JP4653772B2 - ソフトチョコレート用油脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、特にソフトチョコレート用として、トランス酸含量が低く、カカオ脂肪分が高くてもグレイン(油脂結晶の粗大化)及びブルーム(表面の白色化)発生の抑制効果に優れ、風味及び口溶けが良い油脂組成物、及び該油脂組成物を使用したチョコレート組成物に関する。
なお、本発明で「チョコレート(ソフトチョコレート)」とは、規約「チョコレート類の表示に関する公正規約」乃至法規上の規定により限定されるものではなく、いわゆるカカオ代用脂等を使用したチョコレート類及び油脂加工食品をも含むものである。
チョコレートは従来、いわゆる板チョコに代表されるスナップ性のあるハードタイプが主流であったが、近年、コンビニエンスストアの普及に伴う専門店以外での洋菓子の取扱や、パン食の普及で、スプレッド性を有するソフトタイプへと需要がシフトしつつある。
チョコレートに可塑性を与え、ソフト化する手段としては、チョコレートの油脂分に比較的多量の液体油を配合することが考えられる。しかしながら、液体油の配合はチョコレート中の脂肪結晶(カカオバター)の移動及び結晶型転移を起こし易くするため、容易にブルーム(表面の白色化)やグレイン(結晶の粗大化)という品質欠陥や、液体油がチョコレートから染み出す、いわゆる汗かき現象を引き起こすことになる。従って、配合上、ソフトチョコレートではカカオバターを含むカカオマスを少量しか配合できず、チョコレートとしての風味が著しく制約されている状況である。
チョコレートの可塑化に伴う欠点を補うために、従来、液体油に数%の(極度)硬化油を配合する手法や、全くのサラダ油様の液体油ではなく、液体植物油の微水添硬化油やその分別オレイン等を用いる手法、またはそれらを併用する手法(特開平11−187813、特開2004−290035)が採られ、一般的に市場に流通している。しかしながら、硬化油にはいわゆる水添臭と呼ばれる独特の風味が付加され、チョコレートのカカオ風味を多少ならず損なうという欠点があり、また近年、健康意識の高まりから油脂栄養に関する関心も高まり、特に油脂の水素添加時に生成するトランス酸については、心臓病との関係が取り上げられ、2006年より米国では表示義務が課される等極力排除することが望まれるようになっている。
非トランス酸タイプのものとしては、特開平5−211841には、カカオ脂肪と同様の対称型トリグリセリド(S2L:ジ飽和モノリノレート)と液状油とを所定量含むチョコレートが開示されているが、S2Lの調製にはエステル交換、蒸留、分別の複雑な工程が必要であり工業化には向かないものであった。また、特開平11−4657には栄養学的な脂肪酸バランスが良い油脂組成物が開示され、ソフトチョコレートへの適用が例示されているが、該油脂組成物はSFI(固体脂指数)グラフが「横型」で可塑性範囲が広いということのみでソフトチョコレートへの適用が例示されたに過ぎず、従来の課題は何ら解決されていなかった。
チョコレートの改質に関しては、油脂の改質以外に乳化剤による改質も試みられている。例えば、特開平2−249452には特定の飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸比率からなり、ショ糖に対する平均置換度が4以上であるショ糖脂肪酸エステルからなるファットブルーム防止剤が、特開平8−168341にはHLB1以下のショ糖脂肪酸エステルによるコーティングチョコレートの汗かき防止法が開示されているが、液体油分を多く含むソフトチョコレートにおいてはその効果は非常に限定的なものであった。
特開平11−187813号公報 特開2004−290035号公報 特開平5−211841号公報 特開平11−4657号公報 特開平2−249452号公報 特開平8−168341号公報
本発明は、特にソフトチョコレート用として、昨今の健康意識の高まりに応えるため低トランス酸という条件を満たしながら、カカオ脂肪分が高くてもブルーム・グレイン耐性を有し、良好な風味と口溶けを持った油脂組成物、及び該油脂組成物を使用したチョコレート組成物を提供することである。
本発明は、トランス酸5質量%未満であって、炭素数16〜24の飽和脂肪酸(Z)を20質量%以上40質量%未満含有し、炭素数16〜24の飽和脂肪酸(Z)と炭素数16〜24の不飽和脂肪酸(X)とからなるジ飽和モノ不飽和トリグリセリド(Z2X)が30質量%未満、モノ飽和ジ不飽和トリグリセリド(ZX2)が40質量%以上であって、ZX2に対するZ2Xの比が0.25以上0.45未満である油脂を使用することで、上記課題を克服できることを見出し、低トランス酸という条件を満たしながら、カカオ脂肪分が高くてもブルーム・グレイン耐性を有し、良好な風味と口溶けを持った油脂組成物、及び該油脂組成物を使用したチョコレート組成物として完成したものである。
より具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
(1)下記(A)〜(E)を満たす、油脂組成物。(A)構成脂肪酸中のトランス酸含量が、5質量%未満;(B)構成脂肪酸中のZ含量が、20質量%以上40質量%未満;(C)トリグリセリド中のジ飽和モノ不飽和トリグリセリド(Z2X)含量が、30質量%未満;(D)トリグリセリド中のモノ飽和ジ不飽和トリグリセリド(ZX2)含量が、40質量%以上;(E)ZX2に対するZ2Xの比(Z2X/ZX2)が、0.25以上0.45未満。〔Zは、炭素数16〜24の飽和脂肪酸であり、Xは炭素数16〜24の不飽和脂肪酸である。〕
トリグリセリド(トリアシルグリセロール)中のジ飽和モノ不飽和トリグリセリド(Z2X)とは、構成脂肪酸として炭素数16〜24の飽和脂肪酸(Z)を2つ、炭素数16〜24の不飽和脂肪酸(X)を1つ有するトリアシルグリセロールである。また、モノ飽和ジ不飽和トリグリセリド(ZX2)とは、構成脂肪酸として炭素数16〜24の飽和脂肪酸(Z)を1つ、炭素数16〜24の不飽和脂肪酸(X)を2つ有するトリアシルグリセロールである。また、トリ飽和トリグリセリド(ZZZ)とは、構成脂肪酸として炭素数16〜24の飽和脂肪酸(Z)を3つ有するトリアシルグリセロールである。
(2)ZX2が60質量%以上であるパーム分別軟質油、を含有する(1)の油脂組成物。
(1)に係る油脂組成物の一部に、ZX2が60質量%以上であるパーム分別軟質油が含まれるものである。ZX2が60質量%以上であるパーム分別軟質油を含み、かつ、上記の要件を満たすためには、通常、ZX2が60質量%以上であるパーム分別軟質油を60質量%以上含むことが好ましい。
(3)Zが20質量%以上35質量%未満のエステル交換油、を含有する請求項(1)記載の油脂組成物。
(1)に係る油脂組成物の一部に、Zが20質量%以上35質量%未満のエステル交換油が含まれるものである。
(4)前記油脂組成物が、パーム分別軟質油からなり、前記油脂組成物が、さらにZX2が60質量%以上であることを満たす(1)の油脂組成物。
上記(A)〜(E)を満たし、更にZX2が60質量%以上であることを満たすパーム分別軟質油をさす。
(5)前記油脂組成物が、エステル交換油からなり、前記油脂組成物が、さらにZが20質量%以上35質量%未満であることを満たす(1)の油脂組成物。
上記(A)〜(E)を満たし、更にZが20質量%以上35質量%未満であることを満たすエステル交換油をさす。
(6)(1)から(5)いずれか記載の油脂組成物とハイエルシン菜種極度硬化油とを含む、ハイエルシン菜種極度硬化油を含有する油脂組成物であり、
該ハイエルシン菜種極度硬化油を含有する油脂組成物中のトリ飽和トリグリセリド(ZZZ)含量が、2質量%以上12質量%未満である、ハイエルシン菜種極度硬化油を含有する油脂組成物。
(1)〜(5)に係る油脂組成物に対して、ハイエルシン菜種極度硬化油を0.5質量%以上10質量%未満添加し、その添加後の油脂組成物中に、トリ飽和トリグリセリド(ZZZ)が、2質量%以上12質量%未満である油脂組成物をさす。混合方法は問わず、結果として、(1)から(5)いずれか記載の油脂組成物とハイエルシン菜種極度硬化油とが混合され、両者を含有する油脂組成物とすれば良い。
(7)前記油脂組成物が、フィリングまたはスプレッドに用いられる(1)〜(6)の油脂組成物。
(8)前記油脂組成物が、チョコレートに用いられる(1)〜(6)の油脂組成物。
(9)(1)〜(6)の油脂組成物を含有するフィリングまたはスプレッド。
(10)(1)〜(6)の油脂組成物を含有するチョコレート。
本発明の油脂組成物を使用することにより、特に近年需要が伸びているソフトチョコレートとして、近年健康上問題とされているトランス酸を低く抑えた上で、カカオ脂肪分が高くてもグレイン(油脂結晶の粗大化)及びブルーム(表面の白色化)発生の抑制効果に優れ、風味及び口溶けが良いチョコレート組成物を提供することができる。
以下本発明の油脂組成物について詳細に記述する。
本発明は、下記(A)〜(E)を満たす、油脂組成物である。
(A)構成脂肪酸中のトランス酸含量が、5質量%未満;
(B)構成脂肪酸中のZ含量が、20質量%以上40質量%未満;
(C)トリグリセリド中のジ飽和モノ不飽和トリグリセリド(Z2X)含量が、30質量%未満;
(D)トリグリセリド中のモノ飽和ジ不飽和トリグリセリド(ZX2)含量が、40質量%以上;
(E)ZX2に対するZ2Xの比(Z2X/ZX2)が、0.25以上0.45未満。
〔Zは、炭素数16〜24の飽和脂肪酸であり、Xは炭素数16〜24の不飽和脂肪酸である。〕
要件(A)について説明する。
本発明の油脂組成物は、健康上問題のなるトランス酸を極力排除するため、そのトランス酸含量は好ましくは5質量%未満であって、更に好ましくは3質量%未満、最も好ましくは2質量%未満である。従って、実質的にトランス酸を含有しない極度硬化油を除いては、反応過程でトランス酸が生成する部分水素添加油脂は、本発明の油脂としては好ましくない。
また、本発明の油脂組成物は、ラウリン酸を含まないことが好ましく、5質量%未満であることが好ましい。油脂中に、構成脂肪酸としてラウリン酸を含むトリグリセリド成分を多く含むと、油脂の加水分解によりラウリン酸が生じたとき、不快な石鹸臭を生じる場合があるからである。
要件(B)〜(E)について説明する。
この様な低トランス酸油脂にあって、チョコレート組成物中の油相にカカオ脂肪が5質量%以上になるようにカカオマス等のカカオ脂肪を含有する風味成分を豊富に含有できるようにするためには、油脂の組成が、炭素数16〜24の飽和脂肪酸(Z)を20質量%以上40質量%未満含有し、炭素数16〜24の飽和脂肪酸(Z)と炭素数16〜24の不飽和脂肪酸(X)とからなるジ飽和モノ不飽和トリグリセリド(Z2X)が30質量%未満、モノ飽和ジ不飽和トリグリセリド(ZX2)が40質量%以上であって、ZX2に対するZ2Xの比が0.25以上0.45未満であること満たす必要がある。
(要件(B)について)
炭素数16〜24の飽和脂肪酸が20質量%より少ない場合は、チョコレート組成物中に液体油成分を効果的に保持することができず、染み出しが起こり易くなる。また、40質量%以上の場合は、チョコレート組成物が硬くなり、ソフトチョコレートとしてのスプレッタビリティ等の機能性が損なわれる。飽和脂肪酸含量は22質量%以上36質量%未満がより好ましい。
(要件(C)、(D)について)
炭素数16〜24の飽和脂肪酸(Z)と炭素数16〜24の不飽和脂肪酸(X)とからなるジ飽和モノ不飽和トリグリセリド(Z2X)が30質量%以上である場合は、チョコレート組成物が硬くなり、ソフトチョコレートとしてのスプレッタビリティ等の機能性が損なわれるので好ましくない。Z2Xの含量は、26質量%未満がより好ましい。更に26質量%未満5質量%以上が好ましい。
同様に、モノ飽和ジ不飽和トリグリセリド(ZX2)が40質量%未満の場合もチョコレート組成物が硬くなり好ましくない。ZX2の含量は、43質量%以上がより好ましい。更に43質量%以上80質量%未満が好ましい。
(要件(E)について)
チョコレート組成物に適度なちょう度を与え、ブルームまたはグレイン耐性を得るには、ZX2に対するZ2Xの比が0.25以上0.45未満であることが好ましい。ZX2に対するZ2Xの比が0.25未満の場合は、組成物が軟らかくなり、液体油の滲み出しやグレインが生成し易くなる。また、ZX2に対するZ2Xの比が0.45以上の場合は、組成物が硬くなるだけでなく、ブルームが発生し易くなる。
本発明の油脂組成物は、本発明の構成要件を満たしていれば天然油脂単品、ブレンド油、分別油、エステル交換油等どのような加工がなされていても構わない。
(パーム分別軟質油)
好ましい態様の1つとしては、パーム分別軟質油が挙げられる。パーム分別軟質油とは、パーム油を乾式分別または溶剤分別あるいは乳化分別することによって得られるオレイン部(液状部)が代表的である。分別方法に制限はないが、2段階分別あるいは3段階分別であるオレイン部であることが好ましい。そのZX2含量は60質量%以上であることが好ましく、65質量%以上であることが更に好ましい。本発明の油脂は、本発明の構成要件を満たせば、特にヨウ素価で限定されるものではないが、一般的にはヨウ素価65以上であることが好ましく、ヨウ素価69以上であることが更に好ましい。ヨウ素価69以上の軟質油を得るには、例えば、ヨウ素価65の2段分別オレインを、50〜70℃で完全に結晶を溶かした後、約24時間かけて5〜8℃まで冷却し、析出した結晶部をフィルタープレス等でろ別することにより、3段分別オレインとすることで得られる。ヨウ素価が65未満の場合は、チョコレート組成物とした場合に組成等によっては低温下でブルームが発生し易くなる場合がある。また、本発明油脂が得られるパーム油の分別経路も特に限定されるものではなく、例えば、軟質パーム中融点部を分別して得られるオレイン部も本発明には好適に使用され得る。
また、好ましい態様の1つとしては、パーム分別軟質油と液体油とを混合し、上記(A)〜(E)を満たす油脂組成物が挙げられる。液体油としては特に制限は無いが、耐寒性が高いものが好ましく、冷却試験(基準油脂分析試験法2.2.8.1,2−1996)を満たすものが好ましい。具体的には、菜種油、大豆油、コーン油、紅花油、綿実油、ひまわり油等が挙げられる。パーム分別軟質油に対して当該液体油を40質量%以下配合することが好ましく、30質量%以下配合することが更に好ましい。例えば、パーム分別軟質油と菜種油とを質量割合9:1〜6:4で混合することにより得られる。
(エステル交換油)
別の好ましい態様の1つとしては、炭素数16〜24の飽和脂肪酸(Z)が20質量%以上35質量%未満のエステル交換油が挙げられる。「炭素数16〜24の飽和脂肪酸(Z)が20質量%以上35質量%未満の油脂組成物」をエステル交換することにより得られる。
エステル交換油の原料油である「炭素数16〜24の飽和脂肪酸(Z)が20質量%以上35質量%未満の油脂組成物」とは、炭素数16〜24の飽和脂肪酸(Z)以外の構成脂肪酸としては、主に炭素数16以上の不飽和脂肪酸を含むものである。この油脂組成物は、炭素数16未満の脂肪酸は10質量%未満であることが好ましく、5質量%未満であることが更に好ましい。炭素数16〜24の飽和脂肪酸(Z)は20質量%以上35質量%未満であることが好ましいが、20質量%以上32質量%未満であることがより好ましく、20質量%以上30質量%未満であることが更に好ましい。例えば、綿実白絞油が挙げられる。
本発明の油脂組成物は、以上のような構成脂肪酸を有する油脂をエステル交換した油脂であり、上記(A)〜(E)を満たす油脂組成物である。例えば、綿実白絞油をエステル交換した油脂が挙げられる。Zの割合は、エステル交換の前後で変わらない。
また、好ましい態様の1つとしては、上記エステル交換油と液体油とを混合し、上記(A)〜(E)を満たす油脂組成物が挙げられる。液体油としては特に制限は無いが、耐寒性が高いものが好ましく、冷却試験(基準油脂分析試験法2.2.8.1,2−1996)を満たすものが好ましい。具体的には、菜種油、大豆油、コーン油、紅花油、綿実油、ひまわり油等が挙げられる。
パーム油に代表される炭素数16〜24の飽和脂肪酸(Z)をもともと50質量%程度含んだ南方系油脂の場合は、油脂の構成トリグリセリドとしてZ2X、ZX2を豊富に含むので、これらを分別して軟質部を得ることにより、本発明の構成要件であるZX2に対するZ2Xの比が0.25以上0.45未満を満たす油脂が得られる。一方、Z2X、ZX2型のトリグリセリドに乏しいその他の油脂を有効利用する場合は、炭素数16〜24の飽和脂肪酸(Z)が20質量%以上30質量%未満である油脂組成物と成るように、単独油脂で、または、複数の油脂の混合により油脂組成物を調製し、エステル交換をかけることで、本発明の構成要件であるZX2に対するZ2Xの比が0.25以上0.45未満を満たす油脂が得られる。
(エステル交換油の製造方法)
上記油脂を得るためのエステル交換は、ナトリウムメトキシド等の化学触媒を用いる所謂ケミカルエステル交換や、リパーゼを用いる酵素エステル交換の何れでも適用できる。ケミカルエステル交換の場合は、常法に従い、原料油を十分に乾燥した後、触媒ナトリウムメトキシドを対油0.1〜0.3質量%添加して80℃〜120℃で減圧下30〜60分間攪拌することでエステル交換反応する。水洗いにより触媒を除去した後、常法に従い、脱色脱臭して精製油を得る。酵素エステル交換の場合は、市販の酵素製剤(例えば、名糖産業製リパーゼPL、リパーゼQL等)を用いるのが簡便であり、バッチ式の場合は対油0.05〜2質量%の酵素製剤を添加し、40〜70℃で1〜48時間攪拌することでエステル交換反応する。ろ過により酵素製剤を除去した後、常法に従い、脱色脱臭して精製油を得る。
(ハイエルシン菜種極度硬化油)
本発明の油脂組成物は、また、ハイエルシン菜種極度硬化油を添加して、添加後の油脂組成物中のトリ飽和トリグリセリド(ZZZ)が2質量%以上12質量%未満である油脂組成物を包含する。この油脂組成物は、ハイエルシン菜種極度硬化油を0.5%以上10質量%未満添加することにより得られる。トリ飽和トリグリセリドを上記濃度にすることにより、グレイン・ブルーム耐性を強化することができる。トリ飽和トリグリセリドが2質量%未満の場合は処方によってはグレイン・ブルーム耐性が十分では無い場合があり、12質量%以上の場合は処方によっては口溶けが損なわれる場合がある。
(ブルーム耐性・グレイン耐性)
本発明の油脂組成物は、カカオ脂肪分が油相中に5質量%以上含まれるソフトチョコレートにおいても、品質劣化を起こし易い5〜20℃に保持したとき、ブルーム耐性若しくはグレイン耐性、又はその両方の効果を奏する。これにより、良好な結晶性を得ることができ、フィリング、スプレッド、チョコレートに用いたときに、良質なものが得られる。
(フィリング、スプレッド、チョコレート)
本発明の油脂組成物は、フィリングまたはスプレッドに用いることができる。また、フィリングまたはスプレッドの一例として、ソフトチョコレートに用いることができる。フィリング、スプレッド、ソフトチョコレート(例えば、後述実施例)は、常法により、油脂組成物、粉糖、ココアパウダー、粉乳等の原材料のミキシング、ロール掛けによるリファイニング、コンチング工程の後、生地を急冷固化することにより製造することができる。
本発明の油脂組成物を、フィリング、スプレッド、チョコレートに用いる場合、その含有量に規定はないが、通常、20質量%以上(好ましくは25〜65質量%、更に好ましくは、30〜55質量%)含む。
本発明は、またフィリング、スプレッド、チョコレートの原料用として、ハイエルシン菜種極度硬化油を含有する油脂組成物を提供する。また、ハイエルシン菜種極度硬化油を含有するフィリング、スプレッド、チョコレート原料用油脂組成物を提供する。
本発明は、またフィリング、スプレッド、チョコレートの原料用として、カカオ脂等のカカオ成分を含む油脂組成物を提供する。また、カカオ脂等のカカオ成分を含むフィリング、スプレッド、チョコレート原料用油脂組成物を提供する。
(乳化剤)
本発明の油脂組成物は、乳化剤を入れて用いることができる。本発明の油脂組成物の効果を損ねないものであれば、特に限定なく用いることができる。例えば、ポリグリセリン脂肪酸エステル若しくはショ糖脂肪酸エステル、またはこれらの組み合わせが挙げられる。例えば、ヘプタベヘン酸デカグリセリンとショ糖ステアリン酸エステルの組み合わせが挙げられる。
(添加剤)
本発明の油脂組成物は、通常、フィリング、スプレッド、ソフトチョコレートに用いる添加剤であれば、効果を損ねない程度に、用いることができる。
本発明は、別の観点からすれば、以下のものを挙げることができる。
〔発明1〕
下記(A)(B)(C)(F)(E)を満たす、パーム分別軟質油。
(A)構成脂肪酸中のトランス酸含量が、5質量%未満;
(B)構成脂肪酸中のZ含量が、20質量%以上40質量%未満;
(C)脂肪酸トリグリセリド中のジ飽和モノ不飽和トリグリセリド(Z2X)含量が、30質量%未満;
(F)脂肪酸トリグリセリド中のモノ飽和ジ不飽和トリグリセリド(ZX2)含量が、60質量%以上;
(E)ZX2に対するZ2Xの比(Z2X/ZX2)が、0.25以上0.45未満。
〔発明2〕
下記(A)(G)(C)(D)(E)を満たす、綿実白絞油のエステル交換油脂。
(A)構成脂肪酸中のトランス酸含量が、5質量%未満;
(G)構成脂肪酸中のZ含量が、20質量%以上35質量%未満;
(C)脂肪酸トリグリセリド中のジ飽和モノ不飽和トリグリセリド(Z2X)含量が、30質量%未満;
(D)脂肪酸トリグリセリド中のモノ飽和ジ不飽和トリグリセリド(ZX2)含量が、40質量%以上;
(E)ZX2に対するZ2Xの比(Z2X/ZX2)が、0.25以上0.45未満。
〔発明3〕
前記パーム分別軟質油又は綿実白絞油のエステル交換油脂と、液状油脂とを混合した油脂であり、
下記(A)〜(E)を満たす油脂。
(A)構成脂肪酸中のトランス酸含量が、5質量%未満;
(B)構成脂肪酸中のZ含量が、20質量%以上40質量%未満;
(C)脂肪酸トリグリセリド中のジ飽和モノ不飽和トリグリセリド(Z2X)含量が、30質量%未満;
(D)脂肪酸トリグリセリド中のモノ飽和ジ不飽和トリグリセリド(ZX2)含量が、40質量%以上;
(E)ZX2に対するZ2Xの比(Z2X/ZX2)が、0.25以上0.45未満。
〔発明4〕
上記いずれか記載の油脂組成物と極度硬化油とを含む、極度硬化油を含有する油脂組成物であり、
該極度硬化油を含有する油脂組成物中のトリ飽和トリグリセリド(ZZZ)含量が、2質量%以上12質量%未満である、極度硬化油を含有する油脂組成物。
〔発明5〕
前記極度硬化油が、ハイエルシン菜種極度硬化油である、発明4に係る油脂組成物。
〔発明6〕
さらに、デカグリセリン脂肪酸エステル若しくはショ糖脂肪酸エステル、又はその両方を含む、発明1〜5に係る油脂組成物。
〔発明7〕
デカグリセリン脂肪酸ヘプタベヘン酸エステルと、ショ糖ステアリン酸エステルとを含む、発明1〜5に係る油脂組成物。
〔発明8〕
発明1〜7に係る油脂組成物を含有する、フィリング、スプレッド又はチョコレート。
〔発明9〕
発明1〜7に係る油脂組成物を30質量%以上(90質量%以下)含有する、ソフトチョコレート。
〔発明10〕
発明1〜7に係る油脂組成物とカカオ脂とを含むフィリング、スプレッド又はチョコレート原料。
〔発明11〕
発明1〜7に係る油脂組成物からなる、フィリング、スプレッド若しくは、チョコレートの耐ブルーム剤、耐グレイン剤またはその両方。
〔発明12〕
発明1〜7に係る油脂組成物を添加することを特徴とする、低温下(5〜20℃)におけるフィリング、スプレッド又はチョコレートに対するブルーム、グレイン又はその両方を抑制する方法。
〔発明13〕
前記組成物が、低温下(5〜20℃)においてブルーム耐性またはグレイン耐性を有する発明1〜7に係る油脂組成物。
次に、実施例及び比較例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに何ら制限されるものではない。
以下において、「%」とは、特別な記載がない場合、質量%を示す。
<分析方法>
(飽和脂肪酸含量、トランス酸含量)
AOCS法(Ce1f-96)に準じて行った。
(トリ飽和トリグリセリド(ZZZ)量、トリ不飽和トリグリセリド(XXX)量、ジ飽和モノ不飽和トリグリセリド(Z2X)量、モノ飽和ジ不飽和トリグリセリド(ZX2)量)
文献(JAOCS,vol70,11,1111-1114(1993))の方法に準じて行った。
<油脂結晶の評価方法>
試験油脂96質量部とハイエルシン菜種極度硬化油(商品名:「ハイエルシン菜種極度硬化油」、横関油脂工業(株)製)4質量部とを混合融解して、可塑性油脂を用意した(この可塑性油脂中のZZZ含量は、約4%である。)。
この可塑性油脂90質量部とカカオ脂(ココアバターD、大東カカオ株式会社製)10質量部とを混合した。更にヘプタベヘン酸デカグリセリン(商品名:HB−750、坂本薬品工業株式会社)0.5質量部とショ糖ステアリン酸エステル(商品名:S−170、三菱化学フーズ株式会社)0.5質量部を添加した後、80℃以上で結晶を完全に溶かしてシャーレに分注した。
このシャーレを60℃で1時間、20℃で1時間保持した後、5℃、15℃、20℃の各温度で保持した。保持後3日目、6日目、10日目の結晶の状態を目視で観察し、以下の評価基準により評価した。
(評価基準)
◎:良好
○:概ね可
△G:グレイン(0.1〜1mm程度の粒)が少量発生
△B:ブルーム(粉が吹いた様な状態)が局所的に発生
×G:グレインが全体に発生
×B:ブルームが全体に発生
[実験例1](パームオレイン)
試験油脂として以下の油脂A〜D及びRを準備した。
油脂A:PL62(パームオレイン(ヨウ素価62)、マレーシアINTERCONTINENTAL SPECIALTY FATS SDN.BHD.(以下ISF社)内製)。
油脂B:PL64(パームオレイン(ヨウ素価64)、ISF社内製)。
油脂C:PL67(パームオレイン(ヨウ素価67)、ISF社内製)。
油脂D:PL70(パームオレイン(ヨウ素価70)、ISF社内製)。
油脂R:菜種微水添分別油(商品名:日清デバイダーオイル、日清オイリオグループ株式会社製)。
上記分析方法で測定した試験油脂A〜D、Rの分析値(トランス酸量、飽和脂肪酸量、トリ飽和トリグリセリド(ZZZ)量、トリ不飽和トリグリセリド(XXX)量、ジ飽和モノ不飽和トリグリセリド(Z2X)量、モノ飽和ジ不飽和トリグリセリド(ZX2)量及びZ2X/ZX2比)を表1に示す。油脂Rのトリグリセリド組成は、トランス酸含量が多いことにより、トリグリセリドの同定が十分に出来なかった。
Figure 0004653772
(油脂結晶評価)
試験油脂A〜D、Rを用いて、上記方法により油脂結晶の評価した結果を、表2に示す。
Figure 0004653772
表2に示すとおり、油脂CとDは、油脂Rと比較して、良好なグレイン・ブルーム耐性を示した。また、油脂AとBは、油脂Rと比較して、グレインの発生はなかったものの、ブルームが発生した。
これにより、油脂CとDは、トランス酸含量が十分に低減されていながら、汎用的に用いられている微水添菜種分別油である油脂Rより、良好なグレイン・ブルーム耐性を発揮する油脂であることがわかった。
[実験例2](パームオレインと菜種油との混合油脂)
試験油脂として以下の油脂E〜I及びRを準備した。
PL62、PL64、PL67、PL70及び菜種微水添分別油は、実験例1と同様のものを使用した
油脂E:HOLL菜種(商品名:日清キャノーラ油ヘルシーライト、日清オイリオグループ株式会社製)
油脂F:PL62/HOLL菜種=質量比70/30混合油脂
油脂G:PL64/HOLL菜種=質量比70/30混合油脂
油脂H:PL67/HOLL菜種=質量比70/30混合油脂
油脂I:PL70/HOLL菜種=質量比70/30混合油脂
油脂R:菜種微水添分別油
上記分析方法で測定した試験油脂E〜I、Rの分析値(トランス酸量、飽和脂肪酸量、トリ飽和トリグリセリド(ZZZ)量、トリ不飽和トリグリセリド(XXX)量、ジ飽和モノ不飽和トリグリセリド(Z2X)量、モノ飽和ジ不飽和トリグリセリド(ZX2)量及びZ2X/ZX2比)を表3に示す。
Figure 0004653772
(油脂結晶評価)
試験油脂E〜I、Rを用いて、上記方法により油脂結晶の評価した結果を、表4に示す。
Figure 0004653772
表4に示すとおり、油脂HとIは、油脂Rと比較して、同程度またはそれ以上のグレイン・ブルーム耐性を示した。また、油脂E〜Gは、油脂Rと比較して、グレイン・ブルームの発生を有効に改善しなかった。
これにより、油脂HとIは、トランス酸含量が十分に低減されていながら、汎用的に用いられている微水添菜種分別油である油脂Rに匹敵する又はこれ以上に、良好なグレイン・ブルーム耐性を発揮する油脂であることがわかった。
[実験例3](パームオレインと菜種油との混合油脂)
試験油脂として以下の油脂I、J、K及びRを準備した。
PL70、HOLL菜種及び菜種微水添分別油は、実験例1、2と同様のものを使用した。
油脂I:PL70/HOLL菜種=質量比70/30混合油脂
油脂J:PL70/HOLL菜種=質量比60/40混合油脂
油脂K:PL70/HOLL菜種=質量比50/50混合油脂
油脂R:菜種微水添分別油
上記分析方法で測定した試験油脂I〜K、Rの分析値(トランス酸量、飽和脂肪酸量、トリ飽和トリグリセリド(ZZZ)量、トリ不飽和トリグリセリド(XXX)量、ジ飽和モノ不飽和トリグリセリド(Z2X)量、モノ飽和ジ不飽和トリグリセリド(ZX2)量及びZ2X/ZX2比)を表5に示す。
Figure 0004653772
(油脂結晶評価)
試験油脂I,J,K及びRを用いて、上記方法により油脂結晶の評価した結果を、表6に示す。
Figure 0004653772
表6に示すとおり、油脂I、Jは、油脂Rと比較して、同程度またはそれ以上のグレイン・ブルーム耐性を示した。また、油脂Kは、油脂Rと比較して、グレイン・ブルームの発生を有効に改善しなかった。
これにより、油脂Kは、トランス酸含量が十分に低減されていながら、汎用的に用いられている微水添菜種分別油である油脂Rに匹敵する又はこれ以上に、良好なグレイン・ブルーム耐性を発揮する油脂であることがわかった。
[実験例4](綿実油、大豆油)
試験油脂として以下の油脂L〜P、及びRを準備した。
菜種微水添分別油は、実験例1と同様のものを使用した。
油脂L:綿実ステアリン(商品名:綿実ステアリン、日清オイリオグループ株式会社製)。
油脂M:IE綿実ステアリン(綿実ステアリンをエステル交換した油脂、日清オイリオグループ株式会社内製造品)。
油脂N:綿実サラダ油(商品名:綿実サラダ油、日清オイリオグループ株式会社製)。
油脂O:IE綿実白絞油(綿実白絞油をエステル交換した油脂、日清オイリオグループ株式会社内製造品)。
油脂P:IE大豆白絞油(大豆白絞油をエステル交換した油脂、日清オイリオグループ株式会社内製造品)。
油脂R:菜種微水添分別油
〔エステル交換方法〕
油脂を減圧下過熱して十分に水分を飛ばした後、触媒(ナトリウムメチラート)を対油0.2%添加して減圧下100〜120℃で30分間エステル交換反応を行った。反応終了後触媒を水洗し、常法に従ってエステル交換油を精製(脱色脱臭)した。
上記分析方法で測定した試験油脂L〜P、Rの分析値(トランス酸量、飽和脂肪酸量、トリ飽和トリグリセリド(ZZZ)量、トリ不飽和トリグリセリド(XXX)量、ジ飽和モノ不飽和トリグリセリド(Z2X)量、モノ飽和ジ不飽和トリグリセリド(ZX2)量及びZ2X/ZX2比)を表7に示す。
Figure 0004653772
(油脂結晶評価)
試験油脂L〜P及びRを用いて、上記方法により油脂結晶の評価した結果を、表8に示す。
Figure 0004653772
表8に示すとおり、油脂Oは、油脂Rと同程度の結晶性を示した。また、油脂L〜N、Pは、油脂Rよりも結晶性が不良であった。
これにより、油脂Oは、トランス酸含量が十分に低減されていながら、汎用的に用いられている微水添菜種分別油である油脂Rに匹敵する結晶性を示す油脂であることがわかった。
[実験例5](ソフトチョコレート)
試験油脂として以下の油脂D、G、K、O、及びRを準備した。
油脂D、G、K、O、及びRは、実験例1〜4と同様のものを使用した。
油脂D:PL70
油脂G:PL64/HOLL菜種=質量比70/30混合油脂
油脂K:PL70/HOLL菜種=質量比50/50混合油脂
油脂O:IE綿実白絞油
油脂R:菜種微水添分別油
上記分析方法で測定した試験油脂D、G、K、O、Rの分析値(トランス酸量、飽和脂肪酸量、トリ飽和トリグリセリド(ZZZ)量、トリ不飽和トリグリセリド(XXX)量、ジ飽和モノ不飽和トリグリセリド(Z2X)量、モノ飽和ジ不飽和トリグリセリド(ZX2)量及びZ2X/ZX2比)を表9に示す。
Figure 0004653772
〔ソフトチョコレートの製造方法〕
試験油脂96質量部とハイエルシン菜種極度硬化油(商品名:「ハイエルシン菜種極度硬化油」、横関油脂工業(株)製)4質量部とを混合溶解して、可塑性油脂を用意した(この可塑性油脂中のZZZ含量は、約4%である。)。
この可塑性油脂100質量部に対して、更にヘプタベヘン酸デカグリセリン(商品名:HB−750、坂本薬品工業株式会社)0.5質量部とショ糖ステアリン酸エステル(商品名:S−170、三菱化学フーズ株式会社)0.5質量部を添加した油脂組成物を調製した。この油脂組成物を使用して、以下の配合で、公知の方法によりソフトチョコレートD’、G’、K’、O’及びR’を試作した。
〔ソフトチョコレートの配合〕
油脂組成物36質量部、レシチン0.5質量部、香料0.3質量部、粉糖34質量部、乳糖9質量部、全粉乳5質量部、ハイファットココアパウダー(油分23%)16質量部。
〔保存性の確認〕
調製したソフトチョコレートD’、G’、K’、O’及びR’の保存性を確認するため、各ソフトチョコレートを15℃に定温静置した。定温静置後1ヵ月及び2ヵ月後の組織の状態を目視で観察し、以下の評価基準により評価した。結果を表10に示す。
(評価基準)
◎:良好
○:概ね良好
△:組織が荒れている。
×:グレイン(0.1〜1mm程度の粒)が発生
Figure 0004653772
表10に示すとおり、ソフトチョコレートD’とO’は、ソフトチョコレートR’と比較して、保存性が優れていた。また、ソフトチョコレートG’とK’は、ソフトチョコレートR’と比較して、保存性は改善しなかった。
これにより、油脂D及び油脂Oは、トランス酸が十分に低減されていながら、汎用的に用いられている微水添菜種分別油である油脂Rより、チョコレートに用いたとき、保存性に優れたチョコレートを製造できる油脂であることがわかった。

Claims (13)

  1. 下記(A)〜(E)を満たす油脂組成物と、ハイエルシン菜種極度硬化油とを含む、ハイエルシン菜種極度硬化油を含有する油脂組成物であり、該ハイエルシン菜種極度硬化油を含有する油脂組成物中のトリ飽和トリグリセリド(ZZZ)含量が、2質量%以上12質量%未満である、ハイエルシン菜種極度硬化油を含有する油脂組成物。
    (A)構成脂肪酸中のトランス酸含量が、5質量%未満;
    (B)構成脂肪酸中のZ含量が、20質量%以上40質量%未満;
    (C)トリグリセリド中のジ飽和モノ不飽和トリグリセリド(Z2X)含量が、30質量%未満;
    (D)トリグリセリド中のモノ飽和ジ不飽和トリグリセリド(ZX2)含量が、40質量%以上;
    (E)ZX2に対するZ2Xの比(Z2X/ZX2)が、0.25以上0.45未満。
    〔Zは、炭素数16〜24の飽和脂肪酸であり、Xは炭素数16〜24の不飽和脂肪酸である。〕
  2. トリグリセリド中のZX2含量が60質量%以上であるパーム分別軟質油、を含有する請求項1記載の油脂組成物。
  3. 構成脂肪酸中のZ含量が20質量%以上35質量%未満であるエステル交換油、を含有する請求項1記載の油脂組成物。
  4. 前記油脂組成物が、パーム分別軟質油からなり、
    前記油脂組成物が、さらにトリグリセリド中のZX2含量が60質量%以上であることを満たす請求項1記載の油脂組成物。
  5. 前記油脂組成物が、エステル交換油からなり、
    前記油脂組成物が、さらに構成脂肪酸中のZ含量が20質量%以上35質量%未満であることを満たす請求項1記載の油脂組成物。
  6. 前記油脂組成物が、フィリング、スプレッド、若しくはチョコレートに用いられる請求項1から5いずれか記載の油脂組成物。
  7. 請求項1から6いずれか記載の油脂組成物を含有するフィリング、スプレッド、若しくはチョコレート。
  8. 下記(A)〜(E)を満たす、油脂組成物であって、該油脂組成物が、フィリング、スプレッド、若しくはチョコレートに用いられる油脂組成物
    (A)構成脂肪酸中のトランス酸含量が、5質量%未満;
    (B)構成脂肪酸中のZ含量が、20質量%以上40質量%未満;
    (C)トリグリセリド中のジ飽和モノ不飽和トリグリセリド(Z2X)含量が、30質量%未満;
    (D)トリグリセリド中のモノ飽和ジ不飽和トリグリセリド(ZX2)含量が、40質量%以上;
    (E)ZX2に対するZ2Xの比(Z2X/ZX2)が、0.25以上0.45未満。
    〔Zは、炭素数16〜24の飽和脂肪酸であり、Xは炭素数16〜24の不飽和脂肪酸である。〕
  9. トリグリセリド中のZX2含量が60質量%以上であるパーム分別軟質油、を含有する請求項8記載の油脂組成物。
  10. 構成脂肪酸中のZ含量が20質量%以上35質量%未満であるエステル交換油、を含有する請求項8記載の油脂組成物。
  11. 前記油脂組成物が、パーム分別軟質油からなり、
    前記油脂組成物が、さらにトリグリセリド中のZX2含量が60質量%以上であることを満たす請求項8記載の油脂組成物。
  12. 前記油脂組成物が、エステル交換油からなり、
    前記油脂組成物が、さらに構成脂肪酸中のZ含量が20質量%以上35質量%未満であることを満たす請求項8記載の油脂組成物。
  13. 請求項8から12いずれか記載の油脂組成物を含有するフィリング、スプレッド、若しくはチョコレート。
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