JP4277414B2 - 油脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はコレステロールを含有せず、トランス型脂肪酸が少量しか存在せず、かつ、油脂の結晶化速度が速い油脂組成物と、その機能を活用してコレステロールを含有せず、トランス型脂肪酸が少量しか存在しない加工食品に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近の消費者の食品に対する要望において以前にも増して健康指向的要素や天然指向的要素が大きくなっていることは周知の事実である。
【0003】
例えば加工食品のひとつであるカレールー、ハヤシルー、シチュールー等の固形ルーは小麦粉、食用油脂、調味料等を混合加熱処理して製造されるが、この食用油脂には精製牛脂又は硬化牛脂及び精製ラード又は硬化ラードまたはこれらの混合油が多く使用されている。しかし、牛脂及びラードはコレステロールが多く含有されており、健康イメージが劣るものである。
【0004】
健康イメージのあまりよくない牛脂およびラードを原料源としない場合、固形ルー用に適した融点43℃〜50℃をもつ植物油の種類は少なく一般的に使用されている油脂原料では分別油を含めたパーム油系油脂しかない。分別パーム油の高融点部の融点は45℃〜50℃、あるいは50℃以上あるものもあり、精製パーム油等を含めたパーム油軟質部を適当な比率で混合すれば固形カレールー等に使用する油脂に適した融点45℃前後に調製することは可能である。
【0005】
一方、固形ルーに用いる油脂にはルーをトレーに充填後、一定の雰囲気温度下で短時間に固化することが要望される。別の言葉でいえば油脂の結晶化速度が速いことが必要である。また、固形カレールーや固形ハヤシルーは経日するに従い白色化現象を起こし、著しく商品価値を下げることがあるが、この原因の一部はルー製造時の冷却条件やルーに使用する油脂特性に起因すると考えられる。
【0006】
従って、固形カレールーや固形ハヤシルーに使用する油脂には、気温の変化で油脂がしみ出して白色化現象の原因のひとつにならないようにしたり、経日により結晶が粗大化して商品価値を下げないような機能も必要である。しかし、上述したような分別パーム油高融点部とパーム油軟質部を単に混合調製するだけではこの機能は付与できないことは周知の事実である。この問題を解決するために、水素添加した硬化油が一般的に用いられている。しかし、水素添加して硬化させる場合、極度硬化に近いレベルまで水素添加しなければトランス型脂肪酸が発生する。このトランス型脂肪酸については、近年、健康に対する影響が取りざたされており、医学的見地の知見は別としてトランス型脂肪酸を含有する油脂は健康イメージが劣るものである。実際、トランス型脂肪酸は天然油脂中に存在する量が少ないため、この含有率が多い油脂は消費者の天然指向ニーズに適さない。
【0007】
そこで上記の課題を解決しようとして特開昭58−198245で炭素原子数22個の飽和脂肪酸を20〜60重量%含有する成分を植物油を含む油脂に含有させることによりチョコレート等のグレーニングを防止しようとする試みがあるが、この成分は著しく融点が高く、又、結晶も析出しやすい。そのため、例えば、この方法で作製した固形カレールーからカレーを作った時、少し温度が下がると使用した油脂の結晶化がおこり口当たりがわるくなるという欠点がある。
【0008】
また、特開平5−1297にパーム油起源油脂と炭素原子数22個の飽和脂肪酸を多く含有する植物性油脂を混合したエステル交換油脂の提案がされているが、この方法で作製した油脂は結晶化速度が遅い。
【0009】
このように現在はコレステロールを含有せず、トランス型脂肪酸の含有率が少なく、かつ、油脂の結晶化速度が速い油脂は提案されていないのが現状である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、コレステロールを含有せず、また、トランス型脂肪酸の含有量が少なく、かつ、結晶化速度が速い油脂組成物を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
我々は鋭意検討の結果、精製パーム油、パーム油を溶剤分別又は無溶剤分別をして得られる高融点部、低融点部、中融点部、これらの硬化油からなる群から選択される少なくとも1種のパーム油起源の油脂と、炭素原子数18個の飽和脂肪酸を80重量%以上含有する植物性油脂であってヨウ素価が3以下の極度硬化油とを混合しエステル交換を行うことにより、得られた油脂組成物がコレステロールを含有せず、トランス型脂肪酸の含有量が少なく、かつ、結晶化速度が速いという知見を得、本発明を完成するに至った。
【0012】
また、この発明油脂組成物にパーム油起源油脂を添加含有させても従来油脂に比し結晶化速度が速い油脂組成物が得られる技術を完成したものである。
【0013】
即ち、本発明の第1は、パーム油起源の油脂と炭素原子数18個の飽和脂肪酸残基を80%以上持つ植物性油脂の混合物をエステル交換して得られることを特徴とする油脂組成物に関する。好ましい実施態様としては、上記記載の油脂組成物とパーム油起源の油脂を含んでなる油脂組成物に関する。
【0014】
本発明の第2は、上記記載の油脂組成物を用いてなる加工食品に関する。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に本発明について詳細に説明する。尚、以下の説明において百分率及び配合部比率は全て重量単位とした。
【0016】
本発明におけるパーム油起源油脂とは、精製パーム油、さらにパーム油を溶剤分別又は無溶剤分別をして得られる高融点部、低融点部さらには中融点部、さらにこれらの硬化油のいずれでもよく、また、これらを単独或いは2種類以上を混合して用いても良い。硬化したものを用いる場合には、ヨウ素価10以下にすることが好ましく、更に好ましくは、ヨウ素価が3以下にすることである。ヨウ素価が10を越える硬化油はトランス型脂肪酸の残存率が多くなる為あまり好ましくない。
【0017】
本発明における炭素原子数18個の飽和脂肪酸残基を80%以上持つ植物性油脂とは、食用に供される植物性油脂で上記記載の範囲の油脂であれば特に限定されない。例えば、ヨウ素価10以下、望ましくはヨウ素価3以下に硬化したローエルシンなたね油、大豆油、コーン油、ライスオイル、綿実油、サフラワー油、サンフラワー油等が挙げられ、これらを分別、エステル交換、硬化したものを単独或いは2種以上混合して用いても良い。硬化したものを用いる場合には、ヨウ素価10以下にすることが好ましく、更に好ましくは、ヨウ素価が3以下にすることである。ヨウ素価が10を越える硬化植物油はトランス型脂肪酸の残存率が多くなる為あまり好ましくない。
【0018】
本発明の油脂組成物を作製するためのパーム起源油脂と炭素原子数18個の飽和脂肪酸残基を80%以上持つ植物性油脂の混合比率限界はない。この混合比率は本発明油脂組成物を使用する加工食品に要求される融点や結晶化速度等の必要機能に応じて決定するのが望ましい。
【0019】
本発明におけるエステル交換反応方法は、ランダムエステル交換できるものであれば公知の方法でよく、例えば、ソジウムメチラート等のアルカリ金属触媒を用いる化学的エステル交換反応や位置特異性を有しないリパーゼ等の酵素を用いる生物学的エステル交換反応等が挙げられる。
【0020】
このようにして得られた、油脂組成物はパーム油起源油脂と適宜混合して使用することが出来る。混合使用する比率は、特に限定されないが、油脂組成物が全体の40%以上であると発明の効果を奏しやすいので好ましい。
【0021】
本発明における油脂組成物のトランス型脂肪酸含有率は5%以下が好ましく、更に好ましくは、3%以下である。この理由は天然脂肪にトランス型脂肪酸が存在する量は通常3%以下である。天然脂肪中で多いといわれる牛脂のトランス型脂肪酸量でも5%以下であり、その他の天然脂肪はより少ない。この実状から考察すると日本で一般的に消費されている天然油脂はトランス型脂肪酸量が5%以下であり、5%を越えて含有すると天然脂肪とかけはなれる為、望ましくない。
【0022】
本発明の油脂組成物を使用することの出来る加工食品は、コレステロールを含有せず、トランス型脂肪酸が少なく、かつ、油脂の結晶化速度が速いことを期待される加工食品であればあらゆる用途に適応できる。具体的には、ロールインマーガリンを含む全マーガリン類、ショートニング、ホイップクリーム類をはじめフライ油、スプレードライ製法で生産されるものを含む粉末スープ類や固形カレールー、固形クリームシチュールー、固形ハヤシルー等の全固形ルー等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0023】
また、本発明の油脂組成物は、必要性に応じて各種乳化剤、酸化防止剤、味付け材やフレーバー等を添加混合して用いることは何ら問題ない。
【0024】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を示して本発明における油脂組成物について更に説明するが、この例示は本発明を限定するものではない。
【0025】
まず、本発明の油脂組成物の結晶化速度が優れていることを説明する。
【0026】
結晶化速度の評価方法は、各実施例及び比較例の油脂組成物を70℃に昇温溶解後、60℃エアーバスで30分間保管後、20℃エアーバスに移行後10分後の固体脂含量をNMRで測定し比較評価した。参考に同じく3日後の固体脂含量も測定した。NMRはPraxis社のSFC−900を使用した。融点は社団法人日本油化学会編「基準油脂分析試験法」2.2.4.2(上昇融点)に則り測定した。トランス型脂肪酸量は社団法人日本油化学会編「基準油脂分析試験法」2.4.2.1脂肪酸組成(FID恒温ガスクロマト法)に則り、機種はHEWRETT PACKARD社製、形式5890で測定した。
【0027】
評価に用いた試料は以下のように調製を行った。
(実施例1)
無溶剤分別パーム油高融点部(ヨウ素価38.7,融点50.6℃。以下、PHFと呼称する)90%と極度硬化ローエルシンなたね油(ヨウ素価1.8,融点63.5℃、炭素原子数18個の飽和脂肪酸を91.5%含有。以下、LERSと呼称する)を10%を混合し、ソジウムメチラートを反応触媒に使用してエステル交換を行った。常法に従って白土処理及び脱臭処理を行い、油脂組成物を得た。この油脂組成物のトランス型脂肪酸含有率は0.8%であった。
(実施例2)
実施例1の油脂組成物60部と精製パーム油(ヨウ素価53.7,融点34.2℃。以下、RPOと呼称する)40部を添加混合し、油脂組成物を得た。この油脂組成物のトランス型脂肪酸含有率は0.7%であった。
(実施例3)
溶剤分別パーム油高融点部(ヨウ素価33.2,融点55.3℃。以下、SPHFと呼称する)95%とLERS5%を混合し、実施例1と同様にエステル交換・処理を行い油脂組成物を得た。この油脂組成物のトランス型脂肪酸含有率は0.8%であった。
(比較例1)
PHF100%の油脂組成物。この油脂組成物のトランス型脂肪酸含有率は0.8%であった。
(比較例2)
PHF100%を実施例1と同様にエステル交換・処理を行い油脂組成物を得た。この油脂組成物のトランス型脂肪酸含有率は0.8%であった。
(比較例3)
PHF90%と極度硬化ハイエルシンなたね油(ヨウ素価1.7,融点67.3℃、炭素原子数18個の飽和脂肪酸を38.1%含有。以下、HERSと呼称する)10%を混合し、実施例1と同様にエステル交換・処理を行い油脂組成物を得た。この油脂組成物のトランス型脂肪酸含有率は0.8%であった。
(比較例4)
比較例3の油脂組成物60部にRPO40部を添加混合して油脂組成物を得た。この油脂組成物のトランス型脂肪酸含有率は0.8%であった。
(比較例5)
SPHF95%とHERS5%を混合し、実施例1と同様にエステル交換・処理を行い油脂組成物を得た。この油脂組成物のトランス型脂肪酸含有率は0.8%であった。
【0028】
以上の実施例1〜3、比較例1〜5の油脂組成物の融点及び結晶化速度を測定し、比較を行った。その結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
表1からわかるように、実施例1のLERSを10%配合してエステル交換した油脂組成物は融点47.3℃で20℃エアーバスの保管時間が10分間で固体脂含量が38.8%であった。
【0030】
これに対して、比較例1のPHF100%は融点が49.0℃と比較的高いにもかかわらず20℃保管時間10分間の固体脂含量が23.7%、また、比較例2のPHF100%をエステル交換した油脂組成物も融点が49.1℃と比較的高いにもかかわらず、20℃保管時間10分間の固体脂含量31.2%であった。比較例3のHERSを10%配合してエステル交換した油脂組成物は20℃保管時間10分間の固体脂含量28%であった。比較例1〜3の油脂組成物の融点は実施例1とほぼ同等であるにもかかわらず、実施例1より20℃保管10分間経過時の固体脂含量は少なかった。即ち、実施例1は、比較例1〜3と比較して結晶化速度がはやいと言える。
【0031】
実施例2のLERSを10%配合してエステル交換した油脂にRPO40%混合した油脂組成物は、20℃保管10分後の固体脂含量が23.7%であるのに対して、融点がほぼ同等である比較例4のHERSを10%配合してエステル交換した油脂組成物にRPO40%混合したものは、20℃保管10分後の固体脂含量17.5%であり、結晶化速度が遅かった。実施例2は比較例4に比べて結晶化速度がはやいと言える。
【0032】
実施例3のSPHFにLERSを混合してエステル交換した油脂組成物は、20℃保管10分後の固体脂含量81.7%であったのに対して、融点がほぼ同等である比較例5のHERSを混合してエステル交換を行った油脂組成物は20℃保管10分後の固体脂含量71.0%であり、実施例3は比較例5に対して結晶化速度がはやいと言える。
【0033】
次に油脂組成物を使用した固形カレールーを調製し、経日によるカレールーの白色化評価を行った。
【0034】
まず、固形カレールー作製条件を述べる。カレールー材料配合は焙焼小麦粉40g、油脂組成物35g、カレー粉10g、食塩7g、砂糖6g、グルタミン酸ソーダ2gとした。作製方法はステンレス鍋に油脂組成物を入れ100℃まで加熱する。次に焙焼小麦粉を入れ撹拌しながら残りの材料全部を加える。材料は120℃まで昇温後、同温度で約5分間攪拌した後、撹拌しながら品温60℃まで冷却する。その後、シャーレ(プラスチック製、直径8.5cm、高さ1.5cm)に作製したカレールー70gを計量し、5℃エアーバスで10分間冷却する。その後、30℃エアーバスに移行し保管する。
【0035】
次に固形カレールーの白色化の評価法について述べる。30℃エアーバスに保管したシャーレに入れた固形カレールーは経日10日、20日、30日の3回、20℃エアーバスに1時間放置後、下記判定基準で白色化程度を評価した。
(固形カレールーの白色化評価基準)
・5点=全く白色化していない。
・4点=わずか白色化が認められる
・3点=全体面積の1/8程度白色化している
・2点=全体面積の1/4程度白色化している
・1点=全体面積の1/2以上白色化している。
【0036】
次に、実施例及び比較例の油脂組成物を説明する。
(実施例4)
PHF55%とRPO40%とLERS5%を混合し、実施例1と同様にエステル交換・処理を行い油脂組成物を得た。この油脂組成物のトランス型脂肪酸含有率は0.8%であった。
(実施例5)
PHF50%とRPO40%とLERS10%を混合し、実施例1と同様にエステル交換・処理を行い油脂組成物を得た。この油脂組成物のトランス型脂肪酸含有率は0.7%であった。
(実施例6)
PHF40%とRPO40%とLERS20%を混合し、実施例1と同様にエステル交換・処理を行い油脂組成物を得た。この油脂組成物のトランス型脂肪酸含有率は0.8%であった。
(実施例7)
PHF55%とRPO40%と極度硬化大豆油(ヨウ素価1.5、融点63.5℃、炭素原子数18個の飽和脂肪酸を88.1%含有。以下、HSBと呼称する)5%を混合し、実施例1と同様にエステル交換・処理を行い油脂組成物を得た。この油脂組成物のトランス型脂肪酸含有率は0.9%であった。
(実施例8)
PHF50%とRPO40%とHSB10%を混合し、実施例1と同様にエステル交換・処理を行い油脂組成物を得た。この油脂組成物のトランス型脂肪酸含有率は0.8%であった。
(実施例9)
PHF40%とRPO40%とHSB20%を混合し、実施例1と同様にエステル交換・処理を行い油脂組成物を得た。この油脂組成物のトランス型脂肪酸含有率は0.8%であった。
(比較例6)
PHF60%とRPO40%の混合し油脂組成物を得た。この油脂組成物のトランス型脂肪酸含有率は0.8%であった。
(比較例7)
PHF60%とRPO40%を混合し、実施例1と同様にエステル交換・処理を行い油脂組成物を得た。この油脂組成物のトランス型脂肪酸含有率は0.8%であった。
(参考例)
硬化牛脂(ヨウ素価45.3,融点45.1℃、トランス酸含有率7.2%)50%と硬化ラード(ヨウ素価49.4,融点45.5℃、トランス酸含有率31.5%)50%の混合油。この油脂組成物のトランス型脂肪酸含有率は19.4%であった。実施例4〜9、比較例6,7、参考例の固形カレールーの白色化テスト評価結果を表2に示す。
【0037】
【表2】
実施例4〜9で示した本発明の油脂組成物で作製した固形カレールーは30日間の間、30℃エアーバスに保管しても白色化は起こらなかった。それに対して、比較例6,7で示したパーム系油脂の混合油やパーム系油脂のみのランダムエステル交換反応油は、固形カレールーの表面に早期に白色化が発生し商品価値を落し、望ましくないものであった。
【0038】
また、参考例で示した一般的に固形カレールーやハヤシカレールーに使用されている硬化牛脂と硬化ラードの混合油は経日でも、白色化現象をおこすことはなかった。しかし、硬化油のためトランス型脂肪酸を19.4%含み、また、動物油であるためコレステロールの含有がある。
【0039】
つまり、実施例4〜9のパーム系油脂とLERSの混合エステル交換油で作製した固形カレールーは、参考例と同等に経日による白色化抑制に著しい効果を示し、且つ参考例に含有されているコレステロールを含有せず、トランス型脂肪酸が少なく、固形カレールーの商品性を維持する油脂組成物であった。
【0040】
次にパーム系油脂とLERSの混合エステル交換油にパーム系油脂を後添加混合した油脂組成物で作製した固形カレールーの経日による白色化評価結果を説明する。
【0041】
固形カレールーの作製方法及び評価方法は前述した方法と同一方法で行った。以下に各実施例及び比較例の油脂組成物を説明する。
(実施例10)
PHF90%とLERS10%を混合し、実施例1と同様にエステル交換・処理して得た油脂組成物40部にRPO60部を混合して油脂組成物を得た。この油脂組成物のトランス型脂肪酸含有率は0.8%であった。
(実施例11)
PHF90%とLERS10%を混合し、実施例1と同様にエステル交換・処理して得た油脂組成物60部にRPO40部を混合して油脂組成物を得た。この油脂組成物のトランス型脂肪酸含有率は0.7%であった。
(実施例12)
PHF90%とLERS10%を混合し、実施例1と同様にエステル交換・処理して得た油脂組成物80部にRPO20部を混合して油脂組成物を得た。この油脂組成物のトランス型脂肪酸含有率は0.8%であった。
(実施例13)
PHF90%とHSB10%を混合し、実施例1と同様にエステル交換・処理して得た油脂組成物40部にRPO60部を混合して油脂組成物を得た。この油脂組成物のトランス型脂肪酸含有率は0.8%であった。
(実施例14)
PHF90%とHSB10%を混合し、実施例1と同様にエステル交換・処理して得た油脂組成物60部にRPO40部を混合して油脂組成物を得た。この油脂組成物のトランス型脂肪酸含有率は0.8%であった。
(実施例15)
PHF90%とHSB10%を混合し、実施例1と同様にエステル交換・処理して得た油脂組成物80部にRPO20部を混合して油脂組成物を得た。この油脂組成物のトランス型脂肪酸含有率は0.8%であった。
(比較例8)
PHF100%のエステル交換反応油60部にRPO40部を添加、混合して油脂組成物を得た。この油脂組成物のトランス型脂肪酸含有率は0.8%であった。
(比較例9)
PHF100%のエステル交換反応油50部にRPO40部とLERS10部を添加、混合した油脂組成物。この油脂組成物のトランス型脂肪酸含有率は0.8%であった。
(比較例10)
PHF100%のエステル交換反応油50部にRPO40部とHSB10部を添加、混合した油脂組成物。この油脂組成物のトランス型脂肪酸含有率は0.8%であった。
【0042】
評価結果を表3に示す。
【0043】
【表3】
実施例10〜15のパーム系油脂とLERS又はHSBを混合し、エステル交換したものにパーム系油脂を後添加した油脂組成物を使用して作製した固形カレールーは、30℃エアーバスに30日間保管しても白色化は発生せず、固形カレールー用油脂として優れた機能を持つものであった。それに対して、比較例8のパーム系油脂のみをランダムエステル交換した油脂組成物を使用して作製した固形カレールーや比較例9〜10のパーム系油脂にLERSやHSBを添加、混合した固形カレールーは短い経日日数で激しい白色化が発生した。
【0044】
【発明の効果】
叙上の通り、本発明はコレステロールを含まず、トランス型脂肪酸含有率5%以下であり、かつ、結晶化速度が速い油脂組成物を得ることができた。また、加工食品のひとつである固形カレールーにこの油脂組成物を使用すると、長期間白色化現象が発生しない良好な製品を得ることができた。
Claims (5)
- 精製パーム油、パーム油を溶剤分別又は無溶剤分別をして得られる高融点部、低融点部、中融点部、これらの硬化油からなる群から選択される少なくとも1種のパーム油起源の油脂と、炭素原子数18個の飽和脂肪酸残基を80%以上持つ植物性油脂であってヨウ素価が3以下の極度硬化油との混合物をエステル交換して得られることを特徴とする油脂組成物。
- 前記極度硬化油が、極度硬化ローエルシンなたね油又は極度硬化大豆油である請求項1記載の油脂組成物。
- 請求項1又は2に記載の油脂組成物と前記パーム油起源の油脂を含んでなる油脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の油脂組成物を用いてなる加工食品。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の油脂組成物を用いてなる固形ルー。
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