JP6879669B2 - バタークリーム用油脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、バタークリーム用油脂組成物に関する。
従来から、パンやクッキー、ビスケットなどにフィリング、トッピング、又はサンドするクリームとして、バタークリームが知られている。バタークリームは、動物性及び/又は植物性の油脂を含む油脂組成物か、或いは当該油脂組成物から製造されるショートニング、マーガリン又はファットスプレッドに、水溶性成分、呈味成分等を適宜加えて起泡させることにより製造される油中水型クリームである。
バタークリームに求められる特性としては、短時間のうちに空気を十分に抱き込むことのできるクリーミング性(起泡性)が知られている。また、夏場の25℃〜35℃の温度条件下に長時間曝されても油浸や離水を抑えることのできる低油浸性・低離水性や、夏場の25℃〜35℃の温度条件下に長時間曝されてもその形状を保つことができる保形性が挙げられる。さらには、口溶けの良さ、風味の良さが挙げられる。
バタークリーム用油脂組成物としては、特許文献1に、全構成脂肪酸中のラウリン酸含有量が30質量%以上であるラウリン系油脂(A1)5質量%以上30質量%未満と、全構成脂肪酸中の炭素数16以上の脂肪酸含有量が35質量%以上であるパーム系油脂(A2)70質量%超95質量%以下とのエステル交換油脂(A)5〜65質量%、及びパーム系油脂(油脂(B))35〜95質量%を含む油脂組成物が記載されている(請求項12、段落[0123]参照)。また、特許文献2に、パーム核油40質量部とパーム油60質量部とのエステル交換油79.3質量%及び菜種油20質量%を含む油脂組成物が記載されている(実施例1)。特許文献3に、パーム油70質量部とパーム核油30質量部とのエステル交換油72質量%、ナタネ油9質量%、パーム核油とハイエルシン菜種極度硬化油とのエステル交換油10質量%、及びヤシ極度硬化油9質量%を含む油脂組成物が記載されている(実施例6)。
国際公報WO2015/099160パンフレット 特開2013−153758号公報 特開2009−90号公報
しかしながら、特許文献1の上記油脂組成物から製造されたバタークリームは、クリーミング性や低油浸性・低離水性、保形性が未だ十分なものではない。また、特許文献2及び3の油脂組成物から製造されたバタークリームについても、クリーミング性が未だ十分なものではない。従って、クリーミング性、低油浸性・低離水性、保形性に更に優れたバタークリーム用油脂組成物に対する大きな需要が存在する。
本発明は上記問題点に鑑みたものであり、クリーミング性(起泡性)、低油浸性・低離水性、保形性に優れるバタークリーム用油脂組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、口溶けや風味にも優れるバタークリーム用油脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意努力によりパーム系油脂とラウリン系油脂とのエステル交換油(油脂A)及び液状油脂(油脂B)を含み、且つ、水素添加処理されていないパーム系油脂(油脂E)の含有割合が0〜5質量%である、バタークリーム用油脂組成物であって、5℃のSFCが28〜50であり、且つ20℃におけるSFCが8.0〜16.0である前記バタークリーム用油脂組成物を用いることにより、クリーミング性、低油浸性・低離水性、保形性に優れたバタークリームが得られることを見出した。
また、本発明者は、油脂Aとして、パーム系油脂とラウリン系油脂とのエステル交換油40〜70質量%、油脂Bとして、液状油脂15〜45質量%、油脂Cとして、45℃以上の融点を有する高融点油脂0.5〜10質量%、及び油脂Dとして、ラウリン系油脂5〜25質量%を含み、且つ、水素添加処理されていないパーム系油脂(油脂E)の含有割合が0〜5質量%である、バタークリーム用油脂組成物を用いることにより、クリーミング性、低油浸性・低離水性、保形性に優れたバタークリームが得られることを見出した。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1] 油脂Aとして、パーム系油脂とラウリン系油脂とのエステル交換油、及び
油脂Bとして、液状油脂
を含み、且つ、
水素添加処理されていないパーム系油脂(油脂E)の含有割合が0〜5質量%である、バタークリーム用油脂組成物であって、
5℃のSFCが28〜50であり、且つ
20℃におけるSFCが8.0〜16.0である、前記バタークリーム用油脂組成物。
[2] 前記油脂Eの含有割合が0質量%である、[1]に記載のバタークリーム用油脂組成物。
[3] 更に油脂Cとして、45℃以上の融点を有する高融点油脂を含む、[1]又は[2]に記載のバタークリーム用油脂組成物。
[4] 油脂Cが、50℃以上の融点を有する高融点油脂、及び50℃以上の融点を有する高融点油脂とラウリン系油脂とのエステル交換油からなる群から選択される、[3]に記載のバタークリーム用油脂組成物。
[5] 更に油脂Dとして、ラウリン系油脂を含む、[3]又は[4]に記載のバタークリーム用油脂組成物。
[6] 油脂Cとして、45℃以上の融点を有する高融点油脂、及び
油脂Dとして、ラウリン系油脂を更に含み、
5℃のSFCが28〜40であり、
20℃におけるSFCが8.0〜16.0であり、且つ
35℃のSFCが1.3以下である、[1]又は[2]に記載のバタークリーム用油脂組成物。
[7] 油脂Aとして、パーム系油脂とラウリン系油脂とのエステル交換油40〜70質量%、
油脂Bとして、液状油脂15〜45質量%、
油脂Cとして、45℃以上の融点を有する高融点油脂0.5〜10質量%、及び
油脂Dとして、ラウリン系油脂5〜25質量%
を含み、且つ、水素添加処理されていないパーム系油脂(油脂E)の含有割合が0〜5質量%である、バタークリーム用油脂組成物。
[8] [1]〜[7]のいずれかに記載の油脂組成物を含む、バタークリーム用ショートニング、マーガリン又はファットスプレッド。
[9] [1]〜[7]のいずれかに記載の油脂組成物、又は[8]に記載のバタークリーム用ショートニング、マーガリン又はファットスプレッドを含む、バタークリーム。
本発明により、クリーミング性、低油浸性・低離水性、保形性に優れるバタークリームを提供することができる。また、更に口溶けや風味にも優れるバタークリームを提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
<<バタークリーム用油脂組成物>>
第1の態様の本発明のバタークリーム用油脂組成物は、パーム系油脂とラウリン系油脂とのエステル交換油(油脂A)及び液状油脂(油脂B)を含み、且つ、水素添加処理されていないパーム系油脂(油脂E)の含有割合が0〜5質量%であり、5℃のSFCが28〜50であり、且つ20℃におけるSFCが8.0〜16.0であることを特徴とする。
本発明のバタークリーム用油脂組成物は、植物性油脂以外に動物性油脂を含んでいてもよいが、植物性油脂を主体(50〜100質量部%、好ましくは80〜100質量%、より好ましくは90〜100質量%)とすることが好ましく、動物性油脂を含まない植物性の油脂組成物であることがより好ましい。すなわち、後述する油脂A〜Eは、植物性油脂であることが好ましい。
<パーム系油脂とラウリン系油脂のエステル交換油(油脂A)>
本発明のバタークリーム用油脂組成物は、油脂Aとしてパーム系油脂とラウリン系油脂のエステル交換油を含む。
本明細書及び特許請求の範囲において、パーム系油脂とは、パームの果実由来の油脂の総称である。なお、パームの核由来の油脂であるパーム核油は、パーム系油脂には含まれない。
また、本明細書及び特許請求の範囲において、パーム系油脂は、エステル交換されていないパーム系油脂だけでなく、1種又は2種以上のパーム系油脂の間でエステル交換されたパーム系油脂をも含む概念であるが、パーム系油脂とパーム系油脂以外の油脂との間でエステル交換された油脂はパーム系油脂に含まないものとする。
パーム系油脂は、構成脂肪酸としてパルミチン酸を30質量%以上含むことが好ましく、30〜80質量%含むことがより好ましく、30〜60質量%含むことがさらにより好ましい。
本明細書及び特許請求の範囲において、ラウリン系油脂とは、構成脂肪酸としてラウリン酸を30質量%以上含む油脂の総称である。ラウリン系油脂は、構成脂肪酸としてラウリン酸を30〜60質量%含むことが好ましく、35〜55質量%含むことがより好ましい。
また、本明細書及び特許請求の範囲において、ラウリン系油脂は、エステル交換されていないラウリン系油脂だけでなく、1種又は2種以上のラウリン系油脂の間でエステル交換されたラウリン系油脂をも含む概念であるが、ラウリン系油脂とラウリン系油脂以外の油脂との間でエステル交換された油脂はラウリン系油脂に含まないものとする。
エステル交換に用いることのできるパーム系油脂の具体例としては、パーム油、パームオレイン、パームダブルオレイン、パームステアリン、パームミッドフラクション(パーム中融点部)、またはこれらの油脂の1種又は2種以上を混合したものが挙げられる。これらの中でも、パーム油、パームオレイン、パームダブルオレイン、パームミッドフラクションが好ましく、パーム油、パームオレインがより好ましく、パーム油が特に好ましい。エステル交換に用いられるパーム系油脂は、水素添加処理されていない油脂であることが好ましい。
本明細書及び特許請求の範囲において、水素添加(水添)処理された油脂とは、構成脂肪酸として不飽和脂肪酸を含む油脂に水素添加処理を行うことにより、不飽和脂肪酸の一部又は全部を飽和脂肪酸に変えたものをいう。水素添加処理されていない油脂とは、上記の水素添加処理がされていない油脂(非水添油、非硬化油)をいう。
パームオレインは、パーム油を分別して得られる低融点画分の油脂である。パームステアリンとは、パーム油を分別して得られる高融点画分の油脂である。パームダブルオレインは、パームオレインを更に分別して得られる低融点画分の油脂である。パームミッドフラクションは、パームオレインを更に分別して得られる高融点画分の油脂である。
エステル交換に用いることのできるラウリン系油脂の具体例としては、ヤシ油、パーム核油、パーム核オレイン、パーム核ステアリン、またはこれらの油脂の1種又は2種以上を混合したものが挙げられる。これらの中でも、ヤシ油、パーム核オレイン、パーム核油が好ましく、ヤシ油、パーム核オレインがより好ましく、ヤシ油が特に好ましい。エステル交換に用いられるラウリン系油脂は、水素添加処理されていない油脂であることが好ましい。
なお、パーム核オレインは、パーム核油を分別して得られる低融点画分の油脂である。パーム核ステアリンは、パーム核油を分別して得られる高融点画分の油脂である。
油脂Aとしては、パーム系油脂とラウリン系油脂とが、80〜20:20〜80の質量比(パーム系油脂:ラウリン系油脂)でエステル交換されたエステル交換油であることが好ましい。質量比は、80〜40:〜20:60であることがより好ましく、70〜50:30〜50であることがさらにより好ましい。
エステル交換は、当該技術分野で公知の方法を用いて行うことができる。例えば、非選択的エステル交換反応方法、選択型(指向型)エステル交換反応方法が挙げられる(参考文献:安田耕作、福永良一郎、松井宣也、渡辺正男、新版 油脂製品の知識、幸書房)。これらの中でも、非選択的エステル交換反応方法が好ましい。
油脂Aの融点は、40℃以下であることが好ましく、10〜40℃であることがより好ましく、20〜35℃であることがさらにより好ましい。油脂Aは、水素添加処理されていない油脂であることが好ましい。
油脂Aは、バタークリーム用油脂組成物の全質量に対して30〜80質量%の割合で含まれることが好ましく、35〜75質量%がより好ましく、40〜70質量%がさらにより好ましく、40〜58質量%がさらにより好ましい。油脂Aを上記範囲内で含むことにより、クリーミング性に優れたバタークリームを得ることができる。
油脂Aは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
<液状油脂(油脂B)>
本発明のバタークリーム用油脂組成物は、油脂A以外に、油脂Bとして液状油脂を含む。
本明細書及び特許請求の範囲において、液状油脂は、室温(15〜20℃)で液体の油脂であればよく、例えば、菜種油、ハイオレイック菜種油、ハイエルシン菜種油、大豆油、ヒマワリ油、ハイオレイックヒマワリ油、オリーブ油、紅花油(サフラワー油)、ハイオレイック紅花油、コーン油、綿実油、落花生油、米油、亜麻仁油、胡麻油、これらの加工油脂(硬化油、分別油など)などが例示できる。これらの中でも、菜種油、ハイオレイック菜種油、ハイエルシン菜種油、大豆油、ヒマワリ油、ハイオレイックヒマワリ油、コーン油、綿実油、米油が好ましい。
油脂Bは、1種類を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、油脂Bは、構成脂肪酸として不飽和脂肪酸を合計で60質量%以上含むことが好ましく、70質量%以上含むことがより好ましく、70〜98質量%含むことがさらにより好ましく、80〜95質量%含むことが特に好ましい。
また油脂Bは、構成脂肪酸としてオレイン酸、リノール酸、リノレン酸を合計で60質量%以上含むことが好ましく、70質量%以上含むことがより好ましく、70〜98質量%含むことがさらにより好ましく、80〜95質量%含むことが特に好ましい。
なお、本明細書及び特許請求の範囲において、油脂Bはラウリン系油脂及びパーム系油脂、並びにラウリン系油脂とパーム系油脂とのエステル交換油を含まないものとする。
油脂Bは、バタークリーム用油脂組成物の全質量に対して15〜45質量%の割合で含まれることが好ましく、20〜45質量%がより好ましく、25〜45質量%がさらに好ましい。油脂Bを上記範囲内で含むことにより、クリーミング性に優れたバタークリームを得ることができる。
<パーム系油脂(油脂E)>
本発明のバタークリーム用油脂組成物は、水素添加処理されていないパーム系油脂(油脂E)の含有割合が0〜5質量%である。本発明のバタークリーム用油脂組成物は、油脂Eの量が少ないほど好ましく、油脂Eを含まないことが最も好ましい。具体的には、油脂Eは、バタークリーム用油脂組成物中に0〜3質量%であることが好ましく、0〜1質量%であることがより好ましく、0質量%であることが最も好ましい。油脂Eの量が上記範囲であると、クリーミング性に優れたバタークリームを得ることができる。また、バタークリームの油浸、離水が少なく、保形性も向上する。
油脂Eは、当該油脂を構成する脂肪酸中のステアリン酸(C18:0)の割合が、10質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらにより好ましい。
また、油脂Eは、構成脂肪酸として不飽和脂肪酸を合計で30〜60質量%含むことが好ましく、35〜60質量%含むことがより好ましく、40〜60質量%含むことがさらにより好ましい。
本明細書及び特許請求の範囲において、パーム系油脂は、エステル交換されていないパーム系油脂だけでなく、1種又は2種以上のパーム系油脂の間でエステル交換されたパーム系油脂をも含む概念であるが、パーム系油脂とパーム系油脂以外の油脂との間でエステル交換された油脂はパーム系油脂に含まないものとする。従って、油脂Aは、油脂Eのパーム系油脂に含まれない。
油脂Eのパーム系油脂は、水素添加処理されていない油脂である。従って、パーム極度硬化油などのパーム系油脂に水素添加処理を施した油脂は、油脂Eに含まれない。
油脂Eの具体例としては、パーム油、パームオレイン、パームダブルオレイン、パームミッドフラクション(パーム中融点部)、パームステアリンが挙げられる。
<固体脂含量(SFC)>
本発明のバタークリーム用油脂組成物は、5℃におけるSFCが28〜50(単位:%)である。5℃におけるSFCは、28〜45であることが好ましく、28〜40であることがより好ましく、28〜38であることがさらにより好ましい。
5℃におけるSFCが上記範囲内であると、クリーミング性に優れたバタークリームを得ることができる。
また、本発明のバタークリーム用油脂組成物は、20℃におけるSFCが8.0〜16.0である。20℃におけるSFCは、8.0〜15.0であることが好ましく、9.0〜13.0であることがより好ましい。
20℃におけるSFCが上記範囲内であると、クリーミング性に優れたバタークリームを得ることができる。
また、本発明のバタークリーム用油脂組成物は、35℃におけるSFCが、1.3以下であることが好ましく、1.0以下であることがより好ましい。35℃におけるSFCが上記範囲内であると、風味や口溶けに優れるバタークリームが得られやすい。
SFC(単位:%)は、基準油脂分析法(2.2.9−2003、固体脂含量(NMR法))を基にして、次のようにして測定することができる。即ち、油脂組成物を60℃で30分保持し、油脂組成物を完全に融解した後、0℃で30分保持して固化させる。その後、25℃で30分保持し、テンパリングを行った後、0℃に30分保持する。その後、各SFCの測定温度で30分保持した後、SFCを測定する。
<高融点油脂(油脂C)>
本明細書及び特許請求の範囲において、高融点油脂とは、融点が45℃以上の油脂の総称である。融点は、基準油脂分析法(2.2.4.2−1996、融点(上昇融点))に準じて測定することができる。
本発明のバタークリーム用油脂組成物は、油脂Cとして、45℃以上の融点を有する高融点油脂を更に含むことが好ましい。高融点油脂を含むことにより、バタークリームの油浸、離水が少なくなり、保形性が向上しやすくなる。
また、油脂Cとしては、50℃以上の融点を有する高融点油脂、及び50℃以上の融点を有する高融点油脂とラウリン系油脂とのエステル交換油からなる群から選択されることが好ましい。
50℃以上の融点を有する高融点油脂としては、ハイエルシン菜種極度硬化油、パーム極度硬化油、菜種極度硬化油、大豆極度硬化油、牛脂極度硬化油、豚脂極度硬化油、魚油極度硬化油が挙げられる。これらの中でも、ハイエルシン菜種極度硬化油、パーム極度硬化油、菜種極度硬化油、大豆極度硬化油、魚油極度硬化油が好ましく、ハイエルシン菜種極度硬化油、パーム極度硬化油が特に好ましい。
50℃以上の融点を有する高融点油脂とラウリン系油脂とのエステル交換油に用いられるラウリン系油脂としては、後述する油脂Dとしてのラウリン系油脂が挙げられる。
50℃以上の融点を有する高融点油脂とラウリン系油脂とのエステル交換油は、エステル交換に用いられる50℃以上の融点を有する高融点油脂とラウリン系油脂との比が、30〜70:70〜30の質量比であることが好ましく、60:40〜40:60がより好ましく、50:50がさらにより好ましい。
これらのなかでも、油脂Cとしては、ハイエルシン菜種極度硬化油;パーム極度硬化油;ハイエルシン菜種極度硬化油とヤシ油とが70〜30:30〜70の質量比でエステル交換されたエステル交換油;ハイエルシン菜種極度硬化油とパーム核油とが70〜30:30〜70の質量比でエステル交換されたエステル交換油が好ましく、ハイエルシン菜種極度硬化油とヤシ油とが70〜30:30〜70(好ましくは60:40〜40:60、より好ましくは50:50)の質量比でエステル交換されたエステル交換油が特に好ましい。
油脂Cは、バタークリーム用油脂組成物の全質量に対して0〜10質量%の割合で含まれることが好ましく、0.5〜10質量%がより好ましく、1〜8質量%がさらにより好ましく、2〜7質量%がさらにより好ましく、4〜6質量%が特により好ましい。
油脂Cは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
<ラウリン系油脂(油脂D)>
本発明のバタークリーム用油脂組成物は、油脂Dとしてラウリン系油脂を更に含むことが好ましい。油脂A及びB(好ましくは油脂A、B及びC)に加えて油脂Dを含むことにより、バタークリームのクリーミング性を更に向上させることができる。また、油浸、離水が少なくなり、保形性が向上しやすくなる。さらに、風味や口溶けも向上しやすくなる。
油脂Dの融点は、40℃以下であることが好ましく、10〜40℃でることがより好ましく、15〜35℃であることがさらにより好ましく、20〜30℃であることがさらにより好ましい。油脂Dは、水素添加処理されていない油脂であることが好ましい。
ラウリン系油脂の具体例としては、パーム核オレイン、パーム核油、ヤシ油、パーム核ステアリン又はこれらの油脂の1種又は2種以上の間でエステル交換処理を施したエステル交換油が挙げられる。これらの中でも、パーム核オレイン、パーム核油、ヤシ油が好ましく、パーム核オレインがより好ましい。
油脂Dは、バタークリーム用油脂組成物の全質量に対して0〜25質量%の割合で含まれることが好ましく、1〜25質量%がより好ましく、5〜25質量%がさらにより好ましく、5〜15質量%が特に好ましい。
また、油脂Dは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のバタークリーム用油脂組成物としては、油脂Aとして、パーム系油脂とラウリン系油脂とのエステル交換油40〜70質量%、油脂Bとして、液状油脂15〜45質量%、油脂Cとして、45℃以上の融点を有する高融点油脂0.5〜10質量%、及び油脂Dとして、ラウリン系油脂5〜25質量%を含み、且つ、水素添加処理されていないパーム系油脂(油脂E)の含有割合が0〜5質量%である、バタークリーム用油脂組成物が特に好ましい。
なお、油脂A〜Eの各油脂は、脱色、脱臭処理が施されている油脂であっても、脱色、脱臭処理が施されていない油脂であってもよいが、脱色、脱臭処理が施されている油脂であることが好ましい。
第2の態様のバタークリーム用油脂組成物は、油脂Aとして、パーム系油脂とラウリン系油脂とのエステル交換油40〜70質量%、油脂Bとして、液状油脂15〜45質量%、油脂Cとして、45℃以上の融点を有する高融点油脂0.5〜10質量%、及び油脂Dとして、ラウリン系油脂5〜25質量%を含み、且つ、水素添加処理されていないパーム系油脂(油脂E)の含有割合が0〜5質量%であることを特徴とする。
油脂A〜油脂E及びその量としては、上述した油脂A〜Eとして挙げた油脂及びその量を用いることができる。
第2の態様のバタークリーム用油脂組成物は、5℃におけるSFCが28〜50(単位:%)であることが好ましく、28〜45であることがより好ましく、28〜40であることがさらにより好ましく、28〜38であることが特に好ましい。
5℃におけるSFCが上記範囲内であると、クリーミング性に優れたバタークリームを得ることができる。
また、20℃におけるSFCが8.0〜16.0であることが好ましく、8.0〜15.0であることがより好ましく、9.0〜13.0であることがさらにより好ましい。
20℃におけるSFCが上記範囲内であると、クリーミング性に優れたバタークリームを得ることができる。
また、35℃におけるSFCが、1.3以下であることが好ましく、1.0以下であることがより好ましい。35℃におけるSFCが上記範囲内であると、風味や口溶けに優れるバタークリームが得られやすい。
<その他の任意成分>
本発明のバタークリーム用油脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲内で、上記以外の油脂を含んでいてもよい。また、本発明のバタークリーム用油脂組成物は、上記成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、乳化剤(好ましくは親油性の乳化剤)や酸化防止剤などを添加してもよい。酸化防止剤としては、ビタミンE、ビタミンC、ローズマリー抽出物、茶抽出物、ヤマモモ抽出物等が挙げられる。
<<ショートニング、マーガリン及びファットスプレッド>>
本発明のバタークリーム用油脂組成物は、バタークリーム用ショートニング及び/又はバタークリーム用マーガリン及び/又はバタークリーム用ファットスプレッドの製造に用いることができる。なお、マーガリンは、(食用)油脂の含有率が80質量%以上であるのに対し、ファットスプレットは(食用)油脂の含有率が80質量%未満である。
バタークリーム用ショートニングは、本発明のバタークリーム用油脂組成物を、必要に応じて乳化剤(好ましくは親油性の乳化剤)、着香料、着色料等とともに混合し、得られた混合物を50〜70℃程度に加温した後に10〜25℃程度に急冷捏和することにより製造することができる。
乳化剤としては、例えばレシチン、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド等の従来公知の乳化剤(好ましくはHLB値の低い乳化剤、例えば、HLB値が1〜8程度の乳化剤)が挙げられる。乳化剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
バタークリーム用マーガリンは、本発明のバタークリーム用油脂組成物を、必要に応じて乳化剤(好ましくは親油性の乳化剤)、着香料、着色料等とともに混合して溶解ないし分散させて油相部を調製し、これとは別に、水を必要に応じて乳化剤(好ましくは親水性の乳化剤)、粉乳、食塩、風味原料(果実、果実加工品、チョコレート等)、澱粉等の添加物とともに混合して水相部を調製し、得られた油相部及び水相部を50〜70℃に加温し、混合して乳化を行い、乳化後の生成物を10〜25℃程度に急冷捏和することにより製造することができる。
油相部に使用する乳化剤としては、例えば上記バタークリーム用ショートニングの製造に用いてもよい乳化剤が挙げられる。水相部に使用する乳化剤は、好ましくはHLB値の高い乳化剤、例えば、HLB値が8〜20程度の乳化剤が挙げられる。
油相部は、本発明のバタークリーム用油脂組成物に加えて、本発明の効果を損なわない範囲内で、乳脂肪を更に含んでいてよい。乳脂肪としては、バターオイル、バター、生クリーム、牛乳等を由来とする乳脂肪が挙げられる。
バタークリーム用マーガリンの全質量に対する油相部の質量割合は、80質量%以上であることが好ましく、80〜90質量%であることが好ましく、83〜90質量%であることがさらにより好ましい。水相部の質量割合は、20質量%以下であることが好ましく、10〜20質量%であることがより好ましく、10〜17質量%であることがさらにより好ましい。
バタークリーム用ファットスプレッドは、本発明のバタークリーム用油脂組成物を、必要に応じて乳化剤(好ましくは親油性の乳化剤)、着香料、着色料等とともに混合して溶解ないし分散させて油相部を調製し、これとは別に、水を必要に応じて乳化剤(好ましくは親水性の乳化剤)、粉乳、食塩、風味原料(果実、果実加工品、チョコレート等)、澱粉等の添加物とともに混合して水相部を調製し、得られた油相部及び水相部を50〜70℃に加温し、混合して乳化を行い、乳化後の生成物を10〜25℃程度に急冷捏和することにより製造することができる。
油相部に使用する乳化剤としては、例えば上記バタークリーム用ショートニングの製造に用いてもよい乳化剤が挙げられる。水相部に使用する乳化剤は、好ましくはHLB値の高い乳化剤、例えば、HLB値が8〜20程度の乳化剤が挙げられる。
油相部は、本発明のバタークリーム用油脂組成物に加えて、本発明の効果を損なわない範囲内で、乳脂肪を更に含んでいてよい。乳脂肪としては、バターオイル、バター、生クリーム、牛乳等を由来とする乳脂肪が挙げられる。
バタークリーム用ファットスプレッドの全質量に対する油相部の質量割合は、40質量%以上であることが好ましく、40〜80質量%であることがより好ましく、60〜79質量%であることがさらにより好ましい。水相部の質量割合は、60質量%以下であることが好ましく、20〜60質量%であることがより好ましく、21〜40質量%であることがさらにより好ましい。
<<バタークリーム>>
本発明のバタークリームは、上述したバタークリーム用油脂組成物又はバタークリーム用油脂組成物から製造したショートニング、マーガリン又はファトスプレッドに、水溶性成分及び/又は呈味成分等を適宜加えて撹拌し、起泡させることによって得ることができる。
より具体的には、本発明のバタークリームは、上述したバタークリーム用油脂組成物又はバタークリーム用油脂組成物から製造したショートニング、マーガリン又はファットスプレッドを、20〜25℃程度に調温し、水溶性成分及び/又は呈味成分等を適宜加えて、縦型ミキサー、連続ホイップマシーン等で撹拌し、起泡させることにより製造することができる。
水溶性成分及び/又は呈味成分としては、液糖、水、粉乳、加糖練乳、ココアパウダー、果肉ジャム類、果汁類、チーズ類、ピーナッツペースト類等が挙げられる。
バタークリームの全質量に対するバタークリーム用油脂組成物の質量割合は、20〜80質量%であることが好ましい。バタークリームの全質量に対するショートニング、マーガリン又はファットスプレッドの質量割合は、30〜90質量%であることが好ましい。この範囲内であると、バタークリーム製造中に離水が生じにくく、出来上がったクリームの風味が良好なものとなりやすい。
本発明のバタークリーム用油脂組成物を用いて製造したバタークリームは、バタークリームが適用されるあらゆる食品に用いることができる。本発明のバタークリームは、例えば、クッキー、ビスケット、ケーキ、パン等におけるフィリング、トッピング、及びサンド用途で用いることができる。
<<各油脂の調製>>
以下の方法に従って、実施例1〜17及び比較例1〜14で用いる各油脂を調製した。
使用した各油脂の融点(℃)及び構成脂肪酸組成(ラウリン酸(C12:0)、パルミチン酸(C16:0)、ステアリン酸(C18:0)、オレイン酸(C18:1)、リノール酸(C18:2)、リノレン酸(C18:3))(単位:質量%)を、表1〜2に示す。なお、融点は、基準油脂分析法(2.2.4.2−1996、融点(上昇融点))に準じて測定した。脂肪酸組成は、基準油脂分析法(2.4.4.3−2013、トランス脂肪酸含量(キャピラリーガスクロマトグラフ法))に基づいて測定した。ガスクロマトグラフィー装置は、島津製作所(株)製、GC−2010型。カラムは、SUPELCO社製、SP−2560。
<パーム系油脂とラウリン系油脂のエステル交換油(油脂A)の調製>
(油脂A−1)
ヤシ油40質量%、パーム油60質量%を混合後、油脂に対し、0.143質量%のナトリウムメチラートを触媒として、90℃で15分間、非選択的エステル交換反応を行った。その後、脱色、脱臭を実施したものを油脂A−1として用いた。
(油脂A−2)
パーム核オレイン45質量%、パームオレイン55質量%を混合後、油脂に対し、0.12質量%のナトリウムメチラートを触媒として、90℃で15分間、非選択エステル交換反応を行った。その後、脱色、脱臭を行ったものを油脂A−2として用いた。
(油脂A−3)
パーム核油40質量%、パーム油60質量%を混合後、油脂に対し、0.143質量%のナトリウムメチラートを触媒として、90℃で15分間、非選択エステル交換反応を行った。その度、脱色、脱臭を実施したものを油脂A−3として用いた。
<液状油脂(油脂B)の調製>
(油脂B−1:菜種油)
菜種油100%の脱色、脱臭を行ったものを油脂B−1として用いた。
(油脂B−2:ハイオレイック菜種油)
ハイオレイック菜種油100%の脱色、脱臭を行ったものを油脂B−2として用いた。
(油脂B−3:大豆油)
大豆油100%の脱色、脱臭を行ったものを油脂B−3として用いた。
<高融点油脂(油脂C)の調製>
(油脂C−1:ヤシ油とハイエルシン菜種極度硬化油のエステル交換油)
ヤシ油50質量%、ハイエルシン菜種極度硬化油50質量%を混合後、油脂に対し、0.143質量%のナトリウムメチラートを触媒として、90℃で15分間、非選択的エステル交換反応を行った。その後、脱色、脱臭を行ったものを油脂C−1として用いた。
(油脂C−2:ハイエルシン菜種極度硬化油)
ハイエルシン菜種油を極度硬化処理し、脱色、脱臭を行ったものを油脂C−2として用いた。
(油脂C−3:パーム極度硬化油)
パーム油を極度硬化処理し、脱色、脱臭を行ったものを油脂C−3として用いた。
(油脂C-4:パーム核油とハイエルシン菜種極度硬化油のエステル交換油)
パーム核油50質量%、ハイエルシン菜種極度硬化油50質量%を混合後、油脂に対し、0.143質量%のナトリウムメチラートを触媒として、90℃で15分間、非選択的エステル交換反応を行った。その後、脱色、脱臭を行ったものを油脂C−4として用いた。
<ラウリン系油脂(油脂D)の調製>
(油脂D−1:パーム核オレイン油)
パーム核オレイン油100%の脱色、脱臭を行ったものを油脂D−1として用いた。
(油脂D−2:パーム核油)
パーム核油100%の脱色、脱臭を行ったものを油脂D−2として用いた。
(油脂D−3:ヤシ油エステル交換油)
ヤシ油100質量%に対し、0.143質量%のナトリウムメチラートを触媒として、90℃で15分間、非選択的エステル交換反応を行った。その後、脱色、脱臭を行ったものを油脂D−3として用いた。
(油脂D−4:ヤシ極度硬化油)
ヤシ油を極度硬化処理し、脱色、脱臭を行ったものを油脂D−4として用いた。
<パーム系油脂(油脂E)の調製>
(油脂E−1:パーム油)
パーム油100%の脱色、脱臭を行ったものを油脂E−1として用いた。
(油脂E−2:パームオレイン)
パームオレイン100%の脱色、脱臭を行ったものを油脂E−2として用いた。
(油脂E−3:パームダブルオレイン)
パームダブルオレイン100%の脱色、脱臭を行ったものを油脂E−3として用いた。
(油脂E−4:パーム中融点部)
パーム中融点部の100%の脱色、脱臭を行ったものを油脂E−4として用いた。
Figure 0006879669
Figure 0006879669
<<油脂組成物の調製>>
上記の通り調製した各油脂を表3〜7に示す割合(質量%)で配合し、実施例1〜17及び比較例1〜14の油脂組成物を得た。
<<SFCの測定>>
実施例1〜17及び比較例1〜14の各油脂組成物の固体脂含量(SFC、単位は%)を、SFCは、基準油脂分析法(2.2.9−2003、固体脂含量(NMR法))を基にして、次のようにして測定した。即ち、油脂組成物を60℃で30分保持し、油脂組成物を完全に融解した後、0℃に30分保持して固化させた。その後、25℃で30分保持し、テンパリングを行った後、0℃で30分保持した。その後、各SFCの測定温度で30分保持した後、SFCを測定した。その結果を表3〜7に示す。
<<マーガリンの製造>>
実施例1〜17及び比較例1〜14の各油脂組成物82.9質量%にレシチン0.1質量%を混合し、加熱溶解させ、油相部を調製した。次に、グリセリン脂肪酸エステル0.3質量%を水16.7質量%に加熱溶解させ、水相部を調製した。
その後、上記油相部に水相部を添加し、60℃で混合して乳化し、これを急冷捏和して、バタークリーム用マーガリンを得た。製造したマーガリンは5℃で保存した。
<<バタークリームの製造>>
上記で得られたマーガリンを20℃で1晩調温した後、縦型ミキサー(N−50、ホバートジャパン製)を用いて低速で2分間攪拌した。その後、各マーガリン43.5質量%に、液糖43.5質量%、水8.7質量%及び加糖練乳4.3質量%を加え、縦型ミキサー(N−50、ホバートジャパン製)を用いて20℃で低速で3分間撹拌混合して、混合物を得た。その後、当該混合物を中速で撹拌してクリームを起泡させ、バタークリームを得た。
<<バタークリームの評価>>
実施例1〜17及び比較例1〜14の油脂組成物から製造したバタークリームについて、下記の方法及び基準を用いてクリーミング性(起泡性)、口溶け、風味、油浸・離水量、保形性を評価した。これらの評価項目の1つ以上×であったものを比較例とし、×が1つもなかったものを実施例とした。
(クリーミング性)
各バタークリームの製造において、縦型ミキサーで中速で撹拌し始めた時から、比重が0.65に到達するまでに要した時間を測定し、当該時間を以下の評価基準で評価した。ここでいう比重は、「100ml容器中のバタークリームの質量」/「100ml容器中の水の質量」である。その結果を表3〜7に示す。
◎:9分未満
○:9分以上〜11分未満
△:11分以上〜16分未満
×:16分間撹拌しても比重0.65には到達しなかった。
なお、16分間撹拌しても比重が0.65に到達しなかったものについては、バタークリーム用途に適していないため、その他の評価試験を行わなかった。
(口溶け)
製造1日後の各バタークリームを食し、各バタークリームの口溶けについて以下の評価基準で評価した(パネリスト:5名)。その結果を表3〜7に示す。
◎:非常に良好(5点)
○:良好(4点)
△:普通(3点)
×:やや不良(2点)又は不良(1点)
(風味)
製造1日後の各バタークリームを食し、各バタークリーム風味について以下の評価基準で評価した(パネリスト:5名)。その結果を表3〜7に示す。
◎:非常に良好(5点)
○:良好(4点)
△:普通(3点)
×:やや不良(2点)又は不良(1点)
(油浸・離水量)
比重0.65に調製した各バタークリームを、ろ紙上に約10gずつ絞り、これを30℃で24時間保存した。保存後、ろ紙からクリームを取り除き、ろ紙重量を測定した。以下の式を用いて油浸・離水量を評価した。その結果を表3〜7に示す。
油浸・離水量(%)=(保存後ろ紙重量(g)−保存前ろ紙重量(g))/絞ったクリームの重量(g)×100
◎:油浸・離水量が15%以下
○:油浸・離水量が15%超〜25%以下
△:油浸・離水量が25%超〜35%以下
×:油浸・離水量が35%超
(保形性)
比重0.65に調製した各バタークリームを、約10gずつ絞り、これを30℃で24時間保存した。30℃保存前後のクリームの高さを測定し、以下の式を用いて高さ変化(かさ落ち)を求め、以下の評価基準で評価した。その結果を表3〜7に示す。
かさ落ち=保存前のクリームの高さ(mm)−保存後のクリームの高さ(mm)
◎:かさ落ちが3mm以下
○:かさ落ちが3mm超〜6mm以下
△:かさ落ちが6mm超〜9mm以下
×:かさ落ちが9mm超
Figure 0006879669
Figure 0006879669
Figure 0006879669
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表3〜7から明らかなように、比較例1〜3、5〜6、8、14の油脂組成物は、5℃のSFCが28〜50の範囲外であり、及び/又は20℃のSFCが8.0〜16.0の範囲外であり、短時間のうちに十分に起泡することができず、バタークリーム用油脂組成物として適したものではなかった。また、比較例4、7の油脂組成物についても、油浸・離水量及びかさ落ちの度合いが大きく、低油浸性・低離水性及び保形性に劣っていた。なお、比較例3は、特許文献2の実施例1と油脂組成物に近い組成であり、比較例14の油脂組成物は、特許文献3の実施例6の油脂組成物に近い組成である。
比較例9、11〜13の油脂組成物は、5℃及び20℃のSFCがそれぞれ28〜50及び8.0〜16.0であるものの、パーム系油脂の含有割合が5質量%よりも大きいため、短時間のうちに十分に起泡することができなかった。従って、バタークリーム用油脂組成物として適したものではなかった。また、比較例10の油脂組成物についても、油浸・離水量及びかさ落ちの度合いが大きく、低油浸性・低離水性及び保形性に劣っていた。なお、比較例9〜13の油脂組成物は、特許文献1の表10〜15に記載の油脂組成物と類似の組成である。
一方、実施例1〜17のバタークリーム用油脂組成物は、5℃及び20℃のSFCはそれぞれ28〜50及び8.0〜16.0の範囲内であり、パーム系油脂(油脂E)の含有割合が0〜5質量%であるため、短時間で起泡することができ、クリーミング性に優れていた。また、30℃で24時間保存した後の油浸・離水量が少なく、かさ落ちも小さいことから、低油浸性・低離水性及び保形性にも優れていた。さらに、口溶けもよく、風味も良好であった。
本発明によれば、クリーミング性、低油浸性・低離水性及び保形性に優れるバタークリームを提供することができる。したがって、産業上、極めて有用である。

Claims (5)

  1. 油脂Aとして、40℃以下の融点を有する、パーム系油脂とラウリン系油脂とのエステル交換油40〜70質量%、
    油脂Bとして、植物由来の液状油脂15〜45質量%、
    油脂Cとして、50℃以上の融点を有する高融点油脂、及び50℃以上の融点を有する高融点油脂とラウリン系油脂とのエステル交換油からなる群から選択される1種以上の油脂であって、且つ前記50℃以上の融点を有する高融点油脂が、ハイエルシン菜種極度硬化油、パーム極度硬化油、菜種極度硬化油、大豆極度硬化油、牛脂極度硬化油、豚脂極度硬化油及び魚油極度硬化油からなる群から選択される、前記油脂0.5〜10質量%、及び
    油脂Dとして、ラウリン系油脂5〜25質量%
    を含み、且つ、
    水素添加処理されていないパーム系油脂であって、且つパーム油、パームオレイン、パームダブルオレイン、パームミッドフラクション、パームステアリンから選択される油脂(油脂E)を含まない、バタークリーム用油脂組成物であって、
    5℃のSFCが28〜50であり、且つ
    20℃におけるSFCが8.0〜16.0である、前記バタークリーム用油脂組成物。
  2. 35℃のSFCが1.3以下である、請求項1に記載のバタークリーム用油脂組成物。
  3. 前記50℃以上の融点を有する高融点油脂が、ハイエルシン菜種極度硬化油及び/又はパーム極度硬化油である、請求項1又は2に記載のバタークリーム用油脂組成物。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載の油脂組成物を含む、バタークリーム用ショートニング、マーガリン又はファットスプレッド。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載の油脂組成物、又は請求項に記載のバタークリーム用ショートニング、マーガリン又はファットスプレッドを含む、バタークリーム。
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