JP2014117257A - ハードバター - Google Patents

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Abstract

【課題】噛み出しの軟らかさと良好な口どけを維持しながら、経日的なブルーム発生が抑えられたチョコレートを提供すること。
【解決手段】(a)〜(c)の条件を満たすパーム分別油を、50〜100質量%含有するハードバターを使用することにより解決した。
(a) トリ飽和トリグリセリド(SSS)が0.1〜1質量% (b) オレオイルジパルミチン(P2O)の含有量が30〜65質量% (c) 1(3)−オレオイルジパルミチン(PPO)の質量%/2−オレオイルジパルミチン(POP)の質量%が0.4以下
【選択図】なし

Description

本発明は、噛み出しの軟らかさと良好な口どけを維持しながら、経日的なブルーム発生が抑えることのできるハードバター及び該ハードバターを使用して得られるチョコレートに関する。
チョコレートは、カカオ分、特にカカオマスやココアバターに由来する独特の風味や食感を有し、古来より世界中で好まれてきたものである。特に、喫食した際にパキッと割れる物性(スナップ性)や、体温付近で一気に溶解する良好な口どけはチョコレートの大きな特徴として求められることが多く、その原料として主にカカオ脂が好適に使用されてきた。カカオ脂は25℃以下の温度域では硬く、30〜32℃で急激に軟らかくなり、35℃では完全に溶解する特徴を有するため、チョコレートの主要な原料として用いられているものである。
一方、近年では嗜好の多様化に伴い、チョコレート生地を含気させたエアインチョコレートや、水分含量の多い含水チョコレートなど、従来の枠にあてはまらないチョコレートが数多く登場している。なかでもスナップ性のあるチョコレートとは異なり、噛み出しが軟らかく口どけの良い、いわゆるソフトチョコレートが人気を集めている。ソフトチョコレートは従来型のチョコレートと大きく物性が異なるため、カカオ脂の一部又は全部をより融点の低いココアバター代替脂に置き換えたり、液状油を添加することが一般に行われている。しかし、噛み出しを軟らかくするために融点の低いココアバター代替脂や液状油を多く使用すると、喫食した際の口どけが悪くなり、油性感が強くなってしまう場合があり、また、ソフトチョコレートは高融点油脂が少なく中・低融点油脂が比較的多いため、経日的な温度変化の影響を受けて、ブルームが発生し、また口どけが悪くなるという課題があった。
上記のような噛み出しの軟らかいソフトチョコレートについて、これまでに各種検討が行われている。例えば、油脂固化剤を添加することでチョコレートの物性を調節する方法(特許文献1)、構成脂肪酸としてベヘン酸及び不飽和脂肪酸を必須とするポリグリセリン脂肪酸エステルである油脂の染み出し抑制剤を使用する方法(特許文献2)、構成脂肪酸としてラウリン酸を一定量含有するSOS型トリグリセリドと親油性ソルビタン脂肪酸エステルを併用する方法(特許文献3)、ジ飽和モノ不飽和トリグリセリド、モノ飽和ジ不飽和トリグリセリド等の条件を満たし、特にトリ飽和トリグリセリド含量が、2質量%以上12質量%未満である、特定の油脂組成物による方法(特許文献4)が開示されている。
しかし、特許文献1や特許文献2の方法では、高融点の乳化剤を使用するために口どけへの影響が避けられず、また液状油の多い配合で特に効果を発揮するものであるため、全体的に油性感の強いものとなってしまうという問題があった。また、特許文献3では、構成脂肪酸として一定量のラウリン酸が必須であり、テンパリング型の油脂と相性が悪く、経日的にブルームが発生しやすいという課題があった。特許文献4では、経日的なブルームは抑制されるものの、液状油の割合が多いため油性感が強く、また一定以上のトリ飽和トリグリセリドを含有した場合には口どけに課題が生じやすかった。
このように、ソフトチョコレートの噛み出しの軟らかさと良好な口どけを維持しながら、経日的なブルームを抑えるには課題が多く残されていたのが現状であった。
一方、本出願人らはすでに、リノレイルジパルミチンの含有量が2〜8重量%であり、オレオイルジパルミチン(P2O)の含有量が70重量%以上であるパーム分別油を含有するハードバター(特許文献5)、及び2−オレオジ飽和トリグリセリド、2−オレオパルミトアラキジン、三飽和トリグリセリド、ジヒドロキシ脂肪酸含有トリグリセリドの含有量を規定した油脂組成物(特許文献6)について報告している。しかし、これらの方法では噛み出しの軟らかさと口どけを両立することが困難であった。
特開2000−116330号公報 特開2006−6277号公報 特開平9−121771号公報 特開2008−228641号公報 特開2000−336389号公報 特開2001−131574号公報
よって、本発明の目的は、噛み出しの軟らかさと良好な口どけを維持しながら、経日的なブルーム発生が抑えられたソフトチョコレートを得ることにある。
本発明者等は上記課題を解決すべく種々検討した結果、従来、トリ飽和トリグリセリド(SSS)が経日的な物性の安定性に重要であると考えられていたところ、SSSを大きく減じた場合であっても、特定のパーム分別油を含有するハードバターを使用した場合であれば、経日的なブルーム発生を抑えながら、噛み出しと口どけが良好なチョコレートを得ることができることを知見した。本発明は上記知見に基づいて完成されたものである。
本発明によれば、噛み出しの軟らかさと良好な口どけを維持しながら、経日的なブルーム発生が抑えられたソフトチョコレートを得ることができる。
以下、本発明のハードバターについて、好ましい実施形態に基づき、詳細に説明する。
本発明のハードバターは、下記(a)〜(c)の条件を満たすパーム分別油を、50〜100質量%、好ましくは70〜99質量%、最も好ましくは75〜98質量%含有するものである。(但し、下記において、Sは炭素数16〜22の飽和脂肪酸、Pはパルミチン酸、Oはオレイン酸を表す。)
(a) トリ飽和トリグリセリド(SSS)の含有量が0.1〜1質量%[パーム分別油基準]
(b) オレオイルジパルミチン(P2O)の含有量が30〜65質量%[パーム分別油基準]
(c) 1(3)−オレオイルジパルミチン(PPO)の質量%/2−オレオイルジパルミチン(POP)の質量%が0.4以下
まず、上記条件(a)について説明する。
本発明で使用するパーム分別油は、トリ飽和トリグリセリド(以下、SSSと呼ぶこともある)の含有量が0.1〜1質量%、好ましくは0.12〜0.7質量%、より好ましくは0.14〜0.6質量%、最も好ましくは0.15〜0.5質量%である。(但し、Sは炭素数16〜22の飽和脂肪酸を表す。)SSSの含有量が0.1質量%よりも少ないと、ハードバターを後述するソフトチョコレートに使用した場合において、経日的に噛み出しが硬く口どけが悪いものとなってしまい、またブルームも発生しやすくなる。また、SSSの含有量が1質量%よりも多いとソフトチョコレートとしての噛み出しが硬く、口どけの悪いものとなってしまう。
次に、上記条件(b)について説明する。
本発明のパーム分別油は、オレオイルジパルミチン(以下、P2Oと呼ぶこともある)の含有量が30〜65質量%、好ましくは35〜60質量%、最も好ましくは40〜55質量%である。(但し、Pはパルミチン酸、Oはオレイン酸を表す。)ここで、オレオイルジパルミチン(P2O)は、1,2位にパルミチン酸、3位にオレイン酸が結合した1(3)−オレオイルジパルミチン(以下、PPOとよぶこともある)と、1,3位にパルミチン酸、2位にオレイン酸が結合した2−オレオイルジパルミチン(以下、POPとよぶこともある)の合計を示すものである。P2Oの含有量が30質量%よりも少ないと、良好な口どけが得られない。また、P2Oの含有量が65質量%よりも多いと、噛み出しが硬いものとなってしまう。
次に、上記条件(c)について説明する。
上記パーム分別油は1(3)−オレオイルジパルミチン(PPO)の質量%/2−オレオイルジパルミチン(POP)の質量%が0.4以下である必要があり、好ましくは0.3以下、より好ましくは0.25以下である。PPO/POPが0.4よりも大きいとチョコレートに使用したときに良好な口どけが得られなくなってしまう。
上記パーム分別油を得る方法としては、一般に行われているドライ分別、溶剤分別、界面活性剤分別等を組合せて行うことができ、特に限定されるものではないが、例えば「パーム中融点部をドライ分別により結晶部分を除去する方法」、「パーム中融点部を溶剤分別により結晶部分を除去する方法」、「パームオレインをドライ分別により結晶部分を除去し、さらにドライ分別により軟部油を除去する方法」等を挙げることができる。
上記「パーム中融点部をドライ分別により結晶部分を除去する方法」としては、ヨウ素価が40〜50のパーム中融点部を完全に融解させたものを、24〜27℃、好ましくは25〜26℃に冷却し、結晶を析出させ、結晶部分を除去する。
上記「パーム中融点部を溶剤分別により結晶部分を除去する方法」としては、ヨウ素価が40〜50のパーム中融点部100質量部に対して30〜70質量部の溶剤を加え、完全に溶解させる。そして、得られた分別原料ミセラを冷却するが、溶剤としてアセトンを使用した場合は15〜20℃、ヘキサンを使用した場合は−15〜10℃まで冷却し、結晶を析出させ、結晶部分を除去する。このとき結晶の核となるシード(分別原料ミセラ等をあらかじめ冷却固化させたもの)を加えると結晶化しやすくなる。
上記「パームオレインをドライ分別により結晶部分を除去し、さらにドライ分別により軟部油を除去する方法」としては、ヨウ素価が55〜58のパームオレインを完全に融解させ、16〜24℃、好ましくは18〜22℃まで冷却し、結晶を析出させ、結晶部分を除去し、ヨウ素価56〜59、SSSの含有量が0.3%以下のオレイン画分を得る。このとき結晶の核となるシード(パームステアリン、パームオレイン、又は他の固体脂をあらかじめ冷却固化したもの)を加えると、結晶化しやすくなる。そして、得られたオレイン画分を完全に溶解させ、10〜20℃、好ましくは12〜18℃まで冷却し、結晶を析出させ、結晶部分を得る。このとき結晶の核となるシード(パームステアリン、パームオレイン、又は他の固体脂をあらかじめ冷却固化したもの)を加えると、結晶化しやすくなる。
本発明のハードバターは、上記パーム分別油の他に、脂肪酸組成においてS/Uの質量比が1.5〜4であって、パーム極度硬化油脂を20〜60質量%含有し、炭素数14以下の脂肪酸含量が10質量%未満である油脂配合物をエステル交換したエステル交換油脂の低融点部又は中融点部である加工油脂を0.1〜30質量%含有することが好ましい(但し、Sは炭素数16〜22の飽和脂肪酸を表し、Uは炭素数16以上の不飽和脂肪酸を表す。)。該加工油脂を含有することで経日的な物性の変化を抑えることができ、特にソフトチョコレートに使用した場合に口どけ、ブルーム、噛み出しを良好な状態に維持することができる。該加工油脂のより好ましい含有量は、ハードバター中に、好ましくは0.1〜25質量%、より好ましくは1〜25質量%、最も好ましくは2〜19質量%である。上記加工油脂の含有量が0.1質量%未満では十分な効果が得られず、また30質量%を超えると口どけが悪くなるため好ましくない。
上記油脂配合物中の上記パーム極度硬化油脂の含有量は、20〜60質量%、好ましくは30〜60質量%、最も好ましくは35〜55質量%である。パーム極度硬化油脂の含有量が20〜60質量%から外れると、十分な上記効果が得られない。
上記油脂配合物に含まれる、上記パーム極度硬化油脂以外の油脂としては、食用に適する油脂であればよく、大豆油、ナタネ油(キャノーラ油)、コーン油、綿実油、オリーブ油、落花生油、米油、べに花油、ハイオレイックサフラワー油、ひまわり油、ハイオレイックひまわり油等の常温で液体の油脂が挙げられるが、その他に、パーム油、パーム核油、ヤシ油、サル脂、マンゴ脂、乳脂、牛脂、乳脂、豚脂、カカオ脂、魚油、鯨油等の常温で固体の油脂も用いることができ、更に、これらの食用油脂に水素添加、分別、エステル交換等の物理的又は化学的処理の1種又は2種以上の処理を施した油脂を使用することもできる。
上記油脂配合物においては、これらの油脂を単独で用いることもでき、又は2種以上を組み合わせて用いることもできるが、上記油脂配合物に含まれる脂肪酸組成においてS/Uの質量比が1.5〜4、好ましくは2.0〜3.5となるように用いる。
また、上記油脂配合物中の脂肪酸組成において、炭素数14以下の脂肪酸含量は10質量%未満であることが必要であり、好ましくは5質量%未満、更に好ましくは3質量%未満である。炭素数14以下の脂肪酸含量が10質量%以上であると、得られるハードバターが経日的に風味が劣化するおそれがあるほか、ソフトチョコレートに使用した場合に経日的なブルーム抑制の効果が見られなくなるだけでなく、逆にブルームが発生しやすくなってしまう場合があるため好ましくない。
また、上記油脂配合物中の脂肪酸組成において、炭素数20以上の飽和脂肪酸含量を、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下とする。
また、上記油脂配合物中の脂肪酸組成において、炭素数18の飽和脂肪酸含量/炭素数16の飽和脂肪酸含量の値が、好ましくは0.3〜1.1、より好ましくは0.3〜0.8、更に好ましくは0.45〜0.70とすることにより、口どけが良好なハードバター、そして後述するソフトチョコレートを得ることができる。
そのため、上記パーム極度硬化油脂以外の油脂として、パーム油、パーム分別油等の、炭素数16の飽和脂肪酸(パルミチン酸)を多く含み、且つ、炭素数16の飽和脂肪酸含量より炭素数18の飽和脂肪酸(ステアリン酸)含量が少ない油脂を使用することが好ましい。
即ち、上記油脂配合物では、パーム極度硬化油脂以外の油脂として、パーム油、及び/又は、パーム分別油を使用することが好ましい。
上記エステル交換の反応は、化学的触媒による方法でも、酵素による方法でもよく、また、ランダムエステル反応であっても、位置選択性のエステル交換反応であってもよいが、化学的触媒又は位置選択性のない酵素を用いた、ランダムエステル反応であることがより好ましい。
上記化学的触媒としては、例えば、ナトリウムメチラート等のアルカリ金属系触媒が挙げられ、また、上記位置選択性のない酵素としては、例えば、アルカリゲネス(Alcaligenes) 属、リゾープス(Rhizopus)属、アスペルギルス(Aspergillus) 属、ムコール(Mucor) 属、ペニシリウム(Penicillium) 属等に由来するリパーゼが挙げられる。尚、該リパーゼは、イオン交換樹脂或いはケイ藻土及びセラミック等の担体に固定化して、固定化リパーゼとして用いることもできるし、粉末の形態で用いることもできる。
上記加工油脂は、このようにして得られたエステル交換油脂の低融点部又は中融点部である。尚、低融点部とは、分別により、高融点部分を分離除去して得られた低融点画分のことであり、中融点部とは、分別により、高融点部分と低融点部分(液状部)を分離除去した中融点画分のことである。
具体的には、トリ飽和トリグリセリド含量が好ましくは12質量%以下、より好ましくは6質量%以下、更に好ましくは3質量%以下となるように高融点部分を除去する。尚、下限については特に制限はないが、一般的には0.5質量%、好ましくは1.5質量%である。
上記加工油脂として中融点部を使用する場合は、更にトリ不飽和トリグリセリドとモノ飽和ジ不飽和トリグリセリドの合計した含有量が好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下となるように低融点部分を除去する。尚、下限については特に制限はないが、一般的には5質量%、好ましくは6質量%である。
分別方法としては、アセトン分別やヘキサン分別等の溶剤分別、ドライ分別等の無溶剤分別等の何れの方法も採用することができるが、低融点部の除去を行う分別の際は溶剤分別、特にアセトン分別であることが好ましい。
上記加工油脂は、構成脂肪酸組成において、炭素数14以下の脂肪酸含量が好ましくは10質量%未満、より好ましくは5質量%未満、更に好ましくは3質量%未満であることが好ましい。
また、上記加工油脂は、構成脂肪酸組成において、炭素数20以上の飽和脂肪酸含量が好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下であることが好ましい。
本発明のハードバターは、上記パーム分別油、特定の油脂配合物をエステル交換したエステル交換油脂の低融点部又は中融点部である加工油脂だけでなく、必要に応じてその他の食用油脂を配合することができる。
上記その他の食用油脂としては特に制限はなく、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、オリーブ油、キャノーラ油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオ脂、サル脂、シア脂、イリッペ脂、マンゴー核油、コクム脂、魚油、鯨油等の各種植物油脂、動物油脂、並びにこれらを水素添加、分別及びエステル交換から選択される1又は2以上の処理を施した油脂から選ばれた1種又は2種以上を使用することができる(ただし、上記(a)〜(c)の条件を満たすパーム分別油は除く)。
上記その他の食用油脂の使用量は、ハードバター基準で好ましくは0〜50質量%、より好ましくは0〜30質量%、さらに好ましくは0〜25質量%、最も好ましくは使用しないことが好ましい。
なお、本発明のハードバターは、トランス脂肪酸を実質的に含有しないことが好ましい。ここで、「トランス脂肪酸を実質的に含有しない」とは、ハードバターの全構成脂肪酸中、トランス脂肪酸含量が好ましくは10質量%未満、更に好ましくは5質量%以下、最も好ましくは1質量%以下であることをいう。
水素添加は、油脂の融点を上昇させる典型的な方法であるが、部分水素添加油脂は、通常構成脂肪酸中にトランス脂肪酸が10〜50質量%程度含まれている。一方、天然油脂中にはトランス脂肪酸が殆ど存在せず、反芻動物由来の油脂に10質量%未満含まれているにすぎない。近年、化学的な処理、特に水素添加に付されていないハードバター、即ち実質的にトランス脂肪酸を含まないハードバターであって、適切なコンシステンシーを有するものが要求されている。本発明のハードバターに用いられる上記パーム分別油、パーム極度硬化油脂は、トランス脂肪酸を実質的に含有しないため、上記その他の油脂として、部分水素添加油脂を使用しないことにより、トランス脂肪酸を含まずとも適切なコンシステンシーを有するハードバターとすることができる。
また、本発明のハードバターは、HLBが5以下であるショ糖脂肪酸エステルを0.1〜5質量%含有することが好ましい。経日的な物性の変化を抑えることができ、特にソフトチョコレートに使用した場合に口どけ、ブルーム、噛み出しを良好な状態に維持することができるためである。
上記HLBが5以下であるショ糖脂肪酸エステルのより好ましい含量は0.3〜4質量%、最も好ましくは0.5〜3質量%である。0.1質量%よりも少ないと、十分な効果が発揮できず、また5質量%よりも多いと異味が生じ風味が悪いものとなりやすいため好ましくない。
本発明のハードバターは、上記油脂類、HLBが5以下であるショ糖脂肪酸エステル以外に、通常のハードバターの製造に用いられる着色料、HLBが5以下であるショ糖脂肪酸エステル以外の乳化剤、酸化防止剤、香料等の任意成分を含有することができる。これらの任意成分の含有量は、本発明のハードバター組成物中、好ましくは合計で5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、最も好ましくは1質量%以下とする。
上記HLBが5以下であるショ糖脂肪酸エステル以外の乳化剤としては、HLBが5よりも大きいショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン有機酸脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、レシチン、サポニン類等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。上記乳化剤の配合量は、特に制限はないが、本発明のハードバター中、好ましくは0〜5質量%、更に好ましくは0〜1質量%である。
以上説明した本発明のハードバターは、本来の用途であるチョコレート用をはじめ、バタークリーム、シュガークリーム等の油相を連続相とするクリーム類、更には、サンドクリーム、マーガリン、ショートニング、アイスクリーム、ホイップクリーム等の原料油脂用として広く使用することができるが、中でも、後述するテンパー型チョコレート、とくにテンパー型ソフトチョコレート用として使用することが特に好ましい。
次に、本発明のチョコレートについて述べる。
本発明のチョコレートは、全国チョコレート業公正取引協議会で規定されたチョコレート、準チョコレートだけでなく、カカオマス、ココアバター、ココア等を利用した生チョコレート、ホワイトチョコレート、カラーチョコレート等の油脂加工食品も含むものであり、カカオマスやココアパウダー、粉乳等の各種粉末食品、油脂類、糖類、乳化剤、香料、色素等の中から選択した原料を任意の割合で混合し、常法により、ロール掛け、コンチング処理して得たものをいう。
本発明では、上記チョコレートの中でもソフトチョコレートであることが好ましい。ソフトチョコレートとは、一般的なチョコレートが有する良好なスナップ性を有さず、噛み出しから軟らかいチョコレートをいう。ソフトチョコレートに関する明確な定義はないものの、本発明においては該ソフトチョコレートとして、チョコレート中の油分のSFCが20℃で40〜70、25℃で10〜60、30℃で0〜30であるチョコレートをソフトチョコレートとし、より好ましくは20℃で30〜55、25℃で25〜40、30℃で0〜10とする。
本発明のチョコレートは、上記本発明のハードバターを、チョコレートに含まれる油脂の一部又は全部に使用したものである。ここで本発明のハードバターは、噛み出しの軟らかさを維持しながら、良好な口どけと経日的な安定性(ブルームの抑制)に優れたものであることから、これを使用した本発明のチョコレートは、噛み出しの軟らかさを維持しながら、良好な口どけと経日的な安定性に優れたものとなる。
本発明のチョコレートにおける上記ハードバターの使用量は、チョコレートに含まれる油脂中10〜100質量%、好ましくは20〜80質量%、より好ましくは25〜70質量%である。
また、本発明のチョコレートにおいては、油分中に乳脂を油分基準で1〜20質量%含有することが、より経日的なブルームの発生を抑制できる点で好ましい。より好ましくは3〜15質量%、最も好ましくは5〜12質量%である。
本発明では、必要により、上記のココアバター、乳脂、本発明のハードバター以外の食用油脂を用いてもよいが、ココアバター、乳脂、本発明のハードバター由来の油脂以外の食用油脂の含有量は、チョコレートの油分中、好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下、最も好ましくは1質量%以下である。
上記のココアバター、乳脂、本発明のハードバター以外の食用油脂としては、例えば、パーム油、コーン油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、オリーブ油、落花生油、カポック油、胡麻油、月見草油、シア脂、サル脂、牛脂、豚脂、魚油、鯨油等の各種植物油脂及び動物油脂、並びに、これらに水素添加、分別及びエステル交換から選択される1又は2以上の処理を施した油脂が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
また、本発明のチョコレートは、その油分のトリグリセリド組成における対称型トリグリセリド(以下、SUSということもある)の含有量が30質量%以上であることが好ましく、より好ましくは40〜90質量%、さらに好ましくは45〜80質量%である。
ただし、本発明においてSUSは、炭素数16〜22の飽和脂肪酸残基がグリセリンの1位及び3位に結合し、炭素数16以上の不飽和脂肪酸残基がグリセリンの2位に結合しているトリグリセリドを示すものとする。
また、本発明のチョコレートにおけるSSSの量は、チョコレートの油分中、油分基準で2質量%未満が好ましく、1.5質量%未満がより好ましく、1質量%未満が最も好ましい。
本発明のチョコレート中に含まれる油分の量は、好ましくは18〜60質量%、さらに好ましくは25〜55質量%、最も好ましくは30〜50質量%である。
本発明のチョコレートは、原料として本発明のハードバターを使用する以外は、チョコレートの種類等に応じた通常の製法によって製造することができるが、特にテンパリング操作を行うことが好ましい。テンパリングとは、チョコレートの製造時に一定の温度条件を満たしながら冷却操作を行うことであり、特に油分中に対称型トリグリセリドが多く含まれる場合に、トリグリセリド分子の配列を整えることでブルーム発生を抑え、表面にツヤのあるチョコレートを製造するために必要な操作である。テンパリング操作をしないと、経日的に安定性に劣るだけでなく、口どけも悪いものとなりやすく、本発明の効果が十分に得られない場合がある。
上記テンパリング操作は、一般的なテンパリング操作によって行うことができ、例えば、チョコレート生地を45〜50℃程度に加温し溶解させた後、空気が入らないようにゆっくりと攪拌しながら27℃前後まで冷却させた後、再び31〜33℃まで加温し、ゆっくりと攪拌する方法、チョコレート生地を45〜50℃程度に加温し溶解させた後、高融点油脂及び/又はテンパリングされたチョコレートを結晶核として少しずつ加えていく方法が挙げられる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により、何等制限されるものではない。
パーム分別油の製造
[製造例1]
ヨウ素価45のパーム中融点部を60℃で完全に融解させた後、25℃まで冷却し、10時間結晶を析出させた。続いて結晶部分を除去し、パーム分別油Aを得た。(SSS:0.15%、P2O:50%、PPO/POP=0.19)
[製造例2]
ヨウ素価45のパーム中融点部を60℃で完全に融解させた後、26℃まで冷却し、10時間結晶を析出させた。続いて結晶部分を除去し、パーム分別油Bを得た。(SSS:0.5%、P2O:48%、PPO/POP=0.17)
[製造例3]
ヨウ素価45のパーム中融点部を60℃で完全に融解させた後、27℃まで冷却し、10時間結晶を析出させた。続いて結晶部分を除去し、パーム分別油Cを得た。(SSS:0.7%、P2O:45%、PPO/POP=0.13)
[製造例4]
ヨウ素価45のパーム中融点部100質量部に対して50質量部のアセトンを加え、17℃で10時間結晶を析出させた。続いて結晶部分を取り出し、パーム分別油Dを得た。(SSS:1.2%、P2O:70%、PPO/POP=0.17)
[製造例5]
ヨウ素価45のパーム中融点部を60℃で完全に融解させた後、23℃まで冷却し、10時間結晶を析出させた。続いて結晶部分を除去し、パーム分別油Eを得た。(SSS:0.1%未満、P2O:50%、PPO/POP=0.19)
加工油脂の製造
<加工油脂aの製造>
パーム油(ヨウ素価48)65質量部とパーム油をヨウ素価1未満となるまで硬化したパーム極度硬化油脂35質量部を70℃にて混合溶解して得た油脂配合物を、Naメチラートを触媒としてランダムエステル交換反応を行い、常法により精製してエステル交換油脂a’を得た。
尚、上記エステル交換に用いる油脂配合物におけるS/Uの質量比は2.1、炭素数18の飽和脂肪酸/炭素数16の飽和脂肪酸(以下、St/Pともいう)の質量比は0.47であり、炭素数14以下の飽和脂肪酸含量は3質量%未満、炭素数20以上の飽和脂肪酸含量は0.5質量%未満であった。
このエステル交換油脂a’からアセトン分別により高融点部と液状部を除去し、得られた中融点部を常法により精製して、加工油脂aとした。
尚、得られた加工油脂aのトリ飽和トリグリセリド含有量は2.7質量%、トリ不飽和トリグリセリドとモノ飽和ジ不飽和トリグリセリドの合計した含有量は6.8質量%、炭素数14以下の飽和脂肪酸含量は3質量%未満、炭素数20以上の飽和脂肪酸含量は0.5質量%未満であった。
<加工油脂bの製造>
油脂配合物におけるパーム油65質量部及びパーム極度硬化油35質量部を、パーム油55質量部とパーム極度硬化油脂45質量部に変更した以外は実施例1と同様にして、エステル交換油脂b’を得た。
尚、上記エステル交換に用いる油脂配合物におけるS/Uの質量比は2.6であり、St/Pの質量比は0.58であり、炭素数14以下の飽和脂肪酸含量は3質量%未満、炭素数20以上の飽和脂肪酸含量は0.5質量%未満であった。
このエステル交換油脂b’からドライ分別により高融点部を除去し、得られた低融点部を常法により精製して、加工油脂bとした。
尚、得られた加工油脂bのトリ飽和トリグリセリド含有量は9.4質量%、トリ不飽和トリグリセリドとモノ飽和ジ不飽和トリグリセリドの合計した含有量は25.8質量%、炭素数14以下の飽和脂肪酸含量は3質量%未満、炭素数20以上の飽和脂肪酸含量は0.5質量%未満であった。
<加工油脂cの製造>
パーム油(ヨウ素価48)を、パーム油:アセトン=1:2の質量比率で50℃にて混合溶解し、続いて25℃まで冷却した後、結晶部(ステアリン画分)を濾別して液状部を得た。該液状部から常法によりアセトンを除去し、続いて常法により精製してヨウ素価55のパーム軟部油を得た。このパーム軟部油を原料油脂とし、Naメチラートを触媒としてランダムエステル交換反応を行い、常法により精製して加工油脂cとした。
<加工油脂dの製造>
パーム油(ヨウ素価48)60質量部とパーム油をヨウ素価1未満となるまで硬化したパーム極度硬化油脂40質量部を70℃にて混合溶解して得た油脂配合物を、Naメチラートを触媒としてランダムエステル交換反応を行い、常法により精製して加工油脂dとした。
[実施例1]
上記パーム分別油A75質量部と加工油脂a25質量部を60℃で溶解・混合し、本発明のハードバターA1とした。
続いて、得られたハードバターA1を19質量部、カカオマス(油分含有量55質量%)8質量部、ココアバター(SSS含量:1質量%)13.6質量部、全脂粉乳(油分含有量25質量%)14質量部、砂糖45.3質量部、香料0.1質量部をホバートミキサーに投入し、ビーターを用いて中速で3分間混合し、さらに、ロール掛け、コンチングして、チョコレート生地を得た。これをテンパリング処理後、型に流し込み、冷却し、離型して本発明のソフトチョコレートA2を得た。(ソフトチョコレートA2の油分のSFC:20℃で47、25℃で31、30℃で9、ソフトチョコレートA2の油分に占めるSUSの割合:59%)
得られた本発明のハードバターA1は20℃の恒温機で保管し、製造から1週間後、1ヵ月後、3ヵ月後のハードバターA1を10人のパネラーが口に含み、「噛み出し」「口どけ」について評価を行った。
評価は下記評価基準に従って行い、10人のパネラーの合計点を評価点数とし、結果を下記のようにして[表1]に示した。
41〜50点:◎+、31〜40点:◎、21〜30点:○、11〜20点:△、0〜10点:×
<評価基準>
・噛み出し
5点 きわめて良好である。
3点 良好である。
1点 やや不良である。
0点 不良である。
・口どけ
5点 きわめて良好な口どけである。
3点 良好である。
1点 やや不良である。
0点 不良である。
また、得られた本発明ソフトチョコレートA2を20℃の恒温機で保管し、製造から1週間後、1ヵ月後、3ヵ月後、6ヵ月後、12ヵ月後の「噛み出し」「口どけ」「ブルーム」について評価を行った。
「噛み出し」「口どけ」については、10人のパネラーにより下記評価基準に従って官能評価をさせ、10人のパネラーの合計点を評価点数とし、結果を下記のようにして[表2]に示した。
41〜50点:◎+、31〜40点:◎、21〜30点:○、11〜20点:△、0〜10点:×
「ブルーム」については、目視により下記評価基準でブルームの状態を観察し、評価を行った。結果を[表2]に示した。
<評価基準>
・噛み出し
5点 きわめて良好である。
3点 良好である。
1点 やや不良である。
0点 不良である。
・口どけ
5点 きわめて良好な口どけである。
3点 良好である。
1点 やや不良である。
0点 不良である。
・ブルームの評価基準
−:ブルームが見られずツヤがある
±:ブルームは見られないがツヤがない
+:一部にブルームが見られる
++:激しいブルームが見られる
[実施例2]
上記パーム分別油B80質量部と加工油脂b20質量部を60℃で溶解・混合し、本発明のハードバターB1とした。
続いて、ハードバターA1に代えてハードバターB1を19質量部とした以外、実施例1と同様にして、チョコレート生地を得た。これをテンパリング処理後、型に流し込み、冷却し、離型して本発明のソフトチョコレートB2を得た。(ソフトチョコレートB2の油分のSFC:20℃で49、25℃で33、30℃で10、ソフトチョコレートB2の油分に占めるSUSの割合:59%)
得られたハードバターB1及びソフトチョコレートB2について、実施例1と同様に評価し、[表1]及び[表2]に示した。
[実施例3]
上記パーム分別油A90質量部と加工油脂a10質量部を60℃で溶解・混合し、本発明のハードバターC1とした。
続いて、ハードバターA1に代えてハードバターC1を19質量部とした以外、実施例1と同様にして、チョコレート生地を得た。これをテンパリング処理後、型に流し込み、冷却し、離型して本発明のソフトチョコレートC2を得た。(ソフトチョコレートC2の油分のSFC:20℃で45、25℃で29、30℃で7、ソフトチョコレートC2の油分に占めるSUSの割合:61%)
得られたハードバターC1及びソフトチョコレートC2について、実施例1と同様に評価し、[表1]及び[表2]に示した。
[実施例4]
上記パーム分別油A98質量部とショ糖脂肪酸エステル(HLB1)2質量部を60℃で溶解・混合し、本発明のハードバターD1とした。
続いて、ハードバターA1に代えてハードバターD1を19質量部とした以外、実施例1と同様にして、チョコレート生地を得た。これをテンパリング処理後、型に流し込み、冷却し、離型して本発明のソフトチョコレートD2を得た。(ソフトチョコレートD2の油分のSFC:20℃で46、25℃で30、30℃で8、ソフトチョコレートD2の油分に占めるSUSの割合:62%)
得られたハードバターD1及びソフトチョコレートD2について、実施例1と同様に評価し、[表1]及び[表2]に示した。
[実施例5]
上記パーム分別油A1を98質量部とポリグリセリン脂肪酸エステル2質量部を60℃で溶解・混合し、本発明のハードバターE1とした。
続いて、ハードバターA1に代えてハードバターE1を19質量部とした以外、実施例1と同様にして、チョコレート生地を得た。これをテンパリング処理後、型に流し込み、冷却し、離型して本発明のソフトチョコレートE2を得た。(ソフトチョコレートE2の油分のSFC:20℃で46、25℃で30、30℃で8、ソフトチョコレートE2の油分に占めるSUSの割合:62%)
得られたハードバターE1及びソフトチョコレートE2について、実施例1と同様に評価し、[表1]及び[表2]に示した。
[実施例6]
上記パーム分別油A80質量部、加工油脂a18質量部、ショ糖脂肪酸エステル(HLB1)2質量部を60℃で溶解・混合し、本発明のハードバターF1とした。
続いて、ハードバターA1に代えてハードバターF1を19質量部とした以外、実施例1と同様にして、チョコレート生地を得た。これをテンパリング処理後、型に流し込み、冷却し、離型して本発明のソフトチョコレートF2を得た。(ソフトチョコレートF2の油分のSFC:20℃で46、25℃で30、30℃で8、ソフトチョコレートF2の油分に占めるSUSの割合:59%)
得られたハードバターF1及びソフトチョコレートF2について、実施例1と同様に評価し、[表1]及び[表2]に示した。
[実施例7]
上記パーム分別油A84質量部、加工油脂a15質量部、ショ糖脂肪酸エステル(HLB1)1質量部を60℃で溶解・混合し、本発明のハードバターG1とした。
続いて、ハードバターA1に代えてハードバターG1を19質量部とした以外、実施例1と同様にして、チョコレート生地を得た。これをテンパリング処理後、型に流し込み、冷却し、離型して本発明のソフトチョコレートG2を得た。(ソフトチョコレートG2の油分のSFC:20℃で45、25℃で29、30℃で7、ソフトチョコレートG2の油分に占めるSUSの割合:60%)
得られたハードバターG1及びソフトチョコレートG2について、実施例1と同様に評価し、[表1]及び[表2]に示した。
[実施例8]
上記パーム分別油B80質量部、加工油脂c20質量部を60℃で溶解・混合し、本発明のハードバターH1とした。
続いて、ハードバターA1に代えてハードバターH1を19質量部とした以外、実施例1と同様にして、チョコレート生地を得た。これをテンパリング処理後、型に流し込み、冷却し、離型して本発明のソフトチョコレートH2を得た。(ソフトチョコレートH2の油分のSFC:20℃で37、25℃で27、30℃で7、ソフトチョコレートH2の油分に占めるSUSの割合:58%)
得られたハードバターH1及びソフトチョコレートH2について、実施例1と同様に評価し、[表1]及び[表2]に示した。
[実施例9]
上記パーム分別油B80質量部、加工油脂d20質量部を60℃で溶解・混合し、本発明のハードバターI1とした。
続いて、ハードバターA1に代えてハードバターI1を19質量部とした以外、実施例1と同様にして、チョコレート生地を得た。これをテンパリング処理後、型に流し込み、冷却し、離型して本発明のソフトチョコレートI2を得た。(ソフトチョコレートI2の油分のSFC:20℃で44、25℃で35、30℃で13、ソフトチョコレートI2の
油分に占めるSUSの割合:58%)
得られたハードバターI1及びソフトチョコレートI2について、実施例1と同様に評
価し、[表1]及び[表2]に示した。
[実施例10]
上記パーム分別油C98質量部、ショ糖脂肪酸エステル(HLB1)2質量部を60℃で溶解・混合し、本発明のハードバターJ1とした。
続いて、ハードバターA1に代えてハードバターJ1を19質量部とした以外、実施例1と同様にして、チョコレート生地を得た。これをテンパリング処理後、型に流し込み、冷却し、離型して本発明のソフトチョコレートJ2を得た。(ソフトチョコレートJ2の油分のSFC:20℃で43、25℃で29、30℃で7、ソフトチョコレートJ2の油分に占めるSUSの割合:62%)
得られたハードバターJ1及びソフトチョコレートJ2について、実施例1と同様に評価し、[表1]及び[表2]に示した。
[実施例11]
上記本発明のハードバターA1を27質量部、カカオマス(油分含有量55%)8質量部、ココアバター5.6質量部、全脂粉乳(油分含有量25%)14質量部、砂糖45.3質量部、香料0.1質量部をホバートミキサーに投入し、ビーターを用いて中速で3分間混合し、さらに、ロール掛け、コンチングして、チョコレート生地を得た。
これをテンパリング処理後、型に流し込み、冷却し、離型して本発明のソフトチョコレートK2を得た。(ソフトチョコレートK2の油分のSFC:20℃で44、25℃で28、30℃で6、ソフトチョコレートK2の油分に占めるSUSの割合:50%)
得られたソフトチョコレートK2について、実施例1と同様に評価し、[表2]に示した。
[実施例12]
上記本発明のハードバターA1を27質量部、カカオマス(油分含有量55%)8質量部、ココアバター9質量部、脱脂粉乳(油分含有量1%)10.6質量部、砂糖45.3質量部、香料0.1質量部をホバートミキサーに投入し、ビーターを用いて中速で3分間混合し、さらに、ロール掛け、コンチングして、チョコレート生地を得た。
これをテンパリング処理後、型に流し込み、冷却し、離型して本発明のソフトチョコレートL2を得た。(ソフトチョコレートL2の油分のSFC:20℃で46、25℃で29、30℃で8、ソフトチョコレートL2の油分に占めるSUSの割合:58%)
得られたソフトチョコレートL2について、実施例1と同様に評価し、[表2]に示した。
[実施例13]
上記パーム分別油A1を100質量部を本発明のハードバターM1とした。
続いて、ハードバターA1に代えてハードバターM1を19質量部とした以外、実施例1と同様にして、チョコレート生地を得た。これをテンパリング処理後、型に流し込み、冷却し、離型して本発明のソフトチョコレートM2を得た。(ソフトチョコレートM2の油分のSFC:20℃で41、25℃で27、30℃で5、ソフトチョコレートM2の油分に占めるSUSの割合:62%)
得られたハードバターM1及びソフトチョコレートM2について、実施例1と同様に評価し、[表1]及び[表2]に示した。
[比較例1]
上記パーム分別油D1を100質量部を比較例であるハードバターN1とした。
続いて、ハードバターA1に代えてハードバターN1を19質量部とした以外、実施例1と同様にして、チョコレート生地を得た。これをテンパリング処理後、型に流し込み、冷却し、離型して比較例であるチョコレートN2を得た。(チョコレートN2の油分のSFC:20℃で71、25℃で59、30℃で20、チョコレートN2の油分に占めるSUSの割合:71%)
得られたハードバターN1及びチョコレートN2について、実施例1と同様に評価し、[表1]及び[表2]に示した。
[比較例2]
パーム分別中融点部(SSS:1.6%、P2O:50%、PPO/POP=0.16)100質量部を比較例であるハードバターO1とした。
続いて、ハードバターA1に代えてハードバターO1を19質量部とした以外、実施例1と同様にして、チョコレート生地を得た。これをテンパリング処理後、型に流し込み、冷却し、離型して比較例であるソフトチョコレートO2を得た。(ソフトチョコレートO2の油分のSFC:20℃で50、25℃で36、30℃で14、ソフトチョコレートO2の油分に占めるSUSの割合:62%)
得られたハードバターO1及びソフトチョコレートO2について、実施例1と同様に評価し、[表1]及び[表2]に示した。
[比較例3]
上記パーム分別油E100質量部を比較例であるハードバターP1とした。
続いて、ハードバターA1に代えてハードバターP1を19質量部とした以外、実施例1と同様にして、チョコレート生地を得た。これをテンパリング処理後、型に流し込み、冷却し、離型して比較例であるソフトチョコレートP2を得た。(ソフトチョコレートP2の油分のSFC:20℃で39、25℃で25、30℃で3、ソフトチョコレートP2の油分に占めるSUSの割合:62%)
得られたハードバターP1及びソフトチョコレートP2について、実施例1と同様に評価し、[表1]及び[表2]に示した。
Figure 2014117257
Figure 2014117257

Claims (6)

  1. (a)〜(c)の条件を満たすパーム分別油を、50〜100質量%含有するハードバター。(但し、下記において、Sは炭素数16〜22の飽和脂肪酸、Pはパルミチン酸、Oはオレイン酸を表す。)
    (a) トリ飽和トリグリセリド(SSS)の含有量が0.1〜1質量%[パーム分別油基準]
    (b) オレオイルジパルミチン(P2O)の含有量が30〜65質量%[パーム分別油基準]
    (c) 1(3)−オレオイルジパルミチン(PPO)の質量%/2−オレオイルジパルミチン(POP)の質量%が0.4以下
  2. パーム極度硬化油脂を20〜60質量%含有し、脂肪酸組成においてS/Uの質量比が1.5〜4であり、炭素数14以下の脂肪酸含量が10質量%未満である油脂配合物をエステル交換したエステル交換油脂の低融点部又は中融点部である加工油脂を0.1〜30質量%含有する請求項1記載のハードバター。(但し、Uは炭素数16以上の不飽和脂肪酸を表す。)
  3. HLBが5以下であるショ糖脂肪酸エステルを0.1〜5質量%含有する請求項1又は2記載のハードバター。
  4. テンパリング型チョコレート用である、請求項1〜3いずれか一項記載のハードバター。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項記載のハードバターを含有するチョコレート。
  6. ソフトチョコレートである、請求項5記載のチョコレート。
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