JP6366495B2 - 油脂組成物及び該油脂組成物を使用した油性食品 - Google Patents

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Description

本発明は、油脂組成物及び該油脂組成物を使用した油性食品に関するものである。
チョコレートは油脂を含有する菓子であり、その油脂には通常カカオ豆由来のココアバター(カカオ脂)が使用される。ココアバターは価格が高いため、チョコレートの油脂にはココアバター以外の植物油脂がカカオ代用脂として使用されることも多い。このチョコレートに使用されるカカオ代用脂はハードバターとも呼ばれており、ハードバターは一般に、テンパリング型(テンパー型)とノンテンパリング型(ノーテンパー型)に分類される。
テンパリング型ハードバターは、ココアバターとよく似た対称型トリグリセリド(トリアシルグリセロール)の構造を持つ類似脂から作られるので、ココアバターとの配合が容易であり、CBE(cocoa butter equivalent)と呼ばれている。
一方、ノンテンパリング型ハードバターは、ココアバターと融解性状は似ているが、油脂構造は全く異なるものであり、ラウリン酸型と非ラウリン酸型に大きく分けられる。ノンテンパリング型ハードバターは、ラウリン酸型と非ラウリン酸型の何れもココアバターとの相溶性は低いが、ココアバターと比べて価格的に安く、煩雑なテンパリング作業が不要で作業性が良いため、製菓・製パン領域にて広く使用されている。
ノンテンパリング型ハードバターの内、非ラウリン酸型ハードバターは、トランス酸型ハードバターとも言われている。非ラウリン酸型ハードバターは、典型的には低融点パームオレイン又は大豆油等の液体油を異性化水素添加したものや、異性化水素添加したものを分別した高融点部又は中融点部が知られている。非ラウリン酸型ハードバターは、多量のトランス脂肪酸を含有するため、トランス脂肪酸の健康への悪影響が認識されるようになって以来、使用が敬遠されている。そのような背景から、トランス脂肪酸含量が低減された非ラウリン酸型ハードバターの開発が進んでいる(例えば、特許文献1〜5を参照)。
非ラウリン酸型ハードバターは、ココアバターとの相溶性はラウリン酸型よりは良く、ココアバターをラウリン酸型よりも多く配合することができる。しかしながら、非ラウリン酸型ハードバターの融解性状はラウリン酸型と比較してややシャープさに欠けることから、非ラウリン酸型ハードバターを使用したチョコレートはシャープな口溶けが得られない場合があった。
ノンテンパリング型ハードバターの内、ラウリン酸型ハードバターは、典型的にはパーム核油を分別して得られる硬質部(パーム核ステアリン)を水素添加して極度硬化したものが知られている。ラウリン酸型ハードバターは融解性状が極めてシャープであることが知られている。従って、ラウリン酸型ハードバターを使用したチョコレートはシャープな口溶けとなる。しかしながら、ラウリン酸型ハードバターはココアバターとの相溶性が極端に悪いことから、ラウリン酸型ハードバターを使用したチョコレートはココアバターの配合率を極力少なくしなければならず、カカオ風味に乏しいものであった。また、ラウリン酸型ハードバターを使用したチョコレートは、ココアバターとの相溶性の関係で、ブルームが発生しやすいという問題もあった。
以上のような背景から、ブルームが発生しにくく、口溶けが良いチョコレート等の油性食品を提供することが可能なココアバターとの相溶性が良いノンテンパリング型ハードバターの開発が求められていた。
国際公開第05/094598号 特表2007−504802号公報 特開2009−284899号公報 特表2010−532802号公報 特表2010−532803号公報
本発明の目的は、ココアバターとの相溶性が良い油脂組成物を提供することである。
また、本発明の目的はブルームが発生しにくく、口溶けが良い油性食品を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、油脂組成物中の特定の脂肪酸及び特定のトリグリセリドを特定量、特定比率とすることで、ココアバターとの相溶性が良い油脂組成物及びブルームが発生しにくく、口溶けが良い油性食品が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明は、以下の条件(a)〜(h)を満たす油脂組成物である。
(a)全構成脂肪酸に占める炭素数12以下の脂肪酸含有量が15〜33質量%である。
(b)全構成脂肪酸に占めるパルミチン酸含有量が20〜45質量%である。
(c)全構成脂肪酸に占めるステアリン酸含有量が4〜22質量%である。
(d)全構成脂肪酸に占める不飽和脂肪酸含有量が13〜30質量%である。
(e)全構成脂肪酸に占める炭素数20以上の脂肪酸含有量が2質量%以下である。
(f)全構成脂肪酸に占めるステアリン酸含有量に対するラウリン酸含有量(ラウリン酸含有量/ステアリン酸含有量)が、1.2〜5.0である。
(g)全構成脂肪酸に占めるステアリン酸含有量に対するパルミチン酸含有量(パルミチン酸含有量/ステアリン酸含有量)が、1.6〜5.0である。
(h)全トリグリセリドに占めるC42〜48トリグリセリド(構成する脂肪酸残基の総炭素数が42〜48であるトリグリセリド)含有量が40〜65質量%である。
本発明の第2の発明は、前記油脂組成物が、さらに以下の条件(i)を満たす、第1の発明に記載の油脂組成物である。
(i)全構成脂肪酸に占めるトランス脂肪酸含有量が5質量%以下である。
本発明の第3の発明は、前記油脂組成物が、さらに以下の条件(j)を満たす、第1の発明又は第の2発明に記載の油脂組成物である。
(j)全構成脂肪酸に占めるステアリン酸含有量に対する不飽和脂肪酸含有量(不飽和脂肪酸含有量/ステアリン酸含有量)が5.0以下である。
本発明の第4の発明は、固体脂含量が10℃で55〜75%、20℃で35〜55%、30℃で15〜35%、35℃で20%以下である第1の発明〜第3の発明の何れか1つの発明に記載の油脂組成物である。
本発明の第5の発明は、前記油脂組成物が、ノンテンパリング型ハードバターである第1の発明〜第4の発明の何れか1つの発明に記載の油脂組成物である。
本発明の第6の発明は、ココアバターとの相溶性が5%以上20%未満である第1の発明〜第5の発明の何れか1つの発明に記載の油脂組成物である。
本発明の第7の発明は、第1の発明〜第6の発明の何れか1つの発明に記載の油脂組成物を使用してなる油性食品である。
本発明の第8の発明は、油性食品が、チョコレートである第7の発明に記載の油性食品である。
本発明によると、ココアバターとの相溶性が良い油脂組成物を提供することができる。
また、本発明によると、ブルームが発生しにくく、口溶けが良い油性食品を提供することができる。
本発明の実施の形態に係る油脂組成物は、以下の条件(a)〜(h)を満たすことを特徴とする。
(a)全構成脂肪酸に占める炭素数12以下の脂肪酸含有量が15〜33質量%である。
(b)全構成脂肪酸に占めるパルミチン酸含有量が20〜45質量%である。
(c)全構成脂肪酸に占めるステアリン酸含有量が4〜22質量%である。
(d)全構成脂肪酸に占める不飽和脂肪酸含有量が13〜30質量%である。
(e)全構成脂肪酸に占める炭素数20以上の脂肪酸含有量が2質量%以下である。
(f)全構成脂肪酸に占める、ステアリン酸含有量に対するラウリン酸含有量(ラウリン酸含有量/ステアリン酸含有量)が、1.2〜5.0である。
(g)全構成脂肪酸に占める、ステアリン酸含有量に対するパルミチン酸含有量(パルミチン酸含有量/ステアリン酸含有量)が、1.6〜5.0である。
(h)全トリグリセリドに占めるC42〜48トリグリセリド(構成する脂肪酸残基の総炭素数が42〜48であるトリグリセリド)含有量が40〜65質量%である。
本発明の実施の形態に係る油脂組成物は、全構成脂肪酸に占める炭素数12以下の脂肪酸含有量が15〜33質量%である(条件(a))。また、全構成脂肪酸に占める炭素数12以下の脂肪酸含有量は、好ましくは15〜31質量%であり、より好ましくは18〜29質量%である。なお、本発明において、炭素数12以下の脂肪酸は、炭素数が8〜12である。
本発明の実施の形態に係る油脂組成物は、全構成脂肪酸に占めるパルミチン酸含有量が20〜45質量%である(条件(b))。また、全構成脂肪酸に占めるパルミチン酸含有量は、好ましくは23〜43質量%であり、より好ましくは25〜40質量%である。
本発明の実施の形態に係る油脂組成物は、全構成脂肪酸に占めるステアリン酸含有量が4〜22質量%である(条件(c))。また、全構成脂肪酸に占めるステアリン酸含有量は、好ましくは5〜20質量%であり、より好ましくは6〜18質量%である。
本発明の実施の形態に係る油脂組成物は、全構成脂肪酸に占める不飽和脂肪酸含有量が13〜30質量%である(条件(d))。全構成脂肪酸に占める不飽和脂肪酸含有量は、好ましくは16〜28質量%であり、より好ましくは18〜27質量%である。なお、本発明において、不飽和脂肪酸は、炭素数が16〜24である。
本発明の実施の形態に係る油脂組成物は、全構成脂肪酸に占める炭素数20以上の脂肪酸含有量が2質量%以下である(条件(e))。全構成脂肪酸に占める炭素数20以上の脂肪酸含有量は、より好ましくは1.5質量%以下であり、より好ましくは1質量%以下である。なお、本発明において、炭素数20以上の脂肪酸は、炭素数が20〜24である。
本発明の実施の形態に係る油脂組成物は、全構成脂肪酸に占めるステアリン酸含有量に対するラウリン酸含有量(ラウリン酸含有量/ステアリン酸含有量)が、1.2〜5.0である(条件(f))。全構成脂肪酸に占めるステアリン酸含有量に対するラウリン酸含有量は、好ましくは1.3〜4.0であり、より好ましくは1.4〜3.0である。
本発明の実施の形態に係る油脂組成物は、全構成脂肪酸に占めるステアリン酸含有量に対するパルミチン酸含有量(パルミチン酸含有量/ステアリン酸含有量)が、1.6〜5.0である(条件(g))。全構成脂肪酸に占めるステアリン酸含有量に対するパルミチン酸含有量は、好ましくは1.8〜4.0であり、より好ましくは2.0〜3.5である。
本発明の実施の形態に係る油脂組成物は、全トリグリセリドに占めるC42〜C48トリグリセリド含有量が40〜65質量%である(条件(h))。C42〜C48トリグリセリド含有量は、好ましくは43〜63質量%であり、より好ましくは45〜60質量%である。C42〜C48トリグリセリドを構成する脂肪酸は、好ましくは炭素数8〜24の脂肪酸である。なお、本発明において、C42〜C48トリグリセリドは、構成する脂肪酸残基の総炭素数が42〜48であるトリグリセリドのことである。また、本発明において、C42〜C48トリグリセリドは、C42〜C48TAGと記載することがある。
本発明の実施の形態に係る油脂組成物が上記条件(a)〜(h)を満たすと、油脂組成物はココアバターとの相溶性が良くなり、該油脂組成物を使用した油性食品はブルームが発生しにくく、口溶けが良いものとなる。
本発明の実施の形態に係る油脂組成物は、全構成脂肪酸に占めるトランス脂肪酸含有量が好ましくは5質量%以下である(条件(i))。全構成脂肪酸に占めるトランス脂肪酸含有量は、より好ましくは3質量%以下であり、さらに好ましくは1質量%以下である。
本発明の実施の形態に係る油脂組成物は、全構成脂肪酸に占めるステアリン酸含有量に対する不飽和脂肪酸含有量(不飽和脂肪酸含有量/ステアリン酸含有量)が、好ましくは5.0以下である(条件(j))。全構成脂肪酸に占めるステアリン酸含有量に対する不飽和脂肪酸含有量は、より好ましくは1.0〜4.0であり、さらに好ましくは1.2〜3.0である。
油脂の脂肪酸の分析は、AOCS Ce1f−96に準じて、ガスクロマトグラフィー法で測定することができる。
油脂のトリグリセリドの分析は、AOCS Ce5−86に準じて、ガスクロマトグラフィー法で測定することができる。
本発明の実施の形態に係る油脂組成物は、上記条件を満たす限り、原料油脂として、どのような食用油脂を使用してもよい。油脂組成物の原料油脂としては、例えば、大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、胡麻油、ココアバター、シア脂、サル脂、パーム油、パーム核油、ヤシ油、牛脂、豚脂、乳脂、魚油、鯨油等の各種の植物油脂及び動物油脂、並びにこれらに水素添加、分別及びエステル交換から選択された一又は二以上の処理を施した加工油脂が挙げられる。本発明の実施の形態に係る油脂組成物は、上記食用油脂を一種以上組み合せて原料油脂として使用してもよい。
本発明の実施の形態に係る油脂組成物は、好ましくはエステル交換油脂であり、より好ましくはラウリン系油脂と非ラウリン系油脂とのエステル交換油脂であり、さらに好ましくはラウリン系油脂と非ラウリン系油脂とのランダムエステル交換油脂である。
上記ラウリン系油脂とは、油脂を構成する脂肪酸のうちラウリン酸が30質量%以上の油脂であり、例えば、ヤシ油、パーム核油、これらを分別して得られるパーム核オレイン、パーム核ステアリン等の分別油、これらをエステル交換した油脂、及びこれらの硬化油(例えば、パーム核極度硬化油、パーム核オレイン極度硬化油)等が挙げられる。本実施の形態においては、これらから選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
上記非ラウリン系油脂とは、油脂を構成する脂肪酸のうち炭素数16以上の脂肪酸が90質量%を超える油脂であり、具体的には、菜種油、大豆油、コーン油、紅花油、綿実油、ヒマワリ油、ココアバター、シア脂、サル脂、パーム油等、並びにこれらに水素添加、分別及びエステル交換から選択された一又は二以上の処理を施した加工油脂を例示することができる。本実施の形態においては、これらから選ばれる1種又は2種以上を混合して用いることができる。
非ラウリン系油脂は、好ましくはパーム系油脂である。上記パーム系油脂としては、パーム油及びパーム分別油等のパーム油の加工油脂であれば何れも使用することができる。具体的には、(1)パーム油の1段分別油であるパームオレイン及びパームステアリン、(2)パームオレインを分別した分別油(2段分別油)であるパームオレイン(パームスーパーオレイン)及びパーム中融点部(パームミッドフラクション(PMF))、(3)パームステアリンを分別した分別油(2段分別油)であるパームオレイン(ソフトパーム)及びパームステアリン(ハードステアリン)、(3)パームオレイン又はパームステアリンを分別した分別油(2段分別油)であるパーム中融点部等が例示できる。パーム系油脂としては、好ましくはパームステアリン(ヨウ素価5〜40、好ましくは15〜35)、パーム中融点部(ヨウ素価40〜50)である。パーム系油脂としては、1種又は2種以上のパーム系油脂を混合して使用してもよい。
油脂のヨウ素価は、「基準油脂分析試験法(社団法人日本油化学会編)」の「2.3.4.1−1996 ヨウ素価(ウィイス−シクロヘキサン法)」に準じて測定することができる。
上記、ラウリン系油脂と非ラウリン系油脂との混合油脂の混合比(ラウリン系油脂:非ラウリン系油脂)は、好ましくは質量比35:65〜65:35であり、より好ましくは質量比40:60〜60:40であり、さらに好ましくは質量比45:55〜55:45である。
本発明の実施の形態に係る油脂組成物がエステル交換油脂である場合のエステル交換の方法は、特に制限はなく、通常の方法により行うことができ、ナトリウムメトキシド等の合成触媒を使用した化学的エステル交換、リパーゼを触媒とした酵素的エステル交換のどちらの方法でも行うことができる。
化学的エステル交換によるエステル交換反応は、位置特異性の乏しい反応であり、ランダムエステル交換反応となる
化学的エステル交換は、例えば、原料油脂を十分に乾燥させ、ナトリウムメトキシドを原料油脂に対して0.1〜1質量%添加した後、減圧下、80〜120℃で0.5〜1時間攪拌しながら反応を行うことができる。エステル交換反応終了後は、水洗等により触媒を除去した後、通常の食用油脂の精製工程で行われる脱色・脱臭処理を施すことができる。
酵素的エステル交換は、1,3位特異性の高いエステル交換反応、又は、ランダムエステル交換反応(位置特異性の乏しいエステル交換反応)のどちらでも行うことができる。1,3位特異性の高いエステル交換反応を行うことのできるリパーゼ製剤としては、リゾプスオリザエ由来及び/又はリゾプスデルマ由来(例えば、国際公開第2009/031679号に記載)や、リゾムコールミーハイ由来の固定化リパーゼ(ノボザイムズ社製のリポザイムTLIM、リポザイムRMIM等)等が挙げられる。ランダムエステル交換反応を行うことのできるリパーゼ製剤としては、アルカリゲネス属由来リパーゼ(例えば、名糖産業株式会社製のリパーゼQLM、リパーゼPL等)、キャンディダ属由来リパーゼ(例えば、名糖産業株式会社製のリパーゼOF等)等が挙げられる。
酵素的エステル交換は、例えば、リパーゼ粉末又は固定化リパーゼを原料油脂に対して0.02〜10質量%、好ましくは0.04〜5質量%添加した後、40〜80℃、好ましくは40〜70℃で0.5〜48時間、好ましくは0.5〜24時間攪拌しながら反応を行うことができる。エステル交換反応終了後は、濾過等により触媒を除去した後、通常の食用油脂の精製工程で行われる脱色・脱臭処理を施すことができる。
本発明の実施の形態に係る油脂組成物は、固体脂含量(以下、SFCとする。)が好ましくは10℃で55〜75%、20℃で35〜55%、30℃で15〜35%、35℃で20%以下であり、より好ましくは10℃で60〜72%、20℃で40〜53%、30℃で20〜30%、35℃で15%以下であり、さらに好ましくは10℃で63〜70%、20℃で43〜51%、30℃で22〜28%、35℃で13%以下である。
油脂のSFCは社団法人 日本油化学会編、「基準油脂分析試験法」の2.2.9−2003 固体脂含量(NMR法)に準じて測定することができる。
本発明の実施の形態に係る油脂組成物は、ハードバター(チョコレート用油脂)等として、油性食品に使用することができる。また、本発明の実施の形態に係る油脂組成物は、ノンテンパリング型ハードバターとして使用することができる。
本発明の実施の形態に係る油脂組成物は、ココアバターとの相溶性が良いものである。
本発明において、本発明の実施の形態に係る油脂組成物とココアバターとの相溶性は、油脂組成物にココアバターを添加した時のSFCの変化で評価することができる。ココアバターとの相溶性は、具体的には、ココアバター無添加の油脂組成物の5℃、10℃、20℃、25℃、30℃、35℃、40℃のSFCと、ココアバターを添加した油脂組成物の5℃、10℃、20℃、25℃、30℃、35℃、40℃のSFCを測定した後、各温度のSFCの差を算出し、各温度のSFCの差の偏差平方和で評価することができる。SFCの差の偏差平方和が小さいほど、ココアバターの添加による物性への影響が少ないと判断できる。例えば、トランス酸型ノンテンパリング型ハードバター(ココアバターとの相溶性は20%程度)にココアバター含有量が20質量%となるようにココアバターを添加した時(トランス酸型ノンテンパリング型ハードバター80質量部とココアバター20質量部とを混合する。)のSFCの差の偏差平方和が150であった場合において、油脂組成物Aにココアバター含有量が18質量%となるようにココアバターを添加した時(油脂組成物A 82質量部質量%、ココアバター18質量%となるように混合する。)のSFCの差の偏差平方和が120、ココアバター含有量が20質量%となるようにココアバターを添加した時(油脂組成物A 80質量部質量%、ココアバター20質量%となるように混合する。)のSFCの差の偏差平方和が160だった場合、油脂組成物Aのココアバターとの相溶性は18%以上20%未満であると判断できる。
本発明の実施の形態に係る油脂組成物は、ココアバターとの相溶性が、ラウリン酸型ノンテンパリング型ハードバターの相溶性(5%程度)よりも良く、トランス酸型ノンテンパリング型ハードバターの相溶性(20%程度)と同程度である。本発明の実施の形態に係る油脂組成物は、ココアバターとの相溶性が好ましくは5%以上20%未満であり、より好ましくは15%以上20%未満であり、さらに好ましくは18%以上20%未満である。
本発明の実施の形態に係る油性食品は、本発明の実施の形態に係る油脂組成物を使用してなることを特徴する。すなわち、本発明の実施の形態に係る油性食品は、本発明の実施の形態に係る油脂組成物を使用して製造されるものである。なお、本発明において、油性食品とは、油脂を含み、油脂が連続相である加工食品のことをいい、好ましくは糖類を含むものである。油性食品の具体例としては、チョコレート、フィリング、クリーム(バタークリーム、サンドクリーム等)等が挙げられる。
本発明の実施の形態に係る油性食品は、油性食品に含まれる油脂中の本発明の実施の形態に係る油脂組成物の配合量(含有量)が好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは80〜99質量%であり、さらに好ましくは82〜94質量%である。なお、油性食品に含まれる油脂とは、油性食品中の全油脂分のことであり、配合される油脂の他に、含油原料(カカオマス、ココアパウダー、全脂粉乳等)中の油脂(ココアバター、乳脂等)も含むものである。
本発明の実施の形態に係る油性食品は、本発明の実施の形態に係る油脂組成物以外の油脂を使用することもできる。本発明の実施の形態に係る油性食品に使用可能な本発明の実施の形態に係る油脂組成物以外の油脂としては、通常の食用油脂、例えば、ココアバター、パーム油、パーム分別油(パームオレイン、パームスーパーオレイン、パーム中融点部等)、シア脂、シア分別油、サル脂、サル分別油、イリッペ脂、コクム脂、マンゴー脂、マンゴー分別油、大豆油、菜種油、綿実油、サフラワー油、ひまわり油、米油、コーン油、ゴマ油、オリーブ油、牛脂、豚脂、乳脂などの動植物油脂あるいはそれらに混合、分別、エステル交換、水素添加等の1種以上の処理が施された加工油脂等の中から1種以上を選択して使用することができる。
本発明の実施の形態に係る油性食品は、好ましくはココアバターを配合する。
本発明の実施の形態に係る油性食品は、油性食品に含まれる油脂中のココアバターの配合量(含有量)が好ましくは0.1質量%以上20質量%未満であり、より好ましくは1質量%以上20質量%未満であり、さらに好ましくは6〜18質量%である。ココアバターの配合量が上記範囲にあると、風味が良い油性食品となる。
なお、本発明においてココアバターは、カカオマス、ココアパウダー等の含油原料由来のココアバターも含むものである。
本発明の実施の形態に係る油性食品は、油脂以外にも、油性食品に一般的に配合される原料を使用することができる。例えば、ショ糖(砂糖、粉糖)、乳糖、ブドウ糖、果糖、麦芽糖、還元澱粉糖化物、液糖、酵素転化水飴、異性化液糖、ショ糖結合水飴、還元糖ポリデキストロース、オリゴ糖、ソルビトール、還元乳糖、トレハロース、キシロース、キシリトース、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、ラフィノース、デキストリンなどの糖類、全脂粉乳、脱脂粉乳等の乳製品、カカオマス、ココアパウダー等のカカオ成分、大豆粉、大豆蛋白、果実加工品、野菜加工品、抹茶粉末、コーヒー粉末等の各種粉末、ガム類、澱粉類、レシチン、リゾレシチン、酵素分解レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等の乳化剤、酸化防止剤、着色料、香料等を挙げることができる。
本発明の実施の形態に係る油性食品は、糖類含有量が好ましくは30〜65質量%であり、より好ましくは33〜60質量%であり、更に好ましくは35〜55質量%である。
本発明の実施の形態に係る油性食品は、従来公知の方法により製造することができる。
本発明の実施の形態に係る油性食品は、ブルームが発生しにくく、口溶けが良いものである。
本発明の実施の形態に係る油性食品は、好ましくはチョコレートである。
本発明においてチョコレートとは、「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」(全国チョコレート業公正取引協議会)乃至法規上の規定により限定されるものではなく、食用油脂、糖類、カカオ成分(カカオマス、ココアパウダー等)、乳製品(全脂粉乳、脱脂粉乳等)、香料、乳化剤等を原料とし、チョコレート製造の工程(混合工程、微粒化工程(リファイニング)、精練工程(コンチング)、成形工程、冷却工程等の全部乃至一部)を経て製造され、油脂が連続相をなし、実質的に水を含まない(水分含量が好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。)食品のことである。また、本発明におけるチョコレートは、ダークチョコレート、ミルクチョコレートの他に、ホワイトチョコレート、カラーチョコレートも含むものである。
本発明の実施の形態に係るチョコレートは、好ましくはノンテンパリング型チョコレートである。なお、本発明においてノンテンパリング型チョコレートとは、テンパリング又はシーディングを行わずに製造したチョコレートのことである。本発明において、シーディングとは、テンパリングを行う替りに、ココアバター又はココアバター代用脂(CBE)の安定型結晶を添加する方法である。
本発明の実施の形態に係るチョコレートは、チョコレートに含まれる油脂中の本発明の実施の形態に係る油脂組成物の配合量(含有量)が好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは80〜99質量%であり、さらに好ましくは82〜94質量%である。なお、チョコレートに含まれる油脂とは、チョコレート中の全油脂分のことであり、配合される油脂の他に、含油原料(カカオマス、ココアパウダー、全脂粉乳等)中の油脂(ココアバター、乳脂等)も含むものである。
本発明の実施の形態に係るチョコレートは、本発明の実施の形態に係る油脂組成物以外の油脂を使用することもできる。本発明の実施の形態に係るチョコレートに使用可能な本発明の実施の形態に係る油脂組成物以外の油脂は、本発明の実施の形態に係る油性食品に使用可能な本発明の実施の形態に係る油脂組成物以外の油脂と同じものを使用することができる。
本発明の実施の形態に係るチョコレートは、好ましくはココアバターを配合する。
本発明の実施の形態に係るチョコレートは、チョコレートに含まれる油脂中のココアバターの配合量(含有量)が好ましくは0.1質量%以上20質量%未満であり、より好ましくは1質量%以上20質量%未満であり、さらに好ましくは6〜18質量%である。ココアバターの配合量が上記範囲にあると、風味が良いチョコレートとなる。
本発明の実施の形態に係るチョコレートは、油脂含有量が好ましくは28〜68質量%、より好ましくは31〜60質量%、さらに好ましくは33〜55質量%である。
本発明の実施の形態に係るチョコレートは、油脂以外にも、チョコレートに一般的に配合される原料を使用することができる。例えば、ショ糖(砂糖、粉糖)、乳糖、ブドウ糖、果糖、麦芽糖、還元澱粉糖化物、液糖、酵素転化水飴、異性化液糖、ショ糖結合水飴、還元糖ポリデキストロース、オリゴ糖、ソルビトール、還元乳糖、トレハロース、キシロース、キシリトース、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、ラフィノース、デキストリンなどの糖類、全脂粉乳、脱脂粉乳等の乳製品、カカオマス、ココアパウダー等のカカオ成分、大豆粉、大豆蛋白、果実加工品、野菜加工品、抹茶粉末、コーヒー粉末等の各種粉末、ガム類、澱粉類、レシチン、リゾレシチン、酵素分解レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等の乳化剤、酸化防止剤、着色料、香料等を挙げることができる。
本発明の実施の形態に係るチョコレートは、糖類含有量が好ましくは30〜65質量%であり、より好ましくは33〜60質量%であり、更に好ましくは35〜55質量%である。
本発明の実施の形態に係るチョコレートは、従来公知の方法により製造することができる。本発明の実施の形態に係るチョコレートは、例えば、油脂、カカオ成分、糖類、乳化剤等を原料として、混合工程、微粒化工程、精練工程等を経て製造することができる。本発明の実施の形態に係るチョコレートは、好ましくは微粒化工程を経て製造する。
本発明の実施の形態に係るチョコレートは、テンパリング又はシーディングを行わずに製造することができるため、好ましくはテンパリング又はシーディングを行わずに製造する。
本発明の実施の形態に係るチョコレートは、チョコレートのみからなる製品に他に、チョコレートと他の食品と組合せた製品(複合食品)にも使用することができる。チョコレートに組合せる他の食品としては、パン、ケーキ、洋菓子、焼菓子、ドーナツ、シュー菓子等の製菓製パン製品が挙げられる。チョコレートと他の食品を組合せる方法としては、コーティング、フィリング、サンド、トッピング、インジェクション等が挙げられる。
本発明の実施の形態に係るチョコレートは、ブルームが発生しにくく、口溶けが良いものである。また、本発明の実施の形態に係るチョコレートは、煩雑なテンパリングを必要としないので扱い易いものである。
次に実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
〔油脂の脂肪酸分析方法〕
油脂の脂肪酸の分析は、AOCS Ce1f−96に準じて、ガスクロマトグラフィー法で測定した。
〔油脂のトリグリセリド分析方法〕
油脂のトリグリセリドの分析は、AOCS Ce5−86に準じて、ガスクロマトグラフィー法で測定した。
〔油脂のSFC測定方法〕
油脂のSFCは、社団法人 日本油化学会編、「基準油脂分析試験法」の2.2.9−2003 固体脂含量(NMR法)に準じて測定した。
〔油脂のヨウ素価測定方法〕
油脂のヨウ素価は、「基準油脂分析試験法(社団法人日本油化学会編)」の「2.3.4.1−1996 ヨウ素価(ウィイス−シクロヘキサン法)」に準じて測定した。
〔実施例1の油脂組成物の製造〕
パームステアリン(沃素価32、炭素数16以上の脂肪酸含量98.4質量%)15質量部とパーム中融点部(沃素価45、炭素数16以上の脂肪酸含量98.8質量%)35質量部とパーム核油の極度硬化油(ラウリン酸含有量48.4質量%)50質量部を混合した。得られた混合油を、ランダムエステル交換反応を行うことにより、実施例1の油脂組成物を得た。
エステル交換反応は、常法に従い、原料油脂を十分に乾燥させ、ナトリウムメトキシドを原料油脂に対して0.2質量%添加した後、減圧下、120℃で0.5時間攪拌しながら反応を行った。反応は50質量%のクエン酸水溶液を添加して中和することで終了し、その後等量の熱湯で3回洗浄して脱水乾燥し、常法により脱色、脱臭してエステル交換油脂とした。
〔比較例1の油脂組成物〕
パーム核ステアリンの極度硬化油(ラウリン酸含有量53.9質量%)を比較例1の油脂組成物(ラウリン酸型ノンテンパリング型ハードバター)とした。
〔比較例2の油脂組成物の製造〕
ヤシ油の極度硬化油(ラウリン酸含有量47.9質量%)60質量部とパーム油(ヨウ素価51.1、炭素数16以上の脂肪酸含量98.5質量%)25質量部とパーム油の極度硬化油(ヨウ素価0.3、炭素数16以上の脂肪酸含量98.5質量%)15質量部を混合した。得られた混合油を、ランダムエステル交換反応を行うことにより、比較例2の油脂組成物を得た。
エステル交換反応は、実施例1と同様の方法で行った。
〔比較例3の油脂組成物製造〕
パーム核油の極度硬化油(ラウリン酸含有量48.4質量%)75質量部とパーム油の極度硬化油(ヨウ素価0.3、炭素数16以上の脂肪酸含量98.5質量%)25質量部を混合した。得られた混合油を、ランダムエステル交換反応を行うことにより、比較例3の油脂組成物を得た。
エステル交換反応は、実施例1と同様の方法で行った。
〔比較例4の油脂組成物〕
パームオレイン硬化油(トランス脂肪酸含量52.3質量%)を比較例4の油脂組成物(トランス酸型ノンテンパリング型ハードバター)とした。
表1に、各油脂組成物の各脂肪酸含有量(質量%)(条件(a)〜(e)、(i))、特定の脂肪酸含量比(条件(f)、(g)、(j))及びC42〜48トリグリセリド含有量(質量%)(条件(h))を記載した。なお、表中の数値の単位は、条件(f)、(g)、(i)を除き質量%である。
Figure 0006366495
〔ココアバターとの相溶性の評価〕
ココアバター無添加の各油脂組成物の5℃、10℃、20℃、25℃、30℃、35℃、40℃のSFCと、ココアバター含有量が10質量%となるようにココアバターを添加した各油脂組成物(各油脂組成物90質量部とココアバター10質量部とを混合した。)の5℃、10℃、20℃、25℃、30℃、35℃、40℃のSFCを測定した。各温度でのココアバター無添加の各油脂組成物とココアバターを添加した各油脂組成物とのSFCの差を算出した。算出したSFCの差の偏差平方和を算出する。ココアバター含有量が15質量%、18質量%、20質量%、25質量%となるようにココアバターを添加した場合についても同様にSFCの差の偏差平方和を算出する。なお、比較例1については、ココアバター含有量が3質量%、5質量%、10質量%となるようにココアバターを添加した時のSFCの差の偏差平方和を算出した。トランス酸型ノンテンパリング型ハードバターがココアバターとの相溶性が20%と言われていることを指標として、油脂組成物とココアバターとの相溶性は、各油脂組成物のSFCの差の偏差平方和が比較例4の油脂組成物のSFCの差の偏差平方和の値となるココアバターの添加量とした。結果を表2〜6に示した。
Figure 0006366495
Figure 0006366495
Figure 0006366495
Figure 0006366495
Figure 0006366495
実施例1の油脂組成物は、ココアバターとの相溶性がトランス酸型ノンテンパリング型ハードバター(比較例4)と同程度であった。また、実施例1の油脂組成物は、ココアバターとの相溶性がラウリン酸型ノンテンパリング型ハードバター(比較例1)、比較例2、3の油脂組成物よりも良かった。
〔チョコレートの製造〕
実施例1の油脂組成物、比較例1の油脂組成物を使用し、表7の配合でノンテンパリング型のミルクチョコレート(油脂含有量:40質量%、油脂中の各油脂組成物の配合量:82質量%、油脂中のココアバター配合量:18質量%)を製造した。ミルクチョコレートは、テンパリングを行わない以外は常法(混合、微粒化、精練、冷却)により製造した。
Figure 0006366495
〔チョコレートの評価〕
以下の評価方法及び評価基準に従って、実施例2及び比較例5のチョコレートについて、ブルームと口溶けについて評価を行った。結果を表8に示した。
(ブルームの評価)
「評価方法1:チョコレート単体」
シャーレに厚さが5〜7mm程度になるようにチョコレートをコーティングし、5℃、15℃、20℃、35℃、20−35℃サイクルにおいて、15日、1ヵ月保存後、目視にて以下の評価基準に従って評価した。なお、20−35℃サイクルは、20℃で8時間保存後、35℃で4時間保存することを繰り返した。
「評価方法2:チョコレート複合菓子」
ビスケットに厚さが0.1〜1mm程度になるようにチョコレートをコーティングし、5℃、20℃において、6日、1ヵ月保存後、目視にて以下の評価基準に従って評価した。
「評価基準」
○:ブルーム無
×:ブルーム有
(口溶けの評価)
「評価方法」
製造直後のチョコレートを、以下の評価基準に従って5名の専門パネラにより総合的に試食評価した。
「評価基準」
○:良好
△:若干口残り感がある
×:口残り感がある
Figure 0006366495
実施例1の油脂組成物を使用して製造した実施例2のチョコレートは、ブルームの発生がなく、口溶けも良好だった。
チョコレート単体でのブルーム評価において、比較例1の油脂組成物を使用して製造した比較例5のチョコレートは、20℃15日間保存後にブルームの発生が認められた。また、チョコレート複合菓子でのブルーム評価において、比較例1の油脂組成物を使用して製造した比較例5のチョコレートは、20℃6日間保存後にブルームの発生が認められた。

Claims (8)

  1. 以下の条件(a)〜(h)を満たす油脂組成物。
    (a)全構成脂肪酸に占める炭素数12以下の脂肪酸含有量が15〜33質量%である。
    (b)全構成脂肪酸に占めるパルミチン酸含有量が20〜45質量%である。
    (c)全構成脂肪酸に占めるステアリン酸含有量が4〜22質量%である。
    (d)全構成脂肪酸に占める不飽和脂肪酸含有量が13〜30質量%である。
    (e)全構成脂肪酸に占める炭素数20以上の脂肪酸含有量が2質量%以下である。
    (f)全構成脂肪酸に占めるステアリン酸含有量に対するラウリン酸含有量(ラウリン酸含有量/ステアリン酸含有量)が、1.2〜5.0である。
    (g)全構成脂肪酸に占めるステアリン酸含有量に対するパルミチン酸含有量(パルミチン酸含有量/ステアリン酸含有量)が、1.6〜5.0である。
    (h)全トリグリセリドに占めるC42〜48トリグリセリド(構成する脂肪酸残基の総炭素数が42〜48であるトリグリセリド)含有量が40〜65質量%である。
  2. 前記油脂組成物が、さらに以下の条件(i)を満たす、請求項1に記載の油脂組成物。
    (i)全構成脂肪酸に占めるトランス脂肪酸含有量が5質量%以下である。
  3. 前記油脂組成物が、さらに以下の条件(j)を満たす、請求項1又は請求項2に記載の油脂組成物。
    (j)全構成脂肪酸に占めるステアリン酸含有量に対する不飽和脂肪酸含有量(不飽和脂肪酸含有量/ステアリン酸含有量)が5.0以下である。
  4. 固体脂含量が10℃で55〜75%、20℃で35〜55%、30℃で15〜35%、35℃で20%以下である請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の油脂組成物。
  5. 前記油脂組成物が、ノンテンパリング型ハードバターである請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の油脂組成物。
  6. ココアバターとの相溶性が5%以上20%未満である請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の油脂組成物。
  7. 請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の油脂組成物を使用してなる油性食品。
  8. 油性食品が、チョコレートである請求項7に記載の油性食品。
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