JP5584351B1 - 可塑性油脂組成物及び可塑性油脂組成物を用いた食品 - Google Patents

可塑性油脂組成物及び可塑性油脂組成物を用いた食品 Download PDF

Info

Publication number
JP5584351B1
JP5584351B1 JP2013273356A JP2013273356A JP5584351B1 JP 5584351 B1 JP5584351 B1 JP 5584351B1 JP 2013273356 A JP2013273356 A JP 2013273356A JP 2013273356 A JP2013273356 A JP 2013273356A JP 5584351 B1 JP5584351 B1 JP 5584351B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mass
oil
triglyceride
fatty acid
fat
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013273356A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015126716A (ja
Inventor
晶 太田
将来 伊藤
雄市 染野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Miyoshi Oil and Fat Co Ltd
Original Assignee
Miyoshi Oil and Fat Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Miyoshi Oil and Fat Co Ltd filed Critical Miyoshi Oil and Fat Co Ltd
Priority to JP2013273356A priority Critical patent/JP5584351B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5584351B1 publication Critical patent/JP5584351B1/ja
Priority to CN201480070231.8A priority patent/CN105848488B/zh
Priority to PCT/JP2014/082129 priority patent/WO2015098455A1/ja
Publication of JP2015126716A publication Critical patent/JP2015126716A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23DEDIBLE OILS OR FATS, e.g. MARGARINES, SHORTENINGS, COOKING OILS
    • A23D9/00Other edible oils or fats, e.g. shortenings, cooking oils
    • A23D9/007Other edible oils or fats, e.g. shortenings, cooking oils characterised by ingredients other than fatty acid triglycerides
    • A23D9/013Other fatty acid esters, e.g. phosphatides
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23DEDIBLE OILS OR FATS, e.g. MARGARINES, SHORTENINGS, COOKING OILS
    • A23D7/00Edible oil or fat compositions containing an aqueous phase, e.g. margarines
    • A23D7/01Other fatty acid esters, e.g. phosphatides
    • A23D7/013Spread compositions

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Oil, Petroleum & Natural Gas (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Food Science & Technology (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Edible Oils And Fats (AREA)

Abstract

【課題】保形性に優れ、油脂の染み出しが起こりにくく、かつ口溶けが良好な可塑性油脂組成物及び食品を提供する。
【解決手段】可塑性油脂組成物は、SSU型トリグリセリドに対するSUS型トリグリセリドの質量比が0.1以上、2.5未満であり、2飽和−1不飽和型トリグリセリドと3飽和型トリグリセリドとの合計含有量が、油脂全体の質量に対して30〜65質量%であり、融点が60℃以下のモノグリセリンモノ脂肪酸エステルを、組成物全体の質量に対して0.01〜1.0質量%含有する。油脂の構成脂肪酸中のトランス酸の含有量は、油脂の構成脂肪酸全体の質量に対して、3.0質量%未満であるのが好ましい。また、油脂の構成脂肪酸中のラウリン酸の含有量は、油脂の構成脂肪酸全体の質量に対して0.9質量%以上であるのが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、可塑性油脂組成物及び可塑性油脂組成物を用いた食品に関する。
従来より、パン類をはじめとする様々な食品に、マーガリン、ファットスプレッド、ショートニング等の可塑性油脂組成物が使用されており、その用途としても、バタークリーム用、スプレッド用、練り込み用及びロールイン用について、近年、可塑性油脂組成物の開発が盛んに行われている。また、可塑性油脂組成物は、可塑性を有しつつ、その用途上、保形性に優れ、油脂の染み出しがなく、かつ、食した時に口溶けが良好であることが求められる。
特許文献1には、全トリグリセリド中、C44〜C48トリグリセリド含量が14質量%以上、SU2トリグリセリド及びU3トリグリセリドの合計含量が40質量%以下、M2Lトリグリセリド及びML2トリグリセリドの合計含量が40質量%以下、PPOトリグリセリド含量が8.5質量%以下である、可塑性油脂組成物が開示されている。特許文献1の油脂組成物は、上記構成を有することにより、口溶けに優れたバタークリームの製造に適する。
WO2012/121010号パンフレット
しかしながら、特許文献1に記載の油脂組成物は、保形性や油脂の染み出しに問題はないが、口溶けとして満足のいくものではない。
本発明は以上の実情に鑑みてなされたものであり、保形性に優れ、油脂の染み出しが起こりにくく、かつ口溶けが良好な可塑性油脂組成物及び食品を提供することを目的とする。
本発明者らは、融点が60℃以下のモノグリセリンモノ脂肪酸エステルを所定量含む所定の可塑性油脂が、保形性に優れ、油脂の染み出しが起こりにくく、かつ口溶けも良好であることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は、以下のようなものを提供する。
(1)SSU型トリグリセリドに対するSUS型トリグリセリドの質量比が0.1以上、2.5未満であり、
2飽和−1不飽和型トリグリセリドと3飽和型トリグリセリドとの合計含有量が、油脂全体の質量に対して30〜65質量%であり、
融点が60℃以下のモノグリセリンモノ脂肪酸エステルを、組成物全体の質量に対して、0.01〜1.0質量%含有する可塑性油脂組成物。
(2)油脂の構成脂肪酸中のトランス酸の含有量が、油脂の構成脂肪酸全体の質量に対して、3.0質量%未満である(1)記載の可塑性油脂組成物。
(3)油脂の構成脂肪酸中のラウリン酸の含有量が、油脂の構成脂肪酸全体の質量に対して、0.9質量%以上である(1)又は(2)記載の可塑性油脂組成物。
(4)(1)から(3)いずれかに記載の可塑性油脂組成物を用いた食品。
本発明によれば、保形性に優れ、油脂の染み出しが起こりにくく、かつ口溶けが良好な可塑性油脂及び食品を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明の可塑性油脂組成物は、SSU型トリグリセリドに対するSUS型トリグリセリドの質量比が0.1以上、2.5未満であり、2飽和−1不飽和型トリグリセリドと3飽和型トリグリセリドとの合計含有量が、油脂全体の質量に対して30〜65質量%であり、融点が60℃以下のモノグリセリンモノ脂肪酸エステルを、組成物全体の質量に対して、0.01〜1.0質量%含有する。
本発明において、油脂中のトリグリセリドとは、1分子のグリセロールに、3分子の脂肪酸がエステル結合した構造を有するものである。トリグリセリドの1、2、3位とは、脂肪酸が結合した位置を表す。すなわち、上記「SUS型トリグリセリド」は、1位及び3位に飽和脂肪酸Sが結合し、かつ2位に不飽和脂肪酸Uが結合したトリグリセリドである。また、上記「SSU型トリグリセリド」は、1位及び2位に飽和脂肪酸Sが結合し、かつ3位に不飽和脂肪酸Uが結合したトリグリセリドである。なお、本発明の油脂は、「SUS型トリグリセリド」と、「SSU型トリグリセリド」以外のトリグリセリドを含んでもよく、含まなくてもよい。このようなトリグリセリドとしては、特に限定されないが、例えば、1位、2位、及び3位の全てに飽和脂肪酸Sが結合した「SSS型トリグリセリド」等が挙げられる。
組成物の全質量に対する可塑性油脂組成物中の油脂の含有量は、特に限定されず、例えば乳化剤等の量に応じて適宜設定してもよいが、好ましくは60〜100質量%、より好ましくは、70〜100質量%であり、さらに好ましくは、80〜100質量%である。
飽和脂肪酸Sは、油脂中に含まれる全ての種類の飽和脂肪酸を意味する。飽和脂肪酸Sとしては、特に限定されないが、例えば、酪酸(4)、カプロン酸(6)、カプリル酸(8)、カプリン酸(10)、ラウリン酸(12)、ミリスチン酸(14)、パルミチン酸(16)、ステアリン酸(18)、アラキジン酸(20)、ベヘン酸(22)、リグノセリン酸(24)等が挙げられる。なお、上記数値表記は、各脂肪酸の炭素数である。本発明の油脂中に含まれる各トリグリセリドを構成する飽和脂肪酸Sは、同一の飽和脂肪酸であってもよいし、異なる飽和脂肪酸であってもよい。
不飽和脂肪酸Uは、油脂中に含まれる全ての種類の不飽和脂肪酸を意味する。不飽和脂肪酸Uとしては、特に限定されないが、例えば、ミリストレイン酸(14:1)、パルミトレイン酸(16:1)、ヒラゴン酸(16:3)、オレイン酸(18:1)、リノール酸(18:2)、リノレン酸(18:3)、エイコセン酸(20:1)、エルカ酸(22:1)、セラコレイン酸(24:1)等が挙げられる。なお、上記数値表記は、脂肪酸の炭素数と二重結合数である。本発明の油脂中に含まれる各トリグリセリドを構成する不飽和脂肪酸Uは、同一の不飽和脂肪酸であってもよいし、異なる不飽和脂肪酸であってもよい。
本発明の可塑性油脂組成物は、SSU型トリグリセリドに対するSUS型トリグリセリドの質量比が、低い方が、可塑性がよくなる。これは、SSU型トリグリセリドが多いと、結晶化しやすくなるためであると考えられる。しかし、この質量比が低すぎると、可塑性に優れるものの、可塑性油脂組成物の保形性が低下し、油脂の染み出しが多くなる。この観点で、SSU型トリグリセリドに対するSUS型トリグリセリドの質量比は、0.3以上が好ましく、0.5以上がより好ましく、0.6以上が特に好ましい。また、別の観点で、SSU型トリグリセリドに対するSUS型トリグリセリドの質量比が高すぎると、可塑性が低下し、可塑性油脂組成物がバタークリーム用である場合、クリーミング性が低下し、スプレッド用である場合、スプレッド性(伸展性)が低下する。よって、この観点で、SSU型トリグリセリドに対するSUS型トリグリセリドの質量比は、2.0以下が好ましく、1.5以下がより好ましく、1.2以下が特に好ましい。すなわち、本発明の可塑性油脂組成物は、SSU型トリグリセリドに対するSUS型トリグリセリドの質量比が0.1以上、2.5未満であることによって、可塑性に優れ、クリーミング性又はスプレッド性に優れる。
本発明の可塑性油脂組成物は、2飽和−1不飽和型トリグリセリドと3飽和型トリグリセリドとの合計含有量が、油脂全体の質量に対して高い方が、保形性に優れ、油脂の染み出しが起こりにくい。この観点で、2飽和−1不飽和型トリグリセリドと3飽和型トリグリセリドとの合計含有量が、油脂全体の質量に対して、35質量%以上であるのが好ましく、40質量%以上であるのがより好ましく、45質量%以上であるのが最も好ましい。しかし、この合計含有量が、油脂全体の質量に対して、高すぎると、口溶け、フレーバーリリース、瑞々しさが低下し、バタークリーム用である場合、クリーミング性が低下し、スプレッド用である場合、スプレッド性(伸展性)、風味(塩味)が低下する。口溶け、フレーバーリリース、瑞々しさ、並びに、クリーミング性又はスプレッド性(伸展性)及び風味(塩味)に優れるという点で、2飽和−1不飽和型トリグリセリドと3飽和型トリグリセリドとの合計含有量は、油脂全体の質量に対して、63質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましく、58質量%以下が最も好ましい。すなわち、本発明の可塑性油脂組成物は、2飽和−1不飽和型トリグリセリドと3飽和型トリグリセリドとの合計含有量が、油脂全体の質量に対して30〜65質量%であることによって、口溶け、保形性に優れ、油脂の染み出しが起こりにくく、フレーバーリリース、瑞々しさに優れ、さらに、クリーミング性又はスプレッド性(伸展性)及び風味(塩味)に優れる。また、塩味に優れると、別途塩を加える必要性が抑えられるか、あるいは、塩を使用したとしてもその使用量を抑えられるので、2飽和−1不飽和型トリグリセリドと3飽和型トリグリセリドとの合計含有量が30〜65質量%であることは、タンパク等の塩析を防げる点においても有用である。
一般的に、モノグリセリンモノ脂肪酸エステルを使用すると、味が低下するものと考えられているが、本発明の可塑性油脂組成物は、融点が60℃以下のモノグリセリンモノ脂肪酸エステルを、組成物全体の質量に対して、1.0質量%以下含有することにより、口溶け、フレーバーリリース、瑞々しさに優れる。これは、融点が60℃以下のモノグリセリンモノ脂肪酸エステルは、融点が高過ぎず溶けやすいため、口溶けの妨げになりにくく、また、フレーバーリリース、瑞々しさにおいても優れた効果が発現すると推測される。口溶け、フレーバーリリース、瑞々しさに優れる点で、融点が60℃以下のモノグリセリンモノ脂肪酸エステルの組成物全体における含有量は、0.8質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.3質量%以下がさらに好ましく、0.1質量%以下が最も好ましい。また、融点が60℃以下のモノグリセリンモノ脂肪酸エステルの組成物全体における含有量は、乳化可能な量が含まれていればよく、0.01質量%以上(具体的には、0.05質量%以上、0.1質量以上、0.4質量%以上、0.8質量%以上等)含んでいればよい。すなわち、本発明の可塑性油脂組成物は、融点が60℃以下のモノグリセリンモノ脂肪酸エステルを、組成物全体の質量に対して、0.01〜1.0質量%含有することにより、乳化を行いつつ、口溶け、フレーバーリリース、瑞々しさに優れる。
本発明の「融点が60℃以下のモノグリセリンモノ脂肪酸エステル」とは、単独で融点が60℃以下であるモノグリセリンモノ脂肪酸エステル、及び、2種以上を混合したモノグリセリンモノ脂肪酸エステルであって、全体の融点が60℃以下のものの両方を指す。モノグリセリンモノ脂肪酸エステルは、特に限定されないが、例えば、モノグリセリンモノステアリン酸エステル、モノグリセリンモノオレイン酸エステル、モノグリセリンモノリノール酸エステル、モノグリセリンモノラウリン酸エステル、モノグリセリンモノミリスチン酸エステル、モノグリセリンモノパルミチン酸エステル、モノグリセリンモノアラキジン酸エステル、モノグリセリンモノベヘン酸エステル、モノグリセリンモノリグノセリン酸エステル、モノグリセリンモノミリストレイン酸エステル、モノグリセリンモノパルミトレイン酸エステル、モノグリセリンモノリノレン酸エステル、モノグリセリンモノエルカ酸エステル、モノグリセリンモノカプリン酸エステル、モノグリセリンモノカプリル酸エステル、モノグリセリンモノカプロン酸エステル、モノグリセリンモノ酪酸エステル、モノグリセリンモノデカン酸エステル、モノグリセリンモノノナン酸エステル、モノグリセリンモノオクタン酸エステル、モノグリセリンモノヘプタン酸エステル、モノグリセリンモノヘキサン酸エステル、モノグリセリンモノペンタン酸エステル、モノグリセリンモノブタン酸エステル等が挙げられる。すなわち、本発明のモノグリセリンモノ脂肪酸エステルは、これらのうち、全体の融点が60℃以下となるように選択することにより構成される。モノグリセリンモノ脂肪酸エステルは、モノグリセリンモノラウリン酸エステル、モノグリセリンモノオレイン酸エステル又はモノグリセリンモノリノール酸エステルが好ましく、これらのうち、モノグリセリンモノラウリン酸エステル又はモノグリセリンモノオレイン酸エステルがより好ましい。モノグリセリンモノ脂肪酸エステルは、フレーバーリリースや風味(塩味)がより向上する点で、全体の融点は30℃以上が好ましく、40℃以上がより好ましく、50℃以上がさらに好ましい。本発明で使用する「融点が60℃以下のモノグリセリンモノ脂肪酸エステル」は、合成するか、または、商業上入手することが可能であり、例えば、理研ビタミン株式会社製のエマルジーML−N、エマルジーOL−100H、エマルジーMU、エマルジーMO、エマルジーHRO等が挙げられる。
モノグリセリンモノ脂肪酸エステルの融点測定は、「食品添加物公定書解説書」記載の融点測定(B−233)方法により行う。
本発明の可塑性油脂組成物は、モノグリセリンモノ脂肪酸エステルの他、さらに、乳化剤を含んでもよく、含まなくてもよい。かかる乳化剤は、特に限定されないが、例えば、ジグリセリンモノ脂肪酸エステル、トリグリセリンモノ脂肪酸エステル、テトラグリセリン脂肪酸エステル等のポリグリセリン脂肪酸エステル、有機酸グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、レシチン等が挙げられる。
本発明の油脂の構成脂肪酸中のトランス酸の含有量は、特に限定されないが、可塑性油脂組成物は、油脂の構成脂肪酸中のトランス酸の含有量が、油脂の構成脂肪酸全体の質量に対して、高い方が、保形性と口溶けがよくなる。しかし、トランス酸の摂取量が多くなると、人体に摂取された際のLDLコレステロールが増加しうる。よって、これを抑制しやすい観点で、本発明においては、油脂の構成脂肪酸中のトランス酸の含有量は、油脂の構成脂肪酸全体の質量に対して3.0質量%未満が好ましく、1.5質量%未満がより好ましく、1.0質量%未満が最も好ましい。なお、トランス酸含有量は、ガスクロマトグラフ法(基準油脂分析試験法(社団法人日本油化学会)の「2.4.2.2−1996 脂肪酸組成(FID昇温ガスクロマトグラフ法)」)で測定する。
本発明の可塑性油脂組成物は、油脂の構成脂肪酸として、ラウリン酸をさらに含んでよく、含まなくてもよいが、油脂の構成脂肪酸全体の質量に対して0.9質量%以上(具体的には、1.5質量%以上、2.0質量%以上、3.0質量%以上、4.0質量%以上、5.0質量%以上、6.0質量%以上、7.0質量%以上、8.0質量%以上、9.0質量以上、10.0質量%以上等)含むのが好ましい。これにより、可塑性油脂組成物は、口溶けが向上する。特に、バタークリーム用可塑性油脂組成物である場合、クリーミング性が向上する。ただし、ラウリン酸の含有量が、油脂の構成脂肪酸全体の質量に対して高すぎると、可溶性油脂組成物は、保形性が低下する。この観点で、ラウリン酸の含有量は、油脂の構成脂肪酸全体の質量に対して、15.0質量%以下が好ましく、13.0質量%以下がより好ましい。なお、ラウリン酸含有量は、ガスクロマトグラフ法(基準油脂分析試験法(社団法人日本油化学会)の「2.4.2.2−1996 脂肪酸組成(FID昇温ガスクロマトグラフ法)」)で測定する。
本発明の可塑性油脂組成物において、油脂中の、PPO型トリグリセリド(Pはパルミチン酸を意味し、Oはオレイン酸を意味する)に対する、POP型トリグリセリドの質量の比は、例えば、0.1〜5.0の範囲で適宜設定してもよいが、かかる値が低い方が、可塑性が向上する。この観点で、油脂中の、PPO型トリグリセリドに対する、POP型トリグリセリドの質量の比は、3.0以下が好ましく、2.0以下がより好ましく、1.0以下が最も好ましい。
本発明の可塑性油脂組成物は、バタークリーム用である場合、フレーバーリリースが良好で、かつクリーミング時の分散性が良好である点で、構成脂肪酸の総炭素数が40〜48であるトリグリセリドを、油脂全体の質量に対して、5.0〜30質量%含有することが好ましく、5.0〜25質量%含有することがより好ましい。また、上記トリグリセリドの割合が、油脂全体の質量に対して、5.0質量%以上であると、口溶け、フレーバーリリースがよく、30質量%以下であると、クリーミング時の分散性がよい。
本発明の可塑性油脂組成物は、スプレッド用である場合、これを用いたスプレッドの口溶けとフレーバーリリースが良好で、かつベーカリー製品に塗布した際の伸展性も良好である点で、構成脂肪酸の総炭素数が40〜48であるトリグリセリドを、油脂全体の質量に対して、5.0〜30質量%含有することが好ましく、5.0〜25質量%含有することがより好ましい。また、上記トリグリセリドの割合が、油脂全体の質量に対して、5.0質量%以上であると口溶け、フレーバーリリースがよく、30質量%以下であると伸展性がよい。
本発明の可塑性油脂組成物は、水相を実質的に含有しない形態と、水相を含有する形態のいずれの形態であってもよい。水相を含有する形態の場合、本発明の可塑性油脂組成物は、特に限定されないが、例えば、マーガリン類であってもよい。また、水相を含有する乳化形態は、特に限定されないが、例えば、油中水型、水中油型、油中水中油型、水中油中水型等が挙げられる。この場合の油相の含有量は、可塑性油脂組成物の全体の質量に対して、好ましくは60〜99.4質量%であり、より好ましくは65〜98質量%である。また、水相の含有量は、可塑性油脂組成物の全体の質量に対して、好ましくは0.6〜40質量%である、より好ましくは2〜35質量%である。乳化形態は、特に口溶け及び保形性に優れ、かつ、染み出しが起こりにくいという点で、油中水型が好ましい。
本発明おいて、マーガリン類は、日本農林規格のマーガリン又はファットスプレッドに該当するものである。
水相を実質的に含有しない形態としては、ショートニングが挙げられる。本発明において、「実質的に含有しない」とは水相の含有量が0.5質量%以下のことを意味し、日本農林規格のショートニングに該当するものである。
可塑性油脂組成物の用途は、特に限定されないが、例えば、製菓製パン練り込み用、バタークリーム用、スプレッド用、ロールイン用等であってもよい。用途は、目的に応じて適宜設定してもよいが、本発明の可塑性油脂組成物は、クリーミング性に優れるという点で、その用途は、バタークリーム用であるのが好ましい。別の観点で、本発明は、スプレッド性、風味(塩味)に優れる点で、スプレッド用が好適である。
本発明の可塑性油脂組成物は、水以外に、従来の公知の成分を含んでもよく、含まなくてもよい。公知の成分としては、特に限定されないが、例えば、乳、乳製品、タンパク、糖類、塩類、酸味料、pH調整剤、抗酸化剤、香辛料、着色成分、香料等が挙げられる。乳としては、例えば、牛乳等が挙げられる。乳製品としては、脱脂乳、クリーム、チーズ(ナチュラルチーズ、プロセスチーズ等)、濃縮乳、脱脂濃縮乳、無糖れん乳、加糖れん乳、無糖脱脂れん乳、加糖脱脂れん乳、全粉乳、脱脂粉乳、クリームパウダー、ホエイパウダー、タンパク濃縮ホエイパウダー、ホエイ蛋白コンセントレート(WPC)、ホエイ蛋白アイソレート(WPI)、バターミルクパウダー、トータルミルクプロテイン、カゼインナトリウム、カゼインカリウム等が挙げられる。タンパクとしては、大豆蛋白、エンドウ豆蛋白、小麦蛋白等の植物蛋白等が挙げられる。糖類としては、単糖(グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース等)、二糖類(ラクトース、スクロース、マルトース、トレハロース等)、オリゴ糖、糖アルコール、デンプン、デンプン分解物、多糖類等が挙げられる、抗酸化剤としては、例えば、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸誘導体、トコフェロール、トコトリエノール、リグナン、ユビキノン類、キサンチン類、オリザノール、植物ステロール、カテキン類、ポリフェノール類、茶抽出物等が挙げられる。香辛料としては、例えば、カプサイシン、アネトール、オイゲノール、シネオール、ジンゲロン等が挙げられる。着色成分としては、例えば、カロテン、アスタキサンチン等が挙げられる。香料としては、バターフレーバー、ミルクフレーバー等が挙げられる。
本発明において、トリグリセリドの構成脂肪酸の分析は、ガスクロマトグラフ法(基準油脂分析試験法(社団法人日本油化学会)の「2.4.2.2−1996 脂肪酸組成(FID昇温ガスクロマトグラフ法)」と「暫7−2003 2位脂肪酸組成」)により行う。また、モノグリセリンモノ脂肪酸エステルの乳化剤の分析は、HPLC−MS/MSにより行う。
<可塑性油脂組成物の製造方法>
本発明の可塑性油脂組成物は、公知の方法により製造することができる。例えば、水相を含有する形態のもの(マーガリン類等)は、本発明の油脂組成物を含む油相と水相とを、適宜に加熱し混合して乳化した後、コンビネーター、パーフェクター、ボテーター等の冷却混合機により急冷捏和し、必要に応じて熟成(テンパリング)し得ることができる。水相を含有しない形態のもの(ショートニング)は、本発明の油脂組成物を含む油相を加熱した後、コンビネーター、パーフェクター、ボテーター等の冷却混合機により急冷捏和し、必要に応じて熟成(テンパリング)し得ることができる。
本発明の可塑性油脂組成物の製造に用いられる油脂としては、特に限定されないが、パーム系油脂、ヤシ油、パーム核油、豚脂(ラード)、菜種油、大豆油、綿実油、ヒマワリ油、米油、サフラワー油、オリーブ油、ゴマ油、乳脂、それらの分別油又はそれらの加工油(硬化、エステル交換うち1以上の処理がなされたもの)等が挙げられる。油脂中のSSU型トリグリセリド及びSUS型トリグリセリドの合計含有量のバランスを適宜調整するために、これらの油脂としては、1種あるいは2種以上を選択して含有させることが好ましい。上記油脂に極度硬化油を含有させる場合、極度硬化油の添加量が油脂全体の質量に対して、5質量%以下であると、口溶けの妨げにならない。この点で、可塑性油脂組成物の製造に用いられる油脂は、極度硬化油を、油脂全体の質量に対して5質量%以下含有することが好ましい。パーム系油脂とは、パーム油、パーム油の分別油又はそれらの加工油(硬化、エステル交換うち1以上の処理がなされたもの)であればいずれでもよく、具体的には、1段分別油であるパームオレイン、パームステアリン、パームオレインの2段分別油であるパームオレイン(パームスーパーオレイン)及びパームミッドフラクション、パームステアリンの2段分別油であるパームステアリン(ソフトステアリン)、パームステアリン(スーパーステアリン)等が挙げられる。また、ラウリン酸を含有させるために添加する油脂としては、特に限定されないが、ヤシ油やパーム核油、それらの分別油又はそれらの加工油(硬化、エステル交換うち1以上の処理がなされたもの)等が挙げられる。
上記油脂のうち、本発明の可塑性油脂組成物の製造には、エステル交換油脂を使用することが好ましく、エステル交換油脂の中でも、ラウリン系油脂とパーム系油脂とをエステル交換したものが好ましい。特に、高温や経時による液状油の染み出しや長期保存による硬さ変化が少なく、保形性と口溶けに優れるという点で、ラウリン系油脂5質量%以上30質量%未満と、パーム系油脂70質量%超95質量%以下とをエステル交換したものが好ましく、さらに好ましくは、ラウリン系油脂10〜28質量%と、パーム系油脂72〜90質量%とをエステル交換したものである。特に、ラウリン系油脂の添加量を30質量%未満にすると、可塑性油脂組成物がスプレッド用である場合、伸展性、つや、フレーバーリリースに優れた可塑性油脂組成物を得ることができ、バタークリーム用である場合、クリーミング時の起泡性と分散性、液糖を添加したときの抱液性、フレーバーリリース、保形性が良好な可塑性油脂組成物を得ることができる。
口溶けに優れるという点で、上記エステル交換油は、油脂配合中に5〜50質量%含有することが好ましい。上記エステル交換油を適宜添加することによって、油脂全体の質量に対する構成脂肪酸の総炭素数40〜48であるトリグリセリド量を調整することができる。
口溶けがよく、低温から高温までの広温度域において可塑性を有する可塑性油脂組成物を得ることができる点で、上記エステル交換油脂のヨウ素価は、20〜45の範囲内であるのが好ましく、さらに好ましくは、20〜40の範囲内である。さらに、これらの範囲内のヨウ素価を持つ上記エステル交換油脂を原料に用いて得られた本発明の可塑性油脂組成物は、他の油脂との相溶性が極めてよいため、長期保存しても染み出しや硬さの変化等の極めて少ない安定性に優れた可塑性油脂を得ることができる。
<可塑性油脂組成物を用いた食品>
本発明は、可塑性油脂組成物を用いた食品を包含する。
食品としては、特に限定されないが、典型的には、パン、パイ、ケーキ、ペイストリー、アイスクリーム、クッキー、ビスケット、クラッカー、ワッフル、スコーン、シュー、ドーナツ、チョコレート等が挙げられる。本発明の可塑性油脂組成物を上記食品中に添加したり、バタークリームやスプレッドとして上記食品にナッペしたり、サンドしたり、トッピングしたりして用いることができる。
(エステル交換油の製造)
エステル交換油1
パーム核極度硬化油20質量%、パーム油55質量%、パーム油極度硬化油25質量%を混合し、触媒としてナトリウムメチラート添加し、減圧下で、エステル交換した。エステル交換反応後、水洗、脱水、脱色しエステル交換油1を得た。エステル交換油1のSUS含量は14.4質量%、SSU含量は28.9質量%、ヨウ素価30であった。
エステル交換油2
パームオレイン(ヨウ素価56)に触媒としてナトリウムメチラートを添加し、減圧下でエステル交換した。エステル交換反応後、水洗、脱水、脱色、脱臭しエステル交換油2を得た。エステル交換油2のSUS含量は11.1質量%、SSU含量は22.3質量%であった
(バタークリーム用マーガリンの製造)
後述する表1に示す油脂配合で調合した油脂82.5質量%に、乳化剤を添加した油脂組成物を、70℃に調温して油相とした。一方、マーガリン全体が100質量%となるように水の量を適宜調整し、脱脂粉乳1.5質量%を添加し、85℃で加熱殺菌して水相を得た。次に、該油相に該水相を添加し、プロペラ攪拌機で攪拌して、油中水型に乳化した後、コンビネーターによって急冷捏和し熟成して、バタークリーム用マーガリンを得た(実施例1〜15、比較例1〜7)。
(ショートニングの製造)
後述する表2に示す油脂配合で調合した油脂に、乳化剤を添加した油脂組成物を、70℃に調温した後、コンビネーターによって急冷捏和し熟成して、バタークリーム用ショートニングを得た(実施例16〜30、比較8〜14)。
(スプレッド用マーガリンの製造)
後述する表3に示す油脂配合で調合した油脂82.5質量%に乳化剤を添加した油脂組成物を、70℃に調温して油相とした。一方、マーガリン全体が100質量%となるよう適宜水の量を調整し、脱脂粉乳1質量%、食塩1質量%を添加し、85℃で加熱殺菌して水相を得た。次に、該油相に該水相を添加し、プロペラ攪拌機で攪拌して、油中水型に乳化した後、コンビネーターによって急冷捏和して、スプレッド用マーガリンを得た(実施例31〜45、比較例15〜21)。
(評価)
バタークリーム用マーガリン、ショートニングについては、口溶け、保形性、染み出し、クリーミング性、フレーバーリリース、瑞々しさについて評価した。スプレッド用マーガリンについては、口溶け、保形性、染み出し、スプレッド性(伸展性)、風味(塩味)、フレーバーリリース、瑞々しさについて評価した。
口溶けについては、パネル12名によりマーガリン又はショートニングの官能評価を行った。評価基準は、12名中10人以上が良好であると評価した場合、「5」とし、12名中8〜9人が良好であると評価した場合、「4」とし、12名中6〜7人が良好であると評価した場合、「3」とし、12名中4〜5人が良好であると評価した場合、「2」とし、12名中3人以下が良好であると評価した場合、「1」とした。
保形性については、マーガリン又はショートニングを3×3×3cm角にカットし、35℃の恒温槽にて3日保存したときの保形性を目視にて評価した。評価基準は、形状に全く変化がない場合、「5」とし、形状に若干変化がある場合、「4」とし、形状の崩れがある場合、「3」とし、形状の崩れが多くある場合、「2」とし、形状の崩れがかなり多くある場合、「1」とした。
染み出しについては、マーガリン又はショートニングを3×3×3cm角にカットし、35℃の恒温槽にて3日保存したときの油の染み出しを目視にて評価した。評価基準は、全く染み出しがない場合、「5」とし、若干染み出しがある場合、「4」とし、染み出しがある場合、「3」とし、染み出しが多くある場合、「2」とし、染み出しが大きく広がっている場合、「1」とした。
スプレッド性(伸展性)については、20℃に調温したスプレッド用マーガリン5gをスパテラに取り、ステンレス製の板に塗布し可塑性を評価した。評価基準は、薄く、非常に滑らかに伸展する場合、「5」とし、薄く、滑らかに伸展する場合、「4」とし、若干厚みがあるが、滑らかに伸展する場合、「3」とし、厚みがあり、伸展性悪い場合、「2」とし、厚みがあり、伸展するが途中で途切れる場合、「1」とした。
風味(塩味)については、パネル12名により官能評価を行った。評価基準は、12名中10人以上が良好であると評価した場合、「5」とし、12名中8〜9人が良好であると評価した場合、「4」とし、12名中6〜7人が良好であると評価した場合、「3」とし、12名中4〜5人が良好であると評価した場合、「2」とし、12名中3人以下が良好であると評価した場合、「1」とした。
クリーミング性については、卓上ミキサー(Kitchen Aid社)を用いて、調温したマーガリン又はショートニング500gを多羽ホイッパーで速度4にてクリーミングし、マーガリン又はショートニングの比重が0.4よりも軽くなるまでの時間で評価した。評価基準は、5分以内である場合、「5」とし、5分〜6分30秒以内である場合、「4」とし、6分30秒〜8分以内である場合、「3」とし、8分超である場合、「2」とし、比重0.4よりは軽くならない場合、「1」とした。
フレーバーリリースについては、マーガリン又はショートニングを250質量部、液糖を250質量部、ミルクフレーバーを0.2質量部で配合してミルク風味のバタークリームを作製し、パネル12名によりミルクフレーバーのフレーバーリリースを以下で述べる点数の平均点を用いて評価した。点数は、フレーバーリリースが非常に速く、風味を強く感じる場合、「5点」とし、フレーバーリリースが速く、風味を強く感じる場合、「4点」とし、フレーバーリリースがやや速く、風味を若干強く感じる場合、「3点」とし、フレーバーリリースがやや遅く、風味が若干薄れる場合、「2点」とし、フレーバーリリースが遅く、風味が弱い場合、「1点」とした。評価基準は、平均点が4以上5である場合、「5」とし、平均点が3以上4未満である場合、「4」とし、平均点が2以上3未満である場合、「3」とし、平均点が1.5以上2未満である場合、「2」とし、平均点が1.5未満である場合、「1」とした。
瑞々しさについては、パネル12名によりマーガリン又はショートニングの官能評価を行った。評価基準は、12名中10人以上が良好であると評価した場合、「5」とし、12名中8〜9人以上が良好であると評価した場合、「4」とし、12名中6〜7人以上が良好であると判断した場合、「3」とし、12名中4〜5人以上が良好であると判断した場合、「2」とし、12名中3人以下が良好であると判断した場合、「1」とした。
実施例、比較例の油脂組成物の作製に用いた乳化剤を以下に示す。
モノグリセリンモノラウリン酸エステル:エマルジーM−300(理研ビタミン株式会社製、融点56.8℃)
モノグリセリンモノリノール酸エステル:エマルジーMU(理研ビタミン株式会社製、融点34.8℃)
モノグリセリンモノオレイン酸エステル:エマルジーMO(理研ビタミン株式会社製、融点58.4℃)
モノグリセリンモノステアリン酸エステル:エマルジーMS(理研ビタミン株式会社製、融点67℃)
モノグリセリンモノベヘン酸エステル:エマルジーB−100(理研ビタミン株式会社製、融点80.5℃)
ポリグリセリン脂肪酸エステル:THL−17(阪本薬品工業株式会社製、融点31℃)
バタークリーム用マーガリンについての実施例1〜15及び比較例1〜7の組成及び評価について、下記の表1に示す。
Figure 0005584351
バタークリーム用ショートニングについての実施例16〜30及び比較例8〜14の組成及び評価について、下記の表2に示す。
Figure 0005584351
スプレッド用マーガリンについての実施例31〜45及び比較例15〜21の組成及び評価について、下記の表3に示す。
Figure 0005584351
比較例1〜21において、口溶け、保形性、染み出しの起こりにくさの全てに優れるものは確認されなかった。これに対し、実施例1〜45においては、口溶け、保形性、染み出しの起こりにくさに加え、フレーバーリリース、瑞々しさの評価が高いことが確認された。また、実施例1〜30(バタークリーム用マーガリン、バタークリーム用ショートニング)については、クリーミング性の評価が高いこと、実施例31〜45(スプレッド用マーガリン)については、スプレッド性(伸展性)及び風味(塩味)の評価が高いことが確認された。上記表1〜3に記載されたそれぞれの組成から明らかなように、これら実施例に係る可塑性油脂組成物は、全て、SSU型トリグリセリドに対するSUS型トリグリセリドの質量比が0.1以上、2.5未満であり、油脂全体における2飽和−1不飽和型トリグリセリドと3飽和型トリグリセリドとの合計含有量が30〜65質量%であり、組成物全体における、融点が60℃以下のモノグリセリンモノ脂肪酸エステルが0.01〜1.0質量%である。一方、比較例1〜21においては、「SSU型トリグリセリドに対するSUS型トリグリセリドの質量比が0.1以上、2.5未満」、「油脂全体における2飽和−1不飽和型トリグリセリドと3飽和型トリグリセリドとの合計含有量が30〜65質量%」及び「組成物全体における融点が60℃以下のモノグリセリンモノ脂肪酸エステルが0.01〜1.0質量%」の要件全てを満たすものはない。
2飽和−1不飽和型トリグリセリドと3飽和型トリグリセリドとの合計含有量が、30質量%未満である比較例6、13、20は、保形性、染み出しの評価が低かった。この結果は、2飽和−1不飽和型トリグリセリドと3飽和型トリグリセリドとの合計含有量は、30質量%以上であることによって、保形性に優れ、染み出しが起こりにくくなることを示す。一方、2飽和−1不飽和型トリグリセリドと3飽和型トリグリセリドとの合計含有量が、65質量%超である、比較例5、12、19は、口溶け、フレーバーリリース、瑞々しさの評価が低かった。また、比較例5、12(バタークリーム用マーガリン、バタークリーム用ショートニング)は、クリーミング性の評価が低かったこと、比較例19(スプレッド用マーガリン)は、スプレッド性(伸展性)、風味(塩味)が低かったことが確認された。この結果は、2飽和−1不飽和型トリグリセリドと3飽和型トリグリセリドとの合計含有量は、65質量%以下であることによって、口溶け、瑞々しさ、及びクリーミング性又はスプレッド性(伸展性)が向上することを示す。
SSU型トリグリセリドに対するSUS型トリグリセリドの質量比が2.5以上である比較例7、14、21は、保形性、染み出しの評価が低いことが確認された。また、比較例7、14(バタークリーム用マーガリン、バタークリーム用ショートニング)は、クリーミング性の評価が低いことが確認された。比較例21(スプレッド用マーガリン)は、スプレッド性(伸展性)が低いことが確認された。この結果により、SSU型トリグリセリドに対するSUS型トリグリセリドの質量比が2.5未満であることにより、保形性及びクリーミング性又はスプレッド性(伸展性)が向上し、染み出しが起こりにくくなることが示された。
以上の結果より、可塑性油脂組成物において、SSU型トリグリセリドに対するSUS型トリグリセリドの質量比が0.1以上、2.5未満であり、2飽和−1不飽和型トリグリセリドと3飽和型トリグリセリドとの合計含有量が、油脂全体の質量に対して30〜65質量%であり、融点が60℃以下の脂肪酸を構成脂肪酸とするモノグリセリンモノ脂肪酸エステルを組成物全体の質量に対して、0.01〜1.0質量%含有するものであることによって、口溶け、保形性に優れ、染み出しが起こりにくいのみではなく、フレーバーリリース、瑞々しさ、並びに、クリーミング性、又はスプレッド性(伸展性)及び風味(塩味)に優れることが示された。
油脂の構成脂肪酸として、ラウリン酸を、油脂の構成脂肪酸全体の質量に対して0.9質量%以上含む、実施例1〜6、8〜14(バタークリーム用マーガリン)、16〜21、23〜29(バタークリーム用ショートニング)、31〜36、38〜44(スプレッド用マーガリン)は、ラウリン酸を0.9質量%未満含む実施例7(バタークリーム用マーガリン)、22(バタークリーム用ショートニング)、37(スプレッド用マーガリン)と比較して、口溶け、保形性又はクリーミング性に優れることが確認された。この結果は、油脂の構成脂肪酸として、ラウリン酸を油脂の構成脂肪酸全体の質量に対して0.9質量%以上含むことにより、口溶け、保形性又はクリーミング性がさらに向上することを示す。なお、実施例15(バタークリーム用マーガリン)、30(バタークリーム用ショートニング)、実施例45(スプレッド用マーガリン)は、ラウリン酸を油脂の構成脂肪酸全体の質量に対して0質量%であるにもかかわらず、ラウリン酸量が9.0質量%以上である実施例と、口溶け、保形性又はクリーミング性が変わらないのは、実施例7(バタークリーム用マーガリン)、22(バタークリーム用ショートニング)、37(スプレッド用マーガリン)と比較して、トランス酸量が多く、また、2飽和−1不飽和型トリグリセリドと3飽和型トリグリセリドとの合計含有量、SSU型トリグリセリドに対するSUS型トリグリセリドの質量比のバランスが良かったためであると考えられる。
また、モノグリセリンモノラウリン酸エステル(融点56.8℃)又はモノグリセリンモノオレイン酸エステル(融点58.4℃)を使用した実施例1、3、16、18、31及び33は、モノグリセリンモノリノール酸エステル(融点34.8℃)を使用した実施例2、17及び32より、フレーバーリリースがより優れていることが確認された。特に、スプレッド用である実施例31及び33は、実施例32より風味(塩味)においてもより優れていることが確認された。
また、実施例1〜14(バタークリーム用ショートニング)、16〜29(バタークリーム用ショートニング)、31〜44(スプレッド用マーガリン)は、油脂中のトランス酸の量が3.0質量%未満であり、その量が低いにもかかわらず、口溶けに優れることが確認された。

Claims (4)

  1. SSU型トリグリセリドに対するSUS型トリグリセリドの質量比が0.1以上、2.5未満であり、
    2飽和−1不飽和型トリグリセリドと3飽和型トリグリセリドとの合計含有量が、油脂全体の質量に対して30〜65質量%であり、
    融点が60℃以下のモノグリセリンモノ脂肪酸エステルを、組成物全体の質量に対して、0.01〜1.0質量%含有する可塑性油脂組成物。
  2. 油脂の構成脂肪酸中のトランス酸の含有量が、油脂の構成脂肪酸全体の質量に対して、3.0質量%未満である請求項1記載の可塑性油脂組成物。
  3. 油脂の構成脂肪酸中のラウリン酸の含有量が、油脂の構成脂肪酸全体の質量に対して、0.9質量%以上である請求項1又は2記載の可塑性油脂組成物。
  4. 請求項1から3いずれかに記載の可塑性油脂組成物を用いた食品。
JP2013273356A 2013-12-27 2013-12-27 可塑性油脂組成物及び可塑性油脂組成物を用いた食品 Active JP5584351B1 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013273356A JP5584351B1 (ja) 2013-12-27 2013-12-27 可塑性油脂組成物及び可塑性油脂組成物を用いた食品
CN201480070231.8A CN105848488B (zh) 2013-12-27 2014-12-04 可塑性油脂组合物及使用了可塑性油脂组合物的食品
PCT/JP2014/082129 WO2015098455A1 (ja) 2013-12-27 2014-12-04 可塑性油脂組成物及び可塑性油脂組成物を用いた食品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013273356A JP5584351B1 (ja) 2013-12-27 2013-12-27 可塑性油脂組成物及び可塑性油脂組成物を用いた食品

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP5584351B1 true JP5584351B1 (ja) 2014-09-03
JP2015126716A JP2015126716A (ja) 2015-07-09

Family

ID=51617825

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013273356A Active JP5584351B1 (ja) 2013-12-27 2013-12-27 可塑性油脂組成物及び可塑性油脂組成物を用いた食品

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP5584351B1 (ja)
CN (1) CN105848488B (ja)
WO (1) WO2015098455A1 (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5833728B1 (ja) * 2014-10-23 2015-12-16 ミヨシ油脂株式会社 層状食品用油脂組成物とそれを用いた生地及び焼成品の製造方法
JP5833730B1 (ja) * 2014-10-23 2015-12-16 ミヨシ油脂株式会社 層状食品用油脂組成物とそれを用いた生地及び焼成品の製造方法
JP5833729B1 (ja) * 2014-10-23 2015-12-16 ミヨシ油脂株式会社 バタークリーム又はベーカリー製品用可塑性油脂組成物とそれを用いた食品の製造方法
JP2016059354A (ja) * 2014-09-19 2016-04-25 ミヨシ油脂株式会社 層状食品用油脂組成物とそれを用いた可塑性油脂、生地及び焼成品
JP2016082970A (ja) * 2014-10-23 2016-05-19 ミヨシ油脂株式会社 スプレッド用油脂組成物とそれを用いたスプレッド
JP2016131559A (ja) * 2015-01-22 2016-07-25 ミヨシ油脂株式会社 可塑性油脂組成物及び可塑性油脂組成物が添加された食品
JP2020039274A (ja) * 2018-09-07 2020-03-19 月島食品工業株式会社 可塑性油脂組成物およびこれを用いた食品

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6879669B2 (ja) * 2016-03-29 2021-06-02 太陽油脂株式会社 バタークリーム用油脂組成物
JP6836331B2 (ja) * 2016-04-01 2021-02-24 ミヨシ油脂株式会社 可塑性油脂組成物とそれを用いたスプレッドおよび焼成品の製造方法
RU2019138530A (ru) * 2017-05-30 2021-06-30 Aak Aб (Aak Ab) Композиция против поседения
WO2022050339A1 (ja) * 2020-09-02 2022-03-10 株式会社Adeka 製菓用油脂組成物

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006016576A1 (ja) * 2004-08-11 2006-02-16 Fuji Oil Company, Limited 食品内水分移行抑制用油脂組成物及びこれを使用した食品
JP5421496B1 (ja) * 2013-08-28 2014-02-19 ミヨシ油脂株式会社 油脂組成物及び可塑性油脂組成物

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4646326B2 (ja) * 2006-12-11 2011-03-09 株式会社J−オイルミルズ 油脂組成物
JP5570113B2 (ja) * 2008-12-22 2014-08-13 日清オイリオグループ株式会社 油脂及び油脂の製造方法
JP5557458B2 (ja) * 2009-03-06 2014-07-23 日清オイリオグループ株式会社 油脂の製造方法
WO2012121010A1 (ja) * 2011-03-04 2012-09-13 日清オイリオグループ株式会社 油脂組成物及び該油脂組成物を用いたバタークリーム

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006016576A1 (ja) * 2004-08-11 2006-02-16 Fuji Oil Company, Limited 食品内水分移行抑制用油脂組成物及びこれを使用した食品
JP5421496B1 (ja) * 2013-08-28 2014-02-19 ミヨシ油脂株式会社 油脂組成物及び可塑性油脂組成物

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016059354A (ja) * 2014-09-19 2016-04-25 ミヨシ油脂株式会社 層状食品用油脂組成物とそれを用いた可塑性油脂、生地及び焼成品
JP5833728B1 (ja) * 2014-10-23 2015-12-16 ミヨシ油脂株式会社 層状食品用油脂組成物とそれを用いた生地及び焼成品の製造方法
JP5833730B1 (ja) * 2014-10-23 2015-12-16 ミヨシ油脂株式会社 層状食品用油脂組成物とそれを用いた生地及び焼成品の製造方法
JP5833729B1 (ja) * 2014-10-23 2015-12-16 ミヨシ油脂株式会社 バタークリーム又はベーカリー製品用可塑性油脂組成物とそれを用いた食品の製造方法
JP2016082970A (ja) * 2014-10-23 2016-05-19 ミヨシ油脂株式会社 スプレッド用油脂組成物とそれを用いたスプレッド
JP2016131559A (ja) * 2015-01-22 2016-07-25 ミヨシ油脂株式会社 可塑性油脂組成物及び可塑性油脂組成物が添加された食品
JP2020039274A (ja) * 2018-09-07 2020-03-19 月島食品工業株式会社 可塑性油脂組成物およびこれを用いた食品

Also Published As

Publication number Publication date
CN105848488B (zh) 2019-08-16
WO2015098455A1 (ja) 2015-07-02
JP2015126716A (ja) 2015-07-09
CN105848488A (zh) 2016-08-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5584351B1 (ja) 可塑性油脂組成物及び可塑性油脂組成物を用いた食品
JP7180956B2 (ja) 層状食品用油脂組成物とそれを用いた可塑性油脂、生地及び焼成品
JP6342171B2 (ja) 可塑性油脂組成物及び可塑性油脂組成物が添加された食品
JP7180955B2 (ja) 練り込み用油脂組成物とそれを用いた可塑性油脂、生地及び焼成品
JP6497875B2 (ja) 可塑性油脂組成物及び可塑性油脂組成物が添加された食品
WO2015099160A1 (ja) 油脂組成物
JP6571933B2 (ja) バタークリーム用油脂組成物とそれを用いたバタークリーム
JP2019187436A (ja) スプレッド用油脂組成物とそれを用いたスプレッド
JP2019085564A (ja) 乳化油脂組成物
JP6429642B2 (ja) 可塑性油脂組成物及び可塑性油脂組成物が添加された食品
JP6518427B2 (ja) 製菓製パン用油脂組成物およびその製造方法
JP2017184638A (ja) 可塑性油脂組成物とそれを用いたスプレッドおよび焼成品の製造方法
JP5833729B1 (ja) バタークリーム又はベーカリー製品用可塑性油脂組成物とそれを用いた食品の製造方法
JP2017079737A (ja) 油脂組成物とそれを用いた食品
JP2018068290A (ja) スプレッドとバタークリーム用油中水型乳化物およびバタークリームの製造方法
JP6685117B2 (ja) エステル交換油脂組成物とそれを用いた可塑性油脂組成物
JP5833728B1 (ja) 層状食品用油脂組成物とそれを用いた生地及び焼成品の製造方法
JP6905915B2 (ja) 練り込み用油中水型乳化物とそれを用いた可塑性油脂および焼成品の製造方法
JP5833730B1 (ja) 層状食品用油脂組成物とそれを用いた生地及び焼成品の製造方法
JP2019004875A (ja) 可塑性油脂組成物
JP2018027079A (ja) 可塑性油脂組成物及び食品
JP2018068289A (ja) 層状食品用油中水型乳化物とそれを用いた可塑性油脂および層状食品の製造方法
JP2018068138A (ja) 可塑性油脂組成物とそれを用いたマーガリン、スプレッド、バタークリーム
JP2018057325A (ja) 注入用油脂組成物とそれを用いた可塑性油脂およびパン
JP6456694B2 (ja) 層状食品用生地および焼成品

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140528

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20140528

TRDD Decision of grant or rejection written
A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20140704

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140715

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140717

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5584351

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250