JP2016140313A - 油性食品用油脂組成物、及びこれを含有する油性食品類 - Google Patents

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一磨 塩崎
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Abstract

【課題】油性食品において、ココアバターが高配合でき、常温流通時にも耐えうる耐熱性を持ち、光沢、艶、食感、風味などが良好であるノーテンパリング油性食品用油脂の提供。【解決手段】構成脂肪酸中にトランス酸及びラウリン酸を実質的に含まない油脂組成物であって、油脂組成物中にSSUトリグリセリドを1〜60重量%、USUトリグリセリドを15〜85重量%、SSSトリグリセリドを1〜30重量%含有し、SSU、USU及びSSSトリグリセリドの合計含量が30〜95重量%である油性食品用油脂組成物。UはC16〜22の飽和脂肪酸であり、SはC18の不飽和脂肪酸である。【選択図】なし

Description

本発明は、油性食品に使用する油脂組成物及びこれを用いた油性食品に関する。
一般に、チョコレートはカカオマス、ココア、ココアバター、ココアバター代用脂、甘味料及び粉乳等を適宜混合し、ロール掛け(微細化)、コンチング(精錬)及びテンパリング(温調)処理して製造される。このようなチョコレートは保存中しばしばブルーム現象を起こして、商品価値を損なうという問題がある。このようなブルーム現象には、油脂の不安定結晶に基づくファットブルームと砂糖の再結晶化に基づくシュガーブルームとがあり、特に前者のファットブルームの発生が多いことが知られている。
ファットブルームの防止は、チョコレートを構成する油脂を如何に安定な結晶型に移行させるかという観点からテンパリング処理が施され、その処理が不十分である場合にはファットブルーム発生は広汎な条件下で起こる。このようにテンパリング処理はチョコレート製造上重要な工程となっているが、製品チョコレートが硬さを失うほどの融解温度付近の高温に一定時間さらされる場合(例えば夏場等)には、製造工程中いかに良好なテンパリング処理が施されていても、ブルームの発現は抑止が困難であった。
他方このような面倒なテンパリング作業を省略しようとする指向があり、その為、高エライジン酸型ハードバター、ラウリン型ハードバター、ランダムエステル交換型ハードバターを使用する技術等が実施されている。しかし、高エライジン酸型ハードバターは近年の栄養学的見地からトランス脂肪酸の健康に与えるリスクが問題とされ、ラウリン型ハードバターは保存時に加水分解による不快なソーピーフレーバーが発生するリスクがあり、ランダムエステル交換型は保存時のブルームやグレーニングに対する耐性が不十分であり、さらにはこれら全てのハードバターはカカオバターを大量に使用できず、得られる製品の風味面において限界があることが知られている。
上記のようなカカオバターを大量に使用できないという問題点を解決すべく、特許文献1ではアセチル化蔗糖脂肪酸エステルを添加した高エライジン酸型ハードバターをチョコレートに用いることで、従来以上のココアバターの配合が可能とはなったが、いまだ不十分であり、また前記トランス脂肪酸の問題は依然として解決されていない。
上記のような解決策の他に、特許文献2には、構成脂肪酸として炭素数16〜22の飽和脂肪酸をグリセリンの2位に、炭素数16〜18の不飽和脂肪酸をグリセリンの1,3位に結合した混酸型トリグリセリド(USU)を40〜100重量%含有するココアバター代用脂が開示されており、テンパリング作業を実施せずとも、ブルームが観察されないことが示されている。
特許公開2000−41579号公報 特許公開平4―135453号公報
以上のように、トランス酸及びラウリン酸を実質的に含まず、かつ、光沢、艶、食感などが良好であり、常温流通時にも耐えうる耐熱機能を付与することができ、ココアバターが高配合できるノーテンパー型油性食品用油脂が求められている。本発明者らは、前記特許文献2に開示されたUSUを配合したノーテンパーチョコレートにおいては、その耐熱性は十分でなく、従って常温流通時にはべたつきや商品外観を損なうリスクがあり、さらに冷却成型時の固化速度が極端に遅く、生産効率が低下する原因となる問題が存在することを新たな課題として見出した。
本発明者らは上記課題を解決するために、上記USUに加えSSU及びSSSトリグリセリドを、適切な割合で混合することにより、テンパリング作業を実施せずともココアバターが高配合でき、冷却成型時の固化速度が十分に速く、常温流通時にも耐えうる耐熱機能を自在に付与することができ、光沢、艶、食感、風味などが良好となる油性食品を可能にする油性食品用油脂を開発し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、
(1)構成脂肪酸中にトランス酸及びラウリン酸を実質的に含まない油脂組成物であって、油脂組成物中にSSUトリグリセリドを1〜60重量%、USUトリグリセリドを15〜85重量%、SSSトリグリセリドを1〜30重量%含有し、SSU、USU及びSSSトリグリセリドの合計含量が30〜95重量%であることを特徴とする油性食品用油脂組成物。
但し、
S:炭素数16〜22の飽和脂肪酸
U:炭素数18の不飽和脂肪酸
SSU:トリグリセリドの1位及び2位、又は2位及び3位にSが、3位又は1位にUが結合したトリグリセリド
USU:トリグリセリドの1,3位にUが、2位にSが結合したトリグリセリド
SSS:トリグリセリドの1,2、3位にSが結合したトリグリセリドを意味する。
(2)油脂組成物中にSUSトリグリセリドを1〜66重量%含有し、SUS、SSU、USU及びSSSトリグリセリドの合計含量が60〜96重量%で、SUS、SSU及びUSUトリグリセリドの合計含量が49〜95重量%であることを特徴とする(1)の油性食品用油脂組成物。
但し、
SUS:トリグリセリドの1,3位にSが、2位にUが結合したトリグリセリドを意味する
(3)(1)又は(2)の油脂組成物を10重量%以上含んでなる油性食品。
(4)油性食品中に存在するSUSトリグリセリド100重量部に対し、SSU、USU及びSSSトリグリセリドを合計で50〜400重量部含有していることを特徴とする(3)の油性食品。
である。
本発明によれば、トランス酸及びラウリン酸を実質的に含まないので、トランス脂肪酸の健康リスク、ソーピーフレーバー発生リスク及びブルームやグレーニング発生リスク等、従来のノーテンパー型油性食品用油脂が抱えていた様々な課題を克服し、かつ、ココアバターとの相溶性が大幅に改善され、さらには冷却成型時の固化速度が十分に速く、常温流通時にも耐えうる耐熱機能を自由自在に付与できる油脂組成物を提供することができる。また本発明の油脂組成物を使用した油性食品類は、ココアバターを多量に配合できることから風味良好であり、継時的な物性・外観変化も全くない優れたものとなる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の油脂組成物はSSU、USU及びSSSトリグリセリド合計含量が30重量%以上である必要があり、好ましくは40重量%以上,より好ましくは55重量%以上,更に好ましくは70重量%以上、最も好ましくは80重量%以上である。また95重量%以下である必要があり、好ましくは92重量%以下である。前記合計含量が30〜95重量%の範囲にないと本発明の効果が十分に発揮されず好ましくない。
本発明の油脂組成物はSSUトリグリセリドを1〜60重量%含有する必要があり、好ましくは2重量%以上,より好ましくは5重量%以上,更に好ましくは10重量%以上である。また好ましくは55重量%以下,より好ましくは50重量%以下,更に好ましくは45重量%以下である。SSUトリグリセリドが下限未満であると本発明の油性食品の耐熱性及び固化速度が十分でなく好ましくない。また上限を超えると油性食品の食感が悪化し好ましくない。
本発明の油脂組成物はUSUトリグリセリドを15〜85重量%含有する必要があり、好ましくは25重量%以上,より好ましくは30重量%以上,更に好ましくは35重量%以上であり、最も好ましくは40重量%以上である。また好ましくは80重量%以下,より好ましくは75重量%以下、更に好ましくは70重量%以下である。USUトリグリセリドが下限未満であると相対的にSSU又はSSSが増加し本発明の油性食品の食感及びブルーム耐性が悪化し好ましくない。また上限を超えると油性食品の耐熱性が悪化し好ましくない。
本発明の油脂組成物はSSSトリグリセリドを1〜30重量%含有する必要があり、好ましくは1.5重量%以上,より好ましくは2重量%以上,更に好ましくは3重量%以上である。また好ましくは25重量%以下,より好ましくは20重量%以下、更に好ましくは15重量%以下、最も好ましくは10重量%以下である。SSSトリグリセリドが下限未満であると本発明の油性食品の耐熱性及び固化速度が十分でなく好ましくない。また上限を超えると油性食品の食感が悪化し好ましくない。
本発明の油脂組成物はSUSトリグリセリドを1〜66重量%含有することが好ましい。またより好ましくは10重量%以上,更に好ましくは20重量%以上、更により好ましくは30重量%以上、最も好ましくは40重量%以上である。またより好ましくは60重量%以下、更に好ましくは55重量%以下、最も好ましくは50重量%以下である。
本発明の油脂組成物はSUS、USU、SSU及びSSSトリグリセリド合計含量が60〜96重量%であることが好ましい。またより好ましくは65重量%以上,更に好ましくは75重量%以上、更により好ましくは80重量%以上、最も好ましくは85重量%以上である。またより好ましくは90重量%以下である。前記合計含量が60〜96重量%の範囲にないと本発明の効果が十分に発揮されず好ましくない。
本発明の油脂組成物はSUS、USU及びSSUトリグリセリド合計含量が49〜95重量%であることが好ましい。またより好ましくは55重量%以上,更に好ましくは60重量%以上、更により好ましくは70重量%以上、最も好ましくは80重量%以上である。またより好ましくは90重量%以下である。前記合計含量が49〜95重量%の範囲にないと本発明の効果が十分に発揮されず好ましくない。
本発明の油性食品は、本発明の油脂組成物を10重量%以上含んでいる必要があり、好ましくは20重量%以上、より好ましくは30重量%以上、更に好ましくは40重量%以上である。油脂組成物の含有が下限未満であると本発明の効果が十分に発揮されず好ましくない。
本発明の油性食品は、油性食品中に存在するSUSトリグリセリド100重量部に対し、SSU、USU及びSSSトリグリセリドを合計で50〜400重量部含有していることが好ましい。またより好ましくは65重量部以上,更に好ましくは80重量部以上である。またより好ましくは250重量部以下,さらに好ましくは180重量部以下、最も好ましくは130重量部以下である。ここで油性食品中に存在するSUSトリグリセリドは、油性食品に配合されるカカオマス、ココアパウダー又はココアバター等のカカオ原料由来であってもよいし、本発明の油脂組成物由来であってもよいが、前者の場合はノーテンパー型の油性食品でありながらカカオ原料を多量に配合できるため風味良好となる点で有利である。
本発明の油脂組成物はSSU、USU及びSSSの各トリグリセリドさらに好ましくはSUSトリグリセリドを含むが、それぞれのトリグリセリドを含有する油脂を三者以上混合して調製することもできるし、SSU、USU、SSS及びSUSから選択される2種以上のトリグリセリドを含有している油脂を使用して混合調整することもできる。
SSUを含有する油脂としては例えば、牛脂、豚脂の他、大豆油、なたね油、ひまわり種子油、綿実油、落花生油、米糠油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、カポック油、ゴマ油、月見草油、パーム油、シア脂、サル脂、イリッペ脂、乳脂、牛脂、豚脂等の植物油脂、動物油脂の1種以上の単独又は混合油、それらの加工油脂(硬化、分別及びエステル交換から選択される1種以上の加工工程を含む)が挙げられる。そのうち特に各種動植物油脂と脂肪酸及び/又は脂肪酸低級アルコールエステルとを用いて製造した酵素エステル交換油及びその分別油が好適に用いられる。
USUを含有する油脂としては例えば、豚脂の他、大豆油、なたね油、ひまわり種子油、綿実油、落花生油、米糠油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、カポック油、ゴマ油、月見草油、パーム油、シア脂、サル脂、イリッペ脂、乳脂、牛脂、豚脂等の植物油脂、動物油脂の1種以上の単独又は混合油、それらの加工油脂(硬化、分別及びエステル交換から選択される1種以上の加工工程を含む)が挙げられる。そのうち特に各種動植物油脂と脂肪酸及び/又は脂肪酸低級アルコールエステルとを用いて製造した酵素エステル交換油及びその分別油が好適に用いられる。
SSSを含有する油脂としては例えば、大豆油、なたね油、ひまわり種子油、綿実油、落花生油、米糠油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、カポック油、ゴマ油、月見草油、パーム油、シア脂、サル脂、イリッペ脂、乳脂、牛脂、豚脂等の植物油脂、動物油脂の硬化油又は分別油が挙げられる。そのうち特に極度硬化油が好適に用いられる。
SUSを含有する油脂としては、パーム油、シア脂、サル脂、イリッペ脂、ココアバター等の植物性油脂又はその分別油が挙げられる。また各種動植物油脂と脂肪酸及び/又は脂肪酸低級アルコールエステルとを用いて製造した酵素エステル交換油及びその分別油が挙げられる。
本発明の油脂組成物は構成脂肪酸中にトランス酸及びラウリン酸を実質的に含まない。具体的にはラウリン酸含量が5重量%未満、より好ましくは3重量%未満である。またトランス酸含量が5重量%未満、より好ましくは2重量%未満である。ノーテンパー型とは、かかる油性食品用油脂を用いて油性食品類を製造する場合において、温度調整処理(テンパリング処理)を省略し、冷却固化させる方法によっても油性食品類を作製することができるタイプであることを意味する。
以上のようにして得られた本発明の油脂組成物は、単独又は他の油脂を配合して油性食品用の油脂として使用することができ、テンパリング処理を省略してチョコレートやフィリング等の油性食品を製造することができる。なお、ここでいうチョコレートとは、規約(「チョコレート類の表示に関する公正規約」)乃至法規上の規定により限定されるものではなく、スイートチョコレート、ミルクチョコレート、準スイートチョコレート、準ミルクチョコレート、ホワイトチョコレート或いはストロベリーのようなカラーチョコレート、及びチョコレート類さらに油脂加工食品をも含む意味で使用する。
以下に実施例を記載するが、この発明の技術思想がこれらの例示によって限定されるものではない。なお、特に断らない限り%、部は重量基準を示す。
なお実施例1〜7、比較例1〜2の油脂組成物を使用したチョコレートは常温流通、常温喫食を前提に作成、評価した。また実施例8、比較例3〜4の油脂組成物を使用したチョコレートはチルド流通、チルド喫食を前提に作成、評価した。
(USU脂の作成)
菜種極度硬化油30部とオレイン酸エチル70部を混合し、既知の方法にて脱色を行った後、この混合物を市販の1,3特異性リパーゼによりエステル交換を行った。このエステル交換反応物を、既知の蒸留操作により脂肪酸エチルを除去してエステル交換油脂を得た。本油脂を既知の方法にて分別することにより高融点部を除去し、精製することにより、USU型トリアシルグリセロールを81重量%含有するUSU脂を得た。
(SSU脂の作成)
菜種極度硬化油30部とオレイン酸エチル70部を混合し、既知の方法にて脱色を行った後、この混合物を市販の1,3特異性リパーゼによりエステル交換を行った。このエステル交換反応物を、既知の蒸留操作により脂肪酸エチルを除去してエステル交換油脂を得た。本油脂を既知の方法にて分別することにより高融点部と低融点部を除去し、精製することにより、SSU型トリアシルグリセロールを85重量%含有するSSU脂を得た。
(実施例1〜7、比較例1〜2の油脂)
USU脂とSSU脂を75部対25部の割合で混合して実施例1の油脂を得た。
USU脂とSSU脂を48部対52部の割合で混合して実施例2の油脂を得た。
USU脂と菜種極度硬化油を96部対4部の割合で混合し、実施例3の油脂を得た。
実施例1の油脂と菜種極度硬化油を96部対4部の割合で混合し、実施例4の油脂を得た。
実施例2の油脂と菜種極度硬化油を96部対4部の割合で混合し、実施例5の油脂を得た。
USU脂と菜種極度硬化油を81部対19部の割合で配合し、実施例6の油脂を得た。
USU脂とパーム極度硬化油を81部対19部の割合で配合し、実施例7の油脂を得た。
USU脂を比較例1の油脂とした。
USU脂とSSU脂を22部対78部の割合で混合して比較例2の油脂を得た。
表1に実施例、及び比較例の油脂の分析値を示す。
Figure 2016140313
実施例1〜6、比較例1〜2によって得られた油脂を使用して、表2の配合にて常法に従い、チョコレート生地を調製した。(実施例1A〜6A、比較例1A,2A)
Figure 2016140313
実施例、及び比較例の油脂52重量部とココアバターを48重量部で混合し、上記チョコレート生地中の油脂部分に相当する油脂(実施例1B〜6B、比較例1B,2B)を得た。これら油脂の分析値を表3に示す。
Figure 2016140313
実施例1B〜6B、比較例1B,2Bの油脂を5℃に静置し、10分、60分後のSFC%を測定した。60分後のSFCを100%固化とした場合の10分後のSFCを固化速度(固化率%)として評価した。この結果を表4に示す。評価基準は40%以上を合格とした。
Figure 2016140313
(チョコレートの成型)
チョコレート生地を45℃にてカップに流し込み、テンパリング処理を施さずに、5℃冷蔵庫にて30分放置してチョコレートを急冷固化させ、さらに20℃にて1週間安定化後以下の評価を行った。結果を表5に示す。
(耐熱性評価)
各温度でのレオメータ応力のピーク値(3mm径のプランジャーを使用)を測定し、丁度150gfとなる温度を耐熱保形性限界温度とした。評価基準は常温流通時にも耐えうる必要がある観点から26℃以下を不合格とした。
(耐ブルーム性評価)
15℃の環境下に60日間放置し、チョコレートの表面の状態を評価した。
―(良好)、±(艶消失)、+(ブルーム発生)を示す。 +を不合格とした。
(食感評価)
食感(口どけ)の評価は、◎(優れる)、○(良好)、△(やや不良)、×(不良)を表す。
×を不合格とした。
Figure 2016140313
(固化速度の評価及びチョコレートでの評価)
上記結果のように、実施例1〜7の製菓用油脂を用いたチョコレートは、良好な耐熱性と、良好な食感、良好なブルーム耐性を示したが、比較例1の油脂組成物を用いたチョコレート比較例1Aは、食感は良好であるが、耐熱性は不合格で、固化速度も不合格であった。また比較例2の油脂組成物を用いたチョコレート比較例2Aは、耐熱性良好ではあるものの、ブルーム耐性が不合格、食感(口溶け)は合格ではあるが比較的悪かった。
(USU脂の作成)
パームステアリン(ヨウ素価11)20部とオレイン酸エチル80部を混合し、既知の方法にて脱色を行った後、この混合物を市販の1,3特異性リパーゼによりエステル交換を行った。このエステル交換反応物を、既知の蒸留操作により脂肪酸エチルを除去してエステル交換油脂を得た。本油脂を既知の方法にて分別することにより高融点部を除去し、精製することにより、USU型トリアシルグリセロールを65重量%含有するUSU脂を得た。
(SSU脂の作成)
パームステアリン(ヨウ素価11)20部とオレイン酸エチル80部を混合し、既知の方法にて脱色を行った後、この混合物を市販の1,3特異性リパーゼによりエステル交換を行った。このエステル交換反応物を、既知の蒸留操作により脂肪酸エチルを除去してエステル交換油脂を得た。本油脂を既知の方法にて分別することにより高融点部と低融点部を除去し、精製することにより、SSU型トリアシルグリセロールを76重量%含有するSSU脂を得た。
(実施例8、比較例3〜4の油脂)
USU脂とSSU脂を51部対49部の割合で混合して実施例8の油脂を得た。
USU脂を比較例3の油脂とした。
SSU脂を比較例4の油脂とした。
表6に実施例、及び比較例の油脂の分析値を示す。
Figure 2016140313
実施例7、比較例3〜4によって得られた油脂を使用して、表7の配合にて常法に従い、チョコレート生地を調製した。(実施例8A、比較例3A,4A)
Figure 2016140313
実施例、及び比較例の油脂55重量部とココアバターを45重量部で混合し、上記チョコレート生地中の油脂部分に相当する油脂(実施例8B、比較例3B,4B)を得た。これら油脂の分析値を表8に示す。
Figure 2016140313
実施例8B、比較例3B,4Bの油脂を5℃に静置し、10分、60分後のSFC%を測定した。60分後のSFCを100%固化とした場合の10分後のSFCを固化速度(固化率%)として評価した。この結果を表9に示す。評価基準は40%以上を合格とした。
Figure 2016140313
(チョコレートの成型)
チョコレート生地を45℃にてカップに流し込み、テンパリング処理を施さずに、5℃冷蔵庫にて60分放置してチョコレートを急冷固化させ、さらに10℃にて1週間安定化後以下の評価を行った。結果を表10に示す。
(耐熱性評価)
各温度でのレオメータ応力のピーク値(3mm径のプランジャーを使用)を測定し、丁度150gfとなる温度を耐熱保形性限界温度とした。評価基準は20℃以下を不合格とした。
(耐ブルーム性評価)
15℃の環境下に60日間放置し、チョコレートの表面の状態を評価した。
―(良好)、±(艶消失)、+(ブルーム発生)を示す。 +を不合格とした。
(食感評価)
食感(口どけ)の評価は、◎(優れる)、○(良好)、△(やや不良)、×(不良)を表す。
×を不合格とした。
Figure 2016140313
(固化速度の評価及びチョコレートでの評価)
上記結果のように、実施例8の油脂組成物を用いたチョコレートは、良好な耐熱性と、良好な食感、良好なブルーム耐性を示したが、比較例3の油脂組成物を用いたチョコレートは、食感は良好であるが、耐熱性は不合格で、固化速度も不合格であった。また比較例4の油脂組成物を用いたチョコレートは、耐熱性良好ではあるものの、ブルーム耐性が不合格、口溶け食感は合格ではあるが比較的悪かった。

Claims (4)

  1. 構成脂肪酸中にトランス酸及びラウリン酸を実質的に含まない油脂組成物であって、油脂組成物中にSSUトリグリセリドを1〜60重量%、USUトリグリセリドを15〜85重量%、SSSトリグリセリドを1〜30重量%含有し、SSU、USU及びSSSトリグリセリドの合計含量が30〜95重量%であることを特徴とする油性食品用油脂組成物。
    但し、
    S:炭素数16〜22の飽和脂肪酸
    U:炭素数18の不飽和脂肪酸
    SSU:トリグリセリドの1位及び2位、又は2位及び3位にSが、3位又は1位にUが結合したトリグリセリド
    USU:トリグリセリドの1,3位にUが、2位にSが結合したトリグリセリド
    SSS:トリグリセリドの1,2、3位にSが結合したトリグリセリドを意味する。
  2. 油脂組成物中にSUSトリグリセリドを1〜66重量%含有し、SUS、SSU、USU及びSSSトリグリセリドの合計含量が60〜96重量%で、SUS、SSU及びUSUトリグリセリドの合計含量が49〜95重量%であることを特徴とする請求項1に記載の油性食品用油脂組成物。
    但し、
    SUS:トリグリセリドの1,3位にSが、2位にUが結合したトリグリセリドを意味する
  3. 請求項1又は2に記載の油脂組成物を10重量%以上含んでなる油性食品。
  4. 油性食品中に存在するSUSトリグリセリド100重量部に対し、SSU、USU及びSSSトリグリセリドを合計で50〜400重量部含有していることを特徴とする請求項3に記載の油性食品。
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