JP6685117B2 - エステル交換油脂組成物とそれを用いた可塑性油脂組成物 - Google Patents

エステル交換油脂組成物とそれを用いた可塑性油脂組成物 Download PDF

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Description

本発明は、スプレッド、バタークリーム、焼成品の生地への練り込みなどに使用されるエステル交換油脂組成物とそれを用いた可塑性油脂組成物に関する。
従来、マーガリンやショートニング等の食用油脂には部分水素添加した硬化油が多く使用されてきた。しかし、これに含まれるトランス脂肪酸は動脈硬化症のリスクを増加させるとも言われており、健康への影響が懸念される点を考慮し、近年では、原料油脂にはトランス酸量が少ないことが望まれている。
そのような中で、トランス酸量の少ない油脂配合が検討されてきており、例えば、エステル交換油脂を使用してトリグリセリド組成や脂肪酸組成を調整することが行われている。
本出願人は、ラウリン系油脂とパーム系油脂とのエステル交換油脂について検討を行ってきた(特許文献1〜5)。これらの技術においては、製造から使用までに際しては、高温や経時による、2不飽和トリグリセリド、3不飽和トリグリセリド等の低融点トリグリセリドである液状油の染みだしが少ないこと、長期保存しても硬さ変化が少ないことや、高温や経時によって形状が崩れにくい保型性等を改良することに着目して検討を行ってきた。
しかし、5〜10℃程度の低温での特性に着目したときに、口中でのもたつき感、焼成品のヒキなどに、さらなる改良の余地があった。
ラウリン系油脂とパーム系油脂とのエステル交換油脂を可塑性油脂に用いるものとしては、その他に特許文献6〜8の技術が提案されている。
特許文献6、7のエステル交換油脂は、パーム系の固体脂を比較的多く含有しているこことから、このエステル交換油脂を配合した可塑性油脂は、低温下で口溶けが悪くもたつき感が生じる。
特許文献8のエステル交換油脂は、ランダム率とエステル交換率を制御することが難しく、また可塑性油脂は、低温下での口溶け、特に口中でのもたつき感のないものとすることを満足することが難しい。
特開2014−055279号公報 特開2015−043732号公報 特開2015−142567号公報 特開2015−142568号公報 特開2015−142569号公報 特開平10−165093号公報 特開2007−215521号公報 特開2000−212590号公報
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、可塑性油脂に配合した際に、低温下に保存しても、口溶けが良好で、もたつき感のない食感を得ることができるエステル交換油脂組成物とそれを用いた可塑性油脂組成物を提供することを課題としている。
また、可塑性油脂を生地に練り込んだパン等の焼成品は、焼成品を低温下に保存しても、ヒキのない食感を得ることができるエステル交換油脂組成物とそれを用いた可塑性油脂組成物を提供することを課題としている。
上記の課題を解決するために、本発明のエステル交換油脂組成物は、ラウリン系油脂とパーム系油脂とのエステル交換油脂組成物であって、ラウリン系油脂およびパーム系油脂として極度硬化油を含有し、ラウリン系油脂の極度硬化油とパーム系油脂の極度硬化油との合計量が3〜20質量%であり、トリグリセリドの2位に結合したラウリン酸の含有量がトリグリセリドの2位に結合した脂肪酸全体の質量に対して6〜14.5質量%であることを特徴としている。
本発明の可塑性油脂組成物は、上記のエステル交換油脂組成物を含有する。
本発明のエステル交換油脂組成物によれば、可塑性油脂に配合した際に、低温下に保存しても、口溶けが良好で、もたつき感のない食感を得ることができる。
また、可塑性油脂を生地に練り込んだパン等の焼成品は、焼成品を低温下に保存しても、ヒキのない食感を得ることができる。
本明細書において「もたつき感」とは、口中での溶解が遅く、油脂の残存感があり、例えば、5℃で保存した可塑性油脂組成物を口に入れて10秒を超えても溶解せず油脂の残存感があることを言う。「ヒキ」とは、焼成品を口中に含んだ際に、パン様の繋がりが残存する食感を言う。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明のエステル交換油脂組成物は、ラウリン系油脂の極度硬化油とパーム系油脂の極度硬化油の合計量が比較的少ない配合とし、かつ2位のラウリン酸量を特定範囲としたことで、低融点であり、口に入れると油脂が素早く溶解する特性を持つことから、これを配合したマーガリン、ショートニング等の可塑性油脂組成物は、5〜10℃程度、特に5℃の低温下に保存したものであっても、もたつき感を感じさせない。また、可塑性油脂を生地に練り込んだパン等の焼成品は、焼成品を5〜10℃程度、特に5℃の低温下に保存したものであっても、ヒキのない食感を得ることができる。
また、このような特性を持つことから、本発明のエステル交換油脂組成物を配合し、可塑性油脂としたスプレッドは低温での伸展性が良好で、バタークリームは清涼感があり、抱液性も良好である。また、可塑性油脂を生地に練り込んだパン等の焼成品は、焼成品を5〜10℃程度、特に5℃の低温下に保存したものであっても、シトリと表現される湿り気のあるなめらかな食感に優れている。
1.油脂
本発明において、油脂中のトリグリセリドとは、1分子のグリセロールに3分子の脂肪酸がエステル結合した構造を有するものである。トリグリセリドの1位、2位、3位とは、脂肪酸が結合した位置を表す。なお、トリグリセリドの構成脂肪酸の略称として、S:飽和脂肪酸、U:不飽和脂肪酸、を用いる。
飽和脂肪酸Sは、油脂中に含まれるすべての飽和脂肪酸である。また、各トリグリセリド分子に結合している2つまたは3つの飽和脂肪酸Sは、同一の飽和脂肪酸であってもよいし、異なる飽和脂肪酸であってもよい。
飽和脂肪酸Sとしては、特に限定されないが、例えば、酪酸(4)、カプロン酸(6)、カプリル酸(8)、カプリン酸(10)、ラウリン酸(12)、ミリスチン酸(14)、パルミチン酸(16)、ステアリン酸(18)、アラキジン酸(20)、ベヘン酸(22)、リグノセリン酸(24)などが挙げられる。なお、上記の数値表記は、脂肪酸の炭素数である。
不飽和脂肪酸Uは、油脂中に含まれるすべての不飽和脂肪酸である。また、各トリグリセリド分子に結合している2つまたは3つの不飽和脂肪酸Uは、同一の不飽和脂肪酸であってもよいし、異なる不飽和脂肪酸であってもよい。
不飽和脂肪酸Uとしては、特に限定されないが、例えば、ミリストレイン酸(14:1)、パルミトレイン酸(16:1)、ヒラゴン酸(16:3)、オレイン酸(18:1)、リノール酸(18:2)、リノレン酸(18:3)、エイコセン酸(20:1)、エルカ酸(22:1)、セラコレイン酸(24:1)などが挙げられる。なお、上記不飽和脂肪酸についての括弧内の数値表記は、左側が脂肪酸の炭素数であり、右側が二重結合数を意味する。
本発明のエステル交換油脂組成物および可塑性油脂組成物に使用される油脂は、1位、2位、3位のすべてに飽和脂肪酸Sが結合した3飽和トリグリセリド(SSS)を含み、1分子のグリセロールに2分子の飽和脂肪酸Sと1分子の不飽和脂肪酸Uが結合した2飽和トリグリセリドとして、1位および3位に飽和脂肪酸Sが結合し、かつ2位に不飽和脂肪酸Uが結合した対称型トリグリセリド(SUS)と、1位と2位、または2位と3位に飽和脂肪酸Sが結合し、かつ3位または1位に不飽和脂肪酸Uが結合した非対称型トリグリセリド(SSU)とを含む。また、1分子のグリセロールに2分子の不飽和脂肪酸Uと1分子の飽和脂肪酸Sが結合した2不飽和トリグリセリド(UUS、USU)を含んでよく、1位、2位、3位のすべてに不飽和脂肪酸Uが結合した3不飽和トリグリセリド(UUU)を含んでよい。
2.エステル交換油脂組成物(A)
本発明のエステル交換油脂組成物(A)は、ラウリン系油脂(A1)とパーム系油脂(A2)とをエステル交換反応の原料油脂としている。
本発明のエステル交換油脂組成物(A)は、ラウリン系油脂(A1)およびパーム系油脂(A2)として極度硬化油を含有し、ラウリン系油脂(A1)の極度硬化油とパーム系油脂(A2)の極度硬化油との合計量が3〜20質量%であり、トリグリセリドの2位に結合したラウリン酸の含有量は、トリグリセリドの2位に結合した脂肪酸全体の質量に対して6〜14.5質量%である。これにより、これを配合したマーガリン、ショートニング等の可塑性油脂組成物は、5〜10℃程度、特に5℃の低温下に保存したものであっても、もたつき感を感じさせない。また、可塑性油脂を生地に練り込んだパン等の焼成品は、焼成品を5〜10℃程度、特に5℃の低温下に保存したものであっても、ヒキのない食感を得ることができる。さらに、本発明のエステル交換油脂組成物(A)を可塑性油脂に配合したスプレッドは低温での伸展性が良好で、バタークリームは清涼感があり、抱液性も良好である。また、可塑性油脂を生地に練り込んだパン等の焼成品は、焼成品を5〜10℃程度、特に5℃の低温下に保存したものであっても、シトリと表現される湿り気のあるなめらかな食感に優れている。
本発明のエステル交換油脂組成物(A)は、ラウリン系油脂(A1)およびパーム系油脂(A2)として極度硬化油を含有し、ラウリン系油脂(A1)の極度硬化油とパーム系油脂(A2)の極度硬化油との合計量が3〜20質量%である。この範囲内であると、低温下での物性に優れたものとすることができる。パーム系油脂が極度硬化油のみでは、高融点となり、低温下での物性に劣る。ラウリン系油脂が極度硬化油のみでは、可塑性油脂としたときに、可塑性油脂の基本物性である保型性が低下する。
上記観点からラウリン系油脂の極度硬化油とパーム系油脂の極度硬化油との比率が質量比で1:3〜3:1であることが好ましい。
本発明のエステル交換油脂組成物(A)は、トリグリセリドの2位に結合したラウリン酸の含有量が、エステル交換油脂中のトリグリセリドの2位に結合した脂肪酸全体の質量に対して6〜14.5質量%である。2位にラウリン酸が結合されたトリグリセリドは、ラウリン酸の分子量が小さいことに起因し、分子運動がおこりやすい。そのため固化後に油脂中で、分子同士が離れやすい状態となり、その結果として、低温下での良好な物性を得ることができる。
2位にラウリン酸が結合されたトリグリセリドの1、3位の構成脂肪酸は、飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸のいずれであってもよい。2位がラウリン酸であるトリグリセリドとしては、例えば、SLS型トリグリセリド、SLU型トリグリセリド(位置異性体も含む)、ULU型トリグリセリド等が挙げられるが、特に限定されない。なお、「L」とは、トリグリセリドの構成脂肪酸であるラウリン酸を意味する。本発明の効果を得る点から、2位にラウリン酸が結合されたトリグリセリドの1位または3位の構成脂肪酸が飽和脂肪酸である場合、炭素数4〜20の飽和脂肪酸であることが好ましい。2位にラウリン酸が結合されたトリグリセリドの1位または3位の構成脂肪酸が不飽和脂肪酸である場合、炭素数16〜18の不飽和脂肪酸(パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等)であることが好ましい。2位にラウリン酸が結合されたトリグリセリドの1位または3位の構成脂肪酸が飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸である場合、上述の飽和脂肪酸(炭素数4〜20の飽和脂肪酸)と不飽和脂肪酸(炭素数16〜18の不飽和脂肪酸)であることが好ましい。
本発明のエステル交換油脂組成物(A)において、3飽和トリグリセリドである次のStStSt、PStSt、PStP、PPSt、StPSt、およびPPPを合計量として7〜10質量%含有することが好ましい。
StStSt;1位と2位と3位にステアリン酸が結合されたトリグリセリド
PStSt;1位にパルミチン酸、2位と3位にステアリン酸が結合されたトリグリセリド、または、3位にパルミチン酸、2位と1位にステアリン酸が結合されたトリグリセリド
PStP;1位と3位にパルミチン酸、2位にステアリン酸が結合されたトリグリセリドPPSt;1位と2位にパルミチン酸、3位にステアリン酸が結合したトリグリセリド、または、1位にステアリン酸、2位と3位にパルミチン酸が結合されたトリグリセリドStPSt;1位と3位にステアリン酸、2位にパルミチン酸が結合されたトリグリセリド
PPP;1位と2位と3位にパルミチン酸が結合されたトリグリセリド
上記3飽和トリグリセリドを7〜10質量%含有することで、口溶けが良好で、ヒキのない食感が向上する。
以上のようなエステル交換油脂組成物(A)の原料であるラウリン系油脂(A1)は、全構成脂肪酸中のラウリン酸含有量が30質量%以上、好ましくは40〜55質量%、より好ましくは45〜50質量%である。このようなラウリン系油脂(A1)としては、パーム核油、ヤシ油、これらの分別油、硬化油等が挙げられ、これらは1種単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
エステル交換油脂組成物(A)のラウリン系油脂(A1)は、ヨウ素価が10〜15であることが好ましい。この範囲内であると、ラウリン系油脂(A1)の極度硬化油とパーム系油脂(A2)の極度硬化油との合計量を本発明の範囲内にすることが容易である。
パーム系油脂(A2)は、全構成脂肪酸中の炭素数16以上の脂肪酸含有量が35質量%以上である。このようなパーム系油脂(A2)としては、パーム油、パーム分別油、これらの硬化油等が挙げられ、これらは1種単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。パーム分別油としては、硬質部、軟質部、中融点部等を用いることができる。
エステル交換油脂組成物(A)のパーム系油脂(A2)は、ヨウ素価が45〜50であることが好ましい。この範囲内であると、ラウリン系油脂(A1)の極度硬化油とパーム系油脂(A2)の極度硬化油を本発明の範囲内にすることが容易である。
エステル交換油脂組成物(A)において、ラウリン系油脂(A1)と、パーム系油脂(A2)とのエステル交換反応には、エステル交換触媒として化学触媒や酵素触媒が用いられる。化学触媒としてはナトリウムメチラートや水酸化ナトリウム等が用いられ、酵素触媒としてはリパーゼ等が用いられる。リパーゼとしてはアスペルギルス属、アルカリゲネス属等のリパーゼが挙げられ、イオン交換樹脂、ケイ藻土、セラミック等の担体上に固定し固定化したものを用いても、粉末の形態として用いても良い。また位置選択性のあるリパーゼ、位置選択性のないリパーゼのいずれも用いることができるが、位置選択性のないリパーゼを用いることが好ましい。エステル交換触媒として化学触媒や位置選択性のない酵素触媒を用いた場合、ラウリン系油脂(A1)とパーム系油脂(A2)とのエステル交換反応が完了すると、構成脂肪酸として飽和脂肪酸(S)を2個、不飽和脂肪酸(U)を1個含む2飽和トリグリセリドのうち、対称型トリグリセリド(SUS)と非対称型トリグリセリド(SSU)とのエステル交換油脂(A)中における質量比(SUS/SSU)が0.45〜0.55の範囲内となる。
エステル交換反応に化学触媒を用いる場合、触媒を油脂質量の0.05〜0.15質量%添加し、減圧下で80〜120℃に加熱し、0.5〜1.0時間攪拌することでラウリン系油脂(A1)とパーム系油脂(A2)とのエステル交換反応が平衡状態となって完了し、エステル交換油脂組成物(A)を得ることができる。また酵素触媒を用いる場合、リパーゼ等の酵素触媒を油脂質量の0.01〜10質量%添加し、40〜80℃でエステル交換反応を行うことによりエステル交換反応が平衡状態となって完了し、エステル交換油脂組成物(A)を得ることができる。エステル交換反応はカラムによる連続反応、バッチ反応のいずれの方法で行うこともできる。エステル交換反応後、必要に応じて脱色、脱臭等の精製を行うことができる。
3.可塑性油脂組成物(B)
本発明の可塑性油脂組成物(B)は、以上に説明した本発明のエステル交換油脂組成物(A)を油相中に含有する。
この可塑性油脂組成物(B)における本発明のエステル交換油脂組成物(A)の含有量は、好ましくは15〜80質量%である。
本発明の可塑性油脂組成物(B)において、トリグリセリドの2位に結合されたオレイン酸の含有量は、トリグリセリドの2位に結合した脂肪酸全体の質量に対して好ましくは35〜50質量%である。2位にオレイン酸が結合されたトリグリセリドは、分子構造上歪を形成しており、回転運動する際に、分子構造の障害となりやすい状態となる。これにより油脂中の各トリグリセリドの分子同士が近付きにくくなることから、結晶化しにくい状態となる。そのため、2位に結合されたオレイン酸量を上記範囲とすることで、マーガリンやショートニング等の製造機内で十分に練ることができ、低温下での物性に優れたものとすることができる。
本発明の可塑性油脂組成物(B)において、トリグリセリドの2位に結合されたラウリン酸の含有量は、トリグリセリドの2位に結合した脂肪酸全体の質量に対して好ましくは0.5〜15質量%、より好ましくは1〜9質量%である。
本発明の可塑性油脂組成物(B)において、飽和脂肪酸の含有量は、油脂全量に対して好ましくは40〜58質量%である。飽和脂肪酸の含有量をこの範囲内とすることで、低温での物性を保ちつつ、保型性に優れたものを得ることができる。
本発明の可塑性油脂組成物(B)において、P2Oの含有量は、油脂全量に対して好ましくは7〜22質量%である。ここでP2Oは、PPOおよびPOPを示す。PPOは、1位と2位または2位と3位にパルミチン酸、3位または1位にオレイン酸が結合されたトリグリセリドを示し、POPは、1位と3位にパルミチン酸、2位にオレイン酸が結合されたトリグリセリドを示し、Pはパルミチン酸、Oはオレイン酸を示す。
本発明の可塑性油脂組成物(B)は、油脂の構成脂肪酸としてトランス酸を含んでもよく、含まなくてもよいが、トランス酸の摂取量が多くなると、人体に摂取された際のLDLコレステロールが増加しうる。よって、これを抑制しやすい点から、本発明においては、油脂の構成脂肪酸中のトランス酸の含有量は、油脂の構成脂肪酸全体の質量に対して10質量%未満であることが好ましく、5質量%未満であることがより好ましく、3質量%未満であることが最も好ましい。
本発明の可塑性油脂組成物(B)の製造に用いられる、エステル交換油脂組成物(A)以外の油脂としては、特に限定されないが、パーム油、パーム核油、ヤシ油、菜種油、大豆油、綿実油、ヒマワリ油、米油、サフラワー油、オリーブ油、ゴマ油、シア脂、サル脂、イリッペ脂、カカオ脂、豚脂(ラード)、牛脂、乳脂、それらの分別油またはそれらの加工油(硬化およびエステル交換反応のうち1つ以上の処理がなされたもの)などが挙げられる。本発明の可塑性油脂組成物(B)におけるトリグリセリドの2位に結合されたオレイン酸量や、飽和脂肪酸量を適宜調整すること等のために、これらの油脂は、1種単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
本発明の可塑性油脂組成物(B)は、水相を実質的に含有しない形態と、水相を含有する形態をとることができる。水相を含有する形態としては油中水型、水中油型、油中水中油型、水中油中水型が挙げられ、油相の含有量は、好ましくは60〜99.4質量%、より好ましくは65〜98質量%であり、水相の含有量は、好ましくは0.6〜40質量%、より好ましくは2〜35質量%である。水相を含有する形態としては油中水型が好ましく、マーガリンが挙げられる。
また水相を実質的に含有しない形態としてはショートニングが挙げられる。ここで「実質的に含有しない」とは日本農林規格のショートニングに該当する、水分(揮発分を含む。)の含有量が0.5質量%以下のことである。
本発明の可塑性油脂組成物(B)は、水以外に、従来の公知の成分を含んでもよい。公知の成分としては、特に限定されないが、例えば、乳、乳製品、蛋白質、糖質、塩類、酸味料、pH調整剤、抗酸化剤、香辛料、着色成分、香料、乳化剤、酒類、酵素、粉末油脂などが挙げられる。乳としては、牛乳などが挙げられる。乳製品としては、脱脂乳、生クリーム、チーズ(ナチュラルチーズ、プロセスチーズなど)、発酵乳、濃縮乳、脱脂濃縮乳、無糖れん乳、加糖れん乳、無糖脱脂れん乳、加糖脱脂れん乳、全脂粉乳、脱脂粉乳、クリームパウダー、ホエイパウダー、蛋白濃縮ホエイパウダー、ホエイ蛋白コンセントレート(WPC)、ホエイ蛋白アイソレート(WPI)、バターミルクパウダー、トータルミルクプロテイン、カゼインナトリウム、カゼインカリウムなどが挙げられる。蛋白質としては、大豆蛋白、エンドウ豆蛋白、小麦蛋白などの植物蛋白などが挙げられる。糖質としては、単糖(グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノースなど)、二糖類(ラクトース、スクロース、マルトース、トレハロースなど)、オリゴ糖、糖アルコール、ステビア、アスパルテームなどの甘味料、デンプン、デンプン分解物、多糖類などが挙げられる、抗酸化剤としては、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸誘導体、トコフェロール、トコトリエノール、リグナン、ユビキノン類、キサンチン類、オリザノール、植物ステロール、カテキン類、ポリフェノール類、茶抽出物などが挙げられる。香辛料としては、カプサイシン、アネトール、オイゲノール、シネオール、ジンゲロンなどが挙げられる。着色成分としては、カロテン、アナトー、アスタキサンチンなどが挙げられる。香料としては、バターフレーバー、ミルクフレーバーなどが挙げられる。乳化剤としては、レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどが挙げられる。
本発明の可塑性油脂組成物(B)は、公知の方法により製造することができる。例えば水相を含有する形態のものは、本発明のエステル交換油脂組成物(A)を含む油相と水相とを適宜に加熱し混合して乳化した後、コンビネーター、パーフェクター、ボテーター、ネクサスなどの冷却混合機により急冷捏和し得ることができる。水相を含有しない形態のものは、本発明のエステル交換油脂組成物(A)を含む油相を加熱した後、コンビネーター、パーフェクター、ボテーター、ネクサス等の冷却混合機により急冷捏和し得ることができる。冷却混合機による急冷捏和後には、必要に応じて窒素ガスなどの不活性ガスを吹き込むこともできる。また急冷捏和後に熟成(テンパリング)してもよい。
本発明の可塑性油脂組成物は、スプレッド、バタークリーム、焼成品の生地への練り込みなどに好適に使用することができる。
(可塑性油脂組成物(B)を用いたスプレッド)
スプレッドとしては、日本農林規格に規定されたファットスプレッドや、日本農林規格に規定されたマーガリンが包含される。このスプレッドは主に、パンや菓子などのベーカリー製品の表面に塗り広げて、あるいはベーカリー製品に充填(注入)、サンドしたり、また食材や呈味素材を入れるパンや菓子などに塗布し、食材や呈味素材の水分がパンや菓子に移行するのを防止する目的などに使用される。
このスプレッドは、水相を含有する形態をとることができる。水相を含有する形態としては、油中水型、水中油型、油中水中油型、水中油中水型が挙げられる。この場合の油相の含有量は、可塑性油脂であるスプレッド全量に対して、好ましくは60〜99.4質量%であり、より好ましくは65〜98質量%である。また、水相の含有量は、スプレッド全量に対して、好ましくは0.6〜40質量%である、より好ましくは2〜35質量%である。乳化形態は、口溶けや保型性などに優れる点では、油中水型が好ましい。
(可塑性油脂組成物(B)を用いたバタークリーム)
バタークリームは、マーガリンやショートニング等の本発明の可塑性油脂組成物(B)と、所望により糖質等の呈味成分を加えて起泡させ、あるいはこの可塑性油脂組成物(B)を起泡させたものに糖質等の呈味成分などを配合したものである。
起泡(クリーミング)は、公知の方法によって起泡させることで行うことができる。例えば、電動式もしくは手動の泡立て器を用いて、比重が適度に軽くなるまで含気させることにより行うことができる。本発明のバタークリームは、比重が好ましくは0.8以下、より好ましくは0.3〜0.7である。
バタークリームに配合する呈味成分としては、糖質、乳製品、卵類、果実、果汁、ジャム、カカオおよびカカオ製品、ナッツペースト、香辛料、コーヒーおよびコーヒー製品、酸味料、調味料、香料、着色料、抗酸化剤、酒類、甘味料などが挙げられる。糖質としては、液糖、粉糖、糖アルコールなどであってよく、例えば、単糖(グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノースなど)、二糖類(ラクトース、スクロース、マルトース、トレハロースなど)、オリゴ糖、糖アルコール、デンプン、デンプン分解物、多糖類、水あめ、異性化液糖などが挙げられる。乳製品としては、脱脂乳、クリーム、チーズ(ナチュラルチーズ、プロセスチーズなど)、発酵乳、濃縮乳、脱脂濃縮乳、無糖れん乳、加糖れん乳、無糖脱脂れん乳、加糖脱脂れん乳、全脂粉乳、脱脂粉乳、クリームパウダー、ホエイパウダー、蛋白濃縮ホエイパウダー、ホエイ蛋白コンセントレート(WPC)、ホエイ蛋白アイソレート(WPI)、バターミルクパウダー、トータルミルクプロテイン、カゼインナトリウム、カゼインカリウムなどが挙げられる。卵類としては、全卵、卵黄、卵白、加工卵などが挙げられる。
バタークリームに呈味成分やそれ以外の成分を配合する場合は、これらの配合量は、通常、バタークリームに配合される範囲で特に制限なく配合することができる。バタークリームに糖質を配合する場合は、本発明の可塑性油脂組成物(B)100質量部に対して10〜200質量部の範囲内で配合することができ、本発明の可塑性油脂組成物(B)は抱液性が良いため風味の良いバタークリームを容易に製造できる。
このバタークリームは、ナッペ用、フィリング用、サンド用、注入用、トッピング用などとして、パン、菓子、ケーキなどに好適に用いることができる。
(可塑性油脂組成物(B)を添加した焼成品)
本発明の可塑性油脂組成物(B)は、パンや菓子などの焼成品の生地に練り込んで使用することができる。本発明の可塑性油脂組成物(B)を含有する生地を焼成することによってパンや菓子などの焼成品が得られる。生地への本発明の可塑性油脂組成物(B)の練り込みや、焼成は、例えば公知の条件および方法に従って行うことができる。
生地は穀粉を主成分とし、穀粉としては、通常、焼成品の生地に配合されるものであれば、特に限定されないが、例えば、小麦粉(強力粉、中力粉、薄力粉など)、大麦粉、米粉、とうもろこし粉、ライ麦粉、そば粉、大豆粉などが挙げられる。
生地における本発明の可塑性油脂組成物(B)の配合量は、焼成品の種類によっても異なり特に限定されないが、生地に配合される穀粉100質量部に対して、好ましくは2〜40質量部であり、より好ましくは2〜30質量部である。
生地には、穀粉と本発明の可塑性油脂組成物(B)以外にも、通常、焼成品の生地に配合されるものであれば、特に制限なく配合することができる。また、これらの配合量も、通常、焼成品の生地に配合される範囲を考慮して特に制限なく配合することができる。具体的には、例えば、水や、前述したような乳、乳製品、蛋白質、糖質の他、卵、卵加工品、澱粉、塩類、乳化剤、乳化起泡剤(乳化油脂)、イースト、イーストフード、カカオマス、ココアパウダー、チョコレート、コーヒー、紅茶、抹茶、野菜類、果物類、果実、果汁、ジャム、フルーツソース、肉類、魚介類、豆類、きな粉、豆腐、豆乳、大豆蛋白、膨張剤、甘味料、調味料、香辛料、着色料、香料、酵素などが挙げられる。
本発明の可塑性油脂組成物(B)を添加した生地を用いた焼成品のパンや菓子としては、例えば、食パン、テーブルロール、菓子パン、調理パン、フランスパン、ライブレッドなどのパン類、シュトーレン、パネトーネ、クグロフ、ブリオッシュ、ドーナツなどのイースト菓子、デニッシュ、クロワッサン、パイなどのペストリー、バターケーキ、パウンドケーキ、スポンジケーキ、ビスケット、クッキー、ドーナツ、ブッセ、ホットケーキ、ワッフルなどのケーキなどが挙げられる。
以下に、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(1)測定方法
各油脂のヨウ素価は、基準油脂分析試験法(公益社団法人日本油化学会)の「2.3.4.1−2013ヨウ素価(ウィイス−シクロヘキサン法)」で測定した。
エステル交換油脂1〜8および可塑性油脂組成物(B)におけるトリグリセリドの2位に結合されたラウリン酸量、エステル交換油脂1〜8における3飽和トリグリセリド(StStSt、PStSt、PStP、PPSt、StPStおよびPPP)の合計量、可塑性油脂組成物(B)におけるトリグリセリドの2位に結合されたオレイン酸量、P2Oの含有量(PPOおよびPOPの合計量)、飽和脂肪酸量は、ガスクロマトグラフ法(基準油脂分析試験法(公益社団法人日本油化学会)の「2.4.2.2−2013 脂肪酸組成(FID昇温ガスクロマトグラフ法)」と「奨2−2013 2位脂肪酸組成」)で測定し、それぞれ脂肪酸量を用いて計算にて求めた。なお、油脂全量を基準としている。
(2)可塑性油脂組成物(B
エステル交換油脂1〜7>
表1に示すエステル交換油脂1〜を作製した。
エステル交換油脂1〜6は次の方法で作製した。表1に示す割合でラウリン系油脂(A1)とパーム系油脂(A2)とを混合して110℃に加熱し、十分に脱水させた後、化学触媒としてナトリウムメチラートを油脂量の0.08質量%添加し、減圧下、100℃で0.5時間攪拌しながらエステル交換反応を行った。エステル交換反応後、水洗して触媒を除去し、活性白土を用いて脱色し、さらに脱臭を行ってエステル交換油脂を得た。
エステル交換油脂は、パーム系油脂のみを用いてエステル交換油脂1〜6の製法に準じて作製した。
Figure 0006685117

<マーガリンの作製>
表2の可塑性油脂配合(B)の油脂81.2質量部を75℃に調温し、乳化剤0.2質量部を添加後、溶解させ油相とした。一方、水16.5質量部に脱脂粉乳1.0質量部および食塩1.0質量部を添加し、80℃で加熱殺菌して水相を得た。
次に、該油相に該水相を添加し、プロペラ攪拌機で撹拌して、油中水型に乳化した後、ミルクフレーバーを0.1質量部添加し、撹拌後、コンビネーターによって急冷捏和して、下記の配合割合のマーガリンを可塑性油脂組成物(B)として得た。得られたマーガリンは熟成(テンパリング)後に5℃で保管した。
〈マーガリンの配合〉
油脂 81.2質量部
乳化剤 0.2質量部
水 16.5質量部
脱脂粉乳 1.0質量部
食塩 1.0質量部
ミルクフレーバー 0.1質量部
(3)評価
上記で得たマーガリンを用い、スプレッド、バタークリーム、パンへの練り込みに使用し以下評価を行った。
尚下記の各評価において、パネルは、五味(甘、酸、塩、苦、うま味)の識別テスト、味の濃度差識別テスト、食品の味の識別テスト、基準嗅覚テストを実施し、その各々のテストで適合と判断された20〜40代の男性4名、女性6名を選抜した。
(3−1)スプレッドの評価
上記において作製したマーガリンを用いて、次の評価を行った。
[もたつき感]
5℃で5日間、調温したマーガリンをパネル10名で試食し、口中でのもたつき感を以下の基準により評価した。
なお、「もたつき感なし」とは、口中で10秒以内に溶解し、油脂が残存しないことを意味する。
評価基準
◎:パネル10名中8名以上が、もたつき感なしと評価した。
○:パネル10名中7〜5名が、もたつき感なしと評価した。
△:パネル10名中4〜3名が、もたつき感なしと評価した。
×:パネル10名中もたつき感なしと評価したのは2名以下であった。
[塗りやすさ]
10℃に調温したマーガリン5gをスパテラに取り、ステンレス製の板に塗布し塗りやすさを以下の基準で評価した。
評価基準
◎:薄く、非常に滑らかに伸展する。
○:薄く、滑らかに伸展する。
△:若干厚みがあるが、滑らかに伸展する。
×:厚みあり、伸展性悪い、若しくは伸展するが途中で途切れる。
上記の評価結果を表2に示す。
(3−2)バタークリームの評価
<バタークリームの作製>
卓上ミキサー(KitchenAid社)を用いて、10℃に調温したマーガリン250gを多羽ホイッパーで速度4にて比重0.50〜0.55となるまで撹拌した後、水と砂糖とを混合し溶解し製造した糖液(BRIX67)を250g添加し、比重が0.60〜0.65となるまで起泡させてバタークリームを得た。
〈バタークリームの配合〉
マーガリン 250質量部
液糖 250質量部
上記において作製したバタークリームを用いて、次のもたつき感、清涼感の評価を行った。
[もたつき感]
5℃で5日間、調温したバタークリームをパネル10名で試食し、口中でのもたつき感を以下の基準により評価した。
なお、「もたつき感なし」とは、口中で10秒以内に溶解し、油脂が残存しないことを意味する。
評価基準
◎:パネル10名中8名以上が、もたつき感なしと評価した。
○:パネル10名中7〜5名が、もたつき感なしと評価した。
△:パネル10名中4〜3名が、もたつき感なしと評価した。
×:パネル10名中もたつき感なしと評価したのは2名以下であった。
[バタークリームの清涼感]
5℃で5日間、調温したバタークリームをパネル10名で試食し、清涼感についてパネル10名で以下の基準により評価した。
なお、清・BR>チ感とは、口溶けが良くさらに口内の温度が下がる感覚により、口の中に残る脂っこさを感じず、さっぱりとした感覚のことを言う。
評価基準
◎:パネル10名中8名以上が、清涼感ありと評価した。
○:パネル10名中7〜5名が、清涼感ありと評価した。
△:パネル10名中4〜3名が、清涼感ありと評価した。
×:パネル10名中清涼感ありと評価したのは2名以下であった。
[抱液性]
卓上ミキサー(KitchenAid社)を用いて、10℃に調温したマーガリン250gを多羽ホイッパーで速度1にて30秒クリーミングした後、水と砂糖とを混合し溶解し製造した液糖(BRIX67)を300g添加し、比重が0.60よりも軽くなるまでの時間で評価した。
評価基準
◎:5分以内。
○:5分超〜6分30秒以内。
△:6分30秒超〜8分以内。
×:8分超、若しくは比重0.6よりは軽くならない。
上記の評価結果を表3に示す。
(3−3)焼成品の評価
<食パンの作製>
イーストを分散させた水、イーストフード、および強力粉をミキサーボールに投入しフックを使用して、下記条件にてミキシング、発酵を行い、中種生地を得た。
その後、本捏配合のマーガリン以外の全材料および中種生地を添加し低速3分、中低速3分でミキシングした後、マーガリンを投入し、さらに低速3分、中低速4分でミキシングしパン生地を得た。捏上温度は28℃であった。
その後、20分のフロアータイムをとった後、生地を分割し、再度20分のベンチタイムをとった。生地の成型は、モルダーで5mmに延ばし、ロール型に成型後、ワンローフ型に入れ、38℃、湿度80%で45分間のホイロをとり、その後200℃で30分焼成した。
〈食パン配合〉
・中種配合
強力粉 70質量部
イースト 2.5質量部
イーストフード 0.1質量部
水 40質量部
・本捏配合
強力粉 30質量部
上白糖 6質量部
食塩 1.8質量部
脱脂粉乳 2質量部
マーガリン 5質量部
水 25質量部
[ヒキ]
焼成した食パンを放冷後、5℃で1日保存し、喫食したときにヒキ(パン様の繋がりが残存する食感)を感じるかをパネル10名で以下の基準により評価した。
評価基準
◎:パネル10名中8名以上が、ヒキがないと評価した。
○:パネル10名中7〜5名が、ヒキがないと評価した。
△:パネル10名中4〜3名が、ヒキがないと評価した。
×:パネル10名中ヒキがないと評価したのは2名以下であった。
[シトリ]
焼成した食パンを放冷後、5℃で1日保存し、喫食したときのシトリをパネル10名で以下の基準により評価した。
評価基準
◎:パネル10名中8名以上が、シトリ感があると評価した。
○:パネル10名中7〜5名が、シトリ感があると評価した。
△:パネル10名中4〜3名が、シトリ感があると評価した。
×:パネル10名中シトリ感があると評価したのは2名以下であった。
上記の評価結果を表3に示す。
Figure 0006685117
Figure 0006685117

Claims (6)

  1. ラウリン系油脂とパーム系油脂とのエステル交換油脂組成物であって、
    ラウリン系油脂およびパーム系油脂として極度硬化油を含有し、ラウリン系油脂の極度硬化油とパーム系油脂の極度硬化油との合計量が3〜20質量%であり、
    トリグリセリドの2位に結合したラウリン酸の含有量がトリグリセリドの2位に結合した脂肪酸全体の質量に対して6〜14.5質量%であるエステル交換油脂組成物。
  2. 3飽和トリグリセリドである次のStStSt、PStSt、PStP、PPSt、StPSt、およびPPPを合計量として7〜10質量%含有する請求項1に記載のエステル交換油脂組成物:
    StStSt;1位と2位と3位にステアリン酸が結合されたトリグリセリド
    PStSt;1位にパルミチン酸、2位と3位にステアリン酸が結合されたトリグリセリド、または、3位にパルミチン酸、2位と1位にステアリン酸が結合されたトリグリセリド
    PStP;1位と3位にパルミチン酸、2位にステアリン酸が結合されたトリグリセリドPPSt;1位と2位にパルミチン酸、3位にステアリン酸が結合したトリグリセリド、または、1位にステアリン酸、2位と3位にパルミチン酸が結合されたトリグリセリドStPSt;1位と3位にステアリン酸、2位にパルミチン酸が結合されたトリグリセリド
    PPP;1位と2位と3位にパルミチン酸が結合されたトリグリセリド。
  3. 請求項1または2に記載のエステル交換油脂組成物を含有する可塑性油脂組成物。
  4. 前記エステル交換油脂組成物を15〜80質量%含有する請求項3に記載の可塑性油脂組成物。
  5. トリグリセリドの2位に結合したオレイン酸の含有量がトリグリセリドの2位に結合した脂肪酸全体の質量に対して35〜50質量%である請求項3または4に記載の可塑性油脂組成物。
  6. 飽和脂肪酸量が油脂全量に対して40〜58質量%である請求項3から5のいずれか一項に記載の可塑性油脂組成物。
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