも焼菓子もフライなどを施されるとより多くの液体油を含有する。
この組み合わせられた油脂性食品素材間の液油成分含有量の差から、含有量の多い方から少ない方へ液体油成分の移動が起こる。シェルチョコレートを例に取ると、センター部の油脂がシェル部に移行してシェル部が軟化したり、表面が白変(ブルーミング)したり、といった現象が起こり、商品価値が大きく損なわれることが問題となっている。
こういった油脂移行を解決する手段としては、旧来より下記の3つがよく知られている。
1.センタークリームにココアバター、ココアバター代用脂など、融点32〜38℃程度の硬い油脂を添加し、硬さ、融点を上げる。
2.ファットスタビライザーシステムを用いる。(固形格子状態を作るために、センタークリームに少量の融点40〜70℃の高融点脂を添加する。)
3.センタークリームとチョコレートの境界を砂糖、蛋白、多糖類のフィルム糖等でコーチングして、油脂移行を遮断する。(非特許文献1)
しかし、1の方法では、効果的に油脂移行を低減できるが、センタークリームの本来の軟らかさ、クリーミーさが損なわれ、フレーバーも出にくいものであった。
また2の方法では、少量の高融点脂を添加するだけで効果が出るため、コストは安くてすむが、フレーバーの低下が大きく、ワキシーで口当たりの悪いセンタークリームになりがちであった。
最後の3の方法はかなり効果的な方法と思われたが、食感上の違和感、コーチングの作業が非常に煩雑であるなどの問題があり実用的ではなかった。
最近の技術として、焼菓子自体の粗大結晶を防止する方法としては成分(A)パーム油を50%以上と成分(B)ポリグリセリン脂肪酸エステルを0.05〜5重量%以上、概成分(B)の構成脂肪酸の80%以上がオレイン酸とパルミチン酸からなり、オレイン酸とパルミチン酸とのモル比が90:10〜10:90であることを特徴とする油脂組成物を考案されている。(特許文献1)しかしながら、液体油成分の含有量が異なる食品素材同士を組み合わせた際に発現するブルームやシェルチョコレートの軟化に関してはなんら示唆がなされていない。
他には、シェルチョコレートにおいて親油性乳化剤を0.1〜0.2重量%及びレシチンを0.2重量%以下含有することを特徴とするセンタークリーム用の油脂組成物が考案されている。(特許文献2)
ナッツチョコレートにおいては、チョコレート類側の油脂組成を2−オレオジ飽和トリグリセリド(SUS)含有量が50重量%以上、2−オレオパルミトアラキジン(POA)含有量が0.5重量%以上、三飽和トリグリセリド(S3)含有量が2重量%以下、ジヒドロキシ脂肪酸含有トリグリセリド(DHTG)含有量が0.01重量%以上とすることにより油脂移行を防止する方法が考案されている。(特許文献3)
焼菓子類やナッツ類等とチョコレート用、クリーム用、スプレー用油脂との組み合わせにおいては、親油性のポリグリセリン脂肪酸エステル及び(又は)親油性のショ糖脂肪酸エステルを含有し、且つこれらポリグリセリン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルを構成する脂肪酸のうち、2個以上が炭素数18以上の飽和脂肪酸であり、油脂のSFC値が20℃で20以上、30℃で7以上、40℃で5以下であることを特徴とする複合菓子用油脂組成物を用いる方法が発明されている。(特許文献4)
しかしながら、どの方法にしても液体油成分含有量の差を小さくするよう固体脂含量を調整する、親油性のポリグリセリン脂肪酸エステル及び又は親油性のショ糖脂肪酸エステルを使用することで油脂の結晶を微細化する方法が採られているが、これには油脂移行に起因するブルームに対する方策も何ら示されていない。
またこれらの発明は事実上、チョコレートと組み合わせる素材側、液体油成分の多い側の素材に対する検討であり、液体油が移行してくるチョコレート側での解決手段は開示されていない。
更に、チョコレートに使用する油脂組成物としては、トリグリセリド成分中のStOO及びPOO成分の合計が6〜12%、POSt成分が25%以下であり、かつ沃素価が40以下、ジエンセン法に基づいて測定した冷却曲線の最下点温度が23℃以上、最高点温度が27.5℃以上である事を特徴とするハードバター組成物(特許文献5)や、結晶遅延効果を有する親油性乳化剤を含有することを特徴とするチョコレート用油脂組成物(特許文献6)が発明されている。
しかしながら、上記先行技術による油脂移行に起因する問題解決効果は、近年、不十分と見なされつつある。何故ならば、近年は焼菓子にチョコレートをより薄くコーチングしたり、粉乳配合量の多いチョコレートの組み合わせが好まれる傾向にあり、かかる複合菓子においては、油脂移行とそれに伴う低温ブルームやチョコレートの軟化がより顕著になる傾向があるためである。
よって、油脂移行に伴うブルームやチョコレートの軟化をさらに抑制する技術への市場からの要望は大きいものがあった。
特開平9−176680号公報 特開平5−284912号公報 特開2001−131574号公報 特開平6−311845号公報 特開平1−120250号公報 特再2007−91529号公報
「Monitoring and Controlling Oil Migration in Peanut Butter Confections」(John J. Shuleva 著、「The Manufacturing Confectioner」 May 1989、72〜74頁
従って、本発明の目的は、チョコレートと、油脂性食品素材とを組み合わせてなる複合菓子における油脂移行を抑制し、油脂移行に起因する低温ブルーム及び軟化に対する耐性に優れ、口どけの優れたチョコレートとすることができるテンパリングタイプのチョコレート用油脂組成物、該油脂組成物を用いたテンパリングタイプのチョコレート及び該チョコレートを利用した複合菓子を提供することにある。
本発明者らは、検討の結果、StOStトリグリセリドに対するStLStやStStOトリグリセリドの含有量の限定が、以下の理由によって上記課題の解決に大きく寄与することを見出し、本発明を完成した。
すなわちStOStトリグリセリドと液状である油脂を含んだカカオバター代用脂を使用したチョコレートがテンパリング後、クッキーなどの油脂性食品素材と組み合わせられて冷却固化される工程においては、チョコレート油脂中のStOStトリグリセリドが最も早く固化してチョコレートの骨格を形成することになるが、このときStOStトリグリセリドに対して相対的にStLStやStStOトリグリセリドの含有量が多いと、StOStの固化速度を遅らせることとなる。その結果、固化すべきStOStトリグリセリドが融解状態で存在する時間が相対的に長くなるため、油脂食品素材からの油脂移行を助長することになる。
また固化した際の結晶性状においてはStOStトリグリセリドに対して相対的にStLStやStStOトリグリセリドの含有量が多いと、固化したStOStトリグリセリド結晶へのStLStやStStOトリグリセリドの混在量が多くなり、結果として密度の低い結晶、すなわち間隙の大きな結晶となり、やはり油脂食品素材からの油脂移行を助長することになる。
またStOO、POP及びPPOトリグリセリドの含有量の限定も同じく課題解決に寄与することをも見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の第1は、下記油脂(A)を40〜90重量%含有し、さらに下記油脂(B)を10〜60重量%含有する油脂組成物であり、下記(a)、(b)、(c)及び(d)の条件を満たす油脂組成物である。
油脂(A):StOStを50重量%以上含有する油脂
油脂(B):26℃にて液状である油脂
(a)油脂組成物中のSOS型トリグリセリドの含量が45重量%以上
(b)油脂組成物中のStOStの含量が30重量%以上
(c)油脂組成物中のStLSt/StOStの比率が0.08以下
(d)油脂組成物中のPOO/StOOの比率が0.50以上
但し、SはC14〜C24の飽和脂肪酸,Stはステアリン酸,Pはパルミチン酸,Lはリノール酸,Oはオレイン酸をそれぞれ示す。またSOS;1位及び3位の脂肪酸がSであり、2位の脂肪酸がOであるトリグリセリド、StOSt;1位及び3位の脂肪酸がStであり、2位の脂肪酸がOであるトリグリセリド、StLSt;1位及び3位の脂肪酸がStであり、2位の脂肪酸がLであるトリグリセリド、POO;1位及び2位、又は2位及び3位の脂肪酸がOであり、3位、又は1位の脂肪酸がPであるトリグリセリド、StOO;1位及び2位、又は2位及び3位の脂肪酸がOであり、3位、又は1位の脂肪酸がStであるトリグリセリドをそれぞれ示す。
本発明の第2は、油脂組成物中のStOOの含量が10重量%以下である、第1記載の油脂組成物。
本発明の第3は、油脂組成物中のStStO/StOStの比率が0.03以下である第1又は第2記載の油脂組成物。但しStStOは1位及び2位、又は2位及び3位の脂肪酸がStであり、3位、又は1位の脂肪酸がOであるトリグリセリドを示す。
本発明の第4は、油脂組成物中のPOPとPPOの含量の合計が16重量%以下である第1から第3の何れか1つの発明に記載の油脂組成物。但しPOP;1位及び3位の脂肪酸がPであり、2位の脂肪酸がOであるトリグリセリド、PPO;1位及び2位、又は2位及び3位の脂肪酸がPであり、3位、又は1位の脂肪酸がOであるトリグリセリドをそれぞれ示す。
本発明の第5は、前記油脂(A)の構成脂肪酸中、アラキジン酸を10重量%を超えない量で含む、第1から第4の何れか1つの発明に記載の油脂組成物。
本発明の第6は、前記油脂(A)が、構成脂肪酸中オレイン酸を80重量%以上含む高オレイン酸含有植物油とステアリン酸又はステアリン酸アルコールエステルを、1,3−位置特異性を有するリパーゼを用いてエステル交換反応させ、得られたエステル交換油を溶剤分別又はドライ分別で分別して得られる高融点部又は中融点部を配合した油脂である第1から第5の何れか1つの発明に記載の油脂組成物。
本発明の第7は、第1から第6の何れか1つの発明に記載の油脂組成物を含有したカカオバター代用脂。
本発明の第8は、第7に記載のカカオバター代用脂を含有したチョコレート。
本発明の第9は、第8に記載のチョコレートと、油脂性食品素材を組み合わせてなる複合菓子。
StOStトリグリセリドと液体油を含み、StLSt、StOO、StStO、POP及びPPOトリグリセリドの含量が特定量以下であり、POOトリグリセリドが特定量以上である油脂組成物を使用すれば、油脂移行に起因する低温ブルーム及び軟化に対する耐性に優れ、口どけの優れたチョコレートを得ることができる。
<測定方法>
油脂組成物における、各トリグリセリドの含量は、下記に示す高速液体クロマトグラフ分析(1)にて対照型、非対称型トリグリセリドの和(例えばStStO含量とStOSt含量の和)として測定し求めることができる。さらに対照型、非対称型トリグリセリド組成は薄層クロマトグラフ分析(2)にて測定し(StStO/(StStO+StOSt))として求めることができ、(1)の結果に乗ずることでStStO及びStOSt含量を各々求めることができる。
(1)高速液体クロマトグラフ分析は、(カラム;ODS、溶離液;アセトン/アセトニトリル=80/20、液量;0.9ml/分、カラム温度;25℃、検出器;示差屈折計)にて実施した。
(2)薄層クロマトグラフ分析は、(プレート;硝酸銀薄層プレート、展開溶剤;ベンゼン/ヘキサン/ジエチルエーテル=75/25/2、検出器;デンシトメータ)にて実施した。
本発明の油脂組成物は、SOS型トリグリセリドの含有量が45重量%以上である必要があり、好ましくは55重量%以上、さらに好ましくは65重量%以上である。SOS型トリグリセリドの含有量が45重量%よりも少ないとカカオバター代用脂として用いた時、チョコレートの軟化が生じ、またカカオ脂との相溶性が悪いので好ましくない。
本発明の油脂組成物は、StOStの含有量が30重量%以上である必要があり、好ましくは35重量%以上、さらに好ましくは40重量%以上である。StOSt含有量が30重量%より少ないと、カカオバター代用脂として用いた時、チョコレートの耐熱性が低下するので好ましくない。またStOSt含有量が70%を超えないことが好ましい。StOSt含有量が70%を超えると油脂移行耐性が低下し、低温ブルームが発生しやすくなるので好ましくない。
本発明の油脂組成物は、StLSt/StOStの比率が0.08以下である必要があり、好ましくは0.06以下、さらに好ましくは0.03以下である。StLSt/StOStの比率が0.08よりも大きいと、前述したとおりStOStトリグリセリドの固化を遅らせ、さらにStOSt結晶の密度も小さくなるため、油脂性食品素材からの液状油の浸透が生じやすくなり、油脂移行耐性が低下し、低温ブルームが発生しやすくなるので好ましくない。
本発明の油脂組成物は、POO/StOOの比率が0.5以上である必要があり、好ましくは1.0以上、さらに好ましくは、2.0以上である。POO/StOOの比率が0.5より小さいと、油脂結晶の安定化速度が遅延し、油脂結晶の間隙が広い状態が維持される時間が長くなるため、結果として油脂性食品素材からの液状油の浸透が長期間持続するため、油脂移行耐性が低下し、低温ブルームが発生しやすくなるので好ましくない。
本発明の油脂組成物は、StOOの含量が10重量%以下であることが好ましい。またさらに好ましくは5重量%以下である。StOOの含量が10重量%を超えると、油脂移行耐性が低下し、低温ブルームが発生しやすくなるので好ましくない。
本発明の油脂組成物は、StStO/StOStの比率が0.03以下であることが好ましい。またさらに好ましくは0.02以下であり、最も好ましくは0.015以下である。StStO/StOStの比率が0.03より大きいと、前述したとおりStOStトリグリセリドの固化を遅らせ、さらにStOSt結晶の密度も小さくなるため、油脂性食品素材からの液状油の浸透が生じやすくなるため、油脂移行耐性が低下し、低温ブルームが発生しやすくなるので好ましくない。
本発明の油脂組成物は、POPとPPOの含量の合計が16重量%以下であることが好ましい。またさらに好ましくは13%以下、最も好ましくは、10%以下である。POP含量とPPO含量の合計が16重量%を超えると、油脂性食品素材から移行してきた液状油によりPOPとPPOが溶解し、チョコレート表面での再結晶化により低温ブルームの要因となるため好ましくない。
また本発明の油脂組成物は、SSS(1,2,3位すべての脂肪酸がSであるトリグリセリド)が3重量%以下であることが好ましい。
またさらに好ましくは2重量%以下、最も好ましくは1重量%以下である。SSSが3重量%を超えるとチョコレートの食感がワキシーになる傾向がある。
本発明の油脂組成物は、StOSt含量が50重量%以上の油脂(A)と26℃で液状である油脂(B)を配合の一部として含有する必要があるが、その配合量は油脂(A)が40〜90重量%であり、油脂(B)が10〜60重量%である必要がある。また好ましくは油脂(A)が50〜80重量%であり、油脂(B)が20〜50重量%である。油脂(A)の配合量が90重量%より大きいと、本発明の油脂組成物が配合されたチョコレートと組み合わされる油脂性食品素材との液状油含量差が大きくなり、濃度差による油脂移行が促進されるため、好ましくない。また、油脂(A)の配合量が40%より小さいと、チョコレートが著しく軟化し、商品価値を損なう。
本発明の油脂組成物に配合する、26℃で液状である油脂(B)としては、例えば、菜種油、米糠油、大豆油、綿実油、コーン油、オリーブ油、紅花油、サフラワー油、ごま油、ひまわり油、パーム油、ヤシ油、シア脂等の植物性油脂、あるいはそれらのエステル交換や部分水添、水添分別、分別等の方法により製造された加工油脂があるが、StOO含量が少なくPOO含量が多い油脂として、米糠油やパーム低融点部(パームオレイン、スーパーパームオレインなど)が好ましい。
本発明の油脂組成物に配合する、油脂(A)の構成脂肪酸中のアラキジン酸含量は好ましくは10重量%以下であり、さらに好ましくは5重量%以下であり、最も好ましくは1重量%以下である。アラキジン酸含量が10重量%より大きいと、増加するStOAあるいはAOA成分が、脂肪酸鎖長の違いから、結晶主要成分であるStOStの結晶化を阻害する要因となり好ましくない。
本発明の油脂組成物に配合する、油脂(A)の原料となる植物油脂としては、例えば高オレイン酸含有植物油とステアリン酸又はステアリン酸アルコールエステルを1,3−位置特異性を有するリパーゼを用いてエステル交換反応させ、得られたエステル交換油を溶剤分別又はドライ分別で分別して得られる高融点部又は中融点部を配合した油脂が例示されるが、前記高オレイン酸含有植物油としてはオレイン酸含量が80重量%以上、好ましくは85重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上であるヒマワリ油、菜種油、サフラワー油、大豆油等が例示される。オレイン酸含量が80重量%より少ない原料油脂とステアリン酸あるいはステアリン酸アルコールエステルを、1,3−位置特異性を有するリパーゼを用いてエステル交換反応させた場合、得られたエステル交換油中のStLSt/StOStの比率が高くなり、効率よく本発明の油脂組成物を得ることができないので好ましくない。
また油脂(A)の原料となる植物油脂の別の例はアランブラッキア脂、シア脂、サル脂等の植物性油脂、あるいはそれらを溶剤分別又はドライ分別で分別して得られる高融点部又は中融点部を配合した油脂が例示されるが、構成脂肪酸中のアラキジン酸含量が少ない油脂として高オレイン酸含有植物油とステアリン酸又はステアリン酸アルコールエステルを原料としたリパーゼエステル交換油及びその分別油、又はアランブラッキア脂及びその分別油が好ましい。
本発明で使用できるリパーゼとしては、1,3位特異性を有するリパーゼが挙げられ、特にリゾープス属、ムコール属、アスペルギルス属、アルカリゲネス属及びフミコラ属からなる群より選ばれた1種又は2種以上の1,3位特異性を有するリパーゼが好ましい。これら以外の1,3位特異性を有しないリパーゼである例えばキャンディダ属のリパーゼを用いた場合は、StStSt含有量が多く、StOSt含有量が少ないエステル交換油となり、効率よく本発明の油脂組成物が得ることができないので好ましくない。
また、これらのリパーゼは、ケイソウ土、シリカ、セラミック、活性炭、イオン交換樹脂等の担体に固定化して用いるのが好ましい。
エステル交換反応は回分式、充填層型等の連続式何れでも構わないが、連続式の方が効率的であるので好ましい。
また、エステル交換反応は石油エーテル、n−ヘキサン等の溶媒下で行うことができるが、反応後に溶媒除去の行程が不要な無溶媒とするのが好ましい。
本発明の油脂組成物においては、本発明の効果を阻害しない程度であれば、油脂(A)と油脂(B)以外の他の油脂を含有させてもよく、油脂(A)と油脂(B)以外の他の油脂の配合量は、油脂組成物の全重量に対し、30重量%未満であり、好ましくは20重量%未満であり、より好ましくは10重量%未満であり、最も好ましくは5重量%未満である。
本発明のカカオバター代用脂には、本発明の油脂組成物を80重量%以上、好ましくは100重量%含有する。また通常の製菓用途に用いられる着色料、乳化剤、酸化防止剤、香料等の任意成分を適宜添加することができる。これらの添加量は本発明のカカオバター代用脂に対して10重量%以下、好ましくは5重量%以下である、最も好ましくは2重量%以下である。
前記乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン有機酸脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチン等が挙げられる。
本発明の油脂組成物を含むカカオバター代用脂は、チョコレートに用いられる。この場合には、該カカオバター代用脂の配合量は、チョコレートの全配合成分100重量部に対し、好ましくは5〜50重量部、さらに好ましくは5〜25重量%、最も好ましくは5〜15重量%である。
本発明のチョコレートとは、原料としてカカオマス、ココアパウダー、砂糖などの糖類、ココアバターなどの油脂、乳化剤、香料等を使用して作られるダークチョコレート、例えば原料としてカカオマス、ココアパウダー、砂糖などの糖類、ココアバター等の油脂、全脂粉乳等の乳製品類、乳化剤、香料等を使用して作られるミルクチョコレート、例えば砂糖などの糖類、ココアバター等の油脂、全脂粉乳等の乳製品類、乳化剤、香料等を使用して作られるホワイトチョコレート、ホワイトチョコレートを色素で着色、香料で風味付けしたカラーチョコレートの何れも本発明のチョコレートに含まれる。また、カカオ分の含量により、チョコレート(カカオ分35%以上)、準チョコレート(カカオ分15%以上)、ミルクチョコレート(カカオ分21%以上)、準ミルクチョコレート(カカオ分7%以上)、チョコレート利用食品であるチョコレートコーチング(カカオ分8%以上)、乳製品を使用したチョコレートコーチング(カカオ分5%以上)の他、カカオ分非含有のホワイトコーチングやカラーコーチングのようにも区別されるが、何れも本発明のチョコレートに含まれる。
そして、上記カカオバター代用脂を用いて得られた本発明のチョコレートは、複合菓子における油脂移行を抑制し、油脂移行に起因する低温ブルームに対する耐性に優れ、かつ、口どけの優れたものとなる。
本発明の複合菓子は、チョコレートと油脂性食品素材の組み合わせである。油脂性食品素材としては、チョコレート類、焼き菓子類、スナック類、油菓子類、ケーキ類、クリーム類、キャンディー類、フィリング類、ナッツペースト類などが例示されるが、液体油を含む食品素材であれば、これらに限定されない。
また、本発明の油脂組成物は、チョコレート以外にも、練り込み用油脂及びクリーム用油脂等の製菓用油脂の用途に用いることができる。
以下に本発明の実施例を示すが、この発明は実施例に制限されるものではない。実施例中の部及び%は特に断りがない場合は重量基準を示すものである。
実験例1
StOSt含有脂及びStOO含有脂の調製
構成脂肪酸中のオレイン酸含量が86%の高オレイン酸ヒマワリ油30重量部とステアリン酸エチル70重量部を混合した後、1,3位選択性のあるリパーゼを用いてエステル交換を行い、反応油を得た。この反応油よりエチルエステルを蒸留により留去したところStOSt含量は40.0%であった。さらにアセトンを用いて溶剤分別を行い、種々の収率にて、高融点部として得られた油脂組成物に対し、各々常法に従い精製を行いStOSt含有脂A〜Dを得た。また、低融点部として得られた油脂組成物に対し常法に従い精製を行い、StOO含有脂を得た。
さらに、アランブラッキア脂を、アセトンを用いて溶剤分別を行い、高融点部として得られた油脂組成物に対し、常法に従い精製を行い、StOSt含有脂Eを得た。
さらに、脱ガム処理されたシア脂を、アセトンを用いて溶剤分別を行い、高融点部として得られた油脂組成物に対し、常法に従い精製を行い、StOSt含有脂Fを得た。
さらに、サル脂を、アセトンを用いて溶剤分別を行い、高融点部として得られた油脂組成物に対し、常法に従い精製を行い、StOSt含有脂Gを得た。
さらに構成脂肪酸中のオレイン酸含量が86%の高オレイン酸ヒマワリ油50重量部とステアリン酸エチル50重量部を混合した後、1,3位選択性のあるリパーゼを用いてエステル交換を行い、反応油を得た。この反応油よりエチルエステルを蒸留により留去したところStOSt含量は24.0%であった。さらにアセトンを用いて溶剤分別を行い、高融点部として得られた油脂組成物に対し、常法に従い精製を行いStOSt含有脂Hを得た。
各々のStOSt含有脂の分別収率、トリグリセリド組成及び構成脂肪酸中のアラキジン酸含量を以下に示す。
StOSt含有脂A(分別収率=14%、SOS=93.1%,StOSt=83.6%,StLSt=1.3%,StStO=0.4%,StOO=0.6%、アラキジン酸含量=1.3%)
StOSt含有脂B(分別収率=27%、SOS=90.2%,StOSt=79.4%,StLSt=2.6%,StStO=0.6%,StOO=1.6%、アラキジン酸含量=1.0%)
StOSt含有脂C(分別収率=40%、SOS=87.8%,StOSt=74.2%,StLSt=4.2%,StStO=0.8%,StOO=3.0%、アラキジン酸含量=0.6%)
StOSt含有脂D(分別収率=51%、SOS=80.2%,StOSt=65.4%,StLSt=6.1%,StStO=1.0%,StOO=7.1%、アラキジン酸含量=0.5%)
StOSt含有脂E(分別収率=73%、SOS=79.8%,StOSt=77.1%,StLSt=0.1%,StStO=0.8%,StOO=5.0%、アラキジン酸含量=0.1%)
StOSt含有脂F(分別収率=45%、SOS=86.2%,StOSt=76.1%,StLSt=4.3%,StStO=1.1%,StOO=2.9%、アラキジン酸含量=1.8%)
StOSt含有脂G(分別収率=48%、SOS=90.5%,StOSt=60.1%,StLSt=0.9%,StStO=0.6%,StOO=1.9%、アラキジン酸含量=8.6%)
StOSt含有脂H(分別収率=30%、SOS=79.8%,StOSt=65.0%,StLSt=6.2%,StStO=1.0%,StOO=7.2%、アラキジン酸含量=0.5%)
同様に得られたStOO含有脂のトリグリセリド組成を以下に示す。
StOO含有脂 (SOS=10.1%,StOSt=5.3%,StLSt=4.7%,StStO=0.5%,StOO=50.8%)
実験例2
StStO含有脂の調製
構成脂肪酸中のオレイン酸含量が86%の高オレイン酸ヒマワリ油と極度硬化菜種油を混合した後、ナトリウムメチラートを用いてランダムエステル交換を行い、反応油を得た。この反応油をアセトンを用いて溶剤分別を行い、高融点部と低融点部を除去し、収率29%にて中融点部として得られた油脂組成物に対し、常法に従い精製を行い、
StStO脂(StOSt=22.4%,StLSt=2.5%,StStO=57.6%,StOO=1.6%、アラキジン酸含量=0.5%)を得た。
油脂(A)の調製
実験例1で得られた各々のStOSt含有脂及び実験例2で得られたStStO含有脂を配合し、以下に示す種々の配合の油脂(A)を調製した。
油脂(A)−1;StOSt含有脂A単独
油脂(A)−2;StOSt含有脂B単独
油脂(A)−3;StOSt含有脂C単独
油脂(A)−4;StOSt含有脂D単独
油脂(A)−5;StOSt含有脂E単独
油脂(A)−6;StOSt含有脂F単独
油脂(A)−7;StOSt含有脂G単独
油脂(A)−8;StOSt含有脂C 61重量部及び StStO含有脂 1重量部を配合
油脂(A)−9;StOSt含有脂C 60重量部及び StStO含有脂 2重量部を配合
油脂(A)−10;StOSt含有脂H単独
何れの油脂(A)もStOSt含量は50重量%以上であり、アラキジン酸含量は10重量%未満であった。
油脂(B)の調製
菜種油「製菓用サラダ油;不二製油株式会社製」、大豆油「大豆白絞油N;不二製油株式会社製」、高オレイン酸ヒマワリ油「ハイオール 75B;不二製油株式会社製」、パームミッドフラクション「パーメル26;不二製油株式会社製」、パームオレイン「ユニバーLNS;不二製油株式会社製」、スーパーパームオレイン「パームエース N;不二製油株式会社製」、及び実験例1で得られたStOO含有脂を用いて以下に示す種々の配合の油脂(B)を調製した。
油脂(B)−1;パームオレイン単独
油脂(B)−2;パームオレイン 25.9重量部及びスーパーパームオレイン 5重量部を配合
油脂(B)−3;スーパーパームオレイン単独
油脂(B)−4;高オレイン酸ヒマワリ油単独
油脂(B)−5;菜種油単独
油脂(B)−6;大豆油単独
油脂(B)−7;スーパーパームオレイン 15重量部及びStOO含有脂 25重量部を配合
油脂(B)−8;StOO含有脂単独
油脂(B)−9;パームオレイン 10重量部及びパームミッドフラクション 30重量部を配合
油脂(B)−10;パームミッドフラクション単独

何れの油脂(B)も26℃1日静置にて液状を保っていた。
[実施例1〜19、比較例1〜8]各油脂(A)及び各油脂(B)を表1の配合(単位は重量部)に従い配合し、実施例1〜19、比較例1〜8の油脂組成物を得た。各組成は表2に示した。
Figure 0005488765
Figure 0005488765
〔試験例1〕実施例1〜19、比較例1〜8で得られた油脂組成物を用いて、表3の配合で常法によりチョコレートを製造した。
Figure 0005488765
表3の配合で製造したチョコレートを溶かし、テンパリング操作の後、表4の配合で常法により製造したクッキーを埋没させ、クッキー3重量部に対しチョコレート1重量部の割合のチョコレートクッキーを得た。得られたチョコレートクッキーを、20℃にて放置テストを、1カ月間行った。1カ月後のチョコレートクッキーについて、次のような評価を行った。
結果を表5に示した。
チョコレートの表面状態は、放置テスト前のものと同等であれば良好とし、放置テスト前のものと比べ、低温ブルームの発生により白色化していれば不良とした。
チョコレート中への油分の移行率は、保存前後でのチョコレート及びクッキーから常法により油分を抽出し、それぞれのStOSt含量を前記に示した方法にて測定した値を用い、次式により求めた。
チョコレート中への油分の移行率%=〔(保存後チョコレート油分中のStOSt含量−保存前チョコレート油分中のStOSt含量)/(保存前クッキー油分中のStOSt含量−保存前チョコレート油分中のStOSt含量)〕×100
チョコレートの口どけは、5名のパネラーにより官能評価を行った。
評価の基準は、噛み出しは適度な硬さがあり、口の中でスッと溶ける、いわゆるチョコレートらしい食感のものを良好とした。
チョコレートの軟化は、20℃の雰囲気下にて、スパテラを押し当て付着の無いものを良好とし、僅かに付着するものをやや不良とし、付着するものを不良とした。
Figure 0005488765
Figure 0005488765
表5の結果が示すように、実施例1〜19の油脂組成物を用いた場合には、クッキーからチョコレートへの液状油の移行が抑制されているので、チョコレートの白色化を防止し、かつ、チョコレートの口どけが良好であり、軟化も抑えられる。
本発明による特定のトリグリセリド組成を持つ油脂組成物を用いたチョコレートと油脂性食品素材を組み合わせることによって、油脂食品素材からチョコレートへの油脂移行によるブルーム、軟化を効果的に抑制することができる。本発明は、かかる効果を有するチョコレート用油脂組成物の提供及び該油脂組成物を用いた複合菓子を提供することができる。

Claims (11)

  1. 下記油脂(A)を40〜90重量%含有し、さらに下記油脂(B)を10〜60重量%含有する油脂組成物であり、下記(a)、(b)、(c)、(d)、(e)及び(f)の条件を満たす油脂組成物。
    油脂(A):StOStを50重量%以上含有する油脂
    油脂(B):26℃にて液状である油脂
    (a)油脂組成物中のSOS型トリグリセリドの含量が45〜74重量%
    (b)油脂組成物中のStOStの含量が30重量%以上
    (c)油脂組成物中のStLSt/StOStの比率が0.08以下
    (d)油脂組成物中のPOO/StOOの比率が0.60以上
    (e)油脂組成物中のPOPとPPOの含量の合計が16重量%以下
    (f)油脂組成物中のStStO/StOStの比率が0.03以下
    但し、SはC14〜C24の飽和脂肪酸,Stはステアリン酸,Pはパルミチン酸,Lはリノール酸,Oはオレイン酸をそれぞれ示す。またSOS;1位及び3位の脂肪酸がSであり、2位の脂肪酸がOであるトリグリセリド、StOSt;1位及び3位の脂肪酸がStであり、2位の脂肪酸がOであるトリグリセリド、StLSt;1位及び3位の脂肪酸がStであり、2位の脂肪酸がLであるトリグリセリド、POO;1位及び2位、又は2位及び3位の脂肪酸がOであり、3位又は1位の脂肪酸がPであるトリグリセリド、StOO;1位及び2位、又は2位及び3位の脂肪酸がOであり、3位、又は1位の脂肪酸がStであるトリグリセリド、POP;1位及び3位の脂肪酸がPであり、2位の脂肪酸がOであるトリグリセリド、PPO;1位及び2位、又は2位及び3位の脂肪酸がPであり、3位又は1位の脂肪酸がOであるトリグリセリド、StStO;1位及び2位、又は2位及び3位の脂肪酸がStであり、3位、又は1位の脂肪酸がOであるトリグリセリドをそれぞれ示す。
  2. 油脂組成物中のStOOの含量が10重量%以下である、請求項1記載の油脂組成物。
  3. 油脂組成物中のStStO/StOStの比率が0.02以下である請求項1又は2記載の油脂組成物。
  4. 油脂組成物中のPOO/StOOの比率が1.0以上である請求項1から3の何れか1項に記載の油脂組成物。
  5. 前記油脂(A)の構成脂肪酸中、アラキジン酸を10重量%を超えない量で含む、請求項1から4の何れか1項に記載の油脂組成物。
  6. 前記油脂(A)が、構成脂肪酸中オレイン酸を80重量%以上含む高オレイン酸含有植物油とステアリン酸又はステアリン酸アルコールエステルを、1,3−位置特異性を有するリパーゼを用いてエステル交換反応させ、得られたエステル交換油を溶剤分別又はドライ分別で分別して得られる高融点部又は中融点部を配合した油脂である請求項1から5の何れか1項に記載の油脂組成物。
  7. 請求項1から6の何れか1項に記載の油脂組成物を含有したカカオバター代用脂。
  8. 請求項7記載のカカオバター代用脂を含有したチョコレート。
  9. 請求項8記載のチョコレートと、油脂性食品素材を組み合わせてなる複合菓子。
  10. 請求項7記載のカカオバター代用脂の製造方法。
  11. 請求項7記載のカカオバター代用脂を用いる、チョコレートの低温ブルーム又は軟化の抑制方法。
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