JP4930217B2 - バタークリーム用油脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、フィリング、トッピング、及びサンド用途に好適に使用されるバタークリーム用油脂組成物及びこれを原料とするバタークリームに関する。
バタークリームは、無水クリームあるいは油中水型クリームであり、クッキー、ビスケット、バターケーキ等のフィリング、トッピング及びサンド用途等に使用されている。例えば、ビスケットやゴーフル等におけるサンド用途には、ショートニング形態の油脂組成物を原料とし、これに粉糖及び呈味成分等を混合・撹拌して製造された無水のバタークリームが使用されている。また、ケーキのフィリング、トッピング、サンド用途にはショートニングまたはマーガリンの形態の油脂組成物を原料とし、これにシロップ、呈味成分などを混合し撹拌して製造されたバタークリームが使用されている。
これらバタークリームを製造する際に使用される油脂組成物に求められる性能としては、油脂組成物に呈味成分等を混合・撹拌し、さらにこれをホイップし保形するので、液状、固体状ではなく、適度な硬さを有する可塑性が必要である。また、季節に対応し広い温度範囲での可塑性、ホイップ性が要求される。また、その油脂組成物を使用して製造したバタークリームでは、口当たりや口溶け等の良好な食感が求められる。
これまでは、このような性能が求められる油脂組成物の原料として各種動植物油脂の部分硬化油(部分水添油)が広く用いられてきた。これら部分硬化油には、通常、構成脂肪酸中にトランス酸が10〜50質量%程度含まれており、トランス酸の結晶特性により、可塑性、ホイップ性、口溶けの良さなどのバタークリーム用油脂組成物に求められる機能が得られる。
トランス酸は、天然油脂中にはほとんど存在せず、反芻動物由来の油脂に10質量%未満含まれているに過ぎない。近年の研究では、このトランス酸が血漿中のLDL/HDLコレステロール比を増大させ、循環器疾患の原因となるとの報告がある。このように、トランス酸を過剰摂取することが健康へ悪影響を及ぼす懸念があるため、油脂中のトランス酸含量を少なくした方が好ましく、デンマークでは、2004年より国内の食品について油脂中のトランス酸含有率を2%以下にしなければならないとの制限を設けている。そのため、バタークリーム用油脂組成物中のトランス酸の含有量は2%以下が一つの目標とされる。
トランス酸を含む部分硬化油を用いたバタークリーム用油脂組成物に代替する油脂組成物としては、パーム系油脂を用いた油脂組成物(特許文献1)、エステル交換油(特許文献2)、可塑性油脂に特定の油脂を添加した油脂組成物(特許文献3)が開示されている。
しかし、特許文献1に記載されている油脂組成物では、可塑性が十分でなく、特定の乳化剤を使用しなければホイップ性が得られない、さらに、製造したバタークリームの口溶け感に劣るといった問題があった。
特許文献2に記載されているエステル交換油の使用では、油脂の可塑性と製造されるバタークリームの口溶けの良さを両立させることが難しく、開示される組成では可塑性が十分ではないとの問題があった。
また、特許文献1及び2において記載されている油脂組成物は、その目的に応じて、油脂組成物の可塑性をその都度ごとに設計する必要がある。一方、特許文献3に記載されている油脂組成物は、特定の添加油脂を製造し、これをマーガリン、ショートニングとして使用される汎用の可塑性油脂組成物に添加することで、ホイップ性、可塑性のある油脂組成物を製造することができる。この場合、特定の添加油脂を硬さの異なる可塑性油脂に添加することにより、1種の添加用油脂から様々な硬さのバリエーションのバタークリーム用油脂組成物を製造でき、広い使用目的での汎用性を得ることができることになる。しかし、特許文献3に開示される油脂組成物は、トランス酸を含む部分硬化油を用いた場合と比較し、充分なホイップ性が得られないといった問題があった。
特開平8−47373号公報 特開平9−165595号公報 特開2005−60614号公報
以上のように、バタークリーム用油脂組成物には良好な可塑性、ホイップ性、バタークリームを製造した際の良好な口溶けが求められ、トランス酸を含む部分硬化油を用いた場合、これらの物性を全て満たす油脂組成物が要望されている。しかしながら、トランス酸を含まずに、これらの物性において、優れた性能を示すバタークリーム用油脂組成物は未だ提供されていない。
本発明は、特定の添加用油脂(A成分)と特定範囲の硬さを有する可塑性油脂(B成分)とを一定の範囲内で配合することで、従来の部分硬化油を用いたバタークリーム用油脂組成物と同程度以上の物性を維持できる、バタークリーム用油脂組成物を提供するものである。
本発明は下記の発明である。
本発明における第1の発明は、A成分として下記の添加用油脂10〜30質量部、B成分として15℃のSFCが15〜40、20℃のSFCが10〜35、25℃のSFCが5〜30である可塑性油脂70〜90質量部含む、トランス酸の含有量が2%以下のバタークリーム用油脂組成物である。
A成分:構成脂肪酸中の炭素数8〜14の飽和脂肪酸含量が50〜70質量%、炭素数16〜18の飽和脂肪酸含量が20〜35質量%、及び炭素数20〜24の飽和脂肪酸含量が10〜25質量%であるエステル交換油脂。
本発明における第2の発明は、A成分が構成脂肪酸に炭素数8〜14の飽和脂肪酸を50質量%以上含む油脂と、炭素数20〜24の飽和脂肪酸を50質量%以上含む油脂とのエステル交換油である第1の発明のバタークリーム用油脂組成物である。
本発明における第3の発明は、第1又は2の発明の油脂組成物を原料とし5〜40℃の温度で起泡したバタークリームである。
本発明における第1の発明によれば、特定の添加用油脂を特定の範囲の硬さの可塑性油脂に添加することで、トランス酸の含有量が少ない油脂組成物であるにも関わらず、可塑性及びホイップ性に優れ、製造されるバタークリームの口溶けが良好な油脂組成物を提供できる。
本発明のバタークリーム用油脂組成物は特定の添加用油脂と可塑性油脂からなり、添加用油脂を硬さの異なる特定の可塑性油脂に添加することにより、様々なバリエーションのバタークリーム用油脂を製造できるので、広い汎用性がある。
本発明における第2の発明によれば、第1の発明におけるA成分について、原料の供給性から、より工場生産性良く製造可能なバタークリーム用油脂組成物を提供できる。
本発明における第3の発明によれば、口溶けが良好なバタークリームを提供できる。
本発明に使用するバタークリーム用油脂組成物は、A成分として下記の添加用油脂10〜30質量部、B成分として15℃のSFCが15〜40、20℃のSFCが10〜35、25℃のSFCが5〜30である可塑性油脂70〜90質量部含む、トランス酸の含有量が2%以下のバタークリーム用油脂組成物である。
(A成分)
本発明に使用するA成分の油脂は、B成分の可塑性油脂に添加することにより、B成分の油脂の可塑性を保ちながら、油脂組成物のホイップ性を高め、製造されるバタークリームの口溶けを良好とする成分である。
本発明に使用するA成分の油脂は、構成脂肪酸中の炭素数8〜14の飽和脂肪酸含量が50〜70質量%、炭素数16〜18の飽和脂肪酸含量が20〜35質量%、及び炭素数20〜24の飽和脂肪酸含量が10〜25質量%であるエステル交換油脂である。
さらに、炭素数12の飽和脂肪酸を30〜40質量%、炭素数22の飽和脂肪酸を8〜18質量%含む油脂であり、構成脂肪酸の炭素数の総和が36〜48であるトリアシルグリセロールを60〜80質量%含むエステル交換油脂であることが好ましい。
炭素数8〜14の飽和脂肪酸量が50質量%に満たない場合、製造されるバタークリームの口溶けが悪くなり、70質量%を超えるとバタークリーム製造時のホイップ性が十分ではなくなることがある。炭素数16〜18の飽和脂肪酸が20質量%に満たない場合、後述するB成分に添加しても得られるバタークリーム用油脂組成物の可塑性が十分ではないことがある。炭素数16〜18の飽和脂肪酸が35質量%を超えるとバタークリーム製造時のホイップ性が十分ではなく、また、製造されるバタークリームの口溶けが悪くなることがある。炭素数20〜24の飽和脂肪酸量が10質量%に満たない場合、バタークリーム製造時のホイップ性が十分ではないことがあり、25質量%を超えると製造されるバタークリームの口溶けが悪くなることがある。
本願発明において、炭素数8〜14の飽和脂肪酸としては、炭素数12の飽和脂肪酸が、炭素数20〜24の飽和脂肪酸としては炭素数22の飽和脂肪酸の効果が大きい。また、炭素数の総和が36〜48であるトリアシルグリセロールを多く含むものが、バタークリーム製造時のホイップ性、製造されるバタークリームの口溶けが良好となるので好ましい。
本発明におけるA成分は、炭素数16以上の飽和脂肪酸が35〜50質量%以上であることが好ましい。炭素数16以上の飽和脂肪酸がこの範囲内であれば、後述するB成分に添加した際、得られたバタークリーム用油脂組成物の可塑性が損なわれることがない。さらに、より好ましい炭素数16以上の飽和脂肪酸含量は40〜45質量%である。この範囲内であると、得られたバタークリーム用油脂組成物の可塑性がより良好となる。
本発明のA成分の添加用油脂は、炭素数8〜14の飽和脂肪酸を構成成分に50質量%以上含む植物油脂と炭素数20〜24の飽和脂肪酸を構成成分に50質量%以上含む植物油脂とをエステル交換したエステル交換油脂であることが好ましい。
炭素数8〜14の飽和脂肪酸を構成成分に50質量%以上含む植物油脂としては、パーム核油、ヤシ油等のようにヤシ科の種子から得られる油脂、及びそれらを分別、水素添加した極度硬化油が挙げられる。
炭素数20〜24の飽和脂肪酸を構成成分に50質量%以上含む植物油脂としては、ハイエルシン菜種油を水素添加した極度硬化油、ハイエルシン菜種油を分別、水素添加した極度硬化油が挙げられる。
本発明のA成分の添加用油脂の具体例としては、ヤシ極度硬化油65〜80質量部とハイエルシン菜種極度硬化油20〜35質量部の混合油のエステル交換油脂が例示できる。
ここで、極度硬化油は、油脂構成脂肪酸に含まれる脂肪酸の二重結合が水素添加により飽和された油脂であり、そのヨウ素価は1以下である。
水素添加は、原料油脂に、主にニッケル触媒を用いて、水添開始温度を120〜160℃、最高温度が180〜230℃となるようにコントロールしながら、水素を注入することによって行うことができる。
エステル交換はナトリウムメチラート等のアルカリ触媒を用いた方法、あるいはリパーゼ等の酵素触媒を用いた方法等が挙げられる。
本発明のA成分の添加用油脂を製造する際、水素添加した後、その極度硬化油をエステル交換する方法、エステル交換を行った後、そのエステル交換油を水素添加する方法のどちらを用いても良い。
本発明に使用するA成分の添加用油脂の融点は、35〜45℃が好ましい。融点がこの範囲であれば、後述するB成分の可塑性油脂に添加することにより、得られるバタークリーム用油脂組成物のホイップ性及びクリームの口溶けが良好となるので好ましい。さらに、より好ましいA成分の融点は、35〜40℃である。この範囲内であると、クリームの口溶けがより良好となる。また、SFCが15℃で65〜90、20℃で50〜75、25℃で35〜65であることが好ましい。A成分のSFCが上記の範囲では、後述するB成分に添加した際、B成分の可塑性を損なうことが少ないので好ましい。A成分の融点やSFCの調整は、エステル交換する油脂の種類及び配合比率を調整することにより行うことができる。
(B成分)
本発明におけるB成分は、バタークリーム用油脂組成物のベース油脂成分であり、A成分を添加してもバタークリーム用油脂組成物に適度の可塑性を維持できる成分である。
本発明は、上記記載の添加用油脂であるA成分を、B成分である15℃のSFCが15〜40、20℃のSFCが10〜35、25℃のSFCが5〜30である可塑性油脂に10〜30質量部添加する。
本発明では、B成分の油脂の15℃、20℃、25℃のSFCをそれぞれ上記の範囲とすることにより、バタークリームの製造時における作業性、バタークリームのホイップ性、保形性を確保することができる。また、季節に対応し広い温度範囲での作業・製品の流通が可能となる。ホイップ性の観点からは15℃のSFCが15〜30、20℃のSFCが10〜25、25℃のSFCが5〜20である可塑性油脂が好ましい。
また、A成分の添加油脂は可塑性のない硬い油脂成分であるが、可塑性のあるB成分に添加されることにより、バタークリーム用油脂組成物において適度な可塑性が得られる。
B成分のSFCが上記の範囲を外れる場合、A成分を添加したとしても、得られたバタークリーム用油脂組成物は充分なホイップ性や可塑性を持たないものとなってしまう場合や製造されるバタークリームの口溶けが悪くなる場合がある。
本発明におけるB成分は、20℃で固体状あるいは半固体状の油脂と20℃で液状の植物油を混合することで製造できる。
20℃で固体状あるいは半固体状の油脂とは、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、ラードのような天然の可塑性油脂、及びそれらを分別した油脂、天然の油脂の極度硬化油、それらのエステル交換油等が挙げられ、それらを1種又は2種以上選択することができる。
また、20℃で液状の植物油は、例えば、菜種油、コーン油、大豆油、米油、米糠油、ヒマワリ油、ハイオレイックヒマワリ油、サフラワー油、ハイオレイックサフラワー油、オリーブ油、綿実油、あるいはそれらの分別油等が挙げられ、それらを1種又は2種以上選択することができる。
(バタークリーム用油脂組成物)
本発明のバタークリーム用油脂組成物は、上記記載のA成分である添加用油脂を10〜30質量部、B成分の油脂70〜90質量部に添加した油脂組成物である。
A成分の含有量が10質量部未満の場合、すなわちB成分の含有量が90質量部を超える場合、より可塑性の良いバタークリーム用油脂組成物を得ることができるが、ホイップ性能は著しく劣ることになる。
A成分の含有量が30質量部を超える場合、すなわちB成分の含有量が70質量部未満の場合、得られたバタークリーム用油脂組成物の可塑性が悪くなる。
本発明のバタークリーム用油脂組成物の形態は、ショートニングやマーガリンを挙げることができる。
本発明のバタークリーム用油脂組成物はA成分及びB成分の油脂を混合したものであるが、ショートニング又はマーガリンの形態であってもよい。ショートニング又はマーガリンは、例えば、以下のような製造方法により製造することができる。
ショートニング形態の油脂組成物の場合は、まず、連続相となる油脂成分(この場合、本発明のバタークリーム用油脂組成物)を加熱溶解し、これに各種乳化剤を溶解もしくは分散させる。これをボテーター、コンビネーター、パーフェクター等により急冷捏和処理し、さらに場合によっては熟成(テンパリング)することによって得ることができる。さらに、油相にはトコフェロール、香料、着色料等、その他油溶性の添加物を添加することができる。
マーガリンの形態の油脂組成物の場合は、まず、連続相となる油脂成分(本発明のバタークリーム用油脂組成物)を加熱溶解し、これに各種乳化剤を溶解もしくは分散させる。これに水を加え、ボテーター、コンビネーター、パーフェクター等により急冷捏和処理し、さらに場合によっては熟成(テンパリング)することによって得ることができる。水相の含有量は、マーガリン形態の油脂組成物100質量部中に10〜15質量部であることが好ましい。さらに、油相にはトコフェロール、香料、着色料等、その他油溶性の添加物を、水相には、食塩、粉乳、濃縮乳、香料、呈味成分、その他水溶性添加物等を添加することができる。
ショートニング及びマーガリンは、加熱後、急冷捏和処理して製造されるが、この際の加熱条件は60〜70℃で、10〜25℃まで急冷し捏和することが好ましい。
ショートニング及びマーガリンを製造する際に添加する乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、リン脂質等の乳化剤が挙げられる。これらの乳化剤は、単独で用いることもでき、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
(バタークリーム)
本発明のショートニング又はマーガリン形態のバタークリーム用油脂組成物に水溶性成分や呈味成分等を加えて、これを起泡することにより、バタークリームを製造することができる。
水溶性成分や呈味成分としては、例えば、砂糖等の結晶状態の糖類、シロップ、水飴等の液状の糖類、粉乳や練乳等の乳製品類、粉末卵黄等の卵類、ココアパウダー等のカカオ製品類、果肉ジャム類、果汁類、チーズ類、ピーナッツペースト等のナッツ類を挙げることができるが、特に限定されるものではない。
バタークリームを起泡するためには、撹拌/混合装置であれば特に限定されるものではなく、例えば、縦型ミキサー、連続ホイップマシーン等を用いて行うことができる。起泡時の温度は5〜40℃の温度が好ましい。10〜25℃の範囲で起泡すると短時間で起泡でき、ホイップ性が良好なのでより好ましい。
また、バタークリームを製造する場合、原料となる本発明のバタークリーム用油脂組成物はバタークリーム100質量部中30〜90質量部含有させることが好ましい。30質量部より少ないとバタークリームの乳化状態が反転したり、バタークリームの保型性が悪くなったりする。また、90質量部より多いと、バタークリームが油っぽくなり、風味が悪化しやすい。
以下に、実施例及び比較例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1に実施例及び比較例に使用する油脂成分の構成脂肪酸組成の分析例を示す。脂肪酸含有量は基準油脂分析法2.4.2.1−1996にて分析を行った。
〔製造例A−1〜A−13:A成分〕
本発明ではA成分として以下の製造例A−1〜A−13を下記の水素添加方法、エステ交換方法を用いて製造した。
製造例A−1
:パーム核極度硬化油、ハイエルシン菜種極度硬化油のエステル交換油
製造例A−2、3、4、7、9
:ヤシ極度硬化油、ハイエルシン菜種極度硬化油のエステル交換油
製造例A−5
:ヤシ極度硬化油、パーム核油、ハイエルシン菜種極度硬化油のエステル交換油
製造例A−6
:ヤシ極度硬化油、ハイエルシン菜種極度硬化油の配合油
製造例A−8
:ハイエルシン菜種極度硬化油、菜種油のエステル交換油
製造例A−10
:ヤシ油、ハイエルシン菜種極度硬化油、大豆油のエステル交換油
製造例A−11
:パーム核油、パーム極度硬化油のエステル交換油
製造例A−12
:菜種油を定法により部分水添した油脂(ヨウ素価:71.2)
製造例A−13
:魚油を定法により部分水添した油脂(ヨウ素価:70.8)
〔製造例B−1〜B−4:B成分〕
また、本発明ではB成分として以下の製造例B−1〜B−4を用いた。
製造例B−1:パーム油、ヤシ極度硬化油、菜種油の配合油
製造例B−2:パーム油70質量部とパーム核油30質量部とのエステル交換油、
ヤシ極度硬化油、菜種油の配合油
製造例B−3:ヤシ極度硬化油
製造例B−4:菜種油
(水素添加方法)
極度硬化油の水素添加方法及び条件を以下に示す。反応器中に原料油を仕込み、水素を0.1MPaの圧力で吹き込みながら、撹拌しつつ150℃まで加熱した。その後、ニッケル触媒0.1〜0.2質量部を反応器内に投入し、190℃で水素を0.3MPaの圧力で吹き込みながら、撹拌し水素を添加した。ヨウ素価を基準油脂分析法2.3.4.1−1996にて分析し、その値が1以下になった時点で水素の吹き込み及び撹拌を止め、反応を停止した。その後、油温を100〜120℃に冷却し白土を3質量部加えて濾過した。
(エステル交換方法)
エステル交換油の反応方法及び条件を以下に示す。反応容器に原料混合油を仕込み、窒素気流中、撹拌しつつ加熱した。100℃〜120℃の状態で3時間以上この状態を保ち、油脂中の水分が100ppm以下になるまで脱水した。その後、油脂を80℃まで冷却し、アルカリ触媒(ナトリウムメチラート)を0.1〜0.2質量部加え、撹拌下窒素気流中で30分間反応させた。触媒除去のため、反応液に70℃の温水を加え撹拌して洗浄した後、静置して油層と水層を分離した。分離した水層のpHが8以下になるまで温水洗浄を繰り返した後、窒素気流中、撹拌しつつ加熱し、100℃〜120℃で水分が蒸発しなくなるまで脱水した。次いで、活性白土を3質量部加え15分間脱色した後、濾過した。
製造例A−1〜A−13の油脂の配合、炭素数8〜14、炭素数16〜18及び炭素数20〜24の脂肪酸の含有量、15℃、20℃、25℃におけるSFCを表2に、製造例B−1〜B−4の油脂の配合、15℃、20℃、25℃におけるSFCを表3に示した。SFCは基準油脂分析法2.2.9−2003(NMR法)にて測定を行い、脂肪酸含有量は上記方法にて分析を行った。
エステル交換前後の油脂(製造例A−4及びA−6)について、炭素数の総和が36〜48であるトリアシルグリセロールの総和の変化を表4に示した。表4のようにエステル交換後の油脂では、炭素数の総和が36〜48であるトリアシルグリセロールの総和が75質量%に増加した。
炭素数の総和が36〜48であるトリアシルグリセロールの総和については、基準油脂分析法2.4.6.1−1996にて分析を行った。
Figure 0004930217
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Figure 0004930217
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〔実施例1〜6〕
上記の製造例A−1〜A−6で得られたA成分と製造例B−1及びB−2で得られたB成分とを表5の割合で配合し、実施例1〜6のバタークリーム用油脂組成物を製造した。
また、実施例1〜6の油脂組成物を用いてマーガリン及びバタークリームを製造し、得られたマーガリンの可塑性及びホイップ性、バタークリームの口溶けについて評価を行い、その結果も表5に示した。
(マーガリンの製造方法)
まず、各油脂組成物84.6質量部にグリセリン脂肪酸エステル0.1質量部を混合し、70℃に過熱し撹拌して溶解し、油相部を準備した。次に、βカロチン0.05質量部及びバターフレーバー0.05質量部を水15.2質量部に加熱溶解し、水相部を準備した。その後、上記油相部に水相部を添加し、混合して乳化し、これをコンビネーター(シュレーダー社製)に通し、18℃に急冷捏和した後、25℃で24時間テンパリングし、マーガリンを得た。
(バタークリームの製造方法)
上記の方法で得られたマーガリン43.5質量部に対し、異性化糖43.5質量部及び水13質量部を混合して、縦型ミキサー(カントーミキサー)でホイッパーを使用し、20℃で高速で撹拌し起泡させ、バタークリームを得た。
得られたマーガリンの可塑性及びホイップ性、また、バタークリームの口溶けの評価は下記の方法で行った。
(評価方法)
(a)可塑性:得られたマーガリンを硬度測定用の缶(内径6.0cm、高さ4.8cm)にヘラを用いて充填し、そのマーガリンの配合油の上昇融点より8〜10℃低い温度で24時間保管し熟成した。その後、その缶を20℃の恒温水槽に24時間浸漬させレオメーター(サン科学社製)にてマーガリンの硬度を測定した。その硬度の値から可塑性を以下の評価基準で評価した。
◎:75〜100g(0.74〜0.98N)
○:50〜75g(0.49〜0.74N)
△:100〜150g(0.98〜1.47N)
×:50g(0.49N)未満及び150g(1.47N)超
(b)ホイップ性:得られたマーガリンを縦型ミキサー(カントーミキサー)にてホイッパーを使用し、高速で10分間撹拌した。撹拌後のマーガリンを計量カップ(内径10cm、容量113mL)にヘラを用いて充填し、質量を測定した。マーガリンのホイップ性は以下の式で示される比重を求め、以下の評価基準にて評価した。
比重=(撹拌後のマーガリンの質量)/(撹拌前のマーガリンの質量)
○:0.30〜0.35 △:0.36〜0.40 ×:0.40超
(c)口溶け:バタークリームを上記の方法で製造し、得られたクリームを口に含んだときに感じる口溶けを以下の評価基準で評価した。
◎:最良 ○:良好 △:やや良好 ×:不良
〔比較例1〜12〕
上記の製造例A−3、A−6〜A−13で得られたA成分と実施例B−1、B−3、B−4で得られたB成分とを表6の配合に従い、それぞれを混合し、比較例1〜12のバタークリーム用油脂組成物を製造した。
また、比較例1〜12の油脂組成物を用いてマーガリン及びバタークリームを上記の方法により製造し、得られたマーガリンの可塑性及びホイップ性、バタークリームの口溶けについて上記の方法により評価を行い、その結果も表6に示した。
Figure 0004930217
Figure 0004930217
本発明のA成分とB成分からなるバタークリーム用油脂組成物を使用すると、可塑性、ホイップ性が良好であり、バタークリームの口溶けの良いことがわかる。
比較例1及び比較例2はA成分とB成分の配合比率が本発明とは異なる例、比較例3及び比較例4はB成分のSFCが本発明とは異なる例、比較例5はA成分がエステル交換油ではない例、比較例6はA成分の炭素鎖8〜14の飽和脂肪酸の含有量が多く、炭素鎖20〜24の飽和脂肪酸の含有量が少ない例、比較例7はA成分の炭素数8〜14の飽和脂肪酸の含有量が少ない例、比較例8はA成分の構成脂肪酸中の炭素鎖8〜14の飽和脂肪酸の含有量が少なく、炭素数20〜24の脂肪酸含有量が多い例、比較例9はA成分の構成脂肪酸中の炭素鎖8〜14の飽和脂肪酸及び炭素数16〜18の飽和脂肪酸含有量が少ない例、比較例10はA成分の炭素数20〜24の脂肪酸含有量が少ない例であるが、いずれも実施例と同等のバタークリーム用油脂組成物としての性能は得られなかった。なお、比較例11、比較例12はトランス酸を大量に含む場合の例である。

Claims (3)

  1. A成分として下記の添加用油脂10〜30質量部、B成分として15℃のSFCが15〜40、20℃のSFCが10〜35、25℃のSFCが5〜30である可塑性油脂70〜90質量部含む、トランス酸の含有量が2%以下のバタークリーム用油脂組成物。
    A成分:構成脂肪酸中の炭素数8〜14の飽和脂肪酸含量が50〜70質量%、炭素数16〜18の飽和脂肪酸含量が20〜35質量%、及び炭素数20〜24の飽和脂肪酸含量が10〜25質量%であるエステル交換油脂。
  2. A成分が構成脂肪酸に炭素数8〜14の飽和脂肪酸を50質量%以上含む植物油脂と、炭素数20〜24の飽和脂肪酸を50質量%以上含む植物油脂とのエステル交換油脂である請求項1に記載のバタークリーム用油脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の油脂組成物を原料とし、5〜40℃の温度で起泡したバタークリーム。
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