JP5353349B2 - マイグレーション抑制用添加剤 - Google Patents
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Description
また、ベヘン酸エチルエステルと油脂をエステル交換して得られる可塑性油脂(特許文献6)、パーム油中融点画分と炭素数20以上の飽和脂肪酸を含む油脂とのエステル交換油脂の製造方法(特許文献7)についても開示されているが、C24含有量は不明確で、また、マイグレーションに対する効果は、開示されていなかった。
マイグレーション抑制効果の評価は、以下のように、しみ出し量測定用油脂組成物を作製してからそのしみ出し量を測定することで行った。
(1)しみ出し量測定用油脂組成物の作製
パーム油中融点画分400重量部に対して、或いは実施例1及び比較例1〜4で得たそれぞれのマイグレーション抑制用添加剤100重量部及びパ−ム油中融点部300重量部に対して、エステル交換油脂A600重量部を撹拌・混合し、しみ出し量測定用油脂組成物を得た。
(2)しみ出し量の測定
上記(1)で得られたしみ出し量測定用油脂組成物:80gを70℃で溶解後、40℃で2時間保持し、次いで35℃で4時間保持し、更に30℃で18時間保持することで固化し、図1のように濾紙(アドバンテック東洋株式会社「No.2」)を1cmさして、30分間静置した後、濾紙の重量の変化量をしみ出し量として測定した。
固体脂含量は、NMR法により測定した。NMR法とは、社団法人日本油化学会編「基準油脂分析試験法−2.2.9固体脂含量(NMR法)」(発行年:2003年)に記載された方法である。ただし、試料の温調温度および時間は、しみ出し量測定用油脂組成物を固化した温度履歴で行った。
トランス脂肪酸含量は、FID恒温ガスクロマトグラフ法により測定した。FID恒温ガスクロマトグラフ法とは、社団法人日本油化学会編「基準油脂分析試験法−2.4.2.1脂肪酸組成」に記載された方法である。試料の調整は、「基準油脂分試験析法」(発行年:1996年)の2.4.2.1脂肪酸組成に記載された方法に従い、油脂組成物中の脂肪酸部分をメチルエステル化し、それを分離、定量することで測定した。なお、上記方法にて得られるクロマトグラム上のピーク面積百分率を試料中の各脂肪酸の重量百分率とした。
実施例・比較例でビスケットを作製する際、マイグレーション抑制用添加剤がショートニングの練り込み性に及ぼす影響を評価した。その際の評価基準は、以下の通りであった。○:硬すぎず、あるいは柔らかすぎずに練りこみしやすい、△:やや硬すぎる、あるいは柔らかすぎて練りこみしづらい、×:硬すぎる、あるいは柔らかすぎて練りこみしづらい。
実施例・比較例で得られたビスケット複合菓子を25℃の一定温度で60日間静置した後、並びに32℃で8時間静置した後20℃で14時間静置(昇温・降温に各1時間)というサイクルを60サイクル実施した後、ビスケット生地表面部分を目視で評価した。その際の評価基準は、以下の通りであった。○:白色化及び/又は斑点等の現象が全く認められなかった、△:白色化及び/又は斑点等の現象が僅かに部分的に見られた、×:白色化及び/又は斑点等の現象が広範囲に見られた。
米ワックス100重量部に対してナトリウムエチラート300重量部、ヘキサン500重量部を反応させ、酸で中和した後、蒸留水を30重量部加えて反応を停止させた後、静置し、水相を除去した。その後、300重量部のヘキサンを加えて、不溶分を除去した後、ヘキサンを蒸留除去し、リグノセリン酸エチルに富む米ワックス抽出物(C22:20.9重量%、C24:51.7重量%、C22/C24=2.5)を得た。
パーム油中融点画分(PMF)100重量部に対して、米ワックス抽出物35重量部、ヘキサン200重量部を加え、さらにLipozyme RMIM(Novozymes(株)製)10重量部を加えて50℃で反応させた後、ヘキサンを蒸留で除去し、さらに蒸留することで脂肪酸及び脂肪酸エステルを除去し、C24を含有するエステル交換油脂であるマイグレーション抑制用添加剤を得た。得られたマイグレーション抑制用添加剤の脂肪酸組成、しみ出し量及び30℃の固体脂含量(%)を表1に示した。
パーム油中融点画分(PMF)の代わりにパームオレイン(IV60)100重量部を用い、米ワックス抽出物の量を65重量部とした以外は実施例1と同様に行い、C24を含有するエステル交換油脂であるマイグレーション抑制用添加剤を得た。得られたマイグレーション抑制用添加剤の脂肪酸組成、しみ出し量及び30℃の固体脂含量(%)を表1に示した。
パーム油中融点画分(PMF)100重量部に対して、C12(ラウリン酸)あるいはそのアルコールエステル50重量部、さらにLipozyme RMIM(Novozymes(株))10重量部を加えて60℃でエステル交換反応させた後、蒸留により、脂肪酸及び脂肪酸エステルを除去し、C12を含有するマイグレーション抑制用添加剤を得た。得られたマイグレーション抑制用添加剤の脂肪酸組成、しみ出し量及び30℃の固体脂含量(%)を表1に示した。
遊離脂肪酸(C16:パルミチン酸、C18:ステアリン酸、C22:ベヘン酸)或いはそのアルコールエステルを用いた以外は、比較例1と同様にして、それぞれの脂肪酸を含有するマイグレーション抑制用添加剤(計3種)を得た。得られたマイグレーション抑制用添加剤の脂肪酸組成、しみ出し量及び30℃の固体脂含量(%)を表1に示した。
パーム油中融点画分(PMF)をマイグレーション抑制用添加剤として、その脂肪酸組成、しみ出し量及び30℃の固体脂含量(%)を表1に示した。
パームステアリン:70重量部及びパーム核オレイン:30重量部を混合し、90℃、真空下で脱水を行った。ナトリウムメチラート:0.3重量部を加え、90℃、窒素気流下で30分間ランダムエステル交換反応を行い、水を加えて反応停止後、水洗した。次に、活性白土:3重量部を加え、減圧下で攪拌して20分後に全量濾過してエステル交換油脂Aを得た。
パームステアリン:70重量部及びパーム核オレイン:30重量部の代わりにパーム油:75重量部、パーム核オレイン:25重量部を用いた以外は、製造例2と同様にしてエステル交換油脂Bを得た。
ランダムエステル交換油脂A:20重量部、ランダムエステル交換油脂B:40重量部、パームオレイン:20重量部、実施例1で得られたマイグレーション抑制用添加剤:20重量部を混合し、乳化剤としてレシチンを0.2重量部添加して撹拌・混合し、油脂組成物を得た。得られた油脂組成物を常法に従って急冷捏和し、ショートニング1を作製した。
ランダムエステル交換油脂A:10重量部、ランダムエステル交換油脂B:10重量部、パームオレイン:20重量部、パームオレイン(IV60)のエステル交換油脂:50重量部、実施例1で得られたマイグレーション抑制用添加剤:10重量部を混合し、乳化剤としてレシチン0.2重量部を添加して撹拌・混合し、油脂組成物を得た。得られた油脂組成物を急冷捏和し、ショートニング2を作製した。
ランダムエステル交換油脂A:20重量部、ランダムエステル交換油脂B:50重量部、パームオレイン:20重量部、実施例2で得られたマイグレーション抑制用添加剤:10重量部を混合し、乳化剤としてレシチン0.2重量部を添加して攪拌・混合し、油脂組成物を得た。得られた油脂組成物を急冷捏和し、ショートニング3を作製した。
パームオレイン(IV60)のエステル交換油脂:95重量部、実施例2で得られたマイグレーション抑制用添加剤:5重量部を混合し、乳化剤としてレシチン0.2重量部を添加して攪拌・混合し、油脂組成物を得た。得られた油脂組成物を急冷捏和し、ショートニング4を作製した。
パームオレイン(IV60)のエステル交換油脂75重量部、パーム油25重量部を混合し、乳化剤としてレシチン0.2重量部を添加して急冷捏和し、ショートニング5を作製した。
特開平8−332093で開示されているような、パーム油中融点画分と炭素数20以上の飽和脂肪酸を構成脂肪酸として含む油脂とをエステル交換し、C20以上の脂肪酸を含有するショートニングを作製するため、パーム油中融点部80重量部、菜種極度硬化油20重量部を混合した油脂を混合、脱水した。アルカリゲネス属由来のリパーゼQL(名糖産業(株)製)の5重量%水溶液を粉末ケイソウ土(昭和科学(株)製「ラジオライト♯3000」)と混合し、減圧乾燥したものを固定化リパーゼとし、これに定量ポンプで上記原料油脂を通液(60℃、空間速度5/hr)し、もしくは対油0.5重量部の固定化リパーゼとともに攪拌してエステル交換し、エステル交換油脂Cを得た。
エステル交換油脂C75重量部、パーム油25重量部を混合し、乳化剤としてレシチン0.2重量部を添加して急冷捏和し、ショートニング6を作製した。
特開2000−129286で開示されているような、C20以上の脂肪酸を含有するショートニングを作製するため、米ワックス100重量部の代わりにヤシ油50重量部、菜種極度硬化油50重量部を混合したものを用いた以外は、以下は製造例2と同様にしてエステル交換油脂Dを得た。
硬化魚油80重量部、エステル交換油脂D20重量部を混合し、乳化剤としてレシチン0.2重量部を添加して急冷捏和し、ショートニング7を作製した。
表2の配合に従って、全ての材料を混捏した後、型抜きをし、170℃で12分間焼成し、直径35mm、厚み3mmの円形ビスケットを作製した。その際、ショートニングの練り込み性を評価した。得られたビスケットを、カカオ脂を38%含有し、直径40mmの円形状の容器に入れた融解状のチョコレート(重量約12g)に該ビスケットの表面が埋もれない程度に埋没させて、その後20℃で1時間冷却してチョコレートを固化させ、複合菓子を得た。ショートニングの練り込み性及び複合菓子の評価結果は、表2にまとめた。
Claims (6)
- 構成脂肪酸全体中、飽和脂肪酸が30重量%以上であり、且つC24(リグノセリン酸)以上の飽和脂肪酸量が10〜30重量%で、C22(ベヘン酸)とC24以上の飽和脂肪酸の重量比(C24/C22)が1〜9であり、且つマイグレーション抑制用添加剤中のトランス脂肪酸含量が2重量%以下であるマイグレーション抑制用添加剤。
- C24以上の脂肪酸及び/又はその誘導体と融点45℃以下の油脂とをリパ−ゼを用いてエステル交換することで得られる請求項1に記載のマイグレーション抑制用添加剤。
- 融点45℃以下の油脂が、パ−ム油及び/又はその分別油で、沃素価が30〜75である請求項2に記載のマイグレーション抑制用添加剤。
- C24以上の脂肪酸及びその誘導体が、植物ワックス由来である請求項2又は3に記載のマイグレーション抑制用添加剤。
- 請求項1〜4の何れかに記載のマイグレーション抑制用添加剤を油脂組成物全体中3〜30重量%添加してなる油脂組成物。
- 請求項5に記載の油脂組成物を含有する食品。
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