JP4895784B2 - 固形ルウ用油脂組成物 - Google Patents
固形ルウ用油脂組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4895784B2 JP4895784B2 JP2006322306A JP2006322306A JP4895784B2 JP 4895784 B2 JP4895784 B2 JP 4895784B2 JP 2006322306 A JP2006322306 A JP 2006322306A JP 2006322306 A JP2006322306 A JP 2006322306A JP 4895784 B2 JP4895784 B2 JP 4895784B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- oil
- fat
- fatty acid
- mass
- solid roux
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Edible Oils And Fats (AREA)
- Seeds, Soups, And Other Foods (AREA)
Description
従来、固形ルウに使用する油脂としては、風味やコク味が良好であること及び常温で固体であることから、牛脂、豚脂、牛脂硬化油脂、豚脂硬化油指などが、主として使用されてきた。
しかし、これらの油脂を使用した固形ルウは、製造時の冷却条件や流通・販売条件下によっては、グレイニングやブルームと呼ばれる粗大結晶粒を形成することがあり、表面が白色化したり、ザラつきや触感の悪さを呈したりして、製品価値の全くないものになってしまうことがしばしば発生する。
また、これらの方法で得られた固形ルウ用油脂は固形ルウには適度な硬さとはならないため、他の油脂を多量に添加する必要があり、そのため得られた固形ルウの白色化(ブルーム)防止効果が十分なものではなかった。
しかし、特許文献5や特許文献7のように、豚脂や牛脂などの動物性油脂を使用したエステル交換油脂を用いる方法は、固化性や型剥れや常温でのスナップ性が悪化する問題があり、また、特許文献6の方法は、基本的には3種のパーム系油脂を併用することで融点調整を行っただけであり、固化性や型剥れや常温でのスナップ性が極めて悪いという問題があった。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、パーム極度硬化油脂を30〜60質量%含有し、脂肪酸組成において炭素数14以下の脂肪酸含量が5質量%未満であり、かつ炭素数16の飽和脂肪酸含量が40〜60質量%である油脂配合物をエステル交換したエステル交換油脂を5質量%以上含有し、
更に、その他の油脂として、、炭素数20以上の飽和脂肪酸を多く含む油脂である魚油の極度硬化油及び/又はハイエルシン菜種の極度硬化油を含有し、
脂肪酸組成において、炭素数20以上の飽和脂肪酸含量が1〜2質量%であることを特徴とする固形ルウ用油脂組成物を提供することにより、上記の目的を達成したものである。
また、本発明は、上記固形ルウ用油脂組成物を用いた固形ルウを提供することにより、上記の目的を達成したものである。
また、本発明は、上記固形ルウを用いた加工食品を提供することにより、上記の目的を達成したものである。
また、本発明の固形ルウ用油脂組成物を用いた固形ルウは、風味や口溶けが良好な加工食品を提供することができる。
まず、本発明の固形ルウ用油脂組成物について詳細に説明する。
本発明の固形ルウ用油脂組成物はパーム極度硬化油脂を30〜60質量%含有し、脂肪酸組成において炭素数14以下の脂肪酸含量が5質量%未満であり、かつ炭素数16の飽和脂肪酸含量が40〜60質量%である油脂配合物をエステル交換したエステル交換油脂を5質量%以上含有し、
更に、その他の油脂として、炭素数20以上の飽和脂肪酸を多く含む油脂である魚油の極度硬化油及び/又はハイエルシン菜種の極度硬化油を含有し、
脂肪酸組成において、炭素数20以上の飽和脂肪酸含量が1〜2質量%である。
このパーム極度硬化油脂は、極度硬化油指の中でも、脂肪酸組成において、炭素数18の飽和脂肪酸含量と炭素数16の飽和脂肪酸含量がほぼ50質量%ずつである点において極めて特徴的な油脂であり、パーム極度硬化油脂以外の極度硬化油指を使用すると本発明の効果は得られない。
そのため、上記パーム極度硬化油脂以外の油脂として、パーム油、パーム分別油などの、パルミチン酸を多く含み、且つ、パルミチン酸よりステアリン酸含量が少ない油脂を使用することが好ましい。
すなわち、本発明では、パーム極度硬化油脂以外の油脂として、パーム油、及び/又は、パーム分別油を使用することが好ましい。
上記化学的触媒としては、例えば、ナトリウムメチラート等のアルカリ金属系触媒が挙げられ、また、上記位置選択性のない酵素としては、例えば、アルカリゲネス(Alcaligenes) 属、リゾープス(Rhizopus)属、アスペルギルス(Aspergillus) 属、ムコール(Mucor) 属、ペニシリウム(Penicillium) 属等に由来するリパーゼが挙げられる。なお、該リパーゼは、イオン交換樹脂あるいはケイ藻土及びセラミック等の担体に固定化して、固定化リパーゼとして用いることもできるし、粉末の形態で用いることもできる。
この、必要に応じ加えるその他の油脂としては、食用に適する油脂であればよく、大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、オリーブ油、落花生油、米油、べに花油、ひまわり油等の常温で液体の油脂が挙げられるが、その他に、パーム油、パーム核油、ヤシ油、サル脂、マンゴ脂、乳脂、牛脂、乳脂、豚脂、カカオ脂、魚油、鯨油等の常温で固体の油脂も用いることができ、更に、これらの食用油脂に水素添加、分別、エステル交換等の物理的又は化学的処理の1種又は2種以上の処理を施した油脂を使用することもできる。本発明においては、これらの油脂を単独で用いることもでき、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
また、本発明の固形ルウ用油脂組成物を製造する際のいずれかの製造工程で、窒素、空気等を含気させても、させなくても構わない。
本発明の固形ルウは、本発明の固形ルウ用油脂組成物を、好ましくは25〜70質量%、更に好ましくは、30〜60質量%含有するものである。
本発明の固形ルウ用油脂組成物の配合量が25質量%より少ないと、ブルーム防止の効果が固形ルウに顕れないおそれがあることに加え、固形ルウを使用した加工食品に適度な粘性を付与できず、なめらかさに欠ける食感となってしまう場合がある。また、本発明の固形ルウ用油脂組成物の配合量が70質量%より多いと、固形ルウを使用した加工食品の粘度が低下し、また油っぽくなってしまう場合がある。
本発明の固形ルウは、一般的な固形ルウの製造方法を用いて製造することが出来るが、例えば、以下の製造方法で製造することができる。上述した本発明の固形ルウ用油脂組成物及び小麦粉を混合加熱し、必要に応じ、副原料を混合して、容器に流し込み、風冷等の冷却方法により冷却固化させることによって製造することができる。
カレールウの場合は、本発明の固形ルウ用油脂組成物を加熱溶解し、小麦粉を加えて混合物を作製し、該混合物を110〜120℃に達するまで撹拌しながら加熱焙焼した後、ここにカレー粉等の香辛料、食塩、糖類、調味料等の副材料を添加して、混合し、次いで、これを型に流し込み、風冷等の冷却方法により0〜25℃で5〜120分冷却して固化させることによって製造することができる。
なお、本発明の固形ルウを製造する際のいずれかの製造工程で、窒素、空気等を含気させても、させなくても構わない。
本発明の加工食品は、上述した本発明の固形ルウを使用して製造されたものであり、その具体例としては、ホワイトソース、デミグラスソース、カレーソース等のソースや、ホワイトシチュー、デミグラスシチュー、カレーシチュー等のシチューの他、パンのフィリング材、トッピング材、包餡生地の内包材等が挙げられる。本発明の固形ルウを使用して製造された本発明の加工食品は、良好な口溶け感を保ちながら適度のボディー感を有し、更には、冷蔵したり或いはレトルト処理を行った後においても、食感が硬くならずに良好な口溶け感を保つことが出来る。本発明の加工食品において、本発明の固形ルウの使用量は、特に限定はなく、目的とする個々の加工食品の所望とする食感や物性に応じて適宜選択することが出来るが、加工食品中、1〜40質量%であることが好ましく、10〜30質量%であることがさらに好ましい。本発明の加工食品の製造方法に特に限定はなく、例えば、従来使用していた固形ルウを本発明の固形ルウに代替することで、本発明の加工食品を得ることが出来る。
ヨウ素価51のパーム油65質量部、及び、ヨウ素価0のパーム油の極度硬化油35質量部を70℃にて混合溶解して得た油脂配合物を、ナトリウムメチラートを触媒として、非選択的エステル交換反応を行なった後、漂白(白土3%、85℃、9.3×102Pa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、4.0×102Pa以下の減圧下)を行ない、エステル交換油脂Aを得た。
エステル交換油脂Aの油脂配合物中の脂肪酸組成において、炭素数14以下の脂肪酸含量は1.4質量%、炭素数16の飽和脂肪酸含量が44.2質量%、炭素数18の飽和脂肪酸含量/炭素数16の飽和脂肪酸含量の値は0.5であった。
ヨウ素価51のパーム油を85質量部に変更し、ヨウ素価0のパーム油の極度硬化油を15質量部に変更した以外は製造例1と同様にして、エステル交換油脂Bを得た。
エステル交換油脂Bの油脂配合物中の脂肪酸組成において、炭素数14以下の脂肪酸含量は1.4質量%、炭素数16の飽和脂肪酸含量が44.1質量%、炭素数18の飽和脂肪酸含量/炭素数16の飽和脂肪酸含量の値は0.3であった。
ヨウ素価51のパーム油を25質量部に変更し、ヨウ素価0のパーム油の極度硬化油75質量部に変更した以外は製造例1と同様にして、エステル交換油脂Cを得た。
エステル交換油脂Cの油脂配合物中の脂肪酸組成において、炭素数14以下の脂肪酸含量は1.4質量%、炭素数16の飽和脂肪酸含量が44.3質量%、炭素数18の飽和脂肪酸含量/炭素数16の飽和脂肪酸含量の値は0.9であった。
ヨウ素価51のパーム油に代えてヨウ素価18のパーム核油を使用した以外は製造例1と同様にして、エステル交換油脂Dを得た。
エステル交換油脂Dの油脂配合物中の脂肪酸組成において、炭素数14以下の脂肪酸含量は44.9質量%、炭素数16の飽和脂肪酸含量が21.4質量%、炭素数18の飽和脂肪酸含量/炭素数16の飽和脂肪酸含量の値は0.9であった。
ヨウ素価0のパーム油の極度硬化油に代えてヨウ素価0のハイエルシン菜種油の極度硬化油を使用した以外は製造例1と同様にして、エステル交換油脂Eを得た。
エステル交換油脂Eの油脂配合物中の脂肪酸組成において、炭素数14以下の脂肪酸含量は0.9質量%、炭素数16の飽和脂肪酸含量が29.8質量%、炭素数18の飽和脂肪酸含量/炭素数16の飽和脂肪酸含量の値は0.5であった。
ヨウ素価0のパーム油の極度硬化油に代えてヨウ素価0の大豆油の極度硬化油を使用した以外は製造例1と同様にして、エステル交換油脂Fを得た。
エステル交換油脂Fの油脂配合物中の脂肪酸組成において、炭素数14以下の脂肪酸含量は0.9質量%、炭素数16の飽和脂肪酸含量が32.2質量%、炭素数18の飽和脂肪酸含量/炭素数16の飽和脂肪酸含量の値は1.0であった。
上記エステル交換油脂Aを98質量%、及び、ハイエルシン菜種油の極度硬化油(炭素数20以上の飽和脂肪酸を48質量%含有)2質量%からなる混合油を溶解したものを、急冷可塑化工程(冷却速度−20℃/分以上)にかけ、本発明の固形ルウ用油脂組成物を得た。
得られた固形ルウ用油脂組成物は、構成脂肪酸が全て飽和脂肪酸であるトリグリセリドの含有量が32.2質量%、構成脂肪酸が全て炭素数18の飽和脂肪酸であるトリグリセリドの含有量が1.4質量%、1,3位に炭素数16の飽和脂肪酸、2位に炭素数18のモノ不飽和脂肪酸が結合したトリグリセリドの含有量が5.0質量%であり、また、脂肪酸組成において、炭素数20以上の飽和脂肪酸含量が1.3質量%、トランス酸含量が0.5質量%であった。
得られた固形ルウ用油脂組成物を用いて、後述の配合・製法により、固形ルウ(カレールウ)、さらに加工食品(カレーソース)を製造した。
上記エステル交換油脂Aを70質量%、パーム中部油(POP含有量56.3質量%)28質量%、及び、ハイエルシン菜種油の極度硬化油2質量%からなる混合油を溶解したものを、急冷可塑化工程(冷却速度−20℃/分以上)にかけ、本発明の固形ルウ用油脂組成物を得た。
得られた固形ルウ用油脂組成物は、構成脂肪酸が全て飽和脂肪酸であるトリグリセリドの含有量が24.2質量%、構成脂肪酸が全て炭素数18の飽和脂肪酸であるトリグリセリドの含有量が1.2質量%、1,3位に炭素数16の飽和脂肪酸、2位に炭素数18のモノ不飽和脂肪酸が結合したトリグリセリドの含有量が19.4質量%であり、また、脂肪酸組成において、炭素数20以上の飽和脂肪酸含量が1.3質量%、トランス酸含量が0.4質量%であった。
得られた固形ルウ用油脂組成物を用いて、後述の配合・製法により、固形ルウ(カレールウ)、さらに加工食品(カレーソース)を製造した。
上記エステル交換油脂Aを50質量%、パーム油(POP含有量21質量%)48質量%、及び、ハイエルシン菜種油の極度硬化油2質量%からなる混合油を溶解したものを、急冷可塑化工程(冷却速度−20℃/分以上)にかけ、本発明の固形ルウ用油脂組成物を得た。
得られた固形ルウ用油脂組成物は、構成脂肪酸が全て飽和脂肪酸であるトリグリセリドの含有量が19.9質量%、構成脂肪酸が全て炭素数18の飽和脂肪酸であるトリグリセリドの含有量が0.9質量%、1,3位に炭素数16の飽和脂肪酸、2位に炭素数18のモノ不飽和脂肪酸が結合したトリグリセリドの含有量が15.2質量%であり、また、脂肪酸組成において、炭素数20以上の飽和脂肪酸含量が1.2質量%、トランス酸含量が0.5質量%であった。
得られた固形ルウ用油脂組成物を用いて、後述の配合・製法により、固形ルウ(カレールウ)、さらに加工食品(カレーソース)を製造した。
パームステアリン70質量%、パーム中部油28質量%、及び、ハイエルシン菜種油の極度硬化油2質量%からなる混合油を溶解したものを、急冷可塑化工程(冷却速度−20℃/分以上)にかけ、比較例の固形ルウ用油脂組成物を得た。
得られた固形ルウ用油脂組成物は、構成脂肪酸が全て飽和脂肪酸であるトリグリセリドの含有量が24.2質量%、構成脂肪酸が全て炭素数18の飽和脂肪酸であるトリグリセリドの含有量が0.4質量%、1,3位に炭素数16の飽和脂肪酸、2位に炭素数18のモノ不飽和脂肪酸が結合したトリグリセリドの含有量が23.2質量%であり、また、脂肪酸組成において、炭素数20以上の飽和脂肪酸含量が1.1質量%、トランス酸含量が0.4質量%であった。
得られた固形ルウ用油脂組成物を用いて、後述の配合・製法により、固形ルウ(カレールウ)、さらに加工食品(カレーソース)を製造した。
上記エステル交換油脂Aに代えて上記エステル交換油Bを使用した以外は実施例2と同様にして、比較例の固形ルウ用油脂組成物を得た。
得られた固形ルウ用油脂組成物は、構成脂肪酸が全て飽和脂肪酸であるトリグリセリドの含有量が15.8質量%、構成脂肪酸が全て炭素数18の飽和脂肪酸であるトリグリセリドの含有量が0.6質量%、1,3位に炭素数16の飽和脂肪酸、2位に炭素数18のモノ不飽和脂肪酸が結合したトリグリセリドの含有量が20.4質量%であり、また、脂肪酸組成において、炭素数20以上の飽和脂肪酸含量が1.3質量%、トランス酸含量が0.5質量%であった。
得られた固形ルウ用油脂組成物を用いて、後述の配合・製法により、固形ルウ(カレールウ)、さらに加工食品(カレーソース)を製造した。
上記エステル交換油脂Aに代えて上記エステル交換油Cを使用した以外は実施例2と同様にして、比較例の固形ルウ用油脂組成物を得た。
得られた固形ルウ用油脂組成物は、構成脂肪酸が全て飽和脂肪酸であるトリグリセリドの含有量が48.5質量%、構成脂肪酸が全て炭素数18の飽和脂肪酸であるトリグリセリドの含有量が5.4質量%、1,3位に炭素数16の飽和脂肪酸、2位に炭素数18のモノ不飽和脂肪酸が結合したトリグリセリドの含有量が17.2質量%であり、また、脂肪酸組成において、炭素数20以上の飽和脂肪酸含量が1.3質量%、トランス酸含量が0.3質量%であった。
得られた固形ルウ用油脂組成物を用いて、後述の配合・製法により、固形ルウ(カレールウ)、さらに加工食品(カレーソース)を製造した。
上記エステル交換油脂Aに代えて上記エステル交換油Dを使用した以外は実施例2と同様にして、比較例の固形ルウ用油脂組成物を得た。
得られた固形ルウ用油脂組成物は、構成脂肪酸が全て飽和脂肪酸であるトリグリセリドの含有量が47.8質量%、構成脂肪酸が全て炭素数18の飽和脂肪酸であるトリグリセリドの含有量が1.1質量%、1,3位に炭素数16の飽和脂肪酸、2位に炭素数18のモノ不飽和脂肪酸が結合したトリグリセリドの含有量が16.1質量%であり、また、脂肪酸組成において、炭素数20以上の飽和脂肪酸含量が1.1質量%、トランス酸含量が0.5質量%であった。
得られた固形ルウ用油脂組成物を用いて、後述の配合・製法により、固形ルウ(カレールウ)、さらに加工食品(カレーソース)を製造した。
上記エステル交換油脂Aに代えて上記エステル交換油Eを使用した以外は実施例2と同様にして、比較例の固形ルウ用油脂組成物を得た。
得られた固形ルウ用油脂組成物は、構成脂肪酸が全て飽和脂肪酸であるトリグリセリドの含有量が9.7質量%、構成脂肪酸が全て炭素数18の飽和脂肪酸であるトリグリセリドの含有量が0.8質量%、1,3位に炭素数16の飽和脂肪酸、2位に炭素数18のモノ不飽和脂肪酸が結合したトリグリセリドの含有量が17.4質量%であり、また、脂肪酸組成において、炭素数20以上の飽和脂肪酸含量が15.3質量%、トランス酸含量が0.3質量%であった。
得られた固形ルウ用油脂組成物を用いて、後述の配合・製法により、固形ルウ(カレールウ)、さらに加工食品(カレーソース)を製造した。
上記エステル交換油脂Aに代えて上記エステル交換油Fを使用した以外は実施例2と同様にして、比較例の固形ルウ用油脂組成物を得た。
得られた固形ルウ用油脂組成物は、構成脂肪酸が全て飽和脂肪酸であるトリグリセリドの含有量が23.5質量%、構成脂肪酸が全て炭素数18の飽和脂肪酸であるトリグリセリドの含有量が3.2質量%、1,3位に炭素数16の飽和脂肪酸、2位に炭素数18のモノ不飽和脂肪酸が結合したトリグリセリドの含有量が17.7質量%であり、また、脂肪酸組成において、炭素数20以上の飽和脂肪酸含量が1.4質量%、トランス酸含量が0.2質量%であった。
得られた固形ルウ用油脂組成物に用いて、後述の配合・製法により、固形ルウ(カレールウ)、さらに加工食品(カレーソース)を製造した。
上記エステル交換油脂Aに使用した油脂配合物をエステル交換せずそのまま使用した以外は実施例2と同様にして、比較例の固形ルウ用油脂組成物を得た。
得られた固形ルウ用油脂組成物は、構成脂肪酸が全て飽和脂肪酸であるトリグリセリドの含有量が27.5質量%、構成脂肪酸が全て炭素数18の飽和脂肪酸であるトリグリセリドの含有量が3.2質量%、1,3位に炭素数16の飽和脂肪酸、2位に炭素数18のモノ不飽和脂肪酸が結合したトリグリセリドの含有量が27.8質量%であり、また、脂肪酸組成において、炭素数20以上の飽和脂肪酸含量が1.3質量%、トランス酸含量が0.4質量%であった。
得られた固形ルウ用油脂組成物に用いて、後述の配合・製法により、固形ルウ(カレールウ)、さらに該固形ルウを使用して、加工食品(カレーソース)を製造した。
固形ルウ用油脂組成物350g及び小麦粉320gを釜に投入し、かき混ぜながら120℃まで加熱した後、火を止め、さらにかき混ぜた。約100℃まで下がった時点で、引き続きかき混ぜながら、食塩100g、上砂糖50g、カレー粉90g、調味料90gを順次添加し、さらにかき混ぜ、次いで、これを直径50mmの型に厚さ10mmに流し込み、20℃で60分冷却・固化させ、本発明の固形ルウ(固形カレールウ)を得た。
冷却・固化時の固化性について、また、型剥れ性について下記の基準により評価し、表1に記載した。
上記固形ルウは、25℃に調温した後、手での折りやすさ(スナップ性)を比較して下記の評価基準により評価し、結果を表1に記した。
また、上記固形ルウを25℃の恒温室にて保管し、製造直後から4週間後まで、1週間ごとに固形ルウの表面状態(ブルーム)を観察し、下記の評価基準により評価し、結果を表1に記した。
また、更に上記固形ルウを20質量%含有するカレーソースを常法により作成し、品温45℃におけるカレーソースの風味と口溶けを下記の評価基準により評価し、結果を表1に記した。
◎:爽快なスナップ性を有し、極めて良好である。
○:良好である。
△:やや不良である。
×:べたつきがあり不良である。
◎:良好な艶を有しており、白色化は見られなかった。
○:白色化は見られなかったが、やや艶が失われていた。
△:艶がなく、ややざらついている。
×:白色化し、ざらつきがある。
○ :流し込み5分未満でほぼ流動性がなくなり、良好である。
△ :流し込み5分でもやや流動性があり、やや不良である。
× :流し込み10分でも流動性があり、不良である。
○ :良好である。
△ :やや不良である。
× :不良である。
◎ :非常に良好である。
○ :良好である。
△ :やや不良である。
× :不良である。
◎ :爽快な口溶けを有し、極めて良好である。
○ :良好である。
△ :若干ワキシー感あり、やや不良である。
× :ワキシー感が強く、不良である。
パーム極度硬化油脂の含有量が30〜60質量%の範囲外である油脂配合物を使用した場合は、例えば、30質量%未満である比較例2の固形ルウは、型剥れと固化性が不良であり、スナップ性は極めて悪かった。また、60質量%超である比較例3の固形ルウは、保管時のブルーム耐性が不良であり、また該固形ルウを使用して得られたカレーソースは口溶けが不良であった。
また、油脂配合物中の炭素数14以下の脂肪酸含量が10質量%超である比較例4の固形ルウは、型剥れと固化性が極めて悪く、スナップ性も不良であった。また該固形ルウを使用して得られたカレーソースは風味にコクがなかった。
また、パーム極度硬化油脂を含む油脂配合物をエステル交換せずに使用した比較例7の固形ルウ用油脂組成物を使用して得られた固形ルウは、スナップ性が悪く、また、保管時のブルーム耐性も不良であった。また、該固形ルウを使用して得られたカレーソースは口溶けが極めて悪かった。
Claims (9)
- パーム極度硬化油脂を30〜60質量%含有し、脂肪酸組成において炭素数14以下の脂肪酸含量が5質量%未満であり、かつ炭素数16の飽和脂肪酸含量が40〜60質量%である油脂配合物をエステル交換したエステル交換油脂を5質量%以上含有し、
更に、その他の油脂として、炭素数20以上の飽和脂肪酸を多く含む油脂である魚油の極度硬化油及び/又はハイエルシン菜種の極度硬化油を含有し、
脂肪酸組成において、炭素数20以上の飽和脂肪酸含量が1〜2質量%であることを特徴とする固形ルウ用油脂組成物。 - 油脂配合物中の脂肪酸組成において、炭素数18の飽和脂肪酸含量/炭素数16の飽和脂肪酸含量の値が1未満であることを特徴とする請求項1記載の固形ルウ用油脂組成物。
- 構成脂肪酸が全て飽和脂肪酸であるトリグリセリドの含有量が20〜35質量%であることを特徴とする請求項1又は2記載の固形ルウ用油脂組成物。
- 構成脂肪酸が全て炭素数18の飽和脂肪酸であるトリグリセリドの含有量が0〜2質量%であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の固形ルウ用油脂組成物。
- 1、3位に炭素数16の飽和脂肪酸、2位に炭素数18のモノ不飽和脂肪酸が結合したトリグリセリドの含有量が10〜30質量%であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の固形ルウ用油脂組成物。
- トランス酸を実質的に含有しないことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の固形ルウ用油脂組成物。
- 請求項1〜6の何れか1項に記載の固形ルウ用油脂組成物を用いた固形ルウ。
- 請求項7記載の固形ルウを用いた加工食品。
- 請求項7記載の固形ルウを製造する方法であって、請求項1〜6の何れか1項に記載の固形ルウ用油脂組成物及びその他の原料を混合溶解した後、型に流し込み、冷却固化させることを特徴とする固形ルウの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006322306A JP4895784B2 (ja) | 2006-11-29 | 2006-11-29 | 固形ルウ用油脂組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006322306A JP4895784B2 (ja) | 2006-11-29 | 2006-11-29 | 固形ルウ用油脂組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008131922A JP2008131922A (ja) | 2008-06-12 |
JP4895784B2 true JP4895784B2 (ja) | 2012-03-14 |
Family
ID=39557222
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006322306A Active JP4895784B2 (ja) | 2006-11-29 | 2006-11-29 | 固形ルウ用油脂組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4895784B2 (ja) |
Families Citing this family (12)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4767215B2 (ja) * | 2007-05-23 | 2011-09-07 | 日清オイリオグループ株式会社 | ルウ用油脂組成物 |
JP5107094B2 (ja) * | 2008-02-28 | 2012-12-26 | 株式会社Adeka | 固形ルウ用油脂組成物 |
JP5209453B2 (ja) * | 2008-12-02 | 2013-06-12 | 日清オイリオグループ株式会社 | 油脂組成物 |
WO2010064592A1 (ja) * | 2008-12-02 | 2010-06-10 | 日清オイリオグループ株式会社 | ルウ用油脂組成物及びルウ |
JP5739343B2 (ja) * | 2009-10-02 | 2015-06-24 | ハウス食品グループ本社株式会社 | 塩味が補強又は増強された食品組成物及び異味が抑制された塩化カリウム含有組成物 |
JP5936823B2 (ja) * | 2010-04-27 | 2016-06-22 | 日清オイリオグループ株式会社 | ルウ用油脂 |
JP5901136B2 (ja) * | 2011-04-12 | 2016-04-06 | 日清オイリオグループ株式会社 | ルウ用油脂及びそれを用いたルウ |
JP5850647B2 (ja) * | 2011-06-03 | 2016-02-03 | 日清オイリオグループ株式会社 | ルウ用油脂及びそれを用いたルウ |
WO2013061671A1 (ja) * | 2011-10-25 | 2013-05-02 | 株式会社J-オイルミルズ | 油脂組成物 |
JP6324064B2 (ja) * | 2013-12-26 | 2018-05-16 | ミヨシ油脂株式会社 | 即席調理食品用油脂組成物とそれを用いた即席調理食品 |
JP6717570B2 (ja) * | 2014-06-17 | 2020-07-01 | ミヨシ油脂株式会社 | 即席調理食品用油脂組成物とそれを用いた即席調理食品 |
WO2022065416A1 (ja) * | 2020-09-25 | 2022-03-31 | 不二製油グループ本社株式会社 | ランダムエステル交換油 |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4277414B2 (ja) * | 2000-03-16 | 2009-06-10 | 株式会社カネカ | 油脂組成物 |
JP2006288233A (ja) * | 2005-04-07 | 2006-10-26 | Kaneka Corp | 低トランス・ルー用油脂組成物 |
-
2006
- 2006-11-29 JP JP2006322306A patent/JP4895784B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2008131922A (ja) | 2008-06-12 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4895784B2 (ja) | 固形ルウ用油脂組成物 | |
JP4606406B2 (ja) | 複合菓子用油脂組成物 | |
JP5777895B2 (ja) | コーティング用油脂組成物 | |
JP5107094B2 (ja) | 固形ルウ用油脂組成物 | |
JP2005350660A (ja) | 可塑性油脂組成物 | |
JP6505979B2 (ja) | 複合菓子用油脂組成物 | |
JP2007252203A (ja) | 離型油組成物 | |
JP4493585B2 (ja) | 油脂性素材配合焼菓子練り込み用油脂組成物 | |
JP5917262B2 (ja) | 油脂組成物 | |
JP4390678B2 (ja) | 流動状油脂組成物 | |
JP6041080B1 (ja) | 新規なロールインマーガリン | |
JP2015089350A (ja) | 流動状油脂組成物 | |
JP6204074B2 (ja) | アイシング用油脂組成物 | |
JP6767160B2 (ja) | 複合菓子用油脂組成物 | |
JP2013215171A (ja) | 魚肉加工食品用油脂組成物及び魚肉加工食品 | |
JP6606992B2 (ja) | 焼菓子練り込み用油脂組成物 | |
JP2005320445A (ja) | パームステアリン含有可塑性油脂組成物 | |
JP5191083B2 (ja) | 長期のブルームが抑制された可塑性油脂組成物 | |
JP7226925B2 (ja) | 油脂を連続相とする油脂組成物 | |
JP6189016B2 (ja) | クリーミング性改良油脂を含有する可塑性油脂組成物 | |
JP6679207B2 (ja) | 可塑性油脂組成物 | |
JP2007135443A (ja) | 可塑性油脂組成物 | |
JP6947516B2 (ja) | 製菓用油脂組成物 | |
JP2007267654A (ja) | 製パン練込用油脂組成物 | |
JP2019088208A (ja) | 焼菓子用油脂組成物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20090907 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20110125 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20110222 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20110419 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20110809 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20111101 |
|
A911 | Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20111118 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20111220 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20111220 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 4895784 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150106 Year of fee payment: 3 |