JP2017093310A - 焼菓子練り込み用油脂組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1は、ヨウ素価52〜70のパーム軟部油と、炭素数20以上の飽和脂肪酸を50質量%以上含有する油脂とを、90:10〜50:50の質量比(前者:後者)で含有する油脂配合物をエステル交換したエステル交換油(A)を、油相中に5〜70質量%含有することを特徴とする複合菓子用油脂組成物に関するものである。
特許文献4には、焼菓子の原料の油脂として、25℃における固体脂含量が20%以上の常温で固体の油脂と、HLBが3以下であって、構成脂肪酸がC12-22 の飽和脂肪酸20〜80%とC16-22 の不飽和脂肪酸80〜20%とから成るショ糖脂肪酸エステル又はポリグリセリン脂肪酸エステルとからなる油脂組成物が開示されている。
特許文献3の方法は、エステル交換後にさらに分別を必要とする油脂を必須成分とするもので、その調製が煩雑という問題があった。また、特許文献4の方法では、固体脂含量が20℃で25%以上であるため、焼菓子調製時の練り込み作業性に問題があるとともに、焼菓子食感も硬くなるという問題があった。特許文献5〜6の方法では、それぞれ一定の白色化防止効果を有するものではあるが、やはりやや過酷な保存条件下では白色化防止効果が十分に満足できるものではなかった。
(1) トランス脂肪酸含有量が5重量%以下であり、固体脂含量(SFC値)が20℃で10〜30%、30℃で3〜10%、35℃で5%以下である油脂A100重量部に対し、
構成脂肪酸がパルミチン酸及び/またはステアリン酸が主体であるソルビタン飽和脂肪酸エステル、及び構成脂肪酸として炭素数6〜12の飽和脂肪酸10〜70重量%、炭素数14〜20の飽和脂肪酸30〜90重量%を含有し、かつHLB4以下であるポリグリセリン脂肪酸エステル、
から選択される1種以上の乳化剤Bを0.05〜3重量%含有する焼き菓子練り込み用油脂組成物。
(2) 油脂Aがパーム系油脂20〜60重量%及びラウリン系油脂40〜80重量%を含む混合油脂のエステル交換油を10〜70重量%含有する(1)記載の焼き菓子練り込み用油脂組成物。
(3) 油脂Aが、パーム系油脂20〜55重量%、ラウリン系油脂40〜75重量%及びベヘン酸を30重量以上含有する油脂の極度硬化油5〜15重量%含有する混合油脂のエステル交換油を10〜50重量%含有する(1)記載の焼き菓子練り込み用油脂組成物。
(4) 油脂Aが、さらにヨウ価64〜72のパーム軟質油のエステル交換油を20〜70重量%含有する(2)または(3)記載の焼き菓子練り込み用油脂組成物。
(5)乳化剤Bがソルビタントリステアレートである(1)〜(4)のいずれか1記載の焼菓子練り込み用油脂組成物。
(6)(1)〜(5)のいずれか1記載の焼菓子練り込み用油脂組成物を使用した焼菓子とチョコレート類を組み合わせた複合菓子。
(7)(1)〜(5)のいずれか1記載の焼菓子練り込み用油脂組成物を焼菓子に使用する、焼菓子とチョコレート類の組み合わせ複合菓子の製造方法。
一方、設定された配合において、水および水に溶解する成分、たとえば水溶性の風味素材などは水に混合し水相とする。なお、液糖を使用する場合など、水を使用しない配合においては、液糖に水溶性の成分を溶解ないし混合することもできる。
なお、実施態様がショートニングである場合は、水相の調製を行わず、それ以外はマーガリンと同様にコンビネーター等の油中水型乳化油脂組成物製造装置へ供し、適宜ガスを注入すれば、同様に得ることができる。
ヤシ油(ヨウ素価9)50重量%、パームステアリン(ヨウ素価40)40重量%、および高エルシン酸ナタネ極度硬化油(ベヘン酸含有量45重量%)10重量%からなる配合油を、ナトリウムメチラートによりランダムエステル交換を行いエステル交換油イを得た。本発明のエステル交換油A−1として利用した。
パームスーパーオレイン(ヨウ素価67)をナトリウムメチラートによりランダムエステル交換を行い、エステル交換油ロを得た。本発明のエステル交換油A−2として利用した。
パームオレイン(ヨウ素価56)を、ナトリウムメチラートによりランダムエステル交換を行いエステル交換油ハを得た。
パーム油(ヨウ素価52)50重量%およびパーム核オレイン(ヨウ素価25)50重量%からなる配合油を、ナトリウムメチラートによりランダムエステル交換を行いエステル交換油ニを得た。
パームオレイン(ヨウ素価56)70重量%およびパーム油(ヨウ素価52)30重量%からなる配合油を、ナトリウムメチラートによりランダムエステル交換を行い、得られたエステル交換油92重量%と高エルシン酸菜種極度硬化油8重量%を混合し、エステル交換油ホを得た。
(油脂組成物、ショートニングの調製)
実施例1〜2、比較例1〜4
以下の「ショートニング調製方法」に記載の方法により、各ショートニングを調製した。「ショートニング調製方法」
1.配合に記載の油脂を60〜70℃で融解し、乳化剤を混合、溶解して「調合油」とした。
2.調合油を油中水型乳化油脂組成物製造装置(コンビネーター)へ供し、油中水型乳化油脂組成物を得た。
3.ダンボールケースへ充填し、3〜7℃にて冷蔵した。
上記エステル交換油ニ30重量部、エステル交換油ホ30重量部、パーム軟質油(ヨウ素価67)40重量部、レシチン0.1重量部を融解し、乳化剤としてソルビタントリステアレート(商品名:ポエムS−65V、理研ビタミン株式会社製、以下STSと略す。)0.5重量部を混合、溶解して、上記調製方法によりショートニングタイプの本発明の油脂組成物を得た。
該油脂組成物の油脂のSFC値は、20℃で18.6%、30℃で6.7%、35℃で2.2%であった。
こうして、調製したショートニング及びチョコレートを用いて、複合菓子を下記のように調製し、複合菓子の白色化評価方法に供し、複合菓子の焼菓子表面の白色化状態を下記評価基準に従って評価し、その結果を表1に示した。
薄力粉95重量部、ショートニング60重量部、上白糖35重量部、全卵12重量部、ココアパウダー5重量部
1.ショートニング対粉60重量部、上白糖対粉35重量部を混合し、ケンミキサーを使用して攪拌し、比重を0.85まで下げた。
2.攪拌しながら、卵12重量部を加え、比重を0.8にした。
3.薄力粉95重量部及びココアパウダー5重量部を加え、軽く混ぜた後に、生地を冷蔵庫(3−7℃)で1時間以上休ませた。4.冷蔵庫で休ませた生地を5mm厚に展延し、型でぬいて180℃で15分焼成し、クッキー(一枚約7.5g)を得た。
砂糖42.8重量部、カカオマス24.3重量部、全脂粉乳11.1重量部、ココアバター10.8重量部、メラノNEWSS7(不二製油株式会社製のココアバター代用脂)10重量部、レシチン0.4重量部から成る配合で、常法通り、溶解し、ロール掛け、コンチング処理を行いチョコレートを得た。
チョコレートを湯煎にて溶解し、32℃でチョコシードA(不二製油株式会社製)を0.2重量部を加えた後均質化した。
2.焼成したクッキーを20℃で20分間冷却後に、溶解したチョコレートにクッキー表面が見える程度に埋没させ、チョコレート複合菓子を得た。
。(7.5gのクッキーに対し、22.5gのチョコレート)。
3. 得られた複合菓子を下記の3条件下で保存試験を行い、クッキーの白変化状態を確認した。評価は、焼き菓子表面の状態を熟練した評価者3名で確認し、3名の合意により点数付けした。
条件1:18℃/27℃サイクル(12時間/12時間)の温度サイクル
条件2:30℃、2時間放置後、5℃一定保存
条件3:30℃、2時間放置後、17℃一定保存
(評価基準)
1点:調製直後と変化がない状態
2点:ほぼ変化はないが焼き菓子表面に油脂結晶の小さな斑点がみられる状態
3点:全体に僅かな白色化が見られる状態
4点:全体に明確に白色化が確認できる状態
5点:全体が完全に白色化し、焼き菓子が白くカサついた状態
3点以下を合格とし、3点に留まる日数の長さで白色化抑制効果を対比した。
また、焼成後の焼菓子食感は、焼成後に20℃、1日保存後、上記評価者3名で評価した。
(評価基準)
◎:ソフトな食感で口溶け非常に良好。
○:ややソフトな食感で口溶け良好。
△:やや硬い食感で、やや口溶けが悪い。
×:硬い食感で口溶けが悪い。
上記エステル交換油イ25重量部、エステル交換油ロ60重量部、精製米糠油15重量部、レシチン0.1重量部を融解し、乳化剤としてSTS0.5重量部を混合、溶解して、上記調製方法によりショートニングタイプの本発明の油脂組成物を得た。
該油脂組成物の油脂のSFC値は、20℃で19.0%、30℃で6.4%、35℃で1.4%であった。
上記で得られたショートニングを使用し、実施例1同様に焼菓子及び複合菓子を調製し、複合菓子の白色化評価方法に供し、複合菓子の焼菓子表面の白色化状態を評価した。その結果を表1に示した。
上記エステル交換油イ35重量部、エステル交換油ロ60重量部、精製米糠油5重量部、レシチン0.1重量部を融解し、乳化剤としてSTS0.5重量部を混合、溶解して、上記調製方法によりショートニングタイプの本発明の油脂組成物を得た。
該油脂組成物の油脂のSFC値は、20℃で24.6%、30℃で8.0%、35℃で2.4%であった。
上記で得られたショートニングを使用し、実施例1同様に焼菓子及び複合菓子を調製し、複合菓子の白色化評価方法に供し、複合菓子の焼菓子表面の白色化状態を評価した。その結果を表1に示した。
実施例2において、乳化剤としてSTSを無添加に変更して、実施例1同様に焼菓子及び複合菓子を調製し、複合菓子の白色化評価方法に供し、複合菓子の焼菓子表面の白色化状態を評価した。その結果を表1に示した。
実施例3において、乳化剤としてSTSを無添加に変更して、実施例1同様に焼菓子及び複合菓子を調製し、複合菓子の白色化評価方法に供し、複合菓子の焼菓子表面の白色化状態を評価した。その結果を表1に示した。
上記エステル交換油ハ80重量部、エステル交換油ニ20重量部及びレシチン0.1重量部を融解し、乳化剤としてSTS0.5重量部を混合、溶解して、上記調製方法によりショートニングタイプの本発明の油脂組成物を得た。
該油脂組成物の油脂のSFC値は、20℃で27.8%、30℃で11.4%、35℃で6.1%であった。
上記で得られたショートニングを使用し、実施例1同様に焼菓子及び複合菓子を調製し、複合菓子の白色化評価方法に供し、複合菓子の焼菓子表面の白色化状態を評価した。その結果を表1に示した。
上記エステル交換油ホ100重量部及びレシチン0.1重量部を融解し、乳化剤としてSTS0.5重量部を混合、溶解して、上記調製方法によりショートニングタイプの本発明の油脂組成物を得た。
該油脂組成物の油脂のSFC値は、20℃で38.0%、30℃で12.1%、35℃で7.1%であった。
上記で得られたショートニングを使用し、実施例1同様に焼菓子及び複合菓子を調製し、複合菓子の白色化評価方法に供し、複合菓子の焼菓子表面の白色化状態を評価した。その結果を表1に示した。
実施例2において、乳化剤としてSTSの混合量を0.5重量部から1.5重量部に変更して、実施例1同様に油脂組成物、焼菓子及び複合菓子を調製し、複合菓子の白色化評価方法に供し、複合菓子の焼菓子表面の白色化状態を評価した。その結果を表2に示した。
実施例2において、乳化剤としてSTSの混合量を0.5重量部から2.5重量部に変更して、実施例1同様に油脂組成物、焼菓子及び複合菓子を調製し、複合菓子の白色化評価方法に供し、複合菓子の焼菓子表面の白色化状態を評価した。その結果を表2に示した。
実施例2において、乳化剤としてSTS0.5重量部に代えてSYグリスターTHL−15(阪本薬品工業株式会社製、以下THL−15と略す。)0.5重量部を混合し、実施例1同様に油脂組成物、焼菓子及び複合菓子を調製し、複合菓子の白色化評価方法に供し、複合菓子の焼菓子表面の白色化状態を評価した。その結果を表2に示した。
実施例2において、乳化剤としてSTS0.5重量部に代えてSYグリスターTHL−17(阪本薬品工業株式会社製、以下THL−17と略す。)を混合し、実施例1同様に油脂組成物、焼菓子及び複合菓子を調製し、複合菓子の白色化評価方法に供し、複合菓子の焼菓子表面の白色化状態を評価した。その結果を表2に示した。
実施例2において、乳化剤としてSTS0.5重量部に代えて、構成脂肪酸としてベヘン酸が主体として結合したSYグリスターHB750(阪本薬品工業株式会社製、以下HB750と略す。)を混合し、実施例1同様に油脂組成物、焼菓子及び複合菓子を調製し、複合菓子の白色化評価方法に供し、複合菓子の焼菓子表面の白色化状態を評価した。その結果を表2に示した。
実施例2において、乳化剤としてSTS0.5重量部に代えて、構成脂肪酸としてベヘン酸が主体として結合したSYグリスターDDB750(阪本薬品工業株式会社製、以下DDB750と略す。)を混合し、実施例1同様に油脂組成物、焼菓子及び複合菓子を調製し、複合菓子の白色化評価方法に供し、複合菓子の焼菓子表面の白色化状態を評価した。その結果を表2に示した。
Claims (7)
- トランス脂肪酸含有量が5重量%以下であり、固体脂含量(SFC値)が20℃で10〜30%、30℃で3〜10%、35℃で5%以下である油脂A100重量部に対し、
構成脂肪酸がパルミチン酸及び/またはステアリン酸が主体であるソルビタン飽和脂肪酸エステル、
及び構成脂肪酸として炭素数6〜12の飽和脂肪酸10〜70重量%、炭素数14〜20の飽和脂肪酸30〜90重量%を含有し、かつHLB4以下であるポリグリセリン脂肪酸エステル、
から選択される1種以上の乳化剤Bを0.05〜3重量%含有する焼き菓子練り込み用油脂組成物。 - 油脂Aがパーム系油脂20〜60重量%及びラウリン系油脂40〜80重量%を含む混合油脂のエステル交換油を10〜70重量%含有する請求項1記載の焼き菓子練り込み用油脂組成物。
- 油脂Aが、パーム系油脂20〜55重量%、ラウリン系油脂40〜75重量%及びベヘン酸を30重量以上含有する油脂の極度硬化油5〜15重量%含有する混合油脂のエステル交換油を10〜50重量%含有する請求項1記載の焼き菓子練り込み用油脂組成物。
- 油脂Aが、さらにヨウ価64〜72のパーム軟質油のエステル交換油を20〜70重量%含有する請求項2または請求項3記載の焼き菓子練り込み用油脂組成物。
- 乳化剤Bがソルビタントリステアレートである(1)〜(4)のいずれか1項に記載の焼菓子練り込み用油脂組成物。
- 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の焼菓子練り込み用油脂組成物を使用した焼菓子とチョコレート類を組み合わせた複合菓子。
- 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の焼菓子練り込み用油脂組成物を焼菓子に使用する、焼菓子とチョコレート類の組み合わせ複合菓子の製造方法。
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