JP7320347B2 - ブルーム抑制材 - Google Patents
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Description
チョコレートは、製造時や保存時の温度管理等が適切でない場合、ブルーム現象と呼ばれる外観や食味の品質低下が起こりやすい。
このため、ブルーム耐性を有するチョコレートを得るために、チョコレート中にココアバター以外の機能性油脂を含有させることが従来から行われている。
ハイカカオチョコレートにおいても、通常のチョコレートと同様に上記のブルーム現象が起きるため、ブルーム現象の発生の抑制が望まれている。ところで、ハイカカオチョコレートは、通常のチョコレートと比較してカカオ分を高める必要があるため、砂糖を除けば、カカオ分以外の成分を含有する余地がほとんどない。
そのため、特許文献1及び2に記載のブルーム防止剤のような、従来知られた、チョコレートに対してブルーム耐性を付与する機能性油脂は、その機能が発現する量をハイカカオチョコレートに含有させることが難しく、ハイカカオチョコレートのブルーム現象の発生を十分に抑制することができなかった。
さらに、近年、日本国内の菓子メーカー各社では、国内生産された菓子類の海外輸出や海外輸出を見越した商品設計が活発になっている。しかしながら、法規制の点から、日本国内で使用できても海外で使用できない乳化剤も多く、乳化剤の効果に頼らないブルーム現象の発生の抑制方法が求められている。
(1)トリ飽和トリグリセリド組成中に混酸型トリ飽和トリグリセリドを65~95質量%含有する。
(2)混酸型トリ飽和トリグリセリド中のP2Stの含有量が30~90質量%である。
(3)脂肪酸組成中の炭素数20以上の飽和脂肪酸の含有量が8.5質量%以下である。
Pはパルミチン酸残基を表し、Stはステアリン酸残基を表し、P2Stはトリグリセリドを構成する脂肪酸残基としてPを2個、Stを1個有するトリグリセリドを表す。
本発明はこの知見に基づいて開発されたものである。
本発明のブルーム抑制材は、下記の条件(1)~(3)を全て満たす油脂(A)を有効成分として含有する。
(1)トリ飽和トリグリセリド組成中に混酸型トリ飽和トリグリセリドを65~95質量%含有する。
(2)混酸型トリ飽和トリグリセリド中のP2Stの含有量が30~90質量%である。
(3)脂肪酸組成中の炭素数20以上の飽和脂肪酸の含有量が8.5質量%以下である。
Pはパルミチン酸残基を表し、Stはステアリン酸残基を表し、P2Stはトリグリセリドを構成する脂肪酸残基としてPを2個、Stを1個有するトリグリセリドを表す。
先ず、条件(1)について述べる。
本発明のブルーム抑制材は、有効成分として含有する油脂(A)のトリ飽和トリグリセリド組成中に、混酸型トリ飽和トリグリセリドを65~95質量%含有することが必要である。トリ飽和トリグリセリド組成中の混酸型トリ飽和トリグリセリドの含有量が、上記範囲内である油脂(A)を用いることで、チョコレート中のブルーム抑制材の含有量が少量であっても、ブルームの発生を効果的に抑制することができる。油脂(A)のトリ飽和トリグリセリド組成中の混酸型トリ飽和トリグリセリドの含有量が65質量%よりも少ない場合、チョコレートのブルーム現象の発生を抑制することができない。また、工業的な観点から、トリ飽和トリグリセリド組成中の混酸型トリ飽和トリグリセリドの含有量を95質量%超となるまで高めることは非常に困難である。本発明のブルーム抑制材に用いられる油脂(A)のトリ飽和トリグリセリド組成中の混酸型トリ飽和トリグリセリドの含有量は、工業的な生産性の観点、及びブルーム現象の発生をより長期にわたって効果的に抑制する観点から、好ましくは70~95質量%であり、より好ましくは75~90質量%である。
本発明のブルーム抑制材に有効成分として含有される油脂(A)の混酸型トリ飽和トリグリセリドは、P2Stを30~90質量%含有することが必要である。混酸型トリ飽和トリグリセリド中のP2Stの含有量が上記範囲内である油脂(A)をチョコレートに含有させることによって、チョコレート中のブルーム抑制材の含有量が少量であっても、ブルームの発生を効果的に抑制することができる。混酸型トリ飽和トリグリセリド中のP2Stの含有量が30質量%未満である場合、経日的なブルームの発生を抑制することができない。また、工業的な生産手法では、混酸型トリ飽和トリグリセリド中のP2Stの含有量を90質量%超となるまで濃縮することが困難である。本発明のブルーム抑制材に有効成分として含有される油脂(A)の混酸型トリ飽和トリグリセリド中のP2Stの含有量は、チョコレートのブルーム現象の発生をより効果的により長期にわたって抑制する観点、及びチョコレートを長期間にわたって良好な艶を有すものとする観点から、35~90質量%であることが好ましく、40~85質量%であることがより好ましく、40~65質量%であることが最も好ましい。
本発明のブルーム抑制材においては、有効成分として含有される油脂(A)の脂肪酸組成中の炭素数20以上の飽和脂肪酸の含有量が8.5質量%以下であること必要がある。脂肪酸組成中の炭素数20以上の飽和脂肪酸の含有量が上記範囲内である油脂(A)を用いることで、チョコレート中のブルーム抑制材の含有量が少量であっても、ブルーム現象の発生を効果的に抑制することができる。油脂(A)の脂肪酸組成中の炭素数20以上の飽和脂肪酸の含有量は、チョコレートのブルーム現象の発生をより効果的に抑制する観点、及びチョコレートの食味を低下させない観点から、7質量%以下であることが好ましく、6質量%以下であることが好ましい。脂肪酸組成中の炭素数20以上の飽和脂肪酸の含有量の下限値は0質量%である。
(4)トリ飽和トリグリセリド組成中のPPPの含有量が10質量%以下である。
PPPはトリグリセリドを構成する脂肪酸残基としてPを3個有するトリグリセリドを表す。
上記条件(1)~(3)を全て満たし、かつトリ飽和トリグリセリド組成中のPPPの含有量が10質量%以下の油脂(A)を、本発明のブルーム抑制材中に有効成分として含有させることによって、ブルーム現象の発生がより好ましく抑制される。本発明のブルーム抑制材においては、ブルームの発生をより効果的に抑制する観点から、油脂(A)のトリ飽和トリグリセリド組成中のPPPの含有量が8質量%以下であることがより好ましく、6質量%以下であることが最も好ましい。油脂(A)のトリ飽和トリグリセリド組成中のPPPの含有量の下限値は0質量%である。
本発明においては、パーム油を初めとして、パーム分別軟部油、パーム分別硬部油、パームスーパーオレイン、パームミッドフラクション、及びにこれらの油脂に水素添加、分別及びエステル交換から選択される1つ又は2つ以上の処理を施した油脂が、パーム系油脂に含まれる。また、本発明においては、これらの油脂から選択される2種以上の油脂の混合物や、該油脂混合物に対して水素添加、分別、及びエステル交換から選択される1つ又は2つ以上の処理を施した油脂についてもパーム系油脂に含まれる。
本発明のブルーム抑制材中の油脂(A)がパーム系油脂の極度硬化油脂であることで、より良好なブルーム抑制効果が得られる機序については不明だが、ブルーム抑制材中の、混酸型トリ飽和トリグリセリドの分子種が少ない方がより効果的にブルーム抑制効果を得ることができるものと推定され、パーム系油脂の極度硬化油脂に比較的多く含まれる、構成脂肪酸残基が炭素数16の飽和脂肪酸残基と炭素数18の飽和脂肪酸残基とからなる混酸型トリ飽和トリグリセリドが、ブルーム現象の発生の抑制に一層効果的であると推定される。
本発明のチョコレートは、上記のブルーム抑制材を、チョコレートの原料の1つとして含有するものである。
本発明のチョコレートは、全国チョコレート業公正取引協議会で規定されたチョコレート、準チョコレートだけでなく、カカオマス、ココアバター、ココア等を利用した生チョコレート、ホワイトチョコレート、カラーチョコレート等の油脂加工食品も含むものであり、カカオマスやココアパウダー、粉乳等の各種粉末食品、油脂類、糖類、乳化剤、香料、色素等の中から選択した原料を任意の割合で混合し、常法により、ロール掛け、コンチング処理して得たものをいう。
また、本発明のチョコレートと好ましく複合することのできる上記ナッツ類としては、ピーナッツ、アーモンド、カシューナッツ、ピスタチオ、ヘーゼルナッツ、ピーカンナッツ、オーナッツ、マカデミアナッツ、ブラジルナッツ、ココナッツ、松、けし、ヒマワリ等の種実や堅果、それらのホール品・割物品・スライス品、それらを用いたペースト・ピューレ等の加工品等が挙げられる。
本発明のチョコレートのブルーム発生の抑制方法は、チョコレートを製造する際に、上記の(1)~(3)を満たす油脂(A)を含むブルーム抑制材を用いることを特徴とする。
本方法によれば、ハイカカオチョコレートのように、チョコレート生地中にカカオ分と砂糖以外の副原料をほとんど含有することができない場合であっても、チョコレートにおけるブルーム現象の発生が抑制される。
本発明のチョコレートのブルーム発生の抑制方法を適用することのできるチョコレートとしては特に限定されず、全国チョコレート業公正取引協議会で規定されたチョコレート、準チョコレートだけでなく、カカオマス、ココアバター、ココア等を利用した生チョコレート、ホワイトチョコレート、カラーチョコレート等の油脂加工食品についても適用される。
<検討1>
下記の実施例1~4、及び比較例1~3のとおりにブルーム抑制材を調製し、これらのブルーム現象の発生を抑制する効果を、調製されたブルーム抑制材を用いて製造されたハイカカオチョコレートの保管試験により評価した。
パーム油に対して、ヨウ素価1以下となるまで水素添加処理を行い、常法により、漂白処理、脱臭処理を行い、精製して得られたパーム油の極度硬化油脂を、そのまま実施例1のブルーム抑制材(1)とした。
パームスーパーオレイン(ヨウ素価60)に対して、ヨウ素価1以下となるまで水素添加処理を行い、常法により、漂白処理、脱臭処理を行い、精製して得られたパームスーパーオレインの極度硬化油脂を、そのまま実施例2のブルーム抑制材(2)とした。
パーム油55質量部と、ヨウ素価1以下となるまで水素添加を施したパーム極度硬化油45質量部とからなる油脂配合物に対して、ナトリウムメトキシドを触媒としてランダムエステル交換反応を行いランダムエステル交換油脂を得た。このランダムエステル交換油脂に対して、ヨウ素価1以下となるまで水素添加処理を行い、常法により、漂白処理、脱臭処理を行い、精製して得られた極度硬化油脂を、そのまま実施例3のブルーム抑制材(3)とした。
パーム分別軟部油(ヨウ素価55)に対しナトリウムメトキシドを触媒としてランダムエステル交換反応を行い、ランダムエステル交換油脂を得た。得られたランダムエステル交換油脂に対して、ヨウ素価1以下となるまで水素添加処理を行い、常法により、漂白処理、脱臭処理を行い、精製して得られた極度硬化油脂を、そのまま実施例4のブルーム抑制材(4)とした。
パーム油60質量部、パーム核油20質量部及び菜種油20質量部からなる油脂配合物に対して、ナトリウムメトキシドを触媒としてランダムエステル交換反応を行いランダムエステル交換油脂を得た。このランダムエステル交換油脂に対して、ヨウ素価1以下となるまで水素添加処理を行い、常法により、漂白処理、脱臭処理を行い、精製して得られた極度硬化油脂をそのまま比較例1のブルーム抑制材(5)とした。
ヨウ素価55のパーム分別軟部油80質量部とハイエルシン菜種極度硬化油20質量部とからなる油脂配合物に対して、ナトリウムメトキシドを触媒としてランダムエステル交換反応を行い、ランダムエステル交換油脂を得た。このランダムエステル交換油脂に対して、ヨウ素価1以下となるまで水素添加処理を行い、常法により、漂白処理、脱臭処理を行い、精製して得られた極度硬化油脂をそのまま比較例2のブルーム抑制材(6)とした。
大豆油に対して、ヨウ素価1以下となるまで水素添加処理を行い、常法により、漂白処理、脱臭処理を行い、精製して得られた大豆油の極度硬化油脂をそのまま比較例3のブルーム抑制材(7)とた。
得られたブルーム抑制材(1)~(7)の各値について表1に示す。
製造したハイカカオチョコレートについては、チョコレート単体の風味評価用に別途取り分けておいた。
カカオマス(油分含有量:55質量%)75.3質量部、砂糖24質量部、ブルーム抑制材(1)~(7)のいずれか1種を0.3質量部、レシチン0.4質量部の配合で定法に従い、ミキシング、微細化、コンチングを行って、ハイカカオチョコレート生地を得た。この生地をテンパリング処理した後、型に流し込んで、20℃で冷却・固化した。これを離型して、ハイカカオチョコレート(1)~(7)を得た。ブルーム抑制材の番号とハイカカオチョコレートの番号はそれぞれ対応している。また、上記ブルーム抑制材をココアバターで置換し、ブルーム抑制材を含有させないものを本検討のコントロールとした。
15℃に調温した無塩バター(油分83%)を49.5質量部、上白糖を40質量部ミキサーボウルに量って、卓上ミキサーにセットし、軽く混合した後、高速で5分間クリーミングした。次いで、低速で混合しながら、30秒かけて水11.5質量部を添加した後、全卵(油分10.3%)12質量部、食塩1質量部を添加し、さらに1分混合した。ここに、予め混合して篩っておいた薄力粉(油分1.7%)100質量部とベーキングパウダー1質量部の混合物を添加し、低速で1分混合して、ワイヤーカットクッキー生地を得た。
得られたクッキー生地を、厚さ5ミリ、直径45ミリの丸型にワイヤーカット成型した。成型したクッキー生地をオーブン(フジサワ社製)で、上火180℃下火170℃にて17分焼成し、ワイヤーカットクッキーを得た。
上記のようにして得られたハイカカオチョコレートをテンパリング後、ワイヤーカットクッキーとチョコレートの重量比が5:1となるように、クッキーに薄くエンローバーし、チョコレート複合クッキーを製造した。尚、以下でチョコレート複合クッキーを単に複合菓子として記載する場合がある。
・ブルーム現象の評価基準
複合菓子、チョコレートを15℃の恒温槽で保管し、2週間、4週間、8週間、10週間、12週間、14週間のそれぞれの時点で、以下の評価基準でそれぞれのサンプルを評価した。製造後14週間経過時点での評価が◎、○であるサンプルについて合格とした。
◎:チョコレート表面の艶は良好であり、ブルーム現象はみられない。
○:チョコレート表面の艶が失われているが、ブルーム現象は発生していない。
△:チョコレートの一部にブルーム現象が発生している。
×:チョコレートの全体に激しいブルーム現象が発生している。
ブルーム抑制材(2)を用いた場合については、その他の実施例と比較して、ハイカカオチョコレートの表面の艶の消失が早期に確認された。これは、ブルーム抑制材(2)に用いられた極度硬化油脂の、混酸型トリ飽和トリグリセリド中のP2Stの含有量が比較的少ないことに起因するものとみられ、ブルーム抑制材(5)~(7)の結果と合わせて、ブルーム現象や艶の消失については、混酸型トリ飽和トリグリセリド中のP2StとPSt2の質量比が寄与していると推察される。
添加したブルーム抑制材によってはテンパリング性が低下する傾向がみられ、とりわけStStStの含有量の高いブルーム抑制材(7)ではテンパリング性が悪化する傾向がみられた。
一方、実施例のブルーム抑制材を用いたハイカカオチョコレートでは、コントロールと同等程度のカカオ風味の発現性を得ることができた。
良好なブルーム抑制効果を得る観点に加えて、風味発現を阻害しない観点から、検討1で試験した中では、ブルーム抑制材(1)の使用が最も良好な結果を得ることができた。
検討2では、本発明のブルーム抑制材の、チョコレート中の好ましい含有量について評価を行った。検討1で良好な結果が得られたブルーム抑制材(1)を用いて検討を行った。具体的には、表3に示す配合で、検討1と同様の手法でハイカカオチョコレートを得た後にワイヤーカットクッキーと複合し複合菓子を得た。得られた複合菓子について上記の評価基準でブルームの発生抑制効果について評価を行った。評価結果を表4に示す。
また、ハイカカオチョコレート(11)及び(12)では、ハイカカオチョコレート生地調製時の生地粘度が高くなり、ハイカカオチョコレート(1)製造時と比較して、混練しにくくなっていた他、テンパリングを行いにくく、製造作業性に乏しくなっていた。また、このテンパリングがとりづらかったために、その他の実施例と比較して、ハイカカオチョコレート表面の艶の消失が早く確認された。
検討1で良好な結果が得られたブルーム抑制材(1)について、賦形剤を用いてチョコレートに含有させる場合のブルーム現象の発生を抑制する効果を、検討1と同様に、ハイカカオチョコレートを用いた複合菓子の保管試験により評価すると共に、ハイカカオチョコレート製造時の製造作業性についても評価を行った。本検討では、賦形剤として、パーム中融点部(パームミッドフラクション)を用いた。
ブルーム抑制材(1)を10質量部、パーム中融点部を90質量部をそれぞれ融解した状態で混合・撹拌したものを、ブルーム抑制材(1)-Aとした。
(実施例6)
ブルーム抑制材(1)を15質量部、パーム中融点部を85質量部をそれぞれ融解した状態で混合・撹拌したものを、ブルーム抑制材(1)-Bとした。
(実施例7)
ブルーム抑制材(1)を20質量部、パーム中融点部を80質量部をそれぞれ融解した状態で混合・撹拌したものを、ブルーム抑制材(1)-Cとした。
表5に示した配合で定法に従い、ミキシング、微細化、コンチングを行って、ハイカカオチョコレート生地を得た。この生地をテンパリング処理した後、型に流し込んで、15℃で冷却・固化した。これを離型して、ハイカカオチョコレート(1)-A~Cを得た。
ブルーム抑制材の番号とハイカカオチョコレートの番号はそれぞれ対応している。上記ブルーム抑制材をココアバターで置換し、ブルーム抑制材を含有させないものを本検討のコントロールとした。上記ブルーム抑制材(1)を用いたハイカカオチョコレート(1)を参考品として表5に示した。検討2で製造したハイカカオチョコレート(1)及びハイカカオチョコレート(1)-A~(1)-C中のブルーム抑制材の含有量は同じであり、それぞれのハイカカオチョコレート中の油分含有量は略同一となっている。
ブルーム現象の評価基準については検討1と同様に行った。また、ハイカカオチョコレートを製造する際の製造作業性については、下記評価基準により評価を行った。
◎:コントロールと同様の生地粘度であり、作業性は良好である。
○:コントロールよりもやや粘度が高い、もしくはやや粘度が低いが、問題なく作業することができる。
×:コントロールよりも粘度が高い、もしくは粘度が低いために、作業性が不良である。
また、賦形剤を使用することにより、ハイカカオチョコレート生地の製造時、ブルーム抑制材を含有させる際に、ハイカカオチョコレート中に上記のブルーム抑制材を均一に混合・分散させやすく、作業性が高められていることを確認した。
ハイカカオチョコレートと比較してカカオ分含有量の少ないチョコレートにおける、本発明のブルーム抑制材のブルーム現象の発生抑制効果について、検討1と同様に、ブルーム抑制材(1)~(7)を用いて、複合菓子の形態で評価した。評価は複合菓子を15℃の恒温槽で保管し、1週間、2週間、4週間、6週間、8週間、12週間のそれぞれの時点で、上記の評価基準でそれぞれのサンプルを評価した。
カカオマス(油分含有量:55質量%)3質量部、ココアパウダー13質量部、砂糖46.6質量部、テンパー型ハードバター((株)ADEKA製 ファントム950)36.7質量部、ブルーム抑制材(1)~(8)のいずれか1種を0.3質量部、レシチン0.4質量部の配合で定法に従い、ミキシング、微細化、コンチングを行って、チョコレート生地を得た。この生地をテンパリング処理した後、型に流し込んで、20℃で冷却・固化した。これを離型して、チョコレート(1)’~(7)’を得た。
ブルーム抑制材の番号とチョコレートの番号はそれぞれ対応している。上記ブルーム抑制材をハードバターで置換し、ブルーム抑制材を含有させないものを本検討のコントロールとした。
得られたチョコレート(1)’~(7)’を用いて、検討1と同様に、ワイヤーカットクッキーと複合させて、複合菓子を得た。得られた複合菓子に対し、検討1と同じ評価基準で評価を行った。その評価結果を表5に示す。
製造後12週間経過時点での評価が◎、○であるサンプルについて合格とした。
検討4で調製したチョコレートは、ハイカカオチョコレートと比較してカカオ分の少ないチョコレートである。表4から明らかように、本発明のブルーム抑制材によれば、チョコレート中のカカオ分の量に関係なく、ブルーム現象の発生を効果的に抑制できることを確認した。
Claims (6)
- 下記の条件(1)~(4)を全て満たす油脂(A)を有効成分として含有する、テンパリング型チョコレート用のブルーム抑制材。
(1)トリ飽和トリグリセリド組成中に混酸型トリ飽和トリグリセリドを65~95質量%含有する。
(2)混酸型トリ飽和トリグリセリド中のP2Stの含有量が30~90質量%である。(3)脂肪酸組成中の炭素数20以上の飽和脂肪酸の含有量が8.5質量%以下である。(4)トリ飽和トリグリセリド組成中のPPPの含有量が10質量%以下である。
Pはパルミチン酸残基を表し、Stはステアリン酸残基を表し、P2Stはトリグリセリドを構成する脂肪酸残基としてPを2個、Stを1個有するトリグリセリドを表し、PPPはトリグリセリドを構成する脂肪酸残基としてPを3個有するトリグリセリドを表す。 - 上記油脂(A)が極度硬化油脂である、請求項1に記載のブルーム抑制材。
- テンパリング型チョコレートの油脂分中、0.1~2.5質量%となるように用いられる、請求項1又は2記載のブルーム抑制材。
- 請求項1~3の何れか一項に記載のブルーム抑制材を含有するテンパリング型チョコレートであって、
前記ブルーム抑制材を油分中に0.1~2.5質量%含有する、テンパリング型チョコレート。 - ハイカカオチョコレートである請求項4に記載のテンパリング型チョコレート。
- 下記の条件(1)~(4)を全て満たす油脂(A)をチョコレートに含有させる、テンパリング型チョコレートのブルーム発生の抑制方法。
(1)トリ飽和トリグリセリド組成中に混酸型トリ飽和トリグリセリドを65~95質量%含有する。
(2)混酸型トリ飽和トリグリセリド中のP2Stの含有量が30~90質量%である。(3)脂肪酸組成中の炭素数20以上の飽和脂肪酸の含有量が8.5質量%以下である。(4)トリ飽和トリグリセリド組成中のPPPの含有量が10質量%以下である。
Pはパルミチン酸残基を表し、Stはステアリン酸残基を表し、P2Stはトリグリセリドを構成する脂肪酸残基としてPを2個、Stを1個有するトリグリセリドを表し、PPPはトリグリセリドを構成する脂肪酸残基としてPを3個有するトリグリセリドを表す。
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